(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】身飾品
(51)【国際特許分類】
A44C 7/00 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A44C7/00 A
(21)【出願番号】P 2022004300
(22)【出願日】2022-01-14
【審査請求日】2022-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503175966
【氏名又は名称】株式会社クロスフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】土橋 秀位
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-011535(JP,A)
【文献】特開2018-114258(JP,A)
【文献】特許第6431170(JP,B2)
【文献】特開2009-056186(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1824940(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1946998(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 7/00
A44C 17/02
A44C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳に固定される固定部と、
前記固定部に直接または間接で固定された第1の丸環と、
前記第1の丸環と内周部同士を接合させ、揺動可能に前記第1の丸環と係合する第2の丸環と、
を有し、
前記第1の丸環及び前記第2の丸環の接合部は、内側に向けて突き出た先端角度が60~90°の断面略扇形の先細形状をしており、
前記第2の丸環の先端角度は、前記第1の丸環の先端角度より鋭角であり、
前記第2の丸環が前記第1の丸環に対して、点接触の前記接合部を中心に、直交又は略直交する3軸周りに揺動可能に構成されており、
前記固定部による耳の固定位置と前記接合部との距離は4mm以上であり、
前記第1の丸環及び前記第2の丸環の内径は0.80~1.50mmであり、
前記第1の丸環及び前記第2の丸環の外径は1.40~2.00mmであり、
前記第1の丸環及び前記第2の丸環の幅は0.20~0.50mmである
身飾品。
【請求項2】
前記第2の丸環には、装飾体が固定、又は一体となって形成されている
請求項1に記載の身飾品。
【請求項3】
一端に前記固定部が位置し、他端に前記第1の丸環が位置する距離調整部材
を有する
請求項1に記載の身飾品。
【請求項4】
前記第2の丸環の内径は、前記第1の丸環の内径より短い
請求項1に記載の身飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動可能な身飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
ペンダント(ネックレス)等においては、ダイヤモンドなどの宝石が台座部に保持されるとともに、その宝石及び台座部が小さく揺動するように配されるものが知られている。
台座部に保持された宝石が小さく揺動することにより、宝石が止まっているときよりもキラキラと輝いて見えるため、宝石の美しさが更に強調される。
例えば、2つの丸環を係合させた連結部を両側に2つ設けて合計4つの丸環で装飾体を揺動させるダブルリング機構が知られている。
このような従来のペンダント等で採用されるダブルリング機構では、左右のそれぞれに連結部があるので、一つの仮想回転軸の周りを揺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ピアス等の耳たぶに固定する装身具の分野において、装飾物の美しさを強調したいという要請がある。
また、揺動機構を簡単にしたいという要請もある。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構成で、装飾物の美しさをより強調できる身飾品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の身飾品は、耳に固定される固定部と、前記固定部に直接または間接で固定された第1の丸環と、
前記第1の丸環と内周部同士を接合させ、揺動可能に前記第1の丸環と係合する第2の丸環と、を有し、前記第1の丸環及び前記第2の丸環の接合部は、内側に向けて突き出た先端角度が60~90°の断面略扇形の先細形状をしており、前記第2の丸環の先端角度は、前記第1の丸環の先端角度より鋭角であり、前記第2の丸環が前記第1の丸環に対して、点接触の前記接合部を中心に、直交又は略直交する3軸周りに揺動可能に構成されており、前記固定部による耳の固定位置と前記接合部との距離は4mm以上であり、前記第1の丸環及び前記第2の丸環の内径は0.80~1.50mmであり、前記第1の丸環及び前記第2の丸環の外径は1.40~2.00mmであり、前記第1の丸環及び前記第2の丸環の幅は0.20~0.50mmである。
【0008】
好適には、前記第2の係合部には、装飾体が固定、又は一体となって形成されている。
【0010】
好適には、一端に前記固定部が位置し、他端に前記第1の係合部が位置する距離調整部材を有する。
【0011】
好適には、前記第2の曲部の先端角度は、前記第1の曲部の先端角度より鋭角である。
【0016】
好適には、前記第2の係合部の内径は、前記第1の係合部の内径より短い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装飾物の美しさをより強調できる身飾品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るピアスの全体外観図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すピアスの第1の丸環21m第2の丸環23及び装飾体31の部分を拡大した断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るピアスにおける第2の丸環のZ軸周りの揺動を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るピアスにおける第2の丸環のX軸周りの揺動を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るピアスにおける第2の丸環のY軸周りの揺動を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1の丸環及び第2の丸環の断面の先端角度αを説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施形態のピアスにおいて、ポストと、点接合部との距離を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の身飾品の実施形態に係るピアスを図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るピアス1の全体外観図である。
図2は、
図1に示すピアス1の第1の丸環21、第2の丸環23及び装飾体31の部分を拡大した断面図である。
【0020】
図1に示すように、ピアス1は、ポスト11及び固定部13を有する。固定部13は、ポスト11の一端に設けられ、耳たぶに固定(装着)される。
【0021】
ポスト11の他端には距離調整部材17の一端が設けられている。
距離調整部材17の他端には、第1の丸環21が設け(固定)されている。
第1の丸環21には、第2の丸環23が揺動可能に係合している。
【0022】
第1の丸環21及び第2の丸環23の先端の断面は、先端角度が60~90°の内側(円周中心)に向けて突き出た先細形状をしている。
これにより、第1の丸環21と第2の丸環23との内周が点接触で接合し、当該点接触の点接合部41を中心に直交又は略直交する3軸周りに揺動可能である。
【0023】
第2の丸環23には、装飾体31が固定されている。装飾体31は、宝石、その他の装飾機能を発揮する物である。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に係るピアス1における第2の丸環23のZ軸周りの揺動を説明するための図である。
図4は、本発明の実施形態に係るピアス1における第2の丸環23のX軸周りの揺動を説明するための図である。
図5は、本発明の実施形態に係るピアス1における第2の丸環23のY軸周りの揺動を説明するための図である。
【0025】
第1の丸環21及び第2の丸環23は、双方の内周の先端の点接合部41で点接合しているため、ピアス1の固定部13を耳たぶ装着した使用者の動きに応じて、
図3~
図5に示すように、当該点接触の点接合部41を中心に直交又は略直交するZ、X、Y軸(3軸)周りに揺動する。Z、X、Y軸(3軸)周りに同時に揺動することで、一つの軸周りに揺動する場合に比べて、多様かつ予測困難な揺動が実現できる。これにより、背景技術で説明したダブルリング機構のペンダントに比べて、揺動による美観が強調される。
【0026】
図6は、第1の丸環21及び第2の丸環23の断面の先端角度αを説明するための図である。
本実施形態において、第1の丸環21及び第2の丸環23の内径は0.80~1.50mmである。
また、第1の丸環21及び第2の丸環23の外径は1.40~2.00mmである。
また、第1の丸環21及び第2の丸環23の幅は、0.20~0.50mmである。
【0027】
このような第1の丸環21及び第2の丸環23の形状において、第1の丸環21及び第2の丸環23の断面の先端角度αを60~90°とすることで、ピアス1を耳に装着した状態で、第2の丸環23が揺動しても、第1の丸環21の内周に点接合部41以外で当たらず、長時間揺動する。
【0028】
図7は、本実施形態のピアス1において、ポスト11と、点接合部41との距離を説明するための図である。
上述した第1の丸環21及び第2の丸環23のサイズにおいて、固定部13による耳たぶの固定位置と、点接合部41との距離を4mm以上にすることで、揺動する第2の丸環23が耳に当たることを回避できる。
【0029】
以上説明したように、ピアス1によれば、第1の丸環21及び第2の丸環23の断面の先端角度が60~90°の内側(円周中心)に向けて突き出た先細形状にしたことで、
第1の丸環21及び第2の丸環23の内周は点接合部41で点接合する。そのため、第2の丸環23及び装飾体31は、点接合部41を中心にZ、X、Y軸(3軸)周りに揺動し、背景技術で説明したダブルリング機構のペンダントより多様な揺動パターンを実現できる。
【0030】
また、ピアス1によれば、第1の丸環21と第2の丸環23とを係合させた簡単な揺動機構にすることができる。
【0031】
また、ピアス1によれば、上述したように、第1の丸環21及び第2の丸環23のサイズを第2の丸環23が第1の丸環21の内周に点接合部41以外で当たらずに、長時間揺動させることができる。
【0032】
また、ピアス1よれば、固定部13による耳たぶの固定位置と点接合部41との距離を4mm以上に規定したことで、揺動する第2の丸環23が耳に当たることを回避できる。
【0033】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例えば、本発明の身飾品は、ピアス以外にイヤリングであってもよい。
例えば、上述した実施形態では、本発明の第1の係合部及び第2の係合部として、第1の丸環21及び第2の丸環23を例示したが、円状あるいは円弧状の曲部を備えていれば、少なくとも一方が丸環以外の形状でもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、固定部13による耳たぶの固定位置と点接合部41との距離を4mm以上に規定した場合を例示したが、当該距離が4mm未満、あるいは距離調整部材17が設けられていなくてもよい。
【0035】
また、第1の丸環21及び第2の丸環23の先端角度は、60~90°であれば特に限定あれない。
【0036】
また、第2の丸環23の内周の先端角度を、第1の丸環21の内周の先端角度より鋭角にしてもよい。このようにすることで、第1の丸環21の強度を保ちながら、第2の丸環23の揺動をより大きくすることができる。
【0037】
また、第2の丸環23の内径を、第1の丸環21の内径に比べて短くしてもよい。これにより、このようにすることで、揺動機能を保ちながら、装飾体31をより目立たせることができる。
【0038】
また、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0039】
1…ピアス
11…ポスト
13…固定部
17…距離調整部材
21…第1の丸環
23…第2の丸環
31…装飾体
【要約】
【課題】簡単な構成で、装飾物の美しさをより強調できるピアスを提供する。
【解決手段】 距離調整部材17の第1の丸環21が設けられている。第1の丸環21には、第2の丸環23が係合している。第1の丸環21及び第2の丸環23の断面の先端角度が60~90°の内側に向けて突き出た先細形状をしている。これにより、第1の丸環21と第2の丸環23との内周が点接触で接合し、当該点接触の点接合部41を中心にZ、X、Y軸(3軸)周りに揺動する。
【選択図】
図1