(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】NK細胞ベースの療法で使用するためのHDAC阻害剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20221014BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20221014BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61K31/506 ZMD
A61K35/17 Z
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2019522629
(86)(22)【出願日】2017-07-14
(86)【国際出願番号】 US2017042222
(87)【国際公開番号】W WO2018013975
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-26
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519013065
【氏名又は名称】ビラクタ セラピューティクス,インク.
(73)【特許権者】
【識別番号】519013076
【氏名又は名称】ナントクエスト,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ウッディ,ジェームズ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】スン-シオン,パトリック
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/086379(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/010096(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/109668(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫療法剤と組み合わせて、必要とする個体の前立腺癌を処置するための製剤の製造におけるHDAC阻害剤を含む組成物の使用であって、ここで、前記HDAC阻害剤は、(2-(6-{[(6-フルオロキノリン-2-イル)メチル]アミノ}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド)を含み、更に、前記免疫療法剤はNK細胞を含むことを特徴とする、使用。
【請求項2】
前記HDAC阻害剤は経口投与される、請求項1に記載の
使用。
【請求項3】
前記HDAC阻害剤は、1日当たり80mg以下の用量で投与される、請求項1に記載の
使用。
【請求項4】
前記HDAC阻害剤は、前記免疫療法剤を投与する前に投与される、請求項1から3のいずれか1つに記載の
使用。
【請求項5】
前記HDAC阻害剤は、前記免疫療法剤の投与中に投与される、請求項1から3のいずれか1つに記載の
使用。
【請求項6】
前記HDAC阻害剤は、前記免疫療法剤を投与した後に投与される、請求項1から3のいずれか1つに記載の
使用。
【請求項7】
前記NK細胞は、初代NK細胞である、請求項1から6のいずれか1つに記載の
使用。
【請求項8】
前記NK細胞は、キメラ抗原受容体(NK-CAR)を含む、請求項1から6のいずれか1つに記載の
使用。
【請求項9】
前記NK細胞は、HaNK細胞を含む、請求項1から6のいずれか1つに記載の
使用。
【請求項10】
前記組成物は、腫瘍抗原に対して特異的な抗体をさらに含む、請求項9に記載の
使用。
【請求項11】
前記腫瘍抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮増殖因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、請求項10に記載の
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年7月15日に出願された米国仮特許出願第62/362,959号に対する優先権および利益を主張するものであり、当該文献はその全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、癌を治療するための新たな方法である。免疫療法は、サイトカイン類、ケモカイン類、抗体、治療ワクチン、抗原提示細胞、またはT細胞などの免疫系の成分の使用に基づいて、患者の免疫応答を調整し、その応答を悪性病変または腫瘍の除去へと導く。多くの免疫療法が、細胞表面上のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド抗原の発現を必要とし、場合によっては、この発現は、膜貫通タンパク質と分泌タンパク質と同様に、その細胞表面上で起こるか、または場合によっては、この発現は、主要組織適合分子(MHC)に関連するペプチドを含む。
【0003】
多くのウイルス感染によって、潜伏感染が結果として生じる。さらに、多くの癌が、潜在性ウイルス感染に関連する。ウイルスが存在するが、しかし、ウイルスのチミジンキナーゼ、プロテインキナーゼ、ならびに細胞表面上で表現され得る他のタンパク質およびポリペプチドなどのウイルスタンパク質を発現していない場合に、潜在性感染が起こる。免疫療法は、ウイルス関連抗原の存在を必要とする。
【発明の概要】
【0004】
必要とする個体の癌を処置するための方法が本明細書に提供され、該方法は、(a)治療上有効な量のHDAC阻害剤と;(b)免疫療法剤と、を投与する工程を含み、ここで、免疫療法剤は、NK細胞を含む。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、ボリノスタット/スベロイルアニリドヒドロキサム酸、JNJ-26481585(N-ヒドロキシ-2-(4―((((1-メチル-1H-インドール-3-イル)メチル)アミノ)メチル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド)、R306465/JNJ-16241199(N-ヒドロキシ-5-(4―(ナフタレン-2-イルスルホニル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-カルボキサミド)、CHR-3996(2-(6-{[(6-フルオロキノリン-2-イル)メチル]アミノ}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド)、ベリノスタット/PXD101、パノビノスタット/LBH-589、トリコスタチンA/TSA(7-[4―(ジメチルアミノ)フェニル]-N-ヒドロキシ-4,6-ジメチル-7-オキソヘプタ-2,4-ジエンアミド)、ITF2357、CBHA、ギビノスタット/ITF2357、PCI-24781、デプシペプチド類(例えば、ロミデプシン)、酪酸塩、フェニル酪酸、バルプロ酸、AN-9、CI-994、エンチノスタット/MS-275/SNDX-275、モセチノスタット/MGCD0103(N-(2-アミノフェニル)-4-((4-ピリジン-3-イルピリミジン-2-イルアミノ)メチル)ベンズアミド)、m-カルボキシケイ皮酸、ビスヒドロキサム酸、コルクビスヒドロキサム酸、オキサムフラチンABHA、SB-55629、ピロキサミド、プロペンアミド、アロイルピロリルヒドロキサミド、もしくはLAQ824(((E)-N-ヒドロキシ-3-[4―[[2-ヒドロキシエチル-[2-(1H-インドール-3イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]プロプ-2-エンアミド)、キダミド(chidamide)、または4SC-202を含む。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、クラスI HDACを阻害する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、(2-(6-{[(6-フルオロキノリン-2-イル)メチル]アミノ}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル)-Nヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド)を含む。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、経口投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1日当たり80mg未満の用量(dose)で投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1日当たり40mg未満の用量で投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1日当たり20mg未満の用量で投与される。ある実施形態では、免疫療法剤を投与する前にHDAC阻害剤が投与される。ある実施形態では、免疫療法剤の投与中にHDAC阻害剤が投与される。ある実施形態では、免疫療法剤を投与した後にHDAC阻害剤が投与される。ある実施形態では、NK細胞は初代NK細胞である。ある実施形態では、NK細胞はキメラ抗原受容体(NK-CAR)を含む。ある実施形態では、NK細胞は、高親和性Fc受容体FcγRIIIAを含む。ある実施形態では、高親和性Fc受容体は、腫瘍抗原に対して特異的な抗体に結合される。ある実施形態では、腫瘍抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮増殖因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。ある実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、胃癌、粘液性類表皮癌、多形神経膠芽腫、または乳癌である。ある実施形態では、癌は、ウイルスが感染した結果である。ある実施形態では、ウイルスは、ヘルペスウイルス科からである。ある実施形態では、ヘルペスウイルス科のメンバー(member)は、エプスタイン-バーウイルスである。ある実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、または胃癌である。ある実施形態では、ヘルペスウイルス科のメンバーは、サイトメガロウイルスである。ある実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、粘液性類表皮癌、多形神経膠芽腫、または乳癌である。ある実施形態では、ヘルペスウイルス科のメンバーは、ヒトヘルペスウイルス8である。ある実施形態では、方法は、抗ウイルス剤を投与する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗ウイルス剤は、バルガンシクロビルを含む。ある実施形態では、抗ウイルス剤は、治療上有効な量の(2-(6-{[(6-フルオロキノリン-2-イル)メチル]アミノ}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド)と、免疫療法剤とを用いる処置の前に投与される。ある実施形態では、方法は、第2の免疫療法剤を投与する工程をさらに含む。ある実施形態では、第2の免疫療法剤は、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、チェックポイント阻害剤に結合する。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-2 PD-L1、PD-L2、またはCTLA-4のうちの1つ以上を含む。ある実施形態では、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ピディリズマブ、アテゾリズマブ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0005】
他の態様では、治療上有効な量のHDAC阻害剤と、免疫療法剤を投与する工程を含む、必要とする個体のウイルス誘導性悪性腫瘍を処置するための方法が、本明細書に提供され、ここで、HDAC阻害剤は、個体における免疫療法剤の有効性を向上させる。ある実施形態では、HDAC阻害剤の投与は、免疫療法剤により標的となり得る、ウイルス感染細胞において通常はマスキングされている(masked)か、隠れている(hidden)か、発現していない(unexpressed)か、サイレント(silent)であるウイルスタンパク質または抗原の表現を誘導する。ある実施形態では、HDAC阻害剤の投与は、免疫療法剤により標的となり得る、ウイルス感染細胞により通常発現されるウイルスタンパク質または抗原の、より高い発現を誘導する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、ボリノスタット/スベロイルアニリドヒドロキサム酸、JNJ-26481585(N-ヒドロキシ-2-(4―((((1-メチル-1H-インドール-3-イル)メチル)アミノ)メチル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド)、R306465/JNJ-16241199(N-ヒドロキシ-5-(4―(ナフタレン-2-イルスルホニル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-2-カルボキサミド)、CHR-3996(2-(6-{[(6-フルオロキノリン-2-イル)メチル]アミノ}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド)、ベリノスタット/PXD101、パノビノスタット/LBH-589、トリコスタチンA/TSA(7-[4―(ジメチルアミノ)フェニル]-N-ヒドロキシ-4,6-ジメチル-7-オキソヘプタ-2,4-ジエンアミド)、ITF2357、CBHA、ギビノスタット/ITF2357、PCI-24781、デプシペプチド類(例えば、ロミデプシン)、酪酸塩、フェニル酪酸、バルプロ酸、AN-9、CI-994、エンチノスタット/MS-275/SNDX-275、モセチノスタット/MGCD0103(N-(2-アミノフェニル)-4-((4-ピリジン-3-イルピリミジン-2-イルアミノ)メチル)ベンズアミド)、m-カルボキシケイ皮酸、ビスヒドロキサム酸、コルクビスヒドロキサム酸、オキサムフラチン、ABHA、SB-55629、ピロキサミド、プロペンアミド、アロイルピロリルヒドロキサミド、もしくはLAQ824(((E)-N-ヒドロキシ-3-[4―[[2-ヒドロキシエチル-[2-(1H-インドール-3イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]プロプ-2-エンアミド)、キダミド、または4SC-2である。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、経口投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1日当たり80mg未満の用量で投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1日当たり40mg未満の用量で投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1日当たり20mg未満の用量で投与される。ある実施形態では、免疫療法剤を投与する前にHDAC阻害剤が投与される。ある実施形態では、免疫療法剤の投与中にHDAC阻害剤が投与される。ある実施形態では、免疫療法剤を投与した後にHDAC阻害剤が投与される。
【0006】
治療上有効な量のHDAC阻害剤と、免疫療法剤を投与する工程を含む、必要とする個体の癌を処置するための方法が、本明細書に提供される。ある実施形態では、免疫療法剤は、ワクチンである。ある実施形態では、ワクチンは、エプスタイン-バーウイルスに由来する抗原を含む。
【0007】
ある実施形態では、ワクチンは、抗原提示細胞を含む。ある実施形態では、抗原提示細胞は、樹状細胞、B細胞、またはマクロファージを含む。ある実施形態では、免疫療法剤はサイトカインである。ある実施形態では、免疫療法剤は抗体である。ある実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。ある実施形態では、抗体は、PD-1、PD-2 PD-L1、PD-L2、または抗CTLA-4のうちのいずれか1つ以上に結合する。ある実施形態では、抗体は、エプスタイン-バーウイルスでコードされたポリペプチドに特異的である。ある実施形態では、エプスタイン-バーウイルスにコードされたポリペプチドは、LMP-1またはLMP-2である。
【0008】
ある実施形態では、免疫療法剤は細胞ベースである。ある実施形態では、キメラ抗原受容体は、エプスタイン-バーウイルスにコードされたポリペプチドに特異的である。ある実施形態では、エプスタイン-バーウイルスにコードされたポリペプチドは、LMP-1またはLMP-2である。ある実施形態では、細胞ベースの免疫療法剤は、T細胞である。ある実施形態では、T細胞は、養子移入されたT細胞集団である。ある実施形態では、T細胞は正のCD8である。ある実施形態では、T細胞はCD4陽性である。ある実施形態では、T細胞はキメラ抗原受容体を保有する。ある実施形態では、キメラ抗原受容体は、エプスタイン-バーウイルスにコードされたポリペプチドに特異的である。ある実施形態では、エプスタイン-バーウイルスにコードされたポリペプチドは、LMP-1またはLMP-2である。
【0009】
必要とする個体の癌を処置するための方法が、本明細書に提供される。実施形態では、癌は、ウイルス感染の結果である。ある実施形態では、ウイルス感染は、ヘルペスウイルス科からである。ある実施形態では、ヘルペスウイルス科のメンバーは、エプスタイン-バーウイルスである。ある実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、または胃癌である。ある実施形態では、ヘルペスウイルス科のメンバーは、サイトメガロウイルスである。ある実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、粘液性類表皮癌、多形神経膠芽腫、または乳癌である。ある実施形態では、ヘルペスウイルス科のメンバーは、ヒトヘルペスウイルス8である。ある実施形態では、癌はカポジ肉腫である。
【0010】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、T細胞上に存在するチェックポイント阻害剤の発現を減少させる。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-2である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤調節因子はCTLA-4である。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、癌細胞上に存在するチェックポイント阻害剤の発現を減少させる。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1、PDL-2、CTLA-4、PD-1、またはPD-2である。
【0011】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、T細胞上に存在するチェックポイント阻害剤の発現を増加させる。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA-4である。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、癌細胞上に存在するチェックポイント阻害剤の発現を増加させる。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L2である。
【0012】
ある実施形態では、方法は、抗ウイルス剤を投与する工程をさらに含む。ある実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルを含む。ある実施形態では、抗ウイルス剤は、治療上有効な量の(2-(6-{[(6-フルオロキノリン-2-イル)メチル]アミノ}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド)と、免疫療法剤の処置の前に投与される。
【0013】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての公報、特許、および特許出願は、個々の公報、特許、または特許出願が、それぞれ、明確かつ個々に示されて、引用によって組み込まれているかのような程度まで、引用によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書に記載される新規性のある特徴は、特に添付の請求項に記載される。本明細書に記載される特徴の原則が用いられている例示的な例を説明する以下の詳細な記載、および以下の添付図面を参照することで、本明細書に記載されている、特徴およびの特徴の利点がより良く理解されるであろう。
【
図1A】本開示のキメラ抗原受容体の非限定的な概要を例示する。
【
図1B】本開示のキメラ抗原受容体の標的ドメインの非限定的な概要を例示する。この図面は縮尺通りに表わされていない。
【
図2A】PC3細胞(
図2A)、またはMDA-MB-231細胞(
図2B)中のアセチル化ヒストンH3に対する免疫ブロットを示す。
【
図2B】PC3細胞(
図2A)、またはMDA-MB-231細胞(
図2B)中のアセチル化ヒストンH3に対する免疫ブロットを示す。
【
図3】2つの異なるヒトドナー(HD1およびHD2)、ならびに高親和性FC受容体を発現する遺伝子組換えされたNK細胞(HaNK)を使用し、標的としてPC3細胞を用いた、NK細胞溶解アッセイを示す。
【
図4】2つの異なるヒトドナー(HD1およびHD2)、ならびに高親和性FC受容体を発現する遺伝子組換えされたNK細胞(HaNK)を使用し、標的としてMDA-MB-231細胞を用いた、NK細胞溶解アッセイを示す。
【
図5A】転移性癌の患者から単離され、VRx-3996で処置され、その後FACSによって分析された、PBMC中のFoxP3陽性を示す。
図5Aは、個体サンプル(induvial samples)の平均蛍光強度を示す。
【
図5B】転移性癌の患者から単離され、VRx-3996で処置され、その後FACSによって分析された、PBMC中のFoxP3陽性を示す。
図5Bは、典型的なFACsのヒストグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
必要とする個体の癌を処置および/または予防するための方法および組成物が、本明細書に提供される。ある実施形態では、癌は潜伏ウイルス感染に関連する。特定の実施形態では、処置は、治療上有効な量のHDAC阻害剤と、免疫療法剤とを被験体に投与する工程を含む。ある実施形態では、方法は、免疫療法を開始する前に、HDAC阻害剤を併用投与することを含む。ある実施形態では、方法は、HDAC阻害剤および免疫療法の併用投与を含む。ある実施形態では、方法は、免疫療法を開始した後に、HDAC阻害剤を併用投与することを含む。
【0016】
治療上有効な量のHDAC阻害剤と、免疫療法剤を投与する工程を含む、必要とする個体のウイルス誘導性悪性腫瘍を処置する方法が、本明細書で提供され、ここで、HDAC阻害剤は、個体における免疫療法剤の有効性を向上させる。ある実施形態では、HDAC阻害剤の投与は、ウイルス感染細胞において通常はマスキングされているか、隠れているか、発現していないか、サイレントであるウイルスタンパク質または抗原の表現を誘導し、ここで、ウイルスタンパク質または抗原は、免疫療法剤により標的となり得る。
【0017】
本明細書に提供される方法および組成物は、本明細書に開示された癌のいずれかを処置するおよび/または予防するために使用され得る。本明細書に記載された、HDAC阻害剤および/または免疫療法のいずれも、提供された発明の方法および組成物において、使用され得る。
【0018】
本発明の別の態様は、薬剤または薬剤の組み合わせ、例えばHDAC阻害剤および免疫療法剤を含む医薬組成物に関する、製剤、投与経路、および有効量に関する。HDAC阻害剤、免疫療法剤、または1つ以上の追加の薬剤は、別々の医薬組成物中で被験体に投与できるか、または単一の医薬組成物中で同時配合できる。
【0019】
また、HDAC阻害剤および免疫療法剤のための服薬スケジュールに関する方法が提供される。1つ以上の医薬組成物が、一定時間の「パルス投与(pulsed administration)」により、被験体に投与できる。
【0020】
概要
ヘルペスウイルスはヒトの疾患の原因となるDNAウイルスの大きな科である。この科のメンバーも、ヘルペスウイルスとして知られている。この科のウイルスとしては、単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2;サイトメガロウイルス(CMV);エプスタイン-バーウイルス(EBV);ならびにヒトヘルペスウイルス(HHV)6、7、および8が挙げられる。HHV-8は、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスとしても知られる。
【0021】
ヘルペスウイルスの感染に際して、ウイルスDNAは細胞核中でRNAへと転写される。その後、感染症は、以下の2つの異なる期を介して進行する;溶解期および潜伏期。溶解複製(lytic replication)の間、ウイルス複製は、しばしば、細胞死、および熱、頭痛、咽頭炎、発疹を含む症状の出現を引き起こし、いくつかのウイルスにより痛みが現れる。溶解遺伝子は、細胞への侵入後に、それらが:最初期に、初期に、および後期に発現されるどうかに応じて、発現カテゴリーへと分類される。最初期の遺伝子産物としては:EBV遺伝子であるBZLF1およびBRLF1;HSV遺伝子であるRS1/ICP4、ICP0、UL/ICP27、US1/ICP22、US12/ICP47 54;ならびにCMV遺伝子であるpp71、IE1、およびIE2が挙げられる。初期の遺伝子産物としては:EBV遺伝子であるBNLF2;ならびにHSV遺伝子であるUL5、UL8、UL29、UL30、UL42、UL52、およびICP8が挙げられる。後期の遺伝子産物としては、EBV遺伝子であるVCA、ならびにHSV遺伝子であるUL31およびUL34などの構造成分が挙げられる。ヘルペスウイルスはまた、潜伏感染を確立するそれらの能力で知られている。潜伏感染の間、ウイルス複製は、最小限かまたは存在せず、患者は、しばしば徴候的ではない。潜伏ウイルス感染の間、多くの遺伝子転写産物およびウイルスタンパク質は、発現されないか、または低レベルで発現される。潜伏に関連する遺伝子の例は:EBV遺伝子である、EBNA-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNA-LP、LMP-1、LMP-2A、LMP-2B、およびEBER;HSV遺伝子である潜伏関連転写物(LAT);ならびにCMV遺伝子であるUS28およびアンチセンスUL81-82である。ヘルペスウイルスからの遺伝子産物の発現を誘導して、様々なヘルペスウイルス関連癌の免疫療法の有効性を増大させるための方法が、本明細書に提供される。
【0022】
多くのヘルペスウイルスが、癌に関連する。EBVは、上咽頭癌(鼻の後部の領域の癌)、白血病、リンパ腫、バーキットリンパ腫もしくはホジキンリンパ腫などのリンパ腫、および胃癌に関連する。HHV-8は、カポジ肉腫に関連する。CMVは、唾液腺および粘液性類表皮癌の癌に関連する。
【0023】
インビトロの、またEBV関連リンパ腫を有する一連の患者に対する第I/II相の臨床研究からの、患者由来の細胞を使用する従来の試験は、この併用療法の手法の高い将来性を、明確に示してきた。様々なヒトリンパ悪性腫瘍とのエプスタイン-バーウイルス(EBV)の強い疫学的関連、および多くのEBV潜在遺伝子産物の腫瘍形成活性を実証するインビトロの研究によって、EBVと、これらの疾患との間の因果関係が示される。しかしながら、EBVがこれらのリンパ腫における感染の潜伏状態を維持するので、ヌクレオシドアナログのガンシクロビル(GCV)またはアシクロビルなどの、典型的な抗ヘルペスウイルス薬は、これらのプロドラッグが、それらの活性のために、溶解相のEBVタンパク質、チミジンキナーゼ(TK)、またはプロテインキナーゼ(EBV-PK)の発現を必要とするので、効果がない。したがって、抗ウイルス薬への同時曝露により結合された、潜伏EBVを宿す(harbor)、リンパ腫細胞におけるEBV細胞溶解相の遺伝子発現の選択的な誘導が、将来有望な標的療法として進展させられてきたが、これは、EBV感染腫瘍細胞への細胞毒性の標的化が結果としてもたらされたことが理由である。
【0024】
短鎖脂肪酸類および化学療法薬を含む様々な薬剤が、培養細胞におけるEBV細胞溶解相の感染を誘導するために使用されてきたが、インビトロの研究は、概して、結果として臨床的な応用にはつながらなかった。例えば、酪酸アルギニンおよびGCVは、最近の第I/II相臨床試験において、EBV陽性のリンパ性腫瘍を処置するために成功裡に使用された。再発した、または抵抗性のあるEBV陽性のリンパ系腫瘍を有する15人の患者の研究において、4人の患者が完全な腫瘍寛解を達成し、6人の患者が局部的な腫瘍寛解を達成した。しかしながら、酪酸塩の急速な物質代謝は、高用量の持続IV投与(continuous IV administration)を必要とする。酪酸塩は、汎HDAC阻害活性(pan-HDAC inhibitory activity)を有し、この活性がEBV-TKタンパク質の誘導の要因であることが立証されてきた。HDAC阻害剤は、EBV感染腫瘍中のEBV-TKおよびEBV-PKの両方を誘導することが示されてきた。
【0025】
多くの他のウイルスが、溶解感染後に潜伏を確立させる。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびヒトTリンパ向性ウイルス(HTLV)は、ヒトの疾患に関するレトロウイルスの2つの例である。HIVは、その溶解複製のために必要とされるいくつかの遺伝子、gag、pol、env、tat、rev、nef、vpr、vif、およびvpuを発現する。レトロウイルスからの遺伝子産物の発現を誘導して、様々な、レトロウイルスに関連する癌および疾病の免疫療法の有効性を増大させるための方法が、本明細書に提供される。ヒトパピローマウイルス感染症(HPV)は、上皮細胞に感染し、子宮頚癌、性器癌、頭部癌、および頚部癌の主因である。B型肝炎およびC型肝炎は肝臓に感染し、慢性的な感染が肝細胞癌を引き起こす。HPVおよび肝炎ウイルスからの遺伝子産物の発現を誘導して、これらのウイルスに関係する癌の免疫療法の有効性を増大させるための方法が、本明細書に提供される。
【0026】
サイトカイン処置、モノクローナル抗体、およびワクチンなどの免疫療法は、ウイルス感染の結果として現われる癌を処置するための理想的な候補である。キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)は、癌を処置する可能性を備えた新規性のある細胞ベースの治療法を示す。多くの場合において、抗体分子に由来する、トランスジェニック標的受容体を含むCAR T細胞は、MHCのコンテクスト(context)中に示されたペプチドに対する従来の必要性なしに、T細胞が標的細胞を破壊することを可能にする。ウイルス感染細胞の場合には、ヘルペスウイルスおよびレトロウイルスを含む多くのウイルスが、古典的な抗原提示を妨害することにより免疫応答を避けるので、これがとりわけ重要である。
【0027】
方法および組成物
一態様では、癌、ウイルス誘導性癌、またはウイルス関連癌を処置および/または予防するための方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、癌は潜伏ウイルス感染に関連する。ある実施形態では、方法は、HDAC阻害剤および免疫療法剤を投与する工程を含む。ある実施形態では、HDAC阻害剤および免疫療法剤は、同時配合される。いくつかの実施形態では、方法は、追加のHDAC阻害剤を投与する工程をさらに含む。他の実施形態では、方法は、追加の免疫療法剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、追加の個体用量(individual doses)のHDAC阻害剤を投与する工程を含む。ある態様では、方法は、HDAC阻害剤および免疫療法剤を用いる癌の治療の前に、バルガンシクロビルまたはアシクロビルなどの、HDAC阻害剤およびチミジンキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む。この前処置は、免疫療法剤の投与前に、腫瘍を縮小するか、または腫瘍を除去する役目を果たし得る。
【0028】
定義
「約」という用語は、明細書で使用されるように、規定の量の1%、5%、または10%以内の数を指す。
【0029】
障害に関して、「ウイルス」、「ウイルス関連」、「ウイルス誘導性」という用語は、本明細書の全体にわたって、交換可能に使用される。
【0030】
「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」という用語は、これらの用語に基づく広い意味を有し、「包含する(includes)」、「包含すること(including)」、およびその他同様のものを意味し得る。
【0031】
「被験体」、「患者」、または「個体」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に記載された障害に苦しむヒトの個体を指す。
【0032】
「処置する」、「処置すること」、または「処置」という用語、および他の文法的な等価物は、本明細書で使用されるように、症状を緩和すること、抑えること、または減らすこと、ある疾患または疾病の症状の重症度を低下させるまたは抑えること、発生率を下げること、予防的治療をすること、再発を減らすことまたはおさえること、発症を遅らせること、再発を遅らせること、寛解することまたは改善すること、症状の根本的な代謝の原因を改善すること、疾患または疾病を抑えること、例えば、疾患または疾病の進行を阻むこと、疾患または疾病を和らげること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされる状態を和らげること、あるいは、疾患または疾病の症状を止めること、を含む。この用語はさらに、治療効果を達成することも含む。治療の有用性とは、処置される根本的な疾病の根絶あるいは改善、および/または、患者の中で改善が見られるような、根本的な疾病に関連する生理的な症状の1つ以上の根絶または改善を意味する。
【0033】
「防ぐ」、「防ぐこと」、または「予防」という用語、および他の文法的な等価物は、本明細書で使用されるように、さらなる症状を防ぐこと、症状の根本的な代謝の原因を防ぐこと、疾患または症状を抑えること、例えば、疾患または症状の進行を阻むことを含むか、あるいは予防を含むことを意図している。用語はさらに、予防効果を達成することも含む。予防効果のため、組成物は、特定の疾患を進行する危険のある患者、疾患の1以上の生理学的な症状を報告する患者、又は疾患の再発の危険のある患者に、随意に投与される。
【0034】
用語「有効な量」または「治療上有効な量」は、本明細書で使用されるように、所望の効果、例えば、処置されている疾患または症状の1つ以上の症状をある程度まで和らげることを達成する少なくとも1つの薬剤の十分な投与量を指す。特定の例において、結果は、疾患の兆候、症状、又は原因の減少及び/又は軽減、或いは生物系の任意の他の所望の改変である。特定の例において、治療上の使用に「効果的な量」は、疾患を臨床的に著しく減少させるのに必要とされる、本明細書にて説明されるような薬剤を含む組成物の量である。あらゆる個々の場合において適切で「効果的な」量は、用量増加試験などの任意の適切な技術を使用して決定される。
【0035】
用語は「投与する」、「投与すること」、「投与」などは、本明細書で使用されるように、生物学的作用の所望の部位への薬剤あるいは組成物の送達を可能にするために使用される方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。本明細書に記載される薬剤および方法と共にいくつかの例において利用される投与技術としては、例えば、GoodmanおよびGilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics(現行版)、Pergamon;および、Remington’s, Pharmaceutical Sciences(現行版)、Mack Publishing Co., Easton, Paに開示されるようなものが挙げられる。特定の実施形態において、本明細書に記載される薬剤及び組成物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるおよび組成物は、非経口的に投与される。
【0036】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、完全な抗体(intact antibodies)およびその機能的な(抗原結合性)抗体フラグメントを含み、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fvフラグメント、組換えIgG(rIgG)フラグメント、単鎖抗体フラグメントを含み、単鎖可変フラグメント、(sFvまたはscFv)、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)フラグメントを含む、多クローン抗体およびモノクローナル抗体を含む。その用語は、イントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロ共役抗体(heteroconjugate antibodies)などの免疫グロブリン、 多特異性、例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFvの、遺伝子操作された形状、および/またはそうでなければ組み換えされた形状を包含する。特に明記されていない限り、「抗体」という用語は、それらの機能的な抗体フラグメントを包含するように理解されるべきである。その用語はまた、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、ならびにIgDを含む、あらゆるクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷か完全長の抗体を包含する。
【0037】
本明細書に記載された免疫コンジュゲート中に封入するのに有用な提供される抗体の中には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体および多反応性抗体)、および抗体フラグメントである。抗体は、抗体コンジュゲート、およびキメラ分子などの、抗体を含む分子を含む。したがって、限定されないが、抗体としては、完全長の抗体および自然抗体、ならびに、任意の数の、免疫グロブリンクラスおよび/またはイソタイプ(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、IgD、IgE、およびIgM);および限定されないが、Fab、F(ab’)2、Fv、およびscFv(単鎖または関連エンティティ(related entity))を含む、生物学的関連(抗原結合性)フラグメントまたはその特異的結合部分を有する物を含むその任意の特異的結合部分などの、その結合特異性を保持するフラグメントおよびその部分が挙げられる。モノクローナル抗体は、概して、実質的に均質な抗体の組成物内に1つであり;したがって、モノクローナル抗体組成物内に含まれたあらゆる個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある自然発生突然変異を除いて、同一である。ポリクローナル抗体は、2つ以上の異なる決定因子(エピトープ)に対して通常は対象とされる、様々な配列の異なる抗体を含む調製物である。
【0038】
本発明は、以下の詳細な説明および例示的な例を参照してより完全に理解できるが、これらは、本発明の非限定的な実施形態を例示するように意図されている。
【0039】
HDAC阻害剤
提供された発明の方法は、ウイルス感染細胞において遺伝子産物の発現を誘導するために、HDAC阻害剤を含む、本明細書において提供された1つ以上の医薬組成物の使用を含む。発現させられた遺伝子産物は、ウイルス酵素もしくは細胞酵素、またはウイルス感染細胞において大規模に発現させられる活性になり得る。標的となり得る発現産物は、例えば、ゲノムの修復もしくは複製、完全なウイルス粒子の組立て、ウイルス膜もしくは壁の生成、RNA転写もしくはタンパク質翻訳、またはこれらの活性の組み合わせのための、DNA複製に関連する酵素を含む。これらのプロセスに対しする干渉は、酵素,好ましくはプロセスにおいて重要な酵素を誘導し、その後、それに作用することにより行われる。提供された発明の方法および組成物において使用できる誘導剤は、例えば、米国特許第6,197,743号、および米国特許第6,677,302号において記載されており、これらは全体として引用により本明細書に組み込まれる。
【0040】
本明細書において提供される方法または組成物にかかるHDAC阻害剤としては、限定されないが、短鎖脂肪酸(SCFA)誘導体、ヒドロキサム酸類、環状ペプチド類、脂肪族系酸、デプシペプチド類およびベンズアミド類が挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はSCFA誘導体である。SCFA誘導剤の例としては、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、バルプロ酸、フマル酸モノエチルエステル、ジメチル酪酸、トリフルオロブタノール、クロロプロピオン酸、イソプロピオン酸、2-オキシペンタン酸、2,2-もしくは3,3-ジメチル酪酸、2,2-もしくは3,3-ジエチル酪酸、酪酸エチル、2-メチルブタン酸、フマル酸、およびアミド類、ならびにそれらの塩が挙げられる。他の例としては、メトキシ酢酸、メトキシプロピオン酸、N-アセチルグリシン、メルカプト酢酸、1-もしくは2-メチルシクロプロパンカルボン酸、スクアリン酸、2-もしくは3-フェノキシプロピオン酸、メトキシ酪酸、フェノキシ酢酸、2-もしくは3-フェノキシ酪酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、3-フェニル酪酸、エチルフェニル酢酸、4-クロロ-2-フェノキシ-2-プロピオン酸、n-ジメチル酪酸グリシンアミド、o-ベンゾイル乳酸、o-ジメチル酪酸乳酸塩、ケイ皮酸、ジヒドロケイ皮酸(C6 H5 CHCH3 COOH)、α-メチル-ジヒドロケイ皮酸、チオフェノキシ酢酸、ならびにこれらの化学物質のアミン類、アミド類および塩が挙げられる。有用なアミン類およびアミド類としては、イソブチルヒドロキシルアミン、フマル酸モノアミド、フマルアミド、スクシンアミド、またはイソブチルアミドが挙げられ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はヒドロキサム酸であり、例えば、ボリノスタット/スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、ビスヒドロキサム酸(bishyroxamic acid)/CBHA、Droxinostat、Quisinostat/JNJ-26481585、R306465/JNJ-16241199、CHR-3996、ベリノスタット/PXD101、パノビノスタット/LBH-589、トリコスタチンA/TSA、ITF2357、m-カルボキシケイ皮酸、ギビノスタット/ITF2357、プラシノスタット/SB939、レスミノスタット/4SC-201、ダシノスタット/LAQ824、アベキシノスタット/PCI-24781、PCYC-0402、PCYC-0403、A161906、SB-55629、AR42、CUDC-101、スクリプタイド、オキサムフラチン、およびチューバシンである。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、ピリミジンヒドロキサム酸であり、例えば、JNJ-26481585、JNJ-16241199、CHR-3996である。
【0043】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はヒドロキサム酸誘導体である。ある実施形態では、HDAC阻害剤はピリミジンヒドロキサム酸である。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、非ピペリジン含有ピリミジンヒドロキサム酸誘導体(non-piperidine-containing pyrimidine hydroxamic acid derivative)である。ある実施形態では、HDAC阻害剤はアザビシクロヘキサンを含む。他の実施形態では、HDAC阻害剤はフッ素を含む。ある実施形態では、HDAC阻害剤はフルオロキノリン基(fluoroquinoline group)を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は環状ペプチドである。ある実施形態では、環状ペプチドは、HCトキシン、アピシジン(apcidin)、トラポキシンA、トラポキシンB、WF-3161、クラミドシン、またはアズマミドAである。
【0045】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はデプシペプチドである。ある実施形態では、デプシペプチドは、ロミデプシン(FK228)、ロミデプシンアナログおよび誘導体、ラルガゾール、ラルガゾールアナログおよび誘導体、ジヘテロペプチン、FR901375、またはスピルコスタチン類である。
【0046】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はベンズアミドである。ある実施形態では、ベンズアミドは、エンチノスタット(Etinostat)/MS275、RG-2833、CI994、4SC-202、モセチノスタット/MGCD0103、RG2833、CDUC-101、またはキダミドである。
【0047】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、ACY-822、ACY-957、ACY-1071、ACY-1112、またはACY-1215である。
【0048】
いくつかの実施形態では、ウイルス誘導剤(例えばHDAC阻害剤)は、血液脳関門に浸透(penetrate)する。ある実施形態では、血液脳関門に浸透するウイルス誘導剤は、酪酸アルギニン、SAHA、キダミド、4SC-202、またはCHR-3996を含む。
【0049】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、400mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約120mg/日、約125mg/日、約140mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約175mg/日、約180mg/日、約190mg/日、約200mg/日、約225mg/日、約250mg/日、約275mg/日、約300mg/日、約325mg/日、約350mg/日、約375mg/日、約400mg/日、約425mg/日、約450mg/日、約475mg/日、または約500mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35mg/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、100mg/日未満、120mg/日未満、125mg/日未満、140mg/日未満、150mg/日未満、160mg/日未満、175mg/日未満、180mg/日未満、190mg/日未満、200mg/日未満、225mg/日未満、250mg/日未満、275mg/日未満、300mg/日未満、325mg/日未満、350mg/日未満、375mg/日未満、400mg/日未満、425mg/日未満、450mg/日未満、475mg/日未満、または500mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、120mg/日超、125mg/日超、140mg/日超、150mg/日超、160mg/日超、175mg/日超、180mg/日超、190mg/日超、200mg/日超、225mg/日超、250mg/日超、275mg/日超、300mg/日超、325mg/日超、350mg/日超、375mg/日超、400mg/日超、425mg/日超、450mg/日超、475mg/日超、または500mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1mg/日超~500mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、20mg/日超~80mg/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0050】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はACY-957である。ある実施形態では、ACY-957は、200mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-957は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約300mg/日、約350mg/日、約400mg/日、約450mg/日、または約500mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、4SC-202は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、100mg/日未満、150mg/日未満、200mg/日未満、250mg/日未満、300mg/日未満、350mg/日未満、400mg/日未満、450mg/日未満、または500mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-957は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、150mg/日超、200mg/日超、250mg/日超、300mg/日超、350mg/日超、400mg/日超、450mg/日超、または500mg/日超の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-957は、約10mg/日~約1000mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、ACY-957は、約20mg/日~約800mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-957は、約25mg/日~約600mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、ACY-957は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約50mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約100mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約150mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約200mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約250mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約300mgである。いくつかの実施形態では、ACY-957は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。いくつかの実施形態では、ACY-957は、月1回、月2回、月3回、月4回投与される。ある実施形態では、ACY-957は、遅延放出性、緩効性、または徐放性の形態(a delayed,slow,or timed release form)である。
【0051】
いくつかの実施形態では、同時配合されたHDAC阻害剤ACY-957および抗ウイルス剤の単位用量は、400mg未満のHDAC阻害剤ACY-957および1000mg未満の抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、同時配合されたHDAC阻害剤ACY-957および抗ウイルス剤の単位用量は、200mg未満のHDAC阻害剤ACY-957および1000mg未満の抗ウイルス剤を含む。特定の実施形態では、その単位用量は、50mg未満のHDAC阻害剤ACY-957、および500mg未満の抗ウイルス剤を含む。他の実施形態では、その単位用量は、80mg未満のHDAC阻害剤ACY-957、および1500mg未満の抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、その単位用量は、50mg未満のHDAC阻害剤ACY-957、および1000mg未満の抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、その単位用量は、約20mgのHDAC阻害剤ACY-957、および約450mgの抗ウイルス剤を含む。ある実施形態では、その単位用量は、約40mgのHDAC阻害剤ACY-957、および約900mgの抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤は、制御放出性(controlled release)、遅延放出性(delayed release)、または緩効性(slow release)として配合される。
【0052】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はACY-1215である。ある実施形態では、ACY-1215は、200mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約170mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約300mg/日、約350mg/日、約400mg/日、約450mg/日、または約500mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、4SC-202は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、もしくは100mg/日未満、150mg/日未満、200/日未満、250mg/日未満、300mg/日未満、350mg/日未満、400mg/日未満、450mg/日未満、または500mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、150mg/日超、200mg/日超、250mg/日超、300mg/日超、350mg/日超、400mg/日超、450mg/日超、または500mg/日超の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、約10mg/日~約1000mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、ACY-1215は、約20mg/日~約800mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、約25mg/日~約600mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、約50mg/日~約400mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、約100mg/日~約300mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、約100mg/日~約200mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、ACY-1215は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約50mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約100mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約150mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約200mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約250mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約300mgである。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。いくつかの実施形態では、ACY-1215は、月1回、月2回、月3回、月4回投与される。ある実施形態では、ACY-1215は、遅延放出性、緩効性、または徐放性の形態(a delayed, slow, or timed release form)である。
【0053】
いくつかの実施形態では、同時配合されたHDAC阻害剤ACY-1215および抗ウイルス剤の単位用量は、400mg未満のHDAC阻害剤ACY-1215および1000mg未満の抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、同時配合されたHDAC阻害剤ACY-1215および抗ウイルス剤の単位用量は、200mg未満のHDAC阻害剤ACY-1215および1000mg未満の抗ウイルス剤を含む。特定の実施形態では、その単位用量は、50mg未満のHDAC阻害剤ACY-1215、および500mg未満の抗ウイルス剤を含む。他の実施形態では、その単位用量は、80mg未満のHDAC阻害剤ACY-1215、および1500mg未満の抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、その単位用量は、50mg未満のHDAC阻害剤ACY-1215、および1000mg未満の抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、その単位用量は、約20mgのHDAC阻害剤ACY-1215、および約450mgの抗ウイルス剤を含む。ある実施形態では、その単位用量は、約40mgのHDAC阻害剤ACY-1215、および約900mgの抗ウイルス剤を含む。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤は、制御放出性(controlled release)、遅延放出性(delayed release)、または緩効性(slow release)として配合される。
【0054】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、ACY-3996である(VRx-3996とも呼ばれ、化学的に同一である)。ある実施形態では、CHR-3996の化学式は、(2-(6-{[(6-フルオロキノリン-2-イル)メチル]アミノ}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル)-Nヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド)である。CHR-3996は、選択的クラスI HDAC阻害剤であり、米国特許第7,932,246号に開示され、これは、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。ある実施形態では、CHR-3996は、40mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、CHR-3996は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、または約100mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、CHR-3996は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、または100mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、CHR-3996は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、30mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、または100mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、CHR-3996は、30mg/日超~50mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、CHR-3996は、5mg/日超~80mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、CHR-3996は、10mg/日超~80mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、CHR-3996は、20mg/日超~80mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、CHR-3996は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約6mg/日、約7mg/日、約8mg/日、約9mg/日、約10mg/日、約11/日、約12mg/日、約13mg/日、約14mg/日、約15mg/日、約16mg/日、約17mg/日、約18mg/日、約19mg/日、約20mg/日、約22mg/日、約23mg/日、約25mg/日、約27mg/日、約28mg/日、約30mg/日、約32mg/日、約33mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、または約100mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、CHR-3996は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、CHR-3996は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はキダミドである。ある実施形態では、キダミドは、40mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約300mg/日、約350mg/日、または約400mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、キダミドは、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、100mg/日未満、150mg/日未満、200/日未満、250mg/日未満、300mg/日未満、350mg/日未満、または400mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、150mg/日超、200mg/日超、250mg/日超、300mg/日超、350mg/日超、または400mg/日超の用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、約1mg/日~約100mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、キダミドは、約5mg/日~約80mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週2回5mg~週2回80mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週3回5mg~週3回80mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、約10mg/日~約60mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週2回10mg~週2回60mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週3回10mg~週3回60mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、20mg/日~50mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週2回20mg~週2回50mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週3回20mg~週3回50mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、30mg/日~40mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週2回30mg~週2回40mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、週3回30mg~週3回40mgの用量で投与される。ある実施形態では、キダミドは、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。いくつかの実施形態では、キダミドは、月1回、月2回、月3回、月4回投与される。ある実施形態では、キダミドは、遅延放出性、緩効性、または徐放性の形態(a delayed, slow, or timed release form)である。
【0056】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は4SC-202である。ある実施形態では、4SC-202は、200mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、4SC-202は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約300mg/日、約350mg/日、約400mg/日、約450mg/日、または約500mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、4SC-202は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、もしくは100mg/日未満、150mg/日未満、200/日未満、250mg/日未満、300mg/日未満、350mg/日未満、400mg/日未満、450mg/日未満、または500mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、4SC-202は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、150mg/日超、200mg/日超、250mg/日超、300mg/日超、350mg/日超、400mg/日超、450mg/日超、または500mg/日超の用量で投与される。いくつかの実施形態では、4SC-202は、約10mg/日~約1000mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、4SC-202は、約20mg/日~約800mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、4SC-202は、約25mg/日~約600mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、4SC-202は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約50mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約100mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約150mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約200mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約250mgである。いくつかの実施形態では、その用量は、1日2回約300mgである。いくつかの実施形態では、4SC-202は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。いくつかの実施形態では、4SC-202は、月1回、月2回、月3回、月4回投与される。ある実施形態では、4SC-202は、遅延放出性、緩効性、または徐放性の形態(a delayed,slow,or timed release form)である。
【0057】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はITF-2357である。ある実施形態では、ITF-2357は、100mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ITF-2357は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約120mg/日、約125mg/日、約140mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約175mg/日、約180mg/日、約、200mg/日、約225mg/日、約250mg/日、約275mg/日、または約300mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ITF-2357は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、100mg/日未満、120mg/日未満、125/日未満、140mg/日未満、150mg/日未満、160mg/日未満、175mg/日未満、180mg/日未満、200mg/日未満、225mg/日未満、250mg/日未満、275mg/日未満、または300mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ITF-2357は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、120mg/日超、125mg/日超、140mg/日超、150mg/日超、160mg/日超、175mg/日超、180mg/日超、超、200mg/日超、225mg/日超、250mg/日超、275mg/日超、超、または300mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、ITF-2357は、80mg/日超~120mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ITF-2357は、40mg/日超~120mg/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、ITF-2357は、50mg/日超~240mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ITF-2357は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、ITF-2357は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0058】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、JNJ-16241199/R306465である。ある実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、100mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約120mg/日、約125mg/日、約140mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約175mg/日、約180mg/日、約、200mg/日、約225mg/日、約250mg/日、約275mg/日、または約300mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、100mg/日未満、120mg/日未満、125/日未満、140mg/日未満、150mg/日未満、160mg/日未満、175mg/日未満、180mg/日未満、200mg/日未満、225mg/日未満、250mg/日未満、275mg/日未満、または300mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、120mg/日超、125mg/日超、140mg/日超、150mg/日超、160mg/日超、175mg/日超、180mg/日超、200mg/日超、225mg/日超、250mg/日超、275mg/日超、または300mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、80mg/日超~120mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、40mg/日超~120mg/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、50mg/日超~240mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-16241199/R306465は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0059】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はJNJ-26481585である。ある実施形態では、JNJ-26481585は、10mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-26481585は、約0.1mg/日、約0.2mg/日、約0.5mg/日、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20/日、約25mg/日、約30mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、または約100mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、JNJ-26481585は、0.1mg/日未満、0.2mg/日未満、0.5mg/日未満、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35mg/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90/日未満、または100mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-26481585は、0.1mg/日超、0.2mg/日超、0.5mg/日超、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、または100mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、JNJ-26481585は、2mg/日超~20mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-26481585は、5mg/日超~30mg/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、JNJ-26481585は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、JNJ-26481585は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0060】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はMGCD0103である。ある実施形態では、MGCD0103は、45mg/m2/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MGCD0103は、約1mg/m2/日、約2mg/m2/日、約5mg/m2/日、約10mg/m2/日、約15mg日、約20mg/m2/日、約25mg/m2/日、約30mg/m2/日、約35mg/m2/日、約40mg/m2/日、約45mg/m2/日、約50mg/m2/日、約60mg/m2/日、約70mg/m2/日、約80mg/m2/日、約90mg/m2/日、または約100mg/m2/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MGCD0103は、1mg/m2/日未満、2mg/m2/日未満、5mg/m2/日未満、10mg/m2/日未満、15mg/m2/日未満、20mg/m2/日未満、25mg/m2/日未満、30mg/m2/日未満、35mg/m2/日未満、40mg/m2/日未満、45mg/m2/日未満、50mg/m2/日未満、60mg/m2/日未満、70mg/m2/日未満、80mg/m2/日未満、90mg/m2/日未満、または100mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MGCD0103は、1mg/m2/日超、2mg/m2/日超、5mg/m2/日超、10mg/m2/日超、15mg/m2/日超、20mg/m2/日超、25mg/m2/日超、30mg/m2/日超、35mg/m2/日超、40mg/m2/日超、45mg/m2/日超、50mg/m2/日超、60mg/m2/日超、70mg/m2/日超、80mg/m2/日超、90mg/m2/日超、または100mg/m2/日超の用量で投与される。ある実施形態では、MGCD0103は、30mg/m2/日超~80mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MGCD0103は、45mg/m2/日超~60mg/m2/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、MGCD0103は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、MGCD0103は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0061】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はMS-275である。ある実施形態では、MS-275は、4mg/m2/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MS-275は、約0.1mg/m2/日、約0.2mg/m2/日、約0.5mg/m2/日、約1mg/m2/日、約2mg/m2/日、約3mg/m2/日、約4mg/m2/日、約5mg/m2/日、約6mg/m2/日、約7mg/m2/日、約8mg/m2/日、約9mg/m2/日、約10mg/m2/日、約15mg/m2/日、約20mg/m2/日、約25mg/m2/日、約30mg/m2/日、約35mg/m2/日、約40mg/m2/日、約45mg/m2/日、約50mg/m2/日、約60mg/m2/日、約70mg/m2/日、約80mg/m2/日、約90mg/m2/日、mg/m2/日、または約100mg/m2/日の用量で投与される。ある実施形態では、MS-275は、0.1mg/m2/日未満、0.2mg/m2/日未満、0.5mg/m2/日未満、1mg/m2/日未満、2mg/m2/日未満、3mg/m2/日未満、4mg/m2/日未満、5mg/m2/日未満、6mg/m2/日未満、7mg/m2/日未満、8mg/m2/日未満、9mg/m2/日未満、10mg/m2/日未満、15mg/m2/日未満、20mg/m2/日未満、25mg/m2/日未満、30mg/m2/日未満、35mg/m2/日未満、40mg/m2/日未満、45mg/m2/日未満、50mg/m2/日未満、60mg/m2/日未満、70mg/m2/日未満、80mg/m2/日未満、90mg/m2/日未満、または100mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MS-275は、0.1mg/m2/日超、0.2mg/m2/日超、0.5mg/m2/日超、1mg/m2/日超、2mg/m2/日超、3mg/m2/日超、4mg/m2/日超、5mg/m2/日超、6mg/m2/日超、7mg/m2/日超、8mg/m2/日超、9mg/m2/日超、10mg/m2/日超、15mg/m2/日超、20mg/m2/日超、25mg/m2/日超、30mg/m2/日超、35mg/m2/日超、40mg/m2/日超、45mg/m2/日超、50mg/m2/日超、60mg/m2/日超、70mg/m2/日超、80mg/m2/日超、90mg/m2/日超、または100mg/m2/日超の用量で投与される。ある実施形態では、MS-275は、2mg/m2/日超~10mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MS-275は、2mg/m2/日超~40mg/m2/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、MS-275は、2mg/m2/日超~6mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、MS-275は、2mg/m2/日超~8mg/m6/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、MS-275は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、MS-275は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0062】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はSB939である。ある実施形態では、SB939は、60mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、SB939は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約120mg/日、約125mg/日、約140mg/日、約150mg/日、約160mg/日、約175mg/日、約180mg/日、または約200mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、SB939は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35mg/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、100mg/日未満、120mg/日未満、125mg/日未満、140mg/日未満、150mg/日未満、160mg/日未満、175mg/日未満、180mg/日未満、または200mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、SB939は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、120mg/日超、125mg/日超、140mg/日超、150mg/日超、160mg/日超、175mg/日超、180mg/日超、または200mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、SB939は、30mg/日超~70mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、SB939は、10mg/日超~90mg/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、SB939は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態ではSB939は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0063】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はロミデプシンである。ある実施形態では、ロミデプシンは、14mg/m2/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ロミデプシンは、約0.1mg/m2/日、約0.2mg/m2/日、約0.5mg/m2/日、約1mg/m2/日、約2mg/m2/日、約3mg/m2/日、約4mg/m2/日、約5mg/m2/日、約6mg/m2/日、約7mg/m2/日、約8mg/m2/日、約9mg/m2/日、約10mg/m2/日、約11mg/m2/日、約12mg/m2/日、約13mg/m2/日、約14mg/m2/日、約15mg/m2/日、約16mg/m2/日、約17mg/m2/日、約18mg/m2/日、約19mg/m2/日、約20mg/m2/日、約25mg/m2/日、約30mg/m2/日、約35mg/m2/日、約40mg/m2/日、約45mg/m2/日、約50mg/m2/日、約60mg/m2/日、約70mg/m2/日、約80mg/m2/日、約90mg/m2/日、または約100mg/m2/日の用量で投与される。ある実施形態では、ロミデプシンは、0.1mg/m2/日未満、0.2mg/m2/日未満、0.5mg/m2/日未満、1mg/m2/日未満、2mg/m2/日未満、3mg/m2/日未満、4mg/m2/日未満、5mg/m2/日未満、6mg/m2/日未満、7mg/m2/日未満、8mg/m2/日未満、9mg/m2/日未満、10mg/m2/日未満、11mg/m2/日未満、12mg/m2/日未満、13mg/m2/日未満、14mg/m2/日未満、15mg/m2/日未満、16mg/m2/日未満、17mg/m2/日未満、18mg/m2/日未満、19mg/m2/日未満、20mg/m2/日未満、25mg/m2/日未満、30mg/m2/日未満、35mg/m2/日未満、40mg/m2/日未満、45mg/m2/日未満、50mg/m2/日未満、60mg/m2/日未満、70mg/m2/日未満、80mg/m2/日未満、90mg/m2/日未満、または100mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ロミデプシンは、0.1mg/m2/日超、0.2mg/m2/日超、0.5mg/m2/日超、1mg/m2/日超、2mg/m2/日超、3mg/m2/日超、4mg/m2/日超、5mg/m2/日超、6mg/m2/日超、7mg/m2/日超、8mg/m2/日超、9mg/m2/日超、10mg/m2/日超、11mg/m2/日超、12mg/m2/日超、13mg/m2/日超、14mg/m2/日超、15mg/m2/日超、16mg/m2/日超、17mg/m2/日超、18mg/m2/日超、19mg/m2/日超、20mg/m2/日超、25mg/m2/日超、30mg/m2/日超、35mg/m2/日超、40mg/m2/日超、45mg/m2/日超、50mg/m2/日超、60mg/m2/日超、70mg/m2/日超、80mg/m2/日超、90mg/m2/日超、または100mg/m2/日超の用量で投与される。ある実施形態では、ロミデプシンは、13mg/m2/日超~18mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ロミデプシンは、10mg/m2/日超~20mg/m2/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、ロミデプシンは、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、ロミデプシンは、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0064】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はLBH589である。ある実施形態では、LBH589は、20mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、LBH589は、約1mg/日、約2mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約25mg/日、約30mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、または約100mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、LBH589は、1mg/日未満、2mg/日未満、5mg/日未満、10mg/日未満、15mg/日未満、20mg/日未満、25mg/日未満、30mg/日未満、35mg/日未満、40mg/日未満、45mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、または100mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、LBH589は、1mg/日超、2mg/日超、5mg/日超、10mg/日超、15mg/日超、20mg/日超、25mg/日超、30mg/日超、35mg/日超、40mg/日超、45mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、または100mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、LBH589は、10mg/日超~20mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、LBH589は、5mg/日超~30mg/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、LBH589は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、LBH589は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0065】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はPXD101である。ある実施形態では、PXD101は、1000mg/m2/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、PXD101は、約10mg/m2/日、約15mg/m2/日、約20mg/m2/日、約50mg/m2/日、約75mg/m2/日、約100mg/m2/日、約150mg/m2/日、約200mg/m2/日、約300mg/m2/日、約400mg/m2/日、約500mg/m2/日、約600mg/m2/日、約700mg/m2/日、約800mg/m2/日、約900mg/m2/日、約1000mg/m2/日、約1100mg/m2/日、約1200mg/m2/日、約1300mg/m2/日、約1400mg/m2/日、約1500mg/m2/日、約1750mg/m2/日、または約2000mg/m2/日の用量で投与される。ある実施形態では、PXD101は、10mg/m2/日未満、15mg/m2/日未満、20mg/m2/日未満、50mg/m2/日未満、75mg/m2/日未満、100mg/m2/日未満、150mg/m2/日未満、200mg/m2/日未満、300mg/m2/日未満、400mg/m2/日未満、500mg/m2/日未満、600mg/m2/日未満、700mg/m2/日未満、800mg/m2/日未満、900mg/m2/日未満、1000mg/m2/日未満、1100mg/m2/日未満、1200mg/m2/日未満、1300mg/m2/日未満、1400mg/m2/日未満、1500mg/m2/日未満、1750mg/m2/日未満、または2000mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、PXD101は、10mg/m2/日超、15mg/m2/日超、20mg/m2/日超、50mg/m2/日超、75mg/m2/日超、100mg/m2/日超、150mg/m2/日超、200mg/m2/日超、300mg/m2/日超、400mg/m2/日超、500mg/m2/日超、600mg/m2/日超、700mg/m2/日超、800mg/m2/日超、900mg/m2/日超、1000mg/m2/日超、1100mg/m2/日超、1200mg/m2/日超、1300mg/m2/日超、1400mg/m2/日超、1500mg/m2/日超、1750mg/m2/日超、または2000mg/m2/日超の用量で投与される。ある実施形態では、PXD101は、600mg/m2/日超~1000mg/m2/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、PXD101は、15mg/m2/日超~1000mg/m2/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、PXD101は、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、PXD101は、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0066】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤はボリノスタットである。ある実施形態では、ボリノスタットは、400mg/日の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ボリノスタットは、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約125mg/日、約150mg/日、約175mg/日、約200mg/日、約225mg/日、約250mg/日、約275mg/日、約300mg/日、約325mg/日、約350mg/日、約375mg/日、約400mg/日、約450mg/日、約500mg/日、約、550mg/日、約600mg/日、約650mg/日、約700mg/日、約750mg/日、約800mg/日、約900mg/日、または約1000mg/日の用量で投与される。ある実施形態では、ボリノスタットは、10mg/日未満、20mg/日未満、30mg/日未満、40mg/日未満、50mg/日未満、60mg/日未満、70mg/日未満、80mg/日未満、90mg/日未満、100mg/日未満125mg/日未満、150mg/日未満、175mg/日未満、200mg/日未満、225mg/日未満、250mg/日未満、275mg/日未満、300mg/日未満、325mg/日未満、350mg/日未満、375mg/日未満、400mg/日未満、450mg/日未満、500mg/日未満、550mg/日未満、600mg/日未満、650mg/日未満、700mg/日未満、750mg/日未満、800mg/日未満、900mg/日未満、または1000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ボリノスタットは、10mg/日超、20mg/日超、30mg/日超、40mg/日超、50mg/日超、60mg/日超、70mg/日超、80mg/日超、90mg/日超、100mg/日超、125mg/日超、150mg/日超、175mg/日超、200mg/日超、225mg/日超、250mg/日超、275mg/日超、300mg/日超、325mg/日超、350mg/日超、375mg/日超、400mg/日超、450mg/日超、500mg/日超、550mg/日超、600mg/日超、650mg/日超、700mg/日超、750mg/日超、800mg/日超、900mg/日超、または1000mg/日超の用量で投与される。ある実施形態では、ボリノスタットは、100mg/日超~400mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ボリノスタットは、100mg/日超~500mg/日未満の用量で投与される。ある実施形態では、ボリノスタットは、1日1回(q.d.)1日2回(b.i.d.)、または1日3回(t.i.d.)投与される。いくつかの実施形態では、ボリノスタットは、毎日、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回投与される。
【0067】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、ウイルス陽性細胞の成長を阻害する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、EBV陽性細胞の成長を阻害する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、EBV陽性リンパ腫細胞の成長を阻害する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、約100μM、約90μM、約80μM、約75μM、約70μM、約60μM、約50μM、約40μM、約30μM、約25μM、約20μM、約10μM、約5μM、約2μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約75nM、約50nM、約20nM、または約10nMの濃度で、成長阻害活性を有する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、100μM未満、90μM未満、80μM未満、75μM未満、70μM未満、60μM未満、50μM未満、40μM未満、30μM未満、25μM未満、20μM未満、10μM未満、5μM未満、2μM未満、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、20nM未満、10nM未満の濃度で、成長阻害活性を有する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、100μM超、90μM超、80μM超、75μM超、70μM超、60μM超、50μM超、40μM超、30μM超、25μM超、20μM超、10μM超、5μM超、2μM超、1μM超、900nM超、800nM超、700nM超、600nM超、500nM超、400nM超、300nM超、200nM超、100nM超、75nM超、50nM超、20nM超、10nM超の濃度で、成長阻害活性を有する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、50nM超~100nM未満で、成長阻害活性を有する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、200nM超~500nM未満で、成長阻害活性を有する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、100nM超~200nM未満で、成長阻害活性を有する。
【0068】
HDAC阻害剤および誘導剤(発現を誘導する薬剤)は、ウイルスゲノムに直接作用するか、ウイルスの発現のために必要な細胞因子を介して間接的に作用することもある。例えば、ウイルス遺伝子の発現は、ZTA、RTA、tat、およびtaxなどのウイルスの転写因子、AP-1、AP-2、Sp1、NF-κBなどの細胞の転写因子、かつ他の転写活性化因子の発現、ならびに/または抑制因子(repressors)(因子(factors))、活性化補助因子および抑制補体、ヒストン酢化機および脱アセチル化物、DNAメチラーゼおよびデメチラーゼ、癌遺伝子もしくは癌原遺伝子、あるいはプロテインキナーゼCの発現を調節することにより、調節できる。これらのタンパク質は、特定のウイルスおよび/または他の細胞の遺伝要素の発現を調節するように作用し、それによって、それらを制御する。本発明の方法に従って、それらの発現を制御することで、感染を制御できる。発現が誘導剤により調節できる、ウイルスおよび細胞の両方が起源である、他の遺伝子産物としては、プロテアーゼ、ポリメラーゼ、逆転写酵素、細胞表面受容体、主要組織適合抗原、成長因子、およびこれらの産物の組み合わせが挙げられる。
【0069】
特定の転写因子の発現を改質が、遺伝子発現の調節および細胞周期の調節に影響し得る。乳癌細胞株MCF-7において、酪酸塩は、エストロゲンの発現、およびプロラクチンホルモン受容体のmRNAの発現の減少に関連する、細胞増殖における遮断を誘導し、それにより、エストロゲンおよびプロラクチンによって潜在的な成長刺激を遮断する。これらの効果は、EGF受容体の発現の増加に関連する。酪酸塩はまた、c-mycおよびp53 mRNAのダウンレギュレーションを誘導し、c-fos転写因子の発現をアップレギュレートすることが、示されてきた。マウス線維芽細胞において、酪酸塩は、G1期における細胞周期を遮断するだろう。これらの細胞が刺激されて、血清、TPA、またがインスリンにより増殖するときには、最初期の応答転写因子であるc-mycおよびc-junは、調節されない。しかしながら、後期のG1期下流遺伝子マーカーであるcdc-2 mRNAは発現されず、細胞がS期へと入ることが防止される。
【0070】
一態様では、腫瘍は、随意に、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤の組み合わせをもちいて、他のあらゆる処置の前に処置できる。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤は、アシクロビル、ガンシクロビル、またはバルガンシクロビルである。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルである。ある実施形態では、抗ウイルス剤は、少なくとも約100mg/日、200mg/日、300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1200mg/日、1400mg/日、1600mg/日、1800mg/日、または2000mg/日の用量で送達される。ある実施形態では、抗ウイルス剤は、約100mg/日~約2000mg/日、約200mg/日~約1500mg/日、約300mg/日~約1200mg/日、約500mg/日~約1000mg/日、約600mg/日~約1000mg/日、または約800mg/日~約1000mg/日の用量で送達される。ある実施形態では、その用量は、約800、825、850、875、900、925、950、975、または1000mg/日である。その用量は、その1日用量を達成するために、1日1回、2回、または3回を含む任意の都合のよい方法で分けることができる。ある実施形態では、個体は、HDAC阻害剤および免疫療法剤を用いる処置の前に、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤を用いる、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間または12週間の処置を受けることができる。ある実施形態では、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤を用いる処置は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、または12週間のHDAC阻害剤および免疫療法剤を用いる処置の後に、施すことができる。
【0071】
特定の障害に対して非常に有効な免疫療法剤とのHDAC阻害剤の特定の組み合わせは、実証的検定から、好ましくは各薬剤の作用のメカニズムの情報から、当業者により決定することができる。例えば、HIVおよび他のレトロウイルスなどのRNAウイルスの多くは、DNAへとそれらのゲノムを転写するのに逆転写酵素を必要とする。例えば、逆転写酵素などの、レトロウイルスおよびそれらのコードされた遺伝子の発現または活性を誘導する少数の薬剤は、当業者に既知である。逆転写酵素に特異的で、エクスビボで刺激され増殖された自己由来の細胞溶解性T細胞は、患者へと養子移入できる。他の例では、EBVのLMP-1タンパク質を活用し、これは、EBVに感染したB細胞の表面上に発現する。LMP-1を標的とするキメラ抗原受容体を有するT細胞の集団は、LMP-1の発現を増加させるHDAC阻害剤と共に投与できる。このことが、細胞上の抗原の量の発現を増大させることによる、キメラ抗原受容体T細胞の有効性の増大を導く。HDAC阻害剤はまた、細胞内のウイルスタンパク質、例えば、EBVチミジンキナーゼの発現を増大させる。HDAC阻害剤は、ワクチン接種(vaccination)、自己由来の細胞傷害性T細胞、またはキメラ抗原受容体T細胞と結合でき、MHCのコンテクスト中の細胞内抗原に由来する抗原に対する特異性を有し、かつこれらの治療法の全面的な有効性を向上させる。HDAC阻害剤はまた、T細胞上で発現する、PD-1(CD279)もしくはCTLA-4;または抗原提示細胞上で発現する、B7.1(CD80)、B7.2(CD86)、もしくはPD-L1/PD-L2などの、免疫システムの負の調節因子またはチェックポイント調節因子の発現を減少させることで、免疫療法剤の有効性を高めることができる。これによって、免疫応答の、より強い免疫プライミングまたはブーストを可能とすることにより、ワクチンの有効性を向上させることできる。同様に、それらは、自己細胞か異種細胞を使用する養子T細胞療法の有効性を向上させることができるが、このことは、これらの受容体を通って伝播される負のフィードバックを減少させることによる。HDAC阻害剤はまた、補体または抗体依存性セルラー細胞毒性による、腫瘍細胞の破壊の増加を導く抗体により標的となることもある、それらの表面上で発現した抗原の存在量を増加させることによって、腫瘍細胞に直接作用できる。
【0072】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、処置の24時間の後に4倍超のウイルス遺伝子の発現を誘導する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、処置の24時間の後に4倍超のTKまたはEBV-PKの発現を誘導する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、約48時間、約36時間、約24時間、約18時間、約12時間、約8時間、約6時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、または約30分後に、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、48時間未満、36時間未満、24時間未満、18時間未満、12時間未満、8時間未満、6時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、または30分未満以内に、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、48時間を超えて、36時間を超えて、24時間を超えて、18時間を超えて、12時間を超えて、8時間を超えて、6時間を超えて、4時間を超えて、3時間を超えて、2時間を超えて、1時間を超えて、または30分を超えて、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、30分超~24時間未満の後に、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。
【0073】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、500nM未満の濃度で遺伝子発現を誘導できる。いくつかの実施形態では、誘導剤はHDAC阻害剤である。ある実施形態では、誘導剤は、TKまたはEBV-PKの発現を誘導できる。ある実施形態では、誘導剤は、約100μM、約90μM、約80μM、約75μM、約70μM、約60μM、約50μM、約40μM、約30μM、約25μM、約20μM、約10μM、約5μM、約2μM、1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約75nM、約50nM、約20nM、または約10nMの濃度で遺伝子発現を誘導できる。いくつかの実施形態では、誘導剤は、100μM未満、90μM未満、80μM未満、75μM未満、70μM未満、60μM未満、50μM未満、40μM未満、30μM未満、25μM未満、20μM未満、10μM未満、5μM未満、2μM未満、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、75nM未満、50nM未満、20nM未満、10nM未満の濃度で遺伝子発現を誘導できる。ある実施形態では、誘導剤は、100μM超、90μM超、80μM超、75μM超、70μM超、60μM超、50μM超、40μM超、30μM超、25μM超、20μM超、10μM超、5μM超、μM超、2μM超、1μM超、900nM超、800nM超、700nM超、600nM超、500nM超、400nM超、300nM超、200nM超、100nM超、75nM超、50nM超、20nM超、10nM超の濃度で遺伝子発現を誘導できる。いくつかの実施形態では、誘導剤は、50nM超~100nM未満の濃度で遺伝子発現を誘導できる。ある実施形態では、誘導剤は、200nM超~500nM未満の濃度で遺伝子発現を誘導できる。いくつかの実施形態では、誘導剤は、100nM超~200nM未満の遺伝子発現を誘導できる。
【0074】
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、1分超~6時間未満の後に、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約12倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、または約50倍、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、2倍未満、3倍未満、4倍未満、5倍未満、6倍未満、7倍未満、8倍未満、9倍未満、10倍未満、12倍未満、15倍未満、20倍未満、25倍未満、30倍未満、35倍未満、40倍未満、45倍未満、または50倍未満、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、2倍超、3倍超、4倍超、5倍超、6倍超、7倍超、8倍超、9倍超、10倍超、12倍超、15倍超、20倍超、25倍超、30倍超、35倍超、40倍超、45倍超、または50倍超、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、2倍超~50倍未満、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、5倍超~40倍未満、ウイルス遺伝子の発現を誘導する。
【0075】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、HSVの、UL1、UL2、UL3、UL4、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL15、UL16、UL17、UL18、UL19、UL20、UL21、UL22、UL23、UL24、UL25、UL26、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL41、UL42、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL48、UL49、UL50、UL51、UL52、UL53、UL54、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、US12、RS1、ICP0、LRP1、LRP2、RL1、またはLAT遺伝子の発現を誘導できる。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、EBVの、BDLF1、BFRF3、BORF1、BBRF1、BdRF1、BLLF1、BXLF2、BALF4、BALF4、BALF4、BZLF2、BBRF3、BILF2、BLRF1、BDLF3、BKRF2、BMRF2、BPLF1、BGLF2、BOLF1、BVRF1、BBLF1、BGLF1、BSRF1、BGLF4、BNRF1、BLRF2、BRRF2、BDLF2、BKRF4、BORF2、BALF2、BXLF1、BMRF1、EBNA-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNA-LP、LMP-1、LMP-2A、LMP-2B、BNLF2、BZLF1、またはBRLF1遺伝子の発現を誘導できる。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、CMVの、US1、US10、US11、US12、US2、US3、US6、US7、US8、US9、IRS1、RL1、RL10、RL11、RL12、RL13、RL2、RL4、RL6、RL9、TRS1、UL10、UL100、UL102、UL103、UL104、UL105、UL108、UL109、UL11、UL110、UL111a、UL112、UL113、UL114、UL115、UL116、UL117、UL119、UL12、UL121、UL122、UL123、UL124、UL127、UL129、UL13、UL130、UL132、UL14、UL146、UL147、UL15、UL16、UL17、UL18、UL19、UL2、UL20、UL20a、UL21、UL23、UL24、UL25、UL26、UL27、UL28、UL29、UL3、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37.1、UL37.3、UL38、UL39、UL4、UL42、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL48、UL48.5、UL49、UL5、UL50、UL51、UL52、UL53、UL54、UL55、UL56、UL57、UL59、UL6、UL60、UL62、UL64、UL65、UL67、UL69、UL7、UL70、UL71、UL72、UL73、UL74、UL75、UL76、UL77、UL78、UL79、UL8、UL80、UL82、UL83、UL84、UL85、UL86、UL87、UL88、UL89.1、UL89.2、UL9、UL90、UL91、UL92、UL93、UL94、UL95、UL96、UL97、UL98、UL99、US13、US14、US15、US16、US17、US19、US20、US21、US22、US23、US24、US25、US26、US27、US28、US29、US30、US31、US32、US33、またはUS34遺伝子の発現を誘導できる。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、HIVのgag、pol、env、tat、rev、nef、vpr、vif、またはvpu遺伝子の発現を誘導できる。
【0076】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、細胞の表面上の免疫同時刺激分子またはチェックポイント調節因子の発現を改変する。正の調節因子である副刺激分子の発現を改変することにより、HDACは、ワクチンなどの、同時刺激またはプライミングに依存する免疫療法剤の有効性を高めることにより、治療法を拡張するだろう。HDAC阻害剤はまた、チェックポイント阻害剤として知られる負の阻害剤の転写/細胞表面発現に影響を与える可能性がある。腫瘍細胞(例えばPDL-1またはPDL-2)上に発現したチェックポイント阻害剤は、免疫応答を抑制するために、免疫エフェクター細胞(例えばT細胞のPD-1)上のそれらのリガンドに関与する。腫瘍または慢性感染細胞上で発現した場合、この関与は、これらの細胞が、免疫監視を逃れ、養子移入された免疫細胞または腫瘍関連抗原に対して特異的な抗体を用いる処置などの免疫療法の効果を弱める。
【0077】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、負の免疫調節因子またはチェックポイント阻害剤の発現を増加させ、分子および抗体と結合するチェックポイント阻害剤の有効性の増大をさせる。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA-4である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L2である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はTIM-3である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はVISTAである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はKIRである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はIDOである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はA2ARである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はB7-H3である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はB7-H4である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はBTLAである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はCD155である。HDAC阻害剤は、ビヒクル単体で処置された同じ細胞と比較して、少なくとも25%、50%、75%、100、200%、300%、またはそれ以上、癌性細胞または潜伏感染細胞により、チェックポイント阻害剤の発現を増大させることができる。
【0078】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、負の免疫調節因子またはチェックポイント阻害剤の発現を減少させる。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はCTLA-4である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L2である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はTIM-3である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はVISTAである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はKIRである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はIDOである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はA2ARである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はB7-H3である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はB7-H4である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はBTLAである。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤はCD155である。HDAC阻害剤は、ビヒクル単体で処置された同じ細胞と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50、60%、70%、またはそれ以上、癌性細胞または潜伏感染細胞により、チェックポイント阻害剤の発現を減少させることができる。
【0079】
ある実施形態では、HDAC阻害剤は、正の免疫調節因子(例えば副刺激分子)の発現を増大させる。ある実施形態では、正の調節因子はCD28である。ある実施形態では、正の調節因子はCD40である。ある実施形態では、正の調節因子はCD40Lである。ある実施形態では、正の調節因子はOX40である。ある実施形態では、正の調節因子は40Lである。ある実施形態では、正の調節因子はICOSである。ある実施形態では、正の調節因子はICOS-Lである。ある実施形態では、正の調節因子はB7.1である。ある実施形態では、正の調節因子はB7.2である。HDAC阻害剤は、ビヒクル単体で処置された同じ細胞と比較して、少なくとも25%、50%、75%、100、200%、300%、またはそれ以上、癌性細胞または潜伏感染細胞により、正の免疫調節因子の発現を増大させることができる。
【0080】
免疫応答は、CD4+制御性T細胞(CD4+ T regulatory cells)により負に調節される。CD4+Tregsの減少は、免疫療法に対する治療反応を増大させるための重要な戦略である。FoxP3は、制御性T細胞表現型の転写制御因子である。ある実施形態では、本明細書に記載されたHDAC阻害剤は、FoxP3+、CD4+制御性T細胞の集団を減少させる。ある実施形態では、本明細書に記載されたHDAC阻害剤は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50、60%、70%、またはそれ以上、FoxP3+、CD4+制御性T細胞の集団を減少させる。これらのT細胞の集団は、HDAC阻害剤の投薬後であるが、免疫療法前に、個体において減少させられ得る。ある実施形態では、本明細書に記載されたHDAC阻害剤は、プラセボ処置された個体と比較して、HDAC阻害剤で処置された個体において、10%、20%、30%、40%、50、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上、FoxP3+、CD4+制御性T細胞の集団を減少させる。ある実施形態では、本明細書に記載されたHDAC阻害剤は、ビヒクル対照で処置されたまたは治療せずに放置されたPBMCと比較して、エクスビボで培養された末梢血単核球において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50、60%、70%、またはそれ以上、FoxP3+、CD4+制御性T細胞の集団を減少させる。
【0081】
免疫療法剤
本開示の免疫療法剤は、NK細胞を含む。細胞株および初代NK細胞の両方である。ある一実施形態では、そのNK細胞は、キメラ抗原受容体を発現するように改変されたものである。ある一実施形態では、NK細胞は、高親和性FC受容体、例えば、ヒトFcγRIIIaに158Vの突然変異を有する高親和性Fc受容体を保有するHaNK細胞を発現するように改変されたものである。ヒト中の初代ナチュラルキラー細胞は、細胞表面マーカーCD56を発現し、ある実施形態では、改変されたナチュラルキラー細胞は、非限定的な例として、フローサイトメトリーによって判定されるようなCD56陽性細胞から産生できる。ある実施形態では、ナチュラルキラー細胞は、自己由来の源(源細胞およびレシピエントの同じ遺伝的背景)、または異種起源の源(源細胞およびレシピエントの異なる遺伝的背景)由来であり得る。ある実施形態では、NK細胞は、細胞選別または磁気ビーズなどの方法を使用して処置される予定の、ドナーまたは個体の末梢血から単離される。ドナーから単離されたNK細胞は、7日超にわたって、インターロイキン2およびインターロイキン15中で培養することによって、エクスビボで増殖させることができる。NK細胞はまた、当技術分野における既知の方法を使用して、インビトロの培養物中の幹細胞または始原細胞から分化できる。ある実施形態では、NK細胞は、骨髄由来の幹細胞から分化される。ある実施形態では、NK細胞は、成人の多能性細胞から分化される。ある実施形態では、NK細胞は、胚性幹細胞から分化される。
【0082】
キメラ抗原受容体(CAR)は、免疫エフェクター細胞に、ある抗原特異性を導入するように意図される、組換え抗原受容体である。CARは、免疫エフェクター細胞へと導入された外因性のポリヌクレオチドから発現された、画定されたポリペプチド配列を含み、これは、一時的なものであるか、またはゲノムへと統合されている。一般的なCARに関する概要は、
図1Aに例示される。キメラ抗原受容体は、切断可能なリーダー配列101と、標的ドメイン102と、膜貫通ドメイン103と、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(104および105)と、を含む。ある実施形態では、標的ドメインは、抗体分子に由来し、CAR上の抗原特異性を与える、抗体分子からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。ある実施形態では、本開示の組替えNK細胞において使用されるCARの標的ドメインは、
図1Bに示されるような単鎖可変フラグメント(scFv)である。scFvは、柔軟なリンカーポリペプチド107により離間された、免疫グロブリン軽鎖106の可変鎖部分、および免疫グロブリン重鎖分子108を含む。重鎖および軽鎖の順序は、限定されず、逆転できる。柔軟なポリペプチドリンカーは、重鎖および軽鎖が、互いに関連付けられ、免疫グロブリン抗原結合性ドメインを再構成することを可能とする。ある実施形態では、軽鎖可変領域は3つのCDRを含み、重鎖可変領域は3つのCDRを含む。ある実施形態では、標的ドメインにおいて使用されるCDRは、任意の種類(例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ)の抗体分子に由来し、そのCDR間のフレームワーク領域は、ヒト化されるか、またはヒトフレームワーク領域に少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一である配列を含む。
【0083】
本明細書に記載されたNK細胞は、腫瘍抗原に対して特異的なキメラ抗原受容体を発現できる。ある実施形態では、腫瘍抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮増殖因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。
【0084】
ある実施形態では、本明細書に記載された免疫療法は、第2の免疫療法剤の投与を含むことができる。ある実施形態では、第2の免疫療法剤は、チェックポイント阻害剤と結合して拮抗する抗体の投与を含むことができる。チェックポイント分子は、免疫応答を増大させるか減少させるように、免疫システムにおいて機能する分子である。本明細書に記載された免疫療法の方法に関しては、癌に対する免疫応答を増大させることが最も有用である。免疫応答を増大させるチェックポイント分子としては、例えば、CD27、CD28、ICOS CD40、OX40、GITR、CD122、およびCD137が挙げられる。免疫応答を減少させるチェックポイント分子(例えばチェックポイント阻害剤)としては、例えば、CTLA4、PD-1、PDL-1、PDL-2、TIM-3、VISTA、KIR、IDO、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、TIGIT、およびCD155が挙げられる。本明細書に記載された方法は、チェックポイント阻害剤の活性に拮抗する分子(例えば抗体、ポリペプチド、または小分子)と併せた、HDAC阻害剤の投与を含む。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、PD-1と結合する、抗体またはポリペプチドである。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、CHR-3996(VRx-3996)を含む。ある一実施形態では、方法は、CHR-3996(VRx-3996)および抗PD-1抗体の投与を含む。ある一実施形態では、方法は、CHR-3996(VRx-3996)および抗PD-L1抗体の投与を含む。ある一実施形態では、方法は、CHR-3996(VRx-3996)および抗PD-L2抗体の投与を含む。ある実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、またはそれらの任意の組み合わせである。ある実施形態では、抗PD-1結合ポリペプチドは、AMP-514、AUNP-12、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0085】
ある実施形態では、免疫療法剤は、個体の免疫システムの活性化をもたらす。ある実施形態では、免疫療法剤は、生物学的薬物である。ある実施形態では、免疫療法剤は、サイトカインである。ある実施形態では、免疫療法剤は、ケモカインである。ある実施形態では、免疫療法剤は、抗体である。ある実施形態では、免疫療法剤は、モノクローナル抗体である。ある実施形態では、免疫療法剤は、ヒト化モノクローナル抗体である。ある実施形態では、免疫療法剤は、抗体薬物コンジュゲートである。ある実施形態では、免疫療法剤は、二重特異性抗体である。ある実施形態では、免疫療法剤は、ワクチンである。ある実施形態では、免疫療法剤は、抗原提示細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、樹状細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、B細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、マクロファージである。ある実施形態では、免疫療法剤は、T細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、CD8+T細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、CD4+T細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、自己T細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、異種T細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、遺伝子組換えされた抗原受容体を有するT細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、キメラ抗原受容体である。ある実施形態では、免疫療法剤は、キメラ抗原受容体を有するT細胞である。ある実施形態では、免疫療法剤は、ウイルスにコードされたポリペプチドに特異的である。ある実施形態では、免疫療法剤は、EBVにコードされたポリペプチドに特異的である。ある実施形態では、免疫療法剤は、LMP-1に特異的である。ある実施形態では、免疫療法剤は、LMP-2に特異的である。ある実施形態では、免疫療法剤は、カルメット-ゲラン杆菌である。
【0086】
ある実施形態では、免疫療法剤は、チェックポイント阻害剤アンタゴニストである。このアンタゴニストは、抗体、結合分子(例えばDNA断片またはアプタマー)、または小分子の阻害剤になりえる。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤アンタゴニストは、PD-1抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤アンタゴニストは、CTLA-4抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤アンタゴニストは、PD-L1抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤アンタゴニストは、PD-L2抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤アンタゴニストは、TIM-3抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、VISTA抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、KIR抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、IDO抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、A2AR抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、B7-H3抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、aB7-H4抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、BTLA抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIGIT抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD155抗体である。ある実施形態では、チェックポイント阻害剤アンタゴニストは、HIPPOシグナル伝達経路の阻害剤である。
【0087】
ある実施形態では、免疫療法剤は、サイトカインである。ある実施形態では、サイトカインは、インターフェロンである。ある実施形態では、サイトカインは、インターフェロンαである。ある実施形態では、サイトカインは、インターフェロンβである。ある実施形態では、サイトカインは、インターフェロンγである。ある実施形態では、サイトカインは、インターロイキンである。ある実施形態では、サイトカインは、インターロイキン1である。ある実施形態では、サイトカインは、インターロイキン2である。ある実施形態では、サイトカインは、造血成長因子である。
【0088】
ある実施形態では、免疫療法剤は、モノクローナル抗体である。ある実施形態では、モノクローナル抗体は、高親和性Fc受容体を有する複合体中で結合される。ある実施形態では、モノクローナル抗体は、ランブロリズマブ、デュピルマブ、タバルマブ、ガリキシマブ、プリツムマブ(pritumumab)、トラスツズマブ、アマツキシマブ、コルツキシマブラブタンシン(coltuximab ravtansine)、エンシツキシマブ、インダツキシマブラブタンシン(indatuximab ravtansine)、イサツキシマブ、ミルベツキシマブソラブタンシン、シルツキシマブ(Siltuxima)、ウブリツキシマブ(ublituximab)、ザツキシマブ(zatuximab)、オンツキシズマブ(ontuxizumab)、パソツキシズマブ(pasotuxizumab)、アネツマブラブタンシン(anetumab ravtansine)、アスクリンバクマブ(ascrinvacumab)、コナツムマブ、ダラツムマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ(dusigitumab)、エルゲムツマブ(elgemtumab)、ガニツマブ、イマルマブ(imalumab)、インデュサツマブベドチン(indusatumab vedotin)、レクサツムマブ、マパツムマブ、ナルナツマブ、ネスバクマブ、ニボルマブ、オララツマブ(Olaratum)、パルサツズマブ(parsatuzumab)、パトリツマブ(patritumab)、ラドレツマブ(radretumab)、ロバツムマブ(Robatumuma)、セリバンツマブ(seribantumab)、タレクスツマブ(tarextumab)、チシリムマブ(トレメリムマブ)、トベツマブ、トレメリムマブ、バンチクツマブ、アビツズマブ(abituzumab)、アラシズマブペゴル(alacizumab pegol)、アテゾリズマブ、cBR96-ドキソルビシンイムノコンジュゲート、コドリツズマブ(codrituzumab)、デムシズマブ、デニンツズマブマホドチン(denintuzumab mafodotin)、エマクツズマブ(emactuzumab)、エミベツズマブ(emibetuzumab)、エノブリツズマブ(enoblituzumab)、イムガツズマブ、イノツズマブオゾガマイシン、リファスツズマブベドチン(lifastuzumab vedotin)、リンツズマブ(Lintuzuma)、ロルボツズマブメルタンシン(Lorvotuzumab mertansin)、ルムレツズマブ(lumretuzumab)、マルジェツキシマブ、モガムリズマブ、オカラツズマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブモナトクス(oportuzumab monatox)、オトレルツズマブ(otlertuzumab)、ペルツズマブ、ピナツズマブベドチン(pinatuzumab vedotin)、ポラツズマブベドチン、サシツズマブゴビテカン、サマリズマブ、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、タカツズマブテトラキセタン、ティガツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、バンドルツズマブベドチン、バヌシズマブ(vanucizumab)、ボルセツズマブマホドチン、ピディリズマブ、ドロジツマブ、イクルクマブ、ウレルマブ、ダロツズマブ、エナバツズマブ、フィクラツズマブ、ペンブロリズマブ、エンフォルツマブベドチン(enfortumab vedotin)、バビツキシマブ、エプラツズマブ、カンツズマブラブタンシン、ソネプシズマブ(sonepcizumab)、ツビルマブ、ルミリキシマブ、オファツムマブ、TGN1412、ギレンツキシマブ、パニツムマブ、ラベツズマブ、カンツズマブメルタンシン、ボツムマブ、マツズマブ、レガビルマブ、セヴィルマブ、オテリキシズマブ、IMAB362、ブレンツキシマブベドチン、ダセツズマブ、ウロクプルマブ、テプロツムマブ、アポリズマブ、アトロリムマブ(atorolimumab)、イラツムマブ、TNX-650、アフツズマブ、リツキシマブ、エクロメキシマブ、TRBS07、フランボツマブ、イピリムマブ、グレンバツムマブべドチン、エタラシズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、エロツズマブ、ミラツズマブ、ルカツムマブ、ジヌツキシマブ、ベリムマブ、ベルツズマブ、ネシツムマブ、カルルマブ、ロモソズマブ、デノスマブ、ファーレツズマブ、パンコマブ(pankomab)、ソフィツズマブベドチン(sofituzumab vedotin)、シタツズマブ・ボガトクス(citatuzumab bogatox)、クリバツズマブテトラキセタン、アブシキシマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、アデカツムマブ(adecatumumab)、デルロツキシマブビオチン(derlotuximab biotin)、ルプリズマブ、クレノリキシマブ、カナキヌマブ、フレチクマブ(fletikumab)、マブリリムマブ、シルクマブ、ALD518、アトリズマブ(トシリズマブ)、クラザキズマブ、インフリキシマブ、オクレリズマブ、ザノリムマブ、ゴリムマブ、サリルマブ、アダリムマブ、フェザキヌマブ、ボロシキシマブ、シクスツムマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、インテツムマブ、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、ザルツムマブ、ニモツズマブ、アニフロルマブ(anifrolumab)、ロンタリズマブ、メテリムマブ(metelimumab)、アレムツズマブ、またはパテクリズマブである。ある実施形態では、モノクローナル抗体は、BMS-936559、MSB0010718C、またはMEDI4736である。
【0089】
ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量(dosage)は、1日10mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日9mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日8mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日7mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日6mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日5mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日4mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日3mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日2mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日1mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、1日0.5mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回20mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回15mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回10mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回9mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回8mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回7mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回6mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回5mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回4mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回3mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体の投与量は、週1回2mg未満である。ある実施形態では、モノクローナル抗体は、静脈内で送達される。ある実施形態では、モノクローナル抗体は、腫瘍部位に直接送達される。
【0090】
ある実施形態では、免疫療法剤は、ワクチンである。ある実施形態では、ワクチンは、細胞ベースである。ある実施形態では、ワクチンは、1つ以上の合成された、精製された、または単離されたペプチドを含む。ある実施形態では、ペプチドは、ウイルスペプチドである。ある実施形態では、ウイルスペプチドは、EBVからである。ある実施形態では、ウイルスペプチドは、CMVからである。ある実施形態では、ウイルスペプチドは、HHV8からである。ある実施形態では、ワクチンは、1つ以上の合成された、精製された、または単離されたポリペプチドを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、ウイルスポリペプチドである。ある実施形態では、ウイルスポリペプチドは、EBVからである。ある実施形態では、ウイルスポリペプチドは、CMVからである。ある実施形態では、ウイルスポリペプチドは、HHV8からである。ある実施形態では、ワクチンは、1つ以上の合成された、精製された、または単離されたタンパク質を含む。ある実施形態では、タンパク質は、ウイルスタンパク質である。ある実施形態では、ウイルスタンパク質は、EBVからである。ある実施形態では、ウイルスタンパク質は、CMVからである。ある実施形態では、ウイルスタンパク質は、HHV8からである。ある実施形態では、ワクチンは、細胞ベースである。ある実施形態では、ワクチンは、抗原提示細胞ベースである。ある実施形態では、ワクチンは、細胞ベースである。ある実施形態では、ワクチンは、樹状細胞ベースである。ある実施形態では、ワクチンは、B細胞ベースである。
【0091】
ある実施形態では、ワクチンは、ウイルス遺伝子に由来する、タンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドを含み得る。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、HSVの、UL1、UL2、UL3、UL4、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL15、UL16、UL17、UL18、UL19、UL20、UL21、UL22、UL23、UL24、UL25、UL26、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL41、UL42、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL48、UL49、UL50、UL51、UL52、UL53、UL54、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、US12、RS1、ICP0、LRP1、LRP2、RL1、またはLAT遺伝子に由来する。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、EBVの、BDLF1、BFRF3、BORF1、BBRF1、BdRF1、BLLF1、BXLF2、BALF4、BALF4、BALF4、BZLF2、BBRF3、BILF2、BLRF1、BDLF3、BKRF2、BMRF2、BPLF1、BGLF2、BOLF1、BVRF1、BBLF1、BGLF1、BSRF1、BGLF4、BNRF1、BLRF2、BRRF2、BDLF2、BKRF4、BORF2、BALF2、BXLF1、BMRF1、EBNA-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNA-LP、LMP-1、LMP-2A、LMP-2B、BNLF2、BZLF1、またはBRLF1遺伝子に由来する。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、CMVの、US1、US10、US11、US12、US2、US3、US6、US7、US8、US9、IRS1、RL1、RL10、RL11、RL12、RL13、RL2、RL4、RL6、RL9、TRS1、UL10、UL100、UL102、UL103、UL104、UL105、UL108、UL109、UL11、UL110、UL111a、UL112、UL113、UL114、UL115、UL116、UL117、UL119、UL12、UL121、UL122、UL123、UL124、UL127、UL129、UL13、UL130、UL132、UL14、UL146、UL147、UL15、UL16、UL17、UL18、UL19、UL2、UL20、UL20a、UL21、UL23、UL24、UL25、UL26、UL27、UL28、UL29、UL3、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37.1、UL37.3、UL38、UL39、UL4、UL42、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL48、UL48.5、UL49、UL5、UL50、UL51、UL52、UL53、UL54、UL55、UL56、UL57、UL59、UL6、UL60、UL62、UL64、UL65、UL67、UL69、UL7、UL70、UL71、UL72、UL73、UL74、UL75、UL76、UL77、UL78、UL79、UL8、UL80、UL82、UL83、UL84、UL85、UL86、UL87、UL88、UL89.1、UL89.2、UL9、UL90、UL91、UL92、UL93、UL94、UL95、UL96、UL97、UL98、UL99、US13、US14、US15、US16、US17、US18、US19、US20、US21、US22、US23、US24、US25、US26、US27、US28、US29、US30、US31、US32、US33、またはUS34遺伝子に由来する。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、HIVの、gag、pol、env、tat、rev、nef、vpr、vif、またはvpu遺伝子に由来する。
【0092】
ある実施形態では、免疫療法剤は、T細胞である。ある実施形態では、T細胞は、遺伝子組み換えされている。ある実施形態では、T細胞は処置されている個体に対して自己由来である。ある実施形態では、T細胞は処置されている個体に対して同種異系である。ある実施形態では、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR T細胞)を持つ。ある実施形態では、CAR T細胞は、抗体分子に由来するアミノ酸残基を含む、標的受容体を有する。ある実施形態では、標的ドメインは、α-葉酸受容体、CAIX、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44v7/8、CEA、EGP-2、EGP-40、erb-B2、erb-B 2,3,4、FBP、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、Her2/neu、IL-13R-a2、KDR、κ軽鎖、LeY、L1細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、ネズミCMV感染細胞、MUC1、NKG2Dリガンド、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、PSCA、PSMA、mAb IgEにより標的とされたTAA、TAG-72、またはVEGF-R2に特異的である。ある実施形態では、CAR T細胞は、シグナル伝達ドメインを含む標的受容体を有する。ある実施形態では、シグナル伝達ドメインはCD3、CD28、OX40、41-BB、ZAP70、PI3K、TRAF2、またはCD 137を含む。
【0093】
ある実施形態では、CAR T細胞は、ウイルス遺伝子に由来するタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドに対して特異的な、標的受容体を有する。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、HSVの、UL1、UL2、UL3、UL4、UL5、UL6、UL7、UL8、UL9、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL15、UL16、UL17、UL18、UL19、UL20、UL21、UL22、UL23、UL24、UL25、UL26、UL27、UL28、UL29、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37、UL38、UL39、UL40、UL41、UL42、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL48、UL49、UL50、UL51、UL52、UL53、UL54、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US6、US7、US8、US9、US10、US11、US12、RS1、ICP0、LRP1、LRP2、またはLAT遺伝子に由来する。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、EBVの、BDLF1、BFRF3、BORF1、BBRF1、BdRF1、BLLF1、BXLF2、BALF4、BALF4、BALF4、BZLF2、BBRF3、BILF2、BLRF1、BDLF3、BKRF2、BMRF2、BPLF1、BGLF2、BOLF1、BVRF1、BBLF1、BGLF1、BSRF1、BGLF4、BNRF1、BLRF2、BRRF2、BDLF2、BKRF4、BORF2、BALF2、BXLF1、BMRF1、EBNA-1、EBNA-2、EBNA-3A、EBNA-3B、EBNA-3C、EBNA-LP、LMP-1、LMP-2A、LMP-2B、BNLF2、BZLF1、またはBRLF1遺伝子に由来する。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、CMVの、US1、US10、US11、US12、US2、US3、US6、US7、US8、US9、IRS1、RL1、RL10、RL11、RL12、RL13、RL2、RL4、RL6、RL9、TRS1、UL10、UL100、UL102、UL103、UL104、UL105、UL108、UL109、UL11、UL110、UL111a、UL112、UL113、UL114、UL115、UL116、UL117、UL119、UL12、UL121、UL122、UL123、UL124、UL127、UL129、UL13、UL130、UL132、UL14、UL146、UL147、UL15、UL16、UL17、UL18、UL19、UL2、UL20、UL20a、UL21、UL23、UL24、UL25、UL26、UL27、UL28、UL29、UL3、UL30、UL31、UL32、UL33、UL34、UL35、UL36、UL37.1、UL37.3、UL38、UL39、UL4、UL42、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL48、UL48.5、UL49、UL5、UL50、UL51、UL52、UL53、UL54、UL55、UL56、UL57、UL59、UL6、UL60、UL62、UL64、UL65、UL67、UL69、UL7、UL70、UL71、UL72、UL73、UL74、UL75、UL76、UL77、UL78、UL79、UL8、UL80、UL82、UL83、UL84、UL85、UL86、UL87、UL88、UL89.1、UL89.2、UL9、UL90、UL91、UL92、UL93、UL94、UL95、UL96、UL97、UL98、UL99、US13、US14、US15、US16、US17、US18、US19、US20、US21、US22、US23、US24、US25、US26、US27、US28、US29、US30、US31、US32、US33、またはUS34遺伝子に由来する。ある実施形態では、そのタンパク質、タンパク質断片、ポリペプチド、またはペプチドは、HIVの、gag、pol、env、tat、rev、nef、vpr、vif、またはvpu遺伝子に由来する。
【0094】
ある実施形態では、CAR T細胞は、静脈内注入(i.v. infusion)により投与される。ある実施形態では、約1x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約2x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約3x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約4x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約5x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約6x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約7x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約8x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約9x105細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約1x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約2x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約3x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約4x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約5x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約6x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約7x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約8x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約9x106細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約1x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約2x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約3x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約4x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約5x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約6x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約7x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約8x107細胞/m2の細胞が投与される。ある実施形態では、約9x107細胞/m2の細胞が投与される。
【0095】
ある実施形態では、CAR T細胞は、1日1回投与される。ある実施形態では、CAR T細胞は、週1回投与される。ある実施形態では、CAR T細胞は、月1回投与される。ある実施形態では、CAR T細胞は、週2回投与される。ある実施形態では、CAR T細胞は、月2回投与される。ある実施形態では、CAR T細胞は、週3回投与される。ある実施形態では、CAR T細胞は、月3回投与される。ある実施形態では、CAR T細胞は、月4回投与される。
【0096】
ある実施形態では、免疫療法剤は、免疫細胞による破壊に対して腫瘍を感作する小分子である。ある実施形態では、免疫療法剤は、プロテアソーム阻害剤である。ある実施形態では、免疫療法剤は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、またはイキサゾミブである。ある実施形態では、免疫療法剤はアザシチジンである。
【0097】
癌
ある実施形態では、本開示の方法は、癌の治療のためのものである。ある実施形態では、本開示の方法は、癌の治療を増強するためのものである。特定の実施形態では、癌は以下のものである:急性リンパ芽球性白血病、成人;急性リンパ芽球性白血病、小児期;急性骨髄白血病、成人;急性骨髄白血病、小児期;副腎皮質癌;副腎皮質癌、小児期;青年期、癌;エイズ関連の癌;エイズ関連のリンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星細胞腫、小児期;非定型奇形腫様/横紋筋肉腫様腫瘍、小児期、中枢神経系;基底細胞癌;肝外胆管癌;膀胱癌;膀胱癌、小児期;骨肉腫、骨肉腫、および悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、中枢神経系非定型奇形腫様/横紋筋肉腫様腫瘍、小児期;脳腫瘍、中枢神経系胚芽腫、小児期;脳腫瘍、星細胞腫、小児期;脳腫瘍、頭蓋咽頭腫、小児期;脳腫瘍、上衣芽細胞腫、小児期;脳腫瘍、上衣腫、小児期;脳腫瘍、髄芽腫、小児期;脳腫瘍、髄様上皮腫、小児期;脳腫瘍、中間分化型の松果体実質腫瘍、小児期;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉腫瘍および松果体芽腫、小児期;脳および脊髄の腫瘍、小児期(他の);乳癌;乳癌および妊娠;乳癌、小児期;乳癌、男性;気管支腫瘍、小児期;バーキットリンパ腫;カルチノイド腫瘍、小児期;カルチノイド腫瘍、消化器系;原発不明癌;中枢神経系非定型奇形腫様/横紋筋肉腫様腫瘍、小児期;中枢神経系胚芽腫、小児期;中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性;子宮頚癌;子宮頚癌、小児期;小児癌;脊索腫、小児期;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖症候群;結腸癌;大腸癌、小児期;頭蓋咽頭腫、小児期;悪性皮膚T細胞リンパ腫;胚芽腫、中枢神経系、小児期;子宮内膜癌;上衣芽細胞腫、小児期;上衣腫、小児期;食道癌;食道癌、小児期;感覚神経芽腫、小児期;ユーイング肉腫ファミリー腫瘍;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児期;性腺外胚細胞腫瘍;肝臓外胆管癌;眼癌、眼内黒色腫;眼癌、網膜芽細胞腫;胆嚢癌;胃(Gastric)(胃(Stomach))癌;胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、小児期;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍(GIST);消化器間質細胞腫瘍、小児期;胚細胞腫瘍、小児、小児期;性腺外胚細胞腫;卵巣胚細胞腫;妊娠性絨毛腫瘍;神経膠腫、成人;神経膠腫、小児脳幹;ヘアリーセル白血病;頭頸部癌;心臓癌、小児期;肝細胞(肝臓)癌、成人(原発性);肝細胞(肝臓)癌、小児期(原発性);組織球増殖症、ランゲルハンス細胞;成人ホジキンリンパ腫;小児期ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;眼内黒色腫;島細胞腫(内分泌膵);カポジ肉腫;腎臓(腎細胞)癌;腎癌、小児期;ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;小児期喉頭癌;白血病、急性リンパ芽球性、成人;白血病、急性リンパ芽球性、小児期;白血病、急性骨髄性、成人;白血病、急性骨髄性、小児期;白血病、慢性リンパ球性;白血病、慢性骨髄性;白血病、毛様細胞;口唇および口腔の癌;肝臓癌、成人(原発性);肝臓癌、小児期(原発性);肺癌、非小細胞性;肺癌、小細胞性;リンパ腫、エイズ関連;リンパ腫、バーキット;リンパ腫、皮膚T細胞;リンパ腫、ホジキン、成人;リンパ腫、ホジキン、小児期;リンパ腫、非ホジキン、成人;リンパ腫、非ホジキン、小児期;リンパ腫、原発性中枢神経系(CNS);マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;骨および骨肉腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫、小児期;髄様上皮腫、小児期;黒色腫;黒色腫、眼内(目);メルケル細胞癌;中皮腫、成人悪性腫瘍;中皮腫、小児期;原発不明の転移性頸部扁平上皮癌;口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群、小児期;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児期急性;多発性骨髄腫;骨髄増殖症候群、慢性;鼻腔および副鼻腔の癌;上咽頭癌;上咽頭癌、小児期;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児期;非小細胞肺癌;口腔癌、小児期;口腔癌;口唇および口腔咽頭癌;骨肉腫および骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌、小児期;卵巣上皮癌;卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、小児期;膵臓癌、島細胞腫;乳頭腫、小児期;副鼻腔および鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;中間分化型の松果体実質腫瘍、小児期;松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、小児期;下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫、小児期;妊娠および乳癌;原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞(腎臓)癌;腎盂および尿管、移行上皮癌;第15染色体の変化が伴う呼吸器癌(Respiratory Tract Cancer);網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児期;唾液腺癌;唾液腺癌、小児期;肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍;肉腫、カポジ;肉腫、軟部組織、成人;肉腫、軟部組織、小児期;肉腫、子宮;セザリー症候群;皮膚癌(非黒色腫);皮膚癌、小児期;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌、メルケル細胞;小細胞肺癌;小腸癌;軟部組織肉腫、成人;軟部組織肉腫、小児期;扁平上皮癌;原発不明の頸部扁平上皮癌、転移性;胃癌;テント上原始神経外胚葉腫瘍、小児期;T細胞性リンパ腫、皮膚;精巣癌;咽喉癌;胸腺腫および胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児期;腎盂および尿管の移行上皮癌;絨毛腫瘍、妊娠性;原発部位不明、細胞腫、成人;原発部位不明、癌、小児期;小児の珍しい癌;尿管および腎盂、移行性細胞癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症;またはウィルムス腫瘍。
【0098】
投与スケジュール
1つ以上の薬剤(例えばHDAC阻害剤または免疫療法剤)の投与は、断続的となり得る;例えば、投与は、2日ごと、3日ごと、5日ごと、週1回、月に1回または2回などであり得る。量、形態、及び/又は異なる形態の量は、投与の異なる時間に変更され得る。
【0099】
1つ以上のHDAC阻害剤または免疫療法剤のパルス投与は、ウイルス誘発性癌の処置または予防に使用され得る。パルス用量が同じ組成物の継続投与から予期されるよりも少なくなり得るため、パルス投与は、継続的な処置より有効であり得る。各パルス用量は減少され、患者への処置の経過にわたって投与される薬物の合計量は最小限にされ得る。
【0100】
パルス療法では、薬剤のインビボでのレベルは、有効な継続的な処置に必要とされるレベルより下に低下し得る。パルス投与は、有効性の増大が伴って、1投与当たり又は全体の処置レジメン当たりで患者に投与される組成物の量を減少させることができる。パルス投与は、時間、労力、および費用を節約することができ、より少ない有効量によって、被験体が経験し得る合併症の数および重症度を減少させることができる。そのため、パルシング(pulsing)は、同じ組成物の継続投与よりも有効であり得る。
【0101】
個々のパルスは、約2、4、6、8、10、12、14、もしくは16時間などの数時間、または2、3、4、5、6、もしくは7日などの数日、あるいは約1時間から約24時間または約3時間から約9時間の期間にわたって、継続的に被験体に送達され得る。代替的に、周期的な用量は、短期間、例えば、1時間または2時間未満にわたって、組成物の単一のボーラス注入または少数の注入で投与され得る。例えば、酪酸アルギニンは、1日当たり約8時間または一晩注入して、4日の期間にわたって投与でき、その後の7日間は処置しない。
【0102】
パルスの間隔または送達なしの間隔は、24時間または48時間を超える可能性もあり、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10日間;2、3、もしくは4週間;またはさらにそれ以上の時間などの、さらにより長い期間になる可能性がある。パルスの間隔は、当業者によって決定できる。パルスの間隔は、組成物または組成物の有効成分が、次のパルスの送達前に患者においてもはや検出可能でない場合に、別の用量の組成物を投与することによって算定され得る。間隔はまた、組成物のインビボでの半減期から算定され得る。間隔は、インビボでの半減期より長い、または組成物の半減期より2、3、4、5、およびさらに10倍長い間隔として算定され得る。間隔は、化学組成物の半減期の25、50、100、150、200、250、300、およびさらに500倍であり得る。
【0103】
単一の治療レジメンにおけるパルスの数は、2ほどの小さい数であり得るが、約5~10、10~20、15~30またはそれ以上にもなり得る。被験体(例えば患者)は、本発明の方法に従って、生涯(for life)1つ以上の薬剤(例えば薬物)を受けることができる。組成物は、ほとんどの手段によって投与することができ、注射(例えば、静脈内、皮下、動脈内)、注入、または滴下として、およびより好ましくは経口摂取によって患者に送達され得る。注入または患者への送達の他の形態による、組成物をパルスするための様々な方法および装置は、米国特許第4,747,825号;米国特許第4,723,958号;米国特許第4,948,592号;米国特許第4,965,251号;および、第5,403,590号に記載されている。
【0104】
ある実施形態では、HDAC阻害剤および免疫療法剤を含む、配合された単位用量は、毎日投与される。さらなる実施形態では、投与は継続的である。いくつかの実施形態では、配合された単位用量の投与は、パルス投与によるものである。ある実施形態では、パルス投与は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約10日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、または約12か月の間、配合された単位用量のパルスを投与することを含む。いくつかの実施形態では、パルス投与は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約10日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、または約12か月の間、配合された単位用量を投与しない間隔を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、配合された単位用量の投与は、パルス投与によるものである。ある実施形態では、パルス投与は、約8週間、配合された単位用量を投与すること、およびその後に約4週間、配合された単位用量を投与しないことを含む。いくつかの実施形態では、パルス投与は、約6週間、配合された単位用量を投与すること、およびその後に約2週間、配合された単位用量を投与しないことを含む。ある実施形態では、パルス投与は、約4週間、配合された単位用量を投与すること、およびその後に約2週間、配合された単位用量を投与しないことを含む。いくつかの実施形態では、パルス投与は、約2週間、配合された単位用量を投与すること、およびその後に約2週間、配合された単位用量を投与しないことを含む。いくつかの実施形態では、パルス投与は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約10日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、または約12か月の間、配合された単位用量を投与するパルスを含む。ある実施形態では、パルス投与は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約10日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、または約12か月の間、配合された単位用量を投与しない間隔を含む。いくつかの実施形態では、投与は継続的である。特定の実施形態では、投与は、被験体の生涯にわたって行われる。他の実施形態では、投与は、約1週、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、または約12か月にわたって行われる。いくつか実施形態では、免疫療法剤は、配合された単位用量を投与しない間隔の間に投与される。ある実施形態では、免疫療法剤は、配合された単位用量に加えて投与される。いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、配合された単位用量と同時に投与される。他の実施形態では、免疫療法剤は、配合された単位用量とは別に投与される。
【0106】
HDAC阻害剤を含む医薬組成物は、免疫療法剤を含む医薬組成物が被験体に投与される前に、被験体に投与され得る。HDAC阻害剤を含む医薬組成物は、免疫療法剤を含む医薬組成物とともに被験体に同時投与され得る。HDAC阻害剤を含む医薬組成物は、免疫療法剤を含む医薬組成物、および1つ以上の追加の薬剤を含む医薬組成物と、同時投与され得る。免疫療法剤は、パルス投与によって提供され得る。例えば、HDAC阻害剤を含む医薬組成物を被験体に投与でき、続いて、時間の間隔が経過した後に、免疫療法剤を含む医薬組成物を被験体に投与できるが、この投与の順序は、同じ又は類似した時間間隔で、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回あるいはそれ以上繰り返され得る。
【実施例】
【0107】
実施例1 - 腫瘍細胞に対する、VRx-3996によるHDAC活性の阻害
VRx-3996を、PC3(前立腺)およびMDA-MB-231(三種陰性乳癌)の癌細胞におけるHDAC活性を阻害する、その能力に関して試験した。免疫ブロットによりヒストンH3上のアセチルリジン9の存在に関して検査する前に、細胞を、VRx-3996(657nM)またはDMSOに対して2.5時間曝露した。
図2は、VRX-3996が、両方の細胞株においてヒストンH3の脱アセチル化を阻害することを示す。
【0108】
実施例2 - VRx-3996が、腫瘍細胞株の細胞表面の表現型を改変する
DMSO(ビヒクル)またはVRx-3996を用いた処置の後に、PC3またはMDA-MB-321の細胞を、それらの細胞表面の表現型に関して分析した。細胞を、継続的に4日にわたって、CHR-3996に対して毎日(657nM、2.5時間/日)、またはDMSO対照に対して曝露し;5日目に、細胞を、免疫の認識、刺激、および阻害に関連する、タンパク質の細胞表面の発現に関して、フローサイトメトリーにより検査した。PC3細胞の表現型を、表1に示す。MDA-MB-321細胞の表現型を、表2に示す。全体的に見て、VRx-3996が、両方の細胞株において、いくつかの変化をもたらした。
【0109】
【0110】
【0111】
実施例3 - VRx-3996が、NK溶解に対してPC3細胞を感作する
VRx-3996により処置された、腫瘍細胞株であるPC3およびMDA-MB-231を、様々な初代NK細胞およびそのNK細胞株HaNK(ヒトFcγRIIIaの158Vに突然変異を有する、高親和性Fc受容体を備えるNK細胞)によって破壊される予定のそれらの能力に関して試験した。PC3およびMDA-MB-231細胞を、一晩の標準的なIn-111放出溶解アッセイにおける直接NK破壊(direct NK killing)のために、5日目に標的として使用する前に、継続的に4日にわたって、DMSOに対して、またはCHR-3996に対して毎日(657nM、2.5時間/日)、曝露した。(負の選択により単離された)2人の健康的なドナーのヒトPBMCからの初代NK細胞と、37℃および5%のCO
2で、24時間静止させられたNKか、または24時間ALT803(25ng/ml)に対して予め曝露されたNKと、を使用した。HaNK細胞を、24時間後に、10Gyの放射線曝露に使用した。NK細胞を播種し、結果として、PC3細胞(
図3)およびMDA-MB-231細胞(
図4)に対するエフェクター対標的比率(E:T)が変動した。
【0112】
実施例4 - VRx-3996が、転移性癌の患者のPBMCにおけるFoxP3+制御性T細胞を縮小する
方法:転移性乳癌の7人の患者からの末梢血単核球(PBMC)を、VRx-3996に対して毎日(657nM、2.5時間/日)、またはDMSO対照に対して継続的に2日にわたって曝露し、その後それらを、以下の分析された様々な免疫細胞サブセットに関して、フローサイトメトリーにより検査した:9つの標準的な免疫細胞サブセット、成熟/機能に関する114のサブセット。表3は、VRx-3996が一般的なリンパ球サブセット有していた影響を示す。表4は、分析された最も変化したサブセットを示す。
【0113】
【0114】
【0115】
加えて、CD4+Treg細胞サブセットを分析した。これらの結果を、表5に示す。すべての主要なサブセットが減少した。さらに、
図5Aおよび
図5Bは、制御性細胞転写因子FoxP3が、これらの制御性Tのサブセットにおいて減少したことを示す。
【0116】
【0117】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、かつ記載されているが、こうした実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないということが当業者にとって明白である。多くの変更、変化および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者には想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用される可能性があることを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。