(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01P 21/00 20060101AFI20221014BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20221014BHJP
【FI】
G01P21/00
G01P15/18
(21)【出願番号】P 2021043848
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】202010185498.9
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ミンション
(72)【発明者】
【氏名】リー ピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ チーポン
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-163205(JP,A)
【文献】特許第5990553(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0279493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法であって、前記方法は、
車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記スロープを有するルートの実際スロープを取得するステップと、
前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するステップであって、前記3つの軸が第1の軸、第2の軸及び第3の軸であるステップと、
前記3つの軸の加速度データおよび運動学方程式に基づいて、前記第1の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、前記第2の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、及び前記第3の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ計算するステップであって、前記運動学方程式は、車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式であるステップと、
前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、
第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションするステップと、を含むことを特徴とする、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法。
【請求項2】
前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するステップの前に、さらに、第2の時間帯内において前記加速度計の3つの軸の平均値をそれぞれ統計するステップを含み、
前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するステップは、
前記車両の加速度計の3つの軸の現在加速度データをそれぞれ取得するステップと、
前記3つの軸の現在加速度データから、それぞれ前記3つの軸に対応する前記平均値を差し引き、前記3つの軸の加速度データを得るステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションするステップは、
前記第1の時間帯内において、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回測定するステップと、
前記第1の時間帯内において前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向が一致する3つの一致性確率値をそれぞれ統計するステップと、
前記3つの一致性確率値のうち、最も大きい一致性確率値に対応する軸を、前進軸としてキャリブレーションするステップと、を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記運動学方程式は、
【数13】
【数14】
【数15】
を含み、
ここで、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、gが重力加速度で、mが前記車両の質量で、a
1が前記いずれか1つの軸の加速度データで、a
2が前記いずれか1つの軸の車体前進方向に沿った縦方向加速度で、t
1、t
2がそれぞれ前後2つの時刻を代表し、その対応する車速がV
1、V
2で、kは、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致するか否かを表し、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致すると、kは1で、Hは前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープで、前記加速度計の前進軸が車速方向と逆であると、kは-1で、Hは前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記実際スロープが上り坂である場合、前記実際スロープの値が正の数で、前記実際スロープが下り坂である場合、前記実際スロープの値が負の数であり、
前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップは、
前記3つの軸のいずれか1つの軸について、前記実際スロープ、前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、
前記実際スロープ、前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記ルートの実際スロープを取得するステップは、
ナビゲーションルートを前記車両へ送信するステップと、
前記車両が前記ナビゲーションルートのうち、スロープを有するルートまで走行したと位置決めされた場合、予め取得された、スロープデータを保存するためのデータベースから、前記ルートの実際スロープを取得するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、
前記車両が走行するとき、前記キャリブレーションされた前進軸及び前記キャリブレーションされた前進軸の方向に基づいて、前記車両の走行している現在ルートのスロープを計算するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
前記キャリブレーションされた前進軸に基づいて前記3つの軸うちの重力加速度軸及び方向軸をそれぞれキャリブレーションするステップと、
前記加速度計における3つの軸の加速度を利用して前記車両の走行方向を位置決めするステップと、
前記車両の走行方向を利用して前記車両のためにナビゲーションルートを計画するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
車両加速度計の前進軸のキャリブレーション装置であって、
取得モジュール、計算モジュール及びキャリブレーションモジュールを含み、
前記取得モジュールは、車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記スロープを有するルートの実際スロープを取得するために使用され、
前記取得モジュールは、更に、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するために使用され、前記3つの軸が第1の軸、第2の軸及び第3の軸であり、
前記計算モジュールは、前記3つの軸の加速度データおよび運動学方程式に基づいて、前記第1の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、前記第2の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、及び前記第3の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ計算するために使用され、前記運動学方程式は、車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式であり、
前記計算モジュールは、さらに、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するために使用され、
前記キャリブレーションモジュールは、第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションするために使用されることを特徴とする、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション装置。
【請求項10】
さらに、
第2の時間帯内において前記加速度計の3つの軸の平均値をそれぞれ統計するために使用される統計モジュールを含み、
前記取得モジュールは、前記車両の加速度計の3つの軸の現在加速度データをそれぞれ取得すること、及び前記3つの軸の現在加速度データから、それぞれ前記3つの軸に対応する前記平均値を差し引き、前記3つの軸の加速度データを得ること、に用いられることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記キャリブレーションモジュールは、
前記第1の時間帯内において、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回測定すること、
前記第1の時間帯内において前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向が一致する3つの一致性確率値をそれぞれ統計すること、及び
前記3つの一致性確率値のうち、最も大きい一致性確率値に対応する軸を、前進軸としてキャリブレーションすること、に用いられることを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記運動学方程式は、
【数16】
【数17】
【数18】
を含み、
ここで、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、gが重力加速度で、mが前記車両の質量で、a
1が前記いずれか1つの軸の加速度データで、a
2が前記いずれか1つの軸の車体前進方向に沿った縦方向加速度で、t
1、t
2がそれぞれ前後2つの時刻を代表し、その対応する車速がV
1、V
2で、kは、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致するか否かを表し、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致すると、kは1で、Hは前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープで、前記加速度計の前進軸が車速方向と逆であると、kは-1で、Hは前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープであることを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記実際スロープが上り坂である場合、前記実際スロープの値が正の数で、前記実際スロープが下り坂である場合、前記実際スロープの値が負の数であり、
前記計算モジュールは、
前記3つの軸のいずれか1つの軸について、前記実際スロープ、前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定すること、及び
前記実際スロープ、前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定すること、に用いられることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記取得モジュールは、
ナビゲーションルートを前記車両へ送信すること、及び
前記車両が前記ナビゲーションルートのうち、スロープを有するルートまで走行したと位置決めされた場合、予め取得された、スロープデータを保存するためのデータベースから、前記ルートの実際スロープを取得すること、に用いられることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記計算モジュールは、さらに、前記車両が走行するとき、前記キャリブレーションされた前進軸及び前記キャリブレーションされた前進軸の方向に基づいて、前記車両の走行している現在ルートのスロープを計算するために使用されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記キャリブレーションモジュールは、さらに、前記キャリブレーションされた前進軸に基づいて前記3つの軸うちの重力加速度軸及び方向軸をそれぞれキャリブレーションするために使用され、
前記計算モジュールは、さらに、前記加速度計における3つの軸の加速度を利用して前記車両の走行方向を位置決めするために使用され、前記車両の走行方向を利用して前記車両のためにナビゲーションルートを計画するために使用されることを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の装置。
【請求項17】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサ、および前記少なくとも1つのプロセッサと通信するように接続されたメモリを含み、前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサは、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の方法を実行することができることを特徴とする、電子機器。
【請求項18】
コンピュータ命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ命令は、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのものであることを特徴とする、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがプロセッサで実行されると、コンピュータに請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の方法を実行させることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、データ処理技術分野のスマート交通に関し、特に、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スロープは、地形変化の重要な体現であり、スロープを利用して高架橋領域、スロープのある平行道路区間などを正確的に認識することができるため、ナビゲーションで、スロープを利用して上り坂と下り坂道路区間でのナビゲーションによるルートバインディングの成功率を向上させることができる。実際の応用には、車載ナビゲーション機器は、車両の加速度計と車速によってスロープを計算することができ、具体的に、正確なスロープを取得するには、車両の加速度計の前進軸方向を知る必要がある。
【0003】
従来技術において、車両の加速度計の前進軸は、通常は、車両を生産する車両サプライヤーによってマークされており、キャリブレーションパラメータは、一般的に、極秘に保たれて公衆に公開されない。車両ナビゲーションは、通常は、マップサプライヤーによって提供され、マップサプライヤーは、加速度計のキャリブレーションパラメータを取得できないため、スロープを計算できず、最終的に、正確なナビゲーションルートを得ることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、従来技術においてナビゲーションルートの精度が高くないという技術的問題を解決するために、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本願の実施例は、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法を提供し、
車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記スロープを有するルートの実際スロープを取得するステップと、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するステップであって、前記3つの軸が第1の軸、第2の軸及び第3の軸であるステップと、前記3つの軸の加速度データおよび運動学方程式に基づいて、前記第1の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、前記第2の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、及び前記第3の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ計算するステップであって、前記運動学方程式は、車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式であるステップと、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションするステップと、を含む。このようにして、車両サプライヤーのマークデータに依存する必要がなく、ルートの実際スロープデータ及び車両の走行データに基づいて車両加速度計の前進軸に対するキャリブレーションを実現することができる。
【0006】
可能な一実現形態において、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するステップの前に、第2の時間帯内において前記加速度計の3つの軸の平均値をそれぞれ統計するステップをさらに含み、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得する前記ステップは、前記車両の加速度計の3つの軸の現在加速度データをそれぞれ取得するステップと、前記3つの軸の現在加速度データから、それぞれ前記3つの軸に対応する前記平均値を差し引き、前記3つの軸の加速度データを得るステップと、を含む。このようにして、三軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープを計算するときに、3つの軸の現在加速度データから、それぞれ3つの軸に対応する平均値を差し引き、該夾角がスロープ計算に対する影響を除去し、正確な順方向/逆方向のリアルタイムスロープを得ることができる。
【0007】
可能な一実現形態において、第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションする前記ステップは、前記第1の時間帯内において、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回測定するステップと、前記第1の時間帯内において前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向が一致する3つの一致性確率値をそれぞれ統計するステップと、前記3つの一致性確率値のうち、最も大きい一致性確率値に対応する軸を、前進軸としてキャリブレーションするステップと、を含む。このようにして、複数回取得された軸及びその方向がいずれも一致するように確保することができ、これにより、比較的正確なキャリブレーション結果を得ることができる。
【0008】
可能な一実現形態において、前記運動学方程式は、
【数1】
【数2】
【数3】
を含み、
ここで、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、gが重力加速度で、mが前記車両の質量で、a
1が前記いずれか1つの軸の加速度データで、a
2が前記いずれか1つの軸の車体前進方向に沿った縦方向加速度で、t
1、t
2がそれぞれ前後2つの時刻を代表し、その対応する車速がV
1、V
2で、kは、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致するか否かを表し、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致すると、kは1で、Hは前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープで、前記加速度計の前進軸が車速方向と逆であると、kは-1で、Hは前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープである。
【0009】
可能な一実現形態において、前記実際スロープが上り坂である場合、前記実際スロープの値が正の数で、前記実際スロープが下り坂である場合、前記実際スロープの値が負の数であり、
前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定する前記ステップは、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、前記実際スロープ、前記いずれかの軸の順方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれかの軸の順方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、前記実際スロープ、前記いずれかの軸の逆方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれかの軸の逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、を含む。
【0010】
可能な一実現形態において、車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記ルートの実際スロープを取得する前記ステップは、ナビゲーションルートを前記車両へ送信するステップと、前記車両が前記ナビゲーションルートのうち、スロープを有するルートまで走行したと位置決めされた場合、予め取得された、スロープデータを保存するためのデータベースから、前記ルートの実際スロープを取得するステップと、を含む。
【0011】
可能な一実現形態において、前記車両が走行するとき、前記キャリブレーションされた前進軸及び前記キャリブレーションされた前進軸の方向に基づいて、前記車両の走行している現在ルートのスロープを計算する。このようにして、前進軸がキャリブレーションされた車両を利用して各ルートのスロープデータを収集することを実現することができ、マップにおけるルートデータを豊かにすることができ、後続に、ナビゲーションルートを計画するとき、ルートのスロープを利用して上り坂と下り坂道路区間でのナビゲーションによるルートバインディングの成功率を向上させることができる。
【0012】
可能な一実現形態において、また、前記キャリブレーションされた前進軸に基づいて前記3つの軸うちの重力加速度軸及び方向軸をそれぞれキャリブレーションするステップと、前記加速度計における3つの軸の加速度を利用して前記車両の走行方向を位置決めするステップと、前記車両の走行方向を利用して前記車両のためにナビゲーションルートを計画するステップと、を含む。このようにして、車両加速度計内の3つの軸に対応する加速度データに基づいて車両の走行意図を予測し、車両の走行方向を位置決めすることができ、これにより、車両に正確なナビゲーションルートを計画することができる。
【0013】
第2の態様では、本願の実施例は、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション装置を提供し、取得モジュール、計算モジュール及びキャリブレーションモジュールを含み、
前記取得モジュールは、車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記スロープを有するルートの実際スロープを取得するために使用され、
前記取得モジュールは、さらに、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するために使用され、前記3つの軸が第1の軸、第2の軸及び第3の軸であり、
前記計算モジュールは、前記3つの軸の加速度データおよび運動学方程式に基づいて、前記第1の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、前記第2の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、及び前記第3の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ計算するために使用され、前記運動学方程式は、車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式であるために使用され、
前記計算モジュールは、さらに、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するために使用され、
前記キャリブレーションモジュールは、第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションするために使用される。
【0014】
可能な一実現形態において、
第2の時間帯内において前記加速度計の3つの軸の平均値をそれぞれ統計するために使用される統計モジュールをさらに含み、
前記取得モジュールは、具体的に、前記車両の加速度計の3つの軸の現在加速度データをそれぞれ取得すること、及び前記3つの軸の現在加速度データから、それぞれ前記3つの軸に対応する前記平均値を差し引き、前記3つの軸の加速度データを得ること、に用いられる。
【0015】
可能な一実現形態において、前記キャリブレーションモジュールは、具体的に、
前記第1の時間帯内において、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回測定すること、
前記第1の時間帯内において前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向が一致する3つの一致性確率値をそれぞれ統計すること、及び
前記3つの一致性確率値のうち、最も大きい一致性確率値に対応する軸を、前進軸としてキャリブレーションすること、に用いられる。
【0016】
可能な一実現形態において、前記運動学方程式は、
【数4】
【数5】
【数6】
を含み、
ここで、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、gが重力加速度で、mが前記車両の質量で、a
1が前記いずれかの軸の加速度データで、a
2が前記いずれかの軸の車体前進方向に沿った縦方向加速度で、t
1、t
2がそれぞれ前後2つの時刻を代表し、その対応する車速がV
1、V
2で、kは、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致するか否かを表し、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致すると、kは1で、Hは前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープで、前記加速度計の前進軸が車速方向と逆であると、kは-1で、Hは前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープである。
【0017】
可能な一実現形態において、前記実際スロープが上り坂である場合、前記実際スロープの値が正の数で、前記実際スロープが下り坂である場合、前記実際スロープの値が負の数であり、前記計算モジュールは、具体的に、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、前記実際スロープ、前記いずれかの軸の順方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれかの軸の順方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定すること、及び前記実際スロープ、前記いずれかの軸の逆方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれかの軸の逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定すること、に用いられる。
【0018】
可能な一実現形態において、前記取得モジュールは、具体的に、ナビゲーションルートを前記車両へ送信すること、及び前記車両が前記ナビゲーションルートのうち、スロープを有するルートまで走行したと位置決めされた場合、予め取得された、スロープデータを保存するためのデータベースから、前記ルートの実際スロープを取得すること、に用いられる。
【0019】
可能な一実現形態において、前記計算モジュールは、さらに、前記車両が走行するとき、前記キャリブレーションされた前進軸及び前記キャリブレーションされた前進軸の方向に基づいて、前記車両の走行している現在ルートのスロープを計算するために使用される。
【0020】
可能な一実現形態において、前記キャリブレーションモジュールは、さらに、前記キャリブレーションされた前進軸に基づいて前記3つの軸うちの重力加速度軸及び方向軸をそれぞれキャリブレーションするために使用され、前記計算モジュールは、さらに、前記加速度計における3つの軸の加速度を利用して前記車両の走行方向を位置決めすること、及び前記車両の走行方向を利用して前記車両のためにナビゲーションルートを計画すること、に用いられる。
【0021】
第3の態様では、本願の実施例は、電子機器を提供し、少なくとも1つのプロセッサ、および前記少なくとも1つのプロセッサと通信するように接続されたメモリを含み、前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサは、前述第1の態様のいずれか1項に記載の方法を実行することができる。
【0022】
第4の態様では、本願の実施例は、コンピュータ命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータが前述第1の態様のいずれか1項に記載の方法を実行するためのものである。
【0023】
第5の態様では、本願の実施例は、コンピュータプログラムを提供し、前記コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、電子機器の少なくとも1つのプロセッサは、前記コンピュータ可読記憶媒体から前記コンピュータプログラムを読み取ることができ、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行することによって、前記電子機器に前述第1の態様のいずれか1項に記載の方法を実行させる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、従来技術と比較して、本願の実施例は、以下のような有益な効果がある。
本願の実施例において、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法及び装置が提供されており、車両サプライヤーのマークデータに依存する必要がなく、ルートの実際スロープデータ及び車両の走行データに基づいて車両加速度計の前進軸に対するキャリブレーションを実現することができる。具体的に、ルートの実際スロープや、車両内の加速度計の3つの軸の加速度データ、および車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式に基づいて、3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性をそれぞれ確定し、さらに、第1の時間帯内において3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の実施例に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法が適用されるシステムアーキテクチャ概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例に係る車両加速度計の前進軸キャリブレーション装置の構造概略図である。
【
図4】本願の実施例の車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法を実現するための電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願の例示的な実施例を図面に合わせて説明する。理解に寄与するための本願の実施例の様々な詳細が含まれるが、これらは、例示的なものにすぎないと考えるべきである。よって、当業者は、ここに記述した実施例に対する様々な変化や修正が可能であり、本願の範囲や趣旨から逸脱されないと認識すべきである。同様に、明確や簡潔のため、以下の記述では、周知の機能や構造に関するものを省略するようにしている。衝突がない場合、下記の実施例及び実施例における発明を相互に組み合わせることができる。
【0027】
本願の実施例の方法は、車両、車両の車載端末、又は車両と通信するサーバ又は端末に応用することができる。そのうち、車両は、人及び/又は物を運ぶ、且つ、エンジンなどの動力システムによって動く任意のタイプの車両であってもよく、セダン、トラック、バス、電気自動車、ツーリングカーなどを含むが、これらに限定されない。車両は、人によって運転される車両であってもよい。車両は、一定の自動運転能力を有する車両であってもよい。本願の実施例により、車両は、具体的に、限定されない。
【0028】
本願の実施例に記述された加速度計(加速度センサーとも呼ばれる)は、三軸加速度計であってもよい。加速度計は、慣性測定ユニット(inertial measurement unit、IMU)の主要素子である。加速度計の3つの軸は、前進軸、重力加速度軸及び方向軸であってもよく、車両加速度計内の3つの軸に対応する加速度データに基づいて車両の走行意図を予測し、車両の走行方向を位置決めすることができ、これにより、車両に正確なナビゲーションルートを計画することができる。実際応用には、前進軸をキャリブレーションした後に、任意の慣用方式を用いて重力加速度軸と方向軸を便利にキャリブレーションすることができ、本願の実施例により、重力加速度軸と方向軸をキャリブレーションする具体的な方式は、限定されない。理解されるものとして、加速度計の3つの軸が他の名称と定義されてもよく、本願の実施例により、これは、具体的に、限定されない。
【0029】
本願の実施例に記述された順方向/逆方向のリアルタイムスロープは、順方向のリアルタイムスロープと逆方向のリアルタイムスロープの総称である。3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープは、加速度計前進軸と車速方向との一致性に関連し、加速度計前進軸と車速方向とが一致すると仮定すると、3つの軸の順方向のリアルタイムスロープを計算して得ることができる。加速度計前進軸と車速方向とが逆であると仮定すると、3つの軸の逆方向のリアルタイムスロープを計算して得ることができる。具体的な計算方法は、後続の実施例で詳細に説明するから、ここで繰り返して説明しないようにする。
【0030】
本願の実施例に記述されたスロープは、正の値か、負の値か、0である。例えば、該ルートが下り坂である場合、スロープは正の値であってもよく、ルートが下り坂である場合、スロープは負の値であってもよく、ルートスロープが小さい場合、スロープは0であってもよい。
【0031】
図1に示すように、
図1は、本願の実施例に係る方法が適用される応用シーンのアーキテクチャ概略図である。
【0032】
本願の実施例は、スマート交通シーンに応用することができ、車両のインターネットの応用シーンなどに応用することもできる。
【0033】
ここで、
図1に示すような車両11は、車両のインターネット通信を行うために、車両に車載端末(又は、車両のインターネット端末または車両対すべて(vehicle to everythingとも呼ばれ、V2Xと略称)通信装置等)を設置することができ、設置された車載端末により、図での車両11は、他の車両と、車両対車両(vehicle to vehicle、V2Vと略称)通信を、他の通行人と車両対通行人(vehicle to pedestrian、V2Pと略称)通信を、他の路側インフラ機器と車両対インフラ設備(vehicle to infrastructure、V2Iと略称)通信を、または通信ネットワークと車両対ネットワーク(vehicle to network、V2Nと略称)通信など、を行うことができる。車載端末により、車両対通行人、車両対他の車両、車両対路側インフラ機器、車両対ネットワークの間の全方位的接続や高効率情報インタラクションを実現し、情報サービス、交通セキュリティ、交通効率などの車両のインターネット機能を実現することができる。例えば、車載端末が運転手の携帯電話と接続された後に、運転手は、車載端末を使用して音楽を再生し、マップナビゲーションをし、電話の掛けと受けなどを行うことができる。
【0034】
一可能な応用シーンにおいて、車両11に、車載端末やカメラを設置し、カメラに基づいて周囲環境を感知などして車両がスロープを有するルートまで走行していると認識することができ、さらに、車両11の車載端末は、サーバ12から該スロープを有するルートの実際スロープを取得することができ、さらに、車両11の車載端末は、ルートの実際スロープや、車両内の加速度計の3つの軸の加速度データ、および車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式に基づいて、3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性をそれぞれ確定し、さらに、第1の時間帯内において3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。該実現形態において、車両11は、車両サプライヤーのマークデータに依存する必要がなく、ルートの実際スロープデータ及び車両の走行データに基づいて車両加速度計の前進軸に対するキャリブレーションを実現することができる。
【0035】
他の可能な応用シーンにおいて、サーバ12は、ナビゲーションルートを車両11へ送信して、車両の位置をリアルタイムに取得し、サーバ12は、車両がスロープを有するルートまで走行していると位置決めするとき、データベースなどの位置から該スロープを有するルートの実際スロープを取得することができ、さらに、サーバ12は、ルートの実際スロープや、車両11内の加速度計の3つの軸の加速度データ、および車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式に基づいて、3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性をそれぞれ確定し、さらに、第1の時間帯内において3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。該実現形態において、サーバ12は、車両サプライヤーのマークデータに依存する必要がなく、ルートの実際スロープデータ及び車両の走行データに基づいて車両加速度計の前進軸に対するキャリブレーションを実現することができる。
【0036】
理解されるものとして、具体的な応用で、サーバの数は、1以上の任意の値であってもよく、本願の実施例は、他の応用シーンに応用することができ、本願の実施例により、これは、具体的に、限定されない。
【0037】
図2に示すように、
図2は、本願の実施例に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法のフローチャートである。該方法は、具体的に、以下のステップを含むことができる。
【0038】
S101において、車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記スロープを有するルートの実際スロープを取得する。
【0039】
可能な一実現形態において、車両のカメラ又はジャイロスコープシステムなどの機器に基づいて車両周囲の環境を認識し、さらに、車両がスロープを有するルートまで走行したか否かを認識し、車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、保存スペース(例えばデータベースなど)から、予め測定して保存された該ルートのスロープデータを取得することができる。
【0040】
他の可能な実現形態において、車両は、ナビゲーションをマップサーバへ要請し、マップサーバにより、ナビゲーションルートを車両へ送信することができ、ナビゲーション過程で、車両は、計画されたルートにしたがって走行し、車両がスロープを有するルートまで走行したと位置決めされたら、予め取得された、スロープデータを保存するためのデータベースから、該ルートの実際スロープを取得することができ、データベースは、マップサーバか、又は他の任意のサーバに設置されてもよく、本願の実施例により、これは、具体的に、限定されない。
【0041】
理解されるものとして、実際応用には、また、他の任意の方式を用いて、車両がスロープを有するルートまで達したと認識して、該ルートの実際スロープを取得することができ、本願の実施例により、これは、具体的に、限定されない。
【0042】
S102において、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得し、前記3つの軸が第1の軸、第2の軸及び第3の軸である。
【0043】
本願の実施例において、加速度計の3つの軸により、車両の走行中に、車両の該3つの軸のそれぞれに対応する加速度データを測定して、3つの軸の加速度データを指定位置に保存することができるため、車両加速度計の3つの軸の加速度データは、車両内の加速度データを保存するための位置から取得することができ、本願の実施例により、3つの軸の具体的な加速度データ、および加速度データが保存された位置は、具体的に、限定されない。
【0044】
S103において、前記3つの軸の加速度データおよび運動学方程式に基づいて、前記第1の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、前記第2の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、及び前記第3の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ計算し、前記運動学方程式は、車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式である。
【0045】
車両が上り坂又は下り坂を走行するとき、加速度計によって測定された加速度は、実際に、自動車縦方向加速度と坂道に沿った重力加速度との成分の和であるため、車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式を満たす。
【0046】
本願の実施例において、3つの軸の加速度データおよび運動学方程式に基づいて、第1の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、第2の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、及び第3の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ計算することができる。
【0047】
例示的に、前記運動学方程式は、
【数7】
【数8】
【数9】
を含み、
ここで、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、gが重力加速度で、mが前記車両の質量で、a
1が前記いずれか1つの軸の加速度データで、a
2が前記いずれか1つの軸の車体前進方向に沿った縦方向加速度で、t
1、t
2がそれぞれ前後2つの時刻を代表し、その対応する車速がV
1、V
2で、kは、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致するか否かを表し、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致すると、kは1で、Hは前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープで、前記加速度計の前進軸が車速方向と逆であると、kは-1で、Hは前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープである。
【0048】
本願の実施例において、t1時刻の車速V1、およびt2時刻の車速V2をそれぞれ取得してもよく、3つの軸のうちのいずれかの軸について、該軸の加速度データを上記の式に取り込み、これにより、3つの軸のそれぞれの順方向のリアルタイムスロープ又は逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ得ることができる。
【0049】
S104において、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定する。
【0050】
本願の実施例において、3つの軸のうちのいずれか1つの軸について、該軸の順方向のリアルタイムスロープの方向を実際スロープの方向と比較し、該軸の順方向のリアルタイムスロープの方向が実際スロープの方向と一致するか否かを判断することができ、例えば、該軸の順方向のリアルタイムスロープが正の値である場合、該軸の順方向のリアルタイムスロープが上り坂であると計算されたと表し、実際スロープも上り坂である場合、該軸の順方向のリアルタイムスロープの方向が実際スロープの方向と一致すると見なされ、そうではない場合、一致しないと見なされる。
【0051】
S105において、第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションする。
【0052】
本願の実施例において、第1の時間帯の具体的な値は、実際応用シーンに応じて確定されることができ、第1の時間帯内において、S102からS104までのステップに基づいて3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回計算することができ、3つの軸のうち、順方向のリアルタイムスロープ又は逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が高いほど、該軸が前進軸である可能性が大きいと証明され、さらに、該時間帯内において3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。
【0053】
以上のように、本願の実施例において、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法及び装置を提供し、車両サプライヤーのマークデータに依存する必要がなく、ルートの実際スロープデータ及び車両の走行データに基づいて車両加速度計の前進軸に対するキャリブレーションを実現することができる。具体的に、ルートの実際スロープや、車両加速度計の3つの軸の加速度データ、および車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式に基づいて、3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性をそれぞれ確定し、さらに、第1の時間帯内において3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。
【0054】
図2に対応する実施例に基づいて、可能な一実現形態において、S102の前に、更に、第2の時間帯内において前記加速度計の3つの軸の平均値をそれぞれ統計するステップを含み、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するS102は、前記車両の加速度計の3つの軸の現在加速度データをそれぞれ取得するステップと、前記3つの軸の現在加速度データから、それぞれ前記3つの軸に対応する前記平均値を差し引き、前記3つの軸の加速度データを得るステップと、を含む。
【0055】
本願の実施例において、第2の時間帯の具体的な値は、実際応用シーンに応じて確定されることができ、ナビゲーション過程で、加速度計の3つの軸のデータをリアルタイムに受信して、第2の時間帯内(例えば5分間)において各軸に対応する平均値を統計し、例えばabase1、abase2、abase3とそれぞれ記すことができる。これらの平均値により、加速度計前進軸方向と車速方向との夾角関係が反映されている。3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープを計算するときに、3つの軸の現在加速度データから、それぞれ3つの軸に対応する平均値を差し引き、該夾角がスロープ計算に対する影響を除去し、正確な順方向/逆方向のリアルタイムスロープを得ることができる。
【0056】
図2に対応する実施例に基づいて、可能な一実現形態において、前記実際スロープが上り坂である場合、前記実際スロープの値が正の数で、前記実際スロープが下り坂である場合、前記実際スロープの値が負の数であり、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するS104は、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、前記実際スロープ、前記いずれかの軸の順方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれかの軸の順方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、前記実際スロープ、前記いずれかの軸の逆方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれかの軸の逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するステップと、を含む。
【0057】
ここで、スロープ閾値は、スロープが存在するか否かを判定するための参照であってもよく、例えば、スロープがスロープ閾値より小さいとき、スロープが存在しないと見なされ、スロープ閾値は、0~3の任意の値などに設定されてもよく、本願の実施例により、これは、具体的に、限定されない。
【0058】
例示的に、現在位置三軸の順方向のリアルタイムスロープは、Pn(n=1、2、3) と記し、当前位置三軸の逆方向のリアルタイムスロープは、Qn(n=1、2、3) と記し、ルートの実際スロープは、P0と記し、スロープ閾値は、Tと記し、三軸の順方向のリアルタイムスロープの方向と実際スロープとの方向の一致性を表すための一致性パラメータは、Kn(n=1、2、3)と記し、三軸の逆方向のリアルタイムスロープの方向と実際スロープとの方向の一致性を表すための一致性パラメータは、Ln(n=1、2、3)と記す。
Kn(n=1、2、3)の計算は、
P0=0、-T<Pn<Tの場合、Kn=1、そうではない場合、Kn=-1で、
P0>0、Pn≧Tの場合、Kn=1で、
P0>0、-T<Pn<Tの場合、Kn=0で、
P0>0、Pn≦-Tの場合、Kn=-1で、
P0<0、Pn≦-Tの場合、Kn=1で、
P0<0、-T<Pn<Tの場合、Kn=0で、
P0<0、Pn≧Tの場合、Kn=-1であるようになってもよい。
ここで、Kn=1は、順方向のリアルタイムスロープの方向が実際スロープの方向と一致すると表すことができ、Kn=0は、順方向のリアルタイムスロープの方向と実際スロープの方向との一致が未知であると表すことができ、Kn=-1は、順方向のリアルタイムスロープの方向が実際スロープの方向と一致しないと表すことができる。
Ln(n=1、2、3) の計算は、
P0=0、-T<Qn<Tの場合、Ln=1、そうではない場合、Ln=-1で、
P0>0、Qn≧Tの場合、Ln=1で、
P0>0、-T<Qn<Tの場合、Ln=0で、
P0>0、Qn≦-Tの場合、Ln=-1で、
P0<0、Qn≦-Tの場合、Ln=1で、
P0<0、-T<Qn<Tの場合、Ln=0で、
P0<0、Qn≧Tの場合、Ln=-1であるようになってもよい。
ここで、Ln=1は、逆方向のリアルタイムスロープの方向が実際スロープの方向と一致すると表すことができ、Ln=0は、逆方向のリアルタイムスロープの方向と実際スロープの方向との一致が未知であると表すことができ、Ln=-1は、逆方向のリアルタイムスロープの方向が実際スロープの方向と一致しないと表すことができる。
【0059】
図2に対応する実施例に基づいて、可能な一実現形態において、第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションするステップS105は、前記第1の時間帯内において、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回測定するステップと、前記第1の時間帯内において前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向が一致する3つの一致性確率値をそれぞれ統計するステップと、前記3つの一致性確率値のうち、最も大きい一致性確率値に対応する軸を、前進軸としてキャリブレーションするステップと、を含む。
【0060】
本願の実施例において、第1の時間帯内においてS102からS104までのステップに基づいて3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回計算して、第1の時間帯内において3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープが実際スロープの方向と一致する3つの一致性確率値をそれぞれ統計することができる。例えば、一定のサイクル内の三軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ方向(Kn、Ln、n=1、2、3)をそれぞれ統計し、スロープ方向値の0、-1、1に対応する確率を取得し、方向値が1の確率は、該軸に対応する順方向のリアルタイムスロープ又は逆方向のリアルタイムスロープ方向の一致性確率値(一致性統計値とも呼ばれる)と記す。一致性確率値により、該軸が前進軸である可能性が大きいと証明され、さらに、該時間帯内において一致性確率値が最も大きい軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。
【0061】
具体的な応用で、S102~S105のプロセスを重複することができ、複数回取得された軸及びその方向が一致するように確保すると、セルフキャリブレーションプロセスを停止して、キャリブレーション結果を出力し、これにより、比較的正確なキャリブレーション結果を得ることができる。
【0062】
図2に対応する実施例に基づいて、可能な一実現形態において、S105の後に、さらに、前記車両が走行するとき、前記キャリブレーションされた前進軸及び前記キャリブレーションされた前進軸の方向に基づいて、前記車両の走行している現在ルートのスロープを計算するステップを含む。
【0063】
本願の実施例において、車両に前進軸をキャリブレーションした後に、キャリブレーションされた前進軸、前進軸の方向および車速などのパラメータに基づいて、任意の可能な実現形態を用いて、車両の走行している現在ルートのスロープを計算し、これにより、該車両を利用して各ルートのスロープデータを収集することを実現することができ、マップにおけるルートデータを豊かにすることができ、後続に、ナビゲーションルートを計画するとき、ルートのスロープを利用して上り坂と下り坂道路区間でのナビゲーションによるルートバインディングの成功率を向上させることができる。
【0064】
図2に対応する実施例に基づいて、可能な一実現形態において、S105の後に、さらに、前記キャリブレーションされた前進軸に基づいて前記3つの軸うちの重力加速度軸及び方向軸をそれぞれキャリブレーションするステップと、前記加速度計における3つの軸の加速度を利用して前記車両の走行方向を位置決めするステップと、前記車両の走行方向を利用して前記車両のためにナビゲーションルートを計画するステップと、を含んでもよい。
【0065】
実際応用には、前進軸をキャリブレーションした後に、任意の慣用方式を用いて重力加速度軸と方向軸を便利にキャリブレーションすることができ、本願の実施例により、重力加速度軸と方向軸をキャリブレーションする具体的な方式は、限定されない。車両加速度計内の3つの軸に対応する加速度データに基づいて車両の走行意図を予測し、車両の走行方向を位置決めすることができ、これにより、車両に正確なナビゲーションルートを計画することができる。
【0066】
図3は、本願に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション装置の一実施例の構造概略図である。
図3に示すように、本実施例に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション装置は、取得モジュール31、計算モジュール32及びキャリブレーションモジュール33を含み、
前記取得モジュール31は、車両がスロープを有するルートまで走行したと認識する場合、前記スロープを有するルートの実際スロープを取得するために使用され、
前記取得モジュール31はさらに、前記車両の加速度計の3つの軸の加速度データをそれぞれ取得するためにも使用され、前記3つの軸が第1の軸、第2の軸及び第3の軸であり、
前記計算モジュール32は、前記3つの軸の加速度データおよび運動学方程式に基づいて、前記第1の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、前記第2の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープ、及び前記第3の軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープをそれぞれ計算するために使用され、前記運動学方程式は、車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式であり、
前記計算モジュール32はさらに、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定するために使用され、
前記キャリブレーションモジュール33は、第1の時間帯内において前記3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションするために使用される。
【0067】
可能な一実現形態において、さらに、
第2の時間帯内において前記加速度計の3つの軸の平均値をそれぞれ統計するために使用される統計モジュールを含み、
前記取得モジュールは、具体的に、前記車両の加速度計の3つの軸の現在加速度データをそれぞれ取得すること、及び前記3つの軸の現在加速度データから、それぞれ前記3つの軸に対応する前記平均値を差し引き、前記3つの軸の加速度データを得ること、に用いられる。
【0068】
可能な一実現形態において、前記キャリブレーションモジュールは、具体的に、
前記第1の時間帯内において、前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を複数回測定すること、
前記第1の時間帯内において前記3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向が一致する3つの一致性確率値をそれぞれ統計すること、及び
前記3つの一致性確率値のうち、最も大きい一致性確率値に対応する軸を、前進軸としてキャリブレーションすること、に用いられる。
【0069】
可能な一実現形態において、前記運動学方程式は、
【数10】
【数11】
【数12】
を含み、
ここで、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、gが重力加速度で、mが前記車両の質量で、a
1が前記いずれか1つの軸の加速度データで、a
2が前記いずれか1つの軸の車体前進方向に沿った縦方向加速度で、t
1、t
2がそれぞれ前後2つの時刻を代表し、その対応する車速がV
1、V
2で、kは、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致するか否かを表し、前記加速度計の前進軸が車速方向と一致すると、kは1で、Hは前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープで、前記加速度計の前進軸が車速方向と逆であると、kは-1で、Hは前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープである。
【0070】
可能な一実現形態において、前記実際スロープが上り坂である場合、前記実際スロープの値が正の数で、前記実際スロープが下り坂である場合、前記実際スロープの値が負の数であり、前記計算モジュールは、具体的に、前記3つの軸のいずれか1つの軸について、前記実際スロープ、前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれか1つの軸の順方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定すること、及び前記実際スロープ、前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープとスロープ閾値との比較に基づいて、前記いずれか1つの軸の逆方向のリアルタイムスロープと前記実際スロープとの方向の一致性を確定すること、に用いられる。
【0071】
可能な一実現形態において、前記取得モジュールは、具体的に、ナビゲーションルートを前記車両へ送信すること、及び前記車両が前記ナビゲーションルートのうち、スロープを有するルートまで走行したと位置決めされた場合、予め取得された、スロープデータを保存するためのデータベースから、前記ルートの実際スロープを取得すること、に用いられる。
【0072】
可能な一実現形態において、前記計算モジュールは、さらに、前記車両が走行するとき、前記キャリブレーションされた前進軸及び前記キャリブレーションされた前進軸の方向に基づいて、前記車両の走行している現在ルートのスロープを計算するために使用される。
【0073】
可能な一実現形態において、前記キャリブレーションモジュールは、更に、前記キャリブレーションされた前進軸に基づいて前記3つの軸うちの重力加速度軸及び方向軸をそれぞれキャリブレーションするために使用され、前記計算モジュールは、さらに、前記加速度計における3つの軸の加速度を利用して前記車両の走行方向を位置決めすること、及び前記車両の走行方向を利用して前記車両のためにナビゲーションルートを計画すること、に用いられる。
【0074】
本願の実施例において、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法及び装置を提供し、車両サプライヤーのマークデータに依存する必要がなく、ルートの実際スロープデータ及び車両の走行データに基づいて車両加速度計の前進軸に対するキャリブレーションを実現することができる。具体的に、ルートの実際スロープや、車両内の加速度計の3つの軸の加速度データ、および車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式に基づいて、3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性をそれぞれ確定し、更に、第1の時間帯内において3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。
【0075】
本願の各実施例に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション装置は、前述の各対応する実施例に示すような方法を実行するために使用することができ、その実現形態や原理が同じであるから、繰り返して説明しないようにする。
【0076】
本願の実施例によれば、本願は、さらに、電子機器及び可読記憶媒体を提供する。
【0077】
図4に示すように、
図4は、本願の実施例に基づく車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法の電子機器のブロック図である。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、作業台、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及びその他の適切なコンピュータなどのような、様々な形のデジタルコンピュータを表すことを主旨とする。電子機器は、さらに、パーソナルデジタルアシスタント、セルラーテレフォン、スマートフォーン、ウェアラブルデバイス及びその他の類似するコンピューティングデバイスなどのような、様々な形のモバイル装置を表すこともできる。本明細書に示したコンポーネント、それらの連結や関係、及び、それらの機能は、あくまで例示的なものにすぎず、本明細書に記載の及び/又は本文が求める本願の実現を制限することを意図しない。
【0078】
図4に示すように、該電子機器は、1つ又は複数のプロセッサ401、メモリ402、及び各コンポーネントを接続するためのインタフェースを含み、該インタフェースは、高速インタフェースと低速インタフェースとを含む。個々のコンポーネントは、異なるバスを使用して互いに接続され、パブリックメインボードにインストールされるか、又は、必要に応じて他の方式でインストールされることができる。プロセッサは、電子機器内で実行される命令を処理することができ、前記命令は、外部の入力/出力装置(インタフェースにカップリングされたディスプレイデバイスなど)でGUIのグラフィクス情報がディスプレイされるための、メモリ内又はメモリ上に記憶されている命令が含まれている。他の実施形態において、必要に応じて、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスを複数のメモリと一緒に使用してもよい。同様に、複数の電子機器に接続し、個々の機器により、必要な操作を一部提供(例えば、サーバアレイ、一揃いのブレードサーバ、または、マルチプロセッサシステムとする)してもよい。
図4には、1つのプロセッサ401を例としている。
【0079】
メモリ402は、本願に係る非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。そのうち、前記メモリには、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記少なくとも1つのプロセッサが本願に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法を実行するようになる。本願の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ命令を記憶しており、該コンピュータ命令は、コンピュータに本願に係る車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法を実行させるためのものである。
【0080】
メモリ402は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータによる実行可能なプログラムおよびモジュール、例えば、本願の実施例における車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法に対応するプログラム命令/モジュール(例えば、
図3に示すような取得モジュール31、計算モジュール32、及びキャリブレーションモジュール33)を記憶するために使用されるものであってもよい。プロセッサ401は、メモリ402に記憶された非一時的なソフトウェアプログラム、命令およびモジュールを実行に移すことにより、サーバの様々な機能アプリケーションおよびデータ処理を実行し、即ち、上記の方法の実施例における車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法を実現するようになる。
【0081】
メモリ402は、プログラム記憶エリアとデータ記憶エリアとを含むことができ、そのうち、プログラム記憶エリアは、操作システム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、データ記憶エリアは、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション電子機器の使用によって新規されるデータなどを記憶することができる。また、メモリ402は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、また、少なくとも1つの磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、又はその他の非一時的なソリッドステートストレージデバイスなどの非一時的なメモリを含むこともできる。いくつかの実施例において、メモリ402は、プロセッサ401に対して遠隔に設置されているメモリを選択的に含むことができ、それらの遠隔メモリは、ネットワークを介し、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション電子機器に接続されることができる。上記のネットワークの実例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0082】
車両加速度計の前進軸のキャリブレーション方法の電子機器は、さらに、入力装置403及び出力装置404を含むことができる。プロセッサ401や、メモリ402、入力装置403及び出力装置404は、バス又はその他の方式によって接続されてもよく、
図4では、バスによって接続される方式を例としている。
【0083】
入力装置403は、入力された数字又はキャラクタ情報を受信し、車両加速度計の前進軸のキャリブレーション電子機器のユーザ設定、および機能制御に関連する鍵信号の入力が発生することができ、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパッド、インディケータロッド、1つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、操縦ハンドルなどの入力装置が挙げられる。出力装置404は、ディスプレイデバイス、補助照明装置(LEDなど)や触感フィードバック装置(振動モータなど)などを含むことができる。該ディスプレイデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイやプラズマディスプレイを含むことができるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスはタッチスクリーンであってもよい。
【0084】
ここに記載のシステムや技術的様々な実施形態は、デジタル電子回路、集積回路システム、特定用途向けASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現されてよい。それらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムに実施される形態を含むことができ、該1つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行及び/又は解釈されることができ、該プログラマブルプロセッサは、特定用途向け、または、汎用プログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、や少なくとも1つの出力装置から、データや命令を受信し、そして、データや命令を該記憶システム、該少なくとも1つの入力装置や、該少なくとも1つの出力装置に伝送することができる。
【0085】
これらコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、または、コードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサの機械命令を含み、これらのコンピュータプログラムをアドバンスプロセス及び/又はオブジェクト指向型プログラミング言語、及び/又はアセンブリ言語/機械言語を利用して実施することができる。例えば、本明細書に使用される用語「機械可読媒体」や「コンピュータ可読媒体」は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための任意のコンピュータプログラム製品、デバイス、及び/又は装置(磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジック装置(PLD)など)のことを指し、機械可読信号としての機械命令を受信する機械可読媒体を含む。用語「機械可読信号」は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための任意の信号のことを指す。
【0086】
本願の実施例により、コンピュータプログラムをさらに提供し、前記コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、電子機器の少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体からコンピュータプログラムを読み取ることができ、少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータプログラムを実行することによって、電子機器に上記実施例に記載の方法を実行させる。
【0087】
ユーザとのインタラクションを提供するために、ここに記載のシステムや技術をコンピュータで実施することができ、該コンピュータは、ユーザへ情報をディスプレイするためのディスプレイ装置(CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニターなど)、及びキーボードやポインティングデバイス(マウス又はトラックボールなど)があり、ユーザは、該キーボードや該ポインティングデバイスを通じ、入力をコンピュータに提供することができる。その他の種類の装置は、ユーザとのインタラクションを提供するために使用されることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形の感覚フィードバック(視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触感フィードバックなど)であってもよく、ユーザからの入力を任意の形(音入力、音声入力又は触感入力を含む)で受信することができる。
【0088】
ここに記載のシステムや技術は、バックグランドコンポーネントを含むコンピュータシステム(データサーバとして作用するなど)に、または、ミドルウェアコンポーネントを含むコンピュータシステム(アプリケーションサーバなど)に、または、フロントエンドコンポーネントを含むコンピュータシステム(図形式のユーザインタフェース、またはネットワークブラウザを備えるユーザコンピュータなど、ユーザは、該図形式のユーザインタフェース、または該ネットワークブラウザを通じてここに記載のシステムや技術に係る実施形態とインタラクションをすることができる)に、またはこのようなバックグランドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、またはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピュータシステムに実施されてもよい。システムのコンポーネントは、任意の形、または媒体のデジタルデータ通信(通信ネットワークなど)を通じて相互に接続することができる。通信ネットワークは、例示的に、ローカルエリアネットワーク(LAN)や、ワイドエリアネットワーク(WAN)及びインターネットを含む。
【0089】
コンピュータシステムは、クライアント端末やサーバを含むことができる。クライアント端末やサーバは、一般的に、互いに遠く離れており、通信ネットワークを通じてインタラクションをしている。対応するコンピュータでの実行、および、互いにクライアント端末・サーバという関係を有するコンピュータプログラムにより、クライアント端末とサーバとの関係を築き上げる。
【0090】
本願の実施例の技術的解決手段により、車両サプライヤーのマークデータに依存する必要がなく、ルートの実際スロープデータ及び車両の走行データに基づいて車両加速度計の前進軸に対するキャリブレーションを実現することができる。具体的に、ルートの実際スロープや、車両内加速度計の3つの軸の加速度データ、および車両が坂道を走行するときに加速度によって満たされる運動学方程式に基づいて、3つの軸の順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性をそれぞれ確定し、さらに、第1の時間帯内において3つの軸のうち、順方向/逆方向のリアルタイムスロープと実際スロープとの方向の一致性が最も高い軸を、前進軸としてキャリブレーションすることができる。
【0091】
上記に示した様々な形のフローを使用し、ステップを改めて並べ替えたり、増加したり、又は削除したりすることができると理解すべきである。例えば、本願に記載の各ステップは、本願に開示された技術的解決手段による所望結果さえ実現されれば、並行して実行されてもよく、順に沿って実行されてもよく、又は順番を乱して実行されてもよいから、本文では、ここで限定されない。
【0092】
上記の具体的な実施形態は、本願の保護範囲に対する制限を構成しない。当業者であれば、設計要件やその他の要素に基づいた様々な修正、組み合わせ、下位組み合わせや代替が可能であると理解すべきである。本願の精神や原則の範囲内に行われるすべての修正、等価置換や改善は、いずれも本願の保護範囲に含まれるべきである。