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特許7158114洗浄方法、洗浄装置および半導体ウエハの保持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】洗浄方法、洗浄装置および半導体ウエハの保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221014BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20221014BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/304 643B
B08B3/02 B
B08B3/10 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018093736
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2019201068
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】500333198
【氏名又は名称】ナチュラン・インターナショナル有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】松本 重樹
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-035824(JP,A)
【文献】特開平11-251414(JP,A)
【文献】特開2008-093577(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017700(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/02
B08B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用ガスとしてのオゾンが純水に加圧溶解された洗浄液を通過させることにより、オゾンのマイクロバブルを含む洗浄液を噴射する第1噴射ノズル及び第2噴射ノズルと、
上下方向に伸びる回転軸線を中心として回転されると共に該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの外周縁部に設けられて、半導体ウエハの外周縁部を下方から支持することにより該半導体ウエハを該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ、該ターンテーブルが回転されたときには、そのときの遠心力の作用によって該半導体ウエハの側端面を押圧する複数の保持機構と、を用意し、その上で、
前記ターンテーブルを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させつつ、前記第1噴射ノズルからオゾンのマイクロバブルを含む洗浄液を該半導体ウエハにおける上面の回転中心付近に供給すると共に、前記第2噴射ノズルからオゾンのマイクロバブルを含む洗浄液を前記ターンテーブルの貫通孔を介して該半導体ウエハの下面の回転中心付近に供給し、
その際、前記第2噴射ノズルからの噴射流を前記ターンテーブルの貫通孔よりも縮径された流れとする、
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
上下方向に延びる回転軸線を中心に回転駆動され、該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの外周縁部にその周方向において略等間隔に3個以上設けられ、薄葉状の洗浄対象物を、該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ該洗浄対象物の表側面及び裏側面のいずれか一方を上方に向けた状態で保持する複数の保持機構と、
前記複数の保持機構によって保持された前記洗浄対象物の上方に配設され、該洗浄対象物の上面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に指向された第1噴射ノズルと、
前記複数の保持機構によって保持された前記洗浄対象物の下方に配設され、該洗浄対象物の下面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に前記ターンテーブルの貫通孔を介して指向された第2噴射ノズルと、
洗浄用ガスが加圧溶解された洗浄液を貯溜し、該洗浄液を前記第1噴射ノズル及び前記第2噴射ノズルに圧送する溶解タンクと、を備え、
前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルが、前記溶解タンクから圧送される洗浄液を通過させることによりマイクロバブルを生成して、該マイクロバブルを含む洗浄液をそれぞれ噴射する洗浄装置であって、
前記複数の各保持機構には、前記ターンテーブルに対して上下方向に延びる揺動軸線を中心に揺動可能に保持された帯状の揺動部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向一方側において設けられる第1ピン部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向他方側において設けられて重錘部をなす第2ピン部と、がそれぞれ備えられ、
前記第1、第2ピン部は、前記揺動部の上面から上方に向けて、大径部と該大径部よりも小径とされた小径部とをもってそれぞれ形成され、
前記第1、第2ピン部における前記大径部と前記小径部との段差面が、前記洗浄対象物の外周縁部を着座させる支持部とされ、
前記第1ピン部における小径部の側面が、前記揺動部の揺動に応じて前記洗浄対象物の側端面に対して接近・離間される押圧部とされている、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2噴射ノズルは、該第2噴射ノズルからのマイクロバブルを含む洗浄液を前記ターンテーブルの貫通孔よりも縮径された噴射流をもって該貫通孔を介して前記洗浄対象物の下面に供給するように設定されている、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ターンテーブルの回転軸が、中空状とされて、前記貫通孔と整合されており、
前記第2噴射ノズルが、前記回転軸内に配設されている、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれか1項において、
前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルがそれぞれ、ノズル本体部と誘導ノズル部とを有し、
前記ノズル本体部が、洗浄用のガスが溶解された洗浄液が通過される過程でマイクロバブルを生成して、該マイクロバブル含む洗浄液を前記誘導ノズル内に吐出するようにされ、
前記誘導ノズルが、前記ノズル本体部から吐出されるマイクロバブルを含む洗浄液を勢いよく噴射させる、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
上下方向に延びる回転軸線を中心に回転駆動され、該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルに設けられ、薄葉状の洗浄対象物を、該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ該洗浄対象物の表側面及び裏側面のいずれか一方を上方に向けた状態で保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された前記洗浄対象物の上方に配設され、該洗浄対象物の上面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に指向された第1噴射ノズルと、
前記保持機構によって保持された前記洗浄対象物の下方に配設され、該洗浄対象物の下面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に前記ターンテーブルの貫通孔を介して指向された第2噴射ノズルと、
洗浄用ガスが加圧溶解された洗浄液を貯溜し、該洗浄液を前記第1噴射ノズル及び前記第2噴射ノズルに圧送する溶解タンクと、を備え、
前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルが、前記溶解タンクから圧送される洗浄液を通過させることによりマイクロバブルを生成して、該マイクロバブルを含む洗浄液をそれぞれ噴射する洗浄装置であって、
前記第2噴射ノズルは、該第2噴射ノズルからのマイクロバブルを含む洗浄液を前記ターンテーブルの貫通孔よりも縮径された噴射流をもって該貫通孔を介して前記洗浄対象物の下面に供給するように設定されている、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記保持機構が、前記ターンテーブルの外周縁部において周方向に略等間隔に3個以上設けられ、
前記複数の保持機構はそれぞれ、前記ターンテーブルに対して上下方向に延びる揺動軸線を中心に揺動可能に保持された揺動部と、該揺動部に設けられて前記洗浄対象物の外周縁部が着座される支持部と、前記揺動部のうち前記揺動軸線と偏心した位置に設けられると共に該揺動部の揺動に応じて前記洗浄対象物の側端面に対して接近・離間される押圧部と、該揺動部のうち前記揺動軸線を挟んで前記押圧部とは反対側に設けられた重錘部と、を有し、
前記ターンテーブルが回転されたときに、前記重錘部に作用する遠心力によって前記揺動部が揺動されることにより、前記押圧部が前記洗浄対象物の側端面を押圧する、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項8】
請求項2ないし請求項7のいずれか1項において、
前記洗浄用ガスがオゾンであり、
前記洗浄対象物が半導体ウエハである、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項9】
半導体ウエハを水平状態で回転可能に保持するための保持装置であって、
上下方向に延びる回転軸線を中心に回転駆動され、該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの外周縁部にその周方向において略等間隔に3個以上設けられ、前記半導体ウエハを、該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ該半導体ウエハの表側面及び裏側面のいずれか一方を上方に向けた状態で保持する複数の保持機構と、
を備え、
前記複数の各保持機構には、前記ターンテーブルに対して上下方向に延びる揺動軸線を中心に揺動可能に保持された帯状の揺動部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向一方側において設けられる第1ピン部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向他方側において設けられて重錘部をなす第2ピン部と、がそれぞれ備えられ、
前記第1、第2ピン部は、前記揺動部の上面から上方に向けて、大径部と該大径部よりも小径とされた小径部とをもってそれぞれ形成され、
前記第1、第2ピン部における前記大径部と前記小径部との段差面が、前記半導体ウエハの外周縁部を着座させる支持部とされ、
前記第1ピン部における小径部の側面が、前記揺動部の揺動に応じて前記半導体ウエハの側端面に対して接近・離間される押圧部とされている、
ことを特徴とする半導体ウエハの保持装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄方法、洗浄装置および半導体ウエハの保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体ウエハ等の洗浄対象物にあっては、付着したパーティクルや有機物等を除去するための洗浄が行われる。特許文献1には、洗浄液としてオゾン水を用いるものが開示されている。また、特許文献2には、例えば半導体ウエハの洗浄のために、オゾンが溶解された洗浄液が通過された際にマイクロバブルを生成して、マイクロバブルを含む洗浄液を噴射する噴射ノズルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-177535公報
【文献】特開2017-191855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗浄対象物が薄物である場合、例えば半導体ウエハのように薄葉状である場合、その表側面と裏側面とを共に洗浄することが望まれるが、その洗浄をいかに効率的に行うかが重要となる。
【0005】
また、例えば半導体ウエハのように薄葉状のものを水平状態で回転させつつ洗浄する場合、その表側面と裏側面とを洗浄するために、半導体ウエハをその側端面で保持することが望まれることになる。この一方、半導体ウエハの厚さが薄くなるにつれて、その側端面での保持力、特に径方向内方側に向かうような保持力が大きくなりすぎると、半導体ウエハを損傷(座屈)させてしまう可能性が高くなるという問題を生じる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、薄物とされた洗浄対象物の表側面と裏側面とを効率よく洗浄できるようにした洗浄方法を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、上記洗浄方法を実施するために用いて好適な洗浄装置を提供することにある。
【0008】
本発明の第3の目的は、薄葉状物としての半導体ウエハをその側端面で保持させる場合に、半導体ウエハが保持力を受けて不用意に損傷してしまう事態を防止できるようにした半導体ウエハの保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記第1の目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
洗浄用ガスとしてのオゾンが純水に加圧溶解された洗浄液を通過させることにより、オゾンのマイクロバブルを含む洗浄液を噴射する第1噴射ノズル及び第2噴射ノズルと、
上下方向に伸びる回転軸線を中心として回転されると共に該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの外周縁部に設けられて、半導体ウエハの外周縁部を下方から支持することにより該半導体ウエハを該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ、該ターンテーブルが回転されたときには、そのときの遠心力の作用によって該半導体ウエハの側端面を押圧する複数の保持機構と、を用意し、その上で、
前記ターンテーブルを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させつつ、前記第1噴射ノズルからオゾンのマイクロバブルを含む洗浄液を該半導体ウエハにおける上面の回転中心付近に供給すると共に、前記第2噴射ノズルからオゾンのマイクロバブルを含む洗浄液を前記ターンテーブルの貫通孔を介して該半導体ウエハの下面の回転中心付近に供給し、
その際、前記第2噴射ノズルからの噴射流を前記ターンテーブルの貫通孔よりも縮径された流れとする、
ようにしてある。上記解決手法によれば、半導体ウエハの表側面と裏側面とを同時に洗浄できるので、表側面と裏側面とを別工程で洗浄する場合に比して、洗浄効率のよいものとなる。また、マイクロバブルを含む洗浄液でもって洗浄することから、マイクロバブルを含まない洗浄液でもって洗浄する場合に比して、洗浄効果を高めて洗浄時間を短くすることができ、より一層洗浄効率を高めることができる。
【0010】
また、半導体ウエハを上下方向に延びる所定の回転軸線を中心にして回転させつつ、前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルからのマイクロバブルを含む洗浄液をそれぞれ該洗浄対象物の回転中心付近に供給することから、この場合、洗浄対象物に供給されたマイクロバブルを含む洗浄液を、洗浄対象物の回転中心付近から外周縁部方向へと流すようにして、半導体ウエハの表側面と裏側面との広い面積範囲を均一に洗浄することができる。
【0011】
【0012】
さらに、前記半導体ウエハを、あらかじめ、前記回転軸線を中心として回転されるターンテーブルに設けられた複数の保持機構によって保持させ、その後、前記ターンテーブルを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させつつ、前記第1噴射ノズルと前記第2噴射ノズルとからマイクロバブルを含む洗浄液が該半導体ウエハに供給されることから、マイクロバブルを含む洗浄液を洗浄対象物の回転中心付近へ供給するための具体的な態様が提供される。
【0013】
さらにまた、前記複数の保持機構は、前記半導体ウエハの外周縁部を下方から支持しつつ、前記ターンテーブルが回転されたときの遠心力の作用によって該ターンテーブル上の半導体ウエハの側端面を押圧する、ようにしてあることから、ターンテーブルの回転によって生じる遠心力を有効に利用して、半導体ウエハの側端面に対する保持用の押圧力を適切に得ることができる。また、半導体ウエハの側端面を不用意に強く押圧してしまう事態も防止されて、半導体ウエハが損傷されるのを防止する上でも好ましいものとなる。
【0014】
加えて、前記ターンテーブルの回転中心部に、貫通孔が形成され、前記第2噴射ノズルからのマイクロバブルを含む洗浄液が、前記貫通孔を通して上方へ向けて噴射されることから、下方からのマイクロバブルを含む洗浄液の具体的な供給態様を提供することができる。
【0015】
【0016】
【0017】
加えてまた、前記洗浄液が、オゾンが溶解された純水とされていることから、オゾンをマイクロバブル化して、強力な洗浄効果を得ることができる。
【0018】
前記第2の目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項に記載のように、
上下方向に延びる回転軸線を中心に回転駆動され、該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの外周縁部にその周方向において略等間隔に3個以上設けられ、薄葉状の洗浄対象物を、該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ該洗浄対象物の表側面及び裏側面のいずれか一方を上方に向けた状態で保持する複数の保持機構と、
前記複数の保持機構によって保持された前記洗浄対象物の上方に配設され、該洗浄対象物の上面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に指向された第1噴射ノズルと、
前記複数の保持機構によって保持された前記洗浄対象物の下方に配設され、該洗浄対象物の下面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に前記ターンテーブルの貫通孔を介して指向された第2噴射ノズルと、
洗浄用ガスが加圧溶解された洗浄液を貯溜し、該洗浄液を前記第1噴射ノズル及び前記第2噴射ノズルに圧送する溶解タンクと、を備え、
前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルが、前記溶解タンクから圧送される洗浄液を通過させることによりマイクロバブルを生成して、該マイクロバブルを含む洗浄液をそれぞれ噴射する洗浄装置であって、
前記複数の各保持機構には、前記ターンテーブルに対して上下方向に延びる揺動軸線を中心に揺動可能に保持された帯状の揺動部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向一方側において設けられる第1ピン部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向他方側において設けられて重錘部をなす第2ピン部と、がそれぞれ備えられ、
前記第1、第2ピン部は、前記揺動部の上面から上方に向けて、大径部と該大径部よりも小径とされた小径部とをもってそれぞれ形成され、
前記第1、第2ピン部における前記大径部と前記小径部との段差面が、前記洗浄対象物の外周縁部を着座させる支持部とされ、
前記第1ピン部における小径部の側面が、前記揺動部の揺動に応じて前記洗浄対象物の側端面に対して接近・離間される押圧部とされている、
ようにしてある。
【0019】
上記第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項3~5、8に記載のとおりである。すなわち、
前記第2噴射ノズルは、該第2噴射ノズルからのマイクロバブルを含む洗浄液を前記ターンテーブルの貫通孔よりも縮径された噴射流をもって該貫通孔を介して前記洗浄対象物の下面に供給するように設定されている構成とされている(請求項3対応)。
【0020】
前記ターンテーブルの回転軸が、中空状とされて、前記貫通孔と整合されており、
前記第2噴射ノズルが、前記回転軸内に配設されている、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、回転軸内のスペースを有効に利用して、
第2噴射ノズルを配設することができる。
【0021】
前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルがそれぞれ、ノズル本体部と誘導ノズル部とを有し、
前記ノズル本体部が、洗浄用のガスが溶解された洗浄液が通過される過程でマイクロバブルを生成して、該マイクロバブル含む洗浄液を前記誘導ノズル内に吐出するようにされ、
前記誘導ノズルが、前記ノズル本体部から吐出されるマイクロバブルを含む洗浄液を勢いよく噴射させる、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、洗浄対象物へ向けて十分な勢いでマイクロバブルを含む洗浄液を噴射することができる。また、噴射ノズルを洗浄対象物からかなり離間させた位置に配設することが可能となり、噴射ノズル配設の自由度を高める上でも好ましいものとなる。
前記洗浄用ガスがオゾンであり、
前記洗浄対象物が半導体ウエハである、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、オゾンをマイクロバブル化して、強力な洗浄効果を得ることができる。
【0022】
また、前記第2の目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項6に記載のように、
上下方向に延びる回転軸線を中心に回転駆動され、該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルに設けられ、薄葉状の洗浄対象物を、該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ該洗浄対象物の表側面及び裏側面のいずれか一方を上方に向けた状態で保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された前記洗浄対象物の上方に配設され、該洗浄対象物の上面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に指向された第1噴射ノズルと、
前記保持機構によって保持された前記洗浄対象物の下方に配設され、該洗浄対象物の下面でかつ該洗浄対象物の回転中心付近に前記ターンテーブルの貫通孔を介して指向された第2噴射ノズルと、
洗浄用ガスが加圧溶解された洗浄液を貯溜し、該洗浄液を前記第1噴射ノズル及び前記第2噴射ノズルに圧送する溶解タンクと、を備え、
前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルが、前記溶解タンクから圧送される洗浄液を通過させることによりマイクロバブルを生成して、該マイクロバブルを含む洗浄液をそれぞれ噴射する洗浄装置であって、
前記第2噴射ノズルは、該第2噴射ノズルからのマイクロバブルを含む洗浄液を前記ターンテーブルの貫通孔よりも縮径された噴射流をもって該貫通孔を介して前記洗浄対象物の下面に供給するように設定されている構成とされている。
上記第2の解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項7、8に記載のとおりである。すなわち、
前記保持機構が、前記ターンテーブルの外周縁部において周方向に略等間隔に3個以上設けられ、
前記複数の保持機構はそれぞれ、前記ターンテーブルに対して上下方向に延びる揺動軸線を中心に揺動可能に保持された揺動部と、該揺動部に設けられて前記洗浄対象物の外周縁部が着座される支持部と、前記揺動部のうち前記揺動軸線と偏心した位置に設けられると共に該揺動部の揺動に応じて前記洗浄対象物の側端面に対して接近・離間される押圧部と、該揺動部のうち前記揺動軸線を挟んで前記押圧部とは反対側に設けられた重錘部と、を有し、
前記ターンテーブルが回転されたときに、前記重錘部に作用する遠心力によって前記揺動部が揺動されることにより、前記押圧部が前記洗浄対象物の側端面を押圧する、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、遠心力を利用して適切な押圧力を得るための具体的な構成が提供される。
前記洗浄用ガスがオゾンであり、
前記洗浄対象物が半導体ウエハである、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、オゾンをマイクロバブル化して、強力な洗浄効果を得ることができる。
【0023】
前記第3の目的を達成するため、本発明にあっては次のような第3の解決手法を採択してある。すなわち、請求項に記載のように、
半導体ウエハを水平状態で回転可能に保持するための保持装置であって、
上下方向に延びる回転軸線を中心に回転駆動され、該回転軸線上において貫通孔を有するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの外周縁部にその周方向において略等間隔に3個以上設けられ、前記半導体ウエハを、該ターンテーブルの上面から上方に離間させつつ該半導体ウエハの表側面及び裏側面のいずれか一方を上方に向けた状態で保持する複数の保持機構と、
を備え、
前記複数の各保持機構には、前記ターンテーブルに対して上下方向に延びる揺動軸線を中心に揺動可能に保持された帯状の揺動部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向一方側において設けられる第1ピン部と、該揺動部の上面に前記揺動軸線を基準として該揺動部の伸び方向他方側において設けられて重錘部をなす第2ピン部と、がそれぞれ備えられ、
前記第1、第2ピン部は、前記揺動部の上面から上方に向けて、大径部と該大径部よりも小径とされた小径部とをもってそれぞれ形成され、
前記第1、第2ピン部における前記大径部と前記小径部との段差面が、前記半導体ウエハの外周縁部を着座させる支持部とされ、
前記第1ピン部における小径部の側面が、前記揺動部の揺動に応じて前記半導体ウエハの側端面に対して接近・離間される押圧部とされている、
ようにしてある.上記解決手法によれば、薄葉状物としての半導体ウエハを回転保持させるための好ましい保持装置が提供される。特に、請求項の場合と同様に、ターンテーブルの回転によって生じる遠心力を有効に利用して、半導体ウエハの側端面に対する保持用の押圧力を適切に得ることができる。また、半導体ウエハの側端面を不用意に強く押圧してしまう事態も防止されて、半導体ウエハが損傷されるのを防止する上でも好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、洗浄対象物を効率よく洗浄することができ、また洗浄対象物や半導体ウエハを損傷させることなく適切な押圧力でもって保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】洗浄対象物が半導体ウエハである場合の実施形態を示す全体システム図。
図2図1に示す半導体ウエハを回転可能に保持するターンテーブルを示す平面図。
図3】半導体ウエハを保持している部分を示す要部斜視図。
図4】ターンテーブル停止時での保持部の状態を示す平面図。
図5】ターンテーブル回転時での保持部の状態を示す平面図。
図6】ターンテーブルの下方に配設された第2噴射ノズルの配設例を示す要部断面図。
図7】噴射ノズルの一例を示す断面図。
図8】洗浄対象物が薄い長尺物である場合の実施形態を示す簡略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1において、Wは、薄物の洗浄対象物である。洗浄対象物Wは、薄葉状とされて、実施形態では円板状の半導体ウエハとされている。洗浄対象物Wは、水平方向に延びる姿勢状態とされて、その上面が符号1で示され、その下面が符号2で示され、その側端面が符号3で示される。
【0027】
洗浄対象物Wの上方には、第1噴射ノズル11が配設されている。また、洗浄対象物Wの下方には、第2噴射ノズル12が配設されている。各噴射ノズル11、12は、洗浄対象物Wのうち、回転中心付近に向けて指向されている。そして、第1噴射ノズル11、第2噴射ノズルからは、マイクロバブルを含む洗浄液が、洗浄対象物Wの回転中心付近に向けて噴射される。
【0028】
各噴射ノズル11、12に対しては、洗浄用ガス(実施形態ではオゾン)が溶解された洗浄液が圧送される。洗浄液が噴射ノズル11、12を通過する過程で、マイクロバブルが生成される。マイクロバブルを含む洗浄液が第1噴射ノズル11、第2噴射ノズル12から同時に噴射されて、洗浄対象物Wの上面1と下面2とが同時に洗浄される。
【0029】
次に、洗浄用ガス(実施形態ではオゾン)が溶解された洗浄液を生成する部分の構成について説明する。まず、20は、密閉された混合タンクである。この混合タンク20には、配管39を介して、洗浄用ガスとしてのオゾンを生成するためのるオゾン生成装置22が、接続されている。配管39には、調整弁40(実施形態ではエア作動弁で、オン、オフ式に開閉される)が接続されている。調整弁40によって、混合タンク20へ供給されるオゾン量が調整される。配管39は、混合タンク20内に配設されると共に下方に向けて開口されたカップ部材41内に開口されている。
【0030】
混合タンク20には、配管24を介して、洗浄液供給装置25が接続されている。洗浄液は、実施形態では純水とされている。配管24には、調整弁26(実施形態ではエア作動弁で、オン、オフ式に開閉される)が接続されている。調整弁26によって、混合タンクは供給される洗浄液の量が調整される。
【0031】
混合タンク20には、その外部に位置されてその上部と下部とを連通する連通管27a
が接続されている。この連通管27aに液面センサ27bが付設されている。液面センサ27bは、連通管27a内での液面高さ位置を検出するものである。液面センサ27bで検出される液面高さ位置が、所定高さ範囲となるように、調整弁26が制御される。なお、液面センサ27bとしては、混合タンク20内に配設されるもの等、適宜のものを用い
ることができる。
【0032】
図中、30は、密閉構造とされた溶解タンクである。この溶解タンク30は、配管31を介して、混合タンク20に対して接続されている。配管31は、混合タンク20内においては、前述したカップ部材41内に開口されている。配管31には、圧送用ポンプ32が接続されている。圧送用ポンプ32によって、混合タンク20内の洗浄ガスを含む洗浄液が、溶解タンク30に圧送される。圧送用ポンプ32は、実施形態では容積式ポンプを用いてあるが、非容積式ポンプを用いる等、適宜の形式のポンプを用いることができる。なお、容積式ポンプとしては、例えばダイヤフラムポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ、プランジャポンプ等を用いることができる。
【0033】
溶解タンク30内には、上下方向に延ばして、噴射パイプ33が配設されている。上記配管31は、噴射パイプ33の下端に接続されている。また、噴射パイプ33の上端は,閉塞されている。そして、噴射パイプ33の上部には、周方向に間隔をあけて複数の噴射孔33aが開口されている。複数の噴射孔33aの少なくとも一部は、溶解タンク30の内壁の近くに位置される。噴射パイプ33内に圧送された洗浄液は、噴射孔33aから溶解タンク30内に噴射されて、洗浄用ガス(オゾン)が、洗浄液(純水)に対して十分に溶解される。
【0034】
溶解タンク30には、その外部に位置されてその上部と下部とを連通する連通管34a
が接続されている。この連通管34aに液面センサ34bが付設されている。液面センサ34bは、連通管34a内での液面高さ位置を検出するものである。なお、液面センサ34bとしては、溶解タンク30内に配設されるもの等、適宜のものを用いることができる。
【0035】
溶解タンク30内の上部には、常時空間35を有するようにされる。この空間35によって、溶解タンク30内における洗浄液の脈動が低減される。溶解タンク30には、空間35に連通させて、外部に延びる配管36が接続されている。この配管36には、2つの調整弁37、調整弁38が直列に接続されている。調整弁37はエア作動弁とされて、オン、オフ式に開閉される。調整弁38は、例えば電磁式とされて、その開度が微調整可能とされている。
【0036】
上記液面センサ34bで検出される液面高さ位置が、所定高さ範囲となるように(少なくとも空間35が所定高さ範囲となるように)、調整弁37、38が制御される。また、空間35内の圧力が0.2~0.6MPa程度に維持されるように制御される。
【0037】
溶解タンク30の底部に対して配管42の一端部が接続されている。この配管42の他端部は、第1噴射ノズル11に接続されている。配管42から分岐された分岐配管42aが、第2噴射ノズル12に接続されている。これにより、溶解タンク30内で高圧とされたオゾンを含む洗浄液が、各噴射ノズル11、12に供給される。
【0038】
配管42には、分岐配管42aよりも溶解タンク30側において、ヒータ45(例えば電気式ヒータ)が接続されている。これにより、噴射ノズル11、12に供給される洗浄液が適切な温度(例えば40℃~60℃)に管理される。
【0039】
配管42には、分岐配管42aよりも第1噴射ノズル11側において、調整弁46(実施形態ではエア作動弁で、オン、オフ式に開閉される)が接続されている。また、分岐配管42aには、調整弁47(実施形態ではエア作動弁で、オン、オフ式に開閉される)が接続されている。各調整弁46、47を制御することによって、第1噴射ノズル11と第2噴射ノズル12の両方から洗浄液を噴射する第1噴射態様と、第1噴射ノズル11から
のみ洗浄液を噴射させる第2噴射態様と、第2噴射ノズル12からのみ洗浄液を噴射させる第3噴射態様と、を選択することが可能である。勿論、噴射ノズル11と12の両方からの洗浄液の噴射を停止した噴射停止状態も選択される。なお、本実施形態では、洗浄液を噴射する噴射態様としては、両方の噴射ノズル11と12の両方から同時に洗浄液を噴射する第1噴射態様を行うようになっている。
【0040】
各噴射ノズル11、12に圧送されたオゾンを含む洗浄液は、各噴射ノズル11、12内を通過する過程でマイクロバブルを生成して、マイクロバブルを含む洗浄液が各噴射ノズル11、12から噴射されることになる。なお、各噴射ノズル11、12でのマイクロバブルの生成に関する事項については、後述する。
【0041】
次に、洗浄対象物Wを回転可能に保持する保持装置50の一例について、図2図5を参照しつつ説明する。まず、図2に示すように、保持装置50は、水平方向に延びるターンテーブル51と、ターンテーブル51に保持された保持機構60と、を有する。ターンテーブル51は、その下面中央に、中空状(実施形態では円筒状)の回転軸52が固定されている(図6参照)。回転軸52は、上下方向に延びて、回転軸52の軸線が、ターンテーブル51の回転軸線αとなる。
【0042】
ターンテーブル51の中央には、貫通孔51aが形成されている。この貫通孔51aは、回転軸52と同心状とされて、回転軸52内に連通されている(回転軸52内に臨んでいる)。中空の回転軸52内には、回転軸52に対して径方向に離間させた状態で、第2噴射ノズル12が固定配置されている(図6参照)。
【0043】
回転軸52は、図示を略すギア、ベルト等を介して、駆動モータ53が連結されている。コントローラUによって、モータ53を駆動制御することにより、ターンテーブル51(したがってターンテーブル51に保持された洗浄対象物W)が回転駆動される。なお、コントローラUは、前述した圧送用ポンプ32や各調整弁26、37、38、40、46、47を制御する(このため、コントローラUには、液面センサ27b、34bからの信号が入力されるようになっている)。
【0044】
保持機構60は、ターンテーブル51の外周縁部に設けられている。実施形態では、ターンテーブル51の周方向180度間隔で、合計3個の保持機構60が保持されている。
【0045】
保持機構60は、ターンテーブル51に固定されたベース部61を有する。ベース部61には、連結ピン62を介して、水平方向に揺動可能として揺動部63が保持されている。連結ピン62の軸線が、上下方向に延びる揺動軸線βを構成する。
【0046】
揺動部63の一端部には、上方に向けて短く延びる第1ピン部64が固定されている。第1ピン部64は、大小異型の円柱状とされていて、下部が大径部64aとされ、上部が小径部64bとされている。
【0047】
揺動部63の他端部には、上方に向けて短く延びる第2ピン部65が固定されている。第2ピン部65は、大小異型の円柱状とされていて、下部が大径部65aとされ、上部が小径部65bとされている。
【0048】
第2ピン部65は、連結ピン62を挟んで第1ピン部64とは反対側に位置されている。この第2ピン部65は、第1ピン部64に比して、十分に重い重錘部を構成している。
【0049】
各ピン部64、65の大径部64aと65aとの上面が、洗浄対象物Wの外周縁部を下方から支持する支持部を構成する。各小径部64b、65bは、大径部64a、65aに
支持された洗浄対象物Wよりも、ターンテーブル51の径方向外方側に位置される。そして、第1ピン部64の小径部64b(の側面)が、揺動部63の揺動に応じて、洗浄対象物Wの側端面3に当接、離間可能とされている。つまり、小径部64bが、押圧部(圧接部)を構成している。なお、ベース部61の端部には、揺動部63が所定以上揺動するのを規制するストッパ部61aが上方に向けて突出形成されている。
【0050】
図4は、ターンテーブル51が停止状態のときである。この図4に示す状態で、洗浄対象物Wの外周縁部が、支持部としての大径部64a、65aの上面に対して着座される(下方から支持される)。この状態で、ターンテーブル51を、例えば図5矢印γで示す方向に回転駆動させると、回転に伴う遠心力によって、重錘部となる第2ピン部65がターンテーブル51の径方向外側に向かう外力を受けることになる。この結果、揺動部63が、図5中時計方向に揺動されて、押圧部としての第1ピン部64の小径部64b(の側面)が、洗浄対象物Wの側端面3を押圧する(圧接される)。小径部64bからの押圧力は、ターンテーブル51の回転数が大きくなるほど大きくされる。
【0051】
ターンテーブル51の回転により生じる小径部64bの押圧力は、洗浄対象物Wの径方向内方側に向かう方向となる。この一方、洗浄対象物Wには、ターンテーブル51の回転に応じて、径方向外方側に向かう力を受けることになる。したがって、小径部64bからの押圧力と洗浄対象物Wが受ける径方向側に向かう力とが相対向されることになる。
【0052】
したがって、ターンテーブル51の回転数が大きくなって、小径部64bの押圧力が大きくなっても、洗浄対象物Wが径方向において座屈されてしまう事態が防止される。このように、小径部64bの応圧力は、ターンテーブル51の回転数に応じて適切なものとされる。ちなみに、ターンテーブル51を回転させることなく、小径部64bの応圧力のみを大きくした場合は、洗浄対象物Wが座屈等によって損傷(破損)されてしまう可能性が高いものとなる。
【0053】
図5の状態から図4の状態に復帰させるには、例えば、ターンテーブル51の回転が停止する直前に、ターンテーブル51を逆転(矢印γとは反対方向へ回転させる)させることによって行うことができる。また、例えば連結ピン62を取り巻くリターンスプリングを利用して、図4に示す位置に復帰させることもできる。
【0054】
洗浄対象物Wのターンテーブル51への設置と除去とは、図4の状態で、例えば搬送ロボット等によって行うことができる。
【0055】
次に、図7を参照しつつ、各噴射ノズル11、12の一例について説明する。なお、両噴射ノズル11と12とは同一構造とされているので、第1噴射ノズル11に着目して説明する。
【0056】
第1噴射ノズル11は、大別して、ノズル本体部70と、誘導ノズル部80とによって構成されている。ノズル本体部70は、特許文献2に記載のものと同様なものを用いてあるので、簡単に説明する。ノズル本体部70における洗浄液の流路71内には、オリフィス74、フィルタ75a~75c、分離スペーサ76a~76c、および固定スペーサ77が配置されている。その配設順は、洗浄液の流入側から順次、オリフィス74、分離スペーサ76a、フィルタ75a、分離スペーサ76b、フィルタ75b、分離スペーサ76c、フィルタ75c、固定スペーサ77の順とされている。これの部品は、ノズル本体部70から取外して交換することも可能である。
【0057】
オリフィス74は、所定の厚みを有する円板であり、その中心には円形の孔が開けられている。オリフィス74の厚みは、例えば3mmである。オリフィス74の中心に開けら
れた孔の直径は、例えば0.5mmである。
【0058】
フィルタ75a~75cは、複数の小孔が開けられた円板である。複数の小孔の直径は、例えば0.5mmである。複数の小孔のピッチは、例えば1.5mmである。フィルタ75a~75cの厚みは、例えば3mmである。
【0059】
分離スペーサ76a~76cは、所定の厚みを有する円板であり、その中心には円形の孔が開けられている。分離スペーサ76a~76cの厚みは、例えば0.4mmである。分離スペーサ76a~76cの中心に開けられた孔の直径は、例えば8.0mmである。
【0060】
固定スペーサ77は、所定の厚みを有する円板であり、その中心には円形の孔が開けられている。固定スペーサ77の厚みは、例えば3.2mmである。固定スペーサ77の中心に開けられた孔の直径は、例えば8.0mmである。
【0061】
洗浄用ガスが溶解された洗浄液がノズル本体部70を通過することにより、ノズル本体部70からはマイクロバブルを含む洗浄液が噴射される。すなわち、洗浄用ガスが溶解された洗浄液は、オリフィス74、フィルタ75a~75c、分離スペーサ76a~76cおよび固定スペーサ77を通過することにより気泡が生成される。この気泡のうち、30~90%がマイクロバブル(実施形態では粒径が例えば1~50μm)とされる。なお、マイクロバブルの粒径は、小さいほど好ましく(粒径の下限値はなし)、100μm以下とするのが好ましい。
【0062】
ノズル本体部70からの吐出圧力は、例えば約0.1MPaとすることができる(大気圧よりもやや高い圧力)。ノズル本体部70を用いることによって、オゾンを含む洗浄液中により多くのマイクロバブルを発生させることが可能であり、洗浄液の洗浄力をより高めることが可能である。
【0063】
誘導ノズル部80は、ノズル本体部70の外周に密に嵌合されている。誘導ノズル部80は、小容積部81と、小容積部81から延びる細長いノズル部82と、を有する。ノズル本体部70から噴射されるマイクロバブルを含む洗浄液は、小容積部81に吐出されるが、径方向側に向けて広く拡散されるのが防止される。これにより、マイクロバブルを含む洗浄液の圧力が急激に低下されてしまうことが防止あるいは抑止される。そして、ある程度の圧力を有するマイクロバブルを含む洗浄液が、細長いノズル部82を通ることにより、ノズル82の先端から勢いよく噴射されることになる。
【0064】
第1噴射ノズル11と洗浄対象物Wとの離間距離が小さい場合や大きな噴射圧力を必要としないときは、誘導ノズル部80を有しないものとすることができる。ただし、誘導ノズル部80を設けることによって、噴射の勢いを高めたり、その指向性を高めることができる。
【0065】
図8は、本発明の第2の実施形態を示すものである。本実施形態では、洗浄対象物WBが、例えばフレキシブル半導体等の長尺の薄膜とされている。洗浄対象物WBは、多数のローラ91によって、図中左方側から右方側へと搬送される(ロール・ツー・ロール方式での搬送)。
【0066】
洗浄対象物WBは、搬送過程において、第1部位L1、第2部位L2、第3部位L3、第4部位L4、第5部位L5を順次通過する。洗浄対象物WBは、第1部位L1では水平状態とされ、第2部位L2では斜め下方に向かう傾斜状態とされ、第3部位L3では再び水平状態とされ、第4部位L4では斜め上方に向かう傾斜状態とされ、第5部位L5では再び水平状態とされる。
【0067】
上記第1部位L1において、洗浄対象物WBの上方に第1噴射ノズル11が配設されると共に、洗浄対象物WBの下方に第2噴射ノズル12が配設される。各噴射ノズル11、12はそれぞれ、搬送方向に直列に複数配設されると共に、洗浄対象物WBの幅方向(紙面直角方向)においても並列に複数配設されている。
【0068】
各噴射ノズル11と12とから同時にマイクロバブルを含む洗浄液が噴射されて、洗浄対象物WBの上面と下面とが同時に洗浄される。噴射されたマイクロバブルを含む洗浄液は、下方に向けて傾斜された第2部位L2の位置でもって、下方に滴下される。滴下されたマイクロバブルを含む洗浄液は、各部位L1、~L4の下方に配設された回収ボックス92内に回収される。
【0069】
ここで、マイクロバブルを含む洗浄液と、マイクロバブルを含まない洗浄液との洗浄効果の相違について実験を行った。実験は、図1のような洗浄システムでもって行った。洗浄対象物Wとしては、半導体ウエハを用いた。洗浄効果を示す指標としては、半導体ウエハに塗布されたi線用フォトレジストの溶解速度を用いた。洗浄液として純水を用い、洗浄用ガスとしてオゾン(オゾン水で、濃度は50mg/L)を用いた。
【0070】
室温20℃での実験では、i線用フォトレジストの溶解速度が、マイクロバブルを含む洗浄液を使用した場合は120nm/minであり、マイクロバブルを含まない洗浄液(純水のみ)の場合は40nm/minであった(マイクロバブルを含む洗浄液を使用する洗浄効果が3倍)。
【0071】
室温50℃での実験では、i線用フォトレジストの溶解速度が、マイクロバブルを含む洗浄液を使用した場合は360nm/minであり、マイクロバブルを含まない洗浄液(純水のみ)の場合は80nm/minであった(マイクロバブルを含む洗浄液を使用する洗浄効果が4.5倍)。
【0072】
上記の実験結果から明らかなように、マイクロバブルを含む洗浄液を用いた洗浄を行うことにより、洗浄効果(洗浄効率)を飛躍的に高めることができる。
【0073】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。
(1)洗浄用ガスを含む洗浄液が通過(接触する)経路内は、例えばフッ素樹脂によって構成するか、フッ素樹脂によるコーティングを行っておくのが好ましい。特に、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)によって形成またはコーティングすることが好ましい。
(2)洗浄用ガスとしては、オゾンの他に、酸素、アルゴン、窒素、水素等適宜のものを使用することができる。
(3)洗浄液としては、純水以外に、有機溶媒、硫酸水溶液、アンモニア水溶液、スラリー等、適宜の洗浄用の液体を用いることができる。
(4)洗浄対象物Wとしての半導体ウエハを回転可能に保持する装置は、図2図6に示すものに限らず、適宜のものを使用することができる。
(5)保持機構60は、4以上であってもよい。また、ベース部61を有しないで、揺動部63を直接ターンテーブル51に揺動可能に保持させるようにしてもよい。
(6)第1ピン部64および第2ピン部65の形状はそれぞれ、円柱以外の適宜の形状に設定することができる。もっとも、洗浄対象物Wの側端面3を押圧する押圧部位(小径部64b)の形状は、極力小さい面積での接触(押圧)となるように、洗浄対象物Wと接触する面が円柱面となるように設定するのが好ましい。
(7)ターンテーブル51に設けられる保持機構60によって保持される対象物は、洗浄
以外の用途でもって保持されるものであってもよい。
(8)本発明による洗浄対象物は、高度の洗浄が要求される半導体ウェハ、液晶基板、太陽電池基板、ガラス基板、マスクブランクなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明は、例えば、電子産業分野における各種部品の洗浄や、医療分野(内臓洗浄等)にも適用でき、この他、各種の金属製品(例えば機械部品)や合成樹脂製品等にも適用できる。
(9)マイクロバブルを含む洗浄液は、噴射ノズル11、12で生成する場合に限らず、例えば溶解タンク30内であらかじめ生成することもできる。この場合、例えば、溶解タンク30内で洗浄液が循環される循環経路を構成して、この循環経路の吐出側端部に噴射ノズル11(12)に対応した噴射ノズルを接続することにより、溶解タンク30内でマイクロバブルを含む洗浄液を生成することができる。
(10)本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば半導体ウエハの洗浄を効率よく行う上で好ましいものとなる。
【符号の説明】
【0075】
W:洗浄対象物(半導体ウエハ)
U:コントローラ
α:回転軸線
β:揺動軸線
γ:回転方向
1:上面
2:下面
3:側端面
11:第1噴射ノズル
12:第2噴射ノズル
20:混合タンク
22:オゾン生成装置
30:溶解タンク
32:圧送用ポンプ
50:保持装置
51:ターンテーブル
51a:貫通孔
52:回転軸
53駆動モータ
60:保持機構
61:ベース部
62:連結ピン(揺動中心)
63:揺動部
64:第1ピン部
64a:大径部(支持部)
64b:小径部(圧接部)
65:第2ピン部(重錘部)
65a:大径部(支持部)
65b:小径部
70:ノズル本体部
80:誘導ノズル部
81:小容積部
82:ノズル部
WB:洗浄対象物(図8
L1:第1部位(図8
L2:第2部位(図8
91:ローラ(図8
92:回収ボックス(図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8