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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】測量機の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20221014BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20221014BHJP
【FI】
G01C15/00 105Z
G06Q30/06 350
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017134132
(22)【出願日】2017-07-07
(65)【公開番号】P2019015642
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】菊池 武志
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-090144(JP,A)
【文献】特開2002-163110(JP,A)
【文献】特開2006-198287(JP,A)
【文献】特開2004-013527(JP,A)
【文献】特開2011-164789(JP,A)
【文献】特開2001-202566(JP,A)
【文献】特開2007-170978(JP,A)
【文献】特表2016-509710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
G01C 5/00-15/14
G06Q 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットを測量する測量部、前記測量部を制御する制御部、および通信ネットワークに接続された通信部を備える複数の測量機と、
前記通信ネットワークを介して前記測量機と通信可能な管理サーバと、
前記通信ネットワークを介して、前記管理サーバに前記測量機に関する機能を追加するように指示する遠隔端末と、
前記通信ネットワークに接続された課金システムとを備え、
前記遠隔端末は、前記管理サーバに、前記測量機に関する機能の追加に相当する数量の仮想通貨を消費するように指示し、
前記管理サーバは、前記遠隔端末の指示に基いて前記測量機に関する機能の追加に相当する数量の仮想通貨が消費された際に、前記測量機に関する機能を追加し、
前記課金システムは、前記仮想通貨の数量に対応する課金データに基いて課金処理を実行し、
前記測量機に関する機能は、前記測量機の管理に関する機能であり、
前記管理サーバは、前記機能の有効期間に対して、消費される仮想通貨の単位数量を設定し、
前記管理サーバは、仮想通貨を消費せずに前記測量機に関する機能を使用可能な測量機の台数の範囲を設定し、前記台数の範囲の上限を超えた場合の、上限を超えた測量機の台数に対して消費する仮想通貨の単位数量を設定することと、
仮想通貨を消費せずに前記測量機に関する機能を使用可能な期間の範囲を設定し、前記期間の範囲の上限を超えた場合の、上限を超えた期間に対して、消費する仮想通貨の単位数量を設定することと、
を組み合わせて仮想通貨を消費することを特徴とする測量機の遠隔操作システム。
【請求項2】
前記測量機の管理に関する機能は、メンテナンス時期の通知、メンテナンス履歴の表示、およびライセンス管理に関する機能の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の測量機の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記遠隔端末は、前記管理サーバに、使用者のアカウントに関連付けられた前記測量機のリストから選択される前記測量機に関する機能の追加に相当する数量の仮想通貨を消費するように指示することを特徴とする請求項1または2に記載の測量機の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、メンテナンス設定として所定のメンテナンス作業が必要とされる日時をメンテナンス期日として設定し、前記メンテナンス期日到来前に事前通知を行い、前記メンテナンス期日が到来すると、メンテナンス期日の到来を通知する本通知を行い、前記メンテナンス設定が解除されると本通知が停止されることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の測量機の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量器の遠隔操作システムに関し、特に仮想通貨を用いた測量機の遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
測量機(トータルステーション)は、測定点に置かれたターゲットに対し測距光を照射し、その反射光を受光して測量を行う。近年、測量機をインターネット等の通信ネットワークを介して遠隔管理することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、通信ネットワークを介して測量機の状態を把握し、ライセンス期間やメンテナンス期間の管理を行うことを可能とした測量機の遠隔操作システムが開示されている。
【0004】
一方、近年、測量機は高機能化が進んでおり、上記ライセンス管理やメンテナンス管理に関する機能以外にも、後方交会機能、方向角自動測定機能等の応用測定に関する機能やその他の機能等の様々な機能が実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-170978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な機能が実装された測量機は、使用者に高い利便性を提供する一方で、価格が高額になりがちであり、使用の目的によっては、使用者が必要としない機能を搭載した測量機を購入することになるという問題があった。
【0007】
このような状況の中、発明者らは、特許文献1に記載したような遠隔操作システムを用いて、様々な機能を、通信ネットワークを介して管理したり、操作したりすることを検討した。しかし、単に遠隔操作システムを用いて、測量機本体に実装された機能を設定管理・操作するのでは、測量器本体がさらに高額になってしまう。
【0008】
そこで、使用者の必要に応じて、機能を後付でカスタマイズできるような仕様とし、簡便かつ安心な方法で追加の費用を決済できるようにすれば、使用者が真に求める測量機を妥当な価格で提供することが可能になると考え、本発明を提案するものである。
【0009】
従って、本発明は、使用者の必要に応じて機能をカスタマイズすることができる測量機を妥当な価格で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様に係る測量機の遠隔操作システムは、ターゲットを測量する測量部、前記測量部を制御する制御部、および通信ネットワークに接続された通信部を備える測量機と、前記通信ネットワークを介して前記測量機と通信可能な管理サーバと、前記通信ネットワークを介して、前記管理サーバに前記測量機に関する機能を追加するように指示する遠隔端末と、前記通信ネットワークに接続された課金システムとを備え、前記遠隔端末は、前記管理サーバに、前記測量機に関する機能の追加に相当する数量の仮想通貨を消費するように指示し、前記管理サーバは、前記遠隔端末の指示に基いて前記前記測量機に関する機能の追加に相当する数量の仮想通貨が消費された際に、前記測量機に関する機能を追加し、前記課金システムは、前記仮想通貨の数量に対応する課金データに基いて課金処理を実行することを特徴とする。
【0011】
上記態様において、前記測量機に関する機能が、前記測量機により実行されることも好ましい。
【0012】
また、上記態様において、前記測量機に関する機能が、前記管理サーバから前記測量機にダウンロードされることにより追加されることも好ましい。
【0013】
また、上記態様において、前記測量機に関する機能が、前記遠隔端末に表示されるWebページ上で実行されることも好ましい。
【0014】
また、前記測量機に関する機能が、前記管理サーバにより実行されることも好ましい。
【0015】
なお、本明細書において、「機能を追加する」とは、ある機能を実装可能なアプリケーションまたはモジュール(以下において、「アプリケーション等」という。)をインストールして実行可能な状態とすることのみならず、既に実装されているが、実行不可能な状態となっている機能を制限の解除等により実行可能な状態(有効な状態)とすること、既に実装されている機能をバージョンアップすること、既に実装されている機能を拡張すること、および既に実装されている機能の回数、数量、範囲等に制限がある場合に、その制限を解放することを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の遠隔操作システムによれば使用者の必要に応じて、機能をカスタマイズすることができる測量機を、妥当な価格で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る遠隔操作システムの全体構成を示す図である。
図2】同形態に係る測量機の構成ブロック図である。
図3】同形態に係る遠隔端末の構成ブロック図である。
図4】同形態に係る管理サーバの構成ブロック図である。
図5】実施例1に係る遠隔操作システムのワークフローを示すフローチャートである。
図6】同実施例に係る管理サーバの動作のフローチャートである
図7】同実施例に係る測量機の動作のフローチャートである。
図8】変形例1に係る遠隔操作システムのワークフローを示すフローチャートである。
図9】同変形例に係る測量機の動作のフローチャートである。
図10】変形例2に係る遠隔操作システムのワークフローを示すフローチャートである。
図11】変形例3に係る遠隔操作システムのワークフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
実施の形態
(遠隔操作システムの全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る遠隔操作システム10の全体構成を示す図である。図1に示すように、遠隔操作システム10は、管理対象である複数の測量機TS1、TS2・・・TSx(以下、代表符号をTSとする。)、管理サーバMS、遠隔端末RC、および課金システムASを備える。測量機TS、管理サーバMS、遠隔端末RCおよび課金システムASはそれぞれ通信ネットワークNに接続されている。なお、本明細書において、「使用者」は、測量機の使用者のみならず、測量機の所有者、または管理会社、代理店等の管理者を含んでいる。
【0020】
通信ネットワークNは、インターネットや、社内LAN等のローカル・エリア・ネットワークや、接続ケーブルや、衛生通信ネットワークなど、任意の通信ネットワークを含んでもよい。
【0021】
(測量機の構成)
図2は、本実施の形態に係る測量機TSの構成ブロック図である。測量機TSは、トータルステーション(電子式測距測角儀)である。図2に示すように、測量機TSは、測量部21、制御部22、通信部23、表示部24、および回転駆動部25を有する。なお、通信部23は、測量機TSに後付け(外付け)された構成であってもよい。
【0022】
測量部21は、測量機TSの望遠鏡(図示せず)内に配置された発光素子、測距光学系、および受光素子を備える。測量部21は、上記発光素子から、上記測距光学系を介して測距光を出射してターゲットを照射し、ターゲットからの反射光を上記受光素子で受光することにより、測距を行う。また、測量部21は、上記望遠鏡の鉛直回転角および上記望遠鏡の筐体(図示せず)の水平回転角をロータリエンコーダで測定することにより、測角を行う。
【0023】
通信部23は、通信ネットワークNを介して外部との通信を可能にするものであり、例えば、インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いてインターネットと接続している。
【0024】
表示部24は、液晶画面を有し、測量条件等を入力可能であり、測量に関する各種情報が表示される。回転駆動部25は、モータであり、上記望遠鏡を鉛直回転させるものと、上記筐体を水平回転させるものがある。
【0025】
制御部22は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。制御部22は、測量アプリケーション・プログラムを実行し、アプリケーションに従った画面を表示部24に表示させる。制御部22は、測量部21および回転駆動部25を駆動し、ターゲットの自動視準、測距および測角を行い、測定点の測量データを取得する。
【0026】
また、制御部22は、通信部23を用いて、通信ネットワークNを介して、管理サーバMSと情報の送受信を行う。制御部22は、例えば、稼働時間、稼働位置、メンテナンス履歴、エラー等に関する情報を、定期的にまたは必要に応じて、管理サーバMSに送信する。管理サーバMSからの指令を実行する。
【0027】
さらに、制御部22は、管理サーバMSに、一定の周期、例えば1日に一回、電源をONする毎の周期で状態を確認する。すなわち、管理サーバにMSに測量機TSが実行すべき機能がないか、表示すべきメッセージがないか等を確認する。
【0028】
また、制御部22は、管理サーバMSに保存された設定に基いて、指定された機能を実行するのに必要なモジュールを自動的にダウンロードして当該機能を実行したり、管理サーバMSに保存されたメッセージをダウンロードして表示部24に表示させたりする。
【0029】
(遠隔端末の構成)
図3は本実施の形態に係る遠隔端末RCの構成ブロック図である。遠隔端末RCは、使用者に所有されている、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の端末である。図3に示すように、遠隔端末RCは、端末通信部31、端末制御部32、端末表示部33、および端末入力部34を少なくとも有する。
【0030】
端末通信部31は、通信ネットワークNを介して、後述する管理サーバMSのサーバ通信部41との間で情報の送受信が可能である。
【0031】
端末制御部32は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。端末制御部32は、設定対象とする測量機TSに関して、使用する機能の選択および当該機能を使用することができる期間(以下において、「有効期間」という。)等の設定を行う。
【0032】
端末表示部33は、端末制御部32からの指令に基いて、測量機メーカ(以下において、単に「メーカ」という。)が提供する遠隔操作システム専用のWebページ100を含む使用者用の操作画面を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイ等である。
【0033】
端末入力部34は、例えば、キーボード、テンキー、タッチパネル等の入力装置であり、遠隔端末RCの動作に必要な情報を入力する。
【0034】
(管理サーバの構成)
図4は、本実施の形態に係る管理サーバMSの構成ブロック図である。管理サーバMSは、サーバ通信部41、サーバ制御部42、記憶部43、時計44を少なくとも有する。
【0035】
サーバ通信部41は、通信ネットワークNを介して、測量機TSの通信部23および遠隔端末RCの端末通信部31との間で情報の送受信が可能である。
【0036】
記憶部43は、少なくともデータベース51と、仮想通貨数量保存部52を備える。また、記憶部43は、測量機TSに関する機能の設定を保存する。
【0037】
データベース51は、測量機TSおよび遠隔端末RCから受信した情報を、測量機TSの管理番号と関連付けて保存している。また、データベース51は、例えば、測量機に関する機能の有効期間が終了した場合に、測量機TSで表示するメッセージや管理サーバMSが送信する電子メールのメッセージ等を保存している。
【0038】
仮想通貨数量保存部52は、後述する仮想通貨生成部48で生成され、仮想通貨管理部49で管理される仮想通貨の数量を保存している。
【0039】
サーバ制御部42は、少なくともCPUおよびメモリ(ROM,RAM等)を備える制御ユニットである。サーバ制御部42は、図4に示す様に、設定読み出し部45、判断実行部46および動作実行部47、仮想通貨生成部48および仮想通貨管理部49を備える。
【0040】
設定読み出し部45は、データベース51に保存された設定を読み出す。具体的には、対象となる測量機に関して追加された機能に関する設定および当該機能の有効期間に関する設定を読み出す。
【0041】
判断実行部46は、管理サーバMSに内蔵される時計44から取得される現在日時と、設定された有効期間終了日時とを比較し、現在日時が有効期間終了日時を超過しているか否かを判断する。
【0042】
動作実行部47は、データベース51に保存された設定に基き、設定された動作を実行する。具体的な動作については後述する。
【0043】
仮想通貨生成部48は、遠隔端末RCからの要求に応じて、円、ドル等の通貨等の両替と言う形で仮想通貨を生成し、仮想通貨の数量に対応する課金データを作成する。ここで、仮想通貨は、遠隔操作システム10により提供されるサービスに関する経済活動を行うことを可能とする、貨幣価値を有するものであり、現金に換算したり、他のサービスで使用したりする交換価値を有していてもよい。使用者は、この仮想通貨を、例えば、銀行口座引き落としや、クレジットカード決済により購入したり、予め購入したWeb上で利用可能な電子マネーを利用して購入したりすることができる。
【0044】
また、課金データは、決済に必要なデータであり、例えば、銀行口座番号またはクレジットカード番号および購入金額等を含む。
【0045】
課金システムASは、管理サーバMSから送信された、仮想通貨の数量に対応する課金データに基いて決済を実行する。このような課金システムASについては、コンピュータにより実現するが、公知の技術であるため詳細な説明は省略する。また、課金システムASは、管理サーバMSに組み込まれていてもよい。
【0046】
使用者により購入された仮想通貨は、例えば、使用者のアカウントに関連付けられてデータベース51に保存される。仮想通貨管理部49は、データベース51に保存された仮想通貨の数量を管理する。
【0047】
実施例1
本実施の形態に係る遠隔操作システム10を用いて、測量機TSxに関する機能として、測量機TSxで実行される機能を、測量機TSxに内蔵された機能を有効な状態とすることによりを追加する例を示す。図5は、実施例1に係る遠隔操作システム10のワークフローを示すフローチャートである。
【0048】
ステップS101において、使用者は、遠隔端末RCからWebページ100にログインし、仮想通貨を購入する。購入済みの仮想通貨の数量は、Webページ100で使用者が確認することができる。
【0049】
次にステップS102で、使用者は、遠隔端末RCからWebページ100にログインし、対象となる測量機TSxを選択し、測量機TSxについて使用する機能を選択し、当該機能の詳細について設定し、当該機能の有効期間を設定する。
【0050】
対象となる測量機TSxは、例えば、Webページ100に表示された、使用者のアカウントに関連付けられた測量機TS1、TS2・・・のリストから選択される。この時、複数台の測量機TSxを一度に選択することもできる。
【0051】
測量機に関する機能としては、例えば、Webページ100に表示された、チェックボックスやプルダウン形式などの選択可能な機能のリストから選択される。選択可能な機能の例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
(1)対辺測定機能、REM測定機能、座標測定機能、面積測定機能、杭打ち測定機能、オフセット測定機能、後方交会機能、方向角自動測定機能等の応用測定に関する機能。
(2)測距可能な回数、使用可能なターゲットの設定数、測量可能な測定数や保存可能な測定数等の制限の解放に関する機能。
(3)測量機の通信部をWi-Fiルータとして外部機器のインターネット接続を可能とするテザリング機能。
(4)測量機を使用可能な時間帯、位置の制限等の、ライセンス管理に関する機能。
【0052】
本実施例において、これらの機能を実装するために必要なアプリケーション等は、出荷時より測量機の制御部に内蔵されている。
【0053】
機能の詳細の設定は、例えば、測距可能回数やターゲット種類、測定数等、数量に限定のある場合にその数量を指定したり、位置範囲等、範囲に制限がある場合にその範囲を指定したり、その他機能についての詳細な設定をすることを含んでもよい。
【0054】
機能の有効期間の設定は、例えば、機能の有効期間を、「設定日から6月間」、「設定日から1年間」の様に期間で指定したり、予め定められた有効期間終了日時を日時で指定したりすることを含んでもよい。
【0055】
設定完了の許諾画面には、設定を完了するためには、仮想通貨を所定単位消費することが表示される。これを「YES」とすることにより、ステップS103に移行し、管理サーバMSにより設定が保存されるとともに、ステップS101で、予め購入しておいた仮想通貨が所定単位消費される。減算された仮想通貨の数量は、管理サーバMSに保存される。
【0056】
消費される仮想通貨の数量については、例えば、以下の例を、単独で、または組み合わせて、メーカが任意に設定することができる。
(i)それぞれの機能に対して、個別の単位数量を設定する。
この場合において、複数の異なる機能を一度に設定する場合には、それぞれの単位数量を合計した数量の仮想通貨が消費される。
(ii)複数の機能の組み合わせに対して、単位数量を設定する。
(iii)ある機能を実行する回数に対して、単位数量を設定する。
この場合、例えば機能を所定回数実行するために単位数量の仮想通貨が消費される。
(iv)ある機能を使用する測量機の1台あたりに単位数量を設定する。
この場合において、複数の測量機に機能を使用する場合には、単位数量に測量機の台数を乗じた数量の仮想通貨が消費される。
(v)機能の有効期間(例えば、1年)に対して、単位数量を設定する。
この場合において、例えば、5年間の有効期間を設定する場合には、有効期間1年間に対して設定された単位数量の5倍の数量の仮想通貨が消費される。
(vi)使用者の会社またはアカウントに対して、単位数量を設定する。
この場合、例えば、設定する機能を、当該会社またはアカウントに関連付けられた全ての測量機TSに適用できる。
(vii)回数や数量等に制限が設けられた機能において、第1の単位数量で実行可能な回数や数量等の上限を設定しておき、上限を超えた回数や数量等に対して第2の単位数量を設定する。
この場合、第1の単位数量は設定せず、上限までは仮想通貨を消費せずに実行可能とし、上限を超えた数量等に対してのみ、仮想通貨を消費するように設定してもよい。
(viii)機能、台数、期間等について単位数量が設定された場合において、仮想通貨を消費せずに使用可能な範囲を設け、当該範囲の上限を超えた場合に、上限を超えた機能、台数、期間等に対して、単位数量を設定する。
【0057】
次に、ステップS104に移行すると、測量機TSxは、設定された機能が実行可能な状態となり、ステップS102で行った設定に基いて設定された機能が実行される。
【0058】
そして、有効期間終了日時が到来し、有効期間が終了すると、ステップS105に移行して、管理サーバMSは、上記機能を無効化するとともに、有効期間の終了を使用者に通知する。
【0059】
通知は、例えば、測量機TSxの表示部24にメッセージを表示したり、Webページ100にメッセージを表示したり、メッセージを使用者に電子メールにより送信したりすることにより行う。
【0060】
(管理サーバの動作)
図6は、本実施の形態に係る管理サーバMSの動作を示すフローチャートである。機能の追加が設定されている状態において、管理サーバMSは、常時、予め定められた一定の間隔で、以下の動作を実施する。まず、ステップS401で、設定読み出し部45が、指定された機能の設定された有効期間終了日時を読み出し、時計44により取得される現在日時と、有効期間終了日時とを確認する。
【0061】
次に、ステップS402に移行すると、判断実行部46は、現在日時と有効期間終了日時とを比較して、有効期間が終了したか否かを判断する。
【0062】
有効期間が終了した場合(YES)には、ステップS403に移行して、設定により指定された動作を実行する。具体的には、測量機TSxの当該機能を無効化するとともに、測量機TSxの表示部24にメッセージを表示したり、Webページ100にメッセージを表示したり、使用者に電子メールを送信したりして、有効期間が終了したことを通知する。その後、管理サーバMSは処理を終了する。
【0063】
一方、有効期間が終了していない場合(NO)には、ステップS404に移行して、設定されている機能を続行する。その後、管理サーバMSは処理を終了する。
【0064】
(測量機の動作)
図7は、本実施例に係る測量機TSxの動作のフローチャートである。測量機TSxは、機能の追加が設定されている状態において、一定の周期で管理サーバMSと通信し、以下の動作を実行する。
【0065】
まず、ステップS201で、管理サーバMSに状態を確認する。次いで、ステップS202に移行して、設定されている機能が有効であるか否かを判断する。
【0066】
設定されている機能が有効である場合(YES)は、ステップS203に移行して、設定されている機能を実行する。既に当該機能が実行されている場合は、当該機能の実行を続行する。その後、測量機TSxは処理を完了する。
【0067】
設定されている機能が無効である場合(NO)は、ステップS204に移行して、当該機能を停止するとともに、表示するメッセージが管理サーバMSに存在するかどうかを確認し、存在する場合には、管理サーバMSよりダウンロードして取得し、表示部24にメッセージを表示する。測量機TSxは処理を完了する。
【0068】
変形例1
次に、測量機TSxに関する機能として、測量機TSxで実行される機能を、測量機TSxにインストールすることにより追加する例を示す。
【0069】
(遠隔操作システムのワークフロー)
図8は、変形例1に係る遠隔操作システム10のワークフローを示すフローチャートである。以下の変形例の説明において、実施例と実質的に同一のステップについては、必要に応じてその旨を記載し、重複する説明を省略する。
【0070】
ステップS111において、ステップS101と同様に、使用者は、遠隔端末RCからWebページ100にログインし、仮想通貨を購入する。
【0071】
次にステップS112で、ステップS102と同様に、使用者は、遠隔端末RCからWebページ100にログインし、対象となる測量機TSxを選択し、測量機TSxに関して追加する機能を選択し、当該機能の詳細について設定し、当該機能の有効期間を設定する。
【0072】
追加する機能の例としては、例えば、実施例1に例示した(1)~(4)の機能に加えて、
(5)測量機TSに実装されている機能のアプリケーション等をアップデートしたりバージョンアップしたりする機能
が挙げられる。
なお、(1)~(4)の機能については、実施例1とは異なり、機能を実装するために必要なアプリケーション等は、出荷時に内蔵されていない。
【0073】
設定完了の許諾画面には、設定を完了するためには、仮想通貨を所定単位消費することが表示される。これを「YES」とすることにより、ステップS113に移行し、ステップS103と同様に、管理サーバMSにより設定が保存されるとともに、ステップS111で、予め購入しておいた仮想通貨が所定単位消費される。
【0074】
次に、ステップS114に移行すると、測量機TSxは、指定された機能を実装するためのアプリケーション等を、管理サーバMSより自動的にダウンロードし、測量機TSxにインストールする。
【0075】
次に、ステップS115に移行して、測量機TSxは、指定された機能を実行する。
【0076】
そして、有効期間終了日時が到来し、有効期間が終了すると、ステップS116に移行して、管理サーバMSは、上記機能を無効化するとともに、有効期間の終了を使用者に通知する。
【0077】
(測量機の動作)
図9は、本変形例に係る測量機TSxの動作のフローチャートである。測量機TSxは、一定の周期で管理サーバMSと通信し、以下の動作を実行する。なお、その他の動作については実施例1と概ね同様であるので説明を省略する。
【0078】
まず、ステップS211で、管理サーバMSの状態を確認する。次いで、ステップS212に移行して、設定されている機能が有効であるか否かを判断する。
【0079】
設定されている機能が有効である場合(YES)は、ステップS213に移行して、設定されている機能を実装するためのアプリケーション等を管理サーバMSからダウンロードする。
【0080】
その後、ステップS214に移行して、当該機能を実行する。但し、ステップS213において、既に当該機能が実行されている場合は、ダウンロードは行わず、当該機能の実行を続行する。その後測量機TSxは処理を完了する。
【0081】
一方、ステップS212において、設定されている機能が無効である場合(NO)は、ステップS215に移行して、当該機能を停止するとともに、表示するメッセージが管理サーバMSに存在するかどうかを確認し、存在する場合には、管理サーバMSよりダウンロードして取得し、表示部24にメッセージを表示する。その後、測量機TSxは処理を完了する。
【0082】
変形例2
次に、測量機TSxに関する機能として、遠隔端末RCに表示されるWebページ上で実行される機能を追加する例を示す。
【0083】
(遠隔操作システム10のワークフロー)
図10は、変形例2に係る遠隔操作システム10のワークフローを示すフローチャートである。
【0084】
ステップS121において、ステップS101と同様に、使用者は、遠隔端末RCからWebページ100にログインし、仮想通貨を購入する。
【0085】
次にステップS122で、ステップS102と同様に、使用者は、遠隔端末RCからWebページ100にログインし、対象となる測量機TSxを選択し、測量機TSxについて追加する機能を選択し、当該機能の詳細について設定し、当該機能の有効期間を設定する。
【0086】
追加する機能は、例えば、Webページ100に表示された、測量機TSxに関する機能のリストから選択される。本実施例における機能は、Webページ100上で実行される機能である。
【0087】
測量機TSxに関する機能の例としては、例えば以下のようなものがあげられる。
(6)測量機TSから管理サーバMSへ随時送信されている情報を、レポートとして、Webページ100上に表示する機能
具体例) ・稼働時間レポート
・機械のメンテナンス履歴のレポート
・稼働した位置情報のレポート等
(7)測量機TSから管理サーバMSへ随時送信されているデータを解析処理し、その結果をWebページ100上に表示する機能
具体例) ・稼働時間実績に基づく使用時間予測モデル
・稼働時間実績に基づくメンテナンス時期予測モデル
・エラー情報に基づく今後のトラブル予測および対応方法
(8)測量機TSに既に実装されているが制限されている機能をWebページ100から解放(有効化)する機能
具体例) ・測量機が動作可能な位置範囲の制限をWebページ100から解放する
・測量機をWebページ100から遠隔ロックする機能を有効にする
【0088】
設定完了の許諾画面には、設定を完了するためには、仮想通貨を所定単位消費することが表示される。これを「YES」とすることにより、ステップS123に移行し、ステップS103と同様に、管理サーバMSにより設定が保存されるとともに、ステップS121で、予め購入しておいた仮想通貨が所定単位消費される。
【0089】
次に、ステップS124に移行して、管理サーバMSは、指定された機能をWebページ上で実行可能とし、Webページ100上の指示に従って実行する。
【0090】
そして、有効期間が終了すると、ステップS125に移行して、管理サーバMSは、上記のWebページ100上の機能を無効化するとともに、有効期間の終了を使用者に通知する。
【0091】
変形例3
次に、測量機TSxに関する機能として、測量機TSxで実行される機能と遠隔端末に表示されるWebページ上で実行される機能とを組み合わせて追加する例を示す。図11は、変形例3にかかる遠隔操作システム10のワークフローを示すフローチャートである。
【0092】
ステップS131において、ステップS101と同様に、使用者は、遠隔端末RCからWebページにログインし、仮想通貨を購入する。
【0093】
次にステップS132で、ステップS102と同様に、使用者は、遠隔端末RCからWebページにログインし、対象となる測量機TSxを選択し、測量機TSxについて追加する機能を選択し、当該機能の詳細について設定し、当該機能の有効期間を設定する。
【0094】
追加する機能は、例えば、Webページ100に表示された、測量機TSxに関する機能のリストから選択される。本変形例における機能は、Web上および測量機TSで実行される機能である。
【0095】
測量機TSxに関する機能の例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
(9)測量機TSの詳細な機械ログ等を確認する機能
機械ログの例としては、モータの回転時間/EDMシャッタ回数,機械のキー操作履歴,チルトセンサ等の詳細情報等である。このような詳細なデータは、通常状態では、管理サーバMSに送信されておらず、通常の操作とは別に管理サーバMSに送信する必要がある。
(10)(9)で取得したデータを解析処理し、その結果をWebページ100上に表示する機能
例えば、モータ回転時間に基づくメンテナンス時期の予測モデルの表示や、メンテナンス時期の表示などが挙げられる。
(11)測量機TSが管理サーバMSの記憶領域を、測量機TS自体のストレージとして使用可能なクラウドストレージの使用可否および使用可能サイズの設定機能
(12)エラー発生時に測量機TSから自動的にメールを送信する機能
(13)リモートアクセスによりWebページ100から測量機を遠隔操作する機能
(14)Webページ100から測量機TSに任意のメッセージを送信する機能
(15)測量機TSから管理サーバMSに任意のメッセージを送信し、Webページ100で表示する機能
【0096】
設定を承諾すると、ステップS133に移行し、ステップS103と同様に、管理サーバMSにより設定が保存されるとともに、ステップS131で、予め購入しておいた仮想通貨が所定単位消費される。
【0097】
次に、ステップS134に移行して、管理サーバMSは、指定された機能をWebページ上および測量機TSxで実行可能とする。
【0098】
そして、有効期間が終了すると、ステップS135に移行して、管理サーバMSは、上記のWebページ100上の機能を無効化するとともに、有効期間の終了を使用者に通知する。
【0099】
変形例4
別の変形例として、測量機TSxに関する機能として、Web上および測量機TSで実行される機能に加えて、または単独で、管理サーバMSで実行可能な機能を追加することができる。例えば、指定日時に任意のメッセージを電子メールにより送信する機能等である。
【0100】
変形例5
また、別の変形例として、有効期間の設定だけではなく、例えば、1回、10回等、機能を実行する回数に制限を設けて、回数の上限を超えた場合に機能を無効としてもよい。例えば、有効期間を設定せず、機能を1回使用する毎に仮想通貨を1単位消費するように設定することもできる。また、上記(14)、(15)のような機能では、例えば、仮想通貨を1単位消費することにより、5回メッセージを送信可能と設定することができる。
【0101】
この場合、図7において、管理サーバMSの設定読み出し部45が、設定された機能の有効期間終了日時を読み出し(ステップS201)、判断実行部46が、有効期間が終了したかの判断を行う(ステップ202)代わりに、設定読み出し部45が、保存された機能の実行回数を読み出し、判断実行部46が、これと設定された実行可能回数とを比較し、実行回数と設定された実行可能回数との差が0となった時、機能を無効化する。
【0102】
変形例6
さらに別の変形例として、上記の機能および設定を任意に組み合わせて1つの機能として、実行するように設定することもできる。
【0103】
このようなものの例として、メンテナンス管理機能を説明する。メンテナンス管理機能において、管理会社等の管理者(本明細書における使用者)が、メンテナンス設定として、定期メンテナンス等で所定のメンテナンス作業が必要とされる日時をメンテナンス期日として設定し、メンテナンス期日到来前に、事前通知を行い、メンテナンス期日が到来すると、メンテナンス期日の到来を通知する本通知を行い、管理者によりメンテナンス設定が解除されると本通知が停止されるようなメンテナンス管理機能について、仮想通貨を1単位消費するように設定する。事前通知および本通知は、測量機TSへの表示、Webページ100への表示、およびメールの送信により行われる。
【0104】
このように、本変形例に係る遠隔操作システム10では、測量機TSの機能、Web上の機能、管理サーバMSにおける機能を組み合わせたメンテナンス管理機能が追加できるようになる。
【0105】
なお、当該メンテナンス管理機能では、管理者が、メンテナンス設定を解除するまで通知が停止されないので、使用者が、管理者にメンテナンス作業を依頼するのを促進することができる。
【0106】
このように、本実施の形態に係る測量機の遠隔操作システム10によれば、例示したような様々な機能を、使用者の必要に応じて、追加することができる。追加した機能に応じた対価を仮想通貨により決済することができるので、使用者は、個々の使用の目的に応じた機能をそれに応じた金額で利用することができる。メーカは、追加した機能の数量に応じた収益をあげることができるので、測量機本体を妥当な価格で提供することができる。
【0107】
さらに、将来開発される新たな機能についても、追加することが可能となる。
【0108】
また、本実施の形態に係る遠隔操作システム10によれば、仮想通貨を用いた簡便で安全な決済手段を用いているため、使用者は、決済に関して煩雑な手続きを行う必要がなく、使用者の利便性が向上する。
【0109】
また、本実施の形態に係る遠隔操作システム10によれば、測量機のいわゆるユーザばかりでなく、管理会社や代理店等の管理者にも様々なサービスを提供することができる。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施の形態およびその変形例について述べたが、これらは本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
10 測量機の遠隔操作システム
21 測量部
22 制御部
23 通信部
N 通信ネットワーク
MS 管理サーバ
RC 遠隔端末
TS 測量機
AS 課金システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11