(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】身体支持装置
(51)【国際特許分類】
A47C 19/04 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A47C19/04 A
(21)【出願番号】P 2017183687
(22)【出願日】2017-09-25
【審査請求日】2020-04-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】山野邊 崇史
(72)【発明者】
【氏名】窪田 伸之助
(72)【発明者】
【氏名】下村 晃生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 邦恭
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 誠太郎
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】大谷 光司
【審判官】藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-27987(JP,A)
【文献】特開2009-207642(JP,A)
【文献】特開2003-225263(JP,A)
【文献】実公昭47-11304(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3081909(JP,U)
【文献】特開2005-304590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C19/04
A61G1/056, 5/08
B66F7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に設けられるベースフレームと、
前記ベースフレームの上方に位置する支持台と、
前記ベースフレームに対して前記支持台を昇降させる昇降機構と、
を備え、
前記昇降機構は、第1リンク及び第2リンクと、
ピンと、を含み、
前記第1リンク及び前記第2リンクは、側面視において互いに交差し、
前記ピンは、前記第1リンクの中央部および前記第2リンクの中央を連結し、
前記第1リンクは、前記ベースフレームに対して回転可能であり、
前記第2リンクは、前記ベースフレームに対してスライド移動が可能であり、
前記第1リンクは、前記側面視で
上方に突となるように曲がっており、
前記第2リンクは、前記ベースフレームと前記ピンとの間において、前記側面視で下方に突となるように曲がっている、身体支持装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、板材をさらに含み、
前記板材は、前記ベースフレームに連結されて前記ベースフレームに対して回転可能であり、
前記板材は、前記第1リンクまたは前記第2リンクに固定されている、請求項
1記載の身体支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
身体支持装置として、例えば特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、利便性を向上できる身体支持装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る身体支持装置は、設置面に設けられるベースフレームと、前記ベースフレームの上方に位置する支持台と、前記ベースフレームに対して前記支持台を昇降させる昇降機構と、を備えている。前記昇降機構の下端の前記設置面に対する高さが、前記ベースフレームの下端の前記設置面に対する高さ以上である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、利便性を向上できる身体支持装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る身体支持装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す身体支持装置の側面図であって、支持台が最も下降している状態を示す図である。
【
図5】
図4に示す下面図においてA部を拡大した図である。
【
図6】
図2に示す身体支持装置において支持台を最も上昇させた状態を示す側面図である。
【
図7】
図6に示す側面図においてB部を拡大するとともに一部を透過した状態を示す図である。
【
図8】
図1に示す身体支持装置において、支持台を最も上昇させるとともに背ボトムおよび脚ボトムを移動させた状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す状態から背ボトムおよび脚ボトムを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図10】
図6に示す身体支持装置において駆動部を第1モードで作動させた状態を示す側面図である。
【
図11】
図10に示す側面図においてC部を拡大するとともに一部を透過した状態を示す図である。
【
図12】
図6に示す身体支持装置において駆動部を第2モードで作動させた状態を示す側面図である。
【
図13】
図12に示す側面図においてD部を拡大するとともに一部を透過した状態を示す図である。
【
図14】
図1に示す身体支持装置に備わる入力部の一例を示す図である。
【
図15】
図9に示す斜視図から架台の要部を抜き出した図である。
【
図16】本発明の変形例に係る身体支持装置を示す図であって、背上げ機構の一部を示す斜視図である。
【
図17】
図16に示す変形例に係る身体支持装置において、
図13に示す状態に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態に係る身体支持装置10を、図面に基づいて以下に説明する。
図1に示す本実施形態の身体支持装置10は、例えば、医療環境下(介護環境下を含む)において、一般床ベッドやICUベッド等として利用できる寝台装置(ベッド)であり、床面FL上に設置されている。なお、
図1を含む各図において、符号Xは身体支持装置10の長手方向に沿った第1方向Xを示し、符号Yは身体支持装置10の幅方向に沿った第2方向Yを示し、そして符号Z方向は身体支持装置10の高さ方向(鉛直方向)に沿った第3方向Zを示す。
身体支持装置10を第3方向Zに沿って平面視した場合に、身体支持装置10は、第1方向Xよりも、第1方向Xに直交する第2方向Yに短い。第1方向Xは、身体支持装置10上に横たわる使用者の身長の方向となる。
【0009】
[身体支持装置10の概略構成]
まず、身体支持装置10の概略構成について説明する。
図1に示すように、身体支持装置10は、使用者(不図示)を支持する支持台11と、支持台11を支持する架台12と、支持台11および架台12の動きを制御する制御部17と、を備えている。身体支持装置10は、電力を動力源として動作する電動ベッドである。
【0010】
<支持台11>
図1から
図3に基づいて、支持台11について説明する。
支持台11は、背ボトム(Back section)21と、腰ボトム(Seat section)22と、脚ボトム(Leg section)23と、を備えている。これらの背ボトム21、腰ボトム22および脚ボトム23は、第1方向Xに沿ってこの順に並んでいる。背ボトム21は、使用者の背を支える。腰ボトム22は、使用者の腰を支える。脚ボトム23は、使用者の脚を支える。
【0011】
脚ボトム23は、膝ボトム(Upper leg section)24と、足ボトム(Lower leg section)25と、を備えている。これらの膝ボトム24および足ボトム25は、第1方向Xに沿ってこの順に並んでいる。膝ボトム24は、使用者の膝から腰を支える。足ボトム25は、使用者の膝から足先を支える。
支持台11上には、使用者が横たわる図示しないマットレスが配置される。すなわち、身体支持装置10の支持台11上に前記マットレスが載置され、さらにこのマットレスの上に使用者が横たわる。
【0012】
<架台12>
図1、
図2、
図4から
図13に基づいて、架台12について説明する。
図7に示すように、架台12は、支持台11を支持するメインフレーム32と、メインフレーム32の下方に位置するベースフレーム31と、ベースフレーム31に対してメインフレーム32を昇降させる昇降機構33と、背ボトム21を移動させる背上げ機構39と、脚ボトム23を移動させる膝上げ機構45と、を備えている。
【0013】
(ベースフレーム31)
図6に基づいて、ベースフレーム31について説明する。
ベースフレーム31には、キャスター36と、キャスター36の回転を規制するキャスターロック91と、ベースフレーム31から下方に突出するストッパ92と、が設けられている。キャスター36は、ベースフレーム31を平面視した場合の四隅の位置に配置される。キャスター36は、床面FLに接地する。
【0014】
キャスターロック91は、ベースフレーム31よりも第1方向Xに沿った外方に突出している。キャスターロック91は、足ボトム25の下方に配置されている。キャスターロック91は、例えば、身体支持装置10の搬送者(不図示)の足により操作される。本実施形態では、搬送者がキャスターロック91を上方から踏んでキャスターロック91が下降したときに、キャスター36の回転が規制される。逆に、搬送者が足でキャスターロック91を引き上げたときには、キャスター36の回転の規制が解除される。
【0015】
ストッパ92は、ベースフレーム31の下方に図示しないオプション(例えば机や介護リフト等)の脚部が進入した場合に、キャスターロック91に接近することを規制する。ストッパ92は、ベースフレーム31における第1方向Xの中央部とキャスターロック91との間に配置されている。
【0016】
(昇降機構33)
図7、
図9および
図15に基づいて、昇降機構33について説明する。
図7に示すように、昇降機構33は、いわゆるXリンク構造を採用している。昇降機構33には、例えば、特願2016-009816号(発明の名称:連結フレームおよびこれを備えるベッド装置、出願日:2016年1月21日)に記載のリンク式昇降機構を援用できる。この特許出願は援用によりその全体が組み込まれる。昇降機構33は、互いに交差して配置される第1リンク51および第2リンク52と、第1リンク51および第2リンク52の中央部同士を連結するピン54と、第1リンク51および第2リンク52の端部に設けられた板材58と、第1リンク51および第2リンク52を移動させる駆動部61と、を備えている。
なお、本実施形態では、昇降機構33はアクチュエータを使用したXリンク構造を採用しているが、この場合に限定されず、昇降機構33は、例えばアクチュエータのみで構成されていてもよいし、アクチュエータを使用していないリンク機構のみで構成されていてもよい。
【0017】
第1リンク51および第2リンク52は、前記平面視した場合に、いずれも第1方向Xに沿って延びる棒状である。第1リンク51の一端部51aおよび第2リンク52の一端部52aは、腰ボトム22の下方に位置している。第1リンク51の他端部51bおよび第2リンク52の他端部52bは、脚ボトム23の下方に位置している。
第1リンク51および第2リンク52のうちの少なくとも1つ(本実施形態では両方)は、側面視して曲がっている。具体的に言うと、第1リンク51は、上方に突となるように曲がっている。一方、第2リンク52は、下方に突となるように曲がっている。
【0018】
図9に示すように、第1リンク51および第2リンク52はそれぞれ、第2方向Yに間隔をあけて一対設けられている。本実施形態では、ピン54によって連結された1組の第1リンク51および第2リンク52が、第2方向Yに間隔をあけて一対設けられている。一対の第1リンク51同士、および一対の第2リンク52同士はそれぞれ、パイプ53によって連結されている。
【0019】
パイプ53は、一対の第1リンク51の一端部51a同士を連結する第1パイプ531と、一対の第1リンク51の他端部51b同士を連結する第2パイプ532と、一対の第2リンク52の一端部52a同士を連結する第3パイプ533と、一対の第2リンク52の他端部52b同士を連結する第4パイプ534と、を備えている。
【0020】
図15に示すように、板材58は、第1パイプ531に固定された第1板材581と、第2パイプ532に固定された第2板材582と、第3パイプ533に固定された第3板材583と、を備えている。
第1板材581は、ベースフレーム31に連結されている。第1板材581は、ベースフレーム31に対して回転できる。
【0021】
第2板材582には、第1ローラ55aが設けられている。第1ローラ55aは、メインフレーム32に固定された第1チャンネル材55に支持されている。第1チャンネル材55は、第1方向Xに沿って延びている。第1ローラ55aは、第1チャンネル材55に沿って第1方向Xにスライド移動する。
【0022】
第3板材583は、メインフレーム32に連結されている。第1板材581は、メインフレーム32に対して回転できる。
なお、第4パイプ534には、第2ローラ56aが設けられている。第2ローラ56aは、ベースフレーム31に固定された第2チャンネル材56に支持されている。第2チャンネル材56は、第1方向Xに沿って延びている。第2ローラ56aは、第2チャンネル材56に沿って第1方向Xにスライド移動する。
【0023】
図7に示すように、駆動部61は、前記平面視した場合に第1方向Xに沿って伸縮する直動アクチュエータである。駆動部61は、伸長することで、第1板材581を中心として第1リンク51を上側に回転させる。第1リンク51には、駆動部61の伸縮運動を第1リンク51の回転運動に変換するリンク機構65が設けられている。
図4に示すように、駆動部61は、リンク機構65および第2パイプ532のそれぞれに連結されている。
【0024】
前記昇降機構33では、メインフレーム32をベースフレーム31に対して上昇させるときには、
図7に示すように、駆動部61が伸長する。すると、第1リンク51が第1板材581を中心として上側に回転し、第1ローラ55aが第1チャンネル材55に沿ってスライド移動する。このとき、第2リンク52は、第3板材583を中心として下側に回転し、第2ローラ56aが第2チャンネル材56に沿ってスライド移動する。これにより、ベースフレーム31に対してメインフレーム32が上昇する。
【0025】
(背上げ機構39)
図9から
図11に基づいて、背上げ機構39について説明する。
図10に示すように、背上げ機構39は、背ボトム21を傾斜させる。
図11に示すように、背上げ機構39は、メインフレーム32に連結された軸部材26aと、軸部材26aに固定された第1部材43と、背ボトム21の下面に固定された第2部材40と、メインフレーム32と第2部材40とを連結する第1リンク44と、第1部材43と第2部材40とを連結する第2リンク42と、軸部材26aを回転させる駆動部63と、を備えている。
【0026】
図9に示すように、軸部材26aは、第2方向Yに延びている。軸部材26aはメインフレーム32に連結された状態で回転する。
第1部材43は、
図7に示すような背上げ前(背ボトム21の傾斜前)の状態で軸部材26aから第1方向Xに延びている。
図9に示すように、第1部材43の一端部43aは、軸部材26aに固定されている。
図10に示すように、第1部材43の他端部43bには、ローラ43cが設けられている。ローラ43cは、第2部材40の下面に当接する。
【0027】
第1リンク44は、メインフレーム32および第2部材40それぞれにピン44aによって連結されている。
図11に示すように、第2リンク42は、第1部材43および第2部材40それぞれにピン42aによって連結されている。第1リンク44、第2リンク42および第2部材40は、リンク機構41を形成する。
【0028】
図9に示すように、駆動部63は、前記平面視した場合に第1方向Xに伸縮する直動アクチュエータである。駆動部63は、伸長することで軸部材26aを回転させる。駆動部63は、メインフレーム32に設けられた第1ブラケット63a、および軸部材26aに設けられた第2ブラケット63bそれぞれに連結されている。駆動部63は、第1ブラケット63aおよび第2ブラケット63bそれぞれにピン63cによって連結されている。
【0029】
前記背上げ機構39では、背上げ前の状態で駆動部63が伸長して軸部材26aが回転し第1部材43の他端部43bが上昇することで、
図10に示すように、ローラ43cが第2部材40の下面をスライド移動して第1部材43が第2部材40を押し上げる。このとき
図11に示すように、リンク機構41が移動することで、背ボトム21全体が第1方向Xに移動しながら、背ボトム21が軸部材26a回りに起伏する。その結果、背ボトム21が水平面に対して傾斜する背上げ状態となる。
【0030】
(膝上げ機構45)
図6および
図7に基づいて、膝上げ機構45について説明する。
膝上げ機構45は、脚ボトム23を
図6に示す2点鎖線のように移動できる。
図7に示すように、膝上げ機構45は、メインフレーム32に連結された軸部材26bと、軸部材26bに固定された第1部材46と、膝ボトム24の下面に固定された第2部材47と、足ボトム25の下面に固定された第3部材48と、軸部材26bを回転させる駆動部64と、を備えている。
【0031】
軸部材26bは、第2方向Yに延びている。軸部材26bはメインフレーム32に連結された状態で回転する。
第1部材46は、膝上げ前(脚ボトム23の移動前)の状態で軸部材26bから第1方向Xに延びている。第1部材46の一端部46aは、軸部材26bに固定されている。第1部材46の他端部46bには、ローラ46cが設けられている。ローラ46cは、第2部材47の下面に当接する。
【0032】
第2部材47は、膝上げ前の状態で第1方向Xに延びている。第2部材47の一端部47aは、メインフレーム32に第1ピン49aによって連結されている。
第3部材48は、膝上げ前の状態で第2部材47の他端部47bから第1方向Xに延びている。第3部材48の一端部48aは、第2部材47の他端部47bに第2ピン49bによって連結されている。
【0033】
駆動部64は、前記平面視した場合に第1方向Xに伸縮する直動アクチュエータである。駆動部64は、伸長することで軸部材26bを回転させる。駆動部64は、メインフレーム32に設けられた第1ブラケット64a、および軸部材26bに設けられた第2ブラケット64bそれぞれに連結されている。駆動部64は、第1ブラケット64aおよび第2ブラケット64bそれぞれにピン64cによって連結されている。
【0034】
前記膝上げ機構45では、膝上げ前の状態で駆動部64が伸長して軸部材26bが回転し第1部材46の他端部46bが上昇することで、ローラ46cが第2部材47の下面をスライド移動し、第1部材46が第2部材47を押し上げる。このとき、第2部材47が第1ピン49a回りに上側に回転し、第3部材48が第2ピン49b回りに下側に回転する。その結果、
図6の二点鎖線に示すように、脚ボトム23の全体が上方に屈曲する膝上げ状態となる。
【0035】
<制御部17>
図9に示すように、制御部17は、支持台11の下方に位置しメインフレーム32に固定されている。制御部17は、各駆動部61、63、64を制御する。制御部17には、
図14に示す入力部18が有線接続や無線接続されている。入力部18には、使用者や介助者が、身体支持装置10の動作に関する指令を入力する。入力部18は、複数の操作子81を備えている。複数の操作子81は、第1操作子82と、第2操作子83と、第3操作子84と、第4操作子85と、を備えている。
【0036】
各操作子81が操作されると、入力部18が制御部17に、どの操作子81が操作されたかについての信号を送る。制御部17が入力部18から第1操作子82が操作された信号を受けると、制御部17が、背上げ機構39の駆動部63および膝上げ機構45の駆動部64の両方を制御するための信号を生成して駆動部63、64に送る。制御部17が入力部18から第2操作子83が操作された信号を受けると、制御部17が、背上げ機構39の駆動部63を制御するための信号を生成して駆動部63に送る。制御部17が入力部18から第3操作子84が操作された信号を受けると、制御部17が、膝上げ機構45の駆動部64を制御するための信号を生成して駆動部64に送る。制御部17が入力部18から第4操作子85が操作された信号を受けると、制御部17が、昇降機構33の駆動部61を制御するための信号を生成して駆動部61に送る。
【0037】
[身体支持装置10の動きのモード]
次に、
図10から
図13および
図15に基づいて、身体支持装置10の動きのモードについて説明する。
背上げ機構39の駆動部63は、
図10に示すように、背ボトム21を移動させるだけでなく、
図12に示すように、メインフレーム32を傾斜させながら背ボトム21を移動できる。身体支持装置10は、
図10に示すように、駆動部63が支持台11およびメインフレーム32のうちの一方のみを移動させる第1モードと、
図12に示すように、駆動部63が支持台11をメインフレーム32とともに移動させる第2モードのいずれかのモードで動作する。
【0038】
図11および
図13に示すように、身体支持装置10は、ピン71を更に備えている。ピン71は、身体支持装置10における複数の位置に装着できる。
図11に示すような、身体支持装置10を第1モードで動作させる場合にピン71が装着される位置は、
図13に示すような、身体支持装置10を第2モードで動作させる場合にピン71が装着される位置と異なる。
図11に示すように、身体支持装置10が第1モードで動作する場合には、ピン71がメインフレーム32と昇降機構33とを連結していて、駆動部63が伸長すると、軸部材26aが単に回転する。一方、
図13に示すように、身体支持装置10が第2モードで動作する場合には、ピン71が昇降機構33と背上げ機構39を連結していて、駆動部63が伸長すると、軸部材26aが回転しながら、背上げ機構39の全体がピン71回りに上側に回転する。なお、制御部17による駆動部63の制御も異なる。この点についての詳細は後述する。
以下では、第1モードおよび第2モードについて説明する。
【0039】
<第1モード>
まず、第1モードについて、
図10、
図11および
図15を用いて説明する。
図10に示すように、第1モードでは、駆動部63が、例えば支持台11のみを移動させる。第1モードでは、
図11に示すように、ピン71がメインフレーム32および昇降機構33に装着されている。
図15に示すように、メインフレーム32には、第2方向Yに貫通する第1貫通孔72が形成されている。昇降機構33(第3板材583)には、第2方向Yに貫通する第2貫通孔73が形成されている。支持台11が最も下降している状態で、第1貫通孔72および第2貫通孔73が互いに同軸上に配置され、
図11に示すように、ピン71が第1貫通孔72および第2貫通孔73に装着される。
【0040】
身体支持装置10が第1モードの状態で、駆動部63が伸長すると、軸部材26aが回転して第1部材43の他端部43bが上昇する。その結果、
図10に示すように、メインフレーム32が傾斜することなく背ボトム21が傾斜する。
【0041】
<第2モード>
次に、第2モードについて、
図11から
図13および
図15を用いて説明する。
図12に示すように、第2モードでは、駆動部63が、背ボトム21をメインフレーム32に対して傾斜させながら、メインフレーム32を床面FLに対して傾斜させる。この場合、1つの駆動部63が背ボトム21とメインフレーム32の両方を動作させる。第2モードでは、
図13に示すように、ピン71が、背上げ機構39に設けられた第1板材74と、昇降機構33に設けられた第2板材75と、に装着されている。
【0042】
第1板材74は、軸部材26aから第1方向Xに突出している。
図11に示すように、第1板材74には、第2方向Yに貫通する第3貫通孔76が形成されている。
図15に示すように、第2板材75は、第3パイプ533から第1方向Xに突出している。第2板材75は、第2方向Yに貫通する第4貫通孔77が形成されている。支持台11が最も下降している状態で、第3貫通孔76および第4貫通孔77が互いに同軸上に配置され、
図13に示すように、ピン71が第3貫通孔76および第4貫通孔77に装着される。
【0043】
身体支持装置10が第2モードの状態で、駆動部63が伸長すると、軸部材26aが回転して第1部材43の他端部43bが上昇しながら、駆動部63がピン71回りに上側に回転する。その結果、
図12に示すように、メインフレーム32のうち、背ボトム21の下方に位置する部分が上昇する。このとき、
図12に点線で示すように、メインフレーム32の第1チャンネル材55が、昇降機構33の第1ローラ55aに対して第1方向Xにスライド移動する。その結果、メインフレーム32のうち、脚ボトム23の下方に位置する部分が下降し、メインフレーム32が全体で傾斜する。
【0044】
第2モードである場合、制御部17が入力部18から取得する検出信号が、第1モードである場合と同一であっても、制御部17による駆動部63の制御が異なる。第2モードである場合、駆動部63の駆動によりメインフレーム32が傾斜することから、背ボトム21の傾斜が小さくても、支持台11上の使用者の視線の位置を十分が高さになる。そのため、例えば、第2モードで駆動部63の最終的な傾斜量が、第1モードである場合の傾斜量よりも小さい。この制御の変更は、使用者が入力部18を操作して制御部17の情報を書き換えることで実施できる。
【0045】
[昇降機構33の高さ]
最後に、
図2および
図6に基づいて、昇降機構33の高さについて説明する。
図2に示すように、昇降機構33の下端の床面FLに対する高さ(以下、「昇降機構33の下端の高さ」という。)は、ベースフレーム31の下端の床面FLに対する高さ(以下、「ベースフレーム31の下端の高さ」という。)以上である。本実施形態では、昇降機構33が支持台11を昇降させる高さによって昇降機構33の形態が変化するものの、その形態によらず、昇降機構33の下端の高さは、ベースフレーム31の下端の高さ以上である。具体的には、
図2に示すように、昇降機構33が支持台11を最も下降させている状態から、
図6に示すように、昇降機構33が支持台11を最も上昇させている状態のいずれの状態においても、昇降機構33の下端の高さが、ベースフレーム31の下端の高さ以上である。
【0046】
なお、ベースフレーム31の下端と床面FLとの間の第3方向Zの距離H1は、例えば66mm~76mmである。また、
図2に示すように、支持台11が最も下降しているときに、支持台11の上面(使用者を支持する支持面)から床面FLまでの第3方向Zの距離H2が、例えば215mm~225mmである。
【0047】
[本実施形態のまとめ]
以上の実施形態から把握できる技術的思想を効果とともに記載する。
本実施形態に係る身体支持装置10は、
図2および
図6に示すように、床面FL(設置面)に設けられるベースフレーム31と、ベースフレーム31の上方に位置する支持台11と、ベースフレーム31に対して支持台11を昇降させる昇降機構33と、を備える。昇降機構33の下端の高さが、ベースフレーム31の下端の高さ以上である。
この場合、例えば、ベースフレーム31の下方に図示しないオプション(例えば机や介護リフト等)の脚部をスムーズに進入させ、身体支持装置10の利便性を向上できる。本実施形態では、
図2に示すように、昇降機構33が支持台11を最も下降させていても、昇降機構33の下端の高さが、ベースフレーム31の下端の高さ以上である。したがって、支持台11を上昇させることなく、オプションを使用できる。さらに本実施形態では、昇降機構33が支持台11を最も下降させている状態から、
図6に示すように最も上昇させている状態に至るまでのいずれの状態においても、昇降機構33の下端の高さが、ベースフレーム31の下端の高さ以上である。したがって、オプションを使用しながら支持台11を昇降できる。
【0048】
図7に示すように、昇降機構33が、第1リンク51および第2リンク52と、第1リンク51および第2リンク52の中央部同士を連結するピン54と、を備えている。
昇降機構33が、ベースフレーム31に連結されてベースフレーム31に対して回転する第1板材581(板材58)を更に備えている。第1板材581が、第1リンク51に固定されている。
この場合、第1リンク51をベースフレーム31に連結させることなく、第1リンク51をベースフレーム31に対して第1板材581を中心として回転できる。したがって、第1リンク51をベースフレーム31に連結させることに代えて、第1板材581をベースフレーム31に連結させればよい。その結果、例えば、身体支持装置10を容易に組み立てること等ができる。
【0049】
第1リンク51および第2リンク52のうちの少なくとも1つ(本実施形態では両方)が曲がっている。
この場合、第1リンク51や第2リンク52が曲がっていることで、例えば、第1リンク51や第2リンク52と他の部材との干渉を抑制できる。
【0050】
本実施形態に係る身体支持装置10は、
図12および
図13に示すように、支持台11と、支持台11を支持するメインフレーム32と、支持台11の移動およびメインフレーム32の傾斜の少なくとも一方を動作させる駆動部63(本実施形態では、背上げ機構39の駆動部63)と、を備えている。身体支持装置10は、
図12および
図13に示すように、駆動部63がメインフレーム32を傾斜させながら支持台11を移動させるモード(本実施形態では、第2モード)と、
図10および
図11に示すように、駆動部63が支持台11の移動およびメインフレーム32の傾斜の一方のみを動作させるモード(本実施形態では、第1モード)のいずれかで動作する。
この場合、支持台11およびメインフレーム32の移動に、共通の駆動源を使用できる。これにより、構造の簡素化や低コスト化、支持台11およびメインフレーム32の移動時間の短縮などを実現できる。
【0051】
図11および
図13に示すように、身体支持装置10は、モードごとに装着される位置が異なる部材(本実施形態では、ピン71)を更に備えている。
この場合、身体支持装置10の利便性を向上できる。
【0052】
[変形例]
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を実施できる。
【0053】
例えば、
図16および
図17に示す変形例に係る身体支持装置10Aのように、身体支持装置10Aを第2モードにするときに、
図17に示すように、ピン71が、第1板材74およびリンク部材78に装着されてもよい。
図16に示すように、リンク部材78は、軸部材26aに装着され、軸部材26aに対して回転する。リンク部材78には、第2方向Yに貫通する第5貫通孔78aおよび第6貫通孔78bが形成されている。
図17に示すように、第6貫通孔78bには、第4貫通孔77に挿通されたピン79(ピン71とは異なる他のピン79)が挿通されている。
図16に示すように、第5貫通孔78aおよび第3貫通孔76にピン71が挿通されると、軸部材26aの回転時にリンク部材78も回転する。第5貫通孔78aおよび第3貫通孔76にピン71が挿通されていない場合、軸部材26aの回転時にリンク部材78は回転しない。
【0054】
前記実施形態では、
図6および
図10に示すように、背ボトム21および脚ボトム23の両方が移動し、かつ、メインフレーム32が昇降、傾斜するが、本発明はこれに限られない。例えば、メインフレーム32が昇降しなくてもよい。背ボトム21または脚ボトム23の一方のみが移動してもよい。
【0055】
本発明はベッド(寝台装置)だけでなく、ストレッチャーや椅子にも適用できる。
前記実施形態では、
図6に2点鎖線で示すように、脚ボトム23が移動するときに、膝ボトム24および足ボトム25の両方が移動して脚ボトム23の全体が上方に突となる膝上げ状態になるが、本発明はこれに限られない。例えば、脚ボトム23のうち、膝ボトム24は移動せずに足ボトム25だけが下方に回転する足下げ状態になってもよい。
【0056】
前記実施形態では、
図10から
図13に示すように、身体支持装置10が複数のモードで動作するが、本発明はこれに限られない。例えば、身体支持装置10が第1モードおよび第2モードの片方の機能のみを有していてもよく、ピン71がなくてもよい。さらに例えば、身体支持装置10が第2モードのとき、背上げ機構39の駆動部63が支持台11をメインフレーム32とともに移動させることに代えて、膝上げ機構45の駆動部64が支持台11をメインフレーム32とともに移動させてもよい。この場合、例えば、メインフレーム32を傾斜させながら、脚ボトム23を移動させて膝上げしたり足下げしたりする構成を採用できる。
【0057】
昇降機構33が板材58を備えていなくてもよい。昇降機構33の第1リンク51や第2リンク42が曲がっていなくてもよい。昇降機構33がXリンク構造でなくてもよい。昇降機構33の下端の高さが、ベースフレーム31の下端の高さ以上でなくてもよい。
【0058】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に適宜置き換えてもよく、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10、10A 身体支持装置
11 支持台
26a 軸部材
31 ベースフレーム
32 メインフレーム
33 昇降機構
51 第1リンク
52 第2リンク
58 板材
59 屈曲部
63 駆動部