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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】船舶の発電システム
(51)【国際特許分類】
   B63J 99/00 20090101AFI20221014BHJP
   B63J 3/02 20060101ALI20221014BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B63J99/00 A
B63J3/02 A
H02P9/04 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018029088
(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公開番号】P2019142376
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 良太
(72)【発明者】
【氏名】大和 邦昭
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-141998(JP,A)
【文献】特開2010-116070(JP,A)
【文献】特開2004-345628(JP,A)
【文献】特開2011-087348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63J 99/00
B63J 3/02
H02P 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船内に電力を供給する複数の発電機と、
前記複数の発電機から出力された電力を蓄えて、蓄えた電力を前記船内に供給する2次電池と、
前記船舶の通常航海時において、前記複数の発電機のうち第1発電機を高負荷で稼働させ高負荷で稼働させた前記第1発電機では不足する分の電力を前記2次電池によって前記船舶に供給し、かつ前記第1発電機と同等の電力を入出港の際に出力できるように前記2次電池を充電する制御装置と、
を備える、船舶の発電システム。
【請求項2】
前記2次電池は、前記第1発電機の定格電力の90%以上120%以下の容量を有する、請求項1に記載の船舶の発電システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第3発電機によって前記2次電池を充電する、請求項1または2に記載の船舶の発電システム
【請求項4】
前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記船内に供給した電力のうち、余剰した電力を利用して前記2次電池を充電する、請求項1または2に記載の船舶の発電システム。
【請求項5】
前記船舶の推進機器の回転軸に設けられた軸発電機と更に備える、請求項1または2に記載の船舶の発電システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第3発電機と、前記軸発電機とによって前記2次電池を充電する、請求項5に記載の船舶の発電システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記軸発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第2発電機によって前記2次電池を充電する、請求項5に記載の船舶の発電システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第3発電機によって前記2次電池を充電し、前記2次電池によって前記軸発電機に電力を供給する、請求項5に記載の船舶の発電システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記船内に供給した電力のうち、余剰した電力と、前記軸発電機とによって前記2次電池を充電する、請求項5に記載の船舶の発電システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記船内に供給した電力のうち、余剰した電力を利用して前記2次電池を充電し、前記2次電池によって前記軸発電機に電力を供給する、請求項5に記載の船舶の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フェリーなどの船舶においては、船内設備に電力を供給するために、冗長性や必要な最大電力を考慮して複数(例えば、3台)の発電機を搭載しており、各発電機を運転時間が均等となるように稼働させている。最大電力が必要となるのは、例えば、入出港時にバラスラスタなどの機器を使用する場合である。この場合、3台の発電機が高負荷で運転される。一方、通常航海中においては、2台の発電機で船内に電力を供給し、残りの1台は待機させる運用となる。
【0003】
通常、発電機は定格出力で燃費効率がよいように設計されているため、入出港時においては、燃費効率に問題は発生しない。しかしながら、入出港時における必要な電力に基づいて発電機の定格電力を設定しているため、通常航海時においては2台の発電機を低負荷(例えば、定格出力の60%)で稼働させることとなり、燃費効率が悪化してしまう問題がある。このため、通常航海時においても発電機を高負荷で稼働させて燃費効率を悪化させないために、例えば、定格出力の小さな発電機と、2次電池とを組み合わせて使用することが望まれている。
【0004】
特許文献1は、発電機と、2次電池とを備えた、回転出力に対する要求トルクおよび要求回転数が変化する場合にも、高い効率で運転できる電動機システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-189690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には2次電池を利用して燃費効率の悪化を抑制することについて記載されていない。したがって、特許文献1に記載の電動機システムを船舶に適用したとしても、船舶の通常航海時における発電機の燃費効率の悪化を抑制することは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、船舶において、通常航海時における発電機の燃費効率の悪化を、2次電池を利用することで抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の船舶の発電システムは、船舶の船内に電力を供給する複数の発電機と、前記複数の発電機から出力された電力を蓄えて、蓄えた電力を前記船内に供給する2次電池と、前記船舶の通常航海時において、前記複数の発電機のうち第1発電機と、前記2次電池とによって前記船舶に電力を供給する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記船舶の入出港時において、前記第1発電機と同等の電力を出力できるように前記2次電池を充電する。
【0009】
この構造によれば、高負荷で稼働させた発電機と、2次電池とによって船舶に必要な電力を賄うことができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。
【0010】
前記2次電池は、前記第1発電機の定格電力の90%以上120%以下の容量を有することが好ましい。
【0011】
この構造によれば、2次電池を発電機と同様に使用することができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。
【0012】
また、前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第3発電機によって前記第2次電池を充電することが好ましい。
【0013】
この構造によれば、通常航海時おいて、各発電機を高負荷で稼働させつつ、2次電池を充電することができる。したがって、燃費の効率を向上させることができる。
【0014】
また、前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記船内に供給した電力のうち、余剰した電力を利用して前記2次電池を充電することが好ましい。
【0015】
この構造によれば、通常航海時おいて、各発電機を高負荷で稼働させつつ、2次電池を充電することができる。したがって、燃費の効率を向上させることができる。
【0016】
また、推進機器の回転軸に設けられた軸発電機を更に備えることが好ましい。
【0017】
この構造によれば、高負荷で稼働させた発電機と、2次電池と、軸発電機とによって船舶に必要な電力を賄うことができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。
【0018】
また、前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第3発電機と、前記軸発電機とによって前記2次電池を充電することが好ましい。
【0019】
この構造によれば、通常航海時おいて、各発電機を高負荷で稼働させつつ、2次電池を充電することができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。
【0020】
また、前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記軸発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第2発電機によって前記2次電池を充電することが好ましい。
【0021】
この構造によれば、通常航海時おいて、各発電機を高負荷で稼働させつつ、2次電池を充電することができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。
【0022】
また、前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記複数の発電機のうち第3発電機によって前記2次電池を充電し、前記2次電池によって前記軸発電機に電力を供給することが好ましい。
【0023】
この構造によれば、通常航海時おいて、各発電機を高負荷で稼働させつつ、2次電池を充電し、かつ2次電池を利用して軸発電機に電力を供給することができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。また、2次電池によってプロペラの回転を加勢することができるので、主機の消費燃料を少なくすることができる。
【0024】
また、前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記船内に供給した電力のうち、余剰した電力と、前記軸発電機とによって前記2次電池を充電することが好ましい。
【0025】
この構造によれば、通常航海時おいて、各発電機を高負荷で稼働させつつ、2次電池を充電することができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。
【0026】
また、前記制御装置は、前記船舶の通常航海時において、前記第1発電機と、前記複数の発電機のうち第2発電機とによって前記船内に電力を供給し、前記船内に供給した電力のうち、余剰した電力を利用して前記2次電池を充電し、前記2次電池によって前記軸発電機に電力を供給することが好ましい。
【0027】
この構造によれば、通常航海時おいて、各発電機を高負荷で稼働させつつ、2次電池を充電することができる。したがって、発電機の燃費効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る発電システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る発電システムの入出港時における動作の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る発電システムの船舶の通常航海時における動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の第1実施形態の変形例に係る発電システムの構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態の変形例に係る発電システムの船舶の通常航海時における動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係る発電システムの構成を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る発電システムの船舶の通常航海時における動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る発電システムの船舶の通常航海時における動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の第2実施形態に係る発電システムの船舶の通常航海時における動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の第2実施形態の変形例に係る発電システムの構成を示すブロック図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態の変形例に係る発電システムの船舶の通常航海時における動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、本発明の第2実施形態の変形例に係る発電システムの船舶の通常航海時における動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る船舶の発電システムの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。
【0030】
図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る発電システムの構成について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る発電システムの構成を示すブロック図である。
【0031】
図1に示すように、発電システム1は、主発電機10と、制御装置20とを備える。主発電機10は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13と、2次電池14とを有する。なお、発電システム1は、3台の発電機を有するが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。発電システム1は、更に多くの発電機を有していてもよい。
【0032】
第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13とは、船舶の船内に設置された発電機である。第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13は、船舶の船内に設置されている各設備に対して電力を供給する。第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13とは、それぞれ、同一の定格電力を有することが好ましい。この場合、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13との定格出力は、例えば、1000kWである。なお、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13との定格出力は、船舶の入出港時に必要な電力に応じて設定すればよい。
【0033】
2次電池14は、船舶の船内に設置されており、船内に設置されている各設備に電力を供給する。2次電池14は、例えば、船内に必要な電力のうち、高負荷(例えば、90%)で稼働させた1台の発電機によって船内に供給された電力では不足する分の電力を船内に供給する。2次電池14は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13とによって充電される。2次電池14の定格電力は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13との定格電力が1000kWである場合、例えば、1500kWである。すなわち、2次電池14は、比較的大容量の2次電池であり、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13と同程度の電力を出力することができる。具体的には、2次電池14は、各発電機の定格出力の90%以上120%以下の電力を出力できることが好ましい。2次電池14の容量の上限は、2次電池14のサイクル特性を考慮して決定される。例えば、2次電池14の容量が80%に劣化した場合であっても、第1発電機11から第3発電機13の定格電力の90%以上の電力を出力できるように決定される。このため、2次電池14は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13の代わりに使用することができる。
【0034】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13と、2次電池14とを制御する。具体的には、制御装置20は、図示しない記憶装置に記憶されているプログラムを展開して実行することによって、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13と、2次電池14とを制御する。制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む、電子的な回路などで実現することができる。
【0035】
次に、図2及び図3を参照して、図1に図示の発電システム1の動作について説明する。図2は、船舶の入出港時における発電システム1の動作を示すフローチャートである。図3は、船舶の通常航海時における発電システム1の動作を示すフローチャートである。なお、以下では、船舶が入出港時に必要な電力が4500kW、通常航海時に必要な電力が1800kWであるものとして説明するが、これに限定されない。
【0036】
まず、図2を用いて、船舶の入出港時における発電システム1の動作について説明する。制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13とを稼働させる(ステップS101)。ここでは、制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13とを定格出力で稼働させる。第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13との定格電力は、1000kWであるものとする。すなわち、制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13とによって3000kWの電力を出力させる。そして、制御装置20は、ステップS102に進む。
【0037】
制御装置20は、2次電池14を稼働させる(ステップS102)。ここで、2次電池14には、通常航海している間に、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13と同程度の電力を出力できるように、充電されている。具体的には、制御装置20は、2次電池14に1500kWの電力を出力させる。そして、制御装置20は、ステップS103に進む。
【0038】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13と、2次電池14とによって、船内に4500kWの電力を供給する(ステップS103)。
【0039】
次に、図3を用いて、船舶の通常航海時における発電システム1の動作について説明する。
【0040】
まず、制御装置20は、第1発電機11を稼働させる(ステップS201)。ここでは、制御装置20は、例えば、第1発電機11を高負荷(例えば、定格出力の90%)で稼働させ、第2発電機12と、第3発電機13とを待機させる。具体的には、第1発電機の定格電力が1000kWである場合、制御装置20は、第1発電機11に900kWの電力を出力させる。そして、制御装置20は、ステップS202に進む。
【0041】
制御装置20は、2次電池14を稼働させる(ステップS202)。ここでは、制御装置20は、船内に必要な電力を出力させる。例えば、船内に必要な電力は1800kWであり、第1発電機11は900kWの電力を出力しているので、制御装置20は、不足分の900kWの電力を2次電池14に出力させる。そして、制御装置20は、ステップS203に進む。
【0042】
制御装置20は、第1発電機11と、2次電池14とによって船内に1800kWの電力を供給する(ステップS203)。そして、制御装置20は、ステップS204に進む。
【0043】
次に、制御装置20は、2次電池14の充電量を確認する(ステップS204)。そして、制御装置20は、ステップS205に進む。
【0044】
2次電池14に充電が必要でない場合(ステップS205の「No」)、制御装置20は、ステップS203に戻る。すなわち、2次電池14の充電量が十分ある場合には、第1発電機11と、2次電池14とによって、船内への電力の供給を続ける。一方。2次電池14に充電が必要な場合(ステップS205の「Yes」)、制御装置20は、ステップS206に進む。2次電池14に充電が必要な場合とは、例えば、入出港時に各発電機と同等の電力を出力できない場合のことを意味する。
【0045】
制御装置20は、2次電池を停止させる(ステップS206)。そして、制御装置20は、ステップS207に進む。
【0046】
制御装置20は、第2発電機12と、第3発電機13とを稼働させる(ステップS207)。ここでは、制御装置20は、例えば、第2発電機12と、第3発電機13とを高負荷(例えば、定格電力の90%)で稼働させる。具体的には、第2発電機12と、第3発電機13との定格電力が1000kWである場合、制御装置20は、第2発電機12と、第3発電機13とに900kWの電力を出力させる。すなわち、制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13との3台の発電機を高負荷で稼働させる。そして、制御装置20は、ステップS208に進む。
【0047】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とによって船内に必要な1800kWの電力を供給する(ステップS208)。そして、制御装置20は、ステップS209に進む。
【0048】
制御装置20は、第3発電機13によって2次電池14を充電する(ステップS209)。ここでは、制御装置20は、第3発電機13によって、船舶が入出港時において必要な電力を確保できるように2次電池14を充電する。具体的には、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13の定格電力が1000kWの場合、1500kWの電力を出力できるように2次電池14を充電する。なお、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13とは同じ定格出力を有しているので、稼働率が同じとなるように、それぞれをローテンションして運用される。
【0049】
次に、図4を参照して、第1実施形態に係る発電システム1の変形例について説明する。図4は、第1実施形態の変形例に係る発電システム1Aの構成を示すブロック図である。
【0050】
図4に示すように、発電システム1Aは、主発電機10Aと、制御装置20とを備える。主発電機10Aは、第1発電機11と、第2発電機12と、2次電池14とを有する。すなわち、発電システム1Aは、2台の発電機と、2次電池によって船舶に電力を供給する点で、発電システム1と異なっている。この場合、第1発電機11と、第2発電機12との定格出力は、船舶が入出港時に必要な電力が4500kWである場合、1500kWであるものとする。
【0051】
次に、図5を参照して、図4に図示の発電システム1Aの動作について説明する。図5は、船舶の通常航海時における発電システム1Aの動作を示すフローチャートである。なお、入出港時における動作については発電システム1と同様なので説明は省略する。以下では、船舶が入出港時に必要な電力が4500kW、通常航海時に必要な電力が1800kWであるものとして説明する。
【0052】
制御装置20は、第1発電機11を稼働させる(ステップS301)。ここでは、制御装置20は、例えば、第1発電機11を高負荷(例えば、定格電力の90%)で稼働させ、第2発電機12を待機させる。具体的には、第1発電機の定格電力が1500kWである場合、制御装置20は、第1発電機11に1350kWの電力を出力させる。そして、制御装置20は、ステップS302に進む。
【0053】
制御装置20は、2次電池14を稼働させる(ステップS302)。ここでは、制御装置20は、船内に必要な電力を出力させる。例えば、船内に必要な電力は1800kWであり、第1発電機11は1350kWの電力を出力しているので、制御装置20は、不足分の450kWの電力を2次電池14に出力させる。そして、制御装置20は、ステップS303に進む。
【0054】
制御装置20は、第1発電機11と、2次電池14とによって船内に1800kWの電力を供給する(ステップS303)。そして、制御装置20は、ステップS304に進む。
【0055】
次に、制御装置20は、2次電池14の充電量を確認する(ステップS304)。そして、制御装置20は、ステップS305に進む。
【0056】
2次電池14に充電が必要でない場合(ステップS305の「No」)、制御装置20は、ステップS303に戻る。一方。2次電池14に充電が必要な場合(ステップS305の「Yes」)、制御装置20は、ステップS306に進む。
【0057】
制御装置20は、2次電池14を停止させる(ステップS306)。そして、制御装置20は、ステップS307に進む。
【0058】
制御装置20は、第2発電機12を稼働させる(ステップS307)。ここでは、制御装置20は、例えば、第2発電機12を高負荷(例えば、定格電力の90%)で稼働させる。具体的には、第2発電機12の定格電力が1500kWである場合、制御装置20は、第2発電機12に1350kWの電力を出力させる。すなわち、制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とを高負荷で稼働させる。そして、制御装置20は、ステップS308に進む。
【0059】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とによって船内に必要な1800kWの電力を供給する(ステップS308)。そして、制御装置20は、ステップS309に進む。
【0060】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とによって2次電池14を充電する(ステップS309)。ここでは、第1発電機11と、第2発電機12とが船内に供給した電力のうち、余剰した電力を利用して、船舶が入出港時において必要な電力を確保できるように2次電池14を充電する。具体的には、船内に必要な電力が1800kWであり、第1発電機11と、第2発電機12とは合わせて2700kWの電力を出力しているので、制御装置20は、余剰分の900kWの電力を利用して、2次電池14を充電する。
【0061】
上述のとおり、本実施形態では、2次電池を利用することによって、各発電機の定格出力を従来よりも小さくすることができるので、通常航海時において、常時、各発電機を高負荷で稼働させることができる。したがって、本実施形態は、船舶の通常航海時における発電システムの燃費効率の悪化を抑制することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、主機は、ディーゼル機関で動かしてもよいし、電気で動かしてもよい。主機を電気駆動で動かす場合には、更に複数の発電機を搭載することによって、本実施形態を適用することができる。これにより、主機を電気駆動させる場合であっても、2次電池で電力を賄いつつ、各発電機を高負荷で稼働させることができる。したがって、主機を電気駆動させる場合であっても、燃費効率の悪化を抑制することができる。
【0063】
図6を用いて、本発明の第2実施形態に係る発電システム1Bについて説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る発電システム1Bの構成を示すブロック図である。
【0064】
図6に示すように、発電システム1Bは、主発電機10と、制御装置20と、軸発電機30と、プロペラ40とを備える。
【0065】
軸発電機30は、推進機器の回転軸に設けられた回転式の発電機である。具体的には、軸発電機30は、主機関の動力をプロペラ40に伝えるシャフトの回転を利用して発電する。軸発電機30は、船舶の通常航海時において、発電した電力を船内に供給したり、発電した電力を利用して2次電池14を充電したりする。また、軸発電機30は、入出港時においては、通常、船内に電力を供給しないし、2次電池14を充電もしない。なお、船内に供給する電力が不足するなどの場合には、軸発電機30は、船内に電力を供給してもよい。
【0066】
次に、図7を参照して、図6に図示の発電システム1Bの動作について説明する。図7は、船舶の通常航海時における発電システム1Bの動作を示すフローチャートである。図7に示す動作は、2次電池14の充電が必要になった場合に、第1発電機11と、第2発電機12とで船内に電力を供給し、第3発電機13と、軸発電機30とで2次電池14を充電する動作である。なお、入出港時における動作については発電システム1と同様なので説明は省略する。以下では、船舶が入出港時に必要な電力が4500kW、通常航海時に必要な電力が1800kWであるものとして説明する。
【0067】
まず、制御装置20は、第1発電機11を稼働させる(ステップS401)。ここでは、制御装置20は、例えば、第1発電機11を高負荷(例えば、定格出力の90%)で稼働させ、第2発電機12と、第3発電機13とを待機させる。そして、制御装置20は、ステップS402に進む。
【0068】
制御装置20は、2次電池14を稼働させる(ステップS402)。ここでは、制御装置20は、船内に必要な電力を出力させる。そして、制御装置20は、ステップS403に進む。
【0069】
制御装置20は、第1発電機11と、2次電池14とによって船内に1800kWの電力を供給する(ステップS403)。ここで、制御装置20は、軸発電機30を利用して、船内に電力を供給してもよい。そして、制御装置20は、ステップS404に進む。
【0070】
次に、制御装置20は、2次電池14の充電量を確認する(ステップS404)。そして、制御装置20は、ステップS405に進む。
【0071】
2次電池14に充電が必要でない場合(ステップS405の「No」)、制御装置20は、ステップS403に戻る。一方。2次電池14に充電が必要な場合(ステップS405の「Yes」)、制御装置20は、ステップS406に進む。2次電池14に充電が必要な場合とは、例えば、入出港時に各発電機と同等の電力を出力できない場合のことを意味する。
【0072】
制御装置20は、2次電池を停止させる(ステップS406)。そして、制御装置20は、ステップS407に進む。
【0073】
制御装置20は、第2発電機12と、第3発電機13と、軸発電機30とを稼働させる(ステップS407)。ここでは、制御装置20は、第2発電機12に船内に必要な電力を出力させる。そして、制御装置20は、ステップS408に進む。
【0074】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とによって船内に必要な1800kWの電力を供給する(ステップS408)。そして、制御装置20は、ステップS409に進む。
【0075】
制御装置20は、第3発電機13と、軸発電機30とによって2次電池14を充電する(ステップS409)。ここでは、制御装置20は、第3発電機13と、軸発電機30とによって、船舶が入出港時において必要な電力を確保できるように2次電池14を充電する。第3発電機13または軸発電機30のみで2次電池14を十分に充電できる場合には、制御装置20は、ステップS407において第3発電機13と、軸発電機30の一方のみを稼働させてもよい。
【0076】
次に、図8を参照して、図6に図示の発電システム1Bの図7とは異なる動作について説明する。図8は、船舶の通常航海時における発電システム1Bの図7とは異なる動作を示すフローチャートである。具体的には、図8に示す動作は、2次電池14の充電が必要になった場合に、第1発電機11と、軸発電機30とで船内に電力を供給し、第2発電機12で2次電池14を充電する動作である。
【0077】
ステップS501~ステップS506については、図7に図示のステップS401~ステップS406と同様なので説明を省略する。
【0078】
制御装置20は、第2発電機12と、軸発電機30とを稼働させる(ステップS507)。ここでは、制御装置20は、軸発電機30に船内に必要な電力を出力させる。例えば、船内に必要な電力は1800kWであり、第1発電機11は900kWの電力を出力しているので、制御装置20は、不足分の900kWの電力を軸発電機30に出力させる。図8の処理では、第3発電機13は、待機状態となる。
【0079】
制御装置20は、第1発電機11と、軸発電機30とによって船内に必要な1800kWの電力を供給する(ステップS508)。そして、制御装置20は、ステップS509に進む。
【0080】
制御装置20は、第2発電機12によって2次電池14を充電する(ステップS509)。ここでは、制御装置20は、第2発電機12によって、船舶が入出港時において必要な電力を確保できるように2次電池14を充電する。具体的には、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13の定格電力が1000kWの場合、1500kWの電力を出力できるように2次電池14を充電する。
【0081】
次に、図9を参照して、図6に図示の発電システム1Bの図7および図8とは異なる動作について説明する。図9は、船舶の通常航海時における発電システム1Bの図7および図9とは異なる動作を示すフローチャートである。具体的には、図9に示す動作は、第1発電機11と、第2発電機12とで船内に電力を供給し、第3発電機13で2次電池14を充電し、2次電池14でプロペラ40の回転を加勢する動作である。
【0082】
ステップS601~ステップS605については、図7に図示のステップS401~ステップS405と同様なので説明は省略する。
【0083】
制御装置20は、第2発電機12と、第3発電機13とを稼働させる(ステップS606)。ここでは、制御装置20は、例えば、第2発電機12と、第3発電機13とを高負荷(例えば、定格電力の90%)で稼働させる。具体的には、第2発電機12と、第3発電機13との定格電力が1000kWである場合、制御装置20は、第2発電機12と、第3発電機13とに900kWの電力を出力させる。すなわち、制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、第3発電機13との3台の発電機を高負荷で稼働させる。そして、制御装置20は、ステップS607に進む。
【0084】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とで船内に必要な1800kWの電力を供給する(ステップS607)。そして、制御装置20は、ステップS608に進む。
【0085】
制御装置20は、第3発電機13によって2次電池14を充電する(ステップS608)。ここでは、制御装置20は、少なくとも、プロペラ40の回転を加勢できる程度に2次電池14を充電する。ここで、2次電池14が軸発電機30を加勢するのに十分な電力が充電されていれば、制御装置20はステップS608を省略してもよい。そして、制御装置20は、ステップS609に進む。
【0086】
制御装置20は、2次電池14で軸発電機30に電力を供給する(ステップS609)。これにより、軸発電機30からプロペラ40の回転動力に電力を供給が供給され、プロペラ40の回転を加勢する。
【0087】
次に、図10を参照して、第2実施形態に係る発電システム1Bの変形例について説明する。図10は、第2実施形態の変形例に係る発電システム1Cの構成を示すブロック図である。
【0088】
図10に示すように、発電システム1Cは、主発電機10Aと、制御装置20と、軸発電機30と、プロペラ40とを備える。主発電機10Aは、第1発電機11と、第2発電機12と、2次電池14とを有する。すなわち、発電システム1Cは、2台の発電機と、2次電池によって船舶に電力を供給する点で、発電システム1Bと異なっている。なお、2次電池14の充電が必要になった場合に、第1発電機11と、軸発電機30とで船内に電力を供給し、第2発電機12で2次電池14を充電する動作については、第3発電機13を待機させることを除き、図8に図示の動作と同様なので説明は省略する。
【0089】
図11を参照して、図10に図示の発電システム1Cの動作について説明する。図11は、船舶の通常航海時における発電システム1Cの動作を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS701~ステップS706については、図5に図示のステップS301~ステップS306と同様なので説明は省略する。
【0091】
制御装置20は、第2発電機12と、軸発電機30とを稼働させる(ステップS707)。ここでは、制御装置20は、例えば、第2発電機12を高負荷(例えば、定格電力の90%)で稼働させる。具体的には、第2発電機12の定格電力が1500kWである場合、制御装置20は、第2発電機12に1350kWの電力を出力させる。すなわち、制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とを高負荷で稼働させる。制御装置20は、2次電池14を充電できるように軸発電機30を稼働させる。そして、制御装置20は、ステップS708に進む。
【0092】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とによって船内に必要な1800kWの電力を供給する(ステップS708)。そして、制御装置20は、ステップS709に進む。
【0093】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12と、軸発電機30とによって2次電池14を充電する(ステップS709)。ここでは、第1発電機11と、第2発電機12とが船内に供給した電力のうち、余剰した電力と、軸発電機30が出力する電力とを利用して、船舶が入出港時において必要な電力を確保できるように2次電池14を充電する。具体的には、船内に必要な電力が1800kWであり、第1発電機11と、第2発電機12とは合わせて2700kWの電力を出力しているので、制御装置20は、余剰分の900kWの電力を利用して、2次電池14を充電する。なお、第1発電機11と、第2発電機12とで2次電池を十分に充電できる場合には、制御装置20は、ステップS707において、軸発電機30を稼働させなくともよい。
【0094】
次に、図12を参照して、図10に図示の発電システム1Cの図11とは異なる動作について説明する。
【0095】
ステップS801~ステップS805については、図5に図示のステップS301~ステップS305と同様なので説明は省略する。
【0096】
制御装置20は、第2発電機12を稼働させる(ステップS806)。ここでは、制御装置20は、例えば、第2発電機12を高負荷(例えば、定格電力の90%)で稼働させる。具体的には、第2発電機12の定格電力が1500kWである場合、制御装置20は、第2発電機12に1350kWの電力を出力させる。すなわち、制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とを高負荷で稼働させる。そして、制御装置20は、ステップS807に進む。
【0097】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とによって船内に必要な1800kWの電力を供給する(ステップS807)。そして、制御装置20は、ステップS808に進む。
【0098】
制御装置20は、第1発電機11と、第2発電機12とによって2次電池14を充電する(ステップS808)。ここでは、第1発電機11と、第2発電機12とが船内に供給した電力のうち、余剰した電力を利用して、舶が入出港時において必要な電力を確保できるように2次電池14を充電する。具体的には、船内に必要な電力が1800kWであり、第1発電機11と、第2発電機12とは合わせて2700kWの電力を出力しているので、制御装置20は、余剰分の900kWの電力を利用して、2次電池14を充電する。そして、制御装置20は、ステップS809に進む。
【0099】
制御装置20は、2次電池14によって、軸発電機30に電力を供給する(ステップS809)。なお、制御装置20は、ステップS809を省略してもよい。
【0100】
上述のとおり、本実施形態では、2次電池を利用することによって、各発電機の定格出力を従来よりも小さくすることができるので、通常航海時において、常時、各発電機を高負荷で稼働させることができる。したがって、本実施形態は、船舶の通常航海時における発電システムの燃費効率の悪化を抑制することができる。
【0101】
また、本実施形態は、通常航海時において、各発電機と、軸発電機とによって、船内に電力を供給したり、2次電池を充電したりすることができる。本実施形態は、船舶の通常航海時における発電システムの燃費効率の悪化をより抑制することができる。また、本実施形態は、主機の消費燃料を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0102】
1,1A,1B,1C 発電システム
10,10A 主発電機
11 第1発電機
12 第2発電機
13 第3発電機
14 2次電池
30 軸発電機
40 プロペラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12