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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】フロート式逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/04 20060101AFI20221014BHJP
   F16K 31/18 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F16K15/04 D
F16K31/18 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018073562
(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公開番号】P2019183917
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中西 良樹
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096766(JP,A)
【文献】実公昭51-004097(JP,Y1)
【文献】特開2008-202716(JP,A)
【文献】特開2014-214850(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0300524(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/04
F16K 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流通口を有する弁座と、
前記弁座の下流側に設けられ、前記弁座の下流側における液体の液位に応じて上昇下降することによって前記流通口を開閉する球状のフロートと、
前記フロートが上昇下降する移動通路において上昇時の前記フロートと接触する位置に設けられ、上昇時の前記フロートと接触したときには、上方へ撓むことによって前記フロートの上昇動作を許容し、前記フロートが前記流通口を閉鎖したときには、前記フロートにおける上昇時に接触した部分よりも下方の部分と接触し前記フロートの下降動作を制止する弾性体の接触部と、
前記フロートの周囲に上下方向に延びる状態で設けられて前記移動通路を形成し、前記フロートを上下方向にガイドする複数のガイド棒とを備え、
前記接触部は、前記複数のガイド棒のそれぞれに設けられ、前記フロートの周方向に互いに間隔を置いて複数配置されている
ことを特徴とするフロート式逆止弁。
【請求項2】
請求項1に記載のフロート式逆止弁において、
前記接触部は、上昇時の前記フロートと接触したときは、前記フロートにおける中心よりも上方の部分と接触し、前記フロートが前記流通口を閉鎖したときは、前記フロートにおける中心よりも下方の部分と接触する
ことを特徴とするフロート式逆止弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフロート式逆止弁において、
前記接触部は、先端にいくに従って上方へ傾斜し、上昇時の前記フロートが接触する下面を有している
ことを特徴とするフロート式逆止弁。
【請求項4】
請求項1または2に記載のフロート式逆止弁において、
前記接触部の材質は、ゴムである
ことを特徴とするフロート式逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、フロート式逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、ドレンファンネルに設けられるフロート式逆止弁が知られている。ドレンファンネルは、工場等の床に設けられ、床面に零れたり排出されたりした汚染水等の流体を外部に排出するためのものである。ドレンファンネルは、床面に埋設される貯留槽と、貯留槽の底部に設けられる排出管とを有している。そして、排出管にフロート式逆止弁が設けられている。フロート式逆止弁は、流通口を有する弁座と、流通口を開閉するフロートとを有している。このフロート式逆止弁では、排出管を流体が逆流する場合、その流体によってフロートが上昇(浮上)して弁座に着座して流通口を閉鎖する。これにより、流体の逆流が防止される。逆流時以外の通常時は、フロートが弁座から離座しており、床面に排出等された流体は貯留槽に流入して排出管から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-185386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、流体が逆流して流通口がフロートによって閉鎖されている際、流体の液位が揺動することによって、一瞬、フロートが弁座から離座してしまい、流体が上流側に漏れ出る虞があった。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体の逆流時においてフロートのシール性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示の技術は、弁座と、フロートと、弾性体の接触部とを備えている。前記弁座は、液体の流通口を有している。前記フロートは、前記弁座の下流側に設けられ、前記弁座の下流側における液体の液位に応じて上昇下降することによって前記流通口を開閉するものである。前記接触部は、前記フロートが上昇下降する移動通路において上昇時の前記フロートと接触する位置に設けられている。また、前記接触部は、上昇時の前記フロートと接触したときには、上方へ撓むことによって前記フロートの上昇動作を許容し、前記フロートが前記流通口を閉鎖したときには、前記フロートにおける上昇時に接触した部分よりも下方の部分と接触し前記フロートの下降動作を制止するものである。
【発明の効果】
【0007】
本願のフロート式逆止弁によれば、流体の逆流時においてフロートのシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るフロート式逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図2図2は、実施形態1に係るフロート式逆止弁の要部を示す断面図である。
図3図3は、図1における断面視III-IIIを示す図である。
図4図4は、フロートの上昇途中時における要部の状態を示す断面図である。
図5図5は、閉鎖時における要部の状態を示す断面図である。
図6図6は、実施形態2に係る要部の状態を示す図4相当図である。
図7図7は、実施形態2に係る要部の状態を示す図5相当図である。
図8図8は、実施形態3に係る要部の状態を示す図4相当図である。
図9図9は、実施形態3に係る要部の状態を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
(実施形態1)
本願の実施形態1について図1図5を参照しながら説明する。本実施形態のフロート式逆止弁10(以下、単に逆止弁10ともいう。)は、工場等の床に設けられるドレンファンネル1に用いられるものである。ドレンファンネル1は、床面に零れたり排出されたりした汚染水等の液体を外部に排出するためのものである。
【0011】
図1に示すように、ドレンファンネル1は貯留槽2と排出管3を備えている。貯留槽2は、上部が開口した容器であり、上部の開口端が床面と面一となる状態で床Rに埋設されている。図示しないが、貯留槽2の上部開口は多数の貫通孔が設けられた蓋によって閉じられている。貯留槽2は、平面視形状が例えば円形や四角形である。排出管3は、上下方向に延びる状態で貯留槽2の底壁2aに接続され、貯留槽2内に開口している。ドレンファンネル1では、床面に排出等された液体が貯留槽2に流入して貯留され、その貯留された液体は排出管3から外部に排出される。
【0012】
〈フロート式逆止弁の構成〉
図1に示すように、本実施形態の逆止弁10は、排出管3に設けられている。逆止弁10は、取付部材20と、弁座30と、フロート45と、ガイド部40と、制止部材50とを備えている。逆止弁10は、排出管3から貯留槽2への液体の逆流を防止する。
【0013】
取付部材20は、弁座30やフロート45等を排出管3に取り付けるためのものである。取付部材20は、板状に形成されており、排出管3の開口を塞ぐように貯留槽2の底壁2aに設けられている。つまり、取付部材20は排出管3の開口よりも大きく形成されている。取付部材20の中央には、上下方向に貫通する液体の流入口21が設けられている。また、取付部材20の上面には、流入口21を塞ぐようにカバー22が設けられている。カバー22は、液体が流通可能な多数の孔を有している。貯留槽2内の液体は、カバー22の孔を通過して流入口21へ流れる。液体がカバー22の孔を通過する際、比較的大きなゴミは除去される。
【0014】
取付部材20の下面には、溝23が設けられ、溝23には、取付部材20と貯留槽2の底壁2aとの間をシールするためのOリング24が装着されている。また、取付部材20には、点検やメンテナンス時に、逆止弁10を吊り上げるためのアイボルト25が設けられている。なお、取付部材20は、図示しないが、貯留槽2の底壁2aにボルトによって固定されている。
【0015】
弁座30は、円環状の板部材であり、液体の排出口31(本願の請求項に係る流通口)を有している。弁座30は、排出口31と取付部材20の流入口21とが同軸となるように、取付部材20の下面と接して設けられている。弁座30は、下流側(下方)から弁座押え35によって押し付けられることにより固定されている。なお、弁座押え35は取付部材20の下面にボルトによって取り付けられている。
【0016】
フロート45は、中空の球状に形成されている。フロート45は、弁座30の下方(下流側)に設けられ、弁座30の下流側における液体の液位に応じて上昇下降することによって弁座30の排出口31を開閉するものである。つまり、フロート45は、上昇して弁座30に着座することにより排出口31を閉鎖し(図1に破線で示す状態、以下、閉鎖状態という。)、下降して弁座30から離座することにより排出口31を開放する(図1に実線で示す状態、以下、開放状態という。)。
【0017】
ガイド部40は、複数(本実施形態では、6つ)のガイド棒41と、底板42とを有している。ガイド棒41は、円形の棒部材であり、上下方向(上下流方向)に延びる状態で設けられている。6つのガイド棒41は、フロート45の周囲に設けられている。具体的に、6つのガイド棒41は、図3にも示すように、フロート45の周方向において互いに等間隔(60°間隔)で配置されている。こうして設けられた6つのガイド棒41の内側は、フロート45が上昇下降する移動通路46として形成される。ガイド棒41は、上端部が、弁座押え35を貫通し取付部材20と螺合することにより、取付部材20に固定されている。
【0018】
底板42は、上下方向におけるフロート45の下方位置を規定するものであり、開放状態のときにフロート45が着地する。底板42は、ガイド棒41の下端部に取り付けられており、ナット43によって上下方向の位置が調整可能となっている。フロート45は、6つのガイド棒41と底板42との間の移動通路46に収容されている。6つのガイド棒41は、フロート45を上下方向(上下流方向)にガイドするように構成されている。
【0019】
制止部材50は、閉鎖状態におけるフロート45の下降動作を制止するものである。制止部材50は、図2および図3にも示すように、6つのガイド棒41の各々に設けられている。制止部材50は、水平に延びる板状部材であり、弾性体である。制止部材50の材質は、例えばゴムである。制止部材50は、基端側がガイド棒41に挿入されて取り付けられ、先端52が移動通路46側へ突出している。制止部材50は、先端52側の部分がフロート45と接触する接触部51となっている。
【0020】
接触部51は、移動通路46において上昇時のフロート45と接触する位置に設けられている。より詳しくは図2に示すように、接触部51は、開放状態におけるフロート45の中心位置Xaよりも上方の位置であって、閉鎖状態におけるフロート45の中心位置Xbよりも下方の位置に設けられている。接触部51は、開放状態においてフロート45とは離れており(接触しておらず)、上昇時のフロート45と接触する。図3に示すように、6つの制止部材50の先端52を通る仮想円Cの直径は、フロート45の直径よりも小さい。
【0021】
接触部51は、上昇時のフロート45と接触したときには、上方へ撓むことによってフロート45の上昇動作を許容し、フロート45が排出口31を閉鎖したとき(閉鎖状態のとき)には、フロート45における上昇時に接触した部分よりも下方の部分と接触しフロート45の下降動作を制止するものである。具体的には、接触部51は、上昇時のフロート45と接触したときは、フロート45における中心よりも上方の部分と接触し、閉鎖状態のときは、フロート45における中心よりも下方の部分と接触する。
【0022】
図2に示すように、接触部51は、先端52にいくに従って細くなる先細形状となっている。接触部51の下面51bは、先端52にいくに従って上方へ傾斜しており、上昇時のフロート45が接触する面である。接触部51の上面51aは、先端52にいくに従って下方へ傾斜しており、閉鎖状態におけるフロート45と接触する面である。上面51aおよび下面51bは何れも、先端52から連続して形成された平らな傾斜面である。なお、先端52は、僅かながら円弧状に形成されている。
【0023】
〈動作〉
通常時、逆止弁10は、開放状態、即ちフロート45が底板42に着地した状態となっている。床面に排出等された液体は貯留槽2に流入して貯留される。貯留槽2内の貯留面が取付部材20の上面を超えると、貯留槽2の液体は、カバー22および流入口21を通過し、排出口31から排出管3に流れる。これにより、液体は外部に排出される。
【0024】
排出管3において液体が逆流した場合、フロート45は、底板42に着地した状態から、液体の液位の上昇に応じて上昇する。次いで、上昇したフロート45は、図4に示すように、接触部51の下面51bに接触する。このとき、接触部51はフロート45における中心位置Xcよりも上方の部分と接触する。続いて、接触部51は、フロート45の上昇力(即ち、逆流する液体の圧力)によって上方へ撓み、フロート45の上昇動作を許容する。つまり、フロート45は接触部51を上方へ撓ませながら更に上昇する。このとき、接触部51の下面51bにおける弾性力は、少なくともフロート45の浮力よりも小さい。
【0025】
そして、フロート45は更に上昇して弁座30に着座し排出口31を閉鎖する。これにより、閉鎖状態となり、液体の逆流が防止される。この閉鎖状態では、図5に示すように、接触部51はフロート45における中心位置Xbよりも下方の部分と接触した状態になる。このとき、フロート45は接触部51の上面51aと接触し、上面51aはフロート45によって押し潰された状態になる。そして、この閉鎖状態では、接触部51(制止部材50)による弾性力Fがフロート45に作用し、その分力Fuが、フロート45を上方へ押し上げる力、即ちフロート45を弁座30に押し付ける力として作用する。こうして、閉鎖状態では、接触部51によってフロート45の下降動作が制止される。このとき、上記の分力Fuは、少なくともフロート45の自重よりも大きい。
【0026】
以上のように、上記実施形態の逆止弁10は、弾性体の接触部51を備えている。接触部51は、フロート45の移動通路46において上昇時のフロート45と接触する位置に設けられ、上昇時のフロート45と接触したときには、上方へ撓むことによってフロート45の上昇動作を許容し、フロート45が排出口31(流通口)を閉鎖したときには、フロート45における上昇時に接触した部分よりも下方の部分と接触しフロート45の下降動作を制止するように構成されている。
【0027】
上記の構成によれば、閉鎖状態において、フロート45の下降動作を制止することができる。そのため、閉鎖状態において、例えば液体の液位が揺動しても、フロート45は下降することはない。つまり、フロート45が弁座30から離座することを阻止することができる。したがって、閉鎖状態においてフロート45のシール性を向上させることができる。
【0028】
また、上記実施形態の逆止弁10は、フロート45が球状に形成されている。そして、接触部51は、上昇時のフロート45と接触するときは、フロート45における中心位置Xcよりも上方の部分と接触する。この構成によれば、上昇時のフロート45と接触部51との摩擦抵抗を小さくできるので、上昇時のフロート45が接触部51と接触した際に容易にフロート45を上昇させることができる。
【0029】
また、接触部51は、閉鎖状態のときは、球状のフロート45における中心位置Xbよりも下方の部分と接触する。そのため、接触部51によってフロート45を下方から保持できるので、効果的にフロート45の下降動作を制止することができる。さらには、接触部51による弾性力Fの分力Fuを、フロート45を上方へ押し上げる力(フロート45を弁座30に押し付ける力)として発生させることができる。
【0030】
また、接触部51の下面51bは、先端52にいくに従って上方へ傾斜する傾斜面である。これによっても、上昇時のフロート45と接触部51との摩擦抵抗を小さくできるので、上昇時のフロート45が接触部51と接触した際に容易にフロート45を上昇させることができる。
【0031】
また、接触部51は、間隔を置いて設けられた複数のガイド棒41に設けられている。そのため、フロート45の全周に亘って接触部が設けられる場合に比して、上昇時のフロート45と接触部51との摩擦抵抗を抑制し得る。これにより、上昇時のフロート45が接触部51と接触した際に容易にフロート45を上昇させることができる。
【0032】
(実施形態2)
本願の実施形態2について図6および図7を参照しながら説明する。本実施形態の逆止弁10は、上記実施形態1の接触部の形状を変更するようにしたものである。ここでは、上記実施形態1と異なる点について説明する。
【0033】
図6に示すように、本実施形態の制止部材50の接触部53は、厚さが一定の矩形状となっている。つまり、接触部53は、先端54は鉛直面となっており、上側および下側の角53a,53bは直角を成している。本実施形態では、排出管3において液体が逆流した場合、上昇したフロート45は、接触部53の下側の角53bに接触する。このとき、接触部53は、上記実施形態1と同様、フロート45における中心位置Xcよりも上方の部分と接触する。続いて、接触部53は、フロート45の上昇力(即ち、逆流する液体の圧力)によって上方へ撓み、フロート45の上昇動作を許容する。
【0034】
そして、閉鎖状態のときは、図7に示すように、接触部53は、上記実施形態1と同様、フロート45における中心位置Xbよりも下方の部分と接触した状態になる。このとき、フロート45は接触部53の上側の角53aと接触し、角53aはフロート45によって押し潰された状態になる。また、接触部53の先端54は、下部がフロート45の方へ膨出した状態になる。そして、この閉鎖状態では、接触部53(制止部材50)による弾性力Fがフロート45に作用し、その分力Fuが、フロート45を上方へ押し上げる力(即ち、フロート45を弁座30に押し付ける力)として作用する。こうして、本実施形態においても、閉鎖状態では、接触部53によってフロート45の下降動作を制止することができる。その他の構成、作用および効果は、上記実施形態1と同様である。
【0035】
(実施形態3)
本願の実施形態3について図8および図9を参照しながら説明する。本実施形態の逆止弁10は、上記実施形態1の接触部の形状を変更するようにしたものである。ここでは、上記実施形態1と異なる点について説明する。
【0036】
図8に示すように、本実施形態の制止部材50の接触部55は、先端56にいくに従って細くなる先細形状となっている。接触部55は、上記実施形態1とは異なり、上面55aおよび下面55bのうち、上面55aのみが傾斜面となっている。つまり、接触部55の上面55aは、先端56にいくに従って下方へ傾斜しており、閉鎖状態におけるフロート45と接触する面である。接触部55の下面55bは、水平面であり、上昇時のフロート45が接触する面である。本実施形態では、排出管3において液体が逆流した場合、上昇したフロート45は、接触部55の先端56ないし下面55bに接触する。このとき、接触部55は、上記実施形態1と同様、フロート45における中心位置Xcよりも上方の部分と接触する。続いて、接触部55は、フロート45の上昇力(即ち、逆流する液体の圧力)によって上方へ撓み、フロート45の上昇動作を許容する。
【0037】
そして、閉鎖状態のときは、図9に示すように、接触部55は、上記実施形態1と同様、フロート45における中心位置Xbよりも下方の部分と接触した状態になる。このとき、フロート45は接触部55の上面55aと接触し、上面51aはフロート45によって押し潰された状態になる。そして、この閉鎖状態では、接触部55(制止部材50)による弾性力Fがフロート45に作用し、その分力Fuが、フロート45を上方へ押し上げる力として作用する。こうして、本実施形態においても、閉鎖状態では、接触部53によってフロート45の下降動作を制止することができる。その他の構成、作用および効果は、上記実施形態1と同様である。
【0038】
なお、本願に開示の技術は、上述した実施形態において以下のような構成としてもよい。
【0039】
接触部の形状は、上述したものに限らず、例えば、厚さ方向に亘って凸状の円弧形状であってもよい。
【0040】
また、ガイド棒41の数量は、上述したものに限らない。また、接触部は、全てガイド棒41に設けなくてもよく、複数のうち何れかのガイド棒に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願に開示の技術は、フロート式逆止弁について有用である。
【符号の説明】
【0042】
10 逆止弁
30 弁座
31 排出口(流通口)
41 ガイド棒
45 フロート
46 移動通路
51,53,55 接触部
51b 下面
52 先端
Xa 中心位置(中心)
Xb 中心位置(中心)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9