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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】屋根装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/16 20060101AFI20221014BHJP
   E04B 1/32 20060101ALI20221014BHJP
   E04B 7/16 20060101ALI20221014BHJP
   E04H 3/14 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
E04H9/16 C
E04B1/32 102J
E04B7/16 A
E04H3/14 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018076971
(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公開番号】P2019183530
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 澪
(72)【発明者】
【氏名】高畠 雅哉
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-087913(JP,U)
【文献】特開2002-317421(JP,A)
【文献】特開昭63-011738(JP,A)
【文献】特開2001-23698(JP,A)
【文献】特開2007-116799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/16
E04B 1/32
E04B 7/16
E04H 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に設けられる屋根部と、
前記屋根部を支持して軌道上を走行することで前記軌道が延びる方向に前記屋根部を移動させる少なくとも1つの走行台車と、
少なくとも1つの前記走行台車に設けられ、前記軌道上において前記走行台車の走行方向の前方の雪を除く除雪機構と
を備え
前記走行台車は、当該走行台車に着脱可能な電源部を有し、
前記電源部は、電力の供給及び充電が可能な本体部と、前記本体部を支持して前記軌道上を走行可能な移動機構とを有する
屋根装置。
【請求項2】
前記除雪機構は、掻き取った前記雪を所定の方向に投雪する投雪部を有する
請求項1に記載の屋根装置。
【請求項3】
前記所定方向は、前記建築物の外部側に向けた方向である
請求項2に記載の屋根装置。
【請求項4】
前記軌道は、平面視において前記建築物の外周に沿って複数設けられ、
複数の前記軌道は、前記建築物の内側から外側を見た場合に重なって配置される部分を有し、
前記建築物に近い前記軌道から順に前記走行台車を走行させる制御部を更に備える
請求項3に記載の屋根装置。
【請求項5】
複数の前記走行台車は、前記軌道が延びる方向に1列に並んで配置され、
前記除雪機構は、複数の前記走行台車のうち前記走行方向の先頭となる前記走行台車に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の屋根装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スタジアム等の建築物では、悪天時において風雨や雪等を遮ることができるように、屋根が設けられる場合がある。また、好天時においては建築物の内部に外気や太陽光等を取り入れることができるように、開閉可能な屋根装置を採用する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-308168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような開閉可能な屋根装置を降雪地帯に建設した場合、開閉機構のうち外部に露出しているレール等の軌道上に雪が積もり、台車の走行を妨げる可能性がある。このため、特許文献1に記載の屋根装置では、レールにカバー部材を設け、台車の非走行時にはカバーでレールを覆い、台車の走行時にはカバーを開けてレールを露出させるようにしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、台車の非走行時においてカバー内への雪の浸入を防ぐため、カバーの気密性を向上させる必要がある。また、カバーに積もる雪の量によっては、カバーの開閉が妨げられる可能性がある。そのため、屋根の開閉動作の安定性を低下させる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、積雪時においても屋根の開閉動作を安定して行うことが可能な屋根装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る屋根装置は、建築物に設けられる屋根部と、前記屋根部を支持して軌道上を走行することで前記軌道が延びる方向に前記屋根部を移動させる少なくとも1つの走行台車と、少なくとも1つの前記走行台車に設けられ、前記軌道上において前記走行台車の走行方向の前方の雪を除く除雪機構とを備える。
【0008】
本発明によれば、軌道上に雪が積もった場合には、軌道上において走行台車の走行方向の前方の雪を除雪機構により除くことで、走行台車の走行スペースを確保できる。そのため、除雪機構により雪を除雪しながら、走行台車を走行させることが可能となる。これにより、積雪時においても屋根部の開閉動作を安定して行うことが可能となる。
【0009】
また、前記除雪機構は、掻き取った前記雪を所定の方向に投雪する投雪部を有してもよい。
【0010】
従って、掻き取った雪が軌道上に再び落ちることを抑制し、走行台車を安定して走行させることができる。
【0011】
また、前記所定方向は、前記建築物の外部側に向けた方向であってもよい。
【0012】
従って、掻き取った雪が建築物の外部側に投雪されるため、建築物の内部、例えばスタジアムであれば客席等に雪が入り込むことを抑制できる。
【0013】
また、前記軌道は、平面視において前記建築物の外周に沿って複数設けられ、複数の前記軌道は、前記建築物の内側から外側を見た場合に重なって配置される部分を有し、前記建築物に近い前記軌道から順に前記走行台車を走行させる制御部を更に備えてもよい。
【0014】
従って、建築物に近い側の軌道において投雪された雪が、建築物から遠い側の軌道上に落下する場合でも、当該雪を確実に建築物の外側に向けて投雪することができる。これにより、軌道上に雪が残ることを抑制できる。
【0015】
また、複数の前記走行台車は、前記軌道が延びる方向に1列に並んで配置され、前記除雪機構は、複数の前記走行台車のうち前記走行方向の先頭となる前記走行台車に設けられてもよい。
【0016】
従って、除雪機構を効率的に配置することにより、低コストで高い除雪効果を得ることができる。
【0017】
また、前記走行台車は、当該走行台車に着脱可能な電源部を有してもよい。
【0018】
従って、走行台車の走行や除雪機構等に用いられる電力を当該電源部によって賄うことができるため、電源用の配線等が不要になる。これにより、走行台車の走行形態の自由度が高められる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、積雪時においても屋根の開閉動作を安定して行うことが可能な屋根装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係る屋根装置の一例を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、屋根装置の一例を概略的に示す側面図である。
図3図3は、走行台車及び除雪機構の一例を示す斜視図である。
図4図4は、屋根装置の動作を説明するための図である。
図5図5は、屋根装置の動作を説明するための図である。
図6図6は、屋根装置の動作を説明するための図である。
図7図7は、屋根装置の動作を説明するための図である。
図8図8は、屋根装置の動作を説明するための図である。
図9図9は、変形例に係る除雪機構の一例を示す斜視図である。
図10図10は、変形例に係る走行台車の一例を示す図である。
図11図11は、変形例に係る電源部の一例を示す図である。
図12図12は、変形例に係る電源部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る屋根装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0022】
図1は、本実施形態に係る屋根装置100の一例を概略的に示す斜視図である。図2は、屋根装置100の一例を概略的に示す側面図である。図1及び図2に示すように、屋根装置100は、例えばスタジアム等の建築物101に設けられ、軌道40が延びる方向に開閉可能である。屋根装置100は、建築物101における客席101aの一部を開放させる開放位置P1と、客席101aを閉塞する閉塞位置P2(図6等参照)との間で移動可能である。なお、屋根装置100が開閉する構成については、これに限定されず、他の形態で開閉する構成であってもよい。屋根装置100は、屋根部10と、複数の走行台車20と、除雪機構30と、制御部CONTとを備える。制御部CONTは、屋根装置100の開閉動作を統括的に制御する。
【0023】
屋根部10は、建築物101の屋根を構成する。屋根部10は、例えば板状に形成され、上方に湾曲した形状を有するが、屋根部10の形状についてはこれに限定されない。屋根部10は、閉じた状態では建築物101の全体を覆うように配置される。また、屋根部10は、開いた状態では建築物101の少なくとも一部を開放するように配置される。
【0024】
複数の走行台車20は、屋根部10に連結される支持部11を介して当該屋根部10を支持する。図3は、走行台車20及び除雪機構30の一例を示す斜視図である。図3に示すように、走行台車20は、本体部21と、走行部22とを有する。本体部21は、支持部11に連結される。走行部22は、本体部21を移動させる車輪等の走行装置を有する。
【0025】
各走行台車20は、走行部22により軌道40上を走行する。複数の走行台車20は、軌道40上を走行することで、軌道40が延びる方向に屋根部10を移動させる。本実施形態において、軌道40は、例えば直線状である。従って、走行台車20の走行方向Dは、軌道40に沿った直線方向である。また、屋根部10の移動方向は、軌道40に沿った直線方向である。なお、本実施形態において、各走行台車20は、軌道40の上面に沿って移動可能な構成であるが、これに限定されず、軌道40の側面に沿って移動する構成であってもよい。また、軌道40がレールを有し、各走行台車20の走行部22がレールの両側部にフランジを有し、フランジの間にレールを挟んだ状態で走行部22が移動する構成であってもよい。
【0026】
除雪機構30は、複数の走行台車20のうち走行方向Dの先頭となる走行台車20に設けられる。本実施形態では、軌道40が2本設けられる。また、走行方向Dは、屋根部10を開放位置P1から閉塞位置P2に向けて移動させる場合の閉塞方向D2と、屋根部10を閉塞位置P2から開放位置P1に向けて移動させる位場合の開放方向D1とを含む。したがって、除雪機構30は、一方の軌道40において、閉塞方向D2の先頭の走行台車20と、開放方向D1の先頭の走行台車20とに設けられる。同様に、他方の軌道において、閉塞方向D2の先頭の走行台車20と、開放方向D1の先頭の走行台車20とに設けられる。
【0027】
除雪機構30は、掻き取り部31と、カバー部材32と、投雪部33とを有する。掻き取り部31は、例えば所定の中心軸を中心とした螺旋状に形成され雪を掻き取るオーガ31Gと、当該オーガ31Gによって掻き取られた雪をカバー部材32に送る羽根部材を有するブロア31Pとを有している。ブロア31Pは、後述するカバー部材32の開口部32aの前側に配置される。ブロア31Pは、不図示の駆動源の動力により、走行方向Dに平行な回転軸の軸回りに回転可能である。オーガ31Gは、ブロア31Pの回転に合わせて中心軸の軸回りに回転可能である。なお、ブロア31P及びオーガ31Gに回転を伝達する伝達機構については図示を省略している。掻き取り部31では、オーガ31Gが回転することにより、雪がブロア31P側に掻き取られる。また、掻き取り部31では、ブロア31Pが回転することにより、オーガ31Gで掻き取られた雪が開口部32aに送られる。
【0028】
なお、除雪機構30は、熱により雪を軟化させる構成を備えていてもよい。この場合、例えばオーガ31Gを加熱する構成であってもよいし、オーガ31Gとは異なる加熱用部材を設けて、当該加熱用部材を加熱して雪を軟化させる構成であってもよい。この場合、掻き取り部31において雪を掻き取りやすくすることができる。
【0029】
カバー部材32は、掻き取り部31によって掻き取られた雪を受ける。カバー部材32は、走行台車20の走行方向の前方と情報とに亘って開口された状態で設けられる。この構成により、走行台車20の走行方向の前方に積もった雪を掻き取る際、掻き取った雪の上方に残った雪が自重により下方に落下する場合に、落下した雪を掻き取り部31により掻き取ることができるようになっている。カバー部材32は、開口部32aを有する。開口部32aは、掻き取り部31によって掻き取られた雪を投雪部33に送る。なお、上記した加熱用部材を配置する場合、当該加熱用部材は、例えばカバー部材32の下面に配置することができる。これにより、効率的に雪を軟化することができる。
【0030】
投雪部33は、開口部32aから送られた雪を所定方向に投雪する。この場合、所定方向は、建築物101の外部側に向けた方向である。投雪部33は、案内部33a及び放出口33bを有する。案内部33aは、開口部32aに接続され、開口部32aから建築物101の外部側に向けて延び出している。放出口33bは、案内部33aの先端に設けられ、建築物101の外部側に向けて開口される。
【0031】
したがって、掻き取り部31によって掻き取られた雪は、カバー部材32の開口部32aから投雪部33に送り込まれる。送り込まれた雪は、投雪部33の案内部33aによって建築物101の外部側に案内され、放出口33bから放出される。この構成により、建築物101の内部側に雪が放出されることが抑制される。
【0032】
次に、上記のように構成された屋根装置100の動作を説明する。図4から図8は、屋根装置100の動作を説明するための図である。まず、図4に示すように、屋根部10が開放位置P1に配置された状態で、軌道40上に雪が積もった場合の動作を説明する。本実施形態では、軌道40が露出されているため、雪が降った場合、軌道40上に雪が積もった状態となる。
【0033】
この状態で、制御部CONTは、例えば外部から屋根部10を移動するよう指令があった場合、屋根部10を閉塞方向D2に移動させる。この場合、制御部CONTは、複数の走行台車20が閉塞方向D2に移動するように制御する。この制御により、複数の走行台車20が閉塞方向D2に移動する。
【0034】
複数の走行台車20の移動により、閉塞方向D2の進行方向の先頭に配置される走行台車20の除雪機構30は、積もった状態の雪SNに到達する。このとき、制御部CONTは、除雪機構30の掻き取り部31を回転させつつ、複数の走行台車20をそのまま閉塞方向D2に移動するように制御する。これにより、図5に示すように、除雪機構30が掻き取り部31によって雪SNを掻き取りながら雪SNの内部に進入する。掻き取り部31によって掻き取られた雪SNは、カバー部材32の開口部32aから投雪部33に送り込まれ、投雪部33の案内部33aによって建築物101の外部側に案内され、放出口33bから放出される。
【0035】
制御部CONTは、この状態を維持しつつ、複数の走行台車20を閉塞方向D2に移動させ、図6に示すように屋根部10が閉塞位置P2に到達した場合に、複数の走行台車20の移動を停止させる。このように、屋根部10は、複数の走行台車20を移動させつつ、除雪機構30によって軌道40上の雪SNを掻き取ることで、軌道40上に雪が積もった状態でも安定して開放位置P1から閉塞位置P2に移動する、つまり閉塞動作を安定して行うことができる。
【0036】
次に、図7に示すように、屋根部10が閉塞位置P2に配置された状態で、軌道40上に雪が積もった場合の動作を説明する。この場合においても、軌道40が露出されているため、雪が降った場合、軌道40上に雪が積もった状態となる。
【0037】
この状態で、制御部CONTは、例えば外部から屋根部10を開放位置P1に移動するよう指令があった場合、屋根部10を開放方向D1に移動させる。この場合、制御部CONTは、複数の走行台車20が開放方向D1に移動するように制御する。この制御により、複数の走行台車20が開放方向D1に移動する。
【0038】
複数の走行台車20の移動により、開放方向D1の進行方向の先頭に配置される走行台車20の除雪機構30は、積もった状態の雪SNに到達する。このとき、制御部CONTは、除雪機構30の掻き取り部31を回転させつつ、複数の走行台車20をそのまま閉塞方向D2に移動するように制御する。これにより、図8に示すように、閉塞動作の場合と同様に除雪機構30が掻き取り部31によって雪SNを掻き取りながら雪SNの内部に進入する。掻き取り部31によって掻き取られた雪SNは、カバー部材32の開口部32aから投雪部33に送り込まれ、投雪部33の案内部33aによって建築物101の外部側に案内され、放出口33bから放出される。
【0039】
制御部CONTは、この状態を維持しつつ、複数の走行台車20を開放方向D1に移動させ、屋根部10が開放位置P1に到達した場合に、複数の走行台車20の移動を停止させる。このように、屋根部10は、複数の走行台車20を移動させつつ、除雪機構30によって軌道40上の雪SNを掻き取ることで、軌道40上に雪が積もった状態でも安定して閉塞位置P2から開放位置P1に移動する、つまり開放動作を安定して行うことができる。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る屋根装置100は、建築物101に設けられる屋根部10と、屋根部10を支持して軌道40上を走行することで軌道40が延びる方向に屋根部10を移動させる少なくとも1つの走行台車20と、少なくとも1つの走行台車20に設けられ、軌道40上において走行台車20の走行方向の前方の雪を除く除雪機構30とを備える。
【0041】
この構成によれば、軌道40上に雪が積もった場合には、軌道40上において走行台車20の走行方向の前方の雪SNを除雪機構30により掻き取ることで、走行台車20の走行スペースを確保できる。そのため、除雪機構30により雪SNを除雪しながら、走行台車20を走行させることが可能となる。これにより、積雪時においても屋根部10の開閉動作を安定して行うことが可能となる。
【0042】
また、除雪機構30は、掻き取った雪SNを所定の方向に投雪する投雪部33を有する。この構成によれば、掻き取った雪SNが軌道40上に再び落ちることを抑制し、走行台車20を安定して走行させることができる。
【0043】
また、所定方向は、建築物101の外部側に向けた方向である。この構成によれば、
掻き取った雪SNが建築物101の外部側に投雪されるため、建築物101の内部、例えばスタジアムであれば客席等に雪が入り込むことを抑制できる。
【0044】
また、複数の走行台車20は、軌道40が延びる方向に1列に並んで配置され、除雪機構30は、複数の走行台車20のうち走行方向の先頭となる走行台車20に設けられる。この構成では、除雪機構30を効率的に配置することにより、低コストで高い除雪効果を得ることができる。
【0045】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記した実施形態においては、除雪機構30の掻き取り部31として、螺旋状のオーガが用いられる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、他の構成であってもよい。
【0046】
図9は、変形例に係る除雪機構30Aの一例を示す斜視図である。図9に示すように、除雪機構30Aは、掻き取り部31Aとして、例えば走行台車20の走行方向の前方にかけて先細りとなったV状の除雪板31Bが設けられた構成となっている。このような構成により、走行台車20を走行させつつ、除雪機構30の掻き取り部31Aに設けられた除雪板31Bにより軌道40上に積もった雪を掻き取って除雪することができる。
【0047】
また、図10は、変形例に係る走行台車20Aの一例を示す側面図である。図10に示すように、走行台車20Aは、当該走行台車20Aに着脱可能な電源部50を有してもよい。この構成により、走行台車20Aの走行や除雪機構30等に用いられる電力を当該電源部50によって賄うことができるため、電源用の配線等が不要になる。したがって、走行台車20の走行形態の自由度が高められる。なお、電源部50は、走行台車20Aに対して固定されていてもよい。また、電源部50は、建築物101の他の装置等の電源として用いてもよいし、建築物101の停電時に非常電源として用いてもよい。
【0048】
また、開放位置P1及び閉塞位置P2の少なくとも一方に、当該電源部50を充電する充電部60が配置されてもよい。図10において、充電部60は、開放位置P1及び閉塞位置P2のそれぞれに配置された構成を示している。この場合、充電部60は、屋根部10が開放位置P1及び閉塞位置P2に配置される場合に、電源部60に接続される位置に配置される。これにより、屋根部10の移動と、電源部50と充電部60との接続とを連動させて行うことができる。
【0049】
また、図10に示す例では、開放位置P1及び閉塞位置P2の各待機位置に充電部60が配置される。したがって、電源部50は、屋根部10を開放位置P1から閉塞位置P2まで片道分だけ移動可能な電力を少なくとも供給する構成であればよい。この場合、電源部50は、当該電源部50の重量と、屋根部10、走行台車20A及び除雪機構30の重量とを加算した重量の物体を、所定の移動速度で、開放位置P1から閉塞位置P2までの距離だけ移動可能な電力(以下、片道移動電力と表記する)を充電及び供給可能な寸法に設定することができる。
【0050】
また、制御部CONTは、屋根部10が開放位置P1又は閉塞位置P2に配置されて電源部50が充電部60に接続される場合、電源部50に蓄電される電力が、次回の充電までに屋根部10の移動に用いられる消費電力以上になるように、電源部50の充電動作を制御してもよい。
【0051】
図10に示す例では、開放位置P1及び閉塞位置P2の各待機位置に充電部60が配置される。この場合、次回の充電までに屋根部10の移動に用いられる消費電力は、上記の片道移動電力となる。したがって、制御部CONTは、各充電動作において、電源部50に蓄電される電力が上記の片道移動電力以上となった場合、電源部50の充電動作を制御する。例えば、制御部CONTは、電源部50に蓄電される電力が移動可能電力以上となった場合、電源部50と充電部60との間の電気的接続を解除させてもよいし、両者の電気的接続を解除するよう報知してもよい。また、制御部CONTは、電源部50に蓄電される電力の値を不図示の表示部等に表示させてもよい。この場合、作業者が表示部に表示された電力の値を見ながら電源部50の充電動作を手動で行うことができる。
【0052】
また、図11及び図12は、変形例に係る電源部50Aの一例を示す図である。図11に示すように、電源部50Aは、本体部51と、移動機構52とを有する。本体部51は、電力の供給及び充電が可能である。移動機構52は、本体部51を支持する支持部及び車輪等の走行部を有する。なお、移動機構52は、走行部を駆動する駆動源を有してもよい。電源部50Aは、走行台車50に対して移動可能である。例えば、作業者が電源部50Aを走行台車20に移動させ、本体部51を走行台車20Aに一体に装着することができる。また、移動機構52が駆動源を有する場合、外部から遠隔操作して電源部50Aを走行台車20Aに移動させ、本体部51を走行台車20Aに一体に装着可能な構成であってもよい。このような構成により、電源部50A自体を移動させることができるため、電源部50Aの着脱作業を容易に行うことができる。また、図12に示すように、電源部50Aは、走行台車20Aに装着された後、走行台車20Aと一体で移動可能であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態の構成に加えて、例えば軌道40上に積もった雪の量や硬さ、雪質等を検出する検出部が走行台車20又は除雪機構30に設けられ、検出部の検出結果が制御部CONTに送信される構成であってもよい。この場合、制御部CONTは、送信された検出結果に基づいて、走行台車20の速度や除雪機構30における掻き取り部31の回転速度を制御してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、除雪機構30等が軌道40等の上部に積もった雪を除雪する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、軌道40の側面に付着した雪を除雪可能な構成であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10,10A 屋根部
11 支持部
20,20A 走行台車
21 本体部
22 走行部
30,30A 除雪機構
31,31A 掻き取り部
31B 除雪板
31G オーガ
31P ブロア
32 カバー部材
32a 開口部
33 投雪部
33a 案内部
33b 放出口
40,40A 軌道
50 電源部
100 屋根装置
101 建築物
CONT 制御部
D1 開放方向
D2 閉塞方向
P1 開放位置
P2 閉塞位置
SN 雪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12