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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/26 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
E03D1/26
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018087829
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019190251
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】樋口 健
(72)【発明者】
【氏名】深川 雅史
(72)【発明者】
【氏名】濱田 修平
(72)【発明者】
【氏名】張岳 和彦
(72)【発明者】
【氏名】八島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】西尾 祐規
(72)【発明者】
【氏名】榊▲原▼ 豪介
(72)【発明者】
【氏名】山口 純平
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0125940(US,A1)
【文献】特開2009-156026(JP,A)
【文献】特開2015-068070(JP,A)
【文献】特開2017-115451(JP,A)
【文献】特開2011-241545(JP,A)
【文献】特開2015-190269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/26
E03D 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と、前記便器本体の上面に配置される便器洗浄タンクと、前記便器洗浄タンクを覆うタンクカバーと、を備える便器装置であって、
前記便器洗浄タンクは、貯留される洗浄水を水頭圧によって前記便器本体に供給するタンクであるとともにタンク容積が3L以上であり、且つ、前記便器本体の最前端から前記タンクカバーの最後端までの水平距離をDa、前記タンクカバーの最前端から前記タンクカバーの最後端までの水平距離をDbとしたとき、Db≦Da/5の関係を満たし、
前記便器洗浄タンクは、後面に凹部を有し、
前記便器洗浄タンクの高さは、前記便器洗浄タンクの横幅及び前後方向の幅よりも大きい、便器装置。
【請求項2】
前記タンクカバーの前面及び後面は、前記便器本体の設置面に対して垂直に配置されている、請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記タンクカバーの横幅をW、前記タンクカバーの高さをHとしたとき、Da:W:H=10:5.4:5.7である、請求項1又は2に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器本体と、便器本体の上面に固定される便器洗浄タンクと、を有する便器装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-7451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
便器装置が、便器本体に供給する洗浄水を貯留する便器洗浄タンクを有するタンク式の便器装置である場合には、便器本体の後部側の上面に便器洗浄タンクが固定されるため、それだけ便器装置の前出寸法が大きくならざるを得ない。この場合、便器の大きさを小さくすると、便鉢の大きさが小さくなるため、便器装置の機能確保の観点からは好ましくない。
【0005】
このため、従来、タンク式の便器装置の前出寸法を縮小化することが困難であり、狭小なスペースにタンク式の便器装置を設置する点で課題を有している。
【0006】
本発明は、便器洗浄タンクを有していても、前出寸法を小さくできる便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る便器装置は、便器本体(例えば、後述の便器本体21)と、前記便器本体の上面(例えば、後述の上面21a)に配置される便器洗浄タンク(例えば、後述の便器洗浄タンク4)と、前記便器洗浄タンクを覆うタンクカバー(例えば、後述のタンクカバー5)と、を備える便器装置(例えば、後述の便器装置1)であって、前記便器洗浄タンクのタンク容積が3L以上であり、且つ、前記便器本体の最前端(例えば、後述の最前端P1)から前記タンクカバーの最後端(例えば、後述の最後端P3)までの水平距離をDa、前記タンクカバーの最前端(例えば、後述の最前端P2)から前記タンクカバーの最後端までの水平距離をDbとしたとき、Db≦Da/5の関係を満たす。
【0008】
(2) (1)に記載の便器装置において、前記タンクカバーの前面及び後面は、前記便器本体の設置面(例えば、後述の床面f1)に対して側面視垂直に配置されていることが好ましい。
【0009】
(3) (1)又は(2)に記載の便器装置において、前記タンクカバーの横幅をW、前記タンクカバーの高さをHとしたとき、Da:W:H=10:5.4:5.7であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、便器洗浄タンクを有していても、前出寸法を小さくできる便器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る便器装置の寸法を説明する便器装置の模式図である。
図2】従来の便器装置の寸法を説明する便器装置の模式図である。
図3】本発明に係る便器装置を示す斜視図である。
図4】本発明に係る便器装置における便器洗浄タンクの内部を示す平面図である。
図5】本発明に係る便器装置における便器洗浄タンクの一部を分解して示す後面側から見た斜視図である。
図6】本発明に係る便器装置におけるタンク本体を示す側面図である。
図7】本発明に係る便器装置におけるタンクカバーを除く便器洗浄タンクの一部を分解して示す正面側から見た斜視図である。
図8】本発明に係る便器装置における便器洗浄タンクの下部構造の要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に示す便器装置1は、図1に示すように、便器2が床面f1に設置される床置きタイプの便器装置を示している。なお、以下の説明において、便器2に着座した使用者から見た場合の前後の向きを前後方向とする。また、便器2に着座した使用者から見た場合の左右の向きを幅方向とする。更に、便器2が設置される床面f1に対する鉛直方向に沿う上下の向きを上下方向とする。
【0013】
便器装置1は、便器本体21の後部側の上面21aに、便器本体21に供給する洗浄水を貯留する便器洗浄タンク4を備えている。便器洗浄タンク4は、3L(リットル)以上の洗浄水を貯留可能なタンク容積を有している。便器洗浄タンク4は、タンクカバー5によって覆われている。このタンクカバー5の前面50a及び後面50bは、床面f1に対して側面視垂直に配置されている。タンクカバー5の後面50bの位置は、便器本体21の最後端の位置と同じか又は便器本体21の最後端の位置よりも後方に配置されている。
【0014】
この便器装置1において、便器本体21の最前端P1からタンクカバー5の最後端P3までの水平距離(前出寸法)をDaとし、タンクカバー5の最前端P2からタンクカバー5の最後端P3までの水平距離(最大奥行き寸法)をDbとしたとき、Db≦Da/5の関係を満たす。
【0015】
この関係を満たす便器装置1は、便器本体21の便鉢21bの大きさを従来の便鉢の大きさと同じにした場合でも、便器装置1の前出寸法(水平距離Da)を従来よりも小さくすることができる。例えば、便鉢の大きさを460mmとした場合、本発明に係る便器装置1によれば、水平距離Db(便器洗浄タンク4の最大奥行き寸法)を約130mmとすることにより、3Lのタンク容積を確保しながら、水平距離Da(便器装置1の前出寸法)を約675mmまで縮小することができる。
【0016】
このように、便器本体21の便鉢21bの大きさを変えることなく便器装置1の前出寸法を縮小化するには、便器洗浄タンク4の奥行き寸法を小さくして薄型化する必要がある。そこで、以下に、薄型化された便器洗浄タンク4を有する便器装置1の一実施形態について、図2図8を用いて説明する。
【0017】
図2に示すように、便器装置1は、便器2と、便器洗浄装置3と、を備えている。便器2は、立壁面f2に近接した床面f1上に設置されている。便器2は、便器本体21の上部に回動可能に取り付けられた便座22及び便蓋23と、これら便座22及び便蓋23の後方に配置される便座装置の機能部24と、を有している。便器本体21の後部の両側面には、それぞれサイドカバー211が面ファスナー等によって着脱可能に取り付けられ、便器本体21の後部を遮蔽している。
【0018】
便器洗浄装置3は、便器本体21の後方に配置されている。便器洗浄装置3は、便器洗浄タンク4と、便器洗浄タンク4の外装体であるタンクカバー5と、を含んで構成される。
便器洗浄タンク4は、図4及び図5に示すように、タンク本体41と、内蓋42と、ベースプレート43と、防露材44と、補強フレーム45と、を備えている。
【0019】
タンク本体41は、ブロー成形品からなる。ブロー成形されたタンク本体41の上面開口部411(図3参照)は、ブロー成形品の上部を略水平方向に切断することによって形成される。このため、ブロー成形品は、前後方向に離型することによって成形でき、射出成形品のような離型のための抜き勾配を上下方向に設ける必要がない。その結果、タンク本体41の外周面は、図6に示すように、上下方向に沿って真っ直ぐな面となり、床面に対して垂直に延びた側壁面を構成することができる。このため、タンク本体41は、抜き勾配に起因するタンク容積の減少が少なく、奥行き寸法を小さくして薄型化しても、射出成形品に比べてタンク容積を大きく確保することが可能である。その結果、このタンク本体41を有する便器洗浄タンク4を備えた便器装置1は、前後方向の寸法(前出寸法)を縮小化することが可能である。
【0020】
タンク本体41の内部には、洗浄水が貯留されると共に、図4に示すように、便器洗浄用の内部部品が収容されている。具体的には、タンク本体41内には、給水を行うボールタップ4a、ボールタップ4aの止水を行うためのフロート4b、洗浄水の水位を制限すると共に便器本体21に補給水を供給するためのオーバーフロー管4c、排水口を開閉するフラッパー弁4d、フラッパー弁4dを引き上げる玉鎖4e、玉鎖4eを引き上げ操作するための引上げアーム4f等が収容されている。引上げアーム4fには、タンクカバー5の外側に取り付けられるレバーハンドル4gのスピンドル4hが連結されている。
【0021】
内蓋42は、タンク本体41の上面開口部411を被蓋するように設けられている。内蓋42は、内蓋本体421と、点検蓋422とで構成される。内蓋本体421は、上面開口部411の全周に沿って装着され、タンク本体41に対してねじ止めされている。一方、点検蓋422は、タンク本体41に対してねじ止めされておらず、内蓋本体421に対して着脱可能に取り付けられている。このため、内蓋42は、内蓋本体421から点検蓋422を取り外すことにより、ねじ止めされている内蓋本体421を取り外すことなく、タンク本体41の内部に対してアクセス可能である。
【0022】
ベースプレート43は、タンク本体41の下部に取り付けられている。本実施形態に示すベースプレート43は、タンク本体41よりも硬質な樹脂によって形成され、タンク本体41の底面形状と略等しい平面形状を有している。ベースプレート43は、タンク本体41の下面を支持すると共に、ベースプレート43の底部から突出する一対の緊締ボルト431(図6参照)によって、便器本体21の後部側の上面21aに固定されることにより、タンク本体41を便器本体21に固定する機能を有する。
【0023】
タンク本体41とベースプレート43との取付け構造を図7に示す。タンク本体41の底面412に、円形の下面開口部413が形成されている。この下面開口部413には、略円筒状の弁座シート46が装着されている。弁座シート46は、タンク本体41の内部部品の一つであるフラッパー弁4d(図7において図示せず)の弁座を構成する部品であり、下面開口部413よりも大径なフランジ部461を有している。弁座シート46は、フランジ部461とタンク本体41との間にパッキン46aを挟んで、タンク本体41の内側から装着されている。
【0024】
弁座シート46は、フランジ部461よりも下方側に、外周面に雄ねじを有する円筒部462を一体に有し、この円筒部462が下面開口部413から下方に突出している。弁座シート46は、下面開口部413から突出する円筒部462に、タンク本体41の外側から締付けナット46bが螺合することにより、タンク本体41に取り付けられている。
【0025】
一方、ベースプレート43の中央部には、円形の開口部432が設けられ、この開口部432に、タンク本体41の下面から突出する弁座シート46の円筒部462が貫挿されている。そして、この開口部432から下方に突出する円筒部462に締付けナット46cが螺合することにより、ベースプレート43が締付けナット46cとタンク本体41との間で挟着されている。これにより、タンク本体41の下部にベースプレート43が固定される。
【0026】
タンク本体41に固定されたベースプレート43は、下面に突設される一対の緊締ボルト431を、便器本体21の設けられるタンク取付け穴(図示せず)に挿入させて固定される。これにより、タンク本体41がベースプレート43を介して便器本体21に固定される。便器本体21に固定されたタンク本体41の円筒部462は、便器本体21の洗浄水流入口(図示せず)と連通し、タンク本体41内の洗浄水を便器本体21に供給可能とされる。
【0027】
防露材44は、発泡スチロール樹脂等により、タンク本体41の外周面に沿った形状に成形されている。本実施形態に示す防露材44は、前側防露材441と後側防露材442とに2分割され、タンク本体41を前後方向から挟むようにタンク本体41の外周面に装着されている。防露材44は、少なくともタンク本体41内に貯留される洗浄水の水位に対応する高さを有する。
【0028】
この防露材44は、前側防露材441と後側防露材442とに前後方向に2分割されているため、成形型から離型するための抜き勾配が前後方向に設けられ、上下方向には抜き勾配は設けられない。これにより、前側防露材441と後側防露材442とが組み合わされて構成される防露材44は、便器洗浄タンク4の前面側及び後面側において上下方向に沿って垂直に延びる面を形成することができる。その結果、便器洗浄タンク4を薄型化しても、防露材の抜き勾配に起因する便器洗浄タンク4のタンク容積の減少を招くおそれはない。しかも、本実施形態に示すタンク本体41にも上下方向の抜き勾配が設けられていないことと相俟って、便器洗浄タンク4の更なる薄型化を図ることが可能である。
【0029】
本実施形態に示す補強フレーム45は、図6に示すように、便器洗浄タンク4の両側面に配置される金属製の側面フレーム部材451と、便器洗浄タンク4の前面側に幅方向に延びるように配置される金属製の補強ステー452と、を有している。なお、図6では、便器本体21を破線で示し、便器本体21上の便座22、便蓋23、便器装置の機能部24及びタンクカバー5の図示を省略している。
【0030】
側面フレーム部材451は、ベースプレート43の幅方向の両端面43a(図4参照)に、それぞれ固定ねじ45aによって固定されている。側面フレーム部材451は、ベースプレート43からタンク本体41の略1/2の高さに亘る範囲の便器洗浄タンク4の側面を覆うように配置されている。側面フレーム部材451は、平面視コ字型に形成されており、ベースプレート43に取り付けられることによって、前側防露材441と後側防露材442とが前後に開かないように、2分割されている防露材44を前後方向から挟持している。
【0031】
補強ステー452の両端部は、左右の側面フレーム部材451に固定ねじ45bによってそれぞれ固定されている。これにより、左右の側面フレーム部材451同士が補強ステー452によって連結され、側面フレーム部材451に生じるスプリングバック等によって側面フレーム部材451が左右方向に広がることを防止している。
【0032】
補強フレーム45は、使用者がタンクカバー5に凭れ掛かった際に、その荷重を受けてタンク本体41に荷重を直接作用させないように機能する。補強ステー452に作用する荷重は、補強ステー452の両端部から各側面フレーム部材451に伝達される。側面フレーム部材451は、タンク本体41よりも堅牢なベースプレート43に固定されているため、補強ステー452から伝達される荷重を効果的に受け止め、ベースプレート43を介して便器本体21に逃がすことができる。
【0033】
なお、前後方向に分割された防露材44は、抜き勾配も前後方向に設けられるため、図6に示すように、前側防露材441の前面には、補強フレーム45の補強ステー452を収容する凹部44aと側面フレーム部材451を収容する凹部44bとを有することができる。この凹部44a、44bにより、補強フレーム45の前方への突出量を抑えることができるため、補強フレーム45を設けてもタンク本体41のタンク容積の減少を招くことなく、便器洗浄タンク4を薄型化することができる。
【0034】
タンクカバー5は、図2図4に示すように、便器洗浄タンク4の前方を覆う前カバー51と、便器洗浄タンク4の側方及び後方を覆う後カバー52と、便器洗浄タンク4の上方を覆う上カバー53と、を有している。便器洗浄タンク4のタンク本体41の外周面が、図6に示すように、上下方向に真っ直ぐに延び、床面f1に対して垂直な面となるため、このタンクカバー5の前面50a及び後面50bも、タンク本体41の前面及び後面に沿って、床面f1に対して垂直に配置することができる。従って、図1に示すタンクカバー5の最前端P2は、タンクカバー5の前面50aの位置に一致し、タンクカバー5の最後端P3は、タンクカバー5の後面50bの位置に一致する。これにより、タンクカバー5は、奥行き寸法が縮小された便器洗浄タンク4に対して可及的に近接させることができるため、タンクカバー5の最大奥行き寸法Db(図1参照)も縮小される。
【0035】
前カバー51は、便器本体21の上方に配置されると共に、便器本体21上の便座装置の機能部24と便器洗浄タンク4との間に配置される。便器本体21上の機能部24の後端面241は、図3に示すように、前方に向けて凹むように幅方向に湾曲している。前カバー51は、この機能部24の後端面241の湾曲面に合致するように、前方に向けて凸となるように幅方向に湾曲している。このため、前カバー51が平坦面である場合に比べて、前方へ湾曲している分だけ便器洗浄タンク4のタンク容積を確保することができる。なお、図1に示すタンクカバー5の最前端P2は、前カバー51が前方に最も突出している部位である。
【0036】
後カバー52は、便器洗浄タンク4の高さと略同一の高さを有する。後カバー52は、図4に示すように、便器洗浄タンク4の両側方にそれぞれ設けられた側面フレーム部材451に対して、固定ねじ52aによってねじ止めされる。前カバー51と上カバー53は、この後カバー52に対して取り外し可能に設けられている。これにより、便器洗浄タンク4の全体がタンクカバー5によって遮蔽されるため、見栄えが良好となり、意匠性が向上する。
【0037】
便器洗浄タンク4の下方且つ便器2の後方は、図2及び図4に示すように、L型に組み付けられた左右一対の下カバー54によって覆われている。これにより、便器2の後方に配置される配管部品(図示せず)等が目隠しされると共に、便器2の後方側が、便器洗浄装置3から下方向に延びる薄型の略直方形状に統一され、意匠性が更に向上する。
【0038】
タンクカバー5の前カバー51は、後カバー52に対して、例えばねじ止め、磁石、面ファスナー等により着脱可能に取り付けられる。このため、便器洗浄タンク4のメンテナンスの際は、前カバー51を後カバー52から取り外すことにより、便器洗浄タンク4に容易にアクセス可能である。このとき、便器洗浄タンク4を便器本体21から取り外す必要はないため、メンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0039】
本実施形態に示す前カバー51は、後カバー52に対して上方に向けて取り外し可能である。これにより、タンクカバー5の下部前方に配置される便座22、便蓋23及び便座装置の機能部24を便器本体21に取り付けた状態のまま、前カバー51を取り外して便器洗浄タンク4に対してアクセスすることが可能となり、便器洗浄タンク4のメンテナンス性を更に向上させることができる。
【0040】
ここで、タンクカバー5の横幅をW、タンクカバー5の高さをHとしたとき、便器装置1の前出寸法(水平距離Da)との関係が、Da:W:H=10:5.4:5.7であることが好ましい。タンクカバー5は、横幅に比べて高さを大きくしているため、それだけ便器洗浄タンク4の高さを高くできる。その結果、便器洗浄タンク4が薄型化されて横断面積が小さくなっても、便器洗浄タンク4の高さを高くできることにより、タンク容積を確保することができる。また、便器洗浄タンク4の高さを高くすることにより、水頭圧が高くなるため、洗浄水の勢いも強くなる。
【0041】
なお、横幅Wは、タンクカバー5の最も左右方向に張り出した部位の寸法である。本実施形態に示すタンクカバー5は、前カバー51が後カバー52よりも幅広に形成されているため、タンクカバー5の横幅Wは、前カバー51の横幅である(図4参照)。また、高さHは、便器洗浄タンク4が固定される便器本体21の上面21aからタンクカバー5の最も上方向に張り出した部位までの寸法である。本実施形態に示すタンクカバー5は、前カバー51が後カバー52及び上カバー53よりも上方に張り出しているため、タンクカバー5の高さHは、前カバー51の上下方向の寸法である(図4参照)。
【0042】
このような便器装置1によれば、便器洗浄タンク4が上下方向に垂直な側壁面を持つため、3L(リットル)以上のタンク容積を確保しつつ、タンクカバー5の最大奥行き寸法Dbを容易に縮小でき、上記のDb≦Da/5の関係を満たすことが容易となる。
【0043】
以上の実施形態に示す便器装置1では、便器洗浄タンク4は上下方向の抜き勾配を持たない構造を有するが、図8に示す便器装置1Aのように、便器洗浄タンク4Aが上下方向の抜き勾配を持つことにより、下から上に向かうに従って幅広に形成される構造を有する場合でも、3L(リットル)以上という便器洗浄タンク4Aのタンク容積を確保しつつ、上記のDb≦Da/5の関係を満たすことにより、便器装置1Aの前出寸法Daを縮小することができる。
【0044】
但し、この場合は、便器洗浄タンク4Aが上下方向の抜き勾配を持つことにより、タンクカバー5Aの前面50a及び後面50bも上下方向に傾斜する面となる。このため、便鉢21bの大きさを変えずに、3L(リットル)以上という便器洗浄タンク4のタンク容積を確保しつつ、タンクカバー5の最大奥行き寸法Dbを縮小することは、便器装置1の場合に比べるとやや困難となる。
【符号の説明】
【0045】
1 便器装置
21 便器本体
21a (便器本体の)上面
4 便器洗浄タンク
41 タンク本体
5 タンクカバー
f1 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8