(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】真空リフト装置
(51)【国際特許分類】
B66C 1/02 20060101AFI20221014BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B66C1/02 C
B25J15/06 M
B66C1/02 A
(21)【出願番号】P 2018133609
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】511062276
【氏名又は名称】東洋工機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅 敬彦
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3192967(JP,U)
【文献】特開2000-128476(JP,A)
【文献】特開平05-319770(JP,A)
【文献】特開平09-216186(JP,A)
【文献】実開平04-060941(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0101355(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00-3/20
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が第1グループ及び第2グループのいずれかに属し、先端が搬送物の表面に密着する複数の吸着パッドと、
密着した前記複数の吸着パッド及び搬送物の間の気密空間を真空にする真空源と、
前記第1グループに属する前記吸着パッドから前記真空源に至る第1空気流路、及び前記第2グループに属する前記吸着パッドから前記真空源に至る第2空気流路それぞれを、空気を吸引可能な連通状態及び空気を吸引不能な遮断状態に切り替える状態切替機構とを備える真空リフト装置において、
第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に離間した位置において、前記複数の吸着パッドそれぞれを支持する支持部材をさらに備え、
前記複数の吸着パッドは、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に弾性変形可能であり、
前記支持部材は、搬送物に吸着される前において、前記第1グループに属する前記吸着パッドの先端が前記第2グループに属する前記吸着パッドの先端より前記第3方向に前進するように、前記複数の吸着パッドの前記第3方向の位置を固定していることを特徴とする真空リフト装置。
【請求項2】
前記第1グループに属する前記吸着パッドは、前記第2グループに属する前記吸着パッドと同一形状であることを特徴とする請求項1に記載の真空リフト装置。
【請求項3】
前記第3方向が鉛直方向に沿う第1角度と、前記第3方向が水平方向に沿う第2角度との間で、前記支持部材の角度を切り替え可能な角度切替機構をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の真空リフト装置。
【請求項4】
前記第3方向において、前記第1グループ及び前記第2グループに属する前記吸着パッドの先端同士の距離は、前記第1グループに属する前記吸着パッドの変形可能量より短いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の真空リフト装置。
【請求項5】
前記第1グループに属する
全ての前記吸着パッドの気密空間を真空にしたときの搬送物への密着力
の合計は、前記第2グループに属する
全ての前記吸着パッドの気密空間を真空にする際に、前記第2グループに属する
全ての前記吸着パッドを前記第3方向に圧縮変形させるのに必要な力
の合計より大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の真空リフト装置。
【請求項6】
前記状態切替機構は、
前記第1空気流路の前記連通状態及び前記遮断状態を切り替える第1電磁弁と、
前記第2空気流路の前記連通状態及び前記遮断状態を切り替える第2電磁弁とを有し、
前記真空リフト装置は、
前記第1空気流路を前記連通状態とし且つ前記第2空気流路を前記遮断状態とする第1操作、及び前記第1空気流路及び前記第2空気流路を前記連通状態とする第2操作を受け付ける操作装置と、
前記操作装置を通じて受け付けた操作に基づいて、前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を制御するコントローラとをさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の真空リフト装置。
【請求項7】
全ての前記吸着パッドの気密空間が大気圧である第1状態と、
前記第1グループに属する前記吸着パッドの気密空間のみが真空である第2状態と、
全ての前記吸着パッドの気密空間が真空である第3状態とを、区別して報知する報知装置をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の真空リフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空リフト装置に関し、特に、表面が湾曲した搬送物を吸着搬送するのに適した真空リフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の吸着パッドと、複数の吸着パッドを支持する支持枠と、エアチューブを通じて複数の吸着パッドと接続された真空源とを備える吊架移載具が開示されている。この吊架移載具は、複数の吸着パッドを板状の搬送物に密着させ、吸着パッドの内部空間を真空源で真空にすることによって、吸着パッドに吸着した搬送物を移動させるのに利用される。
【0003】
また、特許文献1に記載の吊架移載具は、複数の吸着パッドを垂直面上で支持する縦姿勢と、複数の吸着パッドを水平面上で支持する水平姿勢とに、支持枠を起倒させる起倒手段をさらに備える。起倒手段で支持枠を起倒させることにより、例えば、立て掛けられた搬送物に吸着パッドを吸着させ、搬送物を所望の位置まで移動させて水平面上に載置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成の吊架移載具において、表面が湾曲した搬送物に全ての吸着パッドを密着させるのは簡単ではない。特に、立て掛けられた搬送物に吸着パッドを密着させる場合、吊架移載具の自重で吸着パッドを搬送物に押し付けることができないので、その難易度は格段に高まる。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、表面が湾曲した搬送物に複数の吸着パッドを適切に吸着させることが可能な真空リフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、各々が第1グループ及び第2グループのいずれかに属し、先端が搬送物の表面に密着する複数の吸着パッドと、密着した前記複数の吸着パッド及び搬送物の間の気密空間を真空にする真空源と、前記第1グループに属する前記吸着パッドから前記真空源に至る第1空気流路、及び前記第2グループに属する前記吸着パッドから前記真空源に至る第2空気流路それぞれを、空気を吸引可能な連通状態及び空気を吸引不能な遮断状態に切り替える状態切替機構とを備える真空リフト装置において、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に離間した位置において、前記複数の吸着パッドそれぞれを支持する支持部材をさらに備え、前記複数の吸着パッドは、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に弾性変形可能であり、前記支持部材は、搬送物に吸着される前において、前記第1グループに属する前記吸着パッドの先端が前記第2グループに属する前記吸着パッドの先端より前記第3方向に前進するように、前記複数の吸着パッドの前記第3方向の位置を固定していることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、第1グループの吸着パッドを搬送物に密着させて気密空間から空気を吸引すると、当該吸着パッドが圧縮変形して第2グループの吸着パッドが搬送物の表面に密着する。次に、第2グループの吸着パッドの気密空間から空気を吸引することによって、表面が湾曲する搬送物に全ての吸着パッドを吸着させることができる。これにより、最初から全ての吸着パッドを搬送物に密着させる必要がないので、表面が湾曲した搬送物に吸着パッドを吸着させる作業が簡単になる。
【0009】
また、前記第1グループに属する前記吸着パッドは、前記第2グループに属する前記吸着パッドと同一形状であることを特徴としてもよい。
【0010】
上記構成のように、第1グループ及び第2グループで同一形状の吸着パッドを使用することにより、第1グループ及び第2グループで異なる形状の吸着パッドを使用する場合と比較して、真空リフト装置の製造コストを削減することができる。
【0011】
また、前記第3方向が鉛直方向に沿う第1角度と、前記第3方向が水平方向に沿う第2角度との間で、前記支持部材の角度を切り替え可能な角度切替機構をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0012】
上記構成のように、角度切替機構を備える真空リフト装置に本発明を適用することによって、立て掛けられた搬送物に全ての吸着パッドを適切に吸着させることができる。
【0013】
また、前記第3方向において、前記第1グループ及び前記第2グループに属する前記吸着パッドの先端同士の距離は、前記第1グループに属する前記吸着パッドの変形可能量より短いことを特徴としてもよい。
【0014】
上記構成によれば、第1グループの吸着パッドから空気を吸引して圧縮変形させると、第2グループの吸着パッドが搬送物に自然と密着する。すなわち、第2グループの吸着パッドを密着させるために特別な作業をする必要がない。
【0015】
また、前記第1グループに属する全ての前記吸着パッドの気密空間を真空にしたときの搬送物への密着力の合計は、前記第2グループに属する全ての前記吸着パッドの気密空間を真空にする際に、前記第2グループに属する全ての前記吸着パッドを前記第3方向に圧縮変形させるのに必要な力の合計より大きいことを特徴としてもよい。
【0016】
上記構成によれば、第2グループの吸着パッドが搬送物に押し付けられる際の反力によって、第1グループの吸着パッドが搬送物から脱離するのを防止することができる。
【0017】
また、前記状態切替機構は、前記第1空気流路の前記連通状態及び前記遮断状態を切り替える第1電磁弁と、前記第2空気流路の前記連通状態及び前記遮断状態を切り替える第2電磁弁とを有し、前記真空リフト装置は、前記第1空気流路を前記連通状態とし且つ前記第2空気流路を前記遮断状態とする第1操作、及び前記第1空気流路及び前記第2空気流路を前記連通状態とする第2操作を受け付ける操作装置と、前記操作装置を通じて受け付けた操作に基づいて、前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を制御するコントローラとをさらに備えることを特徴としてもよい。
【0018】
上記構成によれば、真空リフト装置の作業者は、操作装置を通じて第1操作をして真空源に第1グループの吸着パッドから空気を吸引させ、その後、操作装置を通じて第2操作をして真空源に第2グループの吸着パッドから空気を吸引させればよい。
【0019】
また、全ての前記吸着パッドの気密空間が大気圧である第1状態と、前記第1グループに属する前記吸着パッドの気密空間のみが真空である第2状態と、全ての前記吸着パッドの気密空間が真空である第3状態とを、区別して報知する報知装置をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0020】
上記構成によれば、第1グループ及び第2グループの吸着パッドの状態を、報知装置を通じて作業者に認識させることができる。これにより、全ての吸着パッドの気密空間が真空になる前に、真空リフト装置を吊り上げて搬送物が落下することなどを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、最初から全ての吸着パッドを搬送物に密着させる必要がないので、表面が湾曲した搬送物の表面に吸着パッドを吸着させる作業が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る真空リフト装置1の正面図である。
【
図2】シリンダ62を伸長させた真空リフト装置1の側面図である。
【
図3】シリンダ62を収縮させた真空リフト装置1の側面図である。
【
図7】真空リフト装置1で搬送物100を搬送する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に係る真空リフト装置1を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0024】
真空リフト装置1は、搬送物を吸着した状態でクレーン(図示省略)によって所望の位置に搬送され、搬送後の位置で搬送物を脱離することによって、所望の位置に搬送物を移動させるための装置である。真空リフト装置1は、筐体2と、複数の吸着パッド3a~3xと、真空発生装置4(真空源)と、配管5(空気流路)と、パワーシリンダ6(角度切替機構)と、スイッチ7(操作装置)と、報知ランプ8(報知装置)と、コントローラ9とを主に備える。
【0025】
筐体2は、真空発生装置4及びコントローラ9を内部に収容すると共に、外部に配置される吸着パッド3a~3x、パワーシリンダ6、スイッチ7、及び報知ランプ8などを支持する。また、筐体2は、クレーンのフック20を係止する係止部21を有する。すなわち、係止部21にフック20を係止して吊り上げることにより、真空リフト装置1を所望の位置に移動させることができる。
【0026】
吸着パッド3a~3xは、ゴムなどの弾性変形能の高い材料で形成されている。吸着パッド3a~3xは、先端が開口した円筒形状(より詳細には、円錐台形状)を呈する。すなわち、吸着パッド3a~3xの内部空間は、先端の開口を通じて外部に露出されている。吸着パッド3a~3xは、同一形状である。吸着パッド3a~3xの先端が搬送物の表面に密着することによって、吸着パッド3a~3xの内部空間が気密状態になる。そして、吸着パッド3a~3xと搬送物との間の気密空間は、配管5を通じて真空発生装置4に接続される。
【0027】
吸着パッド3a~3xの形状は、対象となる搬送物の形状や表面状態などによって異なる。本実施形態では、表面が波打った所謂「意匠ガラス」を搬送物の一例として想定している。意匠ガラスは、例えば、凸部と凹部とが交互に現れる波型のガラスである。また、隣接する凸部(隣接する凹部)の間の距離D1は、吸着パッド3a~3xの先端開口径D2より大きい。さらに、凸部の高さ(凹部の深さ)は、吸着パッド3a~3xの高さ(内部空間の深さ)より大きい。
【0028】
吸着パッド3a~3xは、複数のビーム31~37(支持部材)及びアーム38を介して、筐体2に支持されている。主ビーム31は、パワーシリンダ6に支持されて真空リフト装置1の左右方向に延設されている。副ビーム32~37は、左右方向に所定の間隔を隔てて主ビーム31に支持され、各々が主ビーム31と交差(直交)する方向に延設されている。アーム38は、一端が筐体2に接続され、他端が主ビーム31に回動可能に接続されて、真空リフト装置1の上下方向(鉛直方向)に延設されている。以下、主ビーム31の延設方向を第1方向と定義し、副ビーム32~37の延設方向を第2方向と定義し、第1方向及び第2方向に直交する方向を第3方向と定義する。
【0029】
吸着パッド3a~3dは、副ビーム32の延設方向に所定の間隔を隔てて、副ビーム32に支持されている。同様に、吸着パッド3e~3hは副ビーム33に、吸着パッド3i~3lは副ビーム34に、吸着パッド3m~3pは副ビーム35に、吸着パッド3q~3tは副ビーム36に、吸着パッド3u~3xは副ビーム37に支持されている。なお、主ビーム31に対する副ビーム32~37の第1方向の位置は、適宜調整可能に構成されている。また、副ビーム32に対する吸着パッド3a~3dの第2方向の位置は適宜調整可能に構成されている。
【0030】
すなわち、吸着パッド3a~3xは、第1方向及び第2方向に離間して配置されている。吸着パッド3a~3xは、概ね長方形を呈する仮想面上に分散配置される。すなわち、吸着パッド3a~3xは、第1方向の長さが第2方向より長い略長方形状の搬送物を搬送することを想定して配置されている。そして、吸着パッド3a~3xの配置密度は、第1方向及び第2方向の中心に近いほど密に配置され、第1方向及び第2方向の外縁に近いほど疎になるのが望ましい。ただし、吸着パッド3a~3xの具体的な配置はこれに限定されず、対象となる搬送物の形状によって適宜変更してもよい。
【0031】
吸着パッド3a~3xそれぞれは、第1グループ及び第2グループのいずれかに属している。本実施形態では、吸着パッド3i、3l、3m、3p(参照番号に下線を付す)が第1グループに属し、その他の吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xが第2グループに属する。すなわち、搬送物の長手方向の中央側で、且つ搬送物の短手方向の外側に密着する吸着パッド3i、3l、3m、3pが第1グループに属する。ただし、第1グループに属する吸着パッドの数及び選び方は、これに限定されない。
【0032】
図5に示すように、第1グループに属する吸着パッド3iは、第2グループに属する吸着パッド3jと比較して、先端の位置が第3方向にL
1だけ前進している。換言すれば、第1グループに属する吸着パッド3iは、第2グループに属する吸着パッド3jと比較して、第3方向にL
1だけ前進した位置で副ビーム34に支持されている。この位置関係は、吸着パッド3i、3jのみに留まらず、第1グループに属する全ての吸着パッドと第2グループに属する全ての吸着パッドとの間で成立する。
【0033】
真空発生装置4は、配管5を通じて吸着パッド3a~3xの内部空間に接続されている。真空発生装置4は、配管5内の空気を外部に排出することによって、吸着パッド3a~3xと搬送物との間の気密空間を負圧(真空)状態にする装置である。真空発生装置4は、モータMでポンプVPを駆動することによって、気密空間内の空気を外部に排出する。また、真空発生装置4は、電磁弁の状態を切り替えることによって、配管5及び気密空間を大気に連通させる。さらに、真空発生装置4は、気密空間内を真空にするのを補助する真空タンクをさらに備えてもよい。真空発生装置4の構成は既に公知なので、詳細な説明は省略する。
【0034】
なお、真空源の具体的な構成は真空発生装置4に限定されない。他の例として、真空源は、ベンチュリー効果を利用して真空状態を作り出すエジェクタでもよい。さらに他の例として、真空源は、配管5に接続されたシリンダ内のピストンをクレーンで移動させることによって、気密空間から空気を吸引するものでもよい。
【0035】
また、本明細書中の「真空」とは、真空リフト装置1を吊り上げた際に、吸着パッド3a~3xから搬送物が脱落しない程度の真空率であればよい。すなわち、必ずしも高真空や超高真空である必要はなく、低真空でもよい。具体的な真空率は搬送物の重量によって異なるが、例えば、意匠ガラスの場合にはゲージ圧で-0.06~-0.09MPa程度であればよい。
【0036】
配管5は、吸着パッド3a~3xと真空発生装置4との間で空気を流通させる空気流路である。配管5は、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pそれぞれに接続される第1配管51(第1空気流路)と、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xそれぞれに接続される第2配管52(第2空気流路)と、真空発生装置4と第1配管51及び第2配管52とを接続する合流配管53とで構成される。
【0037】
すなわち、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pは、第1配管51及び合流配管53を通じて真空発生装置4に接続されている。また、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xは、第2配管52及び合流配管53を通じて真空発生装置4に接続されている。さらに、第1配管51及び第2配管52の末端には、吸着パッド3a~3xそれぞれに対応付けて、手動バルブ、チェック弁、及び圧力センサ等が設けられている。
【0038】
第1配管51には、第1電磁弁54(状態切替機構)が設けられている。より詳細には、第1電磁弁54は、第1配管51と合流配管53との接続位置より吸着パッド側に配置されている。第1電磁弁54は、コントローラ9から出力される制御信号に従って、第1配管51を連通状態及び遮断状態に切り替える。第1配管51の連通状態は、第1グループに属する吸着パッドの気密空間から空気を吸引可能な状態である。第1配管51の遮断状態は、第1グループに属する吸着パッドの気密空間から空気を吸引不能な状態である。
【0039】
第2配管52には、第2電磁弁55(状態切替機構)が設けられている。より詳細には、第2電磁弁55は、第2配管52と合流配管53との接続位置より吸着パッド側に配置されている。第2電磁弁55は、コントローラ9から出力される制御信号に従って、第2配管52を連通状態及び遮断状態に切り替える。第2配管52の連通状態は、第2グループに属する吸着パッドの気密空間から空気を吸引可能な状態である。第2配管52の遮断状態は、第2グループに属する吸着パッドの気密空間から空気を吸引不能な状態である。
【0040】
すなわち、連通状態は、吸着パッド側から真空発生装置4へ向かう空気の流れを許容し、真空発生装置4側から吸着パッドへの空気の流れを遮断した状態である。一方、遮断状態は、吸着パッド側から真空発生装置4へ向かう空気の流れを遮断し、真空発生装置4側から吸着パッドへの空気の流れを許容した状態である。ただし、状態切替機構の具体的な構成はこれに限定されず、第1配管51及び第2配管52の状態(連通状態/遮断状態)を、個別に切り替え可能であればよい。
【0041】
パワーシリンダ6は、第1方向(すなわち、主ビーム31の延設方向)に延びる軸線周りに回動可能な状態で、ビーム31~37及び吸着パッド3a~3xを支持する。パワーシリンダ6は、モータ61と、シリンダ62と、回動板63とを主に備える。モータ61は、コントローラ9から出力させる制御信号に従って駆動して、シリンダ62を伸長及び収縮させる。シリンダ62は、一端が筐体2に支持されて、他端が回動板63を介して主ビーム31に接続されて、アーム38と概ね平行な方向に伸縮する。回動板63は、一端がシリンダ62に回動可能に接続され、他端がアーム38の接続位置から第2方向にずれた位置で主ビーム31に回動可能に接続されている。
【0042】
図1及び
図2に示すシリンダ62を収縮させると、回動板63は、
図3に示すように、第1方向に延びる軸線周りに回動しながらシリンダ62の収縮方向に移動する。一方、
図3に示すシリンダ62を伸長させると、回動板63は、
図1及び
図2に示すように、第1方向に延びる軸線周りに回動しながらシリンダ62の伸長方向に移動する。ビーム31~37及び吸着パッド3a~3xは、この回動板63の動きに伴って、回動板63との接続位置を通り、且つ第1方向に延びる軸線周りに回動する。
【0043】
図1及び
図2に示す真空リフト装置1において、吸着パッド3a~3xは、真空リフト装置1の上下方向及び左右方向に拡がる仮想平面上に配置されている。また、第1グループに属する吸着パッドは、第2グループに属する吸着パッドと比較して、真空リフト装置1の後方側に前進配置されている。すなわち、
図1及び
図2において、第1方向は真空リフト装置1の左右方向に沿う方向であり、第2方向は真空リフト装置1の上下方向に沿う方向であり、第3方向は真空リフト装置1の前後方向に沿う方向である。
【0044】
図3に示す真空リフト装置1において、吸着パッド3a~3xは、真空リフト装置1の前後方向及び左右方向に拡がる仮想平面上に配置されている。また、第1グループに属する吸着パッドは、第2グループに属する吸着パッドと比較して、真空リフト装置1の下方側に前進配置されている。すなわち、
図3において、第1方向は真空リフト装置1の左右方向に沿う方向であり、第2方向は真空リフト装置1の前後方向に沿う方向であり、第3方向は真空リフト装置1の上下方向(鉛直方向)に沿う方向である。
【0045】
このように、パワーシリンダ6は、第3方向が鉛直方向に沿う第1角度と、第3方向が水平方向に沿う第2角度との間で、ビーム31~37及び吸着パッド3a~3xの角度を切り替える。ただし、ビーム31~37及び吸着パッド3a~3xの角度を切り替える具体的な方法はこれに限定されず、例えば、ピニオン&ラック機構などの公知の他の方法を用いてもよい。
【0046】
スイッチ7は、真空リフト装置1を動作させる作業者の操作を受け付けて、受け付けた操作に対応する操作信号をコントローラ9に出力する。スイッチ7は、例えば、真空発生装置4を駆動及び大気解放させる吸引スイッチ71と、第1電磁弁54及び第2電磁弁55の状態を切り替える弁切替スイッチ72と、パワーシリンダ6を伸縮させる角度切替スイッチ73とを含む。
【0047】
弁切替スイッチ72は、第1配管51を連通状態とし且つ第2配管52を遮断状態とする第1操作と、第1配管51及び第2配管52を連通状態とする第2操作と、第1配管51及び第2配管52を遮断状態とする第3操作とを受け付けることができる。弁切替スイッチ72は、例えば、3ポジションのトグルスイッチあるいはロータリースイッチなどである。また、弁切替スイッチ72は、作業者が手を離しても現在の状態を保持するオルタネイト式のスイッチであるのが望ましい。これにより、第1操作、第2操作、第3操作を1アクションで実現できる。
【0048】
報知ランプ8は、コントローラ9から出力される制御信号に従って、吸着パッド3a~3xの内部空間の気圧の状態を、作業者が区別しうる態様で報知する。報知ランプ8は、赤色に点灯する赤ランプ81と、黄色に点灯する黄ランプ82と、緑色に点灯する緑ランプ83とを含む。赤ランプ81は、全ての吸着パッド3a~3xの気密空間が大気圧である第1状態のときに点灯する。黄ランプ82は、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの気密空間のみが真空である第2状態のときに点灯する。緑ランプ83は、全ての吸着パッド3a~3xの気密空間が真空である第3状態のときに点灯する。
【0049】
コントローラ9は、スイッチ7から出力される操作信号と、圧力センサ11から出力される圧力信号とを取得し、真空発生装置4、第1電磁弁54及び第2電磁弁55、パワーシリンダ6、報知ランプ8、及びスピーカ12を動作させる制御信号を出力する。圧力センサ11は、第1配管51及び第2配管52内(換言すれば、吸着パッド3a~3xの内部空間)の気圧を検出し、検出結果を示す圧力信号をコントローラ9に出力する。スピーカ12は、警告音(ビープ音)を出力する。
【0050】
コントローラ9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することによって、後述する各処理を実現してもよい。ただし、コントローラ9の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0051】
次に
図7を参照して、立て掛けられた状態の搬送物100を、真空リフト装置1で吸着搬送する手順を説明する。なお、
図7の作業を開始する前において、真空発生装置4の電磁弁は
図4の状態であり、弁切替スイッチ72は第3操作がされた状態(第1電磁弁54及び第2電磁弁55が遮断状態)であり、シリンダ62は収縮した状態であり、赤ランプ81が点灯しているものとする。
【0052】
まず、作業者は、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pが搬送物100の表面に密着する位置まで、クレーンで真空リフト装置1を吊り上げて移動させる(S11)。その結果、
図5の左側に示すように、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3p(
図5では3iのみ図示)が搬送物100の表面に密着し、吸着パッド3i、3l、3m、3pと搬送物100との間に気密空間が形成される。一方、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3x(
図5では3jのみ図示)は、搬送物100の表面から離間した状態である。
【0053】
作業者は、S11において、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pが搬送物100の凹部を囲むように、換言すれば、隣接する凸部の間に位置するように、真空リフト装置1の位置を調整するのが望ましい。ただし、吸着パッド3i、3l、3m、3pと搬送物100の関係はこれに限定されず、第1グループに属する全ての吸着パッド3i、3l、3m、3pが搬送物100の表面に適切に密着する位置であればよい。
【0054】
次に、コントローラ9は、作業者が吸引スイッチ71を操作したことに応じて、真空発生装置4に空気を吸引させる(S12)。S12において、第1電磁弁54及び第2電磁弁55はいずれも遮断状態なので、真空発生装置4と第1電磁弁54及び第2電磁弁55との間が真空となり、第1電磁弁54及び第2電磁弁55より吸着パッド3a~3x側は大気圧のままである。
【0055】
次に、コントローラ9は、作業者が弁切替スイッチ72に対して第1操作をしたことに応じて、第1電磁弁54を連通状態に切り替える(S13)。これにより、第1配管51と合流配管53とが連通して、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの気密空間から空気が吸引される。一方、S13において、第2電磁弁55は遮断状態のままなので、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xの内部空間からは空気が吸引されない。
【0056】
また、コントローラ9は、スピーカ12を通じて警告音を出力する(S14)。さらに、コントローラ9は、圧力センサ11から出力される圧力信号を監視して、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの気密空間が真空になるまで、以降の処理の実行を待機する(S15:No)。なお、スピーカ12を通じた警告音の出力は、吸着パッド3i、3l、3m、3pの気密空間が真空になるまで継続する。
【0057】
次に、コントローラ9は、吸着パッド3i、3l、3m、3pの気密空間が真空になったと判定したことに応じて(S15:Yes)、スピーカ12を通じた警告音の出力を停止すると共に、赤ランプ81を消灯し、黄ランプ82を点灯する(S16)。すなわち、作業者は、警告音の停止と、黄ランプ82の点灯とによって、吸着パッド3i、3l、3m、3pの気密空間が真空になったことを認識する。
【0058】
ここで、気密空間が真空になった吸着パッド3i、3l、3m、3pは、
図5の左側に示すように、第3方向に圧縮変形する。その結果、真空リフト装置1全体が搬送物100に近づく向きに移動して、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xが搬送物100の表面に密着する。すなわち、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xと搬送物100との間に、気密空間が形成される。
【0059】
そのため、第3方向において、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの先端と、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xの先端との距離L
1は、
図5に示すように、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの変形可能量L
2より短く設定される。
【0060】
次に、コントローラ9は、作業者が弁切替スイッチ72に対して第2操作をしたことに応じて、第2電磁弁55を連通状態に切り替える(S18)。これにより、第2配管52と合流配管53とが連通して、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xの気密空間から空気が吸引される。また、コントローラ9は、圧力センサ11から出力される圧力信号を監視して、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xの気密空間が真空になるまで、以降の処理の実行を待機する(S18:No)。
【0061】
次に、コントローラ9は、吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xの気密空間が真空になったと判定したことに応じて(S18:Yes)、黄ランプ82を消灯し、緑ランプ83を点灯する(S19)。すなわち、作業者は、緑ランプ83の点灯によって、吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xの気密空間が真空になったことを認識する。これにより、全ての吸着パッド3a~3xが搬送物100に吸着したので、真空リフト装置1をクレーンで吊り上げても、吸着パッド3a~3xから搬送物100が脱離しない。
【0062】
第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xが圧縮変形する過程において、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pには、搬送物100から離間する向きの反力が作用する。そこで、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの気密空間を真空にしたときの搬送物100への密着力F1を、第2グループに属する吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xの気密空間を真空にする際に、吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xを第3方向に圧縮変形させるのに必要な力F2より大きく設定される。
【0063】
F1>F2を充足させるための具体的な構成は特に限定されないが、一例として、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの数を、F1>F2となるように調整すればよい。他の例として、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの開口面積の合計を、F1>F2となるように調整してもよい。
【0064】
次に、作業者は、クレーンで真空リフト装置1を吊り上げて所望の位置に移動させる。このとき、吸着パッド3a~3xに密着した搬送物100も真空リフト装置1と共に移動する(S20)。また、搬送物100を水平面上に載置する場合、作業者は、角度切替スイッチ73を操作する。これにより、コントローラ9は、モータ61を駆動してシリンダ62を伸長させることによって、ビーム31~37及び吸着パッド3a~3xの角度を、
図2から
図3の状態に切り替える。
【0065】
次に、作業者は、搬送物100を所望の位置に載置した状態で、吸引スイッチ71を操作して、真空発生装置4を大気解放する(S21)。コントローラ9は、吸引スイッチ71が操作されたことに応じて、
図4に示す真空発生装置4の3つの電磁弁を切り替えて、配管5内に空気を流入させる。S21において、第1電磁弁54及び第2電磁弁55は連通状態なので、配管5に流入した空気は吸着パッド3a~3xの気密空間にまで達し、気密空間が大気圧に戻る。これにより、吸着パッド3a~3xが搬送物100から脱離する。
【0066】
次に、コントローラ9は、圧力センサ11から出力される圧力信号によって、吸着パッド3a~3xの気密空間が大気圧になったと判定したことに応じて、緑ランプ83を消灯し、赤ランプ81を点灯する(S22)。すなわち、作業者は、赤ランプ81の点灯によって、吸着パッド3a~3xが搬送物100から脱離したことを認識する。これにより、再びクレーンで真空リフト装置1を吊り上げて、他の作業を行うことができる。
【0067】
本実施形態によれば、例えば、以下のような作用効果を奏する。
【0068】
上記の実施形態によれば、S11において、第1グループの吸着パッド3i、3l、3m、3pのみを搬送物100に密着させればよいので、全ての吸着パッド3a~3xを搬送物100に密着させる場合と比較して、搬送物100に対する真空リフト装置1の位置合わせが簡単になる。
【0069】
また、上記の実施形態のように、第1グループ及び第2グループで同一形状の吸着パッド3a~3xを使用することにより、第1グループ及び第2グループで異なる形状の吸着パッドを使用する場合と比較して、真空リフト装置1の製造コストを削減することができる。ただし、第1グループと第2グループとで形状の異なる吸着パッドを採用してもよい。より詳細には、第3方向において、第1グループの吸着パッドの長さを、第2グループの吸着パッドより長くしてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態のように、L1<L2とすることによって、第1グループの吸着パッド3i、3l、3m、3pから空気を吸引して圧縮変形させると、第2グループの吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xが搬送物100に自然と密着する。すなわち、第2グループの吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xを密着させるために特別な作業をする必要がないので、さらに簡単に搬送物100を吸着搬送することができる。
【0071】
また、上記の実施形態のように、F1>F2とすることによって、第2グループの吸着パッド3a~3h、3j、3k、3n、3o、3g~3xが搬送物100に押し付けられる際の反力によって、第1グループの吸着パッド3i、3l、3m、3pが搬送物100から脱離するのを防止することができる。
【0072】
また、上記の実施形態によれば、弁切替スイッチ72の操作によって、第1電磁弁54及び第2電磁弁55の状態を切り替えることができる。その結果、第1電磁弁54及び第2電磁弁55それぞれを個別に切り替え操作する場合と比較して、作業者の操作負担を軽減することができる。ただし、配管5の状態を切り替える具体的な操作は、上記の実施形態に限定されない。例えば、吸着パッド3a~3xそれぞれに対応する手動バルブを、作業者が開閉してもよい。
【0073】
また、第1電磁弁54及び第2電磁弁55の位置は、
図4の例に限定されない。他の例として、合流配管53に第1電磁弁54を設け、第2配管52に第2電磁弁55を設けてもよい。この場合、S13において、第1電磁弁54を連通状態とし、第2電磁弁55を遮断状態とすればよい。また、S17において、第1電磁弁54及び第2電磁弁55を連通状態とすればよい。
【0074】
また、上記の実施形態によれば、第1グループ及び第2グループそれぞれの吸着パッド3a~3xの状態を、報知ランプ8を通じて作業者に認識させることができる。これにより、全ての吸着パッド3a~3xの気密空間が真空になる前に、真空リフト装置1を吊り上げることによる搬送物100の落下などを防止することができる。
【0075】
さらに、パワーシリンダ6を備える真空リフト装置1に本発明を適用することによって、立て掛けられた搬送物100に対しても、全ての吸着パッド3a~3xを適切に吸着させることができる。ただし、パワーシリンダ6を備えておらず、ビーム31~37及び吸着パッド3a~3xが
図3の状態に固定された真空リフト装置1にも本発明は適用可能である。
【0076】
なお、上記の実施形態では、第1グループに属する吸着パッド3i、3l、3m、3pの数及び位置を固定した例を説明した。しかしながら、第1グループに属する吸着パッドの数及び位置は、搬送物100の形状に合わせて変更可能であってもよい。一例として、真空リフト装置1は、吸着パッド3a~3xそれぞれを、手動で第3方向に前進及び後退させる機構(例えば、ダブルナット)を備えてもよい。他の例として、真空リフト装置1は、第1グループの吸着パッドを指定する操作を受け付ける操作装置と、操作装置を通じて指定された吸着パッドを第3方向に前進させるアクチュエータとを備えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…真空リフト装置、2…筐体、3a~3x…吸着パッド、4…真空発生装置(真空源)、5…配管、6…パワーシリンダ(角度切替機構)、7…スイッチ(操作装置)、8…報知ランプ(報知装置)、9…コントローラ、31…主ビーム(支持部材)、32~37…副ビーム(支持部材)、51…第1配管(第1空気流路)、52…第2配管(第2空気流路)、54…第1電磁弁、55…第2電磁弁