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特許7158196モータ及びモータと被接続部材との接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】モータ及びモータと被接続部材との接続構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20221014BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20221014BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018138574
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020018061
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】大場 博史
(72)【発明者】
【氏名】宮廻 博志
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特許第3523546(JP,B2)
【文献】実開昭59-030653(JP,U)
【文献】特開平07-099754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラケットと、
前記ブラケットに設けられた端子と、
前記ブラケットが固定されるフレームとを備え、
前記端子は外部と電気的に接続可能であり、
前記ブラケットは、周方向におけるコーナ部と、開口部を有する外周面と、当該外周面を構成する第1張出部および第2張出部を備え、
前記第1張出部は2つの端部を備え、
前記第2張出部は2つの端部を備え、
前記ブラケットのコーナ部において、前記第1張出部の一方の端部と前記第2張出部の一方の端部との間に前記開口部が形成されており、
周方向に並ぶ前記第1張出部の一方の端部と前記第2張出部の一方の端部との間に、前記端子の一部があり、
前記端子の一部が前記開口部の内側を通過している、モータ。
【請求項2】
ブラケットと、
前記ブラケットに設けられた端子と、
前記ブラケットが固定されるフレームとを備え、
前記端子は外部と電気的に接続可能であり、
前記ブラケットは、開口部を有する外周面を備え、
前記端子の一部が前記開口部の内側に配置されており、
前記端子を含む一対の端子と、
前記ブラケットに設けられた電子部品とを備え、
前記電子部品は、前記一対の端子の接触部の間に設けられており、
前記電子部品は抵抗体であり、
前記電子部品の長手方向は、前記一対の端子のうち、一方の端子から他方の端子に向かう方向である、モータ。
【請求項3】
前記ブラケットは、周方向におけるコーナ部と、前記外周面を構成する第1張出部および第2張出部を備え、
前記第1張出部は2つの端部を備え、
前記第2張出部は2つの端部を備え、
前記ブラケットのコーナ部において、前記第1張出部の一方の端部と前記第2張出部の一方の端部との間に前記開口部が形成されており、
周方向に並ぶ前記第1張出部の一方の端部と前記第2張出部の一方の端部との間に、前記端子の接触部がある、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1張出部は、湾曲状の外形を備え、
前記第2張出部は、直線状の外形を備える、請求項1又は3に記載のモータ。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記コーナ部を含む複数のコーナ部と、前記開口部を含む2つの開口部を備え、
前記第1張出部と第2張出部とで、前記2つの開口部を有する環状の前記外周面を形成している、請求項1、3又は4に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1張出部および前記第2張出部に対して露出した前記接触部は前記開口部から前記ブラケットの内側に向けて変位可能である、請求項1から5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記端子を含む一対の端子と、
前記ブラケットに設けられた電子部品とを備え、
前記電子部品は、前記一対の端子の接触部の間に設けられている、請求項1、3から6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記電子部品は抵抗体であり、
前記電子部品の長手方向は、前記一対の端子のうち、一方の端子から他方の端子に向かう方向である、請求項に記載のモータ。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載のモータと、
端子を有する被接続部材とを備え、
前記被接続部材の端子と前記モータの端子とが接続されている、モータと被接続部材との接続構造。
【請求項10】
前記被接続部材は、前記端子を含む一対の端子を備え、
前記被接続部材の一対の端子の内側の面に、前記モータの端子が接触している、請求項に記載のモータと被接続部材との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータ及びモータと被接続部材との接続構造に関し、特に、被接続部材の端子に接続される端子を有するモータ及びモータと被接続部材との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電源を供給するための端子がブラケットの内側に収容されているメス端子構造のモータがある。
【0003】
下記特許文献1には、メス端子構造のモータであって、ブラケットの内側にPTCサーミスタなどの抵抗体が配置されているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-166646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、メス端子構造のモータにおいては、端子のばね性が大きくなるように端子の形状や大きさ等を設定することが望ましいため、モータの小型化を実現するのが難しい。モータを小型化するには、モータ内の端子を狭いスペースにおいて配置する必要があり、端子のばね性が損なわれてしまう。端子のばね性が小さいと、端子が塑性変形しやすくなってモータの取り扱いが難しくなり、モータを他の被接続部材に取り付ける作業が困難になる。端子を配置するスペースを広くするために、樹脂により形成されるブラケットの体積や寸法や厚みを小さくすると、ブラケットが破損しやすくなり、モータの取り扱いが難しくなる場合がある。
【0006】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、小型であって取り扱いが容易なモータ及びモータと被接続部材との接続構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、モータは、ブラケットと、ブラケットに設けられた端子と、ブラケットが固定されるフレームとを備え、端子は外部と電気的に接続可能であり、ブラケットは、周方向におけるコーナ部と、開口部を有する外周面と、当該外周面を構成する第1張出部および第2張出部を備え、第1張出部は2つの端部を備え、第2張出部は2つの端部を備え、ブラケットのコーナ部において、第1張出部の一方の端部と第2張出部の一方の端部との間に開口部が形成されており、周方向に並ぶ第1張出部の一方の端部と第2張出部の一方の端部との間に、端子の一部があり、端子の一部が開口部の内側を通過している
この発明の他の局面に従うと、モータは、ブラケットと、ブラケットに設けられた端子と、ブラケットが固定されるフレームとを備え、端子は外部と電気的に接続可能であり、
ブラケットは、開口部を有する外周面を備え、端子の一部が開口部の内側に配置されており、端子を含む一対の端子と、ブラケットに設けられた電子部品とを備え、電子部品は、一対の端子の接触部の間に設けられており、電子部品は抵抗体であり、電子部品の長手方向は、一対の端子のうち、一方の端子から他方の端子に向かう方向である。
好ましくは、ブラケットは、周方向におけるコーナ部と、外周面を構成する第1張出部および第2張出部を備え、第1張出部は2つの端部を備え、第2張出部は2つの端部を備え、ブラケットのコーナ部において、第1張出部の一方の端部と第2張出部の一方の端部との間に開口部が形成されており、周方向に並ぶ第1張出部の一方の端部と第2張出部の一方の端部との間に、端子の接触部がある。
好ましくは、第1張出部は、湾曲状の外形を備え、第2張出部は、直線状の外形を備える。
好ましくは、ブラケットは、コーナ部を含む複数のコーナ部と、開口部を含む2つの開口部を備え、第1張出部と第2張出部とで、2つの開口部を有する環状の外周面を形成している。
【0008】
好ましくは、第1張出部および第2張出部に対して露出した接触部は開口部からブラケットの内側に向けて変位可能である。
【0009】
好ましくは、端子を含む一対の端子と、ブラケットに設けられた電子部品とを備え、電子部品は、一対の端子の接触部の間に設けられている。
【0010】
好ましくは、電子部品は抵抗体であり、電子部品の長手方向は、一対の端子のうち、一方の端子から他方の端子に向かう方向である。
【0011】
この発明の他の局面に従うと、モータと被接続部材との接続構造は、請求項1から4のいずれかに記載のモータと、端子を有する被接続部材とを備え、被接続部材の端子とモータの端子とが接続されている。
【0012】
好ましくは、被接続部材は、端子を含む一対の端子を備え、被接続部材の一対の端子の内側の面に、モータの端子が接触している。
【0013】
これらの発明に従うと、小型であって取り扱いが容易なモータ及びモータと被接続部材との接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態の1つにおけるモータを示す断面図である。
図2図1のA-線における断面を模式的に示す図である。
図3】モータの背面図である。
図4】ブラシ部が取り付けられているブラケットを示す正面図である。
図5】ブラケット及びブラシ部の回転軸に垂直な断面を示す図である。
図6】被接続部材が取り付けられた状態のブラシ部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の1つにおけるモータについて説明する。
【0016】
以下の説明において、モータの回転軸に平行な方向を、回転軸方向ということがある。また、回転軸方向を、前後方向(モータのフレームから見てブラケットが設けられている方向が後方向)ということがある。また、モータの回転軸に垂直な方向(径方向)のうち特定の方向(具体的には、後述する)を上下方向といい、前後方向及び上下方向に垂直な方向を左右方向ということがある。ここでいう「前後」、「上下」、「左右」等は、モータのみに着目した場合について便宜上採用する示し方であって、このモータが搭載される機器における方向や、このモータが使用される姿勢について何ら限定するものではない。
【0017】
[実施の形態]
【0018】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるモータ1を示す断面図である。図2は、図1のA-A線における断面を模式的に示す図である。
【0019】
図1に示される断面は、図2においてB-B線として示される断面である。なお、一部の構成部材は、説明のため、模式的に示されている(例えば、後述するブラシ29は、B-B線で示される断面上には本来は位置していないが、モータ1の回転軸周りに回転させた状態で示されている)。以下の図において、矢印A1は、回転軸方向すなわち前後方向を示す。矢印A2は、左右方向を示す(図2において左が左方向)。矢印A3は、上下方向を示す(図2において上が上方向)。
【0020】
モータ1は、フレーム組立体1aと、フレーム組立体1aに対して回転可能なアマチュア組立体1bとを有する。モータ1は、幅が数十ミリメートルである、比較的小型のモータである。ここで、モータ1の幅は、例えば、回転軸2を挟んで対向する一対の平面部3bの間隔や、モータ1の上下方向の寸法又は左右方向の寸法であってもよいし、モータ1の最大の外径であってもよい。
【0021】
アマチュア組立体1bは、回転軸(シャフト)2と、回転軸2に取り付けられたアマチュア4及び回転軸2に取り付けられた整流子6などを有している。アマチュア4は回転軸2に取り付けられている。アマチュア4は、径方向に複数突出する突極を有するアマチュアコア5及び各突極に巻回された巻線(図示せず)などを有している。整流子6は、回転軸2の一方の端部近傍に設けられている。整流子6は、周方向に並ぶ複数の整流子片7を備えている。複数の整流子片7は、それぞれ巻線に電気的に接続されている。
【0022】
フレーム組立体1aは、フレーム3、ブラケット30、プレート40、マグネット50などで構成されている。
【0023】
フレーム3は、前側の端部と、後側の端部とを備え、前側の端部としての面で覆われた筒形状を有している。すなわち、フレーム3において、後側の端部が開口部となるカップ形状を有している。フレーム3の後側の端部(図1において右側の端部)の開口部は、プレート40によりふさがれている。フレーム3及びプレート40により構成されるハウジング内に、アマチュア組立体1bのアマチュア4や整流子6などが収納されている。
【0024】
フレーム3は、磁性材料を用いて形成されている。図2に示されるように、フレーム3は、複数の角部3cと、隣接する2つの角部3cの間にある平面部3bとを有している。具体的には、フレーム3は、平面部3bと角部3cとをそれぞれ4つずつ有する外形を有している。周方向に隣接する2つの平面部3b同士は、1つの角部3cを介して接続されている。周方向に隣接する2つの平面部3bのうち一方は、他方に対して略垂直である。角部3cは、丸みを帯びた形状(R形状)を有している。フレーム3は、回転軸2に垂直な断面において略正方形である。フレーム3は、全体として角型に形成されている。すなわち、モータ1は、角型の小型モータである。なお、以下の説明において、上下方向は、回転軸2を挟むように位置する一対の平面部3bに対して垂直な方向であり、左右方向は、回転軸2を挟むように位置する他の一対の平面部3bに対して垂直な方向である。
【0025】
図1に戻って、プレート40の内側には、ブラケット30が配置されている。ブラケット30は、フレーム3に設けられている。ブラケット30は、後述するように、2つのブラシ部11,21(右側ブラシ部11、左側ブラシ部21)を有している。
【0026】
回転軸2は、フレーム3の前側の面を貫通している。すなわち、回転軸2の前端部は、フレーム3からフレーム3の外部に突出しており、回転軸2の後端部は、プレート40からフレーム3の外部に突出している。フレーム3の前側の面の中央部には、軸受8が保持されている。また、プレート40の中央部には、軸受9が保持されている。回転軸2は、2箇所の軸受8,9により、フレーム3に対して回転可能に支持されている。
【0027】
図2に示されるように、本実施の形態においては、1つの環状のマグネット50が設けられている。換言すると、マグネット50は、筒状である。マグネット50は、フレーム3の内側に配置されている。フレーム組立体1aは、マグネット50の外周面50aをフレーム3で囲んだ断面構造を有している。フレーム3の外周面が、モータ1の外周面となる。なお、それぞれが磁極要素を有する複数の磁石が用いられていてもよい。
【0028】
フレーム3は、略均一の厚みを有している。すなわち、フレーム3の内面3aは、平面部3bによる平坦な部分と、角部3cによる丸みを持った部分とが複数繋がることで構成され、角型に形成されている。
【0029】
マグネット50は、例えば公知の希土類材料と公知の樹脂材料とを用いて形成されたボンド磁石である。なお、マグネット50は、ボンド磁石に限られず、例えば焼結型の磁石であってもよい。
【0030】
マグネット50は、磁極要素61(N極61a、S極61b、N極61c、S極61d)を有している。すなわち、マグネット50は、モータ1の角部3cの数と同一の数の磁極要素61を有している。磁極要素61は、周方向に、極性が互い違いになるように配置されている。4つの磁極要素61は、フレーム3の4つの角部3cに、磁極要素61同士が向かい合うようにして配置されている。
【0031】
マグネット50は、角部3cのフレーム3の内面3aに沿う丸みを帯びた形状の外周面50aを有している。また、マグネット50は、円柱面状の内周面50bを有している。マグネット50の内周面50bとアマチュアコア5との間には、わずかなエアギャップが設けられている。
【0032】
本実施の形態において、マグネット50は、フレーム3に、接着剤などを用いて固定されている。モータ1の組み立て工程において、マグネット50は、フレーム3の後側の開口部からフレーム3の内側に納められる。そして、接着剤がマグネット50の後側の端部とフレーム3の内面3aとの間に配されて、マグネット50がフレーム3に固定される。その後、フレーム3にアマチュア組立体1bを取り付け、ブラケット30及びプレート40をフレーム3に取り付けることにより、モータ1が組み立てられる。
【0033】
図3は、モータ1の背面図である。
【0034】
図3において、破線は、フレーム3を示す隠線である。
【0035】
図3に示されるように、モータ1を背面側から見ると、モータ1の上部においてブラケット30の一部が背面側に露出しており、そのほかの部位においてはプレート40が背面側に露出している。ブラケット30の上部において、回転軸方向から見てフレーム3の外周部よりも径方向外側に、左右に広がっている面39が設けられている。
【0036】
図4は、ブラシ部11,21が取り付けられているブラケット30を示す正面図である。
【0037】
図4においては、整流子6が取り付けられている状態のブラシ部11,21が示されており、整流子6の位置が二点鎖線で示されている。
【0038】
ブラケット30は、モータ1のフレーム3の開口部を塞ぐように配置され、その一部がフレーム3に収容されている。すなわち、ブラケット30は、フレーム3に固定されている。ブラケット30は、ブラケット30の後側(アマチュア側)の面から前方(フレーム2の外側)に出ている第1張出部31及び第2張出部32を有している。換言すると、ブラケット30のうち、第1張出部31と第2張出部32とを除く部位は、ブラケット30の前端面すなわち第1張出部31の前端面や第2張出部32の前端面よりも後方に凹んでいる。この前端面よりも後方に凹んでいる領域に、ブラシ部11,21が配置されている。ブラケット30の後側は回転軸方向に垂直な面で塞がれており、その面には、回転軸2が通過する貫通穴36が形成されている。貫通穴36は、上下方向が長手方向となるオーバル形状(楕円形状、長円形状)を有している。
【0039】
ブラケット30において、第1張出部31は、ブラケット30の右側、下側、左側のそれぞれの外周面を構成する。第1張出部31はフレーム3の外周部に沿って延在した湾曲状の外形を有し、さらに2つの端部を有している。また、第2張出部32は、ブラケット30の上側の外周面を構成する。第2張出部32はフレーム3の外周部に沿って延在した直線状の外形を有し、2つの端部を有している。第1張出部31と第2張出部32とで、後述する2つの隙間を有する環状の外形を形成している。後述する隙間は、第1張出部31の一方の端部と第2張出部32の一方の端部との間、及び第1張出部31の他方の端部と第2張出部32の他方の端部との間に形成されている。
【0040】
ブラケット30は、開口部34,35を有する外周面を備えている。すなわち、第1張出部31の外周面と第2張出部31の外周面との間には隙間があり、その隙間が外周面の開口部34,35となっている。換言すると、ブラケット30の右上部(4つのコーナ部の1つ)において、第1張出部31の外周面の上端部31b(2つの端部の1つ)と、第2張出部32の外周面の右端部32b(2つの端部の1つ)とは、互いに離れている。上端部31bと右端部32bとの間が、ブラケット30の外周面に設けられた右側の開口部34となっている。また、ブラケット30の左上部において、第1張出部31の外周面の上端部31cと、第2張出部32の外周面の左端部32cとは、互いに離れている。上端部31cと左端部32cとの間が、ブラケット30の外周面に設けられた左側の開口部34となっている。
【0041】
右側ブラシ部11は、整流子6に接触するブラシ19と、モータ1の外部と電気的に接続可能な接触部12を有する第1端子部材(端子の一例)14と、第2端子部材16と、第2端子部材16とブラシ19とを電気的に接続するアーム部材18とを有している。第1端子部材14と第2端子部材16とは、後述のようにブラケット30に設けられた抵抗体(電子部品の一例)60を介して電気的に接続されている。アーム部材18は、弾性変形しており、ブラシ19を整流子6の外周面に押し当てる。
【0042】
本実施の形態において、抵抗体60は、例えば、板状のPTCサーミスタである。モータ1の温度が上昇したときに抵抗体60によってモータ1への電力供給が遮断されるので、モータ1を停止させることができる。
【0043】
左側ブラシ部21は、整流子6に接触するブラシ29と、モータ1の外部と電気的に接続可能な接触部22を有する第3端子部材(端子の一例)26と、第3端子部材26とブラシ29とを電気的に接続するアーム部材28とを有している。アーム部材28は、弾性変形しており、ブラシ29を整流子6の外周面に押し当てる。なお、第3端子部材26は、本実施の形態においては、接触部22側の部材とアーム部材28に接続されている側の部材との2つが互いに接続されて構成されているが、これに限られるものではない。
【0044】
各ブラシ部11,21は、ブラケット30に設けられている。第1端子部材14、第2端子部材16、及び第3端子部材26は、第1張出部31や第2張出部32に形成されている溝部31g,32gに挟まれて、ブラケット30に保持されている。これにより、ブラケット30に対して、ブラシ部11,21が保持される。
【0045】
具体的には、第1張出部31は、第2端子部材16とアーム部材18との接合部17と、第3端子部材26とアーム部材28との接合部27とを保持している。これにより、アーム部材18,28の基端部(ブラシ19,29が取り付けられている部位から離れている側の端部)がブラケット30にしっかりと支持されるので、ブラシ19,29が整流子6に安定して押し当てられる。
【0046】
また、第2張出部32は、第1端子部材14や、第3端子部材26のうち接触部22側の部位を保持している。また、第2張出部32は、抵抗体60を、第1端子部材14と第2端子部材16との間に挟まれた状態で保持している。これにより、第1端子部材の接触部12からブラシ19にかけて電気的に接続された状態で、右側ブラシ部11がブラケット30に保持されている。第2張出部32には、前面から後方に凹む溝部32gが設けられている。第1端子部材14や第3端子部材26は、溝部32gに嵌め込まれてブラケット30に保持されている。なお、径方向においてブラケット30の開口部34,35よりも内側の部分には、第2張出部32の一部により形成されるストッパ部37が形成されている。ストッパ部37は、第1端子部材14や第3端子部材26が後述のように外部の端子に接触して変位したときに、第1端子部材14や第3端子部材26の変位量が大きくなりすぎないように、第1端子部材14や第3端子部材26を支えられるように構成されている。これにより、第1端子部材14や第3端子部材26が塑性変形することが防止されている。
【0047】
本実施の形態において、抵抗体60は、左右で対をなす第1端子部材14と第3端子部材26とのそれぞれの接触部12,22の間に設けられている。抵抗体60は、長手方向が左右方向となるようにして配置されている。すなわち、抵抗体60の長手方向は、一対の第1端子部材14と第3端子部材26とのうち一方から他方に向かう方向となっている。抵抗体60の長手方向は、モータ1の上面の近傍に、モータ1の上面と略平行となる姿勢で配置されている。これにより、モータ1の内部において、抵抗体60を搭載するスペースを比較的広く確保することができる。そのため、比較的小型であって、比較的大きな電流を流して高トルクで回転可能なモータ1を製造することができる。
【0048】
第1端子部材14は、抵抗体60の上面に接触し、第2端子部材16は、抵抗体60の下面に接触している。これにより、接触部12からブラシ19までの電流が流れる経路の間に、抵抗体60が挿入されている。
【0049】
図5は、ブラケット30及びブラシ部11,21の回転軸2に垂直な断面を示す図である。図6は、被接続部材80が取り付けられた状態のブラシ部11,21を説明する図である。
【0050】
図5及び図6において、ブラシ19,29については、正面図のまま示されている。
【0051】
左右のブラシ部11,21において、接触部12,22は、ブラケット30の外側に配置されている。第1端子部材14の一部は開口部34の内側を通過しており、開口部34よりも外側に接触部12が位置している。また、第3端子部材26の一部は開口部35の内側を通過しており、開口部35よりも外側に接触部22が位置している。すなわち、第1端子部材14の一部や、第3端子部材26の一部は、開口部34,35の内側に配置されている。このような接触部12,22の配置については、以下のようにいうこともできる。すなわち、ブラケット30において周方向に並ぶ第1張出部31の外周壁と第2張出部32の外周壁との間に、第1端子部材14の一部や、第3端子部材26の一部がある。
【0052】
なお、図4に示されるように、軸方向から見て、接触部12,22は、モータ1の後方には露出しないように構成されている。換言すると、接触部12,22は、径方向において、左右2つの面39のそれぞれよりも、内側に位置している。これにより、モータ1を取り扱う際に、接触部12,22に意図せずに他の部材が接触することを防止することができ、モータ1の破損を防止することができる。
【0053】
このように構成されたモータ1には、モータ1から見て上方から下に向けて、左右で対をなす2つの端子81を有する被接続部材80が取り付けられる。図5及び図6においては、被接続部材80が二点鎖線で示されている。このとき、図6に示されるように、2つの端子81が接触部12,22に接触することで、被接続部材80とモータ1とが電気的に接続される。
【0054】
端子81が上方から下に変位して接触部12,22に接触すると、図6に示されるように、接触部12,22は、それぞれ、開口部34,35からブラケット30の内側に向けて変位する。このとき、第1端子部材14及び第3端子部材26のそれぞれは弾性変形しており、接触部12,22を端子81の側面に押し当てる。したがって、モータ1や被接続部材80に振動等が加わっても、端子81と接触部12,22との接触が確実に維持される。被接続部材80において、一対の端子81は、左右に並んでいる。対向する2つの端子81の面(以下、内側の面ということがある)の間隔は、第2張出部32の左右の幅よりも若干広く、かつ、モータ1の左右の幅よりも狭くなっている。被接続部材80がモータ1に接続されているとき、接触部12,22のそれぞれは、各端子81の内側の面に接触可能である。
【0055】
本実施の形態に係るモータ1においては、上述のように、被接続部材80の端子81が第1端子部材14の接触部12及び第3端子部材26の接触部22に接続されている。このようなモータ1と被接続部材80との接続構造によれば、小型であって取り扱いが容易なモータ1を構成することができる。
【0056】
本実施の形態に係るモータ1においては、左右の接触部12,22の間隔を広くすることができる。そのため、比較的小さなモータにおいても、第1端子部材14や第3端子部材26を弾性変形させて接触部12,22を変位可能とするためのスペースを比較的広く確保することができる。換言すると、第1端子部材14や第3端子部材26を緩やかに変形させて接触部12,22を端子81に接触させることができるので、仮に端子81が傾いた方向で接触部12,22に接触するように配置されたときにも、第1端子部材14や第3端子部材26が塑性変形することを防止することができる。また、樹脂により構成されるブラケット30の第1張出部31や第2張出部32の大きさを、比較的大きく確保することができる。したがって、ブラケット30の強度を確保することができ、モータ1の破損を防止することができる。モータ1の組立てや、組立後のモータ1の取り扱いを、容易に行うことができる。
【0057】
[その他]
【0058】
上記の実施の形態の個々の特徴点が部分的に組み合わされてモータが構成されていてもよい。上記の実施の形態において、いくつかの構成要素が設けられていなかったり、いくつかの構成要素が他の態様で構成されていてもよい。
【0059】
モータの外周形状は、上述の実施の形態のような角型でなくてもよい。例えば、いわゆる小判形(左右2つの円弧を2つの直線で繋いだオーバル型)の断面を有する小型のモータにおいて上述のような端子部材の構造を採用してもよいし、丸形の断面を有する小型のモータにおいて上述のような端子部材の構造を採用してもよい。モータの外周形状が小判形の断面を有する場合には、2つの円弧状の平面形状を有するマグネットがフレームに固定され、モータの外周形状が丸形の断面を有する場合には円形の平面形状を有するマグネットがフレームに固定される。
【0060】
上記のように構成されたモータは、種々の用途に用いることができる。例えば、電子機器に用いられたり、種々の車両に搭載される用途に用いられたりしてもよい。
【0061】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 モータ
1a フレーム組立体
1b アマチュア組立体
2 回転軸
3 フレーム
6 整流子
11,21 ブラシ部
12,22 接触部
14 第1端子部材(端子の一例)
26 第3端子部材(端子の一例)
30 ブラケット
34,35 開口部
60 抵抗体(電子部品の一例)
80 被接続部材
81 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6