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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】作業機械およびキャブ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20221014BHJP
   B62D 33/06 20060101ALI20221014BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
E02F9/16 A
B62D33/06 A
B62D25/08 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018144542
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020020160
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏章
(72)【発明者】
【氏名】池田 健
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-137393(JP,A)
【文献】特開平10-311063(JP,A)
【文献】実開昭62-056682(JP,U)
【文献】特開2018-053599(JP,A)
【文献】特開2006-327282(JP,A)
【文献】特開2006-015985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B62D 33/06
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側部と、前記第1側部と対向しかつ前記第1側部よりも作業機側に位置する第2側部とを有するキャブを備え、
前記キャブは、前記第1側部に第1側部フロントピラーを有し、かつ前記第1側部フロントピラーよりも後方であって前記第2側部に第2側部フロントピラーを有し、
前記キャブは、前記第1側部と前記第2側部との間に位置する前方透明部材と、前記第2側部において前記第2側部フロントピラーに接続される側方透明部材とを有し、
前記前方透明部材にはローラが取り付けられ、前記側方透明部材には前記ローラを案内するレール部材を含むブラケットが取り付けられており、
前記ブラケットは、前記側方透明部材に接合する接合部と、前記レール部材を支持するレール支持部とを有し、
前記レール支持部は、前記接合部よりも後方に位置し、かつ前記接合部よりも前記第1側部の近くに位置している、作業機械。
【請求項2】
前後方向における前記ブラケットの長さは、前後方向における前記第1側部フロントピラーの長さよりも小さい、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
左右方向における前記ブラケットの幅は、左右方向における前記第1側部フロントピラーの幅よりも小さい、請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記第1側部フロントピラーおよび前記第2側部フロントピラーを有するキャブフレームに着脱可能に取り付けられている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記ローラは前記レール部材の溝部内を摺動し、
前記ローラおよび前記溝部の各々は、前記第1側部から前記第2側部に向かうに従って前記第2側部に沿う方向の幅が小さくなるテーパ形状の横断面を有している、請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記キャブは、走行用操作レバーをさらに有し、
前記キャブは、前記走行用操作レバーの前端よりも後方に前記第2側部フロントピラーを有している、請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記キャブは、運転席をさらに有し、
前記キャブは、前記運転席の前端よりも後方に前記第2側部フロントピラーを有している、請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記第2側部フロントピラーに対して前記第1側部とは反対側に配置され、かつ前記作業機が取り付けられる作業機支持ブラケットをさらに備えた、請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
前記キャブは、前記作業機支持ブラケットの前端よりも後方に前記第2側部フロントピラーを有している、請求項に記載の作業機械。
【請求項10】
前記第2側部フロントピラーの下部の幅は、前記第2側部フロントピラーの上部の幅よりも大きい、請求項1に記載の作業機械。
【請求項11】
互いに対向する第1側部および第2側部を有するキャブであって、
前記キャブは、前記第1側部に第1側部フロントピラーを有し、かつ前記第1側部フロントピラーよりも後方であって前記第2側部に第2側部フロントピラーを有し、
前記キャブは、前記第1側部と前記第2側部との間に位置する前方透明部材と、前記第2側部において前記第2側部フロントピラーに接続される側方透明部材とを有し、
前記前方透明部材にはローラが取り付けられ、前記側方透明部材には前記ローラを案内するレール部材を含むブラケットが取り付けられており
前記ブラケットは、前記側方透明部材に接合する接合部と、前記レール部材を支持するレール支持部とを有し、
前記レール支持部は、前記接合部よりも後方に位置し、かつ前記接合部よりも前記第1側部の近くに位置している、キャブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械およびキャブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば油圧ショベルなどの作業機械に用いられるキャブの構成は、特開2007-216957号公報(特許文献1)などに開示されている。この公報におけるキャブは、ピラーとして左右1対のフロントピラーと、左右1対のリヤピラーとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-216957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械においてはキャブ内のオペレータによる作業性を向上させるために、斜め前方を含む前方視界性のさらなる改善が求められている。
【0005】
本開示の目的は、キャブのフロントピラーを後方に移動させることでキャブ内におけるオペレータの前方視界性を改善することができる作業機械およびキャブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の作業機械は、キャブを備える。キャブは、第1側部と、第1側部と対向しかつ第1側部よりも作業機側に位置する第2側部とを有する。キャブは、第1側部に第1側部フロントピラーを有し、かつ第1側部フロントピラーよりも後方であって第2側部に第2側部フロントピラーを有する。キャブは、第1側部と第2側部との間に位置する前方透明部材と、第2側部において第2側部フロントピラーに接続される側方透明部材とを有する。前方透明部材にはローラが取り付けられ、側方透明部材にはローラを案内するレール部材を含むブラケットが取り付けられている。
【0007】
本開示のキャブは、互いに対向する第1側部および第2側部を有するキャブである。キャブは、第1側部に第1側部フロントピラーを有し、かつ第1側部フロントピラーよりも後方であって第2側部に第2側部フロントピラーを有する。キャブは、第1側部と第2側部との間に位置する前方透明部材と、第2側部において第2側部フロントピラーに接続される側方透明部材とを有する。前方透明部材にはローラが取り付けられ、側方透明部材にはローラを案内するレール部材を含むブラケットが取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、キャブのフロントピラーを後方に移動させることでキャブ内におけるオペレータの前方視界性を改善することができる作業機械およびキャブを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態における油圧ショベルの構成を示す斜視図である。
図2図1に示す油圧ショベルに用いられるキャブの構成を示す斜視図である。
図3図2のキャブの構成を示す分解斜視図である。
図4】ブラケットの第1の例の構成を示す斜視図である。
図5】キャブフレームの構成を示す斜視図である。
図6】前方透明部材がキャブの前方を開閉する様子を示す図である。
図7図4に示すブラケットの第1の例を用いた場合におけるブラケット付近の構成を示す断面図(A)、ブラケットの第2の例を用いた場合におけるブラケット付近の構成を示す断面図(B)、およびフロントピラーを用いた場合におけるフロントピラー付近の構成を示す断面図(C)である。
図8図2のキャブの内部の構成を、床面に対して垂直な方向から見た平面図である。
図9図2のキャブにおけるピラーとブーム取付ブラケットとの関係を説明するための図である。
図10図1に示すキャブ内の運転席に着座したオペレータの前方視界を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
本実施の形態においては、まず、本開示の思想を適用可能な作業機械の一例である油圧ショベルの構成について説明する。図1は、一実施の形態における油圧ショベル100の構成を示す斜視図である。
【0012】
図1に示されるように、油圧ショベル100は、本体1と、油圧により作動する作業機2とを有している。本体1は、旋回体3と、走行装置5とを有している。走行装置5は、一対の履帯5Crを有している。油圧ショベル100は、履帯5Crの回転により走行可能である。なお、走行装置5が履帯5Crに替えて車輪(タイヤ)を有していてもよい。
【0013】
旋回体3は、走行装置5の上に配置され、かつ走行装置5により支持されている。旋回体3は、旋回軸RXを中心として走行装置5に対して旋回可能である。旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有している。エンジンルーム9には、図示しないエンジンおよび油圧ポンプなどが配置されている。
【0014】
旋回体3は、キャブ4を有している。油圧ショベル100のオペレータ(乗員)は、このキャブ4に搭乗して、油圧ショベル100を操縦する。キャブ4は、オペレータが着座する運転席4Sを有している。オペレータは、キャブ4内において油圧ショベル100を操作可能である。オペレータは、キャブ4内において、作業機2の操作が可能であり、走行装置5に対する旋回体3の旋回操作が可能であり、また走行装置5による油圧ショベル100の走行操作が可能である。
【0015】
なお以下の説明において前後方向とは、キャブ4内の運転席4Sに着座したオペレータの前後方向である。運転席4Sに着座したオペレータに正対する方向が前方向であり、運転席4Sに着座したオペレータの背後方向が後方向である。左右方向とは、運転席4Sに着座したオペレータの左右方向である。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したときの右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0016】
作業機2は、旋回体3に支持されている。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8とを有している。ブーム6は、旋回体3に回動可能に連結されている。アーム7はブーム6に回動可能に連結されている。バケット8は、アーム7に回動可能に連結されている。バケット8は、複数の刃先8aを有している。
【0017】
キャブ4は、互いに対向する第1側部4Lおよび第2側部4Rを有している。キャブ4の第2側部4Rは、第1側部4Lよりも作業機2の近くに位置している。本実施の形態においては作業機2はキャブ4のたとえば右側に配置されている。このため、キャブ4の第1側部4Lはたとえば左側部となり、第2側部4Rはたとえば右側部となる。
【0018】
ブーム6の基端部は、ブームフートピン13を介して旋回体3に連結されている。ブーム6の基端部は、キャブ4の第2側部4Rに対して第1側部4Lとは反対側に位置している。アーム7の基端部は、アームピン14を介してブーム6の先端部に連結されている。バケット8は、バケットピン15を介してアーム7の先端部に連結されている。
【0019】
ブーム6は、ブームフートピン13を中心に回動可能である。アーム7は、アームピン14を中心に回動可能である。バケット8は、バケットピン15を中心に回動可能である。アーム7およびバケット8のそれぞれは、ブーム6の先端側で移動可能な可動部材である。
【0020】
作業機2は、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを有している。ブームシリンダ10は、ブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブームシリンダ10、アームシリンダ11、およびバケットシリンダ12のそれぞれは、作動油によって駆動される油圧シリンダである。
【0021】
作業機2は、バケットリンクを有している。バケットリンクは、第1リンク部材16と、第2リンク部材17とを有している。第1リンク部材16の先端と第2リンク部材17の先端とは、バケットシリンダトップピン19を介して、相対回転可能に連結されている。バケットシリンダトップピン19は、バケットシリンダ12の先端に連結されている。したがって第1リンク部材16および第2リンク部材17は、バケットシリンダ12にピン連結されている。
【0022】
第1リンク部材16の基端は、アーム7の先端部のバケットピン15の近傍において、第1リンクピン18を介してアーム7に回転可能に連結されている。第1リンク部材16は、アーム7にピン連結されている。第2リンク部材17の基端は、第2リンクピン20を介して、バケット8の根元部分のブラケットに回転可能に連結されている。第2リンク部材17は、バケット8にピン連結されている。
【0023】
図2は、図1に示す油圧ショベルに用いられるキャブの構成を示す斜視図である。図3は、図2のキャブの構成を示す分解斜視図である。図2に示されるように、本実施の形態のキャブ4は、床部材41と、フロントピラー42L(第1側部フロントピラー)と、フロントピラー43R(第2側部フロントピラー)と、センターピラー43Lと、左右1対のリヤピラー44R、44Lと、梁部材51F、51Rと、左右1対のフレーム部材52R、52Lと、屋根部材45とを主に有している。
【0024】
床部材41は、キャブ4の底部に配置されている。床部材41は、平板部材よりなっている。この床部材41上に、1対のフロントピラー42L、43Rと、センターピラー43Lと、左右1対のリヤピラー44R、44Lとの各々が立設されている。これらのピラー42L、43R、43L、44R、44Lの各々は、床部材41に接合されている。これらのピラー42L、43R、43L、44R、44Lの各々は、その長手方向が上下方向に延びるように配置されている。
【0025】
フロントピラー42Lは、床部材41の第1側部4Lの前端に接続されている。センターピラー43Lは、第1側部4Lであってフロントピラー42Lよりも後方に配置されている。フロントピラー43Rは、第2側部4Rであってフロントピラー42Lよりも後方に配置されている。フロントピラー43Rは、センターピラー43Lと左右方向において対向する位置に配置されている。フロントピラー43Rの下部の幅WLは、フロントピラー43Rの上部の幅WUよりも大きい。
【0026】
リヤピラー44Lは、第1側部4Lであってセンターピラー43Lよりも後方に配置されている。リヤピラー44Rは、第2側部4Rであってフロントピラー43Rよりも後方に配置されている。リヤピラー44Rは、リヤピラー44Lと左右方向において対向する位置に配置されている。第2側部4Rにおいてフロントピラー43Rとリヤピラー44Rとの間には、他のピラーは配置されていない。また第2側部4Rにおいてフロントピラー43Rの前方には、他のピラーは配置されていない。
【0027】
梁部材51Fは、第1側部4Lと第2側部4Rとの間を左右方向に延在しており、左右方向の第1端(左端)と第2端(右端)とを有している。梁部材51Fの第1端は、フロントピラー42Lの上端に接続されている。
【0028】
梁部材51Rは、梁部材51Fよりも後方に配置されている。梁部材51Rは、第1側部4Lと第2側部4Rとの間を左右方向に延在しており、左右方向の第3端(左端)と第4端(右端)とを有している。梁部材51Rの第3端は、リヤピラー44Lの上端に接続されている。梁部材51Rの第4端は、リヤピラー44Rの上端に接続されている。
【0029】
フレーム部材52Lは、第1側部4Lに沿って前後方向に延びている。フレーム部材52Lは、フロントピラー42Lの上端、センターピラー43Lの上端およびリヤピラー44Lの上端の各々に接続されている。またフレーム部材52Lは、梁部材51Fの第1側部4L側の第1端および梁部材51Rの第1側部4L側の第3端の各々に接続されている。
【0030】
フレーム部材52Rは、第2側部4Rに沿って前後方向に延びている。フレーム部材52Rは、フロントピラー43Rの上端およびリヤピラー44Rの上端の各々に接続されている。またフレーム部材52Rは、梁部材51Fの第2側部4R側の第2端および梁部材51Rの第2側部4R側の第4端の各々に接続されている。
【0031】
床部材41と、ピラー42L、43R、43L、44R、44Lと、梁部材51F、51Rと、フレーム部材52L、52Rとは、たとえば溶接により一体化されることによりキャブフレームを構成している。よってキャブフレームは、床部材41と、ピラー42L、43R、43L、44R、44Lと、梁部材51F、51Rと、フレーム部材52L、52Rとを有している。
【0032】
キャブ4は、1対の走行用操作レバー4LL、4LRをさらに有している。1対の走行用操作レバー4LL、4LRは、運転席4Sに着座したオペレータが走行装置5の走行動作を操作するためのものである。1対の走行用操作レバー4LL、4LRは、運転席4Sの前方に配置されている。
【0033】
運転席4Sおよび1対の走行用操作レバー4LL、4LRの各々は、キャブフレーム内に配置されている。運転席4Sおよび1対の走行用操作レバー4LL、4LRの各々は、床部材41と、ピラー42L、43R、43L、44R、44Lと、梁部材51F、51Rと、フレーム部材52L、52Rとに囲まれた空間内に配置されている。
【0034】
フロントピラー42Lは運転席4Sの前方に配置されている。フロントピラー43Rおよびセンターピラー43Lの各々は運転席4Sの側方に配置されている。1対のリヤピラー44R、44Lの各々は、運転席4Sの後方に配置されている。
【0035】
梁部材51F、51Rと、左右1対のフレーム部材52R、52Lと、屋根部材45との各々は、運転席4Sの上方に配置されている。床部材41は、運転席4Sの下方に配置されている。
【0036】
図3に示されるように、キャブ4は、前方透明部材46Fと、側方透明部材46Rと、下方透明部材46Uと、ブラケット60とをさらに有している。前方透明部材46F、側方透明部材46Rおよび下方透明部材46Uの各々は、平板形状を有しているが、ラウンドしていてもよい。
【0037】
前方透明部材46Fには、枠体46Faが取り付けられている。枠体46Faは、中央に抜き部を有する枠形状を有している。枠体46Faの中央の抜き部に、前方透明部材46Fが配置されている。枠体46Faは、前方透明部材46Fの周縁部に沿って配置されている。前方透明部材46Fと枠体46Faとの間には、シール部材46Fc(図7(A))が配置されている。
【0038】
枠体46Faには、複数のローラ46Fbが回転自在に取り付けられている。複数のローラ46Fbの各々は、左右方向(第1側部4Lと第2側部4Rとが対向する方向)に延びる軸を中心に回転可能である。複数のローラ46Fbは、枠体46Faの第1側部4L側の下端のローラと、枠体46Faの第2側部4R側の下端のローラと、枠体46Faの第1側部4L側の上端のローラと、枠体46Faの第2側部4R側の上端のローラとを含む。
【0039】
枠体46Faの第1側部4L側の下端および上端に配置されたローラの各々は、枠体46Faよりも第1側部4L側に配置されている。枠体46Faの第1側部4L側の下端および上端に配置されたローラの回転軸の各々は、枠体46Faよりも第1側部4L側に延びている。
【0040】
枠体46Faの第2側部4R側の下端および上端に配置されたローラの各々は、枠体46Faよりも第2側部4R側に配置されている。枠体46Faの第2側部4R側の下端および上端に配置されたローラの回転軸の各々は、枠体46Faよりも第2側部4R側に延びている。
【0041】
シール部材47bは、側方透明部材46Rと上述のキャブフレームとの間をシールしている。シール部材47bは、側方透明部材46Rの周囲を取り囲んでいる。シール部材47bは、側方透明部材46Rとブラケット60との間、側方透明部材46Rとフレーム部材52Rとの間、側方透明部材46Rとリヤピラー44Rとの間、側方透明部材46Rと床部材41との間などに配置されている。シール部材47bは、たとえばゴムなどよりなっている。
【0042】
図2に示されるように、ブラケット60は、梁部材51Fおよびフレーム部材52Rの接合部CPと、床部材41の第2側部4Rの前端とを繋ぐように配置されている。ブラケット60は、キャブフレームに着脱可能に取り付けられている。
【0043】
フロントピラー42Lおよびブラケット60よりも後方であって第2側部4Rにフロントピラー43Rが配置されている。キャブ4は、第2側部4Rにおいてフロントピラー43Rの前方に他のピラーを有していない。このためキャブ4は、梁部材51Fおよびフレーム部材52Rの接合部CPと、床部材41とを繋ぐピラーを有していない。代わりに接合部CPと、床部材41とを繋ぐブラケット60が設けられている。
【0044】
このピラーとブラケットとの相違点の1つは、ピラーがキャブフレームに溶接などにより一体化されているのに対して、ブラケット60がキャブフレームに対してボルトなどにより着脱可能に取り付けられている点である。
【0045】
前方透明部材46Fは、前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態において、フロントピラー42Lとブラケット60との間に位置している。前方透明部材46Fは、前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態において、フロントピラー43Rおよびセンターピラー43Lよりも前方に配置されており、運転席4Sの前方に配置されている。前方透明部材46Fは、前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態において、たとえばフロントピラー42Lの側方に配置され、第1側部4Lと第2側部4Rとの間に位置している。
【0046】
下方透明部材46Uは、フロントピラー42Lとブラケット60との間であって、前方透明部材46Fの下方に配置されている。この下方透明部材46Uは、フロントピラー43Rおよびセンターピラー43Lよりも前方に配置されており、運転席4Sの前方に配置されている。下方透明部材46Uは、たとえばフロントピラー42Lの側方に配置され、第1側部4Lと第2側部4Rとの間に位置している。前方透明部材46Fおよび下方透明部材46Uは、前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態において、梁部材51Fと床部材41の前端部との間に配置されている。
【0047】
側方透明部材46Rは、ブラケット60とリヤピラー44Rとの間に位置しており、第2側部4Rに沿って前後方向に延在している。側方透明部材46Rは、運転席4Sの側方に配置されている。側方透明部材46Rは、フレーム部材52Rと床部材41の第2側部4R側端部との間に配置されている。側方透明部材46Rは、ブラケット60からフロントピラー43Rよりも後方に延びている。ただし側方透明部材46Rは、フロントピラー43Rの前方のみに配置されていてもよい。
【0048】
前方透明部材46F、側方透明部材46Rおよび下方透明部材46Uの各々は、たとえばガラスよりなっている。前方透明部材46F、側方透明部材46Rおよび下方透明部材46Uの各々は、ガラス以外のたとえばアクリルなどの透明部材であってもよい。
【0049】
図4は、ブラケットの第1の例の構成を示す斜視図である。図5は、キャブフレームの構成を示す斜視図である。図6は、前方透明部材がキャブの前方を開閉する様子を示す図である。
【0050】
図4に示されるように、ブラケット60は、ブラケット本体61と、レール部材62とを有している。ブラケット本体61は、前方部61aと、接合部61bと、傾斜部61cと、レール支持部61dと、取付部61e、61fとを有している。
【0051】
ブラケット本体61は、1枚の平板部材を折り曲げ加工することにより構成されている。このため前方部61a、接合部61b、傾斜部61c、レール支持部61dおよび取付部61e、61fは1枚の板部材から構成されている。
【0052】
前方部61aは、左右方向(第1側部4Lと第2側部4Rとが対向する方向)に直線状に延びている。
【0053】
接合部61bは、前方部61aの第2側部4R側の端部に接続されている。接合部61bは、前方部61aに対してたとえば直角に折れ曲がり、かつ前方部61aとの接続部から後方に向かって直線状に延びている。
【0054】
傾斜部61cは、接合部61bの後端に接続されている。傾斜部61cは、接合部61bに対して傾斜するように折れ曲がっている。傾斜部61cは、接合部61bの後端に対して後方側かつ第1側部4L側へ向かって直線状に延びている。
【0055】
レール支持部61dは、傾斜部61cの後端に接続されている。レール支持部61dは、傾斜部61cに対して傾斜するように折れ曲がっている。レール支持部61dは、傾斜部61cの後端から後方に向かって直線状に延びている。レール支持部61dが前方から後方へ延びる方向は、接合部61bが前方から後方へ延びる方向とたとえば平行である。
【0056】
取付部61eは、レール支持部61dの上端付近でレール支持部61dに接続されている。取付部61eは、レール支持部61dの後端から後方に直線状に延びている。取付部61eには、貫通孔63aが設けられている。この貫通孔63aは、たとえばボルトなどの固定部材を挿通するためのものである。
【0057】
取付部61fは、レール支持部61dの下端付近でレール支持部61dに接続されている。取付部61fは、レール支持部61dの後端から後方に直線状に延びている。取付部61fには、貫通孔63bが設けられている。貫通孔63bは、レール支持部61dの下端付近に設けられていてもよい。貫通孔63bは、たとえばボルトなどの固定部材を挿通するためのものである。
【0058】
レール部材62は、ブラケット本体61のレール支持部61dにたとえば溶接などにより取り付けられている。レール部材62は、上部62aと、下部62bとを有している。上部62aおよび下部62bの各々は直線状に延びている。下部62bは、上部62aの下端に接続されている。下部62bは、上部62aに対して折れ曲がっている。下部62bは、上部62aの延長線よりも下に行くほど前方に位置するように上部62aに対して傾斜している。
【0059】
上部62aおよび下部62bの各々は、溝部を有してる。上部62aの溝部と下部62bの溝部とは一繋ぎとなっている。このためローラは、上部62aの溝と下部62bの溝との内部を行き来することができる。
【0060】
上部62aおよび下部62bの溝の各々は、第1側部4Lから第2側部4Rに向かうに従って幅が小さくなるテーパ形状の横断面を有している。
【0061】
図5に示されるように、ブラケット60は、ボルト67a、67bなどの固定部材によってキャブフレームに取り付けられている。具体的には、ボルト67a、67bの各々が図4における貫通孔63a、63bの各々を挿通した状態でキャブフレームにねじ込まれることにより、ブラケット60はキャブフレームに取り付けられている。
【0062】
ブラケット60がキャブフレームに取り付けられた状態において、ブラケット60のレール部材62の溝は、フレーム部材52Rに設けられたレール溝52Raと一繋がりとなっている。これによりローラは、レール部材62の溝とフレーム部材52Rのレール溝52Raとの内部を行き来することができる。
【0063】
上記により前方透明部材46Fを保持した枠体46Faを、図6に示されるようにスライドさせることができる。このスライドによりキャブ4の前方を前方透明部材46Fにより開閉することができる。前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態において、前方透明部材46Fは運転席4S(図2)の前方に位置している。また前方透明部材46Fがキャブ4の前方を開いた状態において、前方透明部材46Fは運転席4Sの上方に位置している。
【0064】
図7(A)は、図4に示すブラケットの第1の例を用いた場合におけるブラケット付近の構成を示す断面図である。図7(B)は、ブラケットの第2の例を用いた場合におけるブラケット付近の構成を示す断面図である。図7(C)は、フロントピラーを用いた場合におけるフロントピラー付近の構成を示す断面図(C)である。
【0065】
図7(A)に示されるように、ブラケット60は、側方透明部材46Rに対して第1側部4L側に配置されている。ブラケット60の接合部61bと側方透明部材46Rの第1側部4L側の表面とは互いに対向している。
【0066】
ブラケット60は側方透明部材46Rに接合されている。ここでブラケット60が側方透明部材46Rに接合されているとは、ブラケット60が側方透明部材46Rとたとえばシール部材65などの他の部材を介在して接合されている場合と、側方透明部材46Rと直接接合されている場合とを含む。なおシール部材65は、側方透明部材46Rと接合部61bとの間に配置されている。
【0067】
上記のとおりレール支持部61dは、傾斜部61cを介在して接合部61bに接続されている。このためレール支持部61dは、接合部61bよりも距離WBだけ第1側部4Lの近くに位置している。またレール支持部61dと側方透明部材46Rとの距離は、接合部61bと側方透明部材46Rとの距離よりも大きい。
【0068】
レール支持部61dには、上記のとおりレール部材62が取り付けられている。レール部材62は、溝部を有している。このレール部材62の溝部の内部にローラ46Fbが配置されている。ローラ46Fbは、回転可能に枠体46Faに取り付けられており、レール部材62の溝部内で摺動可能である。枠体46Faは、シール部材46Fcを介在して前方透明部材46Fに取り付けられている。
【0069】
ローラ46Fbは、第1側部4Lから第2側部4Rに向かうに従って第2側部4Rに沿う方向の幅LDが小さくなるテーパ形状の横断面を有している。またレール部材62の溝部は、第1側部4Lから第2側部4Rに向かうに従って第2側部4Rに沿う方向の幅LWが小さくなるテーパ形状の横断面を有している。
【0070】
前方部61aの第1側部4L側の端部にはシール部材64が取り付けられている。このシール部材64の後端部は、前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態にあるときに、前方透明部材46Fの前面に当接するように位置決めされている。
【0071】
なお図7(B)に示されるように、ブラケット60は、接合部61bが前方部61aからレール部材62の支持部まで後方に向かって直線状に延びていてもよい。この場合、ブラケット60の横断面の形状はL字形状である。またシール部材65に接するブラケット60の部分と側方透明部材46Rとの距離は、レール部材62が取り付けられるブラケット60の部分と側方透明部材46Rとの距離に略等しい。
【0072】
図7(B)に示されるブラケット60の上記以外の構成は、図7(A)に示されたブラケット60の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0073】
なお上記における横断面の形状とは、前後左右に延びる面で切断したときの形状を意味する。
【0074】
図8は、図2のキャブの内部の構成を、床面に対して垂直な方向から見た平面図である。図8に示されるように、キャブ4は、1対の走行用操作レバー4LL、4LRの各々の前端の位置P1よりも前方に、フロントピラー42L以外のピラーを有していない。フロントピラー43Rは、1対の走行用操作レバー4LL、4LRの各々の前端の位置P1よりも後方に位置している。1対の走行用操作レバー4LL、4LRの各々の前端の位置P1とは、1対の走行用操作レバー4LL、4LRの双方をオペレータが操作しない状態での前端を意味する。
【0075】
キャブ4は、運転席4Sの前端の位置P2よりも前方にはフロントピラー42L以外のピラーを有していない。フロントピラー43Rは、運転席4Sの前端の位置P2よりも後方に位置している。運転席4Sが床部材41に対して前後方向にスライド可能な場合、運転席4Sの前端の位置P2とは、運転席4Sを床部材41に対して最も後方にスライドさせた状態(破線で示す運転席4S)での前端を意味する。
【0076】
キャブ4の第2側部4Rの側方(たとえば右側)において作業機2のブーム6が旋回体3に支持されている。旋回体3は、ブーム6を支持するためのブーム取付ブラケット31(作業機支持ブラケット;縦板ともいう)を有している。ブーム取付ブラケット31およびブーム6にブームフートピン13が挿通されている。これによりブーム6は、ブームフートピン13を中心に回転可能にブーム取付ブラケット31に取り付けられている。
【0077】
ブーム取付ブラケット31は、フロントピラー43Rに対してキャブ4における第1側部4Lとは反対側に配置されている。ブーム取付ブラケット31は、隙間を介在してフロントピラー43Rと対向している。キャブ4は、ブーム取付ブラケット31の前端の位置P3よりも前方にはフロントピラー42L以外のピラーを有していない。フロントピラー43Rは、ブーム取付ブラケット31の前端の位置P3よりも後方に位置している。
【0078】
フロントピラー42Lには、ブラケット70およびレール部材72の各々が取り付けられている。ブラケット70の第2側部4R側の端部には、シール部材64が取り付けられている。前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態において、シール部材64は前方透明部材46Fの前面に当接するよう位置決めされている。また前方透明部材46Fがキャブ4の前方を閉じた状態において、レール部材72の溝部の内部には、枠体46Faの第1側部4L側に取り付けられたローラが配置されている。
【0079】
前後方向(第1側部4Lに沿う第1方向)におけるブラケット60の長さL1は、その前後方向におけるフロントピラー42Lの長さL2よりも小さい。また左右方向(上記第1方向に直交する第2方向)におけるブラケット60の幅W1は、その左右方向におけるフロントピラー42Lの幅W2aよりも小さい。またブラケット60の幅W1は、フロントピラー42Lの幅W2aとブラケット70の幅W2bとの合計W2よりも小さい。
【0080】
図9は、図2のキャブにおけるピラーとブーム取付ブラケットとの関係を説明するための図である。図9に示されるように、ブーム取付ブラケット31は、フロントピラー43Rに対して第1側部4Lとは反対側に配置されている。ブーム取付ブラケット31は、フロントピラー43Rと左右方向に隙間を介在して対向している。フロントピラー43Rは、ブーム取付ブラケット31の上端よりも上方に延びている。
【0081】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
本実施の形態の作業機械100においては、図1に示されるように、キャブ4の第1側部4Lよりも作業機2側に第2側部4Rが配置されている。このためキャブ4内のオペレータが作業機2による作業を確認するためには、そのオペレータの視界における、キャブ4の第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性は特に重要である。
【0082】
本実施の形態の作業機械100においては、図8に示されるように第2側部4Rに配置されたフロントピラー43Rはフロントピラー42Lよりも後方に配置されている。また第2側部4R側にはブラケット60が配置されているが、ブラケット60は、ピラーのようにキャブフレームの強度を担保する部材ではないため、ピラーよりも細くできる。
【0083】
このため図7(C)に示すようにキャブ4の第2側部4R側にフロントピラー42Rが存在する場合と比較して、図7(A)、(B)に示すようにブラケット60が用いられることにより、キャブ4内のオペレータの視界において、第2側部4R側の斜め前方の死角が少なくなる。具体的には、キャブ4内のオペレータの視界は、図10に示されるようになる。これにより、キャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善され、作業機2による作業性が向上する。
【0084】
なお図7(A)~(C)の各々において2本の一点鎖線で挟まれた領域は、運転席4Sに着座したオペレータの死角を意味する。
【0085】
以上により本実施の形態の作業機械100によれば、キャブ4のフロントピラー43Rを後方に移動させることでキャブ4内におけるオペレータの前方視界性を改善することが可能となる。
【0086】
またブラケット60は、前方透明部材46Fを案内するレール部材62を有している。このためこのレール部材62に沿って前方透明部材46Fをスライドさせることにより、キャブ4の前方を前方透明部材46Fにより開閉することが可能となる。
【0087】
なお図10においては、作業機2の作業の一例として、作業機2のバケット8内の荷をダンプトラックのベッセルに積む様子を示している。この図10に示されるように、運転席4Sに着座したオペレータは、作業機2のバケット8とダンプトラックのベッセルとを明確に視認することができる。
【0088】
また本実施の形態によれば、図8に示されるように前後方向(第1側部4Lに沿う第1方向)におけるブラケット60の長さL1は、その前後方向におけるフロントピラー42Lの長さL2よりも小さい。このため第2側部4Rにおいてフロントピラーに代えてブラケット60を設けたことにより、キャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善される。
【0089】
また本実施の形態によれば、図8に示されるように左右方向(上記第1方向に直交する第2方向)におけるブラケット60の幅W1は、その左右方向におけるフロントピラー42Lの幅W2aよりも小さい。このため第2側部4Rにおいてフロントピラーに代えてブラケット60を設けたことにより、キャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善される。
【0090】
また本実施の形態によれば、図5に示されるようにブラケット60は、ボルト67a、67bにより、フロントピラー43L、43Rなどを有するキャブフレームに対して着脱可能である。このようにブラケット60がキャブフレームに対して着脱可能でありキャブフレームの強度を担保しないものであるため、ブラケット60を細くすることができる。これによりキャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善される。
【0091】
また本実施の形態によれば、図7(A)、(B)に示されるように、ローラ46Fbとレール部材62の溝部との各々は、第1側部4Lから第2側部4Rに向かうに従って第2側部4Rに沿う方向の幅LD、LWが小さくなるテーパ形状の横断面を有している。これによりキャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界における死角を減少させることができる。これによりキャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善される。
【0092】
またローラ46Fbとレール部材62の溝部との各々の横断面形状がテーパ形状であるため、ローラ46Fbとレール部材62の溝部との摺動面積を大きく確保することができる。これによりローラ46Fbとレール部材62の溝部との面圧を低減することができる。
【0093】
また本実施の形態によれば、図7(A)に示されるように、ブラケット60のレール支持部61dは、接合部61bよりも後方に位置し、かつ接合部61bよりも第1側部4Lの近くに位置している。これによりキャブ4内におけるオペレータの前方視界をブラケット60が妨げる範囲を狭くすることができる。よってキャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性がさらに改善される。
【0094】
なお図7(B)においては、図7(A)のブラケット60と比較して、ブラケット60の形状がシンプルであるため、ブラケット60の加工が容易である。
【0095】
また本実施の形態によれば、図8に示されるようにキャブ4は、走行用操作レバー4LL、4LRの前端の位置P1よりも後方にフロントピラー43Rを有している。これにより上記のとおりオペレータによる第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善され、作業機2による作業性が向上する。
【0096】
また本実施の形態によれば、図8に示されるようにキャブ4は運転席4Sの前端の位置P2よりも後方にフロントピラー43Rを有している。これにより上記のとおりオペレータによる第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性がさらに改善され、作業機2による作業性がさらに向上する。
【0097】
また本実施の形態によれば、図8に示されるように、キャブ4は、ブーム取付ブラケット31の前端の位置P3よりも後方にフロントピラー43Rを有している。これにより上記のとおりオペレータによる第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性がさらに改善され、作業機2による作業性がさらに向上する。
【0098】
また本実施の形態によれば、図9に示されるように、ブーム取付ブラケット31は、フロントピラー43Rに対して第1側部4Lとは反対側に配置されている。これにより油圧ショベル100が転倒などし、フロントピラー43Rが矢印A1方向に傾くときに、フロントピラー43Rの箇所S1がブーム取付ブラケット31に当接する。これによりフロントピラー43Rの矢印A1方向への傾きが抑制され、それによりキャブ4の矢印A1方向への傾きが抑制される。
【0099】
また本実施の形態によれば、図2に示されるように、フロントピラー43Rの下部の幅WLは、フロントピラー43Rの上部の幅WUよりも大きい。これにより図9に示されるように、フロントピラー43Rが矢印A1方向に力を受けても、フロントピラー43Rの矢印A1方向への傾きは抑制される。
【0100】
また本実施の形態のキャブ4は、図8に示されるように第2側部4Rに配置されたフロントピラー43Rはフロントピラー42Lよりも後方に配置されている。また第2側部4Rにはブラケット60が配置されているが、ブラケット60は、ピラーのようにキャブフレームの強度を担保する部材ではないため、ピラーよりも細くできる。
【0101】
このため図7(C)に示すようにキャブ4の第2側部4R側にフロントピラー42Rが存在する場合と比較して、図7(A)、(B)に示すようにブラケット60が用いられることにより、キャブ4内のオペレータの視界において、第2側部4R側の斜め前方の死角が少なくなる。具体的には、キャブ4内のオペレータの視界は、図10に示されるようになる。これにより、キャブ4内のオペレータによる、第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善され、作業機2による作業性が向上する。
【0102】
また本実施の形態のキャブ4では、図2および図8に示されるようにフロントピラー42Lよりも後方であって第2側部4Rにはフロントピラー43Rが配置されている。このフロントピラー43Rによりキャブ4の強度が高く維持されている。
【0103】
以上により本実施の形態のキャブ4によれば、キャブ4の強度を保ちつつ、キャブ4内におけるオペレータの前方視界性を改善することで作業性を向上することが可能となる。
【0104】
なお上記実施の形態においては作業機2がキャブ4の右側に配置された場合について説明したが、作業機2はキャブ4の左側に配置されていてもよい。この場合には、キャブ4の左側部が右側部よりも作業機2の近くに位置することになる。この場合、キャブ4の左側前部にブラケット60が設けられ、右側前部にフロントピラーが設けられる。
【0105】
また作業機2はキャブ4の前方に配置されていてもよい。具体的には作業機2はキャブ4の前方において本体1(たとえば旋回体3)に取り付けられていてもよい。この場合においても、オペレータによる第2側部4R側の斜め前方を含む前方視界性が改善されるため、作業機2による作業性が向上する。
【0106】
またブラケット60は、前方透明部材46Fを案内するレール部材62を有している。このためこのレール部材62に沿って前方透明部材46Fをスライドさせることにより、キャブ4の前方を開閉することが可能となる。
【0107】
上記においては本開示の思想を適用可能な作業機械の一例として油圧ショベルについて説明したが、作業機械はクレーン、ホイールローダ、モータグレーダなどであってもよく、またバケット8の代わりに圧砕具、ブレーカなどを有する作業機械であってもよい。
【0108】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 本体、2 作業機、3 旋回体、4 キャブ、4L 第1側部、4LL,4LR 走行用操作レバー、4R 第2側部、4S 運転席、5 走行装置、5Cr 履帯、6 ブーム、7 アーム、8 バケット、8a 刃先、9 エンジンルーム、10 ブームシリンダ、11 アームシリンダ、12 バケットシリンダ、13 ブームフートピン、14 アームピン、15 バケットピン、16 第1リンク部材、17 第2リンク部材、18 第1リンクピン、19 バケットシリンダトップピン、20 第2リンクピン、31 ブーム取付ブラケット、41 床部材、42L,42R,43R フロントピラー、43L センターピラー、44L,44R リヤピラー、45 屋根部材、46F 前方透明部材、46Fa 枠体、46Fb ローラ、46Fc,47b,64,65 シール部材、46R 側方透明部材、46U 下方透明部材、46Ua 保持体、51F,51R 梁部材、52L,52R フレーム部材、52Ra レール溝、55 台部分、60,70 ブラケット、61 ブラケット本体、61a 前方部、61b,CP 接合部、61c 傾斜部、61d レール支持部、61e,61f 取付部、62,72 レール部材、62a 上部、62b 下部、63a,63b 貫通孔、67a,67b ボルト、100 作業機械(油圧ショベル)、CN2 角部、CP 接合部、GA 隙間、P1,P2,P3 位置、RX 旋回軸、S1 箇所。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10