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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】浴室カウンター
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A47K4/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018163347
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032109
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 美紀子
(72)【発明者】
【氏名】井口 隆磨
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-029430(JP,A)
【文献】特開2018-051119(JP,A)
【文献】特開2014-023649(JP,A)
【文献】特開2005-192849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な載置面を備え、浴室の壁面に対して着脱可能に構成された浴室カウンターであって、
前記浴室カウンターの外周縁部に設けられ、前記浴室カウンターの厚さ方向に厚みを有する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記支持部の前記浴室の床面との接触面積が前記支持部の面積よりも小さくなるように構成された当接部と、
を備え、
前記浴室カウンターは、前記壁面から取り外した状態で前記支持部と前記当接部とが前記浴室の床上に接触して自立可能に構成されていることを特徴とする浴室カウンター。
【請求項2】
前記浴室カウンターを前記壁面に対して取り付けるための被係合部を備え、
前記支持部は、前記被係合部側の前記外周縁部に設けられている
請求項1に記載の浴室カウンター。
【請求項3】
前記当接部は、前記支持部から外方に向かって突出する突起で構成されている
請求項1または請求項2に記載の浴室カウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に着脱可能に取り付けられる浴室カウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内の壁面には、石鹸、洗面器等、浴室で使用する物品を載置するカウンターが取り付けられている。例えば、シャワーや蛇口等の吐水装置の下方にカウンターが設けられ、カウンター上に石鹸、シャンプー、洗面器等を載置して使用する場合がある。
【0003】
このような浴室カウンターとして、浴室カウンター及びその周辺の清掃を行いやすくするためにカウンターを浴室の壁面から容易に着脱可能とするカウンターが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1のカウンターは、壁面への着脱が容易でありかつ軽量であるため、容易に清掃が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-51119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、浴室カウンターの下方の床面や壁面を清掃する際、壁面から取り外した浴室カウンターの置き場所について考慮されていなかった。そのため、清掃者は、取り外した浴室カウンターを持ちながら清掃する必要があり、作業性の改善が望まれていた。また、浴室カウンターを壁部から外した場合、浴室カウンターを浴室の床等に置く、あるいは床に載置して壁部に立て掛けることが想定される。しかし、浴室カウンターは縁部が曲線形状を有する場合が多く、安定的に置いておくことが難しい。また、床に置くあるいは立て掛ける際、浴室カウンターと床や壁部との接触により、浴室カウンター、床、壁部に傷ができる場合があり改善が求められていた。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、着脱可能な浴室カウンターを壁面から取り外した場合に、接触傷の発生を抑制できる浴室カウンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る浴室カウンターは、物品を載置可能な載置面を備え、浴室の壁面に対して着脱可能に構成された浴室カウンターであって、前記浴室カウンターの外周縁部に設けられ、前記浴室カウンターの厚さ方向に厚みを有する支持部と、前記支持部に設けられ、前記支持部の前記浴室の床面との接触面積が前記支持部の面積よりも小さくなるように構成された当接部と、を備え、前記浴室カウンターは、前記壁面から取り外した状態で前記支持部と前記当接部とが前記浴室の床上に接触して自立可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、着脱可能に構成された浴室カウンターを壁面から取り外した際に、支持部と前記当接部とが前記浴室の床上に接触して浴室カウンターが浴室の床上に支持されて自立可能となる。したがって、浴室カウンターの外周縁部側が浴室の床上に位置した状態で浴室の床上に自立状態で保持できる。さらに、支持部の浴室の床面との接触面積が支持部の面積よりも小さくなる当接部を支持部に備えるため、支持部と浴室の床面との接触面積を低減できる。したがって、浴室カウンターを自立状態で保持する際、支持部や浴室の床面への接触に伴う傷の発生を抑制できる。この結果、着脱可能な浴室カウンターを壁面から取り外した場合に、接触傷の発生を抑制できる。
【0009】
本発明に係る浴室カウンターは、前記浴室カウンターを前記壁面に対して取り付けるための被係合部を備え、前記支持部は、前記被係合部側の前記外周縁部に設けられていてもよい。
【0010】
この発明によれば、浴室カウンターを自立可能とする支持部が被係合部側に設けられるため、浴室カウンターの使用状態では、支持部は浴室の壁部側に位置し、支持部が外観上目立たない。また、浴室カウンターが自立状態で保持された際に被係合部が床側に位置するため、自立状態において被係合部が外観上目立たない。したがって、浴室カウンターを自立状態で見栄えよく保持できる。また、被係合部側の外周縁部に支持部が設けられるため、使用状態時も、当接部により被係合部が壁部側の係合部と接触する接触面積を低減でき、被係合部または係合部に接触傷が生じることを防止できる。
【0011】
本発明に係る浴室カウンターでは、前記当接部は、前記支持部から外方に向かって突出する突起で構成されていてもよい。
【0012】
この発明によれば、当接部は、支持部から外方に向かって突出する突起により構成されるため、浴室の床面と支持部との接触面積を低減できる。この結果、浴室カウンターを自立状態で保持する際、支持部や浴室の床面への接触に伴う傷の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、浴室カウンター、床、壁部への接触傷が生じることなく床面等に自立可能な浴室カウンターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターを備える浴室ユニットの浴室カウンターの使用状態を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターを浴室ユニットの壁部に取り付ける態様を模式的に示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターをブラケットに取り付ける態様を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターの裏面側の平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターの斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターの被係合部側の側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターの自立状態を示す側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る浴室カウンターの自立状態を示す側面図である。
図9】本発明の一実施形態の第一変形例の浴室カウンターの自立状態を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態の第二変形例の浴室カウンターの自立状態を示す側面図である。
図11】本発明の一実施形態の第三変形例の浴室カウンターの自立状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る浴室カウンターについて説明する。図1は、実施形態に係る浴室カウンターを備える浴室ユニットの浴室カウンターの使用状態を示す斜視図である。図2は浴室カウンター2を浴室ユニットの壁部に取り付ける態様を模式的に示す斜視図である。本実施形態に係る浴室カウンター2は、浴室空間BRの第一壁部103に対して着脱可能に構成されている。以下では、浴室ユニット100の第一壁部103に着脱可能な浴室カウンター2を例に説明する。なお、浴室カウンター2は浴室ユニット100に限らず、在来工法により施工された浴室においても使用可能である。
【0020】
浴室ユニット100は、建物の躯体内にフレームとパネルとを用いて、床、壁、天井及び浴槽等を組み立てて設置される。浴室ユニット100内に形成される浴室空間BR(浴室)には外枠形状が平面視で略長方形の浴槽101と、平面視略矩形であり、浴槽101と壁との間の床部を構成する洗い場(床面)102と、が設けられている。浴槽101の洗い場102との境界部分となる端部には、浴槽101の側面を覆うエプロン105が設けられ、洗い場102と浴槽101とは、エプロン105を介して接続されている。浴室空間BRは、四方に立設された複数の壁部により形成されている。
【0021】
本実施形態では、浴室ユニット100の複数の壁部のうち、シャワー器具109、水栓110、シャワーホルダ107が設けられた壁を第一壁部103と称する。
【0022】
以下の説明において、第一壁部103の壁面に沿った水平方向を幅方向、幅方向に直交する水平方向を奥行方向とする。奥行方向のうち第一壁部103に近接する方向を奥行方向の奥側とし、第一壁部103と離間する方向を奥行方向の手前側とする。第一壁部103の幅方向のうち、使用者が第一壁部103に向かって立つ場合の左右をそれぞれ右側、左側と称する。本実施形態では、幅方向の左側に浴槽101が配置され、右側に洗い場102が配置されている。
【0023】
本実施形態に係る浴室カウンター2(以下、「カウンター」と記載する。)は、カウンター2をブラケット3から取り外した際に、床上に自立状態で保持可能に構成されている。ここでいう自立状態とは、浴室カウンターが床上で自立する態様の他、ブラケット等の保持手段を用いることなく浴室カウンターを床上に載置して壁部に立て掛けた状態に保持する態様を含む。
【0024】
図1及び図2に示すように、カウンター2は、第一壁部103に取り付けられた後述するブラケット3に対して着脱可能に構成されている。本実施形態では、第一壁部103の水栓110の下方、かつ、洗い場102の床面から上方に離間した位置に、カウンター2が取り付けられる。図1に示すように、天板41を上方に向けて配置してブラケット3に支持された状態をカウンター2の使用状態と称する。使用状態では、天板41は上方(天井側)を向いて第一壁部103からに略水平方向に突出して配置される。
【0025】
図3は、使用状態におけるカウンター2をブラケット3へ取り付ける態様を示す斜視図である。ブラケット3は、第一壁部103に取り付けられている。ブラケット3は、不図示の金属部材により第一壁部103に固定され、樹脂部材により金属部材が覆われている。図3に示すように、ブラケット3は、ベース体31と、アーム部32とを備える。ベース体31は、幅方向に長尺な部材であり、裏面311が第一壁部103に固定されている。表面部312は、上部が上下方向に延びる平面形状であり、下部は下端側に向かって次第に奥行方向の厚みが薄くなるようにわずかに傾斜する傾斜面が形成されている。ベース体31の表面部312の幅方向両端部は、ベース体31より幅方向外側に僅かに突出する突出縁315,315を有する。
【0026】
アーム部32は、平面視略U字形状を有し、表面部312から手前側に向かって略水平方向に突出して設けられている。アーム部32は、幅方向に離間する2つの基部321,321がベース体31の表面部312から手前側に突出し、各基部321,321の手前側の端部間にバー322が架設されている。バー322は、表面部312と略平行に延設されている。基部321,321の幅方向外側の各端部には、幅方向に突出する突起34が形成されている。
【0027】
アーム部32と、ベース体31の表面部312との間には、係合孔33が形成されている。係合孔33は上下方向に貫通している。
【0028】
係合孔33の上方のベース体31の表面部312には、ベース体31の上面313よりも上方に突出する突出壁314が形成されている。突出壁314は、ベース体31の手前側に表面部312に沿って上方に延出するように突出している。突出壁314の左右上端部は幅方向外側に向かって下側に傾斜している。
【0029】
図4は、本実施形態に係るカウンター2の裏面側の平面図である。図5は、本実施形態に係るカウンター2の斜視図である。図6は、本実施形態に係るカウンター2の被係合部52側の側面図である。カウンター2の構成について、図1に示す使用状態の配置に基づき説明する。カウンター2は、物品を載置可能な天板(載置面)41を備える平板状の部材である。カウンター2は、使用状態において上側に配置される天板部材4と、下側に配置される底板部材5と、を有し、天板部材4と底板部材5とが接合されて構成されている。天板部材4および底板部材5は、それぞれ樹脂材料により形成されている。天板部材4と底板部材5とが接合されると、天板部材4と底板部材5との間に形成されるカウンター2の内部空間への浸水が防止されるように構成されている。
【0030】
図4に示すように、カウンター2は、厚さ方向から見た平面視における形状が略長方形であり、4つの角部は円弧形状を有する。天板部材4と底板部材5とは外周縁部同士が接合されている。
【0031】
カウンター2は、2つの長辺端部21,22のうちの一方の長辺端部側でブラケット3に係合され、第一壁部103から手前側に向かって突出している。2つの長辺端部のうち、使用状態において手前側に位置する長辺端部を第一長辺端部21と称し、被係合部52が設けられている側の長辺端部を第二長辺端部22と称する。
【0032】
カウンター2の外周縁部には、厚さ方向(上下方向)に厚みを有する外周側壁23(支持部)が形成されている。外周側壁23は、略平面状の壁部である。外周側壁23のうち、第一長辺端部21側の部分は直線状に延びて形成された平坦部231を有する。
【0033】
カウンター2には、厚さ方向に貫通する排水口24が形成されている。排水口24は、第一長辺端部21の近傍であって、第一長辺端部21よりも奥側に形成され、第一長辺端部21と略平行に延びる長孔である。排水口24の幅方向の両端部は、円弧形状を有する。
【0034】
図1図2及び図6に示すように、天板部材4の天板41は上面(載置面)が扁平に形成されている。天板41は、カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって僅かに下降傾斜している。天板41は、排水口24の縁部の高さが最も低く、カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって緩やかに下降傾斜して形成されている。ただし、天板41の傾斜角度は、天板41上の水が排水口24に向かって流れ、物品を載置した際に、物品が自重で傾斜に沿って移動しない程度の僅かな傾斜である。
【0035】
図3から図6に示すように、底板51の第二長辺端部22側の領域に被係合部52を備える。被係合部52は、第二長辺端部22の幅方向略中央部、かつ第二長辺端部22側の外周側壁23より下方に形成されている。底板51の被係合部52は、内側凹部55と、外側凹部56と、突条部53と、挿入穴54とを備える。
【0036】
内側凹部55は、底板51の幅方向略中央部に略矩形に形成された凹部である。内側凹部55の左右の側壁551,551間の距離は、ブラケット3のアーム部32の幅方向の寸法よりも僅かに大きい。図4及び図5に示すように、各側壁551,551には、係止凸部57,57が設けられている。係止凸部57,57は、それぞれ幅方向の中央側に向かって突出し、かつ奥行方向に延びる長尺な突起である。
【0037】
内側凹部55の第二長辺端部22側の端部に、突条部53が形成されている。突条部53は、略直方体形状であり、内側凹部55の底部553から下方に突出して形成されている。突条部53は、ブラケット3の係合孔33の平面視内周形状と相似する形状を有する。
【0038】
外側凹部56は、内側凹部55と第二長辺端部22との間に形成された凹部である。外側凹部56は、内側凹部55と連続して形成され、幅方向に長尺な略矩形の凹部である。外側凹部56は、内側凹部55よりも幅方向の開口寸法が長い。外側凹部56の幅方向の寸法は、ブラケット3のベース体31の表面部312の幅方向の寸法よりも僅かに長い。
【0039】
挿入穴54は、外側凹部56の底部561の幅方向中央部に、上方に向かって窪んで形成されている。挿入穴54は、突条部53と隣接する位置に形成されている。挿入穴54は、ブラケット3の突出壁314の形状と相似する形状を有する。
【0040】
外側凹部56の幅方向の左右の側壁562,562には、幅方向外側に窪むスリット563,563がそれぞれ形成されている。
【0041】
図4及び図5に示すように、被係合部52は、外周側壁23よりも奥行方向の内側(第一長辺端部21側)に配置されている。
【0042】
底板51は、幅方向(長辺方向)の中央部において、第一長辺端部21から第二長辺端部22に向かって下方に傾斜した傾斜面を備えている(図7参照)。したがって、カウンター2の厚さは、第二長辺端部22側に向かって次第に厚くなり、第一長辺端部21側の厚さT21より第二長辺端部22側の端部の厚さT22の方が厚い。底板部材5の第二長辺端部22側の端部は、底板51の下端部と外周側壁23との間に上下方向に延びる第二側壁58を備える。第二側壁58,58は、被係合部52の幅方向両側に形成されている。第二長辺端部22側に位置する外周側壁23と、第二側壁58,58とにより、カウンター2の支持部26が構成されている。
【0043】
図7に示すように、カウンター2は、第二長辺端部22側の端部の厚さT22と第一長辺端部21側の厚さT21との差が小さい薄型のカウンターである。カウンター2の第二長辺端部22側の端部の厚さT22と第一長辺端部21側の厚さT21との比は、例えば、1:0.3~1:0.6であってもよい。このように、カウンター2が薄型であると、天板41が水平方向に向けられて床面F上に支持されたときに浴室の使用者や清掃者の動線を妨げ難い。
【0044】
各第二側壁58、58は、当接部50、50を備える。当接部50は、第二側壁58から奥行方向の奥側(カウンター2の外方)に突出する突起で構成されている。図4から図6に示すように、当接部50は、略半円柱形状の突起であり、カウンター2の幅方向に延び、円弧部分が奥行き方向に突出して形成されている(図7参照)。
【0045】
次に、図3を参照して、カウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。図3に示すように、カウンター2の天板41を上方に向けて、底板51の被係合部52をブラケット3に上方から近付け、突条部53を係合孔33に挿入し、挿入穴54に突出壁314を挿入する。
【0046】
突条部53はアーム部32の係合孔33の平面視形状と相似し、内側凹部55の側壁551,551間の距離はブラケット3のアーム部32の幅方向の寸法よりも僅かに大きいため、図3に示すように、アーム部32と被係合部52とが係合する。また、内側凹部55の手前側壁部552と突条部53とにより、アーム部32のバー322が挟持される。さらに、突条部53の奥側壁531がブラケット3の表面部312に当接する。この結果、カウンター2の上方からの力に対して十分な耐荷重を備えて、カウンター2を使用状態で支持できる。
【0047】
アーム部32と被係合部52との係合時、内側凹部55の各側壁551,551に設けられた係止凸部57,57がアーム部32の基部321,321の突起34,34を乗り越え、係止凸部57,57が突起34,34に係止される。さらに、外側凹部56のスリット563,563にベース体31の表面部312の突出縁315,315が挿入される。
【0048】
使用状態におけるカウンター2の支持構造が上述の構成を備える結果、カウンター2はブラケット3の上方から近付けて、被係合部52とアーム部32とを係合させる簡易な構成で、カウンター2をブラケット3に着脱可能に係合させることができる。つまり、ネジ等の固定部材を用いることなく、カウンター2をブラケット3に係合できる。また、カウンター2の使用中に上方向へ不慮の力が加わった場合でも、カウンター2がブラケット3から外れ難い。
【0049】
次に、カウンター2をブラケット3から取り外した際のカウンター2の保持態様について説明する。図7は、カウンター2の自立状態を示す側面図である。ブラケット3から取り外したカウンター2は、外周縁部が床面Fに接触した状態で、浴室の床面F上に支持されて自立可能に構成されている。なお、本実施形態では浴室の床面Fにカウンター2を自立させる例を示すが、カウンター2を自立させる場所は特に限定されない。
【0050】
カウンター2は、使用状態では天板41が上方に向き、載置面が略水平に延設された状態で第一壁部103に支持されている。しかし、カウンター2を取り外して使用しない場合に、天板41が上方に向いた状態で床面Fに載置すると広い収納面積が必要となる。そこで、浴室カウンターを浴室の壁面に立て掛ける方法が考えられる。しかし、一般に浴室カウンターは外面に曲線形状を有する場合が多く、浴室カウンターを浴室の壁面に立て掛けた状態で安定保持することが難しく、浴室内にストッパーが必要となる。これに対し、本実施形態のカウンター2は、天板41が水平方向に向いた状態で床面F上に自立可能に構成されている。
【0051】
なお、天板41が水平方向に向いた状態とは、例えば、天板41が上下方向に沿って配置された状態、上下方向に対して僅かに傾斜して配置された状態、天板41が、浴室内に立設されている第一壁部103等の壁面やエプロン105、浴室の壁部同士のコーナー等に対向配置された状態を含む。
【0052】
図7に示すように、本実施形態では、第一長辺端部21側の外周側壁23及び第二側壁58が床面Fに対向するように配置され、外周側壁23と当接部50,50とが床面Fに接触してカウンター2が床面F上に支持される。このとき、天板41は床面Fに対してやや傾斜した状態でバランスが保たれて保持される。自立状態では、第二側壁58は床面Fから僅かに離間し、外周側壁23の平坦部231が床面Fに対してやや傾斜し、カウンター2の天板41側の端部が床面Fから僅かに離間する。したがって、自立状態では、支持部26が床面Fと対向する面積よりも、支持部26と床面Fとの接触面積が小さくなる。この結果、自立状態のカウンター2は、床面Fとの接触面積を抑えながら床面F上に保持され、カウンター2あるいは床面Fへの接触傷の発生を抑制できる。
【0053】
図8は、本実施形態に係るカウンター2を、床面F上に載置しながら、第一壁部103等の壁面Wにも立て掛ける例を示す側面図である。底板51の第二長辺端部22側の端部領域59(図3参照)に、図4から図6に示すように、下方に突出する凸部501,501を更に設けてもよい。図8に示すように、カウンター2を壁面Wに立て掛ける場合、凸部501,501が壁面Wに接触し、底板51は壁面Wから離間した状態で支持される。このように、自立状態時に凸部501,501を壁面Wに接触させることにより、底板51と壁面Wとの接触面積を低減できる。この結果、壁面Wと底板51との接触による傷の発生を抑制できる。
【0054】
本実施形態に係るカウンター2によれば、浴室の第一壁部103に対して着脱可能に構成されたカウンター2を第一壁部103から取り外した際に、支持部26と当接部50,50とが浴室の床面F上に接触して、カウンター2が浴室の床面F上に支持されて自立可能となる。したがって、カウンター2の外周側壁側が浴室の床面F上に位置した状態で浴室の床面F上に自立状態で保持できる。さらに、支持部26の浴室の床面Fとの接触面積が、支持部26が床面Fと対向する面積よりも小さくなる当接部50,50を支持部26に備える。このため、支持部26と浴室の床面Fとの接触面積を低減できる。したがって、カウンター2を自立状態で保持する際、支持部26や浴室の床面Fへの接触に伴う接触傷の発生を抑制できる。この結果、着脱可能なカウンター2を壁面Wから取り外した場合に、接触傷の発生を抑制できる。
【0055】
本実施形態に係るカウンター2によれば、カウンター2を自立可能とする支持部26が被係合部52側に設けられるため、カウンター2の使用状態では、支持部26は浴室の壁面W側に位置し、支持部26が外観上目立たない。また、カウンター2が自立状態で保持された際に被係合部52が床面F側に位置するため、自立状態において被係合部52が外観上目立たない。したがって、カウンター2を自立状態で見栄えよく保持できる。また、被係合部52側の外周側壁23(平坦部231)に支持部26が設けられるため、使用状態時も、当接部50,50により被係合部52が壁面W側のブラケット3(係合部)と接触する接触面積を低減でき、被係合部52またはブラケット3に接触傷が生じることを防止できる。
【0056】
本実施形態に係るカウンター2によれば、支持部26から外方に向かって突出する突起により当接部50,50が構成されるため、浴室の床面Fと支持部26との接触面積を低減できる。この結果、カウンター2を自立状態で保持する際、支持部26や浴室の床面Fへの接触に伴う傷の発生を抑制できる。
【0057】
本発明に係る浴室カウンターは上記実施形態の構成に限定されない。図9に、第一変形例のカウンター2Aの側面図を示す。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成には実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。第一変形例のカウンター2Aは、支持部及び当接部の構成が上記実施形態と異なる例である。
【0058】
第一変形例のカウンター2Aは、外周側壁23の平坦部231Aの上下方向の寸法(厚さ)が大きく、平坦部231Aでカウンター2Aが床面Fに支持される例である。平坦部231は、微細な凹凸が形成されるシボ加工が施されており、シボ加工面が当接部50Aを構成する。シボ加工が施されることにより、平坦部231Aの床面Fとの接触面積が低減される。本変形例のカウンター2Aのように、平坦部231Aの面積を広く確保し、平坦部231Aでカウンター2Aが床面Fに支持される場合、平坦部231Aにシボ加工を施した当接部50Aを備えることにより、上記実施形態と同様に、カウンター2を自立状態で保持する際、支持部26や浴室の床面Fへの接触に伴う傷の発生を抑制できる。
【0059】
図10に第二変形例のカウンター2Bの自立状態の側面図を示す。本変形例のカウンター2Bは、第一変形例のカウンター2Aと同様に外周側壁23の平坦部231Bの上下方向の寸法(厚さ)が大きく、平坦部231Bでカウンター2Bが床面Fに支持される例である。本変形例では、平坦部231Bに2本の線接触面50B,50Bが形成されている。線接触面50B,50Bは、カウンター2Bの幅方向に平行に線状に延びて形成されている。線接触面50B,50Bは、平坦部231Bよりも外方に突出している。すなわち、カウンター2Bの自立状態では、線接触面50B,50B間の平坦部231Bは、床面Fから僅かに離間した状態で床面Fに対向する。
【0060】
本変形例のカウンター2Bのように、外周側壁23の平坦部231Bに当接部として2本の線接触面50B,50Bを形成することにより、カウンター2Bの支持部26と浴室の床面Fとが線接触可能であり、支持部26の接触面積を低減できる。この結果、カウンター2Bを自立状態で保持する際、支持部26や浴室の床面Fへの接触に伴う傷の発生を抑制できる。
【0061】
上述の各種当接部の構成は組み合わせて適用可能である。図11に示す第三変形例のカウンター2Cの自立状態の側面図を示す。例えば、図11に示すカウンター2Cのように、外周側壁23に線接触面50B,50Bを形成し、かつ、第二側壁58に突起50,50を形成し、当接部が線接触面50B,50B及び突起50,50を備える構成であってもよい。
【0062】
本発明に係るカウンターが浴室の壁部に着脱可能に取り付けられる態様は、上述の実施形態及び変形例で示したブラケット3及び被係合部52による係合構造に限定されない。浴室カウンターがブラケットに着脱可能に係合される公知の係合構造を備えてもよく、カウンターの支持部及び当接部を備え、載置面が水平方向に向いた状態で支持部を浴室の床上に支持することで自立可能に構成を備えていればよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
2,2A,2B,2C 浴室カウンター
41 天板(載置面)
23 外周側壁(外周縁部、支持部)
231,231A,231B 平坦部(支持部)
26 支持部
50 当接部
52 被係合部
50A シボ加工面(当接部)
50B 線接触面(当接部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11