(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】浴室カウンター構造
(51)【国際特許分類】
A47K 4/00 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A47K4/00
(21)【出願番号】P 2018163349
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 美紀子
(72)【発明者】
【氏名】井口 隆磨
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-154089(JP,U)
【文献】特開2018-099396(JP,A)
【文献】特開2002-276174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
E04H 1/12
A47B 96/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の壁面に固定されたブラケットと、
前記ブラケットに着脱可能な浴室カウンター
と、
前記ブラケットに装着された前記浴室カウンターが、幅方向のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向の回転を規制する第一回転規制機構と、を有し、
前記浴室カウンターは、前記ブラケットに対して一方向に移動して装着さ
れ、
前記ブラケットは、前記浴室の壁面に設けられた水栓の下に配置され、
前記ブラケットの奥行き方向の長さは、前記水栓の奥行き方向の長さよりも短いことを特徴とする浴室カウンター構造。
【請求項2】
前記浴室カウンターは、前記ブラケットに対して上方から下方に向かって移動して装着されることを特徴とする請求項1に記載の浴室カウンター構造。
【請求項3】
前記第一回転規制機構は、前記ブラケットに設けられ上下方向に貫通する第一係合孔と、
前記浴室カウンターに設けられ、前記第一係合孔に上方から挿入される第一凸部と、を有し、
前記第一凸部は、左右方向の両側の側面が前記第一係合孔の内周面と当接または近接している
請求項1または2に記載の浴室カウンター構造。
【請求項4】
前記ブラケットに装着された前記浴室カウンターが、奥行き方向の手前側および奥側のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向の回転を規制する第二回転規制機構を有する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の浴室カウンター構造。
【請求項5】
前記第二回転規制機構は、前記ブラケットに設けられ上下方向に貫通する第二係合孔と、
前記浴室カウンターに設けられ、前記第二係合孔に上方から挿入される第二凸部と、を有し、
前記第二凸部の下端部は前記第二係合孔よりも下側に位置し、
前記第二凸部の奥行き方向の奥側の側面が前記第二係合孔の内周面と当接または近接している
請求項4に記載の浴室カウンター構造。
【請求項6】
前記第二回転規制機構は、前記ブラケットに設けられ前記第二係合孔よりも奥行き方向の奥側かつ上側において上方に突出する第三凸部と、
前記浴室カウンターに前記第二凸部の基端部よりも上側に設けられ下方に開口し前記第三凸部が下側から挿入される挿入溝と、を有する
請求項5に記載の浴室カウンター構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室カウンター構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内の壁面には、石鹸、洗面器等、浴室で使用する物品を載置する浴室カウンターが取り付けられている。このような浴室カウンターとして、浴室の壁面に固定されたブラケットに着脱可能な浴室カウンターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された浴室カウンターをブラケットに着脱させる際には、浴室カウンターをブラケットに対して横方向にスライドさせている。浴室カウンターをブラケットに取り付ける際には、浴室カウンターをブラケットに対して横方向にスライドさせて所定の位置に配置し、浴室カウンターの横方向の移動を規制するロックスペーサを浴室カウンターの側方に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された浴室カウンターでは、ブラケットへの着脱の際に、浴室カウンターを横方向へ移動させる操作、およびロックスペーサの着脱操作が必要となる。また、特許文献1に開示された浴室カウンターでは、浴室カウンターを横方向に移動させるための機構、およびロックスペーサを着脱する機構が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、浴室カウンターのブラケットへの着脱操作を容易に行うことができるとともに、浴室カウンターのブラケットへの着脱機構を簡便な構造とすることができる浴室カウンター構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る浴室カウンター構造は、浴室の壁面に固定されたブラケットと、前記ブラケットに着脱可能な浴室カウンターと、前記ブラケットに装着された前記浴室カウンターが、幅方向のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向の回転を規制する第一回転規制機構と、を有し、前記浴室カウンターは、前記ブラケットに対して一方向に移動して装着され、前記ブラケットは、前記浴室の壁面に設けられた水栓の下に配置され、前記ブラケットの奥行き方向の長さは、前記水栓の奥行き方向の長さよりも短いことを特徴とする。
【0007】
本発明では、浴室カウンターは、ブラケットに対して一方向に移動させて装着されることにより、浴室カウンターのブラケットへの着脱操作を容易に行うことができるとともに、浴室カウンターのブラケットへの着脱機構を簡便な構造とすることができる。
【0008】
また、本発明に係る浴室カウンター構造では、前記浴室カウンターは、前記ブラケットに対して上方から下方に向かって移動して装着されてもよい。
このような構成とすることにより、浴室カウンターのブラケットへの着脱操作を容易に行うことができる。
【0009】
また、本発明に係る浴室カウンター構造では、前記ブラケットに装着された前記浴室カウンターが、幅方向のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向の回転を規制する第一回転規制機構を有していてもよい。
このような構成とすることにより、浴室カウンターの幅方向の一方側に上方または下方に向かう外力が作用した場合でも、浴室カウンターが、幅方向のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向に回転してブラケットから外れることを防止することができる。
【0010】
また、本発明に係る浴室カウンター構造では、前記第一回転規制機構は、前記ブラケットに設けられ上下方向に貫通する第一係合孔と、前記浴室カウンターに設けられ、前記第一係合孔に上方から挿入される第一凸部と、を有し、前記第一凸部は、左右方向の両側の側面が前記第一係合孔の内周面と当接または近接していてもよい。
このような構成とすることにより、浴室カウンターの幅方向の一方側に上方または下方に向かう外力が作用した場合に、第一凸部の左右方向のいずれかの側面が第一係合孔の内周面と当接する。これにより、浴室カウンターが、幅方向のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向に回転することが防止され、ブラケットから外れることを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る浴室カウンター構造では、前記ブラケットに装着された前記浴室カウンターが、奥行き方向の手前側および奥側のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向の回転を規制する第二回転規制機構を有していてもよい。
このような構成とすることにより、浴室カウンターの奥行き方向の手前側または奥側に下方に向かう外力が作用した場合でも、浴室カウンターが、奥行き方向の手前側が下がり奥側が上がる方向、または奥行き方向の奥側が下がり手前側が上がる方向に回転してブラケットから外れることを防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る浴室カウンター構造では、前記第二回転規制機構は、前記ブラケットに設けられ上下方向に貫通する第二係合孔と、前記浴室カウンターに設けられ、前記第二係合孔に上方から挿入される第二凸部と、を有し、前記第二凸部の下端部は前記第二係合孔よりも下側に位置し、前記第二凸部の奥行き方向の奥側の側面が前記第二係合孔の内周面と当接または近接していてもよい。
このような構成とすることにより、浴室カウンターの奥行き方向の手前側に下方に向かう外力が作用した場合に、第二凸部の奥行き方向の奥側の側面が第二係合孔の内周面と当接する。これにより、浴室カウンターが、奥行き方向の手前側が下がる方向に回転することが防止され、ブラケットから外れることを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る浴室カウンター構造では、前記第二回転規制機構は、前記ブラケットに設けられ前記第二係合孔よりも奥行き方向の奥側かつ上側において上方に突出する第三凸部と、前記浴室カウンターに前記第二凸部の基端部よりも上側に設けられ下方に開口し前記第三凸部が下側から挿入される挿入溝と、を有していてもよい。
このような構成とすることにより、浴室カウンターの奥行き方向の手前側に下方に向かう外力が作用した場合に、第三凸部の周面が挿入溝の内周面と当接する。これにより、浴室カウンターが、奥行き方向の手前側が下がる方向に回転することが防止され、ブラケットから外れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、浴室カウンターのブラケットへの着脱操作を容易に行うことができるとともに、浴室カウンターのブラケットへの着脱機構を簡便な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による浴室カウンター構造を用いた浴室ユニットの一例で、カウンターが使用状態である様子を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による浴室カウンター構造を用いた浴室ユニットの一例で、カウンターが収納状態である様子を示す図である。
【
図11】
図6のF部分説明する図で化粧パネルを省略した図である。
【
図14】突出部材が凹部に入り込んだ様子を示す図である。
【
図15】カウンターを使用状態に取り付ける様子を説明する斜視図である。
【
図16】カウンターを使用状態に取り付けた様子を説明する断面図である。
【
図17】カウンターを使用状態に取り付けた様子を説明する断面図である。
【
図18】カウンターを使用状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【
図19】
図18に続くカウンターを使用状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【
図20】
図19に続くカウンターを使用状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【
図21】
図20に続くカウンターを使用状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【
図22】カウンターを収納状態に取り付ける様子を説明する斜視図である。
【
図23】カウンターを収納状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【
図24】
図23に続くカウンターを使用状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【
図25】
図24に続くカウンターを使用状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【
図26】
図25に続くカウンターを使用状態に取り付ける際の突出部材と第一被係合凸部とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による浴室カウンター構造について、
図1-
図26に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る浴室カウンター構造1は、浴室空間BRの第一壁部103に対して着脱可能に構成された浴室カウンター2の構造であり、物品を載置可能な浴室カウンター2と、第一壁部103に固定され浴室カウンター2が着脱可能なブラケット3と、を有している。浴室カウンター2は、ブラケット3を介して第一壁部103に対して着脱可能に構成されている。
以下では、浴室カウンター構造1を用いた浴室ユニット100を例に説明する。なお、浴室カウンター構造1は浴室ユニット100に限らず、在来工法により施工された浴室においても適用可能である。
【0017】
浴室ユニット100は、建物の躯体内にフレームとパネルとを用いて、床、壁、天井及び浴槽等を組み立てて設置される。浴室ユニット100内に形成される浴室空間BR(浴室)には外枠形状が平面視で略長方形の浴槽101と、平面視略矩形であり、浴槽101と壁との間の床部を構成する洗い場(床面)102と、が設けられている。浴槽101の洗い場102との境界部分となる端部には、浴槽101の側面を覆うエプロン105が設けられ、洗い場102と浴槽101とは、エプロン105を介して接続されている。浴室空間BRは、四方に立設された複数の壁部により形成されている。
【0018】
本実施形態では、浴室ユニット100の複数の壁部のうち、シャワー器具109、水栓110、シャワーホルダ107が設けられた壁を第一壁部103と称する。また、浴槽101のエプロン105の表面は、第一壁部103と直交して配置されている。
【0019】
以下の説明において、第一壁部103の壁面に沿った水平方向を幅方向、幅方向に直交する水平方向を奥行方向とする。奥行方向のうち第一壁部103に近接する方向を奥行方向の奥側とし、第一壁部103と離間する方向を奥行方向の手前側とする。第一壁部103の幅方向のうち、使用者が第一壁部103に向かって立つ場合の左右をそれぞれ右側、左側と称する。本実施形態では、幅方向の左側に浴槽101が配置され、右側に洗い場102が配置されている。
【0020】
浴室カウンター2は、平板状に形成され、一方の面が物品を載置可能な載置面41となっている。本実施形態では、浴室カウンター2は、載置面41が上方を向く第一姿勢でブラケット3に装着可能であるとともに、
図2に示すように、載置面41が奥行き方向の奥側を向く第二姿勢でブラケット3に装着可能に構成されている。浴室カウンター2の他方の面(載置面41と反対側の面)を裏面51とする。
図1に示すような、浴室カウンター2が第一姿勢でブラケット3に装着されている状態を使用状態とし、
図2に示すような浴室カウンター2が第二姿勢でブラケット3に装着されている状態を収納状態とする。浴室カウンター2は、使用状態となると載置面41に物品を載置して使用でき、収納状態となると第一壁部103に沿って配置され、使用状態と比べて第一壁部103からの突出寸法が小さくなる。
【0021】
図3および
図4に示すように、浴室カウンター2は、第一姿勢となると上側に配置され載置面41が形成された天板部材4と、下側に配置され裏面51が形成された底板部材5と、を有し、天板部材4と底板部材5とが接合されて構成されている。天板部材4および底板部材5は、それぞれ樹脂材料により形成されている。
【0022】
浴室カウンター2は、厚さ方向から見た平面視における形状が幅方向に長尺となる略長方形であり、4つの角部が円弧形状に形成されている。天板部材4と底板部材5とは外周縁部同士が接合されている。浴室カウンター2の外周縁部には、厚さ方向(上下方向)に厚みを有する外周側壁部23が形成されている。外周側壁部23は、略平面状の壁部である。
【0023】
図1に示すように、浴室カウンター2は、使用状態では、2つの長辺端部21,22のうちの一方の長辺端部側がブラケット3に係合され、他方の長辺端部側が第一壁部103よりも手前側に向かって突出している。2つの長辺端部21,22のうち、使用状態において手前側に位置する長辺端部を第一長辺端部21と称し、ブラケット3と係合される側の長辺端部を第二長辺端部22と称する。
図2に示すように、収納状態の浴室カウンター2は、第一長辺端部21が上側となり、第二長辺端部22が下側となる向きでブラケット3に係合される。
【0024】
図3-
図5に示すように、浴室カウンター2には、厚さ方向に貫通する排水口24が形成されている。排水口24は、第一長辺端部21の近傍であって、第一長辺端部21よりも奥側に形成され、第一長辺端部21と略平行に延びる長孔である。排水口24の幅方向の両端部は、幅方向の外側(幅方向の中央から左右に向かう側)に突出するように湾曲する円弧形状に形成されている。幅方向の端部側から中央に向かう側を幅方向の内側とする。
【0025】
浴室カウンター2の載置面41は、扁平に形成されている。載置面41は、浴室カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって僅かに下降傾斜している。すなわち、浴室カウンター2が第一姿勢となると、載置面41は、排水口24の縁部の高さが最も低く、浴室カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって緩やかに下降傾斜している。ただし、載置面41の傾斜角度は、載置面41上の水が排水口24に向かって流れ、物品を載置した際に、物品が自重で傾斜に沿って移動しない程度の僅かな傾斜である。
【0026】
浴室カウンター2の裏面51は、幅方向(長辺方向)の中央部において、第一長辺端部21から第二長辺端部22に向かって下方に傾斜している。
【0027】
図4-
図6に示すように、浴室カウンター2は、裏面51の第二長辺端部22側の領域に使用状態でブラケット3に係合される第一被係止部52を備える。第一被係止部52は、第二長辺端部22の幅方向の略中央部、かつ第二長辺端部22側の外周側壁部23より下方に形成されている。第一被係止部52は、内側凹部55と、外側凹部56と、突条部(第一凸部、第二凸部)53と、挿入溝54とを備える。以下の第一被係止部52の説明では、浴室カウンター2が第一姿勢であるものとする。
内側凹部55と外側凹部56とは連続して設けられていて、内側凹部55の奥行き方向の奥側に外側凹部56が配置されている。
【0028】
内側凹部55は、浴室カウンター2の裏面51の幅方向の略中央部に略矩形に形成された凹部である。内側凹部55は、下方および奥行き方向の奥側に開口している。
内側凹部55の幅方向の両側には、内側凹部55側の面が幅方向の内側を向く一対の側壁部551,551が配置されている。内側凹部55の奥行き方向の手前側には、内側凹部55側の面が奥行き方向の奥側を向く手前側壁部552が配置されている。内側凹部55の上側には、内側凹部55側の面が下側を向く底部553が配置されている。内側凹部55は、一対の側壁部551,551、手前側壁部552および底部553に囲まれて形成されている。
【0029】
内側凹部55の幅方向の長さは、排水口24の幅方向の長さと略等しい。各側壁部551,551には、第一被係止凸部57,57が設けられている。第一被係止凸部57,57は、それぞれ幅方向の中央側に向かって突出し、かつ奥行方向に延びる長尺な突起である。
【0030】
内側凹部55の第二長辺端部22側の端部に、突条部53が形成されている。突条部53は、略直方体形状であり、内側凹部55の底部553から下方に突出して形成されている。突条部53は、内側凹部55の一対の側壁部551,551、および手前側壁部552と離間している。
【0031】
外側凹部56は、内側凹部55と第二長辺端部22との間に形成された凹部である。外側凹部56は、幅方向に長尺な略矩形の凹部である。外側凹部56は、内側凹部55よりも幅方向の開口寸法が長い。
【0032】
外側凹部56の幅方向の両側には、外側凹部56側の面が幅方向の内側を向く一対の側壁部562,562が配置されている。一対の側壁部562,562には、幅方向の外側に窪むスリット563,563がそれぞれ形成されている。
外側凹部56の上側には、外側凹部56側の面が下側を向く底部561が配置されている。
外側凹部56の奥行き方向の奥側には、幅方向の中間部に突条部53の奥行き方向の奥側に設けられた奥側壁部531が配置されているとともに、幅方向の両端部近傍それぞれに外側凹部56側の面が奥行き方向の奥側を向く手前側壁部564,564が配置されている。突条部53の奥側壁部531と、手前側壁部564,564とは幅方向に離間している。
外側凹部56は、一対の側壁部562,562、底部561、突条部53の奥側壁部531、および手前側壁部564,564、に囲まれて形成されている。
手前側壁部564,564は、内側凹部55の側壁部551,551の奥行き方向の奥側の端部から幅方向の外側に延び、外側凹部56の側壁部562,562の奥行き方向の手前側の端部に達している。
【0033】
挿入溝54は、外側凹部56の底部561の幅方向の中央部に、上方に向かって窪んで形成されている。挿入溝54は、突条部53と隣接する位置に形成されている。挿入溝54の底部の左右方向の端部近傍は、それぞれ幅方向の内側から外側に向かって漸次下側に傾斜している。
【0034】
また、浴室カウンター2は、収納状態でブラケット3に係合される第二被係止部58を備える。第二被係止部58は、排水口24と、
図3および
図7に示す排水口24の周面における幅方向の両側それぞれの下部側に、排水口24の内側に突出する第二被係止凸部581と、を有している。
【0035】
図8に示すブラケット3は、樹脂部材により形成され、ネジなどの固定具(不図示)で第一壁部103に固定されている。ブラケット3は、第一壁部103(
図1および
図2参照)に沿って設けられるベース体31と、ベース体31から奥行き方向の手前側に突出するアーム部32とを備える。ベース体31とアーム部32とは、一体に成形されていてもよいし、それぞれ別に成形され接合されていてもよい。
【0036】
図8-
図10に示すように、ベース体31は、幅方向に長尺な部材であり、奥行き方向の奥側を向く裏面311が第一壁部103と対向する状態で第一壁部103に固定されている。ベース体31における奥行き方向の手前側に配置され、奥行き方向の手前側を向く面を有する表面部312は、上部側312aが上下方向に延びる平面形状であり、下部側312bが下端側に向かって次第に奥行方向の厚みが薄くなるようにわずかに傾斜する傾斜面が形成されている。ベース体31の表面部312の幅方向の両端部は、ベース体31より幅方向の外側に僅かに突出する突出縁315,315を有する。
ベース体31の幅方向の寸法は、浴室カウンター2の外側凹部56の幅方向の寸法よりも僅かに小さい。
【0037】
アーム部32は、平面視で奥行き方向の奥側に開口する略U字形状に形成され、表面部312から手前側に向かって略水平方向に突出して設けられている。
アーム部32の幅寸法は、浴室カウンター2の内側凹部55の一対の側壁部551,551間の距離よりも僅かに小さく設定されている。
アーム部32は、幅方向に離間する2つの基部321,321がベース体31の表面部312から手前側に突出し、各基部321,321の手前側の端部間にバー322が架設されている。
バー322は、表面部312と略平行に延設されている。バー322の手前側の端面は長楕円形状に開口する形成されている。基部321,321およびバー322の手前側の端面には、化粧パネル323が取り付けられている。
【0038】
アーム部32と、ベース体31の表面部312との間には、係合孔(第一係合孔、第二係合孔)33が形成されている。係合孔33は上下方向に貫通している。係合孔33には、浴室カウンター2の突条部53が挿通される。係合孔33の平面視内周形状は、浴室カウンター2の突条部53(
図4参照)の平面視外周形状と相似している。
【0039】
ベース体31の上面における奥行き方向の手前側の縁部には、幅方向の中間部に上方に突出する突出壁(第三凸部)314が形成されている。突出壁314は、係合孔33の上方に形成され、係合孔33と幅方向の寸法がほぼ同じ寸法となっている。突出壁314の上縁部の左右方向の端部近傍は、幅方向の内側から外側に向かって漸次下側に傾斜している。突出壁314の上縁部の形状は、浴室カウンター2の挿入溝54(
図4参照)の底部の形状と相似している。
【0040】
図8および
図11に示すように、各基部321,321の幅方向の外側の端部には、幅方向の外側に開口する凹部(孔部)341が形成されている。凹部341には、突出部材342が収容されている。
図11では、化粧パネル323を省略し、右側の基部321について示している。凹部341に収容された突出部材342は、板ばね343によって幅方向の外側に付勢されている。
図12および
図13に示すように、突出部材342は、基部321(
図11参照)から突出する突出部(係止凸部)344と、突出部344と一体に形成され、凹部341の内部に収容され板ばね343が当接する板ばね当接部345と、を有している。突出部344の先端部分には、基端側から先端側に向かって先細りとなるテーパー面344aが全周にわたって形成されている。
【0041】
図11に示すように、突出部材342は、板ばね343によって幅方向の外側に付勢されると、突出部344が基部321から突出した状態に維持されている。
図14に示すように、突出部材342は、幅方向の内側に押されると、突出部344まで基部321の凹部341に入り込んだ状態となる。突出部材342は、幅方向の内側に押されて凹部341に入り込んだ状態となると、板ばね当接部345が板ばね343を幅方向の内側に押圧し、板ばね343を弾性変形させている。突出部材342の幅方向の内側への押圧が解除されると、板ばね343が復元され、
図11に示すように、突出部材342の突出部344が基部321から突出した状態となる。
【0042】
次に、浴室カウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。浴室カウンター2は、使用状態と収納状態でそれぞれブラケット3に係合可能に構成されている。
まず、使用状態における浴室カウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。
図15に示すように、浴室カウンター2を第一姿勢として載置面41を上方に向けて、裏面51の第一被係止部52をブラケット3に上方から近付け、突条部53を係合孔33に挿入し、挿入溝54(
図4-
図6参照)に突出壁314を挿入し、外側凹部56にベース体31を挿入する。
【0043】
突条部53はアーム部32の係合孔33の平面視形状と相似し、内側凹部55の側壁部551,551間の距離はブラケット3のアーム部32の幅方向の寸法よりも僅かに大きいため、アーム部32と第一被係止部52とが係合する。このとき、
図16および
図17に示すように、アーム部の幅方向の内側の面が、突条部の幅方向の外側の面と当接または僅かな隙間をあけて近接する。
また、内側凹部55の手前側壁部552と突条部53とにより、アーム部32のバー322が挟持される。さらに、突条部53の奥側壁部531がブラケット3の表面部312に当接する。突条部53の下端部は、係合孔33(アーム部32のバー322)よりも下側に位置している。
外側凹部56にベース体31を挿入すると、外側凹部56一対の側壁部562,562に形成されたスリット563,563に、ベース体31から幅方向の外側に僅かに突出する突出縁315,315が挿入される。
【0044】
第一姿勢の浴室カウンター2がブラケット3に取り付けられる際には、
図18に示すように、浴室カウンター2の内側凹部55の各側壁部551,551に設けられた第一被係止凸部57,57がアーム部32の基部321,321から突出する突出部材342の突出部344に上方から近接し、
図19に示すように、第一被係止凸部57,57が突出部材342の突出部344に上方から当接する。突出部材342の突出部344は、先端部がテーパー面344aに形成されているため、突出部344のテーパー面344aに第一被係止凸部57が当接する。
【0045】
図18-
図21、および
図23-
図26では、右側の突出部材342、第一被係止凸部57,57および第二被係止凸部581を示している。また、
図18-
図21、および
図23-
図26では、突出部材342、第一被係止凸部57,57および第二被係止凸部581の移動をわかりやすくするため、浴室カウンター2およびブラケット3の断面形状をその断面における外形の形状としている。
【0046】
図20に示すように、第一被係止凸部57がさらに下側に移動することで、突出部材342が幅方向の内側に押される。これにより、板ばね343が幅方向の内側に押されて弾性変形し、突出部材342の突出部344が凹部341に挿入された状態となり、基部321から突出していない状態となる。
第一被係止凸部57が突出部材342を幅方向の内側に押圧した状態で、下側に移動し、
図21に示すように、第一被係止凸部57が突出部344の下側に配置されると、突出部344の幅方向の内側への押圧が解除され。板ばね343が復元し、突出部344が基部321から突出した状態となる。
【0047】
一方、使用状態の浴室カウンター2をブラケット3から取り外す場合は、使用者が浴室カウンター2を把持しながら上方に持ち上げると、第一被係止凸部57,57が突出部344を乗り越えて浴室カウンター2とブラケット3との係合が解除可能となり、浴室カウンター2をブラケット3から取り外すことができる。
【0048】
次に、収納状態における浴室カウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。
図22に示すように、浴室カウンター2を、第二姿勢とし、裏面51側をブラケット3に対向させる。このとき、第一長辺端部21が上側となるように配置し、排水口24をブラケット3のアーム部32に近付ける。排水口24の平面視開口形状は、アーム部32の正面視形状と相似し、排水口24の開口寸法がアーム部32の正面視形状よりもわずかに大きい。したがって、浴室カウンター2を裏面51側が第一壁部103と対向するようにして奥行方向に近付けると、排水口24内にアーム部32が挿入され、アーム部32が排水口24に係止される。
【0049】
第二姿勢の浴室カウンター2がブラケット3に取り付けられる際には、
図23に示すように、排水口24の内周部に形成された第二被係止凸部581がアーム部32の基部321,321から突出する突出部材342の突出部344に奥行き方向の手前側から近接し、
図24に示すように、第二被係止凸部581が突出部材342の突出部344に奥行き方向の手前側から当接する。
突出部材342の突出部344は、先端部がテーパー面344aに形成されているため、突出部344のテーパー面344aに第二被係止凸部581が当接する。
【0050】
図25に示すように、第二被係止凸部581がさらに奥行き方向の奥側に移動することで、突出部材342が幅方向の内側に押される。これにより、板ばね343が幅方向の内側に押されて弾性変形し、突出部材342の突出部344が凹部341に挿入された状態となり、基部321から突出していない状態となる。
第二被係止凸部581が突出部材342を幅方向の内側に押圧した状態で、奥行き方向の奥側に移動し、
図26に示すように、第二被係止凸部581が突出部344の奥行き方向の奥側に配置されると、突出部344の幅方向の内側への押圧が解除され。板ばね343が復元し、突出部344が基部321から突出した状態となる。
【0051】
この結果、浴室カウンター2は、アーム部32に係止された状態で下垂して支持され、浴室カウンター2がブラケット3に収納状態で保持される。なお、浴室カウンター2の裏面51の第二長辺端部22側の端部領域が第一壁部103に当接するように構成すると、浴室カウンター2が上下方向の2か所で第一壁部103に支持されるため、浴室カウンター2が収納状態で安定的に保持される。
【0052】
図22に示すように、収納状態では、浴室カウンター2の載置面41とブラケット3のアーム部32とが上下方向に略面一な状態で配置される。この結果、収納状態において、洗い場102における浴室カウンター2の占有スペースを抑えることができ、洗い場102(
図2参照)を広く使用できる。
【0053】
一方、収納状態の浴室カウンター2をブラケット3から取り外す場合は、使用者が浴室カウンター2を把持しながら奥行き方向の手前側に移動させると、第二被係止凸部581が突出部344を乗り越えて浴室カウンター2とブラケット3との係合が解除可能となり、浴室カウンター2をブラケット3から取り外すことができる。
【0054】
次に、上述した本実施形態による浴室カウンター構造1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による浴室カウンター構造1では、浴室カウンター2は、ブラケット3に対して上方から下方に向かう一方向に移動して取り付けられることにより、浴室カウンター2のブラケット3への着脱操作を容易に行うことができるとともに、浴室カウンター2のブラケット3への着脱機構を簡便な構造とすることができる。
本実施形態による浴室カウンター構造1では、浴室カウンター2をブラケット3に対して使用状態に取り付ける場合も、収納状態に取り付ける場合も浴室カウンター2をブラケット3に対して一方向に移動させることで取り付けることができる。
【0055】
また、本実施形態による浴室カウンター構造1では、ブラケット3に設けられ上下方向に貫通する係合孔33と、浴室カウンター2に設けられ、係合孔33に上方から挿入される突条部33と、を有し、突条部33は、左右方向の両側の側面が係合孔33の内周面と当接または近接している(第一回転規制機構)。
このような構成とすることにより、浴室カウンターの幅方向の一方側に上方または下方に向かう外力が作用した場合に、突条部33の左右方向のいずれかの側面が係合孔33の内周面と当接する。これにより、浴室カウンター2が、幅方向のいずれか一方側が下がり、他方側が上がる方向に回転することが防止され、ブラケット3から外れることを防止することができる。
【0056】
また、本実施形態による浴室カウンター構造1では、突条部33の下端部は係合孔33よりも下側に位置し、突条部33の奥行き方向の奥側の側面が係合孔33の内周面と当接または近接している(第二回転規制機構)。
このような構成とすることにより、例えば、浴室カウンター2の奥行き方向の手前側に使用者が手をついたり、物品を置いたりして浴室カウンター2の奥行き方向の手前側に下方に向かう外力が作用した場合に、突条部33の奥行き方向の奥側の側面が係合孔33の内周面と当接する。これにより、浴室カウンター2が、奥行き方向の手前側が下がり、奥側が上がる方向に回転することが防止され、ブラケット3から外れることを防止することができる。また、例えば、浴室カウンター2の奥行き方向の奥側に使用者が手をついたり、物品を置いたり、浴室カウンター2の奥行き方向の手前側に下側から人や物が当たったりして浴室カウンター2の奥行き方向の奥側に下方に向かう外力が作用した場合に、突条部33の奥行き方向の手前側の側面が係合孔33の内周面と当接する。これにより、浴室カウンター2が、奥行き方向の奥側が下がり、手間側が上がる方向に回転することが防止され、ブラケット3から外れることを防止することができる。
【0057】
また、本実施形態による浴室カウンター構造1では、ブラケットに設けられ係合孔33よりも奥行き方向の奥側かつ上側において上方に突出する突出壁314と、浴室カウンター2に突条部33の基端部よりも上側に設けられ下方に開口し突出壁314が下側から挿入される挿入溝54と、を有している(第二回転規制機構)。
このような構成とすることにより、浴室カウンター2の奥行き方向の手前側に下方に向かう外力が作用した場合に、突出壁314部の周面が挿入溝54の内周面と当接する。これにより、浴室カウンター2が、奥行き方向の手前側が下がる方向に回転することが防止され、ブラケット3から外れることを防止することができる。
【0058】
以上、本発明によるカウンター構造の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、例えば、上記の実施形態では、浴室カウンター2は、第一姿勢および第二姿勢の両方でブラケット3に取り付け可能に構成されているが、使用状態となる第一姿勢のみでブラケット3に取り付け可能に構成されていてもよい。
また、浴室カウンター2を使用状態でブラケット3に取り付ける際に、浴室カウンターを上方から下方に向かって移動させてブラケット3に取り付けているが、奥行き方向の手前側から奥側に移動させてブラケット3に取り付けてもよいし、幅方向に移動させてブラケット3に取り付けてもよい。
また、上記の実施形態では、第一回転規制機構および第二回転規制機構が設けられているが、これらのいずれか一方または両方が設けられていなくてもよい。また、第一回転規制機構および第二回転規制機構の形態は、上記の形態以外でもよく、適宜設定されてよい。
【符号の説明】
【0059】
1 浴室カウンター構造
2 浴室カウンター
3 ブラケット
33 係合孔(第一係合孔、第二係合孔)
53 突条部(第一凸部、第二凸部)
54 挿入溝
103 第一壁部(壁面)
314 突出壁(第三凸部)
BR 浴室空間(浴室)