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特許7158224半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20221014BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20221014BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G01R31/28 L
G01R31/26 G
H01L21/66 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018180647
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020051858
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100206966
【弁理士】
【氏名又は名称】崎山 翔一
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信介
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-008627(JP,A)
【文献】特開平09-145795(JP,A)
【文献】特開2012-222263(JP,A)
【文献】特開2009-300202(JP,A)
【文献】特開2000-208577(JP,A)
【文献】特開2010-103320(JP,A)
【文献】特開2004-327858(JP,A)
【文献】特開2015-032686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28、
31/30、
31/302、
31/316、
31/317、
31/3183、
31/3185、
31/319、
31/26、
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスに試験信号が入力されている間に光を照射する検査照射を前記半導体デバイスの被検査領域内に対して行い、前記検査照射に応じて前記半導体デバイスから出力された出力信号に基づくPass/Fail情報によって、前記半導体デバイスを検査する半導体デバイス検査方法であって、
前記試験信号が入力されている前記半導体デバイスの前記被検査領域内の少なくとも1つの箇所に前記検査照射を行う第1照射ステップと、
前記第1照射ステップの間に前記半導体デバイスから出力された前記出力信号に基づく前記Pass/Fail情報に基づいて、前記被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す第1の情報を出力する第1出力ステップと、
前記第1の情報に基づいて、前記被検査領域に対して前記検査照射をさらに行うか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで前記検査照射をさらに行うと判断された場合に、前記試験信号が入力されている前記半導体デバイスに対して、前記第1照射ステップにおいて前記検査照射が行われた箇所には前記検査照射を行わずに、前記第1照射ステップで前記検査照射が行われた箇所と異なる、前記被検査領域内の少なくとも1つの箇所に前記検査照射を行う第2照射ステップと、
前記第2照射ステップの間に前記半導体デバイスから出力された前記出力信号に基づく前記Pass/Fail情報に基づいて、前記被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す第2の情報を出力する第2出力ステップと、を含む、半導体デバイス検査方法。
【請求項2】
前記第1照射ステップの間に前記半導体デバイスから出力された前記出力信号に基づいて、前記被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す前記被検査領域の二次元画像を生成する画像生成ステップを更に含む、請求項1に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項3】
前記第1照射ステップでは、前記被検査領域内で第1の走査を行い、前記第1の走査において前記検査照射を行い、
前記第2照射ステップでは、前記被検査領域内で前記第1の走査と走査範囲が重複する第2の走査を行い、前記第2の走査において前記検査照射を行う、請求項1又は2に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項4】
前記第1照射ステップ及び前記第2照射ステップの一方で前記検査照射が行われる箇所の1つは、他方で前記検査照射が行われる箇所の2つを通る線分を対角線又は直径とする領域内に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項5】
前記一方で前記検査照射が行われる箇所の1つは、前記他方で前記検査照射が行われる箇所の2つの間に位置する、請求項4に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項6】
前記第1照射ステップ及び前記第2照射ステップの一方で前記検査照射が行われる箇所の少なくとも2つは、他方で前記検査照射が行われる箇所の1つから等距離に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項7】
前記第1照射ステップで前記検査照射が行われる箇所の数は、前記第2照射ステップで前記検査照射が行われる箇所の数よりも少ない、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項8】
前記第1照射ステップ及び前記第2照射ステップの一方で前記検査照射が行われる箇所は、他方で前記検査照射が行われる箇所の少なくとも1つを通る直線によって前記半導体デバイスの前記被検査領域を四分割した複数の領域の各々に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項9】
前記第1照射ステップ及び前記第2照射ステップの少なくとも一方において前記検査照射が行われる複数の箇所は、互いに等間隔で位置している、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項10】
前記第2の情報に基づいて前記検査照射をさらに行うと判断された場合に、前記試験信号が入力されている前記半導体デバイスに対して、前記第1照射ステップ及び前記第2照射ステップで前記検査照射が行われた箇所と異なる、前記被検査領域内の少なくとも1つの箇所に前記検査照射をさらに行う第3照射ステップと、
前記第3照射ステップの間に前記半導体デバイスから出力された前記出力信号に基づいて前記被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す第3の情報を出力する第3出力ステップと、をさらに含み、
前記第3照射ステップで前記検査照射が行われる箇所の少なくとも1つは、前記第1照射ステップで前記検査照射が行われた箇所の1つと前記第2照射ステップで前記検査照射が行われた箇所の1つとの間に位置する、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体デバイス検査方法。
【請求項11】
半導体デバイスに試験信号が入力されている間に光を照射する検査照射を前記半導体デバイスの被検査領域内に対して行い、前記検査照射に応じて前記半導体デバイスから出力された出力信号に基づくPass/Fail情報によって、前記半導体デバイスを検査するための半導体デバイス検査装置であって、
前記被検査領域に対して光を照射する光照射部と、
前記光照射部に前記検査照射を実行させる照射箇所として前記被検査領域内の少なくとも1つの箇所を設定する照射箇所設定部と、
前記試験信号が入力されている前記半導体デバイスに対して、前記照射箇所設定部で設定された前記照射箇所に前記検査照射が行われるように前記光照射部を制御する照射制御部と、
前記照射箇所設定部で設定された前記照射箇所に対して前記光照射部によって前記検査照射が行われている間に前記半導体デバイスから出力された前記出力信号に基づく前記Pass/Fail情報に基づいて、前記被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す情報を出力する解析部と、
前記解析部から前記情報が出力された後に、前記光照射部によって前記被検査領域に対して前記検査照射をさらに行うか否かを判断する走査判断部とを備え、
前記走査判断部で前記検査照射をさらに行うと判断された場合に、
前記照射箇所設定部は、既に前記照射箇所として設定され且つ光が照射された箇所と異なる前記被検査領域内の少なくとも1つの箇所を前記照射箇所として新たに設定し、
前記照射制御部は、既に光が照射された箇所には前記検査照射を行わずに、前記照射箇所設定部で新たに設定された前記照射箇所に前記検査照射が行われるように前記光照射部を制御する、半導体デバイス検査装置。
【請求項12】
前記解析部は、前記照射箇所設定部で設定された前記照射箇所に対して前記光照射部によって前記検査照射が行われている間に前記半導体デバイスから出力された前記出力信号に基づいて、前記被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す前記被検査領域の二次元画像を生成し、生成された当該二次元画像を前記情報として出力する、請求項11に記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項13】
前記照射制御部は、前記光照射部に、前記被検査領域を走査させ、当該走査において前記照射箇所設定部で設定された前記照射箇所に前記検査照射を実行させ、
前記走査判断部で前記検査照射をさらに行うと判断された場合、前記光照射部に、既に走査が行われた範囲と重複する範囲を走査させ、当該走査において前記新たに設定された照射箇所に前記検査照射を実行させるように、制御する、請求項11又は12に記載の半導体デバイス検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの欠陥箇所を検査する半導体デバイス検査装置が知られている(たとえば、特許文献1)。特許文献1に記載の半導体デバイス検査装置は、試験信号が入力されている半導体デバイスに対して光の走査を行う。当該試験信号は、所定パターンを有する。半導体デバイス検査装置では、この際に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて、半導体デバイスの欠陥箇所の検査が行われる。半導体デバイスに対する光の走査では、試験信号の所定周期に同期して半導体デバイスの被検査領域の複数箇所に光が照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-300202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の半導体デバイス検査装置では、半導体デバイスへの試験信号の所定パターンが入力されている間に被検査領域の1箇所に光が照射される。このため、被検査領域の全体において欠陥箇所を検査するには、試験信号のパターンの周期に光を照射する照射箇所の数を乗じることで得られた時間を要する。特許文献1では、欠陥箇所の検査に要する時間を短縮するために、被検査領域内において光の照射箇所の間隔が広げられている。これによって照射箇所の数が削減されるため、被検査領域の全体の検査に要する時間が短縮される。照射箇所の間隔が広がるほど、欠陥箇所の検査に要する時間が短縮される。
【0005】
しかしながら、被検査領域における照射箇所の間隔が広がれば、被検査領域における欠陥箇所を見落とすおそれがある。このため、欠陥箇所の検査に要する時間を短縮しつつ検査の正確性を確保するには、検査対象とする半導体デバイスの構成ごとに適した値に照射箇所の間隔を設定することが求められる。
【0006】
本発明の一つの態様は、半導体デバイスの検査について、検査の正確性が確保されながら、検査に要する時間の短縮が容易に図られる半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様に係る半導体デバイス検査方法は、半導体デバイスに試験信号が入力されている間に光を照射する検査照射を半導体デバイスの被検査領域内に対して行い、検査照射に応じて半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて半導体デバイスを検査する。当該半導体デバイス検査方法は、第1照射ステップと、第1出力ステップと、判断ステップと、第2照射ステップと、第2出力ステップとを含む。第1照射ステップでは、試験信号が入力されている半導体デバイスの被検査領域内の少なくとも1つの箇所に検査照射が行われる。第1出力ステップでは、第1照射ステップの間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す第1の情報が出力される。判断ステップでは、第1の情報に基づいて、被検査領域に対して検査照射をさらに行うか否かが判断される。第2照射ステップでは、判断ステップで検査照射をさらに行うと判断された場合に、試験信号が入力されている半導体デバイスに対して、第1照射ステップで検査照射が行われた箇所と異なる、被検査領域内の少なくとも1つの箇所に検査照射が行われる。第2出力ステップでは、第2照射ステップの間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す第2の情報が出力される。
【0008】
上記一つの態様では、第1照射ステップにおいて、被検査領域内の少なくとも1つの箇所に検査照射を行う。第2照射ステップにおいて、第1照射ステップで検査照射が行われた箇所と異なる被検査領域内の箇所に検査照射が行われる。このため、第1照射ステップに基づく第1の情報から欠陥箇所の情報が抜けていたとしても、第2照射ステップに基づく第2の情報によって欠陥箇所が検出される。この場合、第1照射ステップにおける照射箇所の位置によらず、検査の正確性が確保される。当該検査方法では、第1出力ステップで被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す第1の情報が出力され、当該第1の情報に基づいて第2照射ステップを行うか否かの判断が行われる。このため、第1の情報に基づく検査に応じて欠陥箇所が検出された場合に、欠陥箇所の検出までに光を照射する照射箇所の数が低減される。この場合、大幅に検査に要する時間が短縮される。すなわち、上記半導体デバイス検査方法では、検査の正確性が確保されながら、検査に要する時間の短縮が容易に図られる。
【0009】
上記一つの態様では、画像生成ステップをさらに含んでもよい。画像生成ステップでは、第1照射ステップの間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて、被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す被検査領域の二次元画像が生成されてもよい。この場合、欠陥箇所が存在するか否かを示す二次元画像が第1照射ステップの間の出力信号に基づいて生成されるため、ユーザは当該画像を見ることで第2照射ステップを行うか否かを容易に判断できる。
【0010】
上記一つの態様では、第1照射ステップでは、被検査領域内で第1の走査が行われ、第1の走査において検査照射が行われてもよい。第2照射ステップでは、被検査領域内で第1の走査と走査範囲が重複する第2の走査が行われ、第2の走査において検査照射が行われてもよい。この場合、第1照射ステップと第2照射ステップとの走査範囲が重複しているため、検査の正確性がさらに容易に確保される。
【0011】
上記一つの態様では、第1照射ステップ及び第2照射ステップの一方で検査照射が行われる箇所の1つは、他方で検査照射が行われる箇所の2つを通る線分を対角線又は直径とする領域内に位置していてもよい。光を照射した位置から検出可能な範囲を把握するのは困難である。当該検査方法によれば、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置される。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制される。このため、欠陥箇所を検出可能な範囲の重複が抑制されれば、検査に要する時間がさらに短縮され得る。
【0012】
上記一つの態様では、一方で検査照射が行われる箇所の1つは、他方で検査照射が行われる箇所の2つの間に位置していてもよい。この場合、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置される。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制される。
【0013】
上記一つの態様では、第1照射ステップ及び第2照射ステップの一方で検査照射が行われる箇所の少なくとも2つは、他方で検査照射が行われる箇所の1つから等距離に位置していてもよい。この場合、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置される。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制される。
【0014】
上記一つの態様では、第1照射ステップで検査照射が行われる箇所の数は、第2照射ステップで検査照射が行われる箇所の数よりも少なくてもよい。当該検査方法によれば、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲とが重複する場合に、検査に要する時間がより短縮され得る。
【0015】
上記一つの態様では、第1照射ステップ及び第2照射ステップの一方で検査照射が行われる箇所は、他方で検査照射が行われる箇所の少なくとも1つを通る直線によって半導体デバイスの被検査領域を四分割した複数の領域の各々に位置していてもよい。この場合、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置される。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制される。
【0016】
上記一つの態様では、第1照射ステップ及び第2照射ステップの少なくとも一方において検査照射が行われる複数の箇所は、互いに等間隔で位置していてもよい。この場合、第1照射ステップ及び第2照射ステップの少なくとも一方で光が照射される箇所がバランスよく配置される。このため、欠陥箇所を検出可能な範囲の重複が抑制される。
【0017】
上記一つの態様では、第3照射ステップと第3出力ステップをさらに含んでもよい。第3照射ステップでは、第2の情報に基づいて検査照射をさらに行うと判断された場合に、試験信号が入力されている半導体デバイスに対して、第1照射ステップ及び第2照射ステップで検査照射が行われた箇所と異なる、被検査領域内の少なくとも1つの箇所に検査照射がさらに行われてもよい。第3出力ステップでは、第3照射ステップの間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す第3の情報が出力されてもよい。第3照射ステップで検査照射が行われる箇所の少なくとも1つは、第1照射ステップで検査照射が行われた箇所の1つと第2照射ステップで検査照射が行われた箇所の1つとの間に位置していてもよい。
【0018】
この場合、照射ステップ及び出力ステップが少なくとも3段階に分けられている。このため、第1出力ステップ又は第2出力ステップに基づく検査で欠陥箇所が検出されれば、検査に要する時間が短縮される。第3照射ステップでは、第1照射ステップ及び第2照射ステップで検査照射が行われた箇所と異なる被検査領域内の照射箇所に検査照射が行われる。このため、第1照射ステップに基づく第1の情報及び第2照射ステップに基づく第2の情報から欠陥箇所の情報が抜けていたとしても、第3照射ステップに基づく第3の情報によって欠陥箇所が検出され得る。第3照射ステップで光が照射される箇所の少なくとも1つは、第1照射ステップで光が照射される箇所の1つと第2照射ステップで光が照射される箇所の1つとの間に位置する。このため、第1出力ステップ、第2出力ステップ、及び第3出力ステップのそれぞれで欠陥箇所を検出可能な範囲が重複し難い。
【0019】
本発明の一つの態様に係る半導体デバイス検査装置は、半導体デバイスに試験信号が入力されている間に光を照射する検査照射を半導体デバイスの被検査領域内に対して行い、検査照射に応じて半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて、半導体デバイスを検査するための検査装置である。当該半導体デバイス検査装置は、光照射部と、照射箇所設定部と照射制御部と、解析部と、走査判断部と、を備える。光照射部は、被検査領域に対して光を照射する。照射箇所設定部は、光照射部に検査照射を実行させる照射箇所として被検査領域内の少なくとも1つの箇所を設定する。照射制御部は、試験信号が入力されている半導体デバイスに対して、照射箇所設定部で設定された照射箇所に検査照射が行われるように光照射部を制御する。解析部は、照射箇所設定部で設定された照射箇所に対して光照射部によって検査照射が行われている間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて、被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す情報を出力する。走査判断部は、解析部から情報が出力された後に、光照射部によって被検査領域に対して検査照射をさらに行うか否かを判断する。走査判断部で検査照射をさらに行うと判断された場合に、照射箇所設定部は、既に照射箇所として設定され且つ光が照射された箇所と異なる被検査領域内の少なくとも1つの箇所を照射箇所として新たに設定する。照射制御部は、照射箇所設定部で新たに設定された照射箇所に検査照射が行われるように光照射部を制御する。
【0020】
上記一つの態様では、照射箇所設定部は、光照射部に検査照射を実行させる照射箇所として被検査領域内の少なくとも1つの箇所を設定する。照射制御部は、試験信号が入力されている半導体デバイスに対して、照射箇所設定部で設定された照射箇所に検査照射が行われるように光照射部を制御する。照射箇所設定部は、走査判断部で検査照射をさらに行うと判断された場合に、既に照射箇所として設定され且つ光が照射された箇所と異なる被検査領域内の少なくとも1つの箇所を照射箇所として新たに設定する。このため、前の検査照射に基づく解析部からの出力において欠陥箇所の情報が抜けていたとしても、後の検査照射に基づく解析部からの出力で欠陥箇所が検出される。この場合、前の検査照射における照射箇所の位置によらず、検査の正確性が確保される。当該検査装置では、解析部から被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す情報が出力され、当該情報が出力された後に光照射部によって被検査領域に対して検査照射をさらに行うか否かの判断が行われる。このため、前の検査照射に基づく検査に応じて欠陥箇所が検出された場合に、欠陥箇所の検出までに光を照射する照射箇所の数が低減され、大幅に検査に要する時間が短縮され得る。すなわち、上記半導体デバイス検査装置では、検査の正確性が確保されながら、検査に要する時間の短縮が容易に図られる。
【0021】
上記一つの態様では、解析部は、照射箇所設定部で設定された照射箇所に対して光照射部によって検査照射が行われている間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて、被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す被検査領域の二次元画像を生成し、生成された当該画像を情報として出力してもよい。この場合、欠陥箇所が存在するか否かを示す二次元画像が生成されるため、ユーザは当該画像を見ることで検査照射をさらに行うか否かを容易に判断できる。
【0022】
上記一つの態様では、照射制御部は、光照射部に、被検査領域を走査させ、当該走査において照射箇所設定部で設定された照射箇所に検査照射を実行させてもよい。照射制御部は、走査判断部で検査照射をさらに行うと判断された場合、光照射部に、既に走査が行われた範囲と重複する範囲を走査させ、当該走査において新たに設定された照射箇所に検査照射を実行させるように、制御してもよい。この場合、前の走査と後の走査との走査範囲が重複しているため、検査の正確性がさらに容易に確保される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一つの態様は、半導体デバイスの検査の正確性が確保されながら、検査に要する時間の短縮が容易に図られる半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る半導体デバイス検査装置の構成を示す概略ブロック図である。
図2】本実施形態に係る半導体デバイス検査方法を示すフローチャートである。
図3】照射箇所を説明するための図である。
図4】照射箇所を説明するための図である。
図5】本実施形態の変形例に係る半導体デバイス検査装置による照射箇所を説明するための図である。
図6】本実施形態の変形例に係る半導体デバイス検査装置による照射箇所を説明するための図である。
図7】本実施形態の変形例に係る半導体デバイス検査装置による照射箇所を説明するための図である。
図8】半導体デバイス検査装置による作用効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有している要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0026】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る半導体デバイス検査装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る半導体デバイス検査装置の構成を示す概略ブロック図である。
【0027】
半導体デバイス検査装置1は、図1に示されるように、本実施形態に係る半導体デバイス検査装置1は、被検査体である半導体デバイスDに対する試験信号の入力に応じて出力される結果信号を取得する。以下、半導体デバイス検査装置を単に「検査装置」という。検査装置1は、たとえばSDL(Soft Defect Localization)計測、LADA(Laser Assisted Device Alteration)計測などに利用される。半導体デバイスDとしては、たとえば、シリコン基板に複数の素子が作り込まれることにより形成されている。すなわち、半導体デバイスDは、シリコン基板によって構成されている。半導体デバイスDは、たとえば、個別半導体素子(ディスクリート)、オプトエレクトロニクス素子、センサ/アクチュエータ、ロジックLSI(Large Scale Integration)、メモリ素子、若しくはリニアIC(Integrated Circuit)など、又はそれらの混成デバイスなどである。個別半導体素子は、たとえば、ダイオード、及びパワートランジスタなどを含む。ロジックLSIは、たとえば、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造のトランジスタ、及びバイポーラ構造のトランジスタなどによって構成される。また、半導体デバイスDは、半導体デバイスを含むパッケージ、及び複合基板などであってもよい。
【0028】
半導体デバイスDには、LSIテスタ2が電気的に接続されている。LSIテスタ2は、半導体デバイスDに試験信号としてテストパターン信号(test pattern)を入力する。テストパターン信号は、所定パターンの信号が一定の周期でループしている解析用の信号である。テストパターン信号のパターンは、たとえばユーザによって設定される。また、LSIテスタ2は、テストパターン信号の入力に応じて半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて、Pass/Fail情報を示す結果信号(result signal)を生成する。たとえば、LSIテスタ2は、半導体デバイスDから出力された出力信号と、テストパターン信号に対する設計上の正しい出力信号とを比較し、比較結果に基づくPass/Fail情報の変化を結果信号として出力する。検査装置1は、当該結果信号に基づいて、半導体デバイスDの被検査領域Rの欠陥箇所を検査する。
【0029】
さらに、LSIテスタ2は、生成した結果信号や、テストパターン信号に応じた各種信号を出力する。本実施形態では、LSIテスタ2は、たとえばテストパターン信号に同期したループトリガ信号(loop trigger)を出力する。ループトリガ信号のトリガのタイミングは、テストパターン信号の各ループにおける入力が開始されるタイミング(リセットのタイミング)と一致している。また、LSIテスタ2は、電源装置を兼ねており、予め設定された電流を半導体デバイスDへ入力する。半導体デバイスDに入力される電流は、結果信号におけるPass/Fail情報が変化しやすい駆動電圧・駆動周波数となるように、予め設定されている。また、電源装置(不図示)はLSIテスタ2とは別体で、予め設定された電流を半導体デバイスDへ入力するように構成されていてもよい。なお、半導体デバイスD内にLSIテスタの機能が含まれる場合には、外部のLSIテスタを用意する必要はない。
【0030】
検査装置1は、光源3と、光学系5と、光検出器7と、表示装置8と、制御装置10とを含んでいる。光源3は、半導体デバイスDに照射されるCW(Continuous Wave)光を発生し出力する。光源3は、パルス光を出力してもよい。光源3から出力される光は、インコヒーレント(非コヒーレント)な光でもよいし、レーザ光のようなコヒーレントな光であってもよい。インコヒーレントな光を出力する光源3としては、SLD(Super Luminescent Diode)やASE(Amplified Spontaneous Emission)、LED(Light Emitting Diode)等を用いることができる。
【0031】
コヒーレントな光を出力する光源3としては、固体レーザ光源や半導体レーザ光源等を用いることができる。LSIテスタ2と光源3とが電気的に接続され(不図示)、LSIテスタ2から出力される信号に応じて光源3で発生させる光を変化させてもよい。たとえば、LSIテスタ2から出力させる信号と同期するように、光源3からパルス光が出力されてもよい。
【0032】
SDL計測の場合、半導体デバイスDにおける加熱の効果を得るために、光源3から発生する光は、シリコンのバンドギャップよりも光子エネルギーの小さい波長であることが好ましい。一例として、光源3から発生する光の波長は、1300μm程度であってよい。またLADA計測の場合、半導体デバイスDに光起電流を発生させるために、光源3から発生する光は、シリコンのバンドギャップよりも光子エネルギーの大きい波長を有する。一例として、光源3から発生する光の波長は、1064nm程度であってよい。なお、上記の波長は、半導体デバイスDとしてシリコンの基板が用いられている場合である。シリコンカーバイド(SiC)、サファイア、化合物半導体等の基板によって半導体デバイスDが構成されている場合には、これらに適した波長が適宜選択される。光源3から出力された光は、光学系5に入射される。
【0033】
光学系5(光照射部)は、半導体デバイスDに対して光の走査を行い、光源3から出力された光を半導体デバイスDに向けて照射する。より具体的には、光学系5は、半導体デバイスDの所定箇所への光の照射と、半導体デバイスDの被検査領域Rに対する走査を行う。
【0034】
「光の走査」とは、光学系からの出射光が照射される位置を移動させることを意味する。「走査」は、光学系5によって光が照射される位置が移動するように光学系5が動作することを意味し、実際に被検査領域Rに光が照射されていない状態を含む。本実施形態では、被検査領域Rの全体における1回分の測定結果を得るために行う走査を1回の走査と定義する。本実施形態では、2次元の被検査領域Rにおいて走査が行われ、1回の走査において一度走査を行った位置を再度走査することはない。本実施形態では、後の走査では、前の走査と重複する範囲を走査する。
【0035】
本実施形態では、光学系5は、1回の走査で、被検査領域Rの予め決められた開始位置から走査を開始し、被検査領域Rの予め決められた終了位置までラスタースキャン(Raster Scan)を行う。その後、光学系5は、さらに走査を行う場合には、次の走査に応じて予め決められた開始位置から再び走査を開始する。開始位置と終了位置は、走査ごとに決められている。光学系5は、各走査の終了後に必ず、予め設定された基準位置に戻ってから走査を行ってもよい。
【0036】
光学系5では、光走査素子、光分割光学系、対物レンズ等が光学的に互いに接続(optical coupling)されて構成される。たとえば、光走査素子は、ガルバノミラーやMEMS(micro electro mechanical system)ミラー、ポリゴンミラー等によって構成されている。光分割光学系は、偏光ビームスプリッタと1/4波長板で構成されてもよく、ハーフミラーで構成されてもよい。対物レンズは、たとえば複数の倍率の対物レンズから構成され、複数の対物レンズがレボルバーによって切り替え自在に構成されていてもよい。
【0037】
光検出器7は、照射された光に応じて、半導体デバイスDからの反射光を検出し、検出信号を出力する。光検出器7は、たとえば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、エリアイメージセンサ等である。光検出器7は、少なくとも1つの検出器を有しており、当該検出器が検出した光の強度を検出する。
【0038】
表示装置8は、半導体デバイスDの検査の結果を表示する。表示装置8は、たとえば、液晶モニタなどである。
【0039】
制御装置10は、LSIテスタ2から出力される各種信号の処理と、光源3、光学系5、光検出器7、及びLSIテスタ2の制御とを行う。本実施形態では、制御装置10は、情報管理部11、照射箇所設定部12、照射制御部13、解析部14、及び走査判断部15を有している。制御装置10は、たとえば、CPU、記録媒体であるRAM及びROMを含むコンピュータで構成され、マウスやキーボード等の入力部とを有している。制御装置10は、複数のコンピュータによって構成されてもよい。
【0040】
情報管理部11は、予め決められた各種情報、及び、取得した情報を保存しており、適宜、照射箇所設定部12、照射制御部13、解析部14、及び走査判断部15に送信する。情報管理部11は、LSIテスタ2、光源3、光学系5、及び光検出器7と電気的に接続されており、これらから各種情報を取得する。情報管理部11は、半導体デバイスDから出力された出力信号から被検査領域Rにおける欠陥箇所を示す情報、すなわち、Pass/Fail状態の変化を示す情報を取得する。情報管理部11は、光検出器7から反射光の検出信号を取得する。その他、たとえば、情報管理部11は、照射箇所、走査速度、及び、照射箇所に光を照射するタイミングに関する情報を取得する。情報管理部11は、光源3から出力された光がパルス光である場合には、パルス光の強度及びパルス光の照射タイミングに関する情報を取得してもよい。
【0041】
照射箇所設定部12は、半導体デバイスDの被検査領域R内に、光学系5に光の照射を実行させる照射箇所として、少なくとも1つの箇所を設定する。照射箇所設定部12は、走査毎に、当該走査において光を照射する少なくとも1つの箇所を照射箇所として設定し、設定された照射箇所を照射制御部13に伝達する。本実施形態では、照射箇所設定部12は、走査毎に、情報管理部11から予め保存された走査毎の照射箇所を取得し、取得された照射箇所を当該走査における照射箇所に設定する。
【0042】
情報管理部11に予め保存された走査毎の照射箇所は、照射箇所設定部12が予め演算し、決定したものである。本実施形態では、照射箇所設定部12が、半導体デバイスDの検査毎に、当該検査の開始時に走査毎の照射箇所を決定する。照射箇所設定部12は、決定された走査毎の照射箇所を情報管理部11に保存する。
【0043】
照射制御部13は、光学系5の動作を制御し、光学系5に半導体デバイスDの被検査領域Rを走査させる。照射制御部13は、テストパターン信号が入力されている間に被検査領域Rに光を照射する動作を光学系5に実行させる。以下、テストパターン信号が入力されている間に被検査領域Rに光を照射する動作を「検査照射」という。
【0044】
照射制御部13は、テストパターン信号に同期するループトリガ信号に応じて光の走査位置を移動させる。そのため、半導体デバイスDにおける任意の位置において、光学系5による光の照射とLSIテスタ2によるテストパターン信号の入力とのタイミングを一致させることができる。照射制御部13は、各走査において、試験信号が入力されている半導体デバイスDに対して、照射箇所設定部12で設定された少なくとも1つの照射箇所に検査照射が実行されるように光学系5を制御する。本実施形態では、光源3からCW光が出力されており、照射制御部13は光学系5によって光の走査を行うことによって照射箇所への検査照射を実行する。
【0045】
照射制御部13は、被検査領域R内の照射箇所以外の箇所に光が照射されないように光学系5の動作を制御してもよい。たとえば、照射制御部13は、照射箇所に光を照射する以外の時間では光源3から出力された光がマスクで遮断されるように光学系5を制御してもよい。照射制御部13は、照射箇所のみに光が照射されるように光源3を制御してもよい。照射制御部13は、テストパターン信号と同期して光源3からパルス光が出力されるように光源3を制御してもよい。これらの場合、照射箇所以外の箇所に光が照射されている状態で半導体デバイスDから出力された出力信号の情報が制御装置10に入力されることを防止できる。
【0046】
なお、照射箇所以外の箇所に光が照射されている間にLSIテスタ2から試験信号又は結果信号が出力されないようにLSIテスタ2が設定されてもよい。照射箇所以外の位置に光が照射されている間にLSIテスタ2から制御装置10へ出力された結果信号の情報が情報管理部11でカットされてもよい。
【0047】
解析部14は、情報管理部11から、光学系5による光の照射箇所の位置情報と、Pass/Fail状態の変化を示す情報とを取得する。Pass/Fail状態の変化を示す情報は、LSIテスタ2から出力された結果信号に基づく信号である。換言すれば、Pass/Fail状態の変化を示す情報は、照射箇所設定部12で設定された照射箇所に対して光学系5によって検査照射が行われている間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づく信号である。
【0048】
解析部14は、光の照射箇所の位置情報とPass/Fail状態の変化を示す情報とを関連づけて、被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報を測定結果として出力する。本実施形態では、解析部14は、各走査の終了後に、当該走査において取得されたPass/Fail状態の変化を示す情報に基づいて、被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報を出力する。本実施形態では、解析部14は、光の照射箇所の位置情報とPass/Fail状態の変化を示す情報とを関連づけて被検査領域Rの二次元画像を生成し、生成された二次元画像を出力する。当該二次元画像は、被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す情報に相当する。すなわち、解析部14は、光の照射箇所に対応してPass/Fail状態の変化を示す情報をマッピングした測定画像を生成する。
【0049】
解析部14は、情報管理部11から、光学系5による光の照射箇所の位置情報と、光検出器7からの検出信号の情報とを取得する。解析部14は、光学系5による光の照射箇所の位置情報と、光検出器7からの検出信号の情報とを関連づけて、半導体デバイスDの光学的な画像であるパターン画像を生成し、生成されたパターン画像を出力する。パターン画像は、半導体デバイスDの回路パターンが示されている。解析部14は、パターン画像に測定画像を重ねた画像を生成してもよい。解析部14は、生成した測定画像、パターン画像、又は、パターン画像に測定画像を重ねた画像を表示装置8に出力する。表示装置8は、解析部14から出力された画像を表示する。これにより、回路パターン上で故障箇所と思われる位置を確認することができる。
【0050】
走査判断部15は、光学系5によって被検査領域Rに対して検査照射を行うか否かを判断する。走査判断部15で検査照射を行うと判断されたことに応じて、照射箇所設定部12が照射箇所の設定を行う。走査判断部15は、解析部14から出力された情報に基づいて、被検査領域Rに対して検査照射をさらに行うか否かの判断を行う。換言すれば、走査判断部15は、解析部14から出力された情報に基づいて、再び走査を行うか否かを判断する。たとえば、走査判断部15は、解析部14からの情報を確認したユーザが半導体デバイスDの検査を指示する操作を検出し、当該検出に応じて検査照射を行うと判断する。走査判断部15は、解析部14から出力された情報から直接、被検査領域Rに対して検査照射をさらに行うか否かの判断を行ってもよい。少なくとも、走査判断部15は、被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報(測定結果)が解析部14から出力された後に、検査照射をさらに行うか否かの判断を行う。
【0051】
走査判断部15が解析部14から出力された情報から直接判断を行う場合、走査判断部15は、たとえば、解析部14からの測定結果に基づいて被検査領域Rの全体において欠陥箇所の有無を判断する。走査判断部15は、被検査領域Rの全体において欠陥箇所が検出されていないと判断された場合に、被検査領域Rに対して検査照射をさらに行うと判断してもよい。走査判断部15は、被検査領域Rの全体において欠陥箇所が存在する検出されたと判断された場合に、被検査領域Rに対して検査照射を行わないと判断してもよい。
【0052】
走査判断部15によって検査照射をさらに行うと判断されると、照射箇所設定部12は、既に照射箇所として設定され且つ光が照射された箇所と異なる被検査領域R内の少なくとも1つの箇所を照射箇所として新たに設定する。照射制御部13は、既に走査が行われた範囲と重複する範囲で走査を実行させ、照射箇所設定部12で新たに設定された照射箇所に検査照射が行われるように光学系5を制御する。
【0053】
次に、図2を参照して、本実施形態及び変形例に係る検査装置1を用いた半導体デバイスDの検査方法について説明する。図2は、半導体デバイスの検査方法を示すフローチャートである。本実施形態では、検査に先駆けて、半導体デバイスDに入力されるテストパターン信号の条件や、半導体デバイスDで測定を実行する領域等がユーザによって設定される。また、半導体デバイスDのPass/Fail状態が変化する境界付近の駆動電圧及び駆動周波数を有する電流がLSIテスタ2によって半導体デバイスDに印加される。これにより、半導体デバイスDが駆動される。たとえば、レーザ光によって半導体デバイスDの加熱が行われるSDL計測の場合、ヒータ等によって半導体デバイスDを全体的に加熱したときのシュムプロット(shmoo plot)を用いて、Pass/Fail状態が変化する境界付近となる駆動電圧及び駆動周波数の条件を予め求めておく。
【0054】
本実施形態にける検査方法では、まず、照射箇所設定部12によって、各走査で半導体デバイスDに光を照射する照射箇所が決定される(ステップS1)。続いて、LSIテスタ2によって、半導体デバイスDへのテストパターン信号の入力が開始される(ステップS2)。ステップS2においてLSIテスタ2からテストパターン信号が出力されると、LSIテスタ2は、テストパターン信号に同期したループトリガ信号も出力する。
【0055】
続いて、照射箇所設定部12によって走査に対応した照射箇所が設定され、照射制御部13によって半導体デバイスDの被検査領域Rにおける光の走査が開始される(ステップS3)。この際、照射箇所設定部12は、被検査領域R内の少なくとも1つの箇所を検査照射の照射箇所として設定する。
【0056】
続いて、照射制御部13が、被検査領域R内で走査を行い、テストパターン信号が入力されている半導体デバイスDに対して、光学系5によって、ステップS2で設定された照射箇所に検査照射を行う(ステップS4)。この際、各照射箇所に光が照射されている状態において、テストパターン信号が半導体デバイスDに入力される。半導体デバイスDから出力された出力信号は、LSIテスタ2に入力される。
【0057】
続いて、出力信号のLSIテスタ2への入力に応じてLSIテスタ2から出力された結果信号が、情報管理部11によって取得される(ステップS5)。結果信号は、光の照射による半導体デバイスDのPass/Failの状態変化を示す信号である。この際、光検出器7は半導体デバイスによって反射された反射光を検出する。検出された反射光の信号は、情報管理部11によって取得される。
【0058】
続いて、照射制御部13によって、被検査領域Rの測定が終了したか否かが判断される(ステップS6)。すなわち、照射制御部13によって、被検査領域Rの1回分の走査が完了したか否かが判断される。1回分の走査が完了している場合には、ステップS3で照射箇所設定部12によって設定された照射箇所の全てへの検査照射も完了している。走査が終了していないと判断された場合(ステップS6でNO)、ステップS4に処理が戻る。走査が終了したと判断された場合(ステップS6でYES)、ステップS7に処理が進む。
【0059】
走査が終了したと判断された場合、解析部14によって、光の照射箇所の位置情報とPass/Fail状態の変化を示す情報とが関連づけられた被検査領域Rの二次元画像(測定画像)が生成され、表示装置8に当該画像が表示される(ステップS7)。表示される画像は、半導体デバイスDの光学的な画像であるパターン画像に測定画像が重ねられた画像であってもよい。また、画像の表示とは異なる方法で、被検査領域Rの全体における光の照射箇所の位置情報とPass/Fail状態の変化を示す情報が解析部14から出力されてもよい。換言すれば、ステップS7では、ステップS4~ステップS6のループにおける検査照射の間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて、被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報が出力される。
【0060】
続いて、ユーザがステップS7で出力された情報に基づいて、欠陥箇所の検査を行う(ステップS8)。本実施形態では、ユーザが表示装置8に表示された画像を見て、被検査領域Rの欠陥箇所の検査を行う。
【0061】
続いて、走査判断部15によってさらに走査を行うか否かが判断される(ステップS9)。走査判断部15は、解析部14から出力された情報に基づいて、さらに走査を行うか否かを判断する。走査判断部15は、解析部14からの情報を確認したユーザによる操作に基づいて上記判断を行ってもよい。換言すれば、ステップS9では、ステップS7で出力された情報に基づいて、被検査領域Rに対して検査照射を行うか否かが判断される。
【0062】
さらに走査を行うと判断された場合(ステップS9でYES)、ステップS3に処理が戻り、ステップS3~ステップ9の再処理を行う。再処理では、前の処理を踏まえた処理が行われる。以下、この点についてより詳細に説明する。
【0063】
再処理のステップS3では、照射箇所設定部12は、既に検査照射が行われた箇所と異なる被検査領域R内の少なくとも1つの箇所に照射箇所を新たに設定する。続いて、ステップS4において、照射制御部13が、被検査領域R内で走査を行い、テストパターン信号が入力されている半導体デバイスDに対して、光学系5によって、新たに設定された照射箇所に検査照射を行う。この際、再処理のステップS4では、前回の処理における走査と走査範囲が重複する走査が行われる。
【0064】
再処理のステップS4~ステップS6のループにおいて新たに設定された照射箇所に関して被検査領域Rの測定が終了した場合には、ステップS7に処理が進む。ステップS7では、ステップS4~ステップS6のループにおける検査照射の間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて、被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報が出力される。その後、ステップS8で、欠陥箇所の検査が行われる。
【0065】
ステップS9において、走査を行わないと判断された場合(ステップS9でNO)、全ての処理が終了する。
【0066】
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る検査装置1の照射箇所設定部12及び照射制御部13による光の照射の制御について更に詳細に説明する。
【0067】
照射箇所設定部12は、半導体デバイスDの検査の開示時に走査毎の照射箇所を決定し、各走査の開始時に予め決定された照射箇所を設定する。次に、照射箇所設定部12による照射箇所の決定手順について具体的に説明する。本実施形態では、半導体デバイスDの被検査領域Rは、平面視で正方形状である。
【0068】
照射箇所設定部12は、半導体デバイスDの被検査領域RをN行N列の箇所に区分する。以下、それぞれの箇所をポイントと呼ぶ。本実施形態では、左上のポイントの位置を基準位置(1,1)として、各ポイントの位置を表す。括弧内の左側の数字は行方向の位置、すなわち列数を示し、括弧内の右側の数字は列方向の位置、すなわち行数を示す。照射箇所設定部12は、被検査領域Rを(1,1)から(N,N)のN×N個のポイントに分ける。照射箇所設定部12は、(1,1)の位置を基準位置とする。Nは、F=2(Fn-1)-1の漸化式で表されるFの値を満たす。nは、1以上の自然数である。当該漸化式の初期値は、F=2である。すなわち、Nは、たとえば、F=3,F=5,F=9,F=17,F=33,F=65,F=129,F=257,F=513,F10=1025である。図3では、NがF=9であり、被検査領域Rは、9行9列に区分されている。
【0069】
まず、n=1でN=3の場合について説明する。この場合、被検査領域Rは、3行3列である。この場合、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの中心に位置するポイントを1回目の走査で光を照射する箇所に決定する。具体的には、照射箇所設定部12は、(2,2)を1回目の走査で光を照射する箇所に決定する。続いて、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの四隅に位置するポイントを2回目の走査で光を照射する箇所に決定する。具体的には、照射箇所設定部12は、(1,1)、(1,3)、(3,1)、及び(3,3)を2回目の走査で光を照射する箇所に決定する。続いて、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを3回目の走査で光を照射する箇所に決定する。
【0070】
次に、n≧2でN≧5の場合について説明する。この場合、図3に示されているように、照射箇所設定部12は、F行F列の被検査領域Rの四隅に、それぞれがFn-1行Fn-1列の4つの第1の分割領域αを規定する。この際、Fn-1行のポイントとFn-1列のポイントは、隣合う第1分割領域で共有される。具体的には、4個の第1の分割領域αは、それぞれ、1行目からFn-1行目まで且つ1列目からFn-1列目までの領域と、Fn-1行目からN行目まで且つ1列目からFn-1列目までの領域と、1行目からFn-1行目まで且つFn-1列目からN列目までの領域と、Fn-1行目からN行目まで且つFn-1列目からN列目までの領域である。図3に示されている例では、被検査領域RがF行F列のであり、第1の分割領域αは、F行F列の領域である。すなわち、図3に示されている例では、5行5列の第1の分割領域αが被検査領域Rの四隅に規定される。
【0071】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントを1回目の走査で光を照射する箇所に決定する。たとえば、基準位置を含む第1の分割領域αでは、(Fn-2,Fn-2)を1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。図3に示されている例では、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントである(3,3)、(7,3)、(3,7)、及び(7,7)を、1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。
【0072】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの四隅に位置するポイントを2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。たとえば、基準位置を含む第1の分割領域αでは、(1,1)、(1,Fn-1)、(Fn-1,1)、及び(Fn-1,Fn-1)を2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。図3に示されている例では、各第1の分割領域αの四隅に位置するポイントである(1,1)、(5,1)、(9,1)、(1,5)、(5,5)、(9,5)、(1,9)、(5,9)、及び(9,9)を2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。第1の分割領域αが3行3列の場合には、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを3回目の走査で光を照射する箇所に決定する。
【0073】
第1の分割領域αが3行3列よりも大きい場合には、図4に示されているように、照射箇所設定部12は、第1の分割領域αを規定した場合と同様の要領で、各第1の分割領域αの四隅に、それぞれがFn-2行Fn-2列の4個の第2の分割領域βを規定する。すなわち、被検査領域R内に、16個の第2の分割領域βが規定される。図4に示されている例では、第2の分割領域βは、F行F列の領域である。すなわち、図4に示されている例では、3行3列の第2の分割領域βが各第1の分割領域αの四隅に規定される。
【0074】
照射箇所設定部12は、照射箇所aを決定した場合と同様の要領で、各第2の分割領域βの中心に位置するポイントを3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。たとえば、基準位置を含む第2の分割領域βでは、(Fn-3,Fn-3)を3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。図4に示されている例では、各第2の分割領域βの中心に位置するポイントである(2,2)、(4,2)、(6,2)、(8,2)、(2,4)、(4,4)、(6,4)、(8,4)、(2,6)、(4,6)、(6,6)、(8,6)、(2,8)、(4,8)、(6,8)、及び(8,8)を3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。
【0075】
照射箇所設定部12は、各第2の分割領域βの四隅に位置し、且つ、未だ光を照射する箇所に決定されていないポイントを4回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。たとえば、基準位置を含む第2の分割領域βでは、(1,Fn-3)及び(F3-1,1)を4回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。図4に示されている例では、(3,1)、(7,1)、(1,3)、(5,3)、(9,3)、(3,5)、(7,5)、(1,7)、(5,7)、(9,7)、(3,9)、及び(7,9)を4回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。第2の分割領域βが3行3列の場合、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを5回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。
【0076】
第2の分割領域βが3行3列よりも大きい場合、これまで説明した手順で、5回目以降の走査で光を照射する箇所を決定する。換言すれば、直前に規定した分割領域内に4個の分割領域を規定し、各分割領域の中心に位置するポイント、各分割領域の四隅に位置するポイントの順で、光を照射する箇所を決定する。
【0077】
照射箇所設定部12は、上述した手順を、最も小さい分割領域が3行3列となるまで続ける。照射箇所設定部12は、最も小さい分割領域が3行3列の場合、被検査領域Rの残りのポイントを最終回の走査で光を照射する箇所に決定する。「最終回の走査」とは、各検査における最後の走査という意味ではなく、照射箇所が異なる走査としての設定的な限界を意味する。このため、各走査では、走査判断部15の判断に応じて最終回の走査まで行われない場合もある。最終回の走査が行われた後に、既に光が照射された箇所への検査照射を行う走査が行われてもよい。
【0078】
次に、本実施形態に係る検査装置1の照射制御部13による光学系5の制御について詳細に説明する。
【0079】
照射制御部13は、照射箇所設定部12によって設定された照射箇所に対して検査照射を行うように、光学系5の走査を制御する。すなわち、光学系5は、各走査に応じた所定の間隔で被検査領域Rに光を照射するように走査を行う。
【0080】
まず、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって1回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、1回目の走査で、被検査領域Rの一部の範囲で走査を行い、所定の間隔で検査照射を行う。たとえば、被検査領域RがN行M列の箇所に区分されている場合には、光学系5は、n(n<N)行m(m<N)列の走査範囲で走査を行う。1回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、1<行方向における間隔≦m-2、1<列方向における間隔≦n-2である。
【0081】
図3及び図4に示されている例では、照射制御部13は、1回目の走査の開始位置を(3,3)とし、5行5列の走査範囲を光学系5に走査させる。照射制御部13は、光学系5に、行方向において3ポイントの間隔、列方向において3ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0082】
走査判断部15が2回目の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって2回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、2回目の走査で、被検査領域Rの全体の範囲で走査を行い、所定の間隔で検査照射を行う。2回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、1回目の走査と同じである。2回目の走査と1回目の走査とで検査照射を行う間隔が異なってもよい。
【0083】
図3及び図4に示されている例では、照射制御部13は、2回目の走査の開始位置を(1,1)とし、9行9列の走査範囲を光学系5に走査させる。照射制御部13は、光学系5に、行方向において3ポイントの間隔、列方向において3ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0084】
走査判断部15が3回目の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって3回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、3回目の走査で、1回目の走査における走査範囲の全体を含み、かつ、n(n<n<N)行m(m<m<M)列の走査範囲で走査を行う。3回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、1回目の走査よりも狭い。
【0085】
図3及び図4に示されている例では、照射制御部13は、3回目の走査の開始位置を(2,2)とし、7行7列の走査範囲を光学系5に走査させる。照射制御部13は、光学系5に、行方向において1ポイントの間隔、列方向において1ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0086】
走査判断部15が4回目の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって4回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、4回目の走査で、被検査領域Rの全体の範囲で走査を行い、所定の間隔で検査照射を行う。4回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、1回目の走査と同じである。ただし、4回目の走査において検査照射を開始する位置は、2回目の走査において検査照射を開始する位置と異なる。
【0087】
図3及び図4に示されている例では、照射制御部13は、4回目の走査の開始位置を(1,1)とし、9行9列の走査範囲を光学系5に走査させる。2回目の走査において検査照射を開始する位置が(1,1)であるのに対して、4回目の走査において検査照射を開始する位置は(3,1)である。照射制御部13は、光学系5に、行方向において3ポイントの間隔、列方向において1ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0088】
以上のように、照射制御部13は、走査判断部15の判断に応じて、複数回の走査を光学系5に実行させる。走査判断部15が最終回の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって最終回の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、最終回の走査で、被検査領域Rの全体の範囲で走査を行い、検査照射が行われていない箇所に検査照射を行う。
【0089】
次に、図5を参照して、本実施形態の変形例に係る検査装置の照射箇所設定部12及び照射制御部13による光の照射の制御について更に詳細に説明する。図5に示されている変形例は、領域の四隅に位置するポイント、領域の中心に位置するポイントの順で光を走査する点に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
【0090】
照射箇所設定部12は、半導体デバイスDの検査の開示時に走査毎の照射箇所を決定する。まず、本変形例における照射箇所設定部12による照射箇所の決定手順について説明する。本変形例では、半導体デバイスDの被検査領域Rは、平面視で正方形状である。以下、本変形例にける照射箇所の決定手順について説明する。図5では、図3と同様に、NがF=9であり、被検査領域Rは、9行9列に区分されている。
【0091】
まず、n=1でN=3の場合について説明する。この場合、被検査領域Rは、3行3列である。この場合、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの四隅に位置するポイントを1回目の走査で光を照射する箇所に決定する。具体的には、照射箇所設定部12は、(1,1)、(1,3)、(3,1)、及び(3,3)を1回目の走査で光を照射する箇所に決定する。続いて、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの中心に位置するポイントを2回目の走査で光を照射する箇所に決定する。具体的には、照射箇所設定部12は、(2,2)を2回目の走査で光を照射する箇所に決定する。続いて、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを3回目の走査で光を照射する箇所に決定する。
【0092】
次に、n≧2でN≧5の場合について説明する。この場合、照射箇所設定部12は、F行F列の被検査領域Rの四隅に、それぞれがFn-1行Fn-1列の4つの第1の分割領域αを規定する。図5に示されている例では、被検査領域RがF行F列のであり、第1の分割領域αは、F行F列の領域である。すなわち、図5に示されている例では、5行5列の第1の分割領域αが被検査領域Rの四隅に規定される。
【0093】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの四隅に位置するポイントを1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。たとえば、基準位置を含む第1の分割領域αでは、(1,1)、(1,Fn-1)、(Fn-1,1)、及び(Fn-1,Fn-1)を1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。図5に示されている例では、各第1の分割領域αの四隅に位置するポイントである(1,1)、(5,1)、(9,1)、(1,5)、(5,5)、(9,5)、(1,9)、(5,9)、及び(9,9)を1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。
【0094】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントを2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。たとえば、基準位置を含む第1の分割領域αでは、(Fn-2,Fn-2)を2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。図5に示されている例では、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントである(3,3)、(7,3)、(3,7)、及び(7,7)を、2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。第1の分割領域αが3行3列の場合には、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを3回目の走査で光を照射する箇所に決定する。
【0095】
第1の分割領域αが3行3列よりも大きい場合には、照射箇所設定部12は、第1の分割領域αを規定した場合と同様の要領で、各第1の分割領域αの四隅に、それぞれがFn-2行Fn-2列の4個の第2の分割領域βを規定する。すなわち、被検査領域R内に、16個の第2の分割領域βが規定される。図5に示されている例では、第2の分割領域βは、F行F列の領域である。すなわち、図5に示されている例では、3行3列の第2の分割領域βが各第1の分割領域αの四隅に規定される。
【0096】
照射箇所設定部12は、各第2の分割領域βの四隅に位置し、且つ、未だ光を照射する箇所に決定されていないポイントを3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。たとえば、基準位置を含む第2の分割領域βでは、(1,Fn-3)及び(F3-1,1)を3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。図5に示されている例では、(3,1)、(7,1)、(1,3)、(5,3)、(9,3)、(3,5)、(7,5)、(1,7)、(5,7)、(5,9)、(9,3)、及び(9,7)を3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。
【0097】
照射箇所設定部12は、照射箇所aを決定した場合と同様の要領で、各第2の分割領域βの中心に位置するポイントを4回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。たとえば、基準位置を含む第2の分割領域βでは、(Fn-3,Fn-3)を4回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。図5に示されている例では、各第2の分割領域βの中心に位置するポイントである(2,2)、(4,2)、(6,2)、(8,2)、(2,4)、(4,4)、(6,4)、(8,4)、(2,6)、(4,6)、(6,6)、(8,6)、(2,8)、(4,8)、(6,8)、及び(8,8)を4回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。第2の分割領域βが3行3列の場合には、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを5回目の走査で光を照射する照射箇所dに決定する。
【0098】
第2の分割領域βが3行3列よりも大きい場合には、これまで説明した手順で、5回目以降の走査で光を照射する箇所を決定する。換言すれば、直前に規定した分割領域内に4個の分割領域を規定し、各領域の四隅に位置するポイント、各領域の中心に位置するポイントの順で、光を走査する箇所を決定する。
【0099】
照射箇所設定部12は、照射箇所設定部12は、上述した手順を、最も小さい分割領域が3行3列となるまで続ける。照射箇所設定部12は、最も小さい分割領域が3行3列の場合、被検査領域Rの残りのポイントを最終回の走査で光を照射する箇所に決定する。
【0100】
次に、本変形例に係る検査装置1の照射制御部13による光学系5の制御について詳細に説明する。
【0101】
照射制御部13は、照射箇所設定部12によって設定された照射箇所に対して検査照射を行うように、光学系5の走査を制御する。すなわち、光学系5は、各走査に応じた所定の間隔で被検査領域Rに光を照射するように走査を行う。
【0102】
まず、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって1回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、1回目の走査で、被検査領域Rの全体の範囲で走査を行い、所定の間隔で検査照射を行う。1回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、2回目の走査を行う場合に2回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔と同じである。2回目の走査と1回目の走査とで検査照射を行う間隔が異なってもよい。
【0103】
図5に示されている例では、照射制御部13は、1回目の走査の開始位置を(1,1)とし、9行9列の走査範囲を光学系5に走査させる。照射制御部13は、光学系5に、行方向において3ポイントの間隔、列方向において3ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0104】
走査判断部15が2回目の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって2回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本変形例では、光学系5は、2回目の走査で、被検査領域Rの一部の範囲で走査を行い、所定の間隔で検査照射を行う。たとえば、被検査領域RがN行M列の箇所に区分されている場合には、光学系5は、n(n<N)行m(m<N)列の走査範囲で走査を行う。2回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、1<行方向における間隔≦m-2、1<列方向における間隔≦n-2である。
【0105】
図5に示されている例では、照射制御部13は、2回目の走査の開始位置を(3,3)とし、5行5列の走査範囲を光学系5に走査させる。照射制御部13は、光学系5に、行方向において3ポイントの間隔、列方向において3ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0106】
走査判断部15が3回目の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって3回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、3回目の走査で、被検査領域Rの全体の範囲で走査を行い、所定の間隔で検査照射を行う。3回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、1回目の走査と同じである。ただし、3回目の走査において検査照射を開始する位置は、1回目の走査において検査照射を開始する位置と異なる。
【0107】
図5に示されている例では、照射制御部13は、3回目の走査の開始位置を(1,1)とし、9行9列の走査範囲を光学系5に走査させる。1回目の走査において検査照射を開始する位置が(1,1)であるのに対して、4回目の走査において検査照射を開始する位置は(3,1)である。照射制御部13は、光学系5に、行方向において3ポイントの間隔、列方向において1ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0108】
走査判断部15が4回目の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって4回目の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本実施形態では、光学系5は、4回目の走査で、2回目の走査における走査範囲の全体を含み、かつ、n(n<n<N)行m(m<m<M)列の走査範囲で走査を行う。4回目の走査で光学系5が検査照射を行う間隔は、1回目の走査よりも狭い。
【0109】
図5に示されている例では、照射制御部13は、4回目の走査の開始位置を(2,2)とし、7行7列の走査範囲を光学系5に走査させる。照射制御部13は、光学系5に、行方向において1ポイントの間隔、列方向において1ポイントの間隔で被検査領域Rに光を照射させる。
【0110】
以上のように、照射制御部13は、走査判断部15の判断に応じて、複数回の走査を光学系5に実行させる。走査判断部15が最終回の走査を行うと判断すると、照射制御部13は、照射箇所設定部12によって最終回の走査として設定された照射箇所に対し、検査照射を光学系5に実行させる。本変形例では、光学系5は、最終回の走査で、被検査領域Rの全体の範囲で走査を行い、検査照射が行われていない箇所に検査照射を行う。
【0111】
次に、図6を参照して、本実施形態の変形例に係る検査装置の照射箇所設定部12による照射箇所の決定手順について説明する。図6に示されている変形例は、照射箇所設定部12が被検査領域Rを偶数列偶数行の箇所に区分する点に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
【0112】
照射箇所設定部12は、半導体デバイスDの被検査領域RをM行M列の箇所に区分する。以下、それぞれの箇所をポイントと呼ぶ。すなわち、照射箇所設定部12は、被検査領域Rを(1,1)から(M,M)のM×M個のポイントに分ける。照射箇所設定部12は、(1,1)の位置を基準位置とする。Mは、mが2以上の自然数である場合に、2mを満たす値である。図6に示されている例では、m=4であり、被検査領域Rは8行8列の箇所に区分されている。
【0113】
この場合、照射箇所設定部12は、M行M列の被検査領域Rに、4つの第1の分割領域αを規定する。本変形例では、Fn-1<M<Fを満たす場合に、Fn-1行Fn-1列の第1分割領域を基準位置から規定する。図6に示されている例では、各第1の分割領域αは、F行F列、すなわち、5行5列である。この際、Fn-1行のポイントとFn-1列のポイントは、隣合う第1分割領域で共有される。基準位置を含む第1の分割領域α以外は、被検査領域Rから外れた領域を含んでいる。このため、被検査領域R内の4個の第1の分割領域αは、それぞれ、1行目からFn-1行目まで且つ1列目からFn-1列目までの領域と、Fn-1行目からM行目まで且つ1列目からFn-1列目までの領域と、1行目からFn-1行目まで且つFn-1列目からM列目までの領域と、Fn-1行目からM行目まで且つFn-1列目からM列目までの領域である。
【0114】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントを1回目の走査で光を照射する箇所に決定する。図6に示されている例では、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントである(3,3)、(7,3)、(3,7)、及び(7,7)を、1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。
【0115】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの四隅に位置するポイントを2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。図6に示されている例では、基準位置を含む第1の分割領域αの四隅に位置するポイントである(1,1)、(5,1)、(1,5)、及び(5,5)を2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。第1の分割領域αが3行3列の場合、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。
【0116】
第1の分割領域αが3行3列よりも大きい場合、実施形態で説明した手順で、3回目以降の走査で光を照射する箇所を決定する。換言すれば、直前に規定した分割領域内に4個の分割領域を規定し、各分割領域の中心に位置するポイント、各分割領域の四隅に位置するポイントの順で、光を照射する箇所を決定する。照射箇所設定部12は、上述した手順を、最も小さい分割領域が3行3列となるまで続ける。照射箇所設定部12は、最も小さい分割領域が3行3列の場合、被検査領域Rの残りのポイントを最終回の走査で光を照射する箇所に決定する。本変形例において、第1の分割領域αを決めた後は、図5を用いて説明した手順で走査毎の照射領域が決定されてもよい。
【0117】
次に、図7を参照して、本実施形態の変形例に係る検査装置の照射箇所設定部12による照射箇所の決定手順について説明する。図7に示されている変形例は、被検査領域Rが長方形である点に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
【0118】
照射箇所設定部12は、半導体デバイスDの被検査領域RをN行M列の箇所に区分する。以下、それぞれの箇所をポイントと呼ぶ。すなわち、照射箇所設定部12は、被検査領域Rを(1,1)から(N,M)のN×M個のポイントに分ける。照射箇所設定部12は、(1,1)の位置を基準位置とする。図7に示されている例では、被検査領域Rは9行6列の箇所に区分されている。
【0119】
この場合、照射箇所設定部12は、行数Nと列数Mの打ち大きい方を基準に、第1の分割領域αを規定する。たとえば、図7に示されている例のように、行数Nの方が列数Mよりも大きい場合には、Fn-1<N<Fを満たす場合に、Fn-1行Fn-1列の第1分割領域を基準位置から規定する。図7に示されている例では、各第1の分割領域αは、F行F列、すなわち、5行5列である。この際、Fn-1行のポイントとFn-1列のポイントは、隣合う第1分割領域で共有される。基準位置を含む第1の分割領域α以外は、被検査領域Rから外れた領域を含んでいる。このため、被検査領域R内の各第1の分割領域αは、それぞれ、1行目からFn-1行目まで且つ1列目からFn-1列目までの領域と、Fn-1行目からM行目まで且つ1列目からFn-1列目までの領域と、1行目からFn-1行目まで且つFn-1列目からM列目までの領域と、Fn-1行目からM行目まで且つFn-1列目からM列目までの領域である。
【0120】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントを1回目の走査で光を照射する箇所に決定する。たとえば、基準位置を含む第1の分割領域αでは、(Fn-2,Fn-2)を1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。図7に示されている例では、各第1の分割領域αの中心に位置するポイントである(3,3)及び(3,7)を、1回目の走査で光を照射する照射箇所aに決定する。
【0121】
照射箇所設定部12は、各第1の分割領域αの四隅に位置するポイントを2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。図7に示されている例では、基準位置を含む第1の分割領域αの四隅に位置するポイントである(1,1)、(5,1)、(1,5)、(5,5)、(1,9)、及び(5,9)を2回目の走査で光を照射する照射箇所bに決定する。第1の分割領域αが3行3列の場合、照射箇所設定部12は、被検査領域Rの残りのポイントを3回目の走査で光を照射する照射箇所cに決定する。
【0122】
第1の分割領域αが3行3列よりも大きい場合、実施形態で説明した手順で、3回目以降の走査で光を照射する箇所を決定する。換言すれば、直前に規定した分割領域内に4個の分割領域を規定し、各分割領域の中心に位置するポイント、各分割領域の四隅に位置するポイントの順で、光を照射する箇所を決定する。照射箇所設定部12は、上述した手順を、最も小さい分割領域が3行3列となるまで続ける。照射箇所設定部12は、最も小さい分割領域が3行3列の場合、被検査領域Rの残りのポイントを最終回の走査で光を照射する箇所に決定する。本変形例において、第1の分割領域αを決めた後は、図5を用いて説明した手順で走査毎の照射領域が決定されてもよい。
【0123】
次に、本実施形態及び変形例に係る半導体デバイス検査方法及び検査装置1による作用効果について詳細に説明する。
【0124】
例として、図3及び図4を用いて説明した手順で各走査の照射箇所を決定した場合について、検討する。図8は、被検査領域Rの(6,7)に欠陥箇所があり、その周囲の8ポイントが欠陥箇所を検出可能な範囲であることを示している。この場合、(1,1)から順に1ポイントずつラスタースキャンで検査照射を行うと、欠陥箇所Xが検出されるまでに50ポイントに検査照射を行わなくてはならない。一方で、単に光を照射する間隔を広げて、照射箇所aのみに検査照射で検査を行うこととすれば、欠陥箇所Xが検出されない。
【0125】
しかしながら、本実施形態及び変形例に係る半導体デバイス検査方法及び半導体デバイス検査装置によれば、前の走査による照射箇所aへの検査照射に基づく検査で欠陥箇所Xが検出されずとも、後の走査による照射箇所bへの検査照射に基づく検査で欠陥箇所Xが検出される。以下、前の走査を行うステップを「第1照射ステップ」といい、後の走査を行うステップを「第2照射ステップ」という。この場合、13ポイントの検査照射で欠陥箇所Xが検出される。
【0126】
本実施形態及び変形例に係る半導体デバイス検査方法では、第1照射ステップにおいて、被検査領域R内の少なくとも1つの箇所に検査照射を行う。第1照射ステップの間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報が出力される。以下、このステップを「第1出力ステップ」といい、第1照射ステップの間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報を「第1の情報」という。
【0127】
第2照射ステップにおいて、第1照射ステップで検査照射が行われた箇所と異なる被検査領域R内の箇所に検査照射が行われる。第2照射ステップの間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報が出力される。以下、このステップを「第2出力ステップ」といい、第2照射ステップの間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報を「第2の情報」という。このため、第1照射ステップに基づく測定結果の出力から欠陥箇所の情報が抜けていたとしても、第2照射ステップに基づく測定結果の出力によって欠陥箇所が検出される。この場合、第1照射ステップにおける照射箇所の位置によらず、検査の正確性が確保される。
【0128】
当該検査方法では、第1の情報に基づいて、第2照射ステップを行うか否かの判断が行われる。このため、第1出力ステップの出力に基づく検査に応じて欠陥箇所が検出された場合に、欠陥箇所の検出までに光を照射する照射箇所の数が低減される。この場合、大幅に検査に要する時間が短縮される。すなわち、上記半導体デバイス検査方法では、検査の正確性が確保されながら、検査に要する時間の短縮が容易に図られる。すなわち、上記半導体デバイス検査方法では、検査の正確性が確保されながら、検査に要する時間の短縮が容易に図られる。
【0129】
半導体デバイス検査方法では、第1照射ステップの間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて、被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す被検査領域Rの二次元画像が生成されている。この場合、欠陥箇所が存在するか否かを示す二次元画像が第1照射ステップの間の出力信号に基づいて生成されるため、ユーザは当該画像を見ることで第2照射ステップを行うか否かを容易に判断できる。
【0130】
第1照射ステップでは、被検査領域R内で第1の走査が行われ、第1の走査において検査照射が行われる。第2照射ステップでは、被検査領域内で第1の走査と走査範囲が重複する第2の走査が行われ、第2の走査において検査照射が行われる。この場合、第1照射ステップと第2照射ステップとの走査範囲が重複しているため、検査の正確性がさらに容易に確保される。
【0131】
図3図7に示されているように、第1照射ステップと第2照射ステップとの一方で検査照射が行われる箇所の1つは、他方で検査照射が行われる箇所の2つを通る線分を対角線又は直径とする領域内に位置している。たとえば、図3において、1回目の走査における照射箇所の(3,3)は、2回目の走査における照射箇所の(1,1)と(5,1)を通る線分を対角線又直径とする領域内に位置している。光を照射した位置から検出可能な範囲を把握するのは困難である。しかし、当該検査方法によれば、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置されている。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制されている。このため、欠陥箇所を検出可能な範囲の重複が抑制されれば、検査に要する時間がさらに短縮され得る。
【0132】
図3図7に示されているように、第1照射ステップと第2照射ステップとの一方で検査照射が行われる箇所の1つは、他方で検査照射が行われる箇所の2つの間に位置している。たとえば、図3において、1回目の走査における照射箇所の(3,3)は、2回目の走査における照射箇所の(1,1)と(5,1)との間に位置している。この場合、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置されている。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制されている。
【0133】
図3図7に示されているように、第1照射ステップと第2照射ステップとの一方で検査照射が行われる箇所の少なくとも2つは、他方で検査照射が行われる箇所の1つから等距離に位置している。たとえば、図3において、2回目の走査における照射箇所の(1,1)、(5,1)、(1,5)、(5,5)は、1回目の走査における照射箇所の(3,3)から等距離に位置している。この場合、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置されている。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制されている。
【0134】
図3図7に示されているように、第1照射ステップで検査照射が行われる箇所の数は、第2照射ステップで検査照射が行われる箇所の数よりも少ない。たとえば、図3では、1回目の走査で検査照射が行われる箇所の数が、2回目の走査で検査照射が行われる箇所の数よりも少ない。図5では、2回目の走査で検査照射が行われる箇所の数が、3回目の走査で検査照射が行われる箇所の数よりも少ない。当該検査方法によれば、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲とが重複する場合に、検査に要する時間がより短縮され得る。
【0135】
図3図7に示されているように、第1照射ステップ及び第2照射ステップの一方で検査照射が行われる箇所は、他方で検査照射が行われる箇所の少なくとも1つを通る直線によって半導体デバイスDの被検査領域Rを四分割した複数の領域の各々に位置している。たとえば、図3において、1回目の走査における照射箇所の(3,3)を通る縦線と横線とによって被検査領域Rを四分割した場合、分割された領域の各々に2回目の走査における照射箇所(1,1)、(5,1)、(1,5)、及び(5,5)などが位置している。この場合、第1照射ステップで光が照射される箇所と第2照射ステップで光が照射される箇所とがバランスよく配置されている。このため、第1出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲と第2出力ステップで欠陥箇所を検出可能な範囲との重複が抑制されている。
【0136】
図3図7に示されているように、第1照射ステップ及び第2照射ステップの少なくとも一方において検査照射が行われる複数の箇所は、互いに等間隔で位置している。たとえば、図3において、1回目の走査における照射箇所の(3,3)、(7,3)、(3,7)、(7,7)は互いに等間隔で位置している。この場合、第1照射ステップ及び第2照射ステップの少なくとも一方で光が照射される箇所がバランスよく配置されている。このため、欠陥箇所を検出可能な範囲の重複が抑制されている。
【0137】
半導体デバイス検査方法では、第2の情報に基づいて検査照射をさらに行うと判断された場合に、試験信号が入力されている半導体デバイスに対して、第1照射ステップ及び第2照射ステップで検査照射が行われた箇所と異なる、被検査領域内の少なくとも1つの箇所に検査照射がさらに行われる。以下、このステップを「第3照射ステップ」という。第3照射ステップの間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す情報が出力される。以下、このステップを「第3出力ステップ」といい、第3照射ステップの間に半導体デバイスから出力された出力信号に基づいて被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す情報を「第3の情報」という。図3図4図6、及び図7に示されているように、第3照射ステップで検査照射が行われる箇所の少なくとも1つは、第1照射ステップで検査照射が行われた箇所の1つと第2照射ステップで検査照射が行われた箇所の1つとの間に位置している。たとえば、図3では、3回目の走査における照射箇所の(2,2)は、1回目の走査における照射箇所の(3,3)と2回目の走査における照射箇所の(1,1)との間に位置している。
【0138】
この場合、照射ステップ及び出力ステップが少なくとも3段階に分けられている。このため、第1出力ステップ又は第2出力ステップに基づく検査で欠陥箇所が検出されれば、検査に要する時間が短縮される。第3照射ステップでは、第1照射ステップ及び第2照射ステップで検査照射が行われた箇所と異なる被検査領域R内の照射箇所に検査照射が行われる。このため、第1照射ステップに基づく第1の情報及び第2照射ステップに基づく第2の情報から欠陥箇所の情報が抜けていたとしても、第3照射ステップに基づく第3の情報によって欠陥箇所が検出され得る。この場合、第1照射ステップ及び第2照射ステップにおける照射箇所の位置によらず、検査の正確性が確保される。第3照射ステップで光が照射される箇所の少なくとも1つは、第1照射ステップで光が照射される箇所の1つと第2照射ステップで光が照射される箇所の1つとの間に位置する。このため、第1出力ステップ、第2出力ステップ、及び第3出力ステップのそれぞれで欠陥箇所を検出可能な範囲が重複し難い。
【0139】
検査装置1では、照射箇所設定部12は、光学系5に検査照射を実行させる照射箇所として被検査領域R内の少なくとも1つの箇所を設定する。照射制御部13は、試験信号が入力されている半導体デバイスDに対して、照射箇所設定部12で設定された照射箇所に検査照射が行われるように光学系5を制御する。照射箇所設定部12は、走査判断部15で検査照射をさらに行うと判断された場合に、既に照射箇所として設定されかつ光が照射された箇所と異なる被検査領域R内の少なくとも1つの箇所を照射箇所として新たに設定する。このため、前の検査照射に基づく解析部14からの出力において欠陥箇所の情報が抜けていたとしても、後の検査照射に基づく解析部14からの出力で欠陥箇所が検出される。この場合、前の検査照射における照射箇所の位置によらず、検査の正確性が確保される。
【0140】
当該検査装置1では、解析部14から被検査領域の全体における欠陥箇所の有無を示す情報が出力され、当該情報が出力された後に光学系5によって被検査領域Rに対して検査照射をさらに行うか否かの判断が行われる。このため、前の検査照射に基づく検査に応じて欠陥箇所が検出された場合に、欠陥箇所の検出までに光を照射する照射箇所の数が低減され、大幅に検査に要する時間が短縮され得る。すなわち、検査装置1では、検査の正確性が確保されながら、検査に要する時間の短縮が容易に図られる。
【0141】
解析部14は、照射箇所設定部12で設定された照射箇所に対して光学系5によって検査照射が行われている間に半導体デバイスDから出力された出力信号に基づいて、被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す被検査領域Rの二次元画像を生成し、生成された当該画像を被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報として出力する。この場合、欠陥箇所が存在するか否かを示す二次元画像が生成されるため、ユーザは当該画像を見ることで検査照射をさらに行うか否かを容易に判断できる。
【0142】
照射制御部13は、光学系5に、被検査領域Rを走査させ、当該走査において照射箇所設定部12で設定された照射箇所に検査照射を実行させる。照射制御部13は、走査判断部15で検査照射をさらに行うと判断された場合、光学系5に、既に走査が行われた範囲と重複する範囲を走査させ、当該走査において新たに設定された照射箇所に検査照射を実行させるように、制御する。この場合、前の走査と後の走査との走査範囲が重複しているため、検査の正確性がさらに容易に確保される。
【0143】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0144】
たとえば、照射箇所設定部12は、半導体デバイスDの検査毎に照射箇所の決定を行なわずに、決定された照射箇所を複数の半導体デバイスDの検査に用いてもよい。照射箇所設定部12は、走査毎に当該走査における照射箇所を決定してもよい。情報管理部11に予め保存された走査毎の照射箇所は、ユーザ又は外部の装置によって入力されたものであってもよい。
【0145】
本実施形態及び変形例では、光学系5がラスタースキャンを行うこととしたがこれに限定されない。各走査において、照射箇所設定部12で設定された照射箇所に光が照射されるのであれば、どのように走査が行われてもよい。
【0146】
本実施形態及び変形例では、各走査の照射箇所に応じて走査範囲が変更されることとしたが、これに限定されない。たとえば、全ての走査において同一の範囲で走査が行われつつ、走査毎で設定された照射箇所に検査照射が行われてもよい。
【0147】
本実施形態及び変形例では、被検査領域Rの1回分の走査が終了した後に測定画像を生成するとしたが、走査が行われている間に既に得られた結果信号に基づいて測定画像が逐次生成されてもよい。この場合も、走査判断部15は、被検査領域Rの1回分の走査に応じた測定結果、すなわち、被検査領域Rの全体における欠陥箇所の有無を示す情報が解析部14から出力された後に、さらに走査を行うか否かを判断する。
【符号の説明】
【0148】
1…半導体デバイス検査装置、5…光学系、12…照射箇所設定部、13…照射制御部、14…解析部、15…走査判断部、D…半導体デバイス、R…被検査領域。
図1
図2
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図8