(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】モータ用搭載機器の電線引出し構造
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20221014BHJP
H02K 7/106 20060101ALI20221014BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K7/106
H05K7/00 L
(21)【出願番号】P 2018205776
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】友野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】茂木 寛志
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-094402(JP,A)
【文献】特開平07-245909(JP,A)
【文献】特開昭62-281742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 7/106
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの反出力軸側にモータ用搭載機器を組み付け、
前記モータ用搭載機器の電線をパネルロック型コネクタに接続し、
前記モータ用搭載機器の保護カバーにコネクタ保持部を設け、
該コネクタ保持部に前記パネルロック型コネクタを組み付け、
前記パネルロック型コネクタに、接続用コネクタを介して配線用電線を接続し
、
前記パネルロック型コネクタの取付部外周面に、該パネルロック型コネクタの周囲に沿って前記接続用コネクタとの接続部の外周を囲むコネクタ保護壁が設けられていることを特徴とするモータ用搭載機器の電線引出し構造。
【請求項2】
前記保護カバーのコネクタ保持部に設けられた取付穴の縁部に係合
し、前記パネルロック型コネクタの挿入方向に対してロック作用を有する係止部を
、前記パネルロック型コネクタ
の一対の側壁面に設けたことを特徴とする請求項
1に記載のモータ用搭載機器の電線引出し構造。
【請求項3】
前記係止部において、前記パネルロック型コネクタの先端部に対して後端壁部を斜めに傾斜させ、前記先端部から長手方向の前記後端壁部を傾斜して浮き上がらせた係止片を設け、
前記後端壁部の下部に薄板部が長手方向に延設され、
前記薄板部の後方には、前記後端壁部に対向する壁部がストッパ壁として設けられ、
前記後端壁部と前記壁部との間の凹部に、前記取付穴の縁部が係合して組み付けられていることを特徴とする請求項2に記載のモータ用搭載機器の電線引出し構造。
【請求項4】
前記保護カバーに設けられたコネクタ保持部材を、着脱可能に前記保護カバーに装着し、前記コネクタ保持部材に組み付けられた前記パネルロック型コネクタを、前記コネクタ保持部材を前記保護カバーに組み付けることで前記モータ用搭載機器の電線を引き出すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のモータ用搭載機器の電線引出し構造。
【請求項5】
前記モータ用搭載機器は、電動機の回転軸を制動する電磁ブレーキであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のモータ用搭載機器の電線引出し構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用搭載機器に関するもので、特にモータ用搭載機器の電線引出し構造に関するものである。ここでの、モータ用搭載機器とは、電磁ブレーキ、エンコーダ、レゾルバなど、モータの回転軸の出力軸側とは反対側の回転軸に搭載され、電力または信号用の電線を持つものをいう。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のモータ用搭載機器の電線引出し構造として、ブレーキ付きモータのブレーキリード引出し構造を示した特許文献1がある。
特許文献1には、モータの回転軸を制動する電磁ブレーキと、前記電磁ブレーキのブレーキ口出し線に接続したキャノンプラグに代表される動力コネクタと、前記電磁ブレーキを収納し、前記動力コネクタの端子部を外壁側から収納する口出し貫通孔部を設けたブラケットを備え、前記電磁ブレーキと動力コネクタは、それぞれブラケットにネジ固定されている。
したがって、動力コネクタをブラケットにネジ固定する手間や、動力コネクタに電磁ブレーキのブレーキ口出し線をはんだ付けする手間、さらに、金属製のコネクタを使用して、金属製のブラケットが必要となるため、高価になるという問題点があった。
特許文献2には、電動機の口出し線用コネクタ取付装置として、安価な樹脂製のコネクタハウジングを採用し、ネジ固定を使わないコネクタ固定構造が示されている。また、特許文献2においては、電動機そのものの口出し線用のコネクタ固定構造であるが、電磁ブレーキ、エンコーダなどのモータ搭載機器の口出し線用にも応用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-189110号公報
【文献】特開平03-239140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の口出し線用コネクタ取付装置にあっては、口出し線が接続されたコネクタをフレームのコネクタ挿入部に挿入し、コネクタの抜け止め片をコネクタ挿入部の刻設されたコネクタ抜止め溝に嵌入させ、フレームの端部にブラケットをボルト等で螺着して閉止することで、コネクタはフレームのコネクタ挿入部内に狭着され、抜き差し不能に装着される。このような構造になっていたため、フレームのコネクタ挿入部にコネクタ抜止め溝を刻設する必要があり、また、コネクタに抜け止め片を設ける必要があることから、特殊なコネクタが必要になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点(欠点)に着目してなされたもので、樹脂製の保護カバーに、市販のパネルロック型コネクタを保持する穴及び、その穴の周囲に保護壁を設け、その穴にモータ用搭載機器の電線を接続したパネルロック型コネクタを挿入し、パネルロック型コネクタの係止部により前記保持する穴と固定することにより、上記の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、モータの反出力軸側にモータ用搭載機器を組み付け、前記モータ用搭載機器の電線をパネルロック型コネクタに接続し、前記モータ用搭載機器の保護カバーにコネクタ保持部を設け、該コネクタ保持部に前記パネルロック型コネクタを組み付け、前記パネルロック型コネクタに、接続用コネクタを介して配線用電線を接続し、前記パネルロック型コネクタの取付部外周面に、該パネルロック型コネクタの周囲に沿って前記接続用コネクタとの接続部の外周を囲むコネクタ保護壁が設けられていることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータ用搭載機器用の電力電線または、信号電線の保護カバーへの固定に、パネルロック型コネクタを使用することで、ねじなどの締結部品が不要となり、構造を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は、本発明の実施の形態である電線引出し構造部の断面図、(b)は、
図1(a)の接続用コネクタの着脱を示した図である。
【
図2】(a)は、本発明の実施の形態である電線引出し構造部を示す斜視図、(b)は
図2(a)の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図3】パネルロック型コネクタのパネル取り付け斜視図である。
【
図4】(a)は、本発明の他の実施の形態である電線引出し構造部の分解斜視図、(b)は、
図4(a)の保護カバーを組み付けた状態の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳細に説明する。
図1ないし
図3は、本発明の一実施の形態を示したもので、
図1(a)は、本発明の実施の形態である電線引出し構造部の断面図、
図1(b)は、
図1(a)の接続用コネクタの着脱を示した図、
図2(a)は、本発明の実施の形態である電線引出し構造部を示す斜視図、
図2(b)は
図2(a)の一部を切り欠いて示す斜視図、
図3はパネルロック型コネクタのパネル取り付け斜視図である。
【0010】
図1(a)(b)および
図2(a)(b)において、1はモータで、2はこのモータ1に組み付けられた電磁ブレーキである。この電磁ブレーキ2は、樹脂製の保護カバー3に内装されている。電磁ブレーキ2の制御用電線4aには、保護カバー3の側壁に設けられた四辺形の取付孔5に組み付けられる略直方体のパネルロック型コネクタ6に接続されている。パネルロック型コネクタ6には、配線用電線4bが接続された搭載機器への接続用コネクタ7が組み付けられるものである。
パネルロック型コネクタ6には、一対の側壁面6aに、挿入方向に対してロック作用を有する係止部(ロック部)6bが設けられており、この係止部6bを介して前記取付孔5の縁部3aに係合して取り付けられている。前記取付孔5周囲の外壁面3bには、パネルロック型コネクタ6の外周を囲むコネクタ保護壁8が設けられている。
【0011】
図3は、パネルロック型コネクタ6の係止部6bを保護カバー3の取付孔5へ組み付ける組付け構造を示したものである。
パネルロック型コネクタ6の幅の狭い側壁面6aには、先端部9aに対して後端壁部9bを斜めに傾斜させて、先端部9aから長手方向の後端壁部9bを傾斜して浮き上がらせた係止片9を設け、この係止片9の後端壁部9bの下部に薄板部9cが長手方向に延設されている。係止片9の薄板部9cの後方には、係止片9の後端壁部9bに対向する壁部6cがストッパ壁として設けられている。係止片9の後端壁部9bと壁部6c間の凹部9dに取付孔5の縁部3aが係合して組み付けられている。
係止部(ロック部)6bは、制御盤などのパネルの取付孔5に挿入することで固定されるもので、コネクタメーカーから市場で販売され、容易に入手できるものである。
【0012】
次に、上記の実施の形態の作用を説明する。
モータ1に組み付けられた電磁ブレーキ2の制御用電線4aには、パネルロック型コネクタ6が接続されている。
前記取付穴5に、パネルロック型コネクタ6を挿入し、係止片9の後端壁部9bが取付孔5の縁部3aに係止されることにより、係止片9の後端壁部9bと保護カバー3とパネルロック型コネクタ6が固定できる。
パネルロック型コネクタ6を取り付けた保護カバー3をモータに取り付け、
図1(b)に示すように、配線用電線4bを接続した接続用コネクタ7を、パネルロック型コネクタ6に装着することで、配線用電線4bが電磁ブレーキ2の制御用電線4aに
図1(a)のように接続される。
【0013】
モータ1が装置の稼動部に装着される場合など、配線用電線4bが動かされる場合があるが、パネルロック型コネクタ6および装着した接続用コネクタ7は、保護カバー3の取付穴5の外側外周に設けられたコネクタ保護壁8によって、力が加わらないように保護されているので、コネクタの接触不良を防止することができる。
前記保護カバー3の取付穴5の縁部3aに係合する係止部6bを前記パネルロック型コネクタ6の外周面に設けたので、パネルロック型コネクタ6を取付穴5に挿入することで、係止片9の後端壁部9bと壁部6c間の凹部9dに取付孔5の縁部3aが係合してパネルロック型コネクタ6を保護カバー3の取付穴5に組み付けることができる。
【0014】
図4(a)(b)は、本発明の他の実施の形態で
図2(a)(b)と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して示す。
図4(a)は、本発明の他の実施の形態である電線引出し構造部の分解斜視図、
図4(b)は、
図4(a)の保護カバーを組み付けた状態の部分断面斜視図である。
図4(a)および、
図4(b)では、保護カバー13は部分切断図である。
この実施の形態では、保護カバー13と、パネルロック型コネクタ6を保持するコネクタ保持部材10を分離させたもので、コネクタ保持部材10を保護カバー13に組み付けることにより、コネクタ保持部材10を保護カバー13と一体に構成している。コネクタ保持部材10には、
図1、
図2の取付穴5に相当する部分が設けられている。
【0015】
コネクタ保持部材10は、パネルロック型コネクタ6を挿入し係止部(ロック部)6aで固定する取付穴10aと、コネクタ保護壁10bと、保護カバー13の切り欠き部13aに嵌合する嵌合部10cが設けられている。嵌合部10cは、コネクタ保護壁10bの外側縁部を逆U字形状に形成して、両側側部に溝10dを形成することで形成されている。また、二枚のプレートを一定間隔で張り合わせることでコネクタ保護壁10bを形成してもよい。この場合、二枚のプレート相互間に溝10dが形成される。
【0016】
そして、パネルロック型コネクタ6をコネクタ保持部品10の取付穴10aに挿入して係止部6aで固定する。コネクタ保持部材10の嵌合部10cを、保護カバー13の切り欠き部13aと嵌め合わせて保護カバー13をモータ1に取り付けることで、コネクタ保持部材10が固定される。
【0017】
次に配線用電線4bに接続した接続用コネクタ7を、パネルロック型コネクタ6に装着することで、
図1,2と同様の構成となる。
保護カバー13とコネクタ保持部材10を別部品とすることで、保護カバー13の樹脂成形がシンプルな構造にできる。また、保護カバー13とコネクタ保持部材10を別々の樹脂材料とすることができる。
【0018】
以上説明したように、上記実施の形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
モータ用搭載機器用の電力電線または、信号電線の保護カバーへの固定に、パネルロック型コネクタを使用することで、ねじなどの締結部品が不要となり、構造を簡単にすることができる。
【0019】
電線同士の接続はコネクタを使用しているので、コネクタ挿入のみであり、電線接続作業も簡単にすることができ、配線用電線の長さを自由に選択できる。
コネクタ保護壁により、コネクタをさらに強固に固定することができ、外部から力が作用しても、コネクタの接触不良となることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、モータ用搭載機器として電磁ブレーキ2の例で説明したが、電磁ブレーキ2に拘らず、エンコーダ、レゾルバなど、モータの反出力軸側に搭載され、電力電線、信号電線などの電線を保持しているものについて、適用できる。等、本発明の技術的範囲を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0021】
1 モータ
2 電磁ブレーキ
3 保護カバー
3a 縁部
3b 外壁面
4a 制御用電線
4b 配線用電線
5 取付孔
6 パネルロック型コネクタ
6b 係止部
7 接続用コネクタ
8 コネクタ保護壁
9 係止片
9a 先端部
9b 後端壁部
9c 薄板部
10 コネクタ保持部品
10a 取付穴
10b コネクタ保護壁
13 保護カバー