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  • 特許-非水電解液二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】非水電解液二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20221014BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20221014BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20221014BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221014BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20221014BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20221014BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M50/414
H01M50/417
H01M50/42
H01M50/423
H01M50/426
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/451
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018206791
(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2020072045
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127498
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100146329
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 栄子
(72)【発明者】
【氏名】倉金 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】有瀬 一郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 力
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107848(JP,A)
【文献】特開2017-226122(JP,A)
【文献】特開2011-154987(JP,A)
【文献】特開2001-338684(JP,A)
【文献】特開2018-200875(JP,A)
【文献】特開2018-190710(JP,A)
【文献】特開2019-029336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/36-10/39
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機フィラーと樹脂とを含む多孔質層、非水電解液、正極および負極を備え、
前記正極と前記負極との間にポリオレフィン多孔質フィルムが配置され、かつ、前記多孔質層が、前記ポリオレフィン多孔質フィルムと、前記正極および前記負極の少なくとも一方との間に配置され、
前記多孔質層は、下記式(1)で表される値が、0.10~0.42の範囲であり、
|1-T/M|・・・(1)
(式(1)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
前記非水電解液は、電解質、有機溶媒および添加剤を含み、
前記電解質が、LiClO 、LiPF 、LiAsF 、LiSbF 、LiBF 、LiCF SO 、LiN(CF SO 、LiC(CF SO 、Li 10 Cl 10 、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩およびLiAlCl からなる群から1種以上選択される電解質であり、
前記有機溶媒が、エチレンカーボネートである環状化合物と、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートからなる群から1種以上選択される鎖状化合物とを、環状化合物:鎖状化合物=2:8~4:6(体積比)の割合にて混合してなる混合溶媒であり、
前記添加剤が、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.3%以上、5.3%以下である添加剤であり、
前記非水電解液は、前記添加剤を0.5ppm以上、300ppm以下含有する、非水電解液二次電池。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
(式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表し、
LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。)
【請求項2】
前記多孔質層が、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に積層されている、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
【請求項3】
前記多孔質層が、ポリオレフィン、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より1種以上選択される樹脂を含む、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
【請求項4】
上記ポリアミド系樹脂がアラミド樹脂である、請求項3に記載の非水電解液二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池等の非水電解液二次電池は、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器に用いる電池として広く使用されている。
【0003】
非水電解液二次電池として、例えば、特許文献1に記載されたような微粒子としてベーマイト(板状粒子)を含有する多孔質層で形成された電池用セパレータを備える非水電解液二次電池が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-108753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、ハイレート放電後の充電容量の観点からは改善の余地があった。
【0006】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハイレート放電後の充電容量に優れた非水電解液二次電池を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1に係る非水電解液二次電池は、無機フィラーと樹脂とを含む多孔質層、非水電解液、正極および負極を備え、
前記多孔質層は、下記式(1)で表される値が、0.10~0.42の範囲であり、
|1-T/M|・・・(1)
(式(1)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
前記非水電解液は、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下である添加剤を0.5ppm以上、300ppm以下含有する。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
(式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表し、
LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。)
また、本発明の態様2に係る非水電解液二次電池は、前記態様1において、前記多孔質層が、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に積層されている。
【0008】
また、本発明の態様3に係る非水電解液二次電池は、前記態様1または2において、前記多孔質層が、ポリオレフィン、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より1種以上選択される樹脂を含む。
【0009】
また、本発明の態様4に係る非水電解液二次電池は、前記態様3において、上記ポリアミド系樹脂がアラミド樹脂である。
【0010】
また、本発明の態様5に係る非水電解液二次電池は、前記態様1~4のいずれか1つにおいて、前記非水電解液が、リチウムを含有している電解質を含む。
【0011】
また、本発明の態様6に係る非水電解液二次電池は、前記態様1~5のいずれか1つにおいて、前記非水電解液が、非プロトン性極性溶媒を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、ハイレート放電(例えば、10Cの放電)後の1C充電容量に優れた非水電解液二次電池を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】無機フィラーを含む多孔質層における、無機フィラーの配向性が大きい場合(左図)および無機フィラーの配向性が小さい場合(右図)の、当該多孔質層の構造を表す模式図である。
図2】スクラッチ試験における、装置およびその操作を示す図である。
図3】スクラッチ試験の結果から作成したグラフにおける、臨界荷重および臨界荷重までの距離を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0015】
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、後述する多孔質層、正極、負極および非水電解液を備える。また、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、後述するポリオレフィン多孔質フィルムをさらに備え得る。
【0016】
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を構成する部材について以下に詳述する。
【0017】
[多孔質層]
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーと樹脂とを含む多孔質層であって、下記式(1)または(2)で表される値が、0.10~0.42の範囲にある。
【0018】
|1-T/M|・・・(1)
1-T/M・・・(2)
(式(1)および(2)中、Tは、TD(Transverse Direction)における0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MD(Machine Direction)における0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
本発明の一実施形態において、多孔質層は、非水電解液二次電池を構成する部材として、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置され得る。前記多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に形成され得る。或いは、前記多孔質層は、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層上に形成され得る。或いは、前記多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に、これらと接するように配置されてもよい。ポリオレフィン多孔質フィルムと正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置される多孔質層は1層でもよく2層以上であってもよい。多孔質層は、樹脂を含む絶縁性の多孔質層であることが好ましい。
【0019】
ポリオレフィン多孔質フィルムの片面に多孔質層が積層される場合には、当該多孔質層は、好ましくは、ポリオレフィン多孔質フィルムにおける正極と対向する面に積層される。より好ましくは、当該多孔質層は、正極と接する面に積層される。
【0020】
上述のスクラッチ試験により測定された、TDにおける臨界荷重までの距離(T)と、MDにおける臨界荷重までの距離(M)との割合は、多孔質層における無機フィラーの配向性を表す指標である。このTとMとの割合を、以下、単に「式(1)および(2)」とも称する。ここで、前記配向性が高い、すなわち異方性を示す場合と、前記配向性が低い場合、すなわち等方性を示す場合の、多孔質層における無機フィラーの様態の模式図を図1に示す。図1の左図が、無機フィラーを含む多孔質層における、無機フィラーの配向性が大きく異方性を示す場合の当該多孔質層の構造を表す模式図であり、図1の右図が、無機フィラーの配向性が小さく等方性を示す場合の当該多孔質層の構造を表す模式図である。
【0021】
本発明の一実施形態における多孔質層は、内部に多数の細孔を有し、これら細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体或いは液体が通過可能となった層である。また、本発明の一実施形態における多孔質層が非水電解液二次電池用積層セパレータを構成する部材として使用される場合、前記多孔質層は、当該積層セパレータの最外層として、電極と接する層となり得る。
【0022】
本発明の一実施形態における多孔質層に含まれる樹脂は、電池の電解液に不溶であり、また、その電池の使用範囲において電気化学的に安定であることが好ましい。前記樹脂としては、具体的には、例えば、ポリオレフィン;(メタ)アクリレート系樹脂;含フッ素樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ゴム類;融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂;水溶性ポリマー;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
【0023】
上述の樹脂のうち、ポリオレフィン、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂および水溶性ポリマーが好ましい。
【0024】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、およびエチレン-プロピレン共重合体等が好ましい。
【0025】
ポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミドおよび全芳香族ポリアミドなどのアラミド樹脂が好ましい。
【0026】
アラミド樹脂としては、具体的には、例えば、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(メタベンズアミド)、ポリ(4,4’-ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン-4,4’-ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン-4,4’-ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン-2,6-ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン-2,6-ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2-クロロパラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6-ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、メタフェニレンテレフタルアミド/2,6-ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等が挙げられる。このうち、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)がより好ましい。
【0027】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン-プロピレン共重合体等が好ましい。
【0028】
含フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリクロロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、及びエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等、並びに、前記含フッ素樹脂の中でもガラス転移温度が23℃以下である含フッ素ゴムを挙げることができる。
【0029】
ポリエステル系樹脂としては、ポリアリレートなどの芳香族ポリエステルおよび液晶ポリエステルが好ましい。
【0030】
ゴム類としては、スチレン-ブタジエン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0031】
融点又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂としては、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド等を挙げることができる。
【0032】
水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸等を挙げることができる。
【0033】
含フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリクロロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、およびエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等、並びに、前記含フッ素樹脂の中でもガラス転移温度が23℃以下である含フッ素ゴムを挙げることができる。
【0034】
なお、本発明の一実施形態に係る多孔質層に含まれる樹脂は、1種類でもよく、2種類以上の樹脂の混合物でもよい。
【0035】
前記樹脂の中でも、多孔質層が正極に対向して配置される場合には、電池作動時の酸化劣化による、非水電解液二次電池のレート特性や抵抗特性等の各種性能を維持し易いため、含フッ素樹脂が好ましい。
【0036】
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーを含む。その含有量の下限値は、前記フィラーと、本発明の一実施形態に係る多孔質層を構成する樹脂との総重量に対して、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。一方、本発明の一実施形態に係る多孔質層における、無機フィラーの含有量の上限値は、99重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがより好ましい。前記フィラーの含有量が、50重量%以上であることが耐熱性の観点から好ましく、前記フィラーの含有量が、99重量%以下であることがフィラー間の密着性の観点から好ましい。無機フィラーを含有することで、前記多孔質層を含むセパレータの滑り性や耐熱性を向上し得る。無機フィラーとしては、非水電解液に安定であり、かつ、電気化学的に安定なフィラーであれば特に限定されない。電池の安全性を確保する観点からは、耐熱温度が150℃以上のフィラーが好ましい。
【0037】
前記無機フィラーは、特に限定されないが、通常、絶縁性フィラーである。前記無機フィラーは、好ましくは、アルミニウム元素、亜鉛元素、カルシウム元素、ジルコニア元素、ケイ素元素、マグネシウム元素、バリウム元素、およびホウ素元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む無機物であり、好ましくはアルミニウム元素を含む無機物である。また、無機フィラーは、好ましくは前記金属元素の酸化物を含む。
【0038】
具体的には、無機フィラーとして、チタン酸化物、アルミナ(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ジルコニア(ZrO)、シリカ、マグネシア、酸化バリウム、酸化ホウ素、マイカ、ワラストナイト、アタパルジャイト、ベーマイト(アルミナ1水和物)などを挙げることができる。前記無機フィラーとしては、1種類のフィラーを単独で使用してもよく、2種類以上のフィラーを組み合わせて使用してもよい。
【0039】
本発明の一実施形態における多孔質層における無機フィラーは、アルミナ及び板状フィラーを含むことが好ましい。前記板状フィラーとしては、上で挙げた金属酸化物のうち、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、マイカおよびベーマイトからなる群より選ばれる1以上のフィラーを挙げることができる。
【0040】
前記無機フィラーの体積平均粒子径は、良好な接着性と滑り性の確保、および積層体の成形性の観点から、0.01μm~11μmの範囲であることが好ましい。その下限値としては0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。その上限値としては10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。
【0041】
前記無機フィラーの形状は、任意であり、特に限定されない。前記無機フィラーの形状は、粒子状であり得、例えば、球形状;楕円形状;板状;棒状;鱗片状;不定形状;繊維状;ピーナッツ状および/またはテトラポット状のように単一粒子が熱融着した形状の何れでもよい。電池の短絡防止の観点から、前記無機フィラーは、板状の粒子、および/または、凝集していない一次粒子であることが好ましく、イオン透過の観点からは、多孔質中の粒子が最密充填され難い、不定形状;繊維状;ピーナッツ状および/またはテトラポット状のように単一粒子が熱融着した形状が好ましく、特に、ピーナッツ状および/またはテトラポット状のように単一粒子が熱融着した形状が、さらに好ましい。
【0042】
フィラーは、多孔質層の表面に微細な凹凸を形成することで滑り性を向上させ得るものであるが、フィラーが板状の粒子および/または凝集していない一次粒子である場合には、フィラーによって多孔質層の表面に形成される凹凸がより微細になり、多孔質層と電極との接着性がより良好となる。
【0043】
本発明の一実施形態における多孔質層に含まれる、無機フィラーを構成する金属酸化物の酸素原子質量百分率は、10%~50%であることが好ましく、20%~50%であることがより好ましい。本発明において、「酸素原子質量百分率」とは、金属酸化物全体の総質量に対する、当該金属酸化物中の酸素原子の質量の比を百分率で表したものを意味する。例えば、酸化亜鉛の場合、亜鉛の原子量:65.4、酸素の原子量:16.0より酸化亜鉛(ZnO)の分子量が65.4+16.0=81.4であることから、酸化亜鉛中の酸素原子質量百分率は16.0/81.4×100=20(%)である。
【0044】
前記金属酸化物の酸素原子質量百分率が上述の範囲であることは、後述する多孔質層の製造方法にて使用する塗工液中の溶媒または分散媒と、前記無機フィラーとの親和性を好適に保ち、前記無機フィラー間を適切な距離に保つことにより、塗工液の分散性を良好にすることができ、その結果、上述の式(1)および(2)を適切な規定範囲に制御することができる面において好ましい。
【0045】
本発明の一実施形態における多孔質層は、上述の無機フィラーおよび樹脂以外のその他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、例えば、界面活性剤やワックス、バインダー樹脂などを挙げることができる。また、前記その他の成分の含有量は、多孔質層全体の重量に対して、0重量%~50重量%であることが好ましい。
【0046】
本発明の一実施形態における多孔質層における平均膜厚は、電極との接着性および高エネルギー密度を確保する観点から、多孔質層一層当たり、0.5μm~10μmの範囲であることが好ましく、1μm~5μmの範囲であることがより好ましい。
【0047】
多孔質層の単位面積当たりの目付は、多孔質層の強度、膜厚、重量およびハンドリング性を考慮して適宜決定することができる。多孔質層の単位面積当たりの目付は、多孔質層一層当たり、0.5~20g/mであることが好ましく、0.5~10g/mであることがより好ましい。
【0048】
多孔質層の単位面積当たりの目付をこれらの数値範囲とすることにより、非水電解液二次電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を高くすることができる。多孔質層の目付が前記範囲を超える場合には、非水電解液二次電池が重くなる傾向がある。
【0049】
本発明の一実施形態における多孔質層は、イオン透過性の観点から十分に多孔化された構造であることが好ましい。具体的には、空孔率が30%~60%の範囲であることが好ましい。また、本発明の一実施形態における多孔質層は、平均孔径が20nm~100nmの範囲であることが好ましい。
【0050】
<多孔質層表面のTD/MD比>
本発明の一実施形態における多孔質層は、以下の式(1)で表される値が、0.10~0.42の範囲であることが好ましく、0.10~0.40の範囲であることがより好ましく、0.10~0.30の範囲であることがさらに好ましい。
【0051】
|1-T/M|・・・(1)
(式(1)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
また、本発明の一実施形態における多孔質層は、以下の式(2)で表される値が、0.10~0.42の範囲であることが好ましく、0.10~0.40の範囲であることがより好ましく、0.10~0.30の範囲であることがさらに好ましい。
【0052】
1-T/M・・・(2)
(式(2)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
上記式(1)、式(2)にて表される値は、スクラッチ試験における臨界荷重までの距離の異方性を示す値であり、その値がゼロに近いほど、上記臨界荷重までの距離が等方性であることを示す。
【0053】
本発明の一実施形態における「スクラッチ試験」とは、図2に示すように、圧子に一定の荷重をかけ、測定対象の多孔質層をポリオレフィン多孔質フィルムに積層した積層体を厚み方向に圧縮変形させた状態で水平方向に当該積層多孔質フィルムを移動させたときの、ある圧子移動距離における発生応力を測定する試験である。積層体を厚み方向に圧縮変形させた状態とは、すなわち、多孔質層に圧子を押し込んだ状態である。当該試験は、具体的には、以下に示す方法にて実施される:
(1)測定対象の多孔質層をポリオレフィン多孔質フィルムに積層した積層体を20mm×60mmに裁断する。その後、当該裁断した積層体を、30mm×70mmのガラス製プレパラート上に水性糊にて貼合し、25℃の温度下にて一昼夜乾燥させることにより、試験用サンプルを作製する。なお、上記貼合のときは、積層多孔質フィルムとガラス製プレパラートとの間に気泡が入らない様に注意する。
(2)工程(1)にて作製された試験用サンプルを、マイクロスクラッチ試験装置に設置する。当該試験装置におけるダイヤモンド圧子を当該試験用サンプル上に0.1Nの大きさの垂直荷重をかけたままの状態にて、当該試験装置におけるテーブルを、積層体のTDに向けて、5mm/minの速さにて、10mmの距離を移動させる。その間の、上記ダイヤモンド圧子と当該試験用サンプルとの間に発生する応力である摩擦力を測定する。
(3)工程(2)にて測定された応力の変位と、上記テーブルの移動距離との関係を示す曲線グラフを作成する。当該曲線グラフから、図3に示すように、TDにおける、臨界荷重値、および、臨界荷重に至るまでの距離を算出する。
(4)上記テーブルの移動方向をMDに変更して、上述の工程(1)~(3)を繰り返して行い、MDにおける、臨界荷重値、および、臨界荷重に至るまでの距離を算出する。
【0054】
なお、上記スクラッチ試験における、上述した条件以外の測定条件等に関しては、JIS R 3255に記載の方法と同様の条件にて実施される。
【0055】
上記スクラッチ試験にて算出される臨界荷重値までの距離は、(a)積層多孔質フィルム表層の塑性変形容易性の指標、(b)測定面と反対の面へのせん断応力の伝達性の指標となる。上記臨界荷重値までの距離が長いことは、測定対象の積層多孔質フィルムにおいて、(a’)表層部が塑性変形し難く、(b’)測定面と反対の面へのせん断応力の伝達性が低いこと、すなわち、応力が伝わり難いことを示す。
【0056】
なお、TD方向、MD方向における臨界荷重までの距離は、以下に示す積層体の表層に積層している多孔質層の構造因子に強く影響を受けると考えられる。
(i)積層体中の多孔質層におけるMDへの樹脂の配向状態
(ii)積層体中の多孔質層におけるTDへの樹脂の配向状態
(iii)積層体中の多孔質層の厚み方向におけるMD方向、TD方向に配向した樹脂の接触状態
上述の式(1)および(2)が0.42より大きい場合には、多孔質層内部構造の異方性が過度に高い構造となるため、多孔質層内部のイオン透過流路長が長くなる。その結果、前記多孔質層を組み込んだ非水電解液二次電池において、多孔質層のイオン透過抵抗が増加し、当該非水電解液二次電池におけるセパレータの抵抗が増加する。一方、上述の式(1)および(2)が0.10未満である場合には、多孔質層の構造が、過度に高い等方性を有する構造となっていると考えられる。多孔質層の構造が過度に高い等方性を有するときには、当該多孔質層を組み込んだ非水電解液二次電池において、電池作動時の多孔質層の電解液受入能力が過度に高くなる傾向がある。その結果、多孔質層と接し、当該多孔質層へ電解液を供給するセパレータ基材であるポリオレフィン多孔質フィルムおよび電極の電解液供給能力が非水電解液二次電池全体の電解液の流れを律速することになる。結果として、当該非水電解液二次電池におけるセパレータの抵抗が増加する。
【0057】
<中心粒径>
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーの中心粒径が0.1μm~11μmの範囲であることが好ましく、0.1μm~10μmの範囲であることがより好ましく、0.1μm~5μmの範囲であることがさらに好ましく、0.5μmであることが特に好ましい。
【0058】
無機フィラーの中心粒径を測定する方法は、特に限定されないが、例えば、実施例に記載の方法で測定される。
【0059】
無機フィラーの中心粒径が11μmより大きい場合には、耐熱層の膜厚が増加してムラが発生するため、多孔質層のイオン透過にもムラが生じることとなる。その結果、前記多孔質層を組み込んだ非水電解液二次電池におけるセパレータの抵抗が増加する傾向がある。一方、無機フィラーの中心粒径が0.1μm未満である場合には、無機フィラーを含む塗工液の粘度が高くなるため、ダイラタンシー性を発現するおそれがある。その結果、塗工液は塗工性能不良となるため、多孔質層への塗工ムラが発生することがある。また、無機フィラーの中心粒径が小さいため、無機フィラーを結着するために要するバインダー量が増加する。その結果、前記多孔質層を組み込んだ非水電解液二次電池において、多孔質層のイオン透過抵抗が増加し、当該非水電解液二次電池におけるセパレータの抵抗が増加する。
【0060】
<BET比表面積>
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーの単位面積当たりのBET比表面積が100m/g以下であることが好ましく、50m/g以下であることがより好ましく、10m/g以下であってもよい。
【0061】
無機フィラーの単位面積当たりのBET比表面積を測定する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の(1)~(3)に示す工程からなる方法を挙げることができる。
(1)80℃で8時間の真空乾燥により、フィラーの前処理を行う工程。
(2)定容法により、窒素による吸着脱離等温線を測定する工程。
(3)BET法により、フィラーの比表面積を算出する工程。
【0062】
なお、フィラーの比表面積の測定において、前処理を行う装置および測定装置は、特に限定されないが、例えば、前処理を行う装置としてBELPREP-vacII(マイクロトラック・ベル株式会社製)を、測定装置してBELSORP-mini(マイクロトラック・ベル株式会社製)を使用することができる。
【0063】
また、フィラーの比表面積を測定する際の測定条件は、特に限定されることなく、当業者により適宜設定され得る。
【0064】
無機フィラーの単位面積当たりのBET比表面積が100m/gより大きい場合には、BET比表面積の増大によりフィラー給油性が増大し、それに伴い多孔質層の塗料性状が低下し、塗工性不良となるおそれがある。その結果、前記多孔質層を組み込んだ非水電解液二次電池におけるセパレータの抵抗が高くなる傾向がある。
【0065】
<多孔質層の製造方法>
本発明の一実施形態における多孔質層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、基材上に、以下に示す工程(1)~(3)の何れかの1つの工程を用いて、前記無機フィラーと前記樹脂とを含む多孔質層を形成する方法を挙げることができる。以下に示す工程(2)および工程(3)の場合においては、前記樹脂を析出させた後にさらに乾燥させ、溶媒を除去することによって、製造され得る。工程(1)~(3)における塗工液は、前記無機フィラーが分散しており、かつ、前記樹脂が溶解している状態であってもよい。なお、前記溶媒は、樹脂を溶解させる溶媒であるとともに、樹脂または無機フィラーを分散させる分散媒であるとも言える。
【0066】
(1)前記無機フィラーおよび前記樹脂の微粒子を含む塗工液を、基材上に塗工し、前記塗工液中の溶媒を乾燥除去することによって多孔質層を形成させる工程。
【0067】
(2)前記無機フィラーおよび前記樹脂を含む塗工液を、前記基材の表面に塗工した後、その基材を前記樹脂に対して貧溶媒である、析出溶媒に浸漬することによって、前記樹脂を析出させ、多孔質層を形成する工程。
【0068】
(3)前記無機フィラーおよび前記樹脂を含む塗工液を、前記基材の表面に塗工した後、低沸点有機酸を用いて、前記塗工液の液性を酸性にすることによって、前記樹脂を析出させ、多孔質層を形成する工程。
【0069】
前記基材には、後述するポリオレフィン多孔質フィルムの他に、その他のフィルム、正極および負極などを用いることができる。
【0070】
前記溶媒は基材に悪影響を及ぼさず、前記樹脂を均一かつ安定に溶解し、前記無機フィラーを均一かつ安定に分散させる溶媒であることが好ましい。前記溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトンおよび水等が挙げられる。
【0071】
前記析出溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコールまたはt-ブチルアルコールを用いることが好ましい。
【0072】
前記工程(3)において、低沸点有機酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、酢酸等を使用することができる。
【0073】
また、本発明の一実施形態に係る多孔質層の配向性、すなわち、上述の式(1)および(2)を制御する方法として、以下に示すように、多孔質層の製造に使用する、前記無機フィラーおよび前記樹脂を含む塗工液の固形分濃度、並びに、前記塗工液を基材上に塗工する際の塗工せん断速度を調節することを挙げることができる。
【0074】
前記塗工液の好適な固形分濃度は、フィラーの種類などによって変化し得るが、一般には、20重量%より大きく40重量%以下であることが好ましい。前記固形分濃度が上述の範囲であることは、前記塗工液の粘度を適切に保ち、その結果、上述の式(1)および(2)を上述の好適な範囲に制御することができるため好ましい。
【0075】
前記塗工液を基材上に塗工する際の塗工せん断速度は、フィラーの種類などによって変化し得るが、一般には、2(1/s)以上であることが好ましく、4(1/s)~50(1/s)であることがより好ましい。
【0076】
ここで、例えば、前記無機フィラーとして、六角板状酸化亜鉛のような板状金属酸化物を用いた場合、前記塗工せん断速度を大きくすると、高せん断力が金属酸化物にかかるため、異方性に配向するようになり、上述の式(1)および(2)が規定の範囲内の値となる。一方、前記塗工せん断速度を小さくするとせん断力が金属酸化物にかからないため、等方的に配向するようになり、上述の式(1)および(2)が規定の範囲より小さくなる。
【0077】
一方、前記無機フィラーが繊維径の長いワラストナイトのような長繊維径金属酸化物である場合には、前記塗工せん断速度を大きくすると、長繊維どうしが絡みあう、あるいはドクターブレードの刃に長繊維がひっかかるためばらばらの配向になり、配向は異方性となり、上述の式(1)および(2)が規定の範囲内に入る。一方、前記塗工せん断速度を小さくすると、長繊維が互いおよびドクターブレードの刃にひっかからないので、配向しやすくなり、配向は等方性となり、上述の式(1)および(2)が規定の範囲より大きくなる。
【0078】
[非水電解液]
本発明の一実施形態における非水電解液は、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下である添加剤を0.5ppm~300ppm含有する。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。
【0079】
前記添加剤は、式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下であることを充足する化合物であれば特に限定されない。そのような化合物としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、トリエチルフォスフェイト、ビニレンカーボネート、プロパンサルトン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、ジブチルヒドロキシトルエン等を挙げることができる。
【0080】
非水電解液は、電解質と有機溶媒とを含む。前記電解質としては、リチウムを含有している電解質が挙げられる。リチウムを含有している電解質としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、Li10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩およびLiAlCl等のリチウム塩、等の金属塩が挙げられる。前記電解質は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
前記非水電解液を構成する有機溶媒としては、例えば、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、アミド類、カーバメート類および含硫黄化合物、並びにこれらの有機溶媒にフッ素基が導入されてなる含フッ素有機溶媒等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。前記有機溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0082】
前記有機溶媒は、前記参照用電解液と同様に、エチレンカーボネート等の環状化合物とエチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状化合物とを含む混合溶媒であることが好ましい。前記混合溶媒は、前記環状化合物と、前記鎖状化合物とを、好ましくは2:8~4:6の体積比で含み、より好ましくは2:8~3:7の体積比で含み、特に好ましくは3:7の体積比で含む。なお、環状化合物および鎖状化合物を3:7の体積比にて混合した混合溶媒は、非水電解液二次電池の非水電解液に、特に一般に使用される有機溶媒である。
【0083】
本発明の一実施形態における添加剤は、前記参照用電解液のイオン電導度を低下させるものである。前記添加剤を非水電解液に添加することにより、ハイレート放電後の充電容量の低下を抑制できる理由としては、例えば、以下の理由が考えられる。前記添加剤を添加することによって、前記非水電解液中のイオンの解離度が低下し得る。これにより、充放電時、特に高速で電池を作動させた際の、セパレータと電極との界面におけるイオンの枯渇が低減され得る。それによって、ハイレート放電後の充電容量の低下を抑制できる、と考えられる。
【0084】
電極近傍におけるイオンの枯渇を低減させるという観点から、前記非水電解液は、前記添加剤を0.5ppm以上含有し、20ppm以上含有することが好ましく、45ppm以上含有することがより好ましい。
【0085】
一方、前記添加剤の含有量が過剰に多い場合、非水電解液全体のイオンの解離度が過剰に低下することにより、非水電解液二次電池全体におけるイオンの流れが阻害されると考えられる。従って、かえってハイレート放電後の充電容量等の電池特性が低下するおそれがある。非水電解液二次電池全体におけるイオンの流れの阻害を抑制するとの観点から、前記非水電解液は、前記添加剤を300ppm以下含有し、250ppm以下含有することが好ましく、180ppm以下含有することがより好ましい。
【0086】
ここで、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池においては、充放電を繰り返した際、特に高速で電池を作動させた際における正極付近のイオンの解離度は、電解質近傍の添加剤の量に強く影響を受ける。
【0087】
従って、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、非水電解液の種類に関係なく、正極付近のイオンの解離度を好適に小さくすることができる。すなわち、当該非水電解液に含まれる電解質の種類、量、および、含まれる有機溶媒の種類に関係なく、前記添加剤を0.5ppm以上、300ppm以下含有することにより、正極付近のイオンの解離度を好適に小さくすることができる。その結果、ハイレート放電後の充電容量の低下を抑制することができる。
【0088】
前記非水電解液における添加剤の含有量を0.5ppm以上、300ppm以下に制御する方法は、特に限定されないが、例えば、後述する非水電解液二次電池の製造方法にて、非水電解液二次電池の筐体となる容器に注入する前記非水電解液に、前記添加剤を、その含有量が0.5ppm以上、300ppm以下となるように、前もって溶解させる方法等を挙げることができる。
【0089】
[正極]
本発明の一実施形態における正極は、一般に非水電解液二次電池の正極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、正極として、正極活物質および結着剤を含む活物質層が正極集電体上に成形された構造を備える正極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に導電剤を含んでもよい。
【0090】
前記正極活物質としては、例えば、リチウムイオンまたはナトリウムイオン等の金属イオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、具体的には、例えば、V、Mn、Fe、CoおよびNi等の遷移金属を少なくとも1種類含んでいるリチウム複合酸化物が挙げられる。
【0091】
前記導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体等の炭素質材料等が挙げられる。前記導電剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
前記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。なお、結着剤は、増粘剤としての機能も有している。
【0093】
前記正極集電体としては、例えば、Al、Niおよびステンレス等の導電体が挙げられる。中でも、薄膜に加工し易く、安価であることから、Alがより好ましい。
【0094】
正極シートの製造方法としては、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を正極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電剤および結着剤をペースト状にした後、当該ペーストを正極集電体に塗工し、乾燥した後に加圧して正極集電体に固着する方法;等が挙げられる。
【0095】
[負極]
本発明の一実施形態における負極としては、一般に非水電解液二次電池の負極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、負極として、負極活物質および結着剤を含む活物質層が負極集電体上に成形された構造を備える負極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に導電剤を含んでもよい。
【0096】
前記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンまたはナトリウムイオン等の金属イオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、例えば、炭素質材料等が挙げられる。炭素質材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラックおよび熱分解炭素類等が挙げられる。
【0097】
前記負極集電体としては、例えば、Cu、Niおよびステンレス等が挙げられる。リチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工し易いことから、Cuがより好ましい。
【0098】
負極シートの製造方法としては、例えば、負極活物質を負極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にした後、当該ペーストを負極集電体に塗工し、乾燥した後に加圧して負極集電体に固着する方法;等が挙げられる。前記ペーストには、好ましくは前記導電剤および前記結着剤が含まれる。
【0099】
[ポリオレフィン多孔質フィルム]
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池は、ポリオレフィン多孔質フィルムを備えていてもよい。以下では、ポリオレフィン多孔質フィルムを単に「多孔質フィルム」と称することがある。前記多孔質フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体および液体を通過させることが可能となっている。前記多孔質フィルムは、単独で非水電解液二次電池用セパレータとなり得る。また、上述の多孔質層が積層された非水電解液二次電池用積層セパレータの基材ともなり得る。
【0100】
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの少なくとも一方の面上に、前記多孔質層が積層されてなる積層体を、本明細書において、「非水電解液二次電池用積層セパレータ」または「積層セパレータ」とも称する。また、本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用セパレータは、ポリオレフィン多孔質フィルムの他に、接着層、耐熱層、保護層等のその他の層をさらに備えていてもよい。
【0101】
多孔質フィルムに占めるポリオレフィンの割合は、多孔質フィルム全体の50体積%以上であり、90体積%以上であることがより好ましく、95体積%以上であることがさらに好ましい。また、前記ポリオレフィンには、重量平均分子量が5×10~15×10の高分子量成分が含まれていることがより好ましい。特に、ポリオレフィンに重量平均分子量が100万以上の高分子量成分が含まれていると、非水電解液二次電池用セパレータの強度が向上するのでより好ましい。
【0102】
熱可塑性樹脂である前記ポリオレフィンとしては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-ヘキセン等の単量体を重合してなる、単独重合体または共重合体が挙げられる。前記単独重合体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンを挙げることができる。また、前記共重合体としては、例えばエチレン-プロピレン共重合体を挙げることができる。
【0103】
このうち、過大電流が流れることをより低温で阻止することができるため、ポリエチレンがより好ましい。なお、この過大電流が流れることを阻止することをシャットダウンともいう。前記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン-α-オレフィン共重合体)、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。このうち、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンがさらに好ましい。
【0104】
多孔質フィルムの膜厚は、4~40μmであることが好ましく、5~30μmであることがより好ましく、6~15μmであることがさらに好ましい。
【0105】
多孔質フィルムの単位面積当たりの目付は、強度、膜厚、重量およびハンドリング性を考慮して適宜決定することができる。ただし、非水電解液二次電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を高くすることができるように、前記目付は、4~20g/mであることが好ましく、4~12g/mであることがより好ましく、5~10g/mであることがさらに好ましい。
【0106】
多孔質フィルムの透気度は、ガーレ値で30~500sec/100mLであることが好ましく、50~300sec/100mLであることがより好ましい。多孔質フィルムが前記透気度を有することにより、充分なイオン透過性を得ることができる。多孔質フィルムに上述の多孔質層を積層させた非水電解液二次電池用積層セパレータの透気度は、ガーレ値で30~1000sec/100mLであることが好ましく、50~800sec/100mLであることがより好ましい。非水電解液二次電池用積層セパレータは、前記透気度を有することにより、非水電解液二次電池において、充分なイオン透過性を得ることができる。
【0107】
多孔質フィルムの空隙率は、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止する機能を得ることができるように、20~80体積%であることが好ましく、30~75体積%であることがより好ましい。また、多孔質フィルムが有する細孔の孔径は、充分なイオン透過性を得ることができ、かつ、正極および負極への粒子の入り込みを防止することができるように、0.3μm以下であることが好ましく、0.14μm以下であることがより好ましい。
【0108】
[ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法]
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法は特に限定されるものではない。例えば、ポリオレフィン系樹脂と、無機充填剤および可塑剤等の孔形成剤と、任意で酸化防止剤等を混練した後に押し出すことで、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を作製する。適当な溶媒にて当該孔形成剤を当該シート状のポリオレフィン樹脂組成物から除去した後、当該孔形成剤が除去されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸することで、ポリオレフィン多孔質フィルムを製造することができる。
【0109】
上記無機充填剤としては、特に限定されるものではなく、無機フィラー、具体的には炭酸カルシウム等が挙げられる。上記可塑剤としては、特に限定されるものではなく、流動パラフィン等の低分子量の炭化水素が挙げられる。
【0110】
具体的には、以下に示すような工程を含む方法を挙げることができる。
(A)超高分子量ポリエチレンと、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウムまたは可塑剤等の孔形成剤と、酸化防止剤とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(B)得られたポリオレフィン樹脂組成物を一対の圧延ローラで圧延し、速度比を変えた巻き取りローラで引っ張りながら段階的に冷却し、シートを成形する工程、
(C)得られたシートの中から適当な溶媒にて孔形成剤を除去する工程、
(D)孔形成剤が除去されたシートを適当な延伸倍率にて延伸する工程。
【0111】
[非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法]
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法としては、例えば、上述の「多孔質層の製造方法」において、前記塗工液を塗布する基材として、上述のポリオレフィン多孔質フィルムを使用する方法を挙げることができる。
【0112】
言い換えると、前記ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に前記多孔質層が積層されて非水電解液二次電池用積層セパレータが得られる。
【0113】
[非水電解液二次電池の製造方法]
本発明の一実施形態に係る非水二次電池の製造方法としては、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、正極、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび負極をこの順で配置することにより非水電解液二次電池用部材を形成する。ここで、多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと正極および負極の少なくとも一方との間に存在し得る。次いで、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れる。当該容器内を前記非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉する。これにより、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を製造することができる。
【実施例
【0114】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0115】
[測定方法]
実施例および比較例にて製造された多孔質層、非水電解液二次電池用セパレータの物性等、並びに、非水電解液二次電池のハイレート放電後の充電容量を、以下の方法を用いて測定した。
【0116】
(1)膜厚(単位:μm)
非水電解液二次電池用セパレータおよび多孔質層の膜厚は、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機(VL-50)を用いて測定した。多孔質層の膜厚は、各々の積層体において多孔質層が形成されている部分の膜厚から、多孔質層が形成されていない部分の膜厚を引いた値とした。
【0117】
(2)スクラッチ試験
臨界荷重値、および臨界点までの距離、すなわち臨界荷重までの距離のTD/MD比を以下に示すスクラッチ試験にて測定した。以下に記載する以外の測定条件等は、JIS R 3255と同様の条件等にして、測定を行った。また、測定装置は、マイクロスクラッチ試験装置(CSEM Instruments社製)を使用した。
(i)実施例、比較例にて製造された多孔質層を積層した積層体を20mm×60mmに裁断した。その後、水で5倍希釈したアラビックヤマト水性液状糊(ヤマト株式会社製)を、前記裁断した積層体の非水電解液二次電池用セパレータ側、すなわち基材側の全面に、目付1.5g/m程度に少量で薄く塗布した。次いで、その水性液状糊を塗布した面を、30mm×70mmのガラス製プレパラートに貼り合せた後、25℃の温度下にて一昼夜乾燥させることにより、試験用サンプルを作製した。なお、上記貼合のときは、積層体とガラス製プレパラートとの間に気泡が入らない様にした。
(ii)工程(i)にて作製された試験用サンプルを、マイクロスクラッチ試験装置(CSEM Instruments社製)に設置した。当該試験装置における、頂角120°、先端半径0.2mmの円錐状のダイヤモンド圧子を、当該試験用サンプル上に0.1Nの大きさの垂直荷重をかけたままの状態にて、当該試験装置におけるテーブルを、積層体のTDに向けて、5mm/minの速さにて、10mmの距離を移動させた。その間の、上記ダイヤモンド圧子と当該試験用サンプルとの間に発生する応力、すなわち摩擦力を測定した。
(iii)工程(ii)にて測定された応力の変位と、上記テーブルの移動距離との関係を示す曲線グラフを作成した。当該曲線グラフから、TDにおける、臨界荷重値および、臨界荷重に至るまでの距離を算出した。
(iv)上記テーブルの移動方向をMDに変更して、上述の工程(i)~(iii)を繰り返して行い、MDにおける、臨界荷重値および、臨界荷重に至るまでの距離を算出した。
【0118】
(4)イオン電導度低下率(%)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解することにより、参照用電解液を得た。当該参照用電解液に、各添加剤を1%となるように添加して溶解した後、イオン電導度(mS/cm)を測定した。イオン電導度は株式会社堀場製作所製の電気伝導率計(ES-71)を用いて測定した。
イオン電導度低下率は、下記式(A)で表される。
【0119】
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
L:イオン電導度低下率(%)、
LA:添加する前のイオン電導度(mS/cm)、
LB:添加後のイオン電導度(mS/cm)。
【0120】
(5)非水電解液二次電池の電池特性
後述のようにして組み立てた非水電解液二次電池を、25℃で電圧範囲;4.1~2.7V、充電電流値;0.2CのCC-CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2CのCC放電を1サイクルとして、4サイクルの初期充放電を25℃にて実施した。
【0121】
なお、1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする。また、CC-CV充電とは、設定した一定の電流で充電し、所定の電圧に到達後、電流を絞りながら、その電圧を維持する充電方法である。またCC放電とは、設定した一定の電流で所定の電圧まで放電する方法である。これらは、以下も同様である。
【0122】
前記初期充放電を行った非水電解液二次電池に対して、充電電流値1CのCC-CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2C、1C、5C、10Cの順によりCC放電を実施した。各レートにつき充放電を3サイクル、55℃にて実施した。このとき、電圧範囲は2.7V~4.2Vとした。このとき、10C放電レート特性測定時の3サイクル目の1C充電のときの充電容量を測定し、ハイレート放電後の充電容量とした。なお、実施例、比較例にて製造した非水電解液二次電池の設計容量は、20.5mAhであった。
【0123】
[実施例1]
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
ポリエチレンを用いて非水電解液二次電池用セパレータを作製した。具体的には、超高分子量ポリエチレン粉末(340M、三井化学株式会社製)70重量部と、重量平均分子量1000のポリエチレンワックス(FNP-0115、日本精鑞株式会社製)30重量部とを混合して混合ポリエチレンを得た。得られた混合ポリエチレン100重量部に対して、酸化防止剤(Irg1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.4重量部、酸化防止剤(P168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.1重量部、およびステアリン酸ナトリウム1.3重量部を加え、さらに、全体積に占める割合が38体積%となるように、平均粒子径0.1μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製)を加えた。この組成物を粉末のまま、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機で溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂組成物を得た。次いで、このポリエチレン樹脂組成物を、表面温度が150℃に設定された一対のローラにて圧延することにより、シートを作製した。このシートを、4mol/Lの塩酸に0.5重量%の非イオン系界面活性剤を配合して調製した塩酸水溶液に浸漬させることで炭酸カルシウムを溶解して除去した。続いて、当該シートを105℃で6倍に延伸することにより、ポリオレフィン多孔質フィルムを作製した。ポリオレフィン多孔質フィルムの空隙率53%、目付7g/m、膜厚16μmであった。このポリオレフィン多孔質フィルムを、非水電解液二次電池用セパレータ1とした。
【0124】
[多孔質層の製造]
(塗工液の製造)
無機フィラーの原料として、αアルミナ(住友化学株式会社製、商品名:AKP3000)および六角板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:XZ-100F)を用い、無機フィラーとして、αアルミナ99重量部と、六角板状酸化亜鉛1重量部とを、乳鉢で混合しして得た、酸素原子質量百分率47%の混合物を用いた。
【0125】
無機フィラーの体積基準の粒度分布の算出は、島津製作所製 レーザー回折式粒度分布計SALD2200を使用して中心粒径(D50)を測定することにより行った。ここで体積基準による積算分布が50%になる値の粒子径を、D50と呼称する。その結果、αアルミナと六角板状酸化亜鉛との混合物からなる前記無機フィラーの中心粒径は、0.8μmであった。
【0126】
フィラーの比表面積をBELSORP-mini(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。前処理温度80℃で8時間真空乾燥を行ったフィラーを、定容法を用いて、窒素による吸着脱離等温線を測定し、BET法にて算出した。なお、定容法における各種条件は、以下のとおりである:吸着温度;77K、吸着質;窒素、飽和蒸気圧;実測値、吸着質断面積;0.162nm、平衡待ち時間;500sec。ここで、「平衡待ち時間」は、脱着の際の圧力変化が所定の値以下になる状態である吸着平衡状態に達してからの待ち時間を意味する。また、細孔容積は、MP法、BJH法により算出し、前処理装置は、BELPREP-vacII(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いた。その結果、前記フィラーのBET比表面積は、4.5m/gであった。
【0127】
前記樹脂として、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アルケマ株式会社製;商品名「KYNAR2801」)を用いた。
【0128】
前記無機フィラー、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体および溶媒(関東化学株式会社製 N-メチル‐2-ピロリジノン)を、下記割合となるように混合した。すなわち無機フィラー90重量部に対してフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体10重量部を混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合した。得られた混合液を薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス(株)製フィルミク(登録商標))で攪拌および混合して均一な塗工液を得た。
【0129】
(多孔質層の製造)
得られた前記塗工液を、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面にドクターブレード法により、塗工せん断速度39.4(1/s)にて塗工し、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面に塗膜を形成した。その後、前記塗膜を、65℃にて20分間かけて乾燥することで、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面に多孔質層1を形成した。これにより非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層1を備えた積層体1を得た。多孔質層1の目付は7g/mであり、厚みは4μmであった。無機フィラーおよび積層体1の各種物性の測定結果を表1に示す。
【0130】
[非水電解液二次電池の作製]
(正極の作製)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2/導電剤/PVDF(重量比92/5/3)をアルミニウム箔に塗布することにより製造された市販の正極を用いた。前記市販の正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが40mm×35mmであり、かつその外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取って正極とした。正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cmであった。
【0131】
(負極の作製)
黒鉛/スチレン-1,3-ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比98/1/1)を銅箔に塗布することにより製造された市販の負極を用いた。前記市販の負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×40mmであり、かつその外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取って負極とした。負極活物質層の厚さは49μm、の密度は1.40g/cmであった。
【0132】
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で混合した混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液1とした。この電解液原液1はLiイオンを含む非プロトン性極性溶媒電解液である。
【0133】
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT、イオン電導度低下率:5.3%)10.3mgにジエチルカーボネートを加えて溶かして5mLとし、添加液1とした。300μLの添加液1と1700μLの電解液原液1とを混合し、非水電解液1とした。非水電解液1における添加剤の含有量を表2に示す。
【0134】
(非水電解液二次電池の組み立て)
前記正極、前記負極および積層体1および非水電解液1を使用して、以下に示す方法にて非水電解液二次電池を製造した。製造した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池1とした。
【0135】
ラミネートパウチ内で、前記正極、多孔質層を正極側に対向させた積層体1、および負極をこの順で積層することにより、非水電解液二次電池用部材1を得た。このとき、正極の正極活物質層における主面の全部が、負極の負極活物質層における主面の範囲に含まれるように、正極および負極を配置した。すなわち、正極の正極活物質層における主面の全部が、負極の負極活物質層における主面に重なるように、正極および負極を配置した。
【0136】
続いて、非水電解液二次電池用部材1を、予め作製していた、アルミニウム層とヒートシール層とが積層されてなる袋に入れ、さらにこの袋に非水電解液1を0.23mL入れた。そして、袋内を減圧しつつ、当該袋をヒートシールすることにより、非水電解液二次電池1を作製した。
【0137】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池1のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0138】
[実施例2]
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートを3:7の体積比で混合した混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液2とした。
【0139】
ビニレンカーボネート(VC、イオン電導度低下率:1.3%)10.0mgにジエチルカーボネートを加えて溶かして5mLとし、添加液2とした。200μLの添加液2と1800μLの電解液原液2を混合し、この添加液2と電解液原液2との混合液100μLに電解液原液2を900μL加えて、添加液3とした。50μLの添加液3と1950μLの電解液原液2を混合し、非水電解液2とした。非水電解液2における前記添加剤の含有量を表2に示す。
【0140】
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液1の代わりに、非水電解液2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池2とした。
【0141】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池2のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0142】
[実施例3]
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層2とを備えた積層体2を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率が20%である六角板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:XZ-100F)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が37重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度3.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層2を形成したこと。
【0143】
なお、六角板状酸化亜鉛からなる前記無機フィラーの中心粒径は、0.4μmであり、BET比表面積は、7.3m/gであった。無機フィラーおよび積層体2の各種物性の測定結果を表1に示す。
【0144】
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを4:4:2の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液3とした。
【0145】
ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](Irg.1010、イオン電導度低下率:4.0%)11.2mgにジエチルカーボネートを加え、溶解させて5mLとし、添加液4とした。90μLの添加液4と1910μLの電解液原液3とを混合し、非水電解液3とした。非水電解液3における添加剤の含有量を表2に示す。
【0146】
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体2を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池3とした。
【0147】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池3のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0148】
[実施例4]
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層3とを備えた積層体3を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率41%であるワラストナイト(林化成株式会社製、商品名:ワラストナイト VM-8N)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラー及びフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層3を形成したこと。
【0149】
なお、ワラストナイトからなる前記無機フィラーの中心粒径は、10.6μmであり、BET比表面積は、1.3m/gであった。無機フィラーおよび積層体3の各種物性の測定結果を表1に示す。
【0150】
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを2:5:3の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPFをその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液4とした。90μLの添加液4と1910μLの電解液原液4を混合し、非水電解液4とした。非水電解液4における前記添加剤の含有量を表2に示す。
【0151】
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体3を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池4とした。
【0152】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池4のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0153】
[比較例1]
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
トリス-(4-t-ブチル-2,6-ジ-メチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト(Cyanox1790、イオン電導度低下率:6.1%)9.7mgにジエチルカーボネートを加えて溶かして5mLとし、添加液5とした。90μLの添加液5と1910μLの電解液原液1を混合し、非水電解液5とした。非水電解液5における前記添加剤の含有量を表2に示す。
【0154】
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液1の代わりに非水電解液5を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池5とした。
【0155】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池5のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0156】
[比較例2]
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層4とを備えた積層体4を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率71%であるホウ砂(和光純薬製)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層4を形成したこと。
【0157】
なお、ホウ砂からなる前記無機フィラーの中心粒径は、27μmであり、BET比表面積は、2.5m/gであった。無機フィラーおよび積層体4の各種物性の測定結果を表1に示す。
【0158】
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
90μLの添加液4と1910μLの電解液原液1とを混合し、非水電解液6とした。非水電解液6における前記添加剤の含有量を表2に示す。
【0159】
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体4を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液6を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池6とした。
【0160】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池6のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0161】
[比較例3]
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液1の代わりに電解液原液1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池7とした。
【0162】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池7のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0163】
[比較例4]
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層5とを備えた積層体5を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率47%である球状アルミナ(住友化学株式会社製、商品名:AA03)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層5を形成したこと。
【0164】
なお、球状アルミナからなる前記無機フィラーの中心粒径は、0.6μmであり、BET比表面積は、5.7m/gであった。無機フィラーおよび積層体5の各種物性の測定結果を表1に示す。
【0165】
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体5を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液6を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池8とした。
【0166】
その後、上述の方法にて得られた非水電解液二次電池8のハイレート放電後の充電容量の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0167】
[結果]
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
表1、2の記載から、(i)スクラッチ試験における臨界荷重までの距離の異方性に関する要件、および、(ii)非水電解液に含まれる添加剤のイオン電導度低下率および含有量に関する要件を充足する本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、ハイレート放電(10C放電)後の1C充電容量に優れることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、ハイレート放電後の充電容量に優れるため、パーソナルコンピュータ、携帯電話および携帯情報端末などに用いる電池、並びに、車載用電池として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0172】
1 ダイヤモンド圧子
2 基板
3 ポリオレフィンを主成分とする多孔質フィルム
図1
図2
図3