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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】カラオケ用マラカス
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/06 20200101AFI20221014BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G10D13/06 130
G10K15/04 302D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018219996
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020086112
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政之
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-229557(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0272249(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0225353(US,A1)
【文献】特開2004-13147(JP,A)
【文献】特開平7-121158(JP,A)
【文献】特開2001-228866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/06,13/04
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に封入された強磁性体粒状物が、互いにまたは容器の壁と衝突することで発音するカラオケ用マラカスであって、
前記容器内は、それぞれに前記強磁性体粒状物が封入される複数の領域に区画され、
前記領域内の所定位置に設けられ、帯磁可能な固定部と、
前記固定部と磁気的に接続された電磁石と、
少なくとも一つの前記領域内において、前記強磁性体粒状物が互いにまたは前記容器の壁と衝突して発音することで予め設定された音量となるよう、前記電磁石への通電を制御する発音制御部と、
を有するカラオケ用マラカス。
【請求項2】
少なくとも一の前記領域を区画する壁の厚みが、他の前記領域を区画する壁の厚みと異なることを特徴とする請求項1記載のカラオケ用マラカス。
【請求項3】
カラオケ装置から、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、前記発音制御部は、前記カラオケ用マラカスが発音する音量が所定の音量となるよう、前記電磁石への通電を制御することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ用マラカス。
【請求項4】
容器内に封入された強磁性体粒状物が、互いにまたは容器の壁と衝突することで発音するカラオケ用マラカスであって、
前記容器内は、それぞれに前記強磁性体粒状物が封入され、少なくとも一の領域の広さが他の領域の広さとは異なる複数の領域に区画され、
前記領域内の所定位置に設けられ、帯磁可能な固定部と、
前記固定部と磁気的に接続された電磁石と、
少なくとも一つの前記領域内において、前記強磁性体粒状物が互いにまたは前記容器の壁と衝突して発音することで予め設定された音色となるよう、前記電磁石への通電を制御する発音制御部と、
を有するカラオケ用マラカス。
【請求項5】
カラオケ装置から、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、前記発音制御部は、前記カラオケ用マラカスが発音する音色が所定の音色となるよう、前記電磁石への通電を制御することを特徴とする請求項4記載のカラオケ用マラカス。
【請求項6】
前記容器と接続され、利用者が把持する把持部を有し、
前記領域は偶数個設けられ、
前記把持部が接続される側の端部近傍に前記固定部が設けられた領域と、前記把持部が接続される側とは反対側の端部近傍に前記固定部が設けられた領域とが互いに隣接するように設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のカラオケ用マラカス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ用マラカスに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ歌唱の場において、タンバリンやマラカス等の楽器が使用されることがある。歌唱者のカラオケ歌唱に合わせて、聴衆(歌唱者以外の利用者)が楽器を鳴らすことにより、カラオケ歌唱の場を盛り上げることができる。
【0003】
このような用途に適した楽器として、特許文献1には、発光機能付きのマラカスが開示されている。このようなマラカスによれば、聴覚面だけでなく、視覚面での効果を高めることができる。また、特許文献2には、複数の粒状物収容室を設けることにより、複雑且つ大音量のリズム演奏が可能な打楽器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-305765号公報
【文献】特開平07-121158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、マラカスのような楽器の音量は、楽器の使い方による。たとえば聴衆がカラオケ歌唱の場を盛り上げようとマラカスを強く振った場合、音量が大きすぎて、歌唱者がカラオケ歌唱に集中できない可能性がある。特に、特許文献2に開示されているような打楽器を利用した場合には音量が大きくなり過ぎるため、上記問題が顕著となる。
【0006】
また、楽器は、予め決まった音色で発音する。そのため、歌唱者によっては、音色が気になってカラオケ歌唱に集中できない可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できるカラオケ用マラカスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、容器内に封入された強磁性体粒状物が、互いにまたは容器の壁と衝突することで発音するカラオケ用マラカスであって、前記容器内は、それぞれに前記強磁性体粒状物が封入される複数の領域に区画され、前記領域内の所定位置に設けられ、帯磁可能な固定部と、前記固定部と磁気的に接続された電磁石と、少なくとも一つの前記領域内において、前記強磁性体粒状物が互いにまたは前記容器の壁と衝突して発音することで予め設定された音量となるよう、前記電磁石への通電を制御する発音制御部と、を有するカラオケ用マラカスである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの外観を示す斜視図である。
図2A】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの内部を示す斜視図である。
図2B】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの容器の断面図である。
図3A】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの構成を示すブロック図である。
図3B】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの内部を示す斜視図である。
図5】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの内部を示す斜視図である。
図6】第1実施形態に係るカラオケ用マラカスの内部を示す斜視図である。
図7】第1実施形態に係る電磁石の制御状態を示す図である。
図8】第2実施形態に係るカラオケ用マラカスの容器の断面図である。
図9】第2実施形態に係る電磁石の制御状態を示す図である。
図10】第3実施形態に係るカラオケ用マラカスの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1図7を参照して、第1実施形態に係るカラオケ用マラカスについて説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケ用マラカス1は、長球状の容器C、直線状の把持部H、及び操作子Dを有する。容器Cの内部には、発音体としての強磁性体粒状物P(図3A及び図3B参照)が封入されている。把持部Hは、容器Cの基端部に接続されている。把持部Hは、カラオケ用マラカス1の使用時に利用者が把持する部分である。利用者が把持部Hを把持した状態でカラオケ用マラカス1を振ることにより、容器C内で強磁性体粒状物Pが移動し(図3A及び図3Bの破線矢印参照)、互いにまたは容器Cの壁と衝突することで発音する。
【0013】
容器C内は、複数の領域に区画されている。本実施形態に係る容器C内は、外壁W及び内壁Vにより、4つの領域(領域R1~領域R4)に区画されている(図2A及び図2B参照。図2Bは、図1のA-A断面である)。外壁W及び内壁Vは、容器Cの壁を構成する。図2A及び図2Bの例において、各領域の広さは同等である。各領域には、それぞれ強磁性体粒状物Pが封入されている。なお、図2A及び図2Bでは強磁性体粒状物P及び固定部(後述)の記載を省略している。
【0014】
操作子Dは、カラオケ用マラカス1が発する音量を設定するための構成である。操作子Dには、音量に対応する値として「1(音量最小)」~「4(音量最大)」の目盛りが設けられている。利用者は、操作子Dをいずれかの目盛りに合わせることにより、カラオケ用マラカス1が発する音量を設定する。カラオケ用マラカス1は、目盛りに対応する音量で発音するよう調節される(詳細は後述)。なお、操作子Dは、図1に示したようなスライド式に限らず、ダイヤル式であってもよい。
【0015】
図3A及び図3Bはカラオケ用マラカス1の構成を模式的に示したブロック図である。図3Bは、図3Aに示したカラオケ用マラカス1を長軸周りに180度回転させた図である。
【0016】
図3A及び図3Bに示すように、カラオケ用マラカス1は、強磁性体粒状物P、複数の固定部、複数の電磁石、及び制御装置Mを有する。この例において、強磁性体粒状物P及び複数の固定部は、容器Cの内部に設けられる。一方、電磁石及び制御装置Mは、把持部Hの内部に設けられる。また、電磁石は固定部に隣接し、固定部を帯磁可能なように設けられる。なお、把持部Hの内部には電磁石や制御装置Mに電力を供給する電源(図示なし)等も設けられる。
【0017】
強磁性体粒状物Pは、直径1mm程度の金属の粒である。強磁性体粒状物Pは、容器C内(各領域内)に多数、封入される。
【0018】
固定部は、たとえば強磁性体の材料からなる帯磁可能な構成である。固定部は、領域内の所定位置に設けられる。本実施形態では、領域R1に固定部F1が設けられ、領域R2に固定部F2が設けられ、領域R3に固定部F3が設けられ、領域R4に固定部F4が設けられる(図3A及び図3B参照)。
【0019】
所定位置の具体例として、各固定部は、把持部Hが接続される側の端部(容器Cの基端部)近傍に設けることができる(図4参照)。また、各固定部は、把持部Hが接続される側とは反対側の端部(容器Cの先端部)近傍に電磁石と共に設けることができる(図5参照)。或いは、本実施形態のように、領域が偶数個設けられている場合、把持部Hが接続される側の端部近傍に固定部が設けられた領域と、把持部Hが接続される側とは反対側の端部近傍に固定部が設けられた領域とが互いに隣接するように設けられていてもよい。たとえば図6の例では、把持部Hが接続される側の端部近傍に固定部F1(固定部F3)が設けられた領域R1(領域R3)と、把持部Hが接続される側とは反対側の端部近傍に固定部F2(固定部F4)が設けられた領域R2(領域R4)とが互いに隣接するように設けられている。図4図6においては、強磁性体粒状物Pの記載を省略している。
【0020】
図4図6の例において、固定部は、容器Cの外壁W及び内壁Vに沿った、断面が扇状の領域として設けられている。各領域内に封入される強磁性体粒状物Pの数は、各固定部に収まる程度であることが好ましい。
【0021】
電磁石は、固定部を帯磁可能なように配設されている。たとえば、本実施形態では電磁石は固定部と隣接している。以下、このような構成を「電磁石は、固定部と磁気的に接続されている」構成として記載する。電磁石は、通常はOFF状態であり、通電によりON状態となる。ON状態は、磁石として機能する状態であり、OFF状態は磁石として機能しない状態である。
【0022】
本実施形態では、電磁石E1は固定部F1と接続され、電磁石E2は固定部F2と接続され、電磁石E3は固定部F3と接続され、電磁石E4は固定部F4と接続される(図3A及び図3B参照)。
【0023】
制御装置Mは、カラオケ用マラカス1の各種制御を行う。図3A及び図3Bに示すように、本実施形態に係る制御装置Mは、発音制御部10として機能する。
【0024】
発音制御部10は、少なくとも一つの領域内において、強磁性体粒状物Pが互いにまたは容器Cの壁と衝突して発音することで予め設定された音量となるよう、電磁石への通電を制御する。
【0025】
本実施形態において、発音制御部10は、電磁石に通電することにより発音を禁止する。
【0026】
複数の電磁石E1~電磁石E4のうち、どの電磁石に通電するかは、テーブルデータにより予め設定されている。図7は、本実施形態における領域R1~領域R4(固定部F1~固定部F4)に対応する電磁石E1~電磁石E4の制御状態(ON/OFF状態)を示したテーブルである。
【0027】
たとえば、操作子Dの目盛りが「1(音量最小)」の場合、発音制御部10は、電磁石E2、電磁石E3、及び電磁石E4に通電する。
【0028】
発音制御部10が電磁石に通電した場合、電磁石はON状態となる。電磁石が発生する磁力により、固定部は帯磁する。固定部が帯磁することにより、領域内の強磁性体粒状物Pは固定部に固定される。
【0029】
上記のように、電磁石E2、電磁石E3、及び電磁石E4に通電した場合、領域R2、領域R3、及び領域R4内の強磁性体粒状物Pは、固定部F2、固定部F3、及び固定部F4に固定される。
【0030】
この状態でカラオケ用マラカス1を振った場合、領域R1内の強磁性体粒状物Pのみが移動可能となっているため、領域R1からのみ発音される。このように、一の領域のみから発音される音量は、二以上の領域から発音される音量に比べて小さい値となる。
【0031】
一方、操作子Dの目盛りが「4(音量最大)」の場合、図7のテーブルに基づいて、発音制御部10は、全ての電磁石への通電を中止する。この場合、全ての電磁石はOFF状態となる。従って、いずれの固定部も帯磁しないため、全ての領域において強磁性体粒状物が固定されることはない。
【0032】
この状態でカラオケ用マラカス1を振った場合、全ての領域内において強磁性体粒状物が移動可能となっているため、全ての領域から発音される。このように、全ての領域から発音される音量は、三以下の領域のみから発音される音量に比べて大きい値となる。
【0033】
このように本実施形態に係るカラオケ用マラカス1は、容器C内に封入された強磁性体粒状物Pが、互いにまたは容器Cの壁と衝突することで発音する。容器C内は、それぞれに強磁性体粒状物Pが封入される複数の領域R1~領域R4に区画されている。カラオケ用マラカス1は、領域R1~領域R4内の所定位置に設けられ、帯磁可能な固定部F1~F4と、固定部F1~F4と磁気的に接続された電磁石E1~電磁石E4と、少なくとも一つの領域内において、強磁性体粒状物Pが互いにまたは容器Cの壁と衝突して発音することで予め設定された音量となるよう、電磁石E1~電磁石E4への通電を制御する発音制御部10と、を有する。
【0034】
このようなカラオケ用マラカス1によれば、発音する音量を所望の値に設定することができる。たとえば聴衆は、歌唱者に対し、どの程度の音量でカラオケ用マラカス1を鳴らしてよいかを予め確認する。そして、聴衆が操作子Dを介して予め音量を設定しておくことにより、カラオケ用マラカス1は、歌唱者が希望する音量で発音するよう調節される。よって、歌唱者は、カラオケ用マラカス1の音を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用マラカス1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0035】
また、容器Cと接続され、利用者が把持する把持部Hを有し、領域は偶数個(本実施形態では4個)設けられ、把持部Hが接続される側の端部近傍に固定部F1(固定部F3)が設けられた領域R1(領域R3)と、把持部Hが接続される側とは反対側の端部近傍に固定部F2(固定部F4)が設けられた領域R2(領域R4)とが互いに隣接するように設けられている構成であってもよい。このように構成した場合、隣接する領域において、一方の領域に設けられた固定部が帯磁したとしても、他方の領域に設けられた固定部が磁気的な影響を受ける可能性を低減することができる。
【0036】
なお、本実施形態に係るカラオケ用マラカス1において、固定部は少なくとも一つの領域に対して設けられていればよい。すなわち、固定部を有しない領域があってもよい。
【0037】
また、少なくとも一の領域を区画する壁の厚みが、他の領域を区画する壁の厚みと異なるように構成してもよい。一般に容器の壁の厚みが薄いほど、使用時の音量が大きくなる。そこで、領域毎に壁の厚みを調整することでカラオケ用マラカス1の発する音量をより細かく調節することができる。具体的には、各領域の壁の厚みをそれぞれ異ならせることが可能である。また、一部の領域を区画する壁の厚みを他の領域を区画する壁の厚みと異ならせることでもよい。或いは、外壁Wまたは内壁Vの一方の厚みのみを異ならせることでもよい。
【0038】
<第2実施形態>
次に、図8及び図9を参照して、第2実施形態に係るカラオケ用マラカスについて説明する。本実施形態では、カラオケ用マラカス1を使用する際に、予め設定された音色で発音させる構成について説明を行う。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0039】
本実施形態に係る操作子Dは、カラオケ用マラカス1が発する音色を設定するための構成である。マラカスの音色は、たとえばピッチの違いにより特定できる。歌唱者や聴衆は、一般にピッチが高い場合には「音色が明るい」と感じ、ピッチが低い場合には「音色が暗い」と感じる。操作子Dには、カラオケ用マラカス1が発する音色に対応する値として「1(明るい音色)」~「4(暗い音色)」の目盛りが設けられている。
【0040】
また、一般的に、マラカスは、容器の大きさを変えることにより、ピッチを変えることができることが知られている。具体的に、容器を小さくするとピッチが高くなり、容器を大きくするとピッチが低くなる。
【0041】
本実施形態に係る容器C内は、それぞれに強磁性体粒状物Pが封入され、少なくとも一の領域の広さが他の領域の広さとは異なる複数の領域から構成されている。
【0042】
図8は、容器Cをカラオケ用マラカス1の短軸に沿って切断した断面図である。本実施形態において、領域R1の中心角は約36度、領域R2の中心角は約72度、領域R3の中心角は約108度、領域R4の中心角は約144度となっている。すなわち、各領域の広さの比率は、「R1:R2:R3:R4=1:2:3:4」となっている。この場合、最も狭い領域R1が発する音色が最も明るく(最もピッチが高く)、最も広い領域R4が発する音色が最も暗く(最もピッチが低く)なる。
【0043】
固定部及び電磁石は、第1実施形態と同様である。すなわち、本実施形態において、領域R1~領域R4には固定部F1~固定部F4が設けられている。また、固定部F1~固定部F4に対応する電磁石E1~E4が把持部Hの内部に設けられている。ここで、各固定部の広さの比率は、「F1:F2:F3:F4=1:2:3:4」となっている。上述したように各領域内に封入される強磁性体粒状物Pの数は、各固定部に収まる程度であることが好ましい。従って、各領域内に封入される強磁性体粒状物Pの数を「R1:R2:R3:R4=1:2:3:4」としてもよい。また、各領域内に封入される強磁性体粒状物Pの数を全て固定部F1に収まる程度としてもよい。或いは、各固定部の広さが同じになるよう各固定部の高さを変更し、各領域内に封入される強磁性体粒状物Pの数を同じ、且つ各固定部に収まる程度としてもよい。この場合、各固定部の高さは「F1>F2>F3>F4」である。
【0044】
本実施形態に係る発音制御部10は、少なくとも一つの領域内において、強磁性体粒状物Pが互いにまたは容器Cの壁と衝突して発音することで予め設定された音色となるよう、電磁石への通電を制御する。
【0045】
複数の電磁石E1~電磁石E4のうち、どの電磁石に通電するかは、テーブルデータにより予め設定されている。図9は、本実施形態における領域R1~領域R4に対応する電磁石E1~電磁石E4の制御状態(ON/OFF状態)を示したテーブルである。
【0046】
たとえば、操作子Dの目盛りが「1(明るい音色)」の場合、発音制御部10は、電磁石E2、電磁石E3、及び電磁石E4に通電する。
【0047】
発音制御部10が電磁石に通電した場合、電磁石はON状態となる。電磁石が発生する磁力により、固定部は帯磁する。固定部が帯磁することにより、領域内の強磁性体粒状物Pは固定部に固定される。
【0048】
上記のように、電磁石E2、電磁石E3、及び電磁石E4に通電した場合、領域R2、領域R3、及び領域R4内の強磁性体粒状物Pは、固定部F2、固定部F3、及び固定部F4に固定される。
【0049】
このような状態でカラオケ用マラカス1を振った場合、領域R1内の強磁性体粒状物Pのみが移動可能であるため、最も高いピッチ(最も明るい音色)で発音する領域R1からのみ発音される。
【0050】
一方、操作子Dの目盛りが「4(暗い音色)」の場合、図9のテーブルに基づいて、発音制御部10は、電磁石E1、電磁石E2、及び電磁石E3に通電する。電磁石E1、電磁石E2、及び電磁石E3に通電した場合、領域R1、領域R2、及び領域R3内の強磁性体粒状物Pは、固定部F1、固定部F2、及び固定部F3に固定される。
【0051】
このような状態でカラオケ用マラカス1を振った場合、領域R4内の強磁性体粒状物Pのみが移動可能であるため、最も低いピッチ(最も暗い音色)で発音する領域R4からのみ発音される。
【0052】
このように本実施形態に係るカラオケ用マラカス1は、容器C内に封入された強磁性体粒状物Pが、互いにまたは容器Cの壁と衝突することで発音する。容器Cは、それぞれに強磁性体粒状物Pが封入され、少なくとも一の領域の広さが他の領域の広さとは異なる複数の領域から構成される。カラオケ用マラカス1は、領域R1~領域R4内の所定位置に設けられ、帯磁可能な固定部F1~固定部F4と、固定部F1~固定部F4と磁気的に接続された電磁石E1~電磁石E4と、少なくとも一つの領域内において、強磁性体粒状物Pが互いにまたは領域の壁と衝突して発音することで予め設定された音色となるよう、電磁石への通電を制御する発音制御部10と、を有する。
【0053】
このようなカラオケ用マラカス1によれば、発音する音色を所望の音色に設定することができる。たとえば聴衆は、歌唱者に対し、どのような音色でカラオケ用マラカス1を鳴らしてよいかを予め確認する。そして、聴衆が操作子Dを介して予め音色を設定しておくことにより、カラオケ用マラカス1は、歌唱者が希望する音色で発音するよう調節される。よって、歌唱者は、カラオケ用マラカス1の音を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用マラカス1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0054】
<第3実施形態>
次に、図10を参照して、第3実施形態に係るカラオケ用マラカスについて説明する。
【0055】
歌唱者の中には、カラオケ歌唱中は極力、楽器の使用を控えて欲しいと考える者もいる。一方で、場を盛り上げるために楽器を使用している聴衆に対して楽器の使用を控えて欲しいとは言い難いこともある。そこで、本実施形態では、カラオケ歌唱中は、自動的に所定の音量や音色となるような構成について説明を行う。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0056】
図10に示したように、本実施形態に係るカラオケ用マラカス1(制御装置M)は、カラオケ装置Kと通信可能となっている。カラオケ用マラカス1とカラオケ装置Kとの通信は、一般的な近距離無線技術を利用することができる。また、カラオケ装置Kとカラオケ用マラカス1とは予めペアリングされている。
【0057】
たとえば、歌唱者Xは、カラオケ装置Kを利用して楽曲Yのカラオケ歌唱を行うとする。この場合、カラオケ装置Kは、楽曲Yの楽曲データから歌唱者が発声する歌唱区間とそれ以外の区間(非歌唱区間)を特定する。カラオケ装置Kは、歌唱区間のカラオケ演奏中は歌唱区間信号をカラオケ用マラカス1に送信する。歌唱区間信号は、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す信号である。
【0058】
発音制御部10は、カラオケ装置Kから送信される歌唱区間信号を受信する。この場合、発音制御部10は、発音する音量が所定の音量となるよう、電磁石への通電を制御する。所定の音量は、一般的な歌唱者にとってカラオケ歌唱の妨げにならない程度の値等、予め任意の値が設定されている。
【0059】
たとえば、所定の音量として、第1実施形態の例における、操作子Dの目盛り「1」が示す値と同様の音量が設定されているとする。
【0060】
ここで、カラオケ装置Kから歌唱区間信号を受信した場合、現時点で設定されている音量に関わらず、発音制御部10は、電磁石E2、電磁石E3、及び電磁石E4に通電する。この場合、領域R2、領域R3、及び領域R4内の強磁性体粒状物Pは、固定部F2、固定部F3、及び固定部F4に固定される。
【0061】
このような状態でカラオケ用マラカス1を振った場合、聴衆が設定した音量に関わらず、領域R1内の強磁性体粒状物Pのみが移動可能となるため、領域R1からのみ発音される。
【0062】
その後、歌唱者Xのカラオケ歌唱が終了したとする。この場合、カラオケ装置Kは歌唱区間信号の送信を停止する。
【0063】
所定期間、歌唱区間信号を受信しなかった場合、発音制御部10は、聴衆が設定した音量となるよう、電磁石への通電を制御する。
【0064】
たとえば、聴衆が設定した音量として、第1実施形態の例における、操作子Dの目盛り「4」が示す値と同様の音量が設定されているとする。
【0065】
ここで、カラオケ装置Kから所定期間、歌唱区間信号を受信しなかった場合、発音制御部10は、電磁石E1~電磁石E4の通電を中止する。このような状態においてカラオケ用マラカス1を振った場合、全ての領域内において強磁性体粒状物Pが移動可能となるため、全ての領域から発音される。
【0066】
このように、本実施形態に係る発音制御部10は、カラオケ装置Kから、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、カラオケ用マラカス1が発音する音量が所定の音量となるよう、電磁石への通電を制御する。
【0067】
このようなカラオケ用マラカス1によれば、歌唱区間のカラオケ演奏中には、聴衆の設定した音量に関わらず、所定の音量で発音する。従って、歌唱者は、カラオケ用マラカス1の音を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用マラカス1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0068】
また、上記例と同様の処理により、発音する音色を所定の音色とすることも可能である。
【0069】
すなわち、本実施形態に係る発音制御部10は、カラオケ装置Kから、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、カラオケ用マラカス1が発音する音色が所定の音色となるよう、電磁石への通電を制御する。
【0070】
このようなカラオケ用マラカス1によれば、歌唱区間のカラオケ演奏中には、聴衆の設定した音色に関わらず、所定の音色で発音する。従って、歌唱者は、カラオケ用マラカス1の音色を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用マラカス1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0071】
<その他>
なお、上記実施形態における容器Cや把持部Hの形状や、カラオケ用マラカス1の内部の配置等は上記例に限られない。
【0072】
たとえば、容器Cは球状であってもよい。また、領域の数は少なくとも2つあればよい。また、各電磁石を各領域内に設けてもよい。また、固定部を容器の先端部側と基端部側の両方に電磁石と共に設けてもよい(図4に示した固定部と図5に示した固定部の双方を有する形でもよい)。このように、一の領域に複数の固定部を設けることにより、領域内で移動する強磁性体粒状物Pをより確実に捕捉し、消音することが可能となる。或いは、領域内全体に固定部を設けてもよい。
【0073】
また、カラオケ装置Kは、歌唱区間信号を送信する代わりに、歌唱区間の開始信号と終了信号を送信することでもよい。開始信号を受信した場合、発音制御部10は、カラオケ用マラカス1が発音する音量(または音色)が所定の音量(または音色)となるよう、電磁石への通電を制御する。一方、終了信号を受信した場合、発音制御部10は、カラオケ用マラカス1が発音する音量(または音色)が、聴衆が設定した音量(または音色)となるよう、電磁石への通電を制御する。このような構成によれば、楽曲の非歌唱区間においては、聴衆が設定した音量(または音色)でカラオケ用マラカス1の使用が可能となるため、カラオケ歌唱を妨げることなく、カラオケ歌唱の場を更に盛り上げることができる。
【0074】
また、第3実施形態に係る所定の音量は、カラオケ装置K側で都度、設定してもよい。たとえば、カラオケ装置Kは、歌唱者の歌唱音声を解析し、解析結果に応じて所定の音量(または音色)を決定する。カラオケ装置Kは、決定した所定の音量(または音色)を歌唱区間信号と併せてカラオケ用マラカス1に送信する。カラオケ用マラカス1の発音制御部10は、受信した所定の音量(または音色)となるよう、電磁石への通電を制御する。このように歌唱者の歌唱音声に基づいて所定の音量(または音色)を都度決定することにより、歌唱者毎にカラオケ歌唱の妨げにならない音量(または音色)でカラオケ用マラカス1を使用できる。
【0075】
また、カラオケ用マラカス1は、消磁機能を備えてもよい。これにより、長時間の使用により強磁性体粒状物P及び固定部が磁化しても消磁することができる。消磁機能は公知の技術を用いることができる。たとえば、制御装置Mは、交流電流により電磁石に交番磁界を発生させる。そして、磁化した強磁性体粒状物P及び固定部を交番磁界に置いた状態で、制御装置Mは、徐々に電流を0に近付けていくよう制御することにより、強磁性体粒状物P及び固定部を消磁することができる。
【0076】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 カラオケ用マラカス
10 発音制御部
C 容器
E1~E4 電磁石
F1~F4 固定部
H 把持部
M 制御装置
P 強磁性体粒状物
R1~R4 領域
W 外壁
V 内壁
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10