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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】混和芋焼酎
(51)【国際特許分類】
   C12H 6/02 20190101AFI20221014BHJP
   C12G 3/04 20190101ALI20221014BHJP
   C12G 3/06 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C12H6/02
C12G3/04
C12G3/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018225779
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020080829
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 隆一
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-102273(JP,A)
【文献】特開2012-249587(JP,A)
【文献】特開2002-017334(JP,A)
【文献】特開2005-245249(JP,A)
【文献】特開2018-050546(JP,A)
【文献】特開2003-159045(JP,A)
【文献】特開2019-115274(JP,A)
【文献】特開2019-115275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G
C12H
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムの含有量が5.6mg/L以上42.6mg/L以下であり、
シトロネロールの含有量が20μg/L以上である、混和芋焼酎。
【請求項2】
前記カルシウムの含有量が5.6mg/L以上12.6mg/L以下である、請求項1に記載の混和芋焼酎。
【請求項3】
前記シトロネロールの含有量が80μg/L以上500μg/L以下である、請求項1又は2に記載の混和芋焼酎。
【請求項4】
甲乙混和芋焼酎である、請求項1~3のいずれか一項に記載の混和芋焼酎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混和芋焼酎に関する。
【背景技術】
【0002】
焼酎の香味を改善する技術手段についてはこれまでにも種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、焼酎の原料として薩摩芋を用いる芋焼酎の製造方法であって、高温高圧処理された薩摩芋を原料に用いることを特徴とする焼き芋風味の芋焼酎の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-81899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、乙類(本格)焼酎と、比較的安価な甲類焼酎とを混和した混和焼酎が、安価、飲みやすい等の点から注目を集めている。しかしながら、芋を主原料(掛原料)として用いて製造された乙類焼酎と甲類焼酎とを混和して得られる混和芋焼酎は、芋焼酎らしい香味の点で未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明は、香味の中でも特に、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感及びレーズンの様な熟成感のバランスが良好であり、芋焼酎らしさに優れる混和芋焼酎を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カルシウムの含有量が5.6mg/L以上42.6mg/L以下であり、シトロネロールの含有量が20μg/L以上である、混和芋焼酎を提供する。
【0007】
本発明の混和芋焼酎は、カルシウム及びシトロネロールの含有量がそれぞれ所定の範囲内にあるため、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感及びレーズンの様な熟成感のバランスが良好であり、芋焼酎らしさに優れている。
【0008】
上記混和芋焼酎において、カルシウムの含有量は5.6mg/L以上12.6mg/L以下であることが好ましい。この場合、本発明による効果がより一層顕著に奏されることとなる。
【0009】
上記混和芋焼酎において、シトロネロールの含有量は80μg/L以上500μg/L以下であることが好ましい。この場合、本発明による効果がより一層顕著に奏されることとなる。
【0010】
上記混和芋焼酎は、甲乙混和芋焼酎であってよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、香味の中でも特に、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感及びレーズンの様な熟成感のバランスが良好であり、芋焼酎らしさに優れる混和芋焼酎を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態に係る混和芋焼酎は、カルシウムの含有量が5.6mg/L以上42.6mg/L以下であり、シトロネロールの含有量が20μg/L以上である。
【0014】
本明細書において、「混和芋焼酎」とは、芋を主原料(掛原料)として用いて製造された単式蒸留焼酎と、連続式蒸留焼酎と、を混和したものである。本明細書において、「芋」とは、通常の乙類焼酎、甲類焼酎、混和焼酎等の原料として用いられる芋又は芋由来の加工品のことをいい、例えば、サツマイモ、ジャガイモ及びこれらを蒸す、焼く等したものを挙げることができる。
【0015】
本明細書において、「単式蒸留焼酎」とは、酒税法(平成三十年四月一日時点)に定義される「単式蒸留しようちゆう」と同義である。本明細書において、単式蒸留焼酎を乙類焼酎とも呼ぶことがある。単式蒸留焼酎は、原料由来の独特の風味を有する。
【0016】
本明細書において、「連続式蒸留焼酎」とは、酒税法(平成三十年四月一日時点)に定義される「連続式蒸留しようちゆう」と同義である。本明細書において、連続式蒸留焼酎を甲類焼酎と呼ぶことがある。連続式蒸留焼酎は、単式蒸留焼酎と比較し、独特な風味は減少するが、連続蒸留機を用いて製造することから大量生産に適しているため、比較的安価である。
【0017】
混和芋焼酎における、単式蒸留焼酎の混和割合は特に制限されるものではなく、0%超かつ100%未満のいずれであってもよい。また、本明細書において、単式蒸留焼酎の混和割合が0%超かつ50%未満である混和芋焼酎を特に「甲乙混和芋焼酎」と呼び、単式蒸留焼酎の混和割合が50%以上100%未満である混和芋焼酎を特に「乙甲混和芋焼酎」と呼ぶ。なお、「単式蒸留焼酎の混和割合」とは、混和芋焼酎の全アルコール量に占める単式蒸留焼酎のアルコール量の割合である。なお、本明細書において、特に言及のない限り、アルコールは、エタノールを意味する。
【0018】
単式蒸留焼酎の混和割合は、例えば、5%以上、10%以上、又は15%以上であってよく、95%未満、60%以下、50%以下、50%未満、40%以下、又は35%以下であってよい。単式蒸留焼酎の混和割合は、5%以上95%未満、5%以上50%以下、5%以上50%未満、10%以上50%未満、10%以上40%以下、又は15%以上35%以下であってよい。
【0019】
混和芋焼酎のアルコール度数は、10v/v%以上、15v/v%以上、20v/v%以上、又は25v/v%以上であってよく、35v/v%以下又は30v/v%以下であってよい。なお、アルコール度数とは、混和芋焼酎に含まれるエタノールの含有量を意味する。
【0020】
混和芋焼酎中のカルシウムの含有量は、5.6mg/L以上であり、水あめの様ななめらかさ及び紅茶の様な濃厚感により一層優れる観点から、6.6mg/L以上、7.6mg/L以上、又は8.6mg/L以上であってよい。混和芋焼酎中のカルシウムの含有量は、42.6mg/L以下であり、レーズンの様な熟成感により一層優れる観点から、37.6mg/L以下、32.6mg/L以下、27.6mg/L以下、22.6mg/L以下、17.6mg/L以下、12.6mg/L以下、又は10.6mg/以下であってよい。
【0021】
混和芋焼酎中のカルシウムの含有量は、5.6mg/L以上42.6mg/L以下であり、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感及びレーズンの様な熟成感のバランスがより一層良好であり、芋焼酎らしさにより一層優れる観点から、5.6mg/L以上37.6mg/L以下、5.6mg/L以上22.6mg/L以下、5.6mg/L以上12.6mg/L以下、6.6mg/L以上12.6mg/L以下、6.6mg/L以上10.6mg/以下、7.6mg/L以上12.6mg/L以下、7.6mg/L以上10.6mg/L以下、8.6mg/L以上12.6mg/L以下、8.6mg/L以上10.6mg/L以下であってよい。
【0022】
本明細書において、混和芋焼酎中のカルシウムの含有量は、アルコール度数(アルコール濃度)25v/v%換算の混和芋焼酎を基準とした含有量を意味する。
【0023】
混和芋焼酎中のカルシウムの含有量は、例えば、常法により製造された混和芋焼酎に対し、カルシウム源(例えば、乳酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩)を添加する等によって、上述した範囲内に調整することができる。また、製造過程(乙類焼酎、及び/又は甲類焼酎を製造する過程、又は乙類焼酎及び甲類焼酎を混和して混和芋焼酎を製造する過程)において、混和芋焼酎のもととなる液(原料液)にカルシウム源を添加して、混和芋焼酎中のカルシウムの含有量を上述した範囲内に調整することもできる。また、混和芋焼酎の製造に使用する水(原料水)のカルシウム含有量を調整すること、混和芋焼酎又は原料液をカルシウム分を含む容器に貯蔵すること等によっても、混和芋焼酎中のカルシウムの含有量を上述した範囲内に調整することができる。
【0024】
混和芋焼酎中のカルシウムの含有量は、例えば、イオンクロマト法により測定することができる。
【0025】
シトロネロールは、(+)-シトロネロール又は(-)-シトロネロールであってもよく、これらの混合物(異性体混合物)であってもよい。
【0026】
混和芋焼酎中のシトロネロールの含有量は、20μg/L以上であり、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感及びレーズンの様な熟成感により一層優れる観点から、30μg/L以上、40μg/L以上、60μg/L以上、80μg/L以上、100μg/L以上、150μg/L以上、200μg/L以上、又は250μg/L以上であってよく、芋焼酎らしさにより一層優れる観点から、3000μg/L以下、2000μg/L以下、1500μg/L以下、1000μg/L以下、750μg/L以下、500μg/L以下、400μg/L以下、350μg/L以下、300μg/L以下、又は280μg/L以下であってよい。
【0027】
混和芋焼酎中のシトロネロールの含有量は、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感及びレーズンの様な熟成感のバランスがより一層良好であり、芋焼酎らしさにより一層優れる観点から、20μg/L以上2000μg/L以下、20μg/L以上1000μg/L以下、40μg/L以上750μg/L以下、60μg/L以上750μg/L以下、80μg/L以上500μg/L以下、150μg/L以上350μg/L以下、又は200μg/L以上300μg/L以下であってよい。
【0028】
本明細書において、混和芋焼酎中のシトロネロールの含有量は、アルコール度数25v/v%換算の混和芋焼酎を基準とした含有量を意味する。
【0029】
混和芋焼酎中のシトロネロールの含有量は、例えば、常法により製造された混和芋焼酎に対し、シトロネロール(市販のシトロネロールの標品等)又はシトロネロールを含有する原料を添加する等によって、上述した範囲内に調整することができる。また、製造過程(乙類焼酎、及び/又は甲類焼酎を製造する過程、又は乙類焼酎及び甲類焼酎を混和して混和芋焼酎を製造する過程)において、混和芋焼酎のもととなる液(原料液)にシトロネロール、又はシトロネロールを含有する原料(例えば、サツマイモ(サツマイモの皮等))を添加し、かつその添加量を調整することにより、混和芋焼酎中のシトロネロールの含有量を上述した範囲内に調整することもできる。
【0030】
混和芋焼酎中のシトロネロールの含有量は、例えば、SPME-GC-MS法により測定することができる。
【0031】
本実施形態に係る混和芋焼酎は、その他の副材料として、酸化防止剤、着色料、炭酸ガス等を含んでもよい。
【0032】
本実施形態に係る混和芋焼酎は、容器詰めされて提供されてもよい。容器としては、アルコール飲料に用いられる公知のものを用いることができ、例えば、缶、ビン、ペットボトル等のプラスチック容器、紙容器、パウチ容器等が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係る混和芋焼酎は、カルシウム及びシトロネロールの含有量を上述した範囲内に調整すること以外は、常法に従って製造することができる。例えば、常法に従って製造された混和芋焼酎に対し、カルシウム及びシトロネロールを添加する等によって、これらの含有量が上述した範囲に入るように調整することにより、本実施形態に係る混和芋焼酎を製造することができる。
【0034】
混和芋焼酎は、混和工程を備える製造方法により製造することができる。混和工程は、単式蒸留焼酎(乙類焼酎)と、連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)とを所望の割合で混和する工程である。混和工程では、混和芋焼酎における単式蒸留焼酎の混和割合を上述した範囲内となるように調整してよい。
【0035】
単式蒸留焼酎は、例えば、一次仕込工程、一次発酵工程、二次仕込工程、二次発酵工程、及び単式蒸留工程を備える製造方法により製造することができる。
【0036】
単式蒸留焼酎の製造方法における一次仕込工程は、麹原料、酵母及び水を仕込む工程である。麹原料は、一次もろみの原料となる麦、米、芋等を洗浄・水切し、蒸した原料を放冷した後、原料に種麹(白麹菌、黒麹菌等)を種付して、製麹を行うことで得られる。
【0037】
単式蒸留焼酎の製造方法における一次発酵工程は、一次仕込工程で仕込んだ麹原料等を温度等を管理しながら発酵させることにより、一次もろみを得る工程である。
【0038】
単式蒸留焼酎の製造方法における二次仕込工程は、一次もろみに、水及び主原料(掛原料)として芋を添加する工程である。主原料は、焼く、蒸す、粉砕する等の加工が施されたものであってもよい。なお、主原料の種類によって焼酎の種類が決定され、例えば、主原料として芋を用いた場合は芋焼酎となる。
【0039】
単式蒸留焼酎の製造方法における二次発酵工程は、二次仕込工程後に温度等を管理しながら発酵させることで二次もろみを得る工程である。
【0040】
単式蒸留焼酎の製造方法における単式蒸留工程は、二次もろみを単式蒸留機を用いて、蒸留する工程である。
【0041】
連続式蒸留焼酎は、例えば、発酵工程、及び連続式蒸留工程を備える製造方法により製造することができる。
【0042】
連続式蒸留焼酎の製造方法における発酵工程は、トウモロコシ、大麦、さとうきび等の原料を、酵母で発酵させてもろみを得る工程である。原料として、トウモロコシ及び/又は大麦を用いる場合、酵素でデンプンを糖化させてから、原料として使用してよい。さとうきびは、酵母により発酵させる原料としてそのまま使用してもよい。
【0043】
連続式蒸留焼酎の製造方法における連続式蒸留工程は、もろみを連続式蒸留機を用いて蒸留する工程である。
【0044】
混和芋焼酎の製造方法(単式蒸留焼酎及び/又は連続式蒸留焼酎の製造方法)において、単式蒸留工程又は連続式蒸留工程後に、濾過工程、貯蔵工程及び割水工程等の焼酎の通常の製造で行われる工程を更に備えていてもよい。濾過工程は、蒸留後の原酒を濾過する工程である。貯蔵工程は、原酒を貯蔵する工程である。割水工程は、原酒に割水を実施する工程である。
【実施例
【0045】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0046】
[試験例1]
乙類焼酎(本格芋焼酎「からり芋」(商品名)、サッポロビール株式会社製、アルコール度数:25v/v%)、甲類焼酎(サッポロホワイトリカー(商品名)、サッポロビール株式会社製、アルコール度数:35v/v%)、及び純水を、単式蒸留焼酎(乙類焼酎)の混和割合が表1~3に示す量となるように混合し、更に、混和芋焼酎中のシトロネロール及びカルシウムそれぞれの含有量が表1~3に示す量となるようにシトロネロール標品((-)-シトロネロール、東京化成工業株式会社製)及び乳酸カルシウム(純正化学株式会社製)を混合して、混和芋焼酎(アルコール度数:25v/v%)のサンプルを調製した。
【0047】
調製した混和芋焼酎のサンプルを用いて、「水あめの様ななめらかさ」、「紅茶の様な濃厚感」、「レーズンの様な熟成感」及び「芋焼酎らしさ」の評価項目について、訓練されたパネル7名により、官能評価を実施した。
【0048】
官能評価は、5段階(水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感、レーズンの様な熟成感:評点1(弱い)~評点5(強い)、芋焼酎らしさ:評点1(劣る)~評点5(良好))で実施し、パネルによる評点の平均値を評価スコアとした。官能評価では、カルシウムの含有量が0質量%、シトロネロールの含有量が20μg/Lである混和芋焼酎のサンプル1-1を各評価項目の評点1(整数値)のサンプルにして、パネル間の評価基準をそろえた。
【0049】
芋焼酎らしさの評価項目では、飲用した際に、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感、及びレーズンの様な熟成感をバランス良く有しており、芋焼酎に近いと感じるほど良好であると判断される。
【0050】
【表1】

【表2】

【表3】
【0051】
表1に示すとおり、シトロネロールの含有量が20μg/Lであり、カルシウムの含有量が5.6mg/L以上42.6mg/L以下である混和芋焼酎は、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感、及びレーズンの様な熟成感のバランスが良好、かつ芋焼酎らしさに優れており、より本格焼酎らしいと感じられた(サンプル1-3~1-6とサンプル1-2,1-7との対比)。
【0052】
サンプル1-6~1-7の混和芋焼酎は、サンプル1-3~1-5の混和芋焼酎に比べ、渋い、重いといった香味を有していた(パネルによるフリーコメント)。この点及び水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感、及びレーズンの様な熟成感のバランスから、サンプル1-3~1-5の混和芋焼酎は、サンプル1-6~1-7の混和芋焼酎と比べ、芋焼酎らしさにより優れており、より一層本格焼酎らしいと感じられた。
【0053】
表2に示すとおり、カルシウムの含有量が8.6mg/Lであり、シトロネロールの含有量が20μg/L以上である混和芋焼酎は、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感、及びレーズンの様な熟成感のバランスが良好、かつ芋焼酎らしさに優れており、より本格焼酎らしいと感じられた(サンプル2-1~2-7とサンプル1-1等との対比)。
【0054】
サンプル2-6~2-7の混和芋焼酎は、サンプル2-2~2-5の混和芋焼酎と比べて、香りが劣っていた(パネルによるフリーコメント)。この点及び水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感、及びレーズンの様な熟成感のバランスから、サンプル2-2~2-5の混和芋焼酎は、サンプル2-6~2-7の混和芋焼酎と比べ、芋焼酎らしさにより優れており、より本格焼酎らしいと感じられた。
【0055】
乙類焼酎の混和割合を変えた場合であっても、カルシウムの含有量及びシトロネロールの含有量が所定範囲内にあるサンプル3-1~3-3の混和芋焼酎は、水あめの様ななめらかさ、紅茶の様な濃厚感、及びレーズンの様な熟成感のバランスが良好、かつ芋焼酎らしさに優れており、より本格焼酎らしいと感じられた(サンプル3-1~3-3とサンプル1-1等との対比)。