(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】管外面塗装方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
B05D 1/02 20060101AFI20221014BHJP
B05B 12/18 20180101ALI20221014BHJP
B05B 13/04 20060101ALI20221014BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20221014BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B05D1/02 Z
B05B12/18
B05B13/04
B05D3/00 C
B05D7/14 K
(21)【出願番号】P 2019019767
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】廣畠 聰子
(72)【発明者】
【氏名】堤 親平
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-49987(JP,A)
【文献】特開昭52-86910(JP,A)
【文献】特開2003-265990(JP,A)
【文献】特開平6-190308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05B 1/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸(o)中心に回転する管(A)外面に塗料(b)を吹き付けて塗装する方法において、前記塗料(b)の吐出パターン(P)の管(A)の直径方向両側に、別々のエアガン(3)からの吐出空気(a)によるエアカーテン(S)をそれぞれ形成することを特徴とする管外面への塗装方法。
【請求項2】
上記エアカーテン(S)を作る上記エアガン(3)からの吐出空気(a)の吐出方向を、管(A)の外周の接線方向とすることを特徴とする請求項1に記載の管外面への塗装方法。
【請求項3】
上記塗料(b)の吐出方向を管軸(o)に直交する方向とし、上記エアガン(3)からの吐出空気(a)の吐出方向を、前記塗料(b)の吐出方向に対し管軸(o)側に0~20度傾けたことを特徴とする請求項2に記載の管外面への塗装方法。
【請求項4】
上記塗装ガン(1)とエアガン(3)は同期して管軸(o)方向に一緒に動かすことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の管外面への塗装方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の管外面への塗装方法を行う塗装装置であって、上記回転する管(A)外面に塗料(a)を吹き付ける塗装ガン(1)と、前記塗料(b)の吐出パターン(P)の管(A)の直径方向両側にエアカーテン(S)を形成する別々のエアガン(3)とからなる塗装装置。
【請求項6】
上記塗装ガン(1)とエアガン(3)は同期して管軸(o)方向に一緒に動く請求項5に記載の塗装装置。
【請求項7】
上記エアガン(3)は、吐出空気(a)の吐出方向を上記塗料(b)の吐出方向に対し管(A)の径方向に可変である請求項5又は6に記載の塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管、例えばダクタイル鋳鉄管などの金属管の外面塗装を効率良く行う管外面塗装方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダクタイル鋳鉄管は、その管外面に防食などの目的で塗装が行われており、その塗装には、エアスプレー、エアレススプレー等が使用されている。その塗装方法(装置)の一例として、この発明の一実施形態を示す
図1を参照して説明すると、水平に置いた管Aの真上に塗装ガン1を設置し、その塗装ガン1の長楕円形霧化型吐出パターンP(
図3参照)を有するノズルチップ1aを、吐出パターンPの長径方向が管Aの管軸方向oと同方向になるようにしたものがある。
この塗装方法は、管Aをローラ2などで支持して管軸oを中心に回転させながら、又は、管Aの両端を支持して管軸oを中心に回転させながら、レシプロ装置により、塗装ガン1を管軸o方向に片道あるいは往復移動させて塗装する、若しくは、塗装ガン1を固定で、管Aをその管軸o方向に移動させて塗装する。
【0003】
この塗装方法において、管Aの真上より塗装すると、塗装ガン1のノズルチップ1aより出た塗料粒子(以下、単に「塗料」とも言う)bは、管Aへ到達する前に管Aの回転によって生じている空気の流れを受け、塗料粒子bは粒子径に幅(大小)があるため、その空気流れに影響されず管Aに塗着する粒子bと、管Aに当たって跳ね返る粒子bと、及び管Aに到達しない粒子bとに分かれる。
その跳ね返ったり、到達せずに管Aに塗着しなかったりした粒子bは管回転による空気aの流れをまともに受けて、管A外面に付着することなく飛散してしまう。この飛散によっても、塗着効率が悪くなる。
以上から、従来、霧化した塗料粒子bは40~80%程度しか被塗装物(管)Aに塗着しない。
【0004】
上記塗着しない塗料粒子bは大気中に飛散したり、周りの設備などに付着したりする。その飛散は大気汚染、水質汚濁につながり、付着は、その被付着物の使用ができなくなることによる産業廃棄物化につながる。すなわち、環境コスト高につながる。
【0005】
このような状況下、本願出願人は、塗料bの吹き付け方向を管真上から管回転方向手前側に傾けて、噴出塗料粒子bを管の真上外面より手前側から塗着させ、管回転による空気流れにのって真上外面から先側へと移行するようにし、その間で、飛散することなく自重(重力)により塗着する方法を提案した。これにより、塗料粒子bの管外面に臨む時間及び距離が長くなり、塗料粒子bが管外面に付着し易くなって塗着効率が向上する(特許文献1請求項1、段落0006、
図1、
図2)。
【0006】
また、塗料bの吹き付け位置より管Aの回転方向先側から管外面に向かってエアー(空気)を吹き付け、そのエアーによって、管回転による空気流れを抑制するとともにその流れに乗る塗料粒子bの流れを阻止する方法も提案した。これにより、塗料粒子bの動きが鈍くなり、管外面に臨む時間が長くなって、塗料粒子bが管外面に付着し易くなって塗着効率が向上する(特許文献1請求項3、
図3~
図5)。
さらに、二重の錐状フードの頂部にスプレーガンを設けてその内側のフード内に塗料を噴霧するとともに内外のフード間にエアーを送り込んで噴霧された塗料の周囲にエアカーテンを形成し、そのエアカーテンによって塗料bの飛散を防止した提案もなされている(特許文献2第1図等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-265990号公報
【文献】特開昭51-97643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記塗料bの吹き付け方向を管真上から管回転方向手前側に傾けたり、塗料の吹き付け位置より管の回転方向先側から管外面に向かってエアーを吹き付けたりする方法は、従来に比べて塗着効率は向上したが、塗着しない塗料粒子bが大気中又は水中に飛散したり、周りの設備などに付着したりする度合いは十分に減少しなかった。また、管の径変化ごと(呼び径ごと)に、塗料b及びエアーの吹き付け角度を調整する必要があり、その作業が繁雑である。
【0009】
フードによるエアカーテンの場合、エアーaはフードの内面全周から管Aに吹き付けられるため、
図5(a)に示すように、管Aに衝突したエアーaは管Aの管軸方向の両側に流れ、その流れは、塗料bの吐出パターンの管軸方向の長さを短くしたり、同図(b)に示すように、管Aに衝突したエアーaが舞い上がり、塗料bの跳ね返りを助長したりする。このため、所要の吐出パターンを得ることができない等の円滑な塗装ができない恐れがある。
また、被塗装物が管Aのように径が種々にあるものである場合、その径に応じてフィードの大きさ・形状を変更しなくてはならない場合が生じ、汎用性に欠ける。
【0010】
この発明は、以上の実状の下、管外周面の塗装における塗着効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、この発明は、塗料吐出パターンの管の直径方向両側に、別々のエアガンからの吐出空気によるエアカーテンをそれぞれ形成することとしたのである。
このように構成すれば、塗料吐出パターンの管軸方向両端にエアカーテンが形成されないため、前記塗料吐出パターンが管軸方向に移行する際、エアカーテンが邪魔にならず、金属管の外面塗装を効率良く行うことができる。
【0012】
具体的には、管軸中心に回転する管外面に塗料を吹き付けて塗装する方法において、前記塗料の吐出パターンの管の直径方向両側に別々のエアガンの吐出空気によるエアカーテンを設ける構成の管外面への塗装方法を採用したのである。
この構成において、上記エアカーテンを作るエアガンからの吐出空気の吐出方向を、管の外周の接線方向に吹き付けることが好ましい。このとき、塗料の吐出方向を管軸に直交する方向とし、エアガンからの吐出空気の吐出方向を、塗料の吐出方向に対し管軸側に0~20度傾けることができる。
また、上記エアガンからの吐出空気の吐出方向を塗料の吐出方向に対し管の径方向に可変とすれば、
上記塗料の吐出方向の変更にも対応できると共に、その吐出方向を調整することによって、両エアカーテンの間隔を変化させて種々の径の管の直径変化に対応させることができる。
さらに、上記塗料の吐出パターンは管軸方向に長い長楕円形霧化型とすることができる。この長楕円形霧化型であれば、直管の外面の塗装には有効である。
【0013】
以上の塗装方法を行う装置は、種々の構成のものを採用し得るが、例えば、上記回転する管外面に塗料を吹き付ける塗装ガンと、前記塗料の吐出パターンの管の直径方向両側にエアカーテンを形成する別々のエアガンとからなる構成とすることができる。このとき、エアガンは、吐出空気の吐出方向を塗料の吐出方向に対し管の径方向に可変とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、以上のように構成したので、塗料吐出パターンが管軸方向に移行する際にエアカーテンが邪魔にならず、ダクタイル鋳鉄管のような種々の径の金属管の外面塗装を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明に係る管外面への塗装方法(装置)の一実施形態の概略正面図
【
図3】同実施形態における塗料の吐出パターン説明図
【
図4】エアー角度θ、エアー圧等の変化に対する塗着効率の関係表図
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係る管外面への塗装方法(装置)の一実施形態を
図1~
図3に示し、この塗装装置は、従来と同様に、水平に置いたダクタイル管Aの真上に塗装ガン1をフレームFを介して設置している。その塗装ガン1は、
図3に示すように、管Aの外面上において、長楕円形霧化型吐出パターンPを形成するノズルチップ1aを有している。このノズルチップ1aの吐出口の形状を変えることによって吐出パターンPの形状を適宜に変更する。
【0017】
ダクタイル管Aは、吐出パターンPの長径方向が管Aの管軸o方向と同一方向になるようにローラ2によって支持され、一方のローラ2を回転させることによって管軸oを中心に回転する(自転する)。
フレームFは、
図1、
図2に示すように、管Aの上方にその管軸oに直交するように位置され、図示しないレシプロ装置により、管軸方向に片道あるいは往復移動する。このフレームFに支持杆4を介して塗装ガン1が設けられ、この塗装ガン1に塗料パイプ5が接続されている。塗装ガン1は支持杆4の軸心周りに(管Aの径方向に)その吐出方向を可変とすることができる。
【0018】
また、フレームFには管軸oの方向の支持パイプ6が管Aの両側(管Aの直径方向両側)に設けられ、この対の支持パイプ6に複数のエアガン3をその管Aの長さ方向に設けてある。支持パイプ6には加圧空気(エアー)aが送り込まれている。両支持パイプ6、6の間隔やエアガン3の支持パイプ6の長さ方向(管軸o方向)の数や吐出口形状は、吐出されるエアーaが
図3の長楕円形霧化型吐出パターンPの両端間Lを含む広さを有するとともに同パターンPの両側縁を管Aの外周上で挟むように、エアカーテンSが形成されるように実験などにより適宜に設定する(
図3参照)。この実施形態においては、エアガン3を管軸方向に4台設けている。
【0019】
エアガン3は、支持パイプ6の軸心周りに(管Aの径方向に)その吐出方向が可変となっている(
図2矢印方向)。その可変はフレームFに対して支持パイプ6をその軸心回りに回転・固定自在としたり、エアガン3の支持パイプ6への取り付け部を自在継手等によって可変としたりする。
このように、エアガン3の吐出方向を可変とすると、塗装ガン1の吐出方向とエアガン3の吐出方向であるエアカーテンSとの幅が変えられるため、様々な径の管Aに対応することができる。このとき、塗装ガン1の吐出方向も可変とすると、管Aへの塗料bの塗布位置・形状及びエアカーテンSの位置・幅・大きさを可変とすることができるから、様々な径の管Aにより的確に対応することができる。
【0020】
この実施形態の塗装装置は以上の構成であり、管Aをローラ2で支持して管軸oを中心に回転させている状態において、塗装ガン1から塗料bを吐出して管Aの外面に、長軸が管軸o方向の長楕円形霧化型吐出パターンPを形成するとともに、その両側のエアガン3からエアーaを吐出して長楕円形霧化型吐出パターンPの両側にエアカーテンSを形成する。すなわち、長楕円形霧化型吐出パターンPの両側のみにエアカーテンSを形成し、同両端(管軸o方向両端)にはエアカーテンSを形成しない。
【0021】
この塗装ガン1からの塗料bの吐出作用を、レシプロ装置により塗装ガン1及びエアガン3を管Aの一端(例えば、受口側)から他端(例えば、挿し口側)に向かって管軸o方向に片道あるいは往復移動させて行い、管Aの外周全面を塗装する。このとき、塗装ガン1のノズルチップ1aより出た塗料粒子bは、両側のエアカーテンS、Sによって吐出パターンPから外側に外れることを阻止されるとともに、管Aに当たって跳ね返ったり、管Aに到達しなかったりしても、エアカーテンSによって吐出パターンP内に導かれる。このため、塗料bの無駄もなく、効率的な塗装を行うことができる。
【0022】
なお、管Aの径が異なっても、吐出パターンPの幅が管Aの直径を超えなければ、その管A外面の塗装は可能であるが、エアガン3によるエアー吐出方向を変更すれば、
図3に示すように、吐出されるエアーaが長楕円形霧化型吐出パターンPの両側縁を管Aの外周上で確実に挟むようにすることを容易に行うことができる。
【0023】
この実施形態において、下記の条件の下、エアガン3の吐出空気aの吐出方向を、管軸oの直交方向に対し内側に(塗料bの吐出方向に対し管軸o側に)傾斜した角度θ(
図2参照)を変化させた場合等の実験例1~6を行い、その結果を
図4に示す。
記
・塗装ガン1:エアレススプレーガン
・塗料b:水系エマルジョン塗料(固形分27%、比重1.05、粘度:10s(秒)(粘度はイワタカップ粘度計(NK-2)で測定))
・管A:呼び径150の鋳鉄管(外径D:169mm)
・管Aの回転周速度:110m/min(分)
・塗装速度(塗装ガン1の移動速度)V:21.4m/min
・塗装ガン1と管A外周面との距離:200mm(塗装ガン1は管Aの管軸oの真上にある)
・塗装ガン1の塗料吐出圧力:5~6MPa
・同ノズルチップ1a:950067-TC(スプレーイングシステムスジャパン合同会社製)
・同吐出量Q:165g/10s
・同パス数:1回(片道)
・エアカーテンS(エアガン3):エアーブラスターAB-25P(株式会社共立合金製作所製)
・エアガン3のエアー吐出圧力:0.01~0.04MPa
なお、エアガン3(エアカーテンS)は、塗装ガン(エアレススプレーガン)1と同期させて管軸o方向に一緒(一体)に移動させた。
また、接線方向とは、
図3におけるエアカーテンSの幅の長さ方向の中心線c(エアガン3の塗出方向)が管Aの外周面に接している(中心線cが管Aの外周側端面上にある)状態の方向を言う。
【0024】
塗着効率(%)は以下の(ア)~(キ)の手順で求めた。
(ア)管Aに塗装する前に、塗料bの吐出量(g/10s)を測定する。
(イ)管Aに前もって重量を測定した半紙(140×120mm)を貼り付ける。
(ウ)塗装ガン1を管Aの全長に片道移動させて塗装する。
(エ)半紙を剥がし、120℃×1時間の条件で乾燥させて重量を測定する。
(オ)塗装前後の重量差を計算し、塗装面積、塗装固形分、塗料比重から1m2当たりの実測塗着量を算出する。
(カ)塗装前の吐出量とガンの移動速度により、下記の式(1)でもって1m2当たりの理論塗着量を算出する。
理論塗着量=(60/V)×(Q/10)×D×π)・・・・・(1)
(キ)理論塗着量と実測塗着量の比率を計算し、塗着効率を算出する。
【0025】
この実験によると、実験例4のエアカーテンSを形成しない場合、その塗着効率:80%であった。
これに対し、実験例5のエアーa(エアカーテンS)を管Aの外周面の接線方向から外側にずらし、かつエアカーテンSを一つとした場合、エアカーテンS側に塗料bの吐出方向が曲がり、吐出パターンPがエアカーテンS側に流れ、塗着効率が悪かった。
実験例6のエアーa(エアカーテンS)を管Aの外周面の接線方向内側に向けた場合、管Aの外周方向の飛散は低減したが、管軸方向の飛散が増えて同様に塗着効率が悪かった。
実験例1のエアーa(エアカーテンS)を管Aの管軸oに直交する外周接線方向とした場合、実験例2、3に対して吐出パターンPの層厚の低下が認められ、円周方向(管の外周方向)への塗料bの飛散は、実験例4に比べて若干減少し、塗着効率:84%であった。
実験例2は、実験例1に対し、エアーaの吐出方向を内側に5度(θ=5度)とした場合であり、管頂方向約50mmまで上向きの気流が生じたが、塗料bの円周方向の飛散は実験例1に対して減少し、塗着効率:85%であった。
実験例3は、実験例1に対し、エアーaの塗出方向を内側に20度(θ=20度)とした場合であり、実験例2に対し管頂方向上向きの気流が増し、塗料bの円周方向の飛散は少なくなったが、管A上の塗料ミストが多くなり、塗着効率:82%であった。
【0026】
以上の実験例から、エアーaの塗出角度θ=5度前後の塗着効率が一番優れており、同塗出角度θは、その角度(5度)から大きくなっても、小さくなっても塗着効率は低下することが理解できる。これらから、エアガン3の吐出空気aは、管Aの外周の接線方向に吹き付けることが好ましく、かつ、塗料bの吐出方向を管軸o直交方向とし、エアガン3の吐出空気aを、吐出方向から0~20度内側に傾けることが好ましいことが理解できる。
【0027】
上記実施形態は、塗装ガン1及びエアガン3を管軸方向に移動させたが、塗装ガン1及びエアガン3を固定で、管Aをその管軸o方向に移動させることもできる。
塗装ガン1及びエアガン3は、管Aの真上(管軸の直交方向上側)でなくても、支障がない限りにおいて、管軸o周りの任意の位置に傾けて設けても良い。
吐出パターンPは、管軸o方向に長い長楕円形霧化型でなくて、円形等と任意である。
ダクタイル鋳鉄管A以外の種々の管の外面塗装にこの発明が採用できることは勿論である。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
A 管
P 塗料吐出パターン
S エアカーテン
F フレーム
a 吐出エアー(吐出空気)
b 塗料(塗料粒子)
o 管軸
1 塗装ガン
1a 塗装ガンのノズルチップ
2 管回転支持ローラ
3 エアガン
4 支持杆
5 塗料パイプ
6 エアガン支持パイプ