(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】セメント複合材
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20221014BHJP
C04B 14/12 20060101ALI20221014BHJP
C04B 14/36 20060101ALI20221014BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20221014BHJP
C04B 24/06 20060101ALI20221014BHJP
C04B 24/24 20060101ALI20221014BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20221014BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20221014BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B14/12
C04B14/36
C04B22/08 Z
C04B24/06 A
C04B24/24 Z
E01D19/12
E01D22/00 A
E04G23/02 D
(21)【出願番号】P 2019020491
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】杉山 彰徳
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114734(JP,A)
【文献】特開2018-203552(JP,A)
【文献】特開2011-42530(JP,A)
【文献】特開2015-107893(JP,A)
【文献】特開2016-179917(JP,A)
【文献】特開2020-93957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B7/00-32/02
C04B40/00-40/06
C04B103/00-111/94
E04G23/02
E01D22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、速硬性セメント混和材、セメント混和用ポリマー、凝結遅延剤及び骨材を含み、
前記骨材が、絶乾密度が1.0~2.0g/cm
3の軽量骨材及び3.0~5.0g/cm
3の重量骨材を含み、
かつ前記セメント混和用ポリマー(固形分)が、セメントと速硬性セメント混和材の合量100質量部に対して4~14質量部であることを特徴とするセメント複合材。
【請求項2】
前記骨材中の細骨材が、絶乾密度が1.5~2.0g/cm
3の軽量骨材を含み、かつ前記骨材中の粗骨材が、絶乾密度が3.0~5.0g/cm
3の重量骨材を含むことを特徴とする請求項1に記載のセメント複合材。
【請求項3】
前記骨材中の細骨材が、絶乾密度が3.0~5.0g/cm
3の重量骨材を含み、前記骨材中の粗骨材が、絶乾密度が1.0~1.6g/cm
3の軽量骨材を含むことを特徴とする請求項1に記載のセメント複合材。
【請求項4】
前記セメント複合材の単位容積質量が、1.90~3.20t/m
3であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のセメント複合材。
【請求項5】
コンクリート構造物の補修用として用いられる請求項1~4の何れか1項に記載のセメント複合材。
【請求項6】
コンクリート床版上面における断面修復用として用いられる請求項1~4の何れか1項に記載のセメント複合材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は速硬性を有するセメント複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内の道路橋は老朽化が進んでおり,今後その数は急増すると言われている。そのため維持管理および補修,補強によって長寿命化させる必要がある。橋梁床版の補強工法の一例として床版上面増厚工法,補修工法の一例として断面修復工法が挙げられる。それらに用いるコンクリートは一般的に求められる性能として,早期道路開放のために速硬性、劣化因子への耐久性、既設コンクリートとの一体性等が挙げられる。
【0003】
短時間で強度発現性を得るために、速硬性のあるセメントや混和材料を添加した水硬性材料が使用されている。また、これらの材料にセメント混和用ポリマーを加え、速硬性と耐久性を考慮した水硬性組成物が提案されている(特許文献1、2等)。
【0004】
既設コンクリートとの一体性を高める方法には既設部と新設部の界面の付着性を上げるのが一般的だが、その他に同程度の静弾性係数を有する材料を用いることが挙げられる。既設部と新設部で静弾性係数が大きく異なる場合,荷重に対するひずみ量に両者の差が生じてしまい,界面での剥離が起こる原因になる。呼び強度が同等のコンクリートを使用することで、静弾性係数の過度な乖離が抑えられるが、速硬性や耐久性を満足することは難しくなる。速硬性や耐久性を付与すると水セメント比は低下する配合になり、圧縮強度の増加に伴い静弾性係数も増加してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-58437号公報
【文献】特開2016-2673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、速硬性を有したセメント複合材を検討するにあたり、骨材ならびにセメント混和用ポリマーを用いた配合を鋭意検討した結果、特定のコンクリート配合において、速硬性と耐久性を失わずに静弾性係数を低減させたセメント複合材が経済的に得られるとの知見を得た。本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。
したがって、本発明は、速硬性と耐久性を有し、静弾性係数を低減させたセメント複合材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔4〕を提供するものである。
〔1〕セメント、速硬性セメント混和材、セメント混和用ポリマー、凝結遅延剤及び骨材を含み、
前記骨材が、絶乾密度が1.0~2.0g/cm3の軽量骨材及び3.0~5.0g/cm3の重量骨材を含み、かつ前記セメント混和用ポリマー(固形分)が、セメントと速硬性セメント混和材の合量100質量部に対して4~14質量部であるセメント複合材。
〔2〕前記骨材中の細骨材が、絶乾密度が1.5~2.0g/cm3の軽量骨材を含み、かつ前記骨材中の粗骨材が、絶乾密度が3.0~5.0g/cm3の重量骨材を含む〔1〕に記載のセメント複合材。
〔3〕前記骨材中の細骨材が、絶乾密度が3.0~5.0g/cm3の重量骨材を含み、前記骨材中の粗骨材が、絶乾密度が1.0~1.6g/cm3の軽量骨材を含む〔1〕に記載のセメント複合材。
〔4〕前記セメント複合材の単位容積質量が、1.90~3.20t/m3である〔1〕~〔3〕の何れかに記載のセメント複合材。
〔5〕コンクリート構造物の補修用として用いられる〔1〕~〔4〕の何れかに記載のセメント複合材。
〔6〕コンクリート床版上面における断面修復用として用いられる〔1〕~〔4〕の何れかに記載のセメント複合材。
【発明の効果】
【0008】
速硬性と耐久性を損なわずに静弾性係数を低減させたセメント複合材が経済的に得られる。本発明の速硬性を有するセメント複合材は、既設のコンクリートとの静弾性係数の差が小さく、界面剥離が起きにくいことから、既設のコンクリート構造物の補修材として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態が、以下、説明される。
本発明のセメント複合材は、セメント、速硬性セメント混和材、セメント混和用ポリマー、凝結遅延剤、絶乾密度が1.0~2.0g/cm3の軽量骨材及び3.0~5.0g/cm3の重量骨材を含有する。
【0010】
本発明で用いられるセメントとしては、工業的に製造されるポルトランドセメントが使用できる。例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。また、前記ポルトランドセメントに、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末等が混合された各種の混合セメントが挙げられる。これらセメントの一種であっても、二種以上のものであっても良い。
【0011】
本発明で用いられる速硬性セメント混和材は、セメントに添加することによって早期に硬化を促進する材料を指す。いわゆるセメント・コンクリート用の硬化促進剤と呼ばれるものであり、例えば硝酸塩、亜硝酸塩、アルミン酸塩系等の液体系のもの、カルシウムアルミネート類を有効成分として含む粉体系のものが挙げられる。特に短時間強度発現性の観点からは、カルシウムアルミネート類を含む、カルシウムアルミネート系の速硬性セメント混和材が好ましい。これらの速硬性セメント混和材はセメント100質量部に対して5~100質量部添加される。
【0012】
前記速硬性セメント混和材の有効成分として含まれるカルシウムアルミネート類としては、CaOをC、Al2O3をA、Na2OをN、Fe2O3をFで表示した場合、C3A,C2A,C12A7,C5A3,CA,C3A5又はCA2等と表示される鉱物組成を有するカルシウムアルミネート、C2AF,C4AF等と表示されるカルシウムアルミノフェライト、カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶又は置換したC3A3・CaF2やC11A7・CaF2等と表示されるカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート、C8NA3やC3N2A5等と表示されるカルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、アウイン(3CaO・3Al2O3・CaSO4)等のカルシウムサルホアルミネート、アルミナセメント、並びにこれらにSiO2,K2O,Fe2O3,TiO2等が固溶又は化合したもの等が含まれる。特にカルシウムアルミネートを有効成分として含むものが好ましい。含まれるカルシウムアルミネート類は一種であっても、二種以上であっても良い。さらに、安定した強度発現性の観点からカルシウムアルミネート類に硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩が併用された速硬性セメント混和材が好ましい。カルシウムアルミネート類を有効成分として含むカルシウムアルミネート系の速硬性セメント混和材の添加量としては、セメント100質量部に対して20~70質量部が好ましい。
【0013】
本発明で用いられるセメント混和用ポリマーは、一般にセメント混和用に使用されている何れのポリマーも使用することができるが、アクリル酸エステル系ポリマー、アクリルスチレン系ポリマー、スチレンブタジエン(SBR)系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、エチレン酢酸ビニル系ポリマー、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル系ポリマー、エチレンビニルアルコール(EVA)系ポリマー、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステル系ポリマー等が好ましい。これらのポリマーは、通常ポリマーディスパージョンの形態で市販されているもの、及び再乳化粉末樹脂として市販されているもののいずれでもよい。これらの中で、スチレンブタジエン系ポリマーが特に好ましい。
【0014】
セメント混和用ポリマー(固形分)の配合量は、前記セメントと速硬性セメント混和材の合量100質量部に対して、4~14質量部である。当該量とすることで、材料分離のないセメント複合材の混練物が得られ、所定の強度発現性と静弾性係数を有するセメント複合材が得られる。4質量部未満の場合は、セメント複合材の混練物に材料分離が生じる虞があり、一方14質量部を超えると、強度発現性及び耐久性の低下がみられる。好ましくは5~12質量部である。
【0015】
本発明における凝結遅延剤はセメントの凝結に遅延作用を及ぼすものである。凝結遅延剤は、液状のもの、粉体状のものいずれでも構わないが、液状のものが好ましい。凝結遅延剤が液状のものを好ましいとしたのは、遅延効果が速やかに得られるからである。このような液状凝結遅延剤としては、例えばクエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸、又はその塩、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、リン酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の無機塩、糖類などの群の中から選ばれる一種又は二種以上を含む液状(例えば、水溶液、エマルジョン、懸濁液の形態)のものが挙げられる。中でも、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、アルカリ金属炭酸塩の群の中から選ばれる一種又は二種以上を含む水溶液が用いられると、セメント複合材の可使時間が長く、かつ、初期の強度発現が高いことから好ましい。
【0016】
凝結遅延剤の配合量は、セメント複合材の可使時間や初期強度発現性の観点から、前記セメントと速硬性セメント混和材の合量100質量部に対して、0.05~2.0質量部が好ましい。セメント複合材の可使時間は、20分以上確保することが好ましい。より好ましくは、30分以上であり、更に好ましくは60分以上である。打設現場における温度や施工状況を考慮の上、適切な施工性が確保されるよう、可使時間が設定され、凝結遅延剤の配合量が決定される。
【0017】
本発明のセメント複合材に用いる骨材は、軽量骨材と重量骨材を併用する。通常骨材ではなく、軽量骨材と重量骨材を組み合わせて使用することによって、初期における圧縮強度を損ねることなく、材齢28日における圧縮強度及び静弾性係数を抑制することができる。
軽量骨材と重量骨材との組み合わせは、(1)軽量骨材を主に細骨材として使用し、重量骨材を主に粗骨材として使用する方法、(2)軽量骨材を主に粗骨材として、重量骨材を主に細骨材として使用する方法が挙げられる。何れの手法でも構わないが、それぞれがバランス良く配合され、単位容積質量が所定の範囲(1.90~3.20t/m3)に設定されることが好ましい。
なお、軽量骨材及び重量骨材の使用とともに通常骨材を使用することを完全に否定するものではないが、通常骨材の使用が増えると静弾性係数が十分低下しなくなるため、通常骨材の使用はできる限り最小限度にとどめることが好ましい。具体的には全骨材中10容積%以下が好ましく、5容積%以下がより好ましく、2容積%以下がさらに好ましい。
【0018】
本発明に用いられる軽量骨材は、絶乾密度が1.0~2.0g/cm3である。この範囲の軽量骨材を使用することによって、所定の圧縮強度及び静弾性係数を満足するセメント複合材が得られる。さらに、細骨材として使用する場合は、絶乾密度が1.5~2.0g/cm3ある軽量骨材を使用することが好ましく、1.5~1.8g/cm3がより好ましい。また、粗骨材として使用する場合は、絶乾密度が1.0~1.6g/cm3ある軽量骨材を使用することが好ましく、1.0~1.4g/cm3がより好ましい。
【0019】
軽量骨材としては、火山性の礫等の天然骨材、スラグ等の精錬副産骨材、膨張頁岩や粘板岩を焼成して得た人工骨材のいずれかでも良いが、特に膨張頁岩を原料とする多孔性の人工軽量骨材が好適である。
【0020】
軽量骨材の配合量は、所定の圧縮強度及び静弾性係数を得る観点から、300~1000kg/m3が好ましく、400~900kg/m3がより好ましい。
【0021】
本発明に用いられる重量骨材は、絶乾密度が3.0~5.0g/cm3の骨材である。この範囲の骨材を使用することによって、所定の圧縮強度及び静弾性係数を満足するセメント複合材が得られる。さらに、細骨材として使用する場合は、絶乾密度が3.0~5.0g/cm3ある重量骨材を使用することが好ましく、3.5~4.5g/cm3がより好ましい。また、粗骨材として使用する場合は、絶乾密度が3.0~5.0g/cm3ある重量骨材を使用することが好ましく、 3.5~4.5g/cm3がより好ましい。
【0022】
前記重量骨材としては、鉄鉱石、重晶石等の天然骨材、電気炉酸化スラグ骨材、銅スラグ細骨材等の人工骨材が挙げられる。この中でも密度及び静弾性係数の観点から重晶石が好適である。
【0023】
重量骨材の配合量は、所定の圧縮強度及び静弾性係数を得る観点から、800~2000kg/m3が好ましい。また、900~1800kg/m3がより好ましい。
【0024】
本発明において使用される水は、特に限定されるものではなく、水道水などを使用することができる。水の配合量(単位水量)は、フレッシュコンクリート性状、初期強度発現性、乾燥収縮性の観点から、100~200kg/m3とすることが好ましい。また、水の配合量は、前記セメントと速硬性セメント混和材の合量100質量部に対し、15~35質量部とすることが好ましい。
【0025】
本発明におけるセメント複合材には、上記以外の成分として、本発明の特長が損なわれない範囲で、各種添加材が併用されても良い。この種の添加材としては、例えば減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤等のセメント分散剤、発泡剤、起泡剤、防水剤、防錆剤、収縮低減剤、増粘剤、保水剤、顔料、撥水剤、白華防止剤、消泡剤、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石粉、シリカフューム、火山灰等が挙げられる。
【0026】
セメント複合材の混練方法としては、特に限定されないが、製造量や均質な混練性の観点から、ミキサを用いる方法が好ましい。ミキサとしては、連続式ミキサやバッチ式ミキサが用いられる。例えば、パン型コンクリートミキサ、パグミル型コンクリートミキサ、重力式コンクリートミキサ等が挙げられる。混練時間は120秒~360秒が好ましい。
【0027】
本発明のセメント複合材の単位容積質量は、1.90~3.20t/m3に設定されることが好ましく、2.11~3.00t/m3に設定されることがより好ましく、2.30~2.80t/m3に設定されることがさらに好ましい。
重量骨材だけを用いた場合は、単位容積質量が3.20t/m3を超えて大きくなるため既設コンクリートと差異が大きくなり、特に補修材料として使用する場合に好ましくない。一方、軽量骨材だけを使用した場合は、単位容積質量が1.90t/m3未満となり既設コンクリートと差異が大きくなり、また許容応力度が小さくなることから好ましくない。
【0028】
このようにして作製された本発明のセメント複合材は、速硬性を確保しつつ、材料分離がなく、通常のコンクリートの静弾性係数とほぼ同様の特性を付与することができる。具体的には、材齢28日における静弾性係数を、26.5±5kN/mm2に設定することができる。このため、静弾性係数の違いによる界面での剥離の心配がなく、既設コンクリート構造物の補修用(補修材)として好適である。特にコンクリート床版上面における断面修復用として有用である。
【実施例】
【0029】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0030】
<使用材料>
(1)セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、密度;3.16g/cm3)
(2)速硬性セメント混和材:カルシウムアルミネート系急硬材(密度;2.93g/cm3)
(3)セメント混和用ポリマー:スチレンブタジエン系ポリマーエマルジョン(固形分45%、密度;1.00g/cm3)
(4)凝結遅延剤:クエン酸系遅延剤
(5)軽量骨材:a)軽量細骨材;人工軽量細骨材(絶乾密度1.70g/cm3)
b)軽量粗骨材;人工軽量粗骨材(絶乾密度1.25g/cm3)
(6)重量骨材:a)重量細骨材;重晶石粒度調整品(絶乾密度3.92g/cm3)
b)重量粗骨材;重晶石粒度調整品(絶乾密度4.11g/cm3)
(7)通常骨材:a)静岡県掛川産山砂(絶乾密度2.51g/cm3)
b)茨城県桜川産砕石(絶乾密度2.61g/cm3)
(8)水:水道水
【0031】
上記材料を使用して、20℃環境下で評価試験を行った。そのときのセメント複合材の配合を表1に示す。単位はkg/m3である。なお、凝結遅延剤は、セメント複合材の可使時間が60分以上となるよう、セメントと速硬性セメント混和材の合量100質量部に対して0.8質量部を、水に混ぜて添加した。
【0032】
【0033】
<評価試験>
(1)単位容積質量
JIS A 1116に準拠し、20℃環境下でセメント複合材の単位容積質量を算出した。
(2)材料分離性
JIS A 1150に準拠し、20℃環境下でセメント複合材のスランプフローが350mm以内のものを「○」、350mmを超えるものを「×」と判断した。
(3)圧縮強度
JIS A 1108に準拠し、20℃環境下でセメント複合材の供試体を作製し、材齢6時間及び材齢28日における圧縮強度を測定した。
(4)静弾性係数
JIS A 1149に準拠し、材齢28日における静弾性係数を測定した。構造物施工管理要領に定められたコンクリート床版上面における断面修復の力学的性能を参考に、材齢28日での静弾性係数は26.5±5kN/mm2を良否基準とした。
【0034】
<試験結果>
試験結果を表2に示す。
所定の軽量骨材及び重量骨材を使用し、所定のポリマー量を配合した実施例では、良好な材料分離性及び強度発現性を示すとともに、通常骨材を使用した比較例1のセメント複合材に比較して、静弾性係数を低減させることができた。
一方、ポリマー量が低い配合(比較例2)では材料分離が生じ、ポリマー量が大きい配合(比較例3)では6時間強度が低く速硬性を付与することができなかった。
【0035】