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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】コンクリート追跡システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20221014BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
E21D11/10 Z
E04G21/02 103Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019049800
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020153078
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】三谷 一貴
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-007141(JP,A)
【文献】特開2011-236631(JP,A)
【文献】特開2011-247003(JP,A)
【文献】特開2009-157739(JP,A)
【文献】特開2017-027152(JP,A)
【文献】特開平06-050917(JP,A)
【文献】特開2018-035632(JP,A)
【文献】特開2014-114638(JP,A)
【文献】特開2011-184934(JP,A)
【文献】特開平04-030096(JP,A)
【文献】特開2012-007351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/10
E04G 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場で使用するコンクリートの追跡システムであって、
監視装置、充填センサおよび管理端末、を少なくとも具備し、
前記監視装置は、
工事現場でのコンクリートの使用状況として、コンクリートの打設時に用いるポンプ用の分電盤の稼働開始時間および稼働終了時間のうち少なくとも何れか一方を検知して前記管理端末に送信する機能を有し、
前記充填センサは、
型枠内に複数設置され、コンクリートの充填状況を検知する機能を有し、
前記管理端末が、
前記監視装置から取得した使用状況と前記充填センサから取得した充填状況とを時間を基準に紐付けて照合可能とした、照合手段を少なくとも有することを特徴とする、
コンクリート追跡システム。
【請求項2】
工事現場で使用するコンクリートの追跡システムであって、
監視装置、充填センサおよび管理端末、を少なくとも具備し、
前記監視装置は、
工事現場でのコンクリートの使用状況を検知する機能を有し、
前記充填センサは、
型枠内に複数設置され、コンクリートの充填状況を検知する機能を有し、
前記管理端末が、
前記監視装置から取得した使用状況と前記充填センサから取得した充填状況とを時間を基準に紐付けて照合可能とした、照合手段を少なくとも有し、
前記管理端末が、
トンネル覆工現場において、縦方向をトンネル軸方向とし、さらに横方向をトンネル周方向として展開した平面図を、打設現場図として生成する、打設現場図表示手段と、
前記コンクリートの充填状況を現したコンター図を、前記打設現場図にレイヤー表示する、コンター図表示手段と、をさらに有することを特徴とする、
コンクリート追跡システム。
【請求項3】
前記型枠に、
打設コンクリートの表面温度を計測する、温度センサと、
打設コンクリートの圧力を計測する、圧力センサと、をさらに設け、
前記管理端末が、
前記打設現場図に対し、前記表面温度または圧力を数字または図形で示した画面をレイヤー表示する、打設情報表示手段と、をさらに有することを特徴とする、
請求項に記載のコンクリート追跡システム。
【請求項4】
前記監視装置が、
コンクリートの運搬車両の打設現場への入場時間および退場時間のうち少なくとも何れか一方を、前記使用状況として前記管理端末に送信する機能を有することを特徴とする、請求項3に記載のコンクリート追跡システム。
【請求項5】
前記監視装置が、
コンクリートの打設時に用いるポンプ用の分電盤の稼働開始時間および稼働終了時間のうち少なくとも何れか一方を、前記使用状況として前記管理端末に送信する機能を有することを特徴とする、請求項3に記載のコンクリート追跡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場などで使用したコンクリートの運搬を担当した運搬車両を照合するためのコンクリート追跡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事に用いる覆工コンクリートでは、コンクリートの材料分離が起こらないように打設し、空隙が残らないように品質の良いコンクリートを完全に充填して締め固めなければならない。この品質管理を行う上で、スライドセントルに監視窓を設けたり、型枠部分に温度センサなどの各種センサを取り付けたりする方法が採用されている。
例えば、以下の特許文献1には、コンクリート充填センサを型枠に配置することで、覆工コンクリートの充填状況を把握する技術が開示されている。
また、特許文献2には、コンクリートの打設高さを管理するための型枠装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-214747号公報
【文献】特開2018-35632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献に記載の方法では、以下の問題がある。
(1)打設作業中の充填状況を確認・記録するに留まるため、いつどの場所にどのコンクリートが使用されたかを確認、記録することができない。
(2)最終的に確実に充填がされたか否かを判定するだけであるため、どのようにコンクリートが充填されていったかを面的に確認することができず、施工後のデータ分析が難しい。
【0005】
よって、本発明は、施工後においても、使用したコンクリートの諸元(情報)の追跡と、コンクリートの充填履歴の追跡とを可能とする手段の提供を目的の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、工事現場で使用するコンクリートの追跡システムであって、監視装置、充填センサおよび管理端末、を少なくとも具備し、前記監視装置は、工事現場でのコンクリートの使用状況として、コンクリートの打設時に用いるポンプ用の分電盤の稼働開始時間および稼働終了時間のうち少なくとも何れか一方を検知して前記管理端末に送信する機能を有し、前記充填センサは、型枠内に複数設置され、コンクリートの充填状況を検知する機能を有し、前記管理端末が、前記監視装置から取得した使用状況と前記充填センサから取得した充填状況とを時間を基準に紐付けて照合可能とした、照合手段を少なくとも有することを特徴とする。
また、本願の第2発明は、工事現場で使用するコンクリートの追跡システムであって、監視装置、充填センサおよび管理端末、を少なくとも具備し、前記監視装置は、工事現場でのコンクリートの使用状況を検知する機能を有し、前記充填センサは、型枠内に複数設置され、コンクリートの充填状況を検知する機能を有し、前記管理端末が、前記監視装置から取得した使用状況と前記充填センサから取得した充填状況とを時間を基準に紐付けて照合可能とした、照合手段を少なくとも有し、前記管理端末が、トンネル覆工現場において、縦方向をトンネル軸方向とし、さらに横方向をトンネル周方向として展開した平面図を、打設現場図として生成する、打設現場図表示手段と、前記コンクリートの充填状況を現したコンター図を、前記打設現場図にレイヤー表示する、コンター図表示手段と、をさらに有することを特徴とする前記第1発明において、前記監視装置が、コンクリートの運搬車両の打設現場への入場時間および退場時間のうち少なくとも何れか一方を、前記使用状況として前記管理端末に送信する機能を有することを特徴とする。
た、本願の第発明は、前記第発明において、前記型枠に、打設コンクリートの表面温度を計測する、温度センサと、打設コンクリートの圧力を計測する、圧力センサと、をさらに設け、前記管理端末が、前記打設現場図に対し、前記表面温度または圧力を数字または図形で示した画面をレイヤー表示する、打設情報表示手段と、をさらに有することを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第3発明において、前記監視装置が、コンクリートの運搬車両の打設現場への入場時間および退場時間のうち少なくとも何れか一方を、前記使用状況として前記管理端末に送信する機能を有することを特徴とする。
また、本願の第5発明は、前記第3発明において、前記監視装置が、コンクリートの打設時に用いるポンプ用の分電盤の稼働開始時間および稼働終了時間のうち少なくとも何れか一方を、前記使用状況として前記管理端末に送信する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を有する。
(1)運搬車両等の位置や作業状態から得られるコンクリートの使用状況と、型枠に設けた充填センサから得られるコンクリートの充填状況とを紐付けることで、打設領域内のどの場所にどの運搬車両から運ばれたコンクリートが使用されたかを確認・追跡することができる。
(2)運搬車両の入退場時間や、ポンプ用の分電盤の稼働の開始・終了時間を検知することで、該当する運搬車両に搭載したコンクリートが使用された時間を把握できる。
(3)二次元表示した打設現場図に時間単位でのコンクリートの打設完了領域を示すコンター図をレイヤー表示することで、コンクリートの打設経過を視覚的に把握することができる。
(4)型枠に別途温度センサや圧力センサを設け、これらの計測値を打設現場図に表示することで、施工中の確認や、施工後のデータ分析が容易となり、将来的なAI施工などの基礎データとしての活用も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コンクリート追跡システムの構成図。
図2】監視装置によるコンクリートの使用状況の特定方法を示すイメージ図。
図3】充填センサによるコンクリートの充填状況を示すイメージ図。
図4】運搬車両に搭載したコンクリートと打設済みコンクリートとの照合イメージ図。
図5】打設現場図のイメージ図。
図6】打設現場図にコンター図をレイヤー表示したイメージ図。
図7】打設現場図にコンター図および打設情報をレイヤー表示したイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
<1>全体構成(図1
本実施例に係るコンクリート追跡システムは、監視装置10と、充填センサ21を少なくとも含む型枠内センサ20と、管理端末30とを少なくとも具備してなる。
このコンクリート追跡システムによって得られるコンクリートCの出所や充填状況を、工事現場の作業員や責任者などが使用するユーザ端末40でもって確認することで作業の品質管理を行う。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0011】
<2>監視装置(図1図2
監視装置10は、各運搬車両A1に搭載したコンクリートCの使用状況を監視するための装置である。
本実施例において、コンクリートCの使用状況とは、運搬車両A1が搭載したコンクリートCが、打設現場でどの時間に使用されているか否かを示す情報である。
当該情報を特定する方法の一例について、図2を参照しながら説明する。
【0012】
<2.1>運搬車両の入退場時間(図2(a))
打設現場への運搬車両A1の入場時間および退場時間をコンクリートCの打設の開始・終了時間に見立てて、管理端末30で入退場記録D1として記憶しておく方法である。
この方法では、運搬車両A1に取り付けたGPS11を監視装置10として、位置情報を工事現場の位置情報と照合する方法や、工事現場に設けた、ゲートセンサ12などを監視装置10として、工事現場への運搬車両A1の出入りの時間を記録する方法などを用いることができる。
また、監視装置10として赤外線センサをポンプ車に設置しておき、運搬車両が荷下ろし箇所まで到達したときに、前記赤外線センサが運搬車両を検知するように構成することで、自動的に運搬車両の入退場を記録してもよい。
【0013】
また、本発明において、監視装置10は入場時間および退場時間の両方の送信を必須とするものではない。例えば複数の運搬車両A1が連続して打設作業を行う現場であれば、各運搬車両A1の入場時間のみを記録する形であっても支障は無い。
【0014】
<2.2>ポンプ車の稼働時間(図2(b))
コンクリート圧送用のポンプ車A2が備える、ポンプ用の分電盤A21の稼働の開始時間および終了時間をコンクリートCの打設の開始・終了時間に見立てて、管理端末30で稼働記録D2として記憶しておく方法である。
この方法では、分電盤A21に予め取り付けてあるかまたは別途新設する情報処理装置13を監視装置10として、分電盤A21の稼働情報を取り出して管理端末30に送信する方法などを用いることができる。
また、前記<2.1>と同様、本発明において、監視装置10は分電盤A21の稼働の開始時間および終了時間の両方の送信を必須とするものではない。
【0015】
<2.3>識別情報の取得態様
なお、前記<2.1><2.2>における監視装置10での運搬車両A1の識別情報(協力会社名、車両番号など)を取得の有無は、本発明において限定しない。
例えば、監視装置10として運搬車両A1に取り付けてあるGPS11機器を用いている場合、監視端末に送信する情報の中に、運搬車両A1の識別情報を含めることができる。
また、監視装置10を、作業現場に用意したコードリーダとすれば、運搬車両A1に取り付けた二次元コードなどを人力または自動で、コードリーダなどで読み取ることで、監視端末に送信する情報の中に、運搬車両A1の識別情報を含めることができる。
なお、監視装置10をゲートセンサ12などで構成した場合、運搬車両A1の出入りは検知できても、運搬車両A1の識別までには至らない場合がある。この場合は、作業計画表などのその他の工程管理のデータから、後述する管理端末30でもって該当する運搬車両A1を別途紐付けてもよい。
【0016】
<3>型枠内センサ(図1図3
型枠B内には、各種パラメータを計測可能なセンサ群(型枠内センサ20)を設けておくことができる。
本実施例では、型枠内センサ20として、充填センサ21を少なくとも有し、その他図示しない温度センサおよび圧力センサをそれぞれ所望の間隔をあけて型枠B内に配列している。
これらのセンサは別々に配置しても良いし、これらのセンサを一体化した複合的なセンサを配置してもよい。
また、各センサの計測値は、個別に管理端末30へと送っても良いし、一度集約した情報をまとめて管理端末30へと送っても良い。
これらは、無線通信等によって管理端末30に送られる。
【0017】
<3.1>充填センサ(図1図3
充填センサ21は、該センサの設置場所においてコンクリートCが打設されているか否かを検知するためのセンサである。
この検知情報は、リアルタイムまたは所定時間毎に管理端末30に送られる。
図3に示すように、管理端末30では、充填センサ21から送られる検知情報に基づいて、充填センサ21毎に時間単位でコンクリートCの充填の有無が記録された、充填記録Eが生成される。
この充填記録Eを参照することで、ユーザは、コンクリートCの充填状況をリアルタイムに確認することができる。
【0018】
<3.2>温度センサ(図示せず)
温度センサは、該センサの設置場所の温度、引いては打設したコンクリートCの表面温度を計測するためのセンサである。
この計測温度を参考にして、コンクリートCの打設後の脱型強度の管理が可能となり、適切な養生管理を実現することができる。
【0019】
<3.3>圧力センサ(図示せず)
圧力センサは、該センサの設置場所においてコンクリートCによって受ける圧力を計測するためのセンサである。
この計測圧力値82を参考にコンクリートC打設による型枠Bに係る荷重を把握し、例えばトンネル天端部の空隙を無くすための必要な圧力値82の算出や、当該圧力値82に達しているか否かの確認が容易となる。
【0020】
<3.4>各センサの設置態様について
前記した各種センサは、型枠Bの外表面に設けても良いし、型枠Bの内部に埋め込むなど、あらゆる態様で型枠Bに組み込むことができる。
また、各種センサの配置形態や数は特段限定しない。
【0021】
<4>管理端末(図1
管理端末30は、前記監視装置10および前記型枠内センサ20から取得した情報を利用して、以下に記載する機能を実現するための情報処理を行うための端末である。管理端末30は、社内や作業事務所内、もしくはクラウド上に設けるサーバ、その他PC、タブレット、スマートフォンなどの情報処理端末を用いることができる。
管理端末30は、以下の機能のうち少なくとも何れかの情報処理手段として機能する。
【0022】
<4.1>照合手段(図1図4
照合手段31は、各打設完了領域で使用されたコンクリートCの運搬車両A1を照合するための手段である。
本機能は、監視装置10から取得した、各運搬車両A1に搭載したコンクリートCの使用状況と、充填センサ21から取得したコンクリートCの充填状況とを、時間を基準に紐付けてデータベース化することによって行う。
例えば、監視装置10によって、運搬車両A1の識別番号と打設の開始時間および終了時間を取得しておけば、この時間内に充填センサ21によって充填されたとした領域のコンクリートCは、当該運搬車両A1によって運搬されてきたコンクリートCであると判断することができる。
【0023】
<4.1.1>照合イメージ
図4に、運搬車両A1に搭載したコンクリートCと、打設済みコンクリートCとの照合イメージ図を示す。
図4では、入退場記録D1に、運搬車両A1(NO.1)の入場時間が10:00、退場時間が10:30として記録されている。
そして、充填記録EEでは、10:00の段階で何れの充填センサ21もコンクリートCが充填されたことを示しておらず、10:10の段階で、充填センサ21(A-1)についてコンクリートC充填されたことが記録されている。
よって、充填センサ21(A-1)を設けた位置では、NO.1の運搬車両A1に搭載したコンクリートCが使用されたことが照合できる。
これらの照合によって、図4に示す表では、充填センサ21(A-1,A-2)が配置された領域に、運搬車両A1(NO.1)に搭載していたコンクリートCが使用され、充填センサ21(A-3)が配置された領域に、運搬車両A1(NO.2)に搭載していたコンクリートCが使用されたことを把握することができる。
【0024】
<4.1.2>時間差の考慮
なお、監視装置10を設ける態様によって、監視装置10によって得られる時間と、当該運搬車両A1によって実際にコンクリートCの打設が行われたことが示される時間との間に差が生ずることもあるが、この場合、当該時間差を予め考慮して適宜関連付けを行えばよい。
【0025】
<4.2>打設現場図表示手段(図1図5
打設現場図表示手段32は、コンクリートCの打設現場を、ユーザ端末40による確認が可能な態様で図示する機能である。
図5に、打設現場図60のイメージ図を示す。
本実施例では、トンネルの構築に用いるスライドセントルの型枠B部分を二次元図面に展開した図を打設現場図60としている。縦方向がトンネル軸方向(スライドセントルの進行方向)にあたり、横方向がトンネル周方向(一方の側部から天端部を経由して他方の側部に至る方向)を示している。
この打設現場図60に、型枠内センサ20の設置位置を紐付けておくことで、後述する各種の表示機能を任意にレイヤー表示可能ととする。
この打設現場図60は、管理端末30やユーザ端末40に設けているディスプレイによって確認可能である。
【0026】
<4.3>コンター図表示手段(図1図6
コンター図表示手段33は、コンクリートCの充填状況を、ユーザ端末40による確認が可能な態様で図示する機能である。
図6に、打設現場図60に、コンター図70をレイヤー表示した状態のイメージ図を示す。
本発明において、コンター図70とは、前記充填センサ21による得られる打設の完了位置を結んだ線を履歴線71とし、当該所定時間毎の履歴線71を表示することで、コンクリートCの打設完了領域の遷移(打設経過)をいわゆる等高線表示のように図示したものである。
このコンター図70によれば、コンクリートCの打設完了領域の遷移を容易に視認することができる。
【0027】
<4.4>打設情報表示手段(図1図7
打設情報表示手段34は、型枠内センサ20から得られるその他の打設情報を、ユーザ端末40による確認が可能な態様で図示する機能である。
図7に、打設作業の途中段階において、打設現場図60にコンター図70およびその他の打設情報をレイヤー表示した状態のイメージ図を示す。
コンター図70は、前記した図6に係る説明と同一であるため詳細な説明は省略する。なお、コンター図70の外側を囲った太字の線は、現段階でのコンクリートCの充填位置の境界を示す流入線72である。
本実施例では、打設情報として、温度センサや圧力センサによる計測値そのもの(温度値81、圧力値82)や、別途算出されるコンクリートCの強度値83、これらの値によって着色を変更するよう構成したブロック(温度表示ブロック91、圧力表示ブロック92、強度表示ブロック93)を含んでいる。
これらの打設情報を打設現場図60上で確認することで、コンクリートCの適切な養生や、型枠Bに係るコンクリートC荷重の把握などの判断が容易となり、コンクリートCの品質管理をより容易に実現することができる。
【実施例2】
【0028】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
前記した第1実施例では、コンクリートの使用状況を検知するための手法として、コンクリートを搭載する運搬車両の位置や、コンクリートを圧送するポンプの分電盤の稼働状況を検知する態様を採用しているが、本発明では上記の態様に限定するものではない。
例えば、コンクリートの打設に用いるコンクリートバケットの位置を検知することで、バケット内のコンクリートの使用状況を検知してもよい。
また、コンクリートを送る配管やホッパなどの流路に途上に、コンクリートの通過を検知するセンサを設けて、配管内のコンクリートの使用状況を検知してもよい。
【実施例3】
【0029】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
本発明は、コンクリートの打設途上にあるその他の計測装置から得た計測データを、さらに前記したコンクリートの使用状況および充填状況と紐付けてもよい。
例えば、第2実施例で説明したコンクリートを送る配管内にコンクリートの品質管理用の計測装置(RI水分計など)を設置している場合には、これらの計測装置から得た計測データを、管理装置で取得し、前記したコンクリートの使用状況および充填状況と紐付けることで、打設領域のうち特定の領域で使用されたコンクリートの品質管理データを容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 監視装置
11 GPS
12 ゲートセンサ
13 情報処理装置
20 型枠内センサ
21 充填センサ
30 管理端末
31 照合手段
32 打設現場図表示手段
33 コンター図表示手段
34 打設情報表示手段
40 ユーザ端末
50 ネットワーク
60 打設現場図
70 コンター図
71 履歴線
72 流入線
81 温度値
82 圧力値
83 強度値
91 温度表示ブロック
92 圧力表示ブロック
93 強度表示ブロック
A1 運搬車両
A2 ポンプ車
B 型枠
C コンクリート
D1 入退場記録
D2 稼働記録
E 充填記録
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7