(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】紙葉類収納装置及び紙葉類収納方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/175 20190101AFI20221014BHJP
G07D 11/12 20190101ALI20221014BHJP
B65H 29/70 20060101ALI20221014BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G07D11/175
G07D11/12
B65H29/70
B65H29/60 Z
(21)【出願番号】P 2019051695
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 健太
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-521051(JP,A)
【文献】特開2015-184926(JP,A)
【文献】特開昭59-039651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
B65H 29/60,29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のテープを繰り出し、繰り出される2枚のテープの間で紙葉類を挟持する繰出部と、
2個の回転ローラを用いて長円形の無限軌道に前記2枚のテープの先端が固定され、前記無限軌道の回転に応じて前記2枚のテープを巻き取る回転体と、
前記無限軌道の
長円形の第1の直線部分及び、前記第1の直線部分と対向する、前記長円形の第2の直線部分の内、前記繰出部への第1の紙葉類の進入を検知した場合に、前記2枚のテープの間で当該第1の紙葉類を挟持し、当該挟持された第1の紙葉類を前記第1の直線部分に停止し、
前記繰出部への第2の紙葉類の進入を検知した場合に、前記2枚のテープの間で当該第2の紙葉類を挟持し、前記挟持された第1の紙葉類を前記第2の直線部分に停止、かつ、前記挟持された第2の紙葉類を前記第1の直線部分に停止するように前記2枚のテープを巻き取るべく、前記回転体を駆動制御する制御部と
を有することを特徴とする紙葉類収納装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記繰出部への第3の紙葉類の進入を検知した場合に、前記2枚のテープの間で当該第3の紙葉類を挟持し、前記挟持された第1の紙葉類を前記第1の直線部分に停止、前記挟持された第2の紙葉類を前記第2の直線部分に停止、かつ、前記挟持された第3の紙葉類を前記第1の直線部分の前記第1の紙葉類上に停止するように前記2枚のテープを巻き取るべく、前記回転体を駆動制御することを特徴とする請求項
1に記載の紙葉類収納装置。
【請求項3】
2枚のテープを繰り出し、繰り出される2枚のテープの間で紙葉類を挟持する繰出部と、2個の回転ローラを用いて長円形の無限軌道に前記2枚のテープの先端が固定され、前記無限軌道の回転に応じて前記2枚のテープを巻き取る回転体とを有する紙幣収納装置が、
前記無限軌道の長円形の第1の直線部分及び、前記第1の直線部分と対向する、前記長円形の第2の直線部分の内、前記繰出部への第1の紙葉類の進入を検知した場合に、前記2枚のテープの間で当該第1の紙葉類を挟持し、当該挟持された第1の紙葉類を前記第1の直線部分に停止し、
前記繰出部への第2の紙葉類の進入を検知した場合に、前記2枚のテープの間で当該第2の紙葉類を挟持し、前記挟持された第1の紙葉類を前記第2の直線部分に停止、かつ、前記挟持された第2の紙葉類を前記第1の直線部分に停止するように前記2枚のテープを巻き取るべく、前記回転体を駆動制御する
処理を実行することを特徴とする紙葉類収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類収納装置及び紙葉類収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類取扱装置では、例えば、紙幣等の紙葉類を入出力する入出力部と、入力した紙葉類を格納するスタッカとを有している。紙葉類取扱装置は、紙葉類を入出力部に入力し、入力された紙葉類を搬送路経由でスタッカに格納する。また、紙葉類取扱装置は、スタッカに格納された紙葉類を引き出し、引き出された紙葉類を搬送路経由で入出力部から出力する。また、スタッカ内部には、紙葉類を巻き取り可能に収納する紙葉類収納装置がある。
【0003】
図9は、従来の紙葉類収納装置100の一例を示す説明図である。スタッカ等の紙葉類収納装置100には、例えば、テープリール101から繰出される2枚のテープTの間に入力の紙葉類P10を挟持ローラ102で挟み込み、挟み込まれた紙葉類P10のテープを巻き取る回転ドラム103が配置される。更に、紙葉類収納装置100は、回転ドラム103を正回転させてテープTを回転ドラム103に巻き取ることで、紙葉類P10を回転ドラム103に収納できる。更に、紙葉類収納装置100は、回転ドラム103を逆回転させて巻き取られたテープTを繰り出すことで、回転ドラム103に収納された紙葉類P10を引き出すことができる。つまり、紙葉類収納装置100では、回転ドラム103の正回転に応じて紙葉類P10を収納し、回転ドラム103の逆回転に応じて紙葉類P10を引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/126129号
【文献】特開2007-308233号公報
【文献】特開2010-95340号公報
【文献】特開2018-142204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紙葉類収納装置100では、回転ドラム103が円形状であって、紙葉類P10が回転ドラム103のR形状に巻き取られて収納されることになるため、回転ドラム103のR形状での収納によって紙葉類P10にカール癖が付く。その結果、カール癖の付いた紙葉類P10を搬送する場合には搬送路上でのジャムや、搬送先での集積乱れが生じるおそれがある。
【0006】
一つの側面では、収納時における紙葉類のカール癖を防止できる紙葉類収納装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様の紙葉類収納装置は、繰出部と、回転体と、制御部とを有する。繰出部は、2枚のテープを繰り出し、繰り出される2枚のテープの間で紙葉類を挟持する。回転体は、2個の回転ローラを用いて長円形の無限軌道に2枚のテープの先端が固定され、無限軌道の回転に応じて2枚のテープを巻き取る。制御部は、繰出部への紙葉類の進入を検知した場合に、繰出部にて繰り出される2枚のテープの間で当該紙葉類を挟持し、当該挟持された紙葉類を無限軌道の直線部分に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、回転体を駆動制御する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面として、収納時における紙葉類のカール癖を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施例の入出金装置の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、入出金装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、スタッカ内の紙幣収納装置の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、第2のセンサの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、紙幣収納装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、テープの第1の位置決め部(第2の位置決め部)の一例を示す説明図である。
【
図7A】
図7Aは、紙幣収納装置の位置決め調整動作の一例を示す説明図である。
【
図7B】
図7Bは、紙幣収納装置の位置決め調整動作の一例を示す説明図である。
【
図7C】
図7Cは、紙幣収納装置の位置決め調整動作の一例を示す説明図である。
【
図7D】
図7Dは、紙幣収納装置の1枚目の紙幣の進入開始の動作の一例を示す説明図である。
【
図7E】
図7Eは、紙幣収納装置の1枚目の紙幣の収納動作の一例を示す説明図である。
【
図7F】
図7Fは、紙幣収納装置の2枚目の紙幣の収納動作の一例を示す説明図である。
【
図7G】
図7Gは、紙幣収納装置の3枚目の紙幣の収納動作の一例を示す説明図である。
【
図7H】
図7Hは、紙幣収納装置の4枚目の紙幣の収納動作の一例を示す説明図である。
【
図7I】
図7Iは、紙幣収納装置の5枚目の紙幣の収納動作の一例を示す説明図である。
【
図7J】
図7Jは、紙幣収納装置の6枚目の紙幣の収納動作の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、紙幣収納処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、従来の紙葉類収納装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本願の開示する紙葉類収納装置等の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例】
【0011】
[入出金装置の構成]
図1は、本実施例の入出金装置1の一例を示す説明図である。
図1に示す入出金装置1は、入出金モジュール2と、メインモジュール3と、回収庫4とを有する。入出金モジュール2は、メインモジュール3への紙幣の入出金を司るモジュールである。メインモジュール3は、入出金装置1の本体モジュールである。
【0012】
入出金モジュール2は、入金口2Aと、出金口2Bと、搬送部2Cと、収納部2Dを有する。入金口2Aは、紙幣を入出金装置1に入金する際の挿入口である。出金口2Bは、紙幣を入出金装置1から出金する際の引出し口である。搬送部2Cは、入金口2Aから入金された紙幣をメインモジュール3内の搬送路に搬送すると共に、メインモジュール3内の搬送路から出金された紙幣を出金口2Bに搬送する。収納部2Dは、出金紙幣を一時的に収納し、まとめて出金口2Bに送り出す。
【0013】
メインモジュール3は、装着可能な複数のスタッカ3Aと、搬送部3Bと、鑑別部3Cとを有する。搬送部3Bは、入出金モジュール2と各スタッカ3Aとの間の搬送路、入出金モジュール2と回収庫4との間の搬送路や、スタッカ3Aと回収庫4との間の搬送路で紙幣を搬送する。搬送部3Bは、入出金モジュール2から入金した紙幣をスタッカ3A又は回収庫4に搬送すると共に、スタッカ3Aに集積された紙幣をスタッカ3Aから入出金モジュール2又は回収庫4に搬送する。鑑別部3Cは、搬送路上を搬送する紙幣の種別や紙幣の状態を鑑別する。スタッカ3Aは、搬送部3Bにて搬送された紙幣を種別毎に格納する、後述する紙幣収納装置10を有する。
【0014】
回収庫4は、スタッカ3Aの少なくとも何れか一つに収納されている紙幣の枚数が十分で、それ以上収納する必要がないと判断された紙幣、出金口2Bで取り忘れられた紙幣、鑑別部3Cで出金紙幣には適さないと判別された紙幣を収納する。
【0015】
図2は、入出金装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す入出金装置1は、搬送部2C,3B、鑑別部3C及びスタッカ3Aの他に、操作部11と、検知部12と、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、制御部15とを有する。操作部11は、各種コマンドを入力する入力インタフェースである。検知部12は、各種状態を検知するセンサ等である。ROM13は、各種プログラム等の情報を記憶する領域である。RAM14は、各種情報を記憶する領域である。制御部15は、入出金装置1全体を制御する。
【0016】
[紙幣収納装置の構成]
図3は、スタッカ3A内の紙幣収納装置20の一例を示す説明図である。
図3に示す紙幣収納装置20は、進入検知ユニット21と、繰出部22と、回転体23とを有する。進入検知ユニット21は、搬送部3Bを通じて繰出部22の進入開始位置への紙幣の進入を検知するユニットである。進入検知ユニット21は、進入開始位置への紙幣の進入を検知する第1のセンサ21Aと、進入検知された紙幣を繰出部22内に搬送する一対の搬送ローラ21Bとを有する。尚、第1のセンサ21Aは、例えば、発光部及び受光部等のフォトセンサ等で構成する場合を例示するが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0017】
繰出部22は、一対のリール22Aと、一対のテンションローラ22Bとを有する。各リール22Aは、1本のテープTを巻回し、テープTの先端を回転体23の無限軌道23Aに固定する。更に、各リール22Aは、回転体23の回転に応じてテープTを一対のテンションローラ22Bの間に繰り出す。尚、テープTは、何れも帯状のフィルムであり、テープTの間で挟持された紙幣Pがセンサで検知可能となるように透明又は半透明等とする。一対のテンションローラ22Bは、回転体23の正回転時に、搬送ローラ21Bから搬送される紙幣を2枚のテープTの間に挟持し、挟持された紙幣を回転体23の無限軌道23Aに搬送する。また、一対のテンションローラ22Bは、回転体23の逆回転時に、回転体23の無限軌道23Aから繰り出される2枚のテープT間に挟持された紙幣を進入検知ユニット21内の搬送ローラ21Bに搬送する。
【0018】
回転体23は、長円形の無限軌道23Aの回転で繰出部22から繰出されたテープTを無限軌道23Aに巻き付ける。回転体23は、第1の回転ローラ31と、第2の回転ローラ32と、第1の付勢ローラ33と、第2の付勢ローラ34と、第2のセンサ35と、第3のセンサ36とを有する。第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32は、図示せぬステッピングモータで正方向又は逆方向に回転する。更に、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32は、繰出部22から繰出されたテープTで長円形の無限軌道23Aを構成する。第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32は、同一回転速度及び同一回転量の正回転に応じて無限軌道23Aが正方向に回転し、繰出部22から繰り出される2枚のテープTを無限軌道23Aに巻き付ける。長円形の無限軌道23Aは、第1の直線部分23Bと、第1の直線部分23Bと対向する第2の直線部分23Cとを有する。
【0019】
第1の付勢ローラ33は、無限軌道23Aの第1の直線部分23B上にあるテープ面をばね力で付勢することで2枚のテープTの間に挟持された紙幣Pの搬送力の低下を防止するローラである。第2の付勢ローラ34は、無限軌道23Aの第2の直線部分23C上にあるテープ面をばね力で付勢することで2枚のテープTの間に挟持された紙幣Pの搬送力の低下を防止するローラである。
【0020】
図4は、第2のセンサ35の一例を示す説明図である。
図4に示す第2のセンサ35は、回転検知板35Aと、フォトセンサ35Bとを有する。回転検知板35Aは、第1の回転ローラ31の回転軸32Aに固定され、第1の回転ローラ31の回転と同期して回転する。フォトセンサ35Bは、回転検知板35Aを挟むように回転検知板35Aの回転量、すなわち第1の回転ローラ31の回転量を計測する。尚、第2のセンサ35は、回転検知板35Aとフォトセンサ35Bとで構成する場合を例示したが、第1の回転ローラ31の回転量を計測するロータリーエンコーダとしても良く、適宜変更可能である。第3のセンサ36は、第2の直線部分23C上の紙幣Pの先頭収納位置への紙幣Pの進入、すなわち紙幣Pの第2の直線部分23Cへの収納完了を検知するセンサである。
【0021】
図5は、紙幣収納装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5に示す紙幣収納装置20は、繰出部22及び回転体23の他に、検知部41と、制御部42とを有する。検知部41は、第1のセンサ21Aと、第2のセンサ35と、第3のセンサ36とを有する。制御部42は、第1のセンサ21Aを通じて繰出部22の進入開始位置への紙幣の進入を検知すると共に、第3のセンサ36を通じて第2の直線部分23Cの先頭収納位置への紙幣の進入を検知する。
【0022】
制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を正方向又は逆方向に回転駆動するステッピングモータを駆動制御する。制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32の正回転に応じて無限軌道23Aが正回転することで、紙幣Pが挟持されたテープTを無限軌道23Aに巻き付けて紙幣Pを収納する。更に、制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32の逆回転に応じて無限軌道23Aが逆回転することで、無限軌道23Aに巻き付けられた紙幣Pを繰り出す。
【0023】
制御部42は、無限軌道23Aの回転停止時、2枚のテープTの間で挟持された紙幣Pが無限軌道23A内の第1の直線部分23B又は第2の直線部分23Cに停止するように2枚のテープTを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。その結果、無限軌道23Aの第1の直線部分23B又は第2の直線部分23Cの何れかに紙幣Pが停止して収納され、無限軌道23AのR形状に紙幣が停止されることがなくなるため、R形状での収納による紙幣Pのカール癖を防止できる。
【0024】
図6は、テープTの第1の位置決め部T1(第2の位置決め部T2)の一例を示す説明図である。回転体23の無限軌道23Aの一端に取り付けられたテープTには、
図6に示すように、第1の位置決め部T1と、第1の位置決め部T1から所定距離を空けた第2の位置決め部T2とがある。尚、所定距離とは、例えば、第1の位置決め部T1が第2の直線部分23Cに位置した際に第2の位置決め部T2が第1の直線部分23Bに停止する距離である。第1の位置決め部T1及び第2の位置決め部T2は、テープT上で不透明部分であるため、第3のセンサ36で検知可能な箇所である。
【0025】
[紙幣収納装置の動作の説明]
次に本実施例の入出金装置1の動作について説明する。
図7Aは、紙幣収納装置20の位置決め調整動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32の回転に応じて、第1の位置決め部T1が第1の直線部分23Bから第2の直線部分23Cに位置、第2の位置決め部T2が第1の直線部分23Bに位置したとする。この際、第2のセンサ35は、第1の直線部分23Bから第1の位置決め部T1の先端が第2の直線部分23C上の先頭収納位置に進入するまでの回転量を計測する。制御部42は、計測された回転量から搬送速度に応じて回転速度を算出する。
【0026】
図7Bは、紙幣収納装置20の位置決め調整動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32の回転に応じて、第1の位置決め部T1が第2の直線部分23Cから第1の直線部分23Bに位置、第2の位置決め部T2が第1の直線部分23Bから第2の直線部分23Cに位置したとする。この際、第2のセンサ35は、第1の直線部分23Bから第2の位置決め部T2の先端が第2の直線部分23C上の先頭収納位置に進入するまでの回転量を計測する。制御部42は、計測された回転量から搬送速度に応じて回転速度を算出する。
【0027】
図7Cは、紙幣収納装置20の位置決め調整動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32の回転に応じて、第1の位置決め部T1が第1の直線部分23Bから第2の直線部分23Cに位置、第2の位置決め部T2が第2の直線部分23Cから第1の直線部分23Bに位置したとする。この際、第2のセンサ35は、第1の直線部分23Bから第1の位置決め部T1の先端が第2の直線部分23C上の先頭収納位置に進入するまでの回転量を計測する。制御部42は、計測された回転量から搬送速度に応じて回転速度を算出する。そして、制御部42は、
図7A~
図7Cまでの計3回の回転量及び回転速度の平均値を第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する際の回転量及び回転速度として事前設定する。
【0028】
図7Dは、紙幣収納装置20の1枚目の紙幣P1の進入開始の動作の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、6枚の入金紙幣P1~P6を紙幣収納装置20に収納する場合を想定して説明する。
図7Dに示す紙幣収納装置20は、第1の位置決め部T1を第2の直線部分23C、第2の位置決め部T2を第1の直線部分23Bに位置した状態とする。制御部42は、第1のセンサ21Aで1枚目の紙幣P1の繰出部22への進入開始位置への進入を検知した場合に、2枚のテープの間で1枚目の紙幣P1を挟持する挟持動作を開始するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。
【0029】
図7Eは、紙幣収納装置20の1枚目の紙幣P1の収納動作の一例を示す説明図である。制御部42は、1枚目の紙幣P1の挟持動作に応じて、第1の位置決め部T1を第1の直線部分23B、第2の位置決め部T2を第2の直線部分23C、1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23Bの第1の位置決め部T1上に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23Bに収納する。長期間収納された場合でも1枚目の紙幣P1にカール癖が付かない。
【0030】
更に、制御部42は、第1のセンサ21Aで2枚目の紙幣P2の繰出部22への進入開始位置への進入を検知した場合に、2枚のテープの間で2枚目の紙幣P2の挟持動作を開始するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。
図7Fは、紙幣収納装置20の2枚目の紙幣P2の収納動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第1の位置決め部T1を第2の直線部分23C、第2の位置決め部T2を第1の直線部分23B、1枚目の紙幣P1を第2の直線部分23C上の第1の位置決め部T1上に停止、2枚目の紙幣P2を第1の直線部分23B上の第2の位置決め部T2上に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、1枚目の紙幣P1を第2の直線部分23C、2枚目の紙幣P2を第1の直線部分23Bに収納する。長期間収納された場合でも紙幣P1及びP2にカール癖が付かない。
【0031】
制御部42は、第1のセンサ21Aで3枚目の紙幣P3の繰出部22への進入開始位置への進入を検知した場合に、2枚のテープの間で3枚目の紙幣P3の挟持動作を開始するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。尚、制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する際、第1の直線部分23Bから第2の直線部分23C上の先頭収納位置に1枚目の紙幣P1が進入するまでの前回の回転量に基づき、直近に設定した回転速度及び回転量を調整する。
図7Gは、紙幣収納装置20の3枚目の紙幣P3の収納動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第2の直線部分23Cに停止された1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23Bに停止、第1の直線部分23Bに停止された2枚目の紙幣P2を第2の直線部分23Cに停止、3枚目の紙幣P3を第1の直線部分23Bの1枚目の紙幣P1上に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23B、2枚目の紙幣P2を第2の直線部分23C、3枚目の紙幣P3を第1の直線部分23Bの1枚目の紙幣P1上に重ねて収納する。長期間収納された場合でも紙幣P1、P2、P3にカール癖が付かない。
【0032】
更に、制御部42は、第1のセンサ21Aで4枚目の紙幣P4の繰出部22への進入を検知した場合に、2枚のテープの間で4枚目の紙幣P4の挟持動作を開始するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。尚、制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する際、第1の直線部分23Bから第2の直線部分23C上の先頭収納位置に2枚目の紙幣P2が進入するまでの前回の回転量に基づき、直近に設定した回転速度及び回転量を調整する。
図7Hは、紙幣収納装置20の4枚目の紙幣P4の収納動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第1の直線部分23Bに停止された1枚目の紙幣P1を第2の直線部分23Cに停止、第2の直線部分23Cに停止された2枚目の紙幣P2を第1の直線部分23Bに停止、第1の直線部分23Bに停止された3枚目の紙幣P3を第2の直線部分23Cの1枚目の紙幣P1上に停止、4枚目の紙幣P4を第1の直線部分23Bの2枚目の紙幣P2上に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、1枚目の紙幣P1を第2の直線部分23C、2枚目の紙幣P2を第1の直線部分23B、3枚目の紙幣P3を第2の直線部分23Cにある2枚目の紙幣P2上に重ね、4枚目の紙幣P4を第1の直線部分23Bにある1枚目の紙幣P1上に重ねて収納する。長期間収納された場合でも紙幣P1~P4にカール癖が付かない。
【0033】
更に、制御部42は、第1のセンサ21Aで5枚目の紙幣P5の繰出部22への進入を検知した場合に、2枚のテープの間で5枚目の紙幣P5の挟持動作を開始するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。尚、制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する際、第1の直線部分23Bから第2の直線部分23C上の先頭収納位置に3枚目の紙幣P3が進入するまでの前回の回転量に基づき、直近に設定した回転速度及び回転量を調整する。
図7Iは、紙幣収納装置20の5枚目の紙幣P5の収納動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第2の直線部分23Cに停止された1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23Bに停止、第1の直線部分23Bに停止された2枚目の紙幣P2を第2の直線部分23Cに停止、第2の直線部分23Cに停止された3枚目の紙幣P3を第1の直線部分23Bの1枚目の紙幣P1上に停止、第1の直線部分23Bに停止された4枚目の紙幣P4を第2の直線部分23Cの2枚目の紙幣P2上に停止、5枚目の紙幣P5を第1の直線部分23Bの3枚目の紙幣P3に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23B、2枚目の紙幣P2を第2の直線部分23C、3枚目の紙幣P3を第1の直線部分23Bにある1枚目の紙幣P1上に重ね、4枚目の紙幣P4を第2の直線部分23Cにある2枚目の紙幣P2上に重ね、5枚目の紙幣P5を第1の直線部分23Bにある3枚目の紙幣P3上に重ねて収納する。長期間収納された場合でも紙幣P1~P5にカール癖が付かない。
【0034】
更に、制御部42は、第1のセンサ21Aで6枚目の紙幣P6の繰出部22への進入を検知した場合に、2枚のテープの間で6枚目の紙幣P6の挟持動作を開始するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。尚、制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する際、第1の直線部分23Bから第2の直線部分23C上の先頭収納位置に4枚目の紙幣P4が進入するまでの前回の回転量に基づき、直近に設定した回転速度及び回転量を調整する。
図7Jは、紙幣収納装置20の6枚目の紙幣の収納動作の一例を示す説明図である。制御部42は、第1の直線部分23Bに停止された1枚目の紙幣P1を第2の直線部分23Cに停止、第2の直線部分23Cに停止された2枚目の紙幣P2を第1の直線部分23Bに停止、第1の直線部分23Bに停止された3枚目の紙幣P3を第2の直線部分23Cの1枚目の紙幣P1上に停止、第2の直線部分23Cに停止された4枚目の紙幣P4を第1の直線部分23Bの2枚目の紙幣P2上に停止、第1の直線部分23Bに停止された5枚目の紙幣P5を第2の直線部分23C上の3枚目の紙幣P3上に停止、6枚目の紙幣P6を第1の直線部分23B上の4枚目の紙幣P4上に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、1枚目の紙幣P1を第2の直線部分23C、2枚目の紙幣P2を第1の直線部分23B、3枚目の紙幣P3を第2の直線部分23Cにある1枚目の紙幣P1上に重ね、4枚目の紙幣P4を第1の直線部分23Bにある2枚目の紙幣P2上に重ね、5枚目の紙幣P5を第2の直線部分23Cにある3枚目の紙幣P3上に重ね、6枚目の紙幣P6を第1の直線部分23Bにある4枚目の紙幣P4上に重ねて収納する。長期間収納された場合でも紙幣P1~P6にカール癖が付かない。
【0035】
次に紙幣収納装置20の紙幣収納処理について説明する。
図8は、紙幣収納処理に関わる制御部42の処理動作の一例を示すフロー図である。制御部42は、第1のセンサ21Aで繰出部22の進入開始位置への紙幣の進入を検知したか否かを判定する(ステップS11)。制御部42は、進入開始位置への紙幣の進入を検知した場合(ステップS11、Yes)、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32の回転動作を開始すべく、ステッピングモータを駆動制御する(ステップS12)。尚、制御部42は、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32を駆動制御する際、第2のセンサ35のセンサ結果に基づき、直近に設定した回転速度及び回転量を順次調整する。
【0036】
制御部42は、第3のセンサ36にて第2の直線部分23Cの収納先頭位置への紙幣の進入を検知したか否かを判定する(ステップS13)。制御部42は、収納先頭位置への紙幣の進入を検知した場合(ステップS13、Yes)、第1の回転ローラ31及び第2の回転ローラ32の回転動作を停止すべく、ステッピングモータを駆動制御し(ステップS14)、
図8に示す処理動作を終了する。
【0037】
制御部42は、進入開始位置への紙幣の進入を検知しなかった場合(ステップS11、No)、進入開始位置への紙幣の進入を検知したか否かを判定すべく、ステップS11に移行する。制御部42は、収納先頭位置への紙幣の進入を検知しなかった場合(ステップS13、No)、収納先頭位置への紙幣の進入を検知したか否かを判定すべく、ステップS13に移行する。
【0038】
[実施例の効果の説明]
紙幣収納装置20は、繰出部22への進入開始位置への紙幣の進入を検知した場合に、繰出部22にて繰り出される2枚のテープの間で当該紙幣を挟持し、当該挟持された紙幣を無限軌道23Aの直線部分23B,23Cに停止するように2枚のテープを巻き取るべく、ステッピングモータを駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、直線部分23B,23Cに紙幣を収納するため、長期間収納された場合でも紙幣にカール癖が付くことなく、例えば、ジャムや集積乱れを防止できる。
【0039】
紙幣収納装置20は、無限軌道23Aの長円形の第1の直線部分23B及び第2の直線部分23Cの内、少なくとも何れか一方の直線部分に挟持された紙幣を停止するように2枚のテープを巻き取るべく、ステッピングモータを駆動制御する。その結果、紙幣収納装置20は、直線部分23B,23Cに紙幣を収納するため、長期間収納された場合でも紙幣にカール癖が付くことなく、例えば、ジャムや集積乱れを防止できる。
【0040】
紙幣収納装置20は、繰出部22の進入開始位置への1枚目の紙幣P1の進入を検知した場合に、2枚のテープの間で1枚目の紙幣P1を挟持し、当該挟持された1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23Bに停止する。更に、紙幣収納装置20は、繰出部22への進入開始位置への2枚目の紙幣P2の進入を検知した場合に、2枚のテープの間で当該2枚目の紙幣P2を挟持し、1枚目の紙幣P1を第2の直線部分23Cに停止、かつ、2枚目の紙幣P2を第1の直線部分23Bに停止するように2枚のテープを巻き取るべく、ステッピングモータを駆動制御する。その結果、紙幣P1及びP2が長時間収納された場合でも、紙幣にカール癖が付かないため、ジャムや集積乱れを防止できる。
【0041】
紙幣収納装置20は、繰出部22の進入開始位置への3枚目の紙幣P3の進入を検知した場合に、2枚のテープの間で3枚目の紙幣P3を挟持し、1枚目の紙幣P1を第1の直線部分23Bに停止、2枚目の紙幣P2を第2の直線部分23Cに停止、かつ、3枚目の紙幣を第1の直線部分23Bの1枚目の紙幣P1上に停止するように2枚のテープを巻き取るべく、ステッピングモータを駆動制御する。その結果、紙幣P1~P3が長時間収納された場合でも、紙幣にカール癖が付かないため、ジャムや集積乱れを防止できる。
【0042】
[他の実施例]
本実施例の入出金装置1では、例えば、ATMを例示したが、例えば、CD(Cash Dispenser)、TCR(Teller Cash Recycler)や投票券集計機等の紙葉類取扱装置でも良く、適宜変更可能である。また、本実施例では、紙葉類として紙幣を例示したが、紙幣に限定されるものではなく、例えば、投票券や株券等の紙葉類であっても良く、適宜変更可能である。
【0043】
尚、本実施例の紙幣収納装置20では、第3のセンサ36のセンサ結果で紙幣を第1の直線部分23B及び第2の直線部分23Cに位置するように回転量を調整する場合を例示した。しかしながら、回転体23での紙幣の収納枚数が少ない場合、第3のセンサ36がなくても、第1の直線部分23B及び第2の直線部分23Cに紙幣が位置するように回転量で調整しても良く、適宜変更可能である。
【0044】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0045】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
20 紙幣収納装置
21A 第1のセンサ
22 繰出部
23 回転体
23A 無限軌道
23B 第1の直線部分
23C 第2の直線部分
31 第1の回転ローラ
32 第2の回転ローラ
35 第2のセンサ
36 第3のセンサ
42 制御部