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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】部品手配システムおよび部品手配方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20221014BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20221014BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20221014BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B3/00 R
G06Q10/00 300
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019214720
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021084758
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 洋一
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 泰
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-105221(JP,A)
【文献】特開2011-213453(JP,A)
【文献】特開2003-171071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-3/02
B66B 5/00-5/28
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機の不具合への対応に用いる部品の手配を行う部品手配システムであって、
前記昇降機の不具合を調査する内容が示された調査フローに従って、前記不具合への対応に用いる対象となる部品である対象部品の交換が必要かどうかの判断結果を受付ける入力部と、
前記対象部品を、前記不具合への対応のために準備する部品である準備部品とし、前記準備部品の部品情報を出力する出力部と、
前記準備部品の手配締切時間までに、前記準備部品の手配を指示する手配指示情報を前記出力部に送信する手配管理部と、
を備え、
前記出力部は、前記入力部より判断結果を受付けたとき、前記対象部品から、前記判断結果により交換が不要と判断された部品を除外して準備部品とし、前記準備部品の部品情報を出力
前記手配管理部は、当該昇降機の許容された不稼働時間から前記不具合が発生してからの経過時間を減算した値が、前記準備部品の配送に係る時間と前記不具合の作業に係る時間との合計である配送作業時間以下となると判定したとき、前記手配締切時間であると判断し、前記準備部品の手配を指示する手配指示情報を前記出力部に送信する、
部品手配システム。
【請求項2】
前記手配管理部は、部品と前記部品の作業に用いられる工具とが対応付けられた情報から、前記準備部品の作業に用いられる工具を特定し、
前記出力部は、前記手配管理部により特定された工具を示す工具情報を出力する、
請求項1に記載の部品手配システム。
【請求項3】
昇降機の不具合への対応に用いる部品の手配を行う部品手配方法であって、
入力部が、前記昇降機の不具合を調査する内容が示された調査フローに従って、前記不具合への対応に用いる対象となる部品である対象部品の交換が必要かどうかの判断結果を受付けることと、
出力部が、前記対象部品を、前記不具合への対応のために準備する部品である準備部品とし、前記準備部品の部品情報を出力することと、
手配管理部が、前記準備部品の手配締切時間までに、前記準備部品の手配を指示する手配指示情報を前記出力部に送信することと、
を備え、
前記出力部は、前記入力部より判断結果を受付けたとき、前記対象部品から、前記判断結果により交換が不要と判断された部品を除外して準備部品とし、前記準備部品の部品情報を出力
前記手配管理部は、当該昇降機の許容された不稼働時間から前記不具合が発生してからの経過時間を減算した値が、前記準備部品の配送に係る時間と前記不具合の作業に係る時間との合計である配送作業時間以下となると判定したとき、前記手配締切時間であると判断し、前記準備部品の手配を指示する手配指示情報を前記出力部に送信する、
部品手配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品手配システムおよび部品手配方法に関し、例えば、昇降機の不具合への対応に用いる部品についての手配を行う部品手配システムおよび部品手配方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、多階層の建造物(ビル)に設置される昇降機において、昇降機に故障が発生すると、ビルを利用する者に多大な迷惑を及ぼすばかりでなく、故障の種類によっては大きな被害を伴うおそれがあるため、昇降機の故障に対しては迅速な処置が必要となる。
【0003】
一般に、昇降機の故障への対応は、保守会社に依頼されている。保守会社では、常時、昇降機を監視し、故障が発生したと判断すると、直ちに保守員を派遣して故障した昇降機への対応を行うようになっている。
【0004】
従来、故障した昇降機の現場に保守員が到着した後、携帯した携帯端末を昇降機の端末に接続して初めて故障の状態が判るため、保守員が故障の状態がわかってから部品の手配がなされることから、昇降機の復旧までに多大な時間がかかるという問題がある。
【0005】
また、保守員によって昇降機の復旧に係る技量が異なっており、自分一人では対応ができない場合、他の保守員の要請が必要となるが、これも現場に到着後してからの手配となり、昇降機の復旧までにさらに多大の時間がかかるという問題がある。
【0006】
この点、保守員が故障した昇降機の現場に赴く前に、一般公衆回線を介して携帯端末を監視センタと接続し、監視センタに記憶される故障の情報を携帯端末に取り込むことにより、昇降機の故障状況を把握し、必要な対策を取ることが開示されている(特許文献1参照)。これにより、保守員が現場に到着する前に、昇降機の故障からの復旧のために必要な部品の手配、応援要請等を行うことができ、昇降機を短時間に復旧できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-171071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術では、不要である部品を配送してしまい、部品を最適に手配するための考慮が十分ではない。
【0009】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、昇降機の不具合への対応に必要な部品を適切に手配し得る部品手配システム等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明においては、昇降機の不具合への対応に用いる部品の手配を行う部品手配システムであって、前記昇降機の不具合を調査する内容が示された調査フローに従って、前記不具合への対応に用いる対象となる部品である対象部品の交換が必要かどうかの判断結果を受付ける入力部と、前記対象部品を、前記不具合への対応のために準備する部品である準備部品とし、前記準備部品の部品情報を出力する出力部と、前記準備部品の手配締切時間までに、前記準備部品の手配を指示する手配指示情報を前記出力部に送信する手配管理部と、を備え、前記出力部は、前記入力部より判断結果を受付けたとき、前記対象部品から、前記判断結果により交換が不要と判断された部品を除外して準備部品とし、前記準備部品の部品情報を出力する、ようにした。
【0011】
上記構成では、不具合への対応に用いる対象となる部品(対象部品)の情報が出力部に通知され、調査にて部品の交換の不要が確認された部品(対象外部品)の情報が出力部に随時に通知される。また、上記構成では、手配締切時間が管理され、手配締切時間までに、出力部に手配が指示される。かかる構成により、例えば、手配締切時間までに交換が不要であると判断された対象外部品が手配されなくなるので、不要な部品が手配されてしまう事態を低減することができる。よって、交換が必要な部品を必要なタイミングで手配することができ、部品の在庫コストを低減することができる。また、例えば、手配締切時間になると、準備部品の手配が指示されるので、手配締切時間を遵守することができるようになる。このように、手配締切時間を遵守しつつ、昇降機の不具合への対応に必要な部品を適切に手配することができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利便性の高い部品手配システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態による部品手配システムに係る構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施の形態による発報管理テーブルの一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態による部品管理テーブルの一例を示す図である。
図4】第1の実施の形態による不稼働時間管理テーブルの一例を示す図である。
図5】第1の実施の形態による配送作業時間管理テーブルの一例を示す図である。
図6】第1の実施の形態による部品手配システムにおける処理のフローの一例を示す図である。
図7】第1の実施の形態による調査の一例を示す図である。
図8】第1の実施の形態による手配時間管理処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。本実施の形態では、昇降機に不具合が発生時した際、不具合への対応に必要となる部品を原因の調査の状況に合わせて絞り込んで手配する技術に関するものである。ここで、昇降機の不具合は、昇降機が想定通りに動作し得ないことを意味する。昇降機の不具合としては、昇降機の故障、昇降機(昇降機に設けられる電圧センサ、電流センサ等のセンサ値)の異常、作業員の目視による昇降機の部品の劣化等が挙げられる。以下では、昇降機の不具合としては、昇降機の故障を例に挙げて説明する。
【0015】
なお、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、交換部品を特に区別しないで説明する場合には、「交換部品303」と記載し、個々の交換部品を区別して説明する場合には、「交換部品303-1」、「交換部品303-2」のように記載することがある。
【0016】
(1)第1の実施の形態
図1において、100は全体として第1の実施の形態による部品手配システムを示す。
【0017】
図1は、部品手配システム100に係る構成の一例を示す図である。
【0018】
部品手配システム100は、現地に設けられる昇降機110と、現地に設けられる監視装置120と、監視センタに設けられる情報処理装置130と、現地で作業を行う作業員が所持する作業端末140と、部品センタに設けられる手配端末150とを含んで構成される。
【0019】
昇降機110は、エレベーター、エスカレーター等であり、現地の構造物に1以上設置されている。
【0020】
監視装置120は、昇降機110の故障を監視する。監視装置120は、昇降機110の故障を検出した場合、監視装置120を識別可能な識別情報である監視装置ID、昇降機110を識別可能な識別情報である昇降機No.、検出した故障の種別(発報種別)等を含む故障発報を情報処理装置130に送信する。
【0021】
情報処理装置130は、ノートパソコン、サーバ装置等であり、CPU(Central Processing Unit)130-1、RAM(Random Access Memory)130-2、ROM(Read Only Memory)130-3、HDD(Hard Disk Drive)130-4、通信インターフェース130-5等を含んで構成される。
【0022】
情報処理装置130の機能(DB(Database)131、故障発報取得部132、故障発報判定部133、調査フロー選定部134、手配管理部135等)は、例えば、CPU130-1がROM130-3に格納されたプログラムをRAM130-2に読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、情報処理装置130の機能の一部は、情報処理装置130と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0023】
DB131では、発報管理テーブル(図2参照)、部品管理テーブル(図3参照)、不稼働時間管理テーブル(図4参照)、配送作業時間管理テーブル(図5)等が記憶される。
【0024】
発報管理テーブルは、故障発報を管理するためのテーブルである。部品管理テーブルは、昇降機110の機器において交換する対象となる部品を管理するためのテーブルである。不稼働時間管理テーブルは、昇降機110を稼働しないことが昇降機110を管理する管理者(昇降機管理者)により許容されている時間である不稼働時間を管理するためのテーブルである。配送作業時間管理テーブルは、部品の保管場所から現地(昇降機110)までの配送に要する時間である配送時間と、部品を交換したり動作の確認をしたりする作業に要する時間である作業時間との合計の時間である配送作業時間を管理するためのテーブルである。
【0025】
なお、図示は省略するが、DB131では、故障の種別および当該故障の原因となり得る昇降機110の機器(原因機器)と、当該故障を識別可能な識別情報である故障コードとが対応付けられて記憶されている。また、DB131では、調査の内容(調査の対象、調査の手順等)を示す調査フローが故障コードと対応付けられて記憶されている。
【0026】
故障発報取得部132は、監視装置120から送信された故障発報を受信し、故障発報判定部133に引き渡す。
【0027】
故障発報判定部133は、DB131を参照し、受け取った故障発報に含まれる故障の種別と昇降機No.とをもとに、当該昇降機No.の昇降機110において故障が発生する可能性が高い原因機器を既存の技術を用いて1つ以上特定する。故障発報判定部133は、特定した原因機器と故障発報とを対応付けてDB131の発報管理テーブルに記憶する。また、故障発報判定部133は、受け取った故障発報に含まれる故障の種別と、特定した原因機器とをもとに、当該故障発報の故障コードを特定し、特定した故障コードを調査フロー選定部134に引き渡す。
【0028】
調査フロー選定部134は、DB131から、故障発報判定部133より受け取った故障コードに対応する調査フローを選定し、選定した調査フローを作業端末140に送信する。
【0029】
手配管理部135は、DB131の部品管理テーブルを参照し、交換する対象となる部品(対象部品)を示す対象部品情報を生成する。情報処理装置130は、調査フローに基づく調査の結果を作業端末140から受信する。調査の結果には、対象部品であるか否かが判断された結果である判断結果が含まれる。手配管理部135は、受信した判断結果から手配の対象外となる部品(対象外部品)を示す対象外部品情報を生成する。また、手配管理部135は、故障が発生してから経過した時間(経過時間)を管理し、部品の手配を行う締切りの時間(手配締切時間)までに、部品を手配する指示を示す手配指示情報を生成する。
【0030】
また、手配管理部135は、生成した対象部品情報、対象外部品情報、および手配指示情報を適時のタイミングで手配端末150に送信する。
【0031】
作業端末140は、タブレット端末、スマートフォン等であり、CPU140-1、RAM140-2、ROM140-3、HDD140-4、通信インターフェース140-5、表示装置と入力装置とが一体化したタッチパネル140-6等を含んで構成される。
【0032】
作業端末140の機能(表示部141、入力部142等)は、例えば、CPU140-1がROM140-3に格納されたプログラムをRAM140-2に読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、作業端末140の機能の一部は、作業端末140と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0033】
表示部141は、調査フローをタッチパネル140-6に表示する。入力部142は、タッチパネル140-6を介して作業員による入力を受付ける。
【0034】
例えば、現地に到着した作業員は、作業端末140で表示された調査フローに従い、昇降機110の故障に係る調査を行う。作業端末140は、作業員により判断結果が入力されると、入力された判断結果を情報処理装置130に送信する。
【0035】
手配端末150は、例えば、部品を管理する部品センタ(例えば、部品を保管する保管場所)に設けられる。なお、保管場所が複数設けられている場合、手配端末150も保管場所に対応して複数設けられる。手配端末150は、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ等であり、CPU150-1、RAM150-2、ROM150-3、HDD150-4、通信インターフェース150-5、表示装置150-6等を含んで構成される。
【0036】
手配端末150の機能(例えば、出力部151)は、例えば、CPU150-1がROM150-3に格納されたプログラムをRAM150-2に読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、手配端末150の機能の一部は、手配端末150と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0037】
出力部151は、手配管理部135から受けた対象部品情報、対象外部品情報、対象部品から対象外部品を除外した準備部品の部品情報、手配指示情報等を表示装置150-6に表示する。なお、出力部151による出力は、表示装置150-6による表示に限るものではない。例えば、プリンタによる印刷であってもよいし、プロジェクタによる投影であってもよいし、スピーカによる音声出力であってもよいし、その他の出力態様であってもよい。
【0038】
図2は、発報管理テーブルの一例(発報管理テーブル200)を示す図である。発報管理テーブル200は、監視装置ID201と、昇降機No.202と、発報種別203と、原因機器204とが対応付けられた情報を記憶する。
【0039】
監視装置ID201は、監視装置120を識別可能な識別情報である。昇降機No.202は、昇降機110を識別可能な識別情報である。発報種別203は、昇降機110の故障の種別を示す情報である。原因機器204は、発報種別203の故障の種別と昇降機No.202の値とをもとに、当該昇降機No.202に対応する昇降機110において故障が発生する可能性が高いと特定された原因機器を示す情報である。
【0040】
図3は、部品管理テーブルの一例(部品管理テーブル300)を示す図である。部品管理テーブル300は、発報種別301と、原因機器302と、交換部品303とが対応付けられた情報を記憶する。部品管理テーブル300は、部品手配システム100の管理者(システム管理者)によりDB131に登録されているものとする。
【0041】
発報種別301は、昇降機110の故障の種別を示す情報である。原因機器302は、昇降機110の故障の原因となり得る昇降機110の機器を示す情報である。交換部品303は、原因機器302の機器を構成する部品であり、交換の対象となる部品を示す情報である。
【0042】
図4は、不稼働時間管理テーブルの一例(不稼働時間管理テーブル400)を示す図である。不稼働時間管理テーブル400は、昇降機110毎に不稼働時間を記憶する。より具体的には、不稼働時間管理テーブル400は、監視装置ID401と、昇降機No.402と、不稼働時間403とが対応付けられた情報を記憶する。
【0043】
監視装置ID401は、監視装置120を識別可能な識別情報である。昇降機No.402は、昇降機110を識別可能な識別情報である。不稼働時間403は、昇降機110を稼働しないことが昇降機管理者により許容されている時間を示す情報である。
【0044】
図5は、配送作業時間管理テーブルの一例(配送作業時間管理テーブル500)を示す図である。配送作業時間管理テーブル500は、部品毎に配送作業時間を記憶する。より具体的には、配送作業時間管理テーブル500は、部品ID501と、保管場所所在地502と、配送時間503と、作業時間504と、配送作業時間505とが対応付けられた情報を記憶する。なお、配送作業時間管理テーブル500のもとになる情報(部品IDと保管場所所在地と配送時間と作業時間と配送作業時間とが対応付けられた情報)は、システム管理者によりDB131に登録されているものとする。また、配送作業時間管理テーブル500は、対象部品の部品IDをもとに、故障した昇降機110毎に生成される。
【0045】
部品ID501は、部品を識別可能な識別情報である。保管場所所在地502は、部品ID501の部品を保管する場所(保管場所)を示す情報である。配送時間503は、保管場所所在地502の保管場所から現地までの配送に要する時間(配送時間)を示す情報である。なお、配送時間には、準備部品を配送車に積み込むといった準備部品の配送の作業に係る時間が含まれる。作業時間504は、部品ID501の部品を交換したり動作の確認をしたりする作業に要する時間(作業時間)を示す情報である。配送作業時間505は、配送時間503と作業時間504との合計である時間(配送作業時間)を示す情報である。
【0046】
例えば、図5に示す例では、「部品1」については、「東京」にある保管場所から「30分」で現地に配送し、「10分」で「部品1」の作業をするため、「部品1」の配送作業時間としては「40分」となることが示される。
【0047】
図6は、部品手配システム100における処理のフローの一例を示す図である。
【0048】
情報処理装置130は、故障発報を受信すると(ステップS601)、故障発報に対応する調査フローを作業端末140に送信し(ステップS602)、故障発報に対応する対象部品情報を手配端末150に送信する(ステップS603)。なお、情報処理装置130は、部品管理テーブル300を参照し、故障発報に含まれる発報種別と故障発報より特定される原因機器とに対応する交換部品303の部品を対象部品として取得し、取得した対象部品を示す対象部品情報を生成する。
【0049】
作業端末140において調査フローが受信されて表示されると、作業員により調査(図7)が行われる(ステップS604)。作業端末140は、調査フローに従って作業員により調査された結果が入力されると、入力された判断結果を情報処理装置130に送信する(ステップS605)。
【0050】
情報処理装置130は、ステップS601に続いて、部品手配処理を行う(ステップS606)。
【0051】
部品手配処理では、情報処理装置130は、判断結果を受信すると、判断結果から対象外部品情報を生成し、対象外部品情報を手配端末150に送信する(ステップS607)。例えば、情報処理装置130は、判断結果が対象外部品であると判断された結果である場合、当該対象外部品を示す対象外部品情報を生成して手配端末150に送信する。
【0052】
また、部品手配処理では、情報処理装置130は、対象部品から対象外部品を除外した準備部品ごとに手配時間管理処理(図8)を行い、不稼働時間を遵守できなくなると判断した準備部品について手配を開始することを示す手配指示情報を生成し、手配指示情報を手配端末150に送信する(ステップS608)。
【0053】
手配端末150において対象部品情報が受信されて表示されると、発送を行う作業者(発送作業者)により部品を手配する準備が行われる(ステップS609)。はじめに、対象部品が準備部品として用意される。そして、手配端末150において対象外部品情報が受信されると、発送作業者により対象外部品が準備部品から除外される。また、手配端末150において手配指示情報が受信されると、発送作業者により準備部品が現地に発送される(ステップS610)。
【0054】
発送された部品が現地に届いた場合、現地の作業員は、届いた部品を用いて昇降機110の故障への対応を実施する(ステップS611)。
【0055】
図7は、作業員が行う調査の一例を示す図である。作業員は、昇降機110の故障の部位(故障部位)が確定するまで、調査を行う対象の部位(対象部位)を変えながら、測定確認(測定、目視等)、判定、並びに、対象部位の確認を繰り返し実施する。
【0056】
ステップS701では、作業員は、調査フローに従い、対象部位(例えば、交換部品303-1「シル」)に係る測定確認を実施する。
【0057】
ステップS702では、作業員は、測定確認を実施した内容に基づいて故障部位を判定可能であるかを確認する。
【0058】
ステップS702にて故障部位が判定可能である場合、作業員は、対象部位をステップS703にて確認する。
【0059】
ステップS704では、作業員は、ステップS703で確認した対象部位が故障部位で確定かを判定する。作業員は、ステップS704にて故障部位が確定できない場合、ステップS703で確認した対象部位(例えば、交換部品303-1「シル」)については交換の必要がないと判断した結果(対象外部品であると判断した結果)を作業端末140に入力し、再度、ステップS701に戻る。
【0060】
ステップS702の判定にて対象部位を判定可能でない場合、調査フローに従い、ステップS701~ステップS704と同様に、以降の対象部位(交換部品303-2「シルスポンジ」、交換部品303-3「Lゴム」、・・・)について順次に調査を実施する(ステップS705)。調査フローに従って調査の対象部位を変えながら、故障部位が確定するまで調査フローを進めることで、故障部位、すなわち手配が必要な部品が絞り込まれる。
【0061】
図8は、手配時間管理処理の一例を示す図である。手配時間管理処理は、準備部品ごとに実行される。なお、準備部品が対象外部品であると判断された場合、当該準備部品の手配時間管理処理は中止される。
【0062】
情報処理装置130は、配送作業時間を取得する(ステップS801)。情報処理装置130は、昇降機110に対応する配送作業時間管理テーブル500を参照し、準備部品に対応する配送作業時間を取得する。
【0063】
情報処理装置130は、不稼働時間を取得する(ステップS802)。より具体的には、情報処理装置130は、不稼働時間管理テーブル400を参照し、監視装置120の監視装置IDと昇降機110の昇降機No.とに対応する不稼働時間を取得する。
【0064】
情報処理装置130は、故障が発生してから経過した時間(経過時間)が不稼働時間を超えたか否かを判定する。情報処理装置130は、経過時間が不稼働時間を超えたと判定した場合、ステップS805に処理を移し、経過時間が不稼働時間を超えていないと判定した場合、ステップS804に処理を移す。
【0065】
情報処理装置130は、不稼働時間から経過時間を減算した値が配送作業時間より大きいか否かを判定する(ステップS804)。情報処理装置130は、不稼働時間から経過時間を減算した値が配送作業時間より大きいと判定した場合、ステップS803に処理を移し、不稼働時間から経過時間を減算した値が配送作業時間以下であると判定した場合、手配締切時間であると判断し、ステップS805に処理を移す。
【0066】
ステップS805では、情報処理装置130は、手配指示情報を手配端末150に送信する。つまり、情報処理装置130は、手配締切時間までに手配指示情報を手配端末150に送信する。
【0067】
本実施の形態によれば、昇降機の不具合への対応に必要な部品を適切に手配することができる。
【0068】
(2)他の実施の形態
なお、上述の実施の形態においては、本発明を部品手配システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0069】
また、上述の実施の形態においては、部品を手配する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、部品および当該部品の交換に用いられる工具(例えば、専用の工具)を手配するようにしてもよい。この場合、例えば、部品管理テーブル300において、さらに、交換部品303の部品の交換に用いられる工具を示す情報が対応付けられたテーブル(部品工具管理情報)が記憶される。なお、工具と部品とが異なる場所に保管されている場合は、保管場所所在地502は、部品ID501の部品および当該部品の交換に用いられる工具を保管する場所(保管場所)とのうち、現地から遠い保管場所を示す情報とする。
【0070】
また、上述の実施の形態においては、配送作業時間管理テーブル500から配送作業時間を取得する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、配送作業時間を算出するようにしてもよい。例えば、情報処理装置130は、部品と当該部品が保管されている保管場所の所在地とが対応付けられた情報から、対象部品が保管されている保管場所のうち最も近い保管場所を取得し、距離と配送時間とが規定された情報から、特定した保管場所から現地までの距離に対応する配送時間を取得する。また、情報処理装置130は、部品と作業時間とが対応付けられた情報から、対象部品の作業時間を取得する。情報処理装置130は、取得した配送時間と作業時間との合計(配送作業時間)を算出する。
【0071】
また、上述の実施の形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
【0072】
また、上述の実施の形態において、説明の便宜上、XXテーブルを用いて各種のデータを説明したが、データ構造は限定されるものではなく、XX情報等と表現してもよい。
【0073】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0074】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0075】
昇降機(例えば、昇降機110)の不具合(例えば、故障、異常等)への対応に用いる部品の手配を行う部品手配システム(例えば、部品手配システム100)であって、上記昇降機の不具合を調査する内容が示された調査フローに従って、上記不具合への対応に用いる対象となる部品である対象部品の交換が必要かどうかの判断結果を受付ける入力部(例えば、作業端末140、入力部142)と、上記対象部品を、上記不具合への対応のために準備する部品である準備部品とし、上記準備部品の部品情報(例えば、図5に示す内容、準備部品の番号、準備部品の名称、準備部品の格納場所、準備部品の写真等)を出力する出力部(例えば、手配端末150、出力部151)と、上記準備部品の手配締切時間までに、上記準備部品の手配を指示する手配指示情報を上記出力部に送信する手配管理部(例えば、情報処理装置130、手配管理部135)と、を備え、上記出力部は、上記入力部より判断結果を受付けたとき、上記対象部品から、上記判断結果により交換が不要と判断された部品を除外して準備部品とし、上記準備部品の部品情報を出力する。
【0076】
上記構成では、不具合への対応に用いる対象となる部品(対象部品)の情報が出力部に通知され、調査にて部品の交換の不要が確認された部品(対象外部品)の情報が出力部に随時に通知される。また、上記構成では、手配締切時間が管理され、手配締切時間までに、出力部に手配が指示される。かかる構成により、例えば、手配締切時間までに交換が不要であると判断された対象外部品が手配されなくなるので、不要な部品が手配されてしまう事態を低減することができる。よって、交換が必要な部品を必要なタイミングで手配することができ、部品の在庫コストを低減することができる。また、例えば、手配締切時間になると、準備部品の手配が指示されるので、手配締切時間を遵守することができるようになる。このように、手配締切時間を遵守しつつ、昇降機の不具合への対応に必要な部品を適切に手配することができるようになる。
【0077】
上記手配管理部は、当該昇降機の許容された不稼働時間から上記不具合が発生してからの経過時間を減算した値が、上記準備部品の配送に係る時間(例えば、配送時間503)と上記不具合の作業に係る時間(例えば、作業時間504)との合計である配送作業時間(例えば、配送作業時間505)以下となると判定したとき(例えば、ステップS804でNO)、上記手配締切時間であると判断し、上記準備部品の手配を指示する手配指示情報を上記出力部に送信する(例えば、ステップS805)。
【0078】
上記構成では、例えば、昇降機を管理する管理者(昇降機管理者)の要望に応じて昇降機ごとに不稼働時間が設定される。例えば、昇降機管理者が管理する構造物に10台の昇降機が設置されている場合は、5台は、不稼働時間が第1の時間に設定され、残りの5台は、不稼働時間が第1の時間よりも長い時間に設定される。この場合、昇降機管理者の要望に応えつつ、より適切なタイミングで部品を手配することができるようになる。
【0079】
上記手配管理部は、部品と上記部品の作業に用いられる工具とが対応付けられた情報(例えば、部品工具管理情報)から、上記準備部品の作業に用いられる工具を特定し、上記出力部は、上記手配管理部により特定された工具を示す工具情報(例えば、工具の番号、工具の名称、工具の格納場所、工具の写真等)を出力する。
【0080】
上記構成によれば、例えば、昇降機の不具合への対応に必要な部品および工具を適切に手配することができるようになる。
【0081】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
100……部品手配システム、130……情報処理装置、140……作業端末、150……手配端末。
図1
図2
図3
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図5
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図8