(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】カルーセルシステムを有するモジュール式農場
(51)【国際特許分類】
A01G 31/02 20060101AFI20221014BHJP
A01G 31/04 20060101ALI20221014BHJP
A01G 18/60 20180101ALI20221014BHJP
【FI】
A01G31/02
A01G31/04 A
A01G18/60
(21)【出願番号】P 2019508880
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 US2017047332
(87)【国際公開番号】W WO2018035314
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-12
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518352639
【氏名又は名称】フレイト ファームズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FREIGHT FARMS, INC.
【住所又は居所原語表記】840 Summer Street, Suite 108 Boston, MA 02127, US
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,ジョン
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09374952(US,B1)
【文献】特開2008-092859(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0072632(KR,A)
【文献】実開昭62-153850(JP,U)
【文献】米国特許第05514191(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0223418(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0020292(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000162(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0351325(US,A1)
【文献】特表2015-510398(JP,A)
【文献】米国特許第08443546(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0037733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 2/00 - 2/38
A01G 5/00 - 7/06
A01G 9/00 - 9/08
A01G 9/28
A01G 17/00 - 17/02
A01G 17/18 - 18/80
A01G 20/00 - 22/67
A01G 24/00 - 24/60
A01G 31/00 - 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナと、
前記コンテナ内の中央垂直軸の周りを回転するために取り付けられたカルーセルシステムと、
前記中央垂直軸の周りをカルーセルシステムにそれと共に回転するために取り付け可能の複数の栽培塔であって、各栽培塔は、植物栽培のための細長い列を備え、
前記複数の栽培塔は、複数の隣接する一体的に形成された細長いチャネルを含む植物パネルと、前記植物パネルを取り外し可能に前記カルーセルシステムから吊り下げるように構成された、前記植物パネルの後壁に配置された取り付け固定具とを含む植物生産用のモジュール式農場。
【請求項2】
各栽培塔が、前記中央垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りの回転のためのカルーセルシステムにさらに取り付け可能である、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項3】
栽培ゾーンと作業ゾーンとを含む前記コンテナ内の密閉空間をさらに含み、前記カルーセルシステムが、前記栽培塔の一部分を作業ゾーンからアクセス可能な場所に移動させるように前記垂直軸の周りに前記栽培塔を回転させるように動作可能である、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項4】
前記細長いチャネル内に配置された植物支持培地をさらに含み、前記植物支持培地は、前記細長いチャネルの伸長方向と平行な長さに沿って配置されたスリットを有するオープンセルまたは多孔質材料を含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項5】
前記1以上の栽培塔がレセプタクルの列を支持する棚を含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項6】
前記レセプタクルがきのこ栽培用の植え付け基材を含有する、請求項5に記載のモジュール式農場。
【請求項7】
前記1以上の栽培塔が、支持パネルと、前記支持パネルの一方の面にある栽培ポケットと、前記支持パネルの反対側の面にある栄養素流路と、前記栽培ポケットと前記栄養素流路との間の流体連通のための支持パネル内の流体開口部を含む植物パネルアセンブリを含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項8】
前記カルーセルシステムが、回転機構と、回転機構から延在する複数の伸縮アームとを含む、前記コンテナの天井領域から取り付けられたハブを含み、前記複数の栽培塔の各々が付属する伸縮アームの1つの遠位端に取り付けられている、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項9】
各伸縮アームの遠位端に回転可能に取り付けられたハンガーアームをさらに含み、前記複数の栽培塔が各ハンガーアームから吊り下げられている、請求項8に記載のモジュール式農場。
【請求項10】
前記カルーセルシステムが、前記中央垂直軸を囲む水平トラックに沿って移動するように配置されたベルトを含み、それぞれの栽培塔が前記ベルトからそれと共に移動するように吊り下げられている、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項11】
前記複数の栽培塔が、各植物壁の対向する側面を形成するように外向きに配置された栽培塔の細長いチャネルを有する植物壁を形成するように配置されていて、各植物壁を作業ゾーンからアクセス可能な場所に移動するために、前記カルーセルシステムが中央垂直軸の周りに回転可能である、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項12】
各植物壁は、前記植物壁の各側を前記作業ゾーンからアクセス可能な位置に移動させるために、さらなる垂直軸の周りを回転するように前記カルーセルシステムに取り付けられている、請求項11に記載のモジュール式農場。
【請求項13】
前記植物壁の各側で成長する植物に対して光が向くように配置された照明システムをさらに含む、請求項11に記載のモジュール式農場。
【請求項14】
前記コンテナの床下の領域内に配置された栄養素溶液リザーバと、
栄養素溶液リザーバから各栽培塔の上端に液体栄養素溶液を供給するように配置された灌漑ラインと、
前記灌漑ラインに接続された前記栄養素溶液リザーバにおけるポンプと、
を備える灌漑システムをさらに含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項15】
前記灌漑システムが、前記灌漑ライン上に複数の放出器をさらに含み、各放出器が、付属する1つの前記栽培塔の上に配置され、各栽培塔が付属する放出器から液体栄養素溶液を受ける開放上端部を有する、請求項14に記載のモジュール式農場。
【請求項16】
各栽培塔が、前記栄養素溶液をリザーバに戻すために液体栄養素溶液を排出する開放下端部を有する、請求項14に記載のモジュール式農場。
【請求項17】
前記コンテナ内に床と、開放格子を備える作業ゾーン内の前記栽培塔の下の前記床の一部とをさらに備える、請求項16に記載のモジュール式農場。
【請求項18】
栄養素溶液リザーバから液体栄養素溶液を再循環するように配置された再循環ラインと、
複数の栄養素源と、
再循環ラインへ栄養素を導入するための各栄養素源から前記再循環ラインへのラインと、
を備える栄養素投与システムをさらに含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項19】
前記栄養素投与システムが、前記栄養素溶液リザーバから前記栄養素投与システムを通って前記栄養素溶液リザーバに戻るように液体栄養素溶液を送り出すように配置された再循環ポンプをさらに備える、請求項18に記載のモジュール式農場。
【請求項20】
前記栄養素投与システムが、前記再循環ライン内の液体栄養素溶液のpH、導電率、および温度のうちの1つ以上を感知するように配置されたセンサアセンブリをさらに含む、請求項18に記載のモジュール式農場。
【請求項21】
前記栄養素投与システムが、各栄養素源からの各ラインにポンプをさらに含む、請求項18に記載のモジュール式農場。
【請求項22】
前記栄養素投与システムが、栽培ゾーンの前記中央垂直軸と整列した中央列上に支持されている、請求項18に記載のモジュール式農場。
【請求項23】
前記栄養素投与システムが、作業ゾーン内の前記コンテナの内壁に支持されている、請求項18に記載のモジュール式農場。
【請求項24】
中央垂直軸と整列した中央列と、
中央列に面する各栽培塔内の植物に光を提供するために、前記中央列の側部に配置された照明を含む照明システムと、
をさらに備える、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項25】
前記照明システムが、前記コンテナの内壁に面する前記栽培塔で成長する植物に光を提供するために前記内壁に配置された照明をさらに含む、請求項24に記載のモジュール式農場。
【請求項26】
前記栽培塔の内向きに配置され、および前記栽培塔に対して外向きに面した照明の第1のセットと、
前記栽培塔の外向きに配置され、および前記栽培塔に対して内向きに面した第2の照明セットと、
を備える栽培ゾーン内の照明システムをさらに含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項27】
前記照明システムの前記第1のセットおよび前記第2のセットがそれぞれ、異なる周波数の複数の光を含む、請求項26に記載のモジュール式農場。
【請求項28】
前記照明システムの前記第1のセットおよび前記第2のセットがそれぞれ、複数の青色光および複数の赤色光を含む、請求項26に記載のモジュール式農場。
【請求項29】
前記照明システムが白色光の第3のセットを含む、請求項28に記載のモジュール式農場。
【請求項30】
前記第1のセットおよび第2のセットがLED光を備える、請求項26に記載のモジュール式農場。
【請求項31】
前記第1のセットおよび第2のセットが垂直の細片に配置されている、請求項26に記
載のモジュール式農場。
【請求項32】
前記第1のセットの照明は前記中央垂直軸と整列した中央列上に支持され、前記第2のセットの照明は前記コンテナの内壁上に支持される、請求項26に記載のモジュール式農場。
【請求項33】
前記コンテナ内に配置された苗木ステーションをさらに含み、前記苗木ステーションは、トラフ内の液体栄養素溶液と接触するように苗木プラグを支持する1つ以上の苗木トレイを支持するように配置された苗木トラフを含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項34】
前記苗木ステーションが、栄養素溶液リザーバから前記苗木トラフを通って液体栄養素溶液を循環させるように配置された灌漑ラインをさらに含む、請求項33に記載のモジュール式農場。
【請求項35】
前記苗木ステーションは、前記苗木トラフの上方に配置される作業棚を含み、前記作業棚は、ユーザーによるアクセスのために1つ以上の苗木トレイを支持するように配置される、請求項33に記載のモジュール式農場。
【請求項36】
ユーザーによるアクセスのために栽培塔を水平方向に支持するために作業ゾーン内の前記コンテナの対向する内壁に配置された支持面をさらに含む、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項37】
前記支持面は、前記コンテナの一方の内壁にブラケットを備え、前記コンテナの反対側の内壁に作業棚を備える、請求項36に記載のモジュール式農場。
【請求項38】
前記垂直軸と整列した中央列と、
前記中央列に取り付けられ、前記植物栽培塔中で成長する植物の写真を撮影するように配置されたカメラと、
をさらに備える、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項39】
中央垂直軸と整列した中央列と、
前記コンテナ内の気温、湿度、CO2レベルのうちの1つ以上を感知する、中央列に取り付けられた気候センサと、
を備える、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項40】
暖房、換気、および空調システムを備える環境制御システムをさらに備える、請求項1に記載のモジュール式農場。
【請求項41】
天井または屋根構造に取り付けるための取り付け固定具を含む据え付けベースと、据え付けベースに対して垂直軸の周りを回転するように据え付けベースに取り付けられる回転機構を備えるハブと、
回転機構にそれと共に回転するように取り付けられた、栽培塔支持アセンブリと、
中央垂直軸の周りをそれと共に回転するように栽培塔支持アセンブリから吊り下げ可能である複数の栽培塔で、各栽培塔は植物を成長させるための細長い列を含
み、
前記複数の栽培塔が、各植物壁の反対側を形成するように外向きに面して配置された、栽培塔の細長いチャネルを有する植物壁を形成するように配置される、
植物栽培用のカルーセルシステム。
【請求項42】
各栽培塔が、複数の隣接する一体的に形成された細長いチャネルを含む植物パネルと、前記植物パネルを前記栽培塔支持アセンブリから取り外し可能に吊り下げるように構成される前記植物パネルの後壁に配置される取り付け固定具とを備える、請求項41に記載のカルーセルシステム。
【請求項43】
前記栽培塔支持アセンブリが、前記回転機構に取り付けられたアームアセンブリを含み、各栽培塔が前記垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りを回転するように前記アームアセンブリに取り付けられている、請求項41に記載のカルーセルシステム。
【請求項44】
前記アームアセンブリが、回転子から伸びる複数の伸縮アームを備え、前記複数の栽培塔のそれぞれが、前記伸縮アームの付属する1つの遠位端に取り付けられている、請求項43に記載のカルーセルシステム。
【請求項45】
各伸縮アームの前記遠位端に回転可能に取り付けられたハンガーアームと、各ハンガーアームから吊り下げられた複数の栽培塔のうちの1つまたは一部とをさらに備える、請求項44に記載のカルーセルシステム。
【請求項46】
各植物壁が、前記垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りを回転するように前記塔支持アセンブリに取り付けられる、請求項
41に記載のカルーセルシステム。
【請求項47】
各栽培塔が、前記垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りを回転するように前記栽培塔支持アセンブリから吊り下げられている、請求項41に記載のカルーセルシステム。
【請求項48】
前記栽培塔支持アセンブリが、前記中央垂直軸を囲むトラックに沿って移動するように配置されたベルトを備え、各栽培塔が前記ベルトからそれと共に移動するように吊り下げられている、請求項41に記載のカルーセルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的な植物生産のための植物生産用のモジュール式農場に関する。
関連出願への相互参照
本出願は、2016年8月17日出願日の米国仮特許出願62/376,119号、名称「モジュール式農場」の35USC§119(e)の下の優先権を主張し、その開示を参照して本明細書に引用する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品の必要性は人口が増加し、気候の変化が生育期に影響を与えるにつれて増大する。伝統的な農業方法と長距離輸送に基づく現在の食糧供給モデルは、経済的にも環境的にも持続不可能である。伝統的な農業経営は通常農業地域にあり、そこでは多額の前払い費用と多額の作付面積が必要であり、種子から販売までの運営費が高い。
【0003】
都市および地方の農業もまた障害に直面している。都市部での栽培スペースは限られており、高い需要を満たすのに十分ではない。温室の高い立ち上げコストと運営コストは、多くの企業にとって地方の作物生産を困難にしている。屋上温室を支えることを意図した構造は構造エンジニアによって評価されなければならず、そしてしばしば重量を支えるために追加のブレースを必要とする。都市庭園はしばしば汚染された土壌に対処しなければならない。ほとんどの水耕システムは農業環境に設置されることを意図されており、容易に運搬できず、そして運営のための人員の広範な訓練を必要とするので、水耕システムは都市部では容易には使用されない。
【0004】
封じ込め農業システムは最近これらの問題に対処するために開発された。例えば、米国特許第9,288,948号に記載されているモジュール式コンテナ内での栽培システムは、高収量作物を生産するために開発されている。モジュール式コンテナ内で、栽培システムは、種子が植物に発芽するまで種子を育成するための発芽ステーション、成長する植物を保持するための複数の垂直ラック、植物に適切な光を提供する照明システム、植物に栄養素を供給する灌漑システム、コンテナ内の環境条件を制御するための空調システム、および植物に気流を提供するための換気システムを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
効率的な植物生産のために、植物生産用のモジュール式農場が提供される。いくつかの態様において、モジュール式農場は、コンテナと、コンテナ内の中央垂直軸の周りを回転するように取り付けられたカルーセル(carousel)システムと、中央垂直軸の周りをそれと共に回転するためにカルーセルシステムに取り付け可能な複数の植物栽培塔とを含み、各植物栽培塔は、植物を栽培するための細長いチャネルを含む。いくつかの実施態様において、植物を栽培するためのカルーセルシステムが提供される。カルーセルシステムは、天井または屋根構造に取り付けるための取り付け固定具を含む据え付けベース(stationary base)を含むハブと、据え付けベースに関して垂直軸の周りを回転するように据え付けベースに取り付けられる回転子と、それと共に回転するために回転子に取り付けられるアームアセンブリと、アームアセンブリから中央垂直軸の周りにそれと共に回転するために吊り下げ可能な複数の植物栽培塔を備え、各植物栽培塔は、植物栽培用の細長いチャネルを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のその他の実施態様は、以下を含む:
【0007】
1.コンテナと、コンテナ内の中央垂直軸の周りを回転するために取り付けられたカルーセルシステム、および中央垂直軸の周りにそれと共に回転するためにカルーセルシステムに取り付けられた複数の栽培塔とを備える植物生産用のモジュール式農場であり、各栽培塔は植物を栽培するための細長い列を含む。
【0008】
2.各栽培塔が、中央垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りを回転するようにカルーセルシステムにさらに取り付け可能である、実施態様1に記載のモジュール式農場。
【0009】
3.栽培ゾーンおよび作業ゾーンを含むコンテナ内の密閉空間をさらに含み、前記カルーセルシステムは、前記栽培塔を前記垂直軸の周りに回転させて前記栽培塔の一部を作業ゾーンからアクセス可能な場所に移動させるように動作可能である、実施態様1または2に記載のモジュール式農場。
【0010】
4.1つ以上の栽培塔が、複数の隣接する一体的に形成された細長いチャネルを備える植物パネルと、植物パネルの後壁に配置されて、カルーセル栽培構造から植物パネルを取り外し可能に吊るすように構成された取り付け固定具とを備える、実施態様1~3のいずれかのモジュール式農場。
【0011】
5.前記細長いチャネル内に配置された植物支持培地をさらに含み、植物支持培地は、前記細長いチャネルの伸長方向と平行な長さに沿って配置されたスリットを有するオープンセルまたは多孔質材料を含む、実施態様4に記載のモジュール式農場。
【0012】
6.1つ以上の栽培塔が、植物栽培コンテナの列を支持するラックを備える、実施態様1~5のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0013】
7.前記植物栽培コンテナが、きのこを栽培するための接種された基材を含む、実施態様6に記載のモジュール式農場。
【0014】
8.1つ以上の栽培塔が、支持パネルと、支持パネルの一方の面にある栽培ポケットと、支持パネルの反対側の面にある栄養素流路と、栽培ポケットと栄養素流路との間の流体連通のための支持パネルの流体開口部を含む植物パネルアセンブリを備える、実施態様1~7のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0015】
9.カルーセルシステムが、コンテナの天井領域から取り付けられたハブを備え、および回転機構と回転機構から伸長する複数の伸縮アームを含み、付属する伸縮アームのうちの1つの遠位端に取り付けられている各複数の栽培塔を備える、実施態様1~8のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0016】
10.各伸縮アームの遠位端に回転可能に取り付けられたハンガーアームと、各ハンガーアームから吊り下げられた複数の栽培塔のうちの1つまたは一部とをさらに備える、請求項9に記載のモジュール式農場。
【0017】
11.カルーセルシステムが、中央垂直軸を囲む水平トラックに沿って移動するように配置されたベルトを備え、各栽培塔がそれと共に移動するようにベルトから吊り下げられている、実施態様1~10のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0018】
12.複数の栽培塔が、各植物壁の反対側を形成するように外向きに配置された、栽培塔の細長いチャネルと植物壁を形成するように配置され、カルーセルシステムが、作業ゾーンからアクセス可能な場所に各植物の壁を移動するために中央垂直軸の周りを回転可能である、実施態様1~11のいずれかのモジュール式農場。
【0019】
13.各植物壁は、さらなる垂直軸の周りを回転するようにカルーセルシステムに取り付けられ、植物壁の各側面を作業ゾーンからアクセス可能な位置に移動させる、実施態様12に記載のモジュール式農場。
【0020】
14.植物壁の各側で栽培する植物に光を向けるように配置された照明システムをさらに備える、実施態様12~13のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0021】
15.コンテナの床下の領域に配置されている栄養素溶液リザーバと、栄養素溶液リザーバから各栽培塔の上端へ液体栄養素溶液を供給するように配置された灌漑ラインと、灌漑ラインに接続されている栄養素溶液リザーバのポンプと
を備える灌漑システムをさらに含む、実施態様1~14のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0022】
16.灌漑システムが、灌漑ライン上に複数の放出器をさらに含み、各放出器が付属する栽培塔のうちの1つの上に配置され、各栽培塔が、付属する放出器から液体栄養素溶液を受け取るための開放上端を有する、実施態様15に記載のモジュール式農場。
【0023】
17.各栽培塔が、液体栄養素溶液を放出して栄養素溶液リザーバに戻すための開放下端部を有する、実施態様15~16のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0024】
18.コンテナ内の床をさらに備え、前記作業ゾーン内の前記栽培塔の下の床の部分が、開放格子を備える、実施態様17に記載のモジュール式農場。
【0025】
19.灌漑システムが、酸素を栄養素溶液リザーバ内の液体栄養素溶液に導入するように配置された曝気装置をさらに備える、実施態様15~18のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0026】
20.栄養素溶液リザーバから液体栄養素溶液を再循環するように配置された再循環ラインと、複数の栄養素源と、再循環ラインに栄養素を導入するための、各栄養素源から再循環ラインへのラインとを含む栄養素投与システムをさらに備える、実施態様1~19のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0027】
21.栄養素投与システムが、栄養素溶液リザーバから栄養素投与システムを通って栄養素溶液を汲み上げ、栄養素溶液リザーバに戻るように配置された再循環ポンプをさらに含む、実施態様20に記載のモジュール式農場。
【0028】
22.栄養素投与システムが、再循環ライン内の液体栄養素溶液のpH、導電率、および温度のうちの1つ以上を感知するように配置されたセンサアセンブリをさらに備える、実施態様20~21のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0029】
23.栄養素投与システムが、各栄養素源からの各ラインにポンプをさらに含む、実施態様20~22のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0030】
24.栄養素投与システムが、栽培ゾーンの中央垂直軸と整列した中央列上に支持されている、実施態様20~23のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0031】
25.栄養素投与システムが作業ゾーン内のコンテナの内壁に支持されている、実施態様20~23のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0032】
26.中央垂直軸と整列する中央列と、中央列の側部に配置された照明を含み、中央列に面する各栽培塔内の植物に光を提供する照明システムとをさらに備える、実施態様1~25のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0033】
27.照明システムが、内壁に面している栽培塔において成長している植物に光を提供するために前記コンテナの内壁に配置された照明をさらに含む、実施態様26に記載のモジュール式農場。
【0034】
28.栽培塔の内側に配置され、外向きに面する第1のセットの光と、栽培塔の外側に配置され、内向きに面する第2セットの光とを含む栽培ゾーン内に照明システムをさらに備える、実施態様1~27のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0035】
29.照明システムの第1セットおよび第2セットはそれぞれ、異なる周波数の複数の光を含む、実施態様28に記載のモジュール式農場。
【0036】
30.前記照明システムの第1セットおよび第2セットはそれぞれ複数の青色光および複数の赤色光を含む、実施態様28~29のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0037】
31.前記照明システムが、白色光の第3のセットを含む、実施態様28~30のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0038】
32.第1のセットおよび第2のセットの光がLED光を含む、実施態様28~31のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0039】
33.第1のセットおよび第2のセットの光が縦型細片に配置されている、実施態様28~32のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0040】
34.第1のセットの光が前記中央垂直軸と整列した中央列上に支持され、第2のセットの光が前記コンテナの内壁上に支持される、実施態様28~33のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0041】
35.コンテナ内に配置された苗木ステーションをさらに含み、苗木ステーションは、トラフ内の液体栄養素溶液と接触するように苗木プラグを支持する1つ以上の苗木トレイを支持するように配置された苗木トラフを含む、実施態様1~34のいずれかのモジュール式農場。
【0042】
36.前記苗木ステーションが、栄養素溶液リザーバからの栄養素溶液を苗木トラフを通って循環させるように配置された灌漑ラインをさらに含む、実施態様35に記載のモジュール式農場。
【0043】
37.苗木ステーションが、苗木トラフの上方に配置された作業棚を含み、作業棚は、ユーザーによるアクセスのために作業棚の上の1つ以上の苗木トレイを支持するように配置されている、実施態様35~36のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0044】
38.ユーザーによるアクセスのために栽培塔を水平方向に支持するために作業ゾーン内のコンテナの対向する内壁に配置された支持面をさらに備える、実施態様1~37のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0045】
39.支持面が、コンテナの一方の内壁上のブラケットと、コンテナの対向する内壁上の作業棚とを備える、実施態様38に記載のモジュール式農場。
【0046】
40.中央垂直軸と整列する中央列と、中央列に取り付けられ、植物栽培塔の中で成長する植物を撮影するように配置されているカメラとをさらに含む、実施態様1~39のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0047】
41.中央垂直軸と整列する中央列と、中央列に取り付けられ、コンテナ内の気温、湿度、CO2レベルのうちの1つ以上を感知する気候センサとをさらに含む、実施態様1~40のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0048】
42.暖房、換気、および空調システムを備える環境制御システムをさらに備える、実施態様1~41のいずれかに記載のモジュール式農場。
【0049】
43.天井または屋根構造に取り付けるための取り付け固定具を含む据え付けベースと、据え付けベースに関して垂直軸の周りを回転するように据え付けベースに取り付けられる回転機構とを含むハブと、
回転機構と共に回転するために回転機構に取り付けられている植物塔支持アセンブリと、
中央垂直軸の周りをそれと共に回転するように植物塔支持アセンブリから吊り下げ可能である複数の栽培塔とを備え、各栽培塔は植物を成長させるための細長い列を含む、植物を栽培するためのカルーセルシステム。
【0050】
44.各栽培塔が、複数の隣接する一体的に形成された細長いチャネルを含む植物パネルと、植物パネルの後壁に配置され、植物パネルを栽培塔支持アセンブリから取り外し可能に吊り下げるように構成された取り付け固定具とを含む、実施態様43のカルーセルシステム。
【0051】
45.栽培塔支持アセンブリが回転機構に取り付けられたアームアセンブリを含み、各栽培塔が、垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りを回転するようにアームアセンブリに取り付けられている、実施態様43~44のいずれかに記載のカルーセルシステム。
【0052】
46.アームアセンブリが回転子から伸びる複数の伸縮アームを含み、複数の栽培塔のそれぞれが付属する1つの伸縮アームの遠位端に取り付けられている、実施態様45に記載のカルーセルシステム。
【0053】
47.各伸縮アームの遠位端に回転可能に取り付けられたハンガーアームと、各ハンガーアームから吊り下げられた複数の栽培塔のうちの1つまたは一部とをさらに含む、実施態様46に記載のカルーセルシステム。
【0054】
48.複数の栽培塔が植物壁を形成するように配置され、該植物壁が外側に面して各植物壁の対向する側を形成するように配置される栽培塔の細長いチャネルを伴う、実施態様43~47のいずれかに記載のカルーセルシステム。
【0055】
49.各植物壁は、垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りを回転するように塔支持アセンブリに取り付けられている、実施態様48に記載のカルーセルシステム。
【0056】
50.各栽培塔は、垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りで回転するように栽培塔支持アセンブリから吊り下げられる、実施態様43~49のいずれかに記載のカルーセルシステム。
【0057】
51.栽培塔支持アセンブリが、中央垂直軸を囲むトラックに沿って移動するように配置されたベルトを含み、各栽培塔がそれと共に移動するようにベルトから吊り下げられている、実施態様43~50のいずれかに記載のカルーセルシステム。
【0058】
52.複数の隣接する一体的に形成された細長いチャネルを含む植物パネルと、植物パネルをカルーセル栽培構造から取り外し可能に吊るすように構成された植物パネルの後壁に配置された取り付け固定具とを含む植物用栽培塔。
【0059】
53.細長いチャネル内に配置された植物支持培地をさらに含み、植物支持培地は、細長いチャネルの伸長方向と平行な長さに沿って配置されたスリットを有するオープンセルまたは多孔質材料を含む、実施態様52に記載の栽培塔。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1は、モジュール式農場の実施態様の等角図である。
【
図4】
図4は、
図1のモジュール式農場のさらなる端面図である。
【
図5】
図5は、
図1のモジュール式農場のさらなる側面図である。
【
図7】
図7は、植物パネルの実施態様の部分的等角図である。
【
図8】
図8は、
図7の植物パネルの実施態様のさらなる部分的等角図である。
【
図9】
図9は、
図1のモジュール式農場のカルーセルシステムの部分等角図である。
【
図10】
図10は、カルーセルシステムのハンガーアームの等角図である。
【
図11】
図11Aは、植物パネルをハンガーアームへ取り付けすることを説明する等角図である。また、
図11Bは、植物パネルをハンガーアームへ取り付けすることを説明するさらなる等角図である。
【
図12】
図12Aは、伸縮アームおよびハンガーアームの部分側面図である。また、
図12Bは、伸縮アームおよびハンガーアームのさらなる部分側面図である。
【
図14】
図14は、モジュール式農場の中央列の一実施態様の部分等角図である。
【
図17】
図17は、苗木ステーションにおける水トラフの実施態様の側面図である。
【
図18】
図18は、苗木ステーションの実施態様の等角図である。
【
図19】
図19は、栽培塔のさらなる実施態様の前面図である。
【
図21】
図21は、カルーセルシステムおよび栽培塔のさらなる実施態様を伴うモジュール式農場の等角図である。
【
図23】
図23は、灌漑システムの配管アセンブリの一実施態様の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
発明の詳細な説明
1つ以上の作物の全成長サイクルが、単一の中央の操作点から、例えば農夫などのユーザーによって取り扱われ得るモジュール式農場が提供される。種子の植え付けや発芽、苗の移植、植物の栽培、作物の収穫のための作物の栽培に関わるすべての作業を一か所から行うことができ、それによって作業の流れが改善される。農夫はある場所から別の場所へ農場を歩く必要はなく、ある場所から別の場所へ苗木を輸送する必要もない。
【0062】
図1~
図6を参照すると、モジュール式農場10は、植物を成長させるのに適した環境を提供するコンテナ12内に収容されている。このコンテナは、作業ゾーン14および栽培ゾーン16を形成する密閉空間を提供する。この栽培ゾーンにおいて、カルーセルシステム20が中央垂直軸22の周りを回転するように取り付けられている。作物は、中央垂直軸の周りを一緒に回転するカルーセルシステムによって支持される栽培塔30上の垂直列において成長する。各栽培塔はまた、中央垂直軸から離間して配置されたさらなる垂直軸の周りを回転するようにカルーセルシステムに取り付けることができる(以下でさらに説明する)。このようにして、栽培塔は、栽培塔の一部が作業ゾーン内のユーザーにとってアクセス可能な場所に容易に移動させることができる。苗木ステーション40は、作業ゾーンからもアクセス可能な場所におけるコンテナ内に設けることができる。扉11は、例えば作業ゾーンに隣接して1つの壁に設けられ、コンテナ内の作業ゾーンに出入りする農夫の出入りを提供する。
【0063】
作物を栽培するのに適した環境を作り出すために、コンテナ内にさまざまな追加のシステムを含めることができる。システムは、栽培ゾーン内および苗木ステーション内で成長する植物に液体栄養素溶液を供給するための灌漑システム60を含み得る。液体栄養素溶液を保持するためのリザーバ62をコンテナ内の床182の下に設けることができる。照明システム80は、植物に対して適切な周波数およびスケジュールの照明を提供することができる。例えば、暖房、換気、および空調またはHVACシステムなどの環境制御システム110は、適切な温度、湿度レベル、CO2レベル、および空気流を提供することができる。コンテナ壁を通る外部接続部191は、コンテナ内の配管ラインおよび電気配線に水および電気を供給してさまざまなシステムに役立つことができる。
【0064】
いくつかの実施態様において、栽培塔30は、中央容積の周辺でカルーセルシステム20から吊り下げることができる。中央列50を垂直軸22と整列させて、中央容積内のさまざまなシステム構成要素またはその部分を支持することができる。例えば、栽培塔の内向きの側部のための照明82は、中央列50上に支持することができる。栽培塔の外側に面する側部のための照明84は、内部のコンテナ壁に支持することができる。栄養素投与システム130は、栄養素を水に添加して液体栄養素溶液を形成するために、中央列50内またはコンテナ内壁上に支持することができる。気候センサおよびカメラ54などの他のさまざまな構成要素を中央列の上または内に支持することができる。
【0065】
いくつかの実施態様において、各栽培塔30は、複数の隣接する細長い栽培チャネル34を有する植物パネル32として形成することができる。複数の植物パネルを両面植物壁36に配置することができ、該細長い栽培チャネルは、植物壁の反対側を形成するためにほぼ背中合わせの向きに配置されている。
【0066】
より具体的には、各植物パネル32は、図示の実施態様では3つの、いくつかの栽培チャネル34を含むことができる。各栽培チャネルは、2つの側壁、後壁、および開放前面を含むことができる。各チャネルは上端と下端の両方で開いている。補強ビードは、側壁の前縁に沿って配置することができる。チャネルは、U字形、C字形、正方形、長方形、楕円形などの任意の断面形状を有することができる。植物パネルは、ポリ塩化ビニルのような、植物に対して非毒性のポリマー材料で作ることができる。他の材料を使用することができる。材料は、重量を最小限に抑えるために非金属であり得る。植物パネルは、成形または積層造形などの任意の適切な方法で形成することができる。
【0067】
植物支持培地35が各チャネル内に配置されている。植物支持培地は、チャネルと整列してその長さに沿って連続スリット37または複数の別々のスリットを有する単一の材料片であり得るか、または一緒に圧縮された2つの材料片から形成され得る。植物支持培地は、植物支持培地に対して圧縮するチャネル壁の弾力性によってチャネル内に保持され得る。苗木プラグは、支持培地内または支持培地間のスリットに配置される。(後述する灌漑システムからの)液体栄養素溶液は、開放頂端部を通して各栽培チャネルに供給され、開放底端部から滴り落ち、植物支持培地を通って下方に流れるにつれて栽培チャネル内の植物を灌漑する。
図2を参照されたい。
【0068】
いくつかの実施態様において、植物支持培地35は、大きな細孔容積を有するオープンセルフォームまたはマトリクス材料であり得る。いくつかの実施態様において、オープンセルフォーム材料はポリウレタンまたはポリエーテルである。ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリエステルなどの他のオープンセルフォーム材料を使用することができる。いくつかの実施態様において、栄養素溶液と材料との間の接触を最小限に抑えるために、材料を例えばシリコーン結合剤またはコーティングで処理することができる。繊維状成長材料などの他の種類の植物支持培地を使用することができる。
【0069】
植物パネルは、チャネルの裏側に取り付け固定具42を含む。
図7~8を参照されたい。いくつかの実施態様において、取り付け固定具は、チャネル34の長さの全部または一部にのびる2つの取り付けリブ44から形成される。取り付けリブは、リブコネクタ45によってチャネルに接合される。パネルは、取り付けリブの長手方向縁部に沿ってビード46を含むことができる。水平取付スロット48が、取付リブの内向きに面する縁部に沿って頂部から下方に離間した位置に設けられている。
【0070】
いくつかの実施態様において、カルーセルシステム20は、コンテナの天井領域の構造部材から垂直軸を超えて回転するように支持されたハブ24を含む。ハブは、構造部材に固定的に取り付けることができる据え付けベース26と、据え付けベースに関して垂直軸の周りを回転するように据え付けベースに取り付けられた回転機構28または回転子とを含むことができる。アームアセンブリ150は、それと共に回転するように回転機構に取り付けることができる。
【0071】
いくつかの実施態様では、アームアセンブリ150は、ハブから遠位端154まで伸びる複数の水平方向伸縮アーム152を含むことができる。所望すれば別の数のアームも使用し得るが、図示の実施態様には3つのアームが示されている。各アームは、アームハウジング158内で移動可能な伸縮スライド156を含む。アームハウジングの近位端はハブに取り付けられているので、伸縮アームはハブと共に垂直軸の周りを回転することができる。ハブは、モーターなどの任意の適切な方法で回転させることができる。いくつかの実施態様では、ハブは90°ずつの増加で回転させることができる。ハブはまた、電動式回転に加えてまたはその代わりに手動で回転させることもできる。
【0072】
ハンガーアーム162は、中央ハブから遠位の各伸縮スライド156の遠位端に取り付けられる。各ハンガーアームはトッププレート164を含む。トッププレートの各側面には多数のフロントタブ166と多数のバックタブ168が下方に伸びている。後部タブはわずかに後ろに凹んでおり、隣接する前部タブよりも長い。各後部タブの下端には、水平方向の植物パネル取付フック169が設けられている。
【0073】
複数の植物パネル32を各ハンガーアーム162に取り付けることができる。植物パネルを取り付けるために、植物パネルの後部を後部タブ168に対して配置され、取り付けリブ44を前部タブの内側縁部と一列に並べられる。前部タブの後ろにリブがある状態で、後部タブ168の底部の取り付けフック169が植物パネルのリブの取り付けスロット48に滑り込むまで、植物パネルを上にスライドさせる。前部タブおよび後部タブは、垂直から任意の所望の角度で植物パネルを保持するように構成することができる。いくつかの実施態様では、植物パネルは、概略栄養素溶液の排水を指示する垂直からチャネルの下端まで外向きに傾斜している。
図3を参照されたい。いくつかの実施態様では、角度は0°から10°の範囲であり得る。いくつかの実施態様では、植物は垂直から約1°傾斜している。いくつかの実施態様では、植物は垂直から約2°傾斜している。
【0074】
ハンガーアーム162は、伸縮アームを伸縮させるために農夫が把持するための両側にハンドル172を含むことができる。伸縮アームを伸ばしたとき、両側の植物パネルにアクセスできるように、ハンガーアームを回転させることができる。各ハンガーアームは、植物パネルをその栽培位置に固定するために、伸縮アームが引っ込められたときにアームハウジング上のロックタブ176と嵌合するために各中央前部タブ上にロックスロット174を含むことができる。
図12Aおよび12Bを参照されたい。伸縮アームは、アームを伸縮させるための手動操作に加えて、あるいは手動操作に代えてモーター駆動にすることもできる。
【0075】
各ハンガーアーム162は、ハンガーアームに沿って中央に配置された回転継手またはスイベルジョイント178を用いて、付属する伸縮スライド156の端部に回転可能に取り付けられる。(
図12A参照。)回転継手は、植物壁の向きを逆にすることができるように、各ハンガーアームを水平面内で独立して回転させることを可能にする。したがって、外側に面する植物は内側に面するように回転させることができ、内側に面する植物は外側に面するように回転させることができる。このようにして、植物パネルのうちの1つを取り除いてその中の植物をチェックすること、または植物パネルから植物を収穫することを望む農夫は、すべての植物に容易にアクセスすることができる。回転継手は電動化することができ、または手で操作することができ、あるいはその両方であることができる。一実施態様では、スイベルジョイントは、トッププレートの両側にボルトと一対のスラストベアリングとを含む。
【0076】
図13A~13Fは、植物パネルにアクセスするための一連のステップを示す。
図13Aは、植物壁36a、36b、36cが作業ゾーンに面していない定位置にあるカルーセルシステム20を示す。
図13Bでは、中央ハブは180°回転されているので、植物壁36bの第1の側面39aは作業ゾーンからアクセス可能である。
図13cでは、伸縮アーム152は作業ゾーン14に向かって伸びている。
図13Dでは、ハンガーアームは90°回転しており、
図13Eでは、ハンガーアームパネルはさらに90°回転して合計180°の回転をしているので、植物壁36bの第2の側面39bは作業ゾーンに面している。
図13Fでは、伸縮アーム152が中央列に向かって押し戻され、所定の位置に固定されている。この位置から、植物壁36bの第2の面39b上の植物パネルに容易にアクセスすることができる。
【0077】
一実施態様において、各ハンガーアームは各側に4つの植物パネルを保持することができる。カルーセルシステム全体で24個の植物パネルを収納できる。ミニチュアヘッドレタスのような作物の場合、植物パネルは1054の植物部位を提供することができる。1週間に150個のミニチュアヘッドレタスを収穫することができる。
栽培塔は他の構成を有することができることが理解されよう。例えば、いくつかのさらなる実施態様では、複数の個々のチャネル形状の塔を提供することができる。各塔は、コンテナ内のカルーセル栽培構造から垂直に個別に吊り下げることができる。各塔は、カルーセル栽培構造からフックまたはタブに掛けるための頂部近くの1つまたは複数の穴を含むことができ、あるいは回転式またはスイベル式ジョイントから吊り下げることができる。
【0078】
図19~
図20を参照すると、いくつかの実施態様では、栽培塔330は、支持パネル332、支持パネルの一方の面に栽培ポケット334、支持パネルの反対側の面に栄養素流路336、ならびに栽培ポックと栄養素流路との間の流体連通のための支持パネル内の流体開口部338を有する植物パネルアセンブリとすることができる。カルーセルアセンブリから吊り下げるために、フック用の1つ以上の開口部を支持パネルの頂部に設けることができる。いくつかの実施態様では、カルーセルアセンブリからの吊り下げのために回転継手またはスイベルジョイントを設けることができる。
【0079】
図21~
図22を参照すると、いくつかの実施態様では、栽培塔430をラック432として形成して1つ以上のレセプタクル(入れ物)434を支持することができる。いくつかの実施態様では、ラック432はその上にレセプタクルを載置し得る1つ以上の棚436を含むことができる。棚は、1つ以上の垂直ロッド438を介して吊り下げ固定具442に取り付けることができる。いくつかの実施態様では、レセプタクルは、きのこを含む真菌を栽培するのに適した接種基材を収容することができるバッグまたは密閉レセプタクルであり得る。いくつかの実施態様では、レセプタクルは所望の植物用に構成されたポットであり得る。
【0080】
いくつかの実施態様では、カルーセルシステム420は、天井または屋根構造に取り付けることができる据え付けベース423を備えるハブ422を含むことができる。据え付けベースに取り付けられた回転機構424は、据え付けベースに対して垂直軸の周りに回転を提供することができる。いくつかの実施態様では、回転機構は、中央垂直軸を囲む水平トラックに沿ってベルト426を駆動するように構成することができる。ベルトは、モーターによって駆動される、ハブを囲むように配置された歯車装置427などの任意の適切な方法で駆動することができる。ラック430などの栽培塔は、ベルトと共に移動するためにベルトから吊り下げることができる。いくつかの実施態様では、ラックはフックおよびアイ固定具で吊り下げることができる。いくつかの実施態様では、ラックは、回転式継手またはスイベルジョイントで吊り下げられて、据え付けベースの垂直軸から離間したさらなる垂直軸の周りの回転を提供することができる。
【0081】
カルーセルシステムは他の構成も有することができる。例えば、図示の実施態様では、カルーセルシステムは、他の構成を提供することもできるが、平面図で概ね正方形の構成で栽培塔を吊り下げるように構成されている。また、3つの植物の壁が描かれている。しかしながら、2つの植物壁または4つ以上の植物壁を設けることができる。他の実施態様では、カルーセルシステムは、栽培塔を吊り下げて異なる構成またはパターンで動くように構成することができる。例えば、より大きなコンテナでは、栽培塔を楕円形または蛇行形に動かすことができる。カルーセルシステムは、任意の特定のコンテナサイズおよび形状内に収まるように必要に応じて構成することができる。いくつかの実施態様では、コンテナ内に複数のカルーセルシステムを設けることができる。
【0082】
中央列50は、以下でさらに説明される照明システム80の一部、および栄養素投与システム130などのさまざまなシステムを支持するためにコンテナ10内に設けることができる。作業ゾーンに面している中央列のフロントパネル256またはフロントパネルの一部は、修理または交換のためにその中の構成要素にアクセスするために取り外し可能であり得る。いくつかの実施態様において、カメラ54は、カメラに面している栽培塔上で成長する植物を撮影するために中央列に取り付けることができる。
【0083】
モジュール式農場は、栽培する植物に照明を提供するための照明システム80を含むことができる。いくつかの実施態様では、植物の吊り下げのためにカルーセルシステム20が取り付けられている栽培ゾーンの周囲の一部を形成するために、コンテナの3つの内壁、すなわち2つの側壁および1つの端壁に照明84が設けられている。いくつかの実施態様では、照明を取り付けるために、対向する側壁および端壁に凹部を形成することができる。いくつかの実施態様では、照明82は、カルーセルシステムのハブの下に位置する中央列50の3つの側面に取り付けることができる。カルーセルシステムは、側面および端壁に設けられた照明84に向かって外向きに、および中央列の照明82に向かって内向きの両方に面して、植物を有する栽培塔を吊り下げることができる。このようにして、照明を栽培する植物に十分に接近して配置することができる。
【0084】
いくつかの実施態様では、照明は、側壁および端壁上ならびに中央列上に垂直に配置されたいくつかのLED照明片として提供することができる。いくつかの実施態様では、照明は照明カーテンとして提供することができる。照明は適切な周波数に合わせて選択できる。照明は特定の作物に合わせて選択できる。いくつかの実施態様では、青色光83aと赤色光83bのような周波数の混合を提供することができる。いくつかの実施態様では、例えばきのこ用に青色光を提供することができる。
【0085】
農夫がコンテナ内で作業しているときには、白色の作業灯を点灯させることができる。一実施態様では、白色光は、天井近くの水平LED光片86として提供することができる。白色光は作業ゾーンに配置されたスイッチによって操作することができ、それによって農夫は必要に応じてそれらをオンおよびオフにすることができる。白色光はタイマーで作動させることができるので、それらはしばらくすると自動的に消える。
【0086】
いくつかの実施態様では、照明は3つの側面に設けることができ、栽培ゾーンの第4の側面は光がないままにされる。カルーセルシステム20は、本明細書に記載されているように回転可能であり得るので、植物は休息側で照明から離れていくらかの時間を費やすことができる。いくつかの実施態様では、休止側の植物パネルが他の3つの側面のいずれかの植物パネルよりも農夫にとってアクセスしやすいように、休息側を作業ゾーン14に向けることができる。
【0087】
灌漑システム60は、植物パネル内の成長中の植物に液体栄養素溶液を供給するために設けられている。いくつかの実施態様では、灌漑システムは、コンテナの床182の下、例えば作業ゾーン14の下に配置することができるリザーバ62を含むことができ、リザーバ62内のポンプ186から栽培塔の上端付近の位置まで上向きに伸びる灌漑ライン184を含むことができる。灌漑ラインは、栽培塔30の上方に支持された配管アセンブリ188に供給することができる。
図2および23を参照されたい。配管アセンブリは、各列の栽培塔と整列するためのある長さのパイプを含むことができる。一実施態様では、配管アセンブリは、カルーセルシステムから吊り下げられた植物パネルのほぼ正方形の構成と整列するように配置された2つのほぼ正方形の構成で配置される。各長さのパイプは、下方に開口する多数の放出器192またはノズルを含む。各放出器は、栽培塔30内のチャネル32と整列し、その結果、栄養素溶液を放出器からチャネルの開放頂部に排出することができる。栄養素溶液はチャネルの長さに沿って下方に流れ、そこで成長する植物に栄養分を与える。過剰な栄養素液は各チャネルの底部の開口端から排出される。
図2を参照されたい。いくつかの実施態様では、放出器は、例えば作物の周りの空気を噴霧するためにスプレーを放出することができる。例えば、きのこの作物の周りに空気を噴霧することは有用であり得る。
【0088】
塔から排出された過剰な栄養素は、栽培ゾーン16の下の集水部194に集められる。格子196が集水部を覆い、溶液が集水部に入ることを可能にすることができる。格子はまた、栽培ゾーンに床面を提供することができる。必要ならば、農夫は格子を踏むことができる。格子は取り外し可能である。
図2の矢印195で示されるように、集水部は傾斜して栄養素溶液がリザーバに戻るように排出することができる。
【0089】
リザーバ62は、床182のさらなる区画の下、例えば作業ゾーン14の下に配置することができ、作業ゾーン14は実体ろく板面で覆うことができる。リザーバのためのアクセス開口部は、実体ろく板面に形成することができる。流入水ライン192および排水ラインは、例えばコンテナの下端に沿って設けることができる。水配管またはホース用の適切な配管取付金具191をコンテナの外側に設けることができる。このようにして、コンテナ内のリザーバに水を導入し、そこから水を除去することができる。
【0090】
モジュール式農場は栄養素投与システム130を含むことができ、そこでは適切な量の栄養素がリザーバ62内の水に加えられて成長中の植物に供給される液体栄養素溶液を形成することができる。いくつかの実施態様において、栄養素投与システムは、液体栄養素溶液をリザーバから投与システムを介して循環させ、それをリザーバに戻す再循環ライン132を含む。再循環ライン内のセンサアセンブリ134は、pH、導電率、および温度などのさまざまなパラメータを感知するためのセンサを含む。調整が必要な場合は、センサアセンブリの出力に基づいて、必要な添加剤を再循環ラインに追加できる。
【0091】
いくつかの実施態様では、栄養素投与システム130は、中央列50内に収容することができる。
図3を参照されたい。再循環ラインは、列内を上向きに伸びる入力ライン136を含むことができ、例えば、適当なエルボー固定具でセンサアセンブリ134を通過し、リザーバに向かって下方に伸びる排出ライン138に達する。キャニスタ145内など、複数の栄養素源142を列内に収容することができる。投与チューブ144は、各キャニスタの底部から、蠕動ポンプ146などの計量装置を通って、例えば送達バーブを介して排出ライン内の入口に繋がり得る。センサアセンブリが特定の栄養素または添加物が必要であると判断すると、付属する計量装置が作動して適切な量を加える。いくつかの実施態様では、センサアセンブリは、感知されたデータに基づいて適切な量の添加剤を導入するために計量装置を作動させるコントローラを含むことができる。
【0092】
いくつかの実施態様では、1つのキャニスタは、リン、カリウム、窒素、カルシウム、および硝酸塩など、作物の栽培に適したミネラルの混合物を含むことができる。第二のキャニスタは、pHを調整するための添加剤を含み得る。3番目のキャニスタには菌根を含めることができ、これは根の成長に役立ちます。第4のキャニスタは、ラインを通って周期的に循環することができる洗浄液を含むことができる。任意の数のキャニスタおよび所望の栄養素を提供することができる。いくつかの実施態様では、各キャニスタ内の栄養素のレベルをチェックするために、中央列に観察用スロット149を設けることができる。必要に応じてより多くの栄養素を追加するため、または空のキャニスタを満杯のものと交換するために、各キャニスタの上部に送達口151を設けることができる。送出口は、中央列の凹部を介してアクセス可能であり得る。
【0093】
いくつかの実施態様では、栄養素の量を連続的にまたは周期的に監視することができるように、液体栄養素溶液130を栄養素投与システムを通して連続的または周期的に再循環させることができる。このようにして、リザーバ内の栄養素溶液を適切な栄養素レベルで維持することができる。
【0094】
いくつかの実施態様では、栄養素投与システムは、苗木ステーションの下またはそれに隣接するなど、コンテナの内壁に取り付けることができる。
図1を参照されたい。
【0095】
図2~
図3および
図17~
図18に示すように、苗木ステーション40は作業ゾーン14に隣接するコンテナの内壁に取り付けることができる。いくつかの実施態様において、苗木ステーションは、作業者がその上で作業して種子を植えるかまたは苗木を栽培塔に移動させる間に苗トレイ204を配置することができる上部作業棚202を含むことができる。1つ以上の下部棚206は、苗木が成長する苗木トレイに配置された苗木プラグに水を供給するための水トラフ208を含む。各トラフ棚は、リザーバ62からの栄養素溶液でトラフを充填および排出するための管212を含むことができる。トラフの底部の床は傾斜していて、水が表面を横切って上端から下端に向けられるようになっている。
図2を参照されたい。図示の実施態様において、栄養素溶液は、前面および左側の上端で充填管から入り、排水管が配置されている後部および右側で斜面に沿って下端に流れることができる。苗木トレイ204は、水トラフ棚に置かれたときに各プラグの底部がトラフ床に到達して栄養素溶液にアクセスするように、その中に苗木プラグ216が着座する複数の開口部を有する頂壁214を含むことができる。苗木トレイはまた、頂部作業棚202上の支持溝222内に嵌合する前縁に沿って、農夫が作業しているときにトレイが動くのを防ぐためのハンドル218を含むことができる。苗木トレイがトラフ棚206上に置かれると、ハンドルはトラフの縁に突き出している。
【0096】
苗木ポンプ224を各水槽(トラフ)棚206に設けて、栄養素液を苗木に供給することができる。苗木ポンプは作業ゾーンの床の下のリザーバ62に配置することができる。苗木ポンプへのおよび苗木ポンプからの充填および排出管は、コンテナ壁のうちの1つの壁部分内に延在する。照明228は、作業棚202および上部トラフ棚206の下に取り付けられて、トラフ棚上の苗木に光を提供することができる。
【0097】
作業ゾーンは、カルーセルシステムから取り外された栽培塔を支持するための固定具を含むことができる。栽培塔は、農夫が栽培塔内の植物に作業するのに適した高さで水平方向に支持することができる。一実施態様では、栽培塔の一端を支持するためにブラケット234が一方の壁に設けられる。栽培塔の他端は、苗木ステーションの作業棚202上に支持することができる。別の実施態様では、栽培塔パネルの他端は、反対側の壁上の第2のブラケットによって支持することができる。
図22を参照されたい。
【0098】
いくつかの実施態様では、コンテナおよびその中の環境のさまざまなパラメータは、コンテナ内で栽培することが望まれる特定の作物に対して最適化されるように制御することができる。システムは自動化することができ、適切な制御システムによって制御することができる。いくつかの実施態様では、カルーセル栽培構造の移動および照明の動作をスケジューリングするために制御システムを設けることができる。センサの測定値は制御システムに送信され、制御システムは調整が必要かどうかを決定できる。制御システムは、コンテナ内に配置することも、遠隔に配置することも、その両方に配置することもできる。例えば、いくつかの実施態様において、スマートホンなどのデバイス上で実行することができるアプリを使用して、農夫にさまざまなパラメータについて警告し、写真を送信し、農夫が成長条件を調整および最適化するためにシステムを制御できるようにすることができる。
【0099】
環境制御システム110は、コンテナ用のHVACシステムを含むことができる。いくつかの実施態様では、空調ユニット252をコンテナの屋根に配置することができる。天井パネルには多数のエアレジスタがある。排気カウルをコンテナの屋根に配置することができる。気候センサ256をコンテナ内に配置して、気温、湿度レベル、CO2レベル、および空気流などのパラメータを感知することができる。いくつかの実施態様では、気候センサは、カルーセルシステムのハブの中央列または据え付けベースに配置することができる。環境制御システムは、コンテナ内で栽培されている特定の作物に応じて変動し得る、選択されたパラメータの範囲内に気候を維持するように動作可能であり得る。いくつかの実施態様では、吸気ハウジングおよび供給ファンをコンテナ内に配置することができる。ファンは植物を通り過ぎて上方に空気を吹き付けるように方向を合わせることができる。
【0100】
コンテナは任意の構成を有することができ、任意の適切な方法で形成することができる。いくつかの実施態様では、コンテナは、適切な枠組みによって支持された4つの壁パネルアセンブリ、屋根パネルアセンブリ、および床パネルアセンブリで形成されている。パネルアセンブリは、任意の適切な材料から作製され得る。一実施態様では、パネルは、内側パネルと外側パネルとの間を、例えばガラス繊維または他の断熱材料で断熱することができる。内側パネルおよび外側パネルはガラス繊維材料で形成することができる。ユーザーアクセス用のドアは一方の端の壁パネルにある。各パネルアセンブリの内側および外側パネルは、所望に応じて成形または構成することができる。例えば、側壁および後壁の内側パネルには、光を保持するための凹部を形成することができる。
【0101】
コンテナは任意の適切な方法で組み立てることができる。一実施態様では、枠組は各角に列を含み、列の上端と下端で列を接続する梁を含むことができる。床および天井フレーム要素は、さまざまな機器の配置を可能にするために間隔を空けることができる。フレーミング部材および他の構造部材は、金属、例えば鋼鉄などの任意の適切な材料で作ることができる。パネルは、任意の適切な方法でフレーミング要素に固定することができる。コンテナは、フォークリフトによって輸送することができるように、その下にフォークリフトポケットを含むことができる。
【0102】
灌漑および電力用の送電線は、例えば天井および壁などの空所に設けることができる。照明システム、カルーセルシステム、および灌漑システムなどのさまざまなシステムを操作するためのスイッチなどの制御装置は、農夫による操作のために作業ゾーン内に含めることができる。例えば、農夫はカルーセルシステムのモーターを制御して所望の植物壁を作業ゾーンからアクセスできる場所に持ってくることができる。
【0103】
本明細書に記載のモジュール式農場は、多種多様な作物、特に緑色の葉の多い植物を栽培するために使用することができる。例えば、この装置は、レタス、ホウレンソウ、フダンソウなどの葉の多い緑色野菜、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ブリュッセルもやし、コールラビ、マスタード、ケール、ルッコラなどのアブラナ属;バジル、オレガノ、パセリ、ミントなどのハーブ類を栽培するのに使用することができる。他の作物はトマト、花、根菜類、またはきのこを含むことができる。モジュール式農場は、種子発芽、発芽後植物成長、または苗木後植物成長に使用することができる。特定の作物に応じて、任意の適切な成長培地または植物支持培地を使用することができる。本明細書で使用されるとき、用語「植物(plant)」または「植物(plants)」は、きのこを含む真菌を含むことができる。
【0104】
本明細書で使用されるとき、「から本質的になる」は、請求項の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップの包含を可能にする。特に組成物の成分の説明または装置の要素の説明における「含む(備える)」という用語の本明細書における任意の記載は、「から本質的になる」または「からなる」と入れ替えることができる。
【0105】
本明細書に記載の実施態様のさまざまな特徴はさまざまな方法で組み合わせることができることを理解されよう。例えば、一実施態様に関連して記載された特徴は、その実施態様に関連して明示的に記載されていなくても、他の実施態様に含まれてもよい。
【0106】
本発明を特定の好ましい実施態様に関連して記載した。本発明は、示されかつ記載された構造、操作、厳密な材料または実施態様の正確な詳細に限定されず、そして本明細書に開示された実施態様に対する種々の変更、均等物の置換、組成物の変更、その他の変化は当業者には明らかであろう。