IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クローズド・ジョイント・ストック・カンパニー “バイオキャド”の特許一覧

特許7158376インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント
<>
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図1
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図2
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図3
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図4
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図5
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図6
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図7
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図8
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図9
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図10
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図11
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図12
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図13
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図14
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図15
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図16
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図17
  • 特許-インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】インターロイキン-6のヒト受容体に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメント
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221014BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/13 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221014BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221014BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20221014BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
C07K16/46
C12P21/08
A61K9/19
A61K39/395 Y
A61K39/395 N
A61K39/395 M
A61K39/395 U
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P37/02
A61P3/10
A61P5/14
A61P11/06
A61P37/08
A61P17/06
A61P17/00
A61P37/06
A61P13/12
A61P1/16
A61P35/00
A61P27/02
A61P7/00
A61P19/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P9/10
A61P17/14
A61P11/00
A61P19/06
A61P25/00
A61P9/12
A61P25/24
A61P21/00
A61P27/16
A61P15/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019509472
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 RU2017050070
(87)【国際公開番号】W WO2018034597
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】2016133720
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】516261966
【氏名又は名称】ジョイント・ストック・カンパニー “バイオキャド”
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】エブドキモフ、スタニスラフ ルドルフォヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ウリティン、アンドレイ ボリショヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ソロビエフ、ワレリー ウラディミロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドロフ、アレクセイ アレクサンドロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】チェルニク、ユリア セルゲーブナ
(72)【発明者】
【氏名】ネマンキン、ティモフェイ アレクサンドロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ウラディミロヴァ、アンナ コンスタンティノーブナ
(72)【発明者】
【氏名】スモトロフ、オレグ イゴーレヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】チェルノブスカヤ、タティアナ ヴェニアミノーブナ
(72)【発明者】
【氏名】モシュチェンコ、アレクサンドル アレクサンドロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ナロビナ、ヴィクトリーア エブゲネブナ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァノフ、ローマン アレクセーヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ、ドミトリー ヴァレンティノーヴィチ
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-539349(JP,A)
【文献】“Fc Engineering”, [online], 2016.8.15公開, [2021.4.27検索], インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20160815235841/https://absoluteantibody.com/antibody-resources/antibody-engineering/fc-engineering/>
【文献】mAbs,2015年,Vol. 7, Issue 1,pp.84-95
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトインターロイキン-6(IL-6)受容体に結合する能力を有する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
結合ドメインが、配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖、および、配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖、を含む、
前記抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
結合ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項3】
配列番号9の配列を有する重鎖を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項4】
配列番号10の配列を有する軽鎖を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項5】
配列番号9の配列を含む重鎖と
配列番号10の配列を含む軽鎖と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項6】
ヒトアイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4のうち1つに関することを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項7】
IgG1アイソタイプのFc定常領域が、E233P、L234A、L235A、E236P、L237Vおよび/またはL238A変異を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項8】
IgG1アイソタイプのFc定常領域が、t1/2β(時間)またはCmax(μg/ml)などの動物またはヒトの薬物動態学的パラメータの値を増加させる任意の変異を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項9】
IgG1アイソタイプのFc定常領域が、t1/2β(時間)またはCmax(μg/ml)などの動物またはヒトの薬物動態学的パラメータの値を増加させるM255Y、S257Tおよび/またはT259E変異を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項10】
a)10mg/ml超の濃度および6カ月超にわたる保存温度T=4℃で、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有すること、
b)10mg/ml超の濃度で2週間超にわたり37℃まで温度が上昇しても、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有すること、
c)10mg/ml超の濃度で24時間超にわたり50℃まで温度が上昇しても、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有すること、
d)ヒトIL-6受容体に結合した際に、10-9(M)以下の解離定数Kを有すること、
e)ヒトIL-6受容体に結合した際に、少なくとも10(1/Ms)の動的会合定数kon(1/Ms)を有すること、
f)ヒトIL-6受容体に結合した際に、10-4(1/s)以下の動的解離定数dis(1/s)を有すること、
g)10-8Mを超えない定格値IC50で、インターロイキン-6依存性DS1細胞の培養物に対する抗増殖活性を示すこと、
h)10-8nMを超えない定格値IC50で、インターロイキン-6依存性細胞の培養物に対するSTAT-3シグナル伝達の遮断を示すことの特性のうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体の抗原結合フラグメントを含む二重特異性抗体。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸分子。
【請求項13】
請求項12に記載の単離された核酸分子を1つ以上含む発現ベクター。
【請求項14】
細胞内に請求項13に記載の発現ベクターを含むか、又は請求項12に記載の単離された核酸分子を含む細胞株。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを調製する方法であって、抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するのに十分な条件下で培地中で請求項14に記載の細胞株を培養してから、得られた抗体またはその抗原結合フラグメントを単離し精製することを含む方法。
【請求項16】
インターロイキン-6(IL-6)の作用に関連する疾患または症状を治療するか、IL-6の望ましくない作用に関連する症状を排除または軽減するための医薬組成物であって、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組み合わせて、請求項1~10のいずれか一項に記載の有効量の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物。
【請求項17】
非経口投与用の溶液であることを特徴とする、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
凍結乾燥粉末であることを特徴とする、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
関節リウマチ、変形性関節症、若年性慢性関節炎、敗血症性関節炎、ライム関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、脊椎関節症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、インスリン依存性糖尿病、甲状腺炎、喘息、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、強皮症、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、臓器移植に関連する急性または慢性免疫疾患、サルコイドーシス、川崎病、グレーブス病、ネフローゼ症候群、慢性疲労症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、腎臓の微視的血管炎、慢性活動性肝炎、ブドウ膜炎、敗血症性ショック、中毒性ショック症候群、敗血症症候群、悪液質、後天性免疫不全症候群、急性横断性脊髄炎、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳卒中、原発性胆汁性肝硬変、溶血性貧血、成人型(急性)呼吸窮迫症候群、脱毛症、円形脱毛症、血清反応陰性関節症、関節症、ライター病、潰瘍性大腸炎に関連する乾癬性関節症、アトピー性アレルギー、自己免疫性水疱症、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、類天疱瘡、線状IgA病、自己免疫性溶血性貧血、クームス陽性溶血性貧血、後天性悪性貧血、若年性悪性貧血、動脈炎、原発性硬化性肝炎、特発性自己免疫性肝炎、線維化肺疾患、特発性線維性肺胞炎、炎症後間質性肺疾患、間質性肺炎、慢性好酸球性肺炎、感染後間質性肺疾患、痛風関節炎、自己免疫性肝炎、I型自己免疫性肝炎(古典的自己免疫性またはルポイド肝炎)、II型自己免疫性肝炎、変形性関節症、原発性硬化性胆管炎、I型乾癬、II型乾癬、特発性白血球減少症、自己免疫性好中球減少症、腎疾患NOS、糸球体腎炎、腎臓の微視的血管炎、円板状エリテマトーデス、特発性または男性不妊症NOS、精子自己免疫疾患、多発性硬化症(あらゆるサブタイプ)、交感性眼炎、結合組織病に続発する肺高血圧症、グッドパスチャー症候群、結節性多発性動脈炎の肺症状、急性リウマチ熱、リウマチ性脊椎炎、スティル病、全身性強皮症、シェーグレン症候群、高安動脈炎/高安病、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少症、自己免疫性甲状腺疾患、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫性自己免疫性甲状腺機能低下症(橋本病)、萎縮性自己免疫性甲状腺機能低下症、原発性粘液水腫、水晶体起因性ブドウ膜炎、原発性血管炎、白斑、急性肝疾患、慢性肝疾患、アレルギーおよび喘息、精神障害(うつ病および統合失調症を含む)、Th2型およびTh1型によって媒介される疾患、結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、α-1-アンチトリプシン欠乏症、筋萎縮性側索硬化症、貧血症、嚢胞性繊維症、サイトカイン療法関連障害、脱髄性疾患、皮膚炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、視神経炎、虚血再灌流傷害、虚血性脳卒中、若年性関節リウマチ、自己免疫性腸症、自己免疫性難聴、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性早期卵巣不全ならびに眼瞼炎の群の疾患または障害から選択される疾患の治療および/または診断に使用するように意図されていることを特徴とする、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
医薬品の製造のための請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントの使用。
【請求項21】
前記医薬品が請求項19に列挙された疾患の治療および/または診断に使用するように意図されていることを特徴とする、請求項20に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品に関する。本発明は、ヒトインターロイキン-6受容体に特異的に結合することができる抗体またはそのフラグメントの開発に関し、これらは、疾患を治療もしくは診断するための、またはインターロイキン-6によって媒介される症状を緩和するための薬物として使用することができる。本発明はまた、上記抗体を産生する方法、および上記抗体を用いてヒトの疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン-6(IL-6)は、B細胞およびT細胞を含む広範囲の抗原提示細胞によって引き起こされる炎症反応の主要なメディエータの1つである。IL-6は、活性化された単球またはマクロファージ、内皮細胞、線維芽細胞、活性化されたT細胞、ならびに免疫細胞ではない様々な細胞によって産生される。IL-6は、他の多くのサイトカインとともに、免疫応答、血管新生、炎症、骨代謝に関連するプロセスに関与している。IL-6の主な作用は、Bリンパ球の分化、それらの成熟、および免疫グロブリンを分泌する形質細胞への形質転換に対する補因子としてのその関与に関連している。それに加えて、IL-6は、活性化された免疫細胞上でのIL-6受容体発現を促進するとともに、T細胞によるIL-2の産生を誘発する。このサイトカインは、Tリンパ球の増殖と、造血反応とを刺激する。生成物の多様な細胞源および生物学的効果の標的に関して、インターロイキン-6は、免疫および炎症反応の実現に関与する最も活性なサイトカインの1つである。IL-6の炎症誘発性作用と抗炎症性作用との間の不均衡が、慢性炎症および骨粗鬆症、乾癬などの様々な自己免疫疾患を引き起こし、その過剰な産生が、様々な形態の癌をもたらすことが示された。
【0003】
これに関連して、IL-6の作用の遮断は、上記疾患の研究および治療にとって魅力的な目的である(Peter C.Heinrich Biochem.J.(2003)374:1)。
【0004】
細胞内のサイトカインシグナルは、2つの方法により伝達することができる。第1の方法では、受容体の膜結合型αサブユニットを有する細胞が、αサブユニットおよびgp130分子からすでに組み立てられた受容体に対してインターロイキン-6に結合する。第2の方法では、膜上にgp130のみを有する細胞が、インターロイキン-6と可溶型のαサブユニットとの複合体に結合する。細胞膜上で、完全な複合体が組み立てられ、次いで細胞応答カスケードが開始される。αサブユニットおよびgp130分子からなる受容体、ならびにインターロイキン-6の完全な組み立てを妨げることによって、サイトカインの作用、したがって炎症反応の遮断が達成され得る。特異的な抗体が分子の1つと結合していると、完全な複合体の組み立てが妨げられ、ひいては、細胞内のシグナル伝達が遮断される。
【0005】
IL-6(ロシア連邦特許第2550262号明細書を参照)、IL-6Rまたはgp130に特異的に結合したポリペプチドは、IL-6の能力に対する顕著な阻害的影響を示す。IL-6Rに結合し、IL-6とのその相互作用を遮断する抗体(トシリズマブ)に基づく医薬品は、単剤療法の形態で、ならびにメトトレキサートおよび/または他の基本的な抗炎症薬と併用して、関節リウマチおよび全身性若年性特発性関節炎の治療に広く用いられている。
【0006】
提供されたデータから、抗IL-6R抗体に基づく製品の開発が、この疾患を有する患者の完全な治療を提供することを可能にすると仮定することが可能になる。
【0007】
受容体IL-6(IL-6R、IL6R、CD126)は分子の複合体であり、活性化されると細胞応答カスケードを開始し、その後の炎症反応応答に関与するタンパク質の活性合成をもたらす。受容体は、シグナル伝達を妨げる80kDaの質量を有する受容体αユニット、および細胞内でシグナルを伝達する130kDaの質量を有する2つのgp130分子に対するIL-6の結合中に活性化される(Simon A.Jones The FASEB Journal 15(1):43-58)。α受容体には、膜結合型(mIL-6R)および可溶型(sIL-6R 38kDa)の2つの形態がある。可溶型は、膜貫通タンパク質分解、またはmIL-6R mRNAの選択的スプライシングの結果としてもたらされる。可溶型のIL-6sRにより、膜表面にmIL-6Rを欠くサイトカインに細胞が反応することが可能になる。
【0008】
受容体に結合するポリペプチドによってIL-6シグナルを遮断することは、IL-6に直接結合するものよりも多くの利点を有する。したがって、IL-6に対する抗体は、標的の関節内リガンド、および血中を循環しているIL-6の両方に結合する。IL-6Rに結合した抗体は、表面にmIL-6Rを含む細胞およびgp130のみを含む細胞の両方に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0009】
1.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験に、本明細書に記載された方法および材料と類似または同等の方法および材料を使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下に記載する。本明細書で言及されたあらゆる刊行物および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含むこの説明を優先するものとする。いくつかの先行技術刊行物が本明細書で言及されているが、そのような言及は、これらの文書のうちいずれかが当技術分野における共通の一般的知識の一部を形成するということを承認するものではない。
【0010】
さらに、文脈により別途必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。典型的には、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、有機合成化学、医化学および薬化学の分類および方法ならびにタンパク質および核酸のハイブリダイゼーションおよび化学は、当業者には周知であり、広く使用されている。酵素反応および精製方法は、当技術分野において一般的であるように、または本明細書中に記載されるように、製造業者の指示に従って行われる。
【0011】
本開示および実施形態を通して、単語「有する(have)」および「含む(comprise)」またはそれらの変形例、例えば「有する(has)」または「有している(having)」、「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」は、記載された整数または整数群を包含するが、他のいかなる整数または整数群も除外するものではないことを意味すると理解される。
【0012】
別段の指定がない限り、アミノ酸はそれらの一文字コードによって表される。
【0013】
本明細書で使用される用語「インターロイキン-6」、「IL6」および「IL-6」は交換可能である。
【0014】
用語「IL-6R」、「IL6R」またはCD126は、インターロイキン-6受容体を指す。
【0015】
用語「sIL-6R」は、インターロイキン-6の可溶型の受容体を指す。
【0016】
用語「mIL-6R」は、インターロイキン-6の膜結合受容体を指す。
【0017】
用語「抗体」および「免疫グロブリン」は交換可能であり、それらが免疫系の細胞、または遺伝子操作された他の生物によって合成される形態がフルサイズの抗体を指す。
【0018】
フルサイズの抗体は、以下の4つのポリペプチド鎖から構成されている:
ジスルフィド架橋によって互いに結合した2つの重鎖(Н)(全長で約50~70kD)および
2つの軽鎖(L)(全長で約25kD)。
【0019】
各鎖のN末端(アミノ末端部分)は、基本的に抗原認識を担う約100~110以上のアミノ酸の可変領域を含む。
【0020】
各鎖のC末端(カルボキシ末端)部分によって、基本的にエフェクターの機能を担う定常領域が決まる。
【0021】
重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原結合中心(または領域)を形成する。
【0022】
抗体の軽鎖は、各々特定の定常領域を有するカッパまたはラムダとして分類される。各軽鎖は、軽鎖のN末端部分の可変領域(「LCVR」または「VL」)と、1つのCLドメインからなる軽鎖の定常領域とから構成される。
【0023】
重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロンとして分類される。それらによって、それぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEなどの抗体アイソタイプが決まり、それらのうちいくつかはさらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分類することができる。定常領域(Fc)によって、各タイプの重鎖を特徴付けることができる。各重鎖は、N末端重鎖の可変領域(「HCVR」または「VH」)と、重鎖定常領域CHとから構成される。重鎖定常領域は、IgG、IgDおよびIgAについては3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)から構成され、IgMおよびIgEについては4つのドメイン(CH1、CH2、CH3およびCH4)から構成される。
【0024】
HCVRおよびLCVR領域はさらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的保存的な領域が点在し、Rf超可変領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に細分することができる。
【0025】
各HCVRおよびLCVRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置されている3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
【0026】
CDRは、抗原と特異的に相互作用する残基の大部分を含む。
【0027】
軽鎖/重鎖の各対の可変領域は、抗体-抗原結合部位を形成する。本出願で使用される場合、「抗原結合部分」または「抗原結合領域」または「抗原結合ドメイン」または「抗原結合中心」は、抗原と相互作用し、抗原に対する抗体の特異性および親和性をもたらすアミノ酸残基を含む抗体分子のそのような部分に交換可能に関連する。抗体のこの部分は、抗原結合残基の適切な立体構造を維持するために必要な「フレームワーク」アミノ酸残基を含む。
【0028】
本出願中の用語「抗体」は必ずしもヒト抗体を指すのではなく、齧歯類抗体、他の霊長類またはラクダ科の動物の抗体、好ましくは、マウス、マカクの抗体、ラクダまたはラマの抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または完全ヒト抗体であってよい。
【0029】
この文脈中の用語「抗体」はまた、天然の抗体の構造に近い構造を有する人工の一本鎖抗体を包含する。
【0030】
上記抗体は、グリコール化(glycolised)されていても多糖残基を含まなくてもよい。
【0031】
本発明の抗体は、モノクローナル抗体として理解され得る。本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、同種または実質的に同種の抗体集団を指す(すなわち、集団中の少なくとも約89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、さらに好ましくは少なくとも約97%もしくは98%、またはさらに一層好ましくは少なくとも99%の抗体が、同じ抗原/エピトープについてELISAで競合するか、さらに一層好ましくは抗体はそれらのアミノ酸配列が同一である)。
【0032】
モノクローナル抗体はまた、翻訳後修飾、例えばグリコシル化パターンによって異なり得るが、同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有する抗体として理解され得る。
【0033】
本発明のモノクローナル抗体は、例えば、当技術分野で周知のハイブリドーマ技術、ならびに組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術もしくはそのような技術の組合せまたは当技術分野で周知の他の技術を用いて得られてもよい。
【0034】
しかし、用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術によってのみ得られる抗体に限定されない。この用語は、例えば、任意の真核、原核またはファージクローンを含む単一コピーまたはクローンから得られる抗体を指すことがある。
【0035】
本明細書中のアミノ酸残基は、その重鎖が配列番号10の配列を有し、軽鎖が配列番号9の配列を有する抗体を意味する参照抗体を参照して番号付けされる。他のいずれの場合も、HCVRおよびLCVR抗体領域の範囲内のCDRアミノ酸残基は、別段の指定がない限り、KabatらによるSequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)に従って番号付けされ、位置付けられる。
【0036】
本発明によれば、抗体は、様々な供給源から得られたDNAのシャッフリングなどの組換え方法の使用を含む様々な設計技術によって得られてもよい。
【0037】
本発明の抗体は、単一特異性、二重特異性および多重特異性であり得る。多重特異性抗体は、1つの標的ポリペプチドの様々なエピトープに関して特異的であり得るか、IL-6Rまたは様々なIL-6Rエピトープとは別に、他のまたはいくつかの抗原に関して特異的な抗原結合ドメインを含み得る(例えば、Tuttetal.(1991)J.Immunol.147:60-69を参照)。
【0038】
単一特異性抗体、二重特異性抗体および多重特異性抗体の抗原結合部分間の結合は異なり得る。特に、抗原結合部分間の結合が化学的であり得るか、異なる抗原結合部分が、共通のポリペプチド鎖を介して、または異なる鎖同士の非共有会合により結合されていてもよいか、抗原結合部分が、他の抗体または抗体フラグメントによって互いに組み合わされてもよい。
【0039】
「抗sIL-6R抗体」、「sIL-6Rに対する抗体」、「インターロイキン-6受容体に特異的に結合する抗体」などの用語は、本出願の文脈では交換可能であり、IL-6受容体に特異的に結合する抗体を指す。用語「mIL-6R」は、インターロイキン-6の膜結合受容体を指す。
【0040】
用語「sIL-6R」は、インターロイキン-6の可溶型の受容体を指す。
【0041】
用語「抗体フラグメント」は、重鎖の3つのCDRおよび軽鎖の3つのCDRを含む天然および人工的に設計された抗体の任意のフラグメントを指す。抗体フラグメントは、特に、重鎖の短縮されたフレームワーク領域を有する実質的にフルサイズの抗体、完全なまたはフルサイズのFc領域、抗原結合部分を含む抗体の一部またはフラグメント、例えば、抗体のFabフラグメント、Fab’フラグメントまたはF(ab’)2フラグメント、scFv、(scFv)2、dsFv、LCVRおよびHCVRをコードするDNAをリンカー配列によって結合させることにより得られ得る一本鎖Fvフラグメントとして想定され得る(PluckthunによるThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,p.269-315,1994を参照)。
【0042】
用語「抗体フラグメント」は、フルサイズの抗体の起源を示すものとして理解されてはならない。「抗体フラグメント」は、任意の公知の方法により、フルサイズの抗体とは無関係に絶対的に得られ得る。
【0043】
また、「抗体フラグメント」は、抗体フラグメントが重鎖の上記3個以下のCDRおよび軽鎖の3個以下のCDRを含む場合、ポリペプチドまたは上記生成物がそれらの標的(例えば、エピトープまたは抗原)に特異的または優先的に結合する能力を保持するように配置されたペプチド部分および非ペプチド部分を含む人工的に設計されたポリペプチドまたは生成物として想定され得る。
【0044】
グリコシル化に関連するものを含め、抗体に関して上述した残りすべては、それが常識と両立するのであれば、抗体フラグメントにも適用可能である。
【0045】
本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、特異的に結合された対の一方の領域が、その特異的結合パートナー(複数を含む)とは異なる分子には著しく結合しない状況を指す。この用語は、例えば、本発明の抗体の抗原結合ドメインが、多数の抗原によって担持されている特定のエピトープに特異的である場合にも適用可能であり、この場合、抗原結合ドメインを含む特異的抗体は、エピトープを担持する様々な抗原に特異的に結合することができる。したがって、本発明の抗体またはそのフラグメントはヒトsIL-6Rに特異的に結合するが、ヒトタンパク質IL12、IL23、EGFR、CD3、IGFR、CTGF、FGF2、PD1、PSCK9、CD38、GCSF、インターフェロンα-2bにはほとんど結合できない。
【0046】
用語「エピトープ」は、抗体の1つ以上の抗原結合領域で認識され、抗体に結合することができる分子のその部分を指す。エピトープは、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基(surface grouping)からなり、特異的な三次元構造特性ならびに特異的な電荷特性を有することが多い。「阻害性エピトープ」および/または「中和性エピトープ」とは、完全な抗原分子の文脈では、そのエピトープに特異的な抗体に結合した際に、分子またはインビボもしくはインビトロで分子を含む生物の生物学的活性の喪失または低下をもたらすエピトープと想定される。それに加えて、本出願で使用される用語「エピトープ」は、動物、好ましくは哺乳動物、例えばマウスまたはヒトにおいて抗原性および/または免疫原性の活性を開始するポリペプチドの一部に関する。本明細書で使用される用語「抗原性エピトープ」は、抗体に特異的に結合することができ、先行技術から周知の任意の技術によって、例えば標準的なイムノアッセイによって検出することができるポリペプチドフラグメントである。抗原エピトープは必ずしも免疫原性ではないが、免疫原性であり得る。本明細書で用いられる「免疫原性エピトープ」は、先行技術から公知の任意の方法によって決定されるように、動物の抗体応答を誘起するポリペプチドフラグメントとして定義される。「非線状エピトープ」または「立体構造エピトープ」は、エピトープ特異的抗体に結合する抗原タンパク質内の非隣接ポリペプチド(またはアミノ酸)を含む。
【0047】
本発明の抗体に関して、語句「生物学的特性」、または用語「活性」もしくは「生物活性」は、本明細書では交換可能に使用され、限定するものではないが、sIL-6Rに対するエピトープ/抗原親和性および特異性、IL-6に拮抗する能力、抗体の安定性、ならびにインビボでの抗体の免疫原性特性を含む。抗体の他の同定可能な生物学的特性には、例えば、交差反応性(すなわち、標的ペプチドの非ヒトホモログとの、または一般に他のタンパク質もしくは標的との)、および哺乳動物細胞内でタンパク質の高レベルの発現を維持する能力が挙げられる。上記の特性および特徴は、限定するものではないが、ELISAアッセイ、競合ELISAアッセイ、またはKINEXA表面プラズモン共鳴分析、インビトロまたはインビボでの中和分析(限定されない)、受容体結合、サイトカインまたは成長因子の産生および/または分泌、シグナル伝達ならびにヒト、霊長類または任意の他の供給源を含む様々な供給源から得られた組織切片の免疫組織化学的検査など、当技術分野で認められた技術によって観察、測定または評価され得る。
【0048】
本発明の抗体の活性に関して本出願で使用される用語「阻害する」または「中和する」は、例えば、上記に限定するものではないが、生物学的活性(例えば、IL-6の活性)または特性、疾患もしくは症状を含む阻害されるものの発現または重症度を実質的に阻止、抑制、予防、制限、減速、中止、破壊、停止、減少または変換する能力を指す。本発明の抗体をsIL-6Rに結合させると、IL-6の活性の阻害または中和は、好ましくは少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、95%以上に達する。
【0049】
本出願中の用語「患者」は、上記に限定するものではないが、マウス、サル、ヒト、農業用哺乳動物、スポーツ用哺乳動物およびペット用哺乳動物を含む哺乳動物に関する。この用語は好ましくはヒトに関する。特定の実施形態では、患者、好ましくは哺乳動物、好ましくはヒトは、IL-6の生物学的活性を低下させることによって改善され得る、IL-6によって媒介される疾患もしくは障害または症状によってさらに特徴付けることができる。
【0050】
用語「ベクター」は、それが結合している別の核酸を輸送することができる核酸分子を含み、限定するものではないが、プラスミドおよびウイルスベクターを含む。特定のベクターは、それらが注入された宿主細胞内で互いに自律的に複製することができるが、他のベクターは、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、ひいては宿主ゲノムとともに複製されてもよい。さらに、特定のベクターは、それらが機能的に結合している遺伝子の発現を導くことができる。このようなベクターは、本出願では「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と呼ばれ、例示的なベクターは当技術分野で周知である。
【0051】
本出願で使用される語句「細胞」、「宿主細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」、「プロデューサーとしての細胞株」は、交換可能に使用され、本発明の任意の分離されたポリヌクレオチドまたは本発明のHCVR、LCVRもしくはモノクローナル抗体をコードする配列を含む任意の組換えベクター(複数を含む)のレシピエントである個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は個々の細胞の子孫を含み、その子孫は、天然の、偶然のまたは意図的な変異および/または変化のために、(形態、または完全なDNAの相補体(complement)に関して)元の親細胞と必ずしも完全に同一でない可能性がある。宿主細胞は、組換えベクター、または本発明のポリヌクレオチドもしくはその軽鎖もしくは重鎖を発現するモノクローナル抗体を用いて形質転換されたか、形質導入されたか、感染した細胞を含む。本発明の組換えベクターを含む宿主細胞(宿主の染色体に一定して組み込まれているか、組み込まれていない)はまた、「組換え宿主細胞」と呼ばれてもよい。本発明に使用するのに好ましい宿主細胞は、CHO細胞(例えば、ATCC CRL-9096)、NS0細胞、SP2/0細胞、COS細胞(ATCC、例えば、CRL-1650、CRL-1651)およびHeLa(例えば、ATCC CCL-2)である。本発明に使用するための追加の宿主細胞には、植物細胞、酵母細胞、他の哺乳動物細胞および原核細胞が挙げられる。
【0052】
用語「親和性」は、抗原と結合分子、例えば抗体との間の誘引力を測定することを指すものとする。抗原に結合分子を引き付ける固有の能力は、典型的には、特定の結合分子-抗原相互作用の結合親和性平衡定数(KD)として表される。結合分子は、KDが<1mM、好ましくは<100nMである場合に抗原に特異的に結合すると言われる。KD結合親和定数は、例えば、ProteOn(商標)XPR36 SPR(Bio-Rad)またはOctet(商標)システムなどを用いた表面プラズモン共鳴(BIAcore(商標))またはバイオレイヤー干渉法(bio-layer interferometry)によって、測定することができる。
【0053】
本明細書で使用される用語「Ka」は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指すものとし、用語「Kd」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すものとする。本明細書で使用される用語「KD」は、Kd対Kaの比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される親和定数を指すものとする。抗体のKD値は、当技術分野で十分に確立されている方法を用いて決定することができる。
【0054】
抗体のKDを決定するための好ましい方法は、好ましくはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用する表面プラズモン共鳴である。
【0055】
IgG抗体について、本明細書で使用される用語「高親和性」は、標的抗原に対して、KDがE-10~E-08 M、さらに好ましくはE-10~E-09 M以下、さらに一層好ましくはE-10 М以下である抗体を指すものとする。しかし、「高親和性」結合は、他の抗原アイソタイプに関して変化し得る。例えば、IgMアイソタイプに対する「高親和性」結合は、KDがE-10~E-07 M以下、さらに好ましくはE-10~E-08 M、またはさらに一層好ましくはE-10~E-09 M以下である抗体を指す。
【0056】
本明細書で使用される用語「koff」は、特定の結合分子-抗原相互作用の解離速度定数を指すものとする。解離速度定数(koff+)は、例えば、Octet(商標)システムなどを用いたバイオレイヤー干渉法を用いて測定することができる。
【0057】
本明細書で使用される用語「エピトープ」は、結合分子(例えば、抗体または関連分子、例えば、二重特異性結合分子)に特異的に結合する抗原の一部(決定基)を指すものとする。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または炭水化物または糖側鎖などの分子からなり、典型的には、特異的な三次元構造特性ならびに特異的な電荷特性を含む。エピトープは「線状」または「立体構造」のいずれかであり得る。線状エピトープでは、タンパク質(例えば、抗原)と相互作用分子(抗体など)との間のあらゆる相互作用点が、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線的に生じる。立体構造エピトープでは、相互作用点は、一次アミノ酸配列において互いに離れたタンパク質上のアミノ酸残基にわたって生じる。所望の抗原エピトープが決定されると、当技術分野で周知の技術を用いて、そのエピトープに対する抗体を生成することが可能である。さらに、抗体または他の結合分子を生成し、特徴付けると、所望のエピトープに関する情報が解明され得る。この情報から、例えば、抗原に対する結合について互いに競合する結合分子を見出すための競合試験を行うことによって、同じまたは同一のエピトープに対する結合について抗体を競合的にスクリーニングすることが可能である。それに加えて、本出願で使用される用語「エピトープ」は、動物、好ましくは哺乳動物、例えばマウスまたはヒトにおいて抗原性および/または免疫原性の活性を開始するポリペプチドの一部に関する。本明細書で使用される用語「抗原性エピトープ」は、抗体に特異的に結合することができ、先行技術から周知の任意の技術によって、例えば標準的なイムノアッセイによって検出することができるポリペプチドフラグメントである。
【0058】
当技術分野で公知の方法を使用することによって、抗体または他の結合分子が同じエピトープに結合するか、または本発明のIL-6結合分子との結合について交差競合するかどうかを決定することができる。一実施形態では、飽和条件下で本発明の分子をIL-6に結合させ、次いで試験抗体が上記標的抗原に結合する能力を測定することができる。試験抗体が参照結合分子と同時に標的抗原に結合することができる場合、試験抗体は参照結合分子のものとは異なるエピトープに結合する。しかし、試験抗体が標的抗原に同時に結合することができない場合、試験抗体は、同じエピトープ、重なり合うエピトープ、または結合分子に結合したエピトープに非常に近接しているエピトープに結合する。この実験は、ELISA、RIA、BIACORE(商標)、バイオレイヤー干渉法またはフローサイトメトリーを用いて行うことができる。本発明の結合分子が別の結合分子と交差競合するかどうかを試験するために、上記の競合方法を2つの方向で用いて、すなわち、既知の結合分子が試験結合分子を遮断するかどうか、およびその逆を決定してもよい。このような交差競合実験は、例えば、IBIS MX96 SPRまたはOctet(商標)システムを用いて行ってもよい。
【0059】
一実施形態では、本発明の結合分子は、モノクローナル抗体である。本明細書で使用される頭字語「mAb」は、モノクローナル抗体、すなわち、細胞の別個のクローン集団によって合成され単離された抗体を指すものとする。クローン集団は、不死化細胞のクローン集団であり得る。いくつかの実施形態では、クローン集団中の不死化細胞は、典型的には、免疫した動物由来の個々のBリンパ球とリンパ球腫瘍由来の個々の細胞とを融合させることによって産生されるハイブリッド細胞(ハイブリドーマ)である。ハイブリドーマは、構築された細胞の一種であり、自然界には存在しない。
【0060】
抗体のクラス(アイソタイプ)およびサブクラスは、当技術分野で公知の任意の方法によって決定することができる。一般に、抗体のクラスおよびサブクラスは、抗体の特定のクラスおよびサブクラスに特異的な抗体によって決定することができる。このような抗体は市販されている。クラスおよびサブクラスは、ELISA、ウエスタンブロット分析および他の方法を使用して決定することができる。別の実施形態では、クラスおよびサブクラスは、抗体の重鎖および/または軽鎖定常ドメインの全部または一部を配列決定し、そのアミノ酸配列と、免疫グロブリンの様々なクラスおよびサブクラスの既知のアミノ酸配列とを比較し、抗体のクラスおよびサブクラスを決定することによって決定することができる。
【0061】
核酸配列の文脈中の用語「同一性」または「相同性」は、最大の一致のために整列させた場合に同じである2つの配列中の残基を指すものとする。配列同一性の比較は、少なくとも約9ヌクレオチド、一般的には少なくとも約18ヌクレオチド、さらに一般的には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、さらに典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36、48またはそれ以上のヌクレオチドの長さにわたってもよい。ヌクレオチド配列同一性を測定するために用いることができる当技術分野で公知の多くの様々なアルゴリズムが存在する。例えば、Wisconsin Package Version 10.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、WisconsinのプログラムであるFASTA、GapまたはBESTFITを用いてポリヌクレオチド配列を比較することができる。例えば、FASTA2およびFASTA3プログラムを含むFASTAは、クエリー配列と検索配列との間で最良のオーバーラップ領域のアラインメントおよびパーセント配列同一性を提供する(Pearson,Methods Enzymol.183:63 98(1990);Pearson,Methods Mol.Biol.132:185-219(2000);Pearson,Methods Enzymol.266:227-258(1996);Pearson,J.Mol.Biol.276:71-84(1998))。特記しない限り、特定のプログラムまたはアルゴリズムのデフォルトパラメータが使用される。例えば、核酸配列間のパーセント配列同一性は、デフォルトパラメータ(ワードサイズ6およびスコア行列に関してNOPAM因子)とともにFASTAを用いて、またはGCGバージョン6.1で提供されるデフォルトパラメータとともにGapを用いて決定することができる。
【0062】
抗体のポリペプチド配列に関する用語「相同」は、ポリペプチド配列に対して少なくとも70%、好ましくは80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%の配列同一性を示す抗体として解釈されるべきである。核酸配列に関する用語は、核酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは97%の配列同一性を示すヌクレオチド配列として解釈されるべきである。
【0063】
用語「二重特異性抗体」または「多重特異性抗体」は、2つ以上のエピトープに選択的に結合することができる抗体を含む。二重特異性抗体は、例えば、2つの異なる抗原結合部分を含んでもよく、上記抗原結合部分は、異なる分子上(例えば、抗原)または同じ分子上(例えば、同じ抗原上)の異なるエピトープに特異的に結合する。二重特異性抗体が2つの異なるエピトープ(第1のエピトープおよび第2のエピトープ)に選択的に結合することができる場合、第1のエピトープに対する第1の抗原結合部分の親和性は、典型的には、第2のエピトープに対する第1の抗原結合部分の親和性よりも少なくとも1~2桁または3桁または4桁小さく、逆もまた同様である。二重特異性抗体によって認識されるエピトープは、同じまたは異なる標的(例えば、同じまたは異なるタンパク質上)であり得る。二重特異性抗体は、例えば、同じ抗原上の異なるエピトープを認識する重鎖を組み合わせることによって調製することができる。例えば、異なるエピトープを認識する可変重鎖配列をコードする核酸配列は、様々な重鎖定常領域をコードする核酸配列に融合され得、このような配列は、免疫グロブリン軽鎖を発現する細胞内に発現され得る。典型的な二重特異性抗体は、(N末端からC末端に)CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインが続く3つの重鎖CDRをそれぞれ含む2つの重鎖と、抗原結合特異性を有しないが各重鎖と組み合わせることができるか、各重鎖と組み合わせ、抗原結合重鎖領域によって制限される1つ以上のエピトープに結合することができるか、各重鎖と組み合わせ、一方または両方の重鎖が一方または両方のエピトープに結合するのを促進することができる免疫グロブリン軽鎖とを含む。
【0064】
2.目的
本発明の目的は、インターロイキン-6によって媒介される疾患の治療または診断のための、またはインターロイキン-6によって媒介される症状を軽減するための医薬品として適用されるであろう、ヒトインターロイキン-6受容体に特異的に結合する能力を有する代替抗体またはそれらのフラグメントを作製することである。
【0065】
3.本発明の抗体およびそれらのフラグメント
本発明によれば、配列番号3の配列と少なくとも75%相同のアミノ酸配列を含むことによりヒトインターロイキン-6(IL-6)受容体に結合する能力が確保されている抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。
【0066】
一実施形態では、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列を含む抗体またはそのフラグメントに関する。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下を含む抗体またはそのフラグメントに関する。
配列番号9の配列と少なくとも75%相同な重鎖可変ドメインの配列、および
配列番号10の配列と少なくとも75%相同な軽鎖可変ドメインの配列。
【0068】
一実施形態では、本発明は、配列番号1~3のアミノ酸配列を含む抗体またはそのフラグメントに関する。
【0069】
いくつかの実施形態では、結合フラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列を含む結合ドメインと同じエピトープに対する結合について競合するか、配列番号7のアミノ酸配列を含む結合ドメインと同じエピトープに結合する。
【0070】
いくつかの実施形態では、結合フラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%相同である。本発明の一実施形態では、結合ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それがヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4アイソタイプに関することを特徴とする。
【0072】
いくつかの実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、配列番号9の配列と少なくとも90%相同な重鎖配列を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、配列番号10の配列と少なくとも90%相同な軽鎖配列を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、IgG1アイソタイプのFc定常領域は、E233P、L234A、L235A、E236P、L237Vおよび/またはL238A変異を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、IgG1アイソタイプのFc定常領域は、t1/2β(時間)またはCmax(μg/ml)などの動物またはヒトの薬物動態学的パラメータを増加させる変異を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、IgG1アイソタイプのFc定常領域は、t1/2β(時間)またはCmax(μg/ml)などの動物またはヒトの薬物動態学的パラメータを増加させるM255Y、S257Tおよび/またはT259E変異を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下の特性のうち少なくとも1つを有する:
a)10mg/ml超の濃度および6カ月超にわたる保存温度T=4℃で、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有する。
b)10mg/ml超の濃度で2週間超にわたり37℃まで温度が上昇しても、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有する。
c)10mg/ml超の濃度で24時間超にわたり50℃まで温度が上昇しても、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有する。
d)ヒトIL-6受容体に結合した際に、10-9(M)以下の解離定数Kを有する。
e)ヒトIL-6受容体に結合した際に、少なくとも10(1/Ms)の動的会合定数(kinetic association constant)kon(1/Ms)を有する。
f)ヒトIL-6受容体に結合した際に、10-4(1/s)以下の動的解離定数(kinetic dissociation constant)dis(1/s)を有する。
g)10-8Mを超えない定格値IC50で、インターロイキン-6依存性DS1細胞の培養物に対する抗増殖活性を示す。
h)10-8nMを超えない定格値IC50で、インターロイキン-6依存性細胞の培養物に対するSTAT-3シグナル伝達の遮断を示す。
【0078】
3.本発明による二重特異性抗体
本発明によれば、上記の抗体の抗原結合フラグメントを含む二重特異性抗体も提供される。
【0079】
そのような抗体の例は、そのCDRが互いに異なり互いに関して95%を超える総相同性を有する抗原結合部分を含む二重特異性抗体であってよい。
【0080】
4.DNA
本発明によれば、上記CDRと一致する配列を含む上記の抗体またはその抗原結合フラグメントを得ることを目的としたDNAも提供される。
【0081】
5.発現ベクター
本発明によれば、1つまたはいくつかの上記DNAを含む発現ベクターも提供される。
【0082】
発現については、国際公開第2010/148223号パンフレットの第6.2節「NUCLEIC ACIDS AND EXPRESSION SYSTEMS」に記載されている系を使用してもよい(類似物(ロシア連邦特許第2567639号明細書)を参照)。
【0083】
6.細胞株
本発明によれば、上記ベクターまたは上記DNAを細胞内に含む細胞株も提供される。
【0084】
7.抗体の入手方法
本発明によれば、上記抗体またはその抗原結合フラグメントを得る方法であって、上記抗体またはその抗原結合フラグメントを得るのに十分な条件下で培地中で上記細胞株を培養してから、得られた抗体またはその抗原結合フラグメントを単離し精製することを含む方法が提供される。
【0085】
8.医薬組成物
本発明によれば、インターロイキン-6(IL-6)の作用に関連する疾患または症状を治療するか、IL-6の望ましくない作用に関連する症状を排除または軽減するための医薬組成物であって、1つまたはいくつかの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組み合わせて、請求項1または請求項1に従属する請求項のいずれかに記載の有効量の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物が提供される。
【0086】
請求項による組成物が非経口溶液を表す場合が好ましい。
【0087】
あるいは、請求項による組成物は凍結乾燥粉末を表してもよい。
【0088】
請求項による組成物は、以下の群の疾患または障害から選択される疾患の治療および/または診断に使用されてもよい:関節リウマチ、変形性関節症、若年性慢性関節炎、敗血症性関節炎、ライム関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、脊椎関節症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、インスリン依存性糖尿病、甲状腺炎、喘息、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、強皮症、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、臓器移植に関連する急性または慢性免疫疾患、サルコイドーシス、川崎病、グレーブス病、ネフローゼ症候群、慢性疲労症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、腎臓の微視的血管炎、慢性活動性肝炎、ブドウ膜炎、敗血症性ショック、中毒性ショック症候群、敗血症症候群、悪液質、後天性免疫不全症候群、急性横断性脊髄炎、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳卒中、原発性胆汁性肝硬変、溶血性貧血、成人型(急性)呼吸窮迫症候群、脱毛症、円形脱毛症、血清反応陰性関節症、関節症、ライター病、乾癬性関節症、潰瘍性大腸炎性関節症、アトピー性アレルギー、自己免疫性水疱症、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、類天疱瘡、線状IgA病、自己免疫性溶血性貧血、クームス陽性溶血性貧血、後天性悪性貧血、若年性悪性貧血、動脈炎、原発性硬化性肝炎、特発性自己免疫性肝炎、特発性線維性肺胞炎、炎症後間質性肺疾患、間質性肺炎、慢性好酸球性肺炎、感染後間質性肺疾患、痛風関節炎、自己免疫性肝炎、1型自己免疫性肝炎(古典的自己免疫性またはルポイド肝炎)、2型自己免疫性肝炎、変形性関節症、原発性硬化性胆管炎、1型乾癬、2型乾癬、特発性白血球減少症、自己免疫性好中球減少症、腎疾患NOS、糸球体腎炎、腎臓の微視的血管炎、円板状エリテマトーデス、特発性男性不妊症またはNOS、精子自己免疫疾患、多発性硬化症(あらゆるサブタイプ)、交感性眼炎、結合組織病に続発する肺高血圧症、グッドパスチャー症候群、結節性多発性動脈炎の肺症状、急性リウマチ熱、リウマチ性脊椎炎、スティル病、全身性強皮症、シェーグレン症候群、高安病/高安動脈炎、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少症、自己免疫性甲状腺疾患、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫性自己免疫性甲状腺機能低下症(橋本病)、萎縮性自己免疫性甲状腺機能低下症、原発性粘液水腫、水晶体起因性ブドウ膜炎、原発性血管炎、白斑、急性肝疾患、慢性肝疾患、アレルギーおよび喘息、精神障害(うつ病および統合失調症を含む)、Th2型およびTh1型によって媒介される疾患、結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、α-1-アンチトリプシン欠乏症、筋萎縮性側索硬化症、貧血症、嚢胞性繊維症、サイトカイン療法関連障害、脱髄性疾患、皮膚炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、視神経炎、虚血再灌流傷害、虚血性脳卒中、若年性関節リウマチ、自己免疫性腸症、自己免疫性難聴、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性早期卵巣不全ならびに眼瞼炎。
【0089】
本発明の抗体は、個別に、または薬学的に許容される担体、希釈剤および/または増量剤と組み合わせて、単回または複数回用量として投与されてもよい。選択された投与レジメンに従うように投与用医薬組成物が開発され、組成物の適切な剤形を考慮して、分散剤、緩衝液、界面活性剤、保存剤、可溶化剤、等張剤、安定化剤、凍結保護剤などの薬学的に許容される希釈剤、担体および/または増量剤が選択されている。上記組成物は、例えば、当業者に一般に知られている配合物を得るための様々な技術が記載されているRemington,The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA 1995に明記された従来の技術に従って開発されている。
【0090】
本発明の抗体またはそのフラグメントを含む医薬組成物は、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、舌下投与および坐薬を含む標準投与経路を用いて患者に投与されてもよい。
【0091】
本発明の医薬組成物は、有効量の本発明の抗体を含む。「有効量」とは、望ましい治療結果を達成するのに必要な用量および期間内に有効である量である。抗体の治療有効量は、個体の疾患の状態、年齢、性別および体重、ならびに個体に対して抗体または抗体の一部が望ましい反応を開始する能力などの因子に応じて変動し得る。有効量はまた、抗体の治療上有利な効果が毒性または有害作用よりも優勢である量を表す。抗体が予防目的で使用される場合、「有効量」とは、望ましい予防結果を達成するのに必要な用量および期間内に有効である量として理解される。予防的用量は疾患の前または初期段階に個体に対して使用されるため、予防的有効量は治療有効量よりも少なくてよいのが典型的である。
【0092】
有効量とは、少なくとも最小用量を表すが、患者に対する治療的または予防的効果を確実にするのに必要な活性剤の毒性用量未満を表す。一方、本発明の抗体の有効量は、哺乳動物、好ましくはヒトのIL-6の生物学的活性を低下させる量を表す。
【0093】
本発明の抗体の投与経路は、経口、非経口、吸入または局所であり得る。好ましくは、本発明の抗体は、非経口投与にふさわしい医薬組成物に関与することができる。用語「非経口」は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、膣内投与または腹腔内投与を含む。静脈内、腹腔内または皮下注射が好ましい投与経路である。そのような注射のための許容される薬学的担体は、先行技術から周知である。
【0094】
適切な指針に記載されているように、医薬組成物は、製造および容器内での保存条件下で無菌かつ安定でなければならず、これは例えば密封バイアル(アンプル)または注射器によって提供される。したがって、医薬組成物は、組成物を調製した後に濾過滅菌することができるか、任意の他の技術によって微生物学的に適切にすることができる。静脈内注入のための典型的な組成物は、滅菌リンゲル液、生理食塩水、デキストロース溶液またはハンクス塩溶液などの250~1000mlの流体と、治療有効量(例えば、1~100mg/mlまたはそれ以上)の抗体濃縮物とを含むことができる。用量は、疾患の種類および重症度に応じて変動し得る。いずれの患者に対する用量も、患者の体格、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の期間および経路、一般的な健康状態ならびに同時投与される他の薬物などの複数の因子に応じて決まることは、医学の技術水準から周知である。典型的な用量は、例えば、0.001~1000μgの範囲であり得るが、特に上述のパラメータを考慮すると、この例示的な範囲よりも低いおよび高い用量が予測される。1日の非経口投与レジメンは、0.1μg/kg~100μg/kg総体重、好ましくは0.3μg/kg~10μg/kg、さらに好ましくは1μg/kg~1mg/kg、さらに一層好ましくは1日当たり0.5~10mg/kg体重であり得る。治療プロセスは、患者の健康状態の定期的な評価によって監視することができる。数日間またはそれ以上の反復投与について、患者の症状に応じて、疾患の所望の応答または症状の抑制まで治療を繰り返す。しかし、本明細書に記載されていない別の投与レジメンも適用することができる。単回ボーラス投与もしくは複数回ボーラス投与によって、または開業医が望む薬物動態学的分解に応じて抗体を継続的に注入することによって、所望の用量が投与されてもよい。
【0095】
抗体のこれらの示唆された量は、治療医の決定に大きく左右される。意図された効果は、適切な用量およびレジメンを選択するための重要な因子である。本明細書で考慮される因子には、治療される特定の疾患、治療を受ける特定の哺乳動物、特定の患者の臨床状態、障害の原因、抗体投与部位、特定の抗体の種類、投与経路、投与レジメンおよび医学の技術分野で周知の他の因子が挙げられる。
【0096】
抗体またはそのフラグメントは、凍結または凍結乾燥し、適用前に適切な滅菌担体中で再構成されてもよい。凍結乾燥および再構成は、抗体の活性のいくらかの損失をもたらし得る。この損失を補うために投与量を調整する必要がある場合がある。一般に、医薬組成物には6~8のpHが好ましい。
【0097】
9.製品
本発明の別の実施形態では、上記の障害または症状の治療または予防に有用な材料を含む製品が提供される。
【0098】
製品は、ラベル、場合によっては添付文書を伴う、抗体含有医薬組成物を含む容器を含む。好適な容器には、例えば、バイアル、アンプル、注射器および分析チューブが挙げられる。容器は、ガラスまたはポリマー材料などの複数の材料から製造されてもよい。容器は、IL-6によって媒介される疾患または障害を治療するのに有効な本発明の組成物を含み、滅菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってよい)。組成物中の活性剤は本発明の抗IL-6R抗体である。容器上に位置するラベルまたはそこに添付された添付文書は、所望の疾患を治療するために組成物が使用されることを示す。製品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を含む第2の容器をさらに含んでもよい。製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器および添付文書などの商業的および消費者の立場から望ましい他の物質をさらに含むことができる。
【0099】
10.用途
本発明によれば、医薬品を製造するための上記の抗体またはそのフラグメントの用途が提供される。
【0100】
上記医薬品が、医薬組成物の処方として上記に列挙された疾患の治療および/または診断に使用するように意図されている場合が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】12%PAGEにおける培養および精製されたヒトsIL-6Rの変性条件下でのゲル電気泳動である。 経路a~d:Fermentas未染色マーカー、10mclカラムに適用する前のIL6R-H6細胞培養液、10mclカラムに適用した後のIL6R-H6F細胞培養液、5mclからのIL6R-H6F溶出。
図2】培養および精製されたヒトsIL-6Rのウエスタンブロット分析である。12%PAGEにおけるヒトsIL-6Rの変性条件下でゲル電気泳動を完了し、メンブレンにそれを移動させた後、トシリズマブに結合させ、次いで抗GoatahIgGIgG HRPを実施した。DABを用いて染色を行った。経路a~d:予め染色されたマーカー、IL6R-フラッグ-his 5mcl。
図3】12%PAGEにおける培養および精製されたヒトIL6-H6-EPEA(タンパク質C末端に6個のヒスチジンおよびEPEA配列を有する)の変性条件下でのゲル電気泳動である。 経路a~d:Fermentas未染色PWマーカー、5mclカラムに適用する前のIL6-H6-EPEA ccf、5mclカラムに適用した後のIL6-H6-EPEA ccf、5mclカラムからのIL6-H6-EPEA溶出。
図4】Fabファージディスプレイライブラリーをクローニングするためのファージミドベクターである。
図5】Fabのクローニングおよび培養のための発現プラスミドである。
図6】ForteBioを用いたFabフラグメントとヒトIL-6R αサブユニットとの会合および解離速度である。
図7】β-メルカプトエタノールの存在下での12%PAGEにおける、培養および精製されたヒトIL-6sRのフルサイズの抗体の変性条件下でのゲル電気泳動である。 経路a~f:a-Fermentas未染色マーカー、b~f-抗IL-6sR抗体。
図8】β-メルカプトエタノールの存在下での12%PAGEにおける、培養および精製されたヒトIL-6sRのフルサイズの抗体の変性条件下でのゲル電気泳動である。 経路a~f:a-Fermentas未染色マーカー、b~f-抗IL-6sR抗体。
図9】抗IL-6R抗体を用いたDS-1細胞増殖に関する細胞阻害試験である。
図10】トシリズマブと比較した、BCD089抗体(抗IL-6sR)を含むHEK-Blue(商標)IL6細胞培養物におけるSTAT3経路阻害分析の細胞試験である。
図11】BCD089抗体と、ヒト、カニクイザル、ラットおよびイヌのIL-6Rとの相互作用の酵素イムノアッセイである。
図12】BCD089抗体と、ヒト、ウサギおよびモルモットのIL-6R受容体との相互作用の酵素イムノアッセイである。
図13】ForteBioを用いたBCD089とヒトIL-6R αサブユニットとの会合および解離速度である。
図14】ForteBioを用いたBCD089とカニクイザルIL-6R αサブユニットとの会合および解離速度である。
図15】ヒトおよびマウスのIL-6Rに対するBCD089抗体のBCD089の会合および解離速度である(250nMのマウスIL-6R-黒色の曲線、50nMのヒトIL-6R-青色の曲線)。
図16】ForteBioを用いたBCD089とモルモットIL-6R αサブユニットとの会合および解離速度である。
図17】50℃で12時間インキュベートする前(赤色)および後(青色)のBCD089分子のゲル濾過プロファイルである。
図18】コラーゲン誘発関節炎の霊長類モデルを用いたBCD-089生成物の抗炎症活性の評価である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
本発明の抗体を入手および試験するための方法の概要
第一段階では、可溶型のヒトインターロイキン-6受容体(sIL-6R)、すなわちそのα-サブユニットに特異的に結合するポリペプチドを選択した。この目的のために、ヒト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列に基づいて設計されたファージライブラリーを使用した。ファージライブラリーを構築するために、1000人超のドナーの血液からRNA分子を分離精製し、そのうちドナー免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の(分子)遺伝子を逆転写およびPCRによっていくつかの段階で合成した。重鎖および軽鎖の結合領域由来の遺伝子の様々な組合せを適切な方向でバクテリオファージベクターに埋め込み、ハイブリッドファージライブラリーの作製に使用した(図4)。
【0103】
ヒトsIL-6Rタンパク質を用いて、得られたファージライブラリーを選択し、これを一過性のСНО-Т細胞系内で培養し、IMAC BIORAD収着剤を用いて培養細胞液から精製した。
【0104】
sIL-6Rを産生する細胞は、pEEの一過性の培養のためにヒトインターロイキン-6受容体のαサブユニット遺伝子をベクターに再クローニングし、続いてСНО-Тをトランスフェクトすることによって得た。
【0105】
インキュベーター内でプロデューサー細胞を7~10日間培養した。
【0106】
タンパク質は一段階で精製した。特異的抗体(ヒトIL-6sR DuoSet ELISA開発キット(カタログ番号:DY227 R&D System)のヒトIL-6sR検出抗体Part No.840244)を用いたウエスタンブロットによって、標的タンパク質を確認した。
【0107】
得られたファージライブラリーを2段階以上で選択した。プラスチック上に固定化されたsIL-6Rに特異的に結合するファージを選択した。その結果、バクテリオファージベクターが分離されたsIL-6Rに結合するファージが多数得られた。これらのベクターから、タンパク質に特異的に結合するポリペプチドの遺伝子を増幅し、大腸菌原核細胞内でタンパク質分子を合成するために発現ベクターに再クローニングした。プラスミドを用いて得られた細胞の形質転換および個々のポリペプチドの合成の後、本発明者らは、IL-6sRに特異的に結合し、リガンドの受容体への結合を遮断する分子をスクリーニングし、選択した。得られたタンパク質の親和定数を互いに比較し、すでにフルサイズの抗体を発現させるためにpEE発現ベクターの最も成功した遺伝子に埋め込んだ。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)の懸濁細胞培養における抗体の培養およびそれらの精製の後、それらの親和性を評価し、様々な機能的細胞試験により、インターロイキン-6シグナルが遮断されたことを確認した。実施された試験および分析の結果として、細胞試験でsIL-6Rに特異的に結合し、IL-6の活性を遮断する1分子の抗体を選択した。その重鎖および軽鎖のヌクレオチド配列をpsXベクターに再クローニングし、それにより、抗体を安定に産生する細胞株を得た。次いで、得られた細胞株を用いて、(それに対して精製スキームおよび保存条件が選択された)選択された抗体を培養した。得られた医薬品の前臨床試験をデザインし、開始した。
【0108】
例1
哺乳動物の懸濁細胞培養における組換え抗原および抗体の産生
プロトコルに従って、チャイニーズハムスター卵巣細胞から得られた一過性細胞株(CHO-K1株)の細胞内で抗体および抗原を産生させた。製造業者の指示に従って、Life Technologies Corporation製の懸濁培養用の無血清培地を用いて、オービタルシェーカー上のフラスコ内で懸濁培養を行った。一過性発現のために、直鎖状ポリエチレンイミン(「Polysciences」製のPEI「MAX」)を用いて細胞をトランスフェクトした。DNA/PEI比は1:3~1:10であった。トランスフェクションの7~10日後、培地を2000gで20分間遠心分離し、0.22μm孔径のフィルターを通して濾過した。アフィニティー(affine)HPLCによって、培養液から標的タンパク質を単離した。
【0109】
例2
哺乳動物の懸濁細胞培養からの抗原および抗体の精製
Profinity IMAC Ni荷電樹脂(Bio-Rad製)を用いて、タンパク質C末端に6個のHisアミノ酸を含むsil-6R組換えタンパク質を培地から分離精製した。精製前に、濃度が1mMになるまで培地にNiClを加えた。その後、1/200~1/500の体積のProfinity IMAC Ni荷電収着剤を培地に加え、シェーカー内で室温で1時間混合した。次いで、収着剤を5または10mlの体積を有するThermoscientificポリプロピレンカラムに移し、5mMイミダゾールおよび0.3M塩化ナトリウムを含む5カラム体積の10mM pH8リン酸緩衝液でリンスして、非特異的結合成分を洗浄した。0.3Mイミダゾール、pH8 0.3M NaClを用いて、結合した抗原を溶出した。その後、Snake Skin Dialysis Tubing技術を用いた透析によりPBS(pH7.4)にタンパク質を移し、濾過し(0.22μm)、試験管に移した。試験管を-70℃で保存した。SDSゲル電気泳動により、得られた溶液の純度を評価し、特異的抗IL-6R抗体と、コンジュゲート化ヤギ抗ヒト抗体抗体とを用いたウエスタンブロット法により同定した(図1および図2参照)。
【0110】
1mlのHiTrap rProtein A FFカラム(GE Healthcare)を用いて、試験した抗IL-6R抗体を精製した。清澄化した培養液を、リン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)で平衡化した1mlのHiTrap rProtein A FF(GE Healthcare)に通した。次いで、5カラム体積のPBSでカラムを洗浄して、非特異的結合成分を除去した。0.1Mグリシン緩衝液(рН3)を用いて、結合したタンパク質を溶出した。主要な溶出タンパク質ピークを回収し、そのpHを1Mトリス緩衝液、pH8により中和した。全段階を1ml/分の流速で実施した。その後、Snake Skin Dialysis Tubing技術を用いた透析によりPBS(pH7.4)にタンパク質を移し、濾過し(0.22μm)、試験管に移し、-70℃で保存した。SDSゲル電気泳動により、得られたタンパク質の純度を評価した(図7および図8参照)。
【0111】
組換えIL6-H6-EPEAリガンド(C末端に6個のヒスチジンの「ペプチドテール」およびEPEAタグを有するインターロイキン-6)を、5mlのCapture Select C-tag Affinity Matrixを用いてGE Healthcare C16/20カラムで精製した。全段階を5ml/分の流速で実施した。清澄化した培地を、リン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)で平衡化したカラムに通して処理した。次いで、クロマトグラフィーシステムの分光光度計のシグナルがプラトーに達するまでカラムをPBSで洗浄して、非特異的結合成分を除去した。20mMトリス2M MgCl2 pH7.1を用いて結合タンパク質を溶出した。主要な溶出タンパク質ピークを回収し、Snake Skin Dialysis Tubing技術を用いた透析によりPBS(pH7.4)に移した。次いで、それを濾過し(0.22μm)、試験管に移し、-70℃で保存した。SDSゲル電気泳動により、得られた溶液の純度を評価した(図3参照)。
【0112】
例3
ヒトファージ抗体のFabライブラリーの選択
修正されたプロトコルに従って、1011超の個々のクローンを含むコンビナトリアルファージFabディスプレイライブラリーMeganLib(商標)(BIOCAD)から、sIL-6Rに特異的に結合するFabフラグメントを有するファージを分離し、ヒト免疫グロブリン遺伝子の可変ドメインに基づいて合成した(図4)(J BiolChem.1999 Jun 25;274(26):18218-30)。このライブラリーを作製するために、1000人超のドナーのリンパ球を使用した。上記のような条件下で組換えヒトsIL-6R-H6Fを用いて、選択を行った(NatBiotechnol.1996 Mar;14(3):309-14;J Mol Biol.1991 Dec 5;222(3):581-97)。パニングによる選択を行うために、EIA/RIA高結合型免疫チューブ(Greineer bio-one)の表面に、50mMの炭酸塩緩衝液(pH9.5)中のヒトのsIL-6R-H6またはsIL-6R-Fcを4℃で一晩吸着させた。PBST(PBS pH7.4およびTween20 0.1%v/V)でチューブを数回洗浄した後、チューブ表面の空いているタンパク質結合部位を脱脂乳溶液(PBST pH7.4中0.5%m/V)でブロッキングした。脱脂乳溶液をチューブ内で1時間インキュベートした。次いで、チューブをPBST溶液で洗浄した。その後、ファージの最終濃度が1013/mlになるまで、0.5%の脱脂乳を含む2~4mlのPBST溶液にMeganLib(商標)ファージライブラリーを希釈した。それらの表面に抗原が結合したチューブに、調製したライブラリーを加え、撹拌しながら1時間インキュベートした。PBSTによるチューブの一連の洗浄により、未結合ファージを除去した。洗浄量は、第1ラウンドから第3ラウンドまで、それぞれ20~30~40回に増加させた。0.1M Gly-HCl溶液(pH2.2)を用いて15分間撹拌しながら、結合したままのファージ粒子をプラスチックチューブから溶出した。次いで、清潔なプラスチックチューブに溶液を移し、1Mトリス-HCl(pH8)5:1で中和した。大腸菌TG1株細菌を、得られたファージに感染させ、ファージを増幅し、次の選択サイクルに使用した。
【0113】
例4
バクテリオファージ増幅
選択後、大腸菌TG1株を用いてバクテリオファージを培養した。宿主株をファージ培養物に感染させ、続いて12~15時間増殖させることによって増幅を実施した。選択後、ファージ溶液を大腸菌TG1増殖細胞培養物(OD600=0.3~0.4)と混合し、37℃で1.5時間インキュベートした。次いで、細胞を3000~4000rpmで10~15分間遠心し、1mlの2TY培地に再懸濁し、選択用抗生物質(アンピシリン)とともにペトリ皿で粉砕した。コロニーを30℃のサーモスタットで一晩増殖させた。12~15時間後、コロニー数を数え、5~10mlの2TY培地を用いて皿から洗い流した。この目的のために、抗生物質(アンピシリン)を含む20mlの2TY培地に100mclの細胞懸濁液を加え、37℃でOD600が0.35~0.5になるまでシェーカー上で増殖させた。最終濃度が1010粒子/mlになるように細胞懸濁液にК07ファージヘルパーを加え(細胞懸濁液10ml当たりК07ファージヘルパー1mcl)、軽く撹拌しながら37℃で1.5時間インキュベートした。次いで、単回投与量のアンピシリン(100μg/ml)および2回投与量のカナマイシン(60μg/ml)および2回投与量のIPTG(0.2mM)を含む等体積の培地を細胞培養物に加えた。フラスコをシェーカーに入れ、ファージを30℃で3~5時間培養した。細胞培養物を10,000rpmで20~30分間遠心分離し、試験管に上清を回収した。この後、20%のポリエチレングリコールおよび2.5Mの塩化ナトリウムを含む溶液体積の1/6を上清に加え、激しく撹拌した。溶液を氷中で少なくとも3時間インキュベートした。次いで、溶液を8000gで10分間遠心分離し、ファージを含む形成された沈殿物を1mlのTBS緩衝液に希釈した。
【0114】
例5
発現プラスミド中の様々な可変領域を有するFabフラグメントの再クローニング遺伝子
3回目の選択ラウンドの後に、大腸菌TG1細胞から、誘導されたM13ファージのファージDNA(ファージミド)を分離した。様々な可変領域を有するFabフラグメントの遺伝子を増幅し、PCRおよび末端特異的プライマーを用いてpll4プラスミドに再クローニングした。部位NheI、NotIによって遺伝子を再クローニングした。4つのランダムコロニーの配列決定により挿入を確認した。
【0115】
例6
増殖細胞培地へのタンパク質発現を伴う大腸菌BL21Gold細胞におけるFabフラグメントの増殖
得られた遺伝子に基づくFabフラグメントを大腸菌BL21Gold細胞内で合成した。選択ラウンド2および3の後にファージミドからそれに再クローニングされたFabフラグメントの遺伝子を有するpLL4発現ベクターを、大腸菌BL21Goldの発現株に形質転換した(標準的なプロトコルに従ってエレクトロポレーションした)。選択的抗生物質(カナマイシン30μg/ml、アンピシリン100μg/mlおよびグルコース0.2%)を含む寒天培地(ペトリ皿)上の2TY培地中で細胞を増殖させた。細胞力価が個々のクローンを選択するのに適しているように細胞を増殖させた。コロニーを30℃のサーモスタットで14~16時間増殖させた。1ウェル当たり100mclの2TY培地(カナマイシン30μg/ml、アンピシリン100μg/mlおよびグルコース0.4%)とともに、特定のコロニーを96ウェルプレート(U字形)に再注入し、室温で16~18時間かけて800rpmでシェーカー上で増殖させた。100mclの2TY培地(カナマイシン30μg/ml、アンピシリン100μg/mlおよびグルコース0.1%、TX100 0.01%およびIPTG 0.5mM)を含む滅菌96ウェルプレート(V字形)上に96チャンネルレプリケーターを通して、細胞培養物をスクリーニングし、室温で一晩かけて800rpmでシェーカー上で増殖させた。プレートを3500rpmで20分間遠心分離し、清潔な96ウェルプレート(U字形)にELISA用のFabフラグメントを含む培地を回収し、プレートを-70℃で保存した。
【0116】
例7
ヒトIL-6sR-H6と特異的に結合するFabのスクリーニング
ELISAを用いて、ヒトIL-6sR-H6に特異的に結合するFabフラグメントを選択した。再現されたFab Actemra(トシリズマブ)[US20110245473配列番号15およびUS20110245473配列番号16]を陽性対照として使用した。特異的結合のスクリーニングのために、96ウェルELISAプレートを使用した(NuncImmunoMaxisorp製)。ウェル表面上でIL-6sR-H6抗原結合を行った。このために、各ウェルに結合炭酸塩緩衝液中の50μlのIL-6sR-H6溶液(0.5μg/ml)を加えた。プレートを覆い、4℃で一晩インキュベートした。その後の工程はいずれも、ロボットシステムGenetix Qpix2xt(Molecular Device)およびTecan Freedom EVO 200(Tecan)に基づくハイスループット自動化プラットフォームを使用して、標準的なELISAプロトコルに従って実施した。翌日、プレートウェルをPBSTで5回洗浄した。非特異的結合を防ぐために、PBST中0.5%の脱脂乳のブロッキング緩衝液(1ウェル当たり200μl)をプレートに加えた。プレートをシェーカー上で室温で1時間インキュベートした。PBSTで洗浄した後、試験Fabを含む試験細胞上清とブロッキング緩衝液との1:1混合物50μlを各ウェルに加えた。Fab溶液を含むプレートをシェーカー上で室温で1時間インキュベートした。1時間後、プレートウェルをPBSTで5回洗浄した。次いで、ペルオキシダーゼを含むコンジュゲート化ヤギ二次抗体抗ヒトFab(Pierce ThermoScientific製)(1:5000)のPBST溶液をプレートウェルに加えた(1ウェル当たり50mcl)。回転振盪機内でプレートを振盪し(室温で50分)、次いで上記のようにPBSTで5回洗浄した。рН5.5の酢酸緩衝液および0.02%のНО中のТМВ基質溶液(50mcl/ウェル)を加えることにより比色信号を得、飽和信号を得るまで(平均3~5分)インキュベートし、10%硫酸溶液(30μl/ウェル)を加えることにより反応を停止させた。Tecan-Sunriseプレートリーダー(Tecan)を用いて450nmで信号を測定した。抗原に結合したFabの数は、記録された信号に比例していた。そのため、クローンを選択し、その信号はバックグラウンド信号を5倍よりも多く超えた。次いで、競合ELISAを用いて、選択されたFabを確認して、IL6とその受容体との間の相互作用を遮断する拮抗性Fabを検出した。最大の信号を有する大腸菌BL21Gold細胞懸濁液を清潔なプレートに移し、-70℃で15%グリセロール中でインキュベートした。
【0117】
例8
IL6リガンドおよびIL-6R受容体とFabフラグメントとの相互作用を遮断する競合ELISA
競合ELISAを使用して、先に選択されたFabフラグメントがヒトIL-6Rに特異的に結合する拮抗能力を確認した。アンタゴニストの陽性対照として、抗IL-6R Fabフラグメントを使用した。炭酸塩緩衝液中のタンパク質溶液(1μg/ml)50mclをウェルに加えることにより、リガンドIL-6-EPEAをELISAプレート(Maxisorp)に固定化した。溶液をプレート中4℃で一晩インキュベートした。その後の段階はいずれも、GenetixQ-pix2xtロボットシステム(Molecular Device製)およびTecan Freedom EVO 200(Tecan製)に基づく高性能自動化プラットフォームを使用して、いくつか変更を加えた標準的なELISA技術に従って実施した。非特異的結合を遮断するために、ブロッキング緩衝液(1ウェル当たり200mcl、PBST中0.5%の脱脂乳)を加えた。プレートをシェーカー上で室温で1時間インキュベートした。
【0118】
それと並行して、非結合96ウェルプレート中で、試験した抗IL-6RのFabフラグメントを含む各50mclの試験細胞上清と、50mclのIL-6sR-H6F受容体溶液(PBST中1%の脱脂乳中0.4μg/ml)とを混合した。それをシェーカー上で500rpm、37℃で1時間インキュベートした。
【0119】
固定化リガンドIL6を用いてブロッキング緩衝液をプレートから洗い流した後、抗IL-6RのFabフラグメントとIL-6sR受容体との上記の反応混合物をそれらのプレートに移した。プレートを再びシェーカー上で室温で45分間インキュベートし、次いでプレートをPBST緩衝液で5回洗浄した。PBST中の抗FLAG(FLAGペプチドはIL-6sR-H6Fタンパク質上のC末端ペプチドである)のマウス抗体を加え(50μl/ウェル)、同じ条件下で45分間インキュベートした。プレートをPBST緩衝液で5回洗浄し、次いでPBST中のPierce製のヤギ抗マウスペルオキシダーゼコンジュゲート化抗体産物を加えた(1:5000の希釈)。前と同様に、プレートをシェーカー上で室温で45分間インキュベートし、次いでPBST緩衝液で5回洗浄した。飽和するまで(平均3~5分)TMB溶液(50mcl/ウェル)を用いて比色信号を得、10%硫酸溶液(30mcl/ウェル)を加えることにより反応を停止させた。Tecan-Sunriseプレートリーダー(Tecan製)を用いて、450nmの波長で色信号を測定した。二次コンジュゲート化抗体の結合度は色信号に比例していた。
【0120】
抗IL-6Rの制御されたFabフラグメントのレベルで信号遮断を示したクローンを選択し、その後の分析中に使用した。この段階の後、Applied Biosystems 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems)の標準的なプロトコルに従って、選択されたクローンの可変ドメインの遺伝子を配列決定し、分析した。
【0121】
例9
抗IL-6R Fabの比較koff(kdis)スクリーニング
IL-6R受容体に特異的に結合し、受容体とそのリガンドとの相互作用を遮断するFabフラグメントを、受容体に対する親和性によって互いに比較した。Octet Red 96および抗FABCH1バイオセンサー(Pall-ForteBio)を用いて、抗IL-6R候補の比較koff(kdis)スクリーニングを行った(図6)。10mM PBS(pH7.2~7.4)、0.1%Tween-20および0.1%BSAを含むランニングバッファー中でバイオセンサーを再水和した。抗IL-6R Fabフラグメントを含む大腸菌細胞増殖培地の試験試料に、1/10体積の10×ランニングバッファーを加え、混合した。次いで、Fabフラグメントを含む溶液に抗FABCH1バイオセンサーを4℃で12時間浸漬した。12時間後、表面固定化Fabフラグメントを有するセンサーをランニングバッファーを含むウェルに移し、ベースライン(60秒)を設定した。次いで、分析物溶液(IL-6sR-H6F、30μg/ml)を含むウェルにセンサーを移して、抗原/Fabフラグメント複合体の会合を達成した(300秒)。その後、さらなる解離のためにワーキングバッファーを含むウェルにセンサーを戻した(300秒)。各試験後に、使用されたセンサーを再生した。それらを再生緩衝液(Gly-HCl、pH1.7)中に3回入れ、次いでその後の実験に使用した。1:1相互作用モデルを用いた標準手順に従って、Octet Data Analysis(バージョン7.0)を用いて、得られた曲線を分析した。
【0122】
抗IL-6R候補のkoffスクリーニングの結果を表1に示す。すべてのFabフラグメントとヒトIL-6Rとの特異的結合が示され、最小値を有する候補を再クローニングして全長抗体を得た。
【0123】
【表1】
【0124】
例10
Fabフラグメントから可変ドメインを再クローニングすることによる全長IgG1抗体の構築
Fabフラグメントを培養するために先に使用された発現プラスミドから可変ドメイン遺伝子を再クローニングすることによって、全長IgG1抗体を構築した。再クローニングには、Clontech製のIn-Fusion(登録商標)HD EcoDry(商標)クローニングキットを使用した。特異的プライマーを用いたPCRにより可変ドメイン遺伝子挿入を得、DpnI制限酵素を用いた処理によりPRC中のマトリックスプラスミドを除去した。軽鎖についてはSalIおよびBsiWI制限酵素を、重鎖についてはSalI/NheIを制限することによって、pEEプラスミドベクターを線状化した。10mclの水中で遺伝子挿入および線状化ベクターを混合し、In-Fusionシステムの別個のストリップバイアルに移した。ピペッティングにより撹拌する。ストリップを37℃で15分間、次いで50℃で15分間インキュベートし、その後それらを氷に移した。得られた構築物を含む反応容積の一部を細胞形質転換に使用した。得られたクローンからプラスミドを抽出し、配列により挿入を確認した。
【0125】
例11
抗IL-6R抗体を用いたDS-1細胞増殖に関する細胞阻害試験
DS-1細胞増殖は細胞外の外部IL-6リガンドの存在に依存し、細胞表面上の受容体に対するその結合の遮断はそれらの細胞増殖阻害をもたらす。10%不活化ウシ胎仔血清、1mMピルビン酸ナトリウムおよび7.5ng/mlのIL-6を補充したRPMI-1640培地上で、DS-1細胞培養物を増殖させた。実験の前日に、細胞をPBS中でIL6残基から2回洗浄し、IL6を加えない増殖培地中、1000細胞/ウェルの比率で96ウェルプレートに播種した。翌日、5ng/mlのIL6を加えた完全増殖培地中で、間隔3で20μg/mlから一連の抗体希釈溶液を調製した。次いで、細胞に、等量の調製された抗体溶液を加えた。ウェル中のIL6の最終濃度は2.5ng/mlであり、最初の時点で抗体の最終濃度は10μg/mlであった。細胞を37℃、5%COで3日間インキュベートした。次いで、Fluoroskan Ascent FL 2.5上でAlamar Blue生体色素を用いて、多数の生きている増殖細胞を測定した(図9)。試験の結果に従って、DS-1細胞増殖を最大に阻害する1つの抗IL-6R抗体を選択した。したがって、それはインターロイキン-6の膜受容体に結合し、リガンドと受容体との結合を遮断する。
【0126】
例12
HEK-Blue(商標)IL6細胞培養物におけるSTAT3阻害分析
10%の不活化ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地(細胞増殖培地)中に1×10クローン/mlの濃度で、HEK-Blue IL-6細胞懸濁液を調製した。100mcl/ウェル(5×10クローン/ウェル)の比率で、細胞を96ウェルプレートに播種した。
【0127】
細胞増殖培地中で、3×10点の間隔で200μg/mlから一連の抗体希釈溶液を調製し、最後の点は抗体を含まない対照とした。細胞増殖培地中で、4ng/mlの濃度でヒトIL6溶液を調製した。次いで、細胞に50mclの希釈抗体を加え、COインキュベーター内で45分間インキュベートした。抗体を有する細胞に50mclのIL-6溶液を加え、抗体およびIL-6とともに一晩COインキュベーター内で細胞をインキュベートした。
【0128】
翌日、QUANTI-Blue(商標)検出媒体を調製した:1パックの乾燥媒体を50mlの精製水に溶解し、37℃の水浴上で10分間加熱し、0.22μmフィルターを通して濾過した。
【0129】
180mclの検出培地を含む各ウェルに、20mclの培養細胞液を加え、2~3時間COインキュベーター内に放置した。分光光度計を用いて630nmの波長で吸光度レベルを測定した(図10)。
【0130】
例13
ヒトインターロイキン6受容体およびそのオルソログに対するBCD89抗体の結合親和定数の決定
選択した抗IL-6Rとカニクイザル、モルモット、イヌおよびマウスのインターロイキン-6受容体との相互作用をELISAを用いて検討した(図11図12)。Octet Red 96(ForteBio製)を用いて、ヒト、カニクイザル、モルモット、イヌおよびマウスのIL-6sR αサブユニットに対するBCD89抗体の結合親和定数を得た。製造業者のAR2Gセンサーの調製および固定化に関する指示に従って、標準的なプロトコルを使用して、第2世代のアミノ反応性センサー(AR2G)の表面に、BCD89を非特異的に固定化した。ワーキングバッファーとして0.1%Tween-20および0.1%BSAを含むPBSを用いて、30℃で分析を行った。間隔2で126nM~2nMの濃度のランニングバッファーを用いて、ヒト、カニクイザル、モルモット、イヌ、ウサギおよびマウスのIL-6Rの用量設定を行った。
【0131】
標準手順に従って1:1相互作用モデルを用いて、Octet Data Analysisソフトウェア(バージョン7.0)を用いて、参照シグナルを差し引いた後の結合曲線を分析した。結果を表2に示す。
【0132】
このように、BCD89は、ヒトの組換えIL-6RおよびカニクイザルのIL-6sRに高い親和性で結合する(図13図14参照)。さらに、候補はモルモットIL-6Rと相互作用し、その定数はヒトのものよりも3桁低い(図16参照)。マウス受容体との相互作用は記録されなかった(図15参照)。
【0133】
【表2】
【0134】
例14
熱的ストレス条件下でのBCD89凝集安定性の決定
10kDa/0.5mlの遠心フィルターAmicon Ultra(Millipore)を用いた限外濾過によって、試験した試料を5mg/mlまで濃縮した。280nmの波長でのUV分光光度法によって、タンパク質含有量を決定した。得られた各試料を150mclずつに分けて別個の試験管に移した。各化合物の1つの試験管を冷蔵庫に入れて+4℃で保存し、他の試験管を試験管用のサーモスタットに入れ、設定時間にわたり50℃でサーモスタットで温度管理した。
【0135】
加熱後、サーモスタットから試験管を取り出し、室温まで冷却し、13,000gで10分間溶液を遠心分離することにより清澄化し、UV検出器を用いたゲル濾過のために上清を移した。クロマトグラム上のフルサイズのタンパク質ピークを加熱前後に分析し、Agilent USA 1100シリーズMクロマトグラフを用いてクロマトグラフィーを実施した。Tosoh TSK-Gel G3000SWXLカラム(7.8mm ID×30cm)およびTosoh TSK-Gel Guard SWXLプレカラム(6mm ID×4cm、7mcm)を使用した。流速は0.7ml/分、試料体積は10mcl、試料濃度は5mg/mlであった。検出器波長は220および280nm、溶出時間は25分であった(図17)。
【0136】
内部正規化法により計算を行った。モノマーの含有率(Х)は次式により計算した。
【数1】

式中、S1はモノマーピーク面積であり、
ΣSは全ピーク面積の合計である。
【0137】
計算中、移動相クロマトグラムおよび規定の緩衝液に存在するピークは無視した。
【0138】
例15
コラーゲン誘発関節炎の霊長類モデルを用いたBCD‐089製剤の抗炎症活性の評価
コラーゲン誘発関節炎の霊長類モデルを用いて、カニクイザル(Macaca fascicularis)の雄に対して試験を実施した。実験に関与した動物の総数は20頭に達し、各群に4頭のサルを含めた。実験中、1.0mg/kg、4.0mg/kg、10.0mg/kg、20.0mg/kgの4つの投与量で製剤を使用した。対照群の動物にはプラセボを投与した。コラーゲンによる予備感作の後に、製剤およびプラセボの投与を開始した。実験中、全群の動物を測定して、関節面と、炎症面積の割合(PIA)とを計算し、研究の終了時に、中手指節関節および中足指節関節を採取して、破壊的変化の重症度を評価した。動物を5群に分けた。各群の名称を表3に示す。
【0139】
【表3】
【0140】
関節炎誘発のために、ウシII型コラーゲンのエマルジョン(Sigma)を動物に3回投与した。
【0141】
コラーゲンの初回投与。投与したコラーゲンの総量は、実験動物1頭当たり2mgであった。この目的のために、0.7mlの0.1M酢酸に2mgのコラーゲンを溶解した。この溶液に0.7mlのフロイント不完全アジュバントを加えた。
【0142】
コラーゲンの初回投与後、動物を28日間維持した。
【0143】
コラーゲンの2回目の投与。投与したコラーゲンの総量は、実験動物1頭当たり3mgであった。この目的のために、1.0mlの0.1M酢酸に3mgのコラーゲンを溶解した。この溶液に1.0mlのフロイント完全アジュバントを加えた。
【0144】
コラーゲンの2回目の投与後、動物を21日間維持した。
【0145】
コラーゲンの3回目の投与。投与したコラーゲンの総量は、実験動物1頭当たり3mgであった。この目的のために、1.0mlの0.1M酢酸に3mgのコラーゲンを溶解した。この溶液に1.0mlのフロイント不完全アジュバントを加えた。
【0146】
関節の大きさの測定は、以下の時点でキャリパーを用いて行った。
コラーゲンの初回投与前
コラーゲンの2回目の投与時
7週間コラーゲンを投与する直前の2回目の投与後週1回。
【0147】
測定プロセス中に、関節の縦軸および横軸の量を推定した。親指を除くすべての中手指節関節および中足指節関節に対して、この手順を行った。面積の計算は、以下の式により行った。
JA=縦軸の値×横軸の値×3.14×0.25
【0148】
各動物の16個の関節に関するデータを用いて、炎症面積の割合(PIA)の値を計算した。計算は以下の式により行った。
PIA=(実験日のJA値×100)/(関節炎の誘発前のJAの平均値)(図18)。
【0149】
例16
アカゲザルに対する単回皮下投与後のBCD‐089製剤の毒性および薬物動態(毒物動態)の試験
アカゲザルの雄12頭に対して試験を実施した。動物を4群に分けた。各群の名称を表4に示す。
【0150】
【表4】
【0151】
実験中に以下のパラメータを評価した。
臨床検査の結果、
動物の体重(投与前および実験の8、15、22、29、36、43日目)、
体温(投与前および投与後1、2、4、6、24時間後、実験の8、15、22、29、36、43日目)、
尿分析(投与前および実験の8、15、22、29、36、43日目)、
以下のパラメータに関する全血分析:赤血球数、白血球数、ヘモグロビン濃度(投与前および実験の8、15、22、29、36、43日目)、
以下のパラメータに関する血清の生化学的分析:乳酸デヒドロゲナーゼ、総ビリルビン、総タンパク質、グルコース、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(投与前および実験の8、15、22、29、36、43日目)、
霊長類の血清中の製剤濃度の検討(投与前、投与後0、5、1、3、6、24、30、48、72、96、120、192、264、408、504、720、912および1032時間後)。
【0152】
例17
カニクイザルに対して1カ月間の複数回の皮下投与とそれに続く2週間の無投与期間とを設けた場合の毒性試験
関連する動物種(カニクイザル)に対して、1カ月間の複数回の皮下投与とそれに続く2週間の回復期間とを設けた場合の毒性試験を行った。3つの投与量を実験に使用した。実験群のスキームを表5に示す。
【0153】
【表5】
【0154】
実験中に以下のパラメータを評価した。
臨床検査の結果、
動物の体重(投与前およびその後毎週)
体温(投与前、次いで実験終了まで週1回)、
Poly-Spectrum心拍記録装置によって評価された心臓の生体電気活動に基づく心血管系への影響。投与前および実験の3、5、7週目に評価を行った、
尿分析(投与前および実験の3、5、7週目)、
以下のパラメータに関する全血分析:赤血球数、白血球数、ヘモグロビン濃度、リンパ球数、単球数、好中球数、好酸球数、好塩基球数、血小板数(投与前、次いで実験の1週目から開始して週1回)、
以下のパラメータに関する血液凝固系への影響の評価:活性化部分トロンボプラスチン時間、フィブリノーゲン濃度、プロトロンビン時間(製剤投与前、次いで実験の3、5、7週目に行った)、
以下のパラメータに関する血清の生化学的分析:ナトリウム、カリウム、クレアチニン、尿素、アルカリホスファターゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、総ビリルビン、総タンパク質、グルコース、トリグリセリド、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、総コレステロール(投与前および実験の3、5、7週目)、
投与期間の終了時に、最大投与量の衛星群の動物を安楽死させ、続いてその病理形態学的検査を行った。試験終了時に、最大用量群および対照群の動物から、
毒性試験の一環として、製剤の局所刺激作用も評価したため、注射部位の近くに位置する軟組織を選択し、組織学的に検査した。
【0155】
例18
カニクイザルに対する4週間以内のBCD‐089製剤の複数回の皮下投与後の免疫原性試験
関連する動物(カニクイザル)に対して、1カ月間の複数回の皮下投与とそれに続く2週間の回復期間とを設けた場合の免疫原性の検討を行った。3つの投与量を実験に使用した。実験群のスキームを以下の表に示す。
【0156】
【表6】
【0157】
結合抗体レベルに基づいて免疫原性の評価を行い、その目的のために、製剤投与前および実験の3、5、7週目に、以下の血清分離を用いて血液試料を採取した。
【0158】
例19
カニクイザルに対する1カ月以内のBCD‐089製剤の複数回の皮下投与後の薬物動態試験
関連する動物種(カニクイザル)に対して、1カ月間の複数回の皮下投与とそれに続く2週間の回復期間とを設けた場合の薬物動態試験を行った。3つの投与量を実験に使用した。実験群のスキームを表7に示す。
【0159】
【表7】
【0160】
霊長類の血清中の製剤濃度の変化を評価するために、実験の開始前および実験の1、2、8、9、15、16、22、23、29、36および43日目に血液試料を採取した。
【0161】
例20
1カ月間の複数回の皮下投与とそれに続く2週間の回復期間とを設けた場合のBCD‐089製剤の免疫毒性試験
関連する動物種(カニクイザル)に対して、1カ月間の複数回の皮下投与とそれに続く2週間の回復期間とを設けた場合の免疫毒性試験を行った。3つの投与量を実験に使用した。実験群のスキームを表8に示す。
【0162】
【表8】
【0163】
実験中に以下のパラメータを評価した。
製剤投与前、次いで実験の2、4、6週目に評価されたリンパ球の亜集団組成、
投与前および実験の2、4、6週目に免疫グロブリンクラスの比率を評価した、
投与前および実験の2、4、6週目に食作用に対する効果を評価した。
【0164】
例21
医薬組成物の入手
濃度が180mg/mlに達するまで、BCD089抗体を適切な緩衝液に移し、得られた溶液を濾過し(滅菌濾過)、注射器に吸引した。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
配列番号3の配列と少なくとも75%相同なアミノ酸配列を含む、ヒトインターロイキン-6(IL-6)受容体に結合する能力を有する抗体またはその抗原結合フラグメント。
[態様2]
結合ドメインが配列番号3のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様3]
結合ドメインが配列番号1~3のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様4]
結合ドメインが配列番号7の配列と少なくとも90%同一であることを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様5]
結合ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様6]
結合ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列を含む結合ドメインと同じエピトープに対する結合について競合するか、配列番号7のアミノ酸配列を含む結合ドメインと同じエピトープに結合することを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様7]
配列番号9の配列と少なくとも90%相同な配列を有する重鎖を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様8]
配列番号10の配列と少なくとも90%相同な配列を有する軽鎖を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様9]
配列番号9の配列と少なくとも75%相同な重鎖可変ドメインの配列と、
配列番号10の配列と少なくとも75%相同な軽鎖可変ドメインの配列とを含むことを特徴とする態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様10]
ヒトアイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4のうち1つに関することを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様11]
IgG1アイソタイプのFc定常領域が、E233P、L234A、L235A、E236P、L237Vおよび/またはL238A変異を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様12]
IgG1アイソタイプのFc定常領域が、t1/2β(時間)またはCmax(μg/ml)などの動物またはヒトの薬物動態学的パラメータの値を増加させる任意の変異を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様13]
IgG1アイソタイプのFc定常領域が、t1/2β(時間)またはCmax(μg/ml)などの動物またはヒトの薬物動態学的パラメータの値を増加させるM255Y、S257Tおよび/またはT259E変異を含むことを特徴とする、態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様14]
a)10mg/ml超の濃度および6カ月超にわたる保存温度T=4℃で、凝集体含有量が溶液中の前記初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有すること、
b)10mg/ml超の濃度で2週間超にわたり37℃まで温度が上昇しても、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有すること、
c)10mg/ml超の濃度で24時間超にわたり50℃まで温度が上昇しても、凝集体含有量が溶液中の初期含有量の5%を超えて増加しないような凝集安定性を有すること、
d)ヒトIL-6受容体に結合した際に、10-9(M)以下の解離定数Kを有すること、
e)ヒトIL-6受容体に結合した際に、少なくとも10(1/Ms)の動的会合定数kon(1/Ms)を有すること、
f)ヒトIL-6受容体に結合した際に、10-4(1/s)以下の動的解離定数dis(1/s)を有すること、
g)10-8Mを超えない定格値IC50で、インターロイキン-6依存性DS1細胞の培養物に対する抗増殖活性を示すこと、
h)10-8nMを超えない定格値IC50で、インターロイキン-6依存性細胞の培養物に対するSTAT-3シグナル伝達の遮断を示すことの特性のうち少なくとも1つを有することを特徴とする態様1に記載の抗体またはそのフラグメント。
[態様15]
態様1または態様1に従属する態様のいずれかに記載の抗体の抗原結合フラグメントを含む二重特異性抗体。
[態様16]
態様1~14のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸分子。
[態様17]
態様16に記載の1つ以上の単離された核酸分子を含む発現ベクター。
[態様18]
細胞内に態様17に記載の発現ベクターを含むか、又は態様16に記載の単離された核酸分子を含む細胞株。
[態様19]
態様1または態様1に従属する態様のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを調製する方法であって、抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するのに十分な条件下で培地中で態様18に記載の細胞株を培養してから、得られた抗体またはその抗原結合フラグメントを単離し精製することを含む方法。
[態様20]
インターロイキン-6(IL-6)の作用に関連する疾患または症状を治療するか、IL-6の望ましくない作用に関連する症状を排除または軽減するための医薬組成物であって、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組み合わせて、態様1または態様1に従属する態様のいずれかに記載の有効量の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物。
[態様21]
非経口投与用の溶液であることを特徴とする、態様20に記載の医薬組成物。
[態様22]
凍結乾燥粉末であることを特徴とする、態様20に記載の医薬組成物。
[態様23]
関節リウマチ、変形性関節症、若年性慢性関節炎、敗血症性関節炎、ライム関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、脊椎関節症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、インスリン依存性糖尿病、甲状腺炎、喘息、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、強皮症、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、臓器移植に関連する急性または慢性免疫疾患、サルコイドーシス、川崎病、グレーブス病、ネフローゼ症候群、慢性疲労症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、腎臓の微視的血管炎、慢性活動性肝炎、ブドウ膜炎、敗血症性ショック、中毒性ショック症候群、敗血症症候群、悪液質、後天性免疫不全症候群、急性横断性脊髄炎、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳卒中、原発性胆汁性肝硬変、溶血性貧血、成人型(急性)呼吸窮迫症候群、脱毛症、円形脱毛症、血清反応陰性関節症、関節症、ライター病、潰瘍性大腸炎に関連する乾癬性関節症、アトピー性アレルギー、自己免疫性水疱症、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、類天疱瘡、線状IgA病、自己免疫性溶血性貧血、クームス陽性溶血性貧血、後天性悪性貧血、若年性悪性貧血、動脈炎、原発性硬化性肝炎、特発性自己免疫性肝炎、線維化肺疾患、特発性線維性肺胞炎、炎症後間質性肺疾患、間質性肺炎、慢性好酸球性肺炎、感染後間質性肺疾患、痛風関節炎、自己免疫性肝炎、I型自己免疫性肝炎(古典的自己免疫性またはルポイド肝炎)、II型自己免疫性肝炎、変形性関節症、原発性硬化性胆管炎、I型乾癬、II型乾癬、特発性白血球減少症、自己免疫性好中球減少症、腎疾患NOS、糸球体腎炎、腎臓の微視的血管炎、円板状エリテマトーデス、特発性または男性不妊症NOS、精子自己免疫疾患、多発性硬化症(あらゆるサブタイプ)、交感性眼炎、結合組織病に続発する肺高血圧症、グッドパスチャー症候群、結節性多発性動脈炎の肺症状、急性リウマチ熱、リウマチ性脊椎炎、スティル病、全身性強皮症、シェーグレン症候群、高安動脈炎/高安病、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少症、自己免疫性甲状腺疾患、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫性自己免疫性甲状腺機能低下症(橋本病)、萎縮性自己免疫性甲状腺機能低下症、原発性粘液水腫、水晶体起因性ブドウ膜炎、原発性血管炎、白斑、急性肝疾患、慢性肝疾患、アレルギーおよび喘息、精神障害(うつ病および統合失調症を含む)、Th2型およびTh1型によって媒介される疾患、結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、α-1-アンチトリプシン欠乏症、筋萎縮性側索硬化症、貧血症、嚢胞性繊維症、サイトカイン療法関連障害、脱髄性疾患、皮膚炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、視神経炎、虚血再灌流傷害、虚血性脳卒中、若年性関節リウマチ、自己免疫性腸症、自己免疫性難聴、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性早期卵巣不全ならびに眼瞼炎の群の疾患または障害から選択される疾患の治療および/または診断に使用するように意図されていることを特徴とする、態様20に記載の医薬組成物。
[態様24]
医薬品の製造のための態様1~14のいずれかに記載の抗体またはそのフラグメントの使用。
[態様25]
前記医薬品が態様23に列挙された疾患の治療および/または診断に使用するように意図されていることを特徴とする、態様24に記載の使用。
【配列表フリーテキスト】
【0165】
配列表1~10 <223>合成
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
0007158376000001.app