(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】自己調整型ハイブリッド誘導/永久磁石ロータを備えたハイブリッド誘導モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 17/16 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
H02K17/16 Z
(21)【出願番号】P 2019544851
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 US2018018956
(87)【国際公開番号】W WO2018156582
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-15
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512047025
【氏名又は名称】フィンクル ルイ ジェイ
【住所又は居所原語表記】5012 Verdura Avenue, Lakewood, California 90712 US
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】フィンクル ルイ ジェイ
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0278096(US,A1)
【文献】特開平11-341757(JP,A)
【文献】特開平11-146615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 17/00-17/44
H02K 16/02
H02K 1/27
H02K 21/00-21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドリスかご型ケージ式及び永久磁石式のモータであって、
モータハウジングと、
前記モータハウジングに固定されて回転ステータ磁界を生成するステータと、
前記モータハウジングに回転可能に接続されて、前記モータハウジングの少なくとも1つの連結用端部から負荷まで延びたモータシャフトと、
前記モータシャフトに回転式に固定されかつ前記モータシャフトと同軸上に設けられる第2ロータと、
前記ステータと前記第2ロータとの間に、かつ前記モータシャフトと同軸上に設けられ、前記モータシャフトに回転可能に機械的結合せず前記モータシャフトと共に回転しない第1ロータと、
を備え、前記第2ロータは、
第2ロータコアと、
前記第2ロータコアに埋め込まれた複数の第2リスかご型ケージバーであって、導電性で、互いに
周方向に間隔を空けて設けられた複数の第2リスかご型ケージバーと、
を備え、前記第1ロータは、
第1ロータコアと、
起動時に回転ステータ磁界と協働してトルクを生成するように構成された少なくとも1つの誘導素子と、
前記少なくとも1つの誘導素子から前記第2ロータの方に径方向に離間して配される永久磁石であって、前記少なくとも1つの誘導素子と
、周方向におけるある角度で、径方向に重なる永久磁石と、
を備え、前記少なくとも1つの誘導素子は前記永久磁石と前記ステータとの径方向の間に位置し、
前記第1ロータと前記第2ロータは同期動作中磁気的に結合可能である、
モータ。
【請求項2】
前記第2ロータコア内に複数の磁束バリアを含み、前記磁束バリアは同期動作の間に前記第2ロータコアを通して前記回転ステータ磁界をガイドし、前記磁束バリアは前記第2ロータコア内のボイドである、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第2ロータコア内に複数の磁束バリアを含み、前記磁束バリアは同期動作の間に前記第2ロータコアを通して前記回転ステータ磁界をガイドし、前記磁束バリアは、前記第2リスかご型ケージバーの内端同士を接続する凹型経路である、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの誘導素子は、前記第1ロータコアの前記ステータに向いた面に埋め込まれた複数の
周方向に間隔を空けて設けられた導電性の第1リスかご型ケージバーを有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの誘導素子は、
周方向に間隔を空けて設けられた複数の第1小リスかご型ケージバーを有し、前記複数の第1小リスかご型ケージバーはN個の第1グループに分割され、前記第1グループのそれぞれは、連続した複数の前記第1小リスかご型ケージバーを含み、
前記第1のグループは、
周方向に間隔を空けて設けられたN個の第1大リスかご型ケージバーによって
周方向に分離され、前記第1大リスかご型ケージバーは、連続する前記第1グループを分離する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記
複数の第2リスかご型ケージバーは、前記第2ロータコアの第2外面内に
周方向に間隔を空けて埋め込まれる、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの誘導素子は、前記ステータに面する前記第1ロータに渦電流リングを有する、請求項2に記載のモータ。
【請求項8】
前記ステータは、前記第1ロータ及び前記第2ロータの外側に位置し、
前記第2ロータはインナーロータであり、
前記第1ロータは、前記インナーロータと前記ステータの間に位置するアウターロータである、
請求項1に記載のモータ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの
誘導素子は複数の第1リスかご型ケージバーを含み、
同期速度において、
・ 前記複数の第1リスかご型ケージバーは前記複数の第2リスかご型ケージバーに角度的に位置が合い、
・ 前記ステータから、前記複数の第1リスかご型ケージバーの間を通り、前記永久磁石を通って、前記複数の第2リスかご型ケージバーの間へと
磁力線が通過する、
請求項
8に記載のモータ。
【請求項10】
前記永久磁石はN個の
周方向に間隔を空けて設けられた永久磁石を含み、
前記少なくとも1つの誘導素子は、前記第1ロータコアに埋め込まれた導電性の複数の第1小リスかご型ケージバーからなる第1グループをN個含み、前記N個の第1グループはそれぞれ、前記N個の永久磁石のうちの1つと角度的に位置が合っており、
前記少なくとも1つの誘導素子は更に、前記第1ロータコアの埋め込まれた導電性の第1大リスかご型ケージバーをN個含み、前記第1大リスかご型ケージバーはいずれも、前記第1小リスかご型ケージバーのどれよりも大きな断面を有し、前記第1大リスかご型ケージバーは、前記N個の永久磁石の間の間隙に角度的に位置が合っており、
前記N個の第1大リスかご型ケージバーはそれぞれ、前記N個の第1グループを
周方向に分離している、
請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
前記第2リスかご型ケージバーは、複数の第2小リスかご型ケージバーからなるグループをN個と、第2大リスかご型ケージバーをN個含み、
同期動作の間、前記第2小リスかご型ケージバーは、個々に前記第1小リスかご型ケージバーと位置が合い、前記第2大リスかご型ケージバーは、個々に前記第1大リスかご型ケージバーと位置が合う、
請求項
10に記載のモータ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの
誘導素子は複数の第1リスかご型ケージバーを含み、
同期動作の間、前記複数の第2リスかご型ケージバーの各々は、前記複数の第1リスかご型ケージバーのいずれかと位置が合う、
請求項1に記載のモータ。
【請求項13】
前記永久磁石はN個の
周方向に間隔を空けて設けられた永久磁石を含み、
前記N個の第1グループのそれぞれは、前記N個の永久磁石のいずれかに
径方向に重なって位置する、
請求項5に記載のモータ。
【請求項14】
ハイブリッドリスかご型ケージ式及び永久磁石式のモータであって、
モータハウジングと、
前記モータハウジングに固定されて回転ステータ磁界を生成するステータと、
前記モータハウジングに回転可能に接続されて、前記モータハウジングの少なくとも1つの連結用端部から負荷まで延びたモータシャフトと、
前記モータシャフトに回転式に固定されかつ前記モータシャフトと同軸上に設けられる第2ロータと、
前記ステータと前記第2ロータとの間に、かつ前記モータシャフトと同軸上に設けられ、前記モータシャフトに回転可能に機械的結合せず如何なる動作中も前記モータシャフトと共に回転しない第1ロータとを備え、
を備え、前記第2ロータは、
第2ロータコアと、
前記第2ロータコアに埋め込まれた複数の第2リスかご型ケージバーであって、導電性で、互いに
周方向に間隔を空けて設けられた複数の第2リスかご型ケージバーと、
を備え、前記第1ロータは、
第1ロータコアと、
前記第1ロータコアに埋め込まれた複数の第1リスかご型ケージバーであって、導電性で、互いに
周方向に間隔を空けて設けられた複数の第1リスかご型ケージバーと、
前記第1ロータコア内に位置する複数の永久磁石であって、前記複数の第1リスかご型ケージバーから前記第2ロータの方に径方向に離れて位置し、前記複数の第1リスかご型ケージバーに
、周方向におけるある角度で、径方向に重なる複数の永久磁石と、
を備え、
前記複数の第1リスかご型ケージバーは回転ステータ磁場と協働して始動時のトルクを提供するように構成され、同期動作の間、前記複数の第1リスかご型ケージバーは前記複数の第2リスかご型ケージバーに同時に角度的に位置が合うことができ、
前記複数の第1リスかご型ケージバーは前記複数の永久磁石と前記ステータの径方向の間に位置する、
モータ。
【請求項15】
請求項
14に記載のモータであって、
前記永久磁石はN個の永久磁石からなり、
前記第1リスかご型ケージバーは複数の第1小リスかご型ケージバーを有し、前記複数の第1小リスかご型ケージバーはN個の第1グループに分割され、前記第1グループのそれぞれは、連続した前記第1小リスかご型ケージバーを複数含み、
前記第1リスかご型ケージバーの前記第1グループのそれぞれは、前記N個の永久磁石のいずれかに径方向に重なって位置する、
モータ。
【請求項16】
ハイブリッドリスかご型ケージ式及び永久磁石式のモータであって、
モータハウジングと、
前記モータハウジングに固定されて回転ステータ磁界を生成するステータと、
前記モータハウジングに回転可能に接続されて、前記モータハウジングの少なくとも1つの連結用端部から負荷まで延びたモータシャフトと、
前記モータシャフトに回転式に固定されかつ前記モータシャフトと同軸上に設けられる第2ロータと、
前記ステータと前記第2ロータとの間に、かつ前記モータシャフトと同軸上に設けられ、前記モータシャフトに回転可能に機械的結合せず前記モータシャフトと共に回転しない第1ロータと、
を備え、前記第2ロータは、
第2ロータコアと、
前記第2ロータコアに埋め込まれた複数の第2リスかご型ケージバーであって、導電性で、互いに
周方向に間隔を空けて設けられた複数の第2リスかご型ケージバーと、
を備え、前記第1ロータは、
第1ロータコアと、
前記第1ロータコアに埋め込まれた複数の第1リスかご型ケージバーであって、導電性で互いに
周方向に間隔を空けて設けられし、回転ステータ磁場と協働して始動時のトルクを提供するように構成される、第1リスかご型ケージバーと、
前記第1リスかご型ケージバーの下で、前記第2ロータに向いた前記第1ロータコアの面の上に位置する永久磁石と、
を備え、同期動作の間、ステータ磁力線は、前記複数の第1リスかご型ケージバーのうちの連続する前記第1リスかご型ケージバーの間、及び、前記複数の第2リスかご型ケージバーのうちの連続する前記第2リスかご型ケージバーの間を通過する、モータ。
【請求項17】
前記ステータ磁力線は、同期動作の間、前記第1リスかご型ケージバーと前記第2リスかご型ケージバーによって、前記永久磁石を通って案内される、請求項
16に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年2月21日に出願された米国特許出願第15/438,023号の優先権を主張する。同米国特許出願は全体が参照により本明細書に包含される。
【技術分野】
【0002】
本発明は電気モータに関し、特に、誘導ロータに可変的に結合した独立回転式永久磁石ロータを有する誘導モータであって、起動時の非同期誘導動作から起動後の同期動作にモータを再設定して効率的な動作を行う誘導モータに関する。
【背景技術】
【0003】
電気モータの好ましい形態としてブラシレスAC誘導モータがある。誘導モータのロータは、ステータの内側で回転するケージ(すなわち、「ハムスター回し車」に類似したリスかご型ケージ(squirrel cage))を備えている。このケージは、軸方向に延びかつロータの外周上で角度離間した複数のバーを有する。ステータにAC電流が供給されると回転ステータ磁界がロータの内側に生じ、この回転磁界により複数のバーに誘導的に電流が誘起される。バーに電流が誘起されると誘導磁界が生じ、この誘導磁界とステータ磁界との協働によりトルクが生じてロータが回転する。
【0004】
バーに電流を誘起するには、バーが回転ステータ磁界に同期して動くことがない(回転しない)ことが必要である。これは、電磁誘導には磁場と当該磁場中の導体との相対運動(スリップと呼ばれる)が必要なためである。したがって、トルク発生のためには、ロータが回転ステータ磁界に対してスリップしてバーに電流を誘起する必要がある。このため誘導モータは非同期モータと呼ばれる。
【0005】
低電力誘導モータの場合は、設計動作速度での効率が高くなく、低負荷時には効率はさらに落ちるという問題がある。これは、低負荷時でもステータで消費される電力量は一定のままであるためである。
【0006】
誘導モータの効率を改善する方法の1つとして、ロータに永久磁石を付加することが行われてきた。このモータは、最初は通常の誘導モータと同様に起動するが、所定の動作速度に達するとステータ磁界と永久磁石との協働により同期動作を行うようになる。これにより、ステータと永久磁石(PM)ケージロータとの磁極の向きが変化するために、同期が起きるまで永久磁石は一時的な制動トルクと望ましくない磁気異常とを発生させるという問題がある。さらに、永久磁石が大き過ぎるとステータ磁束に過度の電力が与えられてモータがうまく起動しないため、永久磁石の大きさには制限がある。このように大きさに制限があるために永久磁石の付加によって得られる効果が制約される。
【0007】
本出願人により申請された2014年1月9日出願の米国特許出願第14/151,333号は、アウタステータと、複数のバーを含み、モータシャフトに固定されたインナロータと、複数の永久磁石および複数のバーを含み、インナロータとステータとの間に設けられる自由回転型アウタロータとを備える電気モータを開示している。モータが起動すると、回転ステータ磁界が自由回転型アウタロータを加速する。この加速に次いで、自由回転型アウタロータの永久磁石がインナロータを加速し、これに固定されて、効率のよい永久磁石動作が得られる。
【0008】
この米国特許出願第14/151,333出願の設計思想が適しているモータデザインもあるが、モータデザインによってはインナロータ表面に及ぼす表面効果によってインナロータと回転磁界との結合が弱められるものもある。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、固定式ステータと、独立回転式アウタロータと、モータシャフトに固定されたインナロータとを備えたハイブリッド誘導モータを提供することにより上記およびその他のニーズに対処する。前記アウタロータは小さい慣性モーメントを有するように設計され、その内面上に角度離間した複数の第1バーと永久磁石とを備えている。前記インナロータは角度離間した複数の第2バーと、これらの第2バーに位置整合した複数の内部磁束バリアとを備えている。前記アウタロータは、最初は回転ステータ磁界と前記第1バーとの協働により加速される。前記アウタロータが同期毎分回転数(RPM)に向かって加速されるのに伴い、前記永久磁石の回転磁界が前記インナロータの前記第2バーと協働して前記インナロータを加速する。同期速度付近で前記回転ステータ磁界は前記アウタロータを貫通して前記インナロータに達する。これによりこれら2種のロータが結合して、効率のよい永久磁石動作が行われる。
【0010】
本発明の一態様により、固定式ステータと、独立回転式ハイブリッド永久磁石/リスかご型ケージ(Hybrid Permanent Magnet/Squirrel Cage:HPMSC)アウタロータと、モータシャフトに固定されたリスかご型ケージ(SC)インナロータとを備えたハイブリッド誘導モータが提供される。前記HPMSCアウタロータは、角度離間した複数の第1バーを外面近傍に備えると共に、複数の永久磁石を内面上に備えている。前記SCインナロータは、角度離間した複数の第2バーを外面近傍に備えると共に、これらの第2バーと位置整合した複数の磁束バリアをロータラミネート内に備えている。前記磁束バリアは、同期速度において前記HPMSCアウタロータと前記SCインナロータとを貫通するステータ磁束線を形成し、これにより前記HPMSCアウタロータと前記SCインナロータとが磁気結合する。
【0011】
前記HPMSCアウタロータは、最初は前記回転ステータ磁界と前記第1バーとの協働により加速される。前記HPMSCアウタロータが回転すると、前記永久磁石が前記SCインナロータ内に回転磁界を生成し、この回転磁界が前記第2バーと協働して前記SCインナロータを加速する。前記HPMSCアウタロータが同期RPMに向かって加速されるのに伴い、前記ステータ磁界が前記HPMSCアウタロータを貫通して前記永久磁石と協働しつつ前記SCインナロータに達し、前記HPMSCアウタロータと前記SCインナロータとを結合する。これにより動作は同期動作に移行する。
【0012】
本発明の別の態様により、公知のラインスタート型永久磁石(Line Start Permanent Magnet:LSPM)より強力な永久磁石を備えるモータが提供される。公知のLSPMモータは、前記永久磁石に起因する制動トルクおよび脈動トルクにより制約を受ける。前記HPMSCアウタロータの前記第1バーと前記磁石とは軽量である。また、前記HPMSCアウタロータは起動時に前記モータシャフトおよび負荷から分離される。これらにより公知のLSPMモータの永久磁石より強力な永久磁石が実現する。この強力な永久磁石により効率が改善される。
【0013】
さらに本発明の別の態様により、HPMSCアウタロータの複数のアウタバーであって、SCインナロータの複数のインナバーに位置整合したアウタバーを有するモータが提供される。同期速度において、前記回転ステータ磁界の磁力線は整列したバーの間を通って前記SCインナロータ内に入り、前記HPMSCアウタロータと前記SCインナロータとを結合する。
【0014】
さらに本発明の別の態様により、前記HPMSCアウタロータにおいて、複数の小形リスかご型ケージバーと併存した複数の大形リスかご型ケージバーを備えたモータが提供される。この大型バーにより前記HPMSCアウタロータの構造強度が向上する。
【0015】
本発明の別の態様により、本発明に係る方法が提供される。この方法は、ステータへの電流の供給と、回転ステータ磁界の発生とを含む。前記回転ステータ磁界は、HPMSCアウタロータのリスかご型ケージと誘導的に協働する。また、前記回転ステータ磁界は前記HPMSCアウタロータを加速する。前記HPMSCアウタロータの永久磁石が回転永久磁石磁界を生成する。前記回転永久磁石磁界は、SCインナロータのリスかご型ケージと誘導的に協働する。前記回転ステータ磁界により前記SCインナロータが加速される。前記HPMSCアウタロータと前記SCインナロータとは同期速度に向かって加速され、同期速度で磁気結合する。
【0016】
さらに本発明の別の態様により、ハイブリッド永久磁石ヒステリシス(Hybrid Permanent Magnet Hysteresis:HPMH)アウタロータを備えた、本発明に係るハイブリッド誘導モータが提供される。渦電流リング(またはヒステリシス)誘導型起動素子を前記HPMSCアウタロータのリスかご型ケージに置き換えて、初期の起動トルクを与える。前記HPMHアウタロータが同期速度に達すると、前記誘導型起動素子はモータ動作に影響を及ぼさなくなる。前記渦電流リングは、起動素子用材料となり得る任意の導電材料からなる。この材料は、通常は硬質クロム鋼またはコバルト鋼であるが、任意の非鉄材料であってもよい。本発明のHPMHアウタロータリングの好適な材料は銅である。銅は導電性が高いために効率がよい。銀は銅よりも導電性が高くいくらか性能が優っている。アルミニウムは銅よりも導電性が低く性能が劣っている。最新のナノテクノロジや新種の高導電材料を用いることで銅よりも優れた性能が得られる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
上記およびその他の本発明の態様、特徴、および効果は、下記の諸図と関連付けられた以下の詳細な説明によってより明らかになる。
【0018】
【
図1A】
図1Aは、本発明に係る、独立回転式ハイブリッド永久磁石/リスかご型ケージ(Hybrid Permanent Magnet/Squirrel Cage:HPMSC)アウタロータと、モータシャフトに固定結合されたリスかご型ケージ(SC)インナロータとを備えた電気モータの端面図を示す。
【0019】
【
図1B】
図1Bは、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたリスかご型ケージ(SC)インナロータとを備えた電気モータの側面図を示す。
【0020】
【
図2】
図2は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータの、
図1Bの線2-2に沿った断面図を示す。
【0021】
【
図3】
図3は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータの、
図1Aの線3-3に沿った断面図を示す。
【0022】
【
図4】
図4は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータのハウジングおよび固定式ステータ部の、
図1Bの線2-2に沿った断面図を示す。
【0023】
【
図5】
図5は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータのハウジングおよび固定式ステータ部の、
図4の線5-5に沿った断面図を示す。
【0024】
【
図6】
図6は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータの独立回転式HPMSCアウタロータの、
図1Bの線2-2に沿った断面図を示す。
【0025】
【
図7】
図7は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータの独立回転式HPMSCアウタロータの、
図6の線7-7に沿った断面図を示す。
【0026】
【
図8】
図8は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータのSCインナロータの、
図1Bの線2-2に沿った断面図を示す。
【0027】
【
図9】
図9は、本発明に係る、独立回転式HPMSCアウタロータとモータシャフトに固定結合されたSCインナロータとを備えた電気モータのSCインナロータの、
図8の線9-9に沿った断面図を示す。
【0028】
【
図10】
図10は、本発明に係る、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態の断面図を示す。
【0029】
【
図10A】
図10Aは、本発明に係る、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態のステータの断面図を示す。
【0030】
【
図10B】
図10Bは、本発明に係る、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態のハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータの断面図を示す。
【0031】
【
図10C】
図10Cは、本発明に係る、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態のインナ誘導ロータの断面図を示す。
【0032】
【
図11A】
図11Aは、本発明に係る、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態の起動時の磁力線を示す。
【0033】
【
図11B】
図11Bは、本発明に係る、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態の同期速度における磁力線を示す。
【0034】
【
図12A】
図12Aは、本発明に係る、ステータを除いた、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態における2極形態の同期速度での磁力線を示す。
【0035】
【
図12B】
図12Bは、本発明に係る、ステータを除いた、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態における4極形態の同期速度での磁力線を示す。
【0036】
【
図12C】
図12Cは、本発明に係る、ステータを除いた、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態における6極形態の同期速度での磁力線を示す。
【0037】
【
図12D】
図12Dは、本発明に係る、ステータを除いた、ハイブリッド誘導/永久磁石アウタロータを備えたモータの第6実施形態における8極形態の同期速度での磁力線を示す。
【0038】
【0039】
【0040】
【
図15】
図15は、ハイブリッド永久磁石ヒステリシス(HPMH)アウタロータを備えた、本発明の一実施形態の断面図を示す。
【0041】
【
図16A】
図16Aは、HPMHアウタロータを備えた、本発明の上記実施形態の側断面図を示す。
【0042】
【
図16B】
図16Bは、HPMHアウタロータを備えた、本発明の前記実施形態の分解側断面図を示す。
【0043】
【
図17】
図17は、本発明に係るHPMHアウタロータの側断面図を示す。
【0044】
【
図18】
図18は、本発明に係る第2SCインナロータの側断面図を示す。
【0045】
上記諸図の内の一部において同一の参照記号は同一の構成要素を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。この説明は発明を限定するものではなく、専ら本発明の1つ以上の好適な実施形態を説明するために行うものである。本発明の範囲は特許請求の範囲に基づいて決定されるものである。
【0047】
本明細書において「機械的に結合していない」という語句は、ベアリングを介した第1構造と第2構造との接続であって、それ以外には第1、第2の構造間に一切機械的接続や材料接続が存在しない接続状態を述べる場合に用いる。ただし、これらの構造は磁気的に結合していてもよく、本特許出願においては磁気結合を機械的結合とは見なさない。
【0048】
本発明に係る、独立回転式ハイブリッド永久磁石/リスかご型ケージ(Hybrid Permanent Magnet/Squirrel Cage:HPMSC)アウタロータ20と、モータシャフト14に固定結合されたリスかご型ケージ(SC)インナロータ30とを備えた電気モータ10の端面図を
図1Aに示し、同側面図を
図1Bに示す。電気モータ10の、
図1Bの線2-2に沿った断面図を
図2に示し、
図1Aの線3-3に沿った断面図を
図3に示す。電気モータ10は、ハウジング12と、ハウジング12に固定結合されたステータ部16と、ベアリング29に支持された(
図7参照)独立回転式HPMSCアウタロータ20と、モータシャフト14に固定されたSCインナロータ30とを備える。HPMSCアウタロータ20はベアリングを介してモータシャフト14に装着され、モータシャフト14に機械的に結合せず、これと共に回転しない。
【0049】
電気モータ10のハウジング12および固定式ステータ部16の、
図1Bの線2-2に沿った断面図を
図4に示し、
図4の線5-5に沿った断面図を
図5に示す。複数の固定式ステータ巻線18がステータコア19内に備わっている。ステータ巻線18は、交流(AC)信号を入力されると回転ステータ磁界を生成する。ハウジング12内に複数のベアリング13が設けられ、これがシャフト14を支えている。
【0050】
独立回転式HPMSCアウタロータ20の、
図1Bの線2-2に沿った断面図を
図6に示し、
図6の線7-7に沿った断面図を
図7に示す。HPMSCアウタロータ20は、その内面上に角度離間した複数の永久磁石22を有すると共に、外面近傍においてコア(ラミネート)23に埋め込まれた複数の角度離間した第1バー26a、26bを有する。HPMSCアウタロータ20は、例えば2、4、6、8等の、あらゆる偶数個の永久磁石22を含み得る(
図12A~12D参照)。ロータコア23は永久磁石22同士の間に鉄を含まないボイド24を有する。ボイド24は、磁束バリアとなる空隙または非鉄材料からなる。永久磁石22同士の間に鉄系材料が存在すると、磁束は磁石22内にカールバックし、大半の磁束線が短絡して磁石22内に戻ってしまう。コア23は積層コアであることが好ましいが、コア23を形成する複数の薄板23aによって磁束漏れが生じることがある。薄板23aの厚さは、ロータコアラミネート23の力学的状態を保ちつつ磁束漏れが最小になるように最適化することが好ましい。バー26a、26bはそれぞれ均等に角度離間されることが好ましい。好適には永久磁石22はロータコア23の内面に接合されたネオジム磁石である。
【0051】
HPMSCアウタロータ20は小バー26aのみを備えてもよいが、構造強度をもたらす大バー26bも併せて備えることが好ましい。好適には、大バー26bは永久磁石22同士の間に角度を付けて設けられる(すなわち、放射状に配置される)。また、大バー26bの数は磁石22の数に等しいことが好ましい。好適にはボイド24は大バー26bの下方に位置する。バー26a、26bは、例えばアルミニウムなどの軽量材料で作製されることが好ましい。磁石22も軽量材料で作製されることが好ましく、好適には所定の磁力を持ちつつ軽量化が可能な希土類磁石である。バー26a、26bと永久磁石22との軽量化によりHPMSCアウタロータ20の慣性モーメントが低下して、HPMSCアウタロータ20が永久磁石22によって生じる制動トルクおよび脈動トルクに打ち勝つことができる。これによりLSPMモータよりも強力な永久磁石22とより高い効率とが得られる。バー26a、26bの抵抗とロータコア23の飽和とのバランスを最適化することで、バー26a、26bの形状、数、および寸法が例えばモータの起動などの性能に大きな影響を与えるようにすることができる。
【0052】
ロータ端キャップ28がHPMSCアウタロータ20の対向する両端に取り付けられている。端キャップ28内にはベアリング29が含まれ、このベアリングによってHPMSCアウタロータ20がモータシャフト14の周囲を自由に回転できるようになっている。ベアリング29は低摩擦ベアリング(例えば、ボールベアリングやローラベアリング)であることが好ましいが、単なるブッシング(例えば、ブロンズブッシング、オイライトブッシング、Kevlar(登録商標)ブッシングなど)であってもよい。HPMSCアウタロータ20がSCインナロータ30やモータシャフト14と機械的に結合せず、これらと共に回転しない。
【0053】
電気モータ10におけるSCインナロータ30の、
図1Bの線2-2に沿った断面図を
図8に示し、
図8の線9-9に沿った断面図を
図9に示す。SCインナロータ30はモータシャフト14に固定され、HPMSCアウタロータ20と協働してHPMSCアウタロータ20をモータシャフト14に同期速度で磁気結合させる。複数の第2小バー32aと複数の第2大バー32bとが第2ロータコア(ラミネート)36内に存在する。バー32a、32bは等間隔で角度離間されることが好ましいが、これは必須ではない。大バー32bはSCインナロータ30に構造強度を付与すると共に、磁束線50の指向性を助長する(
図11B参照)。
【0054】
モータ10の詳細な断面図を
図10に示す。また、モータ10におけるステータ16の断面図を
図10Aに示し、HPMSCアウタロータ20の断面図を
図10Bに示し、SCインナロータ30の断面図を
図10Cに示す。ステータ16のラミネート19内には、回転ステータ磁界を生成する複数のステータ巻線18が含まれている。
【0055】
HPMSCアウタロータ20はベアリング29を通じてモータシャフトに回転式に結合しており(
図7参照)、ラミネート23に埋め込まれた、小リスかご型ケージバー26aと大リスかご型ケージバー26bとを有している。永久磁石24がHPMSCアウタロータ20の内面上に設けられている。この内面はSCインナロータ30に対面している。
【0056】
SCインナロータ30は、小バー32aと大バー32bとを備えている。磁束バリア38がラミネート36中の凹型経路に沿って延びている。磁束バリア38の外端は小バー32aにほぼ位置整合している。小バー32aと大バー32bとは共にラミネート36中にわずかに後退している。
【0057】
起動時のステータ巻線18とバー26a、26bとの間の磁力線42a、および起動直後のモータ10の永久磁石22とバー32a、32bとの間の磁力線42bを
図11Aに示す。磁力線42aは回転ステータ磁界に対するバー26a、26bのスリップによって生じる。磁力線42aは起動すると直ちに現れる。この理由は、HPMSCアウタロータ20は起動時には静止しており、この静止したHPMSCアウタロータ20と回転ステータ磁界との間にスリップが生じるためである。このスリップにより磁気誘導を通じてバー26に電流が発生し、この電流によりHPMSCアウタロータ20にトルクがかかってHPMSCアウタロータ20が加速される。
【0058】
起動のほぼ直後に、HPMSCアウタロータ20が回転を始めると、HPMSCアウタロータ20の永久磁石22とSCインナロータ30のバー32a、32bとの間のスリップが進展し、磁力線42bが形成される。磁力線42bは起動時に直ぐには現れない。これは、この磁力線によってHPMSCアウタロータ20がSCインナロータに回転式に結合して、HPMSCアウタロータ20の加速に対する抵抗が生じるためである。このことはモータ10の重要な特徴である。公知のLSPMモータでは、この抵抗は、HPMSCアウタロータ20が永久磁石による制動トルクおよび脈動トルクに打ち勝つことを妨げて、永久磁石22の磁力を制限する。このためにモータ10の効率に限界が生じている。このためモータ10は自己調整を行うが、HPMSCアウタロータ20が制動トルクおよび脈動トルクに打ち勝った後に、HPMSCアウタロータ20をSCインナロータ30とモータシャフト14とに結合するだけである。
【0059】
ステータ巻線18と永久磁石22との間の磁力線50であって、同期速度においてモータ10のSCインナロータ30まで入り込む磁力線50を
図11Bに示す。同期速度においては、回転ステータ磁界と各バー26a、26b、32a、32bとの間のスリップは生じないため、回転ステータ磁界と各バー26a、26b、32a、32bとの電気的協働は生じない。この段階で回転ステータ磁界は永久磁石22と完全に協働し、磁束バリア38によってSCインナロータ内をガイドされる。
【0060】
ステータ16を除いた2極形態のモータ10の磁力線を
図12Aに示し、ステータ16を除いた4極形態のモータ10の磁力線を
図12Bに示し、ステータ16を除いた6極形態のモータ10の磁力線を
図12Cに示し、ステータ16を除いた8極形態のモータ10の磁力線を
図12Dに示す。
【0061】
本発明に係る方法を
図13に示す。この方法は次の各ステップを含む。すなわち、ステップ100でステータに電流を供給し、ステップ102で回転ステータ磁界を生成し、ステップ104で回転ステータ磁界がHPMSCアウタロータのリスかご型ケージと誘導的に協働し、ステップ106で回転ステータ磁界がHPMSCアウタロータを加速し、ステップ108でHPMSCアウタロータの永久磁石が回転永久磁石磁界を生成し、ステップ110でこの永久磁石磁界が回転ステータ磁界と結合して複合回転磁界が生じ、ステップ112でこの複合回転磁界がSCインナロータのリスかご型ケージと誘導的に協働し、ステップ114で複合回転磁界がSCインナロータを加速し、ステップ116でSCインナロータが同期速度に近づき、ステップ118で、同期速度においてHPMSCアウタロータとSCインナロータとが磁気結合する。この方法の重要な特徴は、HPMSCアウタロータは回転するまでSCインナロータと結合しないため、LSPMモータにおいて永久磁石の磁力を制限する制動トルクおよび脈動トルクに打ち勝つことができることである。
【0062】
HPMSCアウタロータとSCインナロータとを備えたハイブリッド電気モータについて述べる。HPMSCアウタロータは、第1ロータコアに埋め込まれた複数の第1導電性リスかご型ケージバーと第2ロータコアの内面上の複数の永久磁石とを有している。また、HPMSCアウタロータはステータとSCインナロータとの間でかつモータシャフトと同軸上に設けられ、如何なる動作においてもモータシャフトと機械的に結合せず、これと共に回転しない。SCインナロータはモータシャフトに固定されかつモータシャフトと同軸に位置し、第2ロータコアと、第2ロータコアに埋め込まれた複数の第2導電性リスかご型ケージバーと、同期速度において回転ステータ磁界をSCインナロータ中でガイドする磁束バリアとを有している。当業者であれば、磁石、バー、および磁束バリアの数が本明細書記載の数と異なるが、本明細書記載の原理に基づく他の実施形態があり得ることがわかるであろう。それらの実施形態は全て本発明の範囲に包含されるものとする。
【0063】
ステータ磁界と、HPMSCアウタロータ磁界と、SCインナロータ磁界との回転のタイムラインを
図14に示す。
【0064】
ハイブリッド永久磁石ヒステリシス(HPMH)アウタロータ20'を備えた、本発明の第2ハイブリッド誘導モータ10'の断面図を
図15に示す。誘導型起動素子は渦電流(すなわちヒステリシス)リング60(
図17参照)からなり、このリング60をHPMSCアウタロータ20のリスかご型ケージ26a、26b(
図6参照)に置き換えて初期の起動トルクを与える。SCインナロータにおいて大リスかご型ケージバー32bは不要であり、ハイブリッド誘導モータ10'には図示されていない。その他の点については、ハイブリッド誘導モータ10'はハイブリッド誘導モータ10と同様である。
【0065】
HPMHアウタロータを備えたハイブリッド誘導モータ10'の側断面図を
図16Aに示し、分解側断面図を
図16Bに示す。
【0066】
本発明に係るHPMHアウタロータの側断面図であって渦電流リング60を示す側断面図を
図17に示す。HPMHアウタロータ20'が同期速度に達すると、渦電流リング60はモータ動作に影響を及ぼさなくなる。渦電流リング60は起動素子用材料となり得る任意の導電材料からなる。この材料は、通常は硬質クロム鋼またはコバルト鋼であるが、任意の非鉄材料であってもよい。本発明のHPMHアウタロータリングの好適な材料は銅である。銅は導電性が高いために効率がよい。銀は銅よりも導電性が高くいくらか性能が優っている。アルミニウムは銅よりも導電性が低く性能が劣っている。最新のナノテクノロジや新種の高導電材料を用いることで銅よりも優れた性能が得られる可能性がある。
【0067】
第2SCインナロータ30'の側断面図を
図18に示す。SCインナロータ30'は大リスかご型ケージバー32bを有してもよいが必須ではなく、図には示されていない。その他の点については、SCインナロータ30'はSCインナロータ30と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は電気モータの分野に産業上の利用可能性を見出している。
【発明の範囲】
【0069】
本開示の発明を特定の実施形態およびその応用を用いて説明したが、特許請求の範囲で述べた発明の範囲内で多くの修正や変形を当業者によって実施し得る。