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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】画像取得システム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20221014BHJP
   H01L 51/42 20060101ALI20221014BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20221014BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G06V40/13
H01L31/08 T
H01L31/10 A
G02B5/20
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2019548435
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 FR2018050516
(87)【国際公開番号】W WO2018162842
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】1751789
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1757669
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ウィルフリッド
(72)【発明者】
【氏名】プシュカ,アガーテ
(72)【発明者】
【氏名】チャブル,クエンティン
(72)【発明者】
【氏名】ブチノン,ベンジャミン
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0017824(US,A1)
【文献】特開2005-072662(JP,A)
【文献】特開2007-123707(JP,A)
【文献】特開2009-165748(JP,A)
【文献】特表2013-513254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/00-145
H01L 31/00-18
G02B 5/20-28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 放射線の源と
- 前記光源と一体化されているか、又は前記光源から離れている表示画面と
- 前記放射線を検出することができる光検出器のアレイと第1の表面とを有する画像センサと
- 前記画像センサを覆って、前記表示画面と前記画像センサとの間に配置されている角度フィルタと、
- 前記放射線を少なくとも部分的に通して前記画像センサを覆う被覆体と
を備えており、
前記角度フィルタは、前記第1の表面に直交する方向に対して閾値より大きな入射角を有する前記放射線の光線を遮断して、前記第1の表面に直交する方向に対して前記閾値より小さな入射角を有する前記放射線の光線を通すことができ
前記角度フィルタは前記被覆体と前記画像センサとの間に配置されており、
前記放射線は可視域及び/又は赤外域の範囲内にあり、
前記角度フィルタは、前記放射線を通さないか又は偏光材料で形成された壁によって画定された孔のアレイを有しており、空気、又は前記放射線を少なくとも部分的に通す材料が前記孔に充填されていることを特徴する画像取得システム。
【請求項2】
前記光源は、前記放射線を前記被覆体の外周部から前記被覆体に放射することができ、前記被覆体は前記放射線のための導波路の機能を果たすことを特徴とする請求項に記載の画像取得システム。
【請求項3】
前記第1の表面に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面に平行に測定された前記孔の幅の比が、前記孔毎に1~10の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像取得システム。
【請求項4】
前記孔は行及び列に配置されており、同一の行又は同一の列の隣り合う孔間のピッチは10μm~30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項5】
前記第1の表面に直交する方向に沿って測定された各孔の高さは、1μm~1mmの範囲内であることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項6】
前記第1の表面に平行に測定された各孔の幅は、5μm~30μmの範囲内であることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項7】
前記壁全体が、前記放射線を通さない材料で形成されていることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項8】
壁は、前記放射線を通さない層で覆われて前記放射線を通す材料で形成されたコアを有していることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項9】
前記孔を覆うレンズを更に備えていることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項10】
前記孔を覆って前記壁と接しているレンズを、前記孔毎に備えていることを特徴とする請求項に記載の画像取得システム。
【請求項11】
前記光検出器は有機フォトダイオードを有していることを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項12】
前記表示画面は発光素子のアレイを有しており、前記光検出器は、前記第1の表面に垂直な方向に沿って前記発光素子に対して偏移していることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項13】
前記発光素子は中間領域によって互いに離れており、前記光検出器は、前記第1の表面に垂直な方向に沿って前記中間領域と一列に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の画像取得システム。
【請求項14】
前記発光素子によって放射される放射線に対する前記表示画面の透過率は、前記第1の表面に垂直であって前記中間領域を通過する経路に沿って5%より大きいことを特徴とする請求項13に記載の画像取得システム。
【請求項15】
前記表示画面は発光素子のアレイを有しており、前記発光素子は、前記放射線を少なくとも部分的に通し、前記第1の表面に垂直な方向に沿って前記光検出器に少なくとも部分的に対向して配置されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項16】
前記発光素子は有機発光ダイオードを有していることを特徴とする請求項1215のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項17】
前記表示画面は、画像を表示するための第2の表面を有しており、前記画像センサは、前記第2の表面と反対の前記表示画面の側に接着層によって前記表示画面に固定されていることを特徴とする請求項1~16のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項18】
前記表示画面は発光素子のアレイを有しており、前記画像センサは、前記光検出器のアレイと前記表示画面との間に、波長に応じて前記発光素子によって放射される放射線をフィルタ処理するフィルタを有していることを特徴とする請求項1~17のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項19】
前記画像センサは、前記光検出器毎に選択素子を有しており、前記光検出器は、前記選択素子と前記表示画面との間に配置されていることを特徴とする請求項1~18のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項20】
前記表示画面は発光素子のアレイを有しており、前記第1の表面に平行な面で見た前記光検出器のアレイの大きさは、前記面で見た前記発光素子のアレイの大きさと10%の範囲内で等しいことを特徴とする請求項1~19のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項21】
ユーザの少なくとも1つの指紋の検出用である請求項1~20のいずれか1つに記載の画像取得システムの使用方法。
【請求項22】
前記画像センサをタッチ面として更に使用することを特徴とする請求項21に記載の使用方法。
【請求項23】
画像取得システムを製造する方法であって、
- 放射線の源と、前記光源と一体化されているか、又は前記光源から離れている表示画面とを準備する工程、
- 前記放射線を検出することができる光検出器のアレイと表面とを有する画像センサを形成する工程
前記画像センサを覆って、前記表示画面と前記画像センサとの間に配置される角度フィルタを形成する工程、及び
- 前記放射線を少なくとも部分的に通して前記画像センサを覆う被覆体を形成する工程
を有し、
前記角度フィルタは、前記表面に直交する方向に対して閾値より大きな入射角を有する前記放射線の光線を遮断して、前記表面に直交する方向に対して前記閾値より小さな入射角を有する前記放射線の光線を通すことができ
前記角度フィルタは前記被覆体と前記画像センサとの間に配置され、
前記放射線は可視域及び/又は赤外域の範囲内にあり、
前記角度フィルタは、前記放射線を通さないか又は偏光材料で形成された壁によって画定された孔のアレイを有し、空気、又は前記放射線を少なくとも部分的に通す材料が前記孔に充填されることを特徴する方法。
【請求項24】
前記壁は、前記放射線を通さ
前記角度フィルタを形成する工程は、
レジストの層を形成する工程、及び
前記層をフォトリソグラフィによってエッチングすることにより前記壁を形成する工程
を有することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記レジストは黒色又は着色の樹脂であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記壁は、前記放射線を通さ
前記角度フィルタを形成する工程は、
前記壁の所望の形状に相補的な形状を有する透明な樹脂型を、フォトリソグラフィ工程によって形成する工程、
前記壁を形成する材料を前記樹脂型に充填する工程、及び
得られた構造を前記樹脂型から取り除く工程
を有することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記壁は、前記放射線を通さ
各壁は、前記放射線を通さない層で覆われて前記放射線を通す材料で形成されたコアを有しており、
前記角度フィルタを形成する工程は、
前記放射線を通すレジストの層を形成する工程、
前記壁の所望の形状に応じて前記層をフォトリソグラフィによってエッチングする工程、及び
得られた構造を前記放射線を通さない層で覆う工程
を有することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記角度フィルタを形成する工程で、黒色又は着色の膜にマイクロメートル範囲の大きさの孔を開けることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記孔を、マイクロメートル範囲の大きさの針によって開けることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像取得システムは一般に画像センサ及び光学系を備えており、光学系は、画像センサの高感度部分と撮像対象との間に配置されており、撮像対象の鮮明な画像を画像センサの高感度部分に形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、場合によっては、このような光学系を画像センサの高感度部分と撮像対象との間に配置することができない。画像センサが1平方センチメートルより大きい有効表面積を占め、撮像対象と画像センサの高感度部分との距離が1センチメートルより小さい場合、この問題が特に当てはまる。
【0004】
画像センサの高感度部分に形成される画像が十分鮮明であるように、撮像対象を画像センサに最も近い場所に置く必要がある。しかしながら、撮像対象と画像センサとの間に距離がある場合があるため、画像センサの高感度部分に形成される画像の鮮明さが、ある用途、例えば指紋の取り込みには不十分な場合がある。
【0005】
実施形態の目的は、光学系が撮像対象の鮮明な画像を画像センサの高感度部分に形成しない場合、画像取得システムの画像センサによって取得する画像の鮮明さを高めることである。
【0006】
実施形態の別の目的は、画像センサの高感度部分の表面積が1平方センチメートルより大きいことである。
【0007】
実施形態の別の目的は、撮像対象と画像センサの高感度部分との距離が1センチメートルより短いことである。
【0008】
実施形態の別の目的は、撮像対象と画像センサの高感度部分との距離が50マイクロメートルより長いことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、実施形態は、
- 放射線の光源と、
- 前記放射線を検出することができる光検出器のアレイと表面とを有する画像センサと、
- 前記画像センサを覆う角度フィルタと
を備えており、前記角度フィルタは、前記表面に直交する方向に対して閾値より大きな入射角を有する前記放射線の光線を遮断して、前記表面に直交する方向に対して前記閾値より小さな入射角を有する前記放射線の光線を通すことができることを特徴する画像取得システムを提供する。
【0010】
実施形態によれば、前記画像取得システムは、前記放射線を少なくとも部分的に通して前記画像センサを覆う被覆体を更に備えており、前記角度フィルタは前記被覆体と前記画像センサとの間に配置されている。
【0011】
実施形態によれば、前記光源は、前記放射線を前記被覆体の外周部から前記被覆体に放射することができ、前記被覆体は前記放射線のための導波路の機能を果たす。
【0012】
実施形態によれば、前記放射線は可視域及び/又は赤外域の範囲内にある。
【0013】
実施形態によれば、前記角度フィルタは、前記放射線を通さないか又は偏光材料で形成された壁によって画定された孔のアレイを有しており、空気、又は前記放射線を少なくとも部分的に通す材料が前記孔に充填されている。
【0014】
実施形態によれば、前記表面に垂直に測定された前記孔の高さ対前記表面に平行に測定された前記孔の幅の比が、前記孔毎に1~10の範囲内である。
【0015】
実施形態によれば、前記孔は行及び列に配置されており、同一の行又は同一の列の隣り合う孔間のピッチは10μm~30μmの範囲内である。
【0016】
実施形態によれば、前記表面に直交する方向に沿って測定された各孔の高さは、1μm~1mmの範囲内である。
【0017】
実施形態によれば、前記表面に平行に測定された各孔の幅は、5μm~30μmの範囲内である。
【0018】
実施形態によれば、前記壁全体が、前記放射線を通さない材料で形成されている。
【0019】
実施形態によれば、各壁は、前記放射線を通さない層で覆われて前記放射線を通す材料で形成されたコアを有している。
【0020】
実施形態によれば、前記画像取得システムは、前記孔を覆うレンズを更に備えている。
【0021】
実施形態によれば、前記画像取得システムは、前記孔を覆って前記壁と接しているレンズを、前記孔毎に備えている。
【0022】
実施形態によれば、前記光検出器は有機フォトダイオードを有している。
【0023】
実施形態は、既に定義されているような画像取得システムを備え、表示画面を更に備えており、前記角度フィルタが前記表示画面と前記画像センサとの間に配置されている表示システムを提供する。
【0024】
実施形態によれば、前記表示画面は発光素子のアレイを有しており、前記光検出器は、前記表面に垂直な方向に沿って前記発光素子に対して偏移している。
【0025】
実施形態によれば、前記発光素子は中間領域によって互いに離れており、前記光検出器は、前記表面に垂直な方向に沿って前記中間領域と一列に配置されている。
【0026】
実施形態によれば、前記表示画面は発光素子のアレイを有しており、前記発光素子は、前記放射線を少なくとも部分的に通し、前記表面に垂直な方向に沿って前記光検出器に少なくとも部分的に対向して配置されている。
【0027】
実施形態によれば、前記発光素子は有機発光ダイオードを有している。
【0028】
実施形態は、ユーザの少なくとも1つの指紋の検出用である、既に定義されているような表示システムの使用方法を更に提供する。
【0029】
実施形態は、画像取得システムを製造する方法であって、
- 放射線の光源を準備する工程、
- 前記放射線を検出することができる光検出器のアレイと表面とを有する画像センサを形成する工程、及び
- 前記画像センサを覆う角度フィルタを形成する工程
を有し、前記角度フィルタは、前記表面に直交する方向に対して閾値より大きな入射角を有する前記放射線の光線を遮断して、前記表面に直交する方向に対して前記閾値より小さな入射角を有する前記放射線の光線を通すことができることを特徴する方法を更に提供する。
【0030】
実施形態によれば、前記角度フィルタは、前記放射線を通さない壁によって画定された孔のアレイを有しており、前記角度フィルタを形成する工程は、
レジストの層を形成する工程、及び
前記層をフォトリソグラフィによってエッチングすることにより前記壁を形成する工程
を有する。
【0031】
実施形態によれば、前記レジストは黒色又は着色の樹脂である。
【0032】
実施形態によれば、前記角度フィルタは、前記放射線を通さない壁によって画定された孔のアレイを有しており、前記角度フィルタを形成する工程は、
前記壁の所望の形状に相補的な形状を有する透明な樹脂型を、フォトリソグラフィ工程によって形成する工程、
前記壁を形成する材料を前記樹脂型に充填する工程、及び
得られた構造を前記樹脂型から取り除く工程
を有する。
【0033】
実施形態によれば、前記角度フィルタは、前記放射線を通さない壁によって画定された孔のアレイを有しており、各壁は、前記放射線を通さない層で覆われて前記放射線を通す材料で形成されたコアを有しており、前記角度フィルタを形成する工程は、
前記放射線を通すレジストの層を形成する工程、
前記壁の所望の形状に応じて前記層をフォトリソグラフィによってエッチングする工程、及び
得られた構造を前記放射線を通さない層で覆う工程
を有する。
【0034】
実施形態によれば、前記角度フィルタを形成する工程で、黒色又は着色の膜にマイクロメートル範囲の大きさの孔を開ける。
【0035】
実施形態によれば、前記孔を、マイクロメートル範囲の大きさの針によって開ける。
【図面の簡単な説明】
【0036】
前述及び他の特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない具体的な実施形態について以下に詳細に説明する。
【0037】
図1】画像取得システムの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図2】画像取得システムの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図3図2の画像取得システムの画像センサの実施形態を示す断面図である。
図4】画像取得システムの別の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図5】指紋センサとして使用される図4の画像取得システムの動作を示す図4と同様の断面図である。
図6】指紋センサとして使用される図4の画像取得システムの動作を示す図4と同様の断面図である。
図7】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの実施形態を示す部分的な平面略図である。
図8A】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの実施形態を示す部分的な平面略図である。
図8B】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図9】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの別の実施形態を示す部分的な平面略図である。
図10】角度フィルタの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図11】角度フィルタの実施形態を示す部分的な平面略図である。
図12】角度フィルタの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図13】角度フィルタの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図14】角度フィルタの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図15】角度フィルタの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図16】角度フィルタの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図17】角度フィルタの他の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図18】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの別の実施形態を示す部分的な平面略図である。
図19図18の表示システムの画像センサの更に詳細な実施形態を示す部分的な平面略図である。
図20】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図21】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図22】表示画面及び画像センサを備えた表示システムの実施形態を示す部分的な断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
明瞭化のために、同一の要素は様々な図面において同一の参照番号で示されており、更に、電子回路の表示ではよくあるように、様々な図面は正しい縮尺で示されていない。以下の記載では、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、又は「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する用語を参照するとき、この用語は図面の向き、又は通常の使用位置にある画像取得システム若しくは表示システムを指す。
【0039】
更に、本明細書の理解に有用な要素のみが示され説明されている。
【0040】
特に、以下に説明されるセンサを用いてなされる用途は詳細に説明されておらず、表示画面及び画像センサを備えた、以下に説明される表示システムを用いてなされる用途は詳細に説明されていない。タッチ式インターフェースを介して制御され得るあらゆるタイプのシステムに表示システムを使用することは、当業者の技能の範囲内である。更に、画像取得システム又は表示画面の構造は当業者に広く知られており、以下に詳細に説明されていない。更に、以下に説明する画像取得システムによって与えられる信号を処理するための手段は当業者の技能の範囲内であり、説明されていない。「実質的に」、「約」及び「程度」という用語は、該当する値のプラスマイナス10%の許容値を示すために本明細書に使用されている。角度の場合、「実質的に」及び「約」という用語は、該当する値のプラスマイナス10°の許容値を示すために本明細書に使用されている。
【0041】
以下の記載では、「可視光線」は、400 nm~700 nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を示し、「赤外線」は、700 nm~1mmの範囲内の波長を有する電磁放射線を示す。赤外線では、700 nm~1.4 μmの範囲内の波長を有する近赤外線を特に識別することができる。
【0042】
画像の画素は、表示画面によって表示される画像の単位素子に相当する。表示画面がカラー画像の表示画面である場合、表示画面は、各画像画素を表示するために、実質的に単一色(例えば赤、緑及び青)の光放射線を夫々放射する表示サブ画素とも称される少なくとも3つの発光素子及び/又は光強度調整素子を一般に有している。3つの表示サブ画素によって放射される放射線を重ね合わせることにより、表示画像の画素に対応する色感覚が観察者に与えられる。この場合、画像の画素を表示するために使用される3つの表示サブ画素によって形成される集合体が表示画面の表示画素と称される。
【0043】
図1は、図1に部分的に示されている対象12の画像を取得するための画像取得システム10の実施形態を示す部分的な断面略図である。画像取得システム10は、図1の下から上に、
上面15を有する画像センサ14と、
角度フィルタ16と、
光源22と
を備えている。
【0044】
画像取得システム10は、例えばマイクロプロセッサを有する、画像センサ14によって出力される信号を処理するための手段(不図示)を更に備えている。
【0045】
図2は、対象12の画像を取得するための画像取得システム25の別の実施形態を示す部分的な断面略図である。画像取得システム25は、画像取得システム10の全ての要素を備えており、画像センサ14の反対側で角度フィルタ16を覆う対向する上面20及び下面21を有する被覆体18を更に備えている。
【0046】
図3は、画像センサ14の実施形態を示す断面図である。画像センサ14は、支持体24と、支持体24と角度フィルタ16との間に配置された、光検出器とも称される光子センサ28のアレイ26とを有している。光検出器28は、不図示の透明な保護被覆体で覆われてもよい。画像センサ14は、導電性トラックと、光検出器28を選択し得る不図示のスイッチング素子、特にトランジスタとを更に有している。光検出器28は有機材料で形成されてもよい。光検出器28は、有機フォトダイオード(OPD) 又は有機フォトレジスタに相当してもよい。角度フィルタ16に対向して光検出器28を含む画像センサ14の表面積は、1cm2 より大きく、好ましくは5cm2 より大きく、より好ましくは10cm2より大きく、特には20cm2より大きい。上面15は実質的に平坦であってもよい。
【0047】
被覆体18は、光源22によって放射される放射線を少なくとも部分的に通す。被覆体18の厚さは1μm~10mmの範囲内であってもよい。上面20及び下面21は実質的に平坦であってもよい。
【0048】
角度フィルタ16は、角度フィルタ16の上面に対する入射放射線の入射角に応じて入射放射線をフィルタ処理することができるため、特に各光検出器28は、角度フィルタ16の上面に垂直な軸芯に対して45°未満、好ましくは30°未満、より好ましくは20°未満、更により好ましくは10°未満の最大入射角より小さい入射角を有する光線のみを受ける。角度フィルタ16は、角度フィルタ16の上面に垂直な軸芯に対して最大入射角より大きい入射角を有する入射放射線の光線を遮断することができる。
【0049】
図1又は図2に示されている実施形態では、その画像が画像センサ14によって取得される対象12は、光源22と角度フィルタ16又は被覆体18との間に配置されている。光源22によって放射される放射線が対象12を通って透過することにより、画像を得る。光源22によって放射される放射線は可視光線及び/又は赤外線であってもよい。指紋を決定するための用途では、対象12はユーザの指に相当する。対象12と画像取得システム10の上面20との接触領域30を横切る光線を強く透過させる一方、谷とも称される接触無しの領域を横切る光線をより弱く透過させるように、指12が画像取得システム10の上面20と接することが好ましい。接触領域30に対向して配置された光検出器28は、低入射角で散乱する光を集める一方、接触無しの領域32に対向して配置された光検出器28は、光の大部分が角度フィルタ16によって遮断されるので、光をほとんど集めない。
【0050】
図4は、画像取得システム40の別の実施形態を示す部分的な断面略図である。画像取得システム40は、光源22が、光放射線44を被覆体18に放射することができ、ひいては導波路の機能を果たす光源42と取り替えられている点を除いて、図2に示されている画像取得システム25の全ての要素を備えている。光源42によって放射される放射線44は可視光線及び/又は赤外線であってもよい。放射線44は、被覆体18の外周部から被覆体18に注入される。図4に示されている実施形態では、放射線44は被覆体18の側縁部46から被覆体18に注入される。別の実施形態によれば、放射線44は、被覆体18の外周部で上面20又は下面21から、好ましくは下面21から被覆体18に注入される。本実施形態では、被覆体18の厚さは0.1 mm~1mmの範囲内であることが好ましい。被覆体18は、ガラス又はプラスチック材料で形成されてもよい。
【0051】
実施形態によれば、光源42によって放射されて被覆体18に伝搬するビーム44を平行にしないことが可能である。実施形態によれば、光源42によって放射されて被覆体18に伝搬するビーム44を実質的に平行にするため、ビーム44の光線は、被覆体18の上面20及び下面21に実質的に平行である。このため、画像センサ14によって取得される接触領域30の画像の均質性が高められ得る。
【0052】
図5及び図6は、指紋センサとしての画像取得システム40の動作を示す。図5に示されているように、被覆体18に伝搬する放射線が、対象12と上面20との接触領域30のレベルで拡散するため、接触領域30に対向する画像センサ14の光検出器28は、角度フィルタ16によってフィルタ処理された散乱放射線を受ける。図6に示されているように、被覆体18に伝搬する放射線は、谷32のレベルで被覆体18に閉じ込められたままであるため、谷32に対向する画像センサ14の光検出器28は放射線をほとんど受けないか、又は放射線を全く受けない。
【0053】
画像取得システム10又は画像取得システム40の別の適用例は、生体物質が置かれた透明な支持体を介した生体物質の画像、例えばペトリ皿に置かれた生体培養物の画像の取得に関する。
【0054】
図7は、表示システム50の実施形態を示す部分的な断面略図である。
【0055】
表示システム50は、図4に示されている画像取得システム40の全ての要素を備えており、被覆体18と角度フィルタ16との間に配置されている表示画面52を更に備えている。発光素子56のアレイが、光検出器28のアレイと平行な面に配置されている。光検出器28のアレイ及び発光素子56のアレイは、角度フィルタ16を挟んで積み重ねられている。
【0056】
図8A及び図8Bは夫々、表示システム50の更に詳細な実施形態を示す部分的な平面略図及び断面略図である。
【0057】
図9は、表示画面及び画像センサを備えた表示システムの別の実施形態を示す部分的な平面略図である。画像センサ14は支持体53に載置されている。
【0058】
表示画面52は、第1の支持体53と、第1の支持体53上に設けられた表示サブ画素54のアレイとを有している。
【0059】
表示画面52の表示サブ画素54のアレイは、図8A及び図9にのみ示されている。各表示サブ画素54は、本開示の残り部分では発光素子と称される、電磁放射線を放射することができる光電子素子56を有している。各発光素子56は、例えば発光ダイオードに相当し、特に有機発光ダイオード(OLED)に相当する。表示サブ画素54は、導電性トラックと、表示サブ画素を選択し得る不図示のスイッチング素子、特にトランジスタとを更に有してもよい。
【0060】
画像センサ14は、第2の支持体57と、第2の支持体57と第1の支持体53との間に配置された光子センサ又は光検出器28のアレイとを有している。図8Bには示されていない角度フィルタ16は、画像センサ14と表示画面52との間に配置されている。光検出器28は、不図示の透明な保護被覆体で覆われてもよい。画像センサ14は、導電性トラックと、光検出器28を選択し得る不図示のスイッチング素子、特にトランジスタとを更に有している。
【0061】
図8A及び図9には、各表示サブ画素54が正方形として示されており、各発光素子56は、実質的に正方形状の層の積層体に相当する。しかしながら、表示サブ画素54の形状及び発光素子56の形状は異なってもよく、例えば多角形であってもよいことは明らかなはずである。本実施形態では、平面視で、発光素子56によって占める表面積は表示サブ画素54の表面積より小さく、各表示サブ画素54は、発光素子56を少なくとも部分的に囲む中間領域58を有している。図8A図8B及び図9では、角度フィルタ16は示されていない。
【0062】
表示システム50は、例えばマイクロプロセッサを有して、画像センサ14からの信号を処理するための不図示の手段と、表示画面52を制御するための不図示の手段とを更に備えている。
【0063】
発光素子56のアレイは、光検出器28のアレイと平行な面に配置されている。光検出器28のアレイ及び発光素子56のアレイは、角度フィルタ16を挟んで積み重ねられている。
【0064】
実施形態によれば、光検出器28の遮蔽を避けるべく、発光素子56が平面視で光検出器28に完全に又は部分的に対向しないように、発光素子56の位置及び光検出器28の位置は僅かに偏移してもよい。この実施形態は、発光素子56が画像センサ14によって検出される放射線を通さず、発光素子56を囲む中間領域58が可視光及び/又は赤外光を5%より高い透過率で少なくとも部分的に通す場合に適合されている。実施形態によれば、光検出器28は、平面視で隣接画素の発光素子56間に配置されている。
【0065】
図8Aに示されている配置では、各光検出器28は、平面視で2つの隣接する表示サブ画素54間の共通の縁部に沿って延びている。図9に示されている配置では、各光検出器28は、平面視で4つの隣接した表示サブ画素54に共通の角部に配置されている。
【0066】
実施形態によれば、表示画面52全体は低い透過率を可視域に有してもよい。表示画面52が、反射体をバックライトユニットの裏側に有する液晶ディスプレイであるとき、このような構成が適合されてもよい。このような構成は更に、あるタイプのOLED画面に適合されてもよい。そのため、光源42によって放射される放射線44は、表示画面52が少なくとも部分的に放射線を通す可視域を除いた周波数範囲、例えば赤外域内にあってもよい。
【0067】
別の実施形態によれば、発光素子56が光検出器28によって取り込まれる放射線を少なくとも部分的に通す場合、発光素子56は、平面視で光検出器28に部分的又は完全に対向して配置されてもよい。
【0068】
図7に示されている実施形態では、画像センサ14によって検出される放射線は、光源42によって放射される放射線であり、表示画面52によって放射される放射線の波長領域とは異なる波長領域内にあってもよい。図8Bに示されている実施形態によれば、光源42は設けられていない。この場合、画像センサによって検出される放射線は、表示画面52の複数の発光素子56又は複数の発光素子56の一部によって放射される放射線に相当してもよい。特に、指紋を取り込む用途では、表示画面52は、対象12に反射する放射線を放射してもよく、反射放射線は、角度フィルタ16によって角度的にフィルタ処理されて画像センサ14によって検出されてもよい。実施形態によれば、指紋を取り込む用途では、同一の色、例えば青色の光を放射する表示画面52の発光素子56のみが起動する。
【0069】
同一の行又は同一の列の光検出器28間のピッチは、表示サブ画素54のピッチに実質的に相当し、200 dpi より大きく、好ましくは250 dpi ~2,000 dpi の範囲内であり、より好ましくは300 dpi ~2,000 dpi の範囲内である。
【0070】
実施形態によれば、各光検出器28は、400 nm~1,100 nmの波長領域の電磁放射線を検出することができる。光検出器28は、同一の波長領域の電磁放射線を検出可能であってもよい。変形例として、光検出器28は、異なる波長領域の電磁放射線を検出可能であってもよい。
【0071】
画像センサ14は、保護層18に置かれた不図示の動作要素、例えば、指又はスタイラスを検出するために使用される。実施形態によれば、光検出器28によって認識される動作要素の画像を使用する。実施形態によれば、動作要素の画像は、表示サブ画素54、特に動作要素で覆われた表示サブ画素54によって放射される光線の、動作要素上での反射によって特に形成される。別の実施形態によれば、動作要素の画像は、特に赤外線の検出に基づき、表示サブ画素54によって放射される放射線以外の別の電磁放射線の検出によって得られる。
【0072】
実施形態によれば、画像センサ14はユーザの少なくとも1本の指の指紋を検出するために使用され得る。画像センサ14はユーザの複数の指の指紋を同時的に検出するために使用され得ることが好ましい。実施形態によれば、画像センサ14はタッチ面の機能を果たしてもよく、そのため、表示システム50は、タッチ面上で指又は手を単に滑らせることにより制御可能な対話型ユーザインターフェースとして使用されてもよい。このような対話型ユーザインターフェースは、携帯電話、コンピュータ、テレビ、自動車、自動発券機、産業機器、医療機器などを制御するために特に使用されてもよい。
【0073】
各発光素子56は、既知の方法で特に2つの電極間に正孔輸送層(HTL) 、発光層(EML) 、電子輸送層(ETL) を含む層の積層体を有してもよい。適切な電圧を印加することによって、電子及び正孔が電極からEML に注入される。電子及び正孔はEML 内で再結合し、光子を放出する。
【0074】
図10及び図11は夫々、角度フィルタ16の実施形態を示す部分的な断面略図及び平面略図である。
【0075】
本実施形態では、角度フィルタ16は、支持体60と、支持体60に載置されて孔64を画定している壁62とを有している。支持体60から測定された壁62の高さを「h」と称する。支持体60は、光検出器28によって取り込まれる放射線を少なくとも部分的に通す材料で形成されている。壁62は、光検出器28によって検出される放射線を通さず、例えば、光検出器28によって検出される放射線を吸収する及び/又は反射する。実施形態によれば、壁62は、可視域及び/又は近赤外域及び/又は赤外域の放射線を吸収する。
【0076】
図11には、孔64が正方形の断面で示されている。一般に、平面図における孔64の断面は、円形、楕円形又は多角形であってもよく、例えば三角形、正方形又は矩形であってもよい。
【0077】
実施形態によれば、孔64は行及び列に配置されている。孔64の大きさは実質的に同一であってもよい。行方向又は列方向に沿って測定される孔64の幅を「w」と称する。実施形態によれば、孔64は行及び列に沿って規則的に配置されている。孔64の繰返しピッチ、つまり、行又は列の2つの連続的な孔64の中心間の平面視での距離を「p」と称する。
【0078】
図10及び図11に示されている角度フィルタ16は、入射角が支持体60に対して以下の式(1)によって定められる最大入射角αより小さい入射放射線の光線のみを通す。
tanα = w/h (1)
【0079】
w/hの比が小さければ小さい程、最大入射角αも小さくなる。角度フィルタ16のゼロ入射角の透過率は、角度フィルタ16の平面視での透明な表面積対吸収表面積の比に比例する。低い光レベルの用途では、透過率が画像センサ14によって集められる光の量を増加させるために最大であることが望ましい。高い光レベルの用途では、画像センサ14への過度な光を回避すべく、透過率を減少させてもよい。
【0080】
実施形態によれば、光検出器28は行及び列に分散してもよい。実施形態によれば、孔64のピッチpは、画像センサ14の光検出器28のピッチより小さい。この場合、複数の孔64が光検出器28に対向して設けられてもよい。実施形態によれば、孔64のピッチpは、画像センサ14の光検出器28のピッチと同一である。そのため、各孔64が光検出器28に対向するように、角度フィルタ16は画像センサ14と位置合わせされていることが好ましい。実施形態によれば、孔64のピッチpは、画像センサ14の光検出器28のピッチより大きい。この場合、複数の光検出器28が孔64に対向して設けられてもよい。
【0081】
h/wの比は1~10の範囲内であってもよい。ピッチpは10μm~30μmの範囲内であってもよく、例えば15μmであってもよい。高さhは1μm~1mmの範囲内であってもよく、好ましくは20μm~100 μmの範囲内であってもよい。幅wは5μm~30μmの範囲内であってもよく、例えば約10μmであってもよい。
【0082】
基板60は、透明なポリマーで形成されてもよく、特にポリ(エチレン)テレフタレートPET 、ポリ(メチル)メタクリレートPMMA、環状オレフィンポリマー(COP) で形成されてもよい。基板60の厚さは1~100 の範囲内であってもよい。基板60は、色フィルタ、偏光子、1/2波長板又は1/4波長板に相当してもよい。支持体60は、更に画像センサ14又は画像センサ14を覆う保護層に相当してもよい。
【0083】
孔64に空気が充填されてもよく、又は光検出器28によって検出される放射線を少なくとも部分的に通す材料、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)が充填されてもよい。変形例として、角度フィルタ16によって角度的にフィルタ処理される光線を色彩的にフィルタ処理するために、部分的に吸収する材料が孔64に充填されてもよい。そのため、角度フィルタ16は色フィルタの機能を更に果たしてもよい。このため、角度フィルタ16とは異なる色フィルタが設けられている場合に対してシステムの厚さを減少させることが可能になる。部分的に吸収する充填材料は、PDMSのような着色樹脂又は着色されたプラスチック材料であってもよい。
【0084】
孔64の充填材料は、屈折率を角度フィルタ16と接する上層と適合させるため、又は構造を堅くして角度フィルタ16の機械抵抗を高めるために適合されてもよい。
【0085】
図10及び図11に示されている実施形態では、壁62全体が、少なくとも角度的にフィルタ処理される波長を吸収する材料で形成されている。壁62は、着色樹脂、例えば着色又は黒色のSU-8樹脂で形成されてもよい。例として、壁62は、可視域及び近赤外域の放射線を吸収する黒色樹脂で形成されてもよい。別の例によれば、光源42が所与の色の光を放射する場合、光源42が多色の光を放射して画像センサ14が所与の色の光にのみ感応する場合、又は光源42が多色の光を放射して、画像センサ14が可視光に感応し、所与の色のフィルタが角度フィルタ16と検出対象との間に配置されている場合、壁62は、所与の色の可視光、例えば青色の光を吸収する着色樹脂で形成されてもよい。
【0086】
図10及び図11に示されている角度フィルタ16を製造する方法の実施形態は、
高さhと実質的に等しい厚さを有する支持体60上に着色樹脂層を堆積させる工程、
フォトリソグラフィにより着色樹脂層に壁62のパターンを印刷する工程、及び
着色樹脂層を現像して壁62のみを維持する工程
を有する。
【0087】
図10及び図11に示されている角度フィルタ16を製造する方法の別の実施形態は、
壁62の所望の形状に相補的な形状を有する透明な樹脂型を、フォトリソグラフィ工程によって形成する工程、
壁62を形成する材料を樹脂型に充填する工程、及び
得られた構造を樹脂型から取り除く工程
を有する。
【0088】
図10及び図11に示されている角度フィルタ16を製造する方法の別の実施形態は、高さhの色フィルタ、例えばPDMS、PMMA、PEC 、COP で形成された膜を穿孔する工程を有する。孔64の所望の大きさ及びピッチを得るために、例えば微小針を有する微小穿孔ツールを使用して穿孔を行ってもよい。
【0089】
実施形態によれば、角度フィルタ16は画像センサ14上に直接形成されており、そのため、支持体60は、画像センサ14又は画像センサ14を覆う保護層に相当してもよい。別の実施形態によれば、角度フィルタ16は画像センサ14とは別に形成される。そのため、その後、角度フィルタ16は、例えば積層によって画像センサ14に固定される。そのため、基板60の厚さは50μmより小さいことが好ましく、基板60は、画像センサ14によって測定される該当する波長を少なくとも部分的に通す。
【0090】
図12は、図10及び図11に示されている角度フィルタ16の壁62の代替的な実施形態を示す部分的な断面略図であり、各壁62は、画像センサ14によって検出される放射線を少なくとも部分的に通す第1の材料で形成されているコア66であって、光検出器28によって検出される放射線を通さない、例えば光検出器28によって検出される放射線を吸収する及び/又は反射する層68で覆われたコア66を有している。第1の材料は樹脂であってもよい。第2の材料は、金属、例えばアルミニウム(Al)若しくはクロム(Cr)、金属合金又は有機材料であってもよい。
【0091】
図12に示されている角度フィルタ16を製造する方法の実施形態は、
例えばスピンコーティング又はスロットダイコーティングによって、透明な樹脂層を支持体60上に堆積させる工程、
フォトリソグラフィにより樹脂層に壁62のパターンを印刷する工程、
樹脂層を現像して壁62のコア66のみを維持する工程、及び
特に選択的な堆積により、例えば第2の材料をコア66上のみに蒸着させることにより、又は、第2の材料の層をコア66上及びコア66間の支持体60上に堆積させて、支持体60上にある第2の材料を除去することにより、コア66上に層68を形成する工程
を有する。
【0092】
図13は、角度フィルタ16の別の実施形態を示す部分的な断面略図である。角度フィルタ16は、図10及び図11に示されている構造を有しており、壁62の最上部に載置されて孔64を覆うマイクロレンズ70を孔64毎に更に有している。
【0093】
各マイクロレンズ70により、所望の最大入射角より小さい入射角を有するが、マイクロレンズ70が設けられていない場合には壁62の表面によって遮断される入射放射線の光線の集光を高めることが可能になる点が有利である。このような実施形態は、光レベルが低い用途、例えば表示画面52を介したデジタル指紋の取り込みに特に適合されている。マイクロレンズ70はシリカ又はPMMAで形成されてもよい。孔64の充填材料は、マイクロレンズ70を形成する材料と同一であってもよい。
【0094】
マイクロレンズ70のピッチは光検出器28のピッチと同一であってもよく、又は光検出器28のピッチより小さくてもよい。マイクロレンズ70が設けられている場合、角度フィルタ16の孔64は、基本的にマイクロレンズ70と画像センサ14との間の光学的な微小絞りの機能を果たすため、マイクロレンズ70が設けられていない場合に対して、孔64のアスペクト比w/hの制約がより小さくなる。最大入射角は、孔64の幅w及びマイクロレンズ70の曲率によって決定される。
【0095】
図14は、図13に示されている実施形態の変形例を示す部分的な断面略図であり、孔64の断面が一定ではなく、マイクロレンズ70からの距離が増大するにつれて減少する。図14の左側部分は、角度フィルタ16によって遮断されない垂直入射の光線を示し、図14の右側部分は、角度フィルタ16によって遮断される斜め入射の光線を示す。
【0096】
図15は、図13に示されている実施形態の変形例を示す部分的な断面略図であり、各孔64が関連するマイクロレンズ70の焦点を実質的に中心とするように、壁62は実質的にマイクロレンズの焦点面のレベルに設けられた薄層に形成されている。図15の左側部分は、角度フィルタ16によって遮断されない垂直入射の光線を示し、図15の右側部分は、角度フィルタ16によって遮断される斜め入射の光線を示す。有効表面積の減少により画素の実効感度を減少させずに、焦点面(又は焦点面の近く)に配置されたこのような開口部によってフィルタの角度選択性を維持することが可能になる。
【0097】
図14又は図15に示されている角度フィルタ16を製造する方法の実施形態は、
マイクロレンズを透明な支持体の上面に、特に印刷技術によって形成する工程、
ポジ型レジストの層を支持体の下面に形成する工程、及び
マイクロレンズ70のアレイによって形成されたマスクを通して平行にした光にポジ型レジストを露出して孔64を層に形成し、樹脂の露出部分を除去する工程
を有する。
【0098】
この実施形態では、マイクロレンズ70を孔64と自動的に位置合わせすることが可能である。
【0099】
図16は、図13に示されている実施形態の変形例を示す部分的な断面略図であり、壁62は、マイクロレンズ70が載置される縁部72と、縁部72からマイクロレンズ70間に延びる端部分74とを有している。このため、隣り合うマイクロレンズ70間のクロストークを減少させることが可能になる。
【0100】
図17は、角度フィルタ16の別の実施形態を示す部分的な断面略図であり、角度フィルタ16は光ファイバプレートを有している。光ファイバプレートは、光軸が実質的に平行な複数の光ファイバ76を有しており、光ファイバ76の光軸は、画像センサ14によって検出されるゼロ入射角の光線の軸芯と平行である。各光ファイバ76のコア80は、画像センサ14によって検出される放射線を通す第1の材料で形成されている。各光ファイバ76のシース78はコア80を囲んでおり、コア80の屈折率より小さな屈折率を有する材料で形成されている。光ファイバ76のシース78はモノブロック構造を形成してもよい。
【0101】
図18は、画像センサ14のより詳細な実施形態を示す平面図であり、各光検出器28はフォトダイオードに相当し、画像センサ14は各フォトダイオード28に関連する選択素子90を有している。
【0102】
選択素子90は、トランジスタ、例えばアモルファスシリコンで形成されたトランジスタ、低温ポリシリコントランジスタ(LTPS)、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物のトランジスタ(IGZO)、又は有機電界効果トランジスタ(OFET)、特に有機薄膜トランジスタ(OTFT)に相当してもよい。
【0103】
トランジスタ90のソース及びドレインの内の一方の端子がフォトダイオードの下部電極92に接続素子94によって接続されており、ソース及びドレインの内の他方の端子が導電性トラック96に接続されている。各導電性トラック96は、同一の列の全てのトランジスタ90に接続されてもよい。各トランジスタ90のゲートは、導電性トラック98によって伝送される信号によって制御されてもよい。各導電性トラック98は、同一の行の全てのトランジスタ90に接続されてもよい。
【0104】
図19は、図18に示されている画像センサ14を備えた表示システム50のより詳細な実施形態を示す断面図である。1つの光検出器28及び関連する選択素子90のみが図19に示されている。表示画面52は図19に詳細には示されていない。
【0105】
画像センサ14は、図19の下から上に、
対向する2つの表面100, 102を有する支持体53と、
支持体53の表面100 に載置されているトラック98と、
特にトラック98を覆っている絶縁層の積層体104 と、
関連するトラック98から絶縁層の積層体104 によって分離しているトランジスタ90のドレイン領域及びソース領域が形成されている半導体部分106 と、
絶縁層の積層体104 上に延びている接続素子94及び導電性トラック96と、
半導体部分106 及び導電性トラック96を覆って、接続素子94の一部を露出する開口部110 を有する電気絶縁層108 と、
絶縁層108 を覆って、開口部110 を介して接続素子94と接している活性層112 (活性層112 と接している接続素子94の部分が光検出器28の下部電極92を形成している)と、
活性層112 を覆って、光検出器28の上部電極を形成している導電層114 と、
導電層114 を覆っている接着層116 と
を連続的に有している。
【0106】
角度フィルタは図19には示されていない。
【0107】
本実施形態では、活性層112 及び上部電極114 は全ての光検出器28に共通である。入射放射線の大部分が吸収されて光検出器28によって電気信号に変換される領域に相当する各光検出器28の活性領域は、下部電極92と上部電極114 との間にある活性層112 の部分に実質的に相当する。
【0108】
支持体57は誘電体材料で形成されてもよい。支持体57は、例えば、特にはガラスで形成された剛性の支持体、又は例えばポリマー若しくは金属材料で形成された可撓性の支持体である。ポリマーの例として、ポリエチレンナフタレン(PEN) 、ポリエチレンテレフタレート(PET) 、ポリイミド(PI)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)がある。支持体57の厚さは、例えば20μm~1cmの範囲内であり、例えば約125 μmである。
【0109】
導電性トラック96, 98及び接続素子94は金属材料で形成されてもよい。導電性トラック96, 98及び接続素子94は、単層又は多層構造を有してもよい。
【0110】
導電性トラック114 は、表示画面52から生じる光放射線を少なくとも部分的に通す。導電層114 は、導電性の透明な材料、例えば透明導電性酸化物、つまりTCO 、カーボンナノチューブ、グラフェン、導電性ポリマー、金属、又はこれらの化合物の内の少なくとも2つの混合物若しくは合金で形成されてもよい。導電層114 は単層又は多層構造を有してもよい。
【0111】
導電層114 を形成し得るTCO の例として、酸化インジウムスズ(ITO) 、酸化アルミニウム亜鉛(AZO) 及び酸化ガリウム亜鉛(GZO) である。導電層114 を形成し得る導電性ポリマーの例として、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン及びポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウムの混合物であるPEDOT:PSS として知られているポリマーと、PAniとも称されるポリアニリンとがある。導電層114 を形成し得る金属の例として、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)及びクロム(Cr)がある。導電層114 を形成し得る多層構造の例として、AZO/Ag/AZOタイプの多層のAZO 及び銀の構造がある。
【0112】
導電層114 の厚さは10nm~5μmの範囲内であってもよく、例えば30nm程度であってもよい。導電層114 が金属製である場合、導電層114 の厚さは20nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
【0113】
誘電体層108 及び/又は積層体104 の各層は、フッ素化ポリマー、特にBellexによって商標名Cytop で商品化されているフッ素化ポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP) 、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、パリレン、ポリイミド(PI)、又はこれらの化合物の内の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。変形例として、誘電体層108 及び/又は積層体104 の各層は、無機誘電体、特に窒化珪素(SiN) 又は酸化珪素(SiOx)で形成されてもよい。各誘電体層104, 108の最大の厚さは、50nm~2μmの範囲内であってもよく、例えば200 nm程度であってもよい。
【0114】
活性層112 は、小分子、オリゴマー又はポリマーを含んでもよい。これらは有機材料であってもよく、又は無機材料であってもよい。活性層112 は両極性半導体材料を含んでもよく、又は、例えば積層された層若しくはバルクヘテロ接合を形成すべくナノメートルスケールで完全な混合物の形態でN型半導体材料及びP型半導体材料の混合物を含んでもよい。活性層112 の厚さは、50nm~2μmの範囲内であってもよく、例えば500 nm程度であってもよい。
【0115】
活性層112 を形成し得るP型の半導体ポリマーの例として、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9'-ヘプタデカニル-2,7- カルバゾール-alt-5,5-(4,7-di-2-チエニル-2',1',3'-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-bis-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b']ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン))-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシロキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV)、又は、ポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ)[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPHOTODETECTORBT)がある。
【0116】
活性層112 を形成し得るN型の半導体材料の例として、フラーレン、特にC60 、[6,6]-フェニル-C61-メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71-メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛(ZnO) 又は量子ドットを形成し得るナノ結晶がある。
【0117】
活性層112 は、図示されていない第1の界面層と第2の界面層との間に配置されてもよい。第1の界面層によって、下部電極92又は上部電極114 の仕事関数を、活性層112 に使用されるアクセプタ材料の電子親和力と合わせることが可能になる。第1の界面層は、炭酸セシウム(CSCO3) 、金属酸化物、特に酸化亜鉛(ZnO) 、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。第1の界面層は、自己組織化された単分子層又はポリマー、例えば、ポリエチレンイミン、エトキシ化ポリエチレンイミン、ポリ[(9,9-bis(3'-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)]を含んでもよい。第2の界面層によって、他方の下部電極92又は上部電極114 の仕事関数を、活性層112 に使用されるドナー材料のイオン化ポテンシャルと合わせることが可能になる。第2の界面層は、酸化銅(CuO) 、酸化ニッケル(NiO) 、酸化バナジウム(V2O5)、酸化マグネシウム(MgO) 、酸化タングステン(WO3) 、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。フォトダイオード分極モードに応じて、界面層は、電極から活性層112 への収集、注入又は遮断を容易にする。各界面層の厚さは0.1 nm~1μmの範囲内であることが好ましい。
【0118】
接着層116 によって、画像センサ14を表示画面52に固定することが可能になる。接着層116 は誘電体材料で形成されてもよい。接着層116 の厚さは、1μm~100 μmの範囲内であってもよく、例えば15μmであってもよい。例として、接着層116 はエポキシ系接着剤に相当する。別の例によれば、接着層116 は感圧接着剤、つまりPSAに相当する。
【0119】
図20は、図18に示されている画像センサ14を備えた表示システム50の別のより詳細な実施形態を示す、図19と同様の断面図である。画像センサ14は、接続素子94が活性層112 と直接接しておらず、画像センサ14が、下部電極の機能を果たして絶縁層108 に載置され活性層112 と接し、開口部110 を通って接続素子94と接している導電層115 を光検出器28毎に有している点を除いて、図19に示されている実施形態と同一の要素を備えている。下部電極115 と活性層112 との接触面が、図19に示されている実施形態の接続素子94と活性層112 との接触面より大きくなり得ることが有利である。
【0120】
実施形態によれば、画像センサ14は、上部電極114 と接着層116 との間に配置されている、例えば誘電体材料で形成された保護層を有してもよい。
【0121】
実施形態によれば、特に各光検出器28が、表示画面52の保護層18に垂直な軸芯に対して45°より小さい、好ましくは30°より小さい入射角を有する放射線のみを受けるように、画像センサ14は、表示画面52の保護層18に対する入射放射線の入射角に応じて入射放射線をフィルタ処理するためのフィルタ処理手段を有してもよい。このため、各光検出器28からの信号のノイズを減らし得ることが有利である。実施形態によれば、フィルタ処理手段は、光検出器28のアレイを覆うピンホールのアレイを有してもよい。別の実施形態によれば、フィルタ処理手段はレンズ、例えばフレネルレンズのアレイを有してもよい。別の実施形態によれば、フィルタ処理手段は、表示画面52の表面に実質的に垂直な平行な光軸を有し、光検出器28のアレイを覆っている光ファイバのアレイを有してもよい。
【0122】
図21は、図18に示されている画像センサ14を備えた表示システム50の別のより詳細な実施形態を示す、図19と同様の断面図である。画像センサ14は、図19に示されている実施形態と同一の要素を有しており、光検出器28によって検出される放射線を通さない材料の層118 を更に有しており、層118 は、光検出器28によって検出される放射線を少なくとも部分的に通す材料122 が充填された開口部120 を光検出器28毎に有している。
【0123】
実施形態によれば、画像センサ14は、表示画面52と活性層112 との間に配置された、波長に応じて入射放射線をフィルタ処理するためのフィルタ処理手段を有してもよい。フィルタ処理手段は、光検出器28によって検出される波長領域に亘って検出される動作要素から生じる放射線を通すことができるフィルタであってもよい。
【0124】
図22は、図18に示されている画像センサ14を備えた表示システム50の別のより詳細な実施形態を示す、図19と同様の断面図である。画像センサ14は、活性層112 が検出画素毎に活性部分124 と取り替えられている点を除いて、図19に示されている実施形態と同一の要素を有している。このため、図19に図示されている実施形態で観察され得る光学的なクロストークの危険性を抑えることが可能になる。全ての活性部分124 は活性層112 の組成と同一の組成を有してもよい。変形例として、活性部分124 は異なる組成を有してもよく、異なる波長の光放射線を検出可能であってもよい。
【0125】
図19図22に関連して前述された実施形態では、トランジスタ90のゲートを形成するトラック98が支持体53と半導体部分106 との間に配置されているので、トランジスタ90はボトムゲート型トランジスタである。別の実施形態によれば、トランジスタ90は、トランジスタ90の半導体部分106 が支持体53と、ゲートを形成するトラック98との間に配置されているトップゲート型トランジスタであってもよい。
【0126】
実施形態によれば、表示システム50を製造する方法では、表示画面52を製造し、画像センサ14を製造し、画像センサ14を表示画面52に接着層116 で取り付ける。
【0127】
表示システム50を製造する方法によって、従来の表示画面及び/又は画像センサの構造を直接再利用し得ることが有利である。更に、表示画面52及び画像センサ14が別々に形成されるため、画像センサの要素を製造する工程は表示画面の要素を製造する工程と干渉せず、及び/又はその逆も同様である。更に、表示画面及び画像センサは、表示画面及び画像センサに関して異なる動作制約に対応するように構成され得る、同一の性質の電子部品、特にトランジスタを有してもよい。
【0128】
対象とする材料に応じて、画像センサ14の層を形成する方法は、例えば、特にはソル-ゲル形態で所望の位置に有機層を形成する材料の直接印刷によるいわゆるアディティブ処理、例えばインクジェット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーニング、フレキソ印刷、スプレーコーティング又はドロップキャストによるアディティブ処理に相当してもよい。対象とする材料に応じて、画像センサ14の層を形成する方法は、いわゆるサブトラクティブ法に相当してもよく、この方法では、有機層を形成する材料を構造全体に堆積させ、その後、例えばフォトリソグラフィ又はレーザアブレーションによって未使用部分を除去する。更に、対象とする層及び材料に応じて、有機層を形成する材料を構造全体に堆積させて、所定の位置に残してもよく、そのため、光検出器28のピッチは下部電極92の位置によって得られる。対象とする材料に応じて、構造全体の堆積を、例えば液相成長法、カソードスパッタリング法又は蒸着法によって行ってもよい。スピンコーティング、スプレーコーティング、写真製版、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソ印刷又はシルクスクリーンのような方法を特に使用してもよい。層が金属製であるとき、金属を、例えば支持体全体に蒸着法又はカソードスパッタリング法によって堆積させ、金属層をエッチングによって画定する。
【0129】
画像センサ14の層の少なくとも一部を印刷技術によって形成してもよいことが有利である。前述の層の材料を、液体の形態で、例えばインクジェットプリンタにより導電性の半導体インクの形態で堆積させてもよい。本明細書では「液体の形態の材料」は、印刷技術によって堆積され得るゲル材料を更に表す。アニール工程を異なる層の堆積間に行ってもよいが、150 ℃を超えるアニール温度は不可能であり、堆積及び行う場合はアニールを大気圧で行ってもよい。
【0130】
具体的な実施形態が述べられている。様々な変更及び調整が当業者に想起される。特に、前述した角度フィルタ16は、角度フィルタ16を横切る放射線を平行にするために更に使用されてもよい。更に、角度フィルタは偏光フィルタとして使用されてもよく、偏光フィルタは、偏光膜の穿孔によって形成されてもよく、又は偏光層上に形成されてもよい。角度フィルタに達する放射線が例えば直線的に偏光するとき、放射線が偏光フィルタによって実質的に遮断されるように、偏光膜の偏光方向は、放射線の偏光方向とは異なるように選択されている。更に、前述した実施形態では、電界効果トランジスタは各発光素子に関連付けられているが、2以上の電界効果トランジスタが各発光素子に関連付けられてもよいことは明らかなはずである。同様に、前述した実施形態では、電界効果トランジスタが画像センサの各光検出器に関連付けられているが、2以上の電界効果トランジスタが各光検出器に関連付けられてもよいことは明らかなはずである。異なる変形例を有する様々な実施形態が上記に述べられている。当業者は、いかなる進歩性も示さずにこれらの様々な実施形態及び変形例を組み合わせてもよいことに留意すべきである。特に、図10図17に関連して記載されている角度フィルタは、図1に示されている画像取得システム10、図2に示されている画像取得システム25、図4に示されている画像取得システム40又は図7に示されている表示システムと共に実施されてもよい。更に、図21に関連して記載されているフィルタ処理層118 は、図20及び図22に関連して記載されている実施形態と共に更に使用されてもよい。
【0131】
本特許出願は、仏国特許出願第17/51789 号明細書及び仏国特許出願第17/57669 号明細書の優先権を主張しており、その内容全体が、特許法で許容可能な最大限に至るまで参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8A
図8B
図9
図10
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図16
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図18
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図21
図22