(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】少なくとも1つの内部溝で構成されるベローズ
(51)【国際特許分類】
F16J 3/04 20060101AFI20221014BHJP
F16D 3/84 20060101ALI20221014BHJP
F16J 15/52 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F16J3/04 B
F16D3/84 Q
F16D3/84 R
F16D3/84 Z
F16J3/04 C
F16J15/52 C
(21)【出願番号】P 2019557673
(86)(22)【出願日】2017-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2017050487
(87)【国際公開番号】W WO2018130277
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-08-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507334967
【氏名又は名称】ゲーカーエン ドライブライン インターナショナル ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】GKN DRIVELINE INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】ダイジンガー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッテ,ヨアヒム
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】実公昭62-016541(JP,Y2)
【文献】特開2002-340013(JP,A)
【文献】特開2005-036983(JP,A)
【文献】特開2013-204685(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004037715(DE,A1)
【文献】実開昭56-157465(JP,U)
【文献】特開平08-232971(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0164500(US,A1)
【文献】特開2009-068510(JP,A)
【文献】特開2006-118612(JP,A)
【文献】特開2010-025255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 3/04
F16D 3/84
F16J 15/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の第1の締結領域(12)及び第2の締結領域(14)と、その間のプリーツ領域(16)と、を有し、
上記第1の締結領域(12)は、
内向きに膨出する複数の膨出体(30.1、30.2、30.3、32.1、32.2、32.3)と、
上記膨出体(30.1、30.2、30.3、32.1、32.2、32.3)間に位置する接続領域(34.1、34.2、34.3、34.4、34.5、34.6)と、を含み、
複数の上記膨出体及び上記接続領域は、周方向において並び、
上記膨出体(30.1、30.2、30.3、32.1、32.2、32.3)は、締結相手と嵌合する複数のローブ領域(30.1、30.2、30.3)を少なくとも含み、
上記第1の締結領域(12)は、
外周面である接続シート領域表面(38)及び内周面である内面(40)を有する円筒状であって、複数の上記膨出体(30.1、30.2、30.3、32.1、32.2、32.3)及び上記接続領域(34.1、34.2、34.3、34.4、34.5、34.6)の一部である接続シート領域(36)を含み、
上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)における上記内面(40)から凹み、上記接続領域(34.1、34.2、34.3、34.4、34.5、34.6)との境界部まで周方向に沿って延びる少なくとも1つの内側溝(70.1、70.2)が設けられており、
上記内側溝(70.1、70.2)の深さは、主軸方向及び周方向における上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)の中央に向かって増加し、
上記接続シート領域表面(38)と少なくとも1つの上記内側溝(70.1、70.2)の溝底部(72)との間で決定される上記接続シート領域(36)の部材の厚みS1は、上記接続領域(34.1、34.2、34.3、34.4、34.5、34.6)における部材の厚みよりも厚いブーツ
(10)。
【請求項2】
上記内側溝(70.1、70.2)が設けられた上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)における上記接続シート領域表面(38)から凹んでおり、平行であって、かつ周方向に延びる少なくとも2つの外側溝(52、54)を更に備え、
上記外側溝(52、54)は、一の部材によって区画されており、
上記内側溝(70.1、70.2)は、主軸方向において2つの上記外側溝(52、54)の間に位置しており、かつ径方向において当該外側溝(52、54)と対向していない請求項
1に記載のブーツ。
【請求項3】
上記ブーツ(10)の主軸(11)を含み、上記第1の締結領域(12)及び第2の締結領域(14)を通過する平面によって画定される断面において、少なくとも1つの上記内側溝(70.1、70.2)は、上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)において放物線状の形状を有する請求項1
又は2に記載のブーツ。
【請求項4】
上記ブーツ(10)の主軸(11)を含み、上記第1の締結領域(12)及び第2の締結領域(14)を通過する平面によって画定される断面において、少なくとも1つの上記内側溝(70.1、70.2)及び少なくとも2つの上記外側溝(52、54)は、上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)において放物線状の形状を有する請求項
2に記載のブーツ。
【請求項5】
上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)において、上記内側溝(70.1、70.2)と、上記外側溝(52、54)とは異なる深さを有する請求項
2または
4に記載のブーツ。
【請求項6】
少なくとも2つの上記外側溝(52、54)の深さが、上記
周方向おいて、上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)の中央に向かって増加する請求項
2、4、5のいずれかに記載のブーツ。
【請求項7】
少なくとも1つの上記内側溝(70.1、70.2)に、少なくとも1つの補強リブ(74.1、74.2)が設けられている請求項1から
6のいずれかに記載のブーツ。
【請求項8】
少なくとも2つの上記外側溝(52、54)に、少なくとも1つの外側溝補強リブ(60.1、60.2、60.3、60.4、60.5、60.6)が設けられている請求項
2、4、5、6のいずれかに記載のブーツ。
【請求項9】
上記補強リブ(74.1、74.2)のうちの少なくとも1つは、径方向に突出する請求項
7に記載のブーツ。
【請求項10】
上記外側溝補強リブ(60.1、60.2、60.3、60.4、60.5、60.6)のうちの少なくとも1つは、径方向に突出する請求項
8に記載のブーツ。
【請求項11】
上記補強リブ(74.1、74.2)の少なくとも1つは、上記ブーツ(10)の径方向に対して角度を成して形成されている請求項
7又は
9に記載のブーツ。
【請求項12】
上記外側溝補強リブ(60.1、60.2、60.3、60.4、60.5、60.6)の少なくとも1つは、上記ブーツ(10)の径方向に対して角度を成して形成されている請求項
8又は
10に記載のブーツ。
【請求項13】
上記外側溝(52、54)が環状溝を形成している請求項
2、4、5、6、8、10、12のいずれかに記載のブーツ。
【請求項14】
少なくとも1つの上記内側溝(70.1、70.2)が、主軸方向において、上記接続シート領域(36)の中央に位置する請求項1から
13のいずれかに記載のブーツ。
【請求項15】
少なくとも2つの上記外側溝(52、54)の溝底部(58.1、58.2)と上記内面(40)との間で決定される上記接続シート領域(36)の部材の厚み(S2)は、一の上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)と他の一の上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)とで同じである請求項
2、4、5、6、8、10、12、13のいずれかに記載のブーツ。
【請求項16】
上記第1の締結領域(12)における上記内面(40)上に少なくとも2つの封止リップ(62.1、62.2)が設けられている請求項1から
15のいずれかに記載のブーツ。
【請求項17】
上記第1の締結領域(12)における上記内面(40)上に少なくとも2つの封止リップ(62.1、62.2)が設けられており、
少なくとも2つの上記封止リップ(62.1、62.2)は、少なくとも2つの上記外側溝(52、54)の下に位置し、少なくとも上記ローブ領域(30.1、30.2、30.3)に位置する請求項
2、4、5、6、8、10、12、13、15のいずれかに記載のブーツ。
【請求項18】
上記接続領域(34.1、34.2、34.3、34.4、34.5、34.6)における上記内面(40)に2つの位置決めリブ(64.1、64.2)が設けられている請求項1から
17のいずれかに記載のブーツ。
【請求項19】
上記内面(40)上に設けられた少なくとも2つの封止リップ(62.1、62.2)が、上記位置決めリブ(64.1、64.2)の間に設けられている請求項
18に記載のブーツ。
【請求項20】
主軸を含む断面において、上記内面(40)上に設けられた少なくとも2つの封止リップ(62.1、62.2)の断面形状と、上記内面(40)に設けられた2つの位置決めリブ(64.1、64.2)の断面形状とが互いに異なる請求項
19に記載のブーツ。
【請求項21】
上記膨出体(30.1、30.2、30.3、32.1、32.2、32.3)は、上記締結相手をガイドするガイド領域(32.1、32.2、32.3)を更に含み、
上記ガイド領域は、上記ローブ領域間に位置しており、
上記ガイド領域(32.1、32.2、32.3)における上記内面(40)から凹む少なくとも1つのガイド領域内側溝が設けられており、
上記ガイド領域内側溝の深さは、主軸方向における上記ガイド領域(32.1、32.2、32.3)の中央に向かって増加する請求項1から
20のいずれかに記載のブーツ。
【請求項22】
上記ガイド領域内側溝が設けられた上記ガイド領域(32.1、32.2、32.3)における上記接続シート領域表面(38)から凹んでおり、互いに平行であって、かつ周方向に延びる少なくとも2つのガイド領域外側溝が設けられ、
上記ガイド領域外側溝は、一の部材によって区画されており、
上記ガイド領域内側溝は、主軸方向において2つの上記ガイド領域外側溝の間に位置しており、かつ径方向において当該ガイド領域外側溝と対向していない請求項
21に記載のブーツ。
【請求項23】
上記ガイド領域(32.1、32.2、32.3)において、上記
ガイド領域内側溝と、上記
ガイド領域外側溝とは異なる深さを有する請求項
22に記載のブーツ。
【請求項24】
上記ガイド領域外側溝が環状溝を形成している請求項
23に記載のブーツ。
【請求項25】
ジョイントシャフト接続を封止するための請求項1から
24のいずれかに記載のブーツの使用方法。
【請求項26】
請求項1から
24のいずれかに記載のブーツを有するジョイントシャフト接続。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は最低1つの内部溝で構成されるブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、第1の締結領域と、第2の締結領域と、それらの間にあるプリーツ領域と、本発明に係るブーツの使用と、本発明に係るブーツを含むジョイントシャフト接続と、に関し、第1の締結領域は、ローブ領域及び/又はガイド領域と、接続シート領域とを含む。
【0003】
従来のブーツは、封止ジョイントとして、特に、自動車のドライブラインや、種々の実用車両に使用されている。
【0004】
等速ジョイントの形態で使用されるジョイントは、従来技術では、通常、径方向の3つの凹部を外周に有する。
【0005】
このように形成された外形は、3つのローブを有するものと称され、これらのジョイントは、一般に、トリローブ等速ジョイントと呼ばれる。
【0006】
ブーツの目的は、異物や水がジョイント内に侵入するのを防ぐために、また、グリースが漏れ出るのを防ぐために、接続領域を封止することである。
【0007】
封止効果は、ジョイントハウジングのトリローブ外形が、対応する位置に厚い部材を設けることによってブーツの接続領域内に形成されることによっても得ることができる。
【0008】
このようにして形成された突起は、一定の半径を有する締結領域が設けられた場合に、ジョイントハウジングの3つのローブの外形の半径の差を補い、結果、クランプやテンションストラップや一般的なコネクタなどの締結要素が使用可能となる。
【0009】
欧州特許第1182372号に記載の従来のブーツは、円周の長さを有するジョイントハウジングに面する締結要素の締結領域のトリローブ領域に少なくとも1つのスロットと、トリローブ領域に関連する全部材を実質的に貫通して延びる径方向の深さとを有し、そのような構成の3つのローブ領域は丈夫ではなく、ここで、トリローブ領域の少なくとも1つのスロットは、隣接するトリローブ領域の少なくともさらに他のスロットと間隔を空けて、ブーツの周縁を超えて延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術に係る従来のブーツの欠点は、締結領域が大きいため、締結したときにコネクタが割れやすく、或いは、ジョイントハウジングの外側に設けられた周方向に延びる溝の境界において封止が失敗するかもしれないことである。
【0012】
欧州特許第1182372号に記載されるように、トリローブ領域に多数の平行スロットが設けられている場合、露出したリブが平行スロット間に設けられるが、このリブは、コネクタが設置されて締結される際に曲がる傾向があり、部材が柔らか過ぎたり硬すぎたりする場合、締結時にコネクタが破損するおそれがある。
【0013】
従って、本発明の目的は、トリローブの外形を有するジョイントハウジングに配置することができ、従来技術の問題点を回避するブーツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この目的は、上述の導入部に記載された種類のブーツによって達成され、ここで、第1の締結領域は、接続シート領域表面とその反対側の内面とを有する接続シート領域を、ローブ領域及び/又はガイド領域内に含み、ここで、当該内面は、少なくとも1つの内側溝を有している。
【0015】
上記内面に複数の内側溝がある場合、これらの内側溝は、実質的に互いに平行である。
【0016】
特に、適切な1つの溝が内面に設けられることが好ましい。
【0017】
本発明者らは、ローブ領域及び/又はガイド領域内の第1の接続シート領域の内面に少なくとも1つの内側溝を設けることによって、破損の問題及びそこに挿入されるコネクタの封止の問題が有効に回避されると判断した。
【0018】
少なくとも1つの内側溝が、第1の接続シート領域の内面上のローブ領域及び/又はガイド領域に設けられることが好ましい。
【0019】
また、少なくとも1つの内側溝が、接続領域内に設けられないことが好ましい。
【0020】
本発明に係るブーツの好ましい実施形態では、第1の締結領域の内面は、ローブ領域及び/又はガイド領域内に溝の形状として形成された内側溝を有し、ここで、ローブ領域及び/又はガイド領域ごとに適切な1つの内側溝が設けられることがさらに好ましい。
【0021】
したがって、少なくとも1つの内側溝は、第1の締結領域の内面において、環状溝のような周方向に延びる溝を形成しない。
【0022】
本発明に係るブーツの好ましい実施形態では、第1の締結領域の内面は、従って、ローブ領域及び/又はガイド領域内の溝要素の形状の内側溝を有し、各ローブ領域及び/又は各ガイド領域内に正確に1つの内側溝が設けられることがさらに好ましい。
【0023】
したがって、少なくとも1つの内側溝は、環状溝であり、第1の締結領域の内面上に円周方向の溝を形成しない。
【0024】
溝要素からなる少なくとも1つの内側溝が、ローブ領域及び/又はガイド領域にのみ設けられる場合、好ましくは両方の領域において、少なくとも1つの内側溝の個々の溝要素は、少なくとも1つの内側溝の底部を通過する共通平面内において延びており、すなわち、少なくとも1つの内側溝の個々の溝要素は、第1の接続シート領域の周縁に沿って連続的に形成される。
【0025】
少なくとも1つの内側溝のこれらの溝要素が、接続領域を介して他の溝要素と接続される場合、本発明の他の実施形態の場合と同様に、周方向に延びる環状の内側溝が形成される。
【0026】
内側溝は、接続領域において、ローブ領域及び/又はガイド領域とは異なる断面形状を有することができる。
【0027】
本発明に係るブーツは、例えば、3つのローブ領域を有することができ、例えば、3つのローブ領域を接続する3つの接続領域をさらに有することができる。
【0028】
また、3つのローブ領域と3つのガイド領域とを設けることができ、それらの領域は、6つの接続領域によって互いに接続される。
【0029】
本発明に係るブーツの第1の締結領域のローブ領域は、トリローブジョイントハウジング上に形成された凹部(径方向の凹部)に適した放射状であって、かつシャフトに向かって延びる外形の補強部分を、その内面に有している。
【0030】
また、ガイド領域は、ジョイントハウジングに面する第1の締結領域の内面に補強部分を有するが、これらの補強部分は、線状の外形を有する。
【0031】
好ましい実施形態では、適切なローブ領域内に少なくとも1つの内側溝を設けることができ、別の好ましい実施形態では、ローブ領域及びガイド領域内に少なくとも1つの内側溝を設けることができ、さらには、ローブ領域及びガイド領域にそれぞれ1つの内側溝を設けることが好ましい。
【0032】
あるいは、少なくとも1つ、好ましくは適切な1つの内側溝が、適切なガイド領域に設けられてもよい。
【0033】
第1の締結領域は、ローブ領域及び/又はガイド領域に比べ、より薄く、好ましくは一定の厚みの接続領域を有する。
【0034】
本発明に係るブーツのプリーツ領域は、少なくとも1つのプリーツを有し、このプリーツは、第1の締結領域に面するプリーツ頂部及びプリーツ凹部を有し、プリーツ凹部は、第2の締結領域に面しており、ここで、通常、少なくとも1つの他のプリーツが、第2の締結領域に面するプリーツ凹部と接続している。
【0035】
プリーツ領域は、多数のプリーツ、例えば、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上のプリーツを有することができる。
【0036】
プリーツ領域内のプリーツは、第1の接続シート領域から第2の接続シート領域に向かって減少する直径を有することができ、それらは、同じ直径を有する部分を有することができる。
【0037】
一例として、プリーツの頂点に関して第2の接続シート領域に向かって直径が減少するプリーツが1個から3個、次にプリーツの頂点に関して同じ直径を有するプリーツが2個から4個、その後、プリーツのピークに関して第2の締結領域に向かって減少する直径を有するプリーツが1個から3個、存在することができる。
【0038】
プリーツ領域の他の構成も可能である。
【0039】
プリーツ凹部は、他の形状であってもよく、例えば、プリーツ凹部の形状は、本発明に係るブーツに対する特別な要求に関してブーツの汎用性を高めるために、補強部材や部材の削減によって細分化することができる。
【0040】
好ましい実施形態では、第1の締結領域に供される部材の厚みS1は、接続シート領域表面と、少なくとも1つの内側溝内の溝底部との間の距離で決定され、この溝底部は、ローブ領域及び/又はガイド領域内において実質的に一定の厚みを有する。
【0041】
「実質的に」とは、ローブ領域及び/又はガイド領域におけるそれぞれの部材の厚みが、本発明に記載される通り、部材の厚みについて、互いに±20%以下、好ましくは±10%以下、さらに好ましくは±2%以下、から外れることを意味する。
【0042】
この有利な実施形態では、少なくとも1つの内側溝より上の第1の締結領域の部材は、近接するコネクタから力を受けると、ローブ領域及び/又はガイド領域と実質的に同じように有利に挙動する、すなわち、接続領域よりも大きな厚みの部材からなるローブ領域及び/又はガイド領域において均一な挙動を得ることができる。
【0043】
少なくとも1つの内側溝は、好ましくは、第1の接続シート領域を通る断面において、第1の締結領域の内面の中央部に位置し、ここにおいて、当該断面は、本発明に係るブーツの主軸を含む平面によって定義され、第1の締結領域及び第2の締結領域を通過する。
【0044】
溝の数が奇数であって、少なくとも1つの内側溝がさらに存在する場合、好ましくは、内側溝のうちの1つは、上述と同様に、第1の締結領域の内面のほぼ中央にある。
【0045】
内側溝の数が偶数である場合、溝は、好ましくは、第1の締結領域の内面に均等に配置され、ここにおいて、溝は、上記断面に垂直であって第1の締結領域を分割する面に対して対称に、第1の締結領域の内面に配置される。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも2つの実質的に平行な外側溝が、接続シート面から延びるようにして、ローブ領域及び/又はガイド領域に設けられる。
【0047】
少なくとも2つの外側溝は、互いに実質的に平行であることが好ましく、また、周方向に延びる環状溝を形成しないように、ローブ領域及び/又はガイド領域において、ほぼ同じ長さであることが好ましい。
【0048】
本発明に示されるように、このような外側溝は、2個だけでなく、3個、4個、又はそれ以上あってもよい。
【0049】
少なくとも2つの外側溝は、この場合、放物線状の断面を有しており、また、好ましくは、外側溝の全ては、接続シート領域の表面から延びるように、第1の締結領域の接続シート領域に設けられており、したがって、そのような外側溝は、 第1の締結領域において接続シート領域の表面に向かって開放しており、ローブ領域及びガイド領域において放物線状の断面を有する。
【0050】
少なくとも2つの外側溝が設けられることにより、第1の接続シート領域に作用する力は、以下に詳細に説明されるように、これらの外側溝が他の外側溝に近接されるように設けられる設計によって、均等にかつ有効的に分散される。
【0051】
少なくとも2つの外側溝が設けられることにより、部材の厚みは、ローブ領域及び/又はガイド領域における第1の接続シート領域内において、より均一な配置となり、その結果、コネクタが締結される際に、コネクタが破損することが最終的に防止され得る。
【0052】
本発明に係るブーツは、少なくとも1つの内側溝、好ましくは正確に1つの内側溝を有するように、外側溝なしで形成することもできる。
【0053】
上述の2つの好ましい実施形態において、外側溝は、設けられなくてもよい。
【0054】
本発明に係るブーツの好ましい実施形態では、ローブ領域内に1つの内側溝と、少なくとも2つの外側溝とが設けられる。
【0055】
別の好ましい実施形態では、ガイド領域は、上述の実施形態に加えられた内部溝も有する。
【0056】
上記の2つの好ましい実施形態に代わる2つの代替実施形態では、外側溝は設けられない。
【0057】
他の好ましい実施形態では、少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝は、ブーツの主軸、第1の締結領域、及び第2の締結領域を通る平面であって、上記で定義された実質的に放物線状の断面を有する。
【0058】
少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝が環状溝である場合、それらの溝は接続領域でも実質的に放物線状であり得るが、これはそうでなければ好ましくない。
【0059】
本発明に記載の溝は、数学的意味で放物線状の断面を有する溝であり、当該断面は、第1及び第2の接続領域に沿って延びており、かつブーツの中心軸を通る。
【0060】
これは、本発明に係るブーツの溝の形状が、表面線に平行で、円錐の先端と交差しない平面における直円錐の断面として特徴付けられることを意味する。
【0061】
本発明に係るブーツの溝は、径方向の内壁を有する。
【0062】
内壁の対向する壁は、溝の底部を通る前述の平面に垂直な平面に対して実質的に対称である。
【0063】
溝底部自体は平坦ではなく、径方向の断面のみを示す。
【0064】
特に、溝底部は、接続シート領域表面及び第1の締結領域の対向する内面に実質的に平行な領域を含まない。
【0065】
例外は、溝底部に対する接線である。
【0066】
少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝を放物線状に設計することにより、コネクタの締結時に加えられる力のより均一な分布が得られるだけでなく、そのような2つの内側溝及び/又は外側溝であって、リブ形状の2つの溝の間に配置される部材は、コネクタが締結されたときに、外側に曲がったり、さらには折れたりすることを防止される。
【0067】
少なくとも2つの外側溝の間に位置する接続シート領域の部材は、ローブ領域及び/又はガイド領域の外側溝の深さの約半分に相当する厚さDaを有することが特に好ましく、この厚みは、第1の接続シート領域の外壁及び内壁と、外壁及び内壁に隣接する少なくとも2つの溝に面する個々の溝壁との間において決定される厚みDbの約85%から115%、好ましくは約90%から110%、より好ましくは93%から106%の範囲の深さに対応している。
【0068】
半分の深さの領域において部材の厚みが実質的に一定であると、コネクタを締結する際に力が均一に分散し、従来技術から知られているように、2つの外側溝の間にある部材が曲がる可能性がなくなる。
【0069】
外側溝と内側溝を放物線状に設計することも、これに寄与する。
【0070】
2つの溝の間の部材は、接続シート領域表面または第1の接続シート領域の内面から延びる溝底部の領域に分布している。
【0071】
この部材は、リブ付きの設計と呼ばれる。
【0072】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝は、ローブ領域及び/又はガイド領域において異なる深さTを有する。
【0073】
少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝の深さは、特に好ましくは、ローブ領域及び/又はガイド領域の中央に向かうにつれて増加する。
【0074】
少なくとも1つの内側溝及び少なくとも2つの外側溝に関して、異なる又は変化する深さは、本発明に記載されるように、溝の深さが、第1の締結領域の周囲に沿って見られるように、ローブ領域及び/又はガイド領域の内側において、ローブ領域又はガイド領域の端からローブ領域又はガイド領域の中央部まで増加し、そして再び減少することを意味すると理解される。
【0075】
深さが異なるので、特に好ましくは少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝が上述のように設けられることにより、少なくとも2つの外側溝の下、或いは少なくとも1つの内側溝の上の第1の締結領域における部材の厚みは、溝底部において、実質的に均一に維持され、その結果、コネクタを第1の締結領域に締結する場合の力が均等に分散される。
【0076】
本発明に係るブーツの別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝に少なくとも1つの補強リブが設けられ、それぞれのケースにおいて、できれば正確に1つの補強リブが設けられることが好ましい。
【0077】
これらの補強リブは、特にローブ領域の少なくとも2つの溝の深さが深いため、第1の締結領域の部材を安定させるために使用される。
【0078】
結果として、少なくとも2つの外側溝の間、或いは内側溝と外側溝との間の部材であって、特にリブが設けられた部材は、特に曲がることが防止される。
【0079】
補強リブは、対向する溝の壁に係合することが好ましく、また、当該壁に一体的に接続されることが好ましい。
【0080】
また、補強リブの高さは、それぞれの溝の深さ以下であることが好ましい。
【0081】
補強リブは、溝底部から接続シート領域表面又は内面まで延びることが好ましいが、接続シート領域表面又は内面又はその表面よりも幾分下で終わってもよい。
【0082】
特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの補強リブが径方向に突出する。
【0083】
径方向とは、これらの補強リブが、本発明に係るブーツの仮想主軸が延びる方向に沿って第1の締結領域から実質的に真っ直ぐ延びることを意味する。
【0084】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの補強リブは、径方向に対して角度をなしている。
【0085】
これは、この他の角度の付いた補強リブであって、真っ直ぐに延びる補強リブを通る直線が、ブーツの仮想主軸が延びるブーツの中心を通過しないことを意味する。
【0086】
本発明に係るブーツは、好ましくは、径方向の少なくとも2つの補強リブを有し、一方の補強リブは、ローブ領域に配置されることが好ましく、他方の補強リブは、ガイド領域に配置されることが好ましく、また、径方向の補強リブを有するローブ領域とガイド領域とは、互いに反対側にあることが好ましい。
【0087】
上述の設計は、少なくとも1つの内側溝と少なくとも2つの外側溝との両方に適用されることが好ましく、2つの補強リブは、延長線上で交わらず、代わりに互いに異なる設計とされる。
【0088】
結果として、対向するローブ領域とガイド領域とは、同一角度のペアを持つことができる。
【0089】
これらの角度は、ブーツの中心を通る仮想主軸と第1の締結領域とを最短距離で接続する角度に対して、好ましくは約35°から約80°の範囲であり、さらに好ましくは40°から78°の範囲である。
【0090】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝は、環状溝を形成する。
【0091】
環状溝は、接続領域において、あまり深くないことが好ましい。
【0092】
溝は、好ましくは、一定の深さ、すなわち不変の深さを有する。
【0093】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの内側溝、正確には1つの内側溝は、各ローブ領域に、もしあれば、各ガイド領域に、或いはローブ領域のみに配置されることが好ましく、少なくとも2つの外側溝、正確には2つの外側溝が環状溝を形成することが好ましい。
【0094】
他の実施形態では、少なくとも1つの内側溝、正確には1つの内側溝、並びに少なくとも2つの外側溝、正確には2つの外側溝は、ローブ領域のそれぞれにのみ設けられ、もしあれば、ガイド領域のそれぞれに設けられ、或いはローブ領域にのみに設けられる。
【0095】
さらに他の実施形態では、本発明に係るブーツは、内側溝のみを有し、当該内側溝は、ローブ領域のそれぞれに設けられており、もしあれば、内側溝は、各ガイド領域に設けられており、或いは、内側溝がローブ領域に設けられるが、外側溝は設けられない。
【0096】
少なくとも1つの内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝がローブ領域及び/又はガイド領域にのみ設けられ、そして、環状溝を形成しない場合、上記の説明のように、特に組み合わされた個々に関連する溝要素は、本発明に記載されるように、少なくとも1つの内側溝或いは少なくとも2つの外側溝として定義される。
【0097】
少なくとも1つの内側溝或いは少なくとも2つの外側溝のそれぞれの要素は、溝底部を通る共通の平面上に位置し、すなわち、それらは、締結領域の周縁に沿って連続的に配置され、上記の接続シート領域の断面によって分割される。
【0098】
別の好ましい実施形態では、第1の締結領域の内面の少なくとも1つの内側溝は、上記で定義された断面において、接続シート領域表面から延びる少なくとも2つの外側溝の間に位置する。
【0099】
正確に1つの内側溝がある場合、それは、上記で定義された第1の締結領域の断面に関して、上記のように、実質的に接続シート領域の中央に位置する。
【0100】
また、少なくとも2つの外側溝、好ましくは正確に2つの外側溝が、上記で定義された接続シート領域の断面に対して内側溝の両側に配置されることが好ましいが、個々の溝底部は、互いに反対側に配置されない方がよく、或いは、個々の溝底部の領域に配置される方がよく、接続シート領域表面或いは内面に向かって開口することによって定義される。
【0101】
他の好ましい実施形態では、第1の締結領域の内面に設けられた少なくとも1つの内側溝は、上記で定義された断面において、接続シート領域表面から延びる少なくとも2つの外側溝の間に位置する。
【0102】
正確に1つの内側溝が設けられた場合、それは、上記で定義された第1の締結領域の断面に関して、上記のように、実質的に接続シート領域の中央に位置する。
【0103】
また、少なくとも2つの外側溝、正確には2つの外側溝が、上記で定義された接続シート領域の断面に対して内側溝の両側に配置されることが好ましく、それぞれの溝底部は、互いに対向して配置されないことが好ましく、或いは、接続シート領域表面または内面に向かって開放することによって定義されて、個々の溝の底部の領域に配置されることが好ましい。
【0104】
他の好ましい実施形態では、ローブ領域及び/又はガイド領域に設けられた少なくとも2つの外側溝の下の第1の締結領域の部材の厚みS2は、その溝底部と第1の締結領域の内面との間において、実質的に均一である。
【0105】
この場合、部材の厚みS1に関する少なくとも1つの内側溝について、文脈における「実質的に」の定義に関しては、上述と同様である。
【0106】
この好ましい実施形態では、ローブ領域及び/又はガイド領域で均一な挙動を得ることができ、これらは両方とも、コネクタを締結するときにコネクタに生じる力のため、接続領域よりも大きな部材の厚みを有する。
【0107】
別の好ましい実施形態では、第1の締結領域の内面に2つの封止リップが設けられる。好ましくは、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれ以上の封止リップが設けられる。
【0108】
封止リップは、好ましくは円周環状リップとして形成される。
【0109】
封止リップは互いに実質的に平行である。
【0110】
また、好ましくは、封止リップは、ブーツの主軸を通る平面に沿って見た実質的に同一の断面を有し、これは、第1の締結領域と第2の締結領域とを接続する。
【0111】
断面は、特に好ましくは三角形であるが、半円形でも、他の半径方向領域を有することもできる。
【0112】
断面が基本的に三角形の場合、ジョイント溝の仮想表面を向く三角形の頂点は、やや丸みを帯びる。
【0113】
隣接する封止リップは、第1の締結領域の内面から延びており、ほぼ一定の高さである。
【0114】
好ましい実施形態では、封止リップは、ローブ領域及びガイド領域の少なくとも2つの外側溝によって画定される領域の内側に実質的に配置される。
【0115】
外側溝によって規定されるこの領域は、第1の締結領域の外壁に隣接する溝壁から、第1の締結領域の内壁に面する後続の外側溝の溝壁まで延びる接続シート領域表面の幅によって定義される。
【0116】
封止リップは、外側の溝の1つの溝底部の下に正確に配置するか、溝底部の両側で周方向に沿ってペアでオフセットすることができる。
【0117】
封止リップ、好ましくは正確に1つの封止リップは、特に2つ以上の外側溝が設けられる場合には、通常はリブの形で部材が積み重ねられた2つの外側溝の間の領域に設けられる。
【0118】
別の好ましい実施形態では、2つの位置決めリブが、第1の締結領域の接続領域の内面に配置される。
【0119】
少なくとも2つの封止リップは、位置決めリブの間に配置されることが好ましい。
【0120】
2つの位置決めリブは、好ましくは、本発明に係るブーツが配置されるジョイントハウジングのジョイント溝に実質的に対応する距離で離間される。
【0121】
2つの位置決めリブは、接続領域のみに配置されることが好ましい。
【0122】
これらは、好ましくは、ガイド領域の径方向に実質的に対応する長さ、或いはこの径方向の延長よりわずかに短い長さも有する。
【0123】
本発明に係るブーツの仮想主軸を通る断面であって、第1の締結領域と第2の締結領域との間の平面を含む断面の両側に設けられた両方の封止リップを包む2つの位置決めリブが設けられた結果、第1の締結領域からプリーツ領域に移行する領域にしばしば設けられるさらなる位置決め補助が不要になる。
【0124】
有利には、第1の締結領域に隣接するプリーツ領域の第1プリーツは、プリーツの頂点に対して、より大きな直径を有することができる。
【0125】
封止リップの断面形状も、位置決めリブの断面形状と異なることが好ましい。
【0126】
断面形状は、本発明に係るブーツの仮想主軸と交差する第1の締結領域及び第2の締結領域を通る平面に関連する。
【0127】
上述の断面形状とは異なり、位置決めリブは実質的に三角形の形状を有することが好ましい。
【0128】
第1の締結領域の内面に位置する三角形の底辺は、封止リップの底辺よりも広いことが好ましい。
【0129】
また、位置決めリブの高さは、封止リップの高さよりも幾分低いことが好ましい。
【0130】
位置決めリブは、少なくとも2つの溝によって画定される領域の外側に配置されることが好ましく、したがって、位置決めリブは、封止リップの場合のように外側溝の下には設けられない。
【0131】
値、値の範囲、又は値を参照する用語に関して「約」という用語が使用されているが、これは、文脈において、当業者が専門的な観点から典型的なものとみなすことを意味すると理解されるべきである。
【0132】
特に、約±10%、好ましくは約±5%、より好ましくは約±2%の所与の値、値の範囲、または値を参照する用語からの逸脱は、用語「約」に含まれる。
【0133】
また、本発明は、前書きで指定された種類のブーツに関し、このブーツでは、2つの位置決めリブは、接続領域に設けられ、その間に少なくとも2つの封止リップが設けられて、第1締結領域の内面を囲む。
【0134】
2つの位置決めリブは、上述の方法で有利に設計される。
【0135】
そのような代替ブーツの他の好ましい実施形態では、それらは、上述した他の設計の1つ、すなわち、少なくともローブ領域及び/又はガイド領域に内側溝及び/又は少なくとも2つの外側溝を有する設計、及びそれに関連する設計、並びに第1の接続シート領域用のための設計を示す。
【0136】
この代替ブーツは、上記のように、少なくとも2つの封止リップも含むことが好ましい。
【0137】
また、本発明は、上述したように、ジョイントシャフト接続の封止のための、好ましくは等速ジョイントの封止のための、本発明に係るブーツの使用に関する。
【0138】
本発明は、上述のように、本発明に係るブーツを有するジョイントシャフト接続にも関する。
【0139】
ジョイントとシャフトとの接続は、等速ジョイントであることが好ましい。
【0140】
本発明に係るブーツは、その上に予め組み立てることができ、第1の締結領域に既に配置されているコネクタは、まだ締め付けられていない。
【0141】
本発明に係るブーツの内側の外形は、好ましくは、ジョイントとシャフトとの接続部のジョイントハウジングの外側の外形に適合される。
【0142】
本発明によるブーツの第1の領域は、特に、ジョイントハウジングの周縁の近くに位置するジョイントハウジングの外側にある周方向ジョイント溝と係合する。
【0143】
本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下の図に基づいて以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【
図1】本発明に係るブーツの第1の実施形態の斜視図を示す。
【
図2】
図6に示す断面I-Iに沿った断面図を示す。
【
図5】接続領域の設計に関する
図4の詳細III.Iを示す。
【
図6】
図2に示す断面II-IIに沿った断面図を示す。
【
図7】aは、本発明に係るブーツの第1実施形態のガイド領域に関する詳細II.Iを示し、bは、本発明に係るブーツの第1実施形態のローブ領域に関する詳細II.IIを示す。
【
図8】aは、
図7aの詳細であって、ガイド領域における内側溝及び外側溝の位置を示し、bは、
図7bの詳細であって、ローブ領域における内側溝及び外側溝の位置を示す。
【0145】
最初に、図面に示されている実施形態は、限定と見なしてはならない。
【0146】
それどころか、図面を参照して説明される特徴は、相互に及び以前に説明された特徴と組み合わせて、さらなる設計を得ることができる。
【0147】
一例として、
図1におけるブーツ10の第1の実施形態では、第1の締結領域12の内面40上に2以上の封止リップ62.1、62.2が設けられ得る。
【0148】
放物線状の外側溝52、54がないか、或いは2以上存在してもよいし、1つ以上の放物線状の内側溝70、例えば3つ或いは4つの放物線状の内側溝があってもよい。
【0149】
また、外側溝52、54及び内側溝70の放物線状の形状も、図に示されている形状と異なっていてもよい。
【0150】
周方向の外側溝52、54、すなわち環状溝は、設けられていなくてもよく、代わりに、外側溝52、54は、それぞれ3つまたは6つの溝要素から構成されるように、接続領域34で分割されていてもよい。
【0151】
次いで、溝52、54の溝要素は、ローブ領域30及びガイド領域32のみに配置され、或いはローブ領域30のみに配置される。
【0152】
さらに、例えば3つのローブ領域30及び3つの接続領域34が存在するように、ガイド領域32が存在しなくてもよい。
【0153】
ブーツ10は、そのプリーツ領域において、より多い或いはより少ないプリーツ18を有することもでき、或いは、異なる形状のプリーツ18を有することもできる。
【0154】
さらに、位置決めリブ64.1、64.2は必ずしも必要ではない。
【0155】
最後に、図の説明及び特許請求の範囲で使用される参照符号は、本発明の権利範囲を限定するものではなく、図に示される実施形態のみを指すことに留意されたい。
【0156】
図1は、ブーツの第1の、かつ唯一の実施形態を示し、全体として参照符号10で示され、図に示されるように、第1の締結領域12、第2の締結領域14、及びその間のプリーツ領域16を有し、それらは、合計8つのプリーツ18.1から18.8を有する。
【0157】
第1の締結領域12と第1のプリーツ18.1との間に移行領域24がある。
【0158】
第1の締結領域12は、接続シート領域表面38を有する接続シート領域36を備え、そこから周方向に延びる2つの環状の外側溝52、54がある。
【0159】
第1の接続シート領域12は、接続シート領域36の両側にラグ形状の突起50を有し、これにより、本明細書に示されていないコネクタの締結を簡素化する。
【0160】
締結領域12は、3つのローブ領域30と、3つのガイド領域32と、ローブ領域30とガイド領域32との間に位置する6つの接続領域34とを有する。
【0161】
ローブ領域30は、本明細書には示されていない対応する設計を有するジョイントの外側部分のトリローブに設けられた径方向に延びる凹部に対して配置されており、これらのローブ領域は、ジョイントの外側部分のこれらの凹部に適合する形状である。
【0162】
したがって、これは、ブーツ10の内部を向く真っ直ぐな外形を有するガイド領域32、及びそれに応じて接続領域34にも当てはまる。
【0163】
位置決めリブ64.1、64.2は、接続領域34にあり、その間に周方向に延びる2つの環状の封止リップ62.1、62.2がある。
【0164】
正確に1つの補強リブ74.1が、ローブ領域30のそれぞれに設けられており、正確に1つの補強リブ74.2が、ガイド領域32のそれぞれに設けられている。
【0165】
これらのリブは、径方向に突出する。
【0166】
例えば、
図2に参照する補強リブ60.1から60.2に関して以下で説明するような角度の他の向きであってもよい。
【0167】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの内側溝内の補強リブの全てが径方向を向いている。
【0168】
好ましくは、理想的かつ正確に1つの補強リブが、ローブ領域及び/又はガイド領域のそれぞれの少なくとも1つの内側溝に設けられている。
【0169】
補強リブ60も、
図1に示されており、外側溝52、54に設けられている。
【0170】
補強リブ74.1、74.2は、環状溝を形成しない溝要素70.1、70.2で構成される内側溝に設けられている。
【0171】
内側溝のこれらの溝要素70.1、70.2は、これらの溝要素の底部を互いに接続する共通平面内にあり、第1の締結領域12の内面40の内周に連続して配置されている。
【0172】
図2は、
図6に示される断面I-Iを示し、ここにおいて、
図6は、
図2に示される断面II-IIを示す。
【0173】
断面I-Iは、1つの外側溝52の溝底部を通る。
【0174】
図2では、接続領域34.1から34.6の第1の締結領域12の部材はそれほど厚くなく、ローブ領域30.1から30.3、及びガイド領域32.1から32.2は、基本的に同じ厚みである。
【0175】
補強リブ60.1から60.6も示されている。
【0176】
ガイド領域32.1の補強リブ60.1、及びローブ領域30.2の補強リブ60.4は、径方向を向いており、ガイド領域32.1及びローブ領域30.2は、互いに反対側に形成されている。
【0177】
他の補強リブ60.2、60.3、60.5、60.6は、径方向に対して角度を付けて設けられている。
【0178】
ローブ領域30.1、30.3専用の補強リブ60.1、60.2は、ガイド領域32.2、32.3の補強リブ60.3、60.5よりも長い。
【0179】
隣接する補強リブのペア60.2と60.3、及び60.5と60.6とは、同一線上にあるのではなく、互いに異なる角度で設けられている。
【0180】
プリーツ18.1から18.8を含むプリーツ領域16の設計は、特に
図3で容易に見ることができる。
【0181】
プリーツ18.1から18.8は、プリーツ頂点20.1から20.8を有する。
【0182】
プリーツ領域16は、プリーツ凹部22.1から22.8も有する。
【0183】
プリーツ18.1から18.4の直径は、第2の締結領域14に向かって減少し、一方、プリーツ18.5から18.8は、基本的に一定の同一の直径を有する。
【0184】
プリーツ凹部24.4の2つのプリーツ18.3と18.4との間には、ブーツ10の曲げに影響を与える部材が蓄積される。
【0185】
互いに対になっているラグ形状の突起50.1、50.2の位置も
図3で容易に見ることができ、補強リブ60.1、60.2、60.3は、環状溝を形成するように、外側溝52、54に設けられており、ここで、2つの外側溝52、54内の互いに対向する一対の補強リブは、同じであるため、同じ参照記号を付される。
【0186】
図4は、
図2に示された断面III-IIIを示し、この断面は、第1の締結領域12において、より薄い接続領域34.3、34.6を通る。
【0187】
図3を参照して上述したプリーツ領域16は、その中で容易に特定され得る。
【0188】
内側溝の内側溝要素70.1、70.2は、第1の締結領域12で容易に見ることができ、これらは、周方向に延びる2つの環状の封止リップ62.1、62.2の間に位置する。
【0189】
2つの位置決めリブ64.1、64.2は、接続領域34.5に設けられており、接続領域34.5の全長に渡って実質的に延びている。
【0190】
内側溝の内側溝要素70.1、70.2は、ローブ領域30.3及びガイド領域32.3に位置する。
【0191】
図5は、接続領域34.6を通る断面に関する
図4の詳細III.Iを示している。
【0192】
2つの外側溝52、54もそこに形成され、周方向に延びる浅い環状溝としても形成されることがそこに見ることができる。
【0193】
特に、それらは放物線状ではない。
【0194】
しかしながら、外側溝52、54は、本発明に記載されるように、それらが周方向に延びる環状溝として形成される場合、接続領域において放物線状であり得る。
【0195】
封止リップ62.1、62.2は、実質的に三角形の断面形状を有する外側溝52、54の反対側に位置する内面40に配置される。
【0196】
これらは、位置決めリブ64.1、64.2の間にあり、封止リップ62.1、62.2とは異なる断面形状を有する。
【0197】
特に、位置決めリブ64.1、64.2はそれほど高くなく、それらの露出した三角形の頂点は、封止リップ62.1、62.3よりも丸い。
【0198】
接続シート領域38も
図5に示されており、これは、外側境界壁46と内側境界壁48とによって画定され、それらの間に接続シート領域表面38が延びている。
【0199】
図6は、
図2に示される断面II-IIであって、第1の締結領域12、ガイド領域32.1、及びローブ領域30.2を通過する断面を示す。
【0200】
したがって、ガイド領域32.1に関して
図7aに示された詳細、及びローブ領域30.2に関して
図7bに示された詳細において容易に見られるように、上記断面は、径方向において補強リブ60.1、60.4を直接通る。
【0201】
特に本発明の好ましい実施形態を示す
図5に見られるように、外側溝52、54もまた、接続領域34.1から34.6の深さよりも浅い。
【0202】
したがって、少なくとも2つの外側溝は、本発明に記載されているように、補強リブが存在する場合、その領域では必ずしも放物線状ではない。
【0203】
図6では、ローブ領域70.3及びガイド領域32.3の両側に凹部31.1、31.2があることが分かる。
【0204】
したがって、これらの領域では、第1の締結領域12が薄くなる。
【0205】
これは、不図示のコネクタがそこに締結されるときの封止を改善する。
【0206】
本発明に示されるように、凹部31は、第1の締結領域12、ローブ領域30及び/又はガイド領域32に互いに反対側に位置するように両側に設けられることが好ましい。
【0207】
さらに、ローブ領域30.3の内側溝要素70.1と、ガイド領域32.2の内側溝要素70.2とが、それぞれ補強リブ74.1或いは74.2を、その中央に放射状に有することが、
図4に示されている。
【0208】
本発明に記載されるように、内側溝要素70.1、70.2の長さは、ローブ領域30及び/又はガイド領域32の長さと実質的に同じか、またはわずかに短い。
【0209】
図8aは、
図7aに示されるガイド領域32.1を示し、2つの外側溝52、54及び内側溝要素70.2の方向を示し、2つの外側溝52、54及び内側溝要素70.2は、破線で示される。
【0210】
外側溝52、54と内側溝要素70.2の放物線状の設計は、容易に見ることができる。
【0211】
部材の厚みS2は、第1の締結領域12の内面40に関して、2つの外側溝52、54の溝底部58.1或いは58.2からそれぞれ決定することができる。
【0212】
同様に、部材の厚みS1は、内側溝要素70.2の溝底部72と接続シート領域36の接続シート領域表面38との間で決定することができる。
【0213】
外側溝52は底部53を有し、外側溝54は底部55を有し、これは接続シート領域表面38に向かう開口部の断面幅に対応する。
【0214】
内側溝セグメント70.2は、第1の締結領域12の内面40に向かう開口部の断面幅に対応する底部71を有する。
【0215】
したがって、内側溝要素70.2の底部71は、外側溝52、54の底部53或いは54よりも、それぞれ約70%以上広い。
【0216】
反対に、外側溝52、54、及び内側溝要素70.2の深さは、ほぼ同じである。
【0217】
外側溝52、54は、放物線状の溝壁56.1、56.2を有する。
【0218】
図8bは、
図7bに示された詳細を示し、2つの外側溝52、54と内側溝要素70.1の位置とを破線で示している。
【0219】
図8aのように、内側溝70.1における部材の厚みS1、及び2つの外側溝52、54における部材の厚みS2を決定することができる。
【0220】
部材の厚みS2は、
図8aに示されたガイド領域32.1とほぼと同じある。
【0221】
図8aに示されるローブ領域30.2及びガイド領域32.1の厚みS1は、同様にほぼ同じである。
【0222】
さらに、外壁42と、それに面する溝壁56.1の部分との間、及び内壁44と、それに面する溝壁56.2との間の第1締結領域12の部材の厚みは、外側溝52、54の半分の高さと、実質的にほぼ同じである。
【0223】
その結果、不図示のコネクタをそこに締結した結果としてコネクタに作用する力の偏りが改善される。
【0224】
改善された良好な封止特性を示し、コネクタの破損の可能性を防ぐように作用する、等速ジョイントハウジングへの設置を目的としたブーツが、本発明により利用可能になる。