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特許7158413双方向選択ブロックを備えたショックアブゾーバ、ホイールグルーブ、及びモータサイクル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】双方向選択ブロックを備えたショックアブゾーバ、ホイールグルーブ、及びモータサイクル
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/18 20060101AFI20221014BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20221014BHJP
   F16F 9/34 20060101ALI20221014BHJP
   F16F 9/56 20060101ALI20221014BHJP
   B62K 5/10 20130101ALI20221014BHJP
   B62K 25/20 20060101ALI20221014BHJP
   B60G 13/08 20060101ALI20221014BHJP
   B62K 25/08 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F16F9/18
F16F9/32 H
F16F9/32 N
F16F9/32 V
F16F9/34
F16F9/56 A
B62K5/10
B62K25/20
B60G13/08
B62K25/08 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019561280
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 IB2018053116
(87)【国際公開番号】W WO2018207066
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】102017000049536
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ラッファエッリ
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-131343(JP,A)
【文献】特開2000-033811(JP,A)
【文献】特開2009-264515(JP,A)
【文献】特表2014-522342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0160955(US,A1)
【文献】特開2007-303545(JP,A)
【文献】米国特許第8573606(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シース(48)と、前記第1シース(48)の中で摺動方向(X-X)に摺動する第1ピストン(50)とを備えたショックアブゾーバ(8)であって、
前記第1ピストン(50)は、前記第1シース(48)から突出する第1ロッド(52)と、前記第1シース(48)の内側に収容された第1ヘッド(54)とを有し、
前記第1シース(48)は油圧流体が充填されており、
前記第1ロッド(52)と前記第1シース(48)はそれぞれ、ホイール(20,28)とフレーム(12)に又はフレーム(12)とホイール(20,28)に機械的に接続され、
前記ショックアブゾーバ(8)は第2シース(56)を有し
前記第2シース(56)は、前記第1シース(48)に流体接続され、また、前記第1シース(48)の前記油圧流体が通過する孔(62)を有する少なくとも一つの減衰弁(60)を備えている、前記ショックアブゾーバ(8)において、
前記第2シース(56)は、摺動方向(X-X)に関して、前記第1ピストン(50)における前記第1ヘッド(54)の両側に配置された第1通路(64)及び第2通路(68)によって、前記第1シース(48)に接続されており、
前記第1通路(64)は圧縮動作の際に前記第1ヘッド(54)が前記第1通路(64)に接近すると前記油圧流体の流れを許可し、
前記第2通路(68)は伸張動作の際に前記第1ヘッド(54)が前記第2通路(68)に接近すると前記油圧流体の流れを許可し、
前記第2シース(56)は、アンロック位置とブロック位置との間で所定ストロークの移動が可能な制御弁(72)を有し、
前記アンロック位置において、前記制御弁(72)は前記第1通路(64)及び前記第2通路(68)と干渉せず、
前記ブロック位置において、前記制御弁(72)は前記第1通路(64)及び前記第2通路(68)を閉鎖して、
前記圧縮動作及び前記伸張動作に選択的双方向ブロックを実現する、ショックアブゾーバ(8)。
【請求項2】
前記減衰弁(60)は、前記第2シース(56)に固定され、前記油圧流体が通過する孔を少なくとも部分的に有する減衰プレート(74)を備えている、請求項1のショックアブゾーバ(8)
【請求項3】
前記制御弁(72)は、前記ストロークに従って摺動する軸方向弁であり、前記油圧流体が通過する孔を少なくとも部分的に有する減衰プレート(74)が取り付けられた前記減衰弁(60)と一体化されている、請求項1のショックアブゾーバ(8)。
【請求項4】
前記制御弁(72)は一対の閉鎖弁(76,78)を有し、
前記一対の閉鎖弁(76,78)は、前記第1通路(64)と前記第2通路(68)を閉鎖するように前記減衰プレート(74)の両側に配置されている、請求項2のショックアブゾーバ(8)。
【請求項5】
前記閉鎖弁(76,78)は、円盤で、前記第1通路(64)と前記第2通路(68)に配置された状態で前記第1通路(64)と前記第2通路(68)を閉鎖する横方向の縁(77)を備えており、また、前記第2シース(56)の内側で前記油圧流体が通過するための貫通開口(79)を備えている、請求項4のショックアブゾーバ(8)。
【請求項6】
前記制御弁(72)はアクチュエータ手段(82)に連結された第2ロッド(80)に取り付けられている、請求項1から5のいずれかのショックアブゾーバ(8)。
【請求項7】
前記第2ロッド(80)は、前記第2シース(56)から突出している、請求項6のショックアブゾーバ(8)。
【請求項8】
前記第2シース(56)は少なくとも一つの容量保証部(84)が設けられており、
前記容量保証部(56)は、前記油圧流体から分離され、前記第1シース(48)からの前記油圧流体の圧力を受ける可動隔壁(88)によって区画されている、請求項1から7のいずれかのショックアブゾーバ(8)。
【請求項9】
前記容量保証部(84)は、圧縮性流体で満たされている、請求項8のショックアブゾーバ(8)。
【請求項10】
前記可動隔壁(88)は、前記容量保証部(84)の内側に収容された弾性手段に接続されている、請求項8又は9のショックアブゾーバ(8)。
【請求項11】
前記第1シース(48)と前記第2シース(56)は、前記摺動方向(X-X)に関して互いに平行で且つ並列に配置されている、請求項1から10のいずれかのショックアブゾーバ(8)。
【請求項12】
前記第1シース(48)と前記第2シース(56)は、前記摺動方向(X-X)に関して互いに平行で且つ同軸に配置されている、請求項のショックアブゾーバ(8)。
【請求項13】
前記制御弁(72)と前記減衰弁(60)は、前記第1シース(48)の周りに設けられている、請求項12のショックアブゾーバ(8)
【請求項14】
前記第2シース(56)は、前記第1シース(48)に対して摺動可能である、請求項12のショックアブゾーバ(8)
【請求項15】
前記第2シース(56)は、前記第1シース(48)に対して摺動するために、アクチュエータ手段(82)に接続されている、請求項12から14のいずれかのショックアブゾーバ(8)
【請求項16】
前記第1ロッド(52)と前記第1シース(48)は、モータビークル(4)のホイール(20,28)とフレーム(12)又はフレーム(12)とホイール(20,28)と機械的に接続されている、請求項1から15のいずれかのショックアブゾーバ(8)を有するホイールアセンブリ(40)
【請求項17】
二つのステアリングホイール(20’、20”)を支持する前部キャリッジ(16)と、少なくとも一つの後部ホイール(28)を支持する後部車軸(24)とを有するモータビークル(4)であって、
前記少なくとも一つの後部ホイール(28)は、請求項1から15にいずれかに記載のショックアブゾーバ(8)によって、前記前部キャリッジ(16)と機械的に接続されている、モータビークル(4)。
【請求項18】
モータビークル(4)であって、
前記モータビークルは、前記前部キャリッジ(16)に二つの前部ステアリングホイール(20’、20”)を備え、前記後部車軸(24)に前記少なくとも一つの後部ホイール(28)を備えた傾斜式モータサイクルであって、
前記前部ステアリングホイール(20’、20”)はそれぞれ、請求項1から15に係るショックアブゾーバ(8)によって前記前部キャリッジ(16)に接続されている、請求項17のモータビークル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向選択ブロックを備えたショックアブゾーバ、双方向選択ブロックを備えたダンパを有するホイールグループ、及びそれに関連するモータビークル(原動機付乗物)に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、サスペンションは、自動車フレームとホイールを連結する要素である。この連結要素は、少なくとも一つの弾性要素〔典型的には、ばね下質量(ホイールグループ)に対してばね上質量(フレーム)の振動させるばね〕と、ばね上質量の振動のための少なくとも一つのショックアブゾーバ又はダンパとを有する。
【0003】
種々の解決策が従来知られている。これらの解決策は、乗物の走行状態に応じてショックアブゾーバの緩衝レベルを調整するものである。また、これらの解決策は、サスペンションの動的特性を変更し、好ましい快適性又はユーザの要求に応じた特性を得るものである。多くの場合、その調整は、自動的ではなく、特別な調整手段(典型的にはねじ式の調整手段)を動作することによって手動で行われる。
【0004】
自動の解決策も知られている。そこでは、ユーザは、例えば、ダッシュボード又はハンドルバーボタンによって、所定の調整を行う必要がある。また、自動のシステムは、自動的に上記調整手段を操作することによって、適当なアクチュエータによりなされる。
【0005】
いつくかの洗練された解決策も存在する。これらの解決策は、磁性流体を使用するものである。磁性流体は、磁界に晒されると、そのレオロジ特性が変化し、それにより、磁性流体を含むショックアブゾーバの挙動が変化する。
【0006】
このような解決策は、著しくショックアブゾーバの応答性を変え、また応答性を高め、ほぼ全体ブロックに亘って一方向の減衰性を向上する。
【発明の概要】
【0007】
しかし、これらの従来の解決策はいくつかの問題点があった。
【0008】
実際、一方において、それらの解決策は極めて複雑で実施するには高価であった。
【0009】
他方、公知の解決策は、減衰をブロックし、一方向(一般には、圧縮方向)のサスペンションをブロックすることが可能である。したがって、公知の解決策は、双方向の選択的なブロッキングを行うことができなかった。
【0010】
この選択的ブロッキングは、ローリングやピッチングに関して予め決められたトリム条件でモータサイクルをブロックするために、例えば、モータサイクルを停止させる場合や極めて低速で前進する場合に有効である。
【0011】
ローリングのブロッキングは、少なくとも3輪を備えた不安定なマルチトラック式乗物(二つの車輪は前部キャリッジに連結されて一つの車輪が後部車軸に連結される乗物)への適用に実行される。
【0012】
従来技術に関して説明した上述の課題や制限を解消する必要が感じられる。
【0013】
この必要性は、本願請求項1に係るショックアブゾーバ、請求項18に係る車輪群、及び請求項19に係るモータビークルによって解消される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の更なる特徴と利点は、好適で非限定的な実施形態に関する以下の説明から明らかになる。
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係るアンロック状態のショックアブゾーバの概略断面図を示す。
【0016】
図2図2は、ブロック状態にある図1のショックアブゾーバの概略断面図を示す。
【0017】
図3図3は、本発明の別の実施形態に係るアンロック状態のショックアブゾーバの概略断面図を示す。
【0018】
図4図4は、ブロック状態にある図3のショックアブゾーバの概略断面図を示す。
【0019】
図5図5は、本発明に係るショックアブゾーバを有するモータサイクルの前部斜視図を示す。
【0020】
図6図6は、本発明に係るショックアブゾーバを有する別のモータサイクルの斜視図を示す。
【0021】
以下に説明する複数の実施形態で共通する要素又は要素部分は、同じ参照番号を付す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照すると、符号4は概略モータビークル(原動機付乗物)の全体外観を示す。このモータビークルは、本発明に係る少なくとも一つのショックアブゾーバ8を組み込んでいる。
【0023】
本発明の目的上、モータビークルの用語は限定的ではなく広い意味を有し、そのため本発明はモータサイクルにも適用される。
【0024】
モータサイクルの概念も広く、任意のモータサイクルを含む。このモータサイクルはフレーム12を有する。フレーム12は、少なくとも一つの前部ステアリングホイール20を支持する前部キャリッジ16と、少なくとも一つの後部ホイール28を支持する後部車軸24を有する。
【0025】
したがって、この定義は、傾斜した3つのホイールを有するモータサイクルを含む。3つのホイールは、前部キャリッジ16に設けられた対をなすステアリングホイールである2つの前部ホイール20’、20”と、後部車軸24に設けられた後部ドライビングホイール28である。しかし、一つのステアリング用フロントホイール20と後部車軸に設けられた2つの後部ドライビングホイール28を含むモータサイクルも含まれる。最後に、モータサイクルの定義は、前部キャリッジ16に設けた二つの前部ホイール20’、20”と後部車軸24に設けた二つの後部ホイール28を有する、いわゆる四輪バイクも含む。
【0026】
フレーム12、前部キャリッジ16、及び後部車軸24は、任意の形状および寸法を有し、例えばトラス形式、箱型形式、ダイキャスト形式等であってもよい。
【0027】
フレーム12は、一つの部品であってもよいし、複数の部分で構成してもよい。
【0028】
一般に、後部車軸24は、ドライバのサドル及び/又は同乗者のサドルを支持する揺動アーム32を有する。揺動アーム32は、例えば、ピボットピン36によって、フレーム12にヒンジされている。揺動アーム32とフレーム12は直接連結してもよいし、ヒンジを介して直接連結してもよいし、クランク機構及び/又は中間フレームを途中に介在してもよい。
【0029】
ホイール、特に前部ホイール又は後部ホイールは、それぞれのホイールグループ40によって、前部キャリッジ又は後部車軸に機械的に連結される。
【0030】
ホイールグループ(群)40は、前部ホイール20又は後部ホイール28、ホイール20,28を移動させるために適した弾性要素(一般にはスプリング。図示せず。)、及びホイール20,28の振動/移動を減衰させるショックアブゾーバ44を有する。
【0031】
ショックアブゾーバ44は、メイン(第1)シース48と、メインシース48の中をスライド方向X-Xに沿ってスライド可能なメイン(第1)ピストン50を有する。
【0032】
メインシース48は、公知のとおり中空で、油圧流体(油)が充填されている。
【0033】
メインピストン50は、メインシース48から突出するメインロッド52と、メインシース48に収容されたメインヘッド54を有する。
【0034】
メインロッド52とメインシース48はそれぞれ、前部ホイール20又は後部ホイール28、及びフレーム12の部分(前部キャリッジ16又は後部車軸24)に機械的に連結されている。または、その逆もあり得る。
【0035】
換言すると、これに代えて、メインロッド52とメインシース48は共に、ホイール(前部ホイール20又は後部ホイール28)又はフレーム部分(前部キャリッジ16又は後部車軸24に連結してもよい。
【0036】
ショックアブゾーバ44はさらに第2シース56を有する。第2シース56は、メインシース48に流体連結され(流体が互いに流れるように連結され)、メインシース48の油圧流体の校正された通過を可能にするために適した孔62を有する少なくとも一つの減衰弁60が設けられている。
【0037】
可能な実施形態によれば、減衰弁60は減衰プレートを有する。減衰プレートは、第2シース56に固定されており、油圧流体が通過するように少なくとも部分的に孔があけられている。
【0038】
好適には、第2シース56は、スライド方向X-Xに沿って、メインピストン50のメインヘッド54に対して反対端部に配置された第1の通路64と第2の通路68によって、メインシース48に連結されている。
【0039】
特に、圧縮時にメインヘッド54が第1通路64に接近すると、第1通路64を流体が流れる。一方、伸張時にメインヘッド54が第2通路に接近すると、第2通路68を流体が流れる。
【0040】
第2シース56は制御弁72を有する。制御弁72は、規制ストロークにしたがって、ワーキング(作動)位置とブロック(阻止)位置との間を移動可能である。ワーキング位置において、制御弁72は、第1通路64及び第2通路68を干渉せず、ブロック位置において、制御弁72は第1通路64と第2通路68を塞ぎ、前記圧縮動作を伸張動作において選択的双方向ブロックを実現する。
【0041】
第1通路64と第2通路を閉鎖することにより、メインピストン50の双方向への移動を効果的に阻止する。これにより、メインピストン50は、メインシース48が圧縮不能な流体で充満されると、メインシース48の中を移動できない。
【0042】
実施形態によれば、制御弁72は、規制ストロークに従ってスライドする軸方向弁で、油圧流体が通過する孔を少なくとも部分的にあけた減衰プレート74と共に取り付けられた減衰弁60と一体的である。
【0043】
例えば、制御弁72は一対の閉鎖栓76,78を有する。閉鎖栓76,78は、減衰プレート74の両側に配置されており、第1通路64と第2通路68を選択的に閉鎖する。
【0044】
実施形態によれば、閉鎖栓76,78は円盤で、第1通路及び第2通路68に置かれたとき、これら第1通路及び第2通路68を閉鎖するのに適した横方向の縁77を備えているとともに、第2シース56の内側で流体が通過する貫通開口79を備えている。
【0045】
実施形態によれば、制御弁72は第2ロッド80を備えている。第2ロッド80は、調整ストロークに沿って動作するように、アクチュエータ手段82に動作上接続されている。
【0046】
例えば、第2ロッド80は、第2シース56から突出してアクチュエータ手段82と機械的に連結されている。
【0047】
第2シース56は少なくとも一つの容量保証部84を備えている。容量保証部84は、メインシース48から伝わる流体の圧力を受ける可動隔壁88によって区画されて、第2流体から分離されている。
【0048】
容量保証部84は、圧縮性流体(一般には気体)が充填されている。
【0049】
実施形態によれば、可動隔壁88は、容量保証部84の内側に収容された弾性手段と接続されている。
【0050】
本発明に係るショックアブゾーバ8は異なる構造を取り得る。
【0051】
実施形態(図1,2)
【0052】
図1,2の実施形態において、メイン(第1)シースと第2シース56は、摺動方向X-Xに関して平行で且つ並列に配置されている。
【0053】
他の実施形態(図3,4)において、メインシースと第2シース56は、摺動方向X-Xに関して、平行で且つ同軸に配置されている。
【0054】
特に、第2シース56は、メインシース48の外側に取り付けてある。
【0055】
制御弁72と減衰弁60は、メインシース48の周りに配置されている。特に、制御弁72と減衰弁60は互いに独立しており、第2シース56は二次ロッド80を備えておらず、メインシース48上で全体が摺動する。
【0056】
例えば、二次シース56は、メインシース48に対して摺動するために、アクチュエータ手段82に動作上接続することができる。
【0057】
本発明に係るモータビークル用ショックアブゾーバの動作を説明する。
【0058】
特に、アンロック状態(図1,3)において、制御弁72の閉鎖栓76,78は第1通路64と第2通路68を閉鎖しておらず、第1通路64と第2通路68は開放されている。
【0059】
この状態で、圧縮動作と伸張動作のいずれの場合でも、流体は、メインピストン50に押されてメインシース48と二次シース56の間を自由に流れる。
【0060】
容量保証部84は、公知のとおり、メインシース48内のメインロッド52の進入量の大小に応じて減増する。
【0061】
減衰弁60を通過する流体は、対応する孔62を通過する際に減衰する。
【0062】
また、ブロック状態(図2,4)において、閉鎖弁76,78は第1通路64と第2通路68を閉鎖する。これにより、非圧縮性流体は、メインシースの中に収容されたメインピストン50と共に、メインシース48の中にブロックされる。
【0063】
したがって、第1通路64と第2通路68が閉鎖された状態で、ショックアブゾーバとそれに関連するホイール20,28は、自由に振動することなく所定の位置に拘束される。
【0064】
第2ロッド80が設けられている場合、例えば第2ロッド80に作用する作動手段82によって、制御弁72を所定ストロークだけ移動することで、ブロック状態が得られる。
【0065】
第1通路64と第2通路68を開通状態に戻すように制御弁72を動かすことによって、ショックアブゾーバは解放される。
【0066】
ショックアブゾーバのブロック状態は繰り返すことができる。
【0067】
例えば、ショックアブゾーバがホイールストロークをブロックすることによってホイールのストロークを制御する/ブロックする機能を実行することで、モータビークルのピッチングやローリングをロックする機能を達成できる。
【0068】
本発明によれば、少なくとも3つのホイールを有するモータビークル(2つのホールが前部キャリッジに連結され、一つのホイールが後部車軸に連結されている乗物)及び4つのホイールを有する動力車において、ローリングをブロックすることができる。
【0069】
また、ホイールストロークのブロックは、モータビークル盗難防止機能として利用できる。
【0070】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば従来の課題を解消できる。
【0071】
特に、双方向選択ブロッキングを備えたショックアブゾーバによれば、従来の解決策とは対照的に、圧縮時及び伸張時の両方向においてサスペンションを完全にブロックできる。
【0072】
この双方向ブロックは、簡単で、信頼性があり、経済的である。
【0073】
したがって、本発明によれば、停止時又は制限された速度状態で、ローリングやピッチングに対して、モータサイクルの特定のトリムを所定の閾値以下に固定できる。
【0074】
この解決策は、簡単且つ安価で、既存のサスペンションに対する改善策にも、拡張機能又は追加機能として、適用できる。
【0075】
当業者は、付帯的要求や特定の要求に応えて、上述のショックアブゾーバやサスペンションにいくつかの改良や変形を加えることができ、それはすべて本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6