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特許7158414半導体装置、および半導体装置の作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】半導体装置、および半導体装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20221014BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221014BHJP
   H01L 27/1156 20170101ALI20221014BHJP
   H01L 21/8242 20060101ALI20221014BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20221014BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20221014BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H01L29/78 616S
H01L29/78 618B
H01L29/78 617T
H01L29/78 617V
H01L27/1156
H01L27/108 321
H01L27/108 671Z
H01L27/105 441
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019561387
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2018060303
(87)【国際公開番号】W WO2019130161
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2017251585
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】方堂 涼太
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小松 立
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-157937(JP,A)
【文献】特開2016-213468(JP,A)
【文献】特開2015-144251(JP,A)
【文献】特開2016-167584(JP,A)
【文献】特開2016-197708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372606(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
H01L 27/1156
H01L 21/8242
H01L 21/8239
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の酸化物と、
前記第1の酸化物の上に、互いに離隔して、配置された第1の導電体および第2の導電体と、
前記第1の導電体の上面および側面と、前記第1の酸化物の上面と、に接して配置された、第3の導電体と、
前記第2の導電体の上面および側面と、前記第1の酸化物の上面と、に接して配置された、第4の導電体と、
前記第3の導電体および前記第4の導電体の上に配置され、前記第3の導電体と前記第4の導電体の間に重畳して開口が形成された第1の絶縁体と、
前記開口の中に配置された第5の導電体と、
前記第1の酸化物、前記第3の導電体、前記第4の導電体、および前記第1の絶縁体と、前記第5の導電体と、の間に配置された、第2の酸化物と、
前記第2の酸化物と、前記第5の導電体と、の間に配置された第2の絶縁体と、
前記第3の導電体、前記第4の導電体、および前記第1の絶縁体と、前記第2の酸化物と、の間に配置され、前記第3の導電体と前記第4の導電体に挟まれた領域において、前記第1の酸化物と重畳しない、第3の絶縁体と、を有し、
前記第3の導電体および前記第4の導電体は、それぞれ、前記第5の導電体と重畳する領域を有する半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の酸化物、前記第1の導電体、前記第2の導電体、前記第3の導電体、前記第4の導電体、および前記第3の絶縁体と、前記第1の絶縁体と、の間に第4の絶縁体が配置され、
前記第4の絶縁体は、前記第1の絶縁体より酸素透過性が低い半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第5の導電体は、前記第1の酸化物の側面と対向するように配置され、
前記第5の導電体と、前記第1の酸化物の側面との間に、前記第2の酸化物と、前記第2の絶縁体が配置される半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第3の導電体は、前記第1の導電体より膜厚が薄く、
前記第4の導電体は、前記第2の導電体より膜厚が薄い半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1の酸化物は、前記第3の導電体または前記第4の導電体と重ならない領域の膜厚が、前記第3の導電体または前記第4の導電体と重なる領域の膜厚より、薄い半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記第1の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有する半導体装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2の酸化物は、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有する半導体装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有し、
前記第2の酸化物における元素Mに対するInの原子数比は、前記第1の酸化物おける元素Mに対するInの原子数比より小さい半導体装置。
【請求項9】
請求項6において、
前記第2の酸化物は、
第1の層と、前記第1の層上の第2の層と、有し、
前記第1の層は、前記第2の酸化物と概略同等の組成を有し、
前記第2の層は、前記第2の酸化物よりも、In濃度が少ない領域を有する半導体装置。
【請求項10】
基板上に第1の絶縁膜、第2の絶縁膜、第1の酸化膜、第2の酸化膜、および第1の導電膜を順に成膜し、
前記第1の導電膜の一部を除去して、第1の導電体を形成し、
前記第2の酸化膜、および前記第1の導電体の上に第2の導電膜を成膜し、
前記第1の酸化膜、前記第2の酸化膜、前記第1の導電体、および前記第2の導電膜を島状に加工して、第1の酸化物と、前記第1の酸化物上の第2の酸化物と、前記第2の酸化物上の第2の導電体、および第3の導電体と、前記第2の酸化物、前記第2の導電体、および前記第3の導電体上の第4の導電体と、を形成し、
前記第2の導電体と前記第3の導電体の間に位置する、前記第4の導電体上にダミーゲート層を形成し、
前記第1の酸化物、前記第2の酸化物、前記第2の導電体、前記第3の導電体、前記第4の導電体、および前記ダミーゲート層を覆って、第3の絶縁膜を成膜し、
前記第3の絶縁膜の上に第4の絶縁膜を成膜し、
前記第3の絶縁膜および前記第4の絶縁膜の一部を、前記ダミーゲート層の上部が露出するまで除去し、
前記ダミーゲート層を除去して、開口を形成し、
第3の絶縁膜、前記第4の絶縁膜、および第4の導電体の上に、第5の絶縁膜を成膜し、
前記第5の絶縁膜の上に、ダミー膜を成膜し、
フッ素と炭素を含むエッチングガスを用いた異方性エッチングにより、前記第5の絶縁膜および前記ダミー膜の一部を除去し、前記第4の導電体の上面および前記第3の絶縁膜の側面に接する第1の絶縁体の形成と、前記第1の絶縁体の上のダミー層の形成と、前記ダミー層上への副生成物の堆積と、を行い、
前記第1の絶縁体、前記ダミー層、および前記副生成物をマスクとして、前記第4の導電体の一部を除去し、第5の導電体および第6の導電体を形成し、
ウェットエッチングにより、前記ダミー層および前記副生成物を除去し、
前記開口の中に埋め込むように、第3の酸化膜、第6の絶縁膜、および第3の導電膜を順に成膜し、
前記第3の酸化膜、前記第6の絶縁膜、および前記第3の導電膜の一部を、前記第3の絶縁膜の上部が露出するまで除去する半導体装置の作製方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記第5の絶縁膜は、ALD法を用いて成膜され、ハフニウムを含む酸化物である半導体装置の作製方法。
【請求項12】
請求項10または請求項11において、
前記ダミー膜は、ALD法を用いて成膜され、アルミニウムを含む酸化物である半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記副生成物は、アルミニウム、フッ素、および炭素を含む半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項10乃至請求項13のいずれか一項において、
前記ウェットエッチングにより、
前記第2の酸化物の、前記第5の導電体と前記第6の導電体に挟まれた領域の上部が除去される半導体装置の作製方法。
【請求項15】
請求項10乃至請求項14のいずれか一項において、
前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜、前記第1の酸化膜、前記第2の酸化膜、および前記第1の導電膜の成膜を、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いて、大気に暴露することなく、成膜する半導体装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、ならびに半導体装置の作製方法に関する。または、本発明の一態様は、半導体ウエハ、モジュール、および電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能し得る装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装置は、半導体装置の一態様である。表示装置(液晶表示装置、発光表示装置など)、投影装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置、および電子機器などは、半導体装置を有すると言える場合がある。
【0003】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【背景技術】
【0004】
トランジスタに適用可能な半導体薄膜として、シリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛などの一元系金属の酸化物のみでなく、多元系金属の酸化物も知られている。多元系金属の酸化物の中でも、特に、In-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOとも呼ぶ。)に関する研究が盛んに行われている。
【0005】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもない、CAAC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(nanocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照。)。非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いてトランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造よりも結晶性の低い酸化物半導体でさえも、微小な結晶を有することが、非特許文献4および非特許文献5に示されている。
【0006】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特許文献6参照。)、その特性を利用したLSIおよびディスプレイが報告されている(非特許文献7および非特許文献8参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】S.Yamazaki et al.,“SID Symposium Digest of Technical Papers”,2012,volume 43,issue 1,p.183-186
【文献】S.Yamazaki et al.,“Japanese Journal of Applied Physics”,2014,volume 53,Number 4S,p.04ED18-1-04ED18-10
【文献】S.Ito et al.,“The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”,2013,p.151-154
【文献】S.Yamazaki et al.,“ECS Journal of Solid State Science and Technology”,2014,volume 3,issue 9,p.Q3012-Q3022
【文献】S.Yamazaki,“ECS Transactions”,2014,volume 64,issue 10,p.155-164
【文献】K.Kato et al.,“Japanese Journal of Applied Physics”,2012,volume 51,p.021201-1-021201-7
【文献】S.Matsuda et al.,“2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”,2015,p.T216-T217
【文献】S.Amano et al.,“SID Symposium Digest of Technical Papers”,2010,volume 41,issue 1,p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、信頼性が良好な半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、オン電流が大きい半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、高い周波数特性を有する半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、生産性の高い半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0009】
本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、データの書き込み速度が速い半導体装置を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、設計自由度が高い半導体装置を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、第1の酸化物と、第1の酸化物の上に、互いに離隔して、配置された第1の導電体および第2の導電体と、第1の導電体の上面および側面と、第1の酸化物の上面と、に接して配置された、第3の導電体と、第2の導電体の上面および側面と、第1の酸化物の上面と、に接して配置された、第4の導電体と、第3の導電体および第4の導電体の上に配置され、第3の導電体と第4の導電体の間に重畳して開口が形成された第1の絶縁体と、開口の中に配置された第5の導電体と、第1の酸化物、第3の導電体、第4の導電体、および第1の絶縁体と、第5の導電体と、の間に配置された、第2の酸化物と、第2の酸化物と、第5の導電体と、の間に配置された第2の絶縁体と、第3の導電体、第4の導電体、および第1の絶縁体と、第2の酸化物と、の間に配置され、第3の導電体と第4の導電体に挟まれた領域において、第1の酸化物と重畳しない、第3の絶縁体と、を有し、第3の導電体および第4の導電体は、それぞれ、第5の導電体と重畳する領域を有する半導体装置である。
【0012】
上記において、第1の酸化物、第1の導電体、第2の導電体、第3の導電体、第4の導電体、および第3の絶縁体と、第1の絶縁体と、の間に第4の絶縁体が配置され、第4の絶縁体は、第1の絶縁体より酸素透過性が低い、ことが好ましい。
【0013】
また、上記において、第5の導電体は、第1の酸化物の側面と対向するように配置され、第5の導電体と、第1の酸化物の側面との間に、第2の酸化物と、第2の絶縁体が配置される、ことが好ましい。また、上記において、第3の導電体は、第1の導電体より膜厚が薄く、第4の導電体は、第2の導電体より膜厚が薄い、ことが好ましい。また、上記において、第1の酸化物は、第3の導電体または第4の導電体と重ならない領域の膜厚が、第3の導電体または第4の導電体と重なる領域の膜厚より、薄くてもよい。
【0014】
また、上記において、第1の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有することが好ましい。また、上記において、第2の酸化物は、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有していることが好ましい。また、上記において、第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有し、第2の酸化物における元素Mに対するInの原子数比は、第1の酸化物おける元素Mに対するInの原子数比より小さくてもよい。また、第2の酸化物は、第1の層と、第1の層上の第2の層と、有し、第1の層は、第2の酸化物と概略同等の組成を有し、第2の層は、第2の酸化物よりも、In濃度が少ない領域を有してもよい。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、基板上に第1の絶縁膜、第2の絶縁膜、第1の酸化膜、第2の酸化膜、および第1の導電膜を順に成膜し、第1の導電膜の一部を除去して、第1の導電体を形成し、第2の酸化膜、および第1の導電体の上に第2の導電膜を成膜し、第1の酸化膜、第2の酸化膜、第1の導電体、および第2の導電膜を島状に加工して、第1の酸化物と、第1の酸化物上の第2の酸化物と、第2の酸化物上の第2の導電体、および第3の導電体と、第2の酸化物、第2の導電体、および第3の導電体上の第4の導電体と、を形成し、第2の導電体と第3の導電体の間に位置する、第4の導電体上にダミーゲート層を形成し、第1の酸化物、第2の酸化物、第2の導電体、第3の導電体、第4の導電体、およびダミーゲート層を覆って、第3の絶縁膜を成膜し、第3の絶縁膜の上に第4の絶縁膜を成膜し、第3の絶縁膜および第4の絶縁膜の一部を、ダミーゲート層の上部が露出するまで除去し、ダミーゲート層を除去して、開口を形成し、第3の絶縁膜、第4の絶縁膜、および第4の導電体の上に、第5の絶縁膜を成膜し、第5の絶縁膜の上に、ダミー膜を成膜し、フッ素と炭素を含むエッチングガスを用いた異方性エッチングにより、第5の絶縁膜およびダミー膜の一部を除去し、第4の導電体の上面および第3の絶縁膜の側面に接する第1の絶縁体の形成と、第1の絶縁体の上のダミー層の形成と、ダミー層上への副生成物の堆積と、を行い、第1の絶縁体、ダミー層、および副生成物をマスクとして、第4の導電体の一部を除去し、第5の導電体および第6の導電体を形成し、ウェットエッチングにより、ダミー層および副生成物を除去し、開口の中に埋め込むように、第3の酸化膜、第6の絶縁膜、および第3の導電膜を順に成膜し、第3の酸化膜、第6の絶縁膜、および第3の導電膜の一部を、第3の絶縁膜の上部が露出するまで除去する半導体装置の作製方法である。
【0016】
また、上記において、第5の絶縁膜は、ALD法を用いて成膜され、ハフニウムを含む酸化物であってもよい。また、上記において、ダミー膜は、ALD法を用いて成膜され、アルミニウムを含む酸化物であってもよい。また、上記において、副生成物は、アルミニウム、フッ素、および炭素を含んでもよい。また、上記において、ウェットエッチングにより、第2の酸化物の、第5の導電体と第6の導電体に挟まれた領域の上部が除去されてもよい。また、上記において、第1の絶縁膜、第2の絶縁膜、第1の酸化膜、第2の酸化膜、および第1の導電膜の成膜を、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いて、大気に暴露することなく、成膜してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オン電流が大きい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、高い周波数特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
【0018】
または、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することができる。または、データの書き込み速度が速い半導体装置を提供することができる。または、設計自由度が高い半導体装置を提供することができる。または、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる。
【0019】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図2】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図。
図3】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図4】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図5】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図6】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図7】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図8】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図9】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図10】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図11】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図12】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図13】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図14】本発明の一態様に係る半導体装置を作製するための装置を説明する上面図。
図15】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図16】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
図17】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
図18】本発明の一態様に係る半導体装置の模式図。
図19】本発明の一態様に係る記憶装置の模式図。
図20】本発明の一態様に係る電子機器を示す図。
図21】本発明の実施例を説明する図。
図22】本発明の実施例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。また、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0023】
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
【0024】
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0025】
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0026】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接的に接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。
【0027】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0028】
本明細書において、酸化物、金属酸化物、化合物などを構成する元素の原子数比を示す場合、特段断りが無い限りは、その原子数比の近傍も含まれる場合がある。ここで、原子数比の近傍とは、各原子数を示す値の50%以上150%以下の値を含めるものとする。例えば、[A]:[B]=2:1の原子数比の場合、[A]の比率の近傍として、1以上3以下を含み、[B]の比率の近傍として、0.5以上1.5以下を含むものとする。また、原子数比の近傍とは、各原子数を示す値の80%以上120%以下の値を含めるものとする。例えば、[A]:[B]=2:1の原子数比の場合、[A]の比率の近傍として、1.6以上2.4以下を含み、[B]の比率の近傍として、0.8以上1.2以下を含むものとする。また、原子数比の近傍とは、各原子数を示す値の90%以上110%以下の値を含めるものとする。例えば、[A]:[B]=2:1の原子数比の場合、[A]の比率の近傍として、1.8以上2.2以下を含み、[B]の比率の近傍として、0.9以上1.1以下を含むものとする。
【0029】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
【0030】
なお、本明細書等において、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0031】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0032】
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
【0033】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0034】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。
【0035】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
【0036】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10度以上10度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5度以上5度以下の場合も含まれる。また、「概略平行」とは、二つの直線が-30度以上30度以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80度以上100度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85度以上95度以下の場合も含まれる。また、「概略垂直」とは、二つの直線が60度以上120度以下の角度で配置されている状態をいう。
【0037】
なお、本明細書において、バリア膜とは、水、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する膜のことであり、当該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜と呼ぶことがある。
【0038】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む。)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう。)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETあるいはOSトランジスタと記載する場合においては、酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0039】
また、本明細書等において、ノーマリーオフとは、ゲートに電位を印加しない、またはゲートに接地電位を与えたときに、トランジスタに流れるチャネル幅1μmあたりの電流が、室温において1×10-20A以下、85℃において1×10-18A以下、または125℃において1×10-16A以下であることをいう。
【0040】
(実施の形態1)
以下では、先の実施の形態に示す半導体装置の具体的な構成の一例について、図1乃至図12を用いて説明する。
【0041】
<半導体装置の構成例>
図1(A)、図1(B)、および図1(C)は、本発明の一態様に係るトランジスタ200、およびトランジスタ200周辺の上面図および断面図である。また、図2は、トランジスタ200の拡大図である。
【0042】
図1(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図1(B)、および図1(C)は、当該半導体装置の断面図である。ここで、図1(B)は、図1(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図1(C)は、図1(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお、図1(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、図2(A)は、図1(B)における酸化物230cおよびその近傍の拡大図であり、図2(B)は、図1(C)における酸化物230と導電体260、およびその近傍の拡大図である。
【0043】
[トランジスタ200]
図1に示すように、トランジスタ200は、基板(図示しない。)の上に配置された酸化物230aと、酸化物230a上に配置された酸化物230bと、酸化物230bの上に、互いに離隔して、配置された導電体243aおよび導電体243bと、導電体243aの上面および側面と、酸化物230bの上面と、に接して配置された、導電体242aと、導電体243bの上面および側面と、酸化物230bの上面と、に接して配置された、導電体242bと、導電体242aおよび導電体242bの上に配置され、導電体242aと導電体242bの間に重畳して開口が形成された絶縁体280と、開口の中に配置された導電体260と、酸化物230b、導電体242a、導電体242b、および絶縁体280と、導電体260と、の間に配置された、酸化物230cと、酸化物230cと、導電体260と、の間に配置された絶縁体250と、導電体242a、導電体242b、および絶縁体280と、酸化物230cと、の間に配置された、絶縁体266と、を有する。ここで、絶縁体266は、導電体242aと導電体242bに挟まれた領域において、酸化物230bと重畳しない。
【0044】
なお、以下において、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cをまとめて酸化物230と呼称する場合がある。また、導電体242aおよび導電体242bをまとめて導電体242と呼称する場合がある。また、導電体243aおよび導電体243bをまとめて導電体243と呼称する場合がある。また、図1に示すように、導電体260は、絶縁体250の内側に設けられた導電体260aと、導電体260aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体260bの積層構造にしてもよい。
【0045】
なお、トランジスタ200では、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)と、その近傍において、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのそれぞれが2層以上の積層構造を有していてもよい。本実施の形態では、図2に示すように、酸化物230cが酸化物230c1、および酸化物230c1上の酸化物230c2の2層からなる積層構造を有する例を示す。
【0046】
図1に示すように、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、導電体242b、導電体243a、導電体243b、および絶縁体266と、絶縁体280と、の間に絶縁体244および絶縁体254が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体254は、図1(B)(C)に示すように、絶縁体266の側面、導電体242の上面と側面、導電体243の側面、酸化物230aおよび酸化物230bの側面、ならびに絶縁体224の上面に接することが好ましい。絶縁体244は絶縁体254の上面に接して配置されることが好ましい。絶縁体254および絶縁体244は、導電体242aおよび導電体243aと絶縁体280の間に位置する領域と、導電体242bおよび導電体243bと絶縁体280の間に位置する領域を有する。また、絶縁体244および絶縁体254のどちらか一方のみを配置してもよい。
【0047】
導電体260の上面、絶縁体250の上面、酸化物230cの上面、絶縁体266の上面、絶縁体254の上面、絶縁体244の上面、および絶縁体280の上面に接して、絶縁体274が配置されることが好ましい。なお、絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体281が配置されることが好ましい。
【0048】
絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274は、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体280より水素透過性が低いことが好ましい。また、絶縁体222、絶縁体254、および絶縁体244は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254、および絶縁体244は、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体280より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0049】
また、トランジスタ200は、基板(図示しない。)の上に配置された絶縁体214と、絶縁体214の上に配置された導電体205と、絶縁体214の上に、導電体205の側面と接するように配置された絶縁体216と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、を有することが好ましい。このとき、絶縁体222は、導電体205の上面、および絶縁体216の上面と接するように設けられることが好ましい。絶縁体224の上に酸化物230aが配置されることが好ましい。
【0050】
また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)が設けられることが好ましい。なお、プラグとして機能する導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、および絶縁体241b)が設けられる。つまり、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体281の開口の内壁に接して絶縁体241が設けられる。また、絶縁体241の側面に接して導電体240の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240の第2の導電体が設けられる構成にしてもよい。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体240の第1の導電体および導電体240の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240を単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0051】
トランジスタ200は、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。例えば、酸化物230のチャネル形成領域となる金属酸化物としては、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタの非導通状態におけるリーク電流(オフ電流)を極めて小さくすることができる。このようなトランジスタを用いることで、低消費電力の半導体装置を提供できる。
【0052】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または錫を用いるとよい。また、酸化物230として、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、または酸化ガリウムを用いてもよい。
【0053】
酸化物半導体は、水素などの不純物が存在すると、キャリア密度が増大し、低抵抗化する場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損に入り込んだ水素がドナーとして機能し、トランジスタがノーマリーオン化するおそれがある。また、例えば、電圧、高温などのストレスによって、酸化物半導体中で水素が移動し、トランジスタの電気特性が変動するおそれがある。
【0054】
また、酸化物230に過剰な酸素が供給されると、電圧、高温などのストレスにより、酸化物230中の過剰な酸素の構造が変化する場合がある。これにより、酸化物230を有するトランジスタの電気特性が不安定になる、または信頼性が低下するおそれがある。
【0055】
しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタ200は、上述の通り、水素などの不純物、および酸素に対してバリア性を有する絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274によって、絶縁体224、絶縁体250、および酸化物230が覆われている。このように、トランジスタ200において、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250は、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体274によって、絶縁体280および絶縁体281と離隔されている。これにより、トランジスタ200の外方から水素などの不純物や過剰な酸素が浸入することを抑制できるので、トランジスタ200に良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
【0056】
導電体260は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体242aと導電体243a、および導電体242bと導電体243bは、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。酸化物230は、導電体242aと導電体242bの間の領域にチャネル形成領域を有し、導電体242a(導電体242b)と重なる領域近傍に、チャネル形成領域を挟みこむようにソース領域とドレイン領域を有する。なお、ソース領域、および/またはドレイン領域が、導電体242a(導電体242b)より内側に突出する形状になる場合もある。なお、トランジスタ200のチャネル形成領域は、酸化物230bだけでなく、酸化物230bと酸化物230cの界面近傍、および/または酸化物230cに形成される場合もある。
【0057】
導電体260は、絶縁体280の開口に埋め込まれるように形成される。ここで、導電体260、導電体242aおよび導電体242bの配置は、絶縁体280の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ200において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体260を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ200の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0058】
ここで、図2(A)に示すように、導電体242aおよび導電体242bは、それぞれ、絶縁体266、酸化物230c、および絶縁体250を介して、導電体260と重畳する領域を有する。酸化物230の、当該領域と重なる領域は、所謂オーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する。以下において、Lov領域のチャネル長方向の長さをT1とする。例えば、T1は、5nm以上60nm以下、好ましくは10nm以上40nm以下、より好ましくは10nm以上20nm以下とする。
【0059】
導電体260と、導電体242が重なる領域を有することで、導電体260と導電体242とのオフセット領域を無くし、導電体260によって印加されるゲート電界によるトランジスタの制御性の向上が期待できる。
【0060】
さらに、導電体242aおよび導電体242bが、それぞれ、導電体260と重畳する構成にすることにより、導電体242aと導電体242bの間の距離が、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254に形成される開口のチャネル長方向の長さより短くなる。これにより、トランジスタ200のチャネル長をより短くすることができる。
【0061】
さらに、導電体242の膜厚は、少なくとも導電体243より薄いことが好ましい。このように、導電体242の膜厚を薄くすることにより、Lov領域およびその近傍における酸化物230bと導電体260の距離を小さくすることができる。
【0062】
トランジスタ200は、上記のような構成を有することにより、酸化物230の導電体242aおよび導電体242b近傍の領域にも、導電体260によって印加されるゲート電界の寄与を大きくすることができる。これにより、オン電流、S値、周波数特性の向上を図ることができる。
【0063】
また、導電体243a(導電体243b)は、導電体240a(導電体240b)と重畳して設けられることが好ましい。さらに、導電体243の膜厚は、少なくとも導電体242より厚い。このような構成にすることで、導電体240a(導電体240b)を埋め込む開口を形成するエッチングにおいて、当該開口の底部に導電体243a(導電体243b)が設けられるので、酸化物230bがオーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
【0064】
また、導電体242の上面に接して絶縁体266が設けられている。絶縁体266は、導電体242aと導電体260の間に位置する領域と、導電体242bと導電体260の間に位置する領域を有する。詳細は後述するが、絶縁体266は、導電体242aと導電体242bを分離する際のマスクの一部として機能する。このため、絶縁体266の下面の導電体260側の端部は、導電体242a(導電体242b)の上面の導電体260側の端部と、概略一致する場合がある。
【0065】
以上より、オン電流が大きいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、高い周波数特性を有するトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有するとともに、信頼性を向上させた半導体装置を提供することができる。または、オフ電流が小さいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
【0066】
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の詳細な構成について説明する。
【0067】
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。また、導電体205は、絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。ここで、導電体205の上面の平坦性を良好にすることが好ましい。例えば、導電体205上面の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.5nm以下、より好ましくは0.3nm以下にすればよい。これにより、導電体205の上に形成される、絶縁体224の平坦性を良好にし、酸化物230a、酸化物230bおよび酸化物230cの結晶性の向上を図ることができる。
【0068】
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(ボトムゲートともいう。)電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のVthを制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のVthを0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0069】
また、導電体205は、酸化物230におけるチャネル形成領域よりも、大きく設けるとよい。特に、図1(C)に示すように、導電体205は、酸化物230のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
【0070】
上記構成を有することで、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0071】
また、図1(C)に示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。
【0072】
また、導電体205は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205を単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0073】
また、導電体205の下に水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電体を用いてもよい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電体を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一またはすべての拡散を抑制する機能とする。
【0074】
導電体205の下に、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることにより、導電体205が酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205の第1の導電体としては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。
【0075】
絶縁体214は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0076】
例えば、絶縁体214として、酸化アルミニウムまたは窒化シリコンなどを用いることが好ましい。これにより、水または水素などの不純物が絶縁体214よりも基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体214より基板側に、拡散するのを抑制することができる。
【0077】
また、絶縁体214は、積層構造であってもよい。例えば、酸化アルミニウム膜と、窒化シリコン膜との積層構造を絶縁体214に用いる好適である。酸化アルミニウム膜によって、絶縁体214の下方に酸素を供給することができる。また、窒化シリコン膜によって、基板側からトランジスタ200側に拡散する水素、水などの不純物の拡散を抑制することができる。なお、酸化アルミニウム膜と、窒化シリコン膜との積層順については、特に限定は無い。例えば、窒化アルミニウム膜上に酸化アルミニウム膜を設ける積層構造、酸化アルミニウム膜上に窒化アルミニウム膜を設ける積層構造のいずれか一を用いることができる。
【0078】
また、層間膜として機能する絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体281は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体281として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンなどを適宜用いればよい。
【0079】
絶縁体222および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
【0080】
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。本明細書では、加熱により離脱する酸素を過剰酸素と呼ぶことがある。例えば、絶縁体224は、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどを適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
【0081】
絶縁体224は、In濃度が低減された絶縁体を用いることが好ましい。絶縁体224と接する酸化物230aにInが含まれている場合、該Inが絶縁体224中に拡散する恐れがある。絶縁体224中の金属Inは、負の電荷を捕獲し、トランジスタの閾値電圧のプラスシフトや、S値の増大など、トランジスタ特性、およびそのばらつきに影響を及ぼす恐れがある。例えば、トランジスタの閾値電圧がプラスシフトし、ノーマリーオフ特性となった場合、該トランジスタは、より高い駆動電圧が必要となり、低電圧駆動が困難となる。この場合、該トランジスタ、およびそれを有する電子機器の消費電力は増大してしまう。
【0082】
そこで、例えば、絶縁体224に含まれるIn濃度は、1.0×1019atoms/cm以下、好ましくは、1.0×1018atoms/cm以下、より好ましくは、1.0×1017atoms/cm以下、であることが好ましい。あるいは、絶縁体224と接する酸化物230aとして、Inを含まない酸化物とすることが好ましい。例えば、酸化物230aとして、元素Mの酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)、M-Zn酸化物、あるいはM-Zn酸化物と、M-Zn酸化物上のIn-M-Zn酸化物を含む積層体を用いることが好ましい。具体的には、酸化物230aとして、酸化ガリウム、Ga-Zn酸化物、あるいはGa-Zn酸化物と、Ga-Zn酸化物上のIn-Ga-Zn酸化物を含む積層体を用いることが好ましい。
【0083】
絶縁体224として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm以上、または3.0×1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0084】
また、図1(C)に示すように、絶縁体224は、絶縁体254と重ならず、且つ酸化物230bと重ならない領域の膜厚が、それ以外の領域の膜厚より薄くなる場合がある。絶縁体224において、絶縁体254と重ならず、且つ酸化物230bと重ならない領域の膜厚は、上記酸素を十分に拡散できる膜厚であることが好ましい。
【0085】
絶縁体222は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274によって、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250などを囲むことにより、外方から水または水素などの不純物がトランジスタ200に侵入することを抑制することができる。
【0086】
さらに、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物230が有する酸素が、基板側へ拡散することを低減できるので、好ましい。また、導電体205が、絶縁体224や、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0087】
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0088】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0089】
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0090】
なお、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。例えば、絶縁体222の下に絶縁体224と同様の絶縁体を設ける構成にしてもよい。
【0091】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。ここで、酸化物230a、および酸化物230bは、島状に形成され、絶縁体224の上に配置されている。また、酸化物230cは、図1(B)、および図1(C)に示すように、絶縁体280に設けられた開口部内で、絶縁体250の底面および側面に沿って設けられ、さらに、絶縁体266の側面および上面、導電体242aの側面、および導電体242bの側面に接して設けられる。また、酸化物230cは、図1(C)に示すように、該開口部内で、酸化物230bの上面および側面と、酸化物230aの側面と接するように設けられる。
【0092】
酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0093】
なお、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いてもよい。
【0094】
また、酸化物230cは、Inを含まない、またはIn濃度が少ない領域を有することが好ましい。酸化物230cがInを含まない場合、M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230cが、In濃度が少ない領域を有する場合、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より小さいことが好ましい。また、図2(A)に示すように、酸化物230cを、酸化物230c1と酸化物230c2の積層構造にする場合、酸化物230c1に酸化物230bと概略同等の組成の金属酸化物を用い、酸化物230c2に酸化物230bよりも、In濃度が少ない領域を有する金属酸化物を用いればよい。
【0095】
酸化物230(酸化物230a、酸化物230bおよび酸化物230c)は、結晶性を有することが好ましく、特に、CAAC-OSを用いることが好ましい。CAAC-OSなどの結晶性を有する酸化物は、不純物や欠陥(酸素欠損など)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極またはドレイン電極による、酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物230bから酸素が引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
【0096】
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。言い換えると、酸化物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0097】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0098】
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を少なくとも一つ有することで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの構成並びに材料について、以下に説明を行う。なお、下記酸化物に含まれる金属元素の原子数比は、スパッタリングターゲットにおける原子数比、あるいは、基板上に形成された金属酸化物における原子数比を示す。
【0099】
<酸化物230a>
酸化物230aとしては、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、または酸化ガリウムを用いることができる。具体的には、酸化物230aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、Ga:Zn=2:5[原子数比]、または酸化ガリウムなどの金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230aを第1の層(酸化物230a1とする)と、酸化物230a1上の第2の層(酸化物230a2)との積層構造としてもよい。ただし、積層構造については、これに限定されず、2以上の層数としてもよい。酸化物230aを積層構造とする場合、第2の層よりも、第1の層のバンドギャップを大きくするのが好ましい。具体的には、酸化物230aを、酸化物230a1と、酸化物230a1上の酸化物230a2との積層構造とした場合、酸化物230a1には、Ga:Zn=2:1[原子数比]またはGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物、あるいは酸化ガリウムを用いることができる。なお、酸化物230a1は、Inを含まない酸化物を用いると好適である。また、酸化物230a2には、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、または3:1:2[原子数比]の金属酸化物を用いることができる。
【0100】
<酸化物230b>
酸化物230bとしては、In-Ga-Zn酸化物を用いることができる。具体的には、酸化物230bとして、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、または3:1:2[原子数比]の金属酸化物を用いることができる。
【0101】
<酸化物230c>
酸化物230cとしては、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、または酸化ガリウムを用いることができる。具体的には、酸化物230cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、Ga:Zn=2:5[原子数比]または酸化ガリウムなどの金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230cを第1の層(酸化物230c1とする)と、酸化物230c1上の第2の層(酸化物230c2とする)との積層構造としてもよい。ただし、積層構造については、これに限定されず、2以上の層数としてもよい。酸化物230cを積層構造とする場合、第1の層よりも、第2の層のバンドギャップを大きくするのが好ましい。具体的には、酸化物230cを、酸化物230c1と、酸化物230c1上の酸化物230c2との積層構造とした場合、酸化物230c1には、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、または3:1:2[原子数比]の金属酸化物を用いることができる。また、酸化物230c2には、Ga:Zn=2:1[原子数比]またはGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物、あるいは酸化ガリウムを用いることができる。なお、酸化物230c2は、Inを含まない酸化物を用いると好適である。
【0102】
なお、酸化物230a、及び酸化物230cは、上述の積層構造とすることが好ましく、上述の積層構造を別言すると、絶縁体(絶縁体224または絶縁体250)と接する酸化物は、Inを含まない酸化物であるとも言える。
【0103】
酸化物230a1として、Inを含まない酸化物を用いることで、絶縁体224へのInの拡散を抑制することが可能となる。また、酸化物230c2として、Inを含まない酸化物を用いることで、絶縁体250へのInの拡散を抑制することが可能となる。なお、絶縁体224および絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能するため、Inが拡散した場合、トランジスタが特性不良となるおそれがある。したがって、絶縁体(絶縁体224または絶縁体250)と接する酸化物に、Inを含まない酸化物を用いることで、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0104】
また、酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230cを上記の構成とすることで、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。また、酸化物230a、酸化物230cを上述の積層構造とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるといった優れた効果を奏する。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は高いオン電流、および高い周波数特性を得ることができる。
【0105】
なお、上記の説明においては、酸化物230aおよび酸化物230cの双方を積層構造とする場合について、例示したがこれに限定されない。酸化物230aおよび酸化物230cのいずれか一方のみが積層構造の場合でも構わない。
【0106】
また、図1(B)に示すように、酸化物230bは、導電体242と重ならない領域の膜厚が、導電体242と重なる領域の膜厚より薄くなる場合がある。これは、導電体242aおよび導電体242bを形成する際に、酸化物230bの上面の一部を除去することにより形成される。酸化物230bの上面には、導電体242となる導電膜を成膜した際に、当該導電膜との界面近傍に抵抗の低い領域が形成される場合がある。このように、酸化物230bの上面の導電体242aと導電体242bの間に位置する、抵抗の低い領域を除去することにより、当該領域がチャネルの一部となることを防ぐことができる。また、図示しないが、酸化物230bは、導電体243と重ならない領域の膜厚が、導電体243と重なる領域の膜厚より薄くなる場合がある。これは、導電体243aおよび導電体243bを形成する際に、酸化物230bの上面の一部を除去することにより形成される。すなわち、酸化物230bは、それぞれ異なる第1の厚さを有する領域、第2の厚さを有する領域、および第3の厚さを有する領域を含む場合がある。
【0107】
酸化物230b上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体243(導電体243a、および導電体243b)、および導電体242(導電体242a、および導電体242b)が設けられる。導電体243、および導電体242としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0108】
導電体243、および導電体242は、同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。また、酸化物230b上において、導電体242の面積は、導電体243の面積よりも大きく、導電体242は、導電体243の上面、および側面の一部と接し、かつ酸化物230bの上面の一部と接する。また、導電体242の膜厚は、導電体243の膜厚よりも薄いことが好ましい。
【0109】
酸化物230と接するように導電体243、および導電体242を設けることで、酸化物230の導電体243、および導電体242近傍において、酸素濃度が低減する場合がある。また、酸化物230の導電体243、および導電体242近傍において、導電体243、および導電体242に含まれる金属と、酸化物230の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、酸化物230の導電体243、および導電体242近傍の領域において、キャリア密度が増加し、当該領域は、低抵抗領域となる。
【0110】
ここで、導電体242aと導電体242bの間の領域は、絶縁体280の開口に重畳して形成される。これにより、導電体242aと導電体242bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0111】
図1に示すトランジスタ200では、導電体242aおよび導電体242bの導電体260側の側面と底面がなす角を、10°以上80°以下、好ましくは、30°以上60°以下とすればよい。なお、図1に示すトランジスタ200は、これに限られるものではなく、導電体242aおよび導電体242bの導電体260側の側面が、概略垂直な形状を有していてもよい。また、導電体242aおよび導電体242bの対向する側面は、それぞれ側面と底面のなす角が異なる複数の面を有していてもよい。
【0112】
絶縁体266は、導電体242aおよび導電体242bを形成するためのハードマスクとして機能する。また、絶縁体266は、絶縁体266上に形成されるハードマスクを除去する際にエッチングストッパーとして機能する。絶縁体266は、導電体242aおよび導電体242bの上面に接し、絶縁体254の側面に接することが好ましい。絶縁体266は、絶縁体222として用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体266として酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いることにより、導電体242が酸化物230cが有する酸素と反応することを低減できる。
【0113】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、導電体260の底面および側面に沿って設けられ、酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0114】
絶縁体250は、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。また、絶縁体250中のInなどの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0115】
また、絶縁体250は、In濃度が極力低減されていることが好ましい。絶縁体250と接する酸化物230cにInが含まれている場合、該Inが絶縁体250中に拡散する恐れがある。絶縁体250中の金属Inは、負の電荷を捕獲し、トランジスタの閾値電圧のプラスシフトや、S値の増大など、トランジスタ特性、およびそのばらつきに影響を及ぼす恐れがある。例えば、トランジスタの閾値電圧がプラスシフトし、ノーマリーオフ特性となった場合、該トランジスタは、より高い駆動電圧が必要となり、低電圧駆動が困難となる。この場合、該トランジスタ、およびそれを有する電子機器の消費電力は増大してしまう。
【0116】
そこで、絶縁体250に含まれるIn濃度は、1.0×1019atoms/cm以下、好ましくは、1.0×1018atoms/cm以下、より好ましくは、1.0×1017atoms/cm以下、であることが好ましい。あるいは、絶縁体250と接する酸化物230c(230c2)として、Inを含まない酸化物とすることが好ましい。例えば、酸化物230c1として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)を用い、酸化物230c2として、元素Mの酸化物、M-Zn酸化物などを用いることが好ましい。具体的には、酸化物230c1として、In-Ga-Zn酸化物とし、酸化物230c2として、酸化ガリウム、またはGa-Zn酸化物を用いることが好ましい。
【0117】
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素拡散を抑制することが好ましい。これにより、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0118】
また、当該金属酸化物は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、当該金属酸化物は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁体を、絶縁体250と当該金属酸化物との積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0119】
具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0120】
導電体260は、図1では2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、導電体260の上面は、絶縁体250、絶縁体254、絶縁体244、酸化物230c、および絶縁体280の上面と略一致することが好ましい。
【0121】
導電体260aは、上述の、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0122】
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
【0123】
また、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0124】
また、図1(A)(C)に示すように、酸化物230bの導電体242と重ならない領域、言い換えると、酸化物230のチャネル形成領域において、酸化物230の側面が導電体260で覆われることが好ましい。さらに、導電体260が酸化物230bの側面と対向するように配置され、導電体260と、酸化物230bの側面との間に、酸化物230cおよび絶縁体250が配置されることが好ましい。これにより、第1のゲート電極として機能する導電体260の電界を、酸化物230の側面に印加しやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。例えば、図2(B)に示すように、導電体260の下端部は、酸化物230bの下端部より絶縁体224側に設けられていることが好ましい。ここで、図2(B)に示すように、導電体260の下端部と酸化物230bの下端部の差をT2とする。T2は、0nm以上100nm以下、好ましくは、3nm以上50nm以下、より好ましくは、5nm以上20nm以下とする。
【0125】
絶縁体254は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、図1(B)(C)に示すように、絶縁体254は、酸化物230cの側面、導電体242の上面と側面、導電体243の側面、酸化物230aおよび酸化物230bの側面、ならびに絶縁体224の上面に接することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体280に含まれる水素が、導電体242、導電体243、酸化物230a、酸化物230bおよび絶縁体224の上面または側面から酸化物230に侵入するのを抑制することができる。
【0126】
さらに、絶縁体254は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体280または絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0127】
絶縁体254は、被覆性に優れた、ALD法を用いて成膜されることが好ましい。
【0128】
または、絶縁体254は、スパッタリング法を用いて成膜されることが好ましい。絶縁体254を、酸素を含む雰囲気でスパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体224の絶縁体254と接する領域近傍に酸素を添加することができる。これにより、当該領域から、絶縁体224を介して酸化物230中に酸素を供給することができる。ここで、絶縁体254が、上方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が酸化物230から絶縁体280へ拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体222が、下方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が酸化物230から基板側へ拡散することを防ぐことができる。このようにして、酸化物230のチャネル形成領域に酸素が供給される。これにより、酸化物230の酸素欠損を低減し、トランジスタのノーマリーオン化を抑制することができる。
【0129】
絶縁体254としては、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0130】
また、絶縁体254は、フッ素を含んでいてもよい。絶縁体254に含まれるフッ素は、酸化物230およびその近傍に存在する水素を捕獲し、酸化物230からの水素のゲッタリングや、絶縁体254の外部から酸化物230への水素などの不純物の混入を抑制することができ、好ましい。フッ素を含む絶縁体254の形成は、絶縁体254形成後にフッ素を添加すればよい。または、絶縁体254の成膜を、フッ素を含む雰囲気で行ってもよい。
【0131】
絶縁体244は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体244は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、図1(B)(C)に示すように、絶縁体244は、絶縁体254に接するように配置されることが好ましい。この様な構成とすることで、絶縁体280に含まれる水素が、導電体260、酸化物230cおよび絶縁体250の側面から酸化物230に侵入するのを抑制することができる。
【0132】
絶縁体244は、スパッタリング法を用いて成膜されることが好ましい。絶縁体244を、酸素を含む雰囲気でスパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体254を透過して、絶縁体224に酸素を添加することができる。これにより、絶縁体224から、酸化物230中に酸素を供給することができる。ここで、絶縁体244が、上方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が酸化物230から絶縁体280へ拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体222が、下方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が酸化物230から基板側へ拡散することを防ぐことができる。このようにして、酸化物230のチャネル形成領域に酸素が供給される。これにより、酸化物230の酸素欠損を低減し、トランジスタのノーマリーオン化を抑制することができる。
【0133】
絶縁体244としては、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0134】
また、絶縁体254と同様に、絶縁体244は、フッ素を含んでいてもよい。絶縁体244がフッ素を含むことで、絶縁体244においても酸化物230およびその近傍に存在する水素を捕獲し、酸化物230からの水素のゲッタリングや、絶縁体244の外部から酸化物230への水素などの不純物の混入を抑制することができ、好ましい。フッ素を含む絶縁体244の形成は、絶縁体244形成後にフッ素を添加すればよい。または、絶縁体244の成膜を、フッ素を含む雰囲気で行ってもよい。
【0135】
このように、水素に対してバリア性を有する、あるいは水素などの不純物を捕獲する絶縁体254および絶縁体244によって、絶縁体224、絶縁体250、および酸化物230が覆うことで、絶縁体280は、絶縁体254または絶縁体244によって、絶縁体224、酸化物230、および絶縁体250と離隔されている。これにより、トランジスタ200の外方から水素などの不純物が浸入することを抑制できるので、トランジスタ200に良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
【0136】
さらに、絶縁体244は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体244は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体244が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、導電体260が、絶縁体280が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0137】
絶縁体244としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁体を用いてもよい。絶縁体244として、組成式がAlNx(xは0より大きく2以下の実数、好ましくは、xは0.5より大きく1.5以下の実数)を満たす窒化物絶縁体を用いることが好ましい。これにより、絶縁性に優れ、且つ熱伝導性に優れた膜とすることができるため、トランジスタ200を駆動したときに生じる熱の放熱性を高めることができる。また、絶縁体244として、窒化アルミニウムチタン、窒化チタンなどを用いることもできる。この場合、スパッタリング法を用いて成膜することで、成膜ガスに酸素またはオゾンなどの酸化性の強いガスを用いずに成膜することができるので、好ましい。また、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどを用いることもできる。
【0138】
また、絶縁体244としては、例えば、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。この場合、絶縁体244は、ALD法を用いて成膜されることが好ましい。ALD法は、被覆性の良好な成膜法なので、絶縁体244の凹凸によって、段切れなどを防ぐことができる。
【0139】
絶縁体280は、絶縁体244および絶縁体254を介して、絶縁体224、酸化物230、および導電体242上に設けられる。例えば、絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンなどを有することが好ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコンなどの材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
【0140】
絶縁体280中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
【0141】
絶縁体274は、絶縁体214などと同様に、水または水素などの不純物が、上方から絶縁体280に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁体274としては、例えば、絶縁体214、絶縁体254、絶縁体244等に用いることができる絶縁体を用いればよい。
【0142】
また、絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体281を設けることが好ましい。絶縁体281は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0143】
また、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254に形成された開口に、導電体240aおよび導電体240bを配置する。導電体240aおよび導電体240bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240aおよび導電体240bの上面は、絶縁体281の上面と、同一平面上としてもよい。
【0144】
なお、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241aが設けられ、その側面に接して導電体240aの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242aが位置しており、導電体240aが導電体242aと接する。同様に、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244、および絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241bが設けられ、その側面に接して導電体240bの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242bが位置しており、導電体240bが導電体242bと接する。
【0145】
導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240aおよび導電体240bは積層構造としてもよい。
【0146】
また、導電体240を積層構造とする場合、酸化物230a、酸化物230b、導電体242、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281と接する導電体には、上述の、水または水素などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280に添加された酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。また、絶縁体281より上層から水または水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
【0147】
絶縁体241aおよび絶縁体241bとしては、例えば、絶縁体244等に用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体241aおよび絶縁体241bは、絶縁体254および絶縁体244に接して設けられるので、絶縁体280などから水または水素などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240aおよび導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
【0148】
また、図示しないが、導電体240aの上面、および導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0149】
また、図示しないが、当該導電体を覆うように、抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上1.0×1015Ω・cm以下、好ましくは5.0×1013Ω・cm以上5.0×1014Ω・cm以下の絶縁体を設けることが好ましい。当該導電体上に上記のような抵抗率を有する絶縁体を設けることで、当該絶縁体は、絶縁性を維持しつつ、トランジスタ200、当該導電体等の配線間に蓄積される電荷を分散し、該電荷によるトランジスタや、該トランジスタを有する電子機器の特性不良や静電破壊を抑制することができ、好ましい。
【0150】
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
【0151】
<<基板>>
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0152】
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
【0153】
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
【0154】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
【0155】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などがある。
【0156】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体(絶縁体214、絶縁体222、絶縁体254、絶縁体244、および絶縁体274など)で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、またはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、または酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの金属窒化物を用いることができる。
【0157】
また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
【0158】
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0159】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0160】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0161】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0162】
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0163】
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0164】
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0165】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0166】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、多結晶酸化物半導体、および非晶質酸化物半導体などが知られている。
【0167】
トランジスタの半導体に用いる酸化物半導体として、結晶性の高い薄膜を用いることが好ましい。該薄膜を用いることで、トランジスタの安定性または信頼性を向上させることができる。該薄膜として、例えば、単結晶酸化物半導体の薄膜または多結晶酸化物半導体の薄膜が挙げられる。しかしながら、単結晶酸化物半導体の薄膜または多結晶酸化物半導体の薄膜を基板上に形成するには、高温またはレーザー加熱の工程が必要とされる。よって、製造工程のコストが増加し、さらに、スループットも低下してしまう。
【0168】
2009年に、CAAC構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(CAAC-IGZOと呼ぶ。)が発見されたことが、非特許文献1および非特許文献2で報告されている。ここでは、CAAC-IGZOは、c軸配向性を有する、結晶粒界が明確に確認されない、低温で基板上に形成可能である、ことが報告されている。さらに、CAAC-IGZOを用いたトランジスタは、優れた電気特性および信頼性を有することが報告されている。
【0169】
また、2013年には、nc構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(nc-IGZOと呼ぶ。)が発見された(非特許文献3参照。)。ここでは、nc-IGZOは、微小な領域(例えば、1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有し、異なる該領域間で結晶方位に規則性が見られないことが報告されている。
【0170】
非特許文献4および非特許文献5では、上記のCAAC-IGZO、nc-IGZO、および結晶性の低いIGZOのそれぞれの薄膜に対する電子線の照射による平均結晶サイズの推移が示されている。結晶性の低いIGZOの薄膜において、電子線が照射される前でさえ、1nm程度の結晶性IGZOが観察されている。よって、ここでは、IGZOにおいて、完全な非晶質構造(completely amorphous structure)の存在を確認できなかった、と報告されている。さらに、結晶性の低いIGZOの薄膜と比べて、CAAC-IGZOの薄膜およびnc-IGZOの薄膜は電子線照射に対する安定性が高いことが示されている。よって、トランジスタの半導体として、CAAC-IGZOの薄膜またはnc-IGZOの薄膜を用いることが好ましい。
【0171】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい、具体的には、トランジスタのチャネル幅1μmあたりのオフ電流がyA/μm(10-24A/μm)オーダである、ことが非特許文献6に示されている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(非特許文献7参照。)。
【0172】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該トランジスタの表示装置への応用が報告されている(非特許文献8参照。)。表示装置では、表示される画像が1秒間に数十回切り換っている。1秒間あたりの画像の切り換え回数はリフレッシュレートと呼ばれている。また、リフレッシュレートを駆動周波数と呼ぶこともある。このような人の目で知覚が困難である高速の画面の切り換えが、目の疲労の原因として考えられている。そこで、表示装置のリフレッシュレートを低下させて、画像の書き換え回数を減らすことが提案されている。また、リフレッシュレートを低下させた駆動により、表示装置の消費電力を低減することが可能である。このような駆動方法を、アイドリング・ストップ(IDS)駆動と呼ぶ。
【0173】
CAAC構造およびnc構造の発見は、CAAC構造またはnc構造を有する酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性および信頼性の向上、ならびに、製造工程のコスト低下およびスループットの向上に貢献している。また、該トランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該トランジスタの表示装置およびLSIへの応用研究が進められている。
【0174】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0175】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
【0176】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0177】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0178】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0179】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0180】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0181】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
【0182】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0183】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0184】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0185】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
【0186】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0187】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0188】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0189】
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0190】
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0191】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上とすればよい。
【0192】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0193】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0194】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0195】
[不純物]
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0196】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0197】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0198】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0199】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。
【0200】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0201】
[真空ベークの効果]
ここでは、金属酸化物に含まれる、弱いZn-O結合について説明し、該結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減する方法の一例について示す。
【0202】
金属酸化物を用いたトランジスタにおいて、トランジスタの電気特性の不良に繋がる欠陥の一例として酸素欠損がある。例えば、膜中に酸素欠損が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、閾値電圧がマイナス方向に変動しやすく、ノーマリーオン特性となりやすい。これは、金属酸化物に含まれる酸素欠損に起因したドナーが生成され、キャリア濃度が増加するためである。トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作時に動作不良が発生しやすくなる、または非動作時の消費電力が高くなるなどの、様々な問題が生じる。
【0203】
また、モジュールを作製するための接続配線を形成する工程における熱履歴(サーマルバジェット)により、閾値電圧の変動、寄生抵抗の増大、などのトランジスタの電気特性の劣化、該電気特性の劣化に伴う電気特性のばらつきの増大、などの問題がある。これらの問題は、製造歩留りの低下に直結するため、対策の検討は重要である。また、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができるストレス試験でも電気特性の劣化が生じる。該電気特性の劣化は、製造の過程で行われる高温処理、またはストレス試験時に与えられる電気的なストレスによって金属酸化物中の酸素が欠損することに起因すると推測される。
【0204】
金属酸化物中には、金属原子との結合が弱く、酸素欠損となりやすい酸素原子が存在する。特に、金属酸化物がIn-Ga-Zn酸化物である場合は、亜鉛原子と酸素原子とが弱い結合(弱いZn-O結合、ともいう)を形成しやすい。ここで、弱いZn-O結合とは、製造の過程で行われる高温処理、またはストレス試験時に与えられる電気的なストレスによって切断される程度の強さで結合した、亜鉛原子と酸素原子の間に生じる結合である。弱いZn-O結合が金属酸化物中に存在すると、熱または電流ストレスによって、該結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸素欠損が形成されることにより、熱やストレスに対する耐性などといった、トランジスタの安定性が低下する。
【0205】
亜鉛原子と多く結合している酸素原子と、該亜鉛原子との間に生じる結合は、弱いZn-O結合である場合がある。ガリウム原子と比べて、亜鉛原子は、酸素原子との結合が弱い。したがって、亜鉛原子と多く結合している酸素原子は欠損しやすい。すなわち、亜鉛原子と酸素原子との間に生じる結合は、その他の金属との結合よりも弱いと推測される。
【0206】
また、金属酸化物中に不純物が存在する場合、弱いZn-O結合が形成されやすいと推測される。金属酸化物中の不純物としては、例えば、水分子や水素がある。金属酸化物中に水分子や水素が存在することで、水素原子が、金属酸化物を構成する酸素原子と結合する(OH結合ともいう。)場合がある。金属酸化物を構成する酸素原子は、In-Ga-Zn酸化物が単結晶である場合、金属酸化物を構成する金属原子4つと結合している。しかしながら、水素原子と結合した酸素原子は、2つまたは3つの金属原子と結合している場合がある。酸素原子に結合している金属原子の数が減少することで、該酸素原子は欠損しやすくなる。なお、OH結合を形成している酸素原子に亜鉛原子が結合している場合、該酸素原子と該亜鉛原子との結合は弱いと推測される。
【0207】
また、弱いZn-O結合は、複数のナノ結晶が連結する領域に存在する歪みに形成される場合がある。ナノ結晶は六角形を基本とするが、該歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する。該歪みでは、原子間の結合距離が一様でないため、弱いZn-O結合が形成されていると推測される。
【0208】
また、弱いZn-O結合は、金属酸化物の結晶性が低い場合に形成されやすいと推測される。金属酸化物の結晶性が高い場合、金属酸化物を構成する亜鉛原子は、酸素原子4つまたは5つと結合している。しかし、金属酸化物の結晶性が低くなると、亜鉛原子と結合する酸素原子の数が減少する傾向がある。亜鉛原子に結合する酸素原子の数が減少すると、該亜鉛原子は欠損しやすくなる。すなわち、亜鉛原子と酸素原子との間に生じる結合は、単結晶で生じる結合よりも弱いと推測される。
【0209】
上記の弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することで、熱履歴または電流ストレスによる酸素欠損の形成を抑制し、トランジスタの安定性を向上させることができる。なお、弱いZn-O結合を構成する酸素原子のみを低減し、弱いZn-O結合を構成する亜鉛原子が減少しない場合、該亜鉛原子近傍に酸素原子を供給すると、弱いZn-O結合が再形成される場合がある。したがって、弱いZn-O結合を構成する亜鉛原子および酸素原子を低減することが好ましい。
【0210】
弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減する方法の一つとして、金属酸化物を成膜した後、真空ベークを実施する方法が挙げられる。真空ベークとは、真空雰囲気下で行う加熱処理のことである。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。なお、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。また、加熱処理時の基板の温度は、300℃以上、好ましくは400℃以上とすればよい。
【0211】
真空ベークを実施することで、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することができる。また、真空ベークによって金属酸化物に熱が与えられるため、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減した後、金属酸化物を構成する原子が再配列することで、4つの金属原子と結合している酸素原子が増える。したがって、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減するとともに、弱いZn-O結合が再形成されるのを抑制することができる。
【0212】
また、金属酸化物中に不純物が存在する場合、真空ベークを実施することで、金属酸化物中の水分子または水素を放出し、OH結合を低減することができる。金属酸化物中のOH結合が減少することで、4つの金属原子と結合している酸素原子の割合が増える。また、水分子または水素が放出される際、金属酸化物を構成する原子が再配列することで、4つの金属原子と結合している酸素原子が増える。したがって、弱いZn-O結合が再形成されるのを抑制することができる。
【0213】
以上のように、金属酸化物を成膜した後、真空ベークを実施することで、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することができる。したがって、該工程により、トランジスタの安定性を向上することができる。また、トランジスタの安定性が向上することで、材料や形成方法の選択の自由度が高くなる。
【0214】
<半導体装置の作製方法>
次に、図1に示す、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置について、作製方法を図3乃至図12を用いて説明する。また、図3乃至図12において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、各図の(C)は、(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお、各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0215】
まず、基板(図示しない。)を準備し、当該基板上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、またはALD(Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
【0216】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0217】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0218】
また、ALD法は、原子の性質である自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができるので、極薄の成膜が可能、アスペクト比の高い構造への成膜が可能、ピンホールなどの欠陥の少ない成膜が可能、被覆性に優れた成膜が可能、および低温での成膜が可能、などの効果がある。また、ALD法には、プラズマを利用した成膜方法PEALD(Plasma Enhanced ALD)法も含まれる。プラズマを利用することで、より低温での成膜が可能となり好ましい場合がある。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
【0219】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
【0220】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0221】
本実施の形態では、絶縁体214として、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する。また、絶縁体214は、多層構造としてもよい。例えば、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。または、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。
【0222】
次に絶縁体214上に、導電体205となる導電膜を成膜する。導電体205となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。また、導電体205となる導電膜は、多層膜とすることができる。本実施の形態では、導電体205となる導電膜としてタングステンを成膜する。
【0223】
次に、リソグラフィー法を用いて、導電体205となる導電膜を加工し、導電体205を形成する。
【0224】
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理後にドライエッチング処理を行うことができる。
【0225】
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、導電体205となる導電膜上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。導電体205となる導電膜のエッチングは、レジストマスクを除去してから行っても良いし、レジストマスクを残したまま行っても良い。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。導電体205となる導電膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去しても良い。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
【0226】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0227】
次に、絶縁体214上、導電体205上に絶縁体216となる絶縁膜を成膜する。該絶縁膜は、導電体205の上面、および側面と接するように形成する。絶縁体216となる絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体216となる絶縁膜として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0228】
ここで、絶縁体216となる絶縁膜の膜厚は、導電体205の膜厚以上とすることが好ましい。例えば、導電体205の膜厚を1とすると、絶縁体216となる絶縁膜の膜厚は、1以上3以下とする。本実施の形態では、導電体205の膜厚を150nmとし、絶縁体216となる絶縁膜の膜厚を350nmとする。
【0229】
次に、絶縁体216となる絶縁膜にCMP(chemical Mechanical Polishing)処理を行うことで、絶縁体216となる絶縁膜の一部を除去し、導電体205の表面を露出させる。これにより、上面が平坦な、導電体205と、導電体205の側面と接する絶縁体216を形成することができる(図3参照。)。絶縁体216と導電体205の上面の平坦性を向上させることにより、酸化物230b、酸化物230cを形成するCAAC-OSの結晶性を向上させることができる。
【0230】
なお、絶縁体216および導電体205の作製方法は上記に限られるものではない。例えば、絶縁体214の上に絶縁体216となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜に開口を設け、当該開口に埋め込むように導電体205を形成してもよい。
【0231】
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222として、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水が、絶縁体222を通じてトランジスタ200の内側へ拡散することが抑制され、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
【0232】
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0233】
次に、絶縁体222上に絶縁体224となる絶縁膜を成膜する。絶縁体224となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0234】
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0235】
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁体224の成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体224に含まれる水、水素などの不純物を除去することなどができる。また、加熱処理は、絶縁体222の成膜後などのタイミングで行うこともできる。
【0236】
ここで、絶縁体224に過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁体224内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に、脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プラズマ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁体224に含まれる水、水素などの不純物を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
【0237】
次に、絶縁体224上に、酸化膜230A、および酸化膜230Bを順に成膜する(図3参照。)。なお、上記酸化膜は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A、および酸化膜230B上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
【0238】
酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0239】
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bをスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。また、ターゲットには、直流(DC)電源または、高周波(RF)電源などの交流(AC)電源が接続され、ターゲットの電気伝導度に応じて、必要な電力を印加することができる。例えば、酸化ガリウムを酸化物として成膜する場合、RF電源を用いることが好ましい。また、Ga-Zn酸化物を酸化物として成膜する場合、ターゲットの電気伝導度に応じて、DC電源、あるいはRF電源を使い分けて用いればよい。
【0240】
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224に供給される場合がある。したがって、酸化膜230Aのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
【0241】
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。また、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該酸化膜の結晶性を向上させることができる。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を、30%を超えて100%以下、好ましくは70%以上100%以下として成膜すると、酸素過剰型の酸化物半導体が形成される。酸素過剰型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い信頼性が得られる。
【0242】
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比](2:2:1[原子数比])、あるいは1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
【0243】
また、酸化膜230A及び酸化膜230Bの成膜において、スパッタリングガスを高純度化することが好ましい。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスや希ガスは、露点が-60℃以下、好ましくは-100℃以下にまで高純度化したガスを用いる。高純度化されたスパッタリングガスを用いて成膜することで、酸化物230に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
【0244】
また、スパッタリング法で酸化膜230A及び酸化膜230Bを成膜する場合、スパッタリング装置が有する成膜室内の水分を可能な限り除去することが好ましい。例えば、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、成膜室内を高真空(5×10-7Paから1×10-4Pa程度まで)に排気することが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、成膜室内のHOに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10-4Pa以下、好ましく5×10-5Pa以下とすることが好ましい。
【0245】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。加熱処理によって、酸化膜230A、および酸化膜230B中の水、水素などの不純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
【0246】
次に、酸化膜230B上に導電膜を成膜し、該導電膜の一部を、リソグラフィー法を用いて除去し、導電体層243Aを形成する。図3では、導電体層243Aを開口を有する形状にしたが、本実施の形態はこれに限られるものではない。本工程では、導電体層243Aとなる導電膜から、導電体243aと導電体243bの間の領域に当たる部分を除去できればよい。例えば、導電体層243Aとなる導電膜を、導電体243aに対応する島状の導電体と、導電体243bに対応する島状の導電体と、に分割してもよい。
【0247】
ここで、絶縁体222、絶縁体224、酸化膜230A、酸化膜230B、および導電体層243Aとなる導電膜を、大気に暴露することなく成膜することが好ましい。例えば、後述するマルチチャンバー方式の成膜装置を用いればよい。
【0248】
次に、酸化膜230B上、および導電体層243A上に導電膜242Aを形成する。導電膜242Aは、導電体層243Aの上面および側面に接し、かつ導電体層243Aに覆われていない酸化膜230Bの上面と接するように形成される(図3参照。)。
【0249】
次に、酸化膜230A、酸化膜230B、導電体層243A、および導電膜242Aを島状に加工して、酸化物230a、酸化物230a上の酸化物230b、酸化物230b上の導電体243(導電体243a、導電体243b)、ならびに酸化物230bおよび導電体243上の導電体層242Bを形成する。なお、当該工程において、絶縁体224の酸化物230aと重ならない領域の膜厚が薄くなることがある(図4参照。)。
【0250】
ここで、酸化物230a、酸化物230bおよび導電体層242Bは、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。また、酸化物230a、酸化物230b、導電体243、および導電体層242Bの側面と絶縁体222の上面のなす角が低い角度になる構成にしてもよい。その場合、酸化物230a、酸化物230b、導電体243、および導電体層242Bの側面と絶縁体222の上面のなす角は60°以上70°未満が好ましい。この様な形状とすることで、これより後の工程において、絶縁体254などの被覆性が向上し、鬆などの欠陥を低減することができる。または、酸化物230a、酸化物230b、導電体243、および導電体層242Bの側面は、絶縁体222の上面に対し、概略垂直にしてもよい。酸化物230a、酸化物230b、導電体243、および導電体層242Bの側面が、絶縁体222の上面に対し、概略垂直であることで、複数のトランジスタ200を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。
【0251】
また、導電体243、および導電体層242Bの側面と導電体層242Bの上面との間に、湾曲面が設けられることが好ましい。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、導電体243、および導電体層242B層の端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とする。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
【0252】
なお、酸化膜230A、酸化膜230B、導電体層243A、および導電膜242Aの加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0253】
また、ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起因した不純物が酸化物230a、および酸化物230bなどの表面または内部に付着または拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
【0254】
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いたウェット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理、または熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0255】
ウェット洗浄としては、シュウ酸、リン酸、またはフッ化水素酸などを炭酸水または純水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行う。
【0256】
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いることができる。
【0257】
次に、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体243、および導電体層242Bの上に、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を成膜する。
【0258】
ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜は、加工してダミーゲートとして使用する。ダミーゲートとは、仮のゲート電極のことである。つまり、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を加工することで、仮のゲート電極を形成し、後の工程において該ダミーゲートを除去し、代わりに導電膜等によるゲート電極を形成する。従って、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜は微細加工が容易であり、かつ、除去も容易な膜を用いることが好ましい。
【0259】
ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体、半導体、または導電体を用いることができる。具体的には、ポリシリコン、微結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン、アルミニウム、チタン、タングステンなどの金属膜などを用いればよい。または、塗布法を用いて、炭素を含む膜、SOG(Spin On Glass)、樹脂膜などを形成しても良い。例えば、フォトレジスト、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。SOG、樹脂膜を塗布法によって形成することで、ダミーゲート膜の表面を平坦にすることができる。このように、ダミーゲート膜の表面を平坦にすることで、微細加工が容易となり、さらに、除去も容易である。
【0260】
また、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜は、異なる膜種を用いて多層膜とすることもできる。例えば、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜を導電膜と該導電膜上に樹脂膜を形成する2層構造の膜とすることができる。ダミーゲート膜をこのような構造とすることで、例えば、後のCMP工程において、該導電膜がCMP処理のストッパ膜として機能する場合がある。または、CMP処理の終点検出が可能となる場合があり、加工ばらつきの低減が可能となる場合がある。
【0261】
次に、リソグラフィー法によって、ダミーゲート層262Aとなるダミーゲート膜をエッチングし、ダミーゲート層262Aを形成する(図5参照。)。ダミーゲート層262Aは、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230と重なるように形成する。例えば、ダミーゲート層262Aは、導電体243aと導電体243bの間に位置する、導電体層242B上に形成すればよい。
【0262】
次に、酸化物230a、酸化物230b、導電体243a、導電体243b、導電体層242Bおよびダミーゲート層262Aを覆って、絶縁膜254Aを成膜する。続いて、絶縁膜254Aの上に絶縁膜244Aを成膜してもよい(図5参照。)。絶縁膜254Aおよび絶縁膜244Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて成膜することができる。
【0263】
絶縁膜254Aは、水素などの不純物や、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、ALD法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。被覆性に優れたALD法を用いることにより、酸化物230a、酸化物230b、導電体243b、導電体層242B、ダミーゲート層262Aにより生じる段差部に対しても均一な厚さを有する絶縁膜254Aを形成できる。
【0264】
絶縁膜244Aは、水素などの不純物や、酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。
【0265】
また、絶縁膜244Aとして、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを、成膜してもよい。例えば、絶縁膜244Aとして、アルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリングで、窒化アルミニウム膜を成膜する場合、成膜ガスの全流量に対する窒素ガスの流量を30%以上100%以下、好ましくは40%以上100%以下、より好ましくは50%以上100%以下とすることが好ましい。
【0266】
また、絶縁膜244Aとして、高温で基板加熱を行いながら、酸化アルミニウムを成膜してもよい。絶縁膜244A成膜時の基板加熱温度は、200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは350℃以上にすればよい。このとき、絶縁膜254AとしてALD法を用いて酸化アルミニウムを成膜しておくことにより、上記の温度で絶縁膜244Aを成膜したときに、ダミーゲート層262Aが変形することを防ぐことができる。
【0267】
また、絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方の成膜後に、フッ素の添加を行っても良い。絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方へのフッ素の添加は、フッ素系のガス(例えば、CFなど)を含む雰囲気でプラズマ処理を行う、またはフッ素を含むガスをドーピングすることで、行うことができる。絶縁膜244Aまたは絶縁膜254Aのいずれか一方または両方へフッ素を添加することにより、当該膜中に含まれる水素を、フッ素によって終端化またはゲッタリングすることが期待できる。
【0268】
以上により、絶縁体224に含まれる過剰酸素が外方へ拡散することを防止し、また外方から水や水素のような不純物の絶縁体224への侵入を防止することができる。尚、絶縁膜244Aの成膜は省略することができる。
【0269】
次に、絶縁膜244A上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0270】
次に、絶縁体280となる絶縁膜、ダミーゲート層262A、絶縁膜254A、および絶縁膜244Aの一部を、ダミーゲート層262Aの一部が露出するまで除去し、絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254および絶縁体244を形成する(図6参照。)。絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体254および絶縁体244の形成にはCMP処理を用いることが好ましい。
【0271】
また、上述のようにダミーゲート層262Aを、例えば、導電膜と該導電膜上に樹脂膜を形成する2層構造の膜とすることで、CMP工程において、該導電膜がCMP処理のストッパ膜として機能する場合がある。または、該導電膜がCMP処理の終点検出が可能となる場合があり、ダミーゲート262の高さのばらつきの低減が可能となる場合がある。図6(B)、および図6(C)に示すように、ダミーゲート262の上面と、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体280の上面が略一致する。
【0272】
次に、ダミーゲート262を除去し、開口263を形成する(図7参照。)。ダミーゲート262の除去は、ウェットエッチング、ドライエッチング、またはアッシングなどを用いて行うことができる。または、適宜、上記の処理を複数組み合わせて行ってもよい。例えば、アッシング処理の後に、ウェットエッチング処理を行うなどがある。ダミーゲート262を除去することにより、開口263から導電体層242Bの表面の一部が露出する。
【0273】
次に、絶縁体280、絶縁体244、絶縁体254、および導電体層242Bの上に、絶縁膜266Aを成膜し、その上にダミー膜265Aを成膜する(図7参照。)。ここで、絶縁膜266Aは開口263の側壁、すなわち絶縁体254に接して成膜される必要があり、ダミー膜265Aの厚さによって、導電体242aと導電体242bの距離、つまり実質的なチャネル長が決まる。このため、絶縁膜266Aおよびダミー膜265Aは、被覆性が高く、膜厚の微調整が比較的容易なALD法を用いて成膜することが好ましい。絶縁膜266Aおよびダミー膜265Aの膜厚は、トランジスタ200に求められる電気特性に合わせて適宜設定すればよい。例えば、絶縁膜266Aの膜厚は、0.5nm以上、好ましくは1nm以上にすればよい。また、例えば、ダミー膜265Aの膜厚は、5nm以上25nm以下、好ましくは10nm以上20nm以下にすればよい。
【0274】
ここで、なお、ダミー膜265Aは、最終的には除去されるので、微細加工が容易であり、かつ、除去も容易な膜を用いることが好ましい。例えば、本実施の形態では、ダミー膜265Aとして、ALD法で成膜した酸化アルミニウムを用いればよい。また、絶縁膜266Aは、ダミー膜265Aを除去するときにエッチングストッパーとして機能する。このため、ダミー膜265Aを除去するエッチングにおいて、ダミー膜265Aよりエッチングレートが低い絶縁体を用いる。例えば、本実施の形態では、絶縁膜266Aとして、ALD法で成膜した酸化ハフニウムを用いればよい。
【0275】
次に、絶縁膜266Aおよびダミー膜265Aに異方性エッチングを行い、絶縁膜266Aおよびダミー膜265Aの一部を除去し、導電体層242Bの上面および絶縁体254の側面に接する絶縁体266の形成と、絶縁体266上のダミー層265の形成と、ダミー層265上への副生成物267の堆積と、を行う(図8参照。)。なお、絶縁体266、ダミー層265、および副生成物267は、開口263の側壁近傍にのみに残存している。後の工程で、トランジスタ200のチャネル形成領域が形成される部分には、絶縁体266、ダミー層265、および副生成物267は形成されておらず、導電体層242Bが露出している。よって、絶縁体266およびダミー層265の断面形状は、図8(B)(C)に示すように、L字型の形状になる。
【0276】
異方性エッチングには、ドライエッチングを用いることが好ましい。当該ドライエッチングには、例えば、Cガス、Cガス、Cガス、CFガス、SFガス、CHFガス、Clガス、BClガスまたはSiClガスなどを単独でまたは2以上のガスを混合して用いることができる。または、上記ガスに酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスまたは水素ガスなどを適宜添加することができる。これらのエッチングガスは、エッチングする対象(絶縁膜266Aおよびダミー膜265A)に合わせて適宜切り替えて用いることができる。
【0277】
ドライエッチング装置としては上記の装置を用いることができるが、対向する電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を接続する構成の平行平板型ドライエッチング装置は、比較的容易に異方性エッチングを行うことができるので、当該ドライエッチング装置を用いることが好ましい。
【0278】
また、上記エッチング工程は副生成物267を形成しやすい条件で行うことが好ましい。このようなエッチング工程の条件としては、例えば、エッチングガスの少なくとも一として、炭素を多く含むガスを用いることが好ましい。具体的には、当該炭素を多く含むガスは、炭素とフッ素を含み、かつ炭素の原子数比がフッ素の原子数比の50%以上であることが好ましい。このようなエッチングガスとしては、例えば、Cガス、Cガス、またはCガスなどを、単独でまたは2以上のガスを混合して用いることができる。または、上記ガスに酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスまたは水素ガスなどを適宜添加することができる。
【0279】
このようなエッチングガスを用いてエッチングを行うことにより、当該ガスがプラズマで分解され、ガス中に含まれる炭素と、ダミー膜265Aに含まれる成分(例えばアルミニウムなど。)が反応して、炭素化合物が形成される。また、ガス中に含まれるフッ素と、ダミー膜265Aに含まれる成分(例えばアルミニウムなど。)が反応して、フッ素化合物が形成される。これらの炭素化合物やフッ素化合物などが開口263の側面近傍に残存したダミー層265上に堆積し、副生成物267が形成される。このため、副生成物267は、ダミー層265、絶縁体266、絶縁体280および上記エッチングガスに含まれる成分などを含んで形成される。よって、副生成物267は、アルミニウム、フッ素、および炭素を含むことがある。
【0280】
次に、絶縁体266、ダミー層265、および副生成物267をマスクとして、導電体層242Bの一部を除去し、導電体242aおよび導電体242bを形成する(図9参照。)。導電体層242Bのエッチングは、ドライエッチング法を用いることが好ましい。なお、絶縁膜266Aおよびダミー膜265Aのエッチングと導電体層242Bのエッチングは連続して行ってもよい。
【0281】
上記のような条件でドライエッチング処理を行い、副生成物267を形成することで、絶縁体266およびダミー層265をL字型の形状に形成することができる。絶縁体266およびダミー層265と重畳する部分に導電体242aおよび導電体242bを形成することができるので、Lov領域の長さT1を十分長くすることができる。これに対して、副生成物267を形成しない条件で上記エッチングを行った場合、Lov領域の長さT1を同等にするには、ダミー膜265Aの膜厚を、図9に示す、ダミー層265の膜厚と副生成物267の膜厚の和と同程度にする必要がある。よって、副生成物267を形成しない条件で上記エッチングを行った場合、ダミー膜265Aの成膜時間が非常に長くなる。逆接的に、本実施の形態に示す作製方法を用いることにより、ダミー膜265Aの成膜時間を短くし、半導体装置の生産性を高くすることができる。
【0282】
次に、ダミー層265および副生成物267を、等方性エッチングを用いて、選択的に除去する(図10参照。)。等方性エッチングとしては、例えば、ウェットエッチングまたは、反応性ガスを用いたエッチングを用いればよい。ダミー層265および副生成物267をエッチングする際に、絶縁体266は、エッチングストッパーとして機能する。これにより、ダミー層265および副生成物267をエッチングしたときに、絶縁体254および絶縁体244までエッチングされるのを防ぐことができる。このようにして、導電体242aと導電体242bの距離を、開口263のチャネル長方向の長さより短くすることができる。このとき、導電体242aと導電体242bの間から露出した、酸化物230bの上面の一部が除去される場合がある。
【0283】
次に、酸化膜230Cの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、100℃以上400℃以下で行えばよく、例えば200℃で行えばよい。あるいは、酸化膜230Cの成膜温度と同じ温度で行うことが好ましい。ここで、成膜温度とは、成膜中の基板温度に限らず、成膜装置の設定温度の場合を含む。例えば、酸化膜230Cを300℃で成膜する場合、当該加熱処理は300℃とすることが好ましい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、例えば、真空雰囲気で行ってもよい。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。真空雰囲気では、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。
【0284】
次に、開口263に埋め込むように、酸化膜230Cを成膜する。また、当該加熱処理後、大気に暴露することなく、連続して酸化膜230Cの成膜を行うことが好ましい。例えば、後述するマルチチャンバー方式の成膜装置などを用いて、加熱処理と成膜処理を異なるチャンバーで、連続して行うことが好ましい。このような処理を行うことによって、酸化物230aおよび酸化物230bの表面などに表面に吸着している水分、水素、炭素などの不純物を除去し、さらに酸化物230aおよび酸化物230b中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。当該加熱処理により除去される不純物には、水素と炭素の結合を有する不純物や、水素と酸素の結合を有する不純物なども含まれる。さらに、外気に曝さず連続で加熱処理と成膜を行うことで、水素などの不純物が酸化物230に再侵入することを防ぐことができる。
【0285】
酸化膜230Cの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。酸化膜230Cに求める特性に合わせて、酸化膜230A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230Cとなる酸化膜を成膜すればよい。酸化膜230Cとして、In-Ga-Zn酸化物や、Inを含まない酸化物を用いることができる。Inを含まない酸化物として、Ga-Zn酸化物や、酸化ガリウムなどを用いることができる。また、酸化膜230Cとして、In-Ga-Zn酸化物とInを含まない酸化物の積層構造を用いてもよい。酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、4:2:4.1[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、あるいはGa:Zn=2:5[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。本実施の形態では、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて酸化物230c1となる第1の酸化膜を形成し、第1の酸化膜上に、Ga:Zn=2:1[原子数比]のターゲットを用いて酸化物230c2となる第2の酸化膜を形成した。
【0286】
酸化膜230Cの成膜は、基板を加熱しながら行うことが好ましい。このとき、基板温度を300℃以上にすることで、酸化膜230Bおよび酸化膜230C中の酸素欠損を低減することができる。また、例えば、後述する絶縁膜250Aの成膜温度と同じ温度で成膜してもよい。また、このように基板を加熱しながら成膜することで、酸化膜230Cおよび酸化膜230Bの結晶性の向上を図ることもできる。
【0287】
特に、酸化膜230Cの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が酸化物230aおよび酸化物230bに供給される場合がある。したがって、酸化膜230Cのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。また、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該酸化膜の結晶性を向上させることができる。
【0288】
また、酸化膜230Cを積層構造とし、第2の酸化膜として、Inを含まない酸化物を用いることで、次に形成される絶縁膜250Aに含まれるIn濃度の低減、あるいはInを含まない絶縁膜250Aの形成が可能となるため、好ましい。ここで、本明細書において、Inを含まない絶縁膜とは、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いたIn濃度測定において、1.0×1017atoms/cm以下、好ましくは、5.0×1016atoms/cm以下、より好ましくは、1.0×1016atoms/cm以下のIn濃度を有する絶縁膜とする。
【0289】
次に、絶縁膜250Aの成膜前に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、100℃以上400℃以下で行えばよく、例えば200℃で行えばよい。あるいは、絶縁膜250Aの成膜温度と同じ温度で行うことが好ましい。ここで、成膜温度とは、成膜中の基板温度に限らず、成膜装置の設定温度の場合を含む。例えば、絶縁膜250Aを350℃で成膜する場合、当該加熱処理は350℃とすることが好ましい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましく、例えば、真空雰囲気で行ってもよい。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行うことで維持される。真空雰囲気では、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下とすればよい。
【0290】
また、当該加熱処理後、大気に暴露することなく、連続して絶縁膜250Aの成膜を行うことが好ましい。例えば、マルチチャンバー方式の成膜装置を用いて、加熱処理と成膜処理を異なるチャンバーで、連続して行うことが好ましい。このような処理を行うことによって、酸化膜230Cの表面などに表面に吸着している水分、水素、炭素などの不純物を除去し、さらに酸化物230a、酸化物230b、および酸化膜230C中の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。当該加熱処理により除去される不純物には、水素と炭素の結合を有する不純物や、水素と酸素の結合を有する不純物なども含まれる。さらに、外気に曝さず連続で加熱処理と成膜を行うことで、水素などの不純物が酸化物230に再侵入することを防ぐことができる。
【0291】
次に、絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて成膜することができる。絶縁膜250Aとして、CVD法により、酸化窒化シリコンを成膜することが好ましい。なお、絶縁膜250Aを成膜する際の成膜温度は、300℃以上450℃未満、好ましくは300℃以上400℃未満、特に350℃前後とすることが好ましい。例えば、絶縁膜250Aを、350℃で成膜することで、不純物が少ない絶縁体を成膜することができる。
【0292】
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、当該酸素プラズマに絶縁膜250Aを曝すことで、絶縁膜250Aへ酸素を導入することができる。
【0293】
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁膜250Aの水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
【0294】
次に、導電膜260Aaおよび導電膜260Abからなる導電膜260Aを成膜する。導電膜260Aaおよび導電膜260Abの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。例えば、CVD法を用いることが好ましい。本実施の形態では、ALD法を用いて、導電膜260Aaを成膜し、CVD法を用いて導電膜260Abを成膜する(図11参照。)。
【0295】
ここで、酸化膜230C、絶縁膜250A、導電膜260Aa、および導電膜260Abを、大気に暴露することなく成膜することが好ましい。例えば、後述するマルチチャンバー方式の成膜装置を用いればよい。
【0296】
次に、酸化膜230C、絶縁膜250A、導電膜260Aaおよび導電膜260Abの一部を、絶縁体280の上部が露出するまで除去し、酸化物230c、絶縁体250および導電体260(導電体260aおよび導電体260b)を形成する(図12参照。)。酸化物230c、絶縁体250および導電体260の形成にはCMP処理を用いることが好ましい。図12(B)、および図12(C)に示すように、導電体260の上面と、絶縁体250、酸化物230c、絶縁体266、絶縁体254、絶縁体244および絶縁体280の上面が略一致することが好ましい。
【0297】
次に加熱処理を行っても良い。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁体280の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
【0298】
次に、絶縁体280上に、絶縁体274となる絶縁膜を形成する(図12参照。)。絶縁体274となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁体274となる絶縁膜としては、例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。スパッタリング法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することによって、絶縁体280が有する水素を酸化物230へ拡散することを抑制することができる場合がある。
【0299】
次に加熱処理を行っても良い。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁体280の水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
【0300】
次に絶縁体274上に、絶縁体281となる絶縁体を成膜してもよい。絶縁体281となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる(図12参照。)。
【0301】
次に、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274および絶縁体281に、導電体242aおよび導電体242bに達する開口を形成する。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。
【0302】
次に、絶縁体281上、および当該開口内部に、絶縁体241となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を異方性エッチングして当該開口の内壁に絶縁体241(絶縁体241a、絶縁体241b)を形成する。当該絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁体241となる絶縁膜としては、酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、ALD法によって、酸化アルミニウム膜を成膜することが好ましい。また、異方性エッチングは、例えばドライエッチング法などを行えばよい。開口の側壁部をこのような構成とすることで、外方からの酸素の透過を抑制し、次に形成する導電体240aおよび導電体240bの酸化を防止することができる。また、導電体240aおよび導電体240bから、水、水素などの不純物が外部に拡散することを防ぐことができる。
【0303】
次に、当該開口内部に、絶縁体241の側壁と接するように、公知の方法を用いて導電体240aおよび導電体240bを形成する。導電体240aおよび導電体240bの形成方法としては、例えば、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜は、水、水素など不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を含む積層構造とすることが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化チタンなどと、タングステン、モリブデン、銅など、と、の積層とすることができる。導電体240となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0304】
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体281を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(図1参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体281の一部が除去する場合がある。
【0305】
また、図示しないが、導電体240aの上面、および導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体を形成してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0306】
また、図示しないが、当該導電体を覆うように、抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上1.0×1015Ω・cm以下、好ましくは5.0×1013Ω・cm以上5.0×1014Ω・cm以下の絶縁体を形成することが好ましい。当該導電体上に上記のような抵抗率を有する絶縁体を設けることで、当該絶縁体は、絶縁性を維持しつつ、トランジスタ200、当該導電体等の配線間に蓄積される電荷を分散し、該電荷によるトランジスタや、該トランジスタを有する電子機器の特性不良や静電破壊を抑制することができ、好ましい。
【0307】
以上により、図1に示すトランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。図3乃至図12に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、トランジスタ200を作製することができる。
【0308】
本発明の一態様により、オン電流の大きい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、高い周波数特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
【0309】
<半導体装置の変形例>
以下では、図13を用いて、先の<半導体装置の構成例>で示したものとは異なる、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置、および当該半導体装置の作製方法の一例について説明する。
【0310】
図13(A)は上面図を示す。また、図13(B)は、図13(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図13(C)は、図13(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。また、図13(D)は、図13(A)にA5-A6の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。各図の(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0311】
なお、図13に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置(図1参照。)を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目において、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
【0312】
図13に示すトランジスタ200は、導電体242aが導電体243a、酸化物230b、および酸化物230aの側面を覆って、絶縁体224の上面に接し、導電体242bが導電体243b、酸化物230b、および酸化物230aの側面を覆って、絶縁体224の上面に接している点において、図1に示すトランジスタ200と異なる。このような構成にすることにより、導電体242aまたは導電体242bと酸化物230bとの接触面積が増大するので、オン電流を増加させることができる。
【0313】
また、図13に示すトランジスタ200を作製する場合、図3に示す工程において、導電膜242Aを成膜する前に、酸化膜230A、酸化膜230B、および導電体層243Aを島状に加工して、酸化物230a、酸化物230b、導電体243a、および導電体243bを形成すればよい。
【0314】
また、図13(B)(C)(D)に示すように、絶縁体224を、酸化物230bおよび酸化物230aと重畳させて、島状に設けてもよい。このような構成にすることで、導電体260の下端部をより下側に位置させることができるので、第1のゲート電極として機能する導電体260の電界を、酸化物230の側面に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。また、酸化物230c、絶縁体266、導電体242および絶縁体254は、絶縁体224と重ならない領域で、絶縁体222の上面に接する。よって、水素などの不純物、および酸素に対してバリア性を有する絶縁体222、絶縁体254、および絶縁体274によって、絶縁体224、絶縁体250、および酸化物230が囲まれることになる。これにより、トランジスタ200の外方から水素などの不純物や過剰な酸素が浸入することを抑制できるので、トランジスタ200に良好な電気特性および信頼性を与えることができる。
【0315】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態や実施例に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0316】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を作製する際に用いることができる装置について、図14を参照して説明する。
【0317】
本発明の一態様の半導体装置を作製する際には、異なる膜種が連続成膜可能となる複数の処理室を有する、所謂マルチチャンバー装置を用いることが好ましい。各処理室では、それぞれ、スパッタリング、CVD、及びALDなどの成膜処理を行うことができる。例えば、1つの処理室をスパッタリング室とした場合、当該スパッタリング室には、ガス供給装置、当該ガス供給装置に接続されるガス精製装置、真空ポンプ、ターゲットなどを接続することができる。
【0318】
また、各処理室では、基板のクリーニング処理、プラズマ処理、逆スパッタリング処理、エッチング処理、アッシング処理、加熱処理などを行ってもよい。各処理室において、適宜異なる処理を行うことで、絶縁体、導電体、および半導体膜を、大気開放を行わずに成膜することができる。
【0319】
本発明の一態様に用いる半導体膜としては、代表的には酸化物半導体膜が挙げられる。特に、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)酸化物半導体膜は、優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができる。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。
【0320】
高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該酸化物半導体膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×10μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。
【0321】
なお、酸化物半導体膜中の不純物としては、代表的には水、水素などが挙げられる。また、本明細書等において、酸化物半導体膜中から水および水素を低減または除去することを、脱水化、脱水素化と表す場合がある。また、酸化物半導体膜に酸素を添加することを、加酸素化と表す場合があり、加酸素化され且つ化学量論的組成よりも過剰の酸素を有する状態を過剰酸素状態と表す場合がある。
【0322】
ここで、酸化物半導体と、酸化物半導体の下層に位置する絶縁体、または導電体と、酸化物半導体の上層に位置する絶縁体、または導電体とを、大気開放を行わずに、異なる膜種を連続成膜することで、不純物(特に、水素、水)の濃度が低減された、実質的に高純度真性である酸化物半導体膜を成膜することができる。
【0323】
まず、本発明の一態様の半導体装置を作製する際に用いることができる装置の構成例の詳細について、図14を用いて説明する。図14に示す装置を用いることで、半導体膜と、半導体膜の下層に位置する絶縁体、または導電体と、半導体膜の上層に位置する絶縁体、または導電体とを連続成膜することができる。従って、半導体膜中に入り込みうる不純物(特に水素、水)を抑制することができる。
【0324】
図14は、枚葉式のマルチチャンバーの装置4000の上面図を模式的に示している。
【0325】
装置4000は、大気側基板供給室4010と、大気側基板供給室4010から、基板を搬送する大気側基板搬送室4012と、基板の搬入を行い、且つ室内の圧力を大気圧から減圧、または減圧から大気圧へ切り替えるロード室4020aと、基板の搬出を行い、且つ室内の圧力を減圧から大気圧、または大気圧から減圧へ切り替えるアンロード室4020bと、真空中の基板の搬送を行う搬送室4029、および搬送室4039と、搬送室4029と搬送室4039とを接続する移送室4030a、および移送室4030bと、成膜、または加熱を行う処理室4024a、処理室4024b、処理室4034a、処理室4034b、処理室4034c、処理室4034d、および処理室4034eと、を有する。
【0326】
なお、複数の処理室は、それぞれ、並列して同様の処理、または異なる処理を行うことができる。複数の処理室で、同様の処理を行う場合は、複数の基板を同時に処理することができるため、工程時間を短縮できる。また、複数の処理室でそれぞれ異なる処理を行う場合、一基板上に異なる膜種の積層構造を容易に作製することができる。なお、並列処理は、最大で処理室の数だけ行うことができる。例えば、図14に示す装置4000は、7つの処理室を有する装置である。従って、最大7枚の基板に対して同時に処理することが可能である。
【0327】
一方、一基板上に異なる膜種を積層する場合、大気開放せずに作製できる積層数は、必ずしも処理室の数と同じにはならない。例えば、求める積層構造において、同材料の層を複数有する場合、当該層は1つの処理室で設けることができるため、設置された処理室の数よりも、多い積層数の積層構造を作製することができる。
【0328】
また、大気側基板供給室4010は、基板を収容するカセットポート4014と、基板のアライメントを行うアライメントポート4016と、を備える。なお、カセットポート4014は、複数(例えば、図14においては、3つ)有する構成としても良い。
【0329】
また、大気側基板搬送室4012は、ロード室4020aおよびアンロード室4020bと接続される。搬送室4029は、ロード室4020a、アンロード室4020b、移送室4030a、移送室4030b、処理室4024a、および処理室4024bと接続される。移送室4030a、および移送室4030bは、搬送室4029、および搬送室4039と接続される。また、搬送室4039は、移送室4030a、移送室4030b、処理室4034a、処理室4034b、処理室4034c、処理室4034d、および処理室4034eと接続される。
【0330】
なお、各室の接続部にはゲートバルブ4028、またはゲートバルブ4038が設けられており、大気側基板供給室4010と、大気側基板搬送室4012を除き、各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板搬送室4012は、搬送ロボット4018を有する。搬送室4029は、搬送ロボット4026を有し、搬送室4039は、搬送ロボット4036を有する。搬送ロボット4018、搬送ロボット4026、および搬送ロボット4036は、複数の可動部と、基板を保持するアームと、を有し、各室へ基板を搬送することができる。
【0331】
なお、搬送室、処理室、ロード室、アンロード室および移送室は、上述の数に限定されず、設置スペースやプロセス条件に合わせて、適宜最適な数を設けることができる。
【0332】
特に、搬送室を複数有する場合、一つの搬送室と、他の搬送室との間には、2以上の移送室を有することが好ましい。例えば、図14に示すように、搬送室4029、および搬送室4039を有する場合、搬送室4029と搬送室4039との間に、移送室4030aおよび移送室4030bが並列して配置されることが好ましい。
【0333】
移送室4030aおよび移送室4030bを並列して配置することで、例えば、搬送ロボット4026が移送室4030aに基板を搬入する工程と、搬送ロボット4036が移送室4030bに基板を搬入する工程と、を同時に行うことができる。また、搬送ロボット4026が移送室4030bから基板を搬出する工程と、搬送ロボット4036が移送室4030aから基板を搬出する工程と、を同時に行うことができる。つまり、複数の搬送ロボットを同時に駆動することで、生産効率が向上する。
【0334】
また、図14では、1室の搬送室が、1つの搬送ロボットを有し、かつ複数の処理と接続する例を示したが、本構造に限定されない。1室の搬送室につき、複数の搬送ロボットを有していてもよい。
【0335】
また、搬送室4029、および搬送室4039の一方、または両方は、バルブを介して真空ポンプと、クライオポンプと、に接続している。従って、搬送室4029、および搬送室4039は、真空ポンプを用いて、大気圧から低真空または中真空(数100Paから0.1Pa程度)まで排気した後、バルブを切り替え、クライオポンプを用いて、中真空から高真空または超高真空(0.1Paから1×10-7Pa程度)まで排気することができる。
【0336】
また、例えば、クライオポンプは、1室の搬送室に対し、2台以上並列に接続しても良い。複数のクライオポンプを有することで、1台のクライオポンプがリジェネ中であっても、他のクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、リジェネとは、クライオポンプ内にため込まれた分子(または原子)を放出する処理とする。クライオポンプは、分子(または原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的にリジェネを行うとよい。
【0337】
処理室4024a、処理室4024b、処理室4034a、処理室4034b、処理室4034c、処理室4034d、および処理室4034eは、それぞれ、異なる処理を並列して行うことができる。つまり、処理室毎に、設置された基板に対し、スパッタ法、CVD法、MBE法、PLD法、およびALD法などによる成膜処理、加熱処理、またはプラズマ処理を行うことができる。また、処理室では、加熱処理、またはプラズマ処理を行った後、成膜処理を行ってもよい。
【0338】
装置4000は、複数の処理室を有することで、処理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送することが可能なため、基板に不純物が吸着することを抑制できる。また、処理室毎に、異なる膜種の成膜処理、加熱処理、または、プラズマ処理を行うことができるため、成膜や加熱処理などの順番を自由に構築することができる。
【0339】
なお、各処理室は、バルブを介して真空ポンプと接続してもよい。真空ポンプとしては、例えば、ドライポンプ、およびメカニカルブースターポンプ等を用いることができる。
【0340】
また、各処理室は、プラズマを発生させることができる電源と接続してもよい。当該電源としては、DC電源、AC電源、高周波(RF、マイクロ波など)電源を設ければよい。また、DC電源にパルス発生装置を接続しても良い。
【0341】
また、処理室は、ガス供給装置を介して、ガス精製装置と接続してもよい。なお、ガス供給装置およびガス精製装置は、ガス種の数だけ設けるとよい。
【0342】
例えば、処理室で、スパッタリングによる成膜処理を行う場合、処理室は、ターゲットが設けられたバッキングプレートと、バッキングプレートに接続されたカソードと、防着板と、基板ステージなどを備えてもよい。基板ステージは、アノードと接続されていてもよい。また、例えば、基板ステージは、基板を保持する基板保持機構や、基板を裏面から加熱する裏面ヒーター等を備えていても良い。
【0343】
なお、基板ステージは、基板ステージを床面に対して概略水平とする構成とすればよい。当該構成において、基板ステージよりも下方にターゲットを配置し、ターゲットと、基板ステージとの間に基板を配置する、所謂フェイスダウンとするのが好ましい。また、基板ステージは、基板が落下しないような基板を固定する治具、または基板を固定する機構を備えていても良い。このように、基板を固定するための治具や、機構を設けることで、効率よく基板を加熱、または冷却することができるため、好ましい。一方、基板ステージよりも上方にターゲットを設ける、所謂フェイスアップとしてもよい。この場合も、基板ステージ上で基板がずれないようにするため、または効率よく基板を加熱、または冷却するために基板を固定する治具、または基板を固定する機構を備えていても良い。
【0344】
また、処理室に防着板を備えることで、ターゲットからスパッタリングされる粒子が不要な領域に堆積することを抑制することができる。また、防着板は、累積されたスパッタリング粒子が剥離しないように、加工することが望ましい。例えば、表面粗さを増加させるブラスト処理、または防着板の表面に凹凸を設けても良い。
【0345】
バッキングプレートは、ターゲットを保持する機能を有し、カソードは、ターゲットに負の電圧を印加する機能を有する。
【0346】
なお、ターゲットは、導電体、絶縁体、または半導体を用いることができる。例えば、ターゲットが金属酸化物などの酸化物半導体の場合、処理室にて酸化物半導体膜を成膜することができる。また、ターゲットが金属酸化物の場合においても、成膜ガスとして、窒素ガスを用いると酸化窒化物半導体膜を形成することもできる。
【0347】
また、各処理室は、ガス加熱機構を介してガス供給装置と接続してもよい。ガス加熱機構はガス供給装置を介してガス精製装置と接続される。処理室に導入されるガスは、露点が-80℃以下、好ましくは-100℃以下、さらに好ましくは-120℃以下であるガスを用いることができ、例えば、酸素ガス、窒素ガス、および希ガス(アルゴンガスなど)を用いることができる。また、ガス加熱機構により、処理室に導入されるガスを40℃以上400℃以下に加熱することができる。なお、ガス加熱機構、ガス供給装置、およびガス精製装置は、ガス種の数だけ設けるとよい。
【0348】
また、各処理室は、バルブを介してターボ分子ポンプおよび真空ポンプと接続してもよい。また、各処理室には、クライオトラップを設けてもよい。
【0349】
なお、クライオトラップは、水などの比較的融点の高い分子(または原子)を吸着することができる機構である。ターボ分子ポンプは大きいサイズの分子(または原子)を安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の排気能力が低い。そこで、水などに対する排気能力を高めるため、クライオトラップを用いることができる。クライオトラップの冷凍機の温度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップが複数の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能となるため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の温度を20K以下とすればよい。
【0350】
なお、処理室の排気方法は、これに限定されず、接続する搬送室に示す排気方法(クライオポンプと真空ポンプとの排気方法)と同様の構成としてもよい。なお、搬送室の排気方法を処理室と同様の構成(ターボ分子ポンプと真空ポンプとの排気方法)としてもよい。
【0351】
特に、酸化物半導体膜を成膜する処理室の排気方法としては、真空ポンプとクライオトラップとを組み合わせる構成としてもよい。酸化物半導体膜を成膜する処理室に設けられる排気方法としては、少なくとも水分子を吸着することができる機能を有すると好ましい。
【0352】
また、酸化物半導体膜を成膜する処理室は、水素分子の分圧が1×10-2Pa以下であり、且つ水分子の分圧が1×10-4Pa以下である、と好ましい。また、酸化物半導体膜を成膜する処理室の待機状態における圧力が8.0×10-5Pa以下、好ましくは5.0×10-5Pa以下、さらに好ましくは1.0×10-5Pa以下である。また、上記の水素分子の分圧、および水分子の分圧の数値については、スパッタリングを行う処理室が待機状態のとき、および成膜状態(プラズマが放電状態)のときの双方の数値である。
【0353】
なお、処理室の全圧および分圧は、質量分析計を用いて測定することができる。例えば、株式会社アルバック製、四重極形質量分析計(Q-massともいう。)Qulee CGM-051を用いればよい。
【0354】
処理室の水素分子の分圧、水分子の分圧、および待機状態における圧力を上記の範囲とすることで、形成される、酸化物半導体膜の膜中の不純物の濃度を低くすることができる。
【0355】
特に、各処理室を、それぞれ、スパッタリングによる成膜処理に用いることで、先の実施の形態で示したトランジスタ200の構成の一部を大気に触れることなく連続で成膜することができる。
【0356】
例えば、トランジスタ200を作製する場合、少なくとも、絶縁体222、絶縁体224、酸化膜230A、酸化膜230B、および導電体層243Aとなる導電膜を、装置4000を用いることで、連続成膜することができる。つまり、絶縁体222、絶縁体224、酸化膜230A、酸化膜230B、および導電体層243Aとなる導電膜を、大気開放を行わず、連続して成膜することができる。
【0357】
また、例えば、酸化膜230C、絶縁膜250A、導電膜260Aa、および導電膜260Abを、連続して成膜することができる。
【0358】
上記構成とすることで、膜中、および積層膜の界面において、不純物(代表的には、水、水素など)を徹底的に排除した積層膜を形成することが可能となる。
【0359】
また、例えば、処理室で、加熱処理を行う場合、処理室は、基板を格納することができる複数の加熱ステージを備えてもよい。なお、加熱ステージは、多段の構成としてもよい。加熱ステージの段数を増やすことで複数の基板を同時に加熱処理できるため、生産性を向上させることができる。
【0360】
処理室に用いることのできる加熱機構としては、例えば、抵抗発熱体などを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)などのRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。
【0361】
ロード室4020aは、基板受け渡しステージや、基板を裏面から加熱する裏面ヒーター等を備えていても良い。ロード室4020aは、減圧状態から大気まで圧力を上昇させ、ロード室4020aの圧力が大気圧になった時に、大気側基板搬送室4012に設けられている搬送ロボット4018から基板受け渡しステージが基板を受け取る。その後、ロード室4020aを真空引きし、減圧状態としたのち、搬送室4029に設けられている搬送ロボット4026が基板受け渡しステージから基板を受け取る。
【0362】
また、ロード室4020aは、バルブを介して真空ポンプ、およびクライオポンプと接続されている。なお、アンロード室4020bは、ロード室4020aと同様の構成としてもよいし、基板加熱機構を設けない構成としてもよい。
【0363】
大気側基板搬送室4012は、搬送ロボット4018を有するため、搬送ロボット4018により、カセットポート4014とロード室4020aとの基板の受け渡しを行うことができる。また、大気側基板搬送室4012、および大気側基板供給室4010の上方にHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)等のゴミまたはパーティクルの混入を抑制するための機構を設けてもよい。また、カセットポート4014は、複数の基板を格納することができる。
【0364】
上記の装置4000を用いて、絶縁膜、半導体膜、および導電膜を、大気開放を行わず連続成膜することで、半導体膜への不純物の入り込みを好適に抑制できる。
【0365】
上記より、本発明の一態様の装置を用いることで、半導体膜を有する積層構造を連続成膜により、作製することができる。従って、半導体膜中に取り込まれる水素、水などの不純物を抑制し、且つ欠陥準位密度の低い半導体膜を作製することができる。
【0366】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0367】
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図15を用いて説明する。
【0368】
[記憶装置1]
本発明の一態様である容量素子を使用した、半導体装置(記憶装置)の一例を図15に示す。本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設けられている。なお、トランジスタ200として、先の実施の形態で説明したトランジスタ200などを用いることができる。
【0369】
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
【0370】
図15に示す半導体装置において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線1006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。
【0371】
また、図15に示す記憶装置は、マトリクス状に配置することで、メモリセルアレイを構成することができる。
【0372】
<トランジスタ300>
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、ゲート電極として機能する導電体316、ゲート絶縁体として機能する絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0373】
ここで、図15に示すトランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
【0374】
なお、図15に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0375】
<容量素子100>
容量素子100は、トランジスタ200の上方に設けられる。容量素子100は、第1の電極として機能する導電体110と、第2の電極として機能する導電体120、および誘電体として機能する絶縁体130とを有する。
【0376】
また、例えば、導電体246上に設けた導電体112と、導電体110は、同時に形成することができる。なお、導電体112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。
【0377】
図15では、導電体112、および導電体110は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0378】
また、絶縁体130は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
【0379】
例えば、絶縁体130には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料と、高誘電率(high-k)材料との積層構造を用いることが好ましい。当該構成により、容量素子100は、高誘電率(high-k)の絶縁体を有することで、十分な容量を確保でき、絶縁耐力が大きい絶縁体を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
【0380】
なお、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)の絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
【0381】
一方、絶縁耐力が大きい材料(低い比誘電率の材料)としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある。
【0382】
<配線層>
各構造体の間には、層間膜、配線、およびプラグ等が設けられた配線層が設けられていてもよい。また、配線層は、設計に応じて複数層設けることができる。ここで、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0383】
例えば、トランジスタ300上には、層間膜として、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線として機能する。
【0384】
また、層間膜として機能する絶縁体は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0385】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図15において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線として機能する。
【0386】
同様に、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体218、及びトランジスタ200を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。さらに、導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。
【0387】
層間膜として用いることができる絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
【0388】
例えば、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
【0389】
例えば、絶縁体150、絶縁体212、絶縁体352、および絶縁体354等には、比誘電率の低い絶縁体を用いることが好ましい。例えば、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
【0390】
また、導電体112、または導電体120上に設けられる絶縁体130、および絶縁体150の一方、または両方を抵抗率が1.0×1012Ω・cm以上1.0×1015Ω・cm以下、好ましくは5.0×1012Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下、より好ましくは1.0×1013Ω・cm以上5.0×1013Ω・cm以下の絶縁体とすることが好ましい。絶縁体130、および絶縁体150の一方、または両方を上記のような抵抗率を有する絶縁体とすることで、当該絶縁体は、絶縁性を維持しつつ、トランジスタ200、トランジスタ300、容量素子100、および導電体112や導電体120等の配線間に蓄積される電荷を分散し、該電荷によるトランジスタ、該トランジスタを有する記憶装置の特性不良や静電破壊を抑制することができ、好ましい。このような絶縁体として、窒化シリコン、または窒化酸化シリコンを用いることができる。
【0391】
また、上記のような抵抗率を有する絶縁体として、絶縁体140を導電体112の下層に設けてもよい。この場合、絶縁体281上に絶縁体140を形成し、絶縁体140、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体244、絶縁体254などに開口部を形成し、当該開口部内に絶縁体241の形成や、トランジスタ200、導電体218などと電気的に接続する導電体240の形成を行えばよい。絶縁体140は、絶縁体130、または絶縁体150と同様の材料を用いることができる。
【0392】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。従って、絶縁体210、および絶縁体350等には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。
【0393】
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0394】
配線、プラグに用いることができる導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0395】
例えば、導電体328、導電体330、導電体356、導電体218、および導電体112等としては、上記の材料で形成される金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0396】
<<酸化物半導体が設けられた層の配線、またはプラグ>>
なお、トランジスタ200に、酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体の近傍に過剰酸素領域を有する絶縁体が設けることがある。その場合、該過剰酸素領域を有する絶縁体と、該過剰酸素領域を有する絶縁体に設ける導電体との間に、バリア性を有する絶縁体を設けることが好ましい。
【0397】
例えば、図15では、絶縁体224と、導電体246との間に、絶縁体276を設けるとよい。特に、導電体246は、過剰酸素領域を有する絶縁体224を挟む絶縁体222と、絶縁体254および絶縁体244と、接して設けられることが好ましい。絶縁体276と、絶縁体222、および絶縁体281とが接して設けられることで、絶縁体224、およびトランジスタ200は、バリア性を有する絶縁体により、封止する構造とすることができる。さらに、絶縁体276は、絶縁体280の一部とも接することが好ましい。絶縁体276が、絶縁体280まで延在していることで、酸素や不純物の拡散を、より抑制することができる。
【0398】
つまり、絶縁体276を設けることで、絶縁体224が有する過剰酸素が、導電体246に吸収されることを抑制することができる。また、絶縁体276を有することで、不純物である水素が、導電体246を介して、トランジスタ200へ拡散することを抑制することができる。
【0399】
なお、絶縁体276としては、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0400】
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。
【0401】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0402】
(実施の形態4)
本実施の形態では、図16および図17を用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半導体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ場合がある。)、および容量素子が適用されている記憶装置(以下、OSメモリ装置と呼ぶ場合がある。)について説明する。OSメモリ装置は、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有する記憶装置である。OSトランジスタのオフ電流は極めて小さいので、OSメモリ装置は優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
【0403】
<記憶装置の構成例>
図16(A)にOSメモリ装置の構成の一例を示す。記憶装置1400は、周辺回路1411、およびメモリセルアレイ1470を有する。周辺回路1411は、行回路1420、列回路1430、出力回路1440、コントロールロジック回路1460を有する。
【0404】
列回路1430は、例えば、列デコーダ、プリチャージ回路、センスアンブ、および書き込み回路等を有する。プリチャージ回路は、配線をプリチャージする機能を有する。センスアンプは、メモリセルから読み出されたデータ信号を増幅する機能を有する。なお、上記配線は、メモリセルアレイ1470が有するメモリセルに接続されている配線であり、詳しくは後述する。増幅されたデータ信号は、出力回路1440を介して、データ信号RDATAとして記憶装置1400の外部に出力される。また、行回路1420は、例えば、行デコーダ、ワード線ドライバ回路等を有し、アクセスする行を選択することができる。
【0405】
記憶装置1400には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路1411用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ1470用の高電源電圧(VIL)が供給される。また、記憶装置1400には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、行デコーダおよび列デコーダに入力され、WDATAは書き込み回路に入力される。
【0406】
コントロールロジック回路1460は、外部からの入力信号(CE、WE、RE)を処理して、行デコーダ、列デコーダの制御信号を生成する。CEは、チップイネーブル信号であり、WEは、書き込みイネーブル信号であり、REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路1460が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
【0407】
メモリセルアレイ1470は、行列状に配置された、複数個のメモリセルMCと、複数の配線を有する。なお、メモリセルアレイ1470と行回路1420とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一列に有するメモリセルMCの数などによって決まる。また、メモリセルアレイ1470と列回路1430とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一行に有するメモリセルMCの数などによって決まる。
【0408】
なお、図16(A)において、周辺回路1411とメモリセルアレイ1470を同一平面上に形成する例について示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、図16(B)に示すように、周辺回路1411の一部の上に、メモリセルアレイ1470が重なるように設けられてもよい。例えば、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にしてもよい。
【0409】
図17に上述のメモリセルMCに適用できるメモリセルの構成例について説明する。
【0410】
[DOSRAM]
図17(A)乃至(C)に、DRAMのメモリセルの回路構成例を示す。本明細書等において、1OSトランジスタ1容量素子型のメモリセルを用いたDRAMを、DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶ場合がある。図17(A)に示す、メモリセル1471は、トランジスタM1と、容量素子CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、ゲート(フロントゲートと呼ぶ場合がある。)、及びバックゲートを有する。
【0411】
トランジスタM1の第1端子は、容量素子CAの第1端子と接続され、トランジスタM1の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM1のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CAの第2端子は、配線CALと接続されている。
【0412】
配線BILは、ビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CAの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、及び読み出し時において、配線CALには、低レベル電位を印加するのが好ましい。配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
【0413】
また、メモリセルMCは、メモリセル1471に限定されず、回路構成の変更を行うことができる。例えば、メモリセルMCは、図17(B)に示すメモリセル1472のように、トランジスタM1のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図17(C)に示すメモリセル1473ように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM1で構成されたメモリセルとしてもよい。
【0414】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1471等に用いる場合、トランジスタM1としてトランジスタ200を用い、容量素子CAとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM1のリーク電流を非常に低くすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM1によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。また、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に低いため、メモリセル1471、メモリセル1472、メモリセル1473に対して多値データ、又はアナログデータを保持することができる。
【0415】
また、DOSRAMにおいて、上記のように、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にすると、ビット線を短くすることができる。これにより、ビット線容量が小さくなり、メモリセルの保持容量を低減することができる。
【0416】
[NOSRAM]
図17(D)乃至(H)に、2トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの回路構成例を示す。図17(D)に示す、メモリセル1474は、トランジスタM2と、トランジスタM3と、容量素子CBと、を有する。なお、トランジスタM2は、フロントゲート(単にゲートと呼ぶ場合がある。)、及びバックゲートを有する。本明細書等において、トランジスタM2にOSトランジスタを用いたゲインセル型のメモリセルを有する記憶装置を、NOSRAM(Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM)と呼ぶ場合がある。
【0417】
トランジスタM2の第1端子は、容量素子CBの第1端子と接続され、トランジスタM2の第2端子は、配線WBLと接続され、トランジスタM2のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM2のバックゲートは、配線BGLと接続されている。容量素子CBの第2端子は、配線CALと接続されている。トランジスタM3の第1端子は、配線RBLと接続され、トランジスタM3の第2端子は、配線SLと接続され、トランジスタM3のゲートは、容量素子CBの第1端子と接続されている。
【0418】
配線WBLは、書き込みビット線として機能し、配線RBLは、読み出しビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CBの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、データ保持の最中、データの読み出し時において、配線CALには、低レベル電位を印加するのが好ましい。配線BGLは、トランジスタM2のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM2のしきい値電圧を増減することができる。
【0419】
また、メモリセルMCは、メモリセル1474に限定されず、回路の構成を適宜変更することができる。例えば、メモリセルMCは、図17(E)に示すメモリセル1475のように、トランジスタM2のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図17(F)に示すメモリセル1476のように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM2で構成されたメモリセルとしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、図17(G)に示すメモリセル1477のように、配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとしてまとめた構成であってもよい。
【0420】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1474等に用いる場合、トランジスタM2としてトランジスタ200を用い、トランジスタM3としてトランジスタ300を用い、容量素子CBとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM2としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM2のリーク電流を非常に低くすることができる。これにより、書き込んだデータをトランジスタM2によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。また、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に低いため、メモリセル1474に多値データ、又はアナログデータを保持することができる。メモリセル1475乃至1477も同様である。
【0421】
なお、トランジスタM3は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタと呼ぶ場合がある)であってもよい。Siトランジスタの導電型は、nチャネル型としてもよいし、pチャネル型としてもよい。Siトランジスタは、OSトランジスタよりも電界効果移動度が高くなる場合がある。よって、読み出しトランジスタとして機能するトランジスタM3として、Siトランジスタを用いてもよい。また、トランジスタM3にSiトランジスタを用いることで、トランジスタM3の上に積層してトランジスタM2を設けることができるので、メモリセルの占有面積を低減し、記憶装置の高集積化を図ることができる。
【0422】
また、トランジスタM3はOSトランジスタであってもよい。トランジスタM2、M3にOSトランジスタを用いた場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
【0423】
また、図17(H)に3トランジスタ1容量素子のゲインセル型のメモリセルの一例を示す。図17(H)に示すメモリセル1478は、トランジスタM4乃至M6、および容量素子CCを有する。容量素子CCは適宜設けられる。メモリセル1478は、配線BIL、RWL、WWL、BGL、およびGNDLに電気的に接続されている。配線GNDLは低レベル電位を与える配線である。なお、メモリセル1478を、配線BILに代えて、配線RBL、WBLに電気的に接続してもよい。
【0424】
トランジスタM4は、バックゲートを有するOSトランジスタであり、バックゲートは配線BGLに電気的に接続されている。なお、トランジスタM4のバックゲートとゲートとを互いに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタM4はバックゲートを有さなくてもよい。
【0425】
なお、トランジスタM5、M6はそれぞれ、nチャネル型Siトランジスタまたはpチャネル型Siトランジスタでもよい。或いは、トランジスタM4乃至M6がOSトランジスタでもよい、この場合、メモリセルアレイ1470をn型トランジスタのみを用いて回路を構成することができる。
【0426】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1478に用いる場合、トランジスタM4としてトランジスタ200を用い、トランジスタM5、M6としてトランジスタ300を用い、容量素子CCとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM4としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM4のリーク電流を非常に低くすることができる。
【0427】
なお、本実施の形態に示す、周辺回路1411、およびメモリセルアレイ1470等の構成は、上記に限定されるものではない。これらの回路、および当該回路に接続される配線、回路素子等の、配置または機能は、必要に応じて、変更、削除、または追加してもよい。
【0428】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0429】
(実施の形態5)
本実施の形態では、図18を用いて、本発明の半導体装置が実装されたチップ1200の一例を示す。チップ1200には、複数の回路(システム)が実装されている。このように、複数の回路(システム)を一つのチップに集積する技術を、システムオンチップ(System on Chip:SoC)と呼ぶ場合がある。
【0430】
図18(A)に示すように、チップ1200は、CPU(Central Processing Unit)1211、GPU(Graphics Processing Unit)1212、一または複数のアナログ演算部1213、一または複数のメモリコントローラ1214、一または複数のインターフェース1215、一または複数のネットワーク回路1216等を有する。
【0431】
チップ1200には、バンプ(図示しない)が設けられ、図18(B)に示すように、プリント基板(Printed Circuit Board:PCB)1201の第1の面と接続する。また、PCB1201の第1の面の裏面には、複数のバンプ1202が設けられており、マザーボード1203と接続する。
【0432】
マザーボード1203には、DRAM1221、フラッシュメモリ1222等の記憶装置が設けられていてもよい。例えば、DRAM1221に先の実施の形態に示すDOSRAMを用いることができる。また、例えば、フラッシュメモリ1222に先の実施の形態に示すNOSRAMを用いることができる。
【0433】
CPU1211は、複数のCPUコアを有することが好ましい。また、GPU1212は、複数のGPUコアを有することが好ましい。また、CPU1211、およびGPU1212は、それぞれ一時的にデータを格納するメモリを有していてもよい。または、CPU1211、およびGPU1212に共通のメモリが、チップ1200に設けられていてもよい。該メモリには、前述したNOSRAMや、DOSRAMを用いることができる。また、GPU1212は、多数のデータの並列計算に適しており、画像処理や積和演算に用いることができる。GPU1212に、本発明の酸化物半導体を用いた画像処理回路や、積和演算回路を設けることで、画像処理、および積和演算を低消費電力で実行することが可能になる。
【0434】
また、CPU1211、およびGPU1212が同一チップに設けられていることで、CPU1211およびGPU1212間の配線を短くすることができ、CPU1211からGPU1212へのデータ転送、CPU1211、およびGPU1212が有するメモリ間のデータ転送、およびGPU1212での演算後に、GPU1212からCPU1211への演算結果の転送を高速に行うことができる。
【0435】
アナログ演算部1213はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、およびD/A(デジタル/アナログ)変換回路の一、または両方を有する。また、アナログ演算部1213に上記積和演算回路を設けてもよい。
【0436】
メモリコントローラ1214は、DRAM1221のコントローラとして機能する回路、およびフラッシュメモリ1222のインターフェースとして機能する回路を有する。
【0437】
インターフェース1215は、表示装置、スピーカー、マイクロフォン、カメラ、コントローラなどの外部接続機器とのインターフェース回路を有する。コントローラとは、マウス、キーボード、ゲーム用コントローラなどを含む。このようなインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)などを用いることができる。
【0438】
ネットワーク回路1216は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク回路を有する。また、ネットワークセキュリティー用の回路を有してもよい。
【0439】
チップ1200には、上記回路(システム)を同一の製造プロセスで形成することが可能である。そのため、チップ1200に必要な回路の数が増えても、製造プロセスを増やす必要が無く、チップ1200を低コストで作製することができる。
【0440】
GPU1212を有するチップ1200が設けられたPCB1201、DRAM1221、およびフラッシュメモリ1222が設けられたマザーボード1203は、GPUモジュール1204と呼ぶことができる。
【0441】
GPUモジュール1204は、SoC技術を用いたチップ1200を有しているため、そのサイズを小さくすることができる。また、画像処理に優れていることから、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップPC、携帯型(持ち出し可能な)ゲーム機などの携帯型電子機器に用いることが好適である。また、GPU1212を用いた積和演算回路により、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの演算を実行することができるため、チップ1200をAIチップ、またはGPUモジュール1204をAIシステムモジュールとして用いることができる。
【0442】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0443】
(実施の形態6)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す半導体装置を用いた記憶装置の応用例について説明する。先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)の記憶装置に適用できる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータや、ノート型のコンピュータや、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。または、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用される。図19にリムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を模式的に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチップに加工され、様々なストレージ装置、リムーバブルメモリに用いられる。
【0444】
図19(A)はUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板1104は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ1105、コントローラチップ1106が取り付けられている。基板1104のメモリチップ1105などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0445】
図19(B)はSDカードの外観の模式図であり、図19(C)は、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112および基板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板1113には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メモリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。基板1113のメモリチップ1114などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0446】
図19(D)はSSDの外観の模式図であり、図19(E)は、SSDの内部構造の模式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メモリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けられている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、例えばDOSRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。基板1153のメモリチップ1154などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0447】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0448】
(実施の形態7)
本発明の一態様に係る半導体装置は、CPUやGPUなどのプロセッサ、またはチップに用いることができる。図20に、本発明の一態様に係るCPUやGPUなどのプロセッサ、またはチップを備えた電子機器の具体例を示す。
【0449】
<電子機器・システム>
本発明の一態様に係るGPU又はチップは、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。また、本発明の一態様に係る集積回路又はチップを電子機器に設けることにより、電子機器に人工知能を搭載することができる。
【0450】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0451】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0452】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。図20に、電子機器の例を示す。
【0453】
[携帯電話]
【0454】
図20(A)には、情報端末の一種である携帯電話(スマートフォン)が図示されている。情報端末5500は、筐体5510と、表示部5511と、を有しており、入力用インターフェースとして、タッチパネルが表示部5511に備えられ、ボタンが筐体5510に備えられている。
【0455】
情報端末5500は、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、会話を認識してその会話内容を表示部5511に表示するアプリケーション、表示部5511に備えるタッチパネルに対してユーザが入力した文字、図形などを認識して、表示部5511に表示するアプリケーション、指紋や声紋などの生体認証を行うアプリケーションなどが挙げられる。
【0456】
[情報端末1]
図20(B)には、デスクトップ型情報端末5300が図示されている。デスクトップ型情報端末5300は、情報端末の本体5301と、ディスプレイ5302と、キーボード5303と、を有する。
【0457】
デスクトップ型情報端末5300は、先述した情報端末5500と同様に、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、設計支援ソフトウェア、文章添削ソフトウェア、献立自動生成ソフトウェアなどが挙げられる。また、デスクトップ型情報端末5300を用いることで、新規の人工知能の開発を行うことができる。
【0458】
なお、上述では、電子機器としてスマートフォン、及びデスクトップ用情報端末を例として、それぞれ図20(A)、(B)に図示したが、スマートフォン、及びデスクトップ用情報端末以外の情報端末を適用することができる。スマートフォン、及びデスクトップ用情報端末以外の情報端末としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型情報端末、ワークステーションなどが挙げられる。
【0459】
[電化製品]
図20(C)は、電化製品の一例である電気冷凍冷蔵庫5800を示している。電気冷凍冷蔵庫5800は、筐体5801、冷蔵室用扉5802、冷凍室用扉5803等を有する。
【0460】
電気冷凍冷蔵庫5800に本発明の一態様のチップを適用することによって、人工知能を有する電気冷凍冷蔵庫5800を実現することができる。人工知能を利用することによって電気冷凍冷蔵庫5800は、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材、その食材の消費期限などを基に献立を自動生成する機能や、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材に合わせた温度に自動的に調節する機能などを有することができる。
【0461】
本一例では、電化製品として電気冷凍冷蔵庫について説明したが、その他の電化製品としては、例えば、掃除機、電子レンジ、電子オーブン、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器などが挙げられる。
【0462】
[ゲーム機]
【0463】
図20(D)は、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5200を示している。携帯ゲーム機5200は、筐体5201、表示部5202、ボタン5203等を有する。
【0464】
携帯ゲーム機5200に本発明の一態様のGPU又はチップを適用することによって、低消費電力の携帯ゲーム機5200を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの影響を少なくすることができる。
【0465】
更に、携帯ゲーム機5200に本発明の一態様のGPU又はチップを適用することによって、人工知能を有する携帯ゲーム機5200を実現することができる。
【0466】
本来、ゲームの進行、ゲーム上に登場する生物の言動、ゲーム上で発生する現象などの表現は、そのゲームが有するプログラムによって定められているが、携帯ゲーム機5200に人工知能を適用することにより、ゲームのプログラムに限定されない表現が可能になる。例えば、プレイヤーが問いかける内容、ゲームの進行状況、時刻、ゲーム上に登場する人物の言動が変化するといった表現が可能となる。
【0467】
また、携帯ゲーム機5200で複数のプレイヤーが必要なゲームを行う場合、人工知能によって擬人的にゲームプレイヤーを構成することができるため、対戦相手を人工知能によるゲームプレイヤーとすることによって、1人でもゲームを行うことができる。
【0468】
図20(D)では、ゲーム機の一例として携帯ゲーム機を図示しているが、本発明の一態様のGPU又はチップを適用するゲーム機はこれに限定されない。本発明の一態様のGPU又はチップを適用するゲーム機としては、例えば、家庭用の据え置き型ゲーム機、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地など)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシンなどが挙げられる。
【0469】
[移動体]
本発明の一態様のGPU又はチップは、移動体である自動車、及び自動車の運転席周辺に適用することができる。
【0470】
図20(E1)は移動体の一例である自動車5700を示し、図20(E2)は、自動車の室内におけるフロントガラス周辺を示す図である。図20(E2)では、ダッシュボードに取り付けられた表示パネル5701、表示パネル5702、表示パネル5703の他、ピラーに取り付けられた表示パネル5704を図示している。
【0471】
表示パネル5701乃至表示パネル5703は、スピードメーターやタコメーター、走行距離、燃料計、ギア状態、エアコンの設定などを表示することで、様々な情報を提供することができる。また、表示パネルに表示される表示項目やレイアウトなどは、ユーザの好みに合わせて適宜変更することができ、デザイン性を高めることが可能である。表示パネル5701乃至表示パネル5703は、照明装置として用いることも可能である。
【0472】
表示パネル5704には、自動車5700に設けられた撮像装置(図示しない。)からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界(死角)を補完することができる。すなわち、自動車5700の外側に設けられた撮像装置からの画像を表示することによって、死角を補い、安全性を高めることができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。表示パネル5704は、照明装置として用いることもできる。
【0473】
本発明の一態様のGPU又はチップは人工知能の構成要素として適用できるため、例えば、当該チップを自動車5700の自動運転システムに用いることができる。また、当該チップを道路案内、危険予測などを行うシステムに用いることができる。表示パネル5701乃至表示パネル5704には、道路案内、危険予測などの情報を表示する構成としてもよい。
【0474】
なお、上述では、移動体の一例として自動車について説明しているが、移動体は自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)なども挙げることができ、これらの移動体に本発明の一態様のチップを適用して、人工知能を利用したシステムを付与することができる。
【0475】
[放送システム]
本発明の一態様のGPU又はチップは、放送システムに適用することができる。
【0476】
図20(F)は、放送システムにおけるデータ伝送を模式的に示している。具体的には、図20(F)は、放送局5680から送信された電波(放送信号)が、各家庭のテレビジョン受信装置(TV)5600に届くまでの経路を示している。TV5600は、受信装置を備え(図示しない。)、アンテナ5650で受信された放送信号は、当該受信装置を介して、TV5600に送信される。
【0477】
図20(F)では、アンテナ5650は、UHF(Ultra High Frequency)アンテナを図示しているが、アンテナ5650としては、BS・110°CSアンテナ、CSアンテナなども適用できる。
【0478】
電波5675A、電波5675Bは地上波放送用の放送信号であり、電波塔5670は受信した電波5675Aを増幅して、電波5675Bの送信を行う。各家庭では、アンテナ5650で電波5675Bを受信することで、TV5600で地上波TV放送を視聴することができる。なお、放送システムは、図20(F)に示す地上波放送に限定せず、人工衛星を用いた衛星放送、光回線によるデータ放送などとしてもよい。
【0479】
上述した放送システムは、本発明の一態様のチップを適用して、人工知能を利用した放送システムとしてもよい。放送局5680から各家庭のTV5600に放送データを送信するとき、エンコーダによって放送データの圧縮が行われ、アンテナ5650が当該放送データを受信したとき、TV5600に含まれる受信装置のデコーダによって当該放送データの復元が行われる。人工知能を利用することによって、例えば、エンコーダの圧縮方法の一である動き補償予測において、表示画像に含まれる表示パターンの認識を行うことができる。また、人工知能を利用したフレーム内予測などを行うこともできる。また、例えば、解像度の低い放送データを受信して、解像度の高いTV5600で当該放送データの表示を行うとき、デコーダによる放送データの復元において、アップコンバートなどの画像の補間処理を行うことができる。
【0480】
上述した人工知能を利用した放送システムは、放送データの量が増大する超高精細度テレビジョン(UHDTV:4K、8K)放送に対して好適である。
【0481】
また、TV5600側における人工知能の応用として、例えば、TV5600に人工知能を有する録画装置を設けてもよい。このような構成にすることによって、当該録画装置にユーザの好みを人工知能に学習させることで、ユーザの好みにあった番組を自動的に録画することができる。
【0482】
本実施の形態で説明した電子機器、その電子機器の機能、人工知能の応用例、その効果などは、他の電子機器の記載と適宜組み合わせることができる。
【0483】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0484】
本実施例にて、ダミーゲート262除去後から導電体242を形成するまでの工程を電子顕微鏡にて断面観察した。なお、断面観察を行った工程は、実施の形態1で説明した、図7乃至図10に対応する。また、断面観察は、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)により行った。観察用の装置は日立ハイテクノロジーズ社製HD-2700を用いた。断面観察の結果を図21、および図22に示す。
【0485】
観察に用いた試料の作製方法について説明する。絶縁体が形成されたシリコン基板上に、スパッタリング法により膜厚150nmのタングステン膜を形成した。次に、タングステン膜を、リソグラフィー法を用いて加工し、バックゲートとして機能し、タングステンを含む第1の導電体(図中、W)を形成した。第1の導電体を覆うように、プラズマCVD法を用いて、膜厚350nmの第1の酸化窒化シリコン膜を形成した。次に、第1の酸化窒化シリコン膜を、第1の導電体の表面が露出するまで、研磨により除去した。該研磨処理には、CMP法を用いた。該研磨処理により、第1の導電体の側面に、酸化窒化シリコンを含む絶縁体を形成することができる。
【0486】
次に、第1の導電体、および酸化窒化シリコンを含む絶縁体上に、ALD法を用いて膜厚10nmの第1の酸化アルミニウム膜(図中、1st AlOx)を形成し、プラズマCVD法を用いて膜厚35nmの第2の酸化窒化シリコン膜(図中、2nd SiON)を形成した。ここで、第2の酸化窒化シリコン膜に対して、平坦化処理を行った。平坦化処理は、CMP法による研磨処理にて行い、研磨処理後の第2の酸化窒化シリコン膜の膜厚は30nm程度となった。
【0487】
次に、第2の酸化窒化シリコン膜上に、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて、膜厚5nmの第1の酸化物(図中、OS1)を形成し、その上に、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて、膜厚20nmの第2の酸化物(図中、OS2)を形成した。次に、酸化物上に、スパッタリング法によって、膜厚20nmの第1の窒化タンタル膜を形成した。続けて、リソグラフィー法を用いて、第2の酸化物の、少なくともチャネル形成領域となる領域を露出するように第1の窒化タンタル膜を加工した。次に、露出した第2の酸化物と、第1の窒化タンタル膜を覆うように、スパッタリング法を用いて、膜厚5nmの第2の窒化タンタル膜(図中、TaN2)を形成した。以上の工程により、図3に相当する構造体を得ることができる。
【0488】
次に、リソグラフィー法を用いて、第2の窒化タンタル膜、第1の窒化タンタル膜、第2の酸化物、および第1の酸化物を島状に加工した。該加工により、図4に相当する構造体を得ることができる。また、該加工において、第1の窒化タンタル膜を加工することにより、窒化タンタルを含む第2の導電体が形成される。なお、該加工により、第2の酸化窒化シリコン膜の一部もエッチングされる。さらに、第1の酸化アルミニウム膜が露出するまで第2の酸化窒化シリコン膜がエッチングされる場合もある。
【0489】
次に、ダミーゲートを形成する。ダミーゲートには、炭素を含む樹脂を用いた。次に、ダミーゲート、第2の窒化タンタル膜、第1の窒化タンタル膜、第2の酸化物、および第1の酸化物を覆うように、ALD法を用いて、膜厚1nmの第2の酸化アルミニウム膜(図中、2nd AlOx)を形成し、スパッタリング法を用いて、膜厚8nmの第3の酸化アルミニウム膜(図中、3rd AlOx)を形成した。以上の工程により、図5に相当する構造体を得ることができる。
【0490】
次に、第3の酸化アルミニウム膜を覆うように、CVD法を用いて、膜厚400nmの第3の酸化窒化シリコン膜(図中、3rd SiON)を形成した。次に、ダミーゲートを露出するように、第3の酸化窒化シリコン膜の一部、第3の酸化アルミニウム膜の一部、および第2の酸化アルミニウム膜の一部を研磨処理により除去した。該研磨処理には、CMP法を用いた。以上の工程により、図6に相当する構造体を得ることができる。
【0491】
次に、ダミーゲートを除去し、第2の窒化タンタル膜上に開口部を形成する。該開口部の底面において、第2の窒化タンタル膜が露出し、側面において、第2の酸化アルミニウム膜が露出する。酸素を含むガスを用いて、ドライエッチング法により、ダミーゲートを除去した。次に、該開口部の底面、および側面を覆うように、第3の酸化窒化シリコン膜上にALD法を用いて、膜厚1nmの酸化ハフニウム膜(図中、HfOx)を形成し、その上に、ALD法を用いて、膜厚13nmの第4の酸化アルミニウム膜(図中、4th AlOx)を形成した。以上の工程により、図7に相当する構造体を得ることができる。
【0492】
また、図21(A)に第4の酸化アルミニウム膜形成後の断面STEM像を示す。図21(A)に示すように、該開口部の側面において、第2の酸化アルミニウムの側壁から、第4の酸化アルミニウムの側壁までの厚さは、約18nmであった。
【0493】
次に、第4の酸化アルミニウム膜、および酸化ハフニウム膜に対して異方性エッチングを行った。異方性エッチングには、ドライエッチングを用いた。また、ドライエッチングには、C、CHF、およびArを含むガスを用いた。該異方性エッチングにより、第3の酸化窒化シリコン膜上、および第2の窒化タンタル膜上の一部において、第4の酸化アルミニウム膜、および酸化ハフニウム膜が除去された。また、該異方性エッチングにより、第4の酸化アルミニウム膜の側壁には、酸化アルミニウム膜に含まれる成分と、ドライエッチングに用いたガスに含まれる成分を含む副生成物の付着が確認された。この副生成物は、酸化アルミニウム膜と、ドライエッチングに用いたガスとの反応により生成された物質が、一旦気化した後、第4の酸化アルミニウム膜の側壁に付着し、堆積することで形成されたと考えられる。
【0494】
この副生成物の形成により、第4の酸化アルミニウム膜、および酸化ハフニウム膜は、第2の酸化アルミニウム膜の側壁だけでなく、第2の窒化タンタル膜上にも残存し、L字型の形状を有している。以上の工程により、図8に相当する構造体を得ることができる。
【0495】
また、図21(B)に該異方性エッチング後の断面STEM像を示す。図21(B)に示すように、該開口部内に、L字型の酸化ハフニウム膜、L字型の第4の酸化アルミニウム膜、および副生成物が残存している。また、該開口部の側面において、第2の酸化アルミニウム膜の側壁に残存した酸化ハフニウム膜、第4の酸化アルミニウム膜、および副生成物からなる構造体の幅は、約40.7nmであった。
【0496】
次に、上記、酸化ハフニウム膜、第4の酸化アルミニウム膜、および副生成物からなる構造体をマスクに用いて、第2の窒化タンタル膜を加工した。第2の窒化タンタル膜の加工は、ドライエッチング法を用いて行った。また、該ドライエッチングでは、第2の窒化タンタル膜表面に形成された自然酸化膜(酸化窒化タンタル、酸化タンタルなどのタンタルを含む酸化物など)を除去する第1のステップと、窒化タンタル膜を除去する第2のステップと、を同一チャンバー内にて連続して行った。第1のステップでは、BClを含むガスを用いて行い、第2のステップでは、Cl、およびArを含むガスを用いて行った。ただし、自然酸化膜が形成されていない場合、あるいは、自然酸化膜が第2のステップのみで除去できる場合は、必ずしも第1のステップは行わなくてもよい。以上の工程により、図9に相当する構造体を得ることができる。また、第2の窒化タンタル膜を加工することにより、第2の導電体を覆うように、窒化タンタルを含む第3の導電体が形成される。
【0497】
また、図22(A)に該異方性エッチング後の断面STEM像を示す。
【0498】
次に、副生成物、および第4の酸化アルミニウム膜を除去する。副生成物、および第4の酸化アルミニウム膜の除去には、ウェットエッチング法を用いた。ウェットエッチング処理には、アルカリ性の溶液を用いた。該ウェットエッチングにより、図10に相当する構造体を得ることができる。また、該ウェットエッチングにより、第2の酸化物も一部除去された。
【0499】
また、図22(B)に該ウェットエッチング後の断面STEM像を示す。図22(B)に示すように、該開口部内に、L字型の酸化ハフニウム膜が残存している。また、該開口部内において、第3の導電体が形成されており、第3の導電体の、第3の酸化窒化シリコン膜と重ならず、開口部内にはみ出た部分の幅は、約39.3nmであった。
【0500】
以上の工程により、開口部内にはみ出す第3の導電体を形成することができる。本実施例に示す方法を用いることにより、第3の導電体の、開口部内にはみ出た部分の幅は、酸化ハフニウム膜の膜厚と第4の酸化アルミニウム膜の膜厚との合計膜厚よりも大きくすることができ、酸化ハフニウム膜、および第4の酸化アルミニウム膜の形成に要する時間(成膜時間)を短縮することができる。
【符号の説明】
【0501】
200:トランジスタ、205:導電体、210:絶縁体、212:絶縁体、214:絶縁体、216:絶縁体、218:導電体、222:絶縁体、224:絶縁体、230:酸化物、230a:酸化物、230a1:酸化物、230a2:酸化物、230A:酸化膜、230b:酸化物、230B:酸化膜、230c:酸化物、230c1:酸化物、230c2:酸化物、230C:酸化膜、240:導電体、240a:導電体、240b:導電体、241:絶縁体、241a:絶縁体、241b:絶縁体、242:導電体、242a:導電体、242A:導電膜、242b:導電体、242B:導電体層、243:導電体、243a:導電体、243A:導電体層、243b:導電体、244:絶縁体、244A:絶縁膜、246:導電体、250:絶縁体、250A:絶縁膜、254:絶縁体、254A:絶縁膜、260:導電体、260a:導電体、260Aa:導電膜、260Ab:導電膜、260b:導電体、262:ダミーゲート、262A:ダミーゲート層、263:開口、265:ダミー層、265A:ダミー膜、266:絶縁体、266A:絶縁膜、267:副生成物、274:絶縁体、276:絶縁体、280:絶縁体、281:絶縁体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図22