(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】神経変性障害を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/415 20060101AFI20221014BHJP
A61K 31/4152 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/423 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/426 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/4425 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221014BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/185 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/196 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/381 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/404 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/4184 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/433 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/505 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/52 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/53 20060101ALN20221014BHJP
A61K 31/536 20060101ALN20221014BHJP
A61P 9/00 20060101ALN20221014BHJP
A61P 21/00 20060101ALN20221014BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20221014BHJP
A61P 25/02 20060101ALN20221014BHJP
A61P 25/14 20060101ALN20221014BHJP
A61P 25/16 20060101ALN20221014BHJP
A61P 27/02 20060101ALN20221014BHJP
A61P 27/06 20060101ALN20221014BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
A61K31/415
A61K31/4152
A61K31/4196
A61K31/42
A61K31/423
A61K31/426
A61K31/428
A61K31/44
A61K31/4425
A61K31/519
A61P25/28
A61K31/185
A61K31/196
A61K31/381
A61K31/404
A61K31/4184
A61K31/433
A61K31/505
A61K31/52
A61K31/53
A61K31/536
A61P9/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/02 101
A61P25/14
A61P25/16
A61P27/02
A61P27/06
A61P43/00
(21)【出願番号】P 2019567501
(86)(22)【出願日】2018-02-23
(86)【国際出願番号】 US2018019347
(87)【国際公開番号】W WO2018156845
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519307263
【氏名又は名称】アルツェオン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】コシス,ペトル
(72)【発明者】
【氏名】トラル,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ,ジョン
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-517458(JP,A)
【文献】特表2014-516407(JP,A)
【文献】特開2005-179341(JP,A)
【文献】特表2008-525425(JP,A)
【文献】特表2006-511445(JP,A)
【文献】J.Biol.Chem.,2005年,Vol.280,pp.34747-34754
【文献】Il Farmaco,2003年,Vol.58,pp.929-937
【文献】Biochem.J.,2007年,Vol.407,pp.435-450
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
【表1-1】
【表1-2】
から選択される化合物またはその医薬的に許容できる塩を含む、アルツハイマー病を処置するための医薬組成物。
【請求項2】
前記化合物が以下:
【表2】
から選択されるか、あるいはその医薬的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記化合物が以下:
【表3】
から選択されるか、あるいはその医薬的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記化合物が以下:
【表4】
から選択されるか、あるいはその医薬的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物が以下:
【表5】
から選択されるか、あるいはその医薬的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記化合物が以下:
【表6】
から選択されるか、あるいはその医薬的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記化合物が以下:
【表7】
から選択されるか、あるいはその医薬的に許容できる塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
化合物が、医薬的に許容できるキャリヤーをさらに含む医薬的に許容できる組成物中に配合されている、請求項1~
7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、U.S. Provisional Application No. 62/463,421, 2018年2月24日出願に基づく優先権を主張し、よってそれの内容全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002] アルツハイマー病(Alzheimer's disease)(AD)は、主に老化に関連する脳の進行性変性疾患である。米国におけるADの有病率は現在510万人に近い。65歳を超えた個体10人中の約1人および85歳を超えた個体のほぼ半数がアルツハイマー病に罹患していると推定された。米国だけで毎年おおよそ360,000人の患者がADを伴なうと診断されるであろう。ADの臨床像は、記憶、認知、推理、判断および見当識の喪失を特徴とする。疾患が進行するのに伴なって、運動、感覚、および言語の能力も影響を受け、最終的には多くの認知機能が全体的に損なわれる。これらの認知喪失は徐々に起きるが、一般に4~12年の範囲内に重篤な障害となり、結果的に死に至る。
【0003】
[0003] アルツハイマー病は脳における2つの主要な病理所見を特徴とする:ベータアミロイド斑(神経炎斑(neuritic plaques))および神経原線維濃縮体(neurofibrillary tangle)。ADを伴なう個体は特徴的なベータ-アミロイド沈着を脳(ベータアミロイド斑)および脳血管(ベータアミロイド血管障害)に示し、その後、異常にリン酸化されたタウタンパク質(神経原線維濃縮体)をも示す。最近のAD研究は、可溶性オリゴマーAβが主な神経毒性種を構成することを示唆している。
【0004】
[0004] アミロイド斑ならびに他のアミロイドおよびアミロイド型の凝集体は他の疾患の特徴でもある:たとえば、ダウン症候群認知症、パーキンソン病、急性黄斑変性症(Acute macular degeneration)(AMD)、緑内障、封入体筋炎(Inclusion Body Myositis)(IBM)、外傷性脳損傷、レビー小体認知症、ハンチントン病、ニーマン-ピック病C型、脳アミロイドアンギオパチー(Cerebral Amyloid Angiopathy)(CAA)、クロイツフェルト-ヤコブ病、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー(Familial amyloid polyneuropathy)(FAP)、家族性アミロイド心筋障害(Familial amyloid cardiomyopathy)(FAC)、老人性全身性アミロイドーシス、およびプリオン病。現在、これらの不都合な凝集体を脱凝集および/または形成阻止する医薬は無い。
【0005】
[0005] トラミプロセート(Tramiprosate)、すなわち3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)は、アミロイドベータオリゴマーの神経毒性を低減する経口アミロイド抗凝集薬である。軽度ないし中等度のADにおけるトラミプロセート第3相試験は、脳海馬体積の低減を遅延させる能力ならびにサブセット解析において脳の認知および機能を改善する能力を含む卓越した薬物プロフィールを示した。参照:たとえばGauthier, S. et al. Effect of tramiprosate in patients with mild-to-moderate Alzheimer's disease: exploratory analyses of the MRI sub-group of the Alphase study. J Nutr Health Aging 13, 550-557 (2009); Saumier, D., Duong, A., Haine, D., Garceau, D. & Sampalis, J. Domain-specific cognitive effects of tramiprosate in patients with mild to moderate Alzheimer's disease: ADAS-cog subscale results from the Alphase Study. J Nutr Health Aging 13, 808-812 (2009); およびAisen, P. S. et al. Tramiprosate in mild-to-moderate Alzheimer's disease - a randomized, double-blind, placebo-controlled, multi-centre study (the Alphase Study). Arch Med Sci 7, 102-111 (2011)。より最近になって、トラミプロセートは新たなエンベロープ形成作用機序によりAβ42オリゴマーの形成を阻止し、よってアミロイド毒性を低減することが示された。
【0006】
[0006] ALZ-801(3-(2-アミノ-3-メチルブタナミド)プロパン-1-スルホン酸)、すなわち3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS,トラミプロセート)の新規プロドラッグは、トラミプロセートより一貫した血漿曝露および改善されたGI耐容性を備えた有望な製剤である。ALZ-801は現在、ADの処置のために臨床開発中である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Gauthier, S. et al. Effect of tramiprosate in patients with mild-to-moderate Alzheimer's disease: exploratory analyses of the MRI sub-group of the Alphase study. J Nutr Health Aging 13, 550-557 (2009)
【文献】Saumier, D., Duong, A., Haine, D., Garceau, D. & Sampalis, J. Domain-specific cognitive effects of tramiprosate in patients with mild to moderate Alzheimer's disease: ADAS-cog subscale results from the Alphase Study. J Nutr Health Aging 13, 808-812 (2009)
【文献】Aisen, P. S. et al. Tramiprosate in mild-to-moderate Alzheimer's disease - a randomized, double-blind, placebo-controlled, multi-centre study (the Alphase Study). Arch Med Sci 7, 102-111 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0007] ALZ-801の可能性が大きいにもかかわらず、アルツハイマー病などのアミロイド関連疾患を予防および治療するためのさらに他の薬剤の使用について依然としてニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0008] 本明細書には、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置するための、構造式Iの化合物:
【0010】
【0011】
またはその医薬的に許容できる塩の使用を提供する;式中の、A、R1、R2、R3、およびR4は本明細書に記載するものである。
[0009] 同様に、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置するための、構造式IIの化合物:
【0012】
【0013】
またはその医薬的に許容できる塩の使用を提供する;式中の、B、R7、R8、R9、およびR10は本明細書に記載するものである。
[0010] 同様に、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置するための、構造式IIIの化合物:
【0014】
【0015】
またはその医薬的に許容できる塩の使用を提供する;式中の、D、q、およびR16は本明細書に記載するものである。
[0011] 同様に、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置するための、構造式IVの化合物:
【0016】
【0017】
またはその医薬的に許容できる塩の使用を提供する;式中の、E、t、およびR17は本明細書に記載するものである。
[0012] さらに、アミロイドおよびアミロイド様凝集体を特徴とする疾患(たとえば、アルツハイマー病)を処置するための、構造式I、II、IIIもしくはIV、またはその医薬的に許容できる塩を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0018】
[0013] アミロイドおよびアミロイド様凝集体を特徴とする疾患には本明細書に記載するものが含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.定義
[0014] 本明細書中で用いる引用した基の先頭または末尾のハイフン(“-”)は、引用した基が規定の基に結合する点を表示する。たとえば、-SO2-(C1-C3)アルキル-(C2-C6)シクロアルキルはその基がそのスルホニルを介して結合していることを意味する。
【0020】
[0015] 用語“アルキレン”は、直鎖または分枝鎖二価アルキル基を表わす。
[0016] 本明細書中で用いる用語“C0アルキレン”は、結合を意味する。よって、本明細書中で“-(C0-C6アルキレン)-アリール”と定義する部分構造(moiety)は、-アリール(すなわち、C0アルキレン-アリール)と-(C1-C6アルキレン)-アリールの両方を含む。
【0021】
[0017] 用語“アルケニレン”は、直鎖または分枝鎖二価アルケニル基を表わす。
[0018] 用語“アルキニレン”は、直鎖または分枝鎖二価アルキニル基を表わす。
[0019] 単独で、またはより大きな部分構造、たとえば“ハロアルキル”の一部として用いる用語“アルキル”は、別に特定しない限り1~10個の炭素原子をもつ飽和一価の直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味し、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルなどを含む。
【0022】
[0020] 単独で、またはより大きな部分構造、たとえば“ハロアルケニル”の一部として用いる用語“アルケニル”は、別に特定しない限り1~10個の炭素原子をもつ、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合をもつ直鎖または分枝鎖脂肪族部分構造から誘導される一価の基を意味する。代表的なアルケニル基にはエテニル(“ビニル”)、プロペニル(“アリル”)、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
[0021] 単独で、またはより大きな部分構造、たとえば“ハロアルキニル”の一部として用いる用語“アルキニル”は、別に特定しない限り1~10個の炭素原子をもつ、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合をもつ直鎖または分枝鎖脂肪族部分構造から誘導される一価の基を意味する。代表的なアルキニル基にはエチニル、2-プロピニル(“プロパルギル”)、1-プロピニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
[0022] 本明細書中で用いる用語“ハロ”および“ハロゲン”は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、およびヨウ素(ヨード、-I)から選択される原子を表わす。
【0025】
[0023] 本明細書中で用いる用語“カルボサイクリル”(本明細書中で“炭素環”、“脂環式”または“シクロアルキル”とも呼ぶ)は、完全飽和された単環式炭化水素または二環式炭化水素を意味する。
【0026】
[0024] 単独で、またはより大きな部分構造、たとえば部分構造“アラルキル”、“アラルコキシ”、または“アリールオキシアルキル”の一部として用いる用語“アリール”は、合計5~10個の環員子をもつ単環式および二環式の炭素環系を表わし、その際、その系の少なくとも1つの環は芳香族である。用語“アリール”は用語“アリール環”と互換性をもって使用できる。ある態様において、“アリール”はフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含めた芳香族環系を表わすが、これらに限定されない。アリール基上の任意置換基を特定した場合、それらは置換可能ないかなる位置に存在してもよいことは理解されるであろう。
【0027】
[0025] 単独で、またはより大きな部分構造、たとえば部分構造“ヘテロアリールアルキル”、“ヘテロアリールアルコキシ”、または“ヘテロアリールアミノアルキル”の一部として用いる用語“ヘテロアリール”は、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~12員芳香族ラジカルを表わす。用語“ヘテロアリール”は、“ヘテロアリール環”、“ヘテロアリール基”、または“ヘテロ芳香族”と互換性をもって使用できる。ヘテロアリール基は単環式または二環式であってもよい。単環式ヘテロアリールには、たとえチエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルが含まれる。二環式ヘテロアリールには、単環式ヘテロアリール環が1以上のアリール環またはヘテロアリール環に縮合した基が含まれる。限定ではない例には、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキソジアゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピロロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピロロピリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルが含まれる。ヘテロアリール基上の任意置換基を特定した場合、それらは置換可能ないかなる位置に存在してもよく、たとえばそのヘテロアリールが結合している位置が含まれることは理解されるであろう。一側面において、用語“ヘテロアリール”には第四級窒素を含む環系も含まれる。そのような化合物の一例は、本明細書中の化合物165:
【0028】
【0029】
である。
[0026] 用語“ヘテロサイクリル”は、独立してN、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む4~12員飽和または部分不飽和複素環を意味する。用語“複素環”、“ヘテロサイクリル”、“ヘテロサイクリル環”、“複素環式基”、“複素環式部分構造”、および“複素環式ラジカル”は本明細書中で互換性をもって用いられる。ヘテロサイクリル環はそれのペンダント基に、安定構造を生じるいずれのヘテロ原子または炭素原子においても結合できる。ヘテロサイクリル基は単環式または二環式であってもよい。単環式の飽和または部分不飽和複素環式ラジカルの例には、限定ではなく、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、モルホリニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、およびテトラヒドロピリミジニルが含まれる。二環式ヘテロサイクリル基には、たとえば他の不飽和複素環式ラジカル、シクロアルキル、または芳香環もしくはヘテロアリール環に縮合した不飽和複素環式ラジカル、たとえばペンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリジニル、1,2-ジヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロナフチリジン、インドリノン、ジヒドロピロロトリアゾール、キノリノン、ジオキサスピロデカンが含まれる。ヘテロサイクリル基上の任意置換基を特定した場合、それらは置換可能ないかなる位置に存在してもよく、たとえばそのヘテロサイクリルが結合している位置が含まれることは理解されるであろう。
【0030】
[0027] 本明細書に記載する化合物は、キラル中心および/または幾何中心をもつ可能性がある(E-およびZ-異性体)。本開示がすべての立体異性体および幾何異性体を包含することは理解されるであろう。本明細書に記載する互変異性体形態の化合物も本開示の一部である。
【0031】
[0028] 本明細書に記載する化合物は医薬的に許容できる塩類の形態で存在することができる。医薬における使用について、本明細書に記載する化合物の塩類は無毒性の“医薬的に許容できる塩類”を表わす。医薬的に許容できる塩の形態には、医薬的に許容できる酸性/アニオン性または塩基性/カチオン性の塩類が含まれる。医薬的に許容できる塩類の例は、たとえばBerge et al., “Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66, 1 19 (1977)にも記載されている。そのような塩類には、たとえば下記のものが含まれる:(1)酸付加塩:塩基性または正に荷電した官能基上において、無機酸、たとえば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、リン酸、炭酸塩形成剤などの付加により形成されるもの;あるいは有機酸、たとえば酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、グリコール酸、ピバル酸、t-ブチル酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2 ヒドロキシエタンスルホン酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2 ナフタレンスルホン酸、4 トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、ラウリルスルホン酸、ラウリル硫酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、エンボン(パモ)酸、パルミチン酸(palmitiic acid)、パントテン酸、ラクトビオン酸、アルギン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、グルタミン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、アスコルビン酸、ステアリン酸、ムコン酸などを用いて形成されるもの;ならびに(2)塩基付加塩:親化合物中に存在する酸性プロトンがアルカリ金属イオン(たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(たとえば、マグネシウム、カルシウム、バリウム)、または他の金属イオン、たとえばアルミニウム、亜鉛、鉄などを含めた金属イオンにより置き換えられた際に形成されるもの;あるいは有機塩基、たとえばアンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、ピペラジン、クロロプロカイン、プロカイン、コリン、リジンなどを含む配位化合物。一側面において、医薬的に許容できる塩類には、適切な場合には、ハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ナイトレート、低級アルキルスルホネート、およびアリールスルホネートなどの対イオンを用いて形成された無毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが含まれる。
【0032】
[0029] “医薬的に許容できる”は、妥当な損益比との釣合いで過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応などなしにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適した、その用語が記述する薬物、医薬、不活性成分などを表わす。一側面において、医薬的に許容できるとは、動物およびより特別にはヒトに使用するために国または州政府の規制当局により承認されているかまたは承認される可能性があり、あるいは米国薬局方その他の一般的に認められている薬局方に収載されている化合物または組成物を表わす。
【0033】
[0030] 用語“医薬的に許容できるキャリヤー”は、それが配合される化合物の薬理活性を破壊しない無毒性のキャリヤー、佐剤またはビヒクルを表わす。本開示の組成物中に使用可能な医薬的に許容できるキャリヤー、佐剤またはビヒクルには、医薬適用に適した有機または無機のキャリヤー、賦形剤または希釈剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
[0031] 本明細書中で用いる用語“対象”と“患者”は互換性をもって使用でき、処置を必要とする哺乳類、たとえば愛玩動物(たとえば、イヌ、ネコなど)、農場動物(たとえば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)、および実験動物(たとえば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。一般に、対象は処置を必要とするヒトである。
【0035】
[0032] 本明細書中で用いる用語“処置”、“処置する”および“処置すること”は、本明細書に記載する疾患またはその1以上の症状を反転、軽減、発症遅延、または進行阻止することを表わす。ある態様において、1以上の症状が発現した後に処置を施すことができる;すなわち治療処置。他の態様において、症状が存在しない状態で処置を施すことができる。たとえば、感受性個体に症状が発現する前に(たとえば、病歴を考慮して、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子を考慮して)処置を施すことができる;すなわち予防処置。処置は症状が消散した後も、たとえばそれらの再発を阻止するために継続することができる。
【0036】
2.本発明方法の化合物
[0033] 第1態様において、処置を必要とする対象に構造式Iの化合物:
【0037】
【0038】
またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する
[式中:
環Aは、6員アリール、または1~3個の窒素ヘテロ原子を含む6員ヘテロアリールであり;
R1は、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、および-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OHから選択され;
R2は、水素、-C1-C4アルキル、-O-C1-C4アルキル、-(C0-C6アルキレン)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)-、-(C2-C6アルケニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-S(O)2-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロアリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロサイクリル、および-(C0-C6アルキレン)-カルボサイクリルから選択され、その際、-(C0-C6アルキレン)-アリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロアリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロサイクリル、または-(C0-C6アルキレン)-カルボサイクリルのいずれかのC0-C6アルキレン部分における最大3つのメチレン単位は、場合により、独立して-S-、-O-、-NH-、または-N(C1-C4アルキル)-で置き換えられていてもよく;R2のいずれかのアリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、またはカルボサイクリル部分は、場合により、独立してハロ、オキソ、-CN、-OH、C1-C4アルキル、-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、および-(C0-C6アルキレン)-アリール-S(O)2-OHから選択される最大4つの置換基で置換されていてもよく;
R3は、環A中の炭素-環原子に結合した置換基であり、水素、ハロゲン、-CN、-OH、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、-(C0-C6アルキレン)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-アリール-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、および-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OHから選択され;
R4は、水素、-OH、C1-C4アルキル、N(R5)(R6)、およびフェニル(場合によりハロゲンまたはヒドロキシで置換されていてもよい)から選択され;R3およびR4が、隣接する環原子に結合している場合、R3とR4は場合により一緒になって環Aに縮合した炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールを形成していてもよく、その際、炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールは、場合により、独立して、ハロ、オキソ、-CN、-OH、C1-C4アルキル、-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、および-(C0-C6アルキレン)-アリールから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、その際、置換基のアリール部分は、場合により、独立して-S(O)2-OHおよび-N(R5)(R6)から選択される1または2つの置換基で置換されていてもよく;
各R5は、独立して、水素、-C(O)-(C1-C4アルキル)、および-C1-C4アルキルから選択され;
各R6は、独立して、水素、-C1-C4アルキル、-(C0-C4アルキレン)-カルボサイクル、-(C0-C4アルキレン)-アリール、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロサイクル、および-(C0-C4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され、その際、R6のカルボサイクリル、アリール、ヘテロアリール、または-ヘテロサイクリル部分は、独立してハロゲン、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される最大4つの置換基でさらに置換されていてもよく;あるいはR5とR6は一緒に、場合によりハロゲン、オキソ、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)2、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい複素環またはヘテロ芳香環を形成している;
ただし、化合物は2より多い-S(O)2-OH部分構造を含まない]。
【0039】
[0034] 第2態様において、処置を必要とする対象に構造式Iaの化合物:
【0040】
【0041】
またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する
[式中:
環Aは、6員アリール、または1~3個の窒素ヘテロ原子を含む6員ヘテロアリールであり;
R1は、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、および-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OHから選択され;
R2は、水素、-(C0-C6アルキレン)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-アリール-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-S(O)2-OH、および-(C2-C6アルキニレン)-アリール-S(O)2-OHから選択され;
R3は、環A中の炭素-環原子に結合した置換基であり、水素、ハロゲン、-CN、-OH、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、-(C0-C6アルキレン)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-アリール-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R5)(R6)、および-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OHから選択され;
R4は、水素であり、R3が水素またはC1-C3アルキルである場合、R4はC1-C3アルキル、およびフェニル(場合によりハロゲンまたはヒドロキシで置換されていてもよい)からさらに選択され;R3およびR4が、隣接する環原子に結合している場合、R3とR4は場合により一緒になって環Aに縮合した炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールを形成していてもよく、その際、炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールは、場合により、独立してハロ、-CN、-OH、-(C0-C6アルキレン)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R5)(R6)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、および-(C0-C6アルキレン)-アリール-S(O)2-OHから選択される1または2つの置換基で置換されていてもよく;
各R5は、独立して水素、-C(O)-(C1-C4アルキル)、および-C1-C4アルキルから選択され;
各R6は、独立して水素、-C1-C4アルキル、-(C0-C4アルキレン)-カルボサイクル、-(C0-C4アルキレン)-アリール、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロサイクル、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され、その際、R6のカルボサイクリル,アリール,ヘテロアリール、または-ヘテロサイクリル部分は、独立してハロゲン、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される最大4つの置換基でさらに置換されていてもよく;あるいはR5とR6は一緒に、場合により、ハロゲン、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい複素環またはヘテロ芳香環を形成している;
ただし、化合物は2より多い-S(O)2-OH部分構造を含まない]。
【0042】
[0035] 本明細書に記載する方法の第3態様において、構造式IまたはIa中のR1は-S(O)2-OHおよび-CH2-S(O)2-OHから選択され、残りの可変基は構造式IまたはIaについて前記に述べたものである。あるいは、構造式IまたはIa中のR1は環炭素に結合し、-S(O)2-OHおよび-CH2-S(O)2-OHから選択され、残りの可変基は構造式IまたはIaについて前記に述べたものである。もうひとつの別形態において、構造式IまたはIa中のR1は環炭素に結合し、-S(O)2-OHであり、残りの可変基は構造式IまたはIaについて前記に述べたものである。
【0043】
[0036] 本明細書に記載する方法の第4態様において、構造式IまたはIa中のR2は-NH2、-CH2NH2、-C(O)NH2、および-COOHから選択され、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその第3態様について前記に述べたものである。あるいは、構造式IまたはIa中のR2は環炭素に結合し、-CH2NH2、-CH2COOH、および-CH2C(O)NH2から選択され、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその第3態様について前記に述べたものである。もうひとつの別形態において、構造式IまたはIa中のR2は環炭素に結合し、-NH2であり、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその第3態様について前記に述べたものである。
【0044】
[0037] 本明細書に記載する方法の第5態様において、構造式IまたはIa中の環Aはフェニルであり、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその第3もしくは第4態様について前記に述べたものである。本明細書に記載する方法の第5(first)態様の他の側面において、構造式IまたはIa中の環Aはピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、およびトリアジンから選択され、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその第3もしくは第4態様について前記に述べたものである。
【0045】
[0038] 第6態様において、処置を必要とする対象に構造式I-1の化合物:
【0046】
【0047】
またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する
[式中:
R11は、-(C0-C4アルキレン)-SO3
-であり;
R12は、水素、-(C0-C4アルキレン)-アリール、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロアリール、-(C0-C4アルキレン)-カルボサイクリル、および-(C0-C4アルキレン)-ヘテロサイクリルから選択され;
R13は、水素、C1-C6アルキル、(C0-C6アルキレン)-NH2、および(C0-C6アルキレン)-C(O)-NH2から選択され;
R14は、C1-C4アルキルである]。
【0048】
[0039] 本明細書に記載する方法の第7態様において、処置を必要とする対象に構造式Iの化合物を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、R3およびR4は環Aと一緒になって二環式の第四級窒素を含む環系を形成し、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4もしくは第5態様について前記に述べたものである。第7態様の一側面において、R3およびR4は環Aと一緒になって1個の第四級窒素を含む二環式環系を形成し、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4もしくは第5態様について前記に述べたものである。第7態様のある側面において、第四級窒素は二環式環系の環A部分における環原子であり、残りの可変基は構造式IまたはIaについて前記に述べたものである。第7態様のある側面において、第四級窒素は二環式環系の橋頭原子であり、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4もしくは第5態様について前記に述べたものである。第7態様のある側面において、第四級窒素は二環式環系の、R3とR4が一緒になることにより形成された部分における環原子であり、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4もしくは第5態様について前記に述べたものである。第7態様のある側面において、第四級窒素は置換可能である場合にはR4で置換され、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4もしくは第5態様について前記に述べたものである。第7態様のある側面において、第四級窒素は置換可能である場合にはC1-C4アルキルで置換され、残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4もしくは第5態様について前記に述べたものである。第7態様のある側面において、式Iの化合物は式:
【0049】
【0050】
をもつか、あるいはその医薬的に許容できる塩である
[式中:
環Cは、R3とR4が一緒になることにより形成された環であり、その際、環Cは場合により第四級窒素のほかに1~2個の環窒素原子を含んでいてもよく;
環Dは、R3とR4が一緒になることにより形成された環であり、その際、環Dは場合により第四級窒素のほかにS、OおよびNから選択される1~2個の環ヘテロ原子を含んでいてもよく;
R11は、-(C0-C4アルキレン)-SO3
-であり;
R12は、水素、-(C0-C4アルキレン)-アリール、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロアリール、-(C0-C4アルキレン)-カルボサイクリル、および-(C0-C4アルキレン)-ヘテロサイクリルから選択され;
R15は、C1-C4アルキルである]。
【0051】
[0040] 第8態様において、処置を必要とする対象に構造式IもしくはIaの化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、
環Aは、ピリジンおよびピリミジンから選択され;
R1は、-(C0-C4アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C4アルケニレン)-S(O)2-OH、および-(C2-C4アルキニレン)-S(O)2-OHから選択され;
R2は、-(C0-C6アルキレン)-NH2、-(C2-C4アルケニレン)-NH2、および-(C2-C4アルキニレン)-NH2から選択され;
R3は、水素およびC1-C6アルキルから選択され;
R4は、水素である。
【0052】
[0041] 第9態様において、処置を必要とする対象に構造式IまたはIaの化合物を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、R1は-S(O)2-OHであり;R2は-NH2であり;残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4、第5もしくは第8態様について前記に述べたものである。
【0053】
[0042] 第10態様において、処置を必要とする対象に構造式IまたはIaの化合物を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、環AはC1-C4アルキルで置換された第四級窒素-環原子を含み;R1は-SO3
-であり;残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4、第5、第8もしくは第9態様について前記に述べたものである。
【0054】
[0043] 第11態様において、処置を必要とする対象に構造式IまたはIaの化合物を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、R1は-SO3
-であり;R2はヘテロアリールおよびヘテロサイクリルから選択され;R2は第四級窒素-環原子を含み;残りの可変基は構造式IもしくはIa、またはその前記の第3、第4、第5、第8、第9もしくは第10態様について前記に述べたものである。
【0055】
[0044] 第12態様において、処置を必要とする対象に構造式IIの化合物:
【0056】
【0057】
またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する
[式中:
環Bは、1~3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロ芳香環であり、その際:
第1ヘテロ原子はN、またはSもしくはS(O)2であり;
第2ヘテロ原子が存在すれば、それはNまたはOであり、その際、第1ヘテロ原子がSまたはS(O)2である場合には第2ヘテロ原子はNであり;
第3ヘテロ原子が存在すれば、それはNである;
R7は、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、および-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OHから選択され;
R8は、水素、-C1-C4アルキル、-O-C1-C4アルキル、-(C0-C6アルキレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)-、-(C2-C6アルケニレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-S(O)2-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロアリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロサイクリル、および-(C0-C6アルキレン)-カルボサイクリルから選択され、その際、-(C0-C6アルキレン)-アリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロアリール、-(C0-C6アルキレン)-ヘテロサイクリル、または-(C0-C6アルキレン)-カルボサイクリルのいずれかのC0-C6アルキレン部分中の最大3つのメチレン単位は、場合により、独立して-S-、-O-、-NH-または-N(C1-C4アルキル)-で置き換えられていてもよく;R2のいずれかのアリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、またはカルボサイクリル部分は、場合により、独立してハロ、オキソ、-CN、-OH、C1-C4アルキル、-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、および-(C0-C6アルキレン)-アリール-S(O)2-OHから選択される最大4つの置換基で置換されていてもよく;
R9は、環B中の炭素-環原子に結合した置換基であり、水素、ハロゲン、-CN、-OH、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、-(C0-C6アルキレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-アリール-N(R
11
)(R
12
)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、および-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OHから選択され;
R10は、水素、-OH、C1-C4アルキル、N(R
11
)(R
12
)、およびフェニル(場合によりハロゲンまたはヒドロキシで置換されていてもよい)から選択され;R9およびR10が、隣接する環原子に結合している場合、R9とR10は場合により一緒になって環Aに縮合した炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールを形成していてもよく、その際、炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールは、独立してハロ、オキソ、-CN、-OH、C1-C4アルキル、-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルケニレン)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C2-C6アルキニレン)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R
11
)(R
12
)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-O-(C1-C4アルキル)、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、および-(C0-C6アルキレン)-アリールから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、その際、置換基のアリール部分は、場合により、独立して-S(O)2-OHおよび-N(R
11
)(R
12
)から選択される1または2つの置換基で置換されていてもよく;
各R11は、独立して水素、-C(O)-(C1-C4アルキル)および-C1-C4アルキルから選択され;
各R12は、独立して水素、-C1-C4アルキル、-(C0-C4アルキレン)-カルボサイクル、-(C0-C4アルキレン)-アリール、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロサイクル、および-(C0-C4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され、その際、R12のカルボサイクリル、アリール、ヘテロアリール、または-ヘテロサイクリル部分は、独立してハロゲン、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される最大4つの置換基でさらに置換されていてもよく;あるいはR11とR12は一緒に、ハロゲン、オキソ、-NH2、-NH(C1-C4アルキル)、-N(C1-C4アルキル)2、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい複素環またはヘテロ芳香環を形成している;
ただし、化合物は2より多い-S(O)2-OH部分構造を含まない]。
【0058】
[0045] 第13態様において、処置を必要とする対象に構造式IIaの化合物:
【0059】
【0060】
またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する
[式中:
環Bは、1~3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロ芳香環であり、その際:
第1ヘテロ原子はN、またはSもしくはS(O)2であり;
第2ヘテロ原子が存在すれば、それはNまたはOであり、その際、第1ヘテロ原子がSまたはS(O)2である場合には第2ヘテロ原子はNであり;
第3ヘテロ原子が存在すれば、それはNである;
R7は、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、および-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OHから選択され;
R8は、-(C0-C6アルキレン)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-アリール-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-S(O)2-OH、および-(C2-C6アルキニレン)-アリール-S(O)2-OHから選択され;
R9は、環B中の炭素-環原子に結合した置換基であり、水素、ハロゲン、-CN、-OH、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、-(C0-C6アルキレン)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-アリール-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-アリール-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-アリール-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-N(R11)(R12)、および-(C2-C6アルキニレン)-アリール-C(O)-OHから選択され;
R10は、水素であり、R9が水素またはC1-C3アルキルである場合、R10はC1-C3アルキル、およびフェニル(場合によりハロゲンまたはヒドロキシで置換されていてもよい)からさらに選択され;R9およびR10が、隣接する環原子に結合している場合、R9とR10は場合により一緒になって、環Aに縮合した炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールを形成していてもよく、その際、炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールは、場合により、独立してハロ、-CN、-OH、-(C0-C6アルキレン)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C0-C6アルキレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルケニレン)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルケニレン)-C(O)-OH、-(C2-C6アルキニレン)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-N(R11)(R12)、-(C2-C6アルキニレン)-C(O)-OH、-(C0-C6アルキレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルケニレン)-S(O)2-OH、-(C2-C6アルキニレン)-S(O)2-OH、および-(C0-C6アルキレン)-アリール-S(O)2-OHから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
各R11は、独立して水素、-C(O)-(C1-C4アルキル)、および-C1-C4アルキルから選択され;
各R12は、独立して水素、-C1-C4アルキル、-(C0-C4アルキレン)-カルボサイクル、-(C0-C4アルキレン)-アリール、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロサイクル、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され、R12のカルボサイクリル,アリール,ヘテロアリール、またはヘテロサイクリル部分は、独立してハロゲン、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される最大4つの置換基でさらに置換されていてもよく;あるいはR11とR12は一緒に、場合により、ハロゲン、-CN、-OH、-COOH、-CONH2、およびC1-C3アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい複素環またはヘテロ芳香環を形成している;
ただし、化合物は2より多い-S(O)2-OH部分構造を含まない]。
【0061】
[0046] 本明細書に記載する方法の第14態様において、構造式IIまたはIIa中のR7は-S(O)2-OHおよび-CH2-S(O)2-OHから選択され、残りの可変基は構造式IIもしくはIIaについて前記に述べたものである。
【0062】
[0047] 本明細書に記載する方法の第15態様において、構造式IIまたはIIa中のR8は環炭素に結合し、-NH2、-CH2NH2、-C(O)NH2、および-COOHから選択され、残りの可変基は構造式IIもしくはIIa、またはその前記の第14態様について前記に述べたものである。第15態様のある側面において、構造式IIまたはIIa中のR8は環窒素に結合し、-CH2NH2、-CH2C(O)NH2、および-CH2COOHから選択され、残りの可変基は構造式IIもしくはIIa、またはその前記の第14態様について前記に述べたものである。
【0063】
[0048] 本明細書に記載する方法の第16態様において、構造式IIまたはIIa中の環Bはピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チオフェン、チアジアゾール、およびチアゾールから選択され、残りの可変基は構造式IIもしくはIIa、またはその前記の第14または第15態様について前記に述べたものである。
【0064】
[0049] 第17態様において、処置を必要とする対象に構造式IIまたはIIaの化合
を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、R9およびR10は環Bと一緒になって二環式の第四級窒素を含む環系を形成し、残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第17態様のある側面において、第四級窒素は二環式環系の環B部分中の環原子であり、残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第17態様のある側面において、第四級窒素は二環式環系の橋頭原子であり、残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第17態様のある側面において、第四級窒素は二環式環系の、R9とR10が一緒になることにより形成された部分中の環原子であり、残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第17態様のある側面において、第四級窒素は置換可能である場合にはR10で置換され、残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第17態様のより特定の側面において、第四級窒素は置換可能である場合にはC1-C4アルキルで置換され、残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第17態様のよりさらなる特定の側面において、構造式IIの化合物は式:
【0065】
【0066】
を有するか、あるいはその医薬的に許容できる塩である
[式中:
環Cは、R9とR10が一緒になることにより形成された環であり、その際、環Cは場合により、第四級窒素のほかに1~2個の環窒素原子を含んでいてもよく;
R11は、-(C0-C4アルキレン)-SO3
-であり;
R12は、水素、-(C0-C4アルキレン)-アリール、-(C0-C4アルキレン)-ヘテロアリール、-(C0-C4アルキレン)-カルボサイクリル、および-(C0-C4アルキレン)-ヘテロサイクリルから選択され;
R15は、C1-C4アルキルである]。
【0067】
[0050] 第18態様において、処置を必要とする対象に構造式IIまたはIIaの化合
を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、R7は-SO2-OHであり;R8は-NH2であり;残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第18態様のある側面において、R9およびR10は両方とも水素であり、残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。
【0068】
[0051] 第19態様において、処置を必要とする対象に構造式IIまたはIIaの化合
を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、R7は-SO2-OHであり;環Bは水素に結合した環窒素を含み;残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。そのような化合物の例は
【0069】
【0070】
である。
[0052] 第20態様において、処置を必要とする対象に構造式IIまたはIIaの化合
を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示し、その際、R7は-SO3
-であり;R9およびR10は環Bと一緒になって二環式の第四級窒素を含む環系を形成し;残りの可変基は構造式IIまたはIIaについて前記に述べたものである。第20態様のある側面において、R9とR10により形成された環は最大2つのC1-C4アルキル基で置換されている。
【0071】
[0053] 第21態様において、処置を必要とする対象に構造式IIIの化合物:
【0072】
【0073】
またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する
[式中:
環Dは、フェニル、ピリジル、トリアゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、トリアジニル、ピリミジニル、またはチオフェニルであり;
qは、2、3、または4であり;
R16は、(C1-C4)アルキル、-(C1-C4)アルキルCOORa、(C1-C4)アルキルSO3H、-O(C1-C4)アルキル、-SO3H、-NRaRb、-ORa、-COORa、-COONRaRb、モルホリニル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、フェニル、およびジヒドロピラゾリルから選択され、それらのモルホリニル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、およびフェニルはそれぞれ、場合により、-NRcRd、SO3H、(C1-C4)アルキル、および-COORcから選択される1~3つの基で置換されていてもよく、そのジヒドロピラゾリルは場合により、オキソ、-NRcRd、SO3H、(C1-C4)アルキル、および-COORcから選択される1~3つの基で置換されていてもよく;
RaおよびRbは、それぞれ独立して水素、(C1-C4)アルキル、またはフェニルであり、そのフェニルは場合により1または2つの-NRcRd基で置換されていてもよく;
RcおよびRdは、それぞれ独立して水素または(C1-C4)アルキルである]。
【0074】
[0054] 第22態様において、本方法の構造式IIIの化合物中のR16は下記のものから選択される:(C1-C4)アルキル;(C1-C4)アルキルCOOH;(C1-C4)アルキルSO3H;-O(C1-C4)アルキル;-SO3H;NH2;-NH(C1-C4)アルキル、OH;COOH;-NHフェニル;-NHフェニル(NH2);-COOCH3;COON(CH3)2;モルホリニル;(C1-C4)アルキル、NH2、およびCOOEtから選択される1または2つの基で置換されたピラゾリル;1または2つの(C1-C4)アルキル)基で置換されたイソオキサゾリル;(C1-C4)アルキルおよびSO3Hから選択される1または2つの基で置換されたフェニル;ならびに(C1-C4)アルキル、NH2、オキソ、およびCOOHから選択される1または2つの基で置換されたジヒドロピラゾリル;残りの可変基は式IIIについて前記に述べたものである。
【0075】
[0055] 第23態様において、処置を必要とする対象に構造式IVの化合物:
【0076】
【0077】
またはその医薬的に許容できる塩を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する
[式中:
環Eは、ベンゾイミダゾリル、インドリニル、ナフタレニル、ジヒドロベンゾオキサジニル-2-オン、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリミジニル-4-イウム、またはベンゾオキサゾリルであり;
tは、2、3、または4であり;
R17は、(C1-C4)アルキル、-O(C1-C4)アルキル、-SO3H、-(C1-C4)アルキルSO3H、-NRaRb、およびフェニルから選択され、そのフェニルは場合により(C1-C4)アルキルまたは-NRaRbで置換されていてもよく;
RaおよびRbは、それぞれ独立して水素または(C1-C4)アルキルである]。
【0078】
[0056] 第24態様において、本方法の構造式IVの化合物中のR17は、(C1-C4)アルキル、-SO3H、-(C1-C4)アルキルSO3H、NH2、およびフェニルから選択され、そのフェニルは場合によりNH2で置換されていてもよく、残りの可変基は式IVについて前記に述べたものである。
【0079】
[0057] 第25態様において、処置を必要とする対象に下記の表1に提示する化合物を投与する工程を含む、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する方法を本明細書に提示する。適用可能であれば、それらの化合物の中性形態、塩形態、荷電形態、水和物、遊離塩基形態、および互変異性体形態が含まれる。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
3.使用、配合物、および投与
[0058] 一側面において、本開示は、アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置するための、1以上の本明細書に記載する化合物またはその医薬的に許容できる塩の使用を提供する。アミロイド凝集体を特徴とする疾患を処置する医薬の製造のための、1以上の本明細書に記載する化合物またはその医薬的に許容できる塩の使用も提供する。
【0084】
[0059] 一側面において、アミロイド凝集体を特徴とする疾患には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:アルツハイマー病(その家族性(遺伝性)形態を含む)、ダウン症候群認知症、パーキンソン病,急性黄斑変性症(AMD)、緑内障,封入体筋炎(IBM)、外傷性脳損傷、レビー小体認知症、ハンチントン病、ニーマン-ピック病C型,脳アミロイドアンギオパチー(CAA)、クロイツフェルト-ヤコブ病、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、家族性アミロイド心筋障害(FAC)、老人性全身性アミロイドーシス、およびプリオン病。一側面において、アミロイド凝集体を特徴とする疾患はアルツハイマー病である。
【0085】
[0060] アミロイドの沈着、形成および/またはプリオン様自己増殖能との病態生理学的関連性を特徴とする他の疾患も本明細書に記載する方法に含まれる。
[0061] 本開示の組成物中に使用できる医薬的に許容できるキャリヤーには下記のものが含まれるがそれらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、血清タンパク質、たとえばヒト血清アルブミン、緩衝物質、たとえばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩類または電解質、たとえば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとする物質(たとえば、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース・1水和物、ラウリル硫酸ナトリウム、およびクロスカルメロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ろう、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂。
【0086】
[0062] 投与方法には、本明細書に記載する1以上の疾患および状態を処置するかあるいはその重症度を軽減するために有効な投与量および投与経路を使用できる。厳密な必要量は、対象の種、年齢、および全般的状態、感染症の重症度、具体的な薬剤、それの投与様式などに応じて、対象毎に異なるであろう。提供する化合物は、投与しやすさおよび投与量の均一性のために、好ましくは単位剤形に配合される。たとえば、提供する化合物は、これらの組成物を受容する患者に0.01~100mg/kg体重/日の投与量の化合物を投与できるように配合することができる。本明細書中で用いる“単位剤形”という表現は、処置される患者に適した物理的に分離された単位の薬剤を表わす。ただし、本開示の化合物および組成物の総一日量が担当医によって妥当な医学的判断の範囲内で決定されることは理解されるであろう。いずれか特定の患者または生物についての具体的な有効量レベルは、処置される障害およびその障害の重症度;使用する具体的化合物の活性;使用する具体的組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;使用する具体的化合物の投与時間、投与経路、および排出速度;処置期間;使用する具体的化合物と組み合わせてまたは同時に使用する薬物など、医療技術分野で周知の要因を含めた多様な要因に依存するであろう。
【0087】
[0063] ヒトおよび他の動物への投与方法は、処置される感染症の重症度に応じて、経口、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤、または滴剤による)、口腔内、経口または経鼻スプレー剤などであってもよい。より特定の側面において、投与方法は経口である。
【実施例】
【0088】
合成法
[0064] 本明細書に記載する化合物は市販されており、および/または以下に記載する一般法に従って製造できる。
【0089】
[0065] ヘテロ芳香族チオールの酸化
[0066] ヘテロ芳香族チオール、たとえば4-アミノ-5-アリール-3-チオール-4H-1,2,4-トリアゾールは、適宜なチオール出発物質から酢酸水溶液中の30% H2O2を用いて、たとえば室温で酸化することができる。限定ではない代表例について下記のスキーム1を参照;それを関連の出発物質および生成物に全般的に適用できる。
【0090】
[0067] スキーム1:
【0091】
【0092】
[0068] アミノチアゾールのスルホン化
[0069] アミノ複素環、たとえばアミノチアゾールは、アミノ複素環に少量の冷却した(たとえば、摂氏-5度(C))クロロスルホン酸を、撹拌しながら、たとえば30分以内で徐々に添加することによりスルホン化することができる。塩化水素の発生が観察された後、次いで反応混合物を室温で1時間撹拌することができる。反応物を砕いた氷に徐々に注ぎ、温度をたとえば10℃より低く維持しながら冷却したNaOH溶液により中和することができる。沈殿を濾過し、たとえばエタノールおよび水で洗浄することができる。限定ではない代表例について下記のスキーム2を参照;それを関連の出発物質および生成物に全般的に適用できる。
【0093】
[0070] スキーム2:
【0094】
【0095】
[0071] ベンジルチオ基の脱保護に続くスルホン酸への酸化
[0072] 下記の方法を用いてベンジルチオ基を酸化してスルホン酸に変換することができる。50%酢酸水溶液中のベンジルチオ化合物の懸濁液を塩素により30分間、たとえば5℃で酸化することができる。HClで酸性化することにより生成物を単離できる。限定ではない代表例について下記のスキーム3を参照;それを関連の出発物質および生成物に全般的に適用できる。
【0096】
[0073] スキーム3:
【0097】
【0098】
[0074] 2-(アルキル)アミノ-5-ハロ-3-ピリジンスルホン酸の合成
[0075] 対応する2-(アルキル)アミノ-5-ハロ-3-ピリジンスルホニルクロリドまたはスルホンアミドを、水溶液中のHClで、化合物を完全に溶解するために必要であればアセトニトリルを添加して、酸加水分解することができる。反応を室温で一夜、完了するまで実施することができる。限定ではない代表例について下記のスキーム4を参照;それを関連の出発物質および生成物に全般的に適用できる。
【0099】
[0076] スキーム4:
【0100】
【0101】
[0077] ピリジン誘導体の3-スルホン化
[0078] ピリジン誘導体の直接スルホニル化は、エタノール溶液中で、濃硫酸および金属アルミニウムを用いて210℃の温度で5時間、実施することができる。
【0102】
[0079] ピリジン誘導体をスルホン化するための別法は、ピリジン誘導体を少量ずつ30分かけて発煙硫酸(硫酸と三酸化硫黄の混合物)に添加することである。得られた溶液を次いで140℃に4時間加熱することができる。反応混合物を次いで氷に注ぎ、混合物を次いで氷浴(塩を含む氷)中でさらに2時間、撹拌することができる。得られた懸濁液を次いで濾過し、固体を水で洗浄し、吸引乾燥することができる。限定ではない代表例について下記のスキーム5を参照;それを関連の出発物質および生成物に全般的に適用できる。
【0103】
[0080] スキーム5:
【0104】
【0105】
[0081] ピリジン誘導体の4-および2-スルホン化
[0082] ピリジン環の置換パターンに基づいて、スルホニル化を4位に指向させることができる。指向性スルホニル化は発煙硫酸中、160℃で20時間、実施することができる。2-スルホニル化、たとえばアルキルピリジン-2-スルホン酸は、アルキル-2-クロロピリジンを用意し、それを水に溶解し、亜硫酸ナトリウムNa2SO3と190℃で20時間、2MPaの圧力下に反応させることにより製造できる。得られたスルホン酸ナトリウムを酸仕上げ処理により対応するスルホン酸に変換できる。
【0106】
[0083] ピリミジン誘導体のスルホン化
[0084] ピリミジン誘導体を室温で徐々にモノクロロ硫酸に溶解し、次いで150℃で8時間撹拌することができる。反応混合物を冷却し、ピリジン誘導化合物について前記に述べたと同様に仕上げ処理する。対応するスルホニルクロリドを次いで水中で加水分解して、対応するスルホン酸にすることができる。限定ではない代表例について下記のスキーム6を参照;それを関連の出発物質および生成物に全般的に適用できる。
【0107】
[0085] スキーム6
【0108】
【0109】
[0086] 置換アミンによるヘテロ芳香族ハライドの置換
[0087] 対応するハロ化合物を対応するアミンのアルコール溶液と反応させることができる。限定ではない代表例について下記のスキーム7を参照;それを関連の出発物質および生成物に全般的に適用できる。
【0110】
【0111】
[0088] Pd触媒によるアミノ化
[0089] 本明細書に記載する5員、6員、およびアリール-縮合ヘテロ芳香族化合物についてパラジウム触媒によるアミノ化を実施することができる。そのような方法は当業者に周知であり、Pd(0)種、またはその場でPd(II)および配位子から塩基(たとえば、LHMDS)の存在下に形成されたPd(0)を用いて、アミンを芳香族ハライド、トリフレートなど(Xにより表示)と反応させて対応するアミンを形成することが含まれるが、それに限定されない。プレ触媒(precatalyst)を添加することもできる。代表的スキームを下記にスキーム8として示す。
【0112】
[0090] スキーム8
【0113】
【0114】
Ligand, base: 配位子,塩基
[0091] パラジウム種は当技術分野で知られており、たとえばパラジウム(II)触媒(たとえば、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリド、酢酸パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)テトラフルオロボレート、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロパラジウム(II)、ビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)アセテート、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス[トリ(o-トリル)ホスフィン]パラジウム(II)クロリド、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)、trans-ベンジル(クロロ)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)など、または市販のパラジウム(0)触媒(たとえば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などが含まれる。
【0115】
[0092] パラジウム仲介アミノ化を促進するのに使用するための配位子および/またはプレ触媒は単座または二座配位子であってもよい。例には下記のものが含まれるが、それらに限定されない。
【0116】
[0093] RuPhos、t-BuXPhos、BrettPhos、AdBrettPhos、tBuBrettPhose、Me4tBuXPhos、JohnPhosなど。ブーフワルト-ハルトヴィッヒ-タイプのパラダサイクル(Buchwald-Hartwig-type palladacycle)も使用できる。
【0117】
分子モデリング
[0094] 本明細書に記載する方法に用いた化合物がβ-アミロイドに結合できる程度を判定する分子モデリングは、シュレーディンガースイート(Schroedinger Suite, 2015-3; Schroedinger, LLC: New York, NY, 2015)を用いて実施することができる。分子動力学シミュレーションは、Desmond Bowers, K. J. et al. Scalable Algorithms for Molecular Dynamics Simulations on Commodity Clusters. SC Conference, Proceedings of the ACMIEEE, IEEE 43-56 (2006)に記載されたアルゴリズムを用いて行なうことができる。これらのシミュレーションはGeForce GTX Titan Black GPUカードで行なうことができる。OPLS 3.0力場(Shivakumar, D., Harder, E., Damm, W., Friesner, R. A. & Sherman, W. Improving the Prediction of Absolute Solvation Free Energies Using the Next Generation OPLS Force Field. J. Chem. Theory Comput. 8, 2553-2558 (2012))を用いて、本明細書中で用いる化合物とβ-アミロイドとのすべての相互作用をモデリングすることができ、水についてのSPCモデルを使用できる。PDBからの1IYT Aβ42 NMR構造をMDシミュレーションのための出発点として使用できる。この構造は主にアルファヘリックス状であり、無極性環境におけるペプチドに代表的である。シュレーディンガーシステムセットアップツールを用いて、20Åの水ボックスまたは水中1%の化合物の混合溶媒ボックスをペプチドの周囲に付加することができる。次いでイオンを添加してシステム全体の電荷を中和することができる。シミュレーションを平衡化し、周期的境界条件を伴なうNPT(constant pressure and temperature)(定圧および定温)条件下で操作した。能勢-フーバー・サーモスタット(Nose-Hoover Thermostat)およびマルチナ-トビアス-クライン圧力調整器(Martina-Tobias-Klein barostat)を用いて温度および圧力をそれぞれ制御することができる。シミュレーションをそれぞれ100ナノ秒間、3回反復して行なうことができ、結果を分析のためにコンパイルした。ProDy(Bakan, A., Meireles, L. M. & Bahar, I. ProDy: protein dynamics inferred from theory and experiments. Bioinformatics (Oxford, England) 27, 1575-1577 (2011))を用いて主成分分析を実施し、慣用されるpythonスクリプト(python script)を用いてプロットすることができる。
【0118】
イオンモビリティ質量分析(Ion Mobility Mass Spectrometry)(IMS MS)
[0095] イオンモビリティ質量分析は、本発明に用いる化合物とベータ-アミロイド、すなわちアミロイドベータ(1-42)(またはAβ42)、アミロイドベータ(1-40)、およびpGlu-アミロイドとの相互作用をアッセイするために使用できる。
【0119】
[0096] 質量分析に用いる条件を以下のようにすることができる:Waters Synapt G2-S、感受性モードで正の極性、キャピラリー=2.5kV、ネブライザー=2mbar、電源温度=80℃、脱溶媒温度=60℃、サンプルコーン(sample cone)設定=35V、電源オフセット設定=60V、質量範囲=500~4000m/z。データの一貫性を保証しかつ優先イオン化条件のためオリゴマー検出が影響を受けるのを避けるために、試験全体を通してこれらの条件を維持することができる。
【0120】
[0097] 試料を10μL/分の流速でPM-1000シリンジポンプおよびHamilton 1mLシリンジを用いて質量分析計に直接注入することができる。アミロイドペプチドのデータ取得は、進行波イオン移動度(traveling wave ion mobility)付きWaters Synapt G2-S四重極飛行時間型質量分析計(quadrupole time of flight mass spectrometer)(Q-TOF MS)(Waters Corp. 34 Maple Street Milford, MA 01757)を用いて実施することができる。存在量がより少ないオリゴマーの検出を可能にするシステム感度モードを用いてデータを取得することができる。試料を室温で注入することができる。
【0121】
試料調製
[0098] 1mgのBioLegendからの組換えヒトβ-アミロイドペプチド(1-42)(99%の純度,カタログ:843801)を200μLのFisher Optima LC/MSグレードの水(カタログ:W6-1)中に再構成し、2分間、激しくボルテックス撹拌してペプチドを溶解して、5mg/mLの溶液を調製することができる。次いで試料をインキュベート前に22pmol/μLの最終濃度に希釈することができる。試料混合物を次いで室温でそれぞれ0、4および24時間インキュベートすることができる。インキュベートした試料の入手が完了した時点で、ペプチドについてドリフト時間を可視化するためのDriftScover v2.7を備えたWaters MassLynx v2.4スイートを用いて生データを分析することができる。
【0122】
Aβ42種の特性分析
[0099] IMS MSを用いるAβ42種の特性分析は、ペプチドをH2O中22pmol/μLで直接注入することにより実施できる。ペプチドをH2O中に調製して、イオン移動度データ取得のためにペプチドの自然状態コンホメーションを維持することができる。イオン移動度データ取得を実施して、自然状態モノマーおよびインキュベーションに際して形成された可能性のあるいずれかのオリゴマーのコンホメーション変化を検出および解明することができる。
【0123】
結合アッセイ
[00100] 本明細書に記載する方法に用いた化合物の活性は、β-アミロイドへのそれらの化合物の結合を測定することによりアッセイできる。データ取得は、進行波イオン移動度付きWaters Synapt G2-S四重極飛行時間型質量分析計(Q-TOF MS)(Waters Corp. 34 Maple Street Milford, MA 01757)を用いて実施することができる。存在量がより少ないオリゴマーの検出を可能にするシステム感度モードを用いてデータを取得することができる。そのペプチドは体温(37℃)では溶解度がより低いため、試料を室温で注入することができる。
【0124】
[00101] 1mgの化合物を1mLのFisher Optima LC/MSグレードの水(カタログ:W6-1)中に再構成し、完全に溶解するまで2分間、激しくボルテックス撹拌することができる。試料を次いで希釈して220pmol/μL、2200pmol/μL、および22,000pmol/μLの溶液を調製し、Aβ42と10倍、100倍、および1000倍過剰モルの被験化合物との結合実験を実施することができる。
【0125】
[00102] 1mgのBioLegendからの組換えヒトβ-アミロイドペプチド(1-42)を200μLのFisher Optima LC/MSグレードの水中に再構成し、激しくボルテックス撹拌してペプチドを溶解させ、5mg/mL溶液を調製することができる。次いで試料を44pmol/μLの最終濃度に希釈した後、被験化合物溶液と混合する(1:1)ことができる。最終濃度は、ヒトβ-アミロイドペプチド(1-42)については22pmol/μL、被験化合物については1100pmol/μLであった。
【0126】
[00103] Waters飛行時間型質量分析計(Q-TOF Micro)を用いてデータ取得を行なった。ペプチドを検出できるように走査モードを用いてデータを取得した。試料を室温で注入した。データの一貫性を保証するために、試験全体を通して質量分析計の条件を維持した。Waters Q-TOF条件は下記のとおりであった。
【0127】
【0128】
[00104] インビルド(in-build)シリンジポンプおよびHamilton 1mLシリンジを用いて20μL/分の流速で試料を質量分析計に直接注入し、取得時間を2分間維持した。化合物117~172の結果を下記の表2に示す。
【0129】
【0130】
βAPPを過剰発現している成体トランスジェニックCRND8マウスにおける短期処理
[00105] ヒトアミロイド前駆体タンパク質(human amyloid precursor protein)(hAPP)を発現しているトランスジェニックマウスTgCRND8は、アルツハイマー病に類似する病態を発症する。特に、8~9週齢のこれらの動物の血漿および脳における高レベルのAβ40およびAβ42、続いてAD患者にみられる老人斑に類似するアミロイド斑の早期蓄積が記載されている。これらの動物は、変性性変化の出現と並行して進行性認知欠損をも呈する。参照:たとえば(Chishti, et al., J. Biol. Chem. 276, 21562-70 (2001)。
【0131】
[00106] 本明細書に記載する化合物の短期療法効果は、14または28日間にわたって投与し、次いでその終了時にTgCRND8動物の血漿および脳におけるAβペプチドのレベルを測定することにより調べることができる。
【0132】
[00107] 第3および第4のB6C3F1世代からの雄雌トランスジェニックマウスを用い、一連の化合物の1つを14または28日間、1日1回、皮下または経口投与することができる。本プロトコルでは、下記の略号を用いて第3および第4世代戻し交配からのこれらの動物を表示することができる:TgCRND8-2.B6C3F1(N3);TgCRND8-2.B6C3F1(N4)。
【0133】
[00108] ベースライン動物(対照グループ)は、11±1週齢のナイーブTgCRND8-2.B6C3F1(N3)から構成できる。これらのマウスを用いて、処理開始時のナイーブトランスジェニック動物の血漿および脳におけるAβレベルを測定することができる。
【0134】
[00109] 11週齢(±1週)から開始して、動物にそれらの各処理の1日1回投与を14または28日間施す;10ml/kgの化合物を250mg/kgの用量で、またはビヒクルのみ(対照グループ2)、または1%メチルセルロースのみ(対照グループ3)。投与経路は、水溶性化合物については皮下、メチルセルロース1%(MC 1%)に溶解した化合物については経口であってよい。処理期間の終了時に、Aβレベルの定量のために血漿および脳潅流液を採集する。
【0135】
[00110] すべての動物を、1日1回の処理のために朝に操作した際に不健康状態の徴候について1日1回、死亡率検査のために1日2回(週末および休日には1日1回)、検査する。その際、処理開始時、試験期間中に週1回、および最終処理の前に1回、詳細な検査を実施する。適切であると思われた場合にはより頻繁な観察を行なうことができる。死亡およびすべての個々の臨床徴候を個別に記録する。ランダム化時点、試験期間中に週1回、および最終処理の前に1回、個々の体重を記録する。
【0136】
[00111] ベースライングループについては11±1週齢時に、対照グループ2および3を含む他の動物については処理期間(14または28日間)終了の24時間後に、動物をと殺し、試料を採集する。おおよそ500μl量の血液を眼窩洞から採集し、4℃において最小速度3,000rpmで10分間遠心するまで、氷上に保持する。血漿試料を直ちに凍結し、分析まで-80℃に保存する。次いで脳を摘出し、凍結し、分析するまで-80℃に保存する。
【0137】
[00112] 脳を秤量し、凍結し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む4体積の氷冷した50mM Tris-Cl,pH8.0緩衝液(1gの湿潤脳について4mLの緩衝液)と共にホモジナイズする。試料を15000gで20分間遠心し、上清を新たなチューブへ移す。それぞれの上清から150μlを次いで250μlの8Mグアニジン-HCL/50mM Tris-HCL,pH8.0(0.6体積の上清:1体積の8Mグアニジウム/Tris-HCL,50mM,pH8.0の比率)と混合し、400μLの5Mグアニジウム/Tris-HCl,50mM,pH8.0を添加する。チューブを30秒間、ボルテックス撹拌し、-80oCで凍結する。並行して、ペレットを7体積の5Mグアニジン-HCL/50mM Tris-HCL,pH8.0(1gの湿潤脳について7mLのグアニジン)で処理し、30秒間、ボルテックス撹拌し、-80oCで凍結する。試料を室温で融解し、80oCで15分間、音波処理し、再び凍結する。均質性を確実にするためにこのサイクルを次いで3回繰り返すことができ、試料を分析前に-80oCに戻した。
【0138】
[00113] 血漿および脳の試料において、BiosourceからのヒトAβ40およびAβ42蛍光測定ELISAキット(カタログNo.89-344および89-348)を用いるELISAにより製造業者の推奨操作に従ってAβレベルを評価する。試料を室温で融解し、80℃で5分間、音波処理する(脳ホモジェネートについて音波処理;血漿試料については音波処理しない)、氷上に保持する。100μlの希釈試料を用いてAβペプチドをプレートに捕獲し、振とうせずに4℃で一夜インキュベートする。試料を吸引し、Biosource ELISAキットから得た洗浄用緩衝液でウェルを4回すすぐ。抗Aβ40または抗Aβ42ウサギポリクローナル抗血清(Aβ40またはAβ42ペプチドに対して特異的)を添加し(100μl)、プレートを室温で2時間、振とうしながらインキュベートする。ウェルを吸引し、4回洗浄した後、100μLのアルカリホスファターゼ標識した抗ウサギ抗体を添加し、室温で2時間、振とうしながらインキュベートする。プレートを次いで5回すすぎ、蛍光基質(100μL)をプレートに添加する。プレートを室温で35分間インキュベートし、次いで力価プレートリーダーを用いて励起波長460nmおよび発光560nmでプレートを読取ることができる。
【0139】
[00114] 化合物をそれらが血漿におけるAβペプチドのレベルおよび脳における脳可溶分/不溶分レベルを調節する能力について採点することができる。ビヒクル処理(水)またはメチルセルロース処理した対照グループからの数値を用いて、処理動物の血漿および脳において観察されたAβのレベルを正規化し、薬理効果の強さに従ってランク付けすることができる。
【0140】
[00115] 本発明の多数の態様を記載したが、本発明者らの基礎的な例を変更して本発明の化合物および方法を利用した他の態様を得ることができるのは明らかである。したがって、例示として提示された具体的態様によってではなく特許請求の範囲によって本発明の範囲が規定されるべきであることは明らかであろう。
【0141】
[00116] 本出願全体において引用するすべての参考文献(参考文献、付与された特許、公開された特許出願、および審査中の特許出願を含む)の内容を全体として特別に本明細書に援用する。別に規定しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は当業者に一般的に知られている意味と一致する。