(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】NK-1アンタゴニスト組成物およびうつ病の処置における使用法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/428 20060101AFI20221014BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20221014BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20221014BHJP
A61K 31/438 20060101ALI20221014BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61K31/428 ZMD
A61P25/24
A61P43/00 121
A61K31/5377
A61K31/438
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2019572041
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 US2018039883
(87)【国際公開番号】W WO2019006050
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-04-22
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519348587
【氏名又は名称】チェイス セラピューティクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】チェイス,トーマス,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】クラレンス-スミス,キャスリーン,イー.
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-505235(JP,A)
【文献】特表2001-502311(JP,A)
【文献】特表2001-504847(JP,A)
【文献】特表平08-504201(JP,A)
【文献】特表2002-520273(JP,A)
【文献】米国特許第06667329(US,B1)
【文献】特表2005-513068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効1日用量のNK1アンタゴニストを含む医薬組成物であって、有効1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて投与され、患者において大うつ病性障害を含むうつ病性障害を処置するための、前記医薬組成物。
【請求項2】
有効1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物であって、有効1日用量のNK1アンタゴニストと組合せて投与され、患者において大うつ病性障害を含むうつ病性障害を処置するための、前記医薬組成物。
【請求項3】
有効1日用量のNK1アンタゴニストを有効1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて含む、患者において大うつ病性障害を含むうつ病性障害を処置するための、医薬組成物。
【請求項4】
前記組合せにおける前記NK1アンタゴニストの有効1日用量が1μg~600mgである、請求項1
~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
前記組合せにおけるプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の前記有効1日用量が、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mgに相当する、請求項1
~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
前記組合せにおける前記NK1アンタゴニストが、アプレピタントまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
前記組合せにおける前記NK1アンタゴニストが、ロラピタントまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
前記組合せにおける前記NK1アンタゴニストがアプレピタントであり、前記組合せにおける前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物がプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
前記組合せにおける前記NK1アンタゴニストが、10mg~250mgの有効1日用量のアプレピタントであり、前記組合せにおける前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、4.5mgより多く45mgまで、5mg~45mg、6mgより多く45mgまで、6.5mg~45mg、10mgより多く45mgまで、または15mg~45mgからなる群から選択される範囲内の有効1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
前記組合せにおける前記NK1アンタゴニストおよび前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のそれぞれが、それぞれ医薬担体またはビヒクルと混合された前記NK1アンタゴニストおよび前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物をそれぞれ含む、投与単位形態の医薬組成物に製剤化されている、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項11】
前記組合せにおける前記NK1アンタゴニストおよび前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のそれぞれが、それぞれ医薬担体またはビヒクルと混合された、
単位形態当たり1μg~600mgの量の前記NK1アンタゴニストと、
単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量の前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と
をそれぞれ含む投与単位形態の医薬組成物に製剤化されている、請求項1
または2に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
前記NK1アンタゴニストおよびプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩が、医薬担体またはビヒクルと混合された、単位形態当たり1μg~600mgの量の前記NK1アンタゴニストと、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量の前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物とを含む投与単位形態の医薬組成物として共製剤化されている、請求項
3に記載の
医薬組成物。
【請求項13】
有効1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩と組合せて、大うつ病性障害を含むうつ病性障害の処置を必要とする患者において前記処置を行うための医薬を製造するための、NK1アンタゴニストの使用。
【請求項14】
前記組合せにおける前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、4.5mgより多く45mgまでの有効1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組合せにおける前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、4.5mgより多く21mgまでの有効1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組合せにおける前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、6mgより多く21mgまでの有効1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記組合せにおける前記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、6.5mgから22.5mgまでの有効1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記患者が小児患者である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,215号の優先権を主張するものであり、上記開示の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
技術分野
本発明は、うつ病の処置の分野に関連する。
【0003】
発明の目的
本発明は、(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物と、ニューロキニン受容体サブタイプ-1のアンタゴニスト(「NK1アンタゴニスト」)とを含む、固定用量配合剤(fixed-dose combinations)を含めた組合せ医薬(pharmaceutical combinations)、および大うつ病性障害の処置のためのそれらの使用を含む。
【0004】
本発明はまた、パーキンソン病の運動症状の緩和のために推奨されるプラミペキソールの最大1日用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍のプラミペキソールの1日用量と組合せて、ニューロキニン受容体サブタイプ-1のアンタゴニスト(以下、「NK1アンタゴニスト」と称する)を投与することによって、うつ病性障害を処置する方法も含む。本発明はまた、パーキンソン病の運動症状の緩和のために推奨されるプラミペキソールの最大1日用量より最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍多いプラミペキソールの1日用量と組合せた、うつ病性障害の処置のためのNK1アンタゴニストの使用も含む。本発明はまた、活性成分としての高用量の(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物をNK1アンタゴニストと組合せて含む医薬組成物も含む。
【0005】
定義
「CGI」:臨床全般印象
「CNS」:中枢神経系
「IR」:組成物からの活性成分の即時放出
「ER」:組成物からの活性成分の持続放出
「GI」:胃腸の
「AE」:有害作用
「DSM-5」:精神障害の診断・統計マニュアル、第5版
「HAMD」:ハミルトンうつ病評価尺度
「MADRS」:モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度
「MDD」:大うつ病性障害
「MAOI」:モノアミン酸化酵素阻害剤
「NIMH」:国立精神衛生研究所
「PD」:パーキンソン病
「持続性うつ病性障害」:気分変調症とも称される。
「PMDD」:月経前不快気分障害
【0006】
- 「NK1アンタゴニスト」:ニューロキニン受容体サブタイプ-1のアンタゴニストであり、文献中、NK1受容体アンタゴニストまたはNK1受容体阻害剤とも称される。
【0007】
- 「NK1アンタゴニストの有効1日用量」:本明細書で使用するとき、上記NK1アンタゴニストの1日用量の1μg~600mgを指す。
【0008】
- 「プラミペキソール」:有効成分としての(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンであり、これには、特に明記しない限り、遊離塩基ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物が含まれる。
【0009】
- 「プラミペキソールの有効1日用量」または「プラミペキソールの治療有効用量」:PDの処置について承認されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物の1日用量に少なくとも相当するプラミペキソールの1日用量であり、この有効1日用量には、用量設定期間中に使用される低1日用量が含まれる。
【0010】
- プラミペキソールに関する「有効用量/単位形態」または「単位形態当たりの有効用量」:PDの処置について承認されている単位形態当たりのプラミペキソール二塩酸塩一水和物の量に少なくとも相当する単位形態当たりのプラミペキソールの量であり、この量には、用量設定期間中に使用される単位形態当たりの低量が含まれる。
【0011】
- NK1アンタゴニストまたはプラミペキソールに関する「その塩または溶媒和物」または「その塩および溶媒和物」:この表現は、上記プラミペキソールまたは上記NK1アンタゴニストの任意の塩が、溶媒(通常は水)に溶媒和していてもよいことを示す。
【0012】
- 「SSRI」:選択的セロトニン再取り込み阻害剤
- 「NDRI」:ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤
- 「TCA」:三環系抗うつ薬
- 「TTS」:経皮吸収治療システム
【0013】
- 「うつ病性障害」:大うつ病性障害(MDD)、持続性うつ病性障害(気分変調症)、双極性うつ病、季節性感情障害(SAD)、精神病性うつ病、月経前不快気分障害(PDD)、周産期(産後)うつ病、適応障害、および非定型うつ病を含むが、これらに限定されない。これらのうつ病性障害の共通点は、悲しい気分、空虚な気分、またはイライラする気分が存在し、個人が機能する能力に著しく影響するような身体的および認知的変化を伴うことである。これらの障害間の違いは、持続期間、タイミング、または推定される病因による。Depressive Disorders,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Edition(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)、dsm.psychiatryonline.org/doi/10.1176/appi.books.9780890425596.dsm04を参照。
【0014】
- 「最大耐用量」、「最大耐量」、または「MTD」とは、許容できない副作用を引き起こさないような薬物または処置の最高用量を指し、またそのように定義される。例えば、最大耐用量は、臨床治験において、さまざまな人々の群で、副作用が許容可能な最高用量が見つかるまで漸増用量をテストすることによって決定される。プラミペキソールの用量は、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐用量より多くてもよい。具体的には、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より1.1~10倍多く、これには、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より1.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より2.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より3~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より4~10倍多い用量、および単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より6~10倍多い用量が含まれる。
【背景技術】
【0015】
大うつ病性障害(MDD)は、うつ病または臨床的うつ病とも称される、一般的ではあるが著しい負担を伴う深刻な気分障害であり、米国での生涯有病率は人口のおよそ16%である(de Souzaら、2015に概説されている)。うつ病は、米国で最も一般的な精神障害の1つである。最近の研究では、うつ病が、遺伝的要因、生物学的要因、環境的要因、および心理学的要因が組み合わさって引き起こされることが示されている。
【0016】
MDDの推定費用は、労働日数の喪失を含めた多くの心理学的要因により、年間約830億米ドルとなっている(de Souzaら、2015に概説されている)。推定では、うつ病の人は、平均して、1年につき27.2日の労働日数を喪失している(de Souzaら、2015に概説されている)。この負担のかなりの部分は、処置の不成功と一致している。うつ症状の寛解は、最初に抗うつ薬を試した後、MDD患者のわずか3分の1でしか達成されず(de Souzaら、2015に概説されている)、処置の不成功は、MDDの観察される苦痛および社会的費用に大きく関与している。
【0017】
うつ病の徴候および症状には、典型的には、持続的な悲しい気分、不安な気分、または「空虚」な気分;絶望感または悲観主義;いらいら;罪悪感、無価値観、または無力感;趣味や活動における興味または喜びの喪失;活力の減退または疲労;動きや話し方が遅くなる;焦燥感またはじっと座っていられない;集中、記憶、または決断することが困難;睡眠困難、早期覚醒、または過眠;食欲および/または体重の変化;死もしくは自殺について考える、または自殺企図;明らかな身体的原因が存在しない、および/または処置を受けても軽減しない、うずきもしくは疼痛、頭痛、痙攣、または消化障害が含まれる(NIMH、Health and Education,Mental Health Information、NIMHウェブサイトに掲載)。うつ病の人が全員、全ての症状を経験するわけではない。わずかな症状しか経験しない人もいれば、多くの症状を経験する人もいる。うつ病を診断するためには、少なくとも2週間にわたり、ほとんど毎日、ほぼ1日中、徴候および症状が存在しなければならない(DSM-5)。
【0018】
うつ病は、年齢に関わらず発生し得るが(NIMH、Health and Education,Mental Health Information、NIMHウェブサイトに掲載)、成人期に開始することが多い。うつ病は、現在では、小児や青年にも発症すると認識されているが、その場合、抑うつ気分よりもいらいらがより顕著に示されることがある。うつ病は、特に中年期以降の成人では、他の深刻な医学的疾患、例えば、糖尿病、がん、心疾患、およびパーキンソン病と同時に発症する場合がある。リスク因子には、うつ病の既往歴または家族歴;重大な生活変化、外傷、またはストレス;ある種の身体的疾患および薬物療法が含まれる。
【0019】
下記のような一部の形態のうつ病は、若干異なっているか、または特有の状況で発症する(NIMH、Health and Education,Mental Health Information、NIMHウェブサイトに掲載)、例えば:
持続性うつ病性障害(気分変調症とも称される)は、早発性または遅発性があり、また非定型の特徴を有する場合と有さない場合がある、少なくとも2年間継続する抑うつ気分である。持続性うつ病性障害と診断される者は、比較的軽度の症状の期間とともに、大うつ病のエピソードがある場合があるが、持続性うつ病性障害とみなすには、症状が2年間継続しなければならない。
周産期うつ病は、「ベビーブルー」(比較的軽度なうつおよび不安症状であり、典型的には、出産後2週間以内に解消する)よりもずっと深刻であり、出産後に多くの女性が経験する。周産期うつ病の女性は、妊娠中または出産後(産後うつ病)に本格的な大うつ病を経験する。周産期うつ病に伴う極度の悲しみ感、不安感、および疲労感により、新しく母親になった女性は、自分自身および/またはその赤ん坊の日常的管理行動を遂行するのが難しくなる。
精神病性うつ病は、深刻なうつ病に加え、何らかの形態の精神病を有する場合、例えば、誤った確固たる信念を有する場合(妄想)、または他の人が聞いたり見たりすることができない、動揺させるような物事を聞いたり見たりする場合(幻覚)に生じる。精神病の症状は、典型的には、罪、貧困、または病気の妄想など、抑うつ的な「テーマ」を伴う。
季節性感情障害は、自然光が少ない冬季にうつ病が発症することを特徴とする。このうつ病は、一般に、春および夏には解消する。冬季うつ病は、典型的には、引きこもり、睡眠の増加、および体重増加を伴い、毎年予想できる形で、季節性感情障害として再発する。
気分調節症(小児および青年において診断される、DSM-5)。
月経前不快気分障害(PMDD、DSM-5)。
双極性障害は、うつ病とは異なるが、双極性障害の患者は、大うつ病の基準を満たすような極端な抑うつ気分(「双極性うつ病」と称される)のエピソードを経験するため、本リストに加える。双極性障害は、推定生涯有病率が2.0%を超える、持続性、エピソード性、かつ衰弱性の状態であり、I型(躁病を伴う)およびII型(軽躁病を伴う)が含まれる(Poonら、2015に概説されている)。双極性障害は、躁病、軽躁病、混合躁鬱状態、または精神病の反復するエピソードに加え、顕著な大うつ病および気分変調症、さらには、一般的に見られる不安症状にも関連し、これらすべては、利用可能な薬理的および心理社会的処置を使用したとしても、深刻となり得る機能障害、薬物乱用、高い自殺率、事故、および同時に発症している医学的疾患による死亡率の増加の高いリスクにつながる(Poonら、2015)。この障害のうつ病要素は、これまで処置に成功することが特に困難であり、これらの要素は、臨床的に重大な残存する病的状態を含め、数週間の処置を伴う経過観察の4分の3に相当する(Poonら、2015に概説されている)。
【0020】
「うつ病」という用語に包含されるその他の気分障害には、抑うつ気分を伴うアルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、およびその他の認知症における抑うつ気分、脳卒中後うつ病、統合失調感情障害、抑うつ気分を伴う適応障害、ならびに薬物およびアルコール誘発性抑うつ気分が含まれる。
【0021】
うつ病は、通常、はじめに、薬物療法および心理療法により処置される。それらの処置により症状が軽減しなかった場合、電気痙攣療法およびその他の脳刺激療法が有効な場合がある。薬物療法には、下記のものが含まれる(メイヨー・クリニック):
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、フルオキセチン(Prozac)、パロキセチン(Paxil、Pexeva)、セルトラリン(Zoloft)、シタロプラム(Celexa)、およびエスシタロプラム(Lexapro)。
セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、例えば、デュロキセチン(Cymbalta)、ベンラファクシン(Effexor XR)、デスベンラファキシン(Pristiq、Khedezla)、およびレボミルナシプラン(Fetzima)。
ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)。ブプロピオン(Wellbutrin、Aplenzin、Forfivo XL)は、このカテゴリーに分類される。
非定型抗うつ薬、例えば、トラゾドンおよびミルタザピン(Remeron)、ボルチオキセチン(Brintellix)、およびビラゾドン(Viibryd)。
三環系抗うつ薬(TCA)、例えば、イミプラミン(Tofranil)、ノルトリプチリン(Pamelor)、アミトリプチリン、ドキセピン、トリミプラミン(Surmontil)、デシプラミン(Norpramin)、およびプロトリプチリン(Vivactil)は、極めて有効となり得るが、より新規の抗うつ薬よりも深刻な副作用を引き起こす傾向がある。したがって、三環系は、通常は、第二選択療法とみなされている。
モノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI)、例えば、トラニルシプロミン(Parnate)、フェネルジン(Nardil)、およびイソカルボキサジド(Marplan)は、典型的には、他の薬物療法が効かなかった場合に処方されることがある。しかしながら、MAOIは、特定の食品、ならびに経口避妊薬、鬱血除去薬、および特定のハーブサプリメントを含む一部の薬物療法と重大な相互作用を有し得ることから、通常は第一選択抗うつ療法ではない。より新規のMAOIであるセレギリンTTS(Emsam)による副作用は、他のMAOIよりも少ない可能性がある。
【0022】
上記すべての抗うつ薬療法の1つの欠点は、これらが、抗うつ効果を表し始めるまでに、典型的には2~4週間かかるということである。
【0023】
(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(プラミペキソール)は、合成アミノチアゾール誘導体であり、US4,886,812に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。これは、0.375mg/日~4.5mg/日の範囲の用量で、均等に分割した3用量(Mirapex(登録商標)、処方情報2018年5月)または1日1回1用量(Mirapex ER(登録商標)処方情報2016年7月)で投与される、パーキンソン病(PD)の症状の処置用に承認されたドーパミン自己受容体アゴニスト(SchneiderおよびMierau、1987)である。プラミペキソールは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg、0.25mg、0.5mg、1mg、および1.5mgを含有する即時放出用の錠剤として、ならびにプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg、0.75mg、1.5mg、3mg、および4.5mgを含有する持続放出用の錠剤として提供されている。これは、麦角由来薬(例えば、ブロモクリプチンおよびペルゴリド)とは構造的に異なる。プラミペキソールは、完全アゴニストであり、D2受容体サブファミリーのドーパミンD3受容体サブタイプに対する受容体選択性を有するという点で薬理学的にも独特な、ドーパミンD2受容体アゴニストである。これらの特性は、現在利用可能なドーパミンアゴニストと比較して、効能(より高い治療効果の可能性がある完全アゴニスト)および安全性(受容体選択性は、望ましくない副作用を軽減し得る)の双方について利点となりうる(Piercey、1998)。
【0024】
文献によると、効果量は小さいながら、プラミペキソールがPD患者におけるうつ症状の処置にも有効であることが判明したと報告されている。PD患者296名において、プラミペキソール(0.125~1.0mgを1日3回投与)を用いた12週間の二重盲検プラセボ対照試験が実施された。主要評価項目は、ベック抑うつ評価尺度(BDI)である。結果は、BDIスコアが、プラミペキソール群では補正後5.9(SE0.5)減少し、プラセボ群では4.0(SE0.5)減少したことを示した。効果量の大きさは小さかったが、2つの処置群間の差は有意であった(p=0.01;Baroneら、2010)。さらに、抗うつ薬処置にプラミペキソールを付加した(増強)、他の小規模試験(多くの場合非盲検)もまた、治療抵抗性うつ病を有する非PD患者(HoriおよびKunigi、2012;Paeら、2013;Fawcettら、2016)を含めた、大うつ病性障害を有する非PD患者において(MDD;Cusinら、2013;Goldbergら、2004)、または双極性障害に関連するうつ病を有する患者において(Sienaertら、2013に概説されている;Dell’OssoおよびKetter、2013;Tondoら、2014)、プラミペキソールを支持する控えめではあるが有意な効能を示している。しかしながら、Kleebattら(2017)は、その概説において、プラミペキソールについて抗うつ効能の明白な証拠が得られていないと評価し、これをエビデンスレベルが低く、被験者数が少なく、または結果が一致しないためだとした。これらすべての報告では、出版物のタイトルでは「高用量」のプラミペキソールとされている(Fawcettら、2016)場合でさえ、プラミペキソールの用量は、PDの運動症状の処置について承認されている範囲内にとどめられている。
これらの研究のほとんどにおいて効能が控えめであると見られることから、無作為化、前向き、二重盲検、プラセボ対照、固定用量試験において、より高用量のプラミペキソールがテストされた(Corriganら、2000)。大うつ病のDSM-III-R診断を有する適格患者(単一エピソードまたは反復性エピソードであり、メランコリアの有無にかかわらず、精神病性特徴を伴わない)合計174名は、5つの処置群のうちの1つ、すなわち、プラセボ群、フルオキセチン群(20mg/日)、または3つのプラミペキソール群(0.375mg/日、1mg/、5mg/日)のうちの1つに割り当てられた。患者に対し、1週間のプラセボ導入期間、8週間の処置、および1週間の試験後追跡評価(9週目)が実施された。効能は、主に、HAM-D(17項目版)総スコア、MADRS総スコア、およびCGI-病気の重症度(SI:Severity of Illness)スコアのベースラインからの変化によって測定された。結果は、プラミペキソール5.0mg群(42.4%)を除き、各処置群の患者の過半数(66~86%)が試験を完了したことを示した。プラミペキソール5.0mg群では、患者の57.6%が主に有害事象(AE)を理由に早期に処置を中止し、患者の76%は悪心を報告し、39%は嘔吐を報告している。終了時(8週目)、プラミペキソール1.0mg群およびフルオキセチン群は、HAMD(p=0.0076)およびMADRSにおいて、プラセボ群と比較して、ベースラインからの有意に良好な改善を示した。プラミペキソール5.0mg群の8週目の改善は最も良好であったが(-15.00)、この試験のプラセボに対するp値は、脱落率が高かったため得られなかった。
【0025】
まとめると、Corriganら(2000)が報告した結果は、より高用量のプラミペキソールがより有効となり得ることを示唆したが、承認されている用量を超える用量は、用量制限有害事象(AE)(悪心および嘔吐が顕著であるが、発汗、もうろう状態、および頭痛などの非G.I.有害作用も含む)の発生率が高いため、使用することができない。また、動物実験も、高用量のプラミペキソールがうつ病の処置により有効であるというこの示唆を支持している。例えば、高用量のプラミペキソールは、Willnerのアンヘドニア試験(Willnerら、1994)、一定間隔試験(Fixed Interval Test)、強制水泳試験、およびレム睡眠阻害試験(REM Sleep Inhibition Test)を含む、うつ病の症状をシミュレートした動物行動の多様な試験において、有効であることが証明されている。
【0026】
しかしながら、プラミペキソールのAEを理由として、プラミペキソールを用いて、うつ病を患っている患者の安全かつ有効な長期的な処置を提供するという課題は、依然として解決されていない。
【発明の概要】
【0027】
本発明は、MDDを含むうつ病性障害の処置のためのプラミペキソールの治療濃度域を増加させ、その十分な抗うつ効能を安全に利用できるようにすることに関する。具体的には、本発明は、上記プラミペキソールの治療濃度域を増加させるための、NK1アンタゴニストとプラミペキソールとの組合せに関する。
【0028】
NK1アンタゴニストは、高用量のプラミペキソールの副作用を軽減または排除することにより、プラミペキソールの潜在的抗うつ能力を十分に利用できるようにするということが見いだされた。
【0029】
したがって、パーキンソン病の症状(運動症状など)の緩和のために推奨される最大1日用量よりも多くの、さらにはそれよりはるかに多くのプラミペキソール用量を安全に投与することは、うつ病性障害を患っている患者の著しい改善をもたらす。
【0030】
あるいは、パーキンソン病の症状(運動症状など)の緩和のための最大耐用量よりも多くの、さらにはそれよりはるかに多くのプラミペキソール用量を安全に投与することは、うつ病性障害を患っている患者の著しい改善をもたらす。
【0031】
より具体的には、プラミペキソール二塩酸塩一水和物の場合、これを上記NK1アンタゴニストと組合せることにより、PDの症状の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大推奨用量(4.5mg/日)を著しく上回る治療有効用量の上記プラミペキソール二塩酸塩一水和物を投与できるようになり、それにより、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者の処置において、その効能が向上することが見いだされた。
【0032】
より具体的には、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とNK1アンタゴニストとの組合せは、前述のPDの症状の処置のために推奨されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍に相当し得る治療有効用量の投与を可能にすることが見いだされた。
【0033】
NK1アンタゴニストとプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物との組合せは、上記NK1アンタゴニストと組合せて高用量のプラミペキソールを使用できることにより、プラミペキソールの十分な抗うつ効能を利用できるようにすることで作用する。
【0034】
また、うつ病性障害を患っている患者において、4.5mg/日より多く45mg/日まで、15mg/日~45mg/日までの範囲の1日用量のプラミペキソール(プラミペキソール二塩酸塩一水和物として)が、通常は術後悪心・嘔吐または化学療法誘発悪心・嘔吐の予防に用いられるNK1アンタゴニストとの組合せで、著しい効能および速やかな作用の発現をもたらすことも見いだされた。
【0035】
より具体的には、うつ病性障害を患っている患者の処置において、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mg/日より多く21mg/日まで、さらにはさらには6mgより多く21mgまで、または15mg~21mgに相当する1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せたNK1アンタゴニストの使用も、著しい効能および速やかな作用の発現をもたらすことが見いだされた。
【0036】
また、NK1受容体阻害剤または単にNK1アンタゴニストとも称される上記NK1受容体アンタゴニストをプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて使用することによって、有害作用を最低限に抑えながら、有効なプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量を維持することにより、うつ病を患っている患者を処置することが可能であることも見いだされた。
【0037】
したがって、本発明は、
(a)NK1アンタゴニスト;および
(b)プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
を含む組合せ医薬を提供する。
【0038】
具体的には、本発明は、MDDを含むうつ病性障害の処置に使用するための、
(a)NK1アンタゴニスト;および
(b)PDの運動症状の緩和のために推奨されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大用量よりも多い1日用量(プラミペキソール二塩酸塩一水和物として)のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
を含む組合せ医薬を提供する。
【0039】
上記組合せにおける上記プラミペキソールの1日用量は、PDの運動症状の緩和のために推奨されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大用量よりも最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍多い。
【0040】
本発明は、MDDの処置においてプラミペキソールの抗うつ効能を十分に利用できるようにするための、NK1アンタゴニストの使用をさらに提供する。
【0041】
さらに、本発明は、うつ病性障害を患っている患者を処置する方法であって、NK1アンタゴニストをプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて用いて、上記患者を処置することを含む方法を提供する。
【0042】
さらに、本発明は、うつ病性障害を患っている患者を処置する方法であって、運動症状などのパーキンソン病の症状の緩和のために推奨される最大1日用量(4.5mg/日)の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍の1日用量(プラミペキソール二塩酸塩一水和物として)のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて、NK1アンタゴニストで上記患者を処置することを含む方法を提供する。
【0043】
NK1アンタゴニストの1日用量は、1μg~600mgであり、プラミペキソールの1日用量(プラミペキソール二塩酸塩一水和物として)は、病気の重症度ならびに患者の年齢および状態に応じて、また用量設定期間中に使用される低用量を含め、0.375mg~45mgの範囲、通常は0.375mg~21mgである。うつ病を処置するためには、上記1日用量は、好ましくは、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mg、通常は、4.5mgより多く21mgまで、特に、6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、または15mg~21mgである。
【0044】
一実施形態によれば、上記使用または上記方法において、単位形態当たり1μg~600mgまたは1mg~600mgの量の上記NK1アンタゴニスト、および0.125mg~45mg、4.5mgより多く21mgまで、または6mgより多く21mgまでに相当する量の上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物はそれぞれ、医薬担体またはビヒクルとそれぞれ混合された医薬組成物に製剤化され、上記組合せによる処置を必要とする患者、特に、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者に、別々に、逐次投与または同時投与される。
【0045】
別の実施形態によれば、上記NK1アンタゴニストと上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とは、混合されて、医薬担体と混合された医薬組成物(固定用量配合剤)に製剤化され、上記処置を必要とする患者に投与される。
【0046】
本実施形態によれば、1μg~600mgまたは1mg~600mgの量の上記NK1アンタゴニストと、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、好ましくは4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、15mg~45mg、4.5mgより多く21mgまで、または6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、15mg~21mgに相当する量の上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とは、混合されて、医薬担体またはビヒクルと混合された医薬組成物(固定用量配合剤)に製剤化され、上記処置を必要とする患者に投与される。
【0047】
本発明によれば、上記NK1アンタゴニストはまた、パーキンソン病の運動症状の緩和のために現在推奨されている最大用量(4.5mg/日)よりも患者によっては多い、またははるかに多い場合もあるプラミペキソールの1日用量の有害作用の予防または治療に使用するための、医薬担体またはビヒクルと混合された上記NK1アンタゴニストを単位形態当たり1μ~600mgまたは1mg~600mgの量で含む医薬組成物に製剤化することもできる。
【0048】
プラミペキソールは、NK1アンタゴニストと組合せて、MDDを含むうつ病性障害の処置のために使用する場合、IR形態またはER形態当たり、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、有利には、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する量(用量設定期間中に使用される低用量を含む)の上記プラミペキソールを含む、投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0049】
具体的には、NK1アンタゴニストと組合せた上記使用では、プラミペキソールは、IR形態当たり、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~22.5mg、有利には、1.5mg~22.5mg、3mgより多く22.5mgまで、5mg~22.5mg、6.5mg~22.5mg、または7.5mg~22.5mgに相当する量(用量設定期間中に使用される低用量を含む)の上記プラミペキソールを含む、投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0050】
NK1アンタゴニストと組合せた上記使用では、プラミペキソールは、ER形態当たり、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、5mg~45mg、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する量(用量設定期間中に使用される低用量を含む)の上記プラミペキソールを含む、投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0051】
一実施形態によれば、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物として、IR単位形態またはER単位形態当たり、0.125mg~21mg、有利には、1.6mg~21mg、1.8mg~21mg、2.4mg~21mg、3mg~21mg、より有利には、4.5mgより多く21mgまで、好ましくは、6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、または15mg~21mgの範囲である。
【0052】
好ましくは、本実施形態によれば、MDDを含むうつ病性障害の処置のための、徐放性組成物および経皮パッチなどの経皮吸収治療システムを含めたER製剤中のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の単位形態当たりの用量は、忍容性(上記NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mgより多く21mgまで、特に、4.8mg~21mgまたは6mgより多く21mgまでに相当する量である。
【0053】
上記の用量/単位形態での前述のプラミペキソールとの組合せでは、
- NK1アンタゴニストがアプレピタントである場合、用量/単位形態は、10mg~250mgの範囲となり、
- NK1アンタゴニストがロラピタントである場合、用量/単位形態は、30mg~270mgとなる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、パーキンソン病の運動症状の処置について承認されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍に相当する1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せた、有害事象抑制剤としてのNK1アンタゴニスト成分(a)に関する。固定用量配合剤を含む上記組合せは、MDDを含むうつ病性障害の処置に有用である。固定用量配合剤を含む上記組合せはまた、MDDを含むうつ病性障害の処置のための使用を目的とする。
【0055】
本発明はまた、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量の1.1~10倍に相当する1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せた、有害事象抑制剤としてのNK1アンタゴニスト成分(a)にも関する。そのような1日用量には、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも1.1~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも1.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも2.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも3~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より4~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より6~10倍多い用量が含まれる。
【0056】
具体的には、本発明は、その態様によれば、以下に関する:
- プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の有効な1日用量と組合せて、NK1アンタゴニストを患者に投与することにより、MDDを含むうつ病性障害を処置する方法;
- 成分(b)としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量と組合せて、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置に使用するための、NK1アンタゴニスト成分(a);
- 有効1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩と組合せて(固定用量配合剤を含む)、患者においてMDDを含むうつ病性障害の処置のための医薬を製造するための、NK1アンタゴニストの使用;
- MDDを含むうつ病性障害を処置するための医薬であって、活性成分としての上記NK1アンタゴニストと、別の活性成分としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩とを含む投与単位形態の医薬組成物からなる上記医薬を製造するための、NK1アンタゴニストの使用;
- MDDを含むうつ病性障害の処置におけるプラミペキソールの有害作用の抑制剤としてのNK1アンタゴニストの方法(または使用)。
【0057】
本発明はまた、薬学的に許容される担体またはビヒクルと混合された投与単位形態の医薬組成物中に、上記NK1アンタゴニスト成分(a)と、上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)とを含む、固定用量配合剤(a/b)にも関する。この固定用量配合剤は、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置に有用であり、上記処置のための使用を目的とする。
【0058】
NK1アンタゴニスト成分(a)
文献に開示されるいずれのNK1アンタゴニストも有用なプラミペキソールの有害作用抑制剤であり、PDの運動症状の緩和のために推奨されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大1日用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍に相当する用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せて、成分(a)として安全に使用することができる。
【0059】
文献に開示されるいずれのNK1アンタゴニストも有用なプラミペキソールの有害作用抑制剤であり、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量の1.1~10倍に相当する用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せて、成分(a)として安全に使用することができる。そのような用量には、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも1.1~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも1.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも2.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも3~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より4~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より6~10倍多い用量が含まれる。
【0060】
有利には、上記NK1アンタゴニスト成分(a)は、以下からなる群より選択される、
- 5-[[(2R,3S)-2-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]-3-(4-フルオロフェニル)-4-モルホリニル]メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オン(アプレピタント)。US5,719,147に記載され、経口液体製剤としてはUS2017/0035774に記載され、エマルジョン(Cinvanti(登録商標))18ml中にアプレピタント130mgを含有する静脈内使用のための単回用量バイアルの形態の注射用エマルジョンとしてはUS9,808,465に記載されており、それぞれの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- [3-{[(2R,3S)-2-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]-3-(4-フルオロフェニル)モルホリン-4-イル]メチル}-5-オキソ-2H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]ホスホン酸(ホスアプレピタント)。例えば、メグルミン塩としてUS5,691,336に、ジ(シクロヘキシルアミン)塩としてUS2016/355533に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- (2S,4S)-4-(4-アセチル-1-ピペラジニル)-N-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]-2-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-N-メチル-1-ピペリジンカルボキサミド(カソピタント)。US7,294,630に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- (2S)-1-[(3aS,4S,7aS)-4-ヒドロキシ-4-(2-メトキシフェニル)-7,7-ジフェニル-1,3,3a,5,6,7a-ヘキサヒドロイソインドール-2-イル]-2-(2-メトキシフェニル)プロパン-1-オン(INN:ダピタント);
- (2S,3S)-N-(5-tert-ブチル-2-メトキシベンジル)-2-(ジフェニルメチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-アミン(マロピタント)。US5,807,867、WO2005/082416、およびEP3173071に開示されており、それぞれの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- (2S,3S)-2-ジフェニルメチル-3-[(5-イソプロピル-2-メトキシベンジル)アミノ]キヌクリジン(エジオピタント(eziopitant))。Evangelista S(2001).「Eziopitant.Pfizer」;Current Opinion in Investigational Drugs:2(10):1441~1443頁に開示され、Drugs:the Investigational Drugs Journal 6(8):758~772頁に概説されている;
- (2S)-N-{2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}-2-[4-(シクロプロピルメチル)ピペラジン-1-イル]-N-メチル-2-フェニルアセトアミド(INN:フィゴピタント);
- N-[(2R)-1-[アセチル-[(2-メトキシフェニル)メチル]アミノ]-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-2-(4-ピペリジン-1-イルピペリジン-1-イル)アセトアミド(ラネピタント);
- 2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N,2-ジメチル-N-[4-(2-メチルフェニル)-6-(4-メチル-1-ピペラジニル)-3-ピリジニル]プロパンアミド(ネツピタント)。US6,297,375、US6,719,996、およびUS6,593,472に記載され、本明細書では以下「ネツピタント-300/パロノセトロン-0.5」と称する、ネツピタント300mgとパロノセトロン塩基0.5mgに相当する量のパロノセトロン塩酸塩とを含む経口組成物としては、US8,951,969に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- {4-[5-{2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N,2-ジメチルプロパンアミド}-4-(2-メチルフェニル)ピリジン-2-イル]-1-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル}メチルリン酸水素(INN:ホスネツピタント)。WO2013/082102に記載され、本明細書では以下「ネツピタント-235パロノセトロン-0.25」と称する、ホスネツピタント235mgとパロノセトロン塩基0.25mgに相当する量のパロノセトロン塩酸塩を含む注射用組成物(注射用Akynzeo(登録商標))として入手可能な純結晶形態としては、US2017/0096442に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- (2R,4S)-4-[(8aS)-6-オキソ-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒトロピロロ[1,2-a]ピラジン-2-イル]-N-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]-2-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-N-メチルピペリジン-1-カルボキサミドマレエート(オルブピタント)。US7,652,012およびUS8,309,553に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- (5S,8S)-8-({(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}メチル)-8-フェニル-1,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-2-オン(ロラピタント)。US7,049,320に記載され、その注射用形態についてはUS9,101,615に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- 3-((3aR,4R,5S,7aS)-5-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチルフェニル]エトキシ]-4-(4-フルオロフェニル)-1,3,3a,4,5,6,7,7a-オクタヒドロイソインドール-2-イルシクロペンタ-2-エン-1-オン(セルロピタント)。US7,544,815およびUS7,217,731に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- 2-(S)-(4-フルオロ-2-メチル-フェニル)-ピペラジン-1-カルボン酸[-1(R)-(3,5-ビス-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-メチル-アミド(ベスチピタント)、WO2001/25219に記載され、溶血を引き起こす傾向がより低い静脈内製剤としてはWO2012/175434に記載されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
- (2S,3S)-N-[(2-メトキシ-5-[5-(トリフルオロメチル)テトラゾール-1-イル]フェニルメチル]-2-フェニルピペリジン-3-アミン(GR2015171、ボホピタント)、US5,703,240に記載され(また、US8,093,268を参照されたい)、Gardner CJら.RegulPept.1996年8月27日;65(1):45~53頁にも開示されており、これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する;
及び、その上記NK1アンタゴニストそれぞれの薬学的に許容される塩。
【0061】
塩基性の有利なNK1アンタゴニストの薬学的に許容される塩の例示的な例としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、リン酸などとの酸付加塩、および有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの酸付加塩が挙げられる。
【0062】
ホスアプレピタントなどの酸性NK1アンタゴニストの薬学的に許容される塩の例示的な例としては、US5,691,336(その開示の内容全体を参照により本明細書に援用する)に記載のような、無機塩基との塩、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、および有機塩基との塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチル-D-グルカミン(メグルミン)塩、ならびにアミノ酸との塩が挙げられる。
【0063】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンと組合せて使用するのに有利なNK1アンタゴニストは、以下からなる群から選択される、
- アプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- カソピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- マロピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- エジオピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ラネピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- オルベピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- セルロピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ベスチピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ボホピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;
- ネツピタント-300/パロノセトロン-0.5。
【0064】
アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミン、ホスアプレピタントジ(シクロヘキシルアミン)、ロラピタント、ロラピタント塩酸塩、およびネツピタント-300/パロノセトロン-0.5は、特に有利なNK1アンタゴニストである。
【0065】
術後悪心・嘔吐の予防もしくは処置用、または化学療法誘発悪心・嘔吐の予防用に承認されているNK1受容体アンタゴニストは、本発明により、特に有用である。具体的には、アプレピタントは、アプレピタントを40mg、80mg、もしくは125mg含有するカプセル剤(Emend(登録商標))として、またはホスアプレピタントを115mgもしくは150mg含有するバイアルの形態のホスアプレピタントジメグルミン(Emend(登録商標)注射剤)として市販されており、ロラピタントは、90mg錠剤(Varubi(登録商標))として入手でき、ネツピタントは、本明細書では以下「ネツピタント300mg/パロノセトロン0.5mg」と称する、ネツピタント300mgと5HT3-アンタゴニストのパロノセトロン(塩酸塩として)0.5mgとを含有するカプセル剤の形態の固定用量配合剤(Akynzeo(登録商標))として入手できる。これらの調製物はそれぞれ、本発明によるプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和成分(b)との組合せにおいて特に有利なNK1アンタゴニスト成分(a)である。
【0066】
前述の方法、使用、および固定用量配合剤を含む組合せでは、上記NK1アンタゴニストは、単位形態当たり1μg~600mg、通常は、1mg~600mgまたは1mg~300mgの量で含まれ、この1日用量で投与される。
【0067】
より具体的には、上記組合せにおいて、上記NK1アンタゴニストは、アプレピタント10mg~250mgに相当する1日用量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;アプレピタント10mg~250mgに相当する1日用量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ロラピタント15mg~270mgに相当する1日用量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ネツピタント300mg~600mgに相当する1日用量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。
【0068】
好ましくは、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置における上記使用では、上記NK1アンタゴニスト成分(a)は、1日経口用量10mg~250mgのアプレピタント;1日経口用量30mg~270mgのロラピタント、または1日1回経口投与されるネツピタント300mg/パロノセトロン0.5mgであり、それぞれ、パーキンソン病の運動障害の処置のために推奨される最大用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍に相当する1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩成分(b)と組合せられる。
【0069】
好ましくは、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置における上記使用では、上記NK1アンタゴニスト成分(a)は、1日経口用量10mg~250mgのアプレピタント;1日経口用量30mg~270mgのロラピタント、または1日1回経口投与されるネツピタント300mg/パロノセトロン0.5mgであり、それぞれ、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量の1.1~10倍に相当する1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩成分(b)と組合せられる。そのような1日用量には、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも1.1~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも1.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも2.5~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量よりも3~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より4~10倍多い用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソールの最大耐量より6~10倍多い用量が含まれる。
【0070】
上記NK1アンタゴニストのそれぞれは、プラミペキソールと組合せて、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者に投与するために、医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としての上記NK1アンタゴニストを含む投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0071】
具体的には、上記医薬組成物の上記NK1アンタゴニスト活性成分は、単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たりロラピタント15mg~270mg相当する量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たりネツピタント300mg~600mgに相当する量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。
【0072】
有利には、上記NK1アンタゴニストは、単位形態当たり10mg~250mgの量のアプレピタント;単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のホスアプレピタントメグルミン;または単位形態当たり15mg~270mgもしくは30mg~270mgの量のロラピタントである。
【0073】
上述のように、NK1アンタゴニストをプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて使用することによって、有害作用を最低限に抑えながら、有効なプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量を維持することにより、MDDを患っている患者を処置することが可能となる。
【0074】
したがって、上記NK1アンタゴニストと上記プラミペキソールの確実で安全な同時投与を確保するために、本発明は、医薬担体またはビヒクルと混合された、単位形態当たり有効用量の上記NK1アンタゴニストと単位形態当たり有効用量のプラミペキソールとを含有する投与単位形態の医薬組成物からなる固定用量配合剤を提供する。
【0075】
これらのNK1アンタゴニスト/プラミペキソール固定用量配合剤については、下記の「本発明の第4の態様」の項に記載する。
【0076】
プラミペキソール成分(b)
「定義」において示したように、「プラミペキソール」という用語は、一般に、遊離塩基としての(S)-6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(プラミペキソール)、またはプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含めた、その薬学的に許容される塩および溶媒和物を表し、単位形態当たりのそれらの用量およびそれらの1日用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物に相当するものとして示される。
【0077】
プラミペキソールの薬学的に許容される塩または溶媒和物もまた、本発明に含まれる。
【0078】
上記プラミペキソールの薬学的に許容される塩の例示的な例としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、または有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、炭酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの酸付加塩が挙げられる。溶媒和剤は、通常は、水である。
【0079】
プラミペキソールおよびその薬学的に許容される塩または溶媒和物のうち、市販されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物は好適であるが、プラミペキソール塩基は、一部の状況で、例えば経皮吸収治療システムにおいて、好ましく使用することができる。WO2012/0140604およびWO2008/122638(これらの開示の内容全体を参照により本明細書に援用する)に開示されている、プラミペキソール二塩酸塩一水和物を含む安定な医薬組成物、ならびにUS8,399,016(その開示の内容全体を参照により本明細書に援用する)に開示されている、プラミペキソール二塩酸塩一水和物を含む持続放出組成物は、MDDを含むうつ病性障害の処置のためのNK1アンタゴニストと組合せた使用に有用となり得る。
【0080】
「定義」に示したように、プラミペキソールの有効1日用量は、PDの処置について承認されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物の1日用量に少なくとも相当する用量である。上記の承認されている1日用量は、0.375mg~4.5mgである。しかしながら、本発明によれば、NK1アンタゴニストを上記プラミペキソールと組合せることによって、有害作用を伴わずに、パーキンソン病の処置について承認されている1日用量と同等の1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物を投与することが可能となり、かつ上記の承認されている用量よりも多くの、さらにはそれよりはるかに多くの1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物を投与することも可能になることを本明細書により明記する。例えば、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の用量は、パーキンソン病の症状(運動症状など)の処置ために推奨されている最大用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍に相当する1日用量であってもよい。
【0081】
プラミペキソールの有効1日用量はまた、PDの症状(運動症状など)の処置のために使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量に少なくとも相当する用量であってもよい。例えば、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の有効1日用量は、単独投与時にうつ病の処置に使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量に少なくとも相当する用量の1.1~10倍に相当する1日用量であってもよい。そのような有効1日用量には、限定するものではないが、単独投与時にうつ病の処置に使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量の1.1~10倍の用量に相当する用量、単独投与時にうつ病の処置に使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量より1.5~10倍多い用量、単独投与時にうつ病の処置に使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量の2.5~10倍の用量に相当する用量、単独投与時にうつ病の処置に使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量の3~10倍の用量に相当する用量、単独投与時にうつ病の処置に使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量の4~10倍の用量に相当する用量、および単独投与時にうつ病の処置に使用されるプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大耐量の6~10倍の用量に相当する用量が含まれる。
【0082】
プラミペキソールは、上記の「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載のようなNK1アンタゴニストと組合せた、MDDを含むうつ病性障害の処置のために、医薬担体またはビヒクルと混合された上記プラミペキソールをプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量で含む医薬組成物に製剤化される。上記組成物は、1日用量0.375mg~45mgで、1日用量1μg~600mg、通常は1mg~600mgのNK1アンタゴニストと組合せて、上記処置を必要とする患者に投与される。
【0083】
具体的には、上記のNK1アンタゴニストとの組合せにおいて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、5mg~45mg、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mg、通常は、0.375mg~21mg、4.5mgより多く21mgまで、6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、または15mg~21mgに相当する1日用量で、MDDを含むうつ病性障害を患っている小児患者を含む患者に投与することができる。
【0084】
6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンは、上記の「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載のようなNK1アンタゴニストと組合せて、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者に投与するために、医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としての上記6-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミンを含む投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0085】
本発明によれば、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量の上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、投与単位形態の医薬組成物の形態である。
【0086】
プラミペキソールは、NK1アンタゴニストと組合せて、MDDを含むうつ病性障害の処置に使用する場合、IR形態またはER形態当たり、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、有利には、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する量(用量設定期間中に使用される低用量を含む)の上記プラミペキソールを含む、投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0087】
具体的には、上記医薬組成物成分(b)は、活性成分としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を、IR製剤中、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~22.5mg、通常は、1.5mg~22.5mg、3mgより多く22.5mgまで、5mg~22.5mg、6.5mg~22.5mg、もしくは7.5mg~22.5mgに相当する量で、またはER製剤中、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、5mg~45mg、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、もしくは15mg~45mgに相当する量で含む。上記単位形態当たりの量には、用量設定期間中に上記単位形態を使用する際の低用量も含まれる。
【0088】
好適な実施形態では、本発明は、高用量のプラミペキソールを用いたMDDを含むうつ病性障害の処置を提供するために、医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物15mg~45mg、15mg~30mg、または15mg~21mgに相当する量で含む、投与単位形態の医薬組成物を提供する。
【0089】
上述のように、NK1アンタゴニストは、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて、有害作用を最低限に抑えながら、治療上有効なプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量を維持することにより、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者を処置するために使用することができる。
【0090】
上記NK1アンタゴニストと上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物との同時投与を提供するために、本発明はまた、医薬担体またはビヒクルと混合された、活性成分としてのNK1アンタゴニストと、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物とを含む、投与単位形態の医薬組成物を含む固定用量配合剤も提供する。
【0091】
NK1アンタゴニスト・プラミペキソール固定用量配合剤については、下記の「医薬組成物」の項に記載する。
【0092】
本発明の第1の態様
第1の態様によれば、本発明は、うつ病性障害を患っている患者において、上記患者にNK1アンタゴニストを同時投与することにより、プラミペキソールでMDDを含むうつ病性障害を安全に処置する方法を含む。
【0093】
より具体的には、本発明は、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者を処置する方法であって、上記処置を必要とする患者に、有効用量の上記NK1アンタゴニストを有効1日用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩と組合せて投与することを含む方法を提供する。
【0094】
好適な実施形態によれば、
上記NK1アンタゴニストは、アプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択され、それぞれの1日用量は、1日1回または2~4日に1回投与されるネツピタント-300/パロノセトロン-0.5を除き、「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載の1日用量であり、
上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、上記の「プラミペキソール成分(b)」の項に記載の1日用量で投与される。
【0095】
有利な実施形態によれば、本発明の方法において、NK1アンタゴニストは、アプレピタント、ホスアプレピタントメグルミン、またはロラピタントであり、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物であり、それぞれの1日用量は、それぞれの項に記載のとおりである。
【0096】
本発明の方法を実施する際、これらのNK1アンタゴニストの1日用量は、外科手術またはがん化学療法を受ける患者における悪心および嘔吐の処置または予防のための、現在の上記処置または予防のプロトコルによる1日用量と少なくとも同等である。上記1日用量は、1μg~600mg、通常は、1mg~600mgまたは1mg~300mgである。
【0097】
プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日用量は、用量設定期間中に使用する1日用量を含め、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mgに相当する。
【0098】
アプレピタントおよびその薬学的に許容される塩および溶媒和物、ならびにロラピタントおよびその薬学的に許容される塩および溶媒和物からなる群から選択されるNK1アンタゴニストは、特に有利なNK1アンタゴニストである。
【0099】
好ましくは、上記組合せにおいて、上記NK1アンタゴニストは、アプレピタントであり、上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物である。
【0100】
具体的には、上記組合せ中の上記NK1アンタゴニストは、有効1日用量10mg~250mgのアプレピタントであり、上記組合せ中の上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、4.5mgより多く45mgまで、5mg~45mg、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgからなる群から選択される範囲の有効1日用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物である。
【0101】
本発明の方法(または使用)を実施する際、上記NK1アンタゴニストおよび上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のそれぞれは、それぞれ医薬担体またはビヒクルと混合された、上記NK1アンタゴニストおよび上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物をそれぞれ含む、投与単位形態の医薬組成物に製剤化される。
【0102】
上記NK1アンタゴニストおよび上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物はまた、医薬担体またはビヒクルと混合された、単位形態当たり有効用量の上記NK1アンタゴニストと、単位形態当たり有効用量の上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および溶媒和物とを含む投与単位形態の医薬組成物として一緒に製剤化された、固定用量配合剤の形態であってもよい。この固定用量配合剤については、本明細書において下記の本発明の第4の態様に記載する。
【0103】
上記NK1アンタゴニストおよび上記プラミペキソールの単位形態当たりの用量については、それぞれ、上記の「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項および「プラミペキソール成分(b)」の項に記載されている。
【0104】
具体的には、上記NK1アンタゴニストは、上記組成物中に、単位形態当たり1μg~600mgまたは1mg~600mgの量で含まれる。
【0105】
上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、上記組成物中に、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgまたは0.125mg~21mgに相当する量で含まれる。
【0106】
具体的には、上記医薬組成物の上記NK1アンタゴニスト活性成分は、単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たりロラピタントに15mg~270mg相当する量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たり300mg~600mgに相当する量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。有利には、上記NK1アンタゴニストは、単位形態当たり10mg~250mgの量のアプレピタント;単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のホスアプレピタントメグルミン;または単位形態当たり15mg~270mgもしくは30mg~270mgの量のロラピタントである。
【0107】
上記プラミペキソールの単位形態当たりの用量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、5mg~45mg、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、および15mg~45mgからなる群から選択される範囲に相当する単位形態当たりの量からなる、または上記量を含む。
【0108】
一実施形態によれば、本発明の方法において、NK1アンタゴニストは、アプレピタントまたはロラピタントであり、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、PDの症状(運動症状など)の緩和について承認されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物の推奨最大用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍に相当する1日用量で投与される。
【0109】
別の実施形態によれば、本発明の方法において、NK1アンタゴニストは、アプレピタントまたはロラピタントであり、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1倍~10倍の用量に相当する1日用量で投与される。そのような1日用量には、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.5~10倍の用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の2.5~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の3~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与の場合のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の4~10倍の用量に相当する1日用量、および単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の6~10倍の用量に相当する1日用量が含まれる。
【0110】
本実施形態によれば、上記方法(または使用)において、前述の有効1日用量の上記NK1アンタゴニストは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mgより多く21mgまで、通常は、6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、または15mg~21mgに相当する1日用量で上記患者に投与されるプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて、上記患者に投与される。
【0111】
好ましくは、本実施形態によれば、本発明による成人患者においてMDDを含むうつ病性障害を処置する方法において、上記NK1アンタゴニストは、1日経口用量10mg~250mgのアプレピタント、または1日経口用量30mg~270mgのロラピタントであり、これは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mgより多く21mgまで、通常は、6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、または15mg~21mgに相当する有効1日経口用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せられる。
【0112】
本発明の第2の態様
第2の態様によれば、本発明は、MDDを含むうつ病性障害の処置を必要とする患者において、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて、上記処置に使用するためのNK1アンタゴニストを提供する。
【0113】
具体的には、本発明の本の第2の態様は、
患者においてMDDを含むうつ病性障害の処置に使用するための、
(b)パーキンソン病の症状(運動症状など)の緩和のために推奨されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大1日用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍の用量レベル(プラミペキソール二塩酸塩一水和物として)の、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、と組合せた
(a)NK1アンタゴニストを提供する。
【0114】
「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載のいずれのNK1アンタゴニストも、通常は本発明の本第2の態様による投与単位形態として、使用することができる。
【0115】
具体的には、本発明の本第2の態様は、MDDを含むうつ病性障害の処置を必要とする患者における上記処置のために、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mgに相当する1日用量の上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(用量設定期間中に使用される低用量を含む)と組合せて使用するための、単位形態当たり1μg~600mg、通常は、1mg~600mgまたは1mg~300mgの量のNK1アンタゴニストを提供する。
【0116】
本発明の本第2の態様による使用において、上記NK1アンタゴニストの1日用量は、外科手術またはがん化学療法を受ける患者における悪心および嘔吐の予防または処置のための、現在の上記処置または予防のプロトコルによる1日用量と少なくとも同等である。上記1日用量は、1μg~600mg、通常は、1mg~600mgまたは1mg~300mgの範囲内である。
【0117】
NK1アンタゴニストは、本発明によるMDDを含むうつ病性障害の処置に使用する場合、「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載される前述の有効1日用量で、「プラミペキソール成分(b)」の項に記載される前述の有効1日用量のプラミペキソールと組合せて、上記処置を必要とする患者に投与される。
【0118】
通常、本発明は、本第2の態様によって使用する場合、上記NK1アンタゴニスト成分(a)を、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置に使用するための、医薬担体またはビヒクルと混合された上記NK1アンタゴニストを活性成分として含む医薬組成物として、パーキンソン病の運動症状(運動症状など)の緩和のために推奨されているプラミペキソール二塩酸塩一水和物の最大1日用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍に相当する1日用量で上記患者に投与される、同様に医薬担体またはビヒクルと混合された医薬組成物としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せて提供する。
【0119】
本第2の態様による別の使用として、本発明は、上記NK1アンタゴニスト成分(a)を、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置に使用するための、医薬担体またはビヒクルと混合された上記NK1アンタゴニストを活性成分として含む医薬組成物として、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1倍~10倍の用量に相当する1日用量で上記患者に投与される、同様に医薬担体またはビヒクルと混合された医薬組成物としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せて提供する。そのような1日用量には、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.5~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の2.5~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の3~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与の場合のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の4~10倍の用量に相当する1日用量、および単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の6~10倍の用量に相当する1日用量が含まれる。
【0120】
上記投与単位形態の医薬組成物は、医薬担体またはビヒクルと混合された上記NK1アンタゴニスト成分(a)を1μg~600mgの量で含み、プラミペキソール二塩酸塩一水和物として、PDの症状(運動症状など)の緩和について承認されている1日用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍の用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せた、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置のための使用を目的とする。
【0121】
上記投与単位形態の医薬組成物は、医薬担体またはビヒクルと混合された上記NK1アンタゴニスト成分(a)を1μg~600mgの量で含み、プラミペキソール二塩酸塩一水和物として、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1倍~10倍の用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せた、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置のための使用を目的とする。そのような用量には、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.5~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の2.5~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の3~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与の場合のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の4~10倍の用量に相当する1日用量、および単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の6~10倍の用量に相当する1日用量が含まれる。
【0122】
一実施形態によれば、単位形態当たり1μg~600mgの量の上記NK1アンタゴニストは、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する量のプラミペキソールを含み、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する1日用量で患者に投与される、同様に投与単位形態の医薬組成物としての上記プラミペキソールと組合せた、上記患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置における使用を目的とする。
【0123】
具体的には、上記NK1アンタゴニストは、単位形態当たりアプレピタント10mg~250に相当する量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たりアプレピタント10mg~250に相当する量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たりロラピタントに15mg~270mg相当する量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;単位形態当たり300mg~600mgに相当する量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物;ならびにネツピタント-300/パロノセトロン-0.5からなる群から選択される。
【0124】
有利には、上記NK1アンタゴニストは、単位形態当たり10mg~250mgの量のアプレピタント;単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のホスアプレピタントメグルミン;または単位形態当たり15mg~270mgもしくは30mg~270mgの量のロラピタントである。
【0125】
プラミペキソールは、上記組合せにおいて、「プラミペキソール成分(b)」の項に記載の単位形態当たりの量で、IR形態またはER形態の医薬組成物に製剤化して、NK1アンタゴニストと組合せて、前述の1日用量で、IR製剤として1日2~3回またはER製剤として1日1回投与してもよい。
【0126】
本発明の第3の態様
本第3の態様によれば、本発明は、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せた、MDDを含むうつ病性障害の処置を必要とする患者における上記処置のための医薬を製造するための、NK1アンタゴニストの使用を提供する。
【0127】
本発明の本第3の態様は、PDの症状(運動症状など)の緩和について承認されている1日用量の最大10倍、最大4.7倍、または1.1倍~10倍の1日用量(プラミペキソール二塩酸塩一水和物として)のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せた、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置のための、医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としての上記NK1アンタゴニストを1μg~600mgの量で含む医薬組成物からなる医薬を製造するための、上記NK1アンタゴニスト成分(a)の使用を提供する。
【0128】
本発明の本第3の態様はまた、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1倍~10倍の1日用量(プラミペキソール二塩酸塩一水和物として)のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物成分(b)と組合せた、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置のための、医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としての上記NK1アンタゴニストを1μg~600mgの量で含む医薬組成物からなる医薬を製造するための、上記NK1アンタゴニスト成分(a)の使用も提供する。そのような1日用量には、限定するものではないが、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.1~10倍の用量に相当する1日用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の1.5~10倍の用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の2.5~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の3~10倍の用量に相当する1日用量、単独投与の場合のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の4~10倍の用量に相当する1日用量、および単独投与時のうつ病の処置のためのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量の最大耐量の6~10倍の用量に相当する1日用量が含まれる。
【0129】
この使用では、上記NK1アンタゴニストは、投与単位形態の医薬組成物からなる医薬、または上記投与単位形態の医薬組成物を含む医薬に製剤化され、同様に投与単位形態の医薬組成物としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と組合せて、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者に投与される。
【0130】
患者においてMMDを含むうつ病性障害の処置に使用するための医薬組成物の組合せからなる、または上記医薬組成物の組合せを含む上述の医薬は、通常は、IR製剤またはER製剤としての投与単位形態であり、上記組成物のぞれぞれは、
(a)医薬担体またはビヒクルと混合された、上記NK1アンタゴニスト、および/もしくは
(b)医薬担体またはビヒクルと混合された、上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または
(a/b)医薬担体またはビヒクルと混合された、上記NK1アンタゴニストと上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とを含む固定用量配合剤としての、上記NK1アンタゴニストおよび上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の双方
を含んでもよい。
【0131】
それぞれの医薬組成物が成分(a)および/もしくは成分(b)、または(a/b)の固定用量配合剤を含む医薬組成物の組合せからなる、または上記医薬組成物の組合せを含むこれらの医薬は、患者におけるMMDを含むうつ病性障害の処置に有用であり、上記処置のための使用を目的とする。
【0132】
したがって、本発明の本第3の態様は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mgに相当する1日用量で患者に投与されるように、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量で、プラミペキソールと組合せた、また医薬担体またはビヒクルと混合されたプラミペキソールを含む投与単位形態での医薬組成物での、MDDを含むうつ病性障害の処置を必要とする患者における上記処置のための(上記処置に使用するための)、医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としての上記NK1アンタゴニストを単位形態当たり1μg~600mgの量で含む投与単位形態の医薬組成物を製造するための、NK1アンタゴニストの使用を提供する。
【0133】
上述のように、上記のプラミペキソール用量範囲(1日当たり、および単位形態当たり)には、用量設定期間中に使用される低用量が含まれる。
【0134】
具体的には、上記組合せ医薬において、
(a)上記NK1アンタゴニストは、上記組成物中に単位形態当たり1μg~600mgの量で含まれて、1日用量1mg~600mgで投与され;および
(b)上記プラミペキソール成分(b)は、上記組成物中に単位形態当たり0.125mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する量で含まれて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、好ましくは、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する1日用量で投与される。
【0135】
本第3の態様の一実施形態によれば、本発明は、成分として、
成分(a)医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としてのNK1アンタゴニストを単位形態当たり1mg~600mgの量で含む、投与単位形態の医薬組成物としての上記NK1アンタゴニストと、
成分(b)医薬担体またはビヒクルと混合された活性成分としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~21mgに相当する量で含む、投与単位形態の医薬組成物としての上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と
を含む組合せ医薬からなる、または上記組合せ医薬を含む医薬を提供する。
【0136】
本発明の本第3の態様による組合せ医薬は、それぞれの患者において、上記MDDを含むうつ病性障害の症状のこれまで達成されなかった処置または緩和のために、当該技術分野で使用または認識されているよりも高い治療効果を有する安全かつ有効なプラミペキソールの1日用量を確認および採用する目的で、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者に投与してもよい。通常は、成分(a)および成分(b)は、MDDを含むうつ病性障害を患っている上記患者に、同時投与または逐次投与される。
【0137】
前述のNK1アンタゴニストはいずれも、本発明の本第3の態様による組合せの医薬組成物成分(a)の活性成分として使用することができる。好ましくは、上記NK1アンタゴニストは、単位形態当たり10mg~250mgの量のアプレピタント;単位形態当たり10mg~150mgの量のホスアプレピタントジメグルミン、単位形態当たり30mg~270mgの量のロラピタント、および単位形態当たり100mg~600mgの量のネツピタントからなる群から選択される。上記NK1アンタゴニストが、単位形態当たり100mg~600mgのネツピタントである場合、上記の医薬組成物成分(a)はまた、第2の活性成分として、パロノセトロンまたはその薬学的に許容される塩を単位形態当たりパロノセトロン塩基0.1mg~0.5mgに相当する量で含んでもよい。
【0138】
医薬組成物成分(b)中のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、特に、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する量である。
【0139】
具体的には、MDDを含むうつ病性障害の処置のためのIR単位形態当たりのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の用量は、安全性および忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~22.5mg、1.5~22.5mg、3mgより多く22.5mgまで、5mg~22.5mg、6.5mg~22.5mg、または10mg~22.5mgに相当する量の範囲内である。
【0140】
MDDを含むうつ病性障害の処置のための、徐放性組成物および経皮パッチなどの経皮吸収治療システムを含めたER製剤中のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の単位形態当たりの用量は、忍容性(上記NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~45mg、5mg~45mg、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgに相当する量の範囲内である。
【0141】
一実施形態によれば、医薬組成物成分(b)中のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~21mg、特に、0.125mg~1.6mg未満、1.6mg~21mg、4.5mgより多く21mgまで、または6mgより多く21mgまでに相当する量である。
【0142】
具体的には、本実施形態によれば、MDDを含むうつ病性障害の処置のためのIR単位形態当たりのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の用量は、安全性および忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.6mg~10.5mg、1.8mg~10.5mg、2.4mg~10.5mg、または3mg~10.5mgに相当する量の範囲内である。
【0143】
MDDを含むうつ病性障害の処置のための、徐放性組成物および経皮パッチなどの経皮吸収治療システムを含めたER製剤中のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の単位形態当たりの用量は、本実施形態によれば、忍容性(上記NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物4.5mgより多く21mgまで、特に、4.8mg~21mgまたは6mgより多く21mgまでに相当する量の範囲内である。
【0144】
単位形態当たり有効用量の上記NK1アンタゴニストと単位形態当たり有効用量の上記プラミペキソールを別々に(同時または逐次)投与する場合、これらはそれぞれ、容器に入った、医薬担体またはビヒクルと混合された上記NK1アンタゴニストと、もう1つの別の容器に入った、医薬担体またはビヒクルと混合された上記プラミペキソールとを含むキットにまとめられていてもよい。
【0145】
プラミペキソールと組合せてMDDを含むうつ病性障害の処置で使用する場合、NK1アンタゴニストは医薬組成物に製剤化されるが、このとき、上記NK1アンタゴニストは医薬担体またはビヒクルと混合される。
【0146】
上記NK1アンタゴニストおよび上記プラミペキソールは、MDDを含むうつ病性障害の処置のために同時投与する場合、医薬担体またはビヒクルと共に、医薬組成物(固定用量配合剤)に一緒に製剤化してもよい。
【0147】
本発明の第4の態様
本発明の第4の態様は、以下を提供する
- 医薬担体またはビヒクルと混合された、単位形態当たり有効用量の活性成分としてのNK1アンタゴニストと、単位形態当たり有効用量の別の活性成分としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩とを含む投与単位形態の医薬組成物からなる、または上記投与単位形態の医薬組成物を含む固定用量配合剤として、MDDを含むうつ病性障害の処置のための医薬を製造するための、上記NK1アンタゴニストの使用;
- 医薬担体またはビヒクルと混合された、単位形態当たり有効用量の活性成分としての上記NK1アンタゴニストを含む投与単位形態の医薬組成物と、医薬担体またはビヒクルと混合された、単位形態当たり有効用量の活性成分としてのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を含む投与単位形態の医薬組成物とを含む投与単位形態の医薬組成物からなる、またはこれらから本質的になる固定用量配合剤として、MDDを含むうつ病性障害の処置のための医薬を製造するための、NK1アンタゴニストの使用;
- MDDを含むうつ病性障害の処置に使用するための、固定用量配合剤としての上記医薬;および
- MDDを含むうつ病性障害の処置を必要とする患者における上記処置の方法であって、上記患者に、固定用量配合剤としての上記医薬を投与することを含む方法。
【0148】
この方法(または使用)のために、本発明は、
MDDを含むうつ病性障害の処置を必要とする患者における上記処置に使用するための、医薬担体またはビヒクルと混合された、
(a)単位形態当たり1μg~600mgの量のNK1アンタゴニスト;および
(b)プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩
を含む投与単位形態の医薬組成物からなる、または上記投与単位形態の医薬組成物を含む固定用量配合剤としての医薬を提供する。
【0149】
本発明の第4の態様の本実施形態によれば、「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載のいずれのNK1アンタゴニストも、上記項に記載される単位形態当たりの量で、上記医薬組成物のNK1アンタゴニストの成分(a)として、医薬担体またはビヒクルと混合された、上記「プラミペキソール成分(b)」の項に記載される単位形態当たりの量のプラミペキソール成分(b)との固定用量配合剤に使用することができる。
【0150】
この方法(または使用)のために、本発明は、
MDDを含むうつ病性障害の処置を必要とする患者における上記処置に使用するための、
(a)医薬担体またはビヒクルと混合されたNK1アンタゴニストを単位形態当たり1μg~600mgの量で含む投与単位形態の医薬組成物;および
(b)医薬担体またはビヒクルと混合されたプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩をプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mgに相当する量で含む投与単位形態の医薬組成物、
からなる、またはこれらを含む固定用量配合剤としての医薬を提供する。
【0151】
本実施形態によれば、「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載のいずれのNK1アンタゴニストも、上記項に記載される単位形態当たりの量で、医薬組成物(a)中に使用することができ、上記の「プラミペキソール成分(b)」の項に記載されるプラミペキソールは、上記項に記載される単位形態当たりの量で、医薬組成物(b)中に使用することができる。
【0152】
一実施形態によれば、上記NK1アンタゴニスト成分(a)または医薬組成物(a)中のNK-1アンタゴニストは、単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、単位形態当たりアプレピタント10mg~250mgに相当する量のホスアプレピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、単位形態当たりロラピタント15mg~270mgに相当する量のロラピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物、および単位形態当たり300mg~600mgに相当する量のネツピタントならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物からなる群から選択され、上記プラミペキソール成分(b)または医薬組成物(b)中のプラミペキソールの単位形態当たりの量は、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、および15mg~45mgからなる群から選択される範囲に相当する。
【0153】
本明細書に記載の医薬組成物において、NK1アンタゴニストは、通常は、IR単位形態であり、上記プラミペキソールは、IR単位形態であってもよく、または好ましくは、ER単位形態であってもよい。上記単位形態については、下記の「製剤」の項に記載する。
【0154】
一実施形態によれば、上記固定用量配合剤は、医薬担体またはビヒクルと混合された、
(a)単位形態当たり1μg~600mgの量の上記NK1アンタゴニスト;および、
(b)単位形態当たり0.125mg~21mgに相当する量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
を含む医薬組成物を含み、または上記医薬組成物からなり、患者におけるMDDを含むうつ病性障害の処置のための使用を目的とする。
【0155】
一実施形態によれば、上記固定用量配合剤は、
患者においてMDDを含むうつ病性障害の処置に使用するための、
(a)医薬担体またはビヒクルと混合された上記NK1アンタゴニストを単位形態当たり1μg~600mgの量で含む医薬組成物;および、
(b)医薬担体またはビヒクルと混合されたプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を単位形態当たり0.125mg~21mgに相当する量で含む医薬組成物
を含む、またはこれらからなる。
【0156】
本実施形態によれば、上記使用および方法では、固定用量配合剤において、1μg~600mg、通常は、1mg~600mgの量の上記NK1アンタゴニストと、単位形態当たりプラミペキソール二塩酸塩一水和物0.125mg~21mg、特に、0.125mg~1.6mg未満、1.6mg~21mg、4.5mgより多く21mgまで、または6mgより多く21mgまでに相当する量の上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とは、混合されて、医薬担体またはビヒクルと混合された医薬組成物に製剤化され、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者に投与される。
【0157】
製剤
NK1アンタゴニストは、上記NK1アンタゴニストが医薬担体またはビヒクルと混合された、医薬組成物に製剤化することができる。プラミペキソールもまた、上記プラミペキソールが医薬担体またはビヒクルと混合された、医薬組成物に製剤化することができる。
【0158】
固定用量配合剤を含む、本発明の上記の組合せにおいて、IR製剤またはER製剤中のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のプラミペキソール二塩酸塩一水和物としての単位形態当たりの用量は、0.125mg~45mgである。通常は、すなわち、上記組合せによる処置を受ける、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者のほとんどでは、上記用量は、0.125mg~21mg、特に、0.125mg~1.6mg未満、有利には、1.6mg~21mg、1.8mg~21mg、2.4mg~21mg、3mg~21mg、より有利には、4.5mgより多く21mgまで、好ましくは、6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、または15mg~21mgの範囲である。
【0159】
本明細書により、単位形態当たりのプラミペキソール二塩酸塩一水和物用量0.125mg~1.6mg未満、特に、0.125mg~1.5mgに相当するIR単位形態当たりの用量のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、成人患者または小児患者の処置の初期に用量設定時用量として使用できる可能性があること、またIR単位形態当たりの最大承認用量の1.5mgを少なくとも上回る(1.08倍~7倍多い)IR単位形態当たりの用量が、成人患者のうつ病を処置するために必要であることが特定される。したがって、1日用量4.5mg超/日~21mg/日、有利には、5mg/日~21mg/日、好ましくは、6mg超/日~21mg/日、または15mg~21mgのプラミペキソールをNK1アンタゴニストと組合せて投与できるようにするために、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者を処置するための新規IR製剤が必要とされる。
【0160】
具体的には、MDDを含むうつ病性障害の処置のための本明細書によりプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のIR単位形態当たりの用量は、安全性および忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物1.6mg~10.5mg、1.8~10.5mg、2.4mg~10.5mg、3mgより多く10.5mgまで、最大で7.5mg~10.5mgに相当する量の範囲内である。
【0161】
MDDを含むうつ病性障害の処置のためのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のER単位形態当たりの用量は、安全性および忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、ラミプペキソール二塩酸塩一水和物4.5mgより多く21mgまで、有利には、6mgより多く21mgまで、最大で15mg~21mgに相当する量の範囲内である。
【0162】
NK1アンタゴニストがアプレピタントである場合、用量/単位形態は、10mg~250mgの範囲である。
【0163】
NK1アンタゴニストがロラピタントである場合、上記の用量/単位形態のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩との組合せにおける用量/単位形態は、30mg~270mgの範囲である。
【0164】
単位形態当たりのプラミペキソールの用量21mgより多く45mgまで、またはそれ以上に忍容性を示す患者は、用量設定期をおおむね乗り越えたことになり、定期的に担当医師による経過観察を受ける。
【0165】
NK1アンタゴニストおよびプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、MDDを含むうつ病性障害の処置のために投与する場合、それぞれ、医薬担体またはビヒクルと混合された医薬組成物に製剤化してもよい。
【0166】
経口、皮下、静脈内、経皮、または局所投与のための本発明の医薬組成物では、活性成分は、好ましくは、上述のように、古典的な医薬担体またはビヒクルと混合された投与単位の形態で投与される。
【0167】
上記のように得られた医薬組成物は、MDDを含むうつ病性障害を患っている患者に、同時投与または逐次投与される。
【0168】
また、上記NK1アンタゴニストおよび上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和は、医薬担体またはビヒクルと混合された上記プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物および上記NK1アンタゴニストを含む医薬組成物からなる固定用量配合剤に一緒に製剤化してもよい。
【0169】
患者に投与される投薬量、すなわち、単回用量中の活性成分の量(単位形態当たりの量)は、患者の年齢、体重、および健康状態により大きく異なり得る。
【0170】
この投薬量には、上記NK1アンタゴニストの力価および患者の年齢により、NK1アンタゴニスト用量1μg~600mg、通常は、1mg~600mgまたは1mg~300mgの投与が含まれる。
【0171】
一般に、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のIR単位形態当たりの用量は、安全性および忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じ、また用量設定期間中に使用されるIR単位形態当たりの用量を含めて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物として、0.125mg~22.5mg、1.5mgより多く22.5mgまで、3mg~22.5mg、5mg~22.5mg、6.5mg~22.5mg、または7.5mg~22.5mgの量である。
【0172】
一般に、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のER単位形態当たりの用量は、安全性および忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物として、0.125mg~45mg、4.5mgより多く45mgまで、6mgより多く45mgまで、10mg~45mg、13mg~45mg、または15mg~45mgの範囲の量である。
【0173】
通常は、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物のIR単位形態の用量は、安全性および忍容性(NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物として、0.125mg~10.5mg、1.6mg~10.5mg、3mg~10.5mg、5mg~10.5mg、6.5mg~10.5mg、または7.5mg~10.5mgの範囲の量である。
【0174】
徐放性組成物および経皮パッチなどの経皮吸収治療システムを含めたER製剤中のプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の単位形態当たりの用量は、通常は、忍容性(上記NK1アンタゴニストとの組合せでの)に応じて、プラミペキソール二塩酸塩一水和物0.375mg~21mg、4.5mgより多く21mgまで、6mgより多く21mgまで、10mg~21mg、13mg~21mg、または15g~21mgに相当する範囲内である。
【0175】
上述のように、プラミペキソールの用量/単位形態には、特にプラミペキソールの1日用量の用量設定を行う場合、またはより頻度は低いが、小児うつ病患者の処置に使用する場合に利用することができる低用量が含まれる。
【0176】
本発明の医薬組成物は、上述のように、さまざまな投与方法に適した古典的な賦形剤と共に製剤化された単位形態である。上記単位形態は、例えば、IR形態のNK1アンタゴニストとER形態のプラミペキソール二塩酸塩一水和物とを同一の単位形態として製剤化することを可能にするような、従来の技術により製造される。特に有利なのは、錠剤、割線入り錠剤、多層錠剤、コーティング錠剤、口腔内崩壊錠剤、持続放出性錠剤、硬または軟カプセル剤、マルチコンパートメントカプセル剤、持続放出性カプセル剤、経皮投与用パッチ、既定の単位形態の液状経口溶液剤、シロップ剤、または懸濁剤、および静脈内または皮下投与用のバイアルの形態の製剤である。
【0177】
医薬組成物は、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、またはNK1アンタゴニスト、または両活性成分が担体またはビヒクルと混合されている経口単位形態、例えば錠剤またはゼラチンカプセルに製剤化してもよく、この担体またはビヒクルには、希釈剤、例えば、セルロース、デキストロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、またはショ糖;滑沢剤、例えば、酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカ、またはタルク;および必要であれば、バインダー、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドンが含まれる。
【0178】
上記経口形態は、ショ糖もしくはさまざまなポリマーでコーティングされた錠剤であってもよく、または代替的に、担体、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルエチルセルロースなどのセルロース誘導体、もしくはその他の適当な物質を用いて錠剤を製造して、既定の量のプラミペキソール(またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物)、またはNK1アンタゴニスト、または両活性成分を徐々に放出することによって、作用を持続または遅延させてもよい。経口製剤はまた、プラミペキソール(またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物)、またはNK1アンタゴニスト、または両活性成分の持続放出を可能にするカプセル剤の形態であってもよい。
【0179】
上述のように、上記経口単位形態はまた、一方の活性成分がIR製剤の形態であり、他方の活性成分がER製剤の形態である、錠剤またはカプセル剤であってもよい。例えば、上記単位形態は、IR製剤の形態のアプレピタントまたはロラピタントとER製剤の形態のプラミペキソール二塩酸塩一水和物とを、それぞれ上記に記載される単位形態当たりの量で含む。
【0180】
医薬組成物はまた、パッチ製剤などのTTSに製剤化してもよく、このとき、活性成分または活性成分の混合物は、アジュバント、例えば、D-ソルビトール、ゼラチン、カオリン、メチルパラベン、ポリソルベート80、プロピレングリコール、プロピルパラベン、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、酒石酸、二酸化チタン、および精製水を含んでもよい。パッチ製剤はまた、皮膚浸透性向上剤、例えば、乳酸のエステル(例えば、乳酸ラウリル)、トリアセチン、またはジエチレングリコールモノエチルエーテルも含んでよい。
【0181】
したがって、例えば、プラミペキソールは、好ましくは遊離塩基として、「プラミペキソール成分(b)」の項に記載されるプラミペキソール有効用量を通常は1日にわたって経皮的に送達するTTSに製剤化してもよく、好ましくは、下記に記載するNK1アンタゴニストと製剤化してもよい。
- アプレピタントは、経口IR形態として製剤化してもよく、
- ホスアプレピタントメグルミンは、注射用バイアルとして製剤化してもよく、
- ロラピタントは、経口IR単位形態して製剤化してもよく、
これらは、それぞれ、「NK1アンタゴニスト成分(a)」の項に記載される単位形態当たりの用量とする。
【0182】
小児または肥満の患者の場合、NK1アンタゴニストの1日用量は、体重に基づいて決定してもよい。したがって、例えば、アプレピタントは、1日用量0.67~2mg/kgで投与してもよい。
【実施例1】
【0183】
単回経口用量のプラミペキソール二塩酸塩一水和物(「プラミペキソール」)を単回経口用量のアプレピタントと併用して、または併用せずに被験者に投与する、第I相試験を実施した。この試験は、単一施設、単盲検試験とした。
【0184】
この試験は、アプレピタントが、パーキンソン病の処置において承認されている用量、または臨床治験においてうつ病の処置における有効性が示されている用量に相当する、またはそれらの用量を超える用量で投与されたプラミペキソールによる胃腸の副作用を安全に軽減できることを立証することを目的とした。
【0185】
以下の選択/除外主要基準を満たす参加者を登録した。
主要選択基準
1.20歳以上45歳以下の男性および女性被験者。
2.妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング期間から試験の最終来院の14日後までの間、性交を行わないか、または医療上許容される形態の避妊法である、殺精子ゼリーを含むコンドーム、殺精子ゼリーを含むペッサリーもしくは子宮頸管キャップ、または子宮内避妊具(IUD)のうちのいずれか2つを使用することに同意しなければならない。男性パートナーが精管切除術を受けている女性は、医療上許容される形態の避妊法を1つ追加して使用することに同意しなければならない。被験者は、安全対策として、最終来院後14日間は上記の出生抑制方法を実施することに同意しなければならない。
3.外科的に生殖不能(子宮摘出術、両側卵巣摘出術、または両側卵管結紮術の施術後の状態)または閉経後少なくとも12か月と定義される、妊娠の可能性がない女性は、試験中に避妊の必要はない。この根拠は、原文書の形で書類提出しなければならない。
4.女性パートナーに妊娠の可能性がある男性は、スクリーニング期間から試験の最終来院の14日後までの間、効果が高く、医療上許容される形態の避妊法を使用することに同意しなければならない。女性パートナーに妊娠の可能性がある男性は、自分自身が外科的に生殖不能(精管切除術を受けた状態)である場合、同じ期間にわたり、殺精子剤を含むコンドームを使用することに同意しなければならない。男性被験者は、安全対策として、最終来院後14日間は上記の出生抑制方法を実施することに同意しなければならない。
5.被験者は、本人および家族の精神医学的既往歴を含めたその病歴、ならびに身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、および臨床検査の結果により判断される、良好な健康状態でなければならない。医学的異常を有する被験者は、治験責任医師または指名された者が、その異常が被験者の健康に重大な付加的リスクを与えたり、または試験の目的を妨げたりすることがないとみなした場合に限り、選択することができる。
6.被験者は、自分の健康状態の変化について、明確かつ確実に伝えることができなければならない。
7.ボディマスインデックス(BMI)が19.0以上32.0kg/m2以下の被験者。
8.被験者は、複数の丸薬またはカプセル剤を同時に飲み込むことができなければならない。
9.被験者は、試験の目的および試験に必要な手順を理解しており、かつ試験に参加し、試験の手順および制約に従う意思があることを示す、同意説明文書に署名していなければならない。
【0186】
主要除外基準
被験者を試験への登録から除外する基準は、以下のとおりである。
1.治験中に被験者の安全を妨げ、被験者を過度の危険にさらし、または試験の目的を妨げる可能性がある、臨床的に関連のあるすべての急性または慢性疾患。
2.胃腸疾患、肝疾患、もしくは腎疾患、または治験薬の吸収、分布、代謝、もしくは排泄を妨げることが知られているその他の状態の既往歴または存在。
3.薬物乱用歴、既知の薬物依存、または依存性薬物もしくはアルコールについての陽性試験結果。
4.薬物アレルギーその他の重大なアレルギー歴。
5.プラミペキソール、またはオンダンセトロンもしくは同様のセロトニン受容体アンタゴニスト、またはアプレピタントもしくは同様のサブスタンスP/NK1受容体アンタゴニストに対する既知の過敏症。
5.過去および/または現在のQT間隔延長、先天性QT延長症候群、スクリーニング時、1日目、もしくは投与前における、QT延長もしくは1度房室ブロックを引き起こす、電解質異常(例えば、低カリウム血症または低マグネシウム血症)、うっ血性心不全、徐脈性不整脈、または他の医薬品、QTcFが450以上の男性およびQTcFが470以上の女性。
7.試験登録前1か月以内の中枢作用性薬物または制吐薬による処置。
8.タバコおよびニコチン使用者(試験登録の1年以上前にタバコまたはニコチンの使用をやめた被験者を除く)。
9.キサンチン含有飲料の過剰な1日摂取量(すなわち、500mg/日を超えるカフェイン)。
10.試験実施中(スクリーニング来院から治験薬の最終投与まで)に、長時間の強度の運動を控える意思のない被験者。
11.B型肝炎表面抗原、C型肝炎抗体の陽性試験結果。
12.HIV-1または2の血清学的試験の陽性結果。
13.試験期間中に医療処置または歯科処置が必要となる可能性。
14.1日目の入院前14日以内の処方薬または市販薬の使用。さらに、入院(1日目)前、中枢効果を有するいかなる薬物も、その薬物の半減期の5倍に相当する期間が14日を超える場合、その期間にわたり禁止する。
15.治験責任医師の意見で、試験中協力する可能性が低い、および/または順守が疑わしい被験者。
16.緊急時に連絡を取ることができない被験者。
17.試験登録前30日以内の治験薬の摂取。
18.スクリーニング時のC-SSRS(コロンビア自殺重症度評価尺度、Columbia Suicide Severity Rating Scale)による評価で、過去6か月以内の自殺念慮の徴候を示す。
【0187】
試験登録後、参加者に、毎朝1回、単回漸増経口用量のプラミペキソールを投与した(試験の第1期)。プラミペキソールの開始用量は0.5mgとし、この用量は、0.5mgの増加量で毎日増加した。被験者がそれぞれの最初の忍容不能用量(FID-1)に達した時点で、それ以上の用量増加を中止した。最初の忍容不能用量(FID)は、以下のように定義した。
- 嘔吐のエピソード1回、または
- 吐き気のエピソード2回、または
- 1時間を超えて継続する重度の悪心(グレード3、日常生活活動を妨げる悪心、またはカロリーもしくは水分の不十分な経口摂取と定義され、経管栄養、完全非経口栄養もしくは入院を必要とする)のエピソード1回、または
- 4時間ごとの評価時に3回連続する中等度の悪心(グレード2、自覚症状はあるが、日常生活活動を妨げないと定義される)のエピソード、または
- 中等度の下痢(グレード2、ベースラインよりも4~6回排便が多いと定義される)のエピソード1回。
【0188】
被験者がプラミペキソール単独でFID-1に達した場合、その被験者は、少なくとも5日間休薬してから、試験の第2期を開始し、この第2期の間、被験者は、上記に定義した忍容不能用量に再び達するまで、単回1日経口用量のプラミペキソールを0.5mgから開始し0.5mgの増加量で用量を漸増して、経口アプレピタント(80mg)と一緒に投与される。経口プラミペキソールおよび経口アプレピタントの投与時のFIDをFID-2とした。
【0189】
被験者が第2期においてFID-1以下の用量でFID-2に達した場合で、治験責任医師が安全性の問題がないと判断し、かつ被験者が同意している場合、翌日、その被験者に、FID-2用量と同じ用量のプラミペキソールをより高用量の経口アプレピタント(120mg)と一緒に投与し、プロトコルに、上記被験者が、忍容不能用量(FID2+)に達するまで、より高用量の経口アプレピタント(120mg)で残りの用量設定を継続することを明記した。プロトコルのその他全ての規定は、そのまま変更していない。評価は、その用量増加日に予定されていたとおりとした。
【0190】
各試験日に、薬物投与後最大8時間にわたり、AE、バイタルサイン、ECGについて、被験者の経過観察を実施した。さらに、スクリーニング時および試験終了時に一連の臨床試験を行った。
【0191】
4名の被験者が試験に登録された。下記の表1に、被験者の人口統計学的特性をまとめる。
【0192】
【0193】
すべての被験者は、試験中にFID-1(プラミペキソール単独)に達した。用量制限毒性は、被験者4名全員において、胃腸の有害事象であった。試験の第2期において、被験者4名全員は、プロトコルにより認められているプラミペキソールの最大用量6mgに忍容性を示したため、いずれの被験者もFID-2(プラミペキソールとアプレピタントの併用)に達しなかった。言い換えると、アプレピタントとプラミペキソールとを併用投与することで、高用量のプラミペキソールに関連する用量制限的な胃腸有害事象が予防された。表2に、各被験者について、FID-1(プラミペキソールの単独投与時)およびFID-2(プラミペキソール+アプレピタントの投与時)の値を記載する。
【0194】
【0195】
下記の表3に示すように、被験者全員において、第2期における最大耐用量(MTD)は、第1期におけるMTDよりも高く、被験者3名では、MTD-2は、3倍を超えて増加した。
【0196】
【0197】
まとめると、結果は、アプレピタントとプラミペキソールを同時投与することにより、プラミペキソール単独の場合に報告された用量制限的な胃腸有害作用が軽減されることを示し、したがって、NK1アンタゴニストにより、プラミペキソールを単独投与した場合には本来忍容不能であった用量で、ヒトにプラミペキソールを投与することが可能になることが示された。
【0198】
結論として、アプレピタントとプラミペキソールとの同時投与は、プラミペキソールの単独投与に関連する胃腸AEの発生を抑制し、これにより、プラミペキソールの用量を安全かつ忍容可能な形で2倍を超えて増加できるようになり、それによって、この薬物のはるかに高い効能が可能になる。具体的には、これらの結果は、NK1アンタゴニストの保護作用により、プラミペキソールの承認されている用量範囲内だけでなく、その最大推奨用量よりも高用量の、また単独投与時のプラミペキソールの最大耐量よりも高用量のプラミペキソールでも、ヒトを安全に処置することが可能になることを示している。
【0199】
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