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特許7158430情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221014BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020048933
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149523
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博基
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-197301(JP,A)
【文献】特開2019-148468(JP,A)
【文献】特開2016-173257(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0001182(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0120654(US,A1)
【文献】特開2008-122256(JP,A)
【文献】特開2003-139553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所有する端末装置から出発地および目的地に関する情報を取得する情報取得部と、
前記出発地と前記目的地とを繋ぎ、かつ、登録スポットの前を通るルートである誘導ルート、および、前記出発地と前記目的地とを繋ぎ、かつ、所要時間または距離が最小となる最小コストルートを探索するルート探索部と、
前記ルート探索部により探索された複数の前記誘導ルートのうち、前記誘導ルートの所要時間と前記最小コストルートの所要時間との差が、記憶部に記憶された前記ユーザの寄り道許容時間以下である前記誘導ルートを抽出し、抽出された前記誘導ルートを含むルート提案情報を生成するルート提案情報生成部と、
前記ルート提案情報を前記端末装置に提供するルート提案情報提供部と、
前記ユーザにより前記ルート提案情報から選択された前記誘導ルートと前記最小コストルートとの所要時間差に基づいて、前記記憶部に記憶された前記寄り道許容時間を調整する許容時間調整部と、を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記ユーザが前記ルート提案情報内の前記誘導ルートを通過した場合、または、前記ユーザが当該誘導ルートに対応する前記登録スポットに立ち寄った場合、前記ユーザに対して特典を付与する特典付与部をさらに備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置において、
前記ユーザに関するユーザ情報に基づいて、前記ルート提案情報に含まれる前記誘導ルートの前記登録スポットへ要求する報酬金額を算出する報酬算出部をさらに備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記情報取得部は、前記端末装置から前記ユーザの移動目的をさらに取得し、
前記ルート提案情報生成部は、前記記憶部に記憶された複数の前記寄り道許容時間のうち、前記移動目的に対応する前記寄り道許容時間を用いて、前記誘導ルートを抽出する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータによりルート提案情報を提供する情報処理方法であって、
ユーザが所有する端末装置から出発地および目的地に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記出発地と前記目的地とを繋ぎ、かつ、登録スポットの前を通るルートである誘導ルート、および、前記出発地と前記目的地とを繋ぎ、かつ、所要時間または距離が最小となる最小コストルートを探索するルート探索ステップと、
前記ルート探索ステップで探索された複数の前記誘導ルートのうち、前記誘導ルートの所要時間と前記最小コストルートの所要時間との差が、記憶部に記憶された前記ユーザの寄り道許容時間以下である前記誘導ルートを抽出し、抽出された前記誘導ルートを含むルート提案情報を生成するルート提案情報生成ステップと、
前記ルート提案情報を前記端末装置に提供するルート情報提供ステップと、
前記ユーザにより前記ルート提案情報から選択された前記誘導ルートと前記最小コストルートとの所要時間差に基づいて、前記記憶部に記憶された前記寄り道許容時間を調整する許容時間調整ステップと、を実施することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータにより読み取り実行可能な情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出発地から目的地までの移動経路を探索する情報処理装置が知られている。このような情報処理装置の1つとして、特許文献1には、事業者から指定区間と当該事業者の運営する移動手段(例えば、電車、タクシー、飛行機など)との登録を受け付け、当該指定区間を対象とした路線検索を要求するユーザに対して、登録された移動手段による経路(スポンサードルート)を含めた検索結果一覧を提供する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-151861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、路線検索を要求するユーザに対して、スポンサードルートを含む検索結果一覧を送信することで、このスポンサードルートに対応する移動手段の利用率を向上させる。しかし、特許文献1に記載の装置は、電車、タクシー、飛行機などの移動手段を登録対象とするものであり、これら移動手段を運営する事業者以外の需要に応えるものではない。
そこで、本発明者は、特許文献1に記載のスポンサードルートとは異なる形態により、店舗や施設などのスポットを運営または管理する事業者の需要に応えることを考えている。
【0005】
本発明は、経路探索などを利用して登録スポットの利用率を向上させる情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、ユーザが所有する端末装置から出発地および目的地に関する情報を取得する情報取得部と、前記出発地と前記目的地とを繋ぎ、かつ、登録スポットの前を通るルートである誘導ルートを探索するルート探索部と、前記誘導ルートを含むルート提案情報を生成するルート提案情報生成部と、前記ルート提案情報を前記端末装置に提供するルート提案情報提供部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明において、情報処理装置は、経路探索などを行うユーザに対して誘導ルートを含むルート提案情報を提供することができる。この誘導ルートは、出発地と目的地とを繋ぐだけでなく登録スポットの前を通るため、当該誘導ルートを通るユーザに対して、当該誘導ルート沿いに位置する登録スポットに立ち寄る機会を提供する。
よって、情報処理装置は、経路探索などを利用して登録スポットの利用率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のサーバ装置を含む情報処理システムの概略構成を示す模式図。
図2】本実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
図3】情報処理方法システムにおいて実施される経路探索方法を説明するフローチャート。
図4】本実施形態のルート提案情報生成処理の流れを説明するフローチャート。
図5】本実施形態のルート提案情報の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。
[ナビゲーションシステムの構成]
図1に示すように、本実施形態の情報処理システム1は、本発明の情報処理装置であるサーバ装置10と、インターネットを介してサーバ装置10に通信可能となる複数の端末装置20とを備える。
本実施形態の情報処理システム1において、サーバ装置10は、経路探索サービスを提供するものであり、端末装置20から経路を探索する旨の探索要求を受信すると、サーバ装置10は、探索要求に含まれる出発地および目的地に関する情報に基づいて、経路探索を実施する。この際、サーバ装置10は、出発地と目的地とを繋ぐルートであって、かつ、登録スポットの前を通るルートを探索し、探索されたルートを含むルート提案情報を端末装置20に提供する。
なお、登録スポットは、サーバ装置10が提供する経路探索サービスに登録されたスポットであり、例えば、事業者によって運営または管理される店舗や施設などである。
【0010】
[サーバ装置10の構成]
図2は、サーバ装置10の概略構成を示すブロック図である。
サーバ装置10は、一般的なコンピュータにより構成されており、図2に示すように、通信部11、記憶部12および制御部13など、コンピュータを構成する各部を備えている。
なお、サーバ装置10を構成するコンピュータの数は特に限定されない。例えば、1台のコンピュータによってサーバ装置10が構成されてもよく、複数のコンピュータをネットワークで接続して構築されるクラウドサーバをサーバ装置10としてもよい。
通信部11は、インターネットに接続され、インターネットを介して端末装置20等の各装置と通信する。
【0011】
記憶部12は、例えばメモリ、ハードディスク等により構成された情報記録装置であり、サーバ装置10を制御するための各種情報や情報処理プログラムを記憶する。
また、記憶部12には、ユーザデータベース121、登録データベース122、および、地図データベース123が設けられている。
なお、本実施形態では、サーバ装置10の記憶部12に、各データベースが設けられる例を示すが、サーバ装置10とネットワークを介して通信可能に接続された他のデータサーバやクラウドストレージに、これらの情報が記憶される構成としてもよい。
【0012】
ユーザデータベース121には、情報処理システム1を利用するユーザに関するユーザ情報が記録されている。
ユーザ情報は、ユーザの識別情報(ユーザID)、ユーザ属性、寄り道許容時間、および、決済履歴などを含む。
ユーザ属性は、ユーザの性別や年齢層など、ユーザの属性に関する各種情報を含む。
寄り道許容時間は、ユーザが寄り道を許容する時間であり、例えば、初期設定として所定時間が記録されている。
決済履歴は、ユーザが過去に実行した決済に関する情報であり、店舗情報、商品情報および支払金額などを含む。店舗情報は、例えば店舗識別情報や店舗カテゴリを含み、商品情報は、例えば商品識別情報や商品カテゴリを含む。
なお、ユーザ情報は、ユーザに関する他の情報、例えば、拠点情報、趣味、健康状態、収入などの情報を含んでもよい。
【0013】
登録データベース122には、登録依頼者からの登録依頼ごとに登録情報が記憶される。
登録情報は、登録依頼者ID、スポット情報、金額情報、および、対象ユーザ情報などを含む。
登録依頼者IDは、登録依頼者の識別情報である。ここで、登録依頼者としては、スポットを運営または管理する事業者を想定している。
スポット情報は、誘導先のスポット(登録スポット)に関する情報である。このスポット情報は、スポット識別情報(スポットID)、スポット名、スポットカテゴリ、および、スポット所在地などを含む。なお、同一の事業者が同一形態で複数のスポット(例えばチェーン店)を運営する場合、1つの登録情報が複数のスポット情報を含んでもよい。
金額情報は、事業者が登録時に入金した金額である入金額と、報酬金額とを含む。報酬金額は、登録スポット沿いの誘導ルートがユーザに提供されるごとに、事業者がサーバ装置10の管理者に支払う額(例えば後述の基準金額、追加金額など)である。
対象ユーザ情報は、登録スポットへの誘導対象となるユーザの条件である。この対象ユーザ情報として、ユーザの性別、年齢層、趣味、健康状態、または収入などに関する条件が挙げられる。
特典情報は、登録スポットの前の道路を通ったユーザに付与される特典の内容、または、登録スポットに立ち寄ったユーザに付与される特典の内容の少なくとも一方を有する。
【0014】
地図データベース123には、地図情報、地点情報、および、道路情報などが記録されている。
地図情報は、例えば緯度経度により分割された複数の地域に対応した複数の地図メッシュを有し、各地図メッシュは、道路を示すリンクと、交差点や道路端点等を示すノードとを含む。各リンクや各ノードは、それぞれを識別するリンクIDやノードIDが関連付けられている。
地点情報は、地図上の店舗や施設などのスポットに関して、地図上の位置を特定する情報(例えば経緯度)を含む。
道路情報は、リンクの両端部に位置するノード間(交差点間)の距離や、所定の移動手段(例えば車や徒歩)で移動した場合の所要時間などを含む。
【0015】
制御部13は、CPU等の演算回路、RAM等の記憶回路により構成される。制御部13は、記憶部12に記憶されている情報処理プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、制御部13は、情報処理プログラムを読み込み実行することで、図2に示すように、情報取得部131、ルート探索部132、ルート提案情報生成部133、ルート提案情報提供部134、報酬算出部135、案内処理部136、特典付与部137、許容時間調整部138として機能する。
【0016】
情報取得部131は、事業者が所有する端末装置20から登録依頼を受け付け、当該依頼に基づいた登録情報を登録データベース122に記憶させる。また、情報取得部131は、ユーザが所有する端末装置20から経路探索要求を受け付け、出発地および目的地に関する情報を取得する。
【0017】
ルート探索部132は、端末装置20から送信された探索要求に対応した経路探索処理を実施し、現在地と目的地とを繋ぐルートを探索する。この際、ルート探索部132は、登録データベース122に登録された登録情報に基づき、現在地と目的地とを繋ぎ、かつ、登録スポットの前を通るルート(誘導ルート)を探索する。登録スポットの前を通るルートとは、登録スポットの入口に面した道路を含むルートである。
【0018】
ルート提案情報生成部133は、ルート探索部132により探索されたルートのうちの任意のルートを含むルート提案情報を生成する。
ルート提案情報提供部134は、ルート提案情報生成部133により生成されたルート提案情報を、経路探索要求の送信元である端末装置20に送信する。
【0019】
報酬算出部135は、ルート提案情報の送信先であるユーザに関するユーザ情報に基づいて、ルート提案情報に含まれる誘導ルート沿いの登録スポットの事業者に対して請求する報酬金額を算出する。
案内処理部136は、ルート提案情報からユーザにより選択されたルートに基づいて、当該ルートの案内処理を実施する。
特典付与部137は、ユーザがルート提案情報内の誘導ルートを通過した場合、または、ユーザが当該誘導ルート沿いの登録スポットに立ち寄った場合、ユーザに対して特典を付与する。
【0020】
許容時間調整部138は、ユーザがルート提案情報から選択する誘導ルートの所要時間に基づいて、当該ユーザに関するユーザ情報の寄り道許容時間を調整する。
【0021】
〔端末装置20の構成〕
端末装置20は、ユーザまたは事業者が所有するコンピュータである。本実施形態において、ユーザが所有する端末装置20は、例えばスマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末であるが、事業者が所有する端末装置20は、モバイル端末であることに限られず、据え置き型のパーソナルコンピュータでもよい。
【0022】
端末装置20の具体的な構成の図示は省略するが、端末装置20は、一般的なコンピュータが有する基本的な構成を有する。すなわち、端末装置20は、操作者の操作を受け付ける入力操作部、画像情報を表示させるディスプレイ、各種情報を記憶する記憶装置、各種情報を演算処理する演算回路(CPU等)を備えている。
また、端末装置20は、端末装置20の現在位置を計測するGPS装置を備えていてもよい。
【0023】
[経路探索処理]
次に、本実施形態の情報処理システム1における経路探索処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
まず、端末装置20は、ユーザの操作に応じて、所定のアプリケーションを実行し、サーバ装置10に対して、経路探索コンテンツの表示を要求する要求情報を送信する(ステップS21)。
サーバ装置10は、要求情報を受信すると、経路探索コンテンツを端末装置20に出力する(ステップS11)。これにより、端末装置20は、ディスプレイに経路探索コンテンツを表示させる(ステップS22)。
【0025】
ユーザは、端末装置20に表示された経路探索コンテンツに対して、出発地および目的地を入力する。端末装置20は、経路探索コンテンツの検索ボタンが操作されることで、ユーザIDと、出発地と、目的地とを含む経路探索要求を、サーバ装置10に送信する(ステップS23)。
【0026】
サーバ装置10において、情報取得部131は、端末装置20から経路探索要求を受信することで、ユーザID、出発地および目的地を取得する(ステップS12;情報取得ステップ)。ルート探索部132は、経路探索要求に含まれる各種情報と、地図データベース123の各種情報とに基づいて、出発地から目的地までのルートを探索する。ここで、ルート探索部132は、登録データベース122の登録情報を参照することで登録スポットを特定し、出発地から目的地までを繋ぎ、かつ、登録スポットの前を通るルート(誘導ルート)を探索する。そして、ルート提案情報生成部133は、探索された誘導ルートを含むルート提案情報を生成する(ステップS13)。なお、ステップS13については、後述で詳細を説明する。
ルート提案情報提供部134は、ステップS13で生成されたルート提案情報を、要求情報の送信元である端末装置20に送信する(ステップS14;ルート情報提供ステップ)。
端末装置20は、サーバ装置10からルート提案情報を受信し、当該ルート提案情報を地図と共にディスプレイに表示させる(ステップS24)。
【0027】
その後、報酬算出部135は、ルート提案情報の送信先であるユーザに関するユーザ情報に基づいて、ルート提案情報に含まれる誘導ルート沿いの登録スポットの事業者へ請求する報酬金額を算出する(ステップS15)。
例えば、報酬算出部135は、ユーザ情報の決済履歴に基づいて、ユーザが所定以上の頻度で決済を行うスポットである常連スポットを特定し、この常連スポットと、ルート提案情報に含まれる誘導ルート沿いの登録スポットとが、同カテゴリに属し、かつ、異なる事業者に運営されるスポットである場合、基準金額に追加金額を加算することで、報酬金額を算出する。具体的には、仮に同カテゴリのAチェーン店およびBチェーン店が存在し、Aチェーン店が常連店舗であるユーザに対して、Bチェーン店の誘導ルートを提供する場合、基準金額に追加金額を加算することで、報酬金額を算出する。
また、報酬算出部135は、ユーザの常連スポットと、ルート提案情報に含まれる誘導ルート沿いの登録スポットとが、異なるカテゴリに属する場合、または、同じ事業者に運営されるスポットである場合、基準金額をそのまま報酬金額として算出する。
なお、ステップS15で算出された報酬金額は、サーバ装置10の管理者が登録スポットの事業者に対して所定期間ごと(例えば月毎)に請求する合計請求金額に加算される。
以上により、情報処理システム1を用いた経路探索方法の提供フローが終了する。
【0028】
その後、ユーザが端末装置20に表示されたルート提案情報からルートを選択した場合、端末装置20は、ユーザIDと、ユーザによる選択情報とを、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の案内処理部136は、端末装置20からこれらの情報を受信すると、ユーザに対して選択ルートの案内を行う案内処理を開始する。なお、案内処理の具体的方法については従来技術と同様である。
【0029】
[ルート提案情報の生成処理]
サーバ装置10におけるルート提案情報の生成処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
ルート探索部132は、地図上で出発地および目的地を含む探索エリアを設定し(ステップS31)、当該探索エリアに含まれる登録スポットを検出する(ステップS32)。
ここで、探索エリアは、少なくとも出発地および目的地を含むエリアであればよく、任意の大きさに設定可能である。例えば、探索エリアとして、出発地と目的地との中間点を中心とする円形のエリアなどが挙げられる。
【0030】
ルート探索部132は、ステップS32で検出された登録スポットについて、経路探索要求の送信元のユーザが各登録スポットの対象ユーザ情報に合致するか否かを判定し、当該ユーザが対象ユーザ情報に合致すると判定された登録スポットを抽出する(ステップS33)。
なお、ステップS32で検出される登録スポットが存在しない場合、または、ステップS33で抽出される登録スポットが存在しない場合には、従来と同様の経路探索処理を行えばよい。
【0031】
次いで、ルート探索部132は、公知の経路探索アルゴリズムを用いて、出発地から目的地までを繋ぎ、かつ、ステップS33で抽出された登録スポットの前を通るルート(誘導ルート)を探索する(ステップS34;ルート探索ステップ)。
【0032】
ここで、誘導ルートを探索する数は特に限定されない。
例えば、ステップS33で抽出された登録スポットの数が1つである場合、ルート探索部132は、当該登録スポットの前を通るルートを探索すればよい。
また、ステップS33で抽出された登録スポットの数が複数である場合、ルート探索部132は、各登録スポットの前を通るルートを探索してもよいし、複数の登録スポットの前をそれぞれ通るルートを探索してもよい。また、ルート探索部132は、複数の登録スポットを様々に組み合わせ、各組合せの登録スポットの前をそれぞれ通るルートを探索してもよい。
【0033】
また、ルート探索部132は、出発地から目的地までを繋ぐルートのうち、距離または所要時間が最小となる最小コストルート(以下、最短ルートと称する場合がある)を探索する(ステップS35)。
【0034】
ルート提案情報生成部133は、ステップS34で探索された各誘導ルートの所要時間を算出し、算出された各誘導ルートの所要時間と最短ルートの所要時間との差を算出する。そして、ルート提案情報生成部133は、算出された差がユーザの寄り道許容時間以下になる誘導ルートを抽出する(ステップS36)。
【0035】
次いで、ルート提案情報生成部133は、ステップS36で抽出された誘導ルートが所定数よりも多いか否かを判定する(ステップS37)。
なお、本実施形態では、所定数として、地図に各誘導ルートを表示させたときにユーザの視認性を低下させない程度の数が設定される。また、ステップS37でNoの場合、ステップS39に進む。
【0036】
ステップS37でYesの場合、ルート提案情報生成部133は、ルート提案情報に含まれる誘導ルートを所定数だけ選択する(ステップS38)。
例えば、ルート提案情報生成部133は、各誘導ルートの所要時間を算出し、この所要時間が少ない順に、誘導ルートを所定数まで選択してもよい。
また、ルート提案情報生成部133は、登録情報の入金額が高い登録スポットの前を通る誘導ルートの順に、誘導ルートを所定数まで選択してもよい。
また、ルート提案情報生成部133は、登録スポットとユーザとの相性度を算出し、ユーザとの相性度が高い登録スポットの前を通る誘導ルートの順に、誘導ルートを所定数まで選択してもよい。なお、相性度は、例えばユーザの決済履歴に含まれる店舗情報の店舗カテゴリと、登録スポットのスポットカテゴリとの関連度スコアなどを、公知のスコア技術により利用できる。
【0037】
その後、ルート提案情報生成部133は、ステップS38で選択された誘導ルートと、ステップS35で探索された最短ルートとを含むルート提案情報を生成する(ステップS39;ルート提案情報生成ステップ)。本実施形態では、ルート提案情報は、誘導ルートおよび最短ルートの各ルートを示す情報(リンクIDやノードIDなど)と、各経路が含まれる地図(地図メッシュ)と、各ルートの所要時間および距離と、誘導ルート沿いの登録スポットに関する情報(位置情報および特典情報など)とを含む。
以上により、ルート提案情報の生成フローが終了する。
【0038】
端末装置20は、サーバ装置10から受信したルート提案情報を、経路探索コンテンツに含めて表示させる。
図5は、経路探索コンテンツ40に表示されたルート提案情報の一例である。
なお、図5に示す経路探索コンテンツ40は、出発地入力部41、目的地入力部42、地図表示部43および詳細表示部44を有している。
地図表示部43には、地図に対して各ルートが重畳して表示されている。また、この地図には、出発地を示すマーク45Aと、目的地を示すマーク45Bと、誘導ルート上の登録スポット位置を示す各マーク46A,46Bとが表示される。
詳細表示部44には、各ルートにかかる所要時間や距離などが表示される。また、詳細表示部44には、誘導ルートに対して、登録スポットごとに、特典があることを示す特典マーク47A,47Bが表示される。この特典マーク47A,47Bには、特典内容を表示するウェブページ等へ遷移させるためのリンクが付されていてもよい。あるいは、詳細表示部44内に特典内容が表示されてもよい。
【0039】
〔寄り道許容時間の更新〕
ユーザが端末装置20に表示されたルート提案情報からルートを選択した場合、許容時間調整部138は、選択結果に基づいて、当該ユーザに関するユーザ情報の寄り道許容時間を調整する。
例えば、ルート提案情報から最短ルートと誘導ルートとの間の所要時間差が最も大きい誘導ルート(最長誘導ルート)が選択された場合、許容時間調整部138は、寄り道許容時間を所定時間増加させる。これにより、次回の経路探索時には、ユーザに対して、最短ルートと誘導ルートとの間の所要時間差がより大きい誘導ルートについても表示可能である。
一方、ルート提案情報から誘導ルートが選択されず、最短ルートが選択された場合、許容時間調整部138は、寄り道許容時間を所定時間減少させる。これにより、次回の経路探索時には、ユーザに対して、最短ルートと誘導ルートとの間の所要時間差がより小さい誘導ルートを優先して表示可能である。
なお、寄り道許容時間の調整量については、適宜設定可能である。
【0040】
ここで、寄り道許容時間を調整するタイミングは、例えば、経路探索を所定回数実施する毎であってもよい。この場合、全体の経路探索の回数に対して、最長誘導ルートが選択される回数の割合が所定以上である場合、寄り道許容時間を所定時間増加させる。また、全体の経路探索の回数に対して、最短ルートが選択される回数の割合が所定以上である場合、寄り道許容時間を所定時間減少させる。
【0041】
〔特典付与〕
特典付与部137は、案内処理部136による誘導ルートの案内処理が行われる間、案内中の誘導ルートに対応する登録スポットの特典情報に基づいて、ユーザに対して特典を付与するか否かの判定を行う。
例えば、特典付与部137は、案内処理部136による誘導ルートの案内処理が行われる間、ユーザが登録スポットの前の道路を通過したか否かを判定する。そして、ユーザが登録スポットの前の道路を通過した場合、特典付与部137は、ユーザに対して当該行為に対する特典を付与する。
【0042】
または、特典付与部137は、案内処理部136による誘導ルートの案内処理が行われる間、ユーザが登録スポットに立ち寄ったか否かを判定する。そして、ユーザが登録スポットに立ち寄った場合、特典付与部137は、ユーザに対して当該行為に対する特典を付与する。
【0043】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態のサーバ装置10は、記憶部12と、制御部13とを備え、制御部13は、記憶部12に記憶された情報処理プログラムを読み込むことで、情報取得部131、ルート探索部132、ルート提案情報生成部133、および、ルート提案情報提供部134として機能する。情報取得部131は、端末装置20から出発地および目的地に関する情報を取得する。ルート探索部132は、出発地と目的地とを繋ぎ、かつ、登録スポットの前を通るルートである誘導ルートを探索する。ルート提案情報生成部133は、誘導ルートを含むルート提案情報を生成する。ルート提案情報提供部134は、ルート提案情報を端末装置20に提供する。
このような本実施形態において、サーバ装置10は、経路探索などを行うユーザから出発地および目的地に関する情報を取得し、このユーザに対して誘導ルートを含むルート提案情報を提供する。この誘導ルートは、出発地と目的地とを繋ぐだけでなく、登録スポットの前を通るため、当該誘導ルートを通るユーザに対して、当該誘導ルート沿いに位置する登録スポットに立ち寄る機会を提供する。よって、サーバ装置10は、経路探索などを利用して登録スポットの利用率を向上させることができる。
【0044】
本実施形態において、制御部13は、ユーザがルート提案情報内の誘導ルートを通過した場合、または、ユーザが誘導ルートに対応する登録スポットに立ち寄った場合、ユーザに対して特典を付与する特典付与部137としてさらに機能する。このような本実施形態によれば、ユーザに対してルート提案情報から誘導ルートを選択する動機を与えることができる。特に、特典が案内ルート沿いの登録スポットで使用できるクーポン等である場合、ユーザに対して登録スポットに立ち寄る動機を与えることができる。
【0045】
本実施形態において、ルート探索部132は、出発地と目的地とを繋ぎ、かつ、所要時間または距離が最小となる最短ルートをさらに探索し、ルート提案情報生成部133は、ルート探索部132により探索された誘導ルートのうち、誘導ルートの所要時間と最小コストルートの所要時間との差が、ユーザに対応する寄り道許容時間以下である誘導ルートを、ルート提案情報に含める。
このような本実施形態によれば、ユーザが誘導ルートを選択する確率を向上させ、その結果、登録スポットの利用率を向上させることができる。
【0046】
本実施形態において、制御部13は、ユーザがルート提案情報から選択したルートの所要時間に基づいて、ユーザの寄り道許容時間を調整する許容時間調整部138としてさらに機能する。これにより、寄り道許容時間をユーザごとに最適化することができる。
【0047】
本実施形態において、制御部13は、ユーザに関するユーザ情報に基づいて、ルート提案情報に含まれる誘導ルート沿いの登録スポットへ要求する報酬金額を算出する報酬算出部135としてさらに機能する。これにより、サーバ装置10が提供するサービスについて、事業者にとっての有効性に基づいて、報酬金額を決定することができる。
【0048】
〔変形例〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形をも含むものであり、以下にその一部を変形例として示す。
【0049】
〔変形例1〕
前記実施形態において、ユーザは、端末装置20に表示された経路探索コンテンツに対して、出発地、目的地、出発時刻(例えば現在時刻)および到着希望時刻を入力してもよい。この場合、端末装置20は、経路探索コンテンツの検索ボタンが操作されることで、入力された各種情報を含む探索要求を、サーバ装置10に送信する。
サーバ装置10が端末装置20から探索要求を受信すると、ルート探索部132は、探索要求に含まれる各種情報と、地図データベース123の各種情報とに基づいた処理を行う。
【0050】
ここで、ルート探索部132は、上述のステップS31~S34を実施した後、ステップS34で探索された各誘導ルートの所要時間を算出し、誘導ルートごとに、出発時間に所要時間を加えることで到着予測時刻を算出する。そして、ルート探索部132は、到着予測時刻が到着希望時刻に近い順に、要求ユーザに提案する対象の誘導ルートを所定数だけ選択する。
その後は、前記実施形態と同様、ステップS36~S37を実施すればよい。
【0051】
なお、この変形例1において、ステップS31では、出発地から目的地までの距離(例えば直線距離でもよい)と、出発時刻から到着希望時刻までの時間との関係に基づいて、探索エリアの大きさの調整を行ってもよい。出発地から目的地までの距離に対して、出発時刻から到着希望時刻までの時間が長くなるほど、探索エリアを大きく設定してもよい。
【0052】
このような変形例によれば、到着希望時刻に合わせて選択された誘導ルートをユーザに提供することができる。また、ユーザは到着希望時刻までの余分な時間を誘導ルートの移動に使うことができる。
【0053】
〔変形例2〕
情報取得部131は、本発明の「到着地に関する情報」として、到着地そのものではなく、到着地に関する条件を取得してもよい。
例えば、ユーザは、経路探索コンテンツにおいて、「駅から〇〇m以内」、「ランチが1000円以内」、「公共Wi-Fiがある場所」など、到着地に関する条件を選択する。サーバ装置10は、端末装置20から受信した「到着地に関する条件」に基づいて、公知技術により、店舗や施設などのスポットを検索し、検索されたスポットを到着地として取得できる。
【0054】
〔変形例3〕
前記実施形態において、ユーザ情報は、ユーザの移動目的に対応付けられた複数の寄り道許容時間を含んでいてもよい。例えば、移動目的が「遊び」であれば、比較的長い寄り道許容時間が対応付けられ、移動目的が「仕事」であれば、比較的短い寄り道許容時間が対応付けられる。
この変形例において、ユーザは、経路探索コンテンツにおいて、出発地および目的地と共に移動目的を入力し、端末装置20は、これらの情報を含む探索要求を送信する。この探索要求を受信したサーバ装置10において、ルート提案情報生成部133は、上述のステップS36において、ユーザ情報に基づき、探索要求に含まれる移動目的に対応する寄り道時間を特定する処理を追加して行う。そして、ルート提案情報生成部133は、各誘導ルートの所要時間と最小コストルートの所要時間との差が、特定された寄り道許容時間以下になる誘導ルートを抽出する。
この変形例によれば、ルート提案情報に含まれる誘導ルートをより柔軟に選択することができ、ユーザが誘導ルートを選択する確率を向上させることができる。
【0055】
〔変形例4〕
前記実施形態において、登録情報は、回避スポット情報を含んでもよい。例えば、情報処理システム1に対してユーザ誘導を依頼する店舗事業者は、対象店舗とライバル関係にある店舗の情報を回避スポット情報として登録してもよい。回避スポット情報は、例えばスポット名、スポットカテゴリ、スポット所在地などの情報を含む。
この場合、ルート提案情報生成部133は、回避スポットの前の道路を含まない誘導ルート、または、回避スポットの前を通る数がより少ない誘導ルートをルート提案情報に含めればよい。
【0056】
〔変形例5〕
前記実施形態において、ルート提案情報提供部134は、誘導ルートを地図上に表示する形態でルート提案情報を提供するが、一覧表示の形態でルート提案情報を提供してもよい。
また、前記実施形態において、ルート提案情報提供部134は、ルート探索部132により探索された複数の誘導ルートから所定数の誘導ルートを選択してルート提案情報に含めるが、これに限られない。すなわち、ルート提案情報提供部134は、ルート探索部132により探索された複数の誘導ルートを全てルート提案情報に含めてもよい。
【0057】
〔変形例6〕
前記実施形態では、登録依頼者としては、スポットを運営または管理する事業者を想定しているが、本発明はこれに限られない。例えば、商品を提供するメーカーが登録依頼者であってもよい。この場合、サーバ装置10の情報取得部131は、メーカーの提供している商品の商品情報を含む登録依頼を受け付け、この商品情報に基づいて、商品を提供しているスポットを検出し、当該スポットを含むスポット情報を登録データベース122に記憶させてもよい。
【0058】
〔変形例7〕
前記実施形態では、地図上のルートを探索する経路探索サービスを例にしているが、本発明は、路線検索サービスに適用可能である。この場合、ルートは、移動手段を利用したルートであってもよい。また、駅構内の店舗などのスポットが登録スポットとして登録された場合、「登録スポットの前を通るルート」は、登録スポットの存在する駅を乗換駅とするルートを意味してもよい。
【0059】
〔変形例8〕
前記実施形態の端末装置20は、ユーザが所有するモバイル端末であるが、本発明はこれに限られず、ユーザが所有する車両に固定されたナビゲーション装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…情報処理システム、10…サーバ装置、11…通信部、12…記憶部、121…ユーザデータベース、122…登録データベース、123…地図データベース、13…制御部、131…情報取得部、132…ルート探索部、133…ルート提案情報生成部、134…ルート提案情報提供部、135…報酬算出部、136…案内処理部、137…特典付与部、138…許容時間調整部、20…端末装置、40…経路探索コンテンツ、41…出発地入力部、42…目的地入力部、43…地図表示部、44…詳細表示部。
図1
図2
図3
図4
図5