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特許7158455温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体の製造方法
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  • 特許-温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20221014BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20221014BHJP
   D06B 11/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A47C27/14 A
A41D13/005
D06B11/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020198546
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022013576
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】109122072
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】500506611
【氏名又は名称】世大化成股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏 麒書
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-027299(JP,A)
【文献】特開2014-028948(JP,A)
【文献】登録実用新案第3223530(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0113345(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0074707(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0193572(US,A1)
【文献】特表2017-522131(JP,A)
【文献】特表2018-538690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/14
A41D 13/005
D06B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア本体を点接着装置のステージに載置するステップと、
前記点接着装置が少なくとも1つの制御信号に基づいて、点接着ノズルを前記キャリア本体内の所定位置に延在させ、温度調節ユニットを、前記キャリア本体における一部の領域の複数の微細孔が完全に充填されるように直接注入し、それにより、前記キャリア本体中の前記温度調節ユニットに対応および近接する位置に温度調整領域を形成させるステップと、
を含む、温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体の製造方法であって、
前記キャリア本体は複数の微細孔が分布され配置されると共に弾性特性を有し、
前記温度調節ユニットは、少なくとも複数の相変化マイクロカプセル及び粘着剤を混合して生成されたものである、通気性のある担持体の製造方法。
【請求項2】
前記温度調節ユニットのそれぞれはさらに高熱伝導性材料を含む、請求項に記載の通気性のある担持体の製造方法。
【請求項3】
重量%に基づいて、前記複数の相変化マイクロカプセルと前記粘着剤との割合は50~90:50~10である、請求項に記載の通気性のある担持体の製造方法。
【請求項4】
前記高熱伝導性材料は、グラフェン、窒化ホウ素または酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つである、請求項に記載の通気性のある担持体の製造方法。
【請求項5】
重量%に基づいて、前記複数の相変化マイクロカプセルと前記高熱伝導性材料との割合は、55~99.9:45~0.1である、請求項に記載の通気性のある担持体の製造方法。
【請求項6】
前記キャリア本体は、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、メラミン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ゴム、ラテックスまたはシリコーンのうち少なくとも一つからなる微多孔性エラストマーである請求項に記載の通気性のある担持体の製造方法。
【請求項7】
前記キャリア本体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミドのうちの少なくとも一つからなる繊維集合体である、請求項に記載の通気性のある担持体の製造方法。
【請求項8】
前記キャリア本体に複数の温度調節ユニットが配置され、前記温度調節ユニットの各々の水平方向の間隔距離および/または垂直方向の間隔距離は同じである、請求項またはに記載の通気性のある担持体の製造方法。
【請求項9】
前記キャリア本体に複数の温度調節ユニットが配置され、前記温度調節ユニットの各々の水平方向の間隔距離および/または垂直方向の間隔距離は同じではない、請求項またはに記載の通気性のある担持体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性のある担持体及びその製造方法に関し、特に、温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化材料(Phase Change Material、略称PCM)とは、特定の温度で溶融または凝固し、状態を変化させることで熱エネルギーを吸収または放出することができる融解熱の高い材料のことをいう。相変化材料(PCM)は1950年代に利用され始め、1970年代に広く研究され、その適用は建築材料、生地、寝具、航空宇宙材料および冷凍装置を含んでいる。
【0003】
現在、60000種類以上の相変化材料が知られており、主に、無機相変化材料(例えば、塩水和物、Salt hydrates)、有機相変化材料(例えば、パラフィンワックス、脂肪酸(fatty acids)およびそのポリマー)、高分子相変化材料、及び複合相変化材料の4種類に分類される。一般に、相変化材料をマットレスに適用する場合、相変化材料はマイクロカプセルとして作製される。マイクロカプセルとは、相変化材料を固体、液体、または気体の状態で小型カプセル内に封入するマイクロカプセル化によって製造されるものをいう。このプロセスはマイクロカプセル化と呼ばれ、今日の世界では急速に発展し、汎用性が高く、成熟した技術となっている。マイクロカプセル化において、相変化材料を封入するために使用されるケーシングは「壁」と呼ばれ、その中の相変化材料は「コア」と呼ばれている。実用的な要件によれば、相変化マイクロカプセルの体積は、約0.01μm~1000μmであり得、その形状は、球状、粒状、または塊状等であり得る。
【0004】
マットレスを製造する際には、相変化マイクロカプセルをマットレスの製造前に発泡体材料に混合してからマットレスを製造するか、相変化マイクロカプセルをマットレスの表面にコーティングするか、または相変化マイクロカプセルを発泡体材料の2層の間に配置し、該複数のマイクロカプセルを介して外部環境からの熱を吸収するようにしている。したがって、相変化材料によって提供される特性を有するマットレスは、理論的には、熱を迅速に放散することができるため、エアコンやヒーターのような温度調整用の電子機器を頻繁に使用する必要がなく、使用者は横になったときに比較的快適な環境を得ることができるはずである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、相変化マイクロカプセルを発泡材に混入するか、マットレスの表面に塗布するか、2層の発泡材の間に配置するかにかかわらず、その実用化には一定の問題点がある。相変化マイクロカプセルを発泡材に混入することの問題点は、マットレスの製造過程で相変化マイクロカプセルを発泡材に混入すると、相変化マイクロカプセルがマットレスの弾力性や滑らかさを阻害し、品質の低下を招くことにある。また、マットレスの表面に相変化マイクロカプセルをコーティングすることの問題点は、使用者がマットレスの上に横になったときに、体が相変化マイクロカプセルを覆って押し付けられてしまうことになるため、相変化マイクロカプセルが急激に過剰な熱を吸収し、外部環境の温度によって温度を下げることができず(相変化マイクロカプセルの表面積が使用者の身体と発泡材に覆われてしまうため)、蓄積された熱を放散できず、最終的には期待した効果が得られないという問題があった。また、相変化マイクロカプセルを2層の発泡材の間に配置することの問題点は、相変化マイクロカプセルの配置深さが比較的固定されているため、相変化マイクロカプセルを配置する相対的な深さを実用上の要求に応じて自由に調整できないことにある。さらに、発泡材料の複数の層の接着は、余計な手間および時間を必要とするだけでなく、隣接する発泡材料の間の接着層は、発泡材料の全体的な柔らかさに悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、相変化マイクロカプセルに関連する特性に基づいて、従来のマットレス構造をどのように改善することができるかは、関連する技術において重要な課題となっている。
【0006】
相変化マイクロカプセルを従来のマットレスに適用することに関連する上記の技術的不備、すなわち歩留まりの悪化、または蓄熱が溜まる問題に対応して、本発明において、関連する研究、試験、および改良における長年の実務経験にて、熱の蓄積に関する長年の問題を解決することができる通気性のある担持体が、提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る1つの目的は、キャリア本体及び複数の温度調節ユニットを備える温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体を提供することである。なかでも、前記キャリア本体に複数の微細孔が分布され配置される。前記キャリア本体は弾性特性を有し、微多孔性エラストマー(例えば、ポリウレタンフォーム)または繊維集合体(例えば、ポリエステル綿または3Dファブリック)であってもよい。各前記温度調節ユニットのそれぞれは、複数の相変化マイクロカプセル及び粘着剤を含む。前記複数の相変化マイクロカプセルと前記粘着剤は、重量%に基づいて、50~90:50~10の割合で混合される。各前記温度調節ユニットは、点接着注入工程で、前記キャリア本体内に内蔵され位置決められるように埋め込まれる。それにより、各前記温度調節ユニットは、前記キャリア本体における一部の領域の前記複数の微細孔を埋めるようになり、それで、各前記温度調節ユニットに対応および近接する位置は、複数の温度調整領域をなしている。なかでも、各前記温度調節ユニットの各々の間の水平方向の間隔距離および/または垂直方向の間隔距離は、同じであっても異なっていてもよい。そのように、使用者が前記通気性のある担持体に横たわった時、前記温度調節ユニットの相変化マイクロカプセルは、微細孔を介して回りの外気と連通することができ、温度調整の効果を得ることができる。
【0008】
本発明本発明に係るもう1つの目的は、温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体の製造方法を提供することである。前記製造方法は、複数の微細孔が分布された弾性特性を有するキャリア本体を点接着装置のステージに配置し、制御信号に基づいて、前記点接着装置の点接着ノズルを前記キャリア本体の所定位置に移動させて、温度調節ユニットを注入することにより、前記温度調節ユニットを前記キャリア本体における一部の領域の前記複数の微細孔に完全に充填させて、前記温度調節ユニットに対応および近接する位置に温度調整領域を形成する方法である。なかでも、前記温度調節ユニットは、少なくとも複数の相変化マイクロカプセル及び粘着剤を混合して生成されたものである。
【発明の効果】
【0009】
それにより、前記製造方法で形成した通気性のある担持体は、単純な構造を有し、発泡体の発泡工程を伴わないため、このようにして製造された通気性のある担持体は製品歩留まりと品質の両方を維持することができ、形状や大きさの異なる他の関連製品との併用が可能となる。
【0010】
本発明の目的、技術的特徴、および機能をよりよく理解するために、以下は、図面を参照しながら、いくつの実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第1の実施形態の通気性のある担持体を示す側面図である。
図2】本発明に係る点接着装置及び通気性のある担持体を示す模式図である。
図3】本発明に係る第2の実施形態の通気性のある担持体を示す側面図である。
図4】本発明に係る第3の実施形態の通気性のある担持体を示す上面図である。
図5】本発明に係る第4の実施形態の通気性のある担持体を示す側面図である。
図6】本発明に係る温度調節ユニットに含まれる高熱伝導性材料を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、温度調節ユニットを内蔵した通気性のある担持体及びその製造方法に関する。なかでも、前記通気性のある担持体1は、マットレス、クッション、または保護具のような製品の材料として機能する。図1を参照されたい。図面の説明を容易にするために、図1の位置関係に基づき、以下での説明の全体に対する位置関係を表しており、その上部を構成要素の上面と見なし、下部を構成要素の下面と見なし、その右側を構成要素の右側と見なし、左側を構成要素の左側と見なす。第1の実施形態において、前記通気性のある担持体1は、少なくともキャリア本体12及び温度調節ユニット13で構成される。なかでも、前記キャリア本体12に弾性特性が付与され、かつ、前記キャリア本体12に複数の微細孔が分布される。前記複数の微細孔は、異なる層に千鳥状に配置され、互いに空間的に連通しているため、キャリア本体12は、通気性(通気性)、緩衝性、圧力解放性が良好である。
【0013】
図1をさらに参照して、前記キャリア本体12は、微多孔性エラストマー(例えば、ポリウレタンフォーム)または繊維集合体(例えば、ポリエステル綿または立体織物)であってもよい。なかでも、微多孔性エラストマーとは、微細孔が形成された弾性材を意味し、反応射出成形(reaction injection molding、RIM)等の成形技術により形成することができ、より大きな衝撃や振動力を吸収できるように、良好な弾性と優れた変形性を有するものである。また、前記微多孔性エラストマーは、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、メラミン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ゴム、ラテックス、シリコーンのうちの少なくとも1つからなるものを用いることができる。さらに、繊維集合体は、高い構造安定性を有する繊維(例えば、ポリエステル綿、3Dファブリック)を製造するために、特定の繊維成形工程を経た可撓性繊維から形成され、前記繊維集合体上に細孔が形成される。前記繊維集合体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、およびポリイミドのうちの少なくとも1つからなる。さらに、前記通気性のある担持体1がマットレスとして製造される状況において、前記キャリア本体12は、使用者が前記キャリア本体12の上に横たわったときに、使用者の体重から生じる力が前記キャリア本体12の上面から前記キャリア本体12の下面に向かって均等に伝達される。一方、使用者によって発生した熱(すなわち、熱エネルギー)は、複数の細微孔内に分散され、その後、外部環境に放散されるような、緩衝効果および圧迫緩和効果を達成することができる。
【0014】
図1に戻し、第1の実施形態において、前記温度調節ユニット13のそれぞれは、複数の相変化マイクロカプセル131及び粘着剤132(例えば、樹脂)を含む。なかでも、相変化マイクロカプセル131とは、マイクロカプセルに相変化材が封止されたものである。また、前記複数の相変化マイクロカプセル131は、肉眼では判別不能な小さい体積を有する。なお、本願の図面では、前記複数の相変化マイクロカプセル131に関して相対的な位置関係を説明するために、前記複数の相変化マイクロカプセル131が模式的に示されている。前記複数の相変化マイクロカプセル131は、前記粘着剤132と混合することにより、前記粘着剤132に包まれるようになる。その後、点接着注入工程にて、前記温度調節ユニット13のそれぞれは、前記キャリア本体12内に内蔵され位置決められるように分布される。なかでも、前記キャリア本体12に数多くの微細孔が形成されているため、前記温度調節ユニット13のそれぞれは、一部の領域の微細孔を完全に充填するようになる。かつ、前記粘着剤132によっては、前記複数の相変化マイクロカプセル131がグループになって前記キャリア本体12に埋め込まれることを確保することができる。この時、前記キャリア本体12における各前記温度調節ユニット13に近接し、対応する位置は、温度調整領域として形成される。
【0015】
図1及び図2を参照されたい。第1の実施形態において、前記複数の相変化マイクロカプセル131と前記粘着剤132とは、重量%に基づいて、50~90:50~10の割合で前記温度調節ユニット13として混合される。その後、前記温度調節ユニット13は、点接着装置Gに充填される。次に、作業員は、前記キャリア本体12を前記点接着装置GのステージG1に載置する。前記作業員は、温度調整領域の配置位置及び温度調整の範囲を制御するために、製品のニーズに応じて、予め端末装置S(たとえばコンピュータ)に、前記キャリア本体12における前記温度調節ユニット13を注入すべき箇所、及び前記温度調節ユニット13の注入量を設定することができる。前記端末装置Sは、少なくとも1つの制御信号を前記点接着装置Gに送信し得、前記点接着装置Gは、前記制御信号の内容に基づき、点接着ノズルG2を前記キャリア本体12の下面から前記キャリア本体12内の特定した位置に延在させて、さらに、ピストンに接続された送り管に温度調節ユニット13を押し込み、ピストンがアップストロークされると、ピストン室は前記温度調節ユニット13、即ち、前記複数の相変化マイクロカプセル131及び粘着剤132で満たされ、さらに、ピストンを押し下げると、各前記温度調節ユニット13が点接着ノズルG2から押し出されて前記キャリア本体12に噴射される。それにより、前記キャリア本体12内に対応的に温度調整領域が形成される。なお、本発明に係る別の実施形態において、前記点接着ノズルG2が前記キャリア本体12の上面から前記キャリア本体12内に延在されることも可能である。なお、作業員の制御により、対応的な制御信号を生成して点接着装置Gを点接着注入工程を実行させるように制御し、温度調節ユニット13をキャリア本体12に注入するように構成することができる限り、前記端末装置Sと点接着装置Gとは、直接一体化して単一の装置を形成することができる。
【0016】
図3を参照されたい。第2の実施形態において、前記キャリア本体12内に複数の温度調節ユニット13が配置されることが可能である。図3におけるキャリア本体12の縦断面によれば、横方向に沿って配置された温度調節ユニット13の各々の間の横方向の間隔(水平方向の間隔距離)Lと、縦方向に沿って配置された温度調節ユニット13の各々の間の縦方向の間隔(垂直方向の間隔距離)Hとは同じであることが観察される。熱を吸収することにより固体状態から液体状態に変化するため、固体状態から液体状態への移行の間に、前記複数の温度調節ユニット13によって大量の潜熱が蓄えられたり放出されたりするため、実質的に一定の相変化温度に維持されることになる。前記複数の相変化マイクロカプセル131の熱吸収プロセスは、熱伝導の一形態と取ることができ、すなわち、より高い温度領域からより低い温度領域に熱エネルギーが移動するプロセスは、ある分子から別の分子に振動エネルギーが移動する結果である。したがって、製造業者は、温度調節ユニット13を前記キャリア本体12内に互いに等距離に離間させるように埋め込むだけで、温度調節ユニット13の周囲の周囲温度を低下させ、温度調整領域を形成する効果を達成することができ、それによって前記キャリア本体12を涼しく快適な状態に保つことができ、その製造における利便性を向上させることができる。
【0017】
前述の実施形態では、複数の温度調節ユニット13の間の水平方向の間隔距離Lおよび垂直方向の間隔距離Hは同じままであっても、本発明はそれに限定されない。図4を参照されたい。本開示の第3の実施形態では、通気性のある担持体1がマットレスとして製造される場合、製造業者は、通気性のある担持体1を実用的な要求に応じてカスタマイズすることができる。一般に、人体のコアボディ領域は比較的高い温度を有するため、使用者が前記キャリア本体12の上に横たわったとき、使用者のコアボディ領域に対応する前記キャリア本体12の領域は、熱伝導率を高めるように、温度調節ユニット13の各々をより密に注入して、温度調整領域のより密な領域(例えば、より小さい水平距離Lを有する領域)を形成することができる。使用者のコアボディ領域に対応する領域を取り囲む前記キャリア本体12の領域では、使用者のより少ない身体領域がそこに横たわっているので、温度調節ユニット13の各々をより分散に注入して、温度調整領域のより分散な領域(例えば、より大きな水平距離を有する領域)を形成することができる。そのように、使用者が前記キャリア本体12の上に横たわった後、各温度調節ユニット13の熱伝導を介して、相変化マイクロカプセル131は、前記キャリア本体12の細微孔を介して人体のコアボディ領域から周囲に熱を伝達することができるので、周囲の環境からの空気と連通し、外部環境の温度を介して急速に温度を下げることができ、エアコンやヒーターなどの温度調整用電気機器を頻繁に使用する必要がなく、横たわったときに比較的快適な環境を使用者に提供することができる。前記キャリア本体12における使用者の頭部が載置される領域では、温度調節ユニット13を注入しなくてもよい。一般的にはマットレスの頭部に枕が配置され、枕がある程度の厚みを有し、各温度調節ユニット13が効果的に放熱することが難しいことを考慮すると、使用者の頭部に対応する前記キャリア本体12の領域には、コスト削減のために温度調節ユニット13を注入する必要はないが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図5を参照されたい、本発明の第4実施形態では、前記通気性のある担持体1が保護具として製造される場合、前記キャリア本体12内の各温度調節ユニット13の間の垂直面での距離は、互いに同じであっても異なっていてもよく、前記キャリア本体12内の各温度調節ユニット13の間の水平面での距離は、互いに同じであっても異なっていてもよい。一般に、防護具を使用者に装着した場合には、当然、防護具の折り目が存在することになるので、前記キャリア本体12における温度調節ユニット13の位置を調整することにより、使用者の肌と各温度調節ユニット13との間の距離を調整することができる。また、使用者に防護具を装着すると、使用者の関節の凹部が発熱しやすくなり、該位置の放熱効率を高めるために、各温度調節ユニット13を、使用者の関節の凹部に対応する前記キャリア本体12の領域に、より密に注入することができる。一方、前記キャリア本体12の辺縁の領域に、点接着注入工程で、各温度調節ユニット13を低い密度で分散することができる。それにより、使用者に対し、皮膚が相変化マイクロカプセル131を圧迫して覆うことはないので、運動から発生する熱の蓄積を放散させることができないことは生じない。また、前記複数の相変化マイクロカプセル131は前記キャリア本体12での微細孔を介して、前記キャリア本体12の周りの外気と連通され、前記複数の相変化マイクロカプセル131は、前記キャリア本体12から間接的に使用者の熱を吸収した後、その熱を外気によって急速に放熱して冷却することができる。前記キャリア本体12を涼しく快適な状態に保つことができ、前記通気性のある担持体1を着用したままで運動をしていても使用者が暑苦しいと感じることを回避することが可能となる。
【0019】
図6を参照されたい。本発明の他の実施形態では、温度調節ユニット13の各々は、グラフェン、窒化ホウ素、または酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つであり得る高熱伝導性材料133をさらに含む。前記各材料の特性については、以下に詳細に説明する。また、高熱伝導性材料133の体積は微小であり、肉眼では判別不能である。なお、本願の図面では、前記高熱伝導性材料133に係るそれらの相対的な位置関係を説明するために、前記高熱伝導性材料133が模式的に示されているに過ぎない。グラフェン(Graphene)は、炭素原子をsp混成軌道で形成された六角形のハニカム状の平面膜であり、世界で最も薄くて硬いナノ材料である。内部の炭素原子同士の結合は非常に柔軟であるため、グラフェンに外力が加わったときには、炭素原子同士の結合が曲がったり変形したりして、外力に適応するために炭素原子同士が再配列する必要がなく、安定した構造を維持ことができる。この安定した格子構造により、グラフェンは優れた熱伝導性を持っている。窒化ホウ素(BN)は、窒素原子とホウ素原子が同数の二重化合物で、グラファイトと同様の六角形の層状構造を持ち、大気中1000℃、真空中1400℃、不活性ガス中2800℃で安定な状態を保つことができ、優れた熱伝導性を有する材料の一種である。球状アルミナ(Aluminium oxide)は、高熱伝導性、高絶縁性、高硬度、高耐熱性、耐摩耗性、耐食性等の特性を有している。以上の特性に基づいて、製造者は、実用上のニーズに応じて、複数の相変化マイクロカプセル131と高熱伝導性材料133とを、重量%に基づいて55~99.9:45~0.1の割合で混合して、より優れた熱伝導性を有する温度調節ユニット13を提供することができる。
【0020】
本発明では、点接着注入工程を採用しているため、点接着装置に係る注入する際の圧力、注入量、注入速度、注入タイミング、停止タイミングを制御できれば、凹凸物への注入にも十分適応できるため、各前記温度調節ユニット13を前記キャリア本体12内に分散して固定的に埋め込むことが可能となる。したがって、前記キャリア本体12の厚さ、大きさ、形状を限定するものではなく、通気性を高めて相変化マイクロカプセル131による温度を一定に保つ効果を得ることができ、構造が簡単で、形状や大きさの異なる製品に対しても容易に実施できるという利点を有する前記キャリア本体12を提供することができる。
【0021】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0022】
1 通気性のある担持体
12 キャリア本体
13 温度調節ユニット
131 相変化マイクロカプセル
132 粘着剤
133 高熱伝導性材料
L 水平方向の間隔距離
H 垂直方向の間隔距離
G 点接着装置
G1 ステージ
G2 点接着ノズル
S 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6