IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンテレック アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図1a
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図1b
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図2
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図3
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図4
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図5
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図6
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図7
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図8a
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図8b
  • 特許-アキシアル・ピストン・ポンプ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】アキシアル・ピストン・ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/00 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
F04B53/00 J
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020208885
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2021099099
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】19218312.7
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520011027
【氏名又は名称】コンテレック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メリック アムシュトゥッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ バッハマン
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-082082(JP,A)
【文献】特開2017-207433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/00
F04B 1/22
F04B 1/2014
G01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピストン(64)を有し、また斜板(65)上に配置される磁気エンコーダ(5)と、前記磁気エンコーダ(5)に面するように配置される磁場センサ(7)とを有するアキシアル・ピストン・ポンプ(6)であって、
前記磁気エンコーダ(5)は、少なくとも2つの永久磁石(2、3)と、強磁性材料からなるプレート(4)とを有し、前記永久磁石(2、3)は、そのそれぞれが磁極(21、31)を前記プレート(4)に向けるように、且つこの極(21、31)がいずれの場合も前記プレート(4)によって少なくとも部分的に覆われるように、前記プレート(4)上に配置され、前記プレートに接触しない前記永久磁石(2、3)の全ての表面が、非強磁性材料で作られたハウジング(1)によって取り囲まれ、前記ハウジング(1)は、前記永久磁石(2、3)が内部に配置される少なくとも2つの凹部(121、122)を有し、前記凹部(121、122)は、前記プレート(4)によって覆われ、前記ハウジング(1)は、前記斜板(65)への固定のための少なくとも1つの固定要素(111、112)を有し、前記固定要素(111、112)は、前記ハウジング(1)の、前記プレート(4)と同じ側に配置されることを特徴とする、アキシアル・ピストン・ポンプ(6)。
【請求項2】
前記磁気エンコーダ(5)は2つの永久磁石(2、3)を有し、一方の永久磁石(2)はそのS極(21)を前記プレート(4)に向け、他方の永久磁石(3)はそのN極(31)を前記プレート(4)に向けていることを特徴とする、請求項1に記載のアキシアル・ピストン・ポンプ(6)。
【請求項3】
前記永久磁石(2、3)と前記プレート(4)との間の距離が、いずれの場合にも最大で500μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアキシアル・ピストン・ポンプ(6)。
【請求項4】
前記プレート(4)は、0.5mmから1.2mmの範囲内の厚さを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアキシアル・ピストン・ポンプ(6)。
【請求項5】
前記プレート(4)は、前記プレート(4)が前記ピストン(64)に面するように、且つ前記永久磁石(2、3)が前記磁場センサ(7)に面するように、前記磁場センサ(5)と前記ピストン(64)との間に配置されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載のアキシアル・ピストン・ポンプ(6)。
【請求項6】
前記プレート(4)は、前記斜板(65)の1つの位置において前記ピストン(64)に平行に配置されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載のアキシアル・ピストン・ポンプ(6)。
【請求項7】
両方の永久磁石(2、3)の長手軸が、前記斜板(65)の1つの位置において前記ピストン(64)に平行に配置されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載のアキシアル・ピストン・ポンプ(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜板上に磁石エンコーダが配置されるアキシアル・ピストン・ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
アキシアル・ピストン・ポンプは、機械的エネルギーを水力(液圧)エネルギーに変換するために水力学(液圧技術)で使用されるデバイスである。アキシアル・ピストン・ポンプは、重機械類及びプラスチック機械類などの産業的用途、並びに移動式作業機械(mobile work mochine)において使用される。したがって、傾斜軸ポンプと斜板ポンプは、区別される。アキシアル・ピストン・ポンプは、一定の又は可変の送達量、及び、一定の又は可変の送達方向を有し得る。
【0003】
アキシアル・ピストン・ポンプのさらなる応用分野は、車両における静油圧変速機での使用である。この場合、出力(回転速度及びトルク)が、最高500バールの油圧を介して伝達される。油の流れは継続的に制御可能であり、結果として非常に高い出力密度で継続的に調節可能な伝達がもたらされる。典型的な応用分野は、掘削機、ホイール・ローダ、トラクタ、除雪車(snow groomer)、刈り取り脱穀機、及び他の多くの低速移動車両である。アキシアル・ピストン・ポンプの動作を監視するために、アキシアル・ピストン・ポンプの可動要素に磁石が取り付けられ得る。すると、アキシアル・ピストン・ポンプのハウジングに取り付けられた磁場センサにより、磁石の移動が監視され得る。
【0004】
EP0343581A1は、アキシアル・ピストン・ポンプのピストン上にピストンの往復運動と同一の方向に一列に配置される複数の磁石の取付けについて説明している。磁場センサはパルス信号を生成し、このパルス信号の数は、センサに対向する複数の磁石に相関する。センサによって生成されるパルスの数は、計数デバイスを使用して計数され得る。しかし、これは、磁石をピストンにしっかりと設置することを必須にする。
【0005】
磁場センサによりアキシアル・ピストン・ポンプを監視することに対する別の可能性は、アキシアル・ピストン・ポンプの斜板に磁気エンコーダを取り付けることである。そうすることで、斜板の角度位置が判定され得る。しかし、アキシアル・ピストン・ポンプの強磁性ピストンが移動するときに、それらは磁気エンコーダの磁場への干渉源として機能する。そのような磁気エンコーダの調整不良は、考慮すべき非線形性の原因となる。
【0006】
DE4015006A1は、斜板に接続された永久磁石の移動を検出する磁場センサを有する、斜板式圧縮機を説明している。圧縮機に取り付けられた結合コイルの磁気漏れ流れの、送達速度検出器(delivery rate detector)の測定結果への憂慮すべき影響は、結合コイルの適切な給電によって抑えられる。
【0007】
DE202009008372U1は、正面向きに極性化された2つの永久磁石を有する磁気エンコーダを説明しており、2つの永久磁石は、磁気伝導性の薄板鋼板で作られたベース・プレート上に配置される。
【0008】
プラスチック接合された異方性ハード・フェライトで構成される磁気回転エンコーダが、DE102008052804A1から知られている。この磁気回転エンコーダは、好ましい磁気方位を有し、この磁気方位は、回転エンコーダの前に固定された磁気センサに面している回転エンコーダの前側の半分からもう半分へアーチ状の方向に延びる。
【0009】
米国特許出願公開第2002/0118011A1号は、線形位置又は径方向位置を判定するための位置センサについて説明している。このセンサは、2つの磁石をそれぞれが含む2つの金属プレートを有し、ホール効果センサが、金属プレート間に配置される。
【0010】
DE3423722A1は、誘導性近接スイッチについて説明しており、この誘導性近接スイッチは、透過性トリガのためにその能動表面の正面にセンサ場を有し、且つ、その発振回路がポット形状のフェライト・シェル・コアを有する発振器を有する。フェライト・シェル・コアは、飽和受感位置(saturation-sensitive position)を有するヨークによって短絡され、ヨークは、磁気的に直列に接続された2つの棒磁石の間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】EP0343581A1
【文献】DE4015006A1
【文献】DE202009008372U1
【文献】DE102008052804A1
【文献】米国特許出願公開第2002/0118011A1号
【文献】DE3423722A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、アキシアル・ピストン・ポンプの強磁性ピストンの運動により監視が邪魔されることなしにアキシアル・ピストン・ポンプに後から取り付けられ得る構成要素によりアキシアル・ピストン・ポンプを監視する方法を提供することである。さらに、構成要素は、調整不良に対しておおむね鈍感であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、斜板上に磁気エンコーダが配置されるアキシアル・ピストン・ポンプによって解決される。磁気エンコーダは、少なくとも2つの永久磁石、及び、強磁性材料で構成されたプレートを有する。具体的には、強磁性材料は、鋼鉄であってよい。永久磁石は、それぞれが磁極をプレートに向けるように、また、この極がプレートによって少なくとも部分的に覆われるように、プレート上に配置される。各極の表面の少なくとも80%がプレートによって覆われることが、好ましい。各極がプレートによって完全に覆われることが、より好ましい。この場合、プレートの寸法は、永久磁石がまたがる表面領域に少なくとも対応する。しかし、プレートは、より大きくてもよい。
【0014】
少なくとも2つの磁石、好ましくはちょうど2つの磁石を使用する場合、プレート上のそれらの配置は、アキシアル・ピストン・ポンプのピストンの運動により磁場センサが著しく影響されるのを防ぐことが、示されてきた。それと同時に、そのような磁気エンコーダは、わずかな設置スペースのみがアキシアル・ピストン・ポンプ内で使用されるように、また、その重量が斜板上でいかなる不均衡も生じさせないように、コンパクトであるように設計され得る。
【0015】
ちょうど2つの永久磁石が使用される場合、2つの永久磁石は、一方の永久磁石がそのS極をプレートに向け、もう一方の永久磁石がそのN極をプレートに向けるように、配置されることが好ましい。これは、センサによる両方の永久磁石の単純な差別化を可能にし、それにより、磁気エンコーダの起こり得る調整不良に起因する非線形性が容易に補償され得る。
【0016】
磁場センサに対するアキシアル・ピストン・ポンプのピストンの影響を最小限に抑えるために、永久磁石とプレートとの間の距離が最大で500μmであることが好ましく、最大で100μmであることがより好ましい。この距離は、例えば、永久磁石とプレートとの間の構造上の空隙であってよく、又は、この距離は、非強磁性充填材料によって満たされてもよく、この非強磁性充填材料は、プレートを永久磁石に結合する働きをしてもよい。両方の永久磁石が好ましくは間隙を伴わずにプレート上に配置されることが、特に好ましい。
【0017】
プレートの厚さは、好ましくは0.5mmから1.2mmの範囲内であり、より好ましくは0.6mmから1.0mmの範囲内であり、最も好ましくは0.7mmから0.9mmの範囲内である。プレートがより薄い場合、磁場センサはアキシアル・ピストン・ポンプのピストンの運動により強く影響される。より厚いプレートは、もはやピストンの運動の干渉効果に対する遮蔽の実質的な改善をもたらさない。むしろ、より厚いプレートは、単に設計の拡大をもたらし、且つ、磁気エンコーダの重量を増大させる。
【0018】
永久磁石の短絡を回避するには、プレートに接触しない永久磁石の全ての表面が少なくとも1つの非強磁性材料によって取り囲まれることが、好ましい。この点において、プレートは、曲率がプレートを永久磁石間で延長させない限りは、曲率を有することもできる。非強磁性材料は、具体的にはプラスチックである。
【0019】
アキシアル・ピストン・ポンプの特に単純な実施例では、永久磁石は、追加の構成要素の支援を伴わずにプレートに取り付けられる。ただの空気ではない非強磁性材料で永久磁石を取り囲むために、永久磁石は、例えば鋳造用化合物でオーバモールドされてもよい。しかし、磁気エンコーダは、非強磁性材料で作られたハウジングを有することが好ましい。このハウジングは、永久磁石が内部に配置される2つの凹部を有する。凹部は、プレートによって覆われる。これは、永久磁石をハウジングの凹部内に挿入し、次いでハウジングにプレートを取り付けることにより凹部を閉じることによる、磁気エンコーダの容易な生産を可能にする。基本的に、ハウジングは、永久磁石を収容する働きをしない、生産に関連するさらなる凹部も有することができる。
【0020】
磁気エンコーダを斜板に取り付けるために、ハウジングが少なくとも1つの固定要素を有することが、好ましい。この固定要素は、斜板に固定されるように設計される。磁気エンコーダの調整不良を防ぐために、ハウジングが幾つかの固定要素を有することが、好ましい。少なくとも1つの固定要素は、プレートと同じ側でハウジング上に配置される。固定要素は、磁気エンコーダが斜板に取り付けられるときに、斜板に向かって回転されるので、これは、プレートが永久磁石をアキシアル・ピストン・ポンプのピストンから遮蔽し得るように、プレートをアキシアル・ピストン・ポンプのピストンの方に向けさせる。
【0021】
アキシアル・ピストン・ポンプは、幾つかのピストンを有する。磁気エンコーダは、アキシアル・ピストン・ポンプの斜板上に配置される。さらに、アキシアル・ピストン・ポンプは、磁場センサ、具体的にはホール効果センサを有する。磁場センサは、磁気エンコーダに面するように配置される。斜板の角度がポンプ・シャフトに対して変化すると、これは、磁場センサに対する磁気エンコーダの移動を生じさせ、この移動は、磁場センサによって検出され得る。この移動から、斜板の角度に関する推断、したがってアキシアル・ピストン・ポンプの動作状態に関する推断が可能である。
【0022】
プレートは、ピストンに面するように磁場センサとアキシアル・ピストン・ポンプのピストンとの間に配置されることが好ましい。すると、永久磁石は、磁場センサに面する。これは、プレートが永久磁石及び磁場センサをピストンから遮蔽することを可能にする。
【0023】
斜板の1つの位置において、磁場センサのプレートは、ピストンに平行に配置されることが好ましい。この位置は、具体的には、ポンプ・シャフトに対する既知の所定の角度に斜板が位置する、斜板の静止位置であり得る。磁場センサのこの配置は、斜板の角度の非常に単純且つ確実な判定を可能にする。さらに、両方の永久磁石の長手軸が斜板の1つの位置においてピストンに平行に配置されることが、好ましい。この位置は、具体的には、斜板の静止位置である。永久磁石のこの配置は、磁場センサによる磁気エンコーダの位置判定へのピストンの影響を最小限に抑える。
【0024】
本発明の例示的な実施例が、図面に示され、且つ、以下の説明においてより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1a】本発明の例示的な実施例による磁気エンコーダのハウジングの等角図である。
図1b】本発明の例示的な実施例による磁気エンコーダのハウジングの等角図である。
図2】プレートが取り外されている、本発明の例示的な実施例による磁気エンコーダの等角図である。
図3】本発明の例示的な実施例による磁気エンコーダの等角図である。
図4】本発明の例示的な実施例による磁気エンコーダの断面概略図である。
図5】アキシアル・ピストン・ポンプの要素の概略図である。
図6】本発明の例示的な実施例におけるアキシアル・ピストン・ポンプ内の磁気エンコーダの配置を示す断面概略図である。
図7】本発明によるものではない磁気エンコーダの断面概略図である。
図8a】斜板上の磁気エンコーダの調整不良が生じた際の線形性の変化を示す図である。
図8b】斜板上の磁気エンコーダの調整不良が生じた際の線形性の変化を示す図である。
図9】本発明によるものではない別の磁気エンコーダの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1a及び1bでは、本発明の例示的な実施例による磁気エンコーダのハウジング1が示されている。このハウジング1は、亜鉛で構成され、且つ、ダイ・カスティングによって作製され得る。ハウジング1は、互いに一体に接続される第1のセクション11及び第2のセクション12に分割される。ハウジング1は、図1aではその上側から示されており、図1bではその下側から示されている。第1のセクション11は、第2のセクション12よりも薄く、第2のセクション12は、第1のセクション11に対してハウジング1の上側に向かって突出する。第1のセクション11は、下側上のピンの形態をした2つの固定要素111、112を有する。これらは、斜板上の磁気エンコーダの位置を正確に調整するのに役立つ。第2のセクション12は、下側に向かって開口している。第2のセクション12は、実質的に立方形の2つの凹部121、122を有し、それらの長手軸は、平行に延び、且つ、第1のセクション11に向かって延在する。これらの2つの凹部121、122は、永久磁石を収容するように設計される。永久磁石を収容するために設けられるのではない第3の凹部123が、第1の2つの凹部121、122間に配置される。第3の凹部123は、ダイ・カスティング法でハウジング1を製造するために使用される。4つのピン124から127が、第2のセクション内に配置され、且つ、下側から離れるように延在する。これらのピンは、第1の2つの凹部121、122を閉じるプレートにハウジング1を接続するのに役立つ。
【0027】
図2では、2つの永久磁石2、3がどのようにしてハウジング1の2つの凹部121、122内に配置され得るかが示されている。さらに、鋼鉄で構成されるプレート4が示されている。プレート4は4つの開口部を有し、それらの位置は、ピン124から127の位置に対応する。ハウジング1、2つの永久磁石2、3、及びプレート4は、本発明の例示的な実施例による磁気エンコーダ5を一緒に形成する。
【0028】
図3では、磁気エンコーダ5が、その組み立てられた状態で示されている。プレート4は、ここでハウジング1の第2のセクション12内の全ての凹部121から123を覆っている。プレート4は、2つの永久磁石2、3上に隙間を含むことなく位置するように、ピン124から127によって押さえつけられる。ここでは、プレート4は、2つの永久磁石2、3を完全に覆い、また、永久磁石2、3がまたがる矩形の表面領域を越えて延在する。
【0029】
永久磁石2、3の長手軸を横断する磁気エンコーダ5の断面図が、図4に示されている。永久磁石2、3は、それらの極のうちの一方がプレート4に面してプレート4に接触し、もう一方の極がプレート4と反対の側を向いてハウジング1に接触するように、それぞれ極性化される。ここでは、第1の永久磁石2のS極21は、プレート4に面し、第1の永久磁石2のN極22は、プレート4と反対の側を向く。第2の永久磁石3のN極31は、プレート4に面し、第2の永久磁石3のS極32は、プレート4と反対の側を向く。永久磁石2、3がプレート4に接触する磁気エンコーダ5の下側を除いて、永久磁石2、3は、ハウジング1の亜鉛によって取り囲まれる。
【0030】
図5は、斜板ポンプとして設計されている従来のアキシアル・ピストン・ポンプ6の構造を示す。回転可能なドラム62が、制御円板61上に配置され、制御円板61は、ポンプ・シャフト63を介して回転され得る。このアキシアル・ピストン・ポンプ6は、傾斜した斜板65上にそれぞれ取り付けられた6つのピストン64を有する。
【0031】
図6は、磁気エンコーダ5がどのようにして上記の例示的な実施例による斜板65上に配置され得るかを示す。磁気エンコーダ5は、その第2のセクション12の下側、したがってプレート4がピストン64に面するように、その固定要素111、112により斜板65に固定される。アキシアル・ピストン・ポンプ6の要素を封入するポンプ・ハウジング66が、磁気エンコーダ5の領域内に開口部を有し、この開口部を通して、ホール効果センサの形態をした磁場センサ7が案内される。これは、検出されるべき磁気エンコーダ5内の永久磁石2、3の移動が検出されること可能にし、したがって、ポンプ・シャフト63に対する斜板65の角度が推定されることを可能にする。永久磁石2、3はプレート4によりピストン64から遮蔽されるので、強磁性鋼で構成されるピストン64は、2つの永久磁石2、3の移動中、それらの磁場を最小限にしか乱さない。さらに、磁気エンコーダ5内の永久磁石2、3の長手軸は、ピストン64の長手軸に平行に延びる。
【0032】
比較的な実例として、図7は、本発明によるものではない磁気エンコーダ8の構造を概略的に示す。この磁気エンコーダ8は、2つの極811、812を有する単一の永久磁石81を有する。ここでは、N極811は、永久磁石81の長手軸の一方の端に配置されており、永久磁石81のS極822は、その長手軸のもう一方の端に配置されている。永久磁石81の1つの側面は露出されるが、永久磁石81の他の側面は、非強磁性プラスチック82によって取り囲まれる。非強磁性プラスチック82は、金属製ハウジング83によって取り囲まれる。永久磁石81は、永久磁石81の長手軸に対して直角に、プラスチック材料82により金属製ハウジング83から4mm隔てられる。
【0033】
図6に示された態様でアキシアル・ピストン・ポンプ6内に配置されたときの本発明による磁気エンコーダ5及び本発明によらない磁気エンコーダ8の線形性Lの変化が、磁気エンコーダ5、8の様々な調整不良に対して図8a及び8bに示されている。ここでは、図8aは、磁気エンコーダ5、8の平面に沿った調整不良の影響dを示し、図8bは、ピストン64と磁場センサ7との間の軸に沿った磁気エンコーダ5、8の調整不良の影響dを示す。本発明による磁気エンコーダ5は2つの永久磁石2、3を有するので、線形性L、Lの変化が、2つの永久磁石2、3に対して提示され、一方で、本発明によるものではない磁気エンコーダ8に対しては、その単一の永久磁石81の線形性L81の変化のみが示される。本発明による磁気エンコーダ5の径方向の調整不良dは、本発明によらない磁気エンコーダ8の場合よりもかなり抑えられた非線形性をもたらすことが分かる。さらに、本発明による磁気エンコーダ5は、ピストン64と磁場センサ7との間のオフセットには実質的に影響を受けないが、本発明によらない磁気エンコーダ8は、このオフセットにもかなりの非線形性で反応する。
【0034】
さらなる比較的な実例として、図9は、DE202009008372U1による、本発明によらない磁気エンコーダ9の設計を示す。この磁気エンコーダ9は、それぞれが2つの極911、912、921、922を有する2つの平行な永久磁石91、92を有する。ここでは、第1の永久磁石91のN極911は、第1の永久磁石91の長手軸の第1の端部上に配置され、また、第1の永久磁石91のS極912は、その長手軸の第2の端部上に配置される。第2の永久磁石92のS極921は、第2の永久磁石921の長手軸の第1の端部上に配置され、また、第2の永久磁石92のN極922は、その長手軸の第2の端部上に配置される。したがって、両方の永久磁石91、92は、正反対に極性化される。永久磁石91、92は、薄鋼板で作られたプレート93上に配置される。
【0035】
本発明による磁気エンコーダ5とDE202009008372U1による磁気エンコーダ9とを比較するために、x方向における長さが16.25mm、y方向における幅が6.6mm、z方向における高さが4.5mmの2つの立方形永久磁石をそれぞれが有する2つの磁気エンコーダのシミュレーションが行われた。これらは、y方向において互いに6.5mmの距離を置いて配置され、また、それぞれが、1.1Tの公称残留磁気を有する。永久磁石の極性化が、本発明による磁気エンコーダに対してはz方向に想定され、本発明によらない磁気エンコーダに対してはx方向に想定され、ここで、2つの永久磁石は、相反する方向に極性化された。z方向に6mmの距離において、本発明による磁気エンコーダでは、50mTの磁束密度がもたらされ、本発明によらない磁気エンコーダでは、1.1μTの磁束密度がもたらされた。図6による配置では、磁気エンコーダ5と磁場センサ7との間には6mmの距離が構造的に必須である。磁場センサ7の機能のために、磁場センサ7において30mTから90mTまでの範囲内の磁束密度が推奨される。これは、本発明によらない磁気エンコーダ9は、本発明による磁気エンコーダ5とは異なり、アキシアル・ピストン・ポンプ6に斜板65を取り付けることによりアキシアル・ピストン・ポンプ6を監視するのには適さないことを示す。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9