IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストラ エンソ オーユーイーの特許一覧

特許7158462精製2,5-フランジカルボン酸経路生成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】精製2,5-フランジカルボン酸経路生成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/68 20060101AFI20221014BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
C07D307/68
C07B61/00 300
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020501326
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018041694
(87)【国際公開番号】W WO2019014382
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】62/531,569
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/614,852
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/626,549
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518250715
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーユーイー
【氏名又は名称原語表記】STORA ENSO OYJ
【住所又は居所原語表記】Kanavaranta 1,00160 Helsinki Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】デン アウデン,ヘンリクス ヨハネス コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ソコロフスキー,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】ボウジー,トマス,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ダイアモンド,ゲイリー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,エリック,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ズー,グアン
(72)【発明者】
【氏名】トーセル,スタファン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ヴィンセント,ジェイ.
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0311790(US,A1)
【文献】国際公開第2016/195500(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/074482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/68
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製2,5-フランジカルボン酸(FDCA)経路生成物を製造する方法であって、
FDCAと5-ホルミルフランカルボン酸(FFCA)とを含むFDCA経路生成物を、不均一系還元触媒および溶媒の存在下、FFCAをヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)に還元するための反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、水素と接触させて、精製FDCA経路生成物を得ることを含み、
前記精製FDCA経路生成物がFDCAおよびHMFCAを含み、不純物としてのFFCAの含有量が10モル%未満であり、不純物としての5-メチル-2-フロ酸(MFA)の含有量が10モル%未満であり、不純物としてのテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸(THFDCA)の含有量が10モル%未満であること;
前記溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒であること;ならびに
前記不均一系還元触媒が、固体担体と、Cu、Ni、Co、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Rh、Os、Irおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属とを含むこと
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量が、モル純度で90%を超えることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量が、モル純度で5%未満であることを特徴とする請求項1または2の方法。
【請求項4】
前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量が、モル純度で5%未満であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項の方法。
【請求項5】
前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量が、モル純度で0.9%未満であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項の方法。
【請求項6】
FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率が25%より高いことを特徴とする請求項1~のいずれか1項の方法。
【請求項7】
前記固体担体が、炭素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、Alおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項の方法。
【請求項8】
前記不均一系還元触媒が助触媒をさらに含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項の方法。
【請求項9】
前記助触媒が、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Ru、Cu、Zn、Sb、Bi、Sn、Au、Ag、Pb、Teおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項の方法。
【請求項10】
前記固体担体の表面積が200m/g未満であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項の方法。
【請求項11】
前記水混和性非プロトン性有機溶媒が、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項の方法。
【請求項12】
前記グライム類が、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライムおよびポリグライム類からなる群から選択されることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項13】
水と前記水混和性非プロトン性有機溶媒の比率が1:6~6:1(v/v)の範囲であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項の方法。
【請求項14】
FDCA経路生成物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)が1:0.001~1:1の範囲であることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項の方法であって、
(a)フラン系酸化基質と酸化溶媒とを含む酸化供給原料を、不均一系酸化触媒の存在下、フラン系酸化基質を酸化させてFDCA経路生成物を得るための反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、酸素と接触させて、FDCA経路生成物を生成させることをさらに含み、
前記FDCA経路生成物が、FDCAとFFCAとを含むこと;
接触工程(a)の間、前記反応混合物に基が添加されいこと;
前記不均一系酸化触媒が、固体担体と貴金属とを含むこと;
前記不均一系酸化触媒が複数の細孔を含み、20m/g~500m/gの範囲の比表面積またはこの範囲内の任意の数値で示される比表面積を有すること;および
請求項1に記載の溶媒と前記酸化溶媒が同一であること
を特徴とする方法。
【請求項16】
前記フラン系酸化基質が、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、ジホルミルフラン(DFF)、ヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)およびホルミルフランカルボン酸(FFCA)からなる群から選択されることを特徴とする請求項15の方法。
【請求項17】
前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度が少なくとも5重量%である請求項15または16の方法。
【請求項18】
前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度が少なくとも10重量%であることを特徴とする請求項17の方法。
【請求項19】
請求項1518のいずれか1項の方法であって、第2の酸化工程をさらに含み、該第2の酸化工程が、
(b)第2のフラン系酸化基質と第2の酸化溶媒とを含む第2の酸化供給原料を、第2の不均一系酸化触媒の存在下、第2のフラン系酸化基質を酸化させて第2のFDCA経路生成物を得るための第2の反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、酸素と接触させて、第2のFDCA経路生成物を生成させることを含み、
前記第2のFDCA経路生成物が、FDCAとFFCAを含むこと;
(第1の)接触工程(a)において、第1のFDCA経路生成物が生成され、該第1のFDCA経路生成物がFDCA経路の中間体化合物のみであるか、またはFDCA経路の中間体化合物およびFDCAであること;
前記第2のフラン系酸化基質が第1のFDCA経路生成物であること;
(第2の)接触工程(b)の間、前記第2の反応混合物に基が添加されいこと;ならびに
前記第2の不均一系酸化触媒が、第2の固体担体と、2の貴金属とを含むこと
特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項の方法であって、99%を超えるモル純度を有するFDCAを製造するために、精製FDCA生成物を結晶化させることをさらに含む方法。
【請求項21】
前記方法が150℃以下の温度で実施されることを特徴とする請求項1~20のいずれか1項の方法。
【請求項22】
精製2,5-フランジカルボン酸(FDCA)経路生成物と、不均一系還元触媒と、多成分溶媒とを含む混合物であって、
前記精製FDCA経路生成物がFDCAおよびHMFCAを含み、不純物としてのFFCAの含有量が10モル%未満であり、不純物としての5-メチル-2-フロ酸(MFA)の含有量が10モル%未満であり、不純物としてのテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸(THFDCA)の含有量が10モル%未満であること;
前記不均一系還元触媒が、固体担体と、Cu、Ni、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Rh、Os、Irおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属とを含むこと;ならびに
前記多成分溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含むこと
を特徴とする混合物。
【請求項23】
水素をさらに含む、請求項22の混合物。
【請求項24】
前記精製FDCA経路生成物における不純物としての2,5-ジホルミルフラン(DFF)の含有量が10モル%未満であることを特徴とする請求項22または23の混合物。
【請求項25】
前記FFCAおよびFDCAの少なくとも一部が前記多成分溶媒に溶解していることを特徴とする請求項2224のいずれか1項の混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
共同研究契約の当事者
開示内容および特許請求の範囲に記載の発明は、Rennovia社およびStora Enso社によりもしくはその代理として、かつ/または両当事者間で締結された共同研究契約に関連してなされたものである。当該契約は、特許請求の範囲に記載の発明がなされた日以前に効力が生じていたものであり、特許請求の範囲に記載の発明は、当該契約の範囲内で遂行された活動によりなされたものである。
【0002】
本開示は、2,5-フランジカルボン酸経路生成物から不純物を除去して精製2,5-フランジカルボン酸経路生成物を製造するための方法および混合物に関する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、5-ホルミルフラン-2-カルボキシル酸の還元および除去を含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ヒドロキシメチルフランカルボン酸の除去を含む。いくつかの実施形態において、本発明の混合物は、5-ホルミルフランカルボン酸を含む。いくつかの実施形態において、本発明の混合物は、ヒドロキシメチルフランカルボン酸を含む。
【背景技術】
【0003】
フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)は工業的に重要な化合物である。例えば、FDCAを重合させると、工業用品質のポリエステルが得られる。しかし、FDCAの製造に用いられる方法は、多くの場合、得られるFDCA生成物に不純物が含まれている。そのような不純物として、例えば、5-ホルミルフラン-2-カルボキシル酸(FFCA)が挙げられる。不純物はFDCAと分離することが難しい。不純物を含むFDCA生成物は、望ましくない色素体を形成する場合がある。色素体は、有色物質およびその前駆物質(例えば、重合反応中に有色物質に変換される可能性がある前駆物質)を含む。色素体は、FDCAの製造過程で5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の酸化により生じる反応中間体または副生成物から形成されることが知られている。色素体を形成する不純物の例としては、HMFがFDCAに酸化される過程で生じる中間体構造物である5-ホルミルフラン-2-カルボキシル酸(FFCA)が知られている。現在、不純物をFDCAと分離して除去する方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本開示は、精製2,5-フランジカルボン酸(FDCA)経路生成物を製造する方法に関し、該方法は、
FDCAと5-ホルミルフランカルボン酸(FFCA)とを含むFDCA経路生成物を、不均一系還元触媒および溶媒の存在下、FFCAをヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)に還元するための反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、水素と接触させて、精製FDCA経路生成物を得ることを含み、
前記精製FDCA経路生成物がFDCAおよびHMFCAを含み、不純物としてのFFCAの含有量が10モル%未満であり、不純物としての5-メチル-2-フロ酸(MFA)の含有量が10モル%未満であり、不純物としてのテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸(THFDCA)の含有量が10モル%未満であること;
前記溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒であること;ならびに
前記不均一系還元触媒が、固体担体と、Cu、Ni、Co、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Rh、Os、Irおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属とを含むこと
を特徴とする。
【0005】
前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で90%を超える量でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で95%を超える量でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で99%を超える量でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.1~5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量でありうる。
【0006】
前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で5%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で1%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.5%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.1%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.05%未満でありうる。
【0007】
前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.1~5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で5%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で1%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.1%未満でありうる。
【0008】
前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.1%~0.9%またはこの範囲内の任意の数値で示される量でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.9%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.5%未満でありうる。前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.1%未満でありうる。
【0009】
FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は25%より高くなりうる。FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は40%より高くなりうる。FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は75%より高くなりうる。FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は90%より高くなりうる。FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は95%より高くなりうる。FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は99%より高くなりうる。
【0010】
前記固体担体は、炭素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、Alおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。前記不均一系還元触媒は、助触媒をさらに含んでいてもよい。前記助触媒は、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Ru、Cu、Zn、Sb、Bi、Sn、Au、Ag、Pb、Teおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。前記固体担体は、成形された多孔性炭素担体であってもよい。前記固体担体は、成形された多孔性炭素担体であってもよい。前記固体担体は二酸化ジルコニウムであってもよい。前記固体担体は二酸化チタンであってもよい。前記固体担体は炭化ケイ素であってもよい。前記固体担体は、二酸化ジルコニウムと二酸化チタンとの組み合わせであってもよい。前記固体担体の表面積は、200m/g未満であってよいが0m/gではない。
【0011】
前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から選択することができる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒はエーテルであってもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、水混和性軽質有機溶媒および水混和性重質有機溶媒からなる群から選択することができる。
【0012】
水と前記水混和性非プロトン性有機溶媒の比率は、水:水混和性有機溶媒として1:6~6:1(v/v)の範囲であってもよく、この範囲内の任意の数値であってもよい。水と前記水混和性非プロトン性有機溶媒の比率は、1:6~6:1(v/v)の範囲であってもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、前記多成分溶媒中に少なくとも10vol%の割合で含まれていてもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒と水の比率(重量%)は3:2であってもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒と水の比率(重量%)は4:1であってもよい。
【0013】
前記溶媒は、水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含む多成分溶媒であってもよい。前記2種の異なる水混和性有機溶媒はいずれも水混和性非プロトン性有機溶媒であってよい。前記2種の異なる水混和性非プロトン性有機溶媒はそれぞれ、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から独立して選択することができる。
【0014】
本発明の方法は、150℃以下の温度で実施してもよい。前記方法は、50℃~130℃の範囲の温度で実施してもよく、この範囲内の任意の数値で示される温度で実施してもよい。前記方法は、80℃~120℃の範囲の温度で実施してもよく、この範囲内の任意の数値で示される温度で実施してもよい。前記方法は、70℃~125℃の範囲の温度で実施してもよく、この範囲内の任意の数値で示される温度で実施してもよい。
【0015】
前記方法は、50psi~1000psiの範囲の水素圧下で実施してもよく、この範囲内の任意の数値で示される水素圧下で実施してもよい。前記方法は、100psi~500psiの水素圧下で実施してもよい。前記方法は、200psi~525psiの範囲の水素圧下で実施してもよく、この範囲内の任意の数値で示される水素圧下で実施してもよい。前記方法の実施時間は、30分以上であってもよい。前記方法の実施時間は、30分~300分の範囲の時間であってもよく、この範囲内の任意の数値で示される時間であってもよい。
【0016】
前記FDCA経路生成物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:0.001~1:1の範囲であってもよい。前記方法は、連続流通式反応器を用いて実施してもよい。
【0017】
前記方法は、
(a)フラン系酸化基質と酸化溶媒とを含む酸化供給原料を、不均一系酸化触媒の存在下、フラン系酸化基質を酸化させてFDCA経路生成物を得るための反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、酸素と接触させて、FDCA経路生成物を生成させることをさらに含み、
前記FDCA経路生成物が、FDCAとFFCAとを含むこと;
前記反応混合物に実質的に塩基が添加されていないこと;
前記不均一系酸化触媒が、固体担体と貴金属とを含むこと;
前記不均一系酸化触媒が複数の細孔を含み、20m/g~500m/gの範囲の比表面積またはこの範囲内の任意の数値で示される比表面積を有すること;ならびに
前記溶媒と前記酸化溶媒が同一であること
を特徴とする。
【0018】
前記フラン系酸化基質は、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、ジホルミルフラン(DFF)、ヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)およびホルミルフランカルボン酸(FFCA)からなる群から選択することができる。前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度は、少なくとも5重量%であってもよい。前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度は、少なくとも10重量%であってもよい。前記不均一系酸化触媒中の前記貴金属の担持量は、該不均一系酸化触媒の重量の0.3%~5%の範囲であってもよく、この範囲内の任意の数値で示される量であってもよい。前記不均一系酸化触媒は、助触媒をさらに含んでいてもよい。前記助触媒は、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Ru、Cu、Zn、Sb、Bi、Sn、Au、Ag、Pb、Teおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。前記固体担体は、成形された多孔性炭素担体であってもよい。前記固体担体は二酸化ジルコニウムであってもよい。前記固体担体は二酸化チタンであってもよい。前記固体担体は炭化ケイ素であってもよい。前記固体担体は、二酸化ジルコニウムと二酸化チタンとの組み合わせであってもよい。前記固体担体の表面積は、200m/g未満であってよいが0m/gではない。
【0019】
前記方法は、第2の酸化工程をさらに含んでいてもよく、該第2の酸化工程は、
(b)第2のフラン系酸化基質と第2の酸化溶媒とを含む第2の酸化供給原料を、第2の不均一系酸化触媒の存在下、第2のフラン系酸化基質を酸化させて第2のFDCA経路生成物を得るための第2の反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、酸素と接触させて、第2のFDCA経路生成物を生成させることを含み、
前記第2のFDCA経路生成物が、FDCAとFFCAを含むこと;
前記(第1の)接触工程(a)において、第1のFDCA経路生成物が生成され、該第1のFDCA経路生成物がFDCA経路の中間体化合物のみであるか、またはFDCA経路の中間体化合物およびFDCAであること;
前記第2のフラン系酸化基質が第1のFDCA経路生成物であること;
前記第2の反応混合物に実質的に塩基が添加されていないこと;
前記第2の不均一系酸化触媒が、第2の固体担体と、工程(a)の(第1の)貴金属と同一または異なる第2の貴金属とを含むこと;ならびに
前記第2の不均一系酸化触媒が複数の細孔を含み、20m/g~500m/gの範囲の比表面積またはこの範囲内の任意の数値で示される比表面積を有すること
を特徴とする。
【0020】
前記方法は、99%を超えるモル純度を有するFDCAを製造するために、精製FDCA生成物を結晶化させることをさらに含んでもよい。前記方法は、99.5%を超えるモル純度を有するFDCAを製造するために、精製FDCA生成物を結晶化させることをさらに含んでもよい。前記方法は、99.8%を超えるモル純度を有するFDCAを製造するために、精製FDCA生成物を結晶化させることをさらに含んでもよい。前記方法は、99.9%を超えるモル純度を有するFDCAを製造するために、精製FDCA生成物を結晶化させることをさらに含んでもよい。
【0021】
前記精製FDCA生成物の結晶化は、第1の結晶化溶液に該精製FDCA生成物を溶解することを含んでもよく、該第1の結晶化溶液は結晶化溶媒を含み、該結晶化溶媒は、水と結晶化用水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む。前記結晶化用水混和性非プロトン性有機溶媒は、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から選択することができる。前記結晶化用水混和性非プロトン性有機溶媒はエーテルであってもよい。前記結晶化用水混和性非プロトン性有機溶媒と水の比率(重量%)は3:2であってもよい。前記結晶化用水混和性非プロトン性有機溶媒と水の比率(重量%)は、水混和性非プロトン性有機溶媒:水として4:1であってもよい。前記精製FDCA生成物は、110~120℃の温度(例えば、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119もしくは120℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度)で前記第1の結晶化溶液に溶解してもよい。前記精製FDCA生成物は、110~115℃の温度で前記第1の結晶化溶液に溶解してもよい。前記精製FDCA生成物は、120℃の温度で前記第1の結晶化溶液に溶解してもよい。前記精製FDCA生成物の結晶化は、第2の結晶化溶液に該精製FDCA生成物を溶解することをさらに含んでもよく、該第2の結晶化溶液は結晶化溶媒を含み、該結晶化溶媒は、水と結晶化用水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む。前記精製FDCA生成物の結晶化は、さらに続きの順序数が付される結晶化溶液(例えば、第3、第4、第5または第6の結晶化溶液)に該精製FDCA生成物を溶解することをさらに含んでもよく、該第2の結晶化溶液は結晶化溶媒を含み、該結晶化溶媒は、水と結晶化用水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む。
【0022】
別の一態様において、本開示は、精製2,5-フランジカルボン酸(FDCA)経路生成物と、不均一系還元触媒と、多成分溶媒とを含む混合物に関し、該混合物は、
前記精製FDCA経路生成物がFDCAおよびHMFCAを含み、不純物としてのFFCAの含有量が10モル%未満であり、不純物としての5-メチル-2-フロ酸(MFA)の含有量が10モル%未満であり、不純物としてのテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸(THFDCA)の含有量が10モル%未満であること;
前記不均一系還元触媒が、固体担体と、Cu、Ni、Co、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Rh、Os、Irおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属とを含むこと;ならびに
前記多成分溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含むこと
を特徴とする。
【0023】
前記混合物は、水素をさらに含んでいてもよい。前記精製FDCA経路生成物における不純物としての2,5-ジホルミルフラン(DFF)の含有量は10モル%未満でありうる。前記固体担体は、炭素、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、Alおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。前記不均一系還元触媒は、Cu/SiO、Cu/Mn/Al、Ni/Al、Pd/C、Ru/Cおよびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。前記固体担体は、成形された多孔性炭素担体であってもよい。前記固体担体の表面積は、200m/g未満であってよいが0m/gではない。
【0024】
前記FFCAおよびFDCAは、少なくとも一部が前記多成分溶媒に溶解していてもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から選択することができる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、水混和性軽質有機溶媒および水混和性重質有機溶媒からなる群から選択することができる。水と前記水混和性非プロトン性有機溶媒の比率は、水:水混和性有機溶媒として1:6~6:1(v/v)の範囲であってもよく、この範囲内の任意の数値であってもよい。水と前記水混和性非プロトン性有機溶媒の比率は、1:6~6:1(v/v)の範囲であってもよい。水と前記水混和性非プロトン性有機溶媒の比率は1:1(v/v)であってもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、前記多成分溶媒中に少なくとも10vol%の割合で含まれていてもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒と水の比率(重量%)は3:2であってもよい。前記水混和性非プロトン性有機溶媒と水の比率(重量%)は4:1であってもよい。
【0025】
前記多成分溶媒は、水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含んでいてもよい。前記2種の異なる水混和性非プロトン性有機溶媒はそれぞれ、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から独立して選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】複数の触媒、異なる温度および異なる反応時間で実施して比較した、FFCAからHMFCAへの還元の選択性を示した図である。
【0027】
図2】複数の触媒、異なる温度および異なる反応時間で実施した、FFCAからHMFCAおよびMFAへの還元を示した図である。
【0028】
図3】複数の触媒、異なる温度および異なる反応時間で実施した、FDCAからTHFDCAへの還元を示した図である。
【0029】
図4】複数の触媒、異なる温度および異なる反応時間で実施して比較した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCAへの還元の選択性を示した図である。図中、各還元反応において残存するFDCAの割合(%)を示す。
【0030】
図5】複数の触媒、異なる温度および異なる反応時間で実施した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCA、MFAおよびTHFDCAへの還元を示した図である。
【0031】
図6】複数の触媒、複数の触媒量、異なる温度、異なる反応時間および複数の圧力下で実施して比較した、FDCAとFFCAとの混合物からの還元の選択性を示した図である。
【0032】
図7】複数の触媒、異なる触媒量、異なる温度、異なる反応時間および異なる圧力下で実施した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCA、MFAおよびTHFDCAへの還元による生成物の分布および物質収支を示した図である。
【0033】
図8】触媒としてCu T-4874を用い、異なる触媒量、異なる温度および異なる圧力下で実施した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCA、MFAおよびTHFDCAへの還元による生成物の分布および物質収支を示した図である。
【0034】
図9】触媒としてPd/C JM-9を用い、異なる触媒量、異なる反応時間および異なる温度で実施した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCA、MFAおよびTHFDCAへの還元による生成物の分布および物質収支を示した図である。
【0035】
図10】触媒としてPd/C JM-10を用い、異なる触媒量、異なる反応時間および異なる温度で実施した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCA、MFAおよびTHFDCAへの還元による生成物の分布および物質収支を示した図である。
【0036】
図11】触媒としてRu/C JM-37を用い、異なる触媒量、異なる反応時間および異なる温度で実施した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCA、MFAおよびTHFDCAへの還元による生成物の分布および物質収支を示した図である。
【0037】
図12】触媒としてRu/C JM-38を用い、異なる触媒量、異なる反応時間および異なる温度で実施した、FDCAとFFCAとの混合物からHMFCA、MFAおよびTHFDCAへの還元による生成物の分布および物質収支を示した図である。
【0038】
図13-20】カーボンブラック担体、ジルコニア担体およびモンモリロナイト担体に担持させたBi/Ptの比率が異なる触媒を用いて、異なる触媒量、異なるPt量および異なるBi量で実施したHMF基質の酸化による生成物の分布、物質収支および空時収率(STY)を示した図である。
【0039】
図21-28】チタニア担体に担持させたBi/Ptの比率が異なる触媒を用いて、異なるPt量および異なるBi量で実施したHMF基質の酸化による生成物の分布、物質収支および空時収率(STY)を示した図である。
【0040】
図29-36】各種ジルコニア担体に担持させたPt触媒およびBi/Pt触媒を用いて、異なるPt量および異なるBi量で実施したHMF基質の酸化による生成物の分布、物質収支および空時収率(STY)を示した図である。
【0041】
図37-44】各種タングステン酸チタニア担体および各種タングステン酸ジルコニア担体に担持させたPt触媒およびBi/Pt触媒を用いて、異なるPt量、異なるBi量および異なる担体処理で実施したHMF基質の酸化による生成物の分布、物質収支および空時収率(STY)を示した図である。
【0042】
図45-47】ジルコニア担体に担持させたPt触媒を用いて異なる反応条件で実施したHMF基質の固定床接触酸化による生成物の分布および金属浸出を示した図である。
【0043】
図48-50】ジルコニア担体に担持させたBi/Pt触媒を用いて異なる反応条件で実施したHMF基質の固定床接触酸化による生成物の分布、空時収率(STY)および金属浸出を示した図である。
【0044】
図51-55】炭素担体、炭素/ZrO担体、TiO担体、ZrO担体、ZrO/TiO担体、SiC担体およびTiC-SiC担体に担持させたPt/Bi触媒、Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒を用いて、異なるPt量および異なるBi量で実施したHMF基質の酸化による生成物の分布および物質収支を示した図である。
【0045】
図56-58】ジルコニア担体に担持させたBi/Pt微粒子触媒を用いて異なる反応条件で実施したHMF基質の固定床接触酸化による生成物の分布、空時収率(STY)および金属浸出を示した図である。
【0046】
図59-60】ジルコニア/チタニア担体に担持させたBi/Pt微粒子触媒を用いて異なる反応条件で実施したHMF基質の固定床接触酸化による生成物の分布および空時収率(STY)を示した図である。
【0047】
図61-68】各種担体に担持させたPt触媒、Pt/Bi触媒、Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒を用いて実施したHMF基質の酸化による生成物の分布、物質収支および空時収率(STY)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
I.FDCA経路生成物を製造するための方法
FDCA経路生成物を製造する方法は、Rennovia社およびStora Enso社が出願した国際出願PCT/US17/13197(Sokolovskiiらを発明者とする)に記載されており、この文献は参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0049】
一実施形態において、本開示は、フラン系酸化基質の酸化によりフランジカルボン酸(FDCA)経路生成物を製造する方法を提供する。本明細書において、「フランジカルボン酸経路生成物」および「FDCA経路生成物」という用語は区別なく使用され、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)または2,5-フランジカルボン酸経路中間体化合物を指す。本明細書において使用される「フランジカルボン酸経路」という用語は、スキーム1に示すHMF(化合物I)からFDCA(化合物V)への転化を表す経路のことをいう。本明細書において、「2,5-フランジカルボン酸経路中間体化合物」および「FDCA経路中間体化合物」という用語は区別なく使用され、スキーム1の化合物II、化合物IIIおよび化合物IVに相当するジホルミルフラン(DFF)、ヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)および5-ホルミルフランカルボン酸(FFCA)のいずれかを指す。
スキーム1:フランジカルボン酸経路
【0050】
本開示は、フラン系酸化基質からFDCA経路生成物を製造する方法を含み、該方法は、
(a)フラン系酸化基質と酸化溶媒とを含む酸化供給原料を、不均一系酸化触媒の存在下、フラン系酸化基質を酸化させてFDCA経路生成物を得るための反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、酸素と接触させて、FDCA経路生成物を生成させることを含み、
前記酸化溶媒が、有機溶媒および多成分溶媒からなる群から選択される溶媒であること、
前記反応混合物に実質的に塩基が添加されていないこと、
前記不均一系酸化触媒が、固体担体と貴金属とを含むこと、ならびに
前記不均一系酸化触媒が複数の細孔を含み、20m/g~500m/gの範囲の比表面積またはこの範囲内の任意の数値で示される比表面積、例えば、20m/g、30m/g、40m/g、50m/g、60m/g、70m/g、80m/g、90m/g、100m/g、120m/g、140m/g、160m/g、180m/g、200m/g、225m/g、250m/g、275m/g、300m/g、325m/g、350m/g、375m/g、400m/g、425m/g、450m/g、475m/gもしくは500m/gの比表面積、またはこれらの比表面積のいずれか2つを上下限値とする範囲内の比表面積を有すること
を特徴とする。
【0051】
本明細書において「実質的に塩基が添加されていない」とは、反応混合物に添加された塩基が存在しないこと(すなわち塩基が添加されていないこと)、または極微量の塩基しか添加されていないことを指す。本明細書において「極微量の塩基」とは、塩基が本開示の実施において使用される反応混合物に添加されていても、反応混合物に塩基を添加しなかったこと以外は同じ条件下で実施した同じ酸化反応と比較した際の、酸化反応の生成物の収率または選択率の変化率が1%を超えない量の塩基を指す。通常、本開示の方法において、接触(すなわち酸化)工程は、塩基が存在しない条件で、例えば、反応混合物に塩基を添加せずに実施される。
【0052】
本開示の酸化プロセスにより、通常少なくとも80%の収率および通常少なくとも90%の選択率(いずれもモル換算)で所望のFDCA経路生成物を生成することができる。いくつかの実施形態において、前記収率は少なくとも85%であり、別の実施形態において、前記収率は少なくとも90%、少なくとも95%、多くの場合、少なくとも98%または少なくとも99%である。いくつかの実施形態において、前記収率は、85~90%、87~92%、90~95%、92~97%、95~98%もしくは97~99%、またはこれらの割合(%)のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。所望とするFDCA経路生成物の生成における選択率は、より典型的には、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%である。いくつかの実施形態において、所望とするFDCA経路生成物の選択率は、91~93%、92~94%、93~95%、94~96%、95~97%、96~98%もしくは97~99%、またはこれらの割合(%)のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。所望とするFDCA経路生成物は、通常、FDCAである。本明細書において「酸化供給原料」とは、フラン系酸化基質の供給源となる材料を指す。本明細書において「フラン系酸化基質」とは、HMFもしくはFDCA中間体化合物(例えば、DFF、HMFCA、FFCAもしくはこれらの組み合わせ)またはこれらの組み合わせを指す。本明細書に記載の方法を実施する際に使用される酸化供給原料はどのような形態のものであってもよく、例えば、溶液、懸濁液、分散液、エマルションなどの様々な形態から選択することができる。前記酸化供給原料は、通常、フラン系酸化基質と酸化溶媒とを含む溶液である。
【0053】
本明細書に記載の酸化プロセスにおいて、前記FDCA経路生成物は、通常、FDCAを含む。特定の実施形態において、前記フラン系酸化基質は、通常、HMFを含む。しかしながら、FDCA経路中間体化合物またはその混合物(例えば、DFF、HMFCAもしくはFFCAまたはこれらのいずれか2種以上の混合物)からなるフラン系酸化基質を使用することが望ましい場合もある。具体的には、HMFが既に酸化されてFDCA経路中間体化合物またはその混合物が得られており、このような中間体化合物を原料として使用することが可能である場合には、魅力的な選択肢である。本開示の酸化プロセスにおいて、このような中間体をフラン系酸化基質として使用した場合、生成されるFDCA経路生成物は通常FDCAを含むが、FDCA経路において、フラン系酸化基質として使用されたFDCA経路中間体の「下流」(酸化という観点から見て)に位置する別のFDCA経路中間体化合物を含んでもよい。
【0054】
前記酸化供給原料は、他の薬剤または残渣成分を含んでいてもよく、これらは該酸化供給原料に溶解するものであっても、溶解しないものであってもよい。例えば、前記酸化供給原料は、HMFまたは他のフラン系酸化基質と前記酸化溶媒とからなる粗酸化供給原料であってもよい。本明細書において「粗供給原料」とは、所望のフラン系酸化基質に加えて、該フラン系酸化基質の生成、単離および/または精製に関連する不純物および/または副生成物を含む供給原料を指す。例えば、前記酸化供給原料は、所望のフラン系酸化基質に加えて、特定のバイオマス関連成分、例えば、バイオマス由来成分や、(例えば、熱分解法、化学的分解法、機械的分解法および/または酵素分解法による)バイオマスから糖への転化(この糖は次いでHMFに転化される)に伴って生成される副生成物などを含んでいてもよい。したがって、前記酸化供給原料は、各種多糖類および/もしくは各種多糖類含有混合物(例えば、セルロース、リグノセルロース、ヘミセルロース、デンプンを含むか、これらからなる物質もしくは混合物);オリゴ糖(例えば、ラフィノース、マルトデキストリン、セロデキストリンなど);単糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなど);二糖類(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、セロビオースなど);フルフラールなどのフラン系基質;腐植質由来のオリゴマー副生成物およびポリマー副生成物(腐植質);ならびに/もしくは残留鉱酸;またはそれらの混合物から選択される成分をさらに含んでいてもよい。同様に、前記酸化供給原料は、HMFおよび/またはFDCA経路中間体化合物を含むHMF酸化生成物からなる粗供給原料であってもよい。
【0055】
本開示において提供される酸化プロセスは、収率および選択率が高いだけでなく、生成物溶液中にFDCAなどのFDCA経路生成物を比較的高濃度で得ることができる。本明細書に記載の方法の生産性の高さは、本発明で採用した不均一系酸化触媒と酸化溶媒の特性とを組み合わせたことに起因すると考えられる。
【0056】
本明細書において「酸化溶媒」とは、接触(酸化)工程が実施される温度において、前記フラン系酸化基質および所望のFDCA経路生成物がそれぞれ単独で最低でも少なくとも2重量%は溶解する有機溶媒または多成分溶媒を指す。通常、前記酸化溶媒は、接触工程が実施される温度で測定した場合に、前記FDCA経路生成物の溶解度が少なくとも3wt%または少なくとも4wt%である溶媒であり、より典型的には、前記FDCA経路生成物の溶解度が、少なくとも5wt%、少なくとも6wt%、少なくとも7wt%、少なくとも8wt%、少なくとも9wt%、少なくとも10wt%、少なくとも11wt%、少なくとも12wt%、少なくとも13wt%、少なくとも14wt%もしくは少なくとも15wt%、またはこれらの溶解度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である溶媒である。いくつかの実施形態において、前記FDCA経路生成物の溶解度は、2~4wt%、3~5wt%、4~6wt%、5~7wt%、6~8wt%、7~9wt%、8~10wt%、9~11wt%、10~12wt%、11~13wt%、12~14wt%もしくは13~15%の範囲、またはこれらの溶解度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。候補となる有機溶媒または多成分溶媒における前記FDCA経路生成物の溶解度は、公知の方法により容易に測定することができる。
【0057】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本開示で使用される酸化溶媒は、(本開示の高性能触媒を使用した)フラン系酸化基質からFDCA経路生成物への効率的な転化を促進すると考えられ、特に、反応器や触媒のファウリングを引き起こしうる生成物の沈着を生じさせないという効果がある。さらに、本開示の方法は、例えば水や、米国特許第7,700,788号に記載されているような酢酸と水の混合物などの貧溶媒を使用する方法と比べて、FDCAおよびFDCA中間体化合物を比較的高濃度で得ることができるため、プロセス生産性が高く、それほどコストをかけずに溶媒を除去することができる。したがって、本開示は、特に、FDCAおよびこれに関連する中間体の商業規模での製造に魅力的な方法を提供する。
【0058】
本開示の酸化プロセスの実施において、前記酸化供給原料が溶液の形態である場合、該酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度は、その溶解限度以下の任意の濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度は、該酸化供給原料の重量の少なくとも1wt%、少なくとも2wt%、少なくとも3wt%、少なくとも4wt%、少なくとも5wt%、少なくとも6wt%、少なくとも7wt%、少なくとも8wt%、少なくとも9wt%、少なくとも10wt%、少なくとも11wt%、少なくとも12wt%、少なくとも13wt%、少なくとも14wt%もしくは少なくとも15wt%、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度は、1~3wt%、2~4wt%、3~5wt%、4~6wt%、5~7wt%、6~8wt%、7~9wt%、8~10wt%、9~11wt%、10~12wt%、11~13wt%、12~14wt%もしくは13~15%、またはこれらの割合(重量%)のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。通常、前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度は少なくとも5wt%である。より典型的には、接触(酸化)工程が実施される温度において、前記酸化供給原料中の前記フラン系酸化基質の濃度は、少なくとも6wt%、少なくとも7wt%、少なくとも8wt%、少なくとも9wt%、少なくとも10wt%、少なくとも11wt%、少なくとも12wt%、少なくとも13wt%、少なくとも14wt%もしくは少なくとも15wt%、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、接触(酸化)工程が実施される温度において、前記酸化供給原料中のフラン系酸化基質の濃度は、6~8wt%、7~9wt%、8~10wt%、9~11wt%、10~12wt%、11~13wt%、12~14wt%もしくは13~15%、またはこれらの割合(重量%)のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
【0059】
本開示の実施において、前記フラン系酸化基質およびFDCAに対して必要最小限の溶媒和力を示す有機溶媒を単独でまたは多成分溶媒の一成分として好適に使用できる。特に、非プロトン性有機溶媒を本明細書に記載の触媒および条件と組み合わせて使用することによって、本開示の方法で達成される高い生産性をさらに向上させることが可能である。したがって、いくつかの実施形態において、前記酸化溶媒は、非プロトン性有機溶媒(例えば、エーテル類、エステル類、ケトン類など)を、単独で(例えば、単一成分溶媒として)または多成分溶媒の一成分として含む。前記非プロトン性有機溶媒が多成分溶媒中の一成分として使用される場合、該非プロトン性有機溶媒は、通常、多成分溶媒中の他の成分に対して混和性を示す。本明細書において「多成分溶媒」とは、2種、3種またはそれ以上の種類の溶媒種の混合物を指す。本開示の実施において使用される多成分溶媒は、第1の有機溶媒種、第2の有機溶媒種および水から選択される2種以上の溶媒種を含んでいてもよい。前記多成分溶媒が水と有機溶媒とを含む場合、該有機溶媒は水混和性有機溶媒である。前記水混和性有機溶媒は、通常、水混和性非プロトン性有機溶媒である。
【0060】
このような効果を示す多成分溶媒としては、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒が挙げられる。本開示の実施における使用に適した水混和性非プロトン性溶媒としては、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)および/またはγ-バレロラクトンが挙げられる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、例えば、グライム類、ジオキサン(1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどのエーテル類であることが好ましい。本開示の実施における使用に適したグライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、および/または高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)などが挙げられる。多くの場合、前記酸化溶媒は、グライム類、ジグライムまたはジオキサンである水混和性非プロトン性有機溶媒と、水とを含む多成分溶媒である。
【0061】
本開示を実施する際に酸化溶媒として使用するのに適した有機溶媒および多成分溶媒は、Rennovia社およびStora Enso社が出願したPCT出願PCT/US17/13197に記載されており、当該出願の記載と同様にして容易に確認することができる。なお、上述した通り、この文献は参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記酸化溶媒の組成は、さらに下流のプロセス(例えば、本願に記載の精製FDCA経路生成物を製造するための下流プロセスなどの、生成物の回収、精製などを行うプロセス)の必要条件、または上流プロセス(例えば、糖からフラン系酸化基質への転化)の必要条件を考慮に入れて決定してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、軽質溶媒と重質溶媒とを含む多成分溶媒を酸化溶媒として使用することが望ましい場合がある。「軽質溶媒」とは、特定の圧力下における沸点(沸騰温度)が重質溶媒よりも低い溶媒を指す。これに対して、「重質溶媒」とは、特定の圧力下における沸点(沸騰温度)が軽質溶媒よりも高い溶媒を指す。前記多成分溶媒が水と水混和性有機溶媒とを含む場合、該水混和性有機溶媒は水混和性軽質有機溶媒(例えば、水より沸点が低い水混和性有機溶媒)であってもよく、水混和性重質有機溶媒(例えば、水より沸点が高い水混和性有機溶媒)であってもよい。通常、前記水混和性軽質有機溶媒は非プロトン性軽質有機溶媒であり、前記水混和性重質有機溶媒は非プロトン性重質有機溶媒である。前記多成分溶媒中で水と組み合わされる水混和性(かつ非プロトン性)の軽質有機溶媒としては、例えば、グライム類、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどが挙げられる。前記多成分溶媒中で水と組み合わされる水混和性(かつ非プロトン性)の重質有機溶媒としては、例えば、ジオキサン、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類などが挙げられる。いくつかの実施形態(例えば、連続反応器系)において、前記酸化溶媒の全量もしくは一部またはその成分を、(例えば、蒸留を経て)製造溶液から除去し、反応混合物に再利用してもよい。このような実施形態では、酸化工程(例えば、接触工程)を実施する際の温度または該酸化工程よりも上流もしくは下流のプロセスを実施する際の温度において、共沸混合物に相当する組成または共沸混合物を形成することができる組成(例えば、「共沸組成」)を有する多成分溶媒を使用することが望ましい場合がある。共沸組成を有するこのような多成分溶媒を使用することによって、(共沸組成の一部としての)酸化溶媒を酸化工程または該酸化工程よりも上流および/もしくは下流のプロセスに再利用することが容易となる場合がある。
【0064】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水混和性有機溶媒種の割合は、少なくとも5容量%(vol%)、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%もしくは少なくとも95vol%、またはこれらの容量%のいずれか2つを上下限値とする範囲内であり;これに対応して、前記多成分溶媒系中の水の割合は、通常、95vol%未満、90vol%未満、85vol%未満、80vol%未満、75vol%未満、70vol%未満、65vol%未満、60vol%未満、55vol%未満、50vol%未満、45vol%未満、40vol%未満、35vol%未満、30vol%未満、25vol%未満、20vol%未満、15vol%未満、10vol%未満もしくは5vol%未満(ただし0vol%ではない)、またはこれらの容量%のいずれか2つを上下限値とする範囲内(ただし0vol%ではない)である。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、1~5wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、99~95wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、5~10wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、95~90wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、10~15wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、90~85wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、15~20wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、85~80wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、20~25wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、80~75wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、25~30wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、75~70wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、30~35wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、70~65wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、35~40wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、65~60wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、40~45wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、60~55wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、45~50wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、65~50wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、50~55wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、50~45wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、55~60wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、45~40wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、60~65wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、40~35wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、65~70wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、35~30wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、70~75wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、30~25wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、75~80wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、25~20wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、80~85wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、20~15wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、85~90wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、15~10wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、90~95wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、10~5wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、95~99wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、5~1wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:6~6:1またはこの範囲内の任意の数値である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~4:1またはこの範囲内の任意の数値である。別の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~3:1またはこの範囲内の任意の数値である。別の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:3~3:1またはこの範囲内の任意の数値である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:1である。
【0067】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含む。通常、前記2種の異なる水混和性有機溶媒はいずれも水混和性非プロトン性有機溶媒である。前記2種の異なる水混和性非プロトン性溶媒はそれぞれ、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)および/またはγ-バレロラクトンから独立して選択することができる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒の一方または両方が、例えば、グライム類、ジオキサン(例えば、1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどのエーテル類であってもよい。グライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、および/または高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)などが挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:1:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:2(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約2:1:1(v:v:v)である。
【0069】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含み、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒との相対量を示す。水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含む好適な多成分溶媒は、Rennovia社およびStora Enso社が出願したPCT出願PCT/US17/13197に記載されており、上述した通り、この文献は参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0070】
前記接触工程は、多くの場合、少なくとも2wt%、少なくとも3wt%、少なくとも4wt%、少なくとも5wt%、少なくとも6wt%、少なくとも7wt%、少なくとも8wt%、少なくとも9wt%、少なくとも10wt%、少なくとも11wt%、少なくとも12wt%、少なくとも13wt%、少なくとも14wt%もしくは少なくとも15wt%、またはこれらの数値のいずれか2つを上下限値とする範囲内の濃度の(溶解した)FDCA経路生成物を含む生成物溶液を得るのに十分な時間を設定して実施される。したがって、(溶解した)FDCA経路生成物を含む生成物溶液が得られる場合に生成される該FDCA経路生成物の濃度は、少なくとも2wt%、少なくとも3wt%、少なくとも4wt%、少なくとも5wt%、少なくとも6wt%、少なくとも7wt%、少なくとも8wt%、少なくとも9wt%、少なくとも10wt%、少なくとも11wt%、少なくとも12wt%、少なくとも13wt%、少なくとも14wt%もしくは少なくとも15wt%、またはこれらの数値のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。本明細書において「生成物溶液」とは、FDCA経路生成物と、反応混合物の他の成分とが酸化溶媒に溶解した状態で含まれる溶液を指す。本明細書において「特定の濃度のFDCA経路生成物を含む生成物溶液を得るのに十分な時間」とは、該生成物溶液中に所定の濃度のFDCA経路生成物が生成されるのに必要な最小時間を指す。
【0071】
本開示の実施において使用される不均一系酸化触媒は、通常、担体の内面および/または外面に分散された貴金属を含む。本明細書において「貴金属」とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金もしくは金、またはこれらの混合物を指す。特定の好ましい実施形態において、前記貴金属は、白金もしくは金、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記貴金属は白金である。いくつかの実施形態において、前記貴金属は金である。前記不均一系酸化触媒は、該触媒の性能を向上させるために、助触媒をさらに含んでいてもよい。好適な助触媒としては、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Ru、Cu、Zn、Sb、Bi、Sn、Au、Ag、PbもしくはTe、またはこれらの混合物などが挙げられる。前記貴金属が白金もしくは金、またはこれらの組み合わせである場合、好適な助触媒としては、例えば、Bi、Te、Sn、Pd、Ir、MoもしくはW、またはこれらの混合物などが挙げられる。いくつかの実施形態において、前記助触媒はBiである。いくつかの実施形態において、前記助触媒はTeである。いくつかの実施形態において、前記助触媒はSnである。
【0072】
前記不均一系酸化触媒中の前記貴金属の総金属担持量は、通常、0.3重量%~5重量%の範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は0.5重量%~4重量%の範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は2~4wt%の範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は2wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は3wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は4wt%である。2種以上の金属が使用される場合、前記不均一系酸化触媒が複数の不均一系酸化触媒粒子を含み、各触媒粒子が2種以上の金属を含んでいてもよい。あるいは前記不均一系酸化触媒が、例えば、第1の金属種を含む第1の複数の不均一系酸化触媒粒子と第2の金属種を含む第2の複数の不均一系酸化触媒粒子とからなる混合物のような、不均一系酸化触媒金属粒子種の混合物を含んでいてもよい。本開示を実施する際に使用される前記不均一系酸化触媒を製造する方法は、Rennovia社およびStora Enso社が出願したPCT出願PCT/US17/13197に記載されており、上述した通り、この文献は参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0073】
前記不均一系酸化触媒の固体担体成分は、本明細書に記載の比表面積に関する要件を満たす触媒担体として好適に使用できる、当業者に公知の任意の材料を含んでいてもよい。好適な材料としては、例えば、金属酸化物、炭素質材料、ポリマー、金属ケイ酸塩、金属炭化物、またはこれらから製造される任意の複合材料が挙げられる。金属酸化物としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)、二酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)などが挙げられる。本明細書において「炭素質」とは、黒鉛およびカーボンブラックを指し、活性化体であってもよく、活性化体でなくてもよい。金属ケイ酸塩としては、例えば、オルトケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライト)などが挙げられる。金属炭化物としては、例えば、炭化ケイ素などが挙げられる。好適なポリマー性固体担体材料としては、ポリスチレン、ポリスチレン-co-ジビニルベンゼン、ポリアミド、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
【0074】
好適な固体担体材料としては、さらに、金属酸化物、炭素質材料、ポリマー、金属ケイ酸塩および/または金属炭化物から選択される材料とバインダーから製造される複合材料、ならびに金属酸化物、炭素質材料、ポリマー、金属ケイ酸塩および/または金属炭化物から選択される材料とバインダーとを含む複合材料が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記バインダーは樹脂である。別の実施形態において、前記複合材料は、金属酸化物、炭素質材料、金属ケイ酸塩および/または金属炭化物から選択される材料と炭化バインダーとを含む。一実施形態において、前記複合材料は炭化バインダーとカーボンブラックとを含み、活性炭であってもなくてもよく、また活性炭を含有していてもいなくてもよい。このような炭素系複合材料を製造する方法は、Rennovia社が出願したPCT出願PCT/US15/28358(Diasらを発明者とする)に記載されており、この文献は参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0075】
いくつかの実施形態において、前記固体担体は、Aditya Birla社製CDX-KU、Aditya Birla社製CSCUB、Aditya Birla社製R2000B、Aditya Birla社製R2500UB、Aditya Birla社製R3500B、Aditya Birla社製R5000U2、Arosperse 5-183A、Asbury社製5302、Asbury社製5303、Asbury社製5345、Asbury社製5348R、Asbury社製5358R、Asbury社製5365R、Asbury社製5368、Asbury社製5375R、Asbury社製5379、Asbury社製A99、Cabot社製Monarch 120、Cabot社製Monarch 280、Cabot社製Monarch 570、Cabot社製Monarch 700、Cabot社製Norit Darco 12x20L1、Cabot社製Vulcan XC72、Continental社製N120、Continental社製N234、Continental社製N330、Continental社製N330-C、Continental社製N550、Norit ROX 0.8、Orion社製Arosperse 138、Orion社製Arosperse 15、Orion社製Color Black FW 2、Orion社製Color Black FW 255、Orion社製HiBlack 40B2、Orion社製Hi-Black 50 L、Orion社製Hi-Black 50 LB、Orion社製Hi-Black 600 L、Orion社製HP-160、Orion社製Lamp Black 101、Orion社製N330、Orion社製Printex L6、Sid Richardson社製Ground N115、Sid Richardson社製Ground SR155、Sid Richardson社製SC159、Sid Richardson社製SC419、Timcal社製Ensaco 150G、Timcal社製Ensaco 250G、Timcal社製Ensaco 260Gおよび/またはTimcal社製Ensaco 350G、ならびにこれらの任意の組み合わせから選択されるカーボンブラック材料を含む。
【0076】
通常、前記固体担体に金属を含浸させても、該固体担体の比表面積、細孔直径および比容積には無視できるほどの小さい変化しか起こらない。通常、本開示での使用に適した不均一系酸化触媒は、複数の細孔を含む固体担体を使用して調製され、該固体担体は、例えば、20m/g~500m/gの比表面積を有し、該比表面積は、例えば、20m/g、30m/g、40m/g、50m/g、60m/g、70m/g、80m/g、90m/g、100m/g、120m/g、140m/g、160m/g、180m/g、200m/g、225m/g、250m/g、275m/g、300m/g、325m/g、350m/g、375m/g、400m/g、425m/g、450m/g、475m/gもしくは500m/g、またはこれらの比表面積のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。比表面積は、例えば、Bruanauer、EmmettおよびTeller(J. Am. Chem. Soc. 1938, 60:309-311)による方法ならびに/または水銀圧入法などの公知の方法を使用して測定することができる。例えば、ASTM試験法D3663、D6556およびD4567を参照されたい。なお、これらの文献はいずれも参照によりその全体が本明細書に援用される。通常、本開示を実施する際に使用される不均一系酸化触媒(および固体担体)は、25m/g~250m/gの比表面積またはこの範囲内の任意の数値で示される比表面積を有しており、場合によっては、該比表面積は、25m/g~225m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~200m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~175m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~150m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~125m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、または25m/g~100m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値である。これらの比表面積は、例えば活性炭などの当技術分野でより一般的に使用される高多孔性触媒担体材料の比表面積と比べて比較的小さい。表面積が比較的小さい不均一系酸化触媒を本開示の酸化プロセスにおいて使用することは、実質的に塩基が添加されていない条件下でのフラン系酸化基質からFDCAおよびFDCA経路中間体化合物への転化において高い選択率と高い収率を達成するのに有利であると考えられる。
【0077】
比表面積が比較的小さいことと相応して、本開示を実施する際に使用される不均一系酸化触媒(およびその固体担体成分)の比細孔容積は、通常、他の酸化触媒より「やや小さい」か「小さい」。本開示の実施において使用される不均一系酸化触媒(およびその固体担体成分)は、通常、(1.7nm~100nmの直径を持つ細孔について測定した場合の)比細孔容積が、0.1cm/g~1.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.8cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.7cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.6cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.8cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.7cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.6cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~1cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.9cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.8cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.7cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.6cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、またはこれらの数値のいずれか2つを上下限値とする範囲内であり、この比細孔容積は、E.P. Barrett, L.G. Joyner, P.P. Halenda, J. Am. Chem. Soc. (1951) 73:373-380およびASTM D4222-03(2008)(これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される)に記載の方法(この方法を本明細書において「BJH法」と呼ぶ)などの、細孔直径および比細孔容積の測定法と、(例えば、Micromeritics社製Autopore V 9605水銀ポロシメーター(Micromeritics Instrument Corp.、ジョージア州ノークロス)などの水銀ポロシメーターをメーカーの説明書に従って使用した)水銀圧入法とによって測定される。例えば、ASTM 3663、ASTM D-4284-12およびD6761-07(2012)を参照されたい。なお、これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0078】
BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記不均一系酸化触媒の平均細孔直径は、通常、10nm~100nmの範囲またはこの範囲内の任意の数値である。より典型的には、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合の前記不均一系酸化触媒の平均細孔直径は、10nm~90nmの範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記平均細孔直径は、10nm~80nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、10nm~70nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、または10nm~60nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値であり、多くの場合、10nm~50nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記平均細孔直径は、20nm~100nmまたはこの範囲内の任意の数値である。これらの実施形態のうち、特定の実施形態において、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記平均細孔直径は、20nm~90nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、20nm~80nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、20nm~70nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、20nm~60nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、または10nm~50nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値である。本開示を実施する際に使用される触媒は、通常、上記した範囲のサイズの細孔が比較的高密度に含まれる。
【0079】
好適な不均一系酸化触媒は、Rennovia社およびStora Enso社が出願したPCT出願PCT/US17/13197に記載されており、上述した通り、この文献は参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0080】
いくつかの実施形態において、前記不均一系酸化触媒は、押出成形担体を用いて調製してもよい。押出成形担体を用いて調製された触媒は、FDCA経路生成物の製造に使用される工業用の連続式固定床反応器などの多くの工業用途で使用する上で有用である。工業用固定床反応器には、粉末状触媒の使用に伴う過剰な圧力低下を回避するために、押出成形物などの適切な形状や大きさの触媒を配置する必要があり、粉末状触媒は、一般的に固定床反応器システム内に工業的に配置することが難しい。
【0081】
さらなる実施形態において、前記貴金属および/または助触媒は、前記押出成形担体の外面部分を覆う被膜に選択的に配置してもよい。金属および助触媒が前記担体の中心部に担持されていては、反応媒体と接触しにくいため、このような配置にすることにより、触媒活性を有する表面を反応媒体と効率的に接触させることができる。いくつかの実施形態において、前記押出成形担体の外面部分は、該押出成形担体の外層表面の表面部分を含む。いくつかの実施形態において、前記押出成形担体の外面部分は、該押出成形担体の細孔の表面部分を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、前記押出成形担体は、炭素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、Al、モンモリロナイトまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0083】
FDCA経路生成物を製造する本発明の方法を実施する際、純粋な酸素(すなわちOのみからなり、他のガスを含まない)が供給されてもよく、あるいは混合ガスの一成分(例えば、空気、酸素濃縮空気など)として酸素が供給されてもよい。前記接触工程における酸素と前記フラン系酸化基質のモル比は、通常2:1~10:1である。いくつかの実施形態において、酸素と前記フラン系酸化基質のモル比は2:1~10:1または3:1~5:1である。前記接触工程において、前記酸素の分圧は、通常、50psig~1000psigの範囲またはこの範囲内の任意の数値である。より典型的には、前記酸素の分圧は、50psig~200psigの範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記酸素の分圧は、50~200psig、100~300psig、200~400psig、300~500psig、400~600psig、500~700psig、600~800psig、700~900psigもしくは800~1000psig、もしくはこれらの範囲内の任意の数値、またはこれらの分圧のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
【0084】
前記接触(酸化)工程は、通常、50℃~200℃の範囲の温度またはこの範囲内の任意の数値の温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記接触工程は、80℃~180℃の範囲の温度またはこの範囲内の任意の数値の温度で実施され、別の実施形態において、前記接触工程は、90℃~160℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度、または100℃~160℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度で実施される。特定の好ましい実施形態において、前記接触工程は、90℃~180℃の範囲の温度またはこの範囲内の任意の数値の温度で実施され、場合によっては、前記接触工程は、110℃~160℃の範囲の温度またはこの範囲内の任意の数値の温度で実施される。
【0085】
いくつかの実施形態においては、前記フラン系酸化基質から所望のFDCA経路生成物への酸化を、2つ以上の酸化工程からなる一連のプロセスにおいて実施することが望ましい場合がある。この場合、第1の酸化工程は前述の通りであり、第2の酸化工程は、
(b)第2のフラン系酸化基質と第2の酸化溶媒とを含む第2の酸化供給原料を、第2の不均一系酸化触媒の存在下、第2のフラン系酸化基質を酸化させて第2のFDCA経路生成物を得るための第2の反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、酸素と接触させることを含み、
前記(第1の)接触工程(a)において、第1のFDCA経路生成物が生成され、該第1のFDCA経路生成物がFDCA経路の中間体化合物のみであるか、またはFDCA経路の中間体化合物およびFDCAであること、
前記第2のフラン系酸化基質が第1のFDCA経路生成物であること、
前記第2の反応混合物に実質的に塩基が添加されていないこと、
前記第2の不均一系酸化触媒が、第2の固体担体と、工程(a)の(第1の)貴金属と同一または異なる貴金属とを含むこと、ならびに
第2の不均一系酸化触媒が複数の細孔を含み、20m/g~500m/gの範囲の比表面積またはこの範囲内の任意の数値で示される比表面積、例えば、20m/g、30m/g、40m/g、50m/g、60m/g、70m/g、80m/g、90m/g、100m/g、120m/g、140m/g、160m/g、180m/g、200m/g、225m/g、250m/g、275m/g、300m/g、325m/g、350m/g、375m/g、400m/g、425m/g、450m/g、475m/gもしくは500m/g、またはこれらの比表面積のいずれか2つを上下限値とする範囲内の比表面積を有すること
を特徴とする。
【0086】
第2のFDCA経路生成物は、第1のFDCA経路生成物の下流の酸化生成物であり、通常FFCAまたはFDCAを含む。第2のFDCA経路生成物は、通常FDCAを含む。通常、第2の酸化工程に塩基は添加されない。
【0087】
第1の酸化プロセスにおける使用に適した貴金属、触媒中の金属担持量、固体担体材料および反応条件(例えば、反応温度、酸素の圧力(分圧)、酸素とフラン系酸化基質のモル比など)は、第2の酸化プロセスでも好適に使用できる。第2の不均一系酸化触媒は、第1の酸化プロセスにおいて使用される不均一系酸化触媒(すなわち「第1の不均一系酸化触媒」)と同一であってもよく、異なっていてもよい。第2の酸化供給原料における使用に適した酸化溶媒は、第1の酸化プロセスにおける使用に適した酸化溶媒(すなわち「第1の酸化溶媒」)と同一のものである。所望のFDCA経路生成物の生成を最適化するために、前記フラン系酸化基質から所望のFDCA経路生成物へと転化させる過程において反応条件の変更が必要とされる場合、多段階の酸化プロセスが望ましいことがある。例えば、第1の酸化反応よりも高温または低温で第2の酸化反応を実施したり、第1の酸化反応における酸素と供給原料成分のモル比よりも高いまたは低いモル比で維持して第2の酸化反応を実施したり、あるいは、第1の酸化反応における酸素分圧よりも高いまたは低い酸素分圧で維持して第2の酸化反応を実施したりすることが望ましい場合がある。第2の酸化溶媒の組成は、第1の酸化溶媒の組成と同一であってもよく、異なっていてもよい。第2の酸化溶媒の組成が第1の酸化溶媒の組成と異なる場合、第1の酸化溶媒と共通の溶媒種成分が1種以上含まれていてもよい。第2の不均一系酸化触媒に含まれる貴金属は、通常、白金、金またはこれらの組み合わせである。第2の不均一系酸化触媒において使用される貴金属は、通常、白金である。
【0088】
本明細書に記載の酸化プロセスによって生成されたFDCA経路生成物は、FDCA経路生成物および酸化溶媒を含む生成物溶液から不均一系酸化触媒を分離することによって、反応混合物から回収してもよい。分離処理を経た生成物溶液には、酸化溶媒と溶解した反応混合物の成分が含まれているが、不均一系酸化触媒は含まれていない。さらに、この生成物溶液から酸化溶媒の一部を除去することによって、溶解している成分を濃縮してもよい。酸化溶媒の除去は、(例えば、エバポレーターを使用した)蒸発、蒸留などによって行ってもよい。
【0089】
別の方法として、あるいはさらなる単離工程として、FDCA経路生成物を結晶化してもよい。したがって、本開示は、一実施形態において、結晶性FDCA経路生成物組成物を製造する方法であって、
FDCA経路生成物と、有機溶媒および多成分溶媒からなる群から選択される溶媒である結晶化溶媒とを含む結晶化溶液を提供すること;
前記FDCA経路生成物の結晶化を開始させること;ならびに
様々な粒径を有する複数のFDCA経路生成物結晶を生成させること
を含む方法を提供する。
【0090】
本明細書において「結晶化溶媒」とは、該結晶化溶媒におけるFDCA経路生成物の溶解度を低下させる条件(例えば、温度低下(冷却)または溶媒除去)が課された場合に、FDCA経路生成物を結晶化させることができる溶媒を指す。前記結晶化溶媒は、水、有機溶媒、水と水混和性有機溶媒とを含む多成分溶媒、水と2種以上の有機溶媒種とを含む多成分溶媒のいずれであってもよい。前記結晶化プロセスは、酸化プロセス(例えば、一段階酸化プロセスまたは多段階酸化プロセス)の直後に行ってもよく、あるいは酸化プロセスの下流の別の単位操作の後に行ってもよい。
【0091】
前記FDCA経路生成物を生成させた後に結晶化を行う場合、前記結晶化溶液は、通常、前記FDCA経路生成物と酸化溶媒とを含む生成物溶液である。したがって、このような実施形態において、前記結晶化溶媒は、酸化溶媒(例えば、(一段階酸化で使用される)第1の酸化溶媒または(二段階酸化で使用される)第2の酸化溶媒)と同一のものである。酸化溶媒としての使用に適した溶媒の中には、結晶化溶媒としての使用にも適しているものがある。
【0092】
工業的な液相結晶化は、通常、以下のようにして行われる。まず、生成物の飽和溶液(または過飽和溶液)を晶析装置に投入して、該溶液を結晶化条件に付し、次いで、例えば、温度を低下させるか、溶媒留去(例えば、溶媒除去)により前記溶液を濃縮するか、またはこれらの両方を併用して、結晶化を開始させる。溶媒留去は結晶化を開始させる目的で前記溶液を濃縮するために行ってもよく、FDCA経路生成物の溶解度を低下させる目的で溶媒組成を調整するために行ってもよい。本明細書において「結晶化条件」とは、FDCA経路生成物の結晶化を開始させるような、温度の調節、結晶化溶液の濃度の調整および/または結晶化溶液の組成の調整を指す。
【0093】
一実施形態において、前記結晶化条件が温度の調節を含む場合、本開示は、結晶性FDCA調製物を製造する方法であって、
FDCA経路生成物と結晶化溶媒とを含む結晶化溶液を、50℃~220℃の範囲またはこの範囲内の任意の数値で示される温度、例えば、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、180℃、190℃、200℃、210℃もしくは220℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である第1の温度で提供すること;および
第1の温度よりも低い第2の温度まで前記結晶化溶液を冷却して、様々な粒径を有する複数のFDCA経路生成物結晶を形成させること
を含む方法を提供する。
【0094】
冷却することによって、結晶化溶媒におけるFDCA経路生成物の溶解度が低下し、結晶化溶液中でFDCA経路生成物の結晶が形成される。第1の温度は、通常、60℃~180℃の範囲またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であり、例えば、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃もしくは180℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度である。いくつかの実施形態において、第1の温度は、70℃~150℃の範囲またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であり、例えば、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃もしくは150℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度である。前記結晶化溶液を冷却する場合、該結晶化溶液は、通常、60℃またはそれよりも低い温度、例えば、60℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下、10℃以下、5℃以下もしくは0℃以下、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度に冷却される。より典型的には、前記結晶化溶液は、50℃もしくはそれよりも低い温度または40℃もしくはそれよりも低い温度、例えば、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下、10℃以下、5℃以下もしくは0℃以下、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度に冷却される。
【0095】
好適な結晶化方法は、Rennovia社およびStora Enso社が出願したPCT出願PCT/US17/13197に記載されており、上述した通り、この文献は参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0096】
本開示の結晶化プロセスは、液相結晶化の実施に適した公知の工業用晶析装置システムを使用して行ってもよい。好適な晶析装置システムとしては、例えば、バッチ式晶析装置、連続晶析装置(例えば、強制循環型晶析装置、ドラフトチューブ型晶析装置、ドラフトチューブ&バッフル型晶析装置、オスロ型晶析装置など)、および他のタイプの晶析装置システムが挙げられる。
【0097】
前記結晶性FDCA調製物は、通常少なくとも98wt%のFDCAを含み、より典型的には、少なくとも99wt%のFDCAを含み、いくつかの実施形態においては、99wt%を超える量のFDCAを含む。
【0098】
II.精製FDCA経路生成物を製造するための経路
本明細書にて、精製FDCA経路生成物を製造する方法であって、
FDCAと5-ホルミルフランカルボン酸(FFCA)とを含むFDCA経路生成物を、不均一系還元触媒および溶媒の存在下、FFCAをヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)に還元するための反応混合物を形成させるのに十分な条件下において、水素と接触させて、精製FDCA経路生成物を得ること
を含みうる方法を記載する。
本明細書において、「精製フランジカルボン酸経路生成物」および「精製FDCA経路生成物」という用語は区別なく使用され、FDCAとFFCAとを含むFDCA経路生成物を、不均一系還元触媒および溶媒の存在下、FFCAをHMFCAに還元する反応混合物が形成される条件下で、水素と接触させることを含む方法における生成物を指す。前記精製FDCA経路生成物は少なくともFDCAおよびHMFCAを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の精製FDCA経路生成物を製造するための方法は、FDCAの還元という所望でない反応よりも、FFCAからHMFCAへの還元に対する選択性が高いという点で有用かつ有利である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の精製FDCA経路生成物を製造するための方法は比較的低温で実施できることから、FFCAからHMFCAへの選択的還元が可能である。
【0099】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物の製造するための本発明の方法において使用されるFDCA経路生成物は、本願のセクションIに記載の方法で製造されるFDCA経路生成物であってもよい。いくつかの実施形態において、前記FDCA経路生成物は、FDCAとFFCAに加えて、その他の化合物を1以上含みうるものであり、その他の化合物としては、ジホルミルフラン(DFF)、ヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、テトラヒドロフランジカルボン酸(THFDCA)および/もしくは5-メチル-2-フロ酸(MFA)、またはこれらの任意の組み合わせから選択される化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記FDCA経路生成物は、FDCAとFFCAに加えて、その他のFDCA経路中間体化合物を1以上含みうるものであり、その他のFDCA経路中間体化合物としては、ジホルミルフラン(DFF)および/もしくはヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)、またはこれらの混合物から選択される化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記FDCA経路生成物は、FDCAとFFCAに加えて、その他の化合物を1以上含みうるものであり、その他の化合物としては、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、テトラヒドロフランジカルボン酸(THFDCA)および/もしくは5-メチル-2-フロ酸(MFA)、またはこれらの任意の組み合わせから選択される化合物が挙げられる。
【0100】
精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法において使用される不均一系還元触媒は、固体担体の表面に分散された金属を含むものであってもよい。いくつかの実施形態において、前記金属は、コバルト、ニッケル、銅、銀、金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび/もしくは白金、またはこれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの実施形態において、前記金属は、ニッケル、ルテニウム、銅、銀、金、白金およびイリジウム、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記金属はニッケルである。いくつかの実施形態において、前記金属はルテニウムである。いくつかの実施形態において、前記金属は白金である。前記不均一系還元触媒は、該触媒の性能を向上させるために、助触媒をさらに含んでいてもよい。好適な助触媒としては、Ti、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Ru、Cu、Zn、Sb、Bi、Sn、Au、Ag、PbまたはTeなどが挙げられる。前記金属が白金もしくは金、またはこれらの組み合わせである場合、好適な助触媒としては、例えば、Bi、Te、Sn、Pd、Ir、Moおよび/またはWなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、前記助触媒はBiである。いくつかの実施形態において、前記助触媒はTeである。いくつかの実施形態において、前記助触媒はSnである。
【0101】
いくつかの実施形態において、前記固体担体は、炭素、二酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、Alまたはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記担体は炭素を含む。いくつかの実施形態において、前記固体担体は、200m/g未満(ただし0m/gではない)の表面積を有する炭素を含む。いくつかの実施形態において、前記固体担体は、成形された多孔性炭素担体を含む。このような多孔性炭素担体は、Rennovia社による国際公開第2017/075391号(Diamondらを発明者とする)および国際公開第2017/075425号(Sokolovskiiらを発明者とする)に記載されており、これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0102】
いくつかの実施形態において、前記不均一系還元触媒は、Cu/SiO、Cu/Mn/Al、Ni/Al、Pd/C、Pt/CまたはRu/Cであってもよい。いくつかの実施形態において、前記不均一系還元触媒は、商業的供給者から入手した市販品であってもよく、そのような市販品としては、例えば、BASF社製Cu 0602、Clariant社製Cu T-4874、Johnson Matthey(JM)社製Ni HTC 500 RP、JM-4 Pd/C、JM-6 Pd/C、JM-10 Pd/C、JM-24 Pt/C、JM-27 Pt/C、JM-37 Ru/CまたはJM-38 Ru/Cなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
いくつかの実施形態において、前記不均一系還元触媒は粉末状にしたものであってもよい。いくつかの実施形態において、前記不均一系還元触媒は、フォーミングガスとの接触により還元される。いくつかの実施形態において、前記不均一系還元触媒は、フォーミングガス中で数時間(例えば、2時間、3時間または4時間以上)、高温状態(例えば、150℃、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃または400℃より高い温度)にすることにより還元される。
【0104】
前記不均一系還元触媒は、該触媒全体の重量の0.3%~5%の範囲またはこの範囲内の任意の数値で示される量の金属が前記固体担体に担持されたものであってもよい。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は、0.5重量%~4重量%、2重量%~7重量%、4重量%~10重量%、6重量%~12重量%、8重量%~15重量%、10重量%~20重量%、15重量%~25重量%、20重量%~40重量%、30重量%~50重量%、40重量%~60重量%もしくは50重量%~70重量%の範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は2~4wt%の範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は2wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は3wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は4wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は20~70wt%の範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は20wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は30wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は40wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は50wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は60wt%である。いくつかの実施形態において、前記金属担持量は70wt%である。2種以上の金属が使用される場合、前記不均一系還元触媒が複数の不均一系還元触媒粒子を含み、各触媒粒子が2種以上の金属を含んでいてもよい。あるいは前記不均一系還元触媒が、例えば、第1の金属種を含む第1の複数の不均一系還元触媒粒子と第2の金属種を含む第2の複数の不均一系還元触媒粒子とからなる混合物のような、不均一系還元触媒金属粒子種の混合物を含んでいてもよい。
【0105】
前記不均一系還元触媒の固体担体成分は、触媒担体として好適に使用できる任意の材料を含んでいてもよい。好適な材料としては、例えば、金属酸化物、炭素質材料、ポリマー、金属ケイ酸塩および/もしくは金属炭化物、またはこれらから製造される任意の複合材料が挙げられる。いくつかの実施形態において、金属酸化物としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)、二酸化チタンおよび/または酸化アルミニウム(アルミナ)などが挙げられる。本明細書において「炭素質」とは、黒鉛およびカーボンブラックを指し、活性化体であってもよく、活性化体でなくてもよい。いくつかの実施形態において、金属ケイ酸塩としては、例えば、オルトケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライト)などが挙げられる。いくつかの実施形態において、金属炭化物としては、例えば、炭化ケイ素などが挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリマー性固体担体材料としては、ポリスチレン、ポリスチレン-co-ジビニルベンゼン、ポリアミド、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
【0106】
好適な固体担体材料としては、さらに、金属酸化物、炭素質材料、ポリマー、金属ケイ酸塩および/もしくは金属炭化物またはこれらの混合物から選択される材料とバインダーから製造される複合材料、ならびに金属酸化物、炭素質材料、ポリマー、金属ケイ酸塩および/もしくは金属炭化物またはこれらの混合物から選択される材料とバインダーとを含む複合材料が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記バインダーは樹脂である。いくつかの実施形態において、前記複合材料は、金属酸化物、炭素質材料、金属ケイ酸塩および金属炭化物からなる群から選択される材料と炭化バインダーとを含む。一実施形態において、前記複合材料は炭化バインダーとカーボンブラックとを含み、活性化体であってもよく、活性化体でなくてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態において、前記固体担体は、Aditya Birla社製CDX-KU、Aditya Birla社製CSCUB、Aditya Birla社製R2000B、Aditya Birla社製R2500UB、Aditya Birla社製R3500B、Aditya Birla社製R5000U2、Arosperse 5-183A、Asbury社製5302、Asbury社製5303、Asbury社製5345、Asbury社製5348R、Asbury社製5358R、Asbury社製5365R、Asbury社製5368、Asbury社製5375R、Asbury社製5379、Asbury社製A99、Cabot社製Monarch 120、Cabot社製Monarch 280、Cabot社製Monarch 570、Cabot社製Monarch 700、Cabot社製Norit Darco 12x20L1、Cabot社製Vulcan XC72、Continental社製N120、Continental社製N234、Continental社製N330、Continental社製N330-C、Continental社製N550、Norit ROX 0.8、Orion社製Arosperse 138、Orion社製Arosperse 15、Orion社製Color Black FW 2、Orion社製Color Black FW 255、Orion社製HiBlack 40B2、Orion社製Hi-Black 50 L、Orion社製Hi-Black 50 LB、Orion社製Hi-Black 600 L、Orion社製HP-160、Orion社製Lamp Black 101、Orion社製N330、Orion社製Printex L6、Sid Richardson社製Ground N115、Sid Richardson社製Ground SR155、Sid Richardson社製SC159、Sid Richardson社製SC419、Timcal社製Ensaco 150G、Timcal社製Ensaco 250G、Timcal社製Ensaco 260Gおよび/もしくはTimcal社製Ensaco 350G、またはこれらの任意の組み合わせから選択されるカーボンブラック材料を含む。
【0108】
通常、前記固体担体に金属を含浸させても、該固体担体の比表面積、細孔直径および比容積には無視できるほどの小さい変化しか起こらない。通常、本開示での使用に適した不均一系還元触媒は、複数の細孔を含む固体担体を使用して調製され、該固体担体は、20m/g~500m/gの比表面積を有し、該比表面積は、例えば、20m/g、30m/g、40m/g、50m/g、60m/g、70m/g、80m/g、90m/g、100m/g、120m/g、140m/g、160m/g、180m/g、200m/g、225m/g、250m/g、275m/g、300m/g、325m/g、350m/g、375m/g、400m/g、425m/g、450m/g、475m/gもしくは500m/g、またはこれらの比表面積のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。比表面積は、例えば、Bruanauer、EmmettおよびTeller(J. Am. Chem. Soc. 1938, 60:309-311)による方法ならびに/または水銀圧入法などの公知の方法を使用して測定することができる。例えば、ASTM試験法D3663、D6556およびD4567を参照されたい。なお、これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法を実施する際に使用される不均一系還元触媒(または固体担体)は、25m/g~250m/gの比表面積またはこの範囲内の任意の数値で示される比表面積を有しており、場合によっては、該比表面積は、25m/g~225m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~200m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~175m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~150m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、25m/g~125m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、または25m/g~100m/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値である。
【0109】
本開示の実施において使用される不均一系還元触媒(およびその固体担体成分)は、(1.7nm~100nmの直径を持つ細孔について測定した場合の)比細孔容積が、0.1cm/g~1.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.8cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.7cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.6cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.1cm/g~0.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.8cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.7cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.6cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.2cm/g~0.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~1cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.9cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.8cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.7cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.6cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、0.3cm/g~0.5cm/gの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、またはこれらの数値のいずれか2つを上下限値とする範囲内であり、この比細孔容積は、E.P. Barrett, L.G. Joyner, P.P. Halenda, J. Am. Chem. Soc. (1951) 73:373-380およびASTM D4222-03(2008)(これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される)に記載の方法(この方法を本明細書において「BJH法」と呼ぶ)などの、細孔直径および比細孔容積の測定法と、(例えば、Micromeritics社製Autopore V 9605水銀ポロシメーター(Micromeritics Instrument Corp.、ジョージア州ノークロス)などの水銀ポロシメーターをメーカーの説明書に従って使用した)水銀圧入法とによって測定される。例えば、ASTM 3663、ASTM D-4284-12およびD6761-07(2012)を参照されたい。なお、これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。
【0110】
BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記不均一系還元触媒の平均細孔直径は、10nm~100nmの範囲またはこの範囲内の任意の数値であってもよい。いくつかの実施形態において、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記不均一系還元触媒の平均細孔直径は、10nm~90nmの範囲またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記平均細孔直径は、10nm~80nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、10nm~70nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、または10nm~60nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値であり、多くの場合、10nm~50nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記平均細孔直径は、20nm~100nmまたはこの範囲内の任意の数値である。これらの実施形態のうち、特定の実施形態において、BJH法および/または水銀圧入法で測定した場合、前記平均細孔直径は、20nm~90nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、20nm~80nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、20nm~70nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、20nm~60nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値、または10nm~50nmの範囲もしくはこの範囲内の任意の数値である。
【0111】
いくつかの実施形態において、前記不均一系還元触媒は、押出成形担体を用いて調製してもよい。押出成形担体を用いて調製された触媒は、精製FDCA経路生成物の製造に使用される工業用の連続式固定床反応器などの多くの工業用途で使用する上で有用である。工業用固定床反応器には、粉末状触媒の使用に伴う過剰な圧力低下を回避するために、押出成形物などの適切な形状や大きさの触媒を配置する必要があり、粉末状触媒は、一般的に固定床反応器システム内に工業的に配置することが難しい。
【0112】
さらなる実施形態において、前記貴金属および/または助触媒は、前記押出成形担体の外面部分を覆う被膜に選択的に配置してもよい。金属および助触媒が前記担体の中心部に担持されていては、反応媒体と接触しにくいため、このような配置にすることにより、触媒活性を有する表面を反応媒体と効率的に接触させることができる。いくつかの実施形態において、前記押出成形担体の外面部分は、該押出成形担体の外層表面の表面部分を含む。いくつかの実施形態において、前記押出成形担体の外面部分は、該押出成形担体の細孔の表面部分を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記押出成形担体は、炭素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、Al、モンモリロナイトまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法において使用される溶媒は、非プロトン性有機溶媒(例えば、エーテル類、エステル類および/もしくはケトン類またはそれらの混合物など)を、単独で(例えば、単一成分溶媒として)または多成分溶媒の一成分として含む。前記非プロトン性有機溶媒が多成分溶媒中の一成分として使用される場合、該非プロトン性有機溶媒は、通常、多成分溶媒中の他の成分に対して混和性を示す。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水と水混和性有機溶媒とを含んでいてもよい。前記水混和性有機溶媒は、通常、水混和性非プロトン性有機溶媒である。
【0115】
前記多成分溶媒の成分の候補となる溶媒は、FDCA経路生成物と精製FDCA経路生成物が高い溶解性を示す溶媒に限定されない。FDCAが多成分溶媒中のいずれの溶媒成分に対しても溶解性が低いという場合でも、多成分溶媒はFDCAに対して相乗的な溶媒和効果を示しうる。例えば、FDCAは水への溶解性は低いが、水と、FDCAに対する溶媒和力が低い水混和性有機溶媒とを組み合わせた場合、この併用により、FDCAに対する溶媒和力を向上させることが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、本明細書に開示の多成分溶媒はFDCAに対して高い溶媒和力を示すため、該多成分溶媒は有用かつ有利である。いくつかの実施形態において、FDCA経路生成物の製造と精製FDCA経路生成物の製造の双方で同じ溶媒を使用できるため、本明細書に開示の多成分溶媒は有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の精製FDCA経路生成物を製造するための方法は、FDCAの還元という所望でない反応よりも、FFCAからHMFCAへの還元に対する選択性が高いという点で有用かつ有利である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の精製FDCA経路生成物を製造するための方法は比較的低温で実施できることから、FFCAからHMFCAへの選択的還元が可能である。
【0116】
このような効果を示す多成分溶媒としては、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒が挙げられる。本開示の実施における使用に適した水混和性非プロトン性溶媒としては、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)および/もしくはγ-バレロラクトン、またはこれらの混合物が挙げられる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、例えば、グライム類、ジオキサン(1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)および/もしくはテトラヒドロフラン、またはこれらの混合物などのエーテル類であることが好ましい。本開示の実施における使用に適したグライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、および/もしくは高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)、またはこれらの混合物などが挙げられる。多くの場合、前記有機溶媒は、グライム類、ジグライムもしくはジオキサンまたはこれらの混合物である水混和性非プロトン性有機溶媒と、水とを含む多成分溶媒である。
【0117】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とジオキサンとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とDMEとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とジグライムとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とトリグライムとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とテトラグライムとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とハイグライムとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とNMPとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とMEKとを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水とγ-バレロラクトンとを含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法において使用される酸化溶媒の組成は、下流プロセス(例えば、生成物の回収、追加の精製などを行うプロセス)、または上流プロセス(例えば、FDCA経路生成物の製造プロセス)で使用される溶媒の組成と同一であってもよい。いくつかの実施形態において、軽質溶媒と重質溶媒とを含む多成分溶媒を有機溶媒として使用することが望ましい場合がある。前記多成分溶媒が水と水混和性有機溶媒とを含む場合、該水混和性有機溶媒は水混和性軽質有機溶媒(例えば、水より沸点が低い水混和性有機溶媒)であってもよく、水混和性重質有機溶媒(例えば、水より沸点が高い水混和性有機溶媒)であってもよい。通常、前記水混和性軽質有機溶媒は非プロトン性軽質有機溶媒であり、前記水混和性重質有機溶媒は非プロトン性重質有機溶媒である。前記多成分溶媒中で水と組み合わされる水混和性(かつ非プロトン性)の軽質有機溶媒としては、例えば、グライム類、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)および/またはテトラヒドロフランなどが挙げられる。前記多成分溶媒中で水と組み合わされる水混和性(かつ非プロトン性)の重質有機溶媒としては、例えば、ジオキサン、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライムおよび/またはポリグライム類などが挙げられる。いくつかの実施形態(例えば、連続反応器系)において、前記有機溶媒の全量もしくは一部またはその成分を、(例えば、蒸留を経て)製造溶液から除去し、反応混合物に再利用してもよい。このような実施形態では、還元工程(例えば、接触工程)を実施する際の温度または該還元工程よりも上流もしくは下流のプロセスを実施する際の温度において、共沸混合物に相当する組成または共沸混合物を形成することができる組成(例えば、「共沸組成」)を有する多成分溶媒を使用することが望ましい場合がある。共沸組成を有するこのような多成分溶媒を使用することによって、(共沸組成の一部としての)有機溶媒を還元工程または該還元工程よりも上流および/もしくは下流のプロセスに再利用することが容易となる場合がある。
【0119】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水混和性有機溶媒種の割合は、少なくとも5容量%(vol%)、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%もしくは少なくとも95vol%、これに対応して、前記多成分溶媒系中の水の割合は、通常、95vol%未満、90vol%未満、85vol%未満、80vol%未満、75vol%未満、70vol%未満、65vol%未満、60vol%未満、55vol%未満、50vol%未満、45vol%未満、40vol%未満、35vol%未満、30vol%未満、25vol%未満、20vol%未満、15vol%未満、10vol%未満もしくは5vol%未満、またはこれらの容量%のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
【0120】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、1~5wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、99~95wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、5~10wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、95~90wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、10~15wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、90~85wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、15~20wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、85~80wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、20~25wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、80~75wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、25~30wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、75~70wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、30~35wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、70~65wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、35~40wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、65~60wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、40~45wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、60~55wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、45~50wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、65~50wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、50~55wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、50~45wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、55~60wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、45~40wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、60~65wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、40~35wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、65~70wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、35~30wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、70~75wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、30~25wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、75~80wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、25~20wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、80~85wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、20~15wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、85~90wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、15~10wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、90~95wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、10~5wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、95~99wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、5~1wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:6~6:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~4:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。いくつか実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~3:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:3~3:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:1である。いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は3:2である。
【0122】
いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の比率(重量%)は1:6~6:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の比率(重量%)は1:4~4:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の比率(重量%)は1:4~3:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の比率(重量%)は1:3~3:1またはこの範囲内の任意の数値もしくは数値範囲である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の比率(重量%)は1:1である。いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の比率(重量%)は3:2である。
【0123】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含む。通常、前記2種の異なる水混和性有機溶媒はいずれも水混和性非プロトン性有機溶媒である。前記2種の異なる水混和性非プロトン性溶媒はそれぞれ、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)および/またはγ-バレロラクトンからなる群から独立して選択することができる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒の一方または両方が、例えば、グライム類、ジオキサン(例えば、1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどのエーテル類であってもよい。グライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、および/または高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)などが挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:1:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:2(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約2:1:1(v:v:v)である。
【0125】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水の含量は、例えば、少なくとも0.01M、少なくとも0.02M、少なくとも0.05M、少なくとも0.10M、少なくとも0.15M、少なくとも0.25M、少なくとも0.30M、少なくとも0.35M、少なくとも0.40M、少なくとも0.45M、少なくとも0.50M、少なくとも0.60M、少なくとも0.70M、少なくとも0.80M、少なくとも0.90M、少なくとも1.0M、少なくとも1.5M、少なくとも2.0M、少なくとも2.5Mもしくは少なくとも3.0Mの濃度、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水の濃度は、例えば、0.01~3.0M、0.05~2.0M、0.10~1.0Mもしくは0.20~0.50M、またはこれらの範囲内の任意の濃度である。前記多成分溶媒中の水の濃度は少なくとも0.20Mであってもよい。前記多成分溶媒中の水の濃度は、例えば、少なくとも0.2M、少なくとも0.3M、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.8M、少なくとも1.0M、少なくとも1.25Mもしくは少なくとも1.5M、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内であってもよい。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水の濃度は、例えば、0.2~2.0M、0.3~1.5M、0.4~1.25M、0.5~1.25Mもしくは0.6~1.0M、またはこれらの範囲内の任意の濃度であってもよい。
【0126】
いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記FDCA経路生成物の濃度は、その溶解限度以下の任意の濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記FDCA経路生成物の濃度は、例えば、少なくとも0.01M、少なくとも0.02M、少なくとも0.05M、少なくとも0.10M、少なくとも0.15M、少なくとも0.25M、少なくとも0.30M、少なくとも0.35M、少なくとも0.40M、少なくとも0.45M、少なくとも0.50M、少なくとも0.60M、少なくとも0.70M、少なくとも0.80M、少なくとも0.90M、少なくとも1.0M、少なくとも1.5M、少なくとも2.0M、少なくとも2.5Mもしくは少なくとも3.0M、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内であってもよい。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記FDCA経路生成物の濃度は、例えば、0.01~3.0M、0.05~2.0M、0.10~1.0Mもしくは0.20~0.50M、またはこれらの範囲内の任意の濃度である。前記反応混合物中の前記FDCA経路生成物の濃度は、例えば少なくとも0.20Mであってもよい。前記反応混合物中の前記FDCA経路生成物の濃度は、例えば、少なくとも0.2M、少なくとも0.3M、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.8M、少なくとも1.0M、少なくとも1.25Mもしくは少なくとも1.5M、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内であってもよい。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記FDCA経路生成物の濃度は、例えば、0.2~2.0M、0.3~1.5M、0.4~1.25M、0.5~1.25Mもしくは0.6~1.0M、またはこれらの範囲内の任意の濃度であってもよい。
【0127】
精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、反応混合物中の各成分が指定の濃度または比率で存在するような反応混合物を使用して、該方法を実施することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は1:0.04である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は1:0.12である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は1:0.3である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は1:0.5である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は1:1である。
【0128】
いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は、1:0.04~1:1またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は、1:0.12~1:0.5またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は、1:0.04~1:0.3またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は、1:0.3~1:1またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の比率(重量%)は、1:12~1:0.3またはこの範囲内の任意の比率である。
【0129】
いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は1:0.001である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は1:0.04である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は1:0.12である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は1:0.3である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は1:0.5である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は1:1である。
【0130】
いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:0.001~1:1またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:0.04~1:1またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:0.001~1:0.04またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:0.12~1:0.5またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:0.04~1:0.3またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:0.3~1:1またはこの範囲内の任意の比率である。いくつかの実施形態において、前記反応混合物中の前記不均一系還元触媒とFFCAの比率(重量%)は、1:12~1:0.3またはこの範囲内の任意の比率である。
【0131】
精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、該方法を指定の温度で実施することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記方法は50℃より高い温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は70℃より高い温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は80℃より高い温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は120℃より高い温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は125℃より高い温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は130℃より高い温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は150℃より高い温度で実施される。
【0132】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は50℃で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は70℃で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は80℃で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は120℃で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は125℃で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は130℃で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は150℃で実施される。
【0133】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は50℃未満(ただし0℃ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は70℃未満(ただし0℃ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は80℃未満(ただし0℃ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は120℃未満(ただし0℃ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は125℃未満(ただし0℃ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は130℃未満(ただし0℃ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は150℃未満(ただし0℃ではない)で実施される。
【0134】
本開示のいくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、50℃~130℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、80℃~120℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、70℃~125℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、50℃~120℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、120℃~130℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、80℃~125℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、50℃~150℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度で実施される。
【0135】
精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、該方法を指定の圧力下で実施することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、加圧は水素ガスを用いて実施される。いくつかの実施形態において、加圧は、その他の適当なガス、例えば、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスを用いて実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は50psiより高い圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は100psiより高い圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は200psiより高い圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は500psiより高い圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は800psiより高い圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は1000psiより高い圧力下で実施される。
【0136】
いくつかの実施形態において、前記方法は50psiの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は100psiの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は200psiの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は500psiの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は800psiの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は1000psiの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は14barの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は35barの圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は55barの圧力下で実施される。
【0137】
いくつかの実施形態において、前記方法は50psi未満(ただし0psiではない)の圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は100psi未満(ただし0psiではない)の圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は200psi未満(ただし0psiではない)の圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は500psi未満(ただし0psiではない)の圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は800psi未満(ただし0psiではない)の圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は1000psi未満(ただし0psiではない)の圧力下で実施される。
【0138】
本開示のいくつかの実施形態において、前記方法は、50psi~1000psiの圧力下またはこの範囲内の任意の数値で示される圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、100psi~500psiの圧力下またはこの範囲内の任意の数値で示される圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、200psi~525psiの圧力下またはこの範囲内の任意の数値で示される圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、500psi~1000psiの圧力下またはこの範囲内の任意の数値で示される圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、150psi~600psiの圧力下またはこの範囲内の任意の数値で示される圧力下で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、300psi~550psiの圧力下またはこの範囲内の任意の数値で示される圧力下で実施される。
【0139】
精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、該方法を指定の時間実施することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記方法は30分より長い時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は60分より長い時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は120分より長い時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は180分より長い時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は240分より長い時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は300分より長い時間実施される。
【0140】
いくつかの実施形態において、前記方法は30分間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は60分間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は120分間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は180分間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は240分間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は300分間実施される。
【0141】
いくつかの実施形態において、前記方法は30分未満(ただし0分ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は60分未満(ただし0分ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は120分未満(ただし0分ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は180分未満(ただし0分ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は240分未満(ただし0分ではない)で実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は300分未満(ただし0分ではない)で実施される。
【0142】
いくつかの実施形態において、前記方法は、30分~300分またはこの範囲内の任意の数値で示される時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、60分~240分またはこの範囲内の任意の数値で示される時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、60分~120分またはこの範囲内の任意の数値で示される時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、120分~180分またはこの範囲内の任意の数値で示される時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、60分~120分またはこの範囲内の任意の数値で示される時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、180分~240分またはこの範囲内の任意の数値で示される時間実施される。いくつかの実施形態において、前記方法は、2~4時間、2~6時間、3~8時間、5~10時間、8~12時間、10~15時間、12~20時間、15~24時間、1~2日、1~3日、2~4日またはこれらの範囲内の任意の数値で示される時間実施される。
【0143】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、FDCA経路生成物と、水素と、不均一系還元触媒と、多成分溶媒とを含むかこれらからなる反応混合物を含むか、該反応混合物からなるかのいずれでもよく、
前記FDCA経路生成物がFDCAとFFCAとを含むかこれらからなること;
前記水素の圧力が、50~800psiまたはこの範囲内の任意の数値で示される圧力であること;
前記不均一系還元触媒が、炭素、二酸化ケイ素および/もしくはAlまたはこれらの混合物からなる群から選択される固体担体を含み、前記不均一系還元触媒が、Cu、Ni、Pd、Ptおよび/もしくはRuまたはこれらの混合物から選択される金属をさらに含むこと;ならびに
前記多成分溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含み、前記水混和性非プロトン性有機溶媒が、ジオキサンおよび/またはスルホランを含むかジオキサンおよび/またはスルホランからなること
を特徴とする。
いくつかの実施形態において、前記反応混合物の温度は、60~140℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であってもよい。いくつかの実施形態において、反応時間は、1~24時間またはこの範囲内の任意の数値で示される時間であってもよい。
【0144】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、FDCA経路生成物と、水素と、不均一系還元触媒と、多成分溶媒とを含むかこれらからなる反応混合物を含むか、該反応混合物からなるかのいずれでもよく、
前記FDCA経路生成物のモル濃度が0.1~3.5Mまたはこの範囲内の任意の数値で示されるモル濃度であり、前記FDCA経路生成物がFDCAとFFCAとを含むかこれらからなること;
前記水素の圧力が、50~800psiまたはこの範囲内の任意の数値で示される圧力であること;
前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の重量比が1:0.04~1:1であること;
前記不均一系還元触媒が、炭素、二酸化ケイ素および/もしくはAlまたはこれらの混合物からなる群から選択される固体担体を含み、前記不均一系還元触媒が、Cu、Ni、Pd、Ptおよび/もしくはRuまたはこれらの混合物から選択される金属をさらに含むこと;ならびに
前記多成分溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含み、前記水混和性非プロトン性有機溶媒が、ジオキサンおよび/またはスルホランを含むかジオキサンおよび/またはスルホランからなること
を特徴とする。
前記多成分溶媒中の水の含量は、0.1~2.5Mまたはこの範囲内の任意の数値で示される濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記反応混合物の温度は、60~140℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であってもよい。いくつかの実施形態において、反応時間は、1~24時間またはこの範囲内の任意の数値で示される時間であってもよい。
【0145】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、FDCA経路生成物と、水素と、不均一系還元触媒と、多成分溶媒とを含むかこれらからなる反応混合物を含むか、該反応混合物からなるかのいずれでもよく、
前記FDCA経路生成物がFDCAとFFCAとを含むかこれらからなること;
前記水素の圧力が、50~800psiまたはこの範囲内の任意の数値で示される圧力であること;
前記不均一系還元触媒が、Pd/C、Pt/C、Ru/C、Cu/Alおよび/もしくはNi/Alまたはこれらの混合物を含むか、これらからなること;ならびに
前記多成分溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含み、前記水混和性非プロトン性有機溶媒が、ジオキサンおよび/またはスルホランを含むかジオキサンおよび/またはスルホランからなること
を特徴とする。
いくつかの実施形態において、前記反応混合物の温度は、60~140℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であってもよい。いくつかの実施形態において、反応時間は、1~24時間またはこの範囲内の任意の数値で示される時間であってもよい。
【0146】
いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法は、FDCA経路生成物と、水素と、不均一系還元触媒と、多成分溶媒とを含むかこれらからなる反応混合物を含むか、該反応混合物からなるかのいずれでもよく、
前記FDCA経路生成物のモル濃度が0.1~3.5Mまたはこの範囲内の任意の数値で示されるモル濃度であり、前記FDCA経路生成物がFDCAとFFCAとを含むかこれらからなること;
前記水素の圧力が、50~800psiまたはこの範囲内の任意の数値で示される圧力であること;
前記不均一系還元触媒と前記FDCA経路生成物の重量比が1:0.04~1:1であること;
前記不均一系還元触媒が、Pd/C、Pt/C、Ru/C、Cu/Alおよび/もしくはNi/Alまたはこれらの混合物を含むか、これらからなること;ならびに
前記多成分溶媒が、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含み、前記水混和性非プロトン性有機溶媒が、ジオキサンおよび/またはスルホランを含むかジオキサンおよび/またはスルホランからなること
を特徴とする。
前記多成分溶媒中の水の含量は、0.1~2.5Mまたはこの範囲内の任意の数値で示される濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記反応混合物の温度は、60~140℃またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であってもよい。いくつかの実施形態において、反応時間は、1~24時間またはこの範囲内の任意の数値で示される時間であってもよい。
【0147】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物はFDCAおよびHMFCAを含み、不純物としてのMFAの含有量が10モル%未満であり、不純物としてのTHFDCAの含有量が10モル%未満である。
【0148】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で90%を上回る。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で95%を上回る。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で99%を上回る。
【0149】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で90%~99%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で95%~99%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFDCAの含有量は、モル純度で90%~95%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。
【0150】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で5%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で1%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.5%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.1%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.05%未満である。
【0151】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.05%~5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.1%~1%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.05%~0.5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で0.5%~1%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるFFCAの含有量は、モル純度で1%~5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。
【0152】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で5%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で1%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.5%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.1%未満である。
【0153】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.1%~5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.1%~1%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.1%~0.5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で0.5%~1%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるMFAの含有量は、モル純度で1%~5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。
【0154】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で1%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.9%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.5%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.1%未満である。
【0155】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.1%~1%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.1%~0.9%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.1%~0.5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.5%~0.9%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるTHFDCAの含有量は、モル純度で0.9%~1%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。
【0156】
本明細書に記載の方法において、前記精製FDCA経路生成物は、FFCAから還元されたHMFCAをさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は25%より高い。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は40%より高い。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は75%より高い。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は90%より高い。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は95%より高い。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は99%より高い。
【0157】
いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は、25%~99%またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は、40%~99%またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は、75%~99%またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は、90%~99%またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は、95%~99%またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、FFCAの還元により生成されるHMFCAの収率は、90%~95%またはこの範囲内の任意の数値である。
【0158】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で10%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で5%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で1%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で0.5%未満である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で0.1%未満である。
【0159】
いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で0.1%~10%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で0.1%~5%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物におけるDDFの含有量は、モル純度で0.1%~1%またはこの範囲内の任意の数値で示される量である。
【0160】
III.精製FDCA経路生成物の結晶化
本願のセクションIIに記載の本発明の方法で製造された精製FDCA経路生成物はさらに精製してもよい。いくつかの実施形態において、前記精製FDCA経路生成物は結晶化によりさらに精製される。FDCA経路生成物中のFFCAをHMFCAに還元した後に結晶化を行って前記精製FDCA経路生成物からHMFCAを除去する方が、結晶化のみによってFDCA経路生成物からFFCAを除去する場合より精製が容易に行えることを本出願人らが見出したことは有益である。
【0161】
いくつかの実施形態において、前記結晶化溶液は、精製FDCA経路生成物を製造するための本発明の方法で使用される多成分溶媒と同一である。
【0162】
液相結晶化は、通常、以下のようにして行われる。まず、精製FDCA経路生成物の飽和溶液(または過飽和溶液)を晶析装置に投入して、該溶液を結晶化条件に付し、次いで、例えば、温度を低下させるか、溶媒留去(例えば、溶媒除去)により前記溶液を濃縮するか、またはこれらの両方を併用して、結晶化を開始させる。溶媒留去は結晶化を開始させる目的で前記溶液を濃縮するために行ってもよく、精製FDCA経路生成物の溶解度を低下させる目的で溶媒組成を調整するために行ってもよい。
【0163】
一実施形態において、前記結晶化条件が温度の調節を含む場合、本開示は、結晶性FDCA調製物を製造する方法であって、
精製FDCA経路生成物と結晶化溶媒とを含む結晶化溶液を、50℃~220℃の範囲またはこの範囲内の任意の数値で示される温度、例えば、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、180℃、190℃、200℃、210℃もしくは220℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である第1の温度で提供すること;および
第1の温度よりも低い第2の温度まで前記結晶化溶液を冷却して、様々な粒径を有する複数のFDCA結晶を形成させること
を含む方法を提供する。
【0164】
冷却することによって、結晶化溶媒におけるFDCAの溶解度が低下し、結晶化溶液中でFDCAの結晶が形成される。第1の温度は、通常、60℃~180℃の範囲またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であり、例えば、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃もしくは180℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、第1の温度は、70℃~150℃の範囲またはこの範囲内の任意の数値で示される温度であり、例えば、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃もしくは150℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。前記結晶化溶液を冷却する場合、該結晶化溶液は、通常、60℃またはそれよりも低い温度、例えば、60℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下、10℃以下、5℃以下もしくは0℃以下、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度に冷却される。より典型的には、前記結晶化溶液は、50℃もしくはそれよりも低い温度または40℃もしくはそれよりも低い温度、例えば、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下、10℃以下、5℃以下もしくは0℃以下、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度に冷却される。
【0165】
一実施形態において、溶媒除去(留去)によって結晶化を開始させる場合、本開示は、結晶性FDCA調製物を製造する方法であって、
(a)水、有機溶媒およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の結晶化溶媒と精製FDCA経路生成物とを含む第1の結晶化溶液を提供すること;
(b)第1の結晶化溶液から第1の結晶化溶媒の第1の部分を除去して、第1の複数のFDCA結晶と第1の結晶化溶媒の第2の部分とを含む第1の精製FDCA経路生成物スラリーを得ること;ならびに
(c)第1の複数のFDCA結晶を第1の結晶化溶媒の第2の部分と分離すること
を含む方法を提供する。
【0166】
さらなる一実施形態において、
(d)第1の複数のFDCA結晶を第2の結晶化溶媒に溶解して、FDCAと第2の結晶化溶媒とを含む第2の結晶化溶液を得ること;
(e)第2の結晶化溶液から第2の結晶化溶媒の第1の部分を除去して、第2の複数のFDCA結晶と第2の結晶化溶媒の第2の部分とを含む第2のFDCAスラリーを得ること;および
(f)第2の複数のFDCA結晶を第2の結晶化溶媒の第2の部分と分離すること
をさらに実施することによって、第1の複数のFDCA結晶を再結晶化させる。
【0167】
結晶化溶媒の一部の除去は、例えば、蒸発や蒸留などの、溶液から溶媒を除去するための公知の方法を使用して行うことができる。溶媒の除去は、結晶化溶液の温度を上昇させて結晶化溶媒またはその成分を蒸発させることによって促進してもよく、その結果、結晶化溶媒の一部は液相のまま保たれ、別の一部は気相に変化して除去される。溶媒を除去することによって精製FDCA経路生成物の濃度が上昇して結晶化し、これによって連続液相中にFDCA結晶のスラリーが得られる。多くの場合、第1の結晶化溶媒と第2の結晶化溶媒の一方または両方が多成分溶媒であり、第1の結晶化溶媒および/または第2の結晶化溶媒の第1の部分の除去には、該多成分溶媒の成分のうちの1種が完全にまたは部分的に除去されるが、その他の成分はほとんど除去されないか、全く除去されない場合が含まれる。これらの実施形態において、前記多成分溶媒は、軽質有機溶媒である1種の有機溶媒種と、重質有機溶媒である第2の有機溶媒種とを含んでいてもよく;あるいは水混和性重質有機溶媒または水混和性軽質有機溶媒である有機溶媒と水とを含んでいてもよい。
【0168】
第1の結晶化溶媒の第2の部分と第1の複数のFDCA結晶の分離、および第2の結晶化溶媒の第2の部分と第2の複数のFDCA結晶の分離は、例えば、濾過や遠心分離などの、液体と固体を分離するための公知の方法を利用して行うことができる。
【0169】
前記溶解工程(工程(aおよびd))は、第2の結晶化溶媒への第1のFDCA結晶の溶解が促進されるように、通常、高温で実施される。この温度は、使用する結晶化溶媒の種類によって異なるが、温度を上昇させることによって容易に決まるものであり、また、第1の複数のFDCA結晶が完全に溶解するまで第2の結晶化溶媒をさらに加えることもできる。前記溶解工程は、通常、50℃~220℃の範囲の温度またはこの範囲内の任意の数値の温度、例えば、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、180℃、190℃、200℃、210℃もしくは220℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度で実施される。多くの場合、前記溶解工程は、60℃~180℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度、または70℃~150℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度、例えば、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃もしくは180℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記溶解工程は、前記温度範囲の高温域、例えば、100℃~220℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度、または150℃~220℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度、例えば、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、180℃、190℃、200℃、210℃もしくは220℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度で実施される。
【0170】
第1の結晶化溶媒と第2の結晶化溶媒は、同一であってもよく、異なっていてもよい。特定の実施形態において、第1の結晶化溶媒および第2の結晶化溶媒の少なくとも一方は多成分溶媒であり、該多成分溶媒には、これらの結晶化溶媒に共通の溶媒種が一成分として含まれる。いくつかの実施形態において、精製FDCA経路生成物を含む第1の結晶化溶液は、前述した精製FDCA経路生成物を製造するための方法で使用された多成分溶媒である。いくつかの実施形態において、第1の結晶化溶媒は、前段の還元工程で使用された多成分溶媒とは異なるものである。これらの実施形態において、前記多成分溶媒の全量または一部を、例えば、蒸発などによって結晶化工程の前に除去してもよい。このようにして得られた固体は、別の溶媒(例えば、水もしくは別の有機溶媒種)または別の多成分溶媒(例えば、精製FDCA経路生成物を製造するための前記方法の多成分溶媒とは異なる組成の溶媒)に溶解することによって、第1の結晶化溶液を調製することができる。
【0171】
前記精製FDCA生成物の結晶化は、さらに続きの順序数が付される結晶化溶液(例えば、第3、第4、第5または第6の結晶化溶液)に該精製FDCA生成物を溶解することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、後続の結晶化溶媒は、上述した第1および/または第2の結晶化溶媒と同一であってもよく、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、後続の結晶化プロセスは、上述した第1および/または第2の結晶化溶媒の場合と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0172】
特定の一実施形態において、前記結晶化溶媒は、水と水混和性有機溶媒とを含む多成分溶媒である。したがって、さらなる一実施形態において、本開示は、精製FDCA経路生成物の結晶調製物を製造する方法であって、
水と水混和性有機溶媒とを含む多成分溶媒である結晶化溶媒と精製FDCA経路生成物とを含む結晶化溶液を提供すること;
前記精製FDCA経路生成物の結晶化を開始させること;ならびに
様々な粒径を有する複数の精製FDCA経路生成物結晶を生成させること
を含む方法を提供する。
【0173】
この実施形態において、前記水混和性有機溶媒は、通常、水混和性非プロトン性有機溶媒である。代表的な一実施形態において、前記水混和性非プロトン性有機溶媒はエーテル類であり、例えば、ジオキサン、ジオキソラン、および/もしくはジグライム、またはこれらの混合物などである。このような溶媒系の利点を説明するために、FDCAの溶解度と本開示の代表的な溶媒組成物との関係を、水、ジオキサン、ジオキソラン(例えば、1,3-ジオキソラン)および/またはジグライムと比較して検討する。本開示の溶媒組成物におけるFDCAの溶解度は高く、このため、FDCAの飽和溶液を調製して結晶化による精製の準備を行うことができる。水または有機溶媒(または水と有機溶媒の共沸混合物)を除去して溶媒組成を調整することによって、(選択した有機溶媒の揮発性が水よりも低い場合)有機溶媒の含量が高い溶媒組成物を調製することができ、または(選択した有機溶媒の揮発性が水よりも高い場合に)水の含量が高い溶媒組成物を調製することができる。水または有機溶媒におけるFDCAの溶解度は、本開示の溶媒組成物における溶解度より顕著に低い。FDCAの飽和溶液は、温度を低下させるか、溶媒留去して溶媒組成を調整するか、またはこれらの両方を併用することによって結晶化条件に付してもよい。
【0174】
本開示の結晶化プロセスでの使用に適した水混和性非プロトン性溶媒としては、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)および/もしくはγ-バレロラクトン、またはこれらの任意の混合物などが挙げられる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、例えば、グライム類、ジオキサン(例えば、1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)および/もしくはテトラヒドロフラン、またはこれらの任意の混合物などのエーテル類であることが好ましい。本開示の実施における使用に適したグライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、および/もしくは高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)、またはこれらの任意の混合物などが挙げられる。多くの場合、前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、グライム類、ジグライムもしくはジオキサン、またはこれらの任意の混合物である。
【0175】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水混和性有機溶媒種の割合は、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%もしくは少なくとも95vol%、またはこれらの数値のいずれか2つを上下限値とする範囲内であり;これに対応して、前記多成分溶媒系中の水の割合は、通常、95vol%未満、90vol%未満、85vol%未満、80vol%未満、75vol%未満、70vol%未満、65vol%未満、60vol%未満、55vol%未満、50vol%未満、45vol%未満、40vol%未満、35vol%未満、30vol%未満、25vol%未満、20vol%未満、15vol%未満、10vol%未満もしくは5vol%未満(ただし0vol%ではない)、またはこれらの数値のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
【0176】
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、1~5wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、99~95wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、5~10wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、95~90wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、10~15wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、90~85wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、15~20wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、85~80wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、20~25wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、80~75wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、25~30wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、75~70wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、30~35wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、70~65wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、35~40wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、65~60wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、40~45wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、60~55wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、45~50wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、65~50wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、50~55wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、50~45wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、55~60wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、45~40wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、60~65wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、40~35wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、65~70wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、35~30wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、70~75wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、30~25wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、75~80wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、25~20wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、80~85wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、20~15wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、85~90wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、15~10wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、90~95wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、10~5wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、95~99wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水と、5~1wt%またはこの範囲内の任意の数値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。
【0177】
より典型的には、水と水混和性有機溶媒の容量比は、通常、1:6~6:1(v:v)またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、前記容量比は1:4~4:1(v:v)またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~3:1(v:v)またはこの範囲内の任意の数値である。いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~1:3(v:v)またはこの範囲内の任意の数値である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:1(v:v)である。
【0178】
結晶化は、前述の温度低下(冷却)法または溶媒除去法によって開始させることができる。温度を低下させることによって結晶化を開始させる場合、通常、前記結晶化溶液の温度は、通常60℃~220℃またはこの範囲内の任意の数値の温度、例えば、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、180℃、190℃、200℃、210℃もしくは220℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度である第1の温度から下げられる。水が前記結晶化溶媒の一成分として含まれている場合、第1の温度はしばしば前記温度範囲の高温域にあり、例えば、100℃~220℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度、または150℃~220℃の範囲の温度もしくはこの範囲内の任意の数値の温度、例えば、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、180℃、190℃、200℃、210℃もしくは220℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度である。いくつかの実施形態において、第1の温度は、60℃~180℃の範囲の温度またはこの範囲内の任意の数値の温度であり、例えば、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃もしくは180℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度であり、第1の温度よりも低い第2の温度まで冷却する。いくつかの実施形態において、第1の温度は、70℃~150℃の範囲の温度またはこの範囲内の任意の数値の温度であり、例えば、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃もしくは150℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度である。前記結晶化溶液を冷却する場合、該結晶化溶液は、通常、60℃未満、例えば、60℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下、10℃以下、5℃以下もしくは0℃以下、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度である第2の温度まで冷却される。より典型的には、前記結晶化溶液は、50℃未満または40℃未満、例えば、50℃以下、40℃以下、30℃以下、20℃以下、10℃以下、5℃以下もしくは0℃以下、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度である第2の温度まで冷却される。
【0179】
また、結晶化は、前記結晶化溶液から前記結晶化溶媒の第1の部分を除去することによっても開始させることが可能であり、それによって、様々な粒径を有する第1の複数のFDCA結晶と前記結晶化溶媒の第2の部分とを含む精製FDCA経路生成物スラリーを得た後、第1の複数のFDCA結晶を該第1の結晶化溶媒の第2の部分と分離してもよい。得られた第1の複数のFDCA結晶を、前記結晶化溶媒と同一または異なる結晶化溶媒に溶解し、前記プロセスを繰り返して、様々な粒径を有する第2の複数のFDCA結晶を得てもよい。
【0180】
精製FDCA経路生成物の種結晶を加えて、結晶化の開始をさらに促進させてもよい。消泡剤や結晶化助剤などの他の添加剤を前記結晶化溶液に加えて、結晶化プロセスを促進させるとともに、FDCA結晶を含む懸濁液を形成させてもよい。本開示の実施における使用に適した消泡剤としては、例えば、シリコーン、界面活性剤、リン酸エステル、アルコール、グリコール、ステアリン酸エステルなどが挙げられる。界面活性剤や電解質ポリマーなどの添加剤も、形成される結晶の形態および組成に影響を与えうる。例えば、米国特許第5,296,639号および米国特許第6,534,680号を参照されたい。なお、これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。保存中の結晶性生成物の凝集を防止するため、流動性向上剤として機能するその他の添加剤を加えてもよい(例えば、米国特許第6,534,680号を参照されたい)。
【0181】
本明細書に記載の方法によって生成されたFDCA結晶は、遠心分離や濾過、または液体と固体を分離するのに適したその他の方法によって、前記溶液(母液)から分離することができる。次いで、得られた結晶を、当業者に公知の好適な方法を使用して洗浄および乾燥することができる。
【0182】
本明細書に記載の結晶化プロセスは、精製FDCA経路生成物を含む供給原料からFDCA結晶を製造するための統合型プロセスの一部として実施することができる。一連の前記製造工程は、第1の結晶化ゾーン、溶解ゾーンおよび第2の(精製)結晶化ゾーンを少なくとも備えるプロセスにおいて実施することができる。また、前記結晶化プロセスは、FDCA経路生成物と多成分溶媒とを含む精製FDCA経路生成物供給原料からFDCA結晶を製造するための統合型プロセスの一部として実施することもできる。この方法において、統合型結晶化プロセスは、さらに本明細書に記載の還元反応プロセスと統合されている。この統合型プロセスでは、少なくとも1つの還元反応ゾーンから吐出された流れが、供給原料として統合型結晶化プロセスに送られる。本明細書に記載の結晶化プロセスにおいて、各結晶化ゾーンの後(例えば、結晶化ゾーンと次の溶解ゾーンの間)に、(例えば、遠心分離を利用した)結晶分離操作が実施されてもよい。
【0183】
いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCAは、少なくとも98wt%のFDCAを含み、より典型的には、少なくとも99wt%のFDCAを含み、いくつかの実施形態においては、99wt%を超える量のFDCAを含む。
【0184】
いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCA調製物は、99%を超えるモル純度を有するFDCAを含む。いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCA調製物は、99.5%を超えるモル純度を有するFDCAを含む。いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCA調製物は、99.8%を超えるモル純度を有するFDCAを含む。いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCA調製物は、99.9%を超えるモル純度を有するFDCAを含む。いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCA調製物は、99.95%を超えるモル純度を有するFDCAを含む。いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCA調製物は、99.99%を超えるモル純度を有するFDCAを含む。いくつかの実施形態において、前記結晶性FDCA調製物には、検出可能なレベルの不純物は含まれていない。
【0185】
本開示の結晶化プロセスは、液相結晶化の実施に適した公知の工業用晶析装置システムを使用して行ってもよい。好適な晶析装置システムとしては、例えば、バッチ式晶析装置、連続晶析装置(例えば、強制循環型晶析装置、ドラフトチューブ型晶析装置、ドラフトチューブ&バッフル型晶析装置、オスロ型晶析装置など)、および他のタイプの晶析装置システムが挙げられる。
【0186】
通常、本開示の結晶性FDCA調製物は乾燥した状態であり、水の含量が1wt%未満である。多くの場合、水の含量は、0.9wt%未満、0.8wt%未満、0.7wt%未満、0.6wt%未満、0.5wt%未満、0.4wt%未満、0.3wt%未満もしくは0.2wt%未満、またはこれらの量のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
【0187】
本開示のプロセスは、様々な規模で実施することができる。いくつかの実施形態において、前記プロセスは、化合物の使用量がミリグラム~グラムの範囲である小規模で実施してもよい。いくつかの実施形態において、前記プロセスは工業的規模で実施してもよい。いくつかの実施形態において、前記方法を工業的規模で実施する場合、複数のバッチを使用して行ってもよい。この方式では、FDCA経路生成物、精製FDCA経路生成物および/または結晶化FDCAの複数のバッチが得られる。いくつかの実施形態において、前記方法を工業的規模で実施する場合、連続式プロセスで行ってもよい。この方式では、FDCA経路生成物、精製FDCA経路生成物および/または結晶化FDCAが連続的に液体連通している。
【0188】
本開示のプロセスは、当技術分野で公知の反応器、例えば、固定床反応器、トリクルベッド反応器、スラリー相反応器、移動床反応器などを使用して、バッチ式反応器法、セミバッチ式反応器法または連続式反応器法で実施してもよい。
【実施例
【0189】
IV.還元触媒の例
以下の実施例において、さらなる実施形態をより詳細に開示するが、これらの実施例は特許請求の範囲を何ら限定するものではない。
【0190】
実施例1
1ml容量のガラスバイアルを保持する96ウェルインサートを備えたハイスループット高圧反応器を使用して触媒試験を実施した。Diamond, G. M., Murphy, V., Boussie, T. R., in Modern Applications of High Throughput R&D in Heterogeneous Catalysis, (eds, Hagemeyer, A. and Volpe, A. Jr. Bentham Science Publishers 2014, Chapter 8, 299-309);および米国特許第8,669,397号を参照されたい。なお、これらの文献はいずれも参照により本明細書に援用される。各種粉末状触媒を20mgを上限として反応器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製した様々な量の5-ホルミル-2-フロ酸(FFCA)と2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を含む溶液を0.25ml加えた。インサート内の1ml容量の各反応バイアルを、ガスの流入を可能にするピンホールを備えた、テフロンシート、シリコーンマットおよび鋼鉄製ガス拡散プレートで覆った。インサートを、窒素圧下でリークチェックを行った圧力容器内に入れた。次いで、反応器内の空気を水素で置換して目標圧力(例えば500psig)に設定し、反応器を目標温度(例えば100℃)まで加熱して、800rpmで特定の時間(例えば60分)振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。各反応器から採取した試料をジメチルスルホキシド(DMSO)とHOで希釈して、HPLC分析用試料を調製した。反応生成物として、FFCAの水素化によりヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)と5-メチル-2-フロ酸(MFA)が得られ、FDCAの水素化によりテトラヒドロフランジカルボン酸(THFDCA)が得られた。HMFCAとMFAの収率はFFCAの使用量をベースとして算出し、THFDCAの収率はFDCAの使用量をベースとして算出した。
【0191】
触媒はすべて市販品であり、篩過した粉末を使用した。粉末状の触媒が入手できない場合は、押出成形品を粉末に粉砕してから水素化反応に供した。Cu Clariant T-4874は、押出成形品であるCu触媒Clariant T-4874を粉末にしたものであり、ジオキサンで洗浄して安定化溶剤のイソデカノールを除去した。Ni JM HTC 500RPは、Johnson Matthey社製の押出成形品であるNi触媒HTC 500RPを粉末にしたものである。Pd/C JM-10 (A102038-5 Lot# C-9074)、Pd/C JM-4 (A405032-5 Lot# C-9191)、Ru/C JM-37 (D101023-5 Lot# C-9219)およびRu/C JM-38 (D101038-5 Lot# C-9220)は、Johnson Matthey社から入手し、そのまま使用した。Ru/C JM-37およびRu/C JM-38は、Johnson Matthey社から入手したRu/C JM-37 (D101023-5 Lot# C-9219)およびRu/C JM-38 (D101038-5 Lot# C-9220)を還元したものである(フォーミングガス中で350℃、3時間)。結果を表1に示す。
【表1】
【0192】
実施例2
各種粉末状触媒20mgをそれぞれ別々の反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製した0.6M FFCA溶液を加えた。粉末状触媒としては、Cu BASF 0602(社内で還元)、Cu Clariant T-4874、Cu Clariant T-4874(社内で還元)、Ni JM HTC 500 RP、Pd/C JM-4、Pd/C JM-6、Pd/C JM-10、Pt/C JM-24、Pt/C JM-27、Ru/C JM-37およびRu/C JM-38を使用し、触媒なしのコントロールも用意した。このうち、Cu BASF 0602およびCu Clariant T-4874は、入手後に還元反応(フォーミングガス中で350℃、3時間)に付したものである。各反応容器の水素圧を55barの目標圧力まで加圧した。反応容器を70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪するか、あるいは100℃の目標温度まで加熱して1時間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。
【0193】
HMFCAの選択率およびFFCAの転化率を算出した。結果を図1に示す。
【0194】
HMFCAの収率、MFAの収率、FFCAの残存量、および物質収支を算出した。結果を図2に示す。
【0195】
実施例3
各種粉末状触媒20mgをそれぞれ別々の反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製した0.6M FDCA溶液を加えた。粉末状触媒としては、Cu BASF 0602(社内で還元)、Cu Clariant T-4874、Cu Clariant T-4874(社内で還元)、Ni JM HTC 500 RP、Pd/C JM-4、Pd/C JM-6、Pd/C JM-10、Pt/C JM-24、Pt/C JM-27、Ru/C JM-37およびRu/C JM-38を使用し、触媒なしのコントロールも用意した。このうち、Cu BASF 0602およびCu Clariant T-4874は、入手後に還元反応(フォーミングガス中で350℃、3時間)に付したものである。各反応容器の水素圧を55barの目標圧力まで加圧した。反応容器を70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪するか、あるいは100℃の目標温度まで加熱して1時間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。THFDCAの収率、FFCAの残存量、および物質収支を算出した。結果を図3に示す。
【0196】
実施例4
各種粉末状触媒20mgをそれぞれ別々の反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFDCA(0.6M)とFFCA(0.6M)とを含む溶液を加えた。粉末状触媒としては、Cu BASF 0602(社内で還元)、Cu Clariant T-4874、Cu Clariant T-4874(社内で還元)、Ni JM HTC 500 RP、Pd/C JM-4、Pd/C JM-6、Pd/C JM-10、Pt/C JM-24、Pt/C JM-27、Ru/C JM-37およびRu/C JM-38を使用し、触媒なしのコントロールも用意した。このうち、Cu BASF 0602およびCu Clariant T-4874は、入手後に還元反応(フォーミングガス中で350℃、3時間)に付したものである。各反応容器の水素圧を55barの目標圧力まで加圧した。反応容器を70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪するか、あるいは100℃の目標温度まで加熱して1時間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。
【0197】
HMFCAの選択率およびFFCAの転化率を算出した。結果を図4に示す。
【0198】
HMFCAの収率、MFAの収率、THFDCAの収率、FFCAの残存量、FDCAの残存量、および物質収支を算出した。結果を図5に示す。
【0199】
実施例5
2mgおよび5mgの粉末状のNi触媒、Ru触媒およびPd触媒をそれぞれ別々の反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFFCA(0.02M)とFDCA(0.38M)とを含む溶液を加えた。粉末状のNi触媒、Ru触媒およびPd触媒としては、Ni JM HTC 500 RP、Pd/C JM-3、Pd/C JM-4、Pd/C JM-5、Ru/C JM-37およびRu/C JM-38を使用し、触媒なしのコントロールも用意した。このうち、Ru/C JM-37およびRu/C JM-38は、入手後に還元反応(フォーミングガス中で350℃、3時間)に付したものである。また上記とは別に、2mg、5mg、10mgおよび15mgのCu Clariant T-4874をそれぞれ別々の反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFDCA(0.02M)とFFCA(0.38M)とを含む溶液を加えた。
【0200】
粉末状のNi触媒、Ru触媒およびPd触媒を含む反応液は、14barまたは35barの水素圧下で試験に供した。粉末状のNi触媒、Ru触媒およびPd触媒を含む反応液を70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪するか、あるいは100℃の目標温度まで加熱して1時間振盪した。
【0201】
粉末状のCu触媒を含む反応液は、35barまたは55barの水素圧下で試験に供した。粉末状のCu触媒を含む反応液を100℃の目標温度まで加熱して1時間振盪するか、あるいは125℃の目標温度まで加熱して1時間振盪した。
【0202】
各反応の終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。HMFCAの選択率は、下記式により算出した。
【数1】
結果を図6に示す。
【0203】
Ni触媒、Pd触媒およびRu触媒のそれぞれについて、HMFCAの収率、MFAの収率、THFDCAの収率、FFCAの残存量、FDCAの残存量、FFCAの物質収支、およびFDCAの物質収支を算出した。結果を図7に示す。図7において、小さいマーカーは、反応容器への粉末状触媒の仕込量が2mgであることを示し、大きいマーカーは、反応容器への粉末状触媒の仕込量が5mgであることを示す。
【0204】
Cu触媒について、HMFCAの収率、MFAの収率、THFDCAの収率、FFCAの残存量、FDCAの残存量、FFCAの物質収支、およびFDCAの物質収支を算出した。結果を図8に示す。図8において、最も小さいマーカーは、反応容器へのCu粉末状触媒の仕込量が2mgであること示し、2番目に小さいマーカーは、反応容器へのCu粉末状触媒の仕込量が5mgであることを示し、3番目に小さいマーカーは、反応容器へのCu粉末状触媒の仕込量が10mgであることを示し、最も大きいマーカーは、反応容器へのCu粉末状触媒の仕込量が15mgであることを示す。
【0205】
実施例6
各種粉末状触媒5mgをそれぞれ別々の反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFFCA(0.020M)とFDCA(0.38M)とを含む溶液を0.25ml加えた。粉末状触媒としては、Cu T-4874、Pd/C JM-10およびRu/C JM-37を使用した。Ru/C JM-37は、入手後に還元反応(フォーミングガス中で350℃、3時間)に付したものである。各反応容器の水素圧を50psiの目標圧力まで加圧した。反応容器を室温で4時間振盪した。反応終了後、振盪を停止して、触媒への吸着量を確認した。FFCAの物質収支およびFDCAの物質収支を算出した。結果を表2に示す。
【表2】
【0206】
実施例7
2mgまたは5mgの粉末状のPd/C触媒JM-9を反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFFCA(0.020M、0.60mg)とFDCA(0.38M、12.0mg)とを含む溶液を0.25ml加えた。反応容器の水素圧を50psiの目標圧力まで加圧した。反応容器を50℃の目標温度まで加熱して4時間振盪するか、あるいは70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。HMFの収率、HMFCAの収率、MFAの収率、THFDCAの収率、FFCAの残存量、FDCAの残存量、FFCAの物質収支、およびFDCAの物質収支を算出した。結果を図9に示す。
【0207】
実施例8
2mgまたは5mgの粉末状のPd/C触媒JM-10を反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFFCA(0.020M、0.60mg)とFDCA(0.38M、12.0mg)とを含む溶液を0.25ml加えた。反応容器の水素圧を50psiの目標圧力まで加圧した。反応容器を50℃の目標温度まで加熱して4時間振盪するか、あるいは70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。HMFの収率、HMFCAの収率、MFAの収率、THFDCAの収率、FFCAの残存量、FDCAの残存量、FFCAの物質収支、およびFDCAの物質収支を算出した。結果を図10に示す。
【0208】
実施例9
2mgまたは5mgの粉末状のRu/C触媒JM-37を反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFFCA(0.020M、0.60mg)とFDCA(0.38M、12.0mg)とを含む溶液を0.25ml加えた。Ru/C触媒JM-37は、入手後に還元反応(フォーミングガス中で350℃、3時間)に付したものである。反応容器の水素圧を50psiの目標圧力まで加圧した。反応容器を50℃の目標温度まで加熱して4時間振盪するか、あるいは70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。HMFの収率、HMFCAの収率、MFAの収率、THFDCAの収率、FFCAの残存量、FDCAの残存量、FFCAの物質収支、およびFDCAの物質収支を算出した。結果を図11に示す。
【0209】
実施例10
2mgまたは5mgの粉末状のRu/C触媒JM-38を反応容器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製したFFCA(0.020M、0.60mg)とFDCA(0.38M、12.0mg)とを含む溶液0.25mlを加えた。Ru/C触媒JM-38は、入手後に還元反応(フォーミングガス中で350℃、3時間)に付したものである。反応容器の水素圧を50psiの目標圧力まで加圧した。反応容器を50℃の目標温度まで加熱して4時間振盪するか、あるいは70℃の目標温度まで加熱して2時間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。HMFの収率、HMFCAの収率、MFAの収率、THFDCAの収率、FFCAの残存量、FDCAの残存量、FFCAの物質収支、およびFDCAの物質収支を算出した。結果を図12に示す。
【0210】
V.結晶化の例
結晶化固体および母液におけるFDCAの純度(重量%)(ならびにHMFCAとFFCAの残存量)を、UV検出(λ=254nm)によるHPLC分析法を用いて測定した。FDCA、HMFCAおよびFFCAの254nmにおける吸光度を、FDCA、HMFCAおよびFFCAの検量線に適用した。
【0211】
実施例11
FDCA(4.0g)およびHMFCA(0.21g、FDCA:HMFCA 95:5 wt:wt)を、1,4-ジオキサン:水(40.4g、80:20 wt:wt)に懸濁した。この懸濁液の入った反応バイアルを密封し、懸濁液を撹拌しながら油浴中で110~115℃に加熱し、固体を完全に溶解させた。その後、加熱を停止し、混合物を2時間かけて室温までゆっくり冷却した。得られた結晶懸濁液を室温でさらに1時間撹拌した。結晶をろ過して、母液を回収した。結晶を真空下で一晩乾燥し、FDCA(2.53g、収率63%、純度99.42%)を白色結晶として得た。HPLC分析によるHMFCA量は0.58wt%であった。
【0212】
回収した母液を減圧下で蒸発させ、残留した固体を真空下で一晩乾燥して、FDCA:HMFCA(1.48g、88.6:11.4 wt:wt)を薄黄色固体として得た。
【0213】
全体の質量回収率:4.01g(95.2%)。
【0214】
実施例12
実施例11で得られたFDCA(2.47g、FDCA:HMFCA 99.42:0.58 wt:wt)を、1,4-ジオキサン:水(22.3g、80:20 wt:wt)に懸濁した。この懸濁液の入った反応バイアルを密封し、懸濁液を撹拌しながら油浴中で120℃に加熱し、固体を完全に溶解させた。その後、加熱を停止し、混合物を2時間かけて室温までゆっくり冷却した。得られた結晶懸濁液を室温でさらに2時間撹拌した。結晶をろ過して、母液を回収した。結晶を脱イオン水(10mL)で再びスラリー化して、ろ過した。結晶を回収し、真空下で一晩乾燥して、FDCA(1.60g、収率65%、純度>99.95%)を白色結晶として得た。HMFCAは、HPLC分析における検出可能レベルを下回る量であった。
【0215】
回収した母液を減圧下で蒸発させ、残留した固体を真空下で一晩乾燥して、FDCA:HMFCA(0.71g、98.5:1.5 wt:wt)を薄灰白色固体として得た。
【0216】
全体の質量回収率:2.31g(93.5%)。
【0217】
実施例13
FDCA(4.0g)およびHMFCA(0.21g、FDCA:HMFCA 95:5 wt:wt)を、1,4-ジオキサン:水(40.4g、60:40 wt:wt)に懸濁した。この懸濁液の入った反応バイアルを密封し、懸濁液を撹拌しながら油浴中で110~115℃に加熱し、固体を完全に溶解させた。その後、加熱を停止し、混合物を2時間かけて室温までゆっくり冷却した。得られた結晶懸濁液を室温でさらに1時間撹拌した。結晶をろ過して、母液を回収した。結晶を真空下で一晩乾燥し、FDCA(3.10g、収率78%、純度99.56%)を白色結晶として得た。HPLC分析によるHMFCA量は0.44wt%であった。
【0218】
回収した母液を減圧下で蒸発させ、残留した固体を真空下で一晩乾燥して、FDCA:HMFCA(0.98g、82.2:17.8 wt:wt)を薄黄色固体として得た。
【0219】
全体の質量回収率:4.08g(96.9%)
【0220】
実施例14
実施例13で得られたFDCA(3.05g、FDCA:HMFCA 99.56:0.44 wt:wt)を、1,4-ジオキサン:水(27.4g 60:40 wt:wt)に懸濁した。この懸濁液の入った反応バイアルを密封し、懸濁液を撹拌しながら油浴中で120℃に加熱し、固体を完全に溶解させた。その後、加熱を停止し、混合物を2時間かけて室温までゆっくり冷却した。得られた結晶懸濁液を室温でさらに2時間撹拌した。結晶をろ過して、母液を回収した。結晶を脱イオン水(10mL)で再びスラリー化して、ろ過した。結晶を回収し、真空下で一晩乾燥して、FDCA(2.37g、収率78%、純度>99.95%)を白色結晶として得た。HMFCAは、HPLC分析における検出可能レベルを下回る量であった。
【0221】
回収した母液を減圧下で蒸発させ、残留した固体を真空下で一晩乾燥して、FDCA:HMFCA(0.50g、98.0:2.0 wt:wt)を薄灰白色固体として得た。
【0222】
全体の質量回収率:2.87g(94.1%)
【0223】
実施例15
FDCA(3.06g)、HMFCA(0.148g)およびFFCA(12.9mg、FDCA:HMFCA:FFCA 95:4.6:0.4 wt:wt:wt)を、1,4-ジオキサン:水(29.0g、60:40 wt:wt)に懸濁した。この懸濁液の入った反応バイアルを密封し、懸濁液を撹拌しながら油浴中で120℃に加熱し、固体を完全に溶解させた。その後、加熱を停止し、混合物を2時間かけて室温までゆっくり冷却した。得られた結晶懸濁液を室温でさらに1時間撹拌した。結晶をろ過して、母液を回収した。結晶を真空下で一晩乾燥し、FDCA(2.42g、収率79%、純度99.35%)を白色結晶として得た。HPLC分析によるHMFCA量は0.34wt%、FFCA量は0.31wt%であった。
【0224】
回収した母液を減圧下で蒸発させ、残留した固体を真空下で一晩乾燥して、FDCA:HMFCA:FFCA(0.64g、81.5:17.8:0.7 wt:wt:wt)を薄黄色固体として得た。
【0225】
全体の質量回収率:3.06g(94.8%)
【0226】
実施例16
実施例15で得られたFDCA(2.27g、FDCA:HMFCA:FFCA 99.35:0.34:0.31 wt:wt:wt)を、1,4-ジオキサン:水(20.5g 60:40 wt:wt)に懸濁した。この懸濁液の入った反応バイアルを密封し、懸濁液を撹拌しながら油浴中で120℃に加熱し、固体を完全に溶解させた。その後、加熱を停止し、混合物を2時間かけて室温までゆっくり冷却した。得られた結晶懸濁液を室温でさらに2時間撹拌した。結晶をろ過して、母液を回収した。結晶を真空下で一晩乾燥し、FDCA(1.78g、収率78%、純度99.75%)を白色結晶として得た。HPLC分析によるHMFCA量は0.08wt%、FFCA量は0.17wt%であった。
【0227】
回収した母液を減圧下で蒸発させ、残留した固体を真空下で一晩乾燥して、FDCA:HMFCA:FFCA(0.38g、97.6:1.6:0.8 wt:wt:wt)を薄灰白色固体として得た。
【0228】
全体の質量回収率:2.16g(95.2%)
【0229】
実施例17
実施例16で得られたFDCA(1.70g、FDCA:HMFCA:FFCA 99.75:0.08:0.17 wt:wt:wt)を、1,4-ジオキサン:水(15.3g、60:40 wt:wt)に懸濁した。この懸濁液の入った反応バイアルを密封し、懸濁液を撹拌しながら油浴中で120℃に加熱し、固体を完全に溶解させた。その後、加熱を停止し、混合物を2時間かけて室温までゆっくり冷却した。得られた結晶懸濁液を室温でさらに1時間撹拌した。結晶をろ過して、母液を回収した。結晶を脱イオン水(10mL)で再びスラリー化して、ろ過した。結晶を回収し、真空下で一晩乾燥して、FDCA(1.29g、収率76%、純度99.91%)を白色結晶として得た。HPLC分析によるFFCA量は0.09wt%であり、HMFCAは検出可能レベルを下回る量であった。
【0230】
回収した母液を減圧下で蒸発させ、残留した固体を真空下で一晩乾燥して、FDCA:HMFCA:FFCA(0.27g、99.4:0.1:0.5 wt:wt:wt)を白色固体として得た。
【0231】
全体の質量回収率:1.56g(91.8%)
【0232】
VI.不均一系酸化触媒の例
実施例18
様々な固体担体に担持させたPt/Bi触媒の調製
Bi(NO・5HO(43wt%Bi)と、Pt(NO溶液(14.5wt%Pt)と、脱イオン水とを混合して、表3に示す様々なPt-Bi比率の金属前駆体溶液を調製した。例えば、表3の実施例1の触媒を形成させるために使用する金属前駆体溶液は、0.35gのBi(NO・5HOと、2.05mLのPt(NO溶液と、3.0mLの脱イオン水とを混合して調製した。この溶液を、ZrO担体(Saint Gobain社製、BET比表面積40m/g、粒径75~150μm)、ZrO-TiO担体(40wt%TiO、Saint Gobain社製SZ 39140、BET比表面積80m/g、粒径75~150μm)、TiO担体(Saint Gobain社製ST 31119、BET比表面積40m/g、粒径75~150μm)、または炭化ケイ素担体(SiCat社製、BET比表面積25m/g、粒径150~250μm)に含浸させた。含浸後、各材料を120℃で3時間乾燥し、次いで、350℃で3時間、フォーミングガス(5%Hガスを含むNガス)気流下で還元処理した。
【0233】
実施例19
様々な固体担体に担持させたPt/Te触媒の調製
Te(OH)(55.6wt%Te)と、Pt(NO溶液(14.5wt%Pt)と、脱イオン水とを混合して、表3に示す様々なPt-Te比率の金属前駆体溶液を調製した。この溶液を、ZrO担体(Saint Gobain社製、BET比表面積40m/g、粒径75~150μm)、ZrO-TiO担体(40wt%TiO、Saint Gobain社製SZ 39140、BET比表面積80m/g、粒径75~150μm)、TiO担体(Saint Gobain社製ST 31119、BET比表面積40m/g、粒径75~150μm)、または炭化ケイ素担体(SiCat社製、BET比表面積25m/g、粒径150~250μm)に含浸させた。含浸後、各材料を120℃で3時間乾燥し、次いで、350℃で3時間、フォーミングガス(5%Hガスを含むNガス)気流下で還元処理した。
【0234】
実施例20
様々な固体担体に担持させたPt/Sn触媒の調製
Sn(シュウ酸塩)/過酸化水素/クエン酸(10.2wt%Sn)とPtONO(62.5wt%Pt)の溶液と、脱イオン水とを混合して、表3に示す様々なPt-Sn比率の金属前駆体溶液を調製した。この溶液を、ZrO担体(Saint Gobain社製、BET比表面積40m/g、粒径75~150μm)、ZrO-TiO担体(40wt%TiO、Saint Gobain社製SZ 39140、BET比表面積80m/g、粒径75~150μm)、TiO担体(Saint Gobain社製ST 31119、BET比表面積40m/g、粒径75~150μm)、または炭化ケイ素担体(SiCat社製、BET比表面積25m/g、粒径150~250μm)に含浸させた。含浸後、各材料を120℃で3時間乾燥し、次いで、350℃で3時間、フォーミングガス(5%Hガスを含むNガス)気流下で還元処理した。
【0235】
実施例21
触媒性能アッセイおよびFDCA経路生成物の製造
1ml容量のガラスバイアルを保持する96ウェルインサートを備えたハイスループット高圧反応器を使用して触媒試験を実施した。Diamond, G. M., Murphy, V., Boussie, T. R., in Modern Applications of High Throughput R&D in Heterogeneous Catalysis, (eds, Hagemeyer, A. and Volpe, A. Jr. Bentham Science Publishers 2014, Chapter 8, 299-309);および米国特許第8,669,397号を参照されたい。なお、これらの文献はいずれも参照によりその全体が明示的に本明細書に援用される。10mgの各種粉末状触媒を反応器に仕込み、ジオキサンとHOの3:2(wt/wt)混合溶媒で調製した0.5M 5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)(6.0wt%)溶液を0.25ml加えた。インサート内の1ml容量の各反応バイアルを、ガスの流入を可能にするピンホールを備えた、テフロンシート、シリコーンマットおよび鋼鉄製ガス拡散プレートで覆った。インサートを、窒素圧下でリークチェックを行った圧力容器内に入れた。次いで、反応器内の空気を酸素で置換して目標圧力の200psigに設定し、反応器を目標温度の120℃まで加熱して、800rpmで120分間振盪した。反応終了後、振盪を停止し、反応器を室温まで冷却した。各反応器から採取した試料をジメチルスルホキシド(DMSO)とHOで希釈して、HPLC分析用試料を調製した。反応生成物として、5-ヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)、2,5-フランジカルボキシアルデヒド(DFF)、5-ホルミルフラン-3-カルボン酸(FFCA)および2,5-フランジカルボン酸(FDCA)が得られた。上記の各生成物および残存するHMFは、各分析物の検量線用標準試料の相対濃度と検出器の相対的な応答をプロットして、放物線の式にフィッティングさせて作成した検量線を用いて定量した。物質収支(MB)は、残存するHMF(表3に示さず)、FFCAおよびFDCA経路生成物の合計量である。結果を表3に示す。
【表3】
【0236】
実施例22
様々なBi/Pt比率の固体担体の性能
HMFからFDCAへの酸化反応を、カーボンブラック担体、ジルコニア担体およびモンモリロナイト担体に担持させたBi/Ptの比率の異なる触媒を用いて実施した。下記の4種類の担体を使用した:Sid Richardson社製SC159(カーボンブラック)、Orion社製Asperse 5-183A(カーボンブラック)、ジルコニアZ1247およびモンモリロナイトKA-160。これらの担体はすべて、それぞれの押出成形品を粉砕して篩過した粒径約75~150μmのものを使用した。一段階固定化共含浸法により、2.0M HNO中で各固体担体にPtONOとBi(NOを担持させ、乾燥後、350℃で3時間、フォーミングガス気流下で還元処理した。一段階固定化共含浸法により得られた、Pt担持量が3wt%で、Bi担持量が0wt%、0.1wt%、0.3wt%、0.6wt%、1wt%および1.5wt%である共含浸触媒のBi/Pt比率はそれぞれ、0.033、0.1、0.2、0.33および0.5(コントロールは含まず)である。また、Pt担持量が2wt%で、Bi担持量が0.1wt%、0.3wt%、0.6wt%および1wt%である共含浸触媒のBi/Pt比率はそれぞれ、0.05、0.15、0.3および0.5である。各触媒を5mgまたは10mg使用して、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した6.0wt%(0.50M)のHMFを含む基質溶液0.25mLとの反応を行った。これらの反応は、酸素圧を200psi(RT)、温度を125℃に設定した反応器内で、800rpmで振盪しながら2時間行った。結果を図13~20に示す。
【0237】
実施例23
様々なチタニア担体に担持させたBi/Pt触媒の性能
HMFからFDCAへの酸化反応を、様々なチタニア担体に担持させたPt触媒およびBi/Pt触媒を用いて実施した。下記の12種類の粉末状チタニア担体を使用した:Saint-Gobain社製NorPro ST61120、ST31119およびST39119(ST31119とST39119は同じ素材で形状の異なるチタン担体);Sud-Chemie社製T-2809 Ti-211およびT-2809 Ti-411;Cristal Global社製ACTiV DT-S10、DT-51、DT-52、DT-58、DT-W5(超微粒子粉末);ならびにHombikat、Degussa社製P25(超微粒子粉末)。金属および/または助触媒の担持量は、3.0wt%Pt、0.30wt%Bi+3.0wt%Pt、および0.60wt%Bi+3.0wt%Ptの3種類とした。一段階固定化共含浸法により、1.0M HNO中で各固体担体に、Pt担持量が3.0wt%になるようPtONOを担持させ、Bi担持量が0.30wt%、Pt担持量が3.0wt%になるようBi(NOとPtONOを担持させ、Bi担持量が0.60wt%、Pt担持量が3.0wt%になるようBi(NOとPtONOを担持させた。120℃で2時間乾燥させた後、350℃で3時間、フォーミングガス気流下で還元処理した。各触媒を8.0mg使用して、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した6.0wt%(0.50M)のHMFを含む基質溶液0.25mLとの反応を行った。これらの反応は、酸素圧を200psi(RT)、温度を125℃に設定し、800rpmで振盪しながら2時間行った。結果を図21~28に示す。
【0238】
実施例24
様々なジルコニア担体に担持させたBi/Pt触媒の性能
HMFからFDCAへの酸化反応を、様々なジルコニア担体に担持させたPt触媒およびBi/Pt触媒を用いて実施した。下記の6種類の粉末状ジルコニア担体を使用した:Saint-Gobain社製NorPro SZ-1247およびSZ-39140(Ti);第一稀元素化学工業(DKKK)社製Z-2962(W)、Z-2087(W)およびZ-1044(W);ならびに社内で調製したEG143-59/61-1(W)(Morgan Parr&Elif Gurbuz)。金属および/または助触媒の担持量は、3.0wt%Pt、0.30wt%Bi+3.0wt%Pt、および0.60wt%Bi+3.0wt%Ptの3種類とした。一段階固定化共含浸法により、1.0M HNO中で各固体担体に、Pt担持量が3.0wt%になるようPtONOを担持させ、Bi担持量が0.30wt%、Pt担持量が3.0wt%になるようBi(NOとPtONOを担持させ、Bi担持量が0.60wt%、Pt担持量が3.0wt%になるようBi(NOとPtONOを担持させた。120℃で2時間乾燥させた後、350℃で3時間、フォーミングガス気流下で還元処理した。各触媒を8.0mg使用して、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した6.0wt%(0.50M)のHMFを含む基質溶液0.25mLとの反応を行った。これらの反応は、酸素圧を200psi(RT)、温度を125℃に設定し、800rpmで振盪しながら2時間行った。結果を図29~36に示す。
【0239】
実施例25
タングステン酸チタニア担体およびタングステン酸ジルコニア担体にBiを高担持させたBi/Pt触媒の性能
HMFからFDCAへの酸化反応を、様々なタングステン酸チタニア担体およびタングステン酸ジルコニア担体に担持させたPt触媒およびBi/Pt触媒を用いて実施した。使用したチタニア担体は、Saint-Gobain社製NorPro ST31119、Crystal ActiV DT-51D、および10wt%WOを添加したCrystal ActiV DT-52である。使用したジルコニア担体は、17wt%WOを添加したSaint-Gobain社製NorPro 61143、9wt%WOを添加した正方晶系61143、5wt%WOを添加した単斜晶系、8wt%TiOと9wt%WOを添加したZr(OH)、9wt%TiOを添加したZr(OH);10wt%WOを添加したDKKK社製Z-1581、20wt%TiOと5wt%WOを添加したZ-2944;10wt%WOを添加したMEL Cat Zr(OH) XZO2628/01;およびXZO2628/01をベースに、Nyacol社製ZrO(AC)&Zusoplast WE-8をバインダーとして10%配合して社内で調製した、9wt%WOを含むMP140-28-2(Morgan Parr)。Pt/Bi触媒におけるPt担持量は3wt%であり、Bi担持量は0.30wt%、0.60wt%、1.0wt%または1.5wt%である。担体は、600℃の空気中で3時間または800℃の空気中で3時間処理した。一段階固定化共含浸法により、1.0M HNO中で各固体担体にBi(NO+PtONOを担持させ、120℃で2時間乾燥させた後、350℃で3時間、フォーミングガス気流下で還元処理した。BiPt/ZrO(17wt%WO) SZ61143からなる触媒は、フォーミングガスによる還元処理後、400℃で空気焼成をさらに2時間行った。特定の理論に縛られるものではないが、400℃で空気焼成をさらに2時間行うことで、担体中の一部還元されていたWを酸化させてWOに戻すことができると考えられる。各触媒を8.0mg使用して、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した6.0wt%(0.50M)のHMFを含む基質溶液0.25mLとの反応を行った。これらの反応は、酸素圧を200psi(RT)、温度を125℃に設定し、800rpmで振盪しながら2時間行った。結果を図37~44に示す。
【0240】
実施例26
ジルコニア担体に担持させたPt触媒を用いた固定床反応
HMFからFDCAへの固定床酸化反応を、ジルコニア担体に担持させたPt触媒を用いて1/4インチサイズの反応器で実施した。触媒は、Ptを3.0wt%担持させたZrO 1247(75~150μm)であり、1/4インチ(OD)のSS製反応管に、これを4.2g充填して高さ23cmの固定床を設けた。この触媒は、一段階固定化含浸法によりPtONOを用いて得られた担持体を、350℃で3時間、フォーミングガス気流下で還元処理したものである。ZrO 1247担体は脆く、触媒の作製により、所望の範囲の担体サイズにおいて材料の35%が失われる。酸化反応は、125℃、1000psigに設定した反応器内で、基質の初期流量を0.80mL/分として、5%O/95%Nの流量を116sccm(O/HMFのモル比2:1)とし、次いで、5%O/95%Nの流量を174sccm(O/HMFのモル比3:1)とし、次いで、5%O/95%Nの流量を232sccm(O/HMFのモル比4:1)として行った。基質は、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した2.0wt%(0.17M)のHMFを含む溶液を使用した。ZrO担体の触媒床の高さが低いため、反応器の下半分のみを加熱した。この触媒の活性は低く、初期のPt浸出量も非常に多かった。結果を図45~47に示す。
【0241】
実施例27
ジルコニア担体に担持させたBi/Pt触媒を用いた固定床反応
HMFからFDCAへの固定床酸化反応を、ジルコニア担体に担持させたBi/Pt触媒を用いて1/4インチサイズの反応器で実施した。触媒は、Biを0.30wt%、Ptを3.0wt%担持させたZrO 1247(75~150μm)であり、1/4インチ(OD)のSS製反応管に、これを4.2g充填して高さ23cmの固定床を設けた。この触媒は、一段階固定化共含浸法によりBi(NOとPtONOを用いて得られた担持体を、350℃で3時間、フォーミングガス気流下で還元処理したものである。ZrO 1247担体は脆く、触媒の作製により、所望の範囲の担体サイズにおいて材料の35%が失われる。酸化反応は、125℃、1000psigに設定した反応器内で、基質の初期流量を0.80mL/分として、5%O/95%Nの流量を116sccm(O/HMFのモル比2:1)とし、次いで、5%O/95%Nの流量を174sccm(O/HMFのモル比3:1)とし、次いで、5%O/95%Nの流量を232sccm(O/HMFのモル比4:1)として行った。基質は、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した2.0wt%(0.17M)のHMFを含む溶液を使用した。ZrO担体の触媒床の高さが低いため、反応器の下半分のみを加熱した。この触媒は実施例26の触媒より活性が高く、Pt、BiおよびZrのいずれも浸出量はごくわずかであった。結果を図48~50に示す。
【0242】
実施例28
様々な固体担体に担持させたPt/Bi触媒、Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒の性能
HMFからFDCAへの酸化反応を、炭素担体、炭素/ZrO担体、TiO担体、ZrO担体、ZrO/TiO担体、SiC担体およびTiC-SiC担体に担持させたPt/Bi触媒、Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒を用いて実施した。Pt/Bi触媒におけるPt担持量は3wt%であり、Bi担持量は0.30wt%、0.60wt%、1.0wt%または1.5wt%である。Pt/Bi触媒は、以下の担体を使用して調製した:社内で調製した、40wt%ZrOを添加した炭素5-183A(粉末);ならびにSaint-Gobain社製NorPro TiO ST31119(<75μm)およびST61120(<75μm)。Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒におけるPt担持量は3.0wt%であり、TeまたはSnの担持量は0.30wt%、0.60wt%、1.0wt%または1.5wt%である。Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒は、以下の担体を使用して調製した:炭素5-183A(<75μm);Saint-Gobain社製NorPro TiO ST31119(<75μm)およびST61120(<75μm);Saint-Gobain社製NorPro ZrO SZ1247(<75μm)および40wt%TiOを添加したZrO SZ39140(<75μm);ならびにSiCat社製SiC DI0478B(150~250μm)およびTiC-SiC 40/60 SD0127B2B(粉末)。使用した触媒は、一段階固定化共含浸法によりPt(NOと、Bi(NO、Te(OH)またはSn(シュウ酸塩)/H/クエン酸とを用いて得られた担持体を、350℃で3時間、フォーミングガス気流下で還元処理したものである。粉末状または微粒子状の触媒を10.0mg使用して、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した6.0wt%(0.50M)のHMFを含む基質溶液0.25mLとの反応を行った。これらの反応は、酸素圧を200psi(RT)、温度を125℃に設定し、800rpmで振盪しながら2時間行った。結果を図51~55に示す。
【0243】
実施例29
ジルコニア担体に担持させたBi/Pt触媒を用いた固定床反応
HMFからFDCAへの固定床酸化反応を、ジルコニア担体に担持させた微粒子状Bi/Pt触媒を用いて1/4インチサイズのMCRで実施した。触媒は、ジルコニア1247(75~150μm)にBiを1.0wt%、Ptを3.0wt%担持させたものである(Pablo XRFによる測定値は、Biの担持量が0.92wt%であり、Ptの担持量が2.82wt%であった)。この触媒は、一段階固定化共含浸法によりBi(NOとPt(NOを用いて得られた担持体を、120℃の空気中で2時間および350℃の空気中で3時間、フォーミングガスで還元処理したものである。酸化反応は、始めは、市販のHMF(Ench Industry社製)を使用し、その後、社内で調製したHSOをベースとするHMFに切り替え、そしてまた市販のHMF(Ench Industry社製)に戻して行った。酸化反応は、125℃、1000psigに設定した反応器内で、基質流量を0.50mL/分として、5%O/95%Nの流量を181sccm(O/HMFのモル比2:1)とし、次いで、5%O/95%Nの流量を250sccm(O/HMFのモル比2.8:1)として行った。触媒床は、高さが45cmであり、ジルコニア1247(75~150μm)にBiを1.0wt%、Ptを3.0wt%担持させた触媒を10.1g充填して設けられたものである。基質は、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した5.0%のHMF(Ench Industry社製)を含む溶液を使用した。市販のHMFの使用時に、Bi、Ptともに初期に急激な浸出量の上昇が見られたが、その後の浸出量はいずれもごくわずかであった。社内で調製したHSOをベースとするHMFの使用時は、市販のHMF(Ench Industry社製)の使用時より初期のBi浸出量およびPt浸出量は多かったが、Zr浸出量は少なかった。結果を図56~58に示す。
【0244】
実施例30
ジルコニア/チタニア担体に担持させたBi/Pt触媒を用いた固定床反応
HMFからFDCAへの固定床酸化反応を、ジルコニア/チタニア担体に担持させた微粒子状Bi/Pt触媒を用いて1/4インチサイズのMCRで実施した。触媒は、40wt%TiOを添加したジルコニア39140(75~150μm)にBiを1.5wt%、Ptを3.0wt%担持させたものである。この触媒は、一段階固定化共含浸法によりBi(NOとPt(NOを用いて得られた担持体を、120℃の空気中で2時間および350℃の空気中で3時間、フォーミングガスで還元処理したものである。触媒の充填密度は、炭素触媒の約2倍であり、ジルコニア触媒の2/3である。酸化反応は、125℃、1000psigに設定した反応器内で、市販のHMF(Ench Industry社製)を基質として用い、基質流量を0.50mL/分として、5%O/95%Nの流量を181sccm(O/HMFのモル比2:1)とし、次いで、基質流量を0.50mL/分として、5%O/95%Nの流量を250sccm(O/HMFのモル比2.8:1)とし、次いで、基質流量を0.35mL/分として、5%O/95%Nの流量を175sccm(O/HMFのモル比2.8:1)とし、次いで、基質流量を0.50mL/分として、5%O/95%Nの流量を250sccm(O/HMFのモル比2.8:1)として行った。触媒床は、高さが46cmであり、40wt%TiOを添加したジルコニア39140(75~150μm)にBiを1.5wt%、Ptを3.0wt%担持させた触媒を7.1g充填して設けられたものである。基質は、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した5.0wt%のHMF(Ench Industry社製)を含む溶液を使用した。吐出液中の金属量を誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)で測定したところ、平均で0.02ppmのPt、0.21ppmのZrが検出され、BiとTiは検出されなかった。Bi、Pt、Tiのいずれも検出可能レベルの浸出量は検出されず、Zrの浸出量もごくわずかであった。結果を図59および60に示す。
【0245】
実施例31
様々な固体担体に担持させたPt触媒、Pt/Bi触媒、Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒の性能
HMFからFDCAへの酸化反応を、様々な固体担体に担持させたPt触媒、Pt/Bi触媒、Pt/Te触媒およびPt/Sn触媒を用いて実施した。各触媒は、以下の担体を使用して調製した:炭素5-183A(<75μm)、ジルコニア1247(<75μm)、SiC(SiCat社製DI0478B、150~250μm);Fe(Bayoxide E Iron Red、TO-218、粉末)、SnO(社内で調製したKSnO+HNO、粉末)。使用した4種類の白金族金属(PGM)の担持量は、以下の通りである:Pt担持量3.0wt%、またはPt担持量3.0wt%でBi、TeもしくはSnのドープ量が1.0wt%。触媒は、Pt(NO、Bi(NO+Pt(NO、もしくはTe(OH)+Pt(NOを使用して、または(Sn(シュウ酸塩)/H)とPt(NOを逐次的に使用してM2担持を行い調製した(Alfredによる)。粉末状または微粒子状の触媒を10.0mg使用して、60wt%ジオキサン/40wt%HOで調製した6.0wt%(0.50M)のHMFを含む基質溶液0.25mLとの反応を行った。これらの反応は、酸素圧を200psi(RT)、温度を125℃に設定し、800rpmで振盪しながら2時間行った。結果を図61~68に示す。
【0246】
別段の定めがない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、当技術分野において通常の技能を有する者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。別段の定めがない限り、本明細書で参考文献として引用された特許文献、特許出願、公開済み特許出願およびその他の刊行物はすべて、参照によりその全体が明示的に援用される。本明細書の用語に複数の定義がある場合は、別段の定めがない限り、その用語が含まれるセクションでの定義が優先される。
【0247】
本明細書において、請求項の移行句、本体部を問わず、「含む(comprise(s))」および「含んでいる(comprising)」という用語は、オープンエンドの意味を有するものと解釈される。すなわち、これらの用語は、「少なくとも有する」または「少なくとも含んでいる」という表現と同義であると解釈される。「含む」という用語が方法に関わる文脈で用いられる場合は、当該方法が、明記された工程を少なくとも含み、さらに別の工程を含んでもよいことを意味する。また、「含む」という用語が化合物、組成物またはデバイスに関わる文脈で用いられる場合は、当該化合物、当該組成物または当該デバイスが、明記された特徴または構成要素を少なくとも含み、さらに別の特徴または構成要素を含んでもよいことを意味する。
【0248】
本開示の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることが可能であることは十分に理解されるであろう。したがって、本明細書に開示の形態は例示に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことは理解されるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68