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特許7158466てんかん、神経変性疾患、及び他のCNS疾患を治療するための化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】てんかん、神経変性疾患、及び他のCNS疾患を治療するための化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/12 20060101AFI20221014BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/12 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C07D413/12 CSP
A61P25/08
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/30
A61P25/34
A61P25/28
A61P25/12
A61P25/14
A61P25/16
A61P21/00
A61K31/422
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020512915
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018062199
(87)【国際公開番号】W WO2018206760
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】17170674.0
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519399615
【氏名又は名称】リマインド エヌ.ヴェー.
(73)【特許権者】
【識別番号】512320560
【氏名又は名称】カトリック ユニヴェルシテット ルーヴェン
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】グリフィユン,ヨハン,ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】プリンセン,カトリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ドーレン,トム,フランソワ,エル.
(72)【発明者】
【氏名】マルシャン,アルノー,ディディエ,マリー
(72)【発明者】
【氏名】キロンダ,アムリ
(72)【発明者】
【氏名】アラシア,サラ
(72)【発明者】
【氏名】チャルティン,パトリック
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-529476(JP,A)
【文献】国際公開第2014/210159(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/012396(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/152099(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 413/00
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその互変異性体、あるいはそれらの溶媒和物、水和物、または塩であって:
【化1】
式中、
-Rは、水素、及びFからなる群より選択され;
-Rは、水素、及びFからなる群より選択され;
-Rは、水素、及びFからなる群より選択され;
-Rは、水素、及びFからなる群より選択され;
-Rは、水素、及びFからなる群より選択され;
ただし、R、R、R、R、またはRの少なくとも1つは、水素ではなく;
ただし、前記式(I)の化合物は、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(3-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドではない、
前記化合物。
【請求項2】
以下の式(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)のいずれか1つを有し、
【化2】
式中、R、R、R、及びRは、請求項1で定義されるのと同一の意味を有する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、及びRは、水素であり、Rは、Fである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
、R、R、及びRは、水素であり、Rは、Fである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、及びFからなる群より選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、及びFからなる群より選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、及びFからなる群より選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項8】
、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、及びFからなる群より選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項9】
、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、及びFからなる群より選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項10】
以下からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物:
・5-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(4-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・5-[(2,3-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・5-[(2,5-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(2-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・5-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;及び
・5-[(3,5-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド。
【請求項11】
1種または複数の薬学的賦形剤、ならびに治療上有効量の請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物及びその溶媒和物、水和物、または塩を含む、医薬組成物。
【請求項12】
式(I)の化合物またはその互変異性体、あるいはそれらの溶媒和物、水和物、または塩を含む医薬であって:
【化1】
式中、
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
ただし、R 、R 、R 、R 、またはR の少なくとも1つは、水素ではなく;
ただし、前記式(I)の化合物は、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(3-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドではない、
医薬。
【請求項13】
医薬として使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
式(I)の化合物またはその互変異性体、あるいはそれらの溶媒和物、水和物、または塩を含むてんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、及びパニックの予防及び/または治療用医薬であって:
【化1】
式中、
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
-R は、水素、及びFからなる群より選択され;
ただし、R 、R 、R 、R 、またはR の少なくとも1つは、水素ではなく;
ただし、前記式(I)の化合物は、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(3-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドではない、
医薬。
【請求項15】
てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、及びパニックの予防及び/または治療用医薬として使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記てんかんは、難治性てんかん、ウエスト症候群、Doose症候群、良性ローランドてんかん、ラスムッセン症候群、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群、スタージ・ウェーバー症候群、若年性ミオクローヌスてんかん、小児欠神てんかん、特発性局在関連性てんかん、側頭葉てんかん、部分発作、単純部分発作、強直性痙攣、強直間代発作、間代発作、ミオクローヌス発作、欠神発作及び脱力発作、前頭葉てんかん、大発作痙攣を伴うてんかん、全般性てんかん、突発性てんかん、症候性てんかん、ならびに原因不明性てんかんからなる群より選択される、請求項14に記載の医薬
【請求項17】
前記神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、びまん性レビー小体病、筋萎縮性側索硬化症、ニーマン・ピック病、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ダウン症候群、神経軸索ジストロフィー、多系統萎縮症、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、嚢胞性線維症、及びクロイツフェルト・ヤコブ病からなる群より選択される、請求項14に記載の医薬
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物に関するとともに、てんかん、神経変性疾患、及び他のCNS疾患の予防用または治療用医薬として使用するための新規化合物に関する。本発明は、てんかんの治療に有用な医薬を製造するための本化合物の使用にも関する。本発明はさらに、本新規化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、罹患した患者がてんかん発作を起こすようになる神経障害であるが、てんかん発作は、制御不能な痙攣運動から瞬間的な意識消失ぐらいわずかなものまで様々である。てんかんは、有病率が約1%であり、社会経済的地位、年齢、または性別とは無関係である。てんかん(てんかん発生)の根本的原因は、一様ではなく、遺伝的及び非遺伝的両方の危険因子を含む(例えば、脳卒中または感染など)。
【0003】
この障害の根底にある機構の1つには、電位開口型カルシウムチャネル(VGCC)活性の上昇による神経伝達物質放出の増加、Ca2+恒常性不全、及び神経活動亢進が関与しており、これらが少なくとも部分的に、てんかん様発作、TAUリン酸化、ならびにそれに続く神経変性及びニューロン死の根底にある可能性がある。
【0004】
TAUは、微小管と結合し、その結果、微小管構造及び機能を安定化及び規定する能力を持つ細胞内タンパク質である。この生理学的機能とは別に、TAUはまた、TAU単量体の自己重合により形成されたTAUの不溶性凝集体または重合体を特徴とする障害において、直接の役割を果たす。TAU凝集に関与する正確な分子機構は不明であるものの、より高次構造へと自己組織化する傾向を強く持つTAUの立体構造における変性またはミスフォールディングが(部分的に)関与するように思われる。
【0005】
TAU凝集の重要な態様は、その固有の細胞毒性であり、この毒性は、細胞の完全性を低下させ、さらには細胞死を引き起こすことさえある。疾患における毒性TAU凝集の1つの重要な態様は、TAUタンパク質のある特定アミノ酸残基の高リン酸化である。TAUの高リン酸化は、細胞毒性凝集過程を促進するように思われる。TAUの高リン酸化に直接または間接的に関与するいくつかのキナーゼとして、分裂促進因子活性化キナーゼERK1及び/またはERK2がある。細胞内Ca2+は、ERK1及び/またはERK2活性の活性化に重要な引き金であり、このようにして、Ca2+は、毒性TAU凝集を向上させる可能性がある。
【0006】
現在、てんかんには多くの治療選択肢が存在するものの、患者集団の約30%は治療が効かず、このことは大きな医学的必要性があることを表している。そのうえ、現行のAED(抗てんかん薬)は、認識能力の障害などの副作用があり、治療される患者の生活の質に多大な悪影響を及ぼす。最後に、現行の治療法は、対症的にすぎず、一次発作後のてんかん発生または神経変性を遅らせることも止めることもしない。
【0007】
すなわち、当該分野には、てんかんの根底にある分子機構を標的とする治療的処置のための、詳細には神経保護性を持つ及び/または認識能力を損ねることのない、神経活動亢進を低下させる治療のための、改善されたより強力な薬物を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第一の態様は、式(I)の化合物またはその互変異性体、あるいはそれらの溶媒和物、水和物、塩、またはプロドラッグを提供し、
【化1】
式中、
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
ただし、R、R、R、R、またはRの少なくとも1つは、水素ではなく;
ただし、この式(I)の化合物は、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(3-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドではない。
【0009】
第二の態様に従って、本発明は、1種または複数の薬学的賦形剤、及び治療上有効量の本発明の第一の態様に従う化合物またはその塩を含む医薬組成物も包含する。
【0010】
第三の態様に従って、本発明は、医薬として使用するための、本発明の第一の態様に従う化合物、またはその溶媒和物、水和物、塩、もしくはプロドラッグ、あるいは本発明の第二の態様に従う医薬組成物も包含する。
【0011】
第四の態様に従って、本発明は、てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、パニックの予防及び/または治療用医薬として使用するための、本発明の第一の態様に従う化合物、またはその溶媒和物、水和物、塩、もしくはプロドラッグ、あるいは本発明の第二の態様に従う医薬組成物も包含する。
【0012】
第五の態様に従って、本発明は、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、びまん性レビー小体病、筋萎縮性側索硬化症、ニーマン・ピック病、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ダウン症候群、神経軸索ジストロフィー、多系統萎縮症、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、多系統萎縮症、嚢胞性線維症、クロイツフェルト・ヤコブ病の予防及び/または治療用医薬として使用するための、本発明の第一の態様に従う化合物、またはその溶媒和物、水和物、塩、もしくはプロドラッグ、あるいは本発明の第二の態様に従う医薬組成物も包含する。
【0013】
本発明を、ここからさらに説明する。以下の節において、本発明の異なる態様が、より詳細に定義される。そのように定義された態様はそれぞれ、明確に反対と示されない限り、任意の他の態様1つまたは複数と組み合わせることができる。詳細には、好適であるまたは有利であると示される特長はどれでも、好適であるまたは有利であると示される任意の他の特長1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0014】
独立請求項及び従属請求項は、本発明の特定及び好適な特長を提示する。従属請求項による特長は、適宜、独立請求項または他の従属請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0015】
本発明の具体的な実施形態の図についての以下の説明は、本質的に例示にすぎず、本教示、それらの応用、または利用を制限することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】セクションAは、全トランス型レチノイン酸(RA)の存在下または不在下で、M17-TAU P301L細胞(P301L TAU)及びM17-3.1細胞(ベクター)それぞれにより培地に漏出したLDHのパーセンテージをプロットしたグラフを示す。セクションBは、レチノイン酸(RA)の存在下または不在下での、M17-TAU P301L細胞の細胞質カルシウムの相対レベルをプロットしたグラフを示す。****は、p<0.0001を示す。
図2】RAの存在下でM17-TAU P301L細胞により培地に漏出したLDH活性のパーセンテージを、細胞に添加したイスラジピンの濃度の関数としてプロットしたグラフを示す。
図3】ビヒクルまたは例示化合物6が625nMで存在する場合の、レチノイン酸で負荷を与えた後の、M17-TAU P301L細胞の細胞質カルシウムの相対レベルをプロットしたグラフを示す。***は、p<0.001を示す。
図4】ビヒクルまたは例示化合物6が存在する場合の、アミロイド由来拡散性リガンド(ADDL)で負荷を与えた後の、生存一次ニューロンの相対数をプロットしたグラフを示す。は、p<0.05を示し、**は、p<0.01を示す。
図5】ビヒクルまたは例示化合物6が存在する場合の、45mMのKClで脱分極後の、一次ニューロン中の細胞質Ca2+レベルをプロットしたグラフを示す。****は、p<0.0001を示す。
図6】ビヒクルまたは例示化合物6で処置した遺伝子導入APPマウスの脳抽出物のウエスタンブロットにより測定した病的ホスホリル化TAU種の定量結果をプロットしたグラフを示す。グラフは、正規化TAUシグナルの平均±SEMを表す。**は、ビヒクル処置した動物に対してp<0.01であることを示す。TAUシグナルは、以下に対する抗体を用いることで得た:(A)AT8 p-TAUは、セリン202及びトレオニン205でホスホリル化したp-TAUを認識する抗体を示す(B)AD2 p-TAUは、セリン396及びセリン404でホスホリル化したp-TAUを認識する抗体を示す(C)T231でホスホリル化したTAU(D)S262でホスホリル化したTAU。
図7】例示化合物6で処置した遺伝子導入APPマウスのモリス水迷路試験の結果を示す。(A)は、訓練期中の探索経路長を示す。P値は、遺伝子導入APPマウスの例示化合物6処置対ビヒクル処置を示す。セクションBは、プローブ試行からの円横断指数(想像上のプラットホーム領域を横断する相対頻度)を示す。**は、p<0.01を示す。
図8】例示化合物6に関して野生型マウス及びtgAPPマウスのニューロン発火率を電気刺激(ステップ強度(pA))の関数としてプロットしたグラフを示す。及び****は、それぞれ、野生型マウス対遺伝子導入APPマウスのp<0.05及びp<0.0001を示す。#は、ビヒクル処置対化合物6処置で比較した遺伝子導入APPマウスのp<0.05を示す。
図9】ビヒクルまたは化合物6とともにインキュベートしたマウス脳切片を使用した体細胞電流固定記録による、単発活動電位の後過分極(AHP)振幅をプロットしたグラフを示す。は、p<0.05を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を説明する前に、当然のことながら、本発明は、記載される特定のプロセス、方法、及び化合物に限定されず、したがってそのようなプロセス、方法、及び化合物は、当然変更可能である。同じく当然のことながら、本明細書中使用される用語は、限定することを意図しない。なぜなら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるからである。
【0018】
本発明の化合物及びプロセスを記載する場合、使用される用語は、文脈から特に指定されない限り、以下の定義に従って解釈されることになる。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明白に指定されない限り、単数及び複数についての言及両方を含む。例として、「a compound(1つの化合物)」は1つの化合物または複数の化合物を含む。
【0020】
「comprising(含む)」、「comprises(含む)」、及び「comprised of(含む)」という用語は、本明細書中使用される場合、「including(含む)」、「includes(含む)」、または「containing(含有する)」、「contains(含有する)」と同義であり、包括的または非制限的であって、追加の非記載部材、要素、または方法工程を排除しない。「comprising(含む)」、「comprises(含む)」、及び「comprised of(含む)」という用語は、「consisting of(からなる)」という用語も包含する。
【0021】
「約」という用語は、本明細書中使用される場合、パラメータ、量、時間の長さなどの測定可能な値について言及する場合、指定された値の+/-10%以内、好ましくは+/-5%以内、より好ましくは+/-1%以内、さらにより好ましくは+/-0.1%以内の変動を包含することを意味するが、ただし、そのような変動が、開示される本発明の実行に適切である限りにおいてである。当然のことながら、修飾語「約」が示す値は、それ自身も、具体的に、及び好ましくは、開示されている。
【0022】
本明細書中使用される場合、「及び/または」という用語は、2つ以上の項目の列挙において使用される場合、その列挙される項目の任意の1つのみで採用可能であること、または列挙される項目の任意の2つ以上の組み合わせが採用可能であることを意味する。例えば、ある列挙が、グループA、B、及び/またはCを含むと記載されている場合、その列挙は、Aのみ;Bのみ;Cのみ;AとBの組み合わせ;AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ;またはA、B、及びCの組み合わせを含むことが可能である。
【0023】
端点による数値範囲の記述は、全ての整数、及び適切な場合は、その範囲に属する分数を包含する(例えば1~5は、例えば、要素の個数を示す場合は、1、2、3、4を含むことができ、例えば、測定値を示す場合は、1.5、2、2.75、及び3.80を含むこともできる)。端点の記述は、端点の値そのものも含む(例えば、1.0~5.0は、1.0及び5.0両方とも含む)。本明細書中記載される数値範囲はどれでも、その範囲に属する全てのサブ範囲を含むものとする。
【0024】
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態」または「ある実施形態」という記述は、その実施形態に関連して記載される特定の特長、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。すなわち、本明細書全体を通じて、様々な箇所で登場する「1つの実施形態において」または「実施形態において」という語句は、全てが、必ずしも同一実施形態を示しているとは限らず、そういう場合もあるということである。そのうえさらに、特定の特長、構造、または特性は、本開示から当業者に明らかと思われるとおり、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な様式で組み合わせることができる。そのうえさらに、本明細書中記載されるいくつかの実施形態は、ある特長を含むが、他の実施形態に含まれる他の特長を含まないことがあるものの、異なる実施形態の特長の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれることが意図され、当業者により理解されると思われるとおり、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態の任意のものを任意の組み合わせで使用することができる。
【0025】
特に定義されない限り、本発明の開示で使用される全ての用語は、技術用語及び科学用語も含めて、本発明が属する当該分野の当業者が一般的に理解するとおりの意味を有する。さらに案内する手段として、説明で使用される用語についての定義を、本発明の教示をよりよく理解してもらうために含めてある。
【0026】
本発明の記載において、使用される用語は、文脈から特に指定されない限り、以下の定義に従って解釈されることになる。
【0027】
上記の用語及び本明細書中使用される他の用語は、当該分野で十分理解されるものである。
【0028】
本発明で使用される場合はいつでも、「本発明の化合物」という用語または同様な用語は、一般式(I)の化合物及びその任意のサブグループを含むことを意味する。この用語は、表1に示されるとおりの化合物、ならびにそれらの誘導体、N-オキシド、塩、溶媒和物、水和物、互変異性体形、類似体、プロドラッグ、エステル、及び代謝産物、ならびにそれらの四級化窒素類似体も示す。本化合物のN-オキシド形は、1つまたは複数の窒素原子が酸化されて、いわゆるN-オキシドになった化合物を含むことを意味する。
【0029】
本発明の化合物及びプロセスの好適な仕様(特長)及び実施形態を、ここで説明する。そのように定義される本発明の各仕様及び実施形態は、明白に反対と示されない限り、任意の他の仕様及び/または実施形態と組み合わせることができる。詳細には、好適または有利であると示される任意の特長は、好適または有利であると示される任意の他の特長1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0030】
本明細書において、本発明は、詳細には、1つまたは複数の以下の番号のついた条項1~25及び実施形態の任意の1つ、あるいはそれらを任意の他の態様及び/または実施形態と組み合わせた任意の組み合わせにより、表される。
【0031】
1.式(I)の化合物またはその互変異性体、あるいはそれらの溶媒和物、水和物、塩、またはプロドラッグ、
【化2】
式中、
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
-Rは、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され;
ただし、R、R、R、R、またはRの少なくとも1つは、水素ではなく;
ただし、この式(I)の化合物は、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(3-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドではない。
【0032】
2.式(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)のいずれか1つを有する、条項1に記載の化合物
【化3】


式中、R、R、R、及びRは、請求項1で定義されるのと同一の意味を有する。
【0033】
3.R、R、R、及びRは、水素であり、Rは、F、Cl、及びBrからなる群より選択され、好ましくは、Rは、FまたはClであり、好ましくはRはFである、条項1または2に記載の化合物。
【0034】
4.R、R、R、及びRは、水素であり、Rは、F、Cl、及びBrからなる群より選択され、好ましくは、Rは、FまたはClであり、好ましくはRはFである、条項1または2に記載の化合物。
【0035】
5.R、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、F、Cl、及びBrからなる群より選択され、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びFからなる群より選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0036】
6.R、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、F、Cl、及びBrから選択され、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びFからなる群より選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0037】
7.R、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、F、Cl、及びBrからされ、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びFからなる群より選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0038】
8.R、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、F、Cl、及びBrから選択され、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びFからなる群より選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0039】
9.R、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、F、Cl、及びBrから選択され、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びFからなる群より選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0040】
10.R、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、F、Cl、及びBrから選択され、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びFからなる群より選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0041】
11.R、R、及びRは、水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、F、Cl、及びBrから選択され、好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びFからなる群より選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0042】
12.R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素及びFから選択される、条項1または2に記載の化合物。
【0043】
13.以下からなる群より選択される、条項1に記載の化合物:
・5-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(4-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・5-[(2,3-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・5-[(2,5-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-[(2-フルオロフェニル)メチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;
・5-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド;及び
・5-[(3,5-ジフルオロフェニル)メチル]-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド。
【0044】
14.1種または複数の薬学的賦形剤、ならびに治療上有効量の条項1から13のいずれか1項に記載の化合物及びその溶媒和物、水和物、塩、またはプロドラッグを含む、医薬組成物。
【0045】
15.医薬として使用するための、条項1から13のいずれか1項に記載の化合物または条項14に記載の医薬組成物。
【0046】
16.てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、及びパニックの予防及び/または治療用医薬として使用するための、条項1から13のいずれか1項に記載の化合物または条項14に記載の医薬組成物。
【0047】
17.前記てんかんは、難治性てんかん、ウエスト症候群、Doose症候群、良性ローランドてんかん、ラスムッセン症候群、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群、スタージ・ウェーバー症候群、若年性ミオクローヌスてんかん、小児欠神てんかん、特発性局在関連性てんかん、側頭葉てんかん、部分発作、単純部分発作、強直性痙攣、強直間代発作、間代発作、ミオクローヌス発作、欠神発作及び脱力発作、前頭葉てんかん、大発作痙攣を伴うてんかん、全般性てんかん、突発性てんかん、症候性てんかん、ならびに原因不明性てんかんからなる群より選択される、条項16に記載の化合物。
【0048】
18.前記神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、びまん性レビー小体病、筋萎縮性側索硬化症、ニーマン・ピック病、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ダウン症候群、神経軸索ジストロフィー、多系統萎縮症、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、多系統萎縮症、嚢胞性線維症、クロイツフェルト・ヤコブ病からなる群より選択される、条項16に記載の化合物。
【0049】
19.前記疼痛障害は、急性疼痛、持続性疼痛、慢性疼痛、炎症痛、及び神経因性疼痛からなる群より選択される、条項16に記載の化合物。
【0050】
20.前記不安障害は、パニック発作、広場恐怖症または限局性恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般不安症、摂食障害、物質誘発不安障害、及び特定不能の不安障害からなる群より選択される、条項16に記載の化合物。
【0051】
21.てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、パニックの予防及び/または治療方法であって、そのような予防及び/または治療を必要とする対象に、有効量の条項1から13のいずれか1項に記載の化合物、または条項14に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【0052】
22.前記てんかんは、難治性てんかん、ウエスト症候群、Doose症候群、良性ローランドてんかん、ラスムッセン症候群、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群、スタージ・ウェーバー症候群、若年性ミオクローヌスてんかん、小児欠神てんかん、特発性局在関連性てんかん、側頭葉てんかん、部分発作、単純部分発作、強直性痙攣、強直間代発作、間代発作、ミオクローヌス発作、欠神発作、及び脱力発作からなる群より選択される、条項21に記載の方法。
【0053】
23.前記神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、びまん性レビー小体病、筋萎縮性側索硬化症、ニーマン・ピック病、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ダウン症候群、神経軸索ジストロフィー、多系統萎縮症、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、多系統萎縮症、嚢胞性線維症、及びクロイツフェルト・ヤコブ病からなる群より選択される、条項21に記載の方法。
【0054】
24.前記疼痛障害は、急性疼痛、持続性疼痛、慢性疼痛、炎症痛、及び神経因性疼痛からなる群より選択される、条項21に記載の方法。
【0055】
25.前記不安障害は、パニック発作、広場恐怖症または限局性恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般不安症、摂食障害、物質誘発不安障害、及び特定不能の不安障害からなる群より選択される、条項21に記載の方法。
【0056】
本発明の化合物は、以下で一般的に説明されるとおり、塩、好ましくは薬学上許容される塩の形状にあることが可能である。適切な薬学上許容される有機酸及び/または無機酸のいくつかの好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、酢酸、及びクエン酸、ならびに他の薬学上許容されるそれ自身知られている酸(これらについては、以下に記載の先行技術を参照)があるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明の化合物が酸性基ならびに塩基性基を有する場合、本発明の化合物は、分子内塩を形成することもでき、そのような化合物は、本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物が水素供与ヘテロ原子(例えばNH)を有する場合、本発明は、この水素原子が分子内の塩基性基または原子に移動することにより形成される塩及び/または異性体も包含する。
【0058】
式(I)の化合物及びその任意のサブグループの薬学上許容される塩として、それらの酸付加塩及び塩基塩が挙げられる。適切な酸付加塩は、無毒の塩を形成する酸から形成される。例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、及びキシナホ酸塩が挙げられる。適切な塩基性塩は、無毒の塩を形成する塩基から形成される。例として、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩、及び亜鉛塩が挙げられる。酸及び塩基のヘミ塩も形成可能であり、例えば、ヘミ硫酸塩及びヘミカルシウム塩がある。適切な塩の総説については、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, 2002)を参照、これは本明細書中参照として援用される。
【0059】
本発明の化合物は、完全非晶質から完全結晶性までの範囲に渡る固相の連続体で存在することができる。「非晶質」という用語は、分子レベルで長距離秩序を欠いており、温度に応じて、固体または液体の物性を示すことが可能な材料状態を示す。典型的には、そのような材料は、特有のX線回折パターンを与えず、固体としての性質を示していても、形式的にはより液体として説明される。加熱すると、状態の変化により特性決定される固体特性から液体特性への変化が起こり、この変化は、典型的には二次転移である(「ガラス転移」)。結晶性という用語は、分子レベルで規則的秩序を持った内部構造を有し、明確なピークを持つ特有のX線回折パターンを与える材料の固相を示す。そのような材料も、十分に加熱した場合、液体の性質を示すことになるが、固体から液体への変化は、相の変化、典型的には一次転移(「融点」)により特性決定される。
【0060】
式(I)の化合物の薬学上許容される塩は、以下の方法の1つまたは複数により調製することができる:
(i)式(I)の化合物を所望の酸と反応させることによる;
(ii)式(I)の化合物を所望の塩基と反応させることによる;
(iii)式(I)の化合物の適切な前駆体から酸解離性もしくは塩基解離性保護基を外すことによる、または適切な環状前駆体、例えば、ラクトンもしくはラクタムを、所望の酸を用いて開環させることによる;あるいは
(iv)適切な酸と反応させるまたは適切なイオン交換カラムを用いることにより、式(I)の化合物の1種の塩を、別の塩に変換することによる。
【0061】
これらの反応は全て、典型的には、溶液で行われる。塩は、溶液から沈殿し、これを濾過により収集する場合もあれば、溶媒のエバポレーションにより回収する場合もある。塩のイオン化度は、完全にイオン化している場合からほとんどイオン化していない場合まで様々であり得る。
【0062】
本発明の化合物はまた、非溶媒和形及び溶媒和形で存在することができる。「溶媒和物」という用語は、本明細書中、本発明の化合物及び1種または複数の薬学上許容される溶媒分子、例えば、エタノールなどを含む分子錯体を記載するのに使用される。「水和物」という用語は、この溶媒が水である場合に採用される。
【0063】
現在受け入れられている有機水和物の分類体系は、孤立部位、チャネル、または金属イオンが配位した水和物を定義するものである。Polymorphism in Pharmaceutical Solids by K. R. Morris (Ed. H. G. Britain, Marcel Dekker, 1995)を参照、これは本明細書中参照として援用される。孤立部位水和物とは、介在有機分子により水分子が互いに直接接触せず孤立しているものである。チャネル水和物では、水分子は、格子チャネル中に存在し、そこでは水分子は互いに隣り合っている。金属イオンが配位した水和物では、水分子は、金属イオンと結合している。
【0064】
溶媒または水が強く結合している場合、錯体は、湿度から独立して、明確に定められた化学量論性を有することになる。しかしながら、チャネル溶媒和物及び吸湿性化合物でそうであるように、溶媒または水が弱く結合している場合、水/溶媒含有量は、湿度及び乾燥条件に依存することになる。そのような場合、非化学量論性が普通になる。
【0065】
同じく本発明の範囲内に含まれるのは、多成分錯体(塩及び溶媒和物を除く)であり、この錯体には、薬物及び少なくとも1種の他の成分が、化学量論的または非化学量論的量で存在する。この種の錯体として、包接化合物(薬物ホスト包接錯体)及び共結晶が挙げられる。後者は、典型的には、互いに非共有結合相互作用を通じて結合している中性分子成分の結晶性錯体として定義されるが、中性分子と塩との錯体であることも可能である。共結晶は、溶融結晶化により、溶媒からの再結晶により、または成分を一緒に物理粉砕することにより、調製可能である。Chem Commun, 17, 1889-1896, by O. Almarsson and M. J. Zaworotko (2004)を参照、これは本明細書中参照として援用される。多成分錯体の総説については、J Pharm Sci, 64 (8), 1269-1288, by Haleblian (August 1975)を参照、これは本明細書中参照として援用される。
【0066】
本発明の化合物は、適切な条件に置かれた場合に、中間相形態状態(中間相または液晶)で存在することも可能である。中間相形態状態とは、真の結晶状態と真の液体状態(溶融または溶液のいずれか)の中間である。中間相形態は、温度変化の結果として生じる場合は「温度転移型」と記載され、第二成分、例えば水または別の溶媒などの添加による場合は「濃度転移型」と記載される。濃度転移型中間相を形成する潜在力を有する化合物は、「両親媒性」と記載され、イオン性極性頭部(例えば、-COONa、-COO、または-SO Na)または非イオン性極性頭部(例えば、-N(CH)を有する分子からなる。さらなる情報については、Crystals and the Polarizing Microscope by N. H. Hartshorne and A. Stuart, 4th Edition (Edward Arnold, 1970)を参照、これは本明細書中参照として援用される。
【0067】
式(I)の化合物またはその任意のサブグループについての言及は全て、それらの塩、溶媒和物、多成分錯体、及び液晶についての言及、ならびにそれらの塩の溶媒和物、多成分錯体、及び液晶についての言及を含む。
【0068】
本発明の化合物は、本明細書中上記で定義されるとおりの式(I)の化合物またはその任意のサブグループを含み、これらに含まれるのは、本明細書中以下で定義されるとおりの全てのそれらの多型及び晶癖、それらのプロドラッグ及び異性体(光学異性体、幾何異性体、及び互変異性体を含む)、ならびに同位体標識された式(I)の化合物である。
【0069】
また、一般的には、本発明の化合物の塩に関して、薬学上許容される塩が好適であるものの、強調すべきは、本発明がその広義において、薬学上許容されない塩も含み、薬学上許容されない塩は、例えば、本発明の化合物の単離及び/または精製で使用可能である。
【0070】
本発明は、式(I)の化合物またはその任意のサブグループの全ての薬学上許容されるプロドラッグまたは「プレドラッグ(pre-drug)」も概して包含し、これらについての全般的な記述は、本明細書中以下で引用される先行技術を参照。
【0071】
「プロドラッグ」という用語は、本明細書中使用される場合、誘導体のin vivo生体内変換で得られる産物が活性薬物であるような、薬理学的に許容される誘導体、例えば、エステル、アミド、リン酸塩などを意味する。プロドラッグを全般的に説明するGoodman及びGilmanによる参考文献(The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed, McGraw-Hill, Int. Ed. 1992, ‘‘Biotransformation of Drugs’’, p13-15)は、本明細書中援用される。本発明の化合物のプロドラッグは、その成分に存在する官能基を、修飾が定法の操作でまたはin vivoで切断されて親成分になるようなやり方で修飾することにより、調製可能である。プロドラッグの典型例は、例えば、WO 99/33795、WO 99/33815、WO 99/33793、及びWO 99/33792に記載されており、これらは全て、本明細書中参照として援用される。プロドラッグは、上昇した生体利用度を特徴とし、in vivoで容易に代謝されて活性阻害剤になる。「プレドラッグ」という用語は、本明細書中使用される場合、修飾されて薬物種を形成する任意の化合物を意味し、この修飾は、身体の内側外側いずれで起こってもよく、また薬物投与を示す身体の領域にプレドラッグが到達する前後いずれで起こってもよい。
【0072】
本発明の範囲内に含まれるのは、式(I)の化合物またはその任意のサブグループの全ての幾何異性体及び互変異性体形であり、これには、複数の異性体性を示す化合物、及びそれらの1種または複数の混合物が含まれる。同じく含まれるのは、カウンターイオンが光学活性である、例えば、d-乳酸塩もしくは/-リシン、またはラセミ体、例えば、dl-酒石酸塩またはdl-アルギニンである酸付加または塩基塩である。
【0073】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来技法、例えば、クロマトグラフィー及び分別晶析により分離可能である。
【0074】
個別の鏡像異性体を調製/単離する従来技法として、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)分割が挙げられる。
【0075】
式(I)の化合物またはその任意のサブグループは、当業者に馴染み深い方法及び化学反応を用いて、以下の実験の部に記載されるとおりに調製可能である。
【0076】
本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物を含む医薬組成物も包含する。本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物、及び製剤目的に許容可能な少なくとも1種のキャリア、賦形剤、または希釈剤を含む医薬組成物も包含する。
【0077】
実施形態によっては、本発明は、てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、及びパニックの予防及び/または治療(のための組成物の調製)における、少なくとも1種の式(I)の化合物、またはその任意のサブグループの使用に関する。
【0078】
実施形態によっては、本発明は、てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、パニックの予防及び/または治療方法に関し、本方法は、そのような予防及び/または治療を必要とする対象に、有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物、またはその任意のサブグループ、あるいはこの少なくとも1種の式(I)の化合物またはその任意のサブグループを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0079】
実施形態によっては、本発明は、てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、パニックの予防及び/または治療;より好ましくは、パーキンソン病、アルツハイマー病、びまん性レビー小体病、筋萎縮性側索硬化症、ニーマン・ピック病、ハラーホルデン・スパッツ症候群、ダウン症候群、神経軸索ジストロフィー、多系統萎縮症、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、多系統萎縮症、嚢胞性線維症、クロイツフェルト・ヤコブ病を含むてんかん及び神経変性疾患;さらにより好ましくはてんかん及び/またはアルツハイマー病の予防及び/または治療(のための組成物の調製)における、少なくとも1種の式(I)の化合物、またはその任意のサブグループの使用に関する。
【0080】
実施形態によっては、本発明は、てんかんの予防及び/または治療(のための組成物の調製)における、少なくとも1種の式(I)の化合物、またはその任意のサブグループの使用に関し、好ましくは、てんかんは、難治性てんかん、ウエスト症候群、Doose症候群、良性ローランドてんかん、ラスムッセン症候群、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群、スタージ・ウェーバー症候群、若年性ミオクローヌスてんかん、小児欠神てんかん、特発性局在関連性てんかん、側頭葉てんかん、部分発作、単純部分発作、強直性痙攣、強直間代発作、間代発作、ミオクローヌス発作、欠神発作及び脱力発作、前頭葉てんかん、大発作痙攣を伴うてんかん、全般性てんかん、突発性てんかん、症候性てんかん、ならびに原因不明性てんかんからなる群より選択される。
【0081】
実施形態によっては、本発明は、疼痛障害の予防及び/または治療(のための組成物の調製)における、少なくとも1種の式(I)の化合物、またはその任意のサブグループの使用に関し、好ましくは、疼痛障害は、急性疼痛、持続性疼痛、慢性疼痛、炎症痛、及び神経因性疼痛からなる群より選択される。
【0082】
実施形態によっては、本発明は、不安障害の予防及び/または治療(のための組成物の調製)における、少なくとも1種の式(I)の化合物、またはその任意のサブグループの使用に関し、好ましくは、不安障害は、パニック発作、広場恐怖症または限局性恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般不安症、摂食障害、物質誘発不安障害、及び特定不能の不安障害からなる群より選択される。
【0083】
「対象」という用語は、本明細書中使用される場合、哺乳類を示す。対象は、好ましくはヒトになるが、家畜、実験動物、またはペットの場合もある。
【0084】
実施形態によっては、少なくとも1種の式(I)の化合物は、てんかん、神経変性疾患、疼痛障害、不安障害、抑うつ、双極性障害、精神病、退薬、禁煙、記憶喪失、認知症、統合失調症、及びパニックからなる群より選択される疾患の予防及び/または治療のため、及び/またはそれらに関連する合併症及び/または症候の予防、治療、及び/または軽減のため(の組成物の調製のため)に使用される。
【0085】
本明細書中使用される場合、「有効量」という用語は、組織、系、動物、またはヒトに、例えば研究者または医者が求める生物学的または医薬的反応を誘発する薬物または医薬品の量を意味する。
【0086】
「治療上有効量」という用語は、そのような量を投与されなかった相当する対象と比較した場合に、疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、または緩和の改善、あるいは疾患または障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語は、その範疇に、正常な生理学的機能の向上に有効な量も含む。
【0087】
治療に使用する場合、治療上有効量の式(I)の化合物、ならびにその互変異性体、塩、水和物、または溶媒和物は、そのままの化合物として投与することができる。さらに、活性成分は、医薬組成物として提供することもできる。
【0088】
したがって、本発明は、さらに、有効量の式(I)の化合物、またはその互変異性体、塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、及び1種または複数の薬学上許容されるキャリア、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。式(I)の化合物、またはその互変異性体、塩、水和物、もしくは溶媒和物は、本明細書中記載されるとおりである。
【0089】
本発明による化合物は、単独の活性成分として、または上記に列挙される疾患の治療のため診療で使用される他の治療剤と一緒に、すなわち合剤でまたは単剤の併用で、投与することができる。
【0090】
本発明による化合物及び他の医薬活性作用剤(複数可)は、一緒にまたは別々に投与することができ、別々に投与する場合、投与は、同時にまたは任意の順序で順次行うことができる。本発明による化合物及び他の医薬活性作用剤(複数可)の量及び投与の相対的タイミングは、所望の併用治療効果を達成するように選択することができる。式(I)の化合物、またはその互変異性体、塩、水和物、もしくは溶媒和物と、他の治療剤の併用投与は、(1)両方の化合物を含む一体型医薬組成物;または(2)それぞれ一方の化合物を含む別個の医薬組成物として同時に投与することによる併用であることができる。あるいは、併用は、順次様式で別個に投与することができ、その場合、一方の治療剤を最初に投与し、他方を2番目に投与する、またはその逆である。そのような順次投与は、時間的に近い場合も時間的に離れている場合もある。
【0091】
製剤用途の場合、本発明の化合物は、遊離酸または塩基として、及び/または薬学上許容される酸付加及び/または塩基付加塩の形で(例えば、無毒の有機酸もしくは無機酸または有機塩基もしくは無機塩基で得られるもの)、水和物、溶媒和物及び/または錯体の形で、及び/またはエステルなどのプロドラッグもしくはプレドラッグの形で、使用できる。本明細書中使用される場合、及び特に記載がない限り、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物と適切な無機溶媒(例えば水和物)または有機溶媒により形成可能な任意の組み合わせを含み、溶媒は、例えば、アルコール、ケトン、エステルなどであるが、これらに限定されない。そのような塩、水和物、溶媒和物など、及びそれらの調製は、当業者には明らかであるだろう;例えば、US-A-6,372,778、US-A-6,369,086、US-A-6,369,087、及びUS-A-6,372,733に記載の塩、水和物、溶媒和物などを参照。
【0092】
本発明による化合物の薬学上許容される塩、すなわち水溶性、油溶性、または分散性生成物の形をしたものとして、従来の無毒の塩または第四級アンモニウム塩が挙げられ、これらは、例えば、無機酸もしくは有機酸または無機塩基もしくは有機塩基から形成される。そのような酸付加塩の例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、及びウンデカン酸塩が挙げられる。塩基塩として、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩及びカリウム塩など、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩及びマグネシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチル-D-グルカミンなど、ならびにアミノ酸との塩、例えばアルギニン、リシンなどが挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド、例えば、メチル、エチル、プロピル、及びブチルクロリド、ブロミド、及びヨージドなど;ジメチル、ジエチル、ジブチルなどの硫酸ジアルキル;ならびにジアミル硫酸、長鎖ハライド、例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、及びステアリルクロリド、ブリミド、及びヨージドなど、ベンジル及びフェナチル-ブロミドなどのアラルキルハライド、及び他のものなどのような作用剤により四級化することができる。他の薬学上許容される塩として、硫酸塩エタノール付加物及び硫酸塩が挙げられる。
【0093】
一般に、製剤用途の場合、本発明の化合物は、少なくとも1種の本発明の化合物、及び少なくとも1種の薬学上許容されるキャリア、希釈剤、または賦形剤及び/またはアジュバント、及び任意選択で1種または複数のさらなる薬学的活性化合物を含む医薬製剤として配合することができる。
【0094】
限定ではなく例として、そのような配合物は、経口投与、非経口投与(静脈内、筋肉内、または皮下注射、あるいは静脈内点滴による)、外用投与(眼投与を含む)、吸入による投与、スキンパッチによる投与、移植による投与、坐剤による投与などに適した形状であることができる。そのような適切な投与形態(これは、投与様式に応じて、固体、半固体、または液体の場合がある)、ならびにそれらの調製に使用される方法及びキャリア、希釈剤、及び賦形剤は、当業者に明らかであるだろう;例えば、US-A-6,372,778、US-A-6,369,086、US-A-6,369,087、及びUS-A-6,372,733、ならびに標準的ハンドブック、例えば最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照。
【0095】
そのような製剤の好適な例のいくつかとして、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エーロゾル、軟膏、クリーム、ローション、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、点眼薬、ボーラス投与及び/または連続投与として投与するための滅菌注射液及び滅菌パックした散剤(これは通常、使用前に再構築される)が挙げられるがこれらに限定されず、製剤は、そのような配合にそれ自体適切であるキャリア、賦形剤、及び希釈剤、例えば、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシア・ゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロース、(滅菌)水、メチルセルロース、メチル及びプロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、食用油、植物油、及び鉱物油、またはそれらの適切な混合物とともに配合することができる。配合物は、任意選択で、他の薬学的活性物質(これは、本発明の化合物との相乗効果をもたらしてももたらさなくてもよい)、及び医薬配合物に一般的に使用される他の物質、例えば、潤滑剤、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、分散剤、崩壊剤、増量剤、充填剤、保存剤、甘味剤、香味剤、流動性調節剤、放出剤などを含有することができる。組成物は、例えば、天然ゲルもしくは合成重合体に基づくリポソームまたは親水性重合体マトリクスを用いて、その中に含まれる活性化合物(複数可)の急速、持続、または遅延型放出を提供するように配合することもできる。本発明による医薬組成物の化合物の溶解性及び/または安定性を向上させる目的で、α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン、またはそれらの誘導体を使用することが有利となり得る。また、アルコールなどの共溶媒は、化合物の溶解性及び/または安定性を改善する場合がある。水性組成物の調製では、本発明の化合物の塩は水溶性が向上しているため、塩を添加した方が適切な場合がある。
【0096】
適切なシクロデキストリンは、α-、β-、もしくはγ-シクロデキストリン(CD)またはそれらのエーテル及び混合エーテルであり、シクロデキストリンのアンヒドログルコース単位のヒドロキシル基の1つまたは複数は、アルキル、詳細にはメチル、エチル、またはイソプロピルで置換されており、例えばランダムにメチル化されたβ-CDであり;ヒドロキシアルキル、詳細にはヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、またはヒドロキシブチルで置換されており;カルボキシアルキル、詳細にはカルボキシメチルまたはカルボキシエチルで置換されており;アルキルカルボニル、詳細にはアセチルで置換されており;アルコキシカルボニルアルキルまたはカルボキシアルコキシアルキル、詳細にはカルボキシメトキシプロピルまたはカルボキシエトキシプロピルで置換されており;アルキルカルボニルオキシアルキル、詳細には2-アセチルオキシプロピルで置換されている。錯形成剤及び/または可溶化剤として特に注目すべきは、β-CD、ランダムにメチル化されたβ-CD、2,6-ジメチル-β-CD、2-ヒドロキシエチル-β-CD、2-ヒドロキシエチル-γ-CD、2-ヒドロキシプロピル-γ-CD、及び(2-カルボキシメトキシ)プロピル-β-CD、詳細には2-ヒドロキシプロピル-β-CD(2-HP-β-CD)である。混合エーテルという用語は、少なくとも2つのシクロデキストリンヒドロキシル基が、異なる基、例えば、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシエチルでエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を示す。化合物をシクロデキストリンまたはその誘導体と組み合わせて配合する興味深い方法は、EP-A-721,331に記載されている。そこに記載されている配合物は、抗真菌活性成分を用いたものであるが、それらは、化合物を配合することに関して等しく興味深い。この配合物は、薬学上許容される甘味剤及び/または香味剤を添加することにより、より口に合うようにすることもできる。詳細には、本発明は、有効量の本発明による化合物を、薬学上許容されるシクロデキストリンとともに含む医薬組成物を包含する。本発明は、本発明による化合物及びシクロデキストリンからなるシクロデキストリン錯体も包含する。
【0097】
特に、組成物、配合(及びそれらで使用するためのキャリア、賦形剤、希釈剤など)、投与経路などについては、それ自体知られているが、特にUS-A-4,997,834、及びEP-A-0 370 498に記載されるものなどを参照。
【0098】
より詳細には、組成物は、本発明の化合物及び1種または複数の薬学上許容される水溶性重合体の固体分散体からなる粒子を治療上有効量で含む医薬配合物に配合することができる。
【0099】
「固体分散体」という用語は、少なくとも2種の成分を含む固相(液相または気相とは対照的)の系を定義し、1種類の成分は、その他の成分一種または複数全体にわたってより均一にまたはあまり均一ではなく分散している。この成分の分散が、この系を、全体にわたり化学的及び物理的に均一または均質にしている、すなわちこの系が熱力学で定義されるとおりに1相からなるものであるような場合、そのような固体分散体は、「固溶体」と称する。固溶体は、好適な物理系である。なぜなら、その中の成分は、通常、それらが投与された生体にとって容易に生体利用可能だからである。「固体分散体」という用語は、固溶体ほどは、全体にわたり均質ではない分散体も含む。そのような分散体は、全体にわたり化学的及び物理的に均一であるのではなく、1相より多い相を含む。
【0100】
水溶性重合体は、都合のよいことには、20℃で2%水溶液に溶解させた場合に見かけの粘度が1~100mPaである重合体である。好適な水溶性重合体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、すなわちHPMCである。メトキシ置換度が約0.8~約2.5及びヒドロキシプロピルモル置換度が約0.05~約3.0であるHPMCは、概して、水溶性である。メトキシ置換度は、セルロース分子のアンヒドログルコース単位あたりに存在するメチルエーテル基の平均数を示す。ヒドロキシ-プロピルモル置換度は、セルロース分子の各アンヒドログルコース単位と反応したプロピレンオキシドのモル数の平均を示す。
【0101】
化合物を、有効平均粒子径を1000nm未満に維持するのに十分な量でその表面に吸着された表面改質剤を有するナノ粒子の形状に配合することは、さらに好都合となる場合がある。適切な表面改質剤は、好ましくは、既知の有機及び無機の薬学的賦形剤から選択することができる。そのような賦形剤として、種々の重合体、低分子量オリゴマー、天然産物、及び界面活性剤が挙げられる。適切な表面改質剤として、非イオン性及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0102】
本発明による化合物を配合するさらに別の興味深いやり方は、化合物を親水性重合体に組み込み、この混合物をコートフィルムとして多数の小ビーズに塗布し、そうして、良好な生体利用度を持つ組成物を得るという医薬組成物に関するもので、この組成物は、都合よく製造することができ、経口投与用の医薬剤形を調製するのに適している。このビーズは、(a)中心の円形または球状核、(b)親水性重合体及び抗レトロウイルス剤のコートフィルム、ならびに(c)シールコート重合体層を含む。ビーズの核として使用するのに適した材料は多種多様であるが、ただし、その材料は薬学上許容されるものであり、適切な寸法及び硬度を有するものである。そのような材料の例として、重合体、無機物質、有機物質、及び糖類、ならびにそれらの誘導体がある。
【0103】
製剤は、それ自身既知である様式で調製することができ、そのような調製は、通常、少なくとも1種の本発明による化合物を、1種または複数の薬学上許容されるキャリア、及び所望であれば、他の薬学的活性化合物を組み合わせて、必要な場合には無菌条件下で、混合することが関与する。再度、US-A-6,372,778、US-A-6,369,086、US-A-6,369,087、及びUS-A-6,372,733、ならびに上記のさらなる先行技術、ならびに標準的なハンドブック、例えば最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照。
【0104】
本発明の医薬製剤は、好ましくは、単位剤形をしており、適切にパッケージ化する、例えば、箱、ブリスター、バイアル、瓶、サシェ、アンプルに入れる、または任意の他の適切な単回用量もしくは複数回用量のホルダーまたは容器(これらは適切にラベルをつけることができる)に入れることができ;任意選択で、製品情報及び/または使用説明書を含む1つまたは複数の冊子を同封することができる。一般に、そのような単位投薬量は、少なくとも1種の本発明の化合物を、1~1000mg、通常5~500mg、例えば単位投薬量あたり約10、25、50、100、200、300、または400mg含有することになる。
【0105】
化合物は、使用される具体的な製剤及び治療または予防しようとする症状に主に応じて、様々な経路で投与することができ、そのような経路として、経口、眼、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、または鼻腔内経路が挙げられ、経口及び静脈内投与が通常は好ましい。少なくとも1種の本発明の化合物は、一般に、「有効量」で投与されることになり、「有効量」は、その量より多く適切に投与された際に、投与された対象に所望の治療的または予防的効果をもたらすのに十分な式(I)の化合物の任意の量を示す。通常、予防または治療しようとする症状及び投与経路に応じて、そのような有効量は、通常、1日あたり患者の体重1キログラムあたり、0.01~1000mg/kg、より頻繁には、0.1~500mg、例えば1~250mg、例えば、約5、10、20、50、100、150、200、または250mgになり、この量は、単独の一日量として、1日または複数日にわたる一日量に分割されて、あるいは本質的に連続して、例えば点滴注入を用いて、投与することができる。投与される量(複数可)、投与経路、及びさらなる治療レジメンは、患者の年齢、性別、及び全体的な状態、ならびに治療しようとする疾患/症候の性質及び重篤度に応じて、治療にあたる医師が決定することができる。再度、US-A-6,372,778、US-A-6,369,086、US-A-6,369,087、及びUS-A-6,372,733、ならびに上記のさらなる先行技術、ならびに標準のハンドブック、例えば最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照。
【0106】
本発明の方法に従って、この医薬組成物は、治療過程中の異なる時点で別々に投与することも可能であるし、分割または単一の併用形態で同時に投与することも可能である。したがって、本発明は、同時または交互治療の全てのそのようなレジメンを包含すると理解されるはずであり、「投与する」という用語は、それに基づいて解釈されるはずである。
【0107】
経口投与形状の場合、本発明の組成物は、適切な添加剤、例えば、賦形剤、安定剤、または不活性希釈剤と混合し、慣習的方法により、適切な投与形状、例えば、錠剤、コート錠剤、硬カプセル剤、水性液剤、アルコール性液剤、または油性液剤などにすることができる。適切な不活性キャリアの例として、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコース、またはデンプン、詳細には、コーンデンプンがある。この場合、調製は、乾燥及び湿潤顆粒の両方として行うことができる。適切な油性賦形剤または溶媒は、植物油または動物油、例えば、ヒマワリ油またはタラ肝油である。水性液剤またはアルコール性液剤に適切な溶媒は、水、エタノール、糖溶液、またはそれらの混合物である。ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールは、他の投与形状のさらなる助剤としても有用である。即時放出錠剤として、これらの組成物は、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、及びラクトース、及び/または当該分野で既知である他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、及び潤滑剤を含有することができる。
【0108】
経鼻エーロゾルまたは吸入により投与する場合、これらの組成物は、当該分野で周知である医薬配合技法に従って調製することができ、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、生体利用度を向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/または当該分野で既知である他の安定化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水の溶液として調製することができる。エーロゾルまたはスプレーの形状で投与するのに適した医薬配合物は、例えば、本発明の化合物またはそれらの生理学的に忍容される塩が、薬学上許容される溶媒、例えば、エタノールもしくは水、またはそのような溶媒の混合物に入った、液剤、懸濁剤、または乳剤である。必要であれば、配合物は、他の薬学的助剤、例えば、界面活性剤、乳化剤、及び安定剤、ならびに噴射剤をさらに含有することもできる。
【0109】
皮下または静脈内投与の場合、本発明による化合物は、所望であれば、そのような場合に慣習的な物質、例えば、可溶化剤、乳化剤、またはさらなる助剤とともに、液剤、懸濁剤、または乳剤にされる。本発明の化合物は、凍結乾燥させることもでき、得られた凍結乾燥物は、例えば、注射液または点滴製剤の製造に使用される。適切な溶媒は、例えば、水、生理食塩水溶液、またはアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロールであり、さらに、糖溶液、例えば、グルコースまたはマンニトール溶液、あるいは代替的に上記の種々の溶媒の混合物である。注射用液剤または懸濁剤は、適切な無毒の非経口で許容可能な希釈剤または溶媒、例えば、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンガー溶液、または等張性塩化ナトリウム溶液など、あるいは適切な分散化剤もしくは湿潤剤及び懸濁剤、例えば、滅菌ブレンド不揮発性油を用いて、当該技術に従って配合することができ、滅菌ブレンド不揮発性油は、合成モノまたはジグリセリド、及びオレイン酸をはじめとする脂肪酸を含む。
【0110】
坐剤の形状で直腸投与する場合、これらの配合物は、本発明による化合物を、通常温度では固体であるが、直腸腔で液化及び/または溶解して薬物を放出する適切な無刺激賦形剤、例えば、カカオバター、合成グリセリドエステル、またはポリエチレングリコールなどと混合することにより調製することができる。
【0111】
本組成物は、獣医学分野でも価値があり、その目的は、本明細書中、動物の疾患の予防及び/または治療だけでなく、経済的に重要な動物、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、魚などに関して、動物の成長及び/または体重及び/または動物から得られる肉または他の製品の量及び/または質を向上させることも含む。すなわち、さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物及び少なくとも1種の適切なキャリア(すなわち獣医学的用途に適したキャリア)を含有する獣医学的用途のための(医薬)組成物に関する。本発明は、そのような組成物の調製における本発明の化合物の使用にも関する。
【実施例
【0112】
以下の実施例は、本発明を例示することを目的として提供するものであり、いかなる手段を持ってしても、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0113】
パートAは、化合物(中間体及び最終化合物)の調製を表し、一方パートBは、薬理学的実施例を表す。
【0114】
パートA
以下に示すスキーム1及びスキーム2に例示される2種類の異なる合成経路に従って、化合物を調製した。
【化4】
【0115】
中間体I:エチル=5-(ブロモメチル)イソオキサゾール-3-カルボキシラートの調製。
【化5】

3-ブロモプロパ-1-イン(91mL;845mmol)、重炭酸ナトリウム(71.48g;842mmol)、酢酸エチル(1200mL)、及び水(12mL)の混合物に、室温で、エチル=2-クロロ-2-(ヒドロキシイミノ)アセタート(37.6g、240.66mmol)を酢酸エチル200mLに溶解させた溶液を滴下し、混合物を室温で108時間攪拌した。固体を濾別し、濾液を水で2回洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに、勾配をつけた酢酸エチル(5-40%)含有ヘプタンを用いて精製して、エチル=5-(ブロモメチル)イソオキサゾール-3-カルボキシラート46.1g(82%)を白色固体として得た。H NMR(クロロホルム-d)δ:6.74(s, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.45 (q, 2H), 1.42 (t, 3H)。
【0116】
中間体II:エチル=5-(2,5-ジフルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボキシラートの調製。
【化6】

25本のマイクロ波バイアルそれぞれに、エチル=5-(ブロモメチル)イソオキサゾール-3-カルボキシラート(1.2g;5.13mmol)、2,5-ジフルオロフェニルボロン酸(0.928g;5.64mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.297g;0.256mmol)、炭酸ナトリウム(1.09g;10.25mmol)を投入し、水(2mL)及び1,2-ジメトキシエタン(8mL)の混合物を加えた。バイアルを密閉し、マイクロ波オーブンに入れて、20分間130℃で加熱した。25本のバイアルの内容物を1つにまとめ、酢酸エチルで希釈し、水で洗った。有機層を減圧濃縮し、残渣を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに、勾配をつけた酢酸エチル(5-40%)含油ヘプタンを用いて精製して、エチル=5-(2,5-ジフルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボキシラート18.47g(54%)を黄色油状物として得た。H NMR(クロロホルム-d)δ:6.90-7.12(m,3H), 6.42 (s, 1H), 4.42 (q, 2H), 4.15 (s, 2H), 1.40 (t, 3H)。ESI/APCI(+):268(M+H)、290(M+Na)。
【0117】
中間体III:5-(2,5-ジフルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボン酸の調製。
【化7】

エチル=5-(2,5-ジフルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボキシラート(18.30g;68.48mmol)のエタノール(20mL)溶液に、水酸化ナトリウム1M溶液(206mL;206mmol)を加えた。混合物を、室温で2時間攪拌した。塩酸12N溶液を加えて、溶液をpH1まで酸性にした。沈殿物をろ過して集め、減圧乾燥させて、5-(2,5-ジフルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボン酸14.60g(89%)を白色固体として得た。H NMR(DMSO-d)δ:7.17-7.34(m,3H), 6.59 (s, 1H), 4.27 (s, 2H)。
【0118】
中間体IV:エチル=5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボキシラートの調製。
【化8】

エチル=2-クロロ-2-(ヒドロキシイミノ)アセタート(14.50g;95.68mmol)及び炭酸水素ナトリウム(16.08g;191.36mmol)を酢酸エチル(400mL)及び水(40mL)に加えた混合物に、プロパルギルアルコール(11.42mL;191.36mmol)を加え、混合物を室温で24時間攪拌した。2相を分離させ、有機層を減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液は1-10%酢酸エチル含有ジクロロメタン)により精製して、エチル=5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボキシラート8.67g(53%)を油状物として得た。
【0119】
中間体V:5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボン酸の調製。
【化9】

エチル=5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボキシラート(8.67g;50.66mmol)をエタノール(30mL)に加えた混合物に、水酸化ナトリウムの水溶液(2M;50mL)を加え、2時間激しく攪拌した。溶液を減圧濃縮し、水に希釈し、ジクロロメタンで抽出した。水層を塩酸6NでpH1まで酸性にし、酢酸エチルで数回抽出した。有機層を乾燥させ、減圧濃縮して、5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボン酸5.43g(75%)を白色固体として得た。
【0120】
中間体VI:N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製。
【化10】

2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタンアミン塩酸塩(5.00g;23.29mmol)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム=ヘキサフルオロホスファート(8.86g;23.29mmol)、及び5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボン酸(3.67g;25.62mmol)を乾燥DMF(40mL)に加えた混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.75mL;58.23mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、酢酸エチルに希釈し、硫酸水素カリウム水溶液(1M)及び炭酸ナトリウム水溶液(1M)で続けて洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗残渣を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液はメタノール0-10%含有ジクロロメタン)により精製して、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド5.26g(74%)を粘稠な黄色がかった固体として得た。
【0121】
中間体VII:5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製
【化11】

ペルブロモメタン(8.69g;26.21mmol)及びトリフェニルホスフィン(6.88g;26.21mmol)のTHF(60mL)溶液に、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-(ヒドロキシメチル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド(5.30g;17.48mmol)のTHF(10mL)溶液を加えた。得られる溶液を、室温で2.5時間攪拌した。固体をろ別し、溶液を減圧濃縮した。残渣を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル15-100%含有ヘプタン)により精製して、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド2.64g(41%)を白色固体として得た。ESI/APCI(+):366、368(M+H)。ESI/APCI(-):366、364(M-H)。
【0122】
本発明の化合物の調製
実施例1:5-(2,5-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製
【化12】

2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタン-1-アミン塩酸塩(13.00g;59.35mmol)、5-(2,5-ジフルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボン酸(14.19g;59.35mmol)、及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム=ヘキサフルオロホスファート(22.57g;59.35mmol)を乾燥DMF(90mL)に加え、攪拌しながら、この混合物に、N-エチルジイソプロピルアミン(25.65mL;148.37mmol)を加えた。混合物を室温で60時間攪拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解させ、溶液を水及びブラインで洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。残渣を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに、勾配をつけた酢酸エチル(1-10%)含有ジクロロメタンを用いることにより精製して、黄色がかった固体20.02gを得て、これをジクロロメタン及びn-ヘプタンの混合液から再結晶させて、5-(2,5-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド19.06g(80%)を白色固体として得た。
あるいは
(2,5-ジフルオロフェニル)ボロン酸(0.068g;0.430mmol)、炭酸ナトリウム(0.086g;0.430mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.024g;0.020mmol)を含むDME(3mL)及び水(1mL)に、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド(0.150g;0.409mmol)を溶解させ、一晩90℃で加熱した。RTまで冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル0-10%含有ジクロロメタン)により精製して、5-(2,5-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド0.038g(23%)を白色固体として得た。
H NMR(DMSO-d)δ: 10.92 (br.s., 1H), 8.82(t, 1H), 7.1-7.38(m, 6H), 6.90 (td, 1H), 6.53 (s, 1H), 4.26 (s, 2H), 3.48 (q, 2H),2.88 (t, 2H)。ESI/APCI(+):400(M+H)。ESI/APCI(-):398(M-H)。
【0123】
実施例2:5-(2,4-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製
【化13】

(2,4-ジフルオロフェニル)ボロン酸(0.068g;0.430mmol)、炭酸ナトリウム(0.086g;0.430mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.024g;0.020mmol)を加えたDME(3mL)及び水(1mL)に、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド(0.150g;0.409mmol)を溶解させ、90℃で一晩加熱した。RTに冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル0-10%含有ジクロロメタン)により精製して、5-(2,4-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド0.0462g(28%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz, DMSO-d): δ 10.92 (br.s., 1H);8.82 (t, 1H);7.39-7.57 (m, 1H);7.21-7.36(m,4H);7.11 (td, 1H);6.90 (td, 1H);6.50 (s, 1H);4.24 (s, 2H);3.49 (q, 2H);2.89(t, 2H)。ESI/APCI(+):400(M+H)。ESI/APCI(-):398(M-H)。
【0124】
実施例3:5-(3,4-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製
【化14】

(3,4-ジフルオロフェニル)ボロン酸(0.068g;0.430mmol)、炭酸ナトリウム(0.086g;0.430mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.024g;0.020mmol)を加えたDME(3mL)及び水(1mL)に、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド(0.150g;0.409mmol)を溶解させ、90℃で一晩加熱した。RTに冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル0-10%含有ジクロロメタン)により精製して、5-(3,4-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド0.065g(40%)を淡黄色固体として得た。H NMR(300MHz, DMSO-d)δ ppm 10.92 (br.s., 1H);8.81 (t, 1H)7.36-7.49 (m, 2H);7.28-7.35(m,2H);7.25 (d, 1H);7.12-7.21 (m, 1H);6.90 (td, 1H);6.54 (s, 1H);4.23 (s, 2H);3.48(q,2H);2.89 (t, 2H)。ESI/APCI(+):400(M+H)。ESI/APCI(-):398(M-H)。
【0125】
実施例4:5-(3,5-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製
【化15】

(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン酸(0.068g;0.430mmol)、炭酸ナトリウム(0.086g;0.430mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.024g;0.020mmol)を加えたDME(3mL)及び水(1mL)に、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド(0.150g;0.409mmol)を溶解させ、90℃で一晩加熱した。RTに冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル0-10%含有ジクロロメタン)により精製して、5-(3,5-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド0.068g(41%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz, DMSO-d)δ ppm 10.93 (br.s, 1H.);8.83 (t, 1H);7.03-7.42 (m,6H);6.91(td, 6H);6.59 (s, 1H);4.27 (s, 2H);3.50 (q, 2H);2.90 (t, 2H)。ESI/APCI(+):400(M+H)。ESI/APCI(-):398(M-H)。
【0126】
実施例5:N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-(4-フルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製
【化16】

(4-フルオロフェニル)ボロン酸(0.086g;0.430mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.151mL;0.819mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.033g;0.040mmol)を加えたDME(3mL)及び水(1mL)に、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド(0.150g;0.409mmol)を溶解させ、90℃で一晩加熱した。RTに冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル0-10%含有ジクロロメタン)により精製して、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-(4-フルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド0.088g(57%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz, DMSO-d) δ ppm 10.92 (br.s., 1H, );8.80 (t, 1H);7.11-7.42 (m;7H);6.81-6.99(m,1H);6.51 (s, 1H);4.21 (s, 2H);3.48 (q, 2H);2.88 (t, 2H)。ESI/APCI(+):382(M+H)。ESI/APCI(-):380(M-H)。
【0127】
実施例6:5-(2,3-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製。
【化17】

(2,3-ジフルオロフェニル)ボロン酸(0.129g;0.819mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.201mL;1.09mmol)、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.045g;0.056mmol)を加えたDME(3mL)及び水(1mL)に、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド(0.200g;0.546mmol)を溶解させ、90℃で一晩加熱した。RTに冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル20-100%含有ヘプタン)により精製して、5-(2,3-ジフルオロベンジル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド0.015g(7%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz, DMSO-d) δ ppm 10.85-11.04 (m, 1H);8.82 (t, 1H);7.45-7.30 (1H,m);7.28-7.36(m, 2H);7.17-7.27 (m, 3H);6.90 (td, 1H);6.55 (s;1H);4.33 (s;2H);3.48(d, 2H);2.88(t, 2H)。
ESI/APCI(+):400(M+H)。ESI/APCI(-):398(M-H)。
【0128】
実施例7:N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-(2-フルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボキサミドの調製。
【化18】

(2-フルオロフェニル)ボロン酸(0.086g;0.430mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.151mL;0.819mmol)、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.033g;0.040mmol)を加えたDME(3mL)及び水(1mL)に、5-(ブロモメチル)-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]イソオキサゾール-3-カルボキサミド(0.150g;0.409mmol)を溶解させ、90℃で一晩加熱した。RTに冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗混合物を、シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル0-10%含有ジクロロメタン)により精製して、N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]-5-(2-フルオロベンジル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド0.068g(44%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz, DMSO-d) δ ppm 10.93 (br.s., 1H);8.66-8.96 (m, 1H);7.13-7.52(m,7H);6.79-7.00 (m, 1H);6.51 (s, 1H);4.26 (s, 2H);3.49 (q, 2H);2.89 (t, 2H)。ESI/APCI(+):382(M+H)。ESI/APCI(-):380(M-H)。
【0129】
パートB
実施例8:TAU遺伝子過剰発現細胞株の構築
ヒトTAU-P301LのcDNA(プロリン301がロイシン残基で置換されたTAUをコードする)を、哺乳類発現ベクターpcDNA3.1にサブクローニングし、プラスミドpcDNA3.1-TAU P301Lを得ることにより、TAU発現プラスミドを構築した。プラスミドpcDNA3.1及びpcDNA3.1-TAU P301Lを、ヒト神経芽細胞腫細胞(BM17;ATCC No.CRL-2267)に形質移入し、ゲノム中に安定して組み込まれたプラスミドを持つ独立クローン株を選出した。この結果得られた細胞株を、M17-3.1及びM17-TAU(P301L)と名付けた(それぞれ、pcDNA3.1及びpcDNA3.1-TAU P301Lで形質移入されている)。細胞株におけるTAU P301L遺伝子の発現は、ウエスタン分析により確認した。
【0130】
実施例9:ニューロン変性のモデルとしてのP301L TAU発現細胞の使用
M17-TAU(P301L)細胞におけるTAU P301Lの発現は、野生型TAUを発現する対照細胞(M17-TAUwt)と比べて上昇した毒性を与えることがわかった。
【0131】
変性または死細胞では、形質膜完全性の喪失により乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)が細胞から外部環境に漏出する。この原理を用いて、生細胞及び死細胞の全LDH活性の合計に対する、増殖培地に漏出したLDHレベルを定量することにより、細胞毒性を測定した。
【0132】
細胞毒性測定方法の詳細は、以下のとおりであった:M17-3.1及びM17-TAU(P301L)細胞の適切な前培養物から、2500細胞/cm2で、フェノールレッドを含まないOptimem Reduced Serum(Gibco、カタログ31985-047)に播種した。Optimem Reduced Serumには、1%ウシ胎仔血清、1mMのピルビン酸ナトリウム、1×非必須アミノ酸、500μg/mlのG4180、5×抗生物質/抗真菌剤が補充されていた。37℃/5%CO2で3時間インキュベーション後、2.5μMの全トランス型レチノイン酸(ATRA)を補充したOptimem Reduced Serum(上記と同一;ただし、ウシ胎仔血清を含まない)1体積分を添加した。細胞をさらに7日間インキュベートした。続いて、Promega Cytotox 96 Non-Radioactive細胞毒性アッセイ(カタログG1780)を用い、使用説明書に従って、LDH活性を測定した。
【0133】
図1Aは、M17-TAU P301L細胞は、比較的高レベルでLDHが培地に漏出したことを示すが、M17-3.1はそうではなかったことを示し、このことは、毒性がTAU P301により特異的に誘発されたことを実証する。レチノイン酸駆動型分化に対するTAU(301)発現神経芽細胞腫細胞株の感受性を強調する。
【0134】
実施例10:カルシウム恒常性不全のモデルとしてのP301L TAU発現細胞の使用
細胞にCa2+用の細胞透過性蛍光プローブであるFura-2 AM(Sigma-Aldrich)を含有する培地を添加して、細胞質カルシウムを測定した。Fura-2-AMを、1:1の比のDMSO+20%プルロン酸(F-127)(Invitrogen)に溶解させ、培地に希釈して、最終濃度を0.5μMにした。この添加用培地に、プロベネシド(Sigma-Aldrich)を添加して、最終濃度を2.5mMにした。次いで、培地を添加することにより培養培地を交換し、37℃で1時間インキュベーション後、細胞を2回洗い、0.2%FBS及び0.02MのHEPESを補充したHBSS(Gibco)に入れ替えた。次に、細胞質カルシウムの変化を、FlexStation 3マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で測定し、Fura-2と結合していないCa2+量(380nmでの蛍光強度)に対するFura-2と結合した細胞質Ca2+量(340nmでの蛍光強度)の変化を計算することにより比率計算で定量した。データは、SoftMax Pro 5.4.6ソフトウェア(Molecular Devices)で処理した。
【0135】
図1Bは、実施例9の方法に従ってATRAにより毒性が誘導されたP301L TAU発現細胞では、細胞質カルシウムのレベルの上昇が示されたことを示す。
【0136】
実施例11:てんかん治療用の化合物のスクリーニングにおける、神経変性モデルとしてのP301L TAU発現細胞の使用。
TAU誘導型細胞毒性の細胞株モデルは、てんかん治療のために遺伝子組換え動物及びヒト患者で使用可能な化合物の同定を可能にする。イスラジピンは、てんかん治療のために十分に確立された標的である電位開口型カルシウムチャネル(VGCC)阻害剤であり、イスラジピンは、てんかんのモデルにおいて活性である。図2は、RAインキュベートした細胞で、電位開口型カルシウムチャネル(VGCC)イスラジピンを用いた処理により毒性が低下することを示す。
【0137】
実施例12:本発明の例示化合物のスクリーニングにおける、TAU発現細胞の使用。
M17-TAU P301L細胞株は、新規化合物のTAU細胞毒性に対抗する能力を評価することを可能にした。TAU細胞毒性の活性阻害剤は、実施例9に記載のとおりに処理されたM17-TAU P301L細胞のLDH漏出を阻害することがわかった。化合物の有効性(効力)を、レチノイン酸インキュベートしたM17-TAU P301L細胞のLDH活性を低下させる能力について、無効(すなわち、相対的に低濃度)から有効濃度まで様々な濃度で化合物を試験することにより、測定した。これらの測定値を用いて、EC50値を計算した。
【0138】
本発明の例示化合物を、それらの化学構造及び実施例12のTAU誘導型毒性実験で測定した場合のそれらのEC50値(μg/ml単位で表す)と合わせて表1に示す。
【表1】

【0139】
また、化合物を、上昇した細胞質カルシウムレベルを低下させるかどうかについて試験した。化合物の存在下では、これらの細胞質カルシウムレベルは低下した。図3は、化合物が、実施例9に記載のM17-TAU P301L細胞株モデルにおいて、毒性条件下、カルシウム恒常性不全を緩和することを示す。
【0140】
実施例13:オリゴマーアミロイドベータ毒性のex-vivo阻害
本発明の例示化合物を、オリゴマーアミロイドベータ(Aβo)により誘発された毒性を阻害する能力について試験した。ラット胎仔からニューロンを収穫し、標準方法(例えば、Schlager et al., 2014. Cell reports, 8(5), pp.1248-56で使用された方法など)を用いて培養した。分化したニューロンに、Aβoで負荷を与え、生存度を定量した。Aβo処理は、ニューロン生存を深刻に低下させたが、100ng/mLの化合物6の存在下では、Aβo処理されたニューロンの生存は強く救済された(図4)。これらの結果は、化合物6が、Aβoに駆動されるニューロン細胞死を強力に軽減することを実証する。
【0141】
方法詳細:
単離からin-vitroで19日後、ニューロンを蛍光顕微鏡で可視化する目的で、一次海馬ニューロンにMarcks-GFPで形質移入した。
【0142】
ADDLの調製によるAβoの生成:
ADDL(Aβ由来拡散性リガンド)調製(Aβoを表す)は、Klein(Klein, 2002. Neurochemistry international, 41(5)、pp.345-52.)に従って行った。Aβ1-42は、AnaSpec Inc.から購入し、HFIPに溶解させて、ペプチドをホモジナイズした。次いで、HFIPをspeedvacでエバポレートして、Aβフィルムを、デシケーターにて-20℃で一晩乾燥させた。次いで、Aβフィルムを100%DMSOに再溶解させ、さらに、ハムF12培地に希釈した(1/25)。ブランクは、等量のDMSOをハムF12培地に加えることにより調製した。Aβ溶液及びブランク溶液を、4℃で一晩インキュベートした。
【0143】
溶液を、4℃、14.000×gで10分間遠心し、上清を新たな試験管に移して、NanoDrop(登録商標)によりタンパク質濃度を測定した。
【0144】
細胞処理。
in-vitroで21日目、一次ラット海馬ニューロンを、等量のブランク溶液/ADDLが0~1000nMであるADDL溶液で処理した。培養物は、37℃、5%CO2で24時間維持してから、PFA固定した。生存度は、Thermo Fisherカタログ番号:L3224のLive-Deadアッセイを用いて評価した。
【0145】
固定。
ニューロンを、RTで10分間、4%PFA/スクロースに入れて固定した。細胞を、0.1%Triton-X/0.1%NaCit/PBSを含有するバッファーで透過処理した。洗浄後、ニューロンの入ったカバーガラスを逆さにしてマウント用培地(H1000、Vector Laboratories)(w/oDAPI)の液滴に乗せ、RTで乾燥させ、封印した。
【0146】
実施例14:VGCC活性のex-vivo阻害。
化合物6を、一次ニューロンにおいてVGCC活性を阻害する能力について試験した。マウス胎仔からニューロンを収穫し、標準方法(例えば、Schlager et al., 2014. Cell reports, 8(5), pp.1248-56で使用された方法)を用いて培養した。VGCC活性を刺激するため、ニューロンを45mMのKClで脱分極させて、1.5μm濃度でビヒクルまたは化合物とともにインキュベートした。カルシウム流入を、蛍光細胞質Ca2+検出試薬Fura2を用いて測定した。図5は、化合物処理したニューロンでは、KCl脱分極した際のCa2+流入が有意に低下することを示し、このことは、化合物がVGCC活性を阻害することを示す。
【0147】
方法詳細。
細胞にCa2+用の細胞透過性蛍光プローブであるFura-2 AM(Sigma-Aldrich)を添加した後、細胞質Ca2+濃度の変化を測定した。簡単に述べると、Fura-2-AMを、1:1の比のDMSO+20%プルロン酸(F-127)(Invitrogen)に溶解させ、培地に希釈して、最終濃度を0.5μMにした。この添加用培地に、プロベネシド(Sigma-Aldrich)を添加して、最終濃度を2.5mMにした。次いで、培地を添加することにより培養培地を交換し、37℃で1時間インキュベーション後、細胞を2回洗い、0.2%FBS及び0.02MのHEPESを補充したHBSS(Gibco)に入れ替えた。次に、細胞質カルシウムの変化を、FlexStation3マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)で測定し、Fura-2と結合していないCa2+量(380nmでの蛍光強度)に対するFura-2と結合した細胞質Ca2+量(340nmでの蛍光強度)の変化を計算することにより比率計算で定量した。データは、SoftMax Pro 5.4.6ソフトウェア(Molecular Devices)で処理した。
【0148】
実施例15:TAU駆動型病態のin vivo阻害。
ヒト遺伝子導入5ヶ月齢APPPS1マウス(The Journal of Neuroscience, September 1, 2000, 20(17):6452-6458)に、20mg/kgの化合物6を2週間毎日皮下投与した。
【0149】
処置期間の終わりに、マウスを屠殺して、対応する脳を生化学分析に使用した。ホスホ-TAU特異的抗体を用いた脳抽出物のウエスタン分析は、ビヒクル処置したマウスに比べて、化合物6は、TAUリン酸化をより効果的に減少させたことを示し、このことは、化合物6が脳中の病理学的TAU種の効果をin-vivoで低下させることを実証する(図6)。
【0150】
実施例16:アルツハイマー病のマウスモデルにおける、認知に対するin-vivoでの効果。
ヒト遺伝子導入4ヶ月齢APPマウス(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol. 274, No. 10, Issue of March 5, pp. 6483-6492, 1999)に、化合物6を20mg/kgで8週間毎日皮下投与した。認知を、モリス水迷路試験を用いて評価した。学習能力を評価する訓練期間中、マウスは、時間とともに、ビヒクル処置されたマウスに比べて探索経路が短くなった(図7、セクションA)。学習期間後、プローブ試行を行った。これは、プールからプラットホームを除去して、プラットホームの位置の空間記憶を評価するものであった。プローブ試行(図7、セクションB)は、ビヒクル処置した動物よりも高い円横断指数(これは、四分円のうち目的範囲のプラットホームのあった場所を泳いで通過する回数を、他の四分円の該当する範囲を泳いで通過した回数で調整した数を表す)を明らかにした。
【0151】
どちらの指数も、化合物で処置したマウスが、ビヒクル処置したマウスに比べて、野生型対照とほぼ同一の改善された認知能力を有することを示している。
【0152】
実施例17:アルツハイマー病のマウスモデルにおける、ex-vivoでのニューロン過剰活性化の正常化。
野生型マウス及びtgAPPマウス由来の脳切片を、DMSOまたは化合物6とともにインキュベートした。電流を増加させてニューロンを刺激し、活動電位の頻度(発火率)を測定した。
【0153】
tgAPPマウスでは、刺激が強くなるほど、活動電位の頻度も高くなった。例示化合物6とともに切片をインキュベートすると、頻度は有意に減少して、野生型レベルに近づいた(図8)。これらのデータは、tgAPPマウスのニューロン活性が、野生型マウスで観察されるものほどまたはまったく抑制されていないこと、及び化合物がtgAPPマウスでこのニューロン過剰活性化を減少させることを実証する。
【0154】
急性脳切片:
イソフルラン麻酔後にマウスを断頭することにより、WTマウスまたはhAPPマウスから急性矢状脳切片を調製した。脳を迅速に取り出し、3~4分間、氷冷した調製したばかりの切断用人工脳脊髄液(切断用aCSF)に浸漬した。切断用aCSFは、(mM単位)214のスクロース、2.5のKCl、2のCaCl2、2のMgSO4、1.25のNaH2PO2、26のNaHCO3、及び10のグルコースを含有するものであった。そして95%O2/5%CO2で酸素添加した。ビブラトーム(VT 1000S;Leica Microsystems)を用いて矢状350μm切片を作成し、これを標準炭酸化aCSF(mM単位:125のNaCl、2.5のKCl、2のCaCl2、2のMgSO4、1.25のNaH2PO2、26のNaHCO3、及び10のグルコース、モル浸透圧濃度305mOsm)に入れて34℃で20分間インキュベートした。インキュベーションを室温(RT)でさらに1時間続けてから、各切片を液内記録チャンバーに移し、炭酸化aCSFで連続的に灌流した。
【0155】
CA1単発活動電位(sAP)及び発火率のパッチクランプ記録:
細胞体または樹状突起(細胞体から>200μm)電流クランプ記録を、RT(24~28℃)で行い、切片は、対照または試験品REM0043039を2μMで補充した炭酸化標準aCSFで連続的に灌流した。全細胞記録の場合、パッチピペットに、(mM単位で)140のK-グルコナート、5のNaCl、2のMgCl2、10のHEPES、0.5のEGTA、2のMgATP、0.4のNaGTPを含有し、モル浸透圧濃度305、pHはKOHで7.25に調整した溶液を充填した。巨大CA1錐体ニューロンの細胞体または樹状突起を特定し、赤外光及び微分干渉(DIC)光学系を併用して目視で記録ピペットを近づけてパッチクランプした。パッチ電極は、細胞体または樹状突起記録用に充填した場合に、それぞれ、5及び14MΩ前後の抵抗を有していた。記録は、直列抵抗が40MΩを超えた時点で終了させた。シグナルをデジタル化し、10kHzで低域フィルタリングした。シグナルは、Axopatch 200B増幅器で増幅させ、Digidata 155インターフェースでデジタル化し、Clampex 10(Molecular Devices、CA)で標本抽出した。
【0156】
2msの脱分極電流パルス(35pA)を挿入することにより単発活動電位を誘発した。活動電位(AP)パラメータは、ベースライン及び25分のビヒクルまたは化合物灌流後とした。
【0157】
ビヒクルまたは化合物を2μMで1時間灌流後に、CA1細胞の樹状突起発火率を、過分極及び脱分極ステップ(-0.4から+0.45nAまで、0.05nA刻み)に応じて記録した。活動電位(発火率)の平均数を、電流ステップ強度の関数としてプロットした。
【0158】
実施例18:カイニン酸てんかんモデルでの化合物の試験
化合物を、ラットカイニン酸てんかんモデルで試験した。
【0159】
化合物の抗てんかん活性の薬理学的評価は、カイニン酸(KA)マウスモデル(Groticke et al., 2008, Experimental Neurology, 213, pp.71-83;Dietrich et al., Aug 2016, Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc, pp. 4005-4008)で行う。このモデルは、最初のKA誘導型てんかん重積状態(SE)及び2~3週間の潜伏てんかん発作性期間後に再発性てんかん発作を示す。
【0160】
KAを背側海馬のCA1領域に注入し、続いてEEG記録用の双極電極を外科処置により同側移植する。KAにより誘導された非痙攣性SEの発生率に基づき、この試験に登録するマウスを選別する。週に1回または2回の1時間のビデオEEG同時記録を用いて、経時的な海馬放電(HPD)を記録する。行動的(痙攣性)てんかん発作の重篤度を、Racine(Racine RJ, 1972, Electroencephalogr Clin Neurophysiol., 38(1):1-12)に従って格付けする。
【0161】
化合物(25mg/kg)またはビヒクルを毎日皮下投与する処置を、最初のカイニン酸誘導型SEの前または後に開始する。化合物処置されたマウスは、ビヒクル処置されたマウスに比べて、カイニン酸誘導型HPD及び/または自然てんかん発作の20%超の減少を示す。
【0162】
実施例19:化合物は、活動電位の後過分極を増大させる
A型カリウム電流の改善は、ニューロンの興奮性を低下させたことから、てんかん治療に治療効果を有する可能性がある。
【0163】
マウス脳切片を電気刺激した後の活動電位(AP)を分析した(図9)。化合物6とともにインキュベートした切片のAPの後過分極は増大し、このことは、化合物が、ニューロンの静止期への再分極を促進することを示す。
【0164】
実験は、本質的に、実施例17に記載されるとおりに行った。
【0165】
実施例20:本発明の化合物のスクリーニングにおけるTAU.P301L過剰発現細胞のカルシウム恒常性不全モデルの使用。
カルシウム恒常性不の細胞モデルで、実施例10に記載のとおりに、化合物が上昇した細胞質Ca2+レベルを低下させるかどうか試験した(図1B)。化合物の有効性(効力)を、Fura-2と結合していないCa2+量(380nmでの蛍光強度)に対するFura-2と結合した細胞質Ca2+レベル(340nmでの蛍光強度)を低下させる能力に関して、無効から有効濃度まで様々な濃度で化合物を試験することにより、測定した。
【0166】
本発明の例示化合物を、それらの化学構造及び細胞性Ca2+を低下させるEC50値(μg/ml単位で表す)と合わせて表2に示す。
【表2】

【0167】
実施例21:てんかん及びカルシウム恒常性不全が関与する他の神経変性疾患を治療するための化合物のスクリーニングにおける、KCl誘導型カルシウム流入のex-vivoモデルの使用。
化合物を、実施例14に記載のとおり、一次ニューロンにおけるCa2+流入を阻害する能力について、10μMで試験した(図5)。化合物が溶解していないビヒクルで処理された一次ニューロンを、無効対照として使用した。ビヒクル処理したニューロンに対するCa2+流入の阻害パーセンテージ(%)を計算した。結果を表3に示す。
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9