(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】共存する時分割複信トランシーバのアイソレーションを強化するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/10 20060101AFI20221014BHJP
H04B 1/525 20150101ALI20221014BHJP
H04B 1/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H04B1/10 L
H04B1/525
H04B1/00 253
(21)【出願番号】P 2020527007
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(86)【国際出願番号】 US2018062126
(87)【国際公開番号】W WO2019100078
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-10
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518210487
【氏名又は名称】クム ネットワークス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kumu Networks,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,マヤンク
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ウィルヘルム ステッフェン
(72)【発明者】
【氏名】チェイ,ジョン イル
(72)【発明者】
【氏名】メールマン,ジェフリー
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/148341(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0171903(US,A1)
【文献】特開2010-041291(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0156003(US,A1)
【文献】特開2006-129419(JP,A)
【文献】特開平09-036764(JP,A)
【文献】特表2012-517757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10
H04B 1/525
H04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共存する第1および第2の時分割複信(TDD)トランシーバのアイソレーションを強化するシステムにおいて、
第1の動作モードにおいて、第1のTDDトランシーバの送信信号を、第2のTDDトランシーバの受信信号における送信帯域の干渉を除去するように構成されたブロッカーキャンセル信号に変換するブロッカーキャンセラであって、前記送信信号は、前記第1の動作モードにおいて第1の周波数帯域で送信され、前記受信信号は、前記第1の動作モードにおける第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域で受信される、ブロッカーキャンセラと、
前記第1の動作モードにおいて、前記ブロッカーキャンセラによって生成された第2の周波数帯域のノイズを除去するために
前記ブロッカーキャンセル信号をフィルタリングする第1のチューナブルバンドパスフィルタと、
前記第1の動作モードにおいて、前記第1の周波数帯域のパワーを除去するために前記送信信号をフィルタリングする第2のチューナブルバンドパスフィルタと、
前記第1の動作モードにおいて、前記フィルタリングされた送信信号を、前記第2のTDDトランシーバの受信信号における受信帯域の干渉を除去するように構成された送信ノイズキャンセル信号に変換する送信ノイズキャンセラとを具え、
前記システムは、前記第1の動作モードにおいて、フィルタリングされた前記ブロッカーキャンセル信号と前記送信ノイズキャンセル信号を前記第2のTDDトランシーバの受信信号と結合し、結果として、干渉を低減させた受信信号を生成し、
前記システムが前記第1の動作モードから第2の動作モードに切り替え可能であり、当該第2の動作モードでは、
前記ブロッカーキャンセラが、前記第2のTDDトランシーバの送信信号を、前記第1のTDDトランシーバの受信信号における送信帯域の干渉を除去するように構成された
ブロッカーキャンセル信号に変換し、ここで前記送信信号は前記第2の周波数帯域で送信され、前記受信信号は前記第1の周波数帯域で受信され、
前記第2のチューナブルバンドパスフィルタが、前記ブロッカーキャンセラによって生成された前記第1の周波数帯域のノイズを除去するために、
前記ブロッカーキャンセル信号をフィルタリングし、
前記第1のチューナブルバンドパスフィルタが、前記第2の周波数帯域のパワーを除去するために前記送信信号をフィルタリングし、
前記送信ノイズキャンセラが、前記フィルタリングされた送信信号を、前記第1のTDDトランシーバの受信信号における受信帯域の干渉を除去するように構成された送信ノイズキャンセル信号に変換し、
前記システムが、前記フィルタリングされたブロッカーキャンセル信号と送信ノイズキャンセル信号を前記第1のTDDトランシーバの受信信号と組み合わせて、結果として、干渉を低減させた受信信号を
生成し、
前記システムが、局部発振器交換器をさらに具え;前記第1の動作モードにおいて、前記送信信号は、前記第1のTDDトランシーバによって電力増幅された後、前記第2のチューナブルバンドパスフィルタで受信され;前記第1の動作モードにおいて、前記局部発振器交換器とともに、前記第1のTDDトランシーバの受信チェーンが、フィルタリングされた送信信号をデジタルフィルタリングされた送信信号に変換するために使用され;前記送信ノイズキャンセラが、前記デジタルフィルタリングされた送信信号を変換してデジタル送信ノイズキャンセル信号を生成し;前記第1の動作モードにおいて、前記デジタル送信ノイズキャンセル信号が、受信信号のアナログ-デジタル変換後に前記第2のTDDトランシーバの受信信号と結合されて、受信信号における送信ノイズ干渉を低減することを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、前記ブロッカーキャンセラがデジタル回路である、システム。
【請求項3】
請求項1のシステムにおいて、前記ブロッカーキャンセラがアナログ回路である、システム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、前記送信ノイズキャンセラがアナログ回路である、システム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、前記送信ノイズキャンセラがデジタル回路である、システム。
【請求項6】
請求項1のシステムにおいて、前記第1の動作モードにおいて、前記第1のTDDトランシーバの送信信号を補助キャンセル信号に変換する補助キャンセラをさらに具え、前記第1の動作モードにおいて、前記干渉を低減させた受信信号の干渉をさらに低減するために、前記補助キャンセル信号が前記第2のTDDトランシーバの受信信号と結合される、システム。
【請求項7】
請求項6のシステムにおいて、前記第2の動作モードにおいて、前記補助キャンセラが前記第2のTDDトランシーバの送信信号を補助キャンセル信号に変換し、前記干渉を低減させた受信信号の干渉をさらに低減するために、当該補助キャンセル信号が前記第1のTDDトランシーバの受信信号と結合される、
システム。
【請求項8】
請求項1のシステムにおいて、前記第1のTDDトランシーバが第1のアンテナに結合され、前記第2のTDDトランシーバが第2のアンテナに結合されている、システム。
【請求項9】
請求項8のシステムにおいて、前記第1および第2のアンテナがアンテナスルーマッチャによって結合され、当該アンテナスルーマッチャが前記第1の動作モードにおいて前記第2のアンテナでの前記第1のTDDトランシーバの送信信号の結合を低減する、システム。
【請求項10】
請求項9のシステムにおいて、前記アンテナスルーマッチャは、前記第2の動作モードにおいて前記第1のアンテナでの前記第2のTDDトランシーバの送信信号の結合を低減する、システム。
【請求項11】
請求項1のシステムにおいて、前記第1および第2のTDDトランシーバがデュプレクサによってアンテナに結合されている、システム。
【請求項12】
請求項11のシステムにおいて、前記デュプレクサが、4つのバンドパスフィルタを具える5ポートデュプレクサであり、前記バンドパスフィルタのうちの2つが前記第1の周波数帯域を中心とし、前記バンドパスフィルタのうち他の2つが前記第2の周波数帯域を中心とする、システム。
【請求項13】
請求項
1のシステムにおいて、第2の動作モードにおいて、前記送信信号は、前記第2のTDDトランシーバによって電力増幅された後、前記第1のチューナブルバンドパスフィルタで受信され;前記第2の動作モードにおいて、前記第2のTDDトランシーバの受信チェーンが、局部発振器交換器とともに、フィルタリングされた送信信号をデジタルフィルタリングされた送信信号に変換するために使用され;前記送信ノイズキャンセラが、前記デジタルフィルタリングされた送信信号を変換してデジタル送信ノイズキャンセル信号を生成し;前記第2の動作モードにおいて、前記デジタル送信ノイズキャンセル信号は、受信信号のアナログ/デジタル変換後に前記第1のTDDトランシーバの受信信号と結合されて、受信信号の送信ノイズ干渉を低減する、システム。
【請求項14】
請求項
1のシステムにおいて、前記第1の動作モードにおいて、前記送信信号は、前記第1のTDDトランシーバによるデジタル/アナログ変換の前に前記ブロッカーキャンセラで受信され;前記第1の動作モードにおいて、前記第2のTDDトランシーバの送信チェーンが、前記局部発振器交換器とともに、
デジタルである前記ブロッカーキャンセル信号を前記第1の周波数帯域のアナログブロッカーキャンセル信号に変換するために使用され;前記第1の動作モードにおいて、前記アナログブロッカーキャンセル信号は、周波数ダウンコンバージョンの前に前記第2のTDDトランシーバの受信信号と結合され、受信信号におけるブロッカー干渉を低減する、システム。
【請求項15】
請求項
14のシステムにおいて、前記第2の動作モードにおいて、前記送信信号は、前記第2のTDDトランシーバによるデジタルからアナログへの変換前に前記ブロッカーキャンセラで受信され;前記第2の動作モードにおいて、前記第1のTDDトランシーバの送信チェーンが、前記局部発振器交換器とともに、
デジタルである前記ブロッカーキャンセル信号を前記第2の周波数帯域のアナログブロッカーキャンセル信号に変換するために使用され;前記第2の動作モードにおいて、前記アナログブロッカーキャンセル信号は、周波数ダウンコンバージョンの前に前記第1のTDDトランシーバの受信信号と結合され、受信信号におけるブロッカー干渉を低減する、システム。
【請求項16】
請求項
1のシステムにおいて、前記第1のTDDトランシーバが第1のアンテナに結合され;前記第2のTDDトランシーバが第2のアンテナに結合され;前記第1および第2のアンテナはアンテナスルーマッチャによって結合され;前記アンテナスルーマッチャは前記第1の動作モードで前記第2のアンテナにおける前記第1のTDDトランシーバの送信信号の結合を減少させる、システム。
【請求項17】
請求項
1のシステムにおいて、前記第1および第2のTDDトランシーバが、4つのバンドパスフィルタを具える5ポートによってアンテナに結合されており、前記バンドパスフィルタのうちの2つは前記第1の周波数帯域を中心とし、前記バンドパスフィルタのうちの他の2つは前記第2の周波数帯域を中心とする、システム。
【請求項18】
請求項
1のシステムにおいて、前記第1の動作モードにおいて、前記第1のTDDトランシーバの送信信号を補助キャンセル信号に変換する補助キャンセラをさらに具え;前記第1の動作モードにおいて、前記補助キャンセル信号が前記第2のTDDトランシーバの受信信号と結合されて、干渉が低減された受信信号の干渉をさらに低減する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連アプリケーションとの相互参照
[0001]本出願は、2017年11月20日に出願された米国仮出願番号62/588,864、および2018年8月3日に出願された米国仮出願番号62/714,378の利益を主張するものであり、これらの全ては、本参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、一般に無線通信分野に関し、より詳細には、共存する時分割複信トランシーバのアイソレーションを強化する新規で有用なシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]従来の無線通信システムは半二重であり、1つの無線通信チャネルで同時に信号を送受信することはできない。この問題を解決する方法の1つは時分割複信(TDD)を用いることであり、ここでは送信と受信が同じ周波数チャネル上だが異なる時間に行われる。多くの現代の通信機器では、同じ周波数帯で(ただし、異なるチャネルで)動作する2以上の非同期のTDDが、互いの近くに存在する。すべての無線機が送信しているか、すべての無線機が受信している間はそのような装置はうまく動作するが、一部の無線機が送信し一部の無線機が受信している場合、そのような装置の性能は制限される。したがって、無線通信分野において、共存する時分割複信トランシーバのアイソレーションを強化するための新規で有用なシステムおよび方法を作成する必要性がある。本発明は、そのような新規で有用なシステムおよび方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】[0004]
図1は、共存するTDDトランシーバの先行技術を示す。
【
図2A】[0005]
図2Aは、本発明の実施形態のシステムを示す斜視図である。
【
図2B】[0006]
図2Bは、本発明の実施形態のシステムの信号経路表現である。
【
図2C】[0007]
図2Cは、本発明の実施形態のシステムの信号変換のチャネル強度表現である。
【
図3A】[0008]
図3Aは、本発明の実施形態のシステムを示す図である。
【
図3B】[0009]
図3Bは、本発明の実施形態のシステムを示す図である。
【
図4A】[0010]
図4Aは、本発明の実施形態のシステムを示す図である。
【
図4B】[0011]
図4Bは、本発明の実施形態のシステムを示す図である。
【
図5】[0012]
図5は、本発明の実施形態のシステムのアナログ干渉キャンセラを示す図である。
【
図6】[0013]
図6は、本発明の実施形態のシステムのデジタル干渉キャンセラを示す図である
【
図7】[0014]
図7は、本発明の実施形態のシステムのアンテナスルーマッチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0015]以下の本発明の実施形態の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではなく、むしろ当業者が誰でも本発明を製造し、使用できるようにすることを意図したものである。
【0006】
1.共存する複数の時分割複信(TDD)トランシーバ
[0016]背景技術に記載したように、多くの現代の通信デバイスは、共存する(すなわち、互いに物理的に近接したアンテナを有し、同じ周波数帯または周波数の近い周波数帯で通信するように構成されている)TDDトランシーバを特徴とする。例えば、多くのワイヤレスアクセスポイントは、双方向型5GHzWiFiトランシーバを特徴とし、多くのラップトップコンピュータは、2.4GHzWiFiトランシーバと、Bluetoothトランシーバ(これも2.4GHzで動作する)の両方を備える。また、他の構成では、5GHzWiFi、LTE、および/またはMulteFireトランシーバが共存する。
【0007】
[0017]このような通信システムの一例を
図1に示す。各トランシーバの送受信チェーンは互いに独立していることに留意されたい。さらに、トランシーバが受信モードのとき、その受信機の送信経路は使用されず、トランシーバが送信モードのとき、同様に、その受信機の受信経路は使用されない。
【0008】
[0018]1のトランシーバが受信モードで動作しており、共存する他のトランシーバが送信モードで動作している場合、受信しているトランシーバの性能が低下する。この低下には2つの原因がある。1つ目は、送信しているトランシーバの送信信号が、受信しているトランシーバが受信しようとする信号よりもはるかに強力であるという事実に起因する。信号の周波数が異なっても、信号の周波数は十分に近いため(例えば、同じ周波数帯の異なるチャネル)、送信信号が受信しているトランシーバを飽和させ得る(この文脈では、送信信号は「ブロッカー」と呼ばれる)。第2の理由は、送信信号がそのチャネル内に完全に収まっておらず、一部のノイズが受信チャネルに漏れる場合があるからである。
【0009】
1.共存するTDDトランシーバのアイソレーションを強化するシステム
[0019]共存する複数のTDDトランシーバのアイソレーションを強化するシステム100は、チューナブルアナログフィルタ110、チューナブルデジタルフィルタ111、アナログブロッカーキャンセラ120、デジタルブロッカーキャンセラ121、アナログ送信ノイズキャンセラ130、デジタル送信ノイズキャンセラ131、局部発振器(LO)交換器140、アンテナスルーマッチャ150、および補助キャンセラ170のうちの1以上を具える。システム100はまた、信号カプラ160、アンプ161、周波数アップコンバータ162、周波数ダウンコンバータ163、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)164、デジタル/アナログコンバータ(DAC)165、時間遅延器166、フィルタ167、スイッチ168、および任意の他の回路要素(例えば、位相シフタ、減衰器、変圧器など)を含む、干渉除去および/またはフィルタリングを可能にするための任意の数の追加要素を含んでいてもよい。
【0010】
[0020]システム100は、共存する送信トランシーバを動作させながら、同時に受信トランシーバにおける干渉を低減することにより、共存する複数のTDDトランシーバにおける信号劣化を低減するように機能する。システム100は、好ましくは、ブロッカー信号としての送信信号の影響を部分的または完全に緩和すること(送信チャネル内または他の方法で)、および送信信号によって受信チャネル内で生じるノイズを除去することの両方によって、干渉を低減する。
【0011】
[0021]システム100は、好ましくは、デジタルおよび/またはアナログ回路を用いて実装される。デジタル回路は、好ましくは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または任意の適切なプロセッサ(複数可)または回路(複数可)を用いて実装される。アナログ回路は、好ましくはアナログ集積回路(IC)を使用して実装されるが、追加的または代替的に、個別部品(例えば、コンデンサ、抵抗、トランジスタ)、配線、伝送線、導波路、デジタル部品、混合信号部品、または任意の他の適切な部品を使用して実装されてもよい。システム100は、好ましくは、構成データを格納するメモリを具えるが、追加的または代替的に、外部に格納された構成データを使用して、または任意の適切な方法で構成されてもよい。
【0012】
[0022]システム100は、追加的または代替的に、任意の光学的、フォトニック、フォノン-フォトニック、マイクロ電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム(NEMS)、光、音響、光-音響的、機械的、光-機械的、電気的、光-電気的、またはその他の光学的または音響的に関連する技術を使用して、任意の方法で実装されてもよい。
【0013】
[0023]システム100は、様々なアーキテクチャで構成することができ、多数のアプリケーションに対する柔軟性を実現する。いくつかの実施形態では、システム100は、既存のトランシーバに取り付け、あるいは結合されてもよい。追加的または代替的に、システム100は、複数のトランシーバに統合されてもよい。システム100のアーキテクチャの例を、
図2~4Bに示す。システム100は、様々な方法でこれらのアーキテクチャの態様の組み合わせを使用してもよいことを理解されたい。
【0014】
[0024]
図2Aに示すように、本発明の実施形態の第1の実装例では、システム100は、2つのチューナブルアナログフィルタ110、デジタルブロッカーキャンセラ121、デジタルTXノイズキャンセラ131、LO交換器140、および複数のカプラ160、遅延器166、およびスイッチ168を具える(スペースの制約により、スイッチ168は明示的に「168」と符号を付していない)。さらに、別個の信号経路およびスイッチがデジタル領域に示されているが、これは、特定のデジタル実装例を暗示するのではなく、システム100が複数の動作モード(例えば、第1のモードではトランシーバ1が送信してトランシーバ2が受信し、第2のモードではトランシーバ2が送信しトランシーバ1が受信する)で信号をどのようにルーティングするかを明示することを意図していることに留意されたい(デジタル領域のスイッチは、特定の実装を必要とするのではなく、多くの方法で達成され得る)。
【0015】
[0025]
図2Aの実装例は、共存するトランシーバの以前に存在した経路を実質的に利用することに留意されたい。例えば、固有の局部発振器が、未使用の受信経路および送信経路の一部と同様に再利用される(これは、
図1と
図2Aを比較すると明らかである)。また、
図2Aのすべてのスイッチを反転させることにより、この実施形態は、トランシーバ1がRXモードでトランシーバ2がTXモードであるときに、干渉低減を提供できることにも留意されたい。
【0016】
[0026]
図2Aの実装例の信号経路図は
図2Bの通りであり、本図は、この実装例の動作を説明するために使用することができる。この図は、送信信号(「ABC」と書かれている)から始まる。通信装置I/O1の出力において、符号「ABC」は、送信信号の3つの信号成分(A、B、およびC)を表す。この送信信号は、実際には3つの別々の成分を有する必要はないが、このラベルは、信号の様々な部分がシステム100を通る際に、どのように分割され、変換され、再結合されるかを追跡することを可能にする。次に、送信信号は(「AB」と「C」に)分割される。Cはブロッカーキャンセラに渡され、Cが送信信号成分からブロッカーキャンセル信号C’(すなわち、受信チャネル外の望ましくない信号を除去するために受信信号と結合可能な信号)に変換される。そして、C’はフィルタリングされる(ブロッカーキャンセル信号の生成により加わったノイズが除去される)。一方、ABは、時間遅延器(ブロッカーキャンセラによって加わった遅延を補償する)を通り、無線周波数(RF)信号に変換される。次いで、ABはAとBに分割され、Aは送信アンテナによって送信され、一方、Bはフィルタリングされ(送信帯域内の信号-ブロッカー-を除去するため)、TXノイズキャンセラによってTXノイズキャンセル信号B’(すなわち、受信チャネル内の望ましくない信号を除去するために受信信号と結合可能な信号)に変換される。Aは、D(意図された受信信号)とともにA’(トランシーバ1と2の間の無線伝送により変換が起こる)として受信機で受信される。次に、C’が、ブロッカー信号を除去するためにA’Dと結合される。A’C’Dがデジタル変換され、送信ノイズを除去するためにB’と結合され、最終的な信号A’B’C’Dとなる。
【0017】
[0027]このプロセスの信号強度は、
図2Cに示す通りである。
図2Cに示すように、受信機で受信されるような信号(A’D)は、送信帯域と受信帯域の両方に望ましくない信号を含む。信号A’Dがブロッカーキャンセル信号C’と結合されると、送信帯域における望ましくない信号強度が低減される。次いで、信号A’C’DをRFからデジタルベースバンド信号に変換することができる(この処理により、送信帯域における望ましくない信号をさらに除去することができる)。次に、信号A’C’Dを送信ノイズ除去信号B’と結合することができ、これにより、信号中に残っている望ましくない信号が低減され(この望ましくない信号は、ダウンコンバートされる前は、受信帯域にあった)、その結果、干渉が低減された信号(A’B’C’D)が得られる。
【0018】
[0028]この実装例では、左側フィルタ110が送信帯域内(B上)の信号を除去するように機能し、右側フィルタ110がブロッカーキャンセル信号の生成によって付加されたノイズ(C’上)を除去するように機能するが、(例えば、トランシーバ1がRXモード、トランシーバ2がTXモードに)システム100が切り替えられた場合、これらの機能は反転することに注意されたい。これは、110をT2LO周波数を排除するように左側フィルタをチューニングし、T1LO周波数を排除するように右側フィルタ110をチューニングすることによって実現される。
【0019】
[0029]
図3Aに示すように、本発明の実施形態の第2の実装例では、システム100は、2つのチューナブルアナログフィルタ110、アナログブロッカーキャンセラ120、アナログTXノイズキャンセラ130、複数のカプラ160、およびスイッチ168を具える(スペースの制約により、スイッチ168は明示的に「168」と符号付けされていない)。図示のように、この実装例では任意で、デジタルTXノイズキャンセラ131、アンテナスルーマッチャ150、および/または補助キャンセラ170を具えてもよい。
【0020】
[0030]この実装例は、トランシーバステージへのアクセスが制限されている局面に有用であり得る(例えば、通信システムのフロントエンドに実装されるように設計されたシステム100用/アナログベースバンドおよび/またはデジタル信号へのアクセスが制限されているシステム100用)。この実装例では、システム100は、通信デバイスのRF入出力のみに結合されることに留意されたい。
【0021】
[0031]この実装例では、送信側はRFでサンプリングされ、複数の信号成分に分割される。これらのうちの最初のもの(符号Aを付す)が、フィルタ110によってフィルタリングされ(好ましくは、送信帯域内の信号(例えば、ブロッカー)を除去し;キャンセラ130のダイナミックレンジ要件を緩和する)、次に、当該成分がf2(現在の受信周波数)で動作する周波数ダウンコンバータ163を用いてベースバンドにダウンコンバートされ、次いで、TXノイズキャンセラ130を用いて、送信ノイズキャンセル信号に変換される。任意で、送信信号の送信帯域をサンプリングする第2のTXノイズキャンセラ130/131を用いてもよい(例えば、ダウンコンバージョンまたはキャンセル信号生成の結果として主送信ノイズキャンセル信号に存在する相互変調生成物を除去するため)。このキャンセラは、(システム100の実装例における他のすべてのキャンセラと同様に)デジタルまたはアナログのいずれかで実装されてもよい。キャンセラがデジタル領域で実装されるがアナログ信号を使用する場合、
図3Aに示すように、ADC164およびDAC165を使用することができる。送信ノイズキャンセラ信号はその後、f2(現在の受信周波数)に戻るようにアップコンバートされる。
【0022】
[0032]第2の成分(符号B)は、f1(現在の送信周波数)で動作する周波数ダウンコンバータ163によりベースバンドにダウンコンバートされる。この第2の成分は次に、アナログブロッカーキャンセラ120によりブロッカーキャンセル信号に変換された後、フィルタ110でフィルタリングされる(ブロッカーキャンセル信号の生成により発生した受信帯域の望ましくない周波数成分を除去するため)。第2のTXノイズキャンセラ130/131が存在する場合、前段落で説明したように、第2の成分もサンプリングされて、RX帯域における信号キャンセルを補助してもよい)。最後に、ブロッカーキャンセル信号が、f1(現在の送信周波数)でRFに戻される。
【0023】
[0033]第2の実装例のいくつかの変形例では、システム100は、RF(この場合、f1)で動作する補助キャンセラ170を追加的に具えてもよく、これをブロッカーキャンセル、送信ノイズキャンセル、および/または所望の他の信号キャンセルを補助するために用いることができる。例えば、RFで動作する単純な(すなわち、キャンセラ120/121および/または130/131よりも複雑さが少ない)補助キャンセラ170は、(補助キャンセラ170によって生じる小さな遅延のために)送受信間の短い遅延時間で干渉をキャンセルするのに有用であり得る。
【0024】
[0034]第2の実装例のいくつかの変形例では、システム100は、アンテナ間の結合を変更することによって受信アンテナに存在する干渉を低減するように機能するアンテナスルーマッチャ150をさらに含んでもよい(以下に詳述する)。
【0025】
[0035]本発明の実施形態の第3の実装例は、
図3Bに示すようなものである。この実装例は
図3Aの実装例と似ているが、システム100が、アナログベースバンドおよび/またはデジタル経路へのアクセスを有する通信装置に適した複数の入力や出力を具えている。この実装例では、例えば、送信機の電力増幅器を、送信アンテナ出力とシステム100との間の信号を能動的に分割するために使用することができる。さらに、いくつかの信号(例えば、TXノイズキャンセル信号)がベースバンドで結合され、同様に、他の信号(例えば、第2のTXノイズキャンセラ131の出力)がデジタル領域で受信信号と結合され、キャンセルを実現するようにしてもよい。
【0026】
[0036]システム100は、所与の通信システムでどのような入力や出力が利用できるかに応じて、これら2つの実装例の任意の組み合わせの形態をとることができることに留意されたい。
【0027】
[0037]上記実施例はマルチアンテナアーキテクチャを示しているが、システム100はまた、複数のトランシーバによるアンテナの使用を可能にするデュプレクサおよび/または他の回路を用いて実装されてもよいことを理解されたい。例えば、
図3Aの実装例と類似のシステム100の実装例は、
図4Aに示すように、5ポートのデュプレクサ(4つのバンドパスフィルタ110が実装されている)を用いて実装されてもよい。同様に、
図2Aと類似のシステム100の実施形態は、
図4Bに示すように、5ポートのデュプレクサ(4つのバンドパスフィルタ110が実装されている)を用いて実装されてもよい。
【0028】
[0038]フィルタ110、111は、信号内の望ましくない周波数成分の存在を除去または低減するように機能する。アナログフィルタ110はアナログ領域で実装され、デジタルフィルタ111はデジタル領域で実装される。各フィルタ110/111は、フィルタの応答に応じて信号成分を変換するように機能し、信号の大きさ、信号の位相、および/または信号の遅延に変化を導入することができる。
【0029】
[0039]フィルタ110/111は、好ましくはバンドパスフィルタであるが、任意のタイプのフィルタ(例えば、ノッチフィルタ、バンドストップフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ)であってもよい。フィルタ110/111は、好ましくはアナログ共振素子フィルタであるが、追加的または代替的に任意の種類のフィルタ(デジタルフィルタを含む)であってもよい。フィルタ110/111の共振素子は、好ましくは、集中素子で構成されるが、追加的または代替的に、分散素子共振器、セラミック共振器、SAW共振器、水晶共振器、キャビティ共振器、または任意の適当な共振器であってもよい。
【0030】
[0040]好ましくは、フィルタ110/111は、フィルタ110/111の1つ以上のピークをシフトできるように調整可能である。好ましい実施形態の一実装例では、フィルタ110/111の1以上の共振素子は、フィルタのピークをシフトできるようにする可変シャントキャパシタンス(例えば、バラクターまたはデジタルチューナブルキャパシタ)を含んでもよい。追加的または代替的に、フィルタ110/111はQ値で調整可能であってもよいし(すなわち、回路制御値を変更してQが変更される)、フィルタ110/111は調整可能でなくてもよい。
【0031】
[0041]フィルタ110/111は、共振素子に加えて、遅延素子、位相シフタ、および/またはスケーリング素子を含んでもよい。
【0032】
[0042]フィルタ110/111は好ましくはパッシブフィルタであるが、追加的または代替的にアクティブフィルタであってもよい。フィルタ110/111は、好ましくはアナログ回路部品(110)で実装されるが、追加的または代替的にデジタル実装(111)されてもよい。フィルタ110/111の任意の調整可能なピークの中心周波数は、好ましくは調整回路によって制御されるが、追加的または代替的に、任意の適切なシステム(例えば、機械的に調整されたコンデンサのような手動制御を含む)によって制御されてもよい。
【0033】
[0043]特に、フィルタ110/111は、関心のある周波数範囲内の挿入損失を低減するのに有用であり得る。フィルタ110/111は、ノイズおよび/または干渉キャンセルシステムから見たパワーを低減するのにも有用であり得る。(干渉および/またはノイズキャンセルのないシステムで使用されるフィルタとして)独立してノイズを抑制するのとは対照的に、干渉および/またはノイズキャンセルを向上するために使用され、より安価で、小さく、Q値が小さい、および/または排除能力が低いフィルタが使用されてもよいことに留意されたい。
【0034】
[0044]フィルタ110/111は、信号に時間遅延を付加するために追加的または代替的に使用することができる(フィルタ自体が信号に時間遅延を追加できるため)。
【0035】
[0045]ブロッカーキャンセラ120および121は、送信チャネル(受信チャネルに近いが、通常は受信チャネルと同一ではない)に送信信号が存在することに起因する、受信信号に存在する自己干渉を除去するように機能する。このような干渉は、RF信号が受信の一部としてデジタルに変換される場合に特に問題となる(なぜなら、送信信号は、異なる帯域にあるにも拘わらず、フィルタリング除去率が十分に高くないか、受信機が十分に大きなダイナミックレンジを有していない場合には、受信信号を圧倒し得るからである)。ブロッカーキャンセラ120/121は、自己干渉キャンセル技術を用いて信号の送信帯域に存在する干渉を緩和するように機能する。すなわち、第1の信号(典型的には送信信号)の信号サンプルを、当該第1の信号の送信に起因して他の信号(例えば、受信信号、増幅後の送信信号など)に存在する自己干渉の表現に変換し、次いで、その干渉キャンセル信号を他の信号から減算することによって、自己干渉キャンセル信号を生成する。
【0036】
[0046]好ましくは、ブロッカーキャンセラ120/121は、受信信号の送信帯域内に存在する干渉を打ち消すように使用され、すなわち、ブロッカーキャンセラ120/121は、受信機によって受信された送信帯域内の送信信号の表現をモデル化し、受信信号からそのキャンセル信号を減算する回路を使用して、送信信号のサンプルから干渉キャンセル信号を生成する。
【0037】
[0047]ブロッカーキャンセラ120/121は、送信信号サンプルの送信帯域(TxB)に存在する干渉を打ち消すために追加的に使用することができる。すなわち、ブロッカーキャンセラ120/121は、送信機によって生成された(一般的に、必ずではないがアンテナ送信の前に)送信帯域内の送信信号の表現をモデル化し、送信信号サンプルからそのキャンセル信号を減算する回路を用いて送信信号のサンプルから干渉キャンセル信号を生成する。このタイプの干渉キャンセルは、一般に、送信信号サンプルを「クリーン」にするために用いられ、すなわち、送信サンプルの送信帯域信号を除去して、サンプルが受信帯域のプライマリ情報を含むようにする(サンプルが受信帯域干渉キャンセルを実行するために利用できるようにする)。
【0038】
[0048]ブロッカーキャンセラは、アナログ(120)、デジタル(121)、またはそれらの組み合わせで実装することができる。アナログブロッカーキャンセラ120は、アナログ入力信号からアナログ干渉キャンセル信号を生成するように機能する。アナログブロッカーキャンセラ120は、任意の入力を使用して、任意の信号の干渉をキャンセルするために使用できるが、アナログブロッカーキャンセラ120は、好ましくは、アナログ受信信号の送信帯域干渉をキャンセルするために使用される。また、アナログブロッカーキャンセラ120は、送信信号サンプル中の送信帯域信号成分をキャンセルするために使用されてもよい(前述した送信信号クリーニングを実行するため)。
【0039】
[0049]アップコンバータ、ダウンコンバータ、ADC、およびDACを使用して、アナログブロッカーキャンセラ120は、デジタル信号をアナログ入力信号に変換することができ、さらに、干渉キャンセル信号をアナログからデジタルに(または異なる周波数の別のアナログ信号に)変換することができる。
【0040】
[0050]アナログブロッカーキャンセラ120は、好ましくは、単一の周波数帯域(例えば、ベースバンド)で動作するように設計されているが、追加的または代替的に複数の周波数帯域で動作するように設計されていてもよい。アナログブロッカーキャンセラ120は、好ましくは、米国特許出願第14/569,354号(その全体が参照により組み込まれる)のアナログ自己干渉キャンセラに関連する回路とほぼ同様に、例えば、RF自己干渉キャンセラ、IF自己干渉キャンセラ、関連するアップ/ダウンコンバータ、および/または同調回路を有するが、アナログブロッカーキャンセラ120は、(前述のように)必ずしも別の信号の送信に起因する受信信号における干渉のキャンセルにのみ適用されるとは限らない。
【0041】
[0051]アナログブロッカーキャンセラ120は、好ましくは、アナログ入力信号のフィルタリングされたバージョン、スケーリングされたバージョン、および/または遅延されたバージョンのセットを組み合わせることにより、アナログ入力信号をアナログ干渉キャンセル信号に変換するアナログ回路として実装されるが、追加的または代替的に、任意の適切な回路として実装されてもよい。例えば、アナログブロッカーキャンセラ120は、アナログ入力信号の単一バージョン、コピー、またはサンプルフォームのみを含む変換を実行してもよい。変換された信号(アナログ干渉キャンセル信号)は、好ましくは、別の信号における干渉成分の少なくとも一部を表す。
【0042】
[0052]アナログブロッカーキャンセラ120は、好ましくは、入力信号の変化に加えて、例えば、トランシーバの温度、周囲温度、アンテナ構成、湿度、および送信機の電力といった自己干渉パラメータの変化に適応可能である。アナログブロッカーキャンセラ120の適応化は、好ましくは同調回路によって実行されるが、追加的または代替的に、キャンセラに含まれる制御回路または他の制御機構、または任意の他の適切なコントローラ(例えば、デジタルブロッカーキャンセラ121の変換アダプタによって)によって実行されてもよい。
【0043】
[0053]好ましい実施形態の一実装例では、アナログブロッカーキャンセラ120は、
図5に示すように、一組のスケーラ(利得、減衰、または位相調整を行うことができる)、一組の遅延器、信号コンバイナ、信号ディバイダ、および同調回路を含む。この実装例では、アナログブロッカーキャンセラ120は、任意に、チューナブルフィルタ(例えば、調整可能な中心周波数を含むバンドパスフィルタ、調整可能なカットオフ周波数を有するローパスフィルタなど)を含むことができる。
【0044】
[0054]同調回路は、好ましくは、干渉キャンセルが実行された後の信号(すなわち、残留信号)からサンプリングされたフィードバック信号に基づいて、アナログブロッカーキャンセラ120の構成(例えば、フィルタ、スケーラ、遅延器、信号ディバイダ、および/または信号コンバイナのパラメータ)を適応させる。例えば、同調回路が、残留信号に存在する干渉を低減するために、アナログブロッカーキャンセラ120の構成を反復的に設定することができる。同調回路は、好ましくはオンライン勾配降下法(例えば、LMS、RLMS)を用いて構成パラメータを適応させるが、構成パラメータは、追加的または代替的に任意の適切なアルゴリズムを使用して適応させてもよい。構成パラメータの適応化は、追加的または代替的に、一連の構成間を交互に切り替えることを含んでもよい。アナログブロッカーキャンセラ120は、複数の同調回路および/または他の構成要素を共有してもよいことに留意されたい(ただし、各アナログブロッカーキャンセラ120は、固有の構成またはアーキテクチャに関連付けられていることが望ましい)。同調回路は、デジタル的におよび/またはアナログ回路として実装することができる。
【0045】
[0055]デジタルブロッカーキャンセラ111は、デジタル変換構成に従ってデジタル入力信号からデジタル干渉キャンセル信号を生成するように機能する。デジタルブロッカーキャンセラ111は、任意の入力を用いて、任意の信号の干渉をキャンセルするために用いることができるが、好ましくは、デジタルブロッカーキャンセラ111は、アナログ受信信号における送信帯域の干渉をキャンセルするために用いられる(デジタル干渉キャンセル信号をDACを用いてアナログに変換し、これをアナログ受信信号と結合することにより)。また、デジタルブロッカーキャンセラ111は、送信信号の送信帯域信号成分を打ち消すために使用することができる(前述したように送信信号のクリーニングを行うため)。
【0046】
[0056]アップコンバータ、ダウンコンバータ、ADC、およびDACを使用して、デジタルブロッカーキャンセラ111は、任意の周波数のアナログ信号をデジタル入力信号に変換することができ、さらに、干渉キャンセル信号をデジタルから任意の周波数のアナログ信号に変換することができる。
【0047】
[0057]デジタルブロッカーキャンセラ111のデジタル変換構成は、デジタルブロッカーキャンセラ111がデジタル送信信号をデジタル干渉信号に変換する方法(例えば、送信信号を干渉キャンセル信号に変換するために使用される一般化メモリ多項式の係数)を指示する設定を含む。デジタルブロッカーキャンセラ111用の変換構成は、好ましくは変換アダプタによって適応的に設定されるが、システム100の任意の構成要素(例えば、同調回路)によって追加的または代替的に設定されてもよいし、設定された変換構成に固定されてもよい。
【0048】
[0058]デジタルブロッカーキャンセラ111は、好ましくは、(上述のように)デジタルブロッカーキャンセラ111が必ずしも別の信号の送信に起因する受信信号の干渉のキャンセルのみに適用されるわけではないという点を除いて、その全体が参照により組み込まれる米国仮出願第62/268,388号のデジタル自己干渉キャンセラと実質的に同じである。
【0049】
[0059]好ましい実施形態の一実装例では、デジタルブロッカーキャンセラ111は、
図6に示すように、成分生成システム、マルチレートフィルタ、および変換アダプタを具える。
【0050】
[0060]成分生成システムは、干渉キャンセル信号を生成するためにマルチレートフィルタによって使用され得るサンプリングされた入力信号(または複数の入力信号)から信号成分のセットを生成するように機能する。成分生成システムは、好ましくは、特定の数学モデル(例えば、一般化メモリ多項式(GMP)モデル、ボルテラモデル、およびウィーナー・ハンマースタインモデル)で使用することを意図した信号成分のセットを生成する。追加的または代替的に、成分生成システムは、複数の数学モデルで使用可能な信号成分のセットを生成してもよい。
【0051】
[0061]いくつかのケースでは、成分生成システムは、サンプリングされた送信信号のコピーを変更せずに単に通してもよい。これは、機能的には、その特定経路には成分生成システムが明示的に含まれていないことと同等と考えることができる。
【0052】
[0062]マルチレート適応フィルタは、成分生成システムによって生成された信号成分から干渉キャンセル信号を生成するように機能する。いくつかの実施形態では、マルチレート適応フィルタはさらに、サンプリングレート変換(アップコンバータ1030またはダウンコンバータ1040と同様であるが、デジタル信号に適用される)を実行するように機能してもよい。マルチレート適応フィルタは、好ましくは、送信機、受信機、チャネルおよび/または他のソースの干渉の寄与をモデル化するように適合された数学モデルに従って、信号成分の加重和を組み合わせることで干渉キャンセル信号を生成する。マルチレート適応フィルタに利用可能な数学モデルの例としては、一般化メモリ多項式(GMP)モデル、ボルテラモデル、およびウィーナーハンマースタインモデルが挙げられ、マルチレート適応フィルタは、追加的または代替的に、モデルの任意の組み合わせまたはセットを使用してもよい。
【0053】
[0063]変換アダプタは、マルチレート適応フィルタおよび/または成分生成システムの変換構成を設定するように機能する。変形構成は、好ましくは、マルチレート適応フィルタで用いられるモデル(複数可)の種類と、これらのモデルに関連する構成の詳細とを含む(個々のモデルは、モデルの種類と特定の構成の詳細のセットとを対にしたものである)。例えば、ある変換設定では、マルチレート適応フィルタが特定の係数セットを持つGMPモデルを用いるように設定され得る。モデルタイプが静的である場合、変換構成は、単にモデル構成の詳細を含んでもよく、例えば、モデルが常にGMPモデルである場合、変換構成は、モデルの係数のみを含み、モデルタイプを指定するデータを含んでいなくてもよい。
【0054】
[0064]変換構成は、信号成分生成システムおよび/またはマルチレート適応フィルタに関連する他の構成詳細を追加的または代替的に含んでもよい。例えば、信号成分生成システムが複数の変換パスを含む場合、変換アダプタは、これらの変換パスの数、それらのそれぞれの成分生成システムが対応するモデル順序、使用されるフィルタリングの種類、および/または他の適切な詳細を設定してもよい。一般に、変換構成は、信号成分生成システムおよび/またはマルチレート適応フィルタの計算または構造に関連する任意の詳細を含み得る。
【0055】
[0065]好ましくは、変換アダプタは、干渉キャンセル後の信号(すなわち、残留信号)からサンプリングされたフィードバック信号に基づいて変換構成を設定する。例えば、変換アダプタは、残留信号に存在する干渉を低減するために、変換構成を反復的に設定してもよい。変換アダプタは、分析法、オンライン勾配降下法(例えば、LMS、RLMS)、および/または任意の他の適切な方法を使用して、変換構成および/または変換構成生成アルゴリズムを適応させることができる。好ましくは、変換構成を適応させることは、学習に基づいて変換構成を変更することを含む。ニューラルネットワークモデルの場合、これは、テスト入力に基づいてニューラルネットワークの構造および/または重みを変更することを含み得る。GMP多項式モデルの場合、これは、勾配降下法に従ってGMP多項式係数を最適化することを含み得る。
【0056】
[0066]デジタルブロッカーキャンセラ111は、変換アダプタおよび/または他の構成要素を共有してもよいことに留意されたい(ただし、各デジタルブロッカーキャンセラ111は、独自の変換構成に関連付けられていることが望ましい)。
【0057】
[0067]送信ノイズキャンセラ130、131は、受信チャネル内の送信信号の存在に起因する(例えば、送信信号の電力増幅によって受信チャネル内に生成されたノイズに起因する)受信信号内(受信チャネル内)に存在する自己干渉を除去するように機能する。送信ノイズキャンセラ130/131は、自己干渉キャンセル技術を用いて信号の受信帯域に存在する干渉を緩和するように機能する。すなわち、第1の信号(典型的には送信信号)の信号サンプルを、第1の信号の送信に起因する他の信号(例えば、受信信号、増幅後の送信信号など)に存在する自己干渉の表現に変換することによって自己干渉キャンセル信号を生成し、その後、その干渉キャンセル信号を他の信号から減算することによって、自己干渉キャンセル信号を生成する。
【0058】
[0068]好ましくは、送信ノイズキャンセラ130/131が、受信信号の受信帯域内に存在する干渉をキャンセルするために使用され、すなわち、送信ノイズキャンセラ130/131は、受信機で受信された受信帯域内の送信信号の表現をモデル化し、そのキャンセル信号を受信信号から減算する回路を使用して、送信信号の受信帯域成分のサンプルから干渉キャンセル信号を生成する。
【0059】
[0069]アナログ送信ノイズキャンセラ130は、好ましくは、アナログブロッカーキャンセラ120とほぼ同様の構造であるが、追加的または代替的に、任意の適切なアナログ干渉キャンセラであってもよい。
【0060】
[0070]デジタル送信ノイズキャンセラ131は、好ましくは、デジタルブロッカーキャンセラ121とほぼ同様の構造であるが、追加的または代替的に、任意の適切なデジタル干渉キャンセラであってもよい。
【0061】
[0071]局部発振器交換器140は、信号のダウンコンバージョン/アップコンバージョンタスクを実行するために局部発振器を再利用できるように機能する(この再利用は、信号の複雑さを減少させるだけでなく、送受信信号の位相ノイズを減少させる)。局部発振器交換器140は、好ましくは、(例えば、
図2Aに示すように)1つのトランシーバからの局部発振器を別のトランシーバの信号経路に結合可能にするスイッチおよび信号経路を含む。
図2Aに示すように、トランシーバ1(T1)のLOは、送信信号をRF(@f1)にアップコンバートするためと、(トランシーバ2(T2)の送信チェーンを使用して@f1で)ブロッカーキャンセル信号をアップコンバートするための両方に使用され、T2のLOは、受信信号をベースバンド(@f2)にダウンコンバートするためと、TXノイズキャンセル信号の生成に用いられた送信信号サンプルをベースバンド(@f2)にダウンコンバートするための両方に使用される。
【0062】
[0072]局部発振器交換器140は、任意の方法で局部発振器の再利用または他の共有を達成してもよい。
【0063】
[0073]
図7に示すように、アンテナスルーマッチャ150は、送信信号に起因して受信アンテナに存在する干渉量を減少させるために、アンテナ間の結合を変更するように機能する。アンテナスルーマッチャ150は、好ましくは、調整可能なアナログ回路コンポーネント(例えば、調整可能なインダクタ/コンデンサ/抵抗器)を具えるが、追加的または代替的に、任意のアナログおよび/またはデジタル回路コンポーネントを具えてもよい。
【0064】
[0074]特に、アンテナスルーマッチャ150は、送信電力を最大化せず/(アンテナマッチングネットワークにおいて典型的な)送信アンテナでの反射を避けるように調整することができるが、代わりに、送信アンテナで送信された信号の受信アンテナへの結合を低減するように調整されてもよいことに留意すべきである。
【0065】
[0075]アンテナスルーマッチャ150は、好ましくは、通信環境(例えば、特定の反射源や信号経路を有する特定の場所の特定のアンテナ)に基づいて調整されるが、追加的または代替的に、システム100の設定時/作動時に調整されなくてもよいし、任意の方法で調整されてもよい。
【0066】
[0076]信号カプラ160は、アナログ信号を分割および/または結合するように機能する。必ずしも図示されていないが、信号カプラは、好ましくは2以上のアナログ信号の各合流部(例えば、分割、結合)に用いられるが、代替的に、アナログ信号は、任意の方法で結合、結合、または分割されてもよい。特に、信号カプラ160は、送信信号のサンプルを提供するために使用されてもよいし、干渉キャンセル信号を他の信号(例えば、送信信号または受信信号)と結合するために使用されてもよい。あるいは、信号カプラ160は、任意の目的のために使用されてもよい。信号カプラ160は、電力量を変化させて信号を結合および/または分割することができる。例えば、信号をサンプリングすることを意図した信号カプラ160は、入力ポート、出力ポート、およびサンプルポートを有し、このカプラ160は、入力ポートから出力ポートに電力の大部分をルーティングし、少量をサンプルポートに行くようにすることができる(例えば、出力ポートとサンプルポートの間で99.9%/0.1%の電力分割、または任意の他の適切な分割)。
【0067】
[0077]信号カプラ160は、好ましくは、短区間方向性伝送線路カプラであるが、追加的または代替的に、任意の電力ディバイダ、電力コンバイナ、方向性カプラ、または他のタイプの信号スプリッタであってもよい。信号カプラ130は、好ましくはパッシブカプラであるが、追加的または代替的にアクティブカプラであってもよい(例えば、電力増幅器を含む)。例えば、信号カプラ160は、結合伝送線路カプラ、分岐線路カプラ、ランゲカプラ、ウィルキンソン電力ディバイダ、ハイブリッドカプラ、ハイブリッドリングカプラ、多重出力ディバイダ、導波管指向性カプラ、導波管電力カプラ、ハイブリッドトランスカプラ、クロスコネクテッドトランスカプラ、抵抗性ティー、および/または抵抗性ブリッジハイブリッドカプラを含み得る。信号カプラ160の出力ポートは、好ましくは90度位相シフトされているが、追加的または代替的に、異なる量の位相または位相シフト量であってもよい。
【0068】
[0078]増幅器161は、システム100の信号を増幅するように機能する。増幅器は、任意のアナログまたはデジタルの増幅器を含み得る。増幅器161のいくつかの例は、受信信号を増幅するのに典型的に利用される低ノイズ増幅器(LNA)や、送信前に送信信号を増幅するのに典型的に利用される電力増幅器(PA)を含む。
【0069】
[0079]周波数アップコンバータ162は、アナログ信号の搬送波周波数をアップコンバートするように機能する(典型的にはベースバンドからRFへだが、代わりに任意の周波数から他の任意のより高い周波数へ)。アップコンバータ162は、好ましくは、ヘテロダイン法を用いて信号のアップコンバージョンを達成するが、追加的または代替的に、任意の適切なアップコンバージョン法を用いてもよい。
【0070】
[0080]アップコンバータ162は、好ましくは、局部発振器(LO)、ミキサ、およびバンドパスフィルタを具える。局部発振器は周波数シフト信号をミキサに提供するように機能し、ミキサは周波数シフト信号と入力信号とを結合して(通常は2つ、代替例では任意の数の)周波数シフト信号を生成し、そのうちの1つは所望の出力信号であり、バンドパスフィルタは所望の出力信号以外の信号を排除する。代替的に、アップコンバータ162は、フィルタを具えなくてもよい(例えば、フィルタリングが他の場所で行われるか必要でない場合)。
【0071】
[0081]局所発振器は、好ましくはデジタル水晶可変周波数発振器(VFO)であるが、追加的または代替的にアナログVFOや他の適切なタイプの発振器であってもよい。局所発振器は、好ましくは調整可能な発振周波数を有するが、追加的または代替的に、静的な発振周波数を有してもよい。
【0072】
[0082]ミキサは、好ましくはアクティブミキサであるが、追加的または代替的にパッシブミキサであってもよい。ミキサは、ディスクリート部品、アナログ集積回路(IC)、デジタルIC、および/または任意の他の適切な部品を含み得る。ミキサは、好ましくは、2以上の電気的入力信号を1以上の複合出力に結合するように機能し、ここで各出力は少なくとも2つの入力信号の何らかの特性を含む。
【0073】
[0083]好ましくは、(アップコンバータの)バンドパスフィルタは、調整可能な無線周波数を中心とする同調可能なバンドパスフィルタである。追加的または代替的に、バンドパスフィルタは、設定された無線周波数を中心とするバンドパスフィルタであってもよく、または他の任意の適切なタイプのフィルタであってもよい。バンドパスフィルタは、好ましくはパッシブフィルタであるが、追加的または代替的にアクティブフィルタであってもよい。バンドパスフィルタは、好ましくはアナログ回路部品で実装されるが、追加的または代替的にデジタルで実装されてもよい。
【0074】
[0084]バンドパスフィルタが調整可能である変形例では、各チューナブルフィルタの中心周波数は、好ましくは制御回路または同調回路によって制御されるが、追加的または代替的に、任意の適切なシステム(例えば、機械的にチューニングされたコンデンサのように手動制御を含む)によって制御されてもよい。各チューナブルバンドパスフィルタは、好ましくは、設定されたQ値を有するが、追加的または代替的に可変のQ値を有してもよい。チューナブルバンドパスフィルタは、異なるQ値を有してもよく、例えば、チューナブルフィルタのいくつかは高いQ値で、いくつかは低いQ値であってもよく、いくつかはQ値が無(フラット応答)でもよい。
【0075】
[0085]周波数ダウンコンバータ163は、アナログ信号のキャリア周波数を(典型的にはベースバンドにだが、代替例ではキャリア周波数よりも低い任意の周波数に)ダウンコンバートするように機能する。ダウンコンバータ163は、好ましくは、ヘテロダイン法を用いて信号のダウンコンバートを達成するが、追加的または代替的に、任意の適切なダウンコンバート法を用いてもよい。
【0076】
[0086]ダウンコンバータ163は、好ましくは、局部発振器(LO)、ミキサ、およびベースバンドフィルタを具える。代替的に、ダウンコンバータ163は、フィルタを有さなくてもよい(例えば、フィルタリングが他の場所で実行されるか必要でない場合)。局部発振器は、周波数シフト信号をミキサに提供するように機能し、ミキサは、周波数シフト信号と入力信号を結合して(通常は2つの)周波数シフトされた信号を生成し、そのうちの1つが所望の信号であり、ベースバンドフィルタは、所望の信号以外の信号を排除する。
【0077】
[0087]局所発振器は、好ましくはデジタル水晶可変周波数発振器(VFO)であるが、追加的または代替的にアナログVFOまたは他の適切なタイプの発振器であってもよい。局所発振器は、好ましくは、調整可能な発振周波数を有するが、追加的または代替的に、静的な発振周波数を有してもよい。
【0078】
[0088]ミキサは、好ましくはアクティブミキサであるが、追加的または代替的にパッシブミキサであってもよい。ミキサは、個別要素、アナログIC、デジタルIC、および/または他の任意の適切な構成要素を具え得る。ミキサは、好ましくは、2以上の電気的入力信号を1以上の複合出力に結合するように機能し、各出力は、少なくとも2つの入力信号の何らかの特性を含む。
【0079】
[0089]ベースバンドフィルタは、好ましくは、調整可能なローパス周波数を有するローパスフィルタである。追加的または代替的に、ベースバンドフィルタは、設定されたローパス周波数を有するローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、または他の適切なタイプのフィルタであってもよい。ベースバンドフィルタは、好ましくはパッシブフィルタであるが、追加的または代替的にアクティブフィルタであってもよい。ベースバンドフィルタは、好ましくはアナログ回路部品で実装されるが、追加的または代替的にデジタルで実装されてもよい。
【0080】
[0090]なお、周波数アップコンバータ162のバンドパスフィルタや周波数ダウンコンバータ163のベースバンドフィルタは、フィルタ110(または111)の特定の実施例である。
【0081】
[0091]アナログ/デジタル変換器(ADC)164は、アナログ信号を(典型的にはベースバンドであるが、追加的または代替的に任意の周波数で)デジタル信号に変換するように機能する。ADC164は任意の適切なアナログ/デジタル変換器であってよく、例えば、直接変換ADC、フラッシュADC、逐次近似ADC、ランプ比較ADC、ウィルキンソンADC、積分ADC、デルタ符号化ADC、時間インターリーブADC、または任意の他の適切なタイプのADCである。
【0082】
[0092]デジタル/アナログ変換器(DAC)165は、デジタル信号をアナログ信号に(典型的にはベースバンドであるが、追加的または代替的に任意の周波数で)変換するように機能する。DAC165は、任意の適切なデジタル/アナログ変換器であってよく、例えば、パルス幅変調器、オーバーサンプリングDAC、二値化DAC、R-2RラダーDAC、サイクリックDAC、温度計符号化DAC、またはハイブリッドDACなどである。
【0083】
[0093]時間遅延器166は、信号成分を遅延させるように機能する。遅延器166は、アナログ(例えば、時間遅延回路として)またはデジタル(例えば、時間遅延関数として)で実装することができる。遅延器166は、固定的であってもよいが、追加的または代替的に可変遅延を導入してもよい。遅延器166は、好ましくは、アナログ遅延回路(例えば、バケットブリゲード装置、長い伝送線路、一連のRCネットワーク)として実装されるが、追加的または代替的に任意の他の適切な方法で実装されてもよい。遅延器166が可変遅延である場合、導入される遅延は、システム100の同調回路または他のコントローラによって設定することができる。必ずしも明示的に図示されていないが、遅延器166は、ある信号を別の信号に対して相対的に遅延させるための様々な態様でシステム100に結合することができる。例えば、遅延器166は、干渉キャンセル信号を生成するのにかかる時間を考慮して(2つの信号が相対的に同じタイミングで結合されるように)受信信号または送信信号を遅延させるために使用することができる。遅延器166は、システム100の任意の2つの構成要素の一部として、またはその間に潜在的に実装することができる。
【0084】
[0094]補助キャンセラ170は、ブロッカーキャンセラ120/121および送信ノイズキャンセラ130/131に加えて、キャンセル除去を補助するように機能する。例えば、RFにおける単純な(例えば、シングルタップの)補助キャンセラ170が、ベースバンドキャンセラ130/120を補完してもよい(
図3Aに示すように)。補助キャンセラ170は、アナログ(この場合、好ましくはアナログブロッカーキャンセラ120と構造的に類似する)またはデジタル(この場合、好ましくはデジタルブロッカーキャンセラ121と構造的に類似する)のいずれかであり得る。補助キャンセラは、追加的または代替的に、任意の適切な干渉キャンセラまたはノイズキャンセラであってよい。
【0085】
[0095]当業者は、上記の詳細な説明から、および図や特許請求の範囲から認識するように、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に修正および変更を加えることができる。