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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】媒体濾過装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20221014BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C12M1/00 C
B01D23/02 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020566875
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2019053324
(87)【国際公開番号】W WO2019158480
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】102018103634.5
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507266912
【氏名又は名称】ザトーリウス ステディム ビオテーク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】フランツ,カール
(72)【発明者】
【氏名】リンネ,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】グラウス,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュラック,ステファン
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011016767(DE,A1)
【文献】米国特許第04113627(US,A)
【文献】独国特許出願公開第04219966(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒(30)のための流入部(3)を有し、溶液(31)のための流出部(4)を有する、既に構成された調製容器(2)を有する媒体濾過装置(1)であって、溶解される媒体(29)を有する調製チャンバー(5)が、流入部(3)と流出部(4)との間に配置され、調製容器(2)はフィルター(22)を有し、流入部(3)に接続された少なくとも1つの固定された混合アーム(6、7)は、少なくとも1つの混合ノズル(19、20)で突出し、これは、少なくとも1つの混合アームの自由端(17、18)に配置され、調製チャンバー(5)で溶解される媒体(29)に向けて、指向性溶剤ジェットを生成するのに役立ち、調製容器(2)は、その間に調製チャンバー(5)が配置される基部(10)およびカバー部(8)を有し、
フィルター(22)は、無菌フィルターの形態であり、
フィルター(22)は、流出部(4)に面するその濾液側に、包囲外側境界(23)を有し、それにより、前記フィルターは、基部(10)の包囲支持境界(37)に支えられ、それに固定して接続され、
フィルター(22)の濾液側(38)と、基部(10)に配置された流出部(4)との間に、滅菌された濾液空間(39)が形成され、
混合ノズル(19、20)が調製チャンバー(5)に配置されており、溶解される媒体(29)をフィルター(22)上の循環流移動させる指向性溶媒ジェットを生成することを特徴とする、
前記媒体濾過装置(1)。
【請求項2】
溶媒(30)によって溶解することができない撹拌顆粒(32)が調製チャンバー(5)内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項3】
基部(10)は、流出部(4)に導通し、フィルター(22)の濾液側に向かって開いているチャネルシステム(21)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項4】
調製容器(2)が通気装置(24)を有し、その少なくとも1つの通気開口部(25)が疎水性フィルター(27)によって覆われていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項5】
流入部(3)が調製容器(2)のカバー部(8)上に配置され、
カバー部(8)は、少なくとも1つの通気開口部(25)が、調製チャンバー(5)に面する内面上の疎水性フィルター(27)によって覆われているカバー部(8)の通気装置(24)を有することを特徴とする、請求項4に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項6】
カバー部(8)が開チャネルシステム(28)を有し、それを介して調製チャンバー(5)から排出される空気が疎水性フィルター(27)に導かれることを特徴とする、請求項5に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項7】
フィルター(22)が多層構造であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項8】
フィルター(22)がフィルター不織布の1以上のプライを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項9】
流入部(3)に接続され、自由端(17、18)に少なくとも1つの混合ノズル(19、20)が配置されている2つの混合アーム(6、7)が、調製チャンバー(5)に配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項10】
混合ノズル(19)または混合ノズル(19、20)が、調製容器(2)の長手方向軸(11)に対して偏心して配置されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項11】
流入部(3)が調製容器(2)の長手方向軸(11)に対して中央で調製チャンバー(5)内に突出し、混合アーム(6、7)に移行し、混合アームの軸(13、14)とともに、それぞれ縦軸(11)に対して15°から90°の広がり角(15、16)で広がることを特徴とする、請求項9または10に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項12】
混合アーム(6、7)は、混合ノズル(19、20)が直角に、かつ反対の噴霧方向に向けられる垂直面に広がることを特徴とする、請求項11に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項13】
溶解される媒体(29)が粉末または顆粒であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の媒体濾過装置(1)。
【請求項14】
媒体濾過装置(1)の流入部(3)が貯蔵容器(33)に接続され、そこから溶媒(30)が制御ユニット(35)によって制御される調製弁(34)を介して調製容器(2)に供給され、媒体濾過装置(1)の流出部(4)は、濾過された溶液(31)が供給される受容容器(36)に接続されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の媒体濾過装置(1)を使用する媒体濾過方法。
【請求項15】
調製容器(2)の事前構成のために、以下のステップ:
a)カバー部(8)と基部(10)に滅菌された濾液空間(39)を提供するステップ、
b)溶解される媒体(29)を調製チャンバー(5)に導入するステップ、
c)カバー部(8)と基部(10)を結合するステップ、
が実行されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップb)において、溶媒(30)によって溶解することができない撹拌顆粒(32)がさらに導入されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒のための流入部を有し、溶液のための流出部を有する、既に構成された調製容器を有する媒体濾過装置に関し、溶解される媒体を有する調製チャンバーが、流入部と流出部との間に配置され、調製容器はフィルターを有し、流入部に接続された少なくとも1つの混合アームは、少なくとも1つの混合ノズルで突出し、これは、少なくとも1つの混合アームの自由端に配置され、調整チャンバーで溶解される媒体に向けて、指向性溶剤ジェットを生成するのに役立ち、調製容器は、その間に調製チャンバーが配置される基部およびカバー部を有する。
本発明はまた、そのような媒体濾過装置を使用する媒体濾過の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬およびバイオ医薬品セクター、特に前臨床または臨床セクター、さらに研究開発では、少量の緩衝液と培地を準備する必要があることがよくある。緩衝液と培地は、多くの場合、あらかじめ決められた処方に従ってすでに作成されており、専門家による注意深く比較的時間がかかる処理が必要である。ここで特に重要なのは、最終消費者が必要とする容量、濃度、成分、または媒体に合わせた物質混合物の調製である。液体、すなわち溶媒が必要な場合にのみ供給される場合、貯蔵容器は容積が比較的小さくてよく、したがって、輸送および貯蔵をより容易にすることができる。さらに、一般に、乾燥貯蔵のために、冷却が必要とされないので、貯蔵および輸送がさらに促進される。
【0003】
EP2236437B1は、溶媒用の流入部を有し、溶液用の流出部を有する、既に構成された調製容器を有する媒体濾過装置を開示している。この場合、溶解される媒体を備えた調製チャンバーが、流入部と流出部の間に配置され、調製容器はフィルターを有する。流入部に接続された混合アームは、前記混合アームの自由端に配置された混合ノズルと共に、調製チャンバー内に突出する。
【0004】
既知の媒体濾過装置の欠点は、抗菌フィルターであり得るフィルターによって細分されるプレチャンバーが、流入部と調製チャンバーとの間に配置されることである。第1に、これは比較的複雑であり、したがってコストがかかり、第2に、フィルターは、流入部ではなく流出部に隣接して配置される。これは、流出部の上流に配置されている濾液チャンバーの無菌性が提供されていないため、特に製薬および生物医薬品の分野では不利である。
【0005】
さらに、欧州特許第2244743B1号は、挿入可能カニューレを介して溶媒の流入部を実現することができる流入部側を有し、溶液の流出部を有する、既に構成された調製容器を有する媒体濾過装置を開示している。ここでも、溶解される媒体を備えた調製チャンバーが流入部と流出部の間に配置されている。その結果、溶媒は、調製チャンバーに挿入されたカニューレを介して供給される。調製チャンバーは、流出部に向かってフィルターを有し、フィルターは、好ましくは出口側から間隔を置いて配置される。
【0006】
ここでの欠点は、この食品用カプセル構造が細胞培地の使用に採用できないことである。細胞培地では、培地が無菌状態で提供されることが特に重要である。しかしながら、細胞培地の滅菌は、滅菌プロセス中にこれらが破壊されるか、少なくとも損傷を受ける、すなわち、ユニット全体を滅菌することができないため、通常は不可能である。
【0007】
飲料を製造するためのカプセルは、WO2017/050745A1から知られている。飲料カプセルは、キャビティを形成し、液体をカプセルのキャビティに注入することができるカバーによって閉じられているカップ形状の本体を含む。分離壁は、飲料カプセルの内部を、カバーの下に配置される比較的小さなプレチャンバーと、その下に配置され、飲料成分の個々の部分量が配置される比較的大きなメインチャンバーとに分割する。
分離壁には、メインチャンバーに突出するチャネルがあり、このようにして2つのチャンバーを相互に接続し、プレチャンバーからメインチャンバーへの注入された液体の貫流を可能にする。
【0008】
US3592245Aは、無菌条件下で容器内の少なくとも2つの成分から医薬溶液を製造するための医薬容器を開示している。薬剤溶液の1つの成分が瓶のような容器に入れられた。容器は、内側に空洞を有し、容器に選択的に突出する、または他の方向、すなわち容器から離れる方向に面する中空の穿孔装置が隣接するクロージャーを備える。フィルターは、クロージャーの空洞と穿孔装置の空洞との間に配置される。
【0009】
米国特許第4475914Aは、かなり低い溶解度の固体成分および中空の穿孔装置に接続された液体から医薬溶液を製造するための医薬容器を開示している。穿孔装置は2つのチャネルを含み、それらは任意に、無菌フィルターを備えたバルブを介して排出することができる。
【0010】
US2003/0029763A1は、無菌の使い捨てシリンジフィルター用のパッケージを開示しており、これにより、シリンジをフィルターパッケージを開ける目的で下に置く必要なしに、シリンジフィルターをシリンジに接続できる。その場合、フィルターパッケージには、シリンジ用のフィルターの接続部が配置される貫通点がある。さらに、フィルターパッケージには、事前に形成された引き裂き線が付いており、それに沿ってパッケージを引き裂いて開けることができる。
【0011】
DE102011112291A1は、液体サンプルの濾過のための装置を開示しており、これは、液体サンプルを受け入れるための加圧可能なサンプル容器と、サンプル容器の接続部に接続することができるフィルターを含むフィルターアタッチメントとを有する。サンプル容器には、プレコート濾過に適した濾過助剤が入っている。さらに、フィルターアタッチメントは、そのフィルターの上流に配置され、形成されているフィルターケーキを受けるために役立つデッドスペースを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、既知の媒体濾過装置、例えば細胞培地は、滅菌することができず、つまり、滅菌プロセス中に破壊されるか、少なくとも損傷を受けるというような既知の媒体濾過装置を改善して、媒体濾過装置の安価な設計のために、たとえ溶解される媒体であっても、濾液空間における濾液の無菌性を確保できるようにすることである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、このように改善された媒体濾過装置を使用する媒体濾過の方法を特定することであり、これにより、溶解される培地、例えば細胞培地は滅菌することができなくても、つまり、滅菌プロセス中に破壊されるか、少なくとも損傷を受けても、濾液空間における濾液の無菌性は確保するる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
媒体濾過装置に関する目的は、請求項1の前文の特徴と併せて達成され、フィルターは無菌フィルターの形であり、フィルターはその濾液側に、流出部に面し、包囲する外側の境界を有し、これにより、前記フィルターは、ベース部分の包囲する支持境界に支えられ、 それにしっかりと接続されており、フィルターの濾液側と、ベース部分に配置された流出との間に、滅菌された濾液空間が形成される。
【0015】
流入部に接続された混合アーム、および前記混合アームの自由端に配置された、調製チャンバー内の混合ノズルは、溶解される媒体が溶媒と混合されることを可能にする。混合アームは、供給に接続された供給チャネルを備えた固定供給を意味すると理解されるべきであり、その自由端は調製チャンバーで終わり、混合ノズルを有し、それを介して指向性溶媒ジェットを調製チャンバーに供給することができる。無菌フィルターとしてのフィルターの設計は、濾過された溶液が無菌であることを保証する。フィルターの濾液側の包囲外側境界は、フィルターを基部の包囲支持境界に固定的に接続することにより、フィルターと濾液スペースを備えた基部の別々の滅菌を可能にする。図に示されているように、濾液空間の無菌性を確保するために、これは外部に対して密封されなければならない、すなわち開いていないことは、当業者には明らかである。これは、例えば、カバー、接続された無菌コネクタまたはシール(剥離膜/フィルム)を介して実現されてもよい。
【0016】
したがって、それにもかかわらず、培地の滅菌を不要にし、溶液、すなわち濾液の滅菌を確実にすることが可能である。溶解される媒体は、フィルターの非濾液側の調製チャンバーに配置される。無菌フィルターとしてのフィルターの設計により、溶解した濾過媒体の溶液の無菌性を比較的単純で安価な方法で確保することができる。本発明による媒体濾過装置を用いて、特にこの分野で特に重要である物質の望ましくない漏出に対する無菌性および安全性に関するバイオプロセス技術の高い要件を満たすことができる。
【0017】
好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明の好ましい実施形態によれば、溶媒によって溶解することができない撹拌顆粒は、調製チャンバー内に配置される。
溶媒で溶解できない調製チャンバーに配置された撹拌顆粒により、混合ノズルを出た溶媒は、溶解される媒体と共に渦を巻き、フィルターの詰まりが確実に防止される。媒体が供給された溶媒に溶解し、流出部を介して濾過された溶液として排出される間、撹拌顆粒は調製チャンバーに残る。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、混合ノズルは、溶解される媒体をフィルター上の循環流に移動させる指向性溶媒ジェットを生成するように、調製チャンバーに配置される。ここで、乱流は、迅速かつ完全な混合をもたらし、溶解時間を短縮する。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、基部は、流出部に導通し、フィルターの濾液側に向かって開いているチャネルシステムを有する。
【0019】
フィルターの濾液側に向かって開いていて流出部に通じているチャネルシステムを介して、濾液はフィルター表面全体にわたって比較的均一に排出され、その結果、それに応じて使用することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、調製容器は、少なくとも1つの通気開口部が疎水性フィルターによって覆われている通気装置を有する。
【0020】
生成される溶液の正確な濃度を生成するために、正確な量の乾燥培地の提供だけでなく、正確な体積投与も維持することが特に重要である。通気装置は、媒体濾過ユニットの下流に配置された投与またはバルブ装置を回避し、それにより、媒体濾過装置への溶媒の添加による圧縮空気クッションの形成を回避する技術的に簡素化された解決策を達成し、溶媒の供給が停止した後、空気クッションが後続のフロー、したがって不適切な液体投与につながることを確実に除外できる。さらに、疎水性フィルターは、溶媒または再構成された媒体が通気装置を介して漏れることも確実に防止する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、流入部は、調製容器のカバー部に配置される。また、カバー部は、上述の通気装置を有することができ、それを介して、溶媒によって置換された空気を逃がすことができる。ここで、通気装置は、少なくとも1つの通気開口部を有し、これは、調製チャンバーに面する、カバー部の内面で疎水性フィルターによって覆われている。
好ましい実施形態によれば、カバー部は開チャネルシステムを有し、それを介して、調製チャンバーから排出される空気が疎水性フィルターに導かれる。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、無菌フィルターの形態のフィルターは、多層形態である。ここで、好ましくは、フィルターの少なくとも1つの層は多孔質膜である。あるいは、多層不織布を使用することも可能である。フィルタリング特性を有する、当業者に知られている他の層も考えられる。
【0023】
無菌フィルターは、0.1~8μmの範囲の平均孔径を持っていることが好ましい。平均孔径は、例えば、平均孔径を決定するための以下の方法によって決定される。
キャピラリーフローポロシメトリーが使用される。キャピラリーフローポロシメトリーは、ガス/液体ポロシメトリーである。この方法では、最初に湿った状態で、次にドライステートで、膜サンプルを通る差圧と流量が測定される。
【0024】
測定の前に、すべての利用可能な細孔が前記液体で満たされるように、膜サンプルを湿潤液と接触させる。細孔の充填とサンプルの導入後、測定セルを閉じ、測定を開始する。測定が開始されると、ガス圧は自動的に段階的に増加し、ガス圧は、一般的な圧力に対応する直径の細孔を空にする。これは、関連する細孔範囲がカバーされるまで、つまり、測定範囲内に存在する最小の細孔でさえ液体がなくなるまで実行される。その後、圧力が再び低下し、測定はそのとき乾燥したサンプルで自動的に繰り返される。細孔径分布は、Young-Laplace方程式による2つの圧力流量曲線の差から計算される(Shrestha, Aabhash, “Characterization of porous membranes via porometry” (2012), Mechanical Engineering Graduate Theses & Dissertations, Paper 38を見ること)。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、流入部に接続され、それぞれの場合にそれらの自由端に配置された少なくとも1つの混合ノズルを有する2つの混合アームが調製チャンバー内に配置される。ここで、混合ノズルまたは複数の混合ノズルは、有利には、調製容器の長手方向軸に対して偏心して配置される。混合ノズルの偏心配置は、より良好な渦巻きをもたらし、したがって、溶媒と溶解される媒体とのより迅速な混合をもたらし、したがって、媒体のより迅速な溶解をもたらす。しかしながら、基本的には、流入部に接続され、それぞれの自由端に配置された少なくとも1つの混合ノズルを調製チャンバーに配置する3つ以上の混合アームも可能である。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、流入部は、調製容器の長手方向軸に対して中央で調製チャンバー内に突出し、例えば2つの混合アームに移行し、それらの混合アーム軸はそれぞれ、縦軸に対して15°から90°の間、たとえば60°の広がり角度で広がる。ここで、好ましくは、2つの混合アームは、混合ノズルが直角に方向付けられ、相互に反対の噴霧方向に向けられる垂直面に広がる。これにより、溶解される媒体と撹拌顆粒を含む溶媒の乱流が確実になり、混合プロセスが一時的に短縮される。
【0027】
溶解される媒体は、粉末または顆粒であり得る。また、溶解される媒体には添加剤が含まれていてもよい。
このような媒体濾過装置を使用する媒体濾過方法に関する目的は、媒体濾過装置の流入部が、そこから溶媒が貯蔵される貯蔵容器に接続されることにより、請求項15のプリアンブルの特徴と共に達成され、制御ユニットによって制御される調節弁を介して調製容器に供給され、媒体濾過装置の流出部は、濾過された溶液が供給される受容容器に接続される。
【0028】
この方法の好ましい改良では、調製容器の事前の構成のために、以下のステップが実行される。
a)カバー部と基部に滅菌された濾液空間を提供し、
b)溶解される媒体を調製チャンバーに導入し、
c)カバー部と基部を結合する。
【0029】
流出部、フィルター、および濾液スペースを備えた基部がカバー部なし、かつ溶解される媒体なしで殺菌される滅菌可能なユニットを形成するという事実は、殺菌された、すなわち、無菌の濾液スペースが問題なく形成され得ることを意味する。基部は、個別に梱包するか、事前に構成するためにカバー部と一緒に差し込んで納品できる。溶解される媒体は片側が開いている調製チャンバーに導入され、カバー部と基部が接合される。一緒に接合することは、例えば、接着結合によって、またはレーザー溶接によって、または超音波溶接によって実現することができる。
【0030】
ステップb)では、溶媒に溶解することができない撹拌顆粒をさらに導入することができる。
既製の媒体濾過装置は、問題なく梱包、保管、輸送できる。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の特定の説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、媒体濾過装置の側断面図を示す。
図2図2は、フィルターおよび滅菌された濾液空間を備えた図1の基部を示す。
図3図3は、図1の滅菌された濾液空間および取り付けられたカバー部を備えた基部を示し、培地はなく、顆粒もない。
【0032】
図4図4は、さらなる媒体濾過装置の側断面図を示す。
図5図5は、フィルターおよび滅菌された濾液空間を備えた図4の基部を示す。
図6図6は、濾過された溶液のための上流制御溶媒容器および下流収集容器を有する媒体濾過装置の略図を示す。
図6a図6aは、図6による媒体濾過装置のさらなる概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
媒体濾過装置1は、実質的に、調製容器2、流入部3、流出部4、調製チャンバー5および2つの混合アーム6、7からなる。
調製容器2は、流入部3を有するカバー部8からなり、前記流入部は、図1から図4の例示的な実施形態では管接続部の形態である。図1から図3に従ってカバー部8上に一体的に形成されているのは、環状の容器壁9である。容器壁9は、鉛直方向の下端で、流出部4を有する基部10に接続されている。カバー部8、容器壁9および基部10は、調製チャンバー5に隣接する。
【0034】
図4および5によれば、環状の容器壁9’は、基部10’上に一体的に形成される。容器壁9’は、鉛直方向の上端で、流入部3を有するカバー部8’に接続されている。カバー部8’、容器壁9’および基部10’は、調製チャンバー5に隣接する。
【0035】
流入部3は、キャリアピース12とともに、調製容器2の長手方向軸11に対して中央で調製チャンバー5内に突出する。キャリアピース12の端部で、キャリアピース12は、混合アーム6、7に移行する。第1の混合アームは第1の混合アーム軸13を有し、第2の混合アーム7は第2の混合アーム軸14を有する。混合アーム軸13、14はそれぞれ、長手方向軸11に対して広がり角度15、16だけ離れて広がり、後者は同時に中央キャリアピース12の長手方向軸を形成する。広がり角15、16は、15°から90°の間にあると有利である。例示的な実施形態では、両方の混合アーム軸13、14について、広がり角15、16は、いずれの場合も60°である。それらの自由端17、18において、混合アーム6、7はそれぞれ、横方向混合ノズル19、20を有する。ここで、混合アーム6、7は、混合ノズル19、20が直交してかつ反対の噴霧方向に向けられる垂直面にまたがっている。
【0036】
基部10、10’は、調製チャンバー5に向かって、流出部4に通じ、フィルター22によって覆われるチャネルシステム21を有する。無菌フィルターの形態であるフィルター22は、チャネルシステム21を備えたベース部分10、10’によって支えられ、ここで、フィルター22は、流出部4に面するその濾液側38に、包囲外側境界23を有し、それにより、前記フィルターは、調製容器2の基部10、10’の包囲支持境界37に支えられ、それに固定的に接続されている。
【0037】
基部10、10’をフィルター22で滅菌することにより、フィルター22の濾液側38と基部10、10’に配置された流出部4との間に滅菌された濾液空間39が形成される。フィルター22を出た濾液は、結果として、溶液31の無菌性が確保された状態で、チャネルシステム21を介して流出部4に溶液31として供給される。
【0038】
カバー部8、8’は、通気装置24を有し、その通気開口部25は、疎水性フィルター27によって覆われており、これは、例示的な実施形態では環状であり、カバー部分8、8’の調製チャンバー5に面する内面26上にある。カバー部8、8’は、疎水性フィルター27に対して同心円状に開いたチャネルシステム28を有し、それを介して、調製チャンバー5から排出される空気が疎水性フィルター27に導かれる。
【0039】
調製チャンバー5には媒体29が配置されており、溶媒30は流入部30を介して供給される溶媒30によって溶解され、流出部4を介して溶液31として排出される。溶媒30によって溶解することができない撹拌顆粒32は、調製チャンバー5内に配置される。
【0040】
媒体濾過のために、媒体濾過装置1の流入部3は、貯蔵容器33に接続され、貯蔵ユニット33から、制御ユニット35により制御される調節弁34を介して溶媒30が調製容器2に供給される。媒体濾過装置1の流出部4は、濾過された溶液31が供給される受容容器36に接続される。
【0041】
貯蔵容器33はまた、流体調製システムを意味するものとして理解されるべきであり、流体(溶媒30)が水である場合、例えば、Ariumという名前で、Sartorius社によってゲッティンゲンで販売されているような分析的に純粋な水のための水調製システムも意味する。
媒体濾過装置1を事前に構成するために、固定配置されたフィルター22を備えたカバー部8、8’および基部10、10’は、例えば無菌包装など、一緒にゆるく詰まった状態で送られてもよい。すなわち、少なくともフィルター22を備えた基部10、10’および濾液空間39は、無菌または殺菌されている必要がある。
【0042】
カバー部8、8’(嵌め合わされた状態であるならば)は、滅菌された濾液空間39を用いてカバー部10、10’から持ち上げられ、そして、溶解されるべき媒体29、および恐らくは撹拌顆粒32が、調製チャンバー5に導入される。
続いて、カバー部8、8’が基部10、10’に再び取り付けられ、それと一緒に接合される。カバー部8、8’および基部10、10’は、例えば、レーザー溶接、超音波溶接、または接着結合によって一緒に接合されてもよい。
【0043】
特定の説明で論じられ、図に示された実施形態は、本発明の単なる例示的な例示的実施形態を表すことは言うまでもない。ここでの開示に照らして、当業者は、可能な変形の広い範囲を提供される。もちろん、好ましい実施形態の特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0044】
特に、本発明のさらに好ましい実施形態では、調製容器2および/または受容容器36は、調製された溶液31のパラメータを決定するための少なくとも1つのセンサー40、41を有し得る。ここで、pH、温度、導電率または他のパラメータを測定し、場合によっては制御および監視ユニット35を介して調製することが可能である。例えば、無菌性を決定するためのバイオチップ42、43が、調製容器2および/または受容容器36に配置されることも可能である。
【0045】
センサー40は、滅菌フィルター22を介して、溶解される媒体29の完全な移送を監視することができる。ここで、センサー40は、非滅菌調製チャンバー5内に配置され、制御ユニット35と通信することができる。制御ユニット35と共に、センサー40は、調製チャンバー2内の導電率を追跡し、閾値を下回ることにより、媒体29の完全な移送を確認することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 媒体濾過装置
2 調製容器
3 流入部
4 流出部
5 調製チャンバー
6 (第一)混合アーム
7 (第二)混合アーム
8、8’ 2のカバー部
9、9’ 容器の壁
10、10’ 2の基部
【0047】
11 2の縦軸
12 3のキャリアピース
13 6の混合アーム軸
14 7の混合アーム軸
15 13の広がり角
16 14の広がり角
17 6の自由端
18 7の自由端
19 6の混合ノズル
【0048】
20 7の混合ノズル
21 10のチャンネルシステム
22 フィルター
23 22の包囲外側境界
24 8の通気装置
25 24の通気口
26 8の内面
27 疎水性フィルター
28 8のチャンネルシステム
29 媒体
【0049】
30 溶媒
31 溶液
32 攪拌顆粒
33 貯蔵容器
34 調製弁
35 制御ユニット
36 受容容器
37 10、10’の支持境界
38 22の濾液側
39 濾液スペース
40 センサー
41 センサー
42 バイオチップ
43 バイオチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6a