(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20221014BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H05K9/00 G
H05K5/06 E
(21)【出願番号】P 2021078251
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】202010967037.7
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514162405
【氏名又は名称】中磊電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲ウェイ▼智
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-046249(JP,A)
【文献】特開2013-223231(JP,A)
【文献】特開2015-094565(JP,A)
【文献】実公昭63-031502(JP,Y2)
【文献】特開平10-214697(JP,A)
【文献】特開2003-057078(JP,A)
【文献】特開2019-165142(JP,A)
【文献】特開2001-308586(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102548173(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105791476(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106374961(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106604533(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108055796(CN,A)
【文献】中国実用新案第206533651(CN,U)
【文献】中国実用新案第208874756(CN,U)
【文献】中国実用新案第209675609(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外を接続する空気孔を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、裸の接地線を有する回路板と、
前記回路板に取り付けられる温湿度センサと、
前記筐体の表面に配置され、前記空気孔を覆う通気性防水膜と、
前記回路板に配置され、前記温湿度センサを覆うカバーと、
を含み、
前記裸の接地線が、前記温湿度センサと前記回路板の辺縁との間に位置し、
前記温湿度センサが、前記カバー内の収容室に収容され、
前記カバーの開口が、前記空気孔に対応して配置され、
前記カバーの一部が、前記筐体と前記回路板の辺縁の間に挟持され、
前記カバーの前記収容室が、
前記開口、前記通気性防水膜、および前記空気孔により、前記筐体の外部に連通する静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項2】
前記空気孔の数が、4つであり、各前記空気孔の直径が、1.4mm±10%である請求項1に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項3】
前記カバーの材質が、ゴムである請求項1に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項4】
前記裸の接地線が、前記温湿度センサを取り囲む請求項1に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項5】
前記回路板が、ラインクリアランスエリアおよび貫通孔を有し、前記温湿度センサが、前記ラインクリアランスエリアに取り付けられた請求項1に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項6】
前記貫通孔および前記裸の接地線が、前記温湿度センサを取り囲む請求項
5に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項7】
前記貫通孔の数が、3本であり、前記貫通孔が、前記ラインクリアランスエリアの3つの側に位置し、前記裸の接地線が、前記ラインクリアランスエリアの別の側に位置する請求項
5に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項8】
前記貫通孔が、前記収容室に連通しない請求項
5に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【請求項9】
前記裸の接地線のうちの少なくとも一部が、前記収容室内に露出する請求項
5に記載の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク通信デバイスに関するものであり、特に、静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク技術の進歩に伴い、様々なネットワーク通信デバイスが人々の生活により広く応用されるようになった。多くのネットワーク通信デバイスは戸外に設置されるため、日差しや雨などの様々な過酷な環境においても正常に作動できなければならない。そのため、ネットワーク通信デバイスの中には、温湿度センサを設置して環境の変化を感知し、対応する処置を行わなければならないものもあるが、温湿度センサは、静電気放電により破壊されやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、温湿度センサが破壊されやすい問題を改善することのできる静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイスに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態に基づき、静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイスは、筐体と、回路板と、温湿度センサと、通気性防水膜と、カバーとを含む。前記筐体は、前記筐体の内外を接続する空気孔を有する。前記回路板は、前記筐体内に配置され、裸の接地線を有する。前記温湿度センサは、前記回路板に取り付けられる。前記裸の接地線は、前記温湿度センサと前記回路板の辺縁の間に位置する。前記通気性防水膜は、前記筐体の表面に配置され、前記空気孔を覆う。前記カバーは、前記回路板に配置され、前記温湿度センサを覆う。前記温湿度センサは、前記カバー内の収容室に収容される。カバーの前記収容室は、前記カバーの開口、前記通気性防水膜、および前記空気孔により、前記筐体の外部に連通する。
【0005】
本発明の実施形態に基づき、前記空気孔の数は、4つであり、各前記空気孔の直径は、1.4mm±10%である。
【0006】
本発明の実施形態に基づき、前記カバーの材質は、ゴムである。
【0007】
本発明の実施形態に基づき、前記裸の接地線は、前記温湿度センサを取り囲む。
【0008】
本発明の実施形態に基づき、前記カバーの一部は、前記筐体と前記回路板の辺縁の間に挟持される。
【0009】
本発明の実施形態に基づき、前記回路板は、ラインクリアランスエリアおよび貫通孔を有し、前記温湿度センサは、前記ラインクリアランスエリアに取り付けられる。
【0010】
本発明の実施形態に基づき、前記貫通孔および前記裸の接地線は、前記温湿度センサを取り囲む。
【0011】
本発明の実施形態に基づき、前記貫通孔の数は、3本であり、前記貫通孔は、前記ラインクリアランスエリアの3つの側に位置し、前記裸の接地線は、前記ラインクリアランスエリアの別の側に位置する。
【0012】
本発明の実施形態に基づき、前記貫通孔は、前記収容室に連通しない。
【0013】
本発明の実施形態に基づき、前記裸の接地線のうちの少なくとも一部は、前記収容室内に露出する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明のネットワーク通信デバイスは、温湿度センサが静電気により破壊されにくく、且つ環境の温湿度を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイスの概略図である。
【
図2】
図1のネットワーク通信デバイスの内部の局部概略図である。
【
図3】
図1のネットワーク通信デバイスの局部断面図である。
【
図4】
図1のネットワーク通信デバイスの内部の別の局部概略図である。
【
図5】
図1のネットワーク通信デバイスの内部の別の局部概略図である。
【
図6】
図1のネットワーク通信デバイスの内部の別の局部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面に示した例示的実施形態を参照して、本発明を説明する。可能な限り、図面および説明において、同一の、または類似する構成要素には、同一の参照番号を使用する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイスの概略図である。本実施形態の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイス100の筐体110は、筐体110に連通する内外の空気孔112を有する。本実施形態のネットワーク通信デバイスは、例えば、スマートスピーカーをサポートするホームゲートウェイまたはメッシュ(Mesh)無線中継、6GHzアンライセンス周波数帯を運用する無線アクセスポイント、低消費電力広域通信(LPWA)信号変換コントローラ、低消費電力広域通信ロケータ/トラッカー(tracker)であるが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
図2は、
図1のネットワーク通信デバイスの内部の局部概略図である。
図3は、
図1のネットワーク通信デバイスの局部断面図である。本実施形態のネットワーク通信デバイス100は、筐体110と、回路板120と、温湿度センサ130と、通気性防水膜140と、カバー150とを含む。回路板120は、筐体110内に配置され、ラインクリアランスエリア122、貫通孔124、および裸の接地線126を有する。貫通孔124および裸の接地線126は、温湿度センサ130を取り囲んでもよく、裸の接地線126および貫通孔124は、いずれもストリップ状であってもよい。温湿度センサ130は、環境温度および/または湿度を感知することのできる集積回路であり、回路板120のラインクリアランスエリア122に取り付けられる。ラインクリアランスエリア122は、この領域の回路板120内で、温湿度センサ130の回路132と裸の接地線126を接続するために使用される他に、その他の回路または接地層がないことを指す。したがって、その他の回路が作動している時に生じる熱エネルギーの影響を温湿度センサ130が受けないようにして、環境温度および/または湿度の正確な測定を確実に保証することができる。また、貫通孔124および裸の接地線126が温湿度センサ130を取り囲んでいるため、回路板120のその他の領域の熱エネルギーが回路板120を介して温湿度センサ130に伝導されることによって環境温度および/または湿度の測定に影響を与えるのも困難にする。
【0020】
裸の接地線126は、温湿度センサ130と回路板120の辺縁128の間に位置する。したがって、外界で静電気放電(ESD)が生じた時、空気孔112を通過する静電気は、基本的に、裸の接地線126に放たれ、さらに、裸の接地線126を介して静電荷をそらすため、それにより、温湿度センサ130が静電気放電により破壊されないよう保護する。
【0021】
通気性防水膜140は、筐体110の表面(または、外表面)に配置され、空気孔112を覆う。カバー150は、回路板120に配置され、温湿度センサ130を覆う。カバー150は、通気性防水膜140に接触している。温湿度センサ130は、カバー150内の収容室152に収容される。カバー150の収容室152は、カバー150の開口154、通気性防水膜140、および空気孔112により、筐体110の外部に連通する。つまり、カバー150は、温湿度センサ130が置かれた収容室152とネットワーク通信デバイス100の内部のその他の空間を隔絶し、且つ温湿度センサ130が置かれた収容室152と外界環境を連通させる。外界環境の空気は、空気孔112と通気性防水膜140を介して収容室152に入ることができるため、温湿度センサ130は、環境温度および/または湿度を測定することができる。さらに、通気性防水膜140は、水滴がネットワーク通信デバイス100の内部に進入するのを防ぐため、温湿度センサ130を保護するだけでなく、ネットワーク通信デバイス100の防水状態を維持することもできる。
【0022】
以上に基づき、本実施形態のネットワーク通信デバイス100は、防水の状態で正常に操作することができ、且つ温湿度センサ130が環境温度および/または湿度を正確に測定して、ネットワーク通信デバイス100内で生じた熱エネルギーの影響を受けないようにすることもできる。
【0023】
本発明の実施形態に基づき、空気孔112の数は、4つであり、各空気孔112の直径は、1.4mm±10%である。その他の実施形態において、空気孔112の数は、さらに多くても、さらに少なくてもよく、空気孔の形状と大きさも、需要に応じて変更可能である。
【0024】
本発明の実施形態に基づき、カバー150の材質は、ゴムであるが、熱エネルギーと空気を隔絶するのに適したその他の材質であってもよい。
【0025】
本発明の実施形態に基づき、裸の接地線126は、さらに、前記温湿度センサを取り囲んでもよいが、単に温湿度センサ130と回路板120の辺縁128の間を通過するだけでもよい。裸の接地線126の少なくとも一部は、収容室152内に露出する。
【0026】
本発明の実施形態に基づき、カバー150の一部は、筐体110と回路板120の辺縁128の間に挟持される。このようにして、外界環境との連通がカバー150内の収容室152に制限されることを確実に保証することができ、さらに、カバー150を回路板120と筐体110の間の緩衝として使用することができる。
【0027】
本発明の実施形態に基づき、貫通孔124の数は、3本であり、貫通孔124は、ラインクリアランスエリア122の3つの側に位置し、裸の接地線126は、ラインクリアランスエリア122の別の側に位置する。貫通孔124がラインクリアランスエリア122の3つの側を完全には取り囲まないようにして、ラインクリアランスエリア122と回路板120のその他の部分の連結強度が不足するのを防いでもよく、温湿度センサ130に関連する回路132のルーティング空間を残してもよい。ラインクリアランスエリア122が回路板120の隅にある場合、貫通孔124は、ラインクリアランスエリア122の回路板120の辺縁から離れた別の両側にあればよい。本実施形態の貫通孔124は、収容室152に連通しない。
図3からわかるように、貫通孔124は、収容室152の外に位置する。したがって、ネットワーク通信デバイス100の内部のその他の空間は、貫通孔124を介して収容室152に連通しないため、ネットワーク通信デバイス100の内部のその他の空間の熱エネルギーが収容室152に進入するのを防ぐことができ、外界環境の空気が収容室152を介してネットワーク通信デバイス100の内部のその他の空間に入るのを防ぐこともできる。つまり、空気孔112は、収容室152の唯一の吸/排気口である。
【0028】
図4は、
図1のネットワーク通信デバイスの内部の別の局部概略図である。本実施形態の筐体110は、空気孔112の付近に支持構造114を設置してもよく、この支持構造114は、
図2および
図3では省略されている。支持構造114は、通気性防水膜140に適切な位置付け効果を提供するために使用することができる。
図5は、
図1のネットワーク通信デバイスの内部の別の局部概略図である。支持構造114は、さらに、カバー150に適切な位置付け効果を提供するためも使用することができ、通気性防水膜140は、カバー150の開口154の外に位置する。
図4および
図5の方位は、
図2および
図3と比較して、上下逆さまである。
図6は、
図1のネットワーク通信デバイスの内部の別の局部概略図である。
図6から明らかにわかるように、カバー150は、回路板120に配置され、温湿度センサ130を覆い、カバー150の一部は、回路板120の辺縁128の外に位置する。さらに、2つの貫通孔124がカバー150の両側に位置するため、貫通孔124は、
図3の貫通孔124と同様に、収容室152に連通せず、収容室152の外に位置する。
【0029】
以上のように、本発明の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイスにおいて、ラインクリアランスエリアと貫通孔は、温湿度センサがネットワーク通信デバイス内のその他の領域の熱エネルギーの影響を受けないようにすることができ、裸の接地線は、温湿度センサを保護して静電気放電により破壊されないようにすることができ、通気性防水膜は、温湿度センサを保護してネットワーク通信デバイスの防水状態を維持することができ、カバーは、温湿度センサが置かれた収容室とネットワーク通信デバイスの内部のその他の空間を隔絶する。これらの特徴の一部は、いくつかの実施形態において省略されてもよく、例えば、いくつかの実施形態において、ラインクリアランスエリアと貫通孔を含まなくてもよい。
【0030】
最後に、言及すべきこととして、上述した実施形態は、単に本発明の技術的手段を説明するためのものであり、本発明の限定として解釈すべきではない。上述した実施形態を参照して本発明の詳細な説明を提供するが、本分野において通常の知識を有する者であれば、開示した技術的手段に対して様々な修正および変更が可能であること、あるいは一部または全ての技術的特徴に対して同等の置き換えが可能であることが理解されよう。しかしながら、技術的手段の本質を本発明の実施形態の技術的手段の範囲から逸脱させる修正、変更、および置き換えは行うべきではない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の静電気保護機能を有するネットワーク通信デバイスは、ネットワーク通信デバイスに応用することができる。
【符号の説明】
【0032】
100 ネットワーク通信デバイス
110 筐体
112 空気孔
114 支持構造
120 回路板
122 ラインクリアランスエリア
124 貫通孔
126 裸の接地線
128 辺縁
130 温湿度センサ
132 回路
140 通気性防水膜
150 カバー
152 収容室
154 開口