(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】サッシユニット及び開口部構造
(51)【国際特許分類】
E06B 1/02 20060101AFI20221014BHJP
E04B 2/90 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
E06B1/02
E04B2/90
(21)【出願番号】P 2021122558
(22)【出願日】2021-07-27
(62)【分割の表示】P 2017251501の分割
【原出願日】2017-12-27
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩光
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-302385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E04B 2/90
E04B 1/78-1/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠と、
前記サッシ枠を、直接的に、及び/又は、別部材を介して間接的に、取り付けられている横フレーム部と、
前記横フレーム部と一体で構成されている、又は、前記横フレーム部に取り付けられている縦フレーム部と、を備え、
前記サッシ枠は、前記横フレーム部の幅方向において前記縦フレーム部と重なる部分を備え、
前記サッシ枠
の前記部分と前記縦フレーム部とは、前記横フレーム部の
前記幅方向において離間した位置に配置されていることを特徴とするサッシユニット。
【請求項2】
開口部を区画する外壁部の周囲端面に沿って配置されているサッシ枠と、
前記サッシ枠が、直接的に、及び/又は、別部材を介して間接的に、取り付けられている横フレーム部と、
前記横フレーム部と一体で構成されている、又は、前記横フレーム部に取り付けられている縦フレーム部と、を備え、
前記サッシ枠は、前記横フレーム部の幅方向において前記縦フレーム部と重なる部分を備え、
前記サッシ枠
の前記部分と前記縦フレーム部とは、前記横フレーム部の
前記幅方向において離間した位置に配置されていることを特徴とする開口部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム構造体、サッシユニット及び開口部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サッシ枠を含むサッシを建物の構造躯体に取り付けるために、フレーム構造体が使用されている。特許文献1には、この種のフレーム構造体として、縦フレームと横フレームとを組み合わせて構成されサッシを建物の躯体に取り付けるための開口パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、開口パネルを用いてサッシを建物の躯体に取り付けることは記載されているが、開口パネルを用いた際の建物の断熱ラインの形成方法や形成位置については、何ら言及されていない。
【0005】
そこで本発明は、建物の断熱ラインを形成容易にするフレーム構造体、サッシユニット及び開口部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としてのフレーム構造体は、サッシ枠を建物の構造躯体に取付可能とするフレーム構造体であって、前記サッシ枠を取付可能な第1縦フレーム部と、前記第1縦フレーム部と一体で構成されている、又は、前記第1フレーム部に取り付けられている横フレーム部と、前記横フレーム部と一体で構成されている、又は、前記横フレーム部に取り付けられている第2縦フレーム部と、を備え、前記第1縦フレーム部と前記第2縦フレーム部とは、前記横フレーム部の幅方向において離間した位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の1つの実施形態として、前記横フレーム部は、鉛直方向の異なる位置に複数設けられており、前記第1縦フレーム部は、鉛直方向において前記複数の横フレームに挟まれる位置に配置されており、前記第2縦フレーム部は、前記複数の横フレーム部に対して前記幅方向の一方側の位置に配置されていることが好ましい。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、前記第2縦フレーム部は、前記横フレーム部よりも鉛直方向の上方及び下方にそれぞれ突出し、前記建物の前記構造躯体に取り付け可能な躯体取付部を備えることが好ましい。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記幅方向において、前記第1縦フレーム部と、前記第2縦フレーム部と、は重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記第1縦フレーム部は、前記サッシ枠を取付可能な取付面を備え、前記取付面は、前記第1縦フレーム部のうち、前記幅方向において前記第2縦フレーム部が位置する側と反対側の面により構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の態様としてのサッシユニットは、サッシ枠と、前記サッシ枠を、直接的に、及び/又は、別部材を介して間接的に、取り付けられている横フレーム部と、前記横フレーム部と一体で構成されている、又は、前記横フレーム部に取り付けられている縦フレーム部と、を備え、前記サッシ枠と前記縦フレーム部とは、前記横フレーム部の幅方向において離間した位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第3の態様としての開口部構造は、開口部の周囲を区画する、外壁部の周囲端面に沿って配置されているサッシ枠と、前記サッシ枠が、直接的に、及び/又は、別部材を介して間接的に、取り付けられている横フレーム部と、前記横フレーム部と一体で構成されている、又は、前記横フレーム部に取り付けられている縦フレーム部と、を備え、前記サッシ枠と前記縦フレーム部とは、前記横フレーム部の幅方向において離間した位置に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、建物の断熱ラインを形成容易にするフレーム構造体、サッシユニット及び開口部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態としての開口部構造を示す図であると共に、開口部構造の破線で囲まれている部分を拡大して示す図である。
【
図2】
図1に示す開口部構造を構成する、本発明の一実施形態としてのフレーム構造体を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示すフレーム構造体にサッシ枠が取り付けられて構成される、本発明の一実施形態としてのサッシユニットを示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す開口部構造の変形例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態としての開口部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る開口部構造及び建物について、
図1~
図5を参照して例示説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態としての開口部構造を示す図である。
図1は、開口部構造の水平断面を示している。また、
図1の開口部構造のうち破線で囲まれている部分を別途拡大して右下に示している。
図2は、
図1に示す開口部構造の一部を構成する、本発明の一実施形態としてのフレーム構造体100を示す斜視図である。また、
図3は、
図2に示すフレーム構造体100にサッシ枠3を取り付けることで構成される、
図1に示す開口部構造の一部を構成するサッシユニット200の分解図である。まず、
図1に示す開口部構造を備える建物の概略について説明する。
【0017】
本実施形態の建物は、例えば鉄骨造の軸組みを有する2階建ての住宅であり、鉄筋コンクリート造の基礎と、柱や梁などの軸組部材で構成された軸組架構を有し、基礎に固定された上部構造体と、で構成される。なお、軸組架構を構成する軸組部材は、予め規格化(標準化)されたものであり、予め工場にて製造されたのち建築現場に搬入されて組み立てられる。
【0018】
上部構造体の軸組架構は、複数の柱及び複数の梁などから構成されている。軸組架構の外周部には、外周壁を構成する外装材等が配置される。また、軸組架構の層間部には、床部を構成する床スラブ材等が配置される。更に、軸組架構の上部には、陸屋根を構成する屋根床スラブ材等が配置される。
【0019】
建物の外周壁は、例えば、表面側に防水層としての塗膜が形成された軽量気泡コンクリート(ALC)からなるパネル状の外装材を連接されて構成された外部仕上げ層と、例えば、フェノールフォーム等の発泡樹脂系のパネル状の断熱材を外装仕上げ層の内面に沿って連接されて構成された断熱層と、石膏ボートと石膏ボード表面に貼設された壁クロス等の仕上げ材とで構成された内部仕上げ層と、を備えたものとすることができるが、この構成に限定されるものではない。外周壁は、少なくとも所定の防耐火性能及び防水性能を有している。なお、本実施形態の建物は、所謂「外断熱構造」を備えており、軸組架構を構成する柱及び梁に対して、外周壁の厚み方向における屋外側に、断熱材が配置されている。
【0020】
建物の床部は、床スラブ材を含む。床スラブ材は、軸組架構の梁間に架設され、梁により直接的又は間接的に支持される。床スラブ材としては、例えば、ALCパネルを用いることできるが、折板、押出成形セメント板、木質パネル材などの別の部材を用いてもよい。床部は、床スラブ材に加えて、例えば、床スラブ材に対して直接的又は間接的に取り付けられる、下階としての1階の天井面を構成する天井内装材や、床スラブ材上に積層された、上階としての2階の床面を構成するフローリング等の床内装材などを含むものであってもよい。
【0021】
なお、陸屋根を構成する屋根床スラブ材についても、ALCパネルを用いることができるが、ALCパネルに限られるものではない。また、屋根床スラブ材は、例えば塩化ビニル樹脂から形成されている防水シート等により覆われることにより、防水処理が施されている。また、建物の屋根は、陸屋根に限らず、スレート等の屋根外装材を用いた勾配屋根としてもよい。
【0022】
次に、
図1~
図3を参照して、開口部構造について説明する。
【0023】
図1に示すように、外壁部1には開口部2が形成されている。開口部2は、外壁部1の開口部2に面する周囲端面により区画されている。以下、外壁部1の厚み方向Aの屋外側を単に「屋外側」と記載し、外壁部1の厚み方向Aの屋内側を単に「屋内側」と記載する場合がある。
図1では、開口部構造に対して上側が屋外側であり、開口部構造に対して下側が屋内側である。
【0024】
外壁部1とは、建物の屋内空間と屋外空間とを区画する壁であり、上述した外周壁は、外壁部1の一態様である。
【0025】
より具体的に、本実施形態の外壁部1は、屋外空間に面するパネル状の外装材1aと、外壁部1の厚み方向Aにおいて外装材1aの屋内側に位置するパネル状の断熱材1bと、厚み方向Aにおいて断熱材1bの屋内側に位置し、石膏ボートと石膏ボード表面に貼設された壁クロス等の仕上げ材とで構成された内装材1cと、を備えている。また、本実施形態の断熱材1bは、軸組架構を構成する柱及び梁に対して、外壁部1の厚み方向Aで屋外側に位置している。そして、本実施形態の外壁部1の気密ラインは、断熱ラインの屋内側に形成されている。
【0026】
開口部2は、外壁部1に形成されている、窓や出入り口などの開口である。
図1に示す開口部構造では、開口部2として窓を示しているが、例えば、屋内空間と屋外空間とを行き来可能な出入り口であってもよい。
【0027】
図1に示す開口部構造は、開口部2が形成されている外壁部1と、サッシ枠3と、第1縦フレーム部4と、横フレーム部5(
図2、
図3参照)と、第2縦フレーム部6と、建具10と、を備えている。
【0028】
なお、本実施形態では、
図2に示すように、第1縦フレーム部4、横フレーム部5、及び、第2縦フレーム部6、により、サッシ枠3を建物の構造躯体に取付可能とするフレーム構造体100が構成されている。
【0029】
また、本実施形態では、
図3に示すように、フレーム構造体100及びサッシ枠3により、サッシユニット200が構成されている。
図3では、説明の便宜上、フレーム構造体100とサッシ枠3とを別々に示している。
【0030】
サッシ枠3は、開口部2の周囲を区画する、外壁部1の周囲端面に沿って配置されている。本実施形態の開口部2には、開閉可能な建具10が取り付けられている。したがって、本実施形態のサッシ枠3は、建具10の周囲に位置しており、建具10を開閉可能に保持している。なお、
図1に示すように、サッシ枠3の屋内側には、木製の額縁等の内装枠91が設けられている。
【0031】
なお、本実施形態の建具10は、二重にしたガラス板10aと、この二重にしたガラス板10aの枠材としての框10bと、で構成されているが、この構成に限られるものではない。また、本実施形態では、開口部2に建具10が取り付けられている例を示しているが、この構成に限らず、例えば、はめ殺し窓を設けた構成としてもよい。
【0032】
図3に示すように、本実施形態のサッシ枠3は、開口部2の水平方向両側に位置する2つのサッシ縦枠11と、これら2つのサッシ縦枠11の間に架設されている2つのサッシ横枠12と、により構成されている。
図1では、サッシ枠3のうち、2つのサッシ縦枠11が示されている。
【0033】
サッシ縦枠11は、アルミニウムなどの金属製の本体部11aと、この本体部11aに対してねじやビス等で締結されている、又は、嵌合されて一体化されている、塩化ビニルなどの樹脂製の断熱部11bと、本体部11aから外壁部1の周囲端面側に向かって突出する突出板部11cと、を備えている。なお、断熱部11bは、本体部11aよりも断熱性能が高い。また、断熱部11bは、本体部11aよりも屋内側に位置している。
【0034】
サッシ横枠12は、アルミニウムなどの金属製の本体部12aと、本体部12aから外壁部1の周囲端面側に向かって突出する突出板部12cと、を備えている。なお、サッシ横枠12が、本体部12aに対してねじやビス等で締結されている、又は、嵌合されて一体化されている、塩化ビニルなどの樹脂製の断熱部を備える構成としてもよい。
【0035】
図1~
図3に示すように、第1縦フレーム部4には、上述のサッシ枠3を取付可能な取付面4aが設けられており、この取付面4aを介して、上述のサッシ枠3が取り付けられている。
図1、
図3に示すように、第1縦フレーム部4は、水平方向に離間して2つ設けられており、これら2つの第1縦フレーム部4の間に、サッシ枠3の一部が嵌め込まれている。より具体的に、サッシ枠3の2つのサッシ縦枠11の本体部11a及び断熱部11bと、サッシ枠3の2つのサッシ横枠12の本体部12aと、が2つの第1縦フレーム部4の間に厚み方向Aの屋外側から屋内側に向かって嵌め込まれている。そして、この嵌め込みの完了は、
図3に示すように、サッシ枠3のサッシ縦枠11の突出板部11cが、第1縦フレーム部4の取付面4aに当接する位置である。また、この嵌め込みの完了は、
図3に示すように、サッシ枠3のサッシ横枠12の突出板部12cが、後述する横フレーム部5の取付面5aに当接する位置でもある(
図3参照)。このように、本実施形態のサッシ枠3は、第1縦フレーム部4及び横フレーム部5に対して位置決めされている。
【0036】
また、上述したように、サッシ枠3は、第1縦フレーム部4の取付面4aを介して、第1縦フレーム部4に取付可能である。本実施形態において、第1縦フレーム部4の取付面4aは、第1縦フレーム部4のうち、横フレーム部5の幅方向B(
図1の開口部構造では外壁部1の厚み方向Aと同じ方向)において、第2縦フレーム部6が位置する側と反対側の面(
図1では屋外側の面)により構成されている。また、取付面4aには、複数の挿通孔が形成されている。そして、サッシ枠3のサッシ縦枠11の突出板部11cにおいても、複数の挿通孔が形成されている。第1縦フレーム部4の取付面4aの挿通孔と、サッシ縦枠11の突出板部11cの挿通孔と、を共に挿通するねじやビス等の締結部材を用いることにより、第1縦フレーム部4に対して、サッシ枠3を、直接的に取り付けることができる。
【0037】
なお、本実施形態の第1縦フレーム部4は、コの字形状の断面外形を有する、鋼材から構成される長尺部材であり、底板部21と、この底板部21の両端から起立する第1側板部22及び第2側板部23と、を備えている。そして、本実施形態の第1縦フレーム部4は、コの字形状の長尺部材の開口が開口部2側に向くように鉛直方向に延在しており、屋外側に位置する第1側板部22のうち屋外側の面により、上述の取付面4aが構成されている。また、底板部21は、外壁部1の外装材1aの開口部2側の端面に当接した状態とされている。
【0038】
更に、
図3に示すように、本実施形態の第1縦フレーム部4は、鉛直方向において、複数の横フレーム部5に挟まれる位置に配置されている。具体的に、本実施形態の第1縦フレーム部4の底板部21及び第2側板部23は、鉛直方向において異なる位置に配置されている2つの横フレーム部5の間に挟まれて配置されている。
【0039】
より具体的には、
図2、
図3に示すように、本実施形態の第1縦フレーム部4の第1側板部22は、長手方向両端において、底板部21及び第2側板部23よりも突出して形成されている突出部22aを有する。そして、第1縦フレーム部4の底板部21及び第2側板部23を、第1側板部22の突出部22aが横フレーム部5の取付面5aに当接するまで、2つの横フレーム部5の間に嵌め込む。このようにすることで、第1縦フレーム部4の底板部21及び第2側板部23を、2つの横フレーム部5の間に配置させることができる。また、横フレーム部5の取付面5a、及び、第1側板部22の突出部22a、には挿通孔が形成されている。第1側板部22の突出部22aを、横フレーム部5の取付面5aに当接させた状態で、突出部22aの挿通孔と取付面5aの挿通孔とに、ねじやビス等の締結部材を挿通し、突出部22及び取付面5aを締結することで、第1縦フレーム部4を、横フレーム部5に直接的に取り付けることができる。
【0040】
なお、
図1に示すように、第1縦フレーム部4が横フレーム部5に対して取り付けられている状態で、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6とは、横フレーム部5の幅方向B(
図1の開口部構造では厚み方向Aと同じ方向)において離間した位置に配置されている。この詳細は後述する。
【0041】
また、
図1~
図3に示すように、横フレーム部5の幅方向Bにおいて、第1縦フレーム部4と、第2縦フレーム部6と、は重なる位置(横フレーム部5の長手方向の同じ位置)に配置されている。このような配置とすることで、開口部2を大きく確保し易くなる。この詳細についても後述する。
【0042】
本実施形態の横フレーム部5には、サッシ枠3が、別部材としての第1縦フレーム部4を介して間接的に取り付けられている。具体的に、本実施形態のサッシ枠3は、上述したように、突出板部11c及び取付面4aを利用することで、第1縦フレーム部4に対して直接的に取り付けられており、この第1縦フレーム部4は、上述したように、第1側板部22の突出部22aと取付面5aとを利用することで、横フレーム部5に直接的に取り付けられている。したがって、サッシ枠3は、第1縦フレーム部4を介して、間接的に横フレーム部5に対して取り付けられている。
【0043】
更に、本実施形態の横フレーム部5には、上述した第1縦フレーム部4が直接的に取り付けられている位置とは別の位置で、サッシ枠3が直接的に取り付けられている。この詳細構成については後述する。
【0044】
このように、本実施形態のサッシ枠3は、直接的に、横フレーム部5に取り付けられていると共に、別部材としての第1縦フレーム部4を介して間接的にも、横フレーム部5に対して取り付けられている。
【0045】
なお、サッシ枠3は、横フレーム部5に、直接的にのみ取り付けられている構成であっても、別部材を介して間接的にのみ取り付けられている構成であっても、直接的及び間接的の両方の手段により取り付けられている構成であってもよい。サッシ枠3が横フレーム部5に、間接的にではなく、直接的にのみ、取り付けられる構成の具体例は後述する(
図5参照)。
【0046】
また、本実施形態の横フレーム部5は、上述の第1縦フレーム部4とは別体で構成されており、第1縦フレーム部4に対して、ビスやネジ等の締結部材を用いて締結されることにより、取り付けられているが、この構成に限らず、第1縦フレーム部と一体で構成されている横フレーム部としてもよい。
【0047】
本実施形態の横フレーム部5は、鉛直方向の異なる位置に複数設けられている。具体的に、本実施形態では、2つの横フレーム部5が設けられている。
【0048】
本実施形態の横フレーム部5は、水平方向に延在する長尺部材により構成されている。また、本実施形態の横フレーム部5は、鋼材により構成されている。そして、本実施形態の横フレーム部5は、第2縦フレーム部6に取り付けられる第1鉛直板部31と、この第1鉛直板部31の上端から水平方向に突出する第1水平板部32と、この第1水平板部32の先端から鉛直方向の下方に向かって延在する第2鉛直板部33と、この第2鉛直板部33の下端から第1鉛直板部31側に向かって水平方向に延在する先端板部34と、第1鉛直板部31の下端から第1水平板部32と同方向に向かって突出する第2水平板部35と、この第2水平板部35の先端から鉛直方向の上方に向かって延在する基端板部36と、を備えている。
【0049】
本実施形態の2つの横フレーム部5は、いずれも同形状を有してする。但し、2つの横フレーム部5は、上下対称になるように配置されており、第1水平板部32同士が、鉛直方向に対向するように配置されている。したがって、上述した本実施形態の第1縦フレーム部4における底板部21及び第2側板部23は、
図2、
図3に示すように、2つの横フレーム部5の第1水平板部32の間に挟まれて配置されている。
【0050】
第1鉛直板部31は、後述する第2縦フレーム部6に略平行に延在しており、ねじやビス等の締結部材を用いて締結することで、第2縦フレーム部6に取り付けられる。但し、第1鉛直板部31を、第2縦フレーム部6に対して溶接等することにより取り付けてもよい。
【0051】
第2鉛直板部33は、横フレーム部5の取付面5aを構成する。つまり、上述したサッシ枠3のサッシ横枠12の突出板部12cと、横フレーム部5の取付面5aと、をビス等の締結部材を用いて締結することで、サッシ枠3を、横フレーム部5に取り付けることができる。このように、サッシ枠3を、直接的に横フレーム部5に対して、取り付けることができる。
【0052】
より具体的に、サッシ横枠12の突出板部12cには複数の挿通孔が形成されている。また、横フレーム部5の取付面5aを構成する第2鉛直板部33においても複数の挿通孔が形成されている。したがって、ねじやビス等の締結部材を、突出板部12cの挿通孔と、第2鉛直板部33の挿通孔と、を通るように挿通し、締結することで、突出板部12cを取付面5aに締結することができる。このようにして、サッシ枠3を、横フレーム部5に対して直接的に取り付けることができる。
【0053】
第2縦フレーム部6には、横フレーム部5が直接的に取り付けられている。
【0054】
本実施形態の第2縦フレーム部6は、上述の横フレーム部5とは別体で構成されており、横フレーム部5に対して、ビスやネジ等の締結部材を用いて締結されることにより、取り付けられているが、この構成に限らず、横フレーム部5と一体で構成されている第2縦フレーム部としてもよい。
【0055】
第2縦フレーム部6は、複数の横フレーム部5に対して、横フレーム部5の幅方向B(
図1の開口部構造では厚み方向Aと同じ方向)の一方側の位置に配置されている。具体的に、本実施形態の第2縦フレーム部6は、横フレーム部5の屋内側に配置されている。
【0056】
また、本実施形態では、2つの第2縦フレーム部6が設けられている。本実施形態の各第2縦フレーム部6は、鉛直方向に延在する長尺部材により構成されている。更に、本実施形態の第2縦フレーム部6は、鋼材により構成されている。そして、第2縦フレーム部6は、横フレーム部5側に面する正面板部41と、この正面板部41の一端から背面側に向かって延在する側面板部42と、この側面板部42の後端から、正面板部41と平行するように突出する後端板部43と、を備えている。
【0057】
本実施形態の2つの第2縦フレーム部6は、側面板部42が、正面板部41に対して開口部2側に配置されるように、左右対称に配置されている。
【0058】
上述の横フレーム部5は、2つの第2縦フレーム部6の正面板部41に跨るように、横フレーム部5の第1鉛直板部31を取り付けることにより、2つの第2縦フレーム部6に対して取り付けられている。
【0059】
また、第2縦フレーム部6は、横フレーム部5よりも鉛直方向の上方及び下方にそれぞれ突出し、建物の構造躯体に取り付け可能な躯体取付部を備えている。具体的に、本実施形態の第2縦フレーム部6は、横フレーム部5よりも鉛直方向の上方に突出し、建物の構造躯体としての鉄骨梁に取り付け可能な第1躯体取付部6aを備える。また、本実施形態の第2縦フレーム部6は、横フレーム部5よりも鉛直方向の下方に突出し、建物の構造躯体としての鉄骨梁に取り付け可能な第2躯体取付部6bを備える。このように、本実施形態の第2縦フレーム部6は、上下梁に対して、ボルト及びナット、ビス、ねじ等の締結部材を用いて締結することで、取付可能である。
【0060】
ここで、
図1~
図3に示すように、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6とは、横フレーム部5の幅方向Bにおいて離間した位置に配置されている。このような構成とすれば、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6とが横フレーム部5の幅方向Bにおいて離間していない構成とする場合と比較して、断熱ラインを形成し易い。つまり、横フレーム部5の幅方向Bにおける、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6との間を、断熱材の配置位置として利用することができ、第1縦フレーム部4及び第2縦フレーム部6を設けても、横フレーム部5の延在方向に沿った連続した断熱ラインを、形成し易くすることができる。
【0061】
なお、
図1に示す開口部構造では、横フレーム部5の幅方向B(
図1では厚み方向Aと同じ方向)における、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6の間の位置に、外壁部1の断熱材1bとは別の断熱材9を配置し、外壁部1の断熱材1bと、開口部2に設けられ断熱性を有する建具10と、の間で断熱ラインが分断されないようにしている。このように、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6とが、横フレーム部5の幅方向Bにおいて離間した位置に配置される開口部構造とすることで、断熱ラインを形成し易くすることができる。
【0062】
特に、本実施形態では、横フレーム部5の幅方向Bにおいて、第1縦フレーム部4と、第2縦フレーム部6と、は重なる位置に配置されている。このように配置することで、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6とが横フレーム部5の幅方向Bにおいて重ならない構成と比較して、第1縦フレーム部4と第2縦フレーム部6とを近くに配置することができる。そのため、断熱ラインを形成し易くしつつ、開口部2を大きく確保し易くなる。
【0063】
次に、
図4を参照して、
図1に示す開口部構造の変形例について説明する。
図4に示す開口部構造は、
図1に示す開口部構造と比較して、第1縦フレーム部の形状が相違しているが、その他の構成は同一である。
【0064】
図4に示す第1縦フレーム部304は、凹形状の断面外形を有する、鋼材から構成される長尺部材であり、底板部321と、この底板部321の両端から起立する第1側板部322及び第2側板部323と、を備えている。そして、
図4に示す第1縦フレーム部304は、凹形状の長尺部材の開口が開口部2側に向くように鉛直方向に延在しており、屋外側に位置する第1側板部322のうち屋外側の面により、サッシ枠3を取付可能な取付面304aが構成されている。また、底板部321は、外壁部1の外装材1aの開口部2側の端面に当接した状態とされている。
【0065】
ここで、
図4に示す第1縦フレーム部304では、厚み方向Aと直交する方向C(
図4では左右方向)における第2側板部323の幅が、同方向Cにおける第1側板部322の幅よりも長く、第2側板部323は、第1側板部322よりも、開口部2側に長く延在している。そして、
図4に示す例では、サッシ枠3は、第1側板部322の取付面304aのみならず、第2側板部323の屋外側の面にも当接した状態で位置決めされている。このようにすることで、サッシ枠3の位置決め精度を、より高めることができる。
【0066】
次に、
図5を参照して、本発明に係る開口部構造の別の実施形態について説明する。本実施形態の開口部構造は、
図1、
図4に示す開口部構造と比較して、第1縦フレーム部が設けられていない点で構成が相違するが、その他の構成は同一である。
【0067】
すなわち、
図5に示すサッシ枠3は、鉛直方向の上下に位置する2つの横フレーム部5の取付面5aにより、横フレーム部5に対して取り付けられており、2つの横フレーム部5の間の位置では、別の部材により強度補強されていない。このように、サッシ枠3を、第1縦フレーム部4に取り付けることなく、横フレーム部5に直接的に取り付けるようにしてもよい。但し、サッシ枠3の補強強度を高める観点では、第1縦フレーム部4を用いることが好ましい。
【0068】
本発明に係るフレーム構造体、サッシユニット及び開口部構造は、上述した具体的な構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。例えば、
図1に示す開口部構造は、予め組み上げられた
図2に示すフレーム構造体100を利用して構成されているが、現場で全てを構築した開口部構造としてもよい。同様に、
図1に示す開口部構造は、予め組み上げられた
図3に示すサッシユニット200を利用して構成されているが、現場で全てを構築した開口部構造としてもよい。
【0069】
また、
図1、
図4、
図5に示す開口部構造では、サッシ枠3から外壁部1の断熱材1b側に向かって突出し、サッシ枠3と断熱材1bとの間の間隙Yを少なくとも狭めている突出部55が設けられている。
図1では、破線で囲まれた領域を右下に拡大して示している。
図1に示すように、突出部55は、間隙Yを狭めているのみならず、突出部55により、間隙Yを閉塞している。突出部55としては、間隙Yの幅を狭めるのみの構成であってもよいが、
図1に示すように、間隙Yを閉塞する構成とすることが好ましい。このようにすれば、間隙Yを通じた空気の移動を、より抑制することができる。
【0070】
より具体的に、
図1、
図4、
図5の突出部55は、復元可能に変形した状態で間隙Yを閉塞しており、間隙Yの幅の変動に追従して変形可能である。つまり、突出部55は、復元力により、間隙Yの幅方向の長さを変動可能なように、湾曲した状態で第2縦フレーム部6の側面板部42に当接している。そのため、例えば間隙Yの幅が拡がると、突出部55は復元力により間隙Yの幅方向の長さが長くなる。逆に、間隙Yの幅が狭まると、突出部55は更に折れ曲がるように変形し、間隙Yの幅方向の長さが短くなる。このように、突出部55によれば、間隙Yの幅の変動に追従して変形可能である。
【0071】
なお、突出部55は、サッシ枠3のサッシ縦枠11の断熱部11bの一部に設けられた、断熱材1bに近づくにつれて細くなる樹脂製のヒレ部により構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、フレーム構造体、サッシユニット、及び、開口部構造、に関する。
【符号の説明】
【0073】
1:外壁部
1a:外装材
1b:断熱材
1c:内装材
2:開口部
3:サッシ枠
4:第1縦フレーム部
4a:取付面
5:横フレーム部
5a:取付面
6:第2縦フレーム部
6a:第1躯体取付部
6b:第2躯体取付部
9:断熱材
10:建具
10a:ガラス板
10b:框
11:サッシ縦枠
11a:本体部
11b:断熱部
11c:突出板部
12:サッシ横枠
12a:本体部
12c:突出板部
21:底板部
22:第1側板部
22a:突出部
23:第2側板部
31:第1鉛直板部
32:第1水平板部
33:第2鉛直板部
34:先端板部
35:第2水平板部
36:基端板部
41:正面板部
42:側面板部
43:後端板部
55:突出部
91:内装枠
100:フレーム構造体
200:サッシユニット
304:第1縦フレーム部
304a:取付面
321:底板部
322:第1側板部
323:第2側板部
Y:間隙
A:外壁部の厚み方向
B:横フレーム部の幅方向
C:体壁部の厚み方向に直交する方向