(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】シールド室を有する埋め込み型パッケージ構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/00 20060101AFI20221014BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20221014BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20221014BHJP
H05K 1/03 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H01L23/28 F
H05K9/00 Q
H05K1/03 610N
H05K1/03 610L
(21)【出願番号】P 2021128682
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】202010791224.4
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521133551
【氏名又は名称】ズハイ アクセス セミコンダクター シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai Access Semiconductor Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】チェン ケンメイ
(72)【発明者】
【氏名】グー ミン
(72)【発明者】
【氏名】フェン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン リナ
(72)【発明者】
【氏名】フアン ベンキア
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ウェンシ
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-303202(JP,A)
【文献】国際公開第2007/069789(WO,A1)
【文献】特開2013-033776(JP,A)
【文献】特開平11-163539(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103367269(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00、23/28
H05K 9/00
H05K 3/46
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層内に埋め込まれたデバイスと前記デバイスを閉塞するシールド室とを含み、前記シールド室は、前記絶縁層に埋め込まれ前記デバイスを周囲から囲繞するシールド壁及び前記シールド壁の第1の端面と第2の端面に被覆された第1の線路層と第2の線路層からなり、前記第1の線路層と第2の線路層は、前記シールド壁に電気的に接続されており、前記シールド壁の第1の端面と前記第1の線路層との間に信号線引出開口が形成されており、前記デバイスの端子を接続する信号線は、前記信号線引出開口を介して前記シールド室から引き出される、
シールド室を有する埋め込み型パッケージ構造。
【請求項2】
前記シールド壁は、銅柱から形成される、
請求項1に記載の埋め込み型パッケージ構造。
【請求項3】
前記信号線の両側に平行な接地シールド線を有する、
請求項1に記載の埋め込み型パッケージ構造。
【請求項4】
前記絶縁層は、パッケージ材料を含む、
請求項1に記載の埋め込み型パッケージ構造。
【請求項5】
前記パッケージ材料は、プリプレグ、ビスマレイミド/トリアジン樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、膜状有機樹脂、エポキシ樹脂またはポリフェニレンェーテルの1種または多種の組合せから選択される、
請求項4に記載の埋め込み型パッケージ構造。
【請求項6】
前記デバイスは、ベアチップ、受動デバイス及びパッケージ体の何れか1種または多種の組合せから選択される、
請求項1に記載の埋め込み型パッケージ構造。
【請求項7】
前記シールド室は、接地する、
請求項1に記載の埋め込み型パッケージ構造。
【請求項8】
(A)貫通キャビティを有する、ポリマー誘電体と前記ポリマー誘電体に埋め込まれ前記貫通キャビティを囲繞するシールド銅柱とを含む枠を作製するステップと、
(B)前記貫通キャビティにデバイスを置き入れるとともに、パッケージ材料を充填して第1の絶縁層を形成するステップと、
(C)前記第1の絶縁層の第1の面にポリマー誘電体を施して第2の絶縁層を形成するステップと、
(D)前記第2の絶縁層に穴あけして前記シールド銅柱の第1の端面と前記デバイスの端子を露出させると同時に、所定の信号線引出開口位置のポリマー誘電体を保留するステップと、
(E)前記デバイスの端子を接続する、前記信号線引出開口位置を通過する信号線を前記第2の絶縁層に形成するステップと、
(F)前記シールド銅柱を第2の絶縁層を超えるように第1の端面から増層して延長させるステップと、
(G)前記シールド銅柱にポリマー誘電体を施して第3の絶縁層を形成するステップと、
(H)第1の絶縁層と第3の絶縁層を薄くして前記シールド銅柱の第1の端面と第2の端面を露出させるステップと、
(I)前記第3の絶縁層と第1の絶縁層に、前記シールド銅柱の第1の端面と第2の端面に被覆されるとともに前記シールド銅柱に電気的に接続される第1の線路層と第2の線路層を形成するステップと、を含む、
シールド室を有する埋め込み型パッケージ構造の製造方法。
【請求項9】
ステップAは、
- 犠牲支持板にフォトレジスト層を施して、露光現像により第1のパターンを形成することと、
- 前記第1のパターンに金属銅をめっきして、シールド銅柱と犠牲銅柱を形成することと、
- 前記フォトレジスト層を除去することと、
- 前記シールド銅柱と犠牲銅柱を被覆するようにポリマー誘電体層を施すことと、
- 前記シールド銅柱と犠牲銅柱の先端面を露出させるように前記ポリマー誘電体層を薄くすることと、
- 前記犠牲支持板を除去することと、
- 前記犠牲銅柱をエッチングして貫通キャビティを形成することであって、前記シールド銅柱が前記貫通キャビティを囲繞することにより、貫通キャビティを有する枠を取得することと、をさらに含む、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
ステップAは、
- 犠牲支持板にフォトレジスト層を施して、露光現像により第1のパターンを形成することと、
- 前記第1のパターンに金属銅をめっきして、シールド銅柱を形成することと、
- 前記フォトレジスト層を除去することと、
- ポリマー誘電体層を施して前記シールド銅柱を被覆することと、
- 前記シールド銅柱の先端面を露出させるように前記ポリマー誘電体層を薄くすることと、
- 前記犠牲支持板を除去することと、
- 前記ポリマー誘電体層を機械的なプレスまたはレーザー穴あけで前記シールド銅柱により囲繞された貫通キャビティを形成することにより、貫通キャビティを有する枠を取得することと、をさらに含む、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
ステップBは、
- 前記枠の一方の面にテープを施すことと、
- 前記貫通キャビティにデバイスを置き入れるとともに、前記デバイスを前記テープに貼着させることと、
- 前記枠の他方の面に、前記デバイスと枠との間の間隙を充填するパッケージ材料を施して、第1の絶縁層を形成することと、
- 前記テープを除去することことと、を含む、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ポリマー誘電体は、プリプレグ、ビスマレイミド/トリアジン樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、膜状有機樹脂、エポキシ樹脂又はポリフェニレンェーテルの1種または多種の組合せから選択される、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項13】
ステップEは、
- 前記信号線の両側にシールド線を形成するとともに、前記シールド線は前記信号線とともに前記信号線引出開口位置を通過することをさらに含む、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項14】
ステップFは、
- 前記第2の絶縁層にフォトレジスト層を施すことと、
- 前記フォトレジスト層を露光現像して穴を形成して、前記シールド銅柱の第1の端面を露出させることと、
- 前記穴に対して銅めっきして、増層シールド銅柱を形成することと、
- 前記フォトレジストを除去することと、をさらに含む、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項15】
ステップHは、
- 機械的研磨またはプラズマエッチングで薄くすることをさらに含む、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項16】
ステップIは、
- 前記シールド銅柱の第1の端面と第2の端面が露出した第3の絶縁層と第1の絶縁層に、シード層を施すことと、
- シード層にフォトレジスト層を施すことと、
- パターニング化して線路パターンを形成することと、
- 線路パターンに銅めっきすることと、
- フォトレジストを剥離して除去することと、
- シード層を除去することと、をさらに含む、
請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスのパッケージ構造に関するものであり、具体的にシールド室を有する埋め込み型パッケージ構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁干渉は、主に、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、トランスミッター、静電気放電及び例えばメカトロリレー、スイッチング電源、雷などの瞬時電力アクチュエータを含む干渉源と、伝送経路と、高感度機器とからなる。マイクロコントローラシステムでは、クロック回路が最大の広帯域ノイズ発生器であり、このノイズは、周波数スペクトル全体に拡散され、大量の高速半導体デバイスの発展に伴い、エッジジャンプレートが速く、このような回路は、300MHzまでの高調波干渉が発生する。
【0003】
電磁干渉による電子システムや電子機器への危害は、強い電磁干渉により、過負荷により高感度電子機器が破壊されるおそれがあり、一般的には、シリコントランジスタのエミッタとベース間の逆方向破壊電圧は、2~5Vで破壊されやすく、またその逆方向破壊電圧は、温度の上昇につれて低下し、電磁干渉によるスパイク電圧は、エミッタ接合と集電接合中のある点の不純物の濃度を増加させて、トランジスタの破壊或いは内部短絡を招くことができ、強い高周波電磁場で動作するトランジスタは、十分なエネルギーを吸収して、接合温度を許容の温度上昇を超えて破損を招いてしまい、発電、送電、給電及び消費電力設備の付加損失を増加させ、設備を過熱させ、設備の効率と利用率を低下させ、高調波電流の周波数が基本波周波数の整数倍であるため、高周波電流が導体を流れると、表皮効果の作用により高調波電流に対する導体の実効抵抗が増加し、設備の電力損失、電気エネルギー損失が増加し、導体の発熱が深刻になってしまう。
【0004】
従来の表面実装製品では、デバイスは、電磁干渉の干渉源やIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの敏感な部分として、通常、パッケージ体の外部(5つの面)に金属ケースを追加することで、大量の電磁放射のオーバーフローや外部の電磁干渉を低減し、第6面にはピンがあり、シールドされていない。
【0005】
従来技術の欠点は、1、パッケージ後の金属ケースシールド追加の方式は、埋め込み製品でなく、表面実装にのみ適用されることと、2、金属ケースを使用すると、5つの方向の電磁放射しか防止できず、シールドされていない別の面からの放射のオーバーフローや侵入を防ぐことができず、電磁放射や干渉は、ピンの位置から影響を与えることができることと、3、ピンは、半田ボールを介してマザーボードに半田付けされており、半田ボールの直径と高さは、現在100ミクロンオーダーが一般的であり、この面は、シールドなしで信号の発信端から伝送路への全体的なシールドを実現し難いことと、という点にある。
そのため、現在、埋め込み型パッケージデバイスに対して、全面的な電磁シールドを実現可能なシールド構造が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、上記の技術課題を解決するために、シールド室構造を有する埋め込み型パッケージ構造及びその製造方法を提供することに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、埋め込み型デバイスの周囲の6つの面に、ほぼ完全に閉塞するシールド室構造を形成することにより、埋め込み型デバイスに対する完璧なシールド効果を実現することによって、隣接するデバイス間の距離を小さくしたり、集積度を高めたり、パッケージ体積を小さくしたりすることができる。
【0008】
本発明の第一態様は、シールド室を有するパッケージ構造に関するものであり、絶縁層内に埋め込まれたデバイスと前記デバイスを閉塞するシールド室とを含み、前記シールド室は、前記絶縁層に埋め込まれ前記デバイスを周囲から囲繞するシールド壁及び前記シールド壁の第1の端面と第2の端面に被覆された第1の線路層と第2の線路層からなり、前記第1の線路層と第2の線路層は、前記シールド壁に電気的に接続されており、前記シールド壁の第1の端面と前記第1の線路層との間に信号線引出開口が形成されており、前記デバイスの端子を接続する信号線は、前記信号線引出開口を介して前記シールド室から引き出される。
【0009】
ある実施形態において、前記シールド壁は、銅柱から形成される。
ある実施形態において、信号線が干渉を受けないように、前記信号線の両側に前記信号線に平行な接地シールド線が設けられている。
ある実施形態において、前記絶縁層は、パッケージ材料を含み、前記パッケージ材料は、通常ポリマー誘電体であり、プリプレグ、ビスマレイミド/トリアジン樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、膜状有機樹脂、エポキシ樹脂またはポリフェニレンェーテルの1種または多種の組合せから選択されることが好ましい。
ある実施形態において、前記デバイスは、ベアチップ、受動デバイス及びパッケージ体の何れか1種または多種の組合せから選択され、好ましくは、前記デバイスは、コンデンサ、インダクタ、RFチップまたは発振器等を含む。
ある実施形態において、前記シールド室は、接地する。
【0010】
本発明の第二態様において、シールド室を有する埋め込み型パッケージ構造の製造方法を提供し、
(A)貫通キャビティを有する、ポリマー誘電体と前記ポリマー誘電体に埋め込まれ前記貫通キャビティを囲繞するシールド銅柱とを含む枠を作製するステップと、
(B)前記貫通キャビティにデバイスを置き入れるとともに、パッケージ材料を充填して第1の絶縁層を形成するステップと、
(C)前記第1の絶縁層の第1の面にポリマー誘電体を施して第2の絶縁層を形成するステップと、
(D)前記第2の絶縁層に穴あけして前記シールド銅柱の第1の端面と前記デバイスの端子を露出させると同時に、所定の信号線引出開口位置のポリマー誘電体を保留するステップと、
(E)前記デバイスの端子を接続する、前記信号線引出開口位置を通過する信号線を前記第2の絶縁層に形成するステップと、
(F)前記シールド銅柱を第2の絶縁層を超えるように第1の端面から増層して延長させるステップと、
(G)前記シールド銅柱にポリマー誘電体を施して第3の絶縁層を形成するステップと、
(H)第1の絶縁層と第3の絶縁層を薄くして前記シールド銅柱の第1の端面と第2の端面を露出させるステップと、
(I)前記第3の絶縁層と第1の絶縁層に、前記シールド銅柱の第1の端面と第2の端面に被覆されるとともに前記シールド銅柱に電気的に接続される第1の線路層と第2の線路層を形成するステップと、を含む。
【0011】
ある実施形態において、ステップAは、
- 犠牲支持板にフォトレジスト層を施して、露光現像により第1のパターンを形成することと、
- 前記第1のパターンに金属銅をめっきして、シールド銅柱と犠牲銅柱を形成することと、
- 前記フォトレジスト層を除去することと、
- 前記シールド銅柱と犠牲銅柱を被覆するようにポリマー誘電体層を施すことと、
- 前記シールド銅柱と犠牲銅柱の先端面を露出させるように前記ポリマー誘電体層を薄くすることと、
- 前記犠牲支持板を除去することと、
- 前記犠牲銅柱をエッチングして貫通キャビティを形成することであって、前記シールド銅柱が前記貫通キャビティを囲繞することにより、貫通キャビティを有する枠を取得することと、をさらに含む。
【0012】
他の実施形態において、ステップAは、
- 犠牲支持板にフォトレジスト層を施して、露光現像により第1のパターンを形成することと、
- 前記第1のパターンに金属銅をめっきして、シールド銅柱を形成することと、
- 前記フォトレジスト層を除去することと、
- ポリマー誘電体層を施して前記シールド銅柱を被覆することと、
- 前記シールド銅柱の先端面を露出させるように前記ポリマー誘電体層を薄くすることと、
- 前記犠牲支持板を除去することと、
- 前記ポリマー誘電体層を機械的なプレスまたはレーザー穴あけで前記シールド銅柱により囲繞された貫通キャビティを形成することにより、貫通キャビティを有する枠を取得することと、をさらに含む、
【0013】
ある実施形態において、ステップBは、
- 前記枠の一方の面にテープを施すことと、
- 前記貫通キャビティにデバイスを置き入れるとともに、前記デバイスを前記テープに貼着させることと、
- 前記枠の他方の面に、前記デバイスと枠との間の間隙を充填するパッケージ材料を施して、第1の絶縁層を形成することと、
- 前記テープを除去することと、を含む。
【0014】
ある実施形態において、前記ポリマー誘電体は、プリプレグ、ビスマレイミド/トリアジン樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、膜状有機樹脂、エポキシ樹脂又はポリフェニレンェーテルの1種または多種の組合せから選択される。好ましくは、前記ポリマー誘電体は、例えば、感光型ポリイミドまたは感光型ポリフェニレンェーテルのような感光性樹脂材料でもよい。
【0015】
ある実施形態において、ステップEは、
- 前記信号線の両側にシールド線を形成するとともに、前記シールド線は、前記信号線とともに前記信号線引出開口位置を通過することをさらに含む。
【0016】
ある実施形態において、ステップFは、
- 前記第2の絶縁層にフォトレジスト層を施すことと、
- 前記フォトレジスト層を露光現像して穴を形成して、前記シールド銅柱の第1の端面を露出させることと、
- 前記穴に対して銅めっきして、増層シールド銅柱を形成することと、
- 前記フォトレジストを除去することと、をさらに含む。
【0017】
ある実施形態において、ステップHは、
- 機械的研磨またはプラズマエッチングで薄くすることをさらに含む。
【0018】
ある実施形態において、ステップIは、
- 前記シールド銅柱の第1の端面と第2の端面が露出した第3の絶縁層と第1の絶縁層に、シード層を施すことと、
- シード層にフォトレジスト層を施すことと、
- パターニング化して線路パターンを形成することと、
- 線路パターンに銅めっきすることと、
- フォトレジストを剥離して除去することと、
- シード層を除去することと、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明をよりよく理解し、本発明の実施形態を示すために、以下、単に例を挙げて図面を参照する。
具体的に図面を参照して、強調しなければならないのは、特定の図面が例示であり、本発明の好ましい実施形態を模式的に検討する目的であり、かつ、本発明の原理と概念を説明するには、最も役に立つとともに、最も理解しやすい図面と思われるという理由で図面を提供するものである。これについては、本発明の構造の詳細を、本発明の基本的な理解に必要な詳細レベルを超えて図示しようとはしなかった。図面の簡単な説明を参照して、当業者が本発明のいくつかの形態をどのように実際に実施するかを意識する。図面において、
図1~
図2(a)~2(q)は、以下を説明する。
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に基づくシールド室を有する埋め込み型パッケージ構造の断面模式図である。
【
図2-1】
図2(a)~2(q)は、
図1に示すパッケージ構造の製造方法の各ステップによる中間構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0021】
100:埋め込み型パッケージ構造
110:犠牲支持板
120:フォトレジスト層
121:第1の端面
122:第2の端面
130:犠牲銅柱
131:シールド銅柱
131:シールド壁
132:シールド線
133:信号線
135:第1の線路層
136:第2の線路層
140:ポリマー誘電体層
140:枠
141:第1の絶縁層
142:樹脂材料
142:第2の絶縁層
143:第3の絶縁層
150:貫通キャビティ
160:テープ
170:デバイス
170:第1の絶縁層141内に埋め込まれたデバイス
171:デバイス170の端子
171:デバイスの端子面
180:シールド室
181:リード開口
181:信号線引出開口
181:信号線引出開口位置
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、埋め込み型パッケージ構造100の断面模式図を示す。パッケージ構造100は、第1の絶縁層141と、第1の絶縁層141内に埋め込まれたデバイス170と、デバイス170を囲繞して閉塞するシールド室180と、を含み、シールド室180は、ポリマー誘電体層140に埋め込まれデバイス170を周囲から囲繞するシールド壁131及びシールド壁131の第1の端面121と第2の端面122に被覆された第1の線路層135と第2の線路層136からなり、第1の線路層135と第2の線路層136は、シールド壁131に電気的に接続される。シールド壁131と第1の線路層135との間にリード開口181が形成されており、デバイス170の端子171を接続する信号線133は、信号線引出開口181を介してシールド室180から引き出される。
【0023】
第1の絶縁層141は、パッケージ材料でもよく、通常、ポリマー誘電体であり、プリプレグ、ビスマレイミド/トリアジン樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、膜状有機樹脂(ABF)、エポキシ樹脂又はポリフェニレンェーテルの1種又は多種の組み合わせから選択されることが好ましい。好ましくは、第1の絶縁層141は、熱硬化性樹脂材料(例えば、Taiyo Zaristo909S)または感光性樹脂材料(例えば、Hitachi PVF-02)でもよい。
【0024】
埋め込みデバイス170は、電磁干渉を放射する、または電磁干渉に敏感なデバイスでもよく、ベアチップ、受動デバイス及びパッケージ体の何れか1種または多種の組合せでもよい。好ましくは、前記デバイスは、コンデンサ、インダクタ、RFチップまたは発振器等を含む。
【0025】
シールド壁131は、銅ビア柱からなる回字状構造でもよく、4つの面からデバイス170を囲繞して、横方向の電磁干渉を防止する。
【0026】
デバイス170の端子171から引き出された信号線133の両側にシールド線132をさらに設けることができ、シールド線132は、シールド壁に接続されたり、接地したりすることができることによって、信号線133が伝送中に電磁干渉を受けないようにする。
【0027】
信号線133は、シールド室180から引き出された後で、基板に電気的に接続するための端子を形成することができる。
【0028】
図2(a)~2(o)を参照して、
図1のシールド室を有する埋め込み型パッケージ構造100の製造方法の各ステップによる中間構造を示す模式図である。
【0029】
埋め込み型パッケージ構造100の製造方法は以下のステップを含む。
【0030】
図2(a)に示すように、犠牲支持板110にフォトレジスト層120を施して、露光現像により第1のパターンを形成する。犠牲支持板110は、ガラス基板、犠牲銅箔又は銅張板(CCL)でもよく、例えば、片面又は両面に二層銅箔が被覆された銅張板でもよい。本発明は、片面又は両面の増層を犠牲支持板により行うことができ、本実施形態において片面の増層のみを例に示している。
【0031】
図2(b)に示すように、第1のパターンに金属銅をめっきするとともにフォトレジスト層120を除去し、シールド銅柱131と犠牲銅柱130を形成する。金属銅をめっきするには、通常、電気めっきにより行うことができ、第1のパターンは、設計に応じて、例えば、導通特徴構造のための導通銅柱など、より多くの銅柱を含むことができる。
【0032】
図2(c)に示すように、シールド銅柱131と犠牲銅柱130を被覆するようにポリマー誘電体層140を施し、次にシールド銅柱131と犠牲銅柱130の先端面を露出させるようにポリマー誘電体層140を薄くする。ポリマー誘電体層140は、枠の本体を構成し、枠に剛性支持を提供し、通常、プリプレグ、ビスマレイミド/トリアジン樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、膜状有機樹脂(ABF)、エポキシ樹脂又はポリフェニレンェーテルの1種又は多種の組合せから選択される。
【0033】
図2(d)は、
図2(c)の平面図であり、
図2(c)は、
図2(d)のA-A‘線に沿った断面図である。
図2(d)に示すように、シールド銅柱131と犠牲銅柱130は、シールド銅柱131が犠牲銅柱130を囲繞する「回」字状のパターンを形成する。
次に、
図2(e)に示すように、犠牲支持板110を除去する。
【0034】
その後、
図2(f)に示すように、犠牲銅柱130をエッチングして、ポリマー誘電体層140に貫通キャビティ150を形成し、ここで、シールド銅柱131が貫通キャビティ150を囲繞することにより、貫通キャビティ150を有する枠140を取得する。犠牲支持板110が二層銅箔銅張板であると、二層銅箔は、物理的な圧着により接着されているため、簡単に二層銅箔を分離することで銅張板を除去することができ、枠140に接着された単層銅箔をエッチングで除去することができる。犠牲銅柱130をエッチングする方法は、フォトレジストでパターニング化してエッチングバリア層を形成し、エッチング
【0035】
後にエッチングバリア層を除去するものでもよい。
【0036】
代替方案として、貫通キャビティ150を有するものを形成する方法は、犠牲支持板110に「口」字状のシールド銅柱131のみを形成し、ポリマー誘電体層140を積層してシールド銅柱131の先端面を露出させるように薄くした後で、犠牲支持板110を除去し、ポリマー誘電体層140を機械的にプレスしまたはレーザ穴あけして、シールド銅柱131により囲繞された貫通キャビティ150を形成することにより、貫通キャビティ150を有する枠140を取得することをさらに含むことができる。
【0037】
図2(g)は
図2(f)の平面図であり、ここで、シールド銅柱131は、貫通キャビティ150を囲繞する「口」字状のシールド壁に形成されている。
【0038】
次に、
図2(h)に示すように、枠140の一方の面にテープ160を施して、貫通キャビティ150にデバイス170を置き入れるとともに、デバイス170をテープ160に貼り付けて固定させる。テープ160は、熱分解型または光分解型のテープでもよく、加熱または紫外光を照射することにより崩壊することができる。エッチング後のキャビティ150の領域内にデバイス170を置き、デバイス170は、外部に対して電磁干渉を発生するコンデンサ、インダクタなどでもよいし、干渉に強いことが求められるRFチップ、発振器などの機能デバイスでもよい。デバイス170は、テープ160で仮固定され、デバイスの端子面171はテープ160に固定される。
複数のデバイス170は、機能や設計に応じて同一のキャビティ150内に貼り付けられてもよいし、異なるデバイス間の相互干渉を防止するために独立したシールド壁を有する独立したキャビティ内に貼り付けられてもよいし、シールドが不要な複数のデバイスが、シールド構造がない1つまたは複数のキャビティ内に設けられてもよい。
【0039】
デバイス170の厚さとキャビティ150の深さとの間の高さの差は、5μm以上で、通常5~30μmのはずであるが、埋め込まれたデバイス170が極高圧条件で動作している場合、パッケージ材料の耐電圧性能に応じてデバイスの裏面とキャビティ150の上縁との間の高さの差を適切に大きくして、破壊されるのを防止することができ、例えば、埋め込まれたデバイスが12Vの電圧で動作している場合、高さの差を15μmに抑えることができるが、埋め込まれたデバイスが650Vの電圧で動作している場合、高さの差を50~70μmに抑えるべきである。勿論、この高さの差は、限定されるものではなく、パッケージ材料の耐電力性能を選択することで決定することができる。
【0040】
その後、
図2(i)に示すように、枠140の他方の面にパッケージ材料を施して第1の絶縁層141を形成し、パッケージ材料をデバイス170と枠140との間の間隙を充填させる。パッケージ材料は、通常、良好な間隙充填能力を有することが必要であり、フィルム状、粉末状又は液状であることが好ましく、キャビティ150とデバイス170との間の間隙をフィルム貼り、射出、塗布/スクリーン印刷により充填することができ、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、膜状有機樹脂(ABF)、ポリフェニレンェーテル又はエポキシ樹脂等から選択されることが好ましく、ポリマー誘電体層140と同一又は異なるものでもよい。枠140は、通常、構造に剛性支持を提供する必要があり、パッケージ材料は、通常、良好な間隙充填能力を有する必要があるため、両者が異なるパッケージ材料を組み合わせて用いることが好ましく、例えば、プリプレグ(PP)やBT樹脂を枠材料として用い、膜状有機樹脂(ABF)を第1の絶縁層141として用いることができ、ABFは、良好な流動性を有して、デバイス間の間隙をよく充填することができ、PPやBTはガラス繊維構造を有するため、十分な剛性支持を提供することができる。
【0041】
次に、
図2(j)に示すように、テープ160を除去する。加熱または紫外光を照射することによりテープ160を崩壊させて除去することができる。
【0042】
その後、
図2(k)に示すように、第1の絶縁層141の第1の面(下面)であるデバイスの端子面171に樹脂材料を施して板面全体を被覆し、第2の絶縁層142を形成する。第2絶縁層142の材料は、プリプレグ(PP)や、例えば、ABF、PI、PPOなどのフィルム状の増層材料でもよい。
【0043】
その後、シールド銅柱131の下端面とデバイス170の端子面171を露出させるように第2の絶縁層142に穴あけするが、信号線がシールド銅柱131に接触するのを回避するために、所定の信号線引出開口位置の樹脂は保留され、次に、
図2(l)に示すように、信号線133が信号線引出開口位置181を通過するように、デバイス170の端子171を接続する信号線133を第2の絶縁層142に形成する。同時に、導通銅柱がシールド銅柱131と同期して増層できるように、例えば、導通銅柱などの他の銅柱の下端面を開けて露出させることもできる。
【0044】
第2の絶縁層142を開けて銅柱の下端面を露出させる方式は、レーザー穴あけが一般的であり、それに限定されるものではない。例えば、樹脂材料142が感光性樹脂材料(例えば、PI)を用いると、露光現像で直接行うことができる。
【0045】
図2(l)は、
図2(k)の底面図であり、ここで、
図2(k)は、
図2(l)のB-B’線に沿った断面図である。信号線133の両側に通常、信号線133と平行なシールド線132がそれぞれ設けられており、この信号線133と平行な2本のシールド線132は最終的に接地することによって、信号線133上の高周波信号による電磁誘導が直ちに地下に導入され、他の線路や周囲デバイスへの電磁干渉が回避される。
【0046】
次に、
図2(m)に示すように、シールド銅柱131を露出した下端面から下方に向かって増層して、第2の絶縁層142を超えるように延長させる。同時に、例えば導通銅柱のような他の銅柱に対して同時に増層を行うことができる。この増層は、珠海越亜のコアレス基板増層工程を採用することができ、例えば、第2の絶縁層142にフォトレジスト層を施し、フォトレジスト層をパターニング化して穴を形成し、シールド銅柱131の下端面を露出させ、穴に対して銅めっきして増層し、増層シールド銅柱131を形成し、フォトレジストを除去する。
【0047】
その後、
図2(n)に示すように、シールド銅柱131の下端面にポリマー誘電体を施して第3の絶縁層143を形成する。
【0048】
次に、
図2(o)に示すように、両面を薄くし、シールド銅柱131の下端面と先端面を露出させるように、第1の絶縁層141と第3の絶縁層143を薄くする。同時に、さらに増層しやすいために、導通銅柱の2つの端面を露出させることもできる。薄くする工程は、化学機械的研磨又はプラズマエッチング(plasmaエッチング)等を用いることができる。
【0049】
最後に、
図2(p)に示すように、第1の線路層135と第2の線路層136がシールド銅柱131の先端面と下端面に被覆されるとともにシールド銅柱131に電気的に接続されるように、第3の絶縁層143と第1の絶縁層141に第1の線路層135と第2の線路層136をそれぞれ形成する。
【0050】
通常、配線層は、銅又はアルミニウム製であり、層間導通銅柱を介して第1及び第2の線路層135、136を導通させることができる。第1の配線層135と第2の配線層136を形成する工程は、第3の絶縁層143の下面と第1の絶縁層141の上面にそれぞれ例えば銅、チタン等の金属のようなシード層をスパッタリングする工程を含むことができ、その後、フォトレジストを施して、パターニング化して貫通孔または特徴構造を形成してから、パターンに銅を電気めっきして、フォトレジストを剥離して除去した後で、露出したシード層をエッチングする。
【0051】
その後、線路層135、136に絶縁層と特徴層をさらに施し続けて増層操作を行い、例えば、パッケージオンパッケージなどの多層相互接続構造を形成することができる。
【0052】
これにより、「口」字状シールド銅柱131は、上下の二層線路層135、136とともにデバイス170を囲繞するシールド室180を形成する。信号線引出開口181を除いて、シールド室180はデバイス170をほとんど閉塞して封止する。信号線引出開口181の幅(即ち、第2の絶縁層の厚さ)は、信号線133の幅の2~4倍しかなく、信号線133の両側に平行なシールド線132があるため、本発明のシールド室180は、シールド室180におけるデバイスから発した、又は誘導した電磁干渉を最小化にするように、ほぼ完璧なデバイス電磁シールドを実現することができる。
【0053】
シールド室180は、信号クロストークを回避するためにシールド室180の表面で発生した電磁誘導電流をリアルタイムで大地に導入するように、最終的に接地する必要がある。シールド線132は、シールド銅柱131を接続することで接地することができる。
【0054】
図2(q)は、
図2(p)のA-A∧線に沿った断面図である。信号線133は、シールド線132とともに信号線引出開口181を介してシールド室180から引き出されることができる。デバイス170の端子171から引き出された信号線133は、例えば、PCB基板のような基板を接続するために、穴あけ、銅充填などの工程により第3の絶縁層143に端子を形成することができる。
【0055】
作製の最後に、パッケージパネル枠を分割して、個々のパッケージ部材に分割することができる。分割または切断は、例えばレーザのような回転鋸刃やその他の切断技術を用いて実現することができる。
【0056】
当業者は、本発明が上記の具体的な図示と説明の内容に限らないことを意識する。そして、本発明の範囲は別紙の特許請求の範囲によって限定され、上記の各技術的特徴の組み合わせとサブ組み合わせ、およびその変化と改善を含めて、当業者は上記の説明を読んだ後、このような組み合わせ、変化と改善を予見し得る。
【0057】
特許請求の範囲において、「含む」という用語および「包含」、「含有」のようなその変体とは、列挙される部材が含まれているが、他の部材を一般的に除外しないことを指す。