IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルセロールミタルの特許一覧

特許7158569金属製品の製造をモニタリングするための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラムならびに設備
<>
  • 特許-金属製品の製造をモニタリングするための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラムならびに設備 図1
  • 特許-金属製品の製造をモニタリングするための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラムならびに設備 図2
  • 特許-金属製品の製造をモニタリングするための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラムならびに設備 図3
  • 特許-金属製品の製造をモニタリングするための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラムならびに設備 図4
  • 特許-金属製品の製造をモニタリングするための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラムならびに設備 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】金属製品の製造をモニタリングするための方法および電子デバイス、関連するコンピュータプログラムならびに設備
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20221014BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20221014BHJP
   B21B 38/00 20060101ALI20221014BHJP
   B21B 38/04 20060101ALI20221014BHJP
   B21B 1/26 20060101ALI20221014BHJP
   C23C 2/06 20060101ALI20221014BHJP
   C23C 2/40 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B21C51/00 E
B21C51/00 K
B21C51/00 P
B21C51/00 R
B21C51/00 D
B21B38/00 C
B21B38/00 E
B21B38/00 F
B21B38/04 B
B21B38/04 Z
B21B1/26
C23C2/06
C23C2/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021512708
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 IB2019057525
(87)【国際公開番号】W WO2020049515
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2018/056804
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルワン,ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】アルビオル,ジャン-ミシェル
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06430461(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B21C 51/00
B21B 38/00
B21B 38/04
B21B 1/26
C23C 2/06
C23C 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製品(6)の製造をモニタリングするための方法であって、金属製品(6)は、製造プロセスにしたがって製造され、製造プロセスは、最終特性を有する最終金属製品を得るための製造ルートを含み、製造ルートは、それぞれが中間特性を有する1つまたは数個の中間的な金属製品を含み、製造がモニタリングされる金属製品(6)は、最終金属製品であり、金属製品(6)は、スラブ、コイル、ビーム、ブルーム、ビレット、およびスチール製品から成る群の中から選択され、モニタリング方法は、電子モニタリングデバイス(10)によって実装され、以下の、
- 少なくとも1つの代表的パラメータの測定値を取得するステップ(100)であって、各代表的パラメータは、最終金属製品(6)に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである、ステップ(100)と、
- 少なくとも1つの取得値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で最終金属製品(6)の状態を判定するステップ(130)と、
- 判定された状態が分析状態であるとき、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、最終金属製品に適用される是正アクションを計算するステップ(150)であって、是正アクションのセットは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れを含む、ステップ(150)と
を含む、方法。
【請求項2】
是正アクションを計算するステップ(150)が、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較すること、および値のそれぞれの事前定義された許容範囲の外側の取得値ごとに異常事象を識別することを含み、
各異常事象が、金属製品(6)の基本ゾーンに関連付けられ、基本ゾーンが、長手方向に沿った長さを有し、各基本ゾーンが、異常基本ゾーンとして識別される少なくとも1つの異常事象を伴い、
すべての異常基本ゾーンの累積長さが、金属製品(6)の長さの事前定義された割合よりも大きいとき、計算された是正アクションが製品のダウングレーディングであり、
そうでない場合、すべての異常基本ゾーンの累積長さが、金属製品(6)の長さの前記事前定義された割合以下であるとき、計算された是正アクションが製品の修理である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法が、事前定義された閾値に対する取得値の比較を含む試験にしたがって少なくとも1つの取得値を検証するステップ(110)をさらに含み、次いで、取得値の中から検証された値に基づいて製品の状態が判定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
方法が、取得値の中から検証された少なくとも1つの値から、金属製品(6)の少なくとも1つの特性をモデリングするステップ(120)をさらに含み、モデリングされた特性に対して製品の状態がさらに判定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
金属製品(6)に関する各パラメータが、製品(6)の機械的性質に関するパラメータ、製品(6)の粗さに関するパラメータ、製品(6)の化学組成に関するパラメータ、製品(6)のコーティングの性質に関するパラメータ、製品(6)の寸法に関するパラメータ、製品(6)の表面様相に関するパラメータ、および製品(6)の欠陥研究に関するパラメータから成る群の中からのパラメータである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
製造プロセスに関する各パラメータが、製造プロセスのタイプに応じたパラメータである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
金属製品(6)の状態を判定するステップ(130)が、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された準拠範囲と比較することを含み、値の各それぞれの事前定義された準拠範囲が、対応する少なくとも1つの目標に応じており、前記取得値が、値のそれぞれの事前定義された準拠範囲に属する場合、判定された状態は準拠状態であり、そうではない場合、判定された状態は分析状態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
是正アクションを計算するステップ(150)が、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較することを含み、値の各それぞれの事前定義された許容範囲が、対応する少なくとも1つの目標に応じており、値の対応する事前定義された準拠範囲を含み、少なくとも1つのパラメータについて、事前定義された許容範囲が、事前定義された準拠範囲を厳密に含み、
金属製品(6)が特定の製品としてタグ付けされているか、または対応するパラメータが特定であるとタグ付けされている場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションが製品の専門的助言に等しい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
金属製品(6)が特定の製品としてタグ付けされておらず、対応するパラメータが特定であるとタグ付けされていない場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションが製品の受け入れに等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
是正アクションを計算するステップ(150)が、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較することを含み、値の各それぞれの事前定義された許容範囲が、対応する少なくとも1つの目標に応じており、値の対応する事前定義された準拠範囲と互いに素であり、
金属製品(6)が特定の製品としてタグ付けされているか、または対応するパラメータが特定であるとタグ付けされている場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションが製品の専門的助言に等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
金属製品(6)が特定の製品としてタグ付けされておらず、対応するパラメータが特定であるとタグ付けされていない場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションが製品の受け入れに等しい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
是正アクションを計算するステップ(150)が、値のそれぞれの事前定義された許容範囲の外側で、取得値ごとに異常事象を識別することを含み、この場合、計算された是正アクションは、最悪の異常事象に応じており、最悪の異常事象は、値の対応する事前定義された許容範囲に対して最大の偏差を有する事象である、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行されると、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実装するソフトウェア命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
金属製品(6)の製造をモニタリングするための電子モニタリングデバイス(10)であって、金属製品(6)は、製造プロセスにしたがって製造され、製造プロセスは、最終特性を有する最終金属製品を得るための製造ルートを含み、製造ルートは、それぞれが中間特性を有する1つまたは数個の中間的な金属製品を含み、製造がモニタリングされる金属製品(6)は、最終金属製品であり、金属製品(6)は、スラブ、コイル、ビーム、ブルーム、ビレット、およびスチール製品から成る群の中から選ばれ、電子モニタリングデバイス(10)は、
- 少なくとも1つの代表的パラメータの測定値を取得するために構成された取得モジュール(30)であって、各代表的パラメータは、最終金属製品(6)に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである、取得モジュール(30)と、
- 少なくとも1つの取得値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で最終金属製品(6)の状態を判定するために構成された判定モジュール(32)と、
- 判定された状態が分析状態であるとき、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、最終金属製品に適用される是正アクションを計算するために構成された計算モジュール(34)であって、是正アクションのセットは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れを含む、計算モジュール(34)と
を備える、電子モニタリングデバイス(10)。
【請求項15】
金属製品(6)を送達するための設備(5)であって、
- 製造プロセスにしたがって金属製品(6)を製造するための製造ライン(8)、
- 金属製品(6)の製造をモニタリングするための電子モニタリングデバイス(10)
を備え、
電子モニタリングデバイス(10)は、請求項14に記載の電子モニタリングデバイスである、設備(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製品の製造をモニタリングするための方法に関し、金属製品は、製造プロセスにしたがって製造され、モニタリング方法は、電子モニタリングデバイスによって実装される。
【0002】
本発明は、プロセッサによって実行されると、そのようなモニタリング方法を実装するソフトウェア命令を含むコンピュータプログラムにも関する。
【0003】
本発明は、金属製品の製造をモニタリングするための電子モニタリングデバイスにも関する。
【0004】
本発明は、金属製品を送達するための設備にも関し、設備は、製造プロセスにしたがって金属製品を製造するための製造ライン、およびそのような電子モニタリングデバイスを備える。
【背景技術】
【0005】
多くの産業、特に鉄鋼産業などの金属製品製造の産業では、製品は、1つ以上の段階を含む連続的または準連続的なプロセスを用いて製造され、得られる製品が事前定義された所望の特性に準じていることを保証するために、プロセスの適切な実行がモニタリングされなければならない。製造段階のそれぞれは、プロセスパラメータ用の設定ポイントを適用することによって遂行され、これらの設定ポイントは、製造プロセスの終わりに製品に対する所望の特性が得られるような方法で選択される。
【0006】
そのような金属製品の製造をモニタリングするために、設定ポイントと関連付けられたプロセスパラメータは記録され、これらのプロセスパラメータが設定ポイントに準拠すること、つまり各パラメータが対応する設定ポイントから大きすぎる値で外れないことが、常にチェックされる。加えて、得られた製品の特性は測定され、仕様と比較される。
【0007】
偏差が認められたとき、アラートが発せられ、オペレータは発せられたアラートに基づいて特定のアクションを行う。
【0008】
米国特許出願公開第2014/0005981(A1)号は、例えば、スチールクラス内でのスチール製品の試験の間の、統計的な品質保証のための方法を説明している。この文献は、製造プロセスの間に製品のサンプルから、スチール製品の機械的特性の値を取得することを開示している。次に取得値は、同一の機械的特性の以前に記録された値と比較される。取得値と以前に記録された値との間の統計的な偏差が計算され、この計算された偏差に基づいて、最終的なスチール製品に対する所望の機械的特性を得る確率が算出される。
【0009】
EP1608472B1は、品質を改善して厳しい性質要求を達成するために、コイルが圧延される際の、熱間圧延コイルの長さに対するオンラインの性質予測のためのシステムを開示しており、コイルの長さに沿ってほぼ均一な機械的特性を得るために、オペレータが是正アクションを取ることを可能にする。この文献は、特にストリップをダウンコイラでコイリングする前に、ストリップを冷却することを説明している。
【0010】
しかしながら、このような方法は最適ではなく、各オペレータによる重要な分析的な作業を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2014/0005981号明細書
【文献】欧州特許第1608472号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2761474号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2761475号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2761476号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、金属製品の製造をモニタリングするための、より信頼性があり効率的なコンピュータによる実装方法および関連する電子デバイスを提供し、それにより製造プロセスの生産性を高めることである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、製造プロセスの生産性を損なうことなく、顧客に送達される製品の品質レートを高めることを可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のため、本発明の主題は、金属製品の製造をモニタリングするための方法であって、金属製品は、製造プロセスにしたがって製造され、製造プロセスは、最終特性を有する最終金属製品を得るための製造ルートを含み、製造ルートは、それぞれが中間特性を有する1つまたは数個の中間的な金属製品を含み、製造がモニタリングされる金属製品は、最終金属製品であり、金属製品は:スラブ、コイル、ビーム、ブルーム、ビレット、およびスチール製品から成る群の中から選択され、モニタリング方法は、電子モニタリングデバイスによって実装され、以下の:
- 少なくとも1つの代表的パラメータの測定値を取得するステップであって、各代表的パラメータは、金属製品に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである、ステップと、
- 少なくとも1つの取得値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で金属製品の状態を判定するステップと、
- 判定された状態が分析状態であるとき、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、製品に適用される是正アクションを計算するステップであって、是正アクションのセットは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れを含む、ステップと
を含む。
【0015】
本発明の他の有利な態様によると、方法は以下の特徴のうち、別個にとられる、または技術的に可能な任意の組み合わせにしたがってとられる、1つまたは数個を含む:
- 是正アクションのセットは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れから成る;
- 方法は、コヒーレンス試験にしたがって少なくとも1つの取得値を検証するステップをさらに含み、次いで、取得値の中から検証された値に基づいて製品の状態が判定される;
- 方法は、取得値の中から検証された少なくとも1つの値から、金属製品の少なくとも1つの特性をモデリングするステップをさらに含み、モデリングされた特性に対して製品の状態がさらに判定される;
- 金属製品に関する各パラメータは:製品の機械的性質に関するパラメータ、製品の粗さに関するパラメータ、製品の化学組成に関するパラメータ、製品のコーティングの性質に関するパラメータ、製品の寸法に関するパラメータ、製品の表面様相に関するパラメータ、および製品の欠陥研究(defectology)に関するパラメータから成る群の中からのパラメータである;
- 製造プロセスに関する各パラメータが、溶融亜鉛めっきプロセスまたは熱間圧延プロセスなどの製造プロセスのタイプに応じたパラメータである;
- 製造プロセスが、溶融亜鉛めっきプロセスである場合、製造プロセスに関する各パラメータが、例えば:アニーリング炉に関するパラメータ、スナウトに関するパラメータ、コーティング浴に関するパラメータ、およびスキンパスに関するパラメータから成る群の中から選択され;
製造プロセスが、熱間圧延プロセスである場合、製造プロセスに関する各パラメータが:再熱炉に関するパラメータ、粗圧延機に関するパラメータ、仕上げ圧延機に関するパラメータ、ランアウトテーブルに関するパラメータ、およびコイラに関するパラメータから成る群から選択される;
- 金属製品の状態を判定するステップは、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された準拠範囲と比較することを含み、値の各それぞれの事前定義された準拠範囲が、対応する少なくとも1つの目標に応じており、前記取得値が値のそれぞれの事前定義された準拠範囲に属する場合、判定された状態は準拠状態であり、そうではない場合、判定された状態は分析状態である;
- 是正アクションを計算するステップは、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較することを含み、値の各それぞれの事前定義された許容範囲が、対応する少なくとも1つの目標に応じており、値の対応する事前定義された準拠範囲を含み、少なくとも1つのパラメータについて、事前定義された許容範囲が、事前定義された準拠範囲を厳密に含み、
金属製品が特定の製品としてタグ付けされているか、または対応するパラメータが特定であるとタグ付けされている場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションは製品の専門的助言に等しい;
- 金属製品が特定の製品としてタグ付けされておらず、対応するパラメータが特定であるとタグ付けされていない場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションは製品の受け入れに等しい;
- 是正アクションを計算するステップは、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較することを含み、値の各それぞれの事前定義された許容範囲が、対応する少なくとも1つの目標に応じており、値の対応する事前定義された準拠範囲と互いに素であり、
金属製品が特定の製品としてタグ付けされているか、または対応するパラメータが特定であるとタグ付けされている場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションは製品の専門的助言に等しい;
- 金属製品が特定の製品としてタグ付けされておらず、対応するパラメータが特定であるとタグ付けされていない場合、および前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属している場合、計算された是正アクションは製品の受け入れに等しい;
- 是正アクションを計算するステップは、値のそれぞれの事前定義された許容範囲の外側で、取得値ごとに異常事象を識別することを含み、この場合計算された是正アクションは最悪の異常事象に応じており、最悪の異常事象は、値の対応する事前定義された許容範囲に対して最大の偏差を有する事象である;
- 是正アクションを計算するステップは、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較すること、および値のそれぞれの事前定義された許容範囲の外側の取得値ごとに異常事象を識別することを含み、
各異常事象が、金属製品の基本ゾーンに関連付けられ、基本ゾーンが、長手方向に沿った長さを有し、各基本ゾーンが、異常基本ゾーンとして識別される少なくとも1つの異常事象を伴い、
すべての異常基本ゾーンの累積長さが、金属製品の長さの事前定義された割合よりも大きいとき、計算された是正アクションが製品のダウングレーディングであり、
そうでない場合、すべての異常基本ゾーンの累積長さが、金属製品の長さの前記事前定義された割合以下であるとき、計算された是正アクションは製品の修理である;
- 製品の修理は、各異常基本ゾーンを切断することを含む;
- 切断される異常基本ゾーンが、金属製品の一端部にない場合、製品の修理は切断される異常基本ゾーンの両側にある金属製品の部分を溶接することをさらに含む。
【0016】
本発明の主題は、プロセッサによって実行されると、上に定義した方法を実装するソフトウェア命令を含むコンピュータプログラムでもある。
【0017】
本発明の主題は、金属製品の製造をモニタリングするための電子モニタリングデバイスでもあって、金属製品は、製造プロセスにしたがって製造され、製造プロセスは、最終特性を有する最終金属製品を得るための製造ルートを含み、製造ルートは、それぞれが中間特性を有する1つまたは数個の中間的な金属製品を含み、製造がモニタリングされる金属製品は、最終金属製品であり、金属製品は:スラブ、コイル、ビーム、ブルーム、ビレット、およびスチール製品から成る群の中から選ばれ、電子モニタリングデバイスは:
- 少なくとも1つの代表的パラメータの測定値を取得するために構成された取得モジュールであって、各代表的パラメータは金属製品に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである、取得モジュールと、
- 少なくとも1つの取得値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で金属製品の状態を判定するために構成された判定モジュールと、
- 判定された状態が分析状態であるとき、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、製品に適用される是正アクションを計算するために構成された計算モジュールであって、是正アクションのセットは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れを含む、計算モジュールと
を備える。
【0018】
本発明の主題は、金属製品を送達するための設備でもあって:
- 製造プロセスにしたがって金属製品を製造するための製造ラインと、
- 金属製品の製造をモニタリングするための電子モニタリングデバイスと
を備え、電子モニタリングデバイスは上に定義したデバイスである。
【0019】
本発明は、単なる例として、および添付の図面を参照して与えられる以下の説明を読むとより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】製造ラインが熱間圧延ラインである第1の実施形態による、金属製品の製造のための製造ラインと、金属製品の製造をモニタリングするための電子モニタリングデバイスとを備える、金属製品を送達するための設備の概略図である。
図2】製造ラインが亜鉛めっきラインである第2の実施形態による、図1の設備に類似した概略図である。
図3図1または図2の電子モニタリングデバイスの概略図である。
図4図3の電子モニタリングデバイスによって実装される、金属製品の製造をモニタリングするための、本発明による方法のフローチャートである。
図5図4のフローチャートの是正アクションの計算ステップを表現するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、表現「と実質的に等しい」は、プラスまたはマイナス10%まで、好ましくはプラスまたはマイナス5%までの等価性の関係性を定義する。
【0022】
図1および図2では、金属製品6を送達するための設備5は、金属製品6を製造するための製造ライン8と、金属製品6の製造をモニタリングするための電子モニタリングデバイス10とを備える。
【0023】
製造ライン8は、センサのセット9を含み、各センサは少なくとも1つの代表的パラメータの値を測定するように適合されており、各代表的パラメータは金属製品6に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである。電子モニタリングデバイス10は、センサのセット9に接続され、センサのセット9によって提供される代表的なパラメータの値を用いるために構成される。
【0024】
製造プロセスは、最終特性を有する最終金属製品を得るための製造ルートを含み、製造ルートは、それぞれが中間特性を有する1つまたは数個の中間的な金属製品を含む。
【0025】
金属製品6は:スラブ、コイル、ビーム、ブルーム、ビレット、およびスチール製品から成る群の中から選択される。
【0026】
製造がモニタリングされる金属製品6は、最終金属製品、および1つまたは数個の中間的な金属製品の中にある。
【0027】
図1の例では、製造ライン8は、金属製品6、例えば熱間圧延スチールストリップなどの金属ストリップを送達するための熱間圧延ラインであり、熱間圧延ラインは、炉11、一連の圧延機12A、12B、特に粗圧延機12Aの後に1つまたは数個の仕上げ圧延機12Bが続く一連の圧延機、金属製品6を冷却するための冷却装置13、およびコイラ14を含む。炉11、圧延機12A、12B、冷却装置13、およびコイラ14は、それら自体が知られている。
【0028】
炉11から排出された金属製品6は、走行方向Aで圧延機12A、12Bを通って移動させられる。例えば、製品6の走行方向Aは、実質的に水平である。
【0029】
次に、金属製品6は冷却装置13を通過するが、冷却装置13内でストリップは、例えばストリップの圧延の終わりの温度に実質的に等しい初期温度から、例えば室温すなわち約20℃である最終温度まで下げて冷却される。
【0030】
金属製品6は、走行方向Aで、好ましくは1m/sと25m/sとの間に含まれる走行速度で、冷却装置13を通過する。
【0031】
金属製品6は、例えば1mmから30mmの間に含まれる厚さを有する。
【0032】
初期温度は、例えば600℃以上、特に800℃以上、さらには1000℃より大きい。
【0033】
ランアウトテーブルなどの冷却装置13では、少なくとも1つの第1の冷却流体ジェットが金属製品6の上面に噴出され、少なくとも1つの第2の冷却流体ジェットが金属製品6の底面に噴出される。冷却剤とも称される冷却流体は、例えば水である。
【0034】
金属製品6は、最終的にコイラ14によって金属コイルに構成される。
【0035】
図2の例では、製造ライン8は、スチールストリップなどの金属製品6をコーティングするための溶融亜鉛めっきラインであり、溶融亜鉛めっきラインは、デコイラ15、アニーリングデバイス16、コーティングデバイス17およびコイラ18を含んでいる。
【0036】
アニーリングデバイス16は、例えば金属製品6の温度を測定するための第1のセンサ20および炉9内部の雰囲気の組成を決定するための第2のセンサ21を装備する炉19を含む。アニーリングデバイス16は、金属製品6すなわちストリップを案内するための第1のローラ22をも含む。
【0037】
コーティングデバイス17は、溶融金属が例えば亜鉛である、溶融金属の浴23、および炉19の出口と浴23への入り口との間での、外気とのストリップの接触を回避できるようにしているスナウト24を備える。コーティングデバイス17は、ワイピングデバイス25および冷却デバイス26をも含む。
【0038】
コーティングデバイス17は、金属製品6を案内するための第2のローラ27をも備える。コーティングデバイス17は、ワイピング後のストリップのコーティング厚さを測定するための第3のセンサ28、および冷却後のストリップ温度を測定するための第4のセンサ29をも装備する。
【0039】
したがって図2の例では、センサのセット9は第1のセンサ20、第2のセンサ21、第3のセンサ28、および第4のセンサ29を含む。
【0040】
以下の説明では、選ばれた配向は指針的であり、図面に対するものとして意図される。特に用語「上流」および「下流」は、図面において選ばれた配向に対して相対的であることを意図される。これらの用語は走行する金属製品6に対して用いられる。さらには、用語「横」、「長手」および「垂直」は、長手方向である金属製品6の走行方向Aに対するものとして理解されるべきである。特に、用語「長手方向」は、金属製品6の走行方向Aに平行な方向を指し、用語「横」は、金属製品6の走行方向Aに直交する方向を指し、金属製品6の上面と底面とに平行な平面に含まれ、用語「垂直」は金属製品6の走行方向Aに直交し、金属製品6の上面と底面とに直交する方向を指す。
【0041】
さらには、「長さ」により長手方向の物体の寸法が指され、「幅」により横方向の物体の寸法が指され、「厚さ」により垂直方向の物体の寸法が指される。
【0042】
長手方向、横方向、および垂直方向は、また図2にそれぞれ長手軸X、横軸Y、および垂直軸Zを介して表現される。
【0043】
電子モニタリングデバイス10は少なくとも1つの代表的パラメータの測定値を取得するために構成された取得モジュール30を備え、各代表的パラメータは金属製品6に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである。
【0044】
電子モニタリングデバイス10は、少なくとも1つの取得値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で金属製品6の状態を判定するために構成された判定モジュール32を備える。
【0045】
電子モニタリングデバイス10は、判定された状態が分析状態であるとき、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、製品6に適用される是正アクションを計算するために構成された計算モジュール34を含む。
【0046】
好ましい実施形態では、電子モニタリングデバイス10は、コヒーレンス試験にしたがって、少なくとも1つの取得値を検証するために構成された検証モジュール36を備える。この好ましい実施形態によると、判定モジュール32は、取得値の中から検証された値に基づいて製品6の状態を判定するために構成される。
【0047】
好ましい実施形態では、電子モニタリングデバイス10は、少なくとも1つの取得値から、好ましくは取得値の中から検証された値から、金属製品6の少なくとも1つの特性をモデリングするために構成されたモデリングモジュール38を備える。この好ましい実施形態によると、判定モジュール32は、さらにモデリングされた特性に対して、製品6の状態を判定するために構成される。
【0048】
用語「モデリング」は、コンピュータで走らされるシミュレーションなどの数値シミュレーションを指す。
【0049】
図3の例では、電子モニタリングデバイス10は、例えばメモリ42およびメモリ42に結合されるプロセッサ44から形成される処理ユニット40を含む。この例では、電子モニタリングデバイス10は、ディスプレイスクリーン46、ならびにキーボードおよびマウスなどの入出力手段48をも含み、それぞれが処理ユニット40に接続されている。
【0050】
図3の例において、取得モジュール30、判定モジュール32、および計算モジュール34、ならびに好ましい実施形態では検証モジュール36およびモデリングモジュール38は、例えばそれぞれプロセッサ44によって実行可能なソフトウェアとして、実現、すなわち実装される。処理ユニット40のメモリ42は、少なくとも1つの代表的パラメータの測定値を取得するために構成された取得ソフトウェアを記憶するように適合され、各代表的パラメータは金属製品6に関するパラメータまたは製造プロセスに関するパラメータであり;判定ソフトウェアは、少なくとも1つの取得値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で金属製品6の状態を判定するために構成され;計算ソフトウェアは、判定された状態が分析状態であるとき、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、製品6に適用される是正アクションを計算するために構成される。好ましい実施形態では、処理ユニット40のメモリ42は、コヒーレンス試験にしたがって、少なくとも1つの取得値を検証するために構成された検証ソフトウェアを記憶するように適合され、そのとき判定ソフトウェアは、取得値の中から検証された値に基づいて製品6の状態を判定するために構成され;モデリングソフトウェアは、少なくとも1つの取得値から、好ましくは取得値の中から検証された値から、金属製品6の少なくとも1つの特性をモデリングするために構成され、そのとき判定ソフトウェアは、さらにモデリングされた特性に対して、製品6の状態を判定するために構成される。そのとき、処理ユニット40のプロセッサ44は、取得ソフトウェア、判定ソフトウェアおよび計算ソフトウェア、ならびに好ましい実施形態では検証ソフトウェアおよびモデリングソフトウェアを実行するように構成される。
【0051】
図示しなかった変形例としては、取得モジュール30、判定モジュール32、および計算モジュール34、ならびに好ましい実施形態では検証モジュール36およびモデリングモジュール38は、それぞれフィールドプログラマブルゲートアレイすなわちFPGAなどのプログラム可能論理コンポーネントの形態、または特定用途向け集積回路すなわちASICなどの専用集積回路の形態である。
【0052】
電子モニタリングデバイス10が1つ以上のソフトウェアプログラムの形態、すなわちコンピュータプログラムの形態であるとき、電子モニタリングデバイス10は、図示されていないコンピュータ可読媒体に記録されることもできる。コンピュータ可読媒体は、例えば電子的な命令を記憶することができ、コンピュータシステムのバスに結合される媒体である。例えば、可読媒体は、光学ディスク、磁気光学ディスク、ROMメモリ、RAMメモリ、任意のタイプの非揮発性メモリ(例えば、EPROM、EEPROM、FLASH、NVRAM)、磁気カードまたは光学カードである。そのとき、ソフトウェア命令を含むコンピュータプログラムは可読媒体に記憶される。
【0053】
取得モジュール30は少なくとも1つの代表的パラメータの測定値を取得するために構成され、各代表的パラメータは金属製品6に関する、または製造プロセスに関するパラメータである。取得モジュール30は、センサのセット9に接続され、取得値は、好ましくはセット9の対応するセンサによって測定された値である。
【0054】
金属製品に関する各パラメータは:製品の機械的性質に関するパラメータ、製品の粗さに関するパラメータ、製品の化学組成に関するパラメータ、製品のコーティングの性質に関するパラメータ、製品の寸法に関するパラメータ、製品の表面様相に関するパラメータ、製品の欠陥研究に関するパラメータから成る群の中からのパラメータである。
【0055】
金属製品6の機械的性質に関するパラメータは、例えば:長手方向または横方向などの所与の方向の降伏強度;長手方向または横方向などの所与の方向の引っ張り強度;長手方向または横方向などの所与の方向の破断までの伸長;長手方向または横方向などの所与の方向の塑性歪み比;長手方向または横方向などの所与の方向の降伏点伸び;歪み硬化指数;長手方向または横方向などの所与の方向の焼付け硬化;および製品硬度から成る群から選択される。
【0056】
金属製品6の粗さに関するパラメータは、例えば、0.8mmまたは2.5mmのカットオフなどの事前定義されたカットオフについての、上側または底側などの金属製品6の所与の側の粗さ;0.5μmまたは0.625μmの閾値などの事前定義された閾値についての距離当たりのピーク数;テクスチャ;上側または底側などの金属製品6の所与の側の最大粗さ;上側または底側などの金属製品6の所与の側の最小粗さから成る群から選択される。
【0057】
金属製品6の化学組成に関するパラメータは、例えば、金属製品6の組成における、アルミニウムの割合、ヒ素の割合、ホウ素の割合、炭素の割合、カルシウムの割合、コバルトの割合、クロムの割合、銅の割合、水素の割合、マンガンの割合、モリブデンの割合、窒素の割合、ニオブの割合、ニッケルの割合、酸素の割合、リンの割合、鉛の割合、硫黄の割合、ケイ素の割合、アンチモンの割合、スズの割合、チタンの割合、バナジウムの割合、およびジルコニウムの割合から成る群から選択される。割合は、体積、質量、またはモルで表される。
【0058】
金属製品6の1つ以上のコーティング性質に関するパラメータは、例えば、コーティングの化学組成;コーティング厚さ;コーティングに含有される鉄の割合;上側または底側などの金属製品6の所与の側の粉ふき(powdering);コーティングの最小厚さ;コーティングの最大厚さから成る群から選択される。
【0059】
金属製品6の寸法に関するパラメータは、例えば、製品のクラウン;製品のウェッジ;製品の平坦度偏差;製品の厚さ;製品の幅;製品の長さ;製品の平坦度;製品の重量から成る群から選択される。
【0060】
金属製品6の表面様相に関するパラメータは、例えば:上面または底面などの製品の所与の面の気泡のできた(blistered)様相;製品の所与の面の剥離した様相;製品の所与の面の清浄度指数(cleanness index);製品の所与の面のストーニング;製品の光沢;製品の反射率;製品の色相;上側または底側などの金属製品6の所与の側についてのうねりW08値;および上側または底側などの金属製品6の所与の側についてのうねりW25値から成る群から選択される。
【0061】
金属製品6の欠陥研究に関するパラメータは、例えば、金属製品6での、欠陥タイプ、欠陥寸法、欠陥場所から成る群から選択される。
【0062】
好ましい実施形態では、センサ11のセットは、公開済み文献FR2761474A1、FR2761475A1、およびFR2761476A1に説明されるものなどの、表面調査デバイスを含む。この好ましい実施形態では、金属製品の欠陥研究に関するパラメータ、および/または金属製品の表面様相に関するパラメータは、表面調査デバイスによって検出され測定される。
【0063】
製造プロセスに関する各パラメータは、例えば:製造温度、製造速度、および/または製造期間などの製造条件に関するパラメータ;使用機器に関するパラメータから成る群の中からのパラメータである。
【0064】
以下のすべてのパラメータは、特定の製造ラインに本発明による方法を適用する際、どのタイプのパラメータを考慮され得るかを説明するための例として与えられる。これらは網羅的な一覧ではない。
【0065】
製造プロセスが溶融亜鉛めっきプロセスである場合、製造プロセスに関する各パラメータは、例えば:アニーリング炉に関するパラメータ、スナウトに関するパラメータ、コーティング浴に関するパラメータ、またはスキンパスに関するパラメータの中から成る群からのパラメータである。
【0066】
アニーリング炉に関するパラメータは、例えば、ストリップ温度、ストリップ速度、炉内雰囲気の結露点、炉内のガス噴射流量の中で選択される。
【0067】
スナウトに関するパラメータは、例えば、スナウト内のガス噴射流量、スナウト内の亜鉛レベル、ストリップ温度の中で選択される。
【0068】
コーティング浴に関するパラメータは、例えば、浴組成、浴温度、ストリップ温度の中で選択される。
【0069】
スキンパスに関するパラメータは、例えば、伸長、ストリップに印加される引っ張り強度、シリンダタイプ、シリンダ直径、シリンダ粗さ、シリンダの摩耗状態、締め付け力の中で選択される。
【0070】
製造プロセスが熱間圧延プロセスである場合、製造プロセスに関する各パラメータは、例えば、再熱炉に関するパラメータ、粗圧延機に関するパラメータ、仕上げ圧延機に関するパラメータ、ランアウトテーブルに関するパラメータ、またはコイラに関するパラメータである。
【0071】
再熱炉に関するパラメータは、例えば:スラブ温度、燃焼ガス組成、燃焼ガス流量、加熱期間から成る群から選択される。
【0072】
粗圧延機に関するパラメータは、例えば:金属製品厚さ、金属製品速度、スタンド数、シリンダの直径、潤滑剤流量から成る群から選択される。
【0073】
仕上げ圧延機に関するパラメータは、例えば:ストリップ厚さ、ストリップ速度、スタンド数、シリンダの直径、潤滑剤流量、冷媒流量、ストリップ温度、結合力から成る群から選択される。
【0074】
ランアウトテーブルに関するパラメータは、例えば:冷却流量、ストリップ速度、ストリップ温度、スチールストリップの相分率、ランアウトテーブルの長さ、冷却デバイスとストリップとの間の距離から成る群から選択される。
【0075】
コイラに関するパラメータは、例えば:コイリング速度、マンドレル直径、コイリング温度から成る群から選択される。
【0076】
したがって、取得モジュール30は、前述のパラメータのいくつかまたはすべてについて、センサのセット9によって測定された値を取得するために適合される。取得モジュール30は、例えば、これらの測定値を表に分類するように適合され、各表はそれぞれのパラメータと関連付けられる。
【0077】
判定モジュール32は、取得モジュール30によって取得された少なくとも1つの値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で金属製品6の状態を判定するために構成される。
【0078】
判定モジュール32は、例えば、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された準拠範囲と比較することによって、好ましくはいくつかの取得値を、値のそれぞれの事前定義された準拠範囲と比較することによって、金属製品6の状態を判定するために構成される。前記取得値が値のそれぞれの事前定義された準拠範囲に属する場合、判定された状態は準拠状態に等しい。
【0079】
そうではなく、少なくとも1つのパラメータについての取得値が値のそれぞれの事前定義された準拠範囲に属していない場合、判定された状態は分析状態に等しい。したがって、分析状態は本明細書において後で説明するようなさらなる分析を必要とする状態であり、このさらなる分析は、計算モジュール34によって遂行される。
【0080】
値の準拠範囲は、例えば、金属製品6のタイプごとに事前定義される。金属製品6のタイプは、好ましくは:スラブ製品;熱間圧延製品;冷間圧延製品;溶融めっきコーティング製品;電気亜鉛めっき製品;有機コーティング製品;およびパッケージング製品から成る群から選択される。
【0081】
好ましい実施形態では、値の準拠範囲は顧客ごとに事前定義される。
【0082】
値の準拠範囲は、それぞれのパラメータについて対応する少なくとも1つの目標に応じている。したがって当業者であれば、値の準拠範囲は、金属製品6の、特に最終製品の、期待される特性、すなわち所望の特性にしたがって事前定義されることを理解されよう。金属製品6の期待値(目標とも称される)にしたがって、値の準拠範囲を予め定めるプロセスは、よく知られている。
【0083】
例えば、目標はそれぞれのパラメータごとに予め定められている。目標は、一般的に値の範囲、または代替的に単一の値である。換言すると、目標は一般的に、それぞれのパラメータについての期待値の範囲に、または代替的に、単一の期待値に対応する。
【0084】
判定された状態が分析状態である場合、計算モジュール34は、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、製品6に適用される是正アクションを計算するために構成される。
【0085】
是正アクションのセットは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れを含む。是正アクションのセットは、好ましくは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れから成る。
【0086】
計算モジュール34は、例えば、少なくとも1つの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較することによって、および好ましくはいくつかの取得値を、値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較することによって、是正アクションを計算するために構成される。金属製品6が特定の製品としてタグ付けされている、または対応するパラメータが特定であるとタグ付けされている一方で、前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属する場合、計算された是正アクションは、製品の専門的助言に等しい。金属製品6が特定の製品としてタグ付けされていない場合、および対応するパラメータが特定であるとタグ付けされていない場合、前記取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属する場合、計算された是正アクションは、製品の受け入れに等しい。対応するパラメータは、少なくとも1つの取得値と、値のそれぞれの事前定義された許容範囲との間での前記比較が行われた、金属製品6に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである。
【0087】
値の事前定義された許容範囲は、例えば、値の対応する事前定義された準拠範囲を含む。少なくとも1つのパラメータについて、事前定義された許容範囲は、事前定義された準拠範囲を厳密に含む。換言すると、少なくとも1つのパラメータについて、事前定義された許容範囲は、事前定義された準拠範囲よりも広い、すなわち事前定義された許容範囲は事前定義された準拠範囲よりも厳密に多くの値を含む。
【0088】
あるいは、値の事前定義された許容範囲は、値の対応する事前定義された準拠範囲と互いに素である。例えば、値の事前定義された準拠範囲は値の中央値範囲に対応する一方で、値の事前定義された許容範囲は値の隣接範囲または値の隣接範囲の対に対応し、各隣接範囲は典型的には前記事前定義された準拠範囲の対応する最端の値に隣接している。
【0089】
値の準拠範囲に類似した様式で、値の許容範囲は、例えば、金属製品6のタイプごとに事前定義される。
【0090】
任意選択の追加として、値の許容範囲は顧客ごとに事前定義される。
【0091】
したがって当業者であれば、値の許容範囲は、金属製品6の、特に最終製品の、期待値、すなわち所望の値に対するマージンにしたがって事前定義されることを理解されよう。換言すると、値の許容範囲は、それぞれのパラメータについて対応する少なくとも1つの目標に応じている。
【0092】
値の許容範囲は、例えば20%、好ましくは10%、より好ましくは5%などの割合を、値の対応する準拠範囲の各最端の値に適用することにより事前定義される。
【0093】
あるいは、値の許容範囲は、値の対応する準拠範囲の各最端の値に偏差を適用することにより事前定義される。
【0094】
任意選択の追加として、当業者であれば、上述の、金属製品6に関するパラメータまたは製造プロセスに関するパラメータの中でのいくつかのパラメータ(臨界パラメータとも称される)について、値の許容範囲が値の準拠範囲に等しいことを観察するであろう。換言すると、この臨界パラメータまたはこれらの臨界パラメータには偏差は許容されず、前記臨界パラメータについて値の準拠範囲に対する偏差が測定された場合、計算された是正アクションは製品の受け入れとは異なる。
【0095】
計算モジュール34は、例えば、値のそれぞれの事前定義された許容範囲の外側で、取得値ごとに異常事象を識別するために構成され、この場合計算された是正アクションは最悪の異常事象に応じており、最悪の異常事象は、値の対応する事前定義された許容範囲に対して最大の偏差を有する事象である。
【0096】
それぞれの異常事象と関連付けられる各偏差は、例えば、それぞれの事前定義された許容範囲の幅に対する値デルタの比を決定することによって評価され、デルタ値は取得値と許容範囲の最も近い最端の値との間の差に等しい。許容範囲の最も近い最端の値は、取得値に最も近い、許容範囲の2つの最端の値の中の1つである。あるいは、各偏差はそれぞれの事前定義された許容範囲の中央値に対する取得値の比を決定することによって評価される。別の代替として、各偏差は許容範囲の最も近い最端の値に対する取得値の比を決定することによって評価される。そのとき、最大の偏差は最大の比に対応する。
【0097】
任意選択の追加として、各異常事象は、金属製品6の基本ゾーンに関連付けられ、基本ゾーンは長手方向に沿った長さを有する。少なくとも1つの異常事象を伴う各基本ゾーンが、異常基本ゾーンとして識別される。さらには、すべての異常基本ゾーンの累積長さが金属製品6の長さの事前定義された割合よりも大きい場合、計算された是正アクションは製品のダウングレーディングである。そうでなければ、すべての異常基本ゾーンの累積長さが金属製品6の長さの前記事前定義された割合以下である場合、計算された是正アクションは製品の修理である。金属製品6の長さの事前定義された割合は例えば実質的に30%に等しい。
【0098】
任意選択の追加として、金属製品6がセーフティ製品など特定の製品としてタグ付けされている場合、および取得値が製品の受け入れに対応する(すなわち、取得値が値のそれぞれの事前定義された許容範囲に属するが、値のそれぞれの事前定義された準拠範囲には属していない)場合、計算モジュール34は、上述の製品の専門的助言に等しいものとして是正アクションを計算するために構成される。セーフティ製品は、例えばAピラーおよびBピラーなどの自動車のセーフティ金属部品である。
【0099】
任意選択の追加として、少なくとも1つのパラメータが特定であるとタグ付けされおり、取得値が、前記特定のパラメータについて値のそれぞれの事前定義された準拠範囲の外側にあり、値のそれぞれの事前定義された許容範囲の内側にある場合、および取得値が製品の受け入れに対応する場合、計算モジュール34は、製品の専門的助言に等しいものとして是正アクションを計算するために構成される。いくつかのパラメータは、例えば、それらが顧客にとって非常に重大なものである場合、特定であるとタグ付けされ、このようなパラメータは自動車分野の顧客向けの金属製品6の粗さに関する。
【0100】
任意選択の追加として、検証モジュール36は、コヒーレンス試験にしたがって、少なくとも1つの取得値を検証するために構成される。この任意選択の追加にしたがって、判定モジュール32は、取得値の中から検証された値に基づいて製品6の状態を判定するために構成される。
【0101】
コヒーレンス試験は、例えば、センサ製造元により提供される特性、またはセンサ動作範囲にしたがって定義される特性など、対応するセンサの特性にしたがった事前定義された閾値に対する取得値の比較を含む。
【0102】
代替的に、または追加として、コヒーレンス試験は、同一のセンサにより時間的に連続して取得された値同士の比較を含み、そのような比較は明白な異常を明らかにするように適合される。例えば、検証モジュール36は、センサがもはや正常に機能しないこと、または対応するセンサとモニタリングデバイス16との間の接続に障害が生じたことを示す傾向がある取得値の定常性を、検出するために構成される。
【0103】
代替的に、または追加として、コヒーレンス試験は、対応するセンサに関連する最小および最大の設定ポイントからあまりにも大きく外れた取得値を削除することを含む。
【0104】
代替的に、または追加として、コヒーレンス試験は、考慮するパラメータについての最小および最大境界を定義することによって、取得値が製造ラインの通常運転に対応することを確認することを含み、そのとき、コヒーレンス試験は、前記最小および最大境界の間の認可された範囲から外れた各値を無効にすることを含む。
【0105】
代替的に、または追加として、コヒーレンス試験は、異なるセンサによって、同時にまたは連続して測定された値を比較することを含む一方で、それらをチェックするための機能的なリンクを有する。例えば、温度金属製品6などのパラメータは、2つの連続したゾーンで測定され、コヒーレンス試験は、パラメータ変動が所与の事前定義された閾値を超えないことを確認することを含む。偏差がこの閾値を超えた場合、検証モジュール36は、コヒーレンス試験にしたがって両方の取得値を無効にするために構成される。
【0106】
代替的に、または追加として、一貫性試験には、取得値が1つまたは数個の冶金モデルの有効性の範囲に属することを確認することが含まれ、冶金モデルは金属製品6の使用特性を算出するために用いられる。
【0107】
任意選択の追加として、コヒーレンス試験により取得値が無効にされた場合、検証モジュール36は、視覚的な信号の表示などのアラート信号を生成するために構成される。
【0108】
任意選択の追加として、検証モジュール36は、インコヒーレンスな取得値を、線形補間などの推定モデルにしたがって推定された値によって置換するために構成される。
【0109】
任意選択の追加として、モデリングモジュール38は、少なくとも1つの取得値から、好ましくは取得値の中から検証された値から、金属製品6の少なくとも1つの特性をモデリングするために構成される。この任意選択の追加によると、判定モジュール32は、さらにモデリングされた特性に対して、製品6の状態を判定するために構成される。
【0110】
取得値がそれぞれの中間的な金属製品に関するとき、モデリングモジュール38は例えば最終金属製品をモデリングするため、および中間的な金属製品の取得値に対応する最終金属製品の値を推定するために構成される。
【0111】
代替的に、または追加として、モデリングモジュール38は、金属製品6の他のパラメータの値および予測モデルに基づいて、金属製品6のパラメータの値を予測するために構成される。モデリングモジュール38は、例えば化学分析の値およびプロセスパラメータの値に基づいて、金属製品6の機械的性質の値を予測するために構成される。したがって、モデリングモジュール38は、より簡易な様式で金属製品6の中央の値にアクセスすることを可能にする一方で、例えば、引っ張り強度測定では、最端部における値にしかアクセスできず、これらは一過性の効果により影響を受けることが多い。それは、金属製品6のモニタリングを高速化することも可能にする。
【0112】
次に、本発明による電子モニタリングデバイス10の動作が、金属製品6の製造をモニタリングするための本発明による方法のフローチャートを表現している図4および図5を見ながら説明されるが、ここで金属製品6は製造プロセスにしたがって製造される。
【0113】
初めに、ステップ100の間に、電子モニタリングデバイス10は、その取得モジュール30を介して、代表的パラメータの測定値を取得し、ここで各代表的パラメータは金属製品6に関するパラメータ、または製造プロセスに関するパラメータである。
【0114】
先に説明したように、パラメータは例えば、金属製品6の機械的性質、粗さ、化学組成、コーティング、潤滑性、寸法および/または表面様相に関する。
【0115】
任意選択的に、次のステップ110の間に、電子モニタリングデバイス10はその検証モジュール36を介して、コヒーレンス試験にしたがって少なくとも1つの取得値を検証し、次いでステップ130の間に、取得値の中から検証された値に基づいて製品の状態が判定される。
【0116】
さらに任意選択的に、次のステップ120の間に、電子モニタリングデバイス10は、そのモデリングモジュール38を介して、少なくとも1つの取得値から、好ましくは取得値の中から検証された値から、金属製品6の少なくとも1つの特性をモデリングし、次いでステップ130の間に、さらにモデリングされた特性に対して製品の状態が判定される。
【0117】
次のステップ130において、電子モニタリングデバイス10は、その判定モジュール32を介して、少なくとも1つの取得値および少なくとも1つの目標に応じて、準拠状態と分析状態の中で金属製品6の状態を判定する。
【0118】
上で説明したように、金属製品6の状態は例えば、各取得値を値のそれぞれの事前定義された準拠範囲と比較することによって判定され、各取得値が値のそれぞれの事前定義された準拠範囲に属している場合、判定された状態は準拠状態である。
【0119】
次のステップ140の間に、電子モニタリングデバイス10によって金属製品6の判定された状態がチェックされる。判定された状態が準拠状態である場合、製造された金属製品6は所望の品質レベルに準拠しているものと考えられるため、モニタリング方法は終了される。
【0120】
そうではなく、判定された状態が分析状態である場合、モニタリング方法は次のステップ150に進み、電子モニタリングデバイス10は、その計算モジュール34を介して、是正アクションのセットの中で、少なくとも1つの取得値に応じて、製品に適用される是正アクションを計算する。
【0121】
上述のように、是正アクションのセットは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れを含む。是正アクションのセットは、好ましくは、製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れから成る。
【0122】
ステップ150の連続したサブステップの例を表現する図5に示すように、是正アクションを計算するためのステップ150は、例えば、少なくとも1つの取得値または検証された値を、少なくとも1つの値のそれぞれの事前定義された許容範囲と比較することによって、取得値または適用可能な場合は取得値の中から検証された値が、受け入れに対応するかどうかを判定するためのサブステップ200を含む。
【0123】
前記比較がポジティブな場合、すなわち取得値または検証された値が受け入れに対応する場合、是正アクションを計算するためのステップ150は、金属製品6が特定の製品としてタグ付けされているかどうか、またはサブステップ200の比較が行われたパラメータのうちの1つが特定であるとタグ付けされているかどうかを判定するためのサブステップ210を含む。
【0124】
サブステップ210の判定がポジティブな場合、すなわち金属製品6が特定の製品としてタグ付けされているか、または対応するパラメータが特定であるとタグ付けされている場合、是正アクションは次のサブステップ220の間に製品の専門的助言に等しいものとして計算される。
【0125】
そうではなく、サブステップ210の判定がネガティブな場合、すなわち金属製品6が特定の製品としてタグ付けされておらず、対応するパラメータが特定であるとタグ付けされていない場合、是正アクションはサブステップ230の間に製品の受け入れに等しいものとして計算される。
【0126】
サブステップ200の終わりに、前記比較がネガティブな場合、すなわち取得値または検証された値が受け入れに対応しない場合、是正アクションを計算するためのステップ150は、金属製品6が修理できるかどうかを判定するためのサブステップ240を含む。
【0127】
このサブステップ240は例えば、値のそれぞれの事前定義された許容範囲の外側の取得値または検証された値ごとに異常事象を識別し、次いで各異常事象を金属製品6の基本ゾーンに関連付けることを含み、基本ゾーンは長手方向に沿って長さを有し、各基本ゾーンは、異常基本ゾーンとして識別される少なくとも1つの異常事象を伴う。さらには、このサブステップ240は、すべての異常基本ゾーンの累積長さを、金属製品6の長さの事前定義された割合と比較することを含む。
【0128】
サブステップ240の判定がポジティブであり、金属製品6が修理可能であると判定されたことを意味している場合、すなわちすべての異常基本ゾーンの累積長さが金属製品6の長さの前記事前定義された割合以下である場合、サブステップ250の間に是正アクションは製品の修理に等しいものとして計算される。製品の修理は、好ましくは各異常基本ゾーンを切断することを含む。加えて、切断される異常基本ゾーンが金属製品6の一端部におけるものでない場合、製品の修理は、切断される異常基本ゾーンの両側にある金属製品6の部分を溶接することをさらに含む。
【0129】
そうではなく、サブステップ240の判定がネガティブな場合、すなわちすべての異常基本ゾーンの累積長さが金属製品6の長さの前記事前定義された割合より大きい場合、サブステップ260の間に是正アクションは製品のダウングレーディングに等しいものとして計算される。
【0130】
かくして、判定された状態が分析状態であるとき、電子モニタリングデバイス10は、したがって、製品に適用されるいくつかの可能な是正アクションを提供するように適合され、是正アクションのセットは少なくとも製品の修理、製品のダウングレーディング、製品の専門的助言、および製品の受け入れを含む。
【0131】
本発明による、コンピュータにより実装されるモニタリング方法、および電子モニタリングデバイス10は、製品の専門的助言および製品の受け入れなどの追加的な可能な是正アクションにより、特にダウングレーディング、すなわち非準拠として却下または修理される金属製品6の比率を低減することを可能にする。
【0132】
次の表1は、電子モニタリングデバイス10で得られる様々な結果、すなわち準拠状態または、さらに分析状態への是正アクションに対する、金属製品コイルのそれぞれの数の例を提供する。
【0133】
【表1】
【0134】
製品の受け入れに対応する是正アクションは、金属製品6の製造済コイルの数の、ほぼ30%を表している。
【0135】
先行技術におけるモニタリング方法では、非準拠製品の比率は、著しく高かったであろう。
【0136】
製品の受け入れに対応する是正アクションについて、下の表2は、是正アクションの計算を考慮した金属製品6に関連するパラメータの様々なカテゴリに対する、金属製品コイルのそれぞれの割合の例を提供する。
【0137】
【表2】
【0138】
表2は、金属製品6に関するパラメータの最も重要なカテゴリは、製造ラインのタイプ、また金属製品6に応じてラインごとに違う場合があることを示している。
【0139】
したがって、本発明によるコンピュータにより実装されるモニタリング方法および電子モニタリングデバイス10は、金属製品6の製造をモニタリングするために、より信頼性があり効率的である。
図1
図2
図3
図4
図5