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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】腱の皮下切断用ツール
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3205 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A61B17/3205
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021514084
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2019057067
(87)【国際公開番号】W WO2020053685
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】102018000008564
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】カキック,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベルベリッヒ,サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ルッキーニ,リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】パリシ,ジャンルーカ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0014821(US,A1)
【文献】特表2012-502688(JP,A)
【文献】特表2012-510350(JP,A)
【文献】特表2014-519879(JP,A)
【文献】特表2014-527424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腱の皮下切断用ツールであって、
長手方向軸(2a)に沿って配置された、近位端(2p)および遠位端(2d)を有するシャフト(2)と、
前記近位端(2p)に設けられた、固定ハンドル(5)および可動トリガ(6)を備えるグリップ(4)と、
溝(10)を備えた腱摘出先端部(9)およびブレード(11)を備える、前記遠位端(2d)に配置された切断ヘッド(8)であって、前記ブレード(11)および前記摘出先端部(9)は、前記シャフト(2)の前記長手方向軸(2a)を含む平面(X)上で互いに対して移動可能である、切断ヘッド(8)と、を備え、
前記ブレード(11)が前記シャフト(2)の前記長手方向軸(2a)に対して傾斜しており
前記ブレード(11)が、その一端(11a)に、前記腱を切断している間、前記腱摘出先端部(9)の前記溝(10)を閉じるように適合された突起(17)を有する、腱の皮下切断用ツール。
【請求項2】
前記ブレード(11)には切り欠きがある、請求項1に記載の切断ツール。
【請求項3】
前記ブレード(11)が前記腱摘出先端部(9)に対してスライド可能に移動可能である、請求項1または2に記載の切断ツール。
【請求項4】
前記シャフト(2)が、その前記遠位端(2d)で前記ブレード(11)に、およびその前記近位端(2p)で第1の外部コネクタ(12)に一体的に接続されており、前記第1の外部コネクタ(12)、前記シャフト(2)、および前記ブレード(11)は、外部可動システム(13)を形成する、請求項1から3のいずれか1項に記載の切断ツール。
【請求項5】
前記可動トリガ(6)が前記第1の外部コネクタ(12)に接続されて前記外部可動システム(13)を並進的に移動させ、前記ブレード(11)を前記腱摘出先端部(9)に対して相対的に移動させる、請求項4に記載の切断ツール。
【請求項6】
前記シャフト(2)の内部に軸方向に配置され且つ前記グリップ(4)と前記切断ヘッド(8)との間に配置された内部シャフト(16)を備え、前記内部シャフト(16)は、その遠位端(16d)で前記腱摘出先端部(9)に接続され、その近位端(16p)で、前記グリップ(4)の前記固定ハンドル(5)に接続された第2の内部コネクタ(14)に接続されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の切断ツール。
【請求項7】
前記摘出先端部(9)と前記ブレード(11)との間の相対位置をロックするための安全装置(19)を備える、請求項1からのいずれか1項に記載の切断ツール。
【請求項8】
前記安全装置(19)が、前記グリップ(4)上を滑るロックスライダ(20)を備え、前記ロックスライダ(20)は、前記可動トリガ(6)に設けられたロックスロット(22)に係合することができる歯(21)を備える、請求項に記載の切断ツール。
【請求項9】
前記ロックスライダ(20)がばね(15)によって荷重がかけられる、請求項に記載の切断ツール。
【請求項10】
前記可動トリガ(6)が、固定ジョイント(7)によって前記グリップ(4)の前記固定ハンドル(5)に回転方式で接続されている、請求項1からのいずれか1項に記載の切断ツール。
【請求項11】
前記シャフト(2)が外部の目盛りを刻んだスケール(3)を有する、請求項1に記載の切断ツール。
【請求項12】
前記摘出先端部(9)が先細の平面プロファイルを有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の切断ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腱の皮下切断用ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の主題である切断ツールは、大腿四頭筋腱の皮下切断を目的としており、よく知られているように、大腿四頭筋腱は、十字靭帯の再建に重要な利益をもたらす。
【0003】
特に、この切断ツールは腱の近位端を切断するために使用される。
【0004】
大腿四頭筋腱は他の腱よりも大きな直径に達することができ、その摘出部位は、例えば膝蓋腱と比較して低い罹患率を持ち、良好な生体力学的特性を持ち、ひずみや変形が起こり難いので、膝靭帯の再建に好ましい剛性プロファイルを持つ。
【0005】
大腿四頭筋腱を切断および取り除くための外科的技術は、膝蓋骨の上縁部の上方の皮膚切開を伴う。
【0006】
皮下切開後、大腿四頭筋腱を露出させるために、膝蓋前皮下包の層は長手方向に分離される。
【0007】
その後、十字靭帯の再建のための所望の幅の腱が、垂直切断ツールまたは腱ストリッパーで切開される。
【0008】
皮膚切開部を通して、垂直切開のための切断ツールは皮下位置で腱に適用され、それが移植のための所望の長さに達するまで、腱に近位に押し込まれる。したがって、腱は完全に切断されるのではなく、側部で切開される。
【0009】
手術の第2のステップは、腱自体の伸展軸に平行に、腱を水平に切断することを伴う。このステップでは、取り除かれる腱の部分が、第2の切断ツール、例えば水平切開用の切断ツールによって、上部および下部で周囲の軟組織から分離される。腱分離器としても知られている水平切開用のこの切断ツールは、取り除かれる必要がある腱の厚さを規定する。
【0010】
皮膚切開部を通して、水平切開用の切断ツールすなわち腱分離器は、腱の切開部に横向きに導入され、近位方向に前記同じ長さに沿って皮下に押し込まれ、腱の伸展方向に沿って、上部および下部で水平に腱を切断する。
【0011】
第3の段階は、腱の近位端を横方向に切断するように適合された第3のツールの再び皮下への挿入を伴い、ここで「近位」は患者を指す。
【0012】
最後に、腱の遠位端も切断され、その後取り除かれ、十字靭帯の再建に使用するために準備される。
【0013】
具体的には、本発明は、腱の皮下切断用ツールに関し、したがって、手術の第3のパートで使用される切断ツールに関する。
【0014】
既知の外科的技術は、切開外科的処置を必要とし、使用されるツールは、腱自体を摘出するプロセスを困難にする。
【0015】
最新技術のいくつかは皮下に関する解決策を提供するが、それらはツールを使用する方法および設計のために依然として困難を示す。
【0016】
最新技術のいくつかでは、腱の近位端を切断するために使用される切断ツールは、閉じたアイレットを持ち、その内側に腱自体が挿入される。したがって、最初に腱の遠位端(膝蓋骨に取り付けられた端部)を切断し、次にそれをアイレットの内側に挿入する必要がある。
【0017】
次に、切断された遠位端は縫合糸で結ばれ、そのコンパクトな構造を維持し、腱を切断することを目的としたツールが近位位置で前記切断された頭部に係合し、したがって腱の摘出を完了することを可能にする。しかしながら、このように、通常メスを使ってフリーハンドで行われる手術である膝蓋骨からの腱の除去がガイドされていないので、切断は制御されていない。さらに、腱の近位端を切断するために、大腿四頭筋に接続されている端部(既に切断されている遠位端)を適切なツールで保持して、腱の張力を維持する必要がある。そうしないと、腱はそれ自体で収縮する傾向がある。これは、腱組織への損傷のリスクを伴い、近位切断の最終動作を実行する場合にも実用的ではない。
【0018】
したがって、現在使用されているツールに見られる不利な点のいくつかは、不正確な切断および制御されていない摘出を必然的に含む。
【0019】
一方、他のツールは、ブレード自体の形状または構造のために切断に対する抵抗が大きい切断ヘッドを備えており、このことは、腱自体に繰り返し切断動作を行う必要を必然的に伴い、その結果、腱自体に損傷を与えるリスクがある。
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、上記の従来技術の欠点を克服する腱の皮下切断用ツールを提示することである。
【0021】
本発明の1つの目的は、実際、低侵襲性であり、周囲の軟組織にも腱自体にも損傷を与えることなく、患者に完全に安全な切断を保証する腱の皮下切断用ツールを提供することである。
【0022】
さらに、本発明の目的は、外科医にとって使いやすく、外科医が誤って腱を切断することを回避する腱の皮下切断用ツールを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、手術部位が外科医に良好な視認性を提供していないにもかかわらず、迅速、安全、安定且つ正確な切断を可能にする腱の皮下切断用ツールを提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、腱自体を摘出するための容易なプロセスを可能にするだけでなく、手術後の美容的側面を保存することを可能にする、腱の皮下切断用ツールを提供することである。
【0025】
これらおよび他の目的は、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載されているように、腱の皮下切断用ツールによって実質的に達成される。
概要
特に、第1の態様によれば、本発明は、腱の皮下切断用ツールに関する。
【0026】
好ましくは、長手方向軸に沿って配置された近位端および遠位端を有するシャフトと、近位端に提供され且つ固定ハンドルおよび可動トリガを含むグリップと、遠位端に配置された切断ヘッドとが提供される。
【0027】
切断ヘッドは、好ましくは、ブレードと、溝を備えた腱摘出先端部とを備える。
【0028】
ブレードおよび摘出先端部は、好ましくは、シャフトの長手方向軸を含む平面上で互いに対して移動可能である。
【0029】
切断ヘッドは、有利には、シャフトの長手方向軸に対して傾斜したブレードを備える。
【0030】
ブレードには、好ましくは、切り欠きがある。
【0031】
ブレードは、好ましくは、腱摘出先端部に対してスライド可能に移動可能である。
【0032】
シャフトは、好ましくは、その遠位端でブレードに、その近位端で第1の外部コネクタに一体的に接続されている。
【0033】
第1の外部コネクタ、シャフト、およびブレードは、好ましくは、外部可動システムを形成する。
【0034】
可動トリガは、好ましくは、外部可動システムを並進的に動かし、腱摘出先端部に対してブレードを相対的に動かすために、第1の外部コネクタに接続される。
【0035】
シャフトは、好ましくは、シャフトの軸方向内側に配置され、グリップと切断ヘッドとの間に配置される。
【0036】
シャフトは、好ましくは、その遠位端の1つで摘出先端部に接続され、その近位端の1つで、グリップの固定ハンドルに接続された第2の内部コネクタに接続される。
【0037】
ブレードは、好ましくは、その端部の1つに突起を有し、突起は、腱を切断している間、摘出先端部の溝を閉じるように適合されている。
【0038】
切断ツールは、好ましくは、摘出先端部とブレードとの間の相対位置をロックするための安全装置を備える。
【0039】
安全装置は、好ましくは、グリップ上をスライドすることができるロックスライダを備え、これは、トリガに設けられた溝に係合することができる歯を有する。
【0040】
ロックスライダは、好ましくは、ばねによって荷重がかけられる。
【0041】
トリガは、好ましくは、固定ジョイントによってグリップの固定ハンドルに回転方式で接続されている。
【0042】
シャフトは、好ましくは、ツールの皮下挿入の深さを制御するための外側の目盛りを刻んだスケールを有する。
【0043】
摘出先端部は、好ましくは先細の平面プロファイルを有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明は、例としてのみ提供される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明によってより明確にされるであろう。
図1】第1の動作構成における、本発明による腱の皮下切断用ツールの側面図を示す。
図2】第2の動作構成における、本発明による腱の皮下切断用ツールの側面図を示す。
図3】第3の動作構成における、本発明による腱の皮下切断用ツールの側面図を示す。
図4図1に示されるような第1の動作構成における、本発明の主題である切断ツールの一部の斜視図である。
図5図2に示されるような第2の動作構成における、図4に示される切断ツールの一部の斜視図である。
図6図3に示されるような第3の動作構成における、図4および5に示される切断ツールの一部の斜視図である。
図7】第1の動作構成における、本発明の主題である切断ツールの斜視図である。
図8】ロック解除構成の切断ツールの詳細である。
図9】ロック構成における、図8に示されている詳細である。
図10図1に示されるように、本発明の主題であるツールの断面図を示す。
図11】ツールの一部、特に切断ヘッドを上から見た平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
上記の図において、番号1は、本発明による、腱の皮下切断用ツール全体を示す。
【0046】
示されている例では、ツール1は、大腿四頭筋腱がその解剖学的部位から除去されて十字靭帯を再構築するために別の部位に移植される手術を行う際の使用に適している。
【0047】
特に、本発明の主題である切断ツール1は、腱の近位端、すなわち、大腿四頭筋に接続されている端を切断するために使用され、ここで、近位は患者を指す。
【0048】
切断ツール1は、長手方向軸2aに沿って配置され且つ近位端2pおよび遠位端2dを有するシャフト2を備える。
【0049】
シャフト2は軸方向に中空であり、外側側面2cに、ツール1の皮下挿入深さを外科医に示す目盛りを刻んだスケール3を有する。
【0050】
切断ツール1はまた、シャフトの近位端2pに設けられたグリップ4を備え、グリップ4は、固定ハンドル5および可動トリガ6を備える。
【0051】
トリガ6は、トリガ6によって提供されるてこの作用の支点として機能する接続ジョイント7によって固定ハンドル5に接続されている。
【0052】
切断ツール1はまた、シャフト2の遠位端2dに配置された切断ヘッド8を備える。切断ヘッド8は、溝10を備えた腱摘出先端部9と、ブレード11とを備える。
【0053】
添付の図に見られるように、摘出先端部9の溝10は、摘出先端部9に形成されたU字形の切り欠きである。したがって、この溝10は、外側に開いた縁部10bを有する。
【0054】
図4に見られるように、摘出先端部9は、その遠位端9dの1つに、溝10の片側の範囲を定め且つ腱の把持を容易にする指9bを有する。摘出先端部9の上からの平面図を示す図8に示されるように、摘出先端部9の側部プロファイルは、腱の下へのツールの挿入を容易にし且つ腱自体をガイドして溝10の内側に落ち着かせるために、長手方向軸2aに対して先細になっている。
【0055】
指9bの外縁部、すなわち、摘出先端部9の遠位端9dの縁部は、ツールを挿入するときの軟組織の外傷を防ぐために丸みを帯びたプロファイルを有する。
【0056】
ブレード11および摘出先端部9は、シャフト2の長手方向軸2aを含み且つ切断ツール1自体の対称正中面である平面X上で互いに対してスライドする。
【0057】
有利には、以下で説明するように、シャフト2の動きに追従して摘出先端部9に対してスライド可能に移動可能であるのはブレード11である。
【0058】
図に見られるように、ブレード11は、シャフト2の長手方向軸2aに対して、好ましくは30°から70°の角度αで傾斜している。
【0059】
有利には、ブレード11の切断エッジ11bには、腱のより良い切断能力を得るために、切り欠きがある。
【0060】
ブレード11は、その端部11aの1つに突起17を有し、突起17は、ブレード11と摘出先端部9との間の相対的なスライドを受けて、アイレット18を規定することによって溝10の開放縁部10bを閉じて、腱が溝10の内側に係合すると、腱がこうして作られたアイレット18から滑り落ちることを防止する。
【0061】
シャフト2は、その遠位端2dでブレード11に、およびその近位端2pで第1の外部コネクタ12に一体的に接続されている。
【0062】
第1の外部コネクタ12、シャフト2、およびブレード11は、外部可動システム13を形成する。
【0063】
次に、第1の外部コネクタ12は可動トリガ6に接続され、可動トリガ6は第1の外部コネクタ12に作用して、シャフト2の長手方向軸2aに沿って並進的に外部可動システムを移動させ、ブレード11を腱の摘出先端部9に対して相対的に移動させる。
【0064】
第1の外部コネクタ12の内部に収容された第2の内部コネクタ14によってグリップ4の固定ハンドル5に接続されたシャフト16がある。
【0065】
このシャフト16は、シャフト16上で軸方向にスライドすることができるシャフト2の内部に軸方向に配置されている。
【0066】
シャフト16は、グリップ4と切断ヘッド8との間に配置されている。特に、シャフト16は、その遠位端16dの1つで腱の摘出先端部9に接続され、その近位端16pの1つで、グリップ4の固定ハンドル5に接続された第2の内部コネクタ14に接続されている。
【0067】
切断ツール1はまた、以下に説明するように、特定の動作構成において、摘出先端部9とブレード11との間の相対位置をロックするように適合された安全装置19を備える。
【0068】
この安全装置19は、グリップ4上でスライドするロックスライダ20を備える(図8-10)。
【0069】
ロックスライダ20は、トリガ6に設けられたロックスロット22と係合することができる歯21を有する(図8-10)。
【0070】
ロックスライダ20はばね式(spring-loaded)15(図10)であり、これはスライダ20をトリガ6に向かって押すのに役立つ。トリガ6が特定の位置にあり、ロックスロット22が歯21と位置合わせされている場合、歯21はスロットの内側に係合してトリガ6の回転を防ぎ、したがって、ブレード11を駆動する外部可動システム13の作動を妨げる。
【0071】
ロックスライダ20の歯21とトリガ6の片側にあるロックスロット22との間の幾何学的干渉は、トリガ6の開閉方向のいずれかの回転を妨げる。
【0072】
トリガ6は、接続ジョイント7の上方に配置された部分24によって、第1の外部コネクタ12と係合する。
【0073】
トリガ6の部分24は、好ましくはコネクタ自体の近位端で、第1の外部コネクタ12と機械的に干渉する。より具体的には、可能な実施形態は、図10に示されるように、前記突出(lobed)部分24を含むことができ、前記突出部分24は、第1の外部コネクタ12と係合して、それを遠位方向に押す。あるいは、スロットを備えた部分24を提供することができ、その内部に、第1の外部コネクタ12の内部にあるピンが係合している。しかしながら、他の解決策は、トリガ6と第1の外部コネクタ12との間の相互作用、および接続ジョイント7周りのトリガの回転に続く第1の外部コネクタ12の軸方向のスライドを引き起こすことが想定され得る。
【0074】
トリガ6はまた、トリガの動きの最大点および最小点で端部停止部として機能する2つの突起25を備える。
【0075】
切断ツール1のグリップ4は、固定ハンドル5とトリガ6との間に配置されたレバー27とばね26との間の相互接続によってばね式である。
【0076】
これにより、トリガ6を固定ハンドル5に近づけるためにトリガ6に圧力が加えられた後、器具を開構成に戻すことを可能にし、器具を使用してグリップ4に対する外科医の圧力を較正するときに抵抗感を与えることができる。
【0077】
切断ツール1は、3つの動作構成を有する。すなわち、ツールを皮下挿入するための第1の構成(図1)、腱のロックおよびツールの前進のための第2の構成(図2)、および腱の切断のための第3の構成(図3)である。
【0078】
第1の構成では、摘出先端部9は、図1および4に示される形態をとり、したがって、溝10が完全に開いた状態である。
【0079】
腱は、摘出先端部9の溝10の内側に挿入される。
【0080】
この構成では、グリップ4は完全に隔たれている、すなわち、トリガ6は、固定ハンドル5とトリガ6との間に配置されたレバー27とばね26とによって及ぼされる作用の結果として、固定ハンドル5から最大の距離にある。
【0081】
ロックスライダ20は、後退位置すなわち近位位置にあり、つまり、トリガ6のロックスロット22がスライダ20の歯21と位置合わせされていないので、完全に固定ハンドル4に面している。
【0082】
外科医がトリガ6に圧力をかけない場合、ブレード11は移動せず、摘出先端部9の側壁9cに対して保護されたままであり、切断エッジ11bが露出していないので、腱の切断を防止する。
【0083】
腱が摘出先端部9の溝10の内側に挿入されると、ツールが前進する。ツールを皮下に前進させるために、腱は、溝付き先端部9の溝10の内側にロックされなければならない。次に、ツールは、図2および5に示される第2の構成になる。
【0084】
ツールを第2の構成にするために、外科医は、トリガ6のレバーを一定量(すなわち、ハンドルを閉じることによって)押す。この動作により、トリガ6は、支点として機能する固定ジョイント7の周りを回転し、したがって、外部可動システム13の構成要素のスライドを得、したがって、腱ロック位置での切断ブレード11の並進運動を得る(図5)。切断エッジ11が摘出先端部9に向かって前進すると、突起17がスライドし、溝10の開放縁部10bを閉じ、アイレット18を規定し、その内部で、このようにして、腱がロックされる。
【0085】
次に、ロックスライダ20の作動に続いて、腱がアイレット18の内側にロックされた状態で、ツールをこの第2の位置にロックすることが可能である。
【0086】
トリガ6を回転させて固定ハンドル5に近づけると、トリガ6のロックスロット22がスライダ20の歯21と整合して移動する。スライダ20はばね式であるので、トリガ6のロックスロット22とスライダ20の歯21との間の位置合わせが起こるときに、スライダ20は、ばねによって押されてトリガ6に向かって遠位位置に前方に移動し、歯21がトリガ6のロックスロット22と干渉し、このようにして、さらなるトリガ6の動きをロックする。
【0087】
トリガ6は、ブレード11を含む外部可動システム13を操作するので、トリガ6をロックすると、ブレード11のスライドもロックされ、ブレード11は摘出先端部9のアイレット18内の腱をロックするための中間構成のままとなる。
【0088】
スライダ20の歯21とロックスロット22との間の幾何学的干渉は、ロックスライダ20がツールの近位端に向かって、すなわち、固定ハンドル5に向かって自発的に後退しない限り、ハンドルの偶発的な開閉を防止する。この後退は、スライダ20とトリガ6との幾何学的干渉を取り除き、したがって、固定ハンドル5とトリガ6との間の回転を自由にする。
【0089】
第3の構成(図3および6)は、ツールがシャフト2の外側側面2cの目盛りを刻んだスケール3で示される所望の摘出深度に達したら腱を切断することを含む。ロックスライダ20を近位位置に後退させ、トリガ6を押すことにより、切断ブレード11は、摘出先端部9上でさらに前進し、ブレード11の切断エッジ11aがアイレット18の内側に露出するようにする。ブレードの切断エッジ11aが摘出先端部9の遠位端9dに向かってさらに前進することにより、ブレード11はアイレット18を完全に閉塞し、その結果、腱の最終的なギロチン切断がもたらされる。
【0090】
ブレード11の歯付き切断エッジ11bの角度およびプロファイルは、切断に対する抵抗を低減し、腱の端部からの正確できれいな除去を可能にする。
【0091】
この時点で、腱の近位端が切断されると、ツールを取り外すことができる。その弾力性のために遠位端に向かって収縮する傾向がある腱は、別の手術部位で治療および移植されるために、最終的には遠位端で摘出および切断される。
【0092】
手術中、ツールは、摘出先端部9の遠位端9dを使用して摘出先端部9自体の溝10に腱を挿入するために、銃のように取り扱うのに適している。
【0093】
次に、グリップ4が作動し、第2の構成の切断ブレード11およびトリガ6をロックすることによってロックスライダ20が前進して、それによって摘出先端部9内の腱をロックするまで、次にトリガ6が押されて回転する。続いて、ツール1は、シャフト2上の目盛りを刻んだスケール3によって案内される所望の深さまで前進する。
【0094】
所望の深さに達すると、外科医は、ロックスライダ20を後退させ、トリガ6を再び押して、外部可動システム13を移動させて腱を切断する。
【0095】
このように設計および説明されたツールは、従来技術に見られる欠点を克服することを可能にする。
【0096】
実際、本発明の主題である腱の皮下切断用ツールは、皮下挿入および除去の両方の間に容易に使用できる。したがって、ツール自体の使用の複雑さに加えて、手術の長さが短縮される。
【0097】
スライダの安全システムがハンドルの切断ブレードを正しくロックするので、誤って腱を切断するリスクが軽減される。
【0098】
ツールの長手方向軸に対して傾斜しているブレードと切り欠きのあるプロファイルにより、切断が容易になり、正確且つ精密になり、切断抵抗が大幅に減少する。
【0099】
摘出先端部の先細のプロファイルにより、軟組織を簡単に摘出でき、ツールが進むときにガイドすることができる。
【0100】
最後に、摘出先端部の遠位端の外縁の丸みを帯びたプロファイルは、ツールの挿入および腱との結合を容易にする。
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