(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】車両部分穴パッチアプリケータ装置
(51)【国際特許分類】
B25J 9/16 20060101AFI20221014BHJP
B65C 1/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B25J9/16
B65C1/04
(21)【出願番号】P 2021516663
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 IB2019058908
(87)【国際公開番号】W WO2020084419
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-03-23
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,キャメロン,ジェー
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0209320(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015014221(DE,A1)
【文献】独国実用新案第202015102825(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
B65C 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチを保持するパッチディスペンス装置と、
ロボットアームと、
前記ロボットアームの端部に取り付けら
れ、軸回りで回転可能なスピンドルと、
前記スピンドルに接続さ
れ、真空圧を使用し
てパッチ
を保持す
るアプリケータと、
前記ロボットアーム
及び前記スピンドルを制御することによって、前記パッチディスペンス装置に保持されているパッチを前記アプリケータに移動させた後に、前記アプリケータに移動したパッチをワークピース上の所定位置に固定する制御手段と、を備えるパッチアプリケータ装置であって、
前
記アプリケー
タは、ソフト層とプラスチックベース層と
が設けられたアプリケータパッドを有する
ことを特徴とするパッチアプリケータ装置。
【請求項2】
ワークピー
スを撮影
するカメラを
備え、
前記カメラによ
り撮影された
画像によって前記
パッチがワークピース
の適切な位置に
固定されたか判断することを特徴とする請求項1に記載のパッチアプリケータ装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記スピンドルのベースに接続されている、請求項2に記載のパッチアプリケータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年10月22日出願の米国仮特許出願第62/748,854号の利益を主張する。上記出願の開示は、参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、アップリケ又は穴をカバーするパッチ及び/又はラベルをロボット的に適用するための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、複数の穴を迅速な組立ライン環境において恒久的にシール又はカバーすることが必要な、自動車、航空機、船舶、レクリエーショナル(等)ビークルの製造に有用である。
【0004】
現在、テープが使用され、手作業によって適用されるが、これは迅速でもなく効率的でもない。
【0005】
封止テープを手作業で適用することは、多くの場合、人間工学的に困難な作業である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、穴をアップリケ又はパッチでカバーするための、正確でスピーディかつ反復可能な、自動化解決手段を提供することがいまだに必要とされている。更に、次の部分へと移動する前に穴が十分にカバーされていることを確認するべく車両部分におけるパッチの配置を検証する方法を提供することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の更なる適用領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。尚、詳細な説明及び具体例は、本発明の好適な実施形態を示すものではあるが、もっぱら例示の目的を意図するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが明記されなければならない。
【0008】
本発明は、パッチを保持するパッチディスペンス装置と、ロボットアームと、前記ロボットアームの端部に取り付けられ、軸回りで回転可能なスピンドルと、前記スピンドルに接続され、真空圧を使用してパッチを保持するアプリケータと、前記ロボットアーム及び前記スピンドルを制御することによって、前記パッチディスペンス装置に保持されているパッチを前記アプリケータに移動させた後に、前記アプリケータに移動したパッチをワークピース上の所定位置に固定する制御手段と、を備えるパッチアプリケータ装置であって、前記アプリケータは、ソフト層とプラスチックベース層とが設けられたアプリケータパッドを有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、スピンドルを備えるロボットアームの側方斜視図である。
【
図2】
図2は、前記ロボットアームから取り外された前記スピンドルの上方斜視図である。
【
図3】
図3は、前記ロボットアームから取り外された前記スピンドルの断面平面図である。
【
図4】
図4は、前記ロボットアームから取り外された前記スピンドルの平面図である。
【
図5】
図5は、バネ式アプリケータの分解側方断面図である。
【
図6A】
図6Aは、車両部分の穴をパッチでカバーし、パッチ配置を検証する方法の概略を示すフロー図である。
【
図6B】
図6Bは、車両部分の穴をパッチでカバーし、パッチ配置を検証する方法の概略を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、スピンドルに取り付けられたカメラを備える前記ロボットアームから取り外された前記スピンドルの上方斜視図の別実施形態である。
【
図8】
図8は、前記スピンドルにパッチを装填するパッチディスペンス装置の側方斜視図である。
【
図9】
図9は、前記車両部分にパッチを適用する前記ロボットアームの概略側方斜視図である。
【
図10】
図10は、トレーニングアプリケータパッドと車両部分の穴の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適な実施形態(単数又は複数)の以下の説明は、単に例示的なものであって、いかなる点においても本発明、その適用又は利用法を限定することを意図するものではない。
【0017】
次に、すべての図面全体と、更に、特に
図6A,6B,8,9及び11とを参照すると、車両部分106の穴104a,104b,104c上にパッチ102を固定する方法が図示され記載されている。前記車両部分106は、カバーする必要がある穴を有する車両の任意のコンポーネントであってよい。図示されている本発明の実施形態では、前記車両部分106は、当該部分が浸漬され、又は、噴霧されるとともに、当該車両部分を塗装、コーティングする、又は追加のコンポーネントを加えて仕上げる前に、当該部分の内部から液体を排出しなければならない、コーティング処理中に使用される排出穴を有するロッカーパネルである。前記排出穴を開口状態のまま残すことは、前記部分の内部を外部要素に晒す可能性があるため、望ましくない。
【0018】
前記パッチアプリケータ装置100は、ロボットアームが複数の軸回りに移動することを可能にする三つの可動ジョイント110,112,114を備える当該ロボットアーム108を提供する。前記可動ジョイント110,112は、前記ロボットアームが垂直に移動するとともに、前記ロボットアームのベースに位置する前記可動ジョイント114に対してその長さが伸縮することを可能とし、前記可動ジョイント114は、前記ロボットアーム108が360度回転することを可能にする。前記ロボットアームの端部116にはスピンドル118が設けられている。当該スピンドル118は、長手軸心A-Aを有するネック部120と、前記ロボットアーム108に接続された第一端部122及び前記スピンドル118のベース126に接続された前記ネック部120の第二端部124を有する。前記スピンドル118は、前記ネック部120の前記長手軸心A-A回りで回転可能である。
【0019】
図示されている前記パッチアプリケータ装置100は、前記スピンドル118の前記ベース126に接続された四つのバネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dを有する。本実施形態は四つのバネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dを図示しているが、特定の用途の必要性に応じて、それよりも多数又は少数のバネ式アプリケータも本発明の範囲内である。例えば、カバーすべき穴がより多数存在する場合、又は、バッチのサイズがもっと小さい又は大きい場合は、前記ベースに接続されるバネ式アプリケータの数はサイズの違いによって変化しうる。
図2-5に図示の発明は、前記バネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dが、前記ベース126のアングル面130a,130b,130c,130dに対して、長手軸心A-Aに対する約45度の角度θで接続されていることを図示している。前記角度θによって、パッチが車両部分の表面に対して所望の角度で接触することが可能となり、この角度は、ロボットアーム108の長さ又は揺動角度、又は、前記車両部分表面の曲率などの要素に応じて変化しうる。前記角度θは、前記長手軸心A-Aに対して決定することができ、約1度から約50度、45度以下、35度以下、5度以上、20度以上の範囲から選択することができる。
【0020】
図7に図示の本発明の別実施形態では、もう一つの実施形態のスピンドル318が図示されている。本発明のこの実施形態において、
図7からの参照番号のように引き継がれ図示される。その相違点は、前記スピンドル118上の
図2に示されるバネ式アプリケータ128bが、以下により詳述されるように、前記車両部分の画像を撮影するために使用されるデジタルカメラ319によって置き換えられていることにある。その他のバネ式アプリケータ128a,128b,128cはそのまま存在し、上述したように作動する。
【0021】
図5を参照すると、前記バネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dの詳細が図示され記載されている。当該バネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dのそれぞれは、締め具を使用して前記スピンドル128のベース126の前記アングル面130a,130b,130c,130dに接続された固定ベース132を有する。この固定ベース132は、当該固定ベース132内へと延びて固定バネ座136として終端するバネ保持穴134を有している。当該バネ保持穴134内には、第一端部140及び第二端部142を備えるバネ138が設けられている。前記第一端部140は前記固定バネ座136に接触しながら、前記バネ138の前記第二端部142は、前記バネ保持穴134から延びてプランジャ150の中空部148の端部146に形成されたプランジャバネ座144に接触している。前記プランジャ150は、当該プランジャ150が、車両部分等の物体に接触することにより、バネ138を圧縮させて、当該プランジャ150を前記スピンドル118の前記ベース126に向けて移動させるのに十分な力で、プランジャ150のプランジャバネ座144がバネ138に対して圧縮する圧縮位置の間をスライドするように構成されている。前記プランジャ150は、前記ロボットアーム108を使用して、当該プランジャ150が前記車両部分との接触から離間移動し、前記バネ138が、プランジャバネ座144に対して、プランジャ150を前記スピンドル118のベース126から離間移動させてそれによってバネ138が非圧縮状態となる、非圧縮位置へも移動可能である。
【0022】
前記プランジャは、前記固定ベース132に形成された各保持スロット154,154′に係合する保持ネジ152,152′を使用して前記固定ベース132に対してスライド可能に保持されている。前記保持ネジ152,152′は、プランジャ150が前記圧縮位置と前記非圧縮位置との間で移動する際に前記保持スロット154,154′内でスライドし、これと同時にプランジャ150が前記固定ベース132から外れることを防止する。ユーザがプランジャを前記固定ベース132から取り除くことを望む場合は、前記保持ネジ152,152′が緩められ、又は、取り出されて、それらがもはや各保持スロット154,154′に係合せず、それによってプランジャ150から前記固定ベース132から外れることを可能にする。
【0023】
各プランジャ150は、当該プランジャ150を通って延びる真空通路156を有し、この真空通路156には真空源入口158が接続されている。前記真空通路156は、プランジャ150の端部壁160を貫通して穿孔されたボアである。前記真空通路の両端部は、取り去り可能であり、前記真空源入口158の代替の取り付け位置を提供する、プラグ164,164′によって閉じられている。前記真空源入口158は、前記プランジャ150の外側面から延びて前記真空通路156において終端するクロス通路162に接続されている。前記プランジャ150の前記端部壁160を通って、吸引を提供する真空穴168,168′が設けられている。二つの真空穴168,168′が図示されているが、前記パッチのサイズ及び前記真空通路のサイズに応じて、より少数又より多数の真空穴を設けることも本発明の範囲内である。
【0024】
前記プランジャ150の前記端部壁160にはアプリケータパッド170が接続され、これは、プラスチックベース層174に接続されたソフト層172を有している。当該アプリケータパッド170を通って延びる穴176,176′が設けられ、これらは、前記アプリケータパッド170がプランジャに接続されたときにプランジャ側の前記真空穴168,168′とアライメントする。前記穴176,176′は、プランジャ150の前記真空通路156内に形成された真空吸引を、前記ソフトフォーム層172の表面に対して付与することを可能にする。作動中、前記穴176,176′に提供される前記真空吸引力を使用して、前記ソフト層172の表面にパッチ(後述する)が保持される。前記プランジャは、前記端部壁160の外側面を取り囲むアライメントスロット178を有している。前記プラスチックベース層174は、接続エッジ180とスナップタン182とを有する。前記接続エッジ180は、前記アライメントスロット178内へとスライドして、前記アプリケータパッド170をプランジャ150上に固定しアライメントする。前記スナップタン182は、前記アライメントスロットにスナップし、アプリケータパッド170がプランジャ150から外れることを防止する。前記アライメントパッド170を取り去るには、前記スナップタン182を上方に引き、当該スナップタン182を前記アライメントスロット178から開放し、これによってアプリケータパッド170がプランジャから外れることを可能にする。
【0025】
前記ロボットアーム108(後述する)の作動中、前記アプリケータパッド170は、パッチが車両部分の表面に付着することを可能にする十分な力でこの車両部分と接触する。前記ソフト層172は、車両部分と前記バネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dとの間の接触の一部を吸収することによって、車両部分と前記バネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dとに対するダメージを防止するクッションを提供する。当該ソフト層172は、車両部分又はプランジャ150に対してダメージを与えることなくロボットアーム108がパッチを押し付けることを可能にするゴム,ポリウレタン,シリコーン,発泡スチレン、又は任意の軟質材料、を含む複数種の材料から形成することができる。
【0026】
前記パッチアプリケータ装置100は、更に、四つの真空発生装置184a,184b,184c,184dを有し、当該装置のそれぞれは、前記バネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dのそれぞれに接続されている。本発明の一実施形態において、前記真空発生装置184a,184b,184c,184dは、圧縮空気フィードバックライン186a,186b,186c,186dから受け取り、真空発生装置内の空気通路を通してブローされる圧縮空気によって作動する。真空通路は、前記空気通路に接続され、これによって前記圧縮空気流は前記真空通路を通過し、当該真空通路と前記空気通路との間で圧力差を作り出す。この真空通路内の圧力差によって、前記真空源入口158に付与される前記真空圧が作り出される。
【0027】
各真空発生装置184a,184b,184c,184dは、ホースを使用して、プランジャ150側の前記真空源入口158において各バネ式アプリケータ184a,184b,184c,184dに接続されている。各真空発生装置184a,184b,184c,184dには、そのそれぞれが当該各真空発生装置184a,184b,184c,184dに接続された真空フィードバックライン186a,186b,186c,186dが接続されている。各真空フィードバックライン186a,186b,186c,186dは、一端部において圧力センサ194に接続され、第二端部において前記真空発生装置184a,184b,184c,184dの一つに接続されている。前記真空発生装置184a,184b,184c,184dのそれぞれは前記真空源入口158に加えられる真空圧を作り出すために起動され、前記真空フィードバックライン186a,186b,186c,186dのそれぞれは前記圧力センサ194に圧力読取信号を送信する。更に、一端部において前記真空発生装置184a,184b,184c,184dの一つに接続され、他端部において単数又は複数の空気制御バルブ192の一つに第二端部に接続された、複数の空気供給ライン190a,190b,190c,190dを通る圧縮空気流を制御するための単数又は複数の空気制御バルブ192も設けられている。前記空気供給ライン190a,190b,190c,190dは、各真空発生装置184a,184b,184c,184dによって前記真空圧を作り出すために使用される圧縮空気を提供する。
【0028】
コントローラ196は、前記ロボットアーム108、単数又は複数の空気制御バルブ192、及び、前記真空フィードバックライン186a,186b,186c,186dのそれぞれに接続された圧力センサ194に接続されている。当該コントローラ196は、各圧力センサ194から信号を受信し、前記単数又は複数の空気制御バルブ192を開位置と閉位置との間で移動させるための制御信号を送信し、それによって、いつ前記真空圧が前記各真空発生装置184a,184b,184c,184dによって作り出されるかを制御する。
【0029】
各圧縮空気フィードバックライン186a,186b,186c,186d及び前記複数の空気供給ライン190a,190b,190c,190dは、前記スピンドル118の前記ネック部120の中空通路188を通って延びている。前記スピンドル118は、前記中空通路188を有するものとして図示され記載されているが、前記ネック部120を中実にし、前記圧縮空気フィードバックライン186a,186b,186c,186d及び前記複数の空気供給ライン190a,190b,190c,190dを前記ネック部の外側面側に延ばすことも本発明の範囲内である。
【0030】
前記パッチアプリケータ装置100は、更に、その特定の用途に応じて単一のカメラ又は複数のカメラとすることができる、カメラ119を有する。上述しかつここに既に記載した前記スピンドル118に接続されたカメラ319とすることも可能な、前記カメラ119は、前記コントローラ196に接続されている。当該カメラ119,219は、前記車両部分106の単数又は複数の画像を撮影し、当該画像を前記コントローラ196に送る。前記コントローラ196は、前記カメラ119,319によって撮影された前記単数又は複数の画像を分析して、前記車両部分106が適切な位置にあるか否かを判定するとともに、前記車両部分106の前記穴104a,104b,104c,104dが、前記装置が作動された後においてカバーされているか否かも判定する。本発明のこの実施形態において前記カメラ119は、前記車両部分106の下方の地面に取り付けられているが、このカメラ119をその他の場所に取り付けることも本発明の範囲内である。
【0031】
次に、
図10を参照すると、本発明のトレーニングアプリケータパッド198の態様が図示されている。このトレーニングアプリケータパッド198は、前記ロボットアーム108に動きと車両部分106の各穴104a,104b,104c,104の位置とを学習させるときに使用される。前記ロボットアーム108のトレーニング中、前記アプリケータパッド170は取り去られ、前記トレーニングアプリケータパッド198が前記プランジャ150に接続される。前記トレーニングアプリケータパッド198は、前記アプリケータパッド170と同じプラスチックベースを有しており、これによって、前記プランジャ150との接続が可能となる。前記トレーニングアプリケータパッド198は、前記ロボットアーム108がトレーニングされているときに前記車両部分106の前記複数の穴のうちの一つ内へと位置決めされる突出面200を有している。
【0032】
次に
図8を参照すると、前記パッチアプリケータ装置100は、更に、パッチディスペンス装置202を有している。このパッチディスペンス装置は、前記パッチの片面上の接着剤によってテープロール204に接続された複数のパッチ206a,206b,206cを備えるテープロール204を有している。前記テープロール204は、供給スピンドル208上に回転可能に配置され、前記テープロール204の端部は、前記パッチディスペンス装置202を介して、テイクアップスピンドル211に回転可能に取り付けられたテイクアップロール210へと通されている。本発明の一実施形態において、前記供給スピンドル208及び前記テイクアップスピンドルは、当該供給スピンドル208とテイクアップスピンドル211とを同時に回転させるベルトトランスミッションを備える単一のモータ等のアクチュエータ(図示せず)、にそれぞれ接続されている。前記パッチディスペンス装置202は、そこで、繰り出されたテープが鋭いターンをする曲げプレート216を有するパッチ装填領域214を有し、パッチ装填領域は、テープが当該曲げプレート216の回りでスライドする際に、テープに付着している任意のパッチのエッジをわずかに剥がす。図面に図示されているように、パッチ206cは、前記パッチ装填領域214において剥がされている。前記曲げプレート216の上方には、圧縮空気の流れを、前記パッチ装填領域214においてパッチの持ち上げられたエッジと接触してこのパッチをテープから離れさせる角度で吹き付ける空気歯220が設けられている。
【0033】
次に、すべての図面を参照して、車両部分の穴をパッチでカバーし、パッチの配置を検証する方法について説明する。この方法は、カバーする必要のある穴を有する車両部分を提供する工程を有する。前記パッチディスペンス装置202に、テープロール204上に単数又は二つ以上のパッチ206a,206b,206cを有するテープロール204を提供する。少なくとも一つの可動ジョイントを備えるロボットアーム108を提供する。前記ロボットアーム108の端部に接続されたスピンドル118を提供し、ここで、前記スピンドル118は、長手軸心A-Aを有するネック部120、前記ロボットアーム108に接続された前記ネック部120の第一端部122及び前記スピンドル118のベース126に接続された前記ネック部120の第二端部124を有する。前記スピンドル118は、前記ネック部120の長手軸心A-A回りで回転可能である。
【0034】
前記方法は、更に、前記スピンドル118に接続されたバネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dを提供する工程を有する。更に、前記方法は、各真空発生装置184a,184b,184c,184dと少なくとも一つの圧力センサ194との間に接続された真空フィードバックライン186a,186b,186c,186dを提供する。各真空発生装置184a,184b,184c,184dは、前記バネ式アプリケータ128a,128b,128c,128dの一つに接続されている。更に、各真空発生装置184a,184b,184c,184dは、圧縮空気を利用して真空圧を作り出す前記真空発生装置184a,184b,184c,184dへの圧縮空気流を制御する少なくとも一つの空気制御バルブ192に接続されている複数の空気供給ライン190a,190b,190c,190dの一つに接続されている。更に、前記コントローラ196は、前記少なくとも一つの空気制御バルブと、各真空発生装置184a,184b,184c,184dのそれぞれを通る圧縮空気の流れを検知し制御するために少なくとも一つの圧力センサ194に接続されている。更に、前記方法には、前記車両部分の画像を撮影するために前記コントローラ196に接続されているカメラ119を提供する工程が含まれる。
【0035】
次に
図6Aと
図6Bとを参照して、前記作動工程を含む前記方法について説明する。第一工程10は、前記スピンドル上の複数のバネ式アプリケータに対してパッチを装填することを含む。この第一工程10中において、前記ロボットアームが動かされ、前記スピンドルが回転されて、前記複数のバネ式アプリケータのうちの一つを、前記パッチディスペンス装置のパッチ装填領域に対して位置決めする。前記第一工程10は、更に、前記パッチディスペンス装置を起動して前記パッチテープを動かし、前記パッチの一つが前記パッチ装填領域において位置決めされ、その後、前記パッチディスペンス装置の空気歯を介して空気を吹きかけて前記パッチをテープロールからパッチ装填領域に位置決めされた前記複数のバネ式アプリケータの一つ上に落とす工程を含む。同時に、前記複数のバネ式アプリケータの一つと連携される真空発生装置を起動して、前記アプリケータパッドの表面上に真空を作り出して前記パッチを前記アプリケータパッドの表面上に掴んで保持する。
【0036】
次に、第二工程12において、装填すべき、又は装填可能なパッチがもっとあるか否かの判定を行う。この判定は、前記デジタルカメラと、前記複数のバネ式アプリケータの一つと関連する各真空発生装置における前記真空圧を検知する前記圧力センサとからの信号を受信し分析する前記コントローラによって行われる。前記コントローラは、デジタルカメラの画像を使用して、車両部分のいくつの穴がまだカバーされる必要があるかを判定する。例えば、車両部分がバネ式アプリケータの数よりも多い穴を有している場合は、前記ロボットアームは、すべての壁がパッチによってカバーされるまでに複数のサイクルを経る必要があるかもしなれない。適用される数量のパッチにおける車両部分の穴の数は、すべて前記コントローラにプログラミングされる。したがって、カメラ画像が、バネ式アプリケータの数よりも少数の穴が存在していることを示している場合は、前記コントローラは、単に、前記ロボットアームに対して残りの穴をカバーするために十分なパッチを装填するように指令するだけである。
【0037】
前記コントローラは、真空圧信号を利用してヘッド上にパッチが存在するか否かも判定する。前記圧力センサは、前記真空発生装置からフィードバック信号を受信すると、圧力読取信号を前記コントローラに送信する。前記コントローラは、前記圧力読み取りが、それがアプリケータパッド上のパッチの存在を示すようなものであるか否かを判定する。前記圧力読取信号は、特定の用途に応じて異なるものとすることができる。但し、適切に配置されたパッチが存在するときの検知圧が、使用される用途のタイプの如何に関わらず既知の圧力値を有し、したがって、本発明の一実施形態においては、前記コントローラは、バッチが存在するときに検知される値(すなわち、適切に配置されたパッチが存在するときの既知の圧力値)の25%より大きい検知真空圧が、バッチが存在しないことを示すようにプログラミングされる。本発明の一実施形態において、前記圧力測定値は-8kPaから-70kPaの範囲である。パッチが前記アプリケータパッド上に存在する場合は、前記圧力測定値は通常-70kPaであり、他方、パッチが存在しない場合は、前記圧力測定値は約-8kPaである。本発明の一実施形態において、前記コントローラは、それよりも大きな測定値はパッチが存在しないことを示すことになるので、圧力測定値が-30kPa以上である場合にパッチが存在しないと判定するようにプログラミングされる。但し、この範囲は、パッチのサイズ、アプリケータパッドの材料、穴の数、複数のバネ式アプリケータの真空通路のサイズ、等を含む複数の要素に応じて変化しうる。工程12において、前記複数のバネ式アプリケータの全部にはパッチが存在しないと判定された場合は、前記コントローラは、複数のバネ式アプリケータのうちのどれにパッチが装填されていないかを判定し、次に、前記ロボットアームに対して、複数のバネ式アプリケータのうちの装填されていないものが前記パッチディスペンス装置に面するように前記スピンドルを回転させるように指令する。その後、工程10が、上述したように、再び始まる。
【0038】
工程12において、複数のバネ式アプリケータのそれぞれにすべてパッチが存在すると判定されると、前記方法は、工程14に進み、ここで、前記車両部分が位置決めされているか否かを判定する。この工程中、前記デジタルカメラを使用して、前記車両部分の画像を撮影し、それが適正な位置にあるか否かを判定する。多くの場合、前記方法は、組立ライン上で実行されており、前記車両部分はコンベアラインに沿って移動しており、前記方法が継続される前に適切な位置に存在していなければならない。単数又は複数のデジタルカメラによって撮影された前記画像は、当該画像を予めプログラミングされたデータに基づいて分析する前記コントローラに送られる。前記予めプログラミングされたデータは、適切な位置に配置された前記部分の画像が撮影されコントローラによって記憶される、トレーニングセッション中に記録される。これらの記憶された画像が工程14において撮影された画像と比較され、前記車両部分が、本方法が継続されるために適切にアライメントされているか否かが判定される。車両部分がまだ適切にアライメントされていない場合は、前記車両部分が適切なアライメント位置に到達するまで、工程14が引き続き繰り返され、前記単数又は複数のデジタルカメラによって追加の画像が撮影され、分析が行われる。
【0039】
その後、工程14において、前記車両部分が所定位置にあると判定されると、前記方法は、工程16に進み、ここで、ロボットアームは、前記複数のバネ式アプリケータのうちの少なくとも一つを前記車両部分の前記複数の穴のうちの一つとアライメントさせるべく回転させるべく、移動する。次に、工程18において、前記パッチが前記車両部分に適用される。この工程中、前記ロボットアームは、次に、パッチが車両部分に対して押し付けられて、その車両部分の穴がカバーされるように、車両部分に向けて移動される。前記ロボットアームが前記パッチ適用位置へと移動されると、前記パッチを適用している前記複数のバネ式アプリケータの前記一つが圧縮されて、前記複数のバネ式アプリケータの前記一つのプランジャが、前記複数のバネ式アプリケータの前記一つを圧縮し、それによって前記車両部分の前記パッチに対して、当該パッチを前記車両部分に対して付着させるのに十分な力を加える、のに十分な力で、前記車両部分に対して押し付けられる。同時に、この圧縮工程中に、パッチに対して付与されている真空力を解除するために、その特定のバネ式アプリケータの真空力を停止させる。
【0040】
次に、工程20において、前記部分にカバーすべきもっと多くの穴が存在するか否かがクエリされる。この工程中、前記コントローラは、この判定を、車両部分に適用されたパッチの数と、コントローラに予めプログラミングされている車両部分の穴の所定数と比較することによって行う。車両部分においてそれ以上カバーするべき穴が存在しないと判定された場合は、次に、工程22において、車両部分の前記穴が適切にカバーされているか否かを判定する。この工程中、前記単数又は複数のカメラが起動されて、前記車両部分の画像が撮影され、それらがコントローラに送られる。次に、前記パッチのプレート配置が分析されて穴が実際にカバーされているか否かを判定する。すべての穴がカバーされていると判定された場合は、工程24において、ロボットアームが車両部分から離間移動され、車両部分はどけられる。しかしながら、前記穴の一つがカバーされていない、又は、適切にカバーされていない、と判定された場合は、工程26において、コントローラは、穴がカバーされていない又はみつからないことが、これが初めてであるか否かを判定する。それが初めてである場合は、コントローラは、工程29において、ロボットアームに対して、別のパッチを配置するか、別のパッチを装填し当該別のパッチを配置するように指令する。次に、前記方法は、工程22に戻り、前記車両部分が二度目にチェックされる。但し、もしも工程26において、パッチを配置する二度目の試みがなされているが、まだうまくいっていないと判定された場合には、前記方法は、工程27へと進み、アラートを発する。工程24の後、新しい車両部分が作業領域内と移動開始し、前記方法は工程10に戻る。
【0041】
工程20において、車両部分にまだカバーするべきより多くの穴が存在すると判定された場合は、前記方法は工程28に進み、前記複数のバネ式アプリケータ上にまだ装填されたパッチが存在するか否かを判定する。前記複数のバネ式アプリケータ上に装填されたパッチがそれ以上存在しないと判定された場合には、前記方法は、工程10に戻り、前記パッチ装填プロセスが開始され、そして、前記コントローラは、前記プログラミングされたデータに基づき、前記車両部分の穴のうちどれがまだカバーされなければならないかを認識する。コントローラは、この情報を使用して、工程16においてロボットアームに、車両部分の次の適切な穴へと移動するように指令する。ある種の用途の間においては、車両部分の穴の数はスピンドル上のバネ式アプリケータの数よりも多いか又は少ないことがありうる。また、車両部分に奇数の穴が存在していてもよい。例えば、スピンドルは、三つのバネ式アプリケータを備えているかもしれないのに対して、車両部分は四つの穴しか有していなくてもよい。このことは、ある車両部分に対して、ロボットアームが三つのパッチの1組を適用するが、その後、戻って、四番目の穴をカバーするためにもう一つのパッチを適用する必要がある、ということを意味する。本発明の前記方法は、前記三つのバネ式アプリケータのどの一つが四つめのパッチを適用するように交替作動するかをロボットアームに指令するようにプログラミングすることを含む。その理由は、多くのサイクルで複数のバネ式アプリケータが摩耗し、四番目のパッチを受け取る三つのバネ式アプリケータのうちいずれか一つを交替作動することによって、三つのバネ式アプリケータの疲弊が均一化されるからである。
【0042】
工程28において、複数のバネ式アプリケータの上にまだ装填されたパッチが存在すると判定された場合は、工程30において、前記スピンドルが回転し、装填されたパッチを車両部分の開いている穴とアライメントさせる。工程30中において、前記コントローラは、前記真空圧信号圧力センサを使用して複数のバネ式アプリケータのうちのどの一つがまだ装填されたパッチを有しているかを判定し、ロボットアームに対して、そのバネ式アプリケータを、車両部分の穴と位置決めするようにスピンドルを回転するように指令する。その後、前記方法は、工程18に戻り、ここで、パッチが車両部分に適用される。
【0043】
本発明の以上の説明はその性質において例示的なものに過ぎず、したがって、本発明の要旨から逸脱することのないバリエーションは本発明の範囲内に含まれることが意図されている。そのようなバリエーションは、本発明の要旨及び範囲からの逸脱と見なされてはならない。