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特許7158585高いサイクル効率の電極を製造するシステム、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用
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  • 特許-高いサイクル効率の電極を製造するシステム、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用 図1a
  • 特許-高いサイクル効率の電極を製造するシステム、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用 図1b
  • 特許-高いサイクル効率の電極を製造するシステム、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】高いサイクル効率の電極を製造するシステム、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20221014BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALI20221014BHJP
   H01M 4/1391 20100101ALI20221014BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20221014BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/1393
H01M4/1391
H01M4/1395
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021530291
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2019121116
(87)【国際公開番号】W WO2020108503
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】201811427688.6
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811427687.1
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821972810.3
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521228710
【氏名又は名称】北京▲衛▼▲藍▼新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING WEILION NEW ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 杰
(72)【発明者】
【氏名】李 文俊
(72)【発明者】
【氏名】李 泓
(72)【発明者】
【氏名】▲兪▼ 会根
【審査官】石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142528(JP,A)
【文献】特開2013-089452(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の電極の製造装置を使用して、金属源及び金属補充待ちの電極に対してロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧を行って、物理的な接着接触を実現し、複合電極を製造し、真空または不活性雰囲気で温度制御処理を行った後、金属源を剥離し、金属を補充した電極を得る工程を含む電極の製造方法であって、
前記電極の製造装置が、
電極処理ユニットと、
前記電極処理ユニットに直列接続されており、温度制御真空処理装置または温度制御不活性雰囲気処理装置を含む温度制御処理装置と、
前記温度制御処理装置に直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた金属補充待ちの電極とを分離させる剥離ユニットと、を含み、
前記電極処理ユニットが、
第1金属源を巻き出すための第1金属源巻出ドラムと、
前記第1金属源巻出ドラムに並列接続されており、金属補充待ちの電極を巻き出すための金属補充待ちの電極の巻出ドラムと、
前記第1金属源巻出ドラム及び金属補充待ちの電極の巻出ドラムに直列接続されており、第1金属源と金属補充待ちの電極とを複合電極としてロールプレスするための押さえロール装置と、を含み、
前記金属補充待ちの電極が、金属遷移可能な負極または金属遷移可能な正極から選択され、
前記第1金属源が、基底層を有しない帯状リチウム源または帯状ナトリウム源である方法。
【請求項2】
前記電極の製造装置が、第1金属源巻出ドラム及び金属補充待ちの電極の巻出ドラムに並列接続されており、第2金属源を巻き出すための第2金属源巻出ドラムをさらに含み、
前記第1金属源巻出ドラムと前記第2金属源巻出ドラムとが、それぞれ金属補充待ちの電極の巻出ドラムの上側及び下側に位置し、
前記第2金属源が、基底層を有しない帯状リチウム源または帯状ナトリウム源であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属補充待ちの電極が、グラファイト負極、ハードカーボン負極、ソフトカーボン負極、中間相カーボンミクロスフェア負極、シリコンカーボン負極、シリコン酸素カーボン負極、シリコン負極、シリコン酸素負極、チタン酸リチウム負極、遷移金属酸化物負極、または硫黄系正極から選択されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記帯状リチウム源純金属リチウム、リチウム合金、または銅被覆の純リチウム帯であり、
前記帯状ナトリウム源純金属ナトリウムまたは帯状ナトリウム合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記温度制御処理装置に行われる前記温度制御処理の温度0~150℃であり、温度制御処理の時間0.1~168hであることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記温度制御真空処理装置相対的な真空度-10KPa~-99KPaであることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記温度制御不活性雰囲気処理装置における前記不活性雰囲気二酸化炭素雰囲気またはアルゴン雰囲気であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属補充待ちの電極の形状シート状または帯状であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記温度制御真空処理装置が、真空オーブンまたは真空バッグであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記剥離ユニットが、ガイドロール軸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記電極の製造装置が、前記剥離ユニットに直列接続されて剥離後の第1金属源と剥離後の極板とを巻き取る巻取ユニットをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項11の何れかの1項に記載の方法により製造される電極の、電池における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年11月27日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201811427688.6であり、発明名称が「高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用」であり、2018年11月27日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201811427687.1であり、発明名称が「高いサイクル効率の電極を製造するシステム」であり、及び2018年11月27日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201821972810.3であり、実用新案名称が「高いサイクル効率の電極を製造するシステム」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【0002】
本発明は極板という技術分野に関わり、特に高いサイクル効率の電極を製造するシステム、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用に関わる。
【背景技術】
【0003】
ケイ素はリチウムイオン電池の負極材料として機能する場合、グラファイト材料より遥かに大きい理論比容量を有し、ケイ素基の負極材料を開発することは、リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上に対して、重要な意味を有する。ただし、単体のケイ素は、リチウムを貯蔵した後、体積の膨張がひどいことから、ケイ素の負極コーティングが粉末化し、集電体から脱落し、サイクル寿命が悪くなり、実用価値を具備していない。酸化ケイ素材料はリチウムイオン電池の負極材料として機能する場合、リチウムを貯蔵した後の、体積の膨張という問題を大幅に改良したが、酸化ケイ素材料の初回効率はただ約70%であり、グラファイト材料の初回効率(約90%)より遥かに低い。初回効率が低過ぎるという問題を改良するために、酸化ケイ素の負極に金属リチウムを補充するという考え方は、大幅に認められる。負極にリチウムを補充するという実現方法について、国内外の専門家は大量の探索及び実践を行って、以下は通常のいくつかの方式である。
【0004】
出願開示番号がCN102779975Aである中国特許において、リチウム補充対象負極の上方には、リチウム粉末を貯蔵するための材料供給溝が設けられて、リチウムの補充を実施する場合、リチウム粉末は電界の作用で、負極板の表面に吸着され、ロールプレスを介して、リチウム粉末を負極板の表面にしっかり付着させることで、リチウムの補充を実現する。このような方法は、電極の表面でリチウムを均一に補充するように実現できるという前提条件は、リチウム粉末の粒子が小さくて且つ均一、ローラの表面の平坦度が極めて高く、ローラにはなるべく少なくリチウム粉末が付着されることである。
【0005】
出願開示番号がCN105489846Aである中国特許において、複合リチウム帯及びリチウム補充対象電極に対してロールプレスを行うことで、リチウム帯をリチウム補充対象電極に付着させ、リチウム補充電極を形成するとともに、複合リチウム帯基体としての第1基材が剥離され、巻き取られる。このような方法の実用化の前提条件は、超薄のリチウム帯(厚さが一般的に、10μmより小さい)を取得でき、ローラの表面平坦度が極めて高い(不均一を避けるために)ことである。
【0006】
出願開示番号がCN105702943Aである中国特許において、まず、負極材料と導電剤との混合粉末を製造し、混合粉末を導電性材料溝に入れて、混合粉末が浸潤するまで、電解液を滴下させ、ステンレス鋼パッドを利用して、電解液が滴下された混合粉末を圧密させ、ステンレス鋼パッドにセパレータを配置し、セパレータにパッドを配置し、パッドにリチウムシートを配置し、装置を介して、全ての部材を封止した後、電池テストシステムを利用して、封止装置を化成することで、負極材料に対する、リチウムの事前嵌め込みを実現する。
【0007】
出願開示番号がCN204966620Uである中国特許において、リチウム供給装置とリチウム補充対象負極とは接触したまま、共同で電解液に浸漬し、リチウム供給装置とリチウム補充対象負極とが接触するから、電子通路を有し、また、両者は共同で電解液に浸漬するから、両者の間にもイオン通路があり、そのリチウム補充メカニズムは、内部がショートした半電池に相当し、リチウムイオンはリチウム供給装置から脱出し、リチウム補充対象負極で、電子還元が行われたから、リチウム補充を実現できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記リチウム極板を製造するための装置は複雑であり、製造された極板のサイクル効率が劣っている。
【0009】
これに鑑みると、本発明は、高いサイクル効率の電極を製造するシステム、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用を提供し、当該システムは簡単であり、製造された電極から作成された全電池は、高いサイクル効率を具備する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高いサイクル効率の電極を製造するシステムを提供し、前記システムは、電極処理ユニットと、前記電極処理ユニットに直列接続されており、温度制御真空処理装置または温度制御不活性処理装置を含む温度制御処理装置と、前記温度制御処理装置に直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを分離させる剥離ユニットと、を含み、
前記電極処理ユニットは、第1金属源を巻き出すための第1金属源巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラムに並列接続されており、補充対象金属電極を巻き出すための補充対象金属電極巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに直列接続されており、第1金属源と補充対象金属電極とを複合電極としてロールプレスするための押さえロール装置とを含む。
【0011】
好ましくは、前記温度制御真空処理装置は真空オーブンまたは真空バッグである。
【0012】
好ましくは、前記不活性処理装置における雰囲気はCO雰囲気、またはアルゴン雰囲気である。
【0013】
本発明は高いサイクル効率の電極を製造するシステムを提供し、内部が真空雰囲気または不活性雰囲気または保護雰囲気であり、或いは、不活性雰囲気-保護雰囲気の混合雰囲気である雰囲気ボックスと、
前記雰囲気ボックスの内部に設けられる電極処理ユニットと、
前記電極処理ユニットに直列接続された温度制御ボックスと、
前記温度制御ボックスに直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを分離させる剥離ユニットとを含み、
前記電極処理ユニットは、第1金属源を巻き出すための第1金属源巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラムに並列接続されており、補充対象金属電極を巻き出すための補充対象金属電極巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに直列接続されており、第1金属源と補充対象金属電極とを複合電極としてロールプレスするための押さえロール装置とを含む。
【0014】
好ましくは、さらに、第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに並列接続されており、第2金属源を巻き出すための第2金属源巻出ドラムを含み、
第1金属源巻出ドラムと第2金属源巻出ドラムとは、それぞれ補充対象金属電極巻出ドラムの上側及び下側に位置する。
【0015】
好ましくは、前記第1金属源及び第2金属源における金属は、リチウムまたはナトリウムから選択される。
【0016】
好ましくは、前記補充対象金属電極は、グラファイト負極、ハードカーボン負極、ソフトカーボン負極、中間相カーボンミクロスフェア負極、シリコンカーボン負極、シリコン酸素カーボン負極、シリコン負極、シリコン酸素負極、チタン酸リチウム負極、遷移金属酸化物負極、または硫黄系正極から選択される。
【0017】
好ましくは、前記剥離ユニットはガイドロール軸である。
【0018】
好ましくは、さらに、前記剥離ユニットに直列接続されており、剥離後の第1金属源と、剥離後の極板とを巻き取る巻取ユニットを含む。
【0019】
好ましくは、本発明は高いサイクル効率の電極の製造方法を提供し、当該方法は、
金属源及び補充対象金属電極に対してロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧を行って、物理的な接着接触を実現し、真空または不活性雰囲気で、温度制御処理を行った後、金属源を剥離し、高いサイクル効率の電極を取得するステップであって、前記補充対象金属電極が、金属遷移可能な負極または金属遷移可能な正極から選択され、前記金属源における金属が、リチウムまたはナトリウムから選択されるステップを含む。
【0020】
好ましくは、前記補充対象金属電極は、グラファイト負極、ハードカーボン負極、ソフトカーボン負極、中間相カーボンミクロスフェア負極、シリコンカーボン負極、シリコン酸素カーボン負極、シリコン負極、シリコン酸素負極、チタン酸リチウム負極、遷移金属酸化物負極、または硫黄系正極から選択される。
【0021】
好ましくは、前記リチウム源は純金属リチウム、リチウム合金またはリチウムの複合体であり、
前記ナトリウム源は純金属ナトリウム、ナトリウム合金またはナトリウムの複合体である。
【0022】
好ましくは、前記温度制御処理の温度は0~150℃であり、温度制御処理の時間は0.1~168hである。
【0023】
好ましくは、前記真空の真空度は-10KPa~-99KPaである。
【0024】
好ましくは、前記不活性雰囲気は二酸化炭素雰囲気またはアルゴン雰囲気である。
【0025】
好ましくは、前記補充対象金属電極の形状はシート状または帯状である。
【0026】
好ましくは、金属源及び補充対象金属電極に対して、真空または不活性雰囲気または保護雰囲気、或いは不活性雰囲気-保護雰囲気の混合雰囲気で、ロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧を行う。
【0027】
本発明は、前記技術案に記載の製造方法により製造された高いサイクル効率の電極の、電池での応用を提供する。
【0028】
本発明は、高いサイクル効率の電極を製造するシステムを提供し、電極処理ユニットと、前記電極処理ユニットに直列接続されており、温度制御真空処理装置または温度制御不活性処理装置を含む温度制御処理装置と、前記温度制御処理装置に直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを分離させる剥離ユニットと、を含み、または、内部が真空雰囲気または不活性雰囲気である雰囲気ボックスと、前記雰囲気ボックスの内部に設けられる電極処理ユニットと、前記電極処理ユニットに直列接続された温度制御ボックスと、前記温度制御ボックスに直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを分離させる剥離ユニットとを含む。本発明において、複合電極は押さえロール装置によりロールプレスされた後、温度制御真空処理装置または温度制御不活性処理装置で処理されてもよいし、押さえロール装置の後、温度制御ボックスが直列接続され、第1金属軸、補充対象金属電極巻出ドラム、押さえロール装置及び温度制御ボックスの全体を雰囲気ボックスに配置して処理してもよく、前記雰囲気ボックスの内部は真空雰囲気または不活性雰囲気である。本発明が提供するシステムは、巻出装置、押さえロール装置、及び真空処理装置、または不活性処理装置及び剥離ユニットのみを含むから、システムが簡単であり、当該システムから製造された電極は高い初回サイクル効率、及び優れたサイクル性を有する。実験結果から分かるように、本発明が提供するシステムにより製造された電極から、作成された全電池の初回サイクル効率は85.7~96.5%であり、100サイクル後、電池の容量保持率は90.7~98.3%になる。
【0029】
本発明が提供する方法において、金属源及び補充対象金属電極に対して、物理的な接着接触を行って、真空または不活性雰囲気で、一定時間だけ温度制御処理を実行すれば、高いサイクル効率の電極を取得でき、方法が簡単であり、当該高いサイクル効率の電極は、金属源を剥離した際、表面には、肉眼で見える銀白の金属リチウムがない。補充対象金属電極は同時に電子コンダクタンスとイオンコンダクタンスとを具備するから、金属源は、補充対象金属電極に対する金属嵌め込みの過程を発生させ、物理的な接着接触にはさらに金属の拡散過程が存在するため、電極は高い初回サイクル効率を有する。本発明が提供する方法により製造された電極から作成された全電池は高い初回サイクル効率及び容量保持率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】本発明の1つの実施例が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムの構成模式図である。
図1b】本発明の別の実施例が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムの構成模式図である。
図2】本発明の比較例1及び実施例1により製造されたリチウム電池のサイクルテストの効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は、本発明の実施例の技術案を明らか且つ完全に記載し、明らかに、記載の実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例のみである。本発明の実施例に基づき、当業者は進歩性に値する労働をしない前提で、取得した他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0032】
本発明は高いサイクル効率の電極の製造方法を提供し、
金属源及び補充対象金属電極に対してロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧を行って、物理的な接着接触を実現し、真空または不活性雰囲気で、温度制御処理を行った後、金属源を剥離し、高いサイクル効率の電極を取得するステップであって、前記補充対象金属電極が、金属遷移可能な負極または金属遷移可能な正極から選択され、金属源がリチウム源またはナトリウム源から選択されるステップ、を含む。
【0033】
本発明が提供する製造方法は簡単であり、作成された電極は高いサイクル効率を有し、製品の品質が高く、コストが低く、よい応用前景を有する。電極から製造された全電池は高い初回サイクル効率及び容量保持率を有する。
【0034】
本発明において、前記金属源における金属がリチウムまたはナトリウムから選択され、金属源に対して選択する金属元素は、補充対象金属電極における金属元素と一致し、即ち、同時に、同一の金属元素を選択する。
【0035】
本発明において、前記リチウム源は純金属リチウム、リチウム合金またはリチウムの複合体であり、前記ナトリウム源は純金属ナトリウム、ナトリウム合金またはナトリウムの複合体である。
【0036】
本発明において、前記金属源は単独の1層の活性層という形態で存在してもよいし、基底層と活性層との複合層という形態で存在してもよく、前記基底層に対して、延在性を具備する金属層、または耐熱性を有するとともに金属リチウムと反応しない非金属層を選択し、具体的に、前記基底層に対して、銅箔、アルミ箔、ステンレス鋼箔、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエステルまたはポリ四フッ化エチレンを選択する。複合層全体の厚さは単独活性層の厚さと一致する。活性層と複合層との厚さに対して、特別な要求がなく、剥離強度を満たして、破断という状況がなければよい。
【0037】
本発明において、前記補充対象金属電極は、金属遷移可能な負極または金属遷移可能な正極から選択され、前記金属遷移可能な負極は、金属を嵌め込むことができる負極であり、前記金属遷移可能な正極は金属を嵌め込むことができる正極である。好ましくは、前記補充対象金属電極に対して、グラファイト負極、ハードカーボン負極、ソフトカーボン負極、中間相カーボンミクロスフェア負極、シリコンカーボン負極、シリコン酸素カーボン負極、シリコン負極、シリコン酸素負極、チタン酸リチウム負極、遷移金属酸化物負極または硫黄系正極を選択する。本発明の具体的な実施例において、前記補充対象金属電極に対して、可逆容量が600mAh/gであるシリコン酸素カーボン複合負極、または硫黄カーボン素複合正極極板を選択する。
【0038】
好ましくは、本発明において、雰囲気ボックスで電極の製造を行って、雰囲気ボックスにおける雰囲気は真空または不活性雰囲気である。本発明において、金属源及び補充対象金属電極に対して、真空または不活性雰囲気で、ロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧を行ってもよいし、ロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧の後、雰囲気ボックスの雰囲気を真空または不活性雰囲気に調整してから、温度制御処理を行っても良い。
【0039】
本発明において、金属源及び補充対象金属電極に対してロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧を行って、物理的な接着接触を実現する。金属源及び補充対象金属電極に対して物理的な接着接触を行った後、真空または不活性雰囲気で、温度制御処理を行うことで、補充金属元素の品質、補充金属元素の均一性、作成された電極の初回効率及びサイクル性能を向上できる。好ましくは、温度制御処理は恒温処理である。本発明において、前記真空の真空度は-10KPa~-99KPaである。前記不活性雰囲気は二酸化炭素雰囲気またはアルゴン雰囲気である。本発明において、好ましくは、真空または不活性雰囲気での温度制御処理の温度は0~150℃であり、より好ましくは、20~110℃であり、好ましくは、温度制御処理の時間は0.1h~168hであり、より好ましくは3h~72hである。本発明の具体的な実施例において、真空または不活性雰囲気での処理は具体的に以下の通り、即ち、-20KPaの真空度で、110℃で、4h保温し、または、-80KPaの真空度で、50℃で、30h保温し、または、アルゴン雰囲気で、室温で、2日保温し、または、真空引きされ、封止バッグに封入され、真空度が-90KPaに引かれて、真空オーブンにおいて、80℃で、10h保温し、または、真空度が-70KPaである雰囲気ボックスにおいて、55℃で、8h保温し、或いは、真空度が-95KPaである雰囲気ボックスに、フッ素ガス及び二酸化炭素雰囲気を導入し、1:1の雰囲気圧力で、0℃で、8h保温する。
【0040】
本発明において、アルミ袋または他の封止部材を真空引きすることで、金属源と補充対象金属電極とが接触することにより形成された複合帯を封入し、普通の環境に配置する。本発明において、真空雰囲気で処理する際、加熱していなく、直接的に室温環境に保存してもよく、エネルギー消費を節約する。処理する場合、加熱を必要とすると、全体を加熱してもよく、巻出・巻取という方式で加熱し、即ち、金属源と補充対象金属電極との複合帯に対して、巻出加熱を行って、そして、巻取を行っても良い。
【0041】
本発明において、好ましくは、前記補充対象金属電極の形状はシート状または帯状である。
【0042】
本発明において、金属源はナトリウム源であり、補充対象金属電極はナトリウム補充対象電極であれば、得られた電極はナトリウム電池電極であり、
金属源はリチウム源であり、補充対象金属電極はリチウム補充対象電極であれば、得られた電極はリチウム電極である。
【0043】
本発明は前記技術案に記載の製造方法により製造された高いサイクル効率の電極の、電池での応用を提供する。前記電池はナトリウム電池またはリチウム電池である。
【0044】
本発明は前記電極極板及び正極(負極)極板に対して、積層、予溶接、溶接、シェル入れ、液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、経年劣化などの工程を行った後、電池を得る。本発明は得られた電池に対して、初回サイクル効率及びサイクル性のテストを行う。
【0045】
本発明において、前記高いサイクル効率の電極を製造するシステムは、電極処理ユニットと、前記電極処理ユニットに直列接続されており、温度制御真空処理装置または温度制御不活性処理装置を含む温度制御処理装置と、前記温度制御処理装置に直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを分離させる剥離ユニットと、を含み、
前記電極処理ユニットは、第1金属源を巻き出すための第1金属源巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラムに並列接続されており、補充対象金属電極を巻き出すための補充対象金属電極巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに直列接続されており、第1金属源と補充対象金属電極とを複合電極にロールプレスするための押さえロール装置とを含む。
【0046】
図1aを参照し、図1aは、本発明の1つの実施例が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムの構成模式図であり、1は第1金属源巻出ドラムであり、2は補充対象金属電極巻出ドラムであり、3は第2金属源巻出ドラムであり、4は第1金属源であり、5は補充対象金属電極であり、6は第2金属源であり、7は第1押さえロールであり、8は第2押さえロールであり、10はガイドロール軸であり、11は剥離後の第1金属源であり、12は剥離後の極板であり、13は剥離後の第2金属源であり、14は剥離後の第1金属源巻取ドラムであり、15は複合極板巻取ドラムであり、16は剥離後の第2金属源巻取ドラムであり、21は剥離後の補充対象金属電極巻取ドラムであり、17は複合電極であり、18aは排気弁であり、19aは吸気弁であり、20aは温度制御処理装置である。
【0047】
本発明が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムは電極処理ユニットを含み、前記電極処理ユニットは、第1金属源4を巻き出すための第1金属源巻出ドラム1を含む。前記第1金属源4に対して、リチウム源またはナトリウム源を選択する。第1金属源に選択された金属元素は、補充対象金属電極における金属元素と一致し、即ち、同時に同一の金属元素を選択する。
【0048】
本発明において、前記リチウム源は純金属リチウム、リチウム合金またはリチウムの複合体であり、前記ナトリウム源は純金属ナトリウム、ナトリウム合金またはナトリウムの複合体である。本発明の具体的な実施例において、前記金属源は帯状のリチウムアルミ合金、帯状の純金属リチウム、または銅被覆の純リチウム帯である。
【0049】
本発明において、前記第1金属源は単独の1層の活性層という形態で存在してもよいし、基底層と活性層との複合層という形態で存在してもよく、前記基底層に対して、延在性を具備する金属層、または耐熱性を有するとともに金属リチウムと反応しない非金属層を選択し、具体的に、前記基底層に対して、銅箔、アルミ箔、ステンレス鋼箔、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエステルまたはポリ四フッ化エチレンを選択する。複合層全体の厚さは単独活性層の厚さと一致する。活性層と複合層との厚さに対して、特別な要求がなく、剥離強度を満たして、破断という状況がなければよい。
【0050】
前記電極処理ユニットは、第1金属源巻出ドラムに並列接続されており、補充対象金属電極5を巻き出すための補充対象金属電極巻出ドラム2を含む。本発明において、前記補充対象金属電極5は、金属遷移可能な負極または金属遷移可能な正極から選択され、前記金属遷移可能な負極は、金属を嵌め込むことができる負極であり、前記金属遷移可能な正極は金属を嵌め込むことができる正極である。好ましくは、前記補充対象金属電極は、グラファイト負極、ハードカーボン負極、ソフトカーボン負極、中間相カーボンミクロスフェア負極、シリコンカーボン負極、シリコン酸素カーボン負極、シリコン負極、シリコン酸素負極、チタン酸リチウム負極、遷移金属酸化物負極または硫黄系正極から選択される。本発明の具体的な実施例において、前記補充対象金属電極は、可逆容量が600mAh/gであるシリコン酸素カーボン複合負極から選択される。
【0051】
前記電極処理ユニットは、第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに直列接続されており、第1金属源と補充対象金属電極とを複合電極17になるようにロールプレスするための押さえロール装置を含む。前記押さえロール装置は、対向配置された第1押さえロール7と第2押さえロール8とを含む。前記押さえロール装置のロールプレスホストマシンは、圧力を正確に検知し、ロールギャップを調整できる。押さえロール装置は、第1金属源と補充対象金属電極との物理的な接着接触を実現する。ロールプレスされることによる複合電極17は、ガイドロール軸を介して複合極板巻取ドラム15に搬送され、巻き取られる。
【0052】
本発明が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムは、前記電極処理ユニットに直列接続されており、温度制御真空処理装置201または温度制御不活性処理装置202を含む温度制御処理装置20aを含む。具体的に、温度制御処理装置は電極処理ユニットの押さえロール装置に接続されており、吸気弁18a及び排気弁19aが設けられる。本出願において、前記温度制御真空処理装置は真空オーブンまたは真空バッグである。前記真空オーブンは、真空引き及び温度制御の機能を具備する。前記温度制御不活性処理装置は、真空オーブンに不活性ガスを導入することで実現される。温度制御不活性処理装置における不活性雰囲気は、CO雰囲気またはアルゴン雰囲気である。本発明において、巻き取られた複合極板を、温度制御処理装置に配置して処理する。
【0053】
本発明が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムは、前記温度制御処理装置に直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを分離させる剥離ユニットを含む。剥離ユニットはガイドロール軸10であり、好ましくは、ガイドロール軸の数は1の以上である。複合極板がガイドロール軸を経た後、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを剥離する。
【0054】
好ましくは、前記システムはさらに、前記剥離ユニットに直列接続される巻取ユニットを含み、前記巻取ユニットは、剥離後の第1金属源11と、剥離後の極板12とを剥離後の第1金属源巻取ドラム14と剥離後の極板巻取ドラム21にそれぞれ巻き取る。
【0055】
補充対象金属電極の両面に、いずれも金属を補充する必要があれば、好ましくは、本発明が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムは、第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに並列接続されており、第2金属源6を巻き出すための第2金属源巻出ドラム3を含み、第1金属源巻出ドラムと第2金属源巻出ドラムとは、それぞれ補充対象金属電極巻出ドラムの上側及び下側に位置する。対応するように、剥離ユニットで、ロールプレスされた第2金属源を剥離し、剥離ユニットの後、さらに、剥離後の第2金属源13を巻き取るための剥離後の第2金属源巻取ドラム16が設けられる。
【0056】
本発明において、巻取と巻出との速度をそれぞれ適切に調節することで、その速度が合致して、張力を有するように、巻取・巻出を行う。
【0057】
図1bを参照して、図1bは本発明の別の実施例が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムの構成模式図であり、9は温度制御ボックスであり、20bは雰囲気ボックスであり、18bは吸気口であり、19bは排気口である。
【0058】
本発明において、高いサイクル効率の電極を製造するシステムは、
内部が真空雰囲気または不活性雰囲気である雰囲気ボックスと、
前記雰囲気ボックスの内部に設けられる電極処理ユニットと、
前記電極処理ユニットに直列接続された温度制御ボックスと、
前記温度制御ボックスに直列接続されており、ロールプレスされた第1金属源とロールプレスされた補充対象金属電極とを分離させる剥離ユニットとを含み、
前記電極処理ユニットは、第1金属源を巻き出すための第1金属源巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラムに並列接続されており、補充対象金属電極を巻き出すための補充対象金属電極巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに直列接続されており、第1金属源と補充対象金属電極とを複合電極としてロールプレスするための押さえロール装置とを含む。
【0059】
雰囲気ボックスにおいて行われた処理は連続的に行われることができ、動作效率を向上させ、エネルギー消費を節約する。
【0060】
本発明が提供するシステムは、内部が真空雰囲気または不活性雰囲気又は保護雰囲気であり、或いは不活性雰囲気-保護雰囲気の混合雰囲気である雰囲気ボックス20bを含む。前記雰囲気ボックスは温度制御機能を具備していない。好ましくは、前記雰囲気ボックスは立方体または直方体である。前記雰囲気ボックスには吸気口18b及び排気口19bが設けられる。前記不活性雰囲気に対して、CO雰囲気またはアルゴン雰囲気を選択し、前記保護雰囲気に対して、フッ素ガス雰囲気及び/または窒素ガス雰囲気を選択する。
【0061】
本発明が提供する、高いサイクル効率の電極を製造するシステムは、前記雰囲気ボックスの内部に設けられる電極処理ユニットを含み、前記電極処理ユニットは、第1金属源を巻き出すための第1金属源巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラムに並列接続されており、補充対象金属電極を巻き出すための補充対象金属電極巻出ドラムと、前記第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに直列接続されており、第1金属源と補充対象金属電極とを複合電極としてロールプレスするための押さえロール装置とを含む。雰囲気ボックスに設けられる金属源巻出ドラム、補充対象金属電極巻出ドラム及び押さえロール装置は、前記技術案と一致するから、ここで、贅言しない。
【0062】
本発明において、前記処理ユニットは、前記押さえロール装置に直列接続される温度制御ボックス9を含む。前記温度制御ボックス9により、複合電極は必要な温度で、必要な時間だけ処理され、補充金属元素の品質、補充金属元素の均一性、作成された電極の初回効率及びサイクル性能を向上できる。前記温度制御ボックスは温度制御機能を有する。好ましくは、温度制御ボックスは恒温ボックスである。複合電極はガイドロール軸を介して温度制御ボックスに入って、温度制御処理を行った後も、ガイドロール軸を介して温度制御ボックスから離れて、剥離を行う。
【0063】
補充対象金属電極の両面に、いずれも金属を補充する必要があれば、好ましくは、本発明が提供する高いサイクル効率の電極を製造するシステムはさらに、第1金属源巻出ドラム及び補充対象金属電極巻出ドラムに並列接続されており、第2金属源を巻き出すための第2金属源巻出ドラムを含む。第1金属源巻出ドラム、補充対象金属電極巻出ドラム及び第2金属源巻出ドラムの角速度が一致する。
【0064】
本発明をさらに説明するために、以下は実施例を結合して、本発明が提供する、高いサイクル効率の電極の製造方法及びその応用を詳しく記載するが、これらは本発明の保護範囲に対する限定ではない。
【0065】
比較例1
混合、攪拌、塗布、ロールプレス、ベーキング、及びダイカットによって、シリコン酸素カーボン(SOC)負極極板を製造し、
積層、予溶接、溶接、シェル入れ、液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、及び経年劣化などの18個の大工程によって、可逆容量が600mAh/gである帯状のSOC負極極板とニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(NCA)正極極板とを、ポーチ電池に製造し、電池セルは42Ahに設計される。電池に対して初回効率及びサイクルのテストを行って、結果について、図2を参照して、図2は本発明の比較例1及び実施例1により製造された電池のサイクルテスト図であり、図2から分かるように、比較例のサイクルは持続的に減衰している。100サイクル後、電池の容量保持率は82.1%になる。
【0066】
比較例1により製造された電池の初回効率は78.2%である。
【0067】
実施例1
混合、攪拌、塗布、ロールプレス、ベーキング、及びダイカットによって、帯状のシリコン酸素カーボン(SOC)負極極板を得て、
帯状の純金属リチウム、及び可逆容量が600mAh/gである帯状のシリコン酸素カーボン複合負極極板に対して、ロールプレス及び複合を行って、直接的に接触させ、物理的な接着接触を実現し、真空オーブンにおいて、-20KPaの真空度で、110℃で、4h保温し、アルゴンガスを注入して、常温に冷却された後、取り出されて、金属リチウムを剥離して、高いサイクル効率の負極極板を得る。
【0068】
図1aに示される装置を利用して、積層、予溶接、溶接、シェル入れ、液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、及び経年劣化などの18個の大工程によって、前記高いサイクル効率の負極極板とNCA正極極板とをポーチ電池に製造し、電池セルは42Ahに設計される。電池に対して初回効率及びサイクルのテストを行って、結果について、図2を参照し、図2から分かるように、実施例1において、電池のサイクル過程で、容量は僅かな回復過程を有し、最初の10サイクルにおいて、放電容量はほとんど減衰していない。
【0069】
実施例1により製造された電池の初回効率は91.3%である。100サイクル後、電池の容量保持率は95.2%になる。
【0070】
実施例2
混合、攪拌、塗布、ロールプレス、ベーキング、及びダイカットによって、帯状のシリコン酸素カーボン(SOC)負極極板を得て、
図1aに示される装置を利用して、帯状のリチウムアルミ合金及び可逆容量が600mAh/gである帯状のシリコン酸素カーボン複合負極に対して、ロールプレスを行って、物理的な接着接触を実現し、真空オーブンにおいて、-80KPaの真空度で、50℃で、30h保温し、二酸化炭素を注入し、常温に冷却され、取り出され、金属リチウムアルミニウムを剥離し、高いサイクル効率の負極を得る。
【0071】
積層、予溶接、溶接、シェル入れ、液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、及び経年劣化などの18個の大工程によって、前記高いサイクル効率負極とNCA正極ポーチとを電池に製造し、電池セルは42Ahに設計される。電池に対して初回効率及びサイクルのテストを行う。
【0072】
本発明の実施例2により製造された電池の初回効率は89.1%である。100サイクル後、電池の容量保持率は93.2%になる。
【0073】
実施例3
混合、攪拌、塗布、ロールプレス、ベーキング、及びダイカットを介して、帯状のシリコン酸素カーボン(SOC)負極極板を得て、
PETは基底層であり、純リチウムは活性層であり、リチウム帯を作成し、
図1aに示される装置を利用して、リチウム帯及び可逆容量が600mAh/gである帯状のシリコン酸素カーボン複合負極に対してロールプレスを行って、物理的な接着接触を実現し、アルゴン雰囲気で、室温で、2日保温した後、取り出されて、リチウム帯を剥離し、ダイカット機器によりダイカットを行って、高いサイクル効率の負極極板を得る。
【0074】
積層、予溶接、溶接、シェル入れ、液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、及び経年劣化などの18個の大工程によって、前記高いサイクル効率の負極極板とNCA正極極板とをポーチ電池に製造し、電池セルは42Ahに設計される。電池に対して初回効率及びサイクルのテストを行う。
【0075】
本発明の実施例3により製造された電池の初回効率は89.4%である。100サイクル後、電池の容量保持率は91.1%になる。
【0076】
実施例4
混合、攪拌、塗布、ロールプレス、ベーキング、及びダイカットによって、帯状のシリコン酸素カーボン(SOC)負極極板を得て、
図1aに示される装置を利用して、可逆容量が600mAh/gである帯状のシリコン酸素カーボン複合負極極板及び銅被覆純リチウム帯に対して、ロールプレスを行って、物理的な接着接触を実現し、真空引きを行って、封止バッグに封入して、真空度を-90KPaに引き、真空オーブンにおいて、80℃で、10h保温してから、空気を注入して、直接的に取り出し、剥離を行って、高いサイクル効率の負極極板を得る。
【0077】
積層、予溶接、溶接、シェル入れ、液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、及び経年劣化などの18個の大工程によって、前記高いサイクル効率の負極極板とNCA正極極板とをポーチ電池に製造し、電池セルは42Ahに設計される。電池に対して初回効率及びサイクルのテストを行う。
【0078】
本発明の実施例4により製造された電池の初回効率は85.7%である。100サイクル後、電池の容量保持率は90.7%になる。
【0079】
実施例5
混合、攪拌、塗布、ロールプレス、ベーキング、及びダイカットによって、帯状の硫黄カーボン素複合正極極板を得て、
図1bに示される装置を利用して、帯状の硫黄カーボン素複合正極極板と銅被覆純リチウム帯に対してロールプレスを行って、物理的な接着接触を実現し、真空度が-70KPaである雰囲気ボックスにおいて、55℃で、8h保温し、剥離及び巻取を行って、高いサイクル効率の正極極板を得る。
【0080】
積層、予溶接、溶接、シェル入れ、 液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、経年劣化などの18個の大工程によって、前記高いサイクル効率の正極極板とグラファイト負極極板とをポーチ電池に製造し、電池セルは2Ahに設計される。電池に対して初回効率及びサイクルのテストを行う。
【0081】
本発明の実施例5により製造された電池の初回効率は93.5%である。100サイクル後、電池の容量保持率は96.1%になる。
【0082】
実施例6
混合、攪拌、塗布、ロールプレス、ベーキング、及びダイカットによって、帯状の硫黄カーボン素複合正極極板を得て、
図1bに示される装置を利用して、帯状の硫黄カーボン素複合正極極板、及びステンレス鋼帯と金属リチウムとの複合帯に対して、ロールプレスを行って、物理的な接着接触を実現し、真空度が-95KPaである雰囲気ボックスに、フッ素ガス及び二酸化炭素雰囲気を導入して、1:1の雰囲気圧力で、0℃で、8h保温し、剥離及び巻取を行って、高いサイクル効率の正極極板を得る。
【0083】
積層、予溶接、溶接、シェル入れ、液体注入、封止、エージング、化成、二回封止、切り・折り・焼き付け、容量割り当て、及び経年劣化などの18個の大工程によって、前記高いサイクル効率の正極極板とグラファイト負極極板とをポーチ電池に製造し、電池セルは2Ahに設計される。電池に対して初回効率及びサイクルのテストを行う。
【0084】
本発明の実施例6により製造された電池の初回効率は96.5%である。100サイクル後、電池の容量保持率は98.3%になる。
【0085】
以上の実施例から分かるように、本発明は高いサイクル効率の電極の製造方法を提供し、前記方法は、金属源及び補充対象金属電極に対してロールプレス、プレス押圧、ガス押圧または液体押圧を行って、物理的な接着接触を実現し、真空または不活性雰囲気で、温度制御処理を行った後、金属源を剥離し、高いサイクル効率の電極を取得するステップであって、前記補充対象金属電極が、金属遷移可能な負極または金属遷移可能な正極から選択され、金属源がリチウム源またはナトリウム源から選択されるステップを含む。本発明が提供する方法において、金属源及び補充対象金属電極に対して、物理的な接着接触を行って、真空または不活性雰囲気で、一定時間だけ温度制御処理を実行すれば、高いサイクル効率の電極を取得でき、方法が簡単であり、補充対象金属電極は同時に電子コンダクタンスとイオンコンダクタンスとを具備するから、金属源の補充対象金属電極に対する金属嵌め込みの過程を発生させ、物理的な接着接触にはさらに金属の拡散過程が存在するため、電極は高いサイクル効率、及び優れたサイクル性を有する。本発明が提供する方法により製造された電極から作成された全電池は高い初回サイクル効率及び容量保持率を有する。実験結果から分かるように、本発明が提供する製造方法により製造された電極から作成された電池は、初回サイクル効率が85.7~96.5%であり、100サイクル後、電池の容量保持率は90.7~98.3%になる。
【0086】
以上は本発明の好適な実施形態のみであり、ここで、当業者にとって、本発明の原理から逸脱しない前提で、いくつかの改良及び修飾を行ってもよく、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲に該当すべきである。
図1a
図1b
図2