(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】消音換気構造及び消音換気構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20221014BHJP
A47H 2/00 20060101ALI20221014BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20221014BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20221014BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20221014BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F24F13/02 H
A47H2/00
E04B1/70 D
E04B1/82 S
F24F7/10 Z
F24F13/02 C
F24F13/24
(21)【出願番号】P 2022021678
(22)【出願日】2022-02-15
【審査請求日】2022-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000138680
【氏名又は名称】株式会社ユニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】西村 欣英
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正道
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅之
(72)【発明者】
【氏名】會田 祐
(72)【発明者】
【氏名】室 祐希
(72)【発明者】
【氏名】浦井 克典
(72)【発明者】
【氏名】坂部 和政
(72)【発明者】
【氏名】岡本 宏次
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-174012(JP,A)
【文献】特開平11-230570(JP,A)
【文献】特開2015-194335(JP,A)
【文献】特開2006-034367(JP,A)
【文献】実開昭49-142757(JP,U)
【文献】特開平06-331192(JP,A)
【文献】中国実用新案第2565949(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
A47H 2/00
E04B 1/70
E04B 1/82
F24F 7/10
F24F 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の建具用の開口を有する壁面より室内側に突出して設けられた箱型空間と、
箱型空間内に収納され、箱型空間に形成された室内給気口と直結する消音容器と、
箱型空間内に収納され、前記
壁面に形成された室外給気口及び消音容器と直結する消音管と、を備え、
箱型空間は、
前記壁面と略直交する底部材と、
底部材と略直交する壁部材と、を備え、
消音容器は、
消音管と連結する箱状の容器本体と、
容器本体の下側の長手面に形成された開口及び前記室内給気口と連結する筒状の通気部と、を有し、
前記室内給気口は、
前記底部材に形成され、前記開口と向き合う
ことを特徴とする消音換気構造。
【請求項2】
通気部は、
前記開口及び前記室内給気口に内嵌合して連結する
ことを特徴とする請求項1に記載の消音換気構造。
【請求項3】
前記建具は、ガラス製の窓又は戸であり、
箱型空間は、前記開口に取り付けられた窓又は戸より上に位置し、
底部材は、カーテンボックスである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の消音換気構造。
【請求項4】
室内給気口は、カーテンボックスに設けられたカーテンレールと干渉しない位置にある
ことを特徴とする請求項3に記載の消音換気構造。
【請求項5】
請求項3に記載の消音換気構造の施工方法であって、
建築物の居室の天井から消音容器を暫定的に吊り下げる工程と、
壁面にカーテンボックスを形成する工程と、
消音容器の通気部をカーテンボックスの室内給気口に連結する工程と、
消音管を消音容器と室外給気口とに連結する工程と、を含む
ことを特徴とする消音換気構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば集合住宅の居室に設けられる消音換気構造及びこの消音換気構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の居室の外壁の窓として使用されるサッシ(例えば、JISA0005に規定される1種開口部構成材として規定するもの)は、JISA4706に規定される遮音等級に準拠している。上記遮音等級は、T-1~T-4までの4段階の等級を有し、例えばT-4は最もうるさい騒音環境への遮音対策を要求するものである。また、上記遮音等級は、サッシに限らず、サッシが取り付けられる周辺の構造にも適用されることがある。
【0003】
例えば、ベランダ側の外壁を貫通する居室の給気口には、防音フードや発泡素材で成形されたダクト挿入型消音部材が取り付けられることもあるが、これらのみではT-4以上の遮音性能を確保しにくいことから、外壁の室内側に消音ボックス及び消音フレキを取り付け、これらによって所望の消音効果及び換気効果が得られていた。しかしながら、消音ボックス及び消音フレキが外壁から居室側に出っ張る分、外壁とこれらを覆い隠すための内壁との距離(いわゆる「付加し」)が増すため、居室が狭くなってしまうことが懸念されていた。
【0004】
一方、特許文献1には、カーテンボックスを利用して所望の換気効果のみならず、消音効果を得られる装置が開示されている。具体的に、上記装置は、カーテンボックス内にカーテンボックスの長さ方向に延在する空気流路と、空気流路を外気に連通させる外気取入口と、空気経路を室内に連通させる吹出口とを備え、空気流路内に多孔質な調湿材が設置されているため、室内に導入される空気の湿度を下げつつ、外の騒音を一定量吸音するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建築物の中には、断熱性・防音性・通気性に鑑みて、外壁から付加しを介して内壁を備える構造(いわゆる二重壁構造)もあれば、付加しを介さずに仕上材として内壁を備える構造や外壁のみを備える構造もある。そして、いずれの構造においても、壁面に室内を換気する給気口が形成され、かつT-4以上の遮音性能を確保する場合、消音ボックス及び消音フレキが有効であるものの、このような装置を収納する場所や範囲を考慮すべきである。
【0007】
そこで、発明者等は、特許文献1に記載のカーテンボックスのような居室の付帯設備や、下がり天井といった居室の基礎構造を利用して、消音及び換気を実現する装置を設置する着想に辿り着いた。しかしながら、特許文献1のようにカーテンボックス内の空間自体で換気を行うと、換気及び消音を実現する構造が複雑化してしまう。すなわち、発明者等の着想の特徴は、居室の付帯設備や基礎構造を有効活用して、居室の面積を狭めることなく、消音及び換気を実現する装置により所望の効果を得ることである。
【0008】
そこで、本発明の目的は、居室の付帯設備や基礎構造を、消音及び換気を実現する従来からの装置の設置に有効活用し、居室の面積を狭めることを回避する消音換気構造及び消音換気構造の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明における消音換気構造は、建築物の建具用の開口を有する壁面より室内側に突出して設けられた箱型空間と、箱型空間内に収納され、箱型空間に形成された室内給気口と直結する消音容器と、箱型空間内に収納され、前記壁面に形成された室外給気口及び消音容器と直結する消音管と、を備え、箱型空間は、前記壁面と略直交する底部材と、底部材と略直交する壁部材と、を備え、消音容器は、消音管と連結する箱状の容器本体と、容器本体の下側の長手面に形成された開口及び前記室内給気口と連結する筒状の通気部と、を有し、前記室内給気口は、前記底部材に形成され、前記開口と向き合う。
【0010】
この構成によれば、従来の消音ボックス及び消音フレキに相当する消音容器及び消音管が建築物の居室を構成する外壁と内壁との間に収納されない分、付加しが減り、あるいは付加しが不要になることから、居室の面積が狭まることを回避できる。さらに、居室の付帯設備や基礎構造を活用して形成される箱型空間が消音容器及び消音管の収納スペースとなることから、居室の施工計画に消音換気構造の施工を組み込みやすい。
【0011】
以下、本発明における消音換気構造を構成する技術要素の定義や例示を記す。
【0012】
「建築物」とは、例えば、集合住宅・戸建住宅・仮設住宅・学校・病院・高齢者施設・障害者施設・各種商業施設であり、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造といった構造やサイズを限定しない。「建築物」が集合住宅の場合、間取り・サイズ・構造・施工方法といった本発明が実施される集合住宅内の各居室の仕様は限定されない。
【0013】
「建具」とは、例えば、金属製や木製のサッシ、ガラス製の窓や戸、又はこれらの複合体を意味し、窓は、スライド式・出窓式・固定式のいずれでもよく、戸は、スライド式・ドア式のいずれでもよく、形状・サイズといった窓や戸の仕様は限定されない。
【0014】
「壁面」とは、コンクリート製の耐震壁といった建築物を支持する構造部材(躯体)であっても、構造部材と同構造だが出入口用など大きめの開口があるものを含む非構造部材であってもよく、プレキャストであってもなくてもよく、非構造部材の場合、コンクリート製以外に、ALC(Autoclaved Light Weight concrete:軽量気泡コンクリート)製、EPC(Extruded Cement Panel:押出成形セメント板)製でもよく、外壁のみを示してもよく、二重壁構造としての外壁及びこれより居室側に設けられた石膏ボードといった内壁を示してもよい。集合住宅における壁面の場合、バルコニー・ベランダ・テラス側であっても、通路側であってもよい。
【0015】
「開口」とは、壁面の打設時の型枠にて形成されたものでも、壁面を切断して形成されたものでもよく、矩形状でも円形状でもよく、窓用のサイズでも戸用のサイズでもよい。
【0016】
「箱型空間」とは、例えば、カーテンボックスといった居室の付帯設備や下がり天井といった基礎構造として施工される部位の一部又は全部を活用して形成されるものであり、底部材及び壁部材に加え、居室の天井を天面部材として箱型を成してもよい。内容量・サイズ・形成方法といった箱型空間の仕様は、形状・サイズ・配置・設置方法といった消音容器及び消音管の仕様に応じて決定されてもよい。
【0017】
「底部材」とは、箱型空間の底面に該当し、例えば、カーテンボックスの天面部分や下がり天井の底部分であるが、居室の付帯設備や基礎構造として施工され、かつ壁面から所定寸法で突出している部位であり、少なくとも室外給気口より下に配置され、具体的にはこの上に取り付けられる消音容器及び消音管の高さより居室の天井から下に配置されていればいずれでもよく、素材・形状・サイズも限定されない。
【0018】
「壁部材」とは、箱型空間の側面に該当し、消音容器及び消音管を居室側から見えなくする板状の目隠し部材であってもよく、素材・形状・サイズも限定されない。
【0019】
「消音容器」及び「消音管」は、室内の空気を室外の空気と換気する経路であると共に、室外給気口を介して室外から室内に伝わる騒音を消音するものであり、従来の消音ボックスや消音フレキと同等であっても相違していてもよく、合成樹脂製や金属製等の材質・形状・サイズも限定されず、箱型空間内に収納される限り、配置も限定しない。
【0020】
以下、本発明における消音換気構造としてより望ましい構成を記す。
【0021】
通気部は、前記開口及び前記室内給気口に内嵌合して連結することが望ましい。この構成によれば、通気部を介して居室内の空気を効率よく換気できるのみならず、消音容器を箱型容器内に対して位置決め及び固定しやすくなる。
【0022】
建具は、ガラス製の窓又は戸であり、箱型空間は、開口に取り付けられた窓又は戸より上に位置し、底部材は、カーテンボックスであることが望ましい。この構成によれば、カーテンボックスを箱型空間の底部材に兼用できるだけでなく、室外給気口の位置も決めやすく、また室内給気口がカーテンボックスで見えにくくなることから、居室の内観の意匠性を確保しやすい。
【0023】
室内給気口は、カーテンボックスに設けられたカーテンレールと干渉しない位置にあることが望ましい。この構成によれば、配置・本数・長さ・間隔といったカーテンレールの仕様を変更する必要がなく、形状や寸法といったカーテンボックスの仕様を変更することにより室内給気口を任意の配置・形状・寸法に形成しやすくなる。
【0024】
本発明における消音換気構造の施工方法は、建築物の居室の天井から消音容器を暫定的に吊り下げる工程と、壁面にカーテンボックスを形成する工程と、消音容器の通気部をカーテンボックスの室内給気口に連結する工程と、消音管を消音容器と室外給気口とに連結する工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、消音容器の配置を事前に絞り込み、実際にはカーテンボックスの仕様に応じて決定し、消音容器の配置が決定次第、消音容器の通気部を室内給気口に連結し、消音管を消音容器と室外給気口とに連結できることから、施工の効率や安全性が向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、居室の付帯設備や基礎構造を、消音及び換気を実現する従来からの装置の設置に有効活用し、居室の面積を狭めることを回避する効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態における消音換気構造を居室内から正面視した概念図である。
【
図3】
図1のY2-Y2部分におけるY1-Y1端面図である。
【
図4】
図2に示すV1方向から一部材を除いて表れる図兼一部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、各図を参照しつつ、本発明の一実施形態における消音換気構造(以下、「本消音換気構造」ともいう。)及び本消音換気構造の施工方法について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの部位の引き出し線をかくれ線(破線)で示した部分もある。説明において、上、下、縦、横、垂直方向等の向きを示す用語は、基本的に通常の建築物を基準とし、これ以外を基準にする場合は適宜説明する。
【0029】
<本消音換気構造の概要>
図1及び
図2に示すように、本消音換気構造は、集合住宅の所定階の居室Rに取り付けられる建具用の開口W1を有する壁面Wより居室R内側に突出して設けられた箱型空間1と、箱型空間1内に収納され、箱型空間1に形成された室内給気口1aと直結する消音容器2と、箱型空間1内に収納され、壁面Wに形成された室外給気口Wa2及び消音容器2と直結する消音管3と、を備え、箱型空間1は、壁面Wと略直交する底部材11と、底部材11と略直交する壁部材12と、を備え、室内給気口1aは、底部材11に形成されている。建具は、ガラス製かつスライド式の引戸Whである。箱型空間1は、開口W1に取り付けられた引戸Whより上に位置する。底部材11は、カーテンボックスであり、付番しないカーテンレールにカーテンCが取り付けられている。
【0030】
<壁面W、開口W1、引戸Wh、天井Tの詳細>
図2に示すように、壁面Wは、コンクリート製の外壁Waと、外壁Waより居室R内側に設けられた石膏ボードである内壁Wbとを含み、開口W1は、居室Rのバルコニーの出入口に相当し、外壁Waから内壁Wbに渡って貫通して形成されている。引戸Whは、開口W1の内周縁に設けられた図示しない金属製のサッシをスライドするものであり、2つワンセットでも1つのみでもよい。外壁Waと内壁Wbとで生じる隙間幅Pは、従来の消音ボックス又は消音フレキの設置に生じていた付加しより狭い。天井Tは、付番しないコンクリート製の躯体と石膏ボードとの二重構造であるが、これに限定されない。
【0031】
<箱型空間1の詳細>
図2に示すように、箱型空間1は、外壁Waより居室R内側に突出しており、底部材11と、壁部材12と、外壁Waと、天井Tとで空間状に形成されている。箱型空間1は、高さが底部材11から天井Tまでであり、奥行が底部材11との奥行と同等であり、横幅が少なくともカーテンレールより長い。
【0032】
<底部材11(カーテンボックス)の詳細>
図2に示すように、底部材11は、外壁Waと直交しており、略水平な板状の第1底部材11aと、最も居室R側に位置する第1底部材11aの先端から下方に垂れて第1底部材11aと直交している板状の第2底部材11bと、を有している。換言すると、カーテンボックスは、内壁Wbと、第1底部材11aと、第2底部材11bと、で形成されている。第1底部材11aは、長手方向に延在する付番しないカーテンレールを有し、カーテンレールと干渉しない位置に室内給気口1aを有する。内壁Wbと第2底部材11bとの距離は、従来のカーテンボックスと同等であるが、カーテンレールの本数に応じて決められてもよい。第1底部材11aは、中空状であってもなくてもよいが、単なる板状のほうが、室内給気口1aを形成しやすく、また消音容器2と連結しやすい。
【0033】
<壁部材12の詳細>
図2に示すように、壁部材12は、板状であり、第2底部材11bと、第1底部材11aの先端や側端と天井Tとの間に設けられた付番しない木軸と、に対して取り付けられる。壁部材12の表面は、意匠性を確保するために、居室Rを形成する内壁Wbの表面や天井Tの表面と同等である。換言すると、壁部材12は、箱型空間1をカーテンボックスの一部であるかのように見せるためのものである。
【0034】
<室内給気口1aの詳細>
図3に示すように、室内給気口1aは、カーテンボックスを形成する床部材11の第1底部材11aに設けられたカーテンレールと干渉しない位置にあり、具体的には、第1底部材11aの長手方向においてカーテンレールと隣接する位置にある。また、図示しないが、室内給気口1aは、カーテンレール及び/又はカーテンボックスの仕様内であれば、第1底部材11aの短手方向において一方のカーテンレールと隣接する位置にあっても、双方のカーテンレールと隣接する位置にあってもよい。室内給気口1aの口形は、矩形状であるが、円形状でも楕円形状でもよい。
【0035】
<消音容器2の詳細>
図3~
図5に示すように、消音容器2は、室内給気口1aに内嵌合して連結する筒状の通気部21と、通気部21と連結している箱状の容器本体22と、室内給気口1aを介して通気部21と連結するグリル23と、を有する。通気部21は、容器本体22の下側に形成された開口に挿し込まれて固定されており、室内給気口1aの口径より小さい外径である。容器本体22は、通気部21以外に換気経路として円形状の開口が側面に形成されている。グリル23は、通気部21が室内給気口1aに挿し込まれた状態で、第1底部材11aの下側から通気部21の内側に内嵌合するように挿し込まれて固定される。グリル23は、室内給気口1aの口径より幅広である。グリル23は、フィルタを備えていてもよく、また、出ていく空気の気流を任意に変更するルーバー式でもよい。ルーバー式の場合、グリル23は、居室R内に空気を流す方向に傾斜することで、カーテンの汚れを回避できる。消音容器2のサイズの目安は、長手方向の寸法が400mm~500mm、短手方向の寸法が200mm~250mmである。消音容器2は、室内給気口1aも位置や通気部21の形状に応じて配置されてもよく、例えば引戸の真上に配置されてもよい。
【0036】
<消音管3、室外給気口Wa2の詳細>
図1及び
図2に示すように、消音管3は、消音容器2の円形状の開口と、室外給気口Wa2とに連結している。室外給気口Wa2は、口径100mm~150mmであり、外壁Wbを貫通しており、室外側から防音フードやダクト挿入型消音部材が取り付けられてもよい。
【0037】
<本消音換気構造により期待できる効果>
このような本消音換気構造によれば、消音容器2及び消音管3が建築物の居室Rを構成する外壁Waと内壁Wbとの間に収納されない分、付加しが減ることから、居室Rの面積が狭まることを回避でき、さらに、居室Rの付帯設備であるカーテンボックスを兼用して形成される箱型空間1が消音容器2及び消音管3の収納スペースとなることから、居室Rの施工計画に本消音換気構造の施工を組み込みやすい効果を期待できる。
【0038】
その他にも、消音容器2を箱型容器1内に対して位置決め及び固定しやすく、室外給気口Wa2の位置も決めやすく、室内給気口1aがカーテンボックスで見えにくいため居室Rの意匠性を確保しやすく、カーテンボックスの仕様を変更すれば室内給気口1aを任意の仕様に形成しやすい効果を期待できる。
【0039】
<本消音換気構造の施工方法>
図1及び
図2に示すように、本消音換気構造の施工方法は、少なくとも居室Rを構成する壁面W、開口W1、天井T、及び床Fの施工後に行われる。まず、天井Tから消音容器2を吊りボルトやロープで暫定的に吊り下げる。次に、壁面Wに直交するように外壁Wa及び内壁Wbに底部材11を取り付けてカーテンボックスを形成する。床部材11の第1床部材11aには、長手方向においてカーテンレールと隣接する位置に予め室内給気口1aが形成されている。そして、消音容器2を床部材11に固定するために、通気部21を室内給気口1aに連結する。その後、消音管3を消音容器2と室外給気口Wa2とに連結する。
【0040】
なお、本実施形態に示した消音換気構造は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法や、部位同士の関係を含む。
【0041】
例えば、
図3を参酌しながら説明すると、室内給気口1aは、壁部材12に形成されていてもよい。この場合、消音容器2の通気部21は、容器本体22の側面に形成され、消音容器2は、底部材11の第1底部材11aに直置きされてもよい。
【符号の説明】
【0042】
R 居室
W 壁面
W1 開口
Wa 外壁
Wa2 室外給気口
Wb 内壁
T 天井
F 床
1 箱型空間
1a 室内給気口
11 底部材
11a 第1底部材
11b 第2底部材
12 壁部材
2 消音容器
21 通気部
22 容器本体
23 グリル
3 消音管
【要約】 (修正有)
【課題】居室の付帯設備や基礎構造を、消音及び換気を実現する従来からの装置の設置に有効活用し、居室の面積を狭めることを回避すること。
【解決手段】集合住宅の所定階の居室Rに取り付けられる引戸Wh用の開口W1を有する壁面Wより居室R内側に突出して設けられた箱型空間1と、箱型空間1内に収納され、箱型空間1に形成された室内給気口1aと直結する消音容器2と、箱型空間1内に収納され、壁面Wに形成された室外給気口Wa2及び消音容器2と直結する消音管3と、を備え、箱型空間1は、壁面Wと略直交する底部材11と、底部材11と略直交する壁部材12と、を備え、室内給気口1aは、底部材11に形成されている。
【選択図】
図2