(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-14
(45)【発行日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ラミネート手段
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20221017BHJP
B65H 5/24 20060101ALI20221017BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H5/24
B65H5/36
(21)【出願番号】P 2018140757
(22)【出願日】2018-07-09
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-320304(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02380835(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016212327(DE,A1)
【文献】米国特許第04580771(US,A)
【文献】特開2010-030262(JP,A)
【文献】特開2016-007854(JP,A)
【文献】特開2007-050689(JP,A)
【文献】特開平10-7285(JP,A)
【文献】特開平9-255174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-63/48
65/00-65/82
B41J 11/00-11/70
B42D 1/00-19/00
B65H 5/00- 5/38
20/00-20/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側縁辺を前方ガイドに突き合わせると共に少なくとも両側縁辺の前端部をガイド部材で
押えた複数の枚葉シートを、最上部の枚葉シート
の前端部分を2列以上の複数列で面配置された吸着パッドにより姿勢を保持しながら一枚ずつ傾きを持つ搬送テーブルへ繰り出す枚葉シートの繰り出し工程と、
繰り出された枚葉シート
の前端部を
ローラ間に空間を形成して待ち受けると共に圧調整がなされた一対のニップローラに
送り込んだ後に銜え
させ姿勢を保持しながら下流へ送り出す枚葉シートの送り出し工程と、
前記送り出し工程から送り出されてくる枚葉シート
を一対のニップローラと一対のラミネートローラの間に設けられた櫛状の押えガイドで間隔を開けて前後しながら通過する枚葉シートを平面に押えつけ、その姿勢を保持しながら
圧調整がなされた一対のラミネートローラに送り込みフィルムシートを被覆するフィルムシートの被覆工程と、
フィルムシートが被覆された枚葉シートの縦方向の余白を切除すると共に横方向の余白を断裁して枚葉シートに印刷されている版面を位置ずれを起こすことなく
最終仕上がり寸法に切り出す切り出し工程とからなることを特徴としたラミネート手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷が施された枚葉シートの表面の美観を向上させるため或いは耐久性を持たせる等のために、透明或いは半透明のフィルムシートを被覆するプリントラミネートに用いられるラミネート手段に関する。
【背景技術】
【0002】
近年印刷物に美観の向上や耐久性を持たせたりするために、透明(艶出し)、半透明(艶消し)或いはホログラムを形成したフィルムシートが印刷物に被覆されることが増えてきた。また圧着はがき等に被覆されるフィルムシートは印刷された用紙の両面に被覆されているため、従来の片面貼りのラミネート装置では二度通す必要がありコストの上昇につながっていた。
【0003】
こうした状況を回避するために、例えば特開2016-7854号公報に記載される両面ラミネートシステムが提案されている。前記両面ラミネートシステムは繰り出される枚葉シートの前後端部の上下重なりを、片面ラミネートした後に入れ替えて表裏面をラミネートすることで、両面をフィルムシートで被覆した後の枚葉シートの断裁作業の効率を上げるものである。しかし前記両面ラミネートシステムは二度のフィルムシート被覆工程や枚葉シートの前後端部を反転して重ね合わせるための工程が必要なため、必然的に全長が長くなり広大な設置場所が必要になると共にシステム自体の価格が高価となる。さらにフィルムシートの被覆後に断裁等の仕上げ工程等が残っており、大きくてコストが掛かるシステムであるにもかかわらずフィルムシート被覆工程しか処理することができない極めて非効率的なシステムであった。
【0004】
そこで特開2016-221939号公報に記載されるラミネート装置が提案されている。このラミネート装置は繰り出された枚葉シートの両面の被覆予定面にフィルムシートを被覆することが可能で、さらに搬送方向に対して直角方向の仕上げ断裁を完了することができるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-7854号公報
【文献】特開2016-221939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし前記特許文献2に記載されるラミネート装置は、例えば枚葉シートがわずかでも姿勢を崩して繰り出されると、
図8に示すように歪んだ姿勢のままフィルムシートが被覆されてしまう。そうすると
図9中に二点鎖線で示すように、枚葉シートSに対して斜めに歪んだ状態で切除されてしまうことになる。このような繰り出しの際或いはフィルムシートの被覆の際の枚葉シートの姿勢の歪みによる断裁のずれは往々にして起こりかねず、歪んだ断裁により枚葉シートに印刷された製品は全てNGになってしまう。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、枚葉シートを連続的にフィルムシートで両面共に被覆できるラミネート手段において、枚葉シートの繰り出し、一対のニップローラによる送り出し及び一対のヒートローラによる被覆に至るまでに、前後して搬送される枚葉シートの姿勢に歪みが生じず、加えて縦横両方向の仕上げ断裁を正確に自動的に完了できるため、通常別工程で引き続き行われる断裁工程を省略することが可能なラミネート手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のラミネート手段は、前側縁辺を前方ガイドに突き合わせると共に少なくとも両側縁辺の前端部をガイド部材で押えた複数の枚葉シートを、最上部の枚葉シートの前端部分を2列以上の複数列で面配置された吸着パッドにより姿勢を保持しながら一枚ずつ傾きを持つ搬送テーブルへ繰り出す枚葉シートの繰り出し工程と、繰り出された枚葉シートの前端部をローラ間に空間を形成して待ち受けると共に圧調整がなされた一対のニップローラに送り込んだ後に銜えさせ姿勢を保持しながら下流へ送り出す枚葉シートの送り出し工程と、前記送り出し工程から送り出されてくる枚葉シートを一対のニップローラと一対のラミネートローラの間に設けられた櫛状の押えガイドで間隔を開けて前後しながら通過する枚葉シートを平面に押えつけ、その姿勢を保持しながら圧調整がなされた一対のラミネートローラに送り込みフィルムシートを被覆するフィルムシートの被覆工程と、フィルムシートが被覆された枚葉シートの縦方向の余白を切除すると共に横方向の余白を断裁して枚葉シートに印刷されている版面を位置ずれを起こすことなく最終仕上がり寸法に切り出す切り出し工程とからなることを特徴としている。
【0009】
本発明のラミネート手段において、工程の最上流の用紙載せ台に積載される枚葉シートは、繰り出しの際の正確な姿勢を保持するために、少なくともその前側縁辺に沿って及び両側縁辺の前端部がガイド部材により固定されて位置決めされていなければならない。それにより枚葉シートの繰り出し時の基準位置が固定され、積載されている枚葉シートが順次同じ基準位置及び姿勢で正確に繰り出されることになる。
【0010】
前記基準位置で固定された枚葉シートは、例えば1列に直線状に配置された複数の吸着パッドが一直線状に線で押えて吸い上げるのではなく、2列以上複数列で配置された繰り出し装置により面で押えられて吸い上げられ搬送テーブルに繰り出されるのであるが、面で押えられて吸い上げられた枚葉シートは線で押えられる場合と比較して、前記基準位置を正確に保持されてずれを起こさずに繰り出されることになる。
【0011】
本発明の繰り出し工程を構成する吸着パッドの繰り出し装置により吸い上げられた枚葉シートは、例えば下流の搬送テーブル上に配置されている本発明の送り出し工程を構成する一対のニップローラに銜えられる位置へ繰り出される。なお前記搬送テーブルは用紙載せ台からニップローラへ向かって登りの勾配を備えている。これにより枚葉シートに掛かる繰り出し動作による抵抗を効率的に抑制でき姿勢の保持に貢献する。
【0012】
既述の通り繰り出された枚葉シートは、一対のニップローラに銜えられ下流に配置されている本発明の被覆工程を構成する一対のラミネートローラへ送り込まれるのであるが、前記一対のニップローラは例えばその両端部に備えられたばね等により加圧されている。従って前記ばね圧の調整により銜えた枚葉シートが通過する前後の枚葉シートの姿勢に歪みが生じないように調整しておく必要がある。なおニップローラは送り出される枚葉シートの姿勢が変化する要因になり得るため一対が好ましい。
【0013】
また前記一対のニップローラから一対のラミネートローラまでの間に、枚葉シートの歪
みが生じないよう弾力性のある板状の素材を櫛状に配置した押えガイドで、搬送される枚葉シートの上方から軽く押えつけておけば、一対のラミネートローラ間へ送り込む際に、枚葉シートの浮き上がりや蛇行或いはエッジの折れ等が防がれ、搬送途上の枚葉シートの正確な姿勢を保持することができる。
【0014】
なお、前記一対のラミネートローラも通過する枚葉シートの姿勢に歪みが生じないように、例えばその両端部を加圧しているばね圧等を調整する必要がある。このようにして搬送方向の姿勢が正確に制御された枚葉シートは、引き続き一貫した工程により縦横の不要部分が切り出し工程で切除されスタッカに排出されて積載されるのである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラミネート手段を構成する各工程の最上流の用紙載せ台に積載される枚葉シートは、繰り出しの際の歪みをなくすために少なくともその前側縁辺に沿って及び両側縁辺の前端部がガイド部材により固定されている。それにより前記枚葉シートの繰り出しの基準位置が固定される。そして繰り出しに際して、線ではなく面で分散されて配置された複数の吸着パッドを備えた繰り出し装置(繰り出し工程)を使用するため、枚葉シートは基準位置で固定された姿勢のまま吸い上げられ下流の傾斜を設けた搬送テーブルへ繰り出される。その後の一対のニップローラ(送り出し工程)による送り出しや一対のラミネートローラ(被覆工程)によるフィルムシートの被覆作業は、例えばそれらの両端で加圧するばね等の加圧装置の調整により位置ずれや歪みがなく正確な姿勢で下流の工程へ枚葉シートを送り出すため、その間前後する枚葉シートは位置ずれや歪みを起こすことなく連続的にフィルムシートにより被覆され搬送されることになる。従って下流での縦方向の余白及び横方向の余白等不要部分の切り出し工程も位置ずれによる歪みがなく、平行及び直角方向の断裁が正確に行われ、最終の単品の製品に問題なく仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のラミネート手段で使用される枚葉シートSの平面図である。
【
図2】本発明のラミネート手段の各工
程を示す要部概略図である。
【
図3】本発明のラミネート手段の繰り出し工程を構成する繰り出し装置及び送り出し工程を構成する送り出し装置を示す平面図である。
【
図4】(A)、(B)及び(C)は吸着パッド3により繰り出される枚葉シートSが、次に一対の
ニップローラ4a、4bにより銜えられ下流の被覆工程を構成する被覆装置へ送り出される様子を経時的に示す要部概略図である。
【
図5】本発明のラミネート手段の送り出し装置、
押えガイド及びフィルムシートの被覆装置を示す平面図である。
【
図6】本発明のラミネート手段のフィルムシートの被覆装置、一対のニップローラ7a、7b及び8a、8bを示す平面図である。
【
図7】本発明のラミネート手段の切り出し工程を構成する切除装置、断裁装置及び排出用の一対のニップローラ13a、13bを示す平面図である。
【
図8】従来のラミネート装置における不具合を示す要部概略平面図である。
【
図9】従来のラミネート装置における不具合を示す要部概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面に沿って本発明のラミネート手段を説明する。
図1は本実施例で使用する枚葉シートSの平面図である。四隅の仕上げトンボ(切除位置を示すレジスターマーク)に囲まれた版面Wには図示は省略するが各種情報(文言、図形、イラスト及び写真等)が記載されている。そして版面Wの右側上方には後の切り出し工程の断裁装置で必要となる長方形の読取マークMが印刷されている。なお前記版面Wの外形は縦横方向の余白X及びYを切除後に最終的に切り出される仕上がりサイズである。
【0018】
既述の取り構成された枚葉シートSは、
図2に示すラミネート
手段の最上流になる用紙載せ台1上に積載され、
図3に示すように前側縁辺を前方の搬送テーブル側板に設けたガイド(図示されず)に突き当てられると共に両側縁辺の前端部をガイド2で
押えられて固定されている。本実施例では更に後ろ側縁辺及び両側縁辺の中央あたりもガイドGにより固定されている。
【0019】
既述の通り用紙載せ台1に積載された枚葉シートSは、最上面の枚葉シートSから順に複数の吸着パッド3からなる繰り出し装置の往復運動により、間隔を開けて右側の傾斜を設けた搬送テーブルTへ送り出される。なお用紙載せ台1で枚葉シートSは
図3に示すように、前側縁辺が搬送テーブルT側の側板に設けられたガイド(図示省略)に押し当てられると共にガイド部材2により両外側縁辺の前部分が挟み込まれるようにその位置が固定されている。さらに本実施例ではその他のガイド部材Gが加わり枚葉シートSの四周が固定されている。これにより枚葉シートSの繰り出し時の基準位置が固定され、積載されている枚葉シートSが順次同じ基準位置及び姿勢のまま正確に繰り出されることになる。
【0020】
傾斜を設けた搬送テーブルTへの送り出しは
図3に複数の円で吸着位置を示すように、複数の吸着パッド3からなる繰り出し装置を使用する。前記繰り出し装置は、枚葉シートSの前端部分を複数の吸着パッド3で面状に分散した配置で押し付けて吸い上げる。そして右側の搬送テーブルTへ浮かせながら移動させるもので、最初に押し付けて吸い付けた位置を確実に保持して、そのまま正確に持ち上げて平行移動させることができる。このような正確な動作は、例えば一個のフィードローラを枚葉シートS前部の中央に配置して繰り出す機構の繰り出し装置
があるが、そのような装置では繰り出す枚葉シートSの基準位置や姿勢を保つことは不可能である。
【0021】
また
図2に示すように搬送テーブルTは用紙載せ台1から一対の
ニップローラ4a、4bへ至るまで傾斜が設けられている。この傾斜も枚葉シートSの繰り出しに欠かせず、枚葉シートSの移動に伴う搬送テーブルTとの抵抗及び静電気の発生防止等に一役買っている。
【0022】
吸着パッド3により搬送テーブルT上へ繰り出された枚葉シートSは、右側に配置されている一対の
ニップローラ4a、4bに向かって送り込まれるが、搬送中に上側の
ニップローラ4aが
図4(A)及び(B)に示すように持ち上がり両ローラ間に空間を形成する。そして枚葉シートSの先端部分が前記空間に侵入したところで、
図4(B)に示すように吸着パッド3が停止して、持ち上がっていた
ニップローラ4aが降下する。次に一対の
ニップローラ4a、4bが枚葉シートSの先端部分を銜え込むと、
図4(C)に示すように吸着パッド3は吸着を解除して枚葉シートSを開放した後に、次の枚葉シートSを吸着するため左側の用紙載せ台1へ移動し、それと同時に一対の
ニップローラ4a、4bが回転して枚葉シートSを右側に配置されている一対のラミネートローラ6a、6bからなる被覆装置へと送り出すのである。
【0023】
ここまでにおいて、吸着パッド3で前後する枚葉シートSはその基準位置を同じくして搬送テーブルT上へ送り出され、さらに密接して隙間のない一対のニップローラ4a、4b間に押し込まれるのではなく(無理矢理押し込まれると用紙先端部分がローラに突き当たり用紙の歪みや姿勢のばらつきの原因となる)、一対のニップローラ4a、4b間に形成されたフリーな空間に抵抗なく配置された後に挟み込まれるため、前後する枚葉シートSの姿勢にずれが生じない。
【0024】
そして前記一対のニップローラ4a、4b及び一対のラミネートローラ6a、6bは、例えば両側のばね圧(油圧やエアー圧等でも構わない)によりバランスよく調整されているため、ここにおいても通過する枚葉シートSの姿勢をずらすことなく下流の工程へ送り出すことができるのである。
【0025】
さらに前記一対の
ニップローラ4a、4bと一対のラミネートローラ6a、6b間には
図5(A)及び(B)に示すように、櫛状の
押えガイド5が配置され通過する枚葉シート
Sに上方から軽く圧力を掛け
押えつけている。このように一対のラミネートロー
ラ6a、6bの手前で平面に
押えつけ
ることにより、枚葉シートSの先端部がローラに突き当たり、シート全体にだぶつきや浮き上がりが発生して、それによりシートが歪み姿勢がばらついたり皺やよれが発生したりするのを防ぐと共に、上方及び下方に待機しているロールから引き出されてラミネートロー
ラ6a、6bで枚葉シートSの表裏面の被覆予定面に整合され貼り込まれる、フィルムシートFの貼り込み位置のずれや歪み或いは皺の発生等も防止するのである。
【0026】
このようにしてフィルムシートFが被覆予定面に被覆された枚葉シートSは
図6に示すように、前後する枚葉シートSの両縦方向の余白Xの外側縁辺同士がぶれることなく一直線上に一致しながら、搬送の流れ方向に姿勢を保持して上流側の一対の
搬送ローラ7a、7b及び下流側の一対の
搬送ローラ8a、8bにより下流に配置されている速度調整装置へ送り出される。
【0027】
なお前記2種類の搬送ローラはそれぞれ異なる役目を担っている。即ち上流側の一対の搬送ローラ7a、7bは一対のラミネートロール6a、6bを通過する枚葉シートSをバランスよく均等に引き出し、下流側の一対の搬送ローラ8a、8bは、加熱処理でフィルムシートFが被覆されゴムローラに密着しやすくなった枚葉シートSが、上流側の一対のニップローラ7a、7bに巻き付くことを防止するため張力を掛けて引き剥がす役目を持っている。
【0028】
また前記下流側の一対の搬送ローラ8a、8bに辿り着くまでにフィルムシートFは冷却されて密着力がなくなると共に、前記一対の搬送ローラ8a、8bの下流側に配置されている速度調整装置のダンサーローラ9の重みで張力が加わり、下方へ強制的に引き落とされるため、枚葉シートSは一対の搬送ローラ8a、8bに巻き付くことはない。因みに前記一対の搬送ローラ8a、8bはトルクモータにより稼働している。
【0029】
一対の
搬送ローラ8a、8bから送り出された枚葉シートSは、
図2に示されるダンサーローラ9及びセンサR1、R2からなる速度調整装置によりその前後に配置されている各種装置の速度が調整されラミネート装置全体の搬送速度のバランスが計られながら、サポートローラ10を経由して右側に配置された切除装置へ送られる。
【0030】
前記速度調整装置では、ダンサーローラ9により下方へ押し下げられた枚葉シートSの最下点が速度調整装置の前後で稼働している各装置の速度の相違により上下する。そして上下に配置されているセンサR1、R2は、例えばセンサR1がダンサーローラ9の降下により枚葉シートSを感知すると、下流の切除及び断裁装置の速度を上げ(或いは上流の各種装置の速度を下げ)て、それ以上ダンサーローラ9が下がらないようにラミネート装置全体の速度を調整する。またセンサR2がダンサーローラ9の上昇により枚葉シートSを感知できなくなると、上流の各種装置の速度を上げ(或いは下流の各種装置の速度を下げ)て、それ以上ダンサーローラ9が上がらないようにラミネートシステム全体の速度を調整する。即ちダンサーローラ9はセンサR1からR2の範囲で上下流の各種装置の速度を調整して、搬送される枚葉シートSの搬送速度のバランスを取りながら上下することになる。
【0031】
そして続く切除装置では
図7に示すように、バックアップローラ11b上に並列に配置されたスリット刃11aにより、縦方向の両余白Xが切除されるのであるが、上流側の各種装置の正確な姿勢での送り出しにより連続的に搬送される枚葉シートSの縦方向の余白Xは、切除位置に狂いがなく正確に切り出されるのである。そして縦方向の余白Xが切除された枚葉シートSは、さらに右側に配置されている読取センサR3、断裁刃12a及び固定刃12bからなるギロチン方式の断裁装置(ロータリカッタや他の公知の断裁方式、装置でも構わない)へ送り込まれる。
【0032】
断裁装置では
図7に示すように、通過する枚葉シートSに記載されている読取マークMをセンサR3が読み取ると、移動距離のカウントを開始して辺L1を断裁する。そして移動距離のカウントはその後も継続され続いて辺L2を断裁し、枚葉シートS表面に印刷された版面Wが最終仕上がり寸法に切り出されるのである。前記切り出し動作は後続の枚葉シートSでも引き続き行われ、枚葉シートS内に印刷されていた版面Wが順次切り出されるのであるが、上流側の各種装置の正確な送り出しにより、連続的に搬送される枚葉シートSの横方向の余白Yの断裁は、まったく狂いなく搬送方向に対して直角方向の断裁が行われる。そして最終仕上がり寸法に切り出された版面Wは、最終的に右側に配置されているストッカ14上へ一対の排出ローラ13a、13bにより排出される。
【0033】
なお本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば本実施例では繰り出し装置に吸着パッドを例に記載しているが、枚葉シートSの基準位置を保ち繰り出すことが可能な吸着式繰り出し装置であればパッドの形状に拘る必要はない。
また繰り出し装置に用いる吸着パッドはその数をできるだけ多くして、その配置は線状にするより面状に分散して配置する方が良い。そのようにすれば吸着の際に枚葉シートSが確実に固定されるので位置ずれ等がなくなる。
さらにスリット刃11aとバックアップローラ11bからなる切除装置は公知のスリッター等を用いても構わない。
【符号の説明】
【0034】
S 枚葉シート
F フィルムシート
W 版面
X 縦方向の余白
Y 横方向の余白
M 読み取りマーク
R1、R2、R3 センサ
G ガイド
L1、L2 辺
1 用紙載せ台
2 ガイド
3 吸着パッド
4a、4b 一対のニップローラ
5 押えガイド
6a、6b 一対のラミネートローラ
7a、7b、8a、8b 一対の搬送ローラ
9 ダンサーローラ
10 サポートローラ
11a スリット刃
11b バックアップローラ
12a 断裁刃
12b 固定刃
13a、13b 排出ローラ
14 ストッカ